説明

非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルム、その製造方法およびそれを用いて透明なパターンを得る方法

内部に分散された架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに内部に分散または溶解された無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を有する連続相線状ポリエステルマトリックスより本質的になるフィルムであって、ここでフィルムが白色であり、微孔形成されており、非透明性でありそして軸延伸されており、線状ポリエステルマトリックスが少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジオールおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸より本質的になる単量体単位を有し、線状ポリエステル対架橋結合されていないSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種がネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度で選択されるフィルム;合成紙としてまたはその中でのフィルムの使用;フィルムを含んでなる像記録要素;非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法、並びにそれを用いて透明なパターンを得る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルム、その製造方法およびそれを用いて透明なパターンを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特許文献1は本質的にポリテレフタル酸エチレン、ポリイソフタル酸エチレン、およびテレフタル酸エチレンとイソフタル酸エチレンの共重合体よりなる群から選択される線状ポリエステル、並びに該線状ポリエステルのものより高いガラス転移温度を有する高重合体よりなり、重合体混合物に関して後者が7〜35重量%の混合比である、筆記目的のための合成シートを開示しており、この高重合体はポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンの共重合体、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの共重合体よりなる群から選択され、該合成シートは、該線状ポリエステル中に均一に分散されてその不規則的表面のために核を構成する該高重合体によって非常に微細に粗くされた表面を有する。一般的には85〜95℃において元の長さの2〜3.5倍の延伸比でのこれらの混合された重合体物質の同時のおよび順次の両方の延伸が開示されており、シートはその実際の用途に応じて筆記性および透明度に関して調節される。特許文献1の発明の目的は改良された表面状態、不透明度、および他の要求される性質を有する筆記用および同様な他の目的のための合成シートの提供であると述べられている。特許文献1は、混合される熱可塑性樹脂は線状ポリエステルと製造時に実質的に均一に混合されそしてその中に分散される限りそれは相容性を有していてもまたは有していなくてもよいこと、形成されるフィルムはそれが透明であるかまたはそうでないかにかかわらず延伸時に均一な艶消し表面を製造できそしてこのようにして得られたフィルムは熱収縮可能であり、その筆記性質において許容可能であり、そして適切な不透明度を有していること、並びに高温におけるフィルム寸法における安定性をさらに改良するためにそれを線状ポリエステルの延伸温度より高くそして熱可塑性樹脂および線状ポリエステルの両方の混合物の融点より低い温度において熱処理可能であることもさらに開示している。実施例2は100〜105℃のガラス転移温度を有するアクリロニトリルおよびスチレンの共重合体と7〜35重量%の濃度のポリテレフタル酸エチレンとの混合並びにT−ダイを通す溶融−押し出しによる150μm厚さのフィルム試料の製造を例示している。これらのフィルムシートを次に二軸延伸機械によりその縦並びに横方向においてフィルムの元の長さの2倍ほど大きな延伸比で85℃において同時に延伸しそしてまた85℃において縦方向に3倍そして横方向に3倍同時に二軸延伸した。生じたフィルムは以下の性質を有すると報告された:
【0003】
【表1】

【0004】
特許文献1はここに開示された不透明な微孔形成されたフィルム上での無機不透明化顔料の添加または像通りの加熱の影響を開示していない。
【0005】
特許文献2は分散媒体重合体および内部に分散された分散相重合体より本質的になる溶融された混合物から構成される光拡散員を含んでなる背景映写幕を開示しており、該溶融された混合物は該重合体を溶融しそして次に混合することにより得られ、ここで分散媒体重合体の屈折率と分散相重合体の最大屈折率との間の差異の絶対値は0.01〜0.25であり、そしてここで分散媒体重合体は高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、6,6−ナイロン、ポリテレフタル酸エチレンおよびポリスチレンから選択される員でありそして分散相重合体は高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテレフタル酸エチレン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート類、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびスチレンアクリロニトリル共重合体よりなる群から選択される少なくとも1員である。
【0006】
特許文献3は熱可塑性シートまたはウエブの製造方法を開示しており、この方法は(i)発泡可能な熱可塑性重合体混合物をスクリュー押し出し器のダイを通して押し出してシートまたはウエブ形態の発泡した押し出し物を製造し、この発泡可能な熱可塑性重合体混合物は少なくとも第一および第二の熱可塑性重合体を含有しており、第一の熱可塑性重合体は実質的に結晶性でありそして第二の熱可塑性重合体より高い融点を有し、そしてそれと実質的に非混和性であり、そして押し出しの温度は第一の熱可塑性重合体の融点と等しいかまたはそれより高く、(ii)段階(i)からの発泡した押し出し物をそれがダイを離れる際に押し出し方向に延伸して発泡した押し出し物のセルのほとんどを破壊しそして破壊したセルの壁を延伸方向に伸ばし、(iii)段階(ii)からの延伸した押し出し物をそれが可塑性である間に圧縮し、そして(iv)段階(iii)からの発泡し、延伸しそして圧縮した押し出し物を冷却する段階を含んでなる。さらに、特許文献3は第一の熱可塑性重合体が好ましくは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリテレフタル酸エチレン、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン11から選択されそして第二の熱可塑性重合体が好ましくは酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート類、スチレンおよびメチルスチレン共重合体並びにフェニレンオキシド重合体から好ましく選択される非結晶性熱可塑性重合体であることも開示している。
【0007】
特許文献4は重合体の大体均質な永久的に混和性である混合物であって、重合体の単純配合物中では明らかでない性質を有しそして成分である重合体に自然に分離しない混合物を与える方法を開示しており、これは(a)ニトリル官能基を含有する重合体成分を(b)ニトリルと縮合可能なヒドロキシルまたはエステル化されたヒドロキシル官能基を含有する重合体成分と均一に混合することを含んでなり、該重合体成分(a)および(b)はそれらの単純配合物中から、重合体および酸の混合物の約0.001〜8重量%の酸混和剤の存在下でそして周囲温度において固体の形態である重合体の上記の永久的に混和性の混合物を与えるのに充分な時間にわたり、自然に分離する傾向がある。さらに、特許文献4はニトリル基物質が好ましくはポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、メタクリロニトリル−アクリロニトリル−酢酸ビニル三元共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アルファメチルスチレン三元共重合体、ニトリルゴム、ポリカプロラクタム−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリエチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリテレフタル酸エチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、シアノスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−メチルビニルエーテル共重合体、メタクリロニトリル−アルファメチルスチレン共重合体、シアノエチル化されたセルロース、シアノエチル化されたポリビニルアルコール、シアノエチル化されたポリアミド、シアノエチル化されたポリスチレンおよびシアノエチル化されたシリコーン重合体よりなる群から選択され、そして化学的に縮合可能な物質が好ましくはポリビニルアルコール、未反応のアルコール基を含有するポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル、鹸化されたまたは部分的に鹸化されたエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−二酸化硫黄三元共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル、酢酸ビニルでグラフト化されたナイロン、酢酸ビニルでグラフト化されたポリテトラフルオロエチレン、メタクリル酸ブチルでグラフト化されたポリビニルアルコール、酢酸ビニル−イソブチルビニルエーテル共重合体、スチレン−アリルアルコール共重合体、ポリアジピン酸エチレン、マレイン酸およびフタル酸とエチレングリコールおよびプロピレングリコールとのスチレン化されたポリエステル、ポリ(テレフタル酸エチレン)、セルロース、メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体、メタクリルアミドヒドロキシエチル共重合体、ポリエチレングリコール、ヒドロキシル末端ポリスチレン、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、およびヒドロキシル末端ポリイソプレンよりなる群から選択されることも開示している。
【0008】
特許文献5は(1)ジカルボン酸およびジオールの反応により製造されるポリエステル樹脂好ましくはポリ(テレフタル酸エチレン)、並びに(2)架橋結合された(メタ)アクリレート、架橋結合されたスチレン−アクリロニトリル、および架橋結合されていないスチレン−アクリロニトリル重合体状成分を含んでなる衝撃耐性共重合体を含んでなる配合物を開示している。
【0009】
特許文献6は重合体状に成形された製品であって、連続的に配向された重合体マトリックスより構成される、マトリックス内に分散された架橋結合された重合体の微球を有し、該微球は孔空間により少なくとも部分的に境界が付けられていることにより特徴づけられる製品を開示しており、該微球は該配向された重合体の重量を基準として5−50重量%の量で存在し、該孔空間は該製品の2−60容量%を占める。特許文献6は該架橋結合された重合体が好ましくは重合可能な有機物質を含んでなり、それは一般式Ar−C(−R)=CH[式中、Arは芳香族炭化水素基またはベンゼン系の芳香族ハロ炭化水素基を表しそしてRは水素またはメチル基である]を有するアルケニル芳香族化合物;式CH=C(−R’)−C(−OR)=O[式中、Rは水素および炭素数約1〜12のアルキル基よりなる群から選択されそしてR’は水素およびメチルよりなる群から選択される]の単量体を包含するアクリレート−タイプ単量体;塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび塩化ビニル、臭化ビニル、式CH=CH−O−C(−R)=O[式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基である]を有するビニルエステルの共重合体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびテレフタル酸ジアルキル類またはそれらのエステル−生成誘導体を系HO(CHOH[式中、nは2−10の範囲内の整数である]のグリコールと反応させることにより製造されそして重合体分子内に反応性オレフィン結合を有する合成ポリエステル樹脂よりなる群から選択される員であることもさらに開示しており、上記のポリエステル類は内部に20重量%までの共重合された反応性オレフィン系不飽和部分を有する第二の酸またはそのエステルおよびそれらの混合物、並びにジビニルベンゾン、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリルおよびそれらの混合物よりなる群から選択される架橋結合剤を包含する。
【0010】
特許文献7(特許文献8に相当する)は50〜97重量%の線状ポリエステルおよび3〜50重量%のスチレンを含有する重合体、例えばアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのグラフト重合体(ABS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体または高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、の重合体配合物から製造される成形された製品を開示しており、ここで百分率はポリエステルおよびスチレン含有重合体の合計に関する。特許文献7は好ましいポリエステルが少なくとも80重量%のポリテレフタル酸エチレンを含有しそして20重量%までのポリイソフタル酸エチレンを含有できそして発明に従う支持体物質がさらなる添加剤、例えば顔料、特にTiO、BaSO、CaCO、光学白化剤または青色染料、を含有でき、これは被覆力をさらに増加させそして鮮明度を改良し、特に使用される成分の合計重量に関して0.5〜10重量%、好ましくは2〜10、好ましくは3.5〜6.5重量%、の好ましくはアナターゼタイプのTiO顔料が加えられることもさらに開示している。実施例3は、72重量%のスチレンおよび28重量%のアクリロニトリルから製造される約115,000のMおよび3のM/Mを有する使用される成分の合計重量に関して15重量%の共重合体の配合、次の75℃における乾燥、その後のPET押し出し器中での溶融、スロットを通す押し出し、縦延伸、下塗り層の適用、横延伸および1分間にわたる160℃における熱−硬化を開示している。さらなる成分は開示されていない。
【0011】
特許文献9はポリエステルをポリエステルと非混和性である熱可塑性樹脂と混合しそして得られた重合体混合物をフィルム中に存在するポリエステルと非混和性である熱可塑性樹脂と共に少なくとも1つの方向に配向することにより製造される多数の微細孔を1−50μmの主軸直径、10μmの厚さおよび2−100の主軸/厚さ比を有する粒子の形態で含有する記録紙中での使用に適する孔−含有ポリエステルフィルムを開示している。特許文献9はポリエステルと非混和性である熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンおよびそのようなポリオレフィンタイプ樹脂、イオノマー樹脂、EPゴムおよびそのような共重合体ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびそのようなポリスチレンタイプ樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリアクリロニトリルタイプ樹脂でありうることもさらに開示している。特許文献9は非混和性熱可塑性樹脂としてポリスチレンまたはポリ(メチルペンテン)を使用する不透明なおよび半透明な二軸延伸されたポリ(テレフタル酸エチレン)並びに二酸化チタンを用いる顔料着色を例示している。
【0012】
特許文献10はポリエステルフィルムを開示しており、それは78〜55重量%の主要成分としてテレフタル酸ブチレン繰り返し単位を有するポリエステル(1)および22〜45重量%のアクリロニトリル−スチレン共重合体(2)よりなるフィルムであり、アクリロニトリル−スチレン共重合体(2)がポリエステル(1)内部に粒子形状で分散されているという顕著な特徴を有しており、これらの分散された粒子の主軸方向における平均粒子長さは3〜50μmであり、副軸方向における平均粒子長さは5μmより短く、平均
アスペクト比は2.0またはそれより大きく、分散された粒子の主軸方向に直角な方向におけるフィルムの破壊強度(T(┴))および主軸方向における破壊強度(T(s))はT(┴)/T(s)>1.0の関係にあり、そしてそれは分散された粒子の主軸方向に直角な方向において易破壊性質を有する。スチレン−アクリロニトリル重合体中のアクリロニトリルの濃度。
【0013】
特許文献11は微孔形成された層を含む像記録要素であって、微孔形成された層が連続相ポリエステルマトリックスを含んでなり、ポリエステルマトリックスが、内部に分散された架橋結合された有機微球および微孔形成された層のポリエステルマトリックスと非混和性である架橋結合されていない重合体粒子を有する像記録要素を開示している。特許文献11はポリエステルマトリックスと非混和性である架橋結合されていない重合体粒子だけがハロゲン化銀ディスプレイ媒体の微孔形成された層内で使用される場合には混和段階を必要としないため原料物質および製造費用は低いが、像鮮明度は生ずる相対的に大きい孔のために非常に劣悪であることもさらに開示している。それ故、像形成媒体中での孔形成剤としての非混和性重合体粒子の使用は費用の観点から魅力的であるが、鮮明度に関する性質は使用を思い止まらせるほど劣る。特許文献11は架橋結合された有機微球およびポリエステルと非混和性である架橋結合されていない重量体粒子の両者を微孔形成された層のポリエステルマトリックス内に混合することにより、単独使用時の、特に像品質および製造可能性に関する、孔開始剤の欠点は相乗的に克服されることも開示している。架橋結合された有機球およびポリエステルマトリックス内に非混和性である架橋結合されていない重合体粒子の組み合わせは、劣悪な鮮明度性質を有する物質の添加に伴い予測される劣化なしに、微球をマトリックス重合体と混合するために必要な時間および労力を低下させる比較的安価な原料物質を使用する必要性から生ずる有意な費用減少並びに製造時間および労力減少を伴いながら、微孔形成された媒体の鮮明度に関して、この性質を享受する。特許文献11は孔形成された層が例えば白色度または鮮明度の如き写真反応を改良することが知られている白色顔料、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、クレー、炭酸カルシウムまたはシリカ、を含有しうること、およびアデンダを層に加えて像形成要素の色を変えうることも開示している。特許文献11はここに開示されている不透明な微孔形成されたフィルムに対する像通りの加熱の影響は開示していない。
【0014】
先行技術の非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムは寸法安定性の欠如と一緒の不充分な不透明性または不充分な寸法安定性および不充分な不透明性を被る。さらに、特定の用途に関しては非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの白色度は不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3,755,499号明細書
【特許文献2】米国特許第4,174,883号明細書
【特許文献3】米国特許第4,128,689号明細書
【特許文献4】米国特許第4,243,769号明細書
【特許文献5】米国特許第4,342,846号明細書
【特許文献6】欧州特許第04361782A2号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0654503号明細書
【特許文献8】米国特許第5,457,018号明細書
【特許文献9】特開平09−255806A号明細書
【特許文献10】特開平2004−196951A号明細書
【特許文献11】米国特許第6,703,193号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の局面
従って、改良された非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを提供することが本発明の局面である。
【0017】
従って、改良された非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを製造する方法を提供することが本発明の別の局面である。
【0018】
従って、非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルム中で透明なパターンを得る方法を提供することも本発明の局面である。
【0019】
本発明の別の局面および利点は以下の記述から明らかになるであろう。
【0020】
発明の要旨
少量の不透明化無機顔料の添加が許容可能な寸法安定性を得るために必要な熱定着(硬化)工程を比較的低温において実施可能にすることが驚くべきことに見出され、それはそうでなければ必要であろう実質的に比較的高い熱定着温度において起きるものより実質的に低い熱定着中の不透明度における損失を驚くべきことにもたらした。延伸中に従来使用されているものより低い温度を使用することによりそして特に横延伸中にポリテレフタル酸エチレン−SAN−重合体配合物を用いて従来使用されているものより低い温度を使用することによりそしてポリエステルマトリックス組成物を調節してこれを実現可能にすることにより不透明度が増大されることも驚くべきことに見出された。
【0021】
本発明の局面は、連続相線状ポリエステルマトリックスより本質的になり、内部に分散された架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに内部に分散または溶解された無機不透明化(opacifying)顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を有するフィルムであって、ここでフィルムが白色であり、微孔形成されており、非透明性でありそして軸延伸されており、線状ポリエステルマトリックスが少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジメチレンおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸より本質的になる単量体単位を有し、線状ポリエステル対架橋結合されていないSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、そして該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールよりなる群から選択されるフィルムにより実現される。
【0022】
本発明の局面は合成紙としてまたはその中での上記の非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの使用によっても実現される。
【0023】
本発明の局面は上記の非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを含んでなる像記録要素によっても実現される。
【0024】
本発明の局面は、非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを製造する方法であって、i)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジオールおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸よりなる群から選択される単量体単位を有する少なくとも1種の線状ポリエステル、架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を混練器または押し出し器の中で混合してポリエステルマトリックス中に架橋結合されていないランダムSAN−重合体を含んでなる混合物を製造し、ii)段階i)で製造された混合物を厚いフィルムに形成し、引き続きクエンチし、そしてiii)該厚いフィルムを>2.5N/mmの延伸張力に
おいて該SAN−重合体のガラス転移温度と該線状ポリエステルのガラス転移温度との間の温度において最初の長さの少なくとも2倍に延伸する段階を含んでなり、ここでポリエステルマトリックス対該架橋結合されていないランダムSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、そしてここで該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択される方法によっても実現される。
【0025】
本発明の局面は、上記の非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムに対する、場合により圧力の適用により補助されていてもよい、熱の像通りの適用の段階を含んでなる透明なパターンを得る方法によっても実現される。
【0026】
本発明の好ましい態様は発明の詳細な記述に開示される。
【0027】
発明の詳細な記述
定義
孔または微孔の用語は、本発明の開示で使用される際には、例えば、ポリエステルマトリックスと非混和性である粒子に起因する孔−形成(void‐initiating)粒子の結果として延伸中に配向された重合体状フィルム中に形成できる微細セル、微小な閉鎖セル、空洞、気泡または穴もしくは小室を意味する。孔または微孔は充填されていなくてもよく、または空気もしくは何らかの種類の蒸気で充填されてもよい。たとえ最初は充填されていなくても孔または微孔は時間が経つと空気もしくは何らかの種類の蒸気で充填されうる。
【0028】
用語「不透明な」はASTM D589−97に従いまたは米国、ニューヨーク、レキシントン・アベニュー、360のタッピ(TAPPI)により発表されたような不透明度試験T425m−60に従い測定して90%より高い可視光線に対する不透明率を意味する。
【0029】
発泡体(foam)の用語は、本発明の開示で使用される際には、多くの気泡を液体または固体中に留めることにより形成される物質を意味する。
【0030】
フィルムの用語は、本発明の開示で使用される際には、特定組成の押し出しシートまたは同一もしくは相異なる組成を有する液体を互いに接触させて共−押し出しすることにより製造される同一もしくは相異なる組成を有する複数のフィルムよりなるシートである。フィルムの用語は軸延伸および二軸延伸されたフィルムにも適用される。フィルムおよび箔の用語はこの開示では互換的に使用される。
【0031】
用語「非写真像」は、本発明の開示で使用される際には、従来のハロゲン化銀ゼラチン性乳剤を用いて製造されない像を意味する。
【0032】
線状ポリエステル中のジカルボキシレート単量体単位の用語は、本発明の開示で使用される際には、ジカルボン酸またはそのエステルのいずれかから誘導される単量体単位を意味する。
【0033】
線状ポリエステル中のジメチレン脂肪族単量体単位の用語は、本発明の開示で使用される際には、ジメチレン脂肪族ジオールまたはそのエーテルから誘導される単量体単位を意味し、ここで脂肪族の用語は脂環式を包含する。
【0034】
線状ポリエステルの用語は、本発明の開示で使用される際には、炭化水素ジメチレンおよびジカルボキシレート単量体単位を含んでなるポリエステルを意味する。
【0035】
線状芳香族ポリエステルの用語は、本発明の開示で使用される際には、脂肪族ジメチレンおよび芳香族ジカルボキシレート単量体単位を含んでなるポリエステルを意味する。
【0036】
無機不透明化顔料の用語は、本発明の開示で使用される際には、少なくとも1.4の屈折率を有する実質的に白色の無機顔料および重合体中の分散物として延伸時に微孔形成により不透明性をもたらしうる顔料を包含する不透明化させ(すなわちさらに不透明にさせ)うる顔料を意味する。
【0037】
白化剤の用語は、本発明の開示で使用される際には、周囲紫外線の影響下で青色ルミネセンスを示す白色/無色の有機化合物を意味する。
【0038】
用語「支持体」は、本発明の開示で使用される際には、「自己支持性物質」を意味して、支持体上に溶液もしくは分散液としてコーティングするか、蒸着させる(evaporated)かまたはスパッターさせることができるがそれ自体自己支持性でない「層」と区別される。それは場合により伝導性であってもよい表面層および接着のためにまたはそれを助けるために適用される層のために必要な処理も包含する。
【0039】
重複印刷可能(overprintable)の用語は、本発明の開示で使用される際には、一般的な衝撃および/または非衝撃印刷方法により重複印刷可能であることを意味する。
【0040】
従来の印刷方法の用語は、本発明の開示で使用される際には、インキ−ジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、染料転写印刷、熱昇華印刷並びに熱およびレーザー−誘導方法を包含するが、それらに限定されない。
【0041】
パターンの用語は、本発明の開示で使用される際には、いずれかの形態の線、四角、円またはいずれかの不規則的配置でありうる不連続層を意味する。
【0042】
層の用語は、本発明の開示で使用される際には、例えば支持体と称する物体の全領域を被覆する(連続的)コーティングを意味する。
【0043】
用語「非透明なフィルム」は、本発明の開示で使用される際には、透明な像に対する充分なコントラストを与えて像を明らかに認識可能にしうるフィルムを意味する。非透明なフィルムは「不透明なフィルム」でありうるが、残存する半透明性がない、すなわちフィルムを通る光浸透がない、という点で必ずしも完全に不透明である必要はない。マクベス(MacBeth)TR924デンシトメーターを用いて可視フィルターを通して測定される透過における光学密度がフィルムの非透明性の測定値を与えうる。ISO2471は紙裏の不透明性に関しておりそして1枚のシートが同様な紙の下にあるシート上で印刷物体を視覚的に妨げる程度を支配する紙の性質が関与する時に適用可能でありそして黒色の裏打ちを有する紙の単一シートの発光反射因子の、白色の反射性裏打ちを有する同じ試料の固有の発光反射因子に対する、百分率として表示される、「比」として不透明度を定義している。例えば、80g/mのコピー紙は白色であり、非透明性でありそしてマクベスTR924デンシトメーターを用いて黄色フィルターを通してISO5−2に従い測定して0.5の光学密度を有し、そして金属処理されたフィルムは典型的には2.0〜3.0の範囲にわたる光学密度を有する。
【0044】
透明の用語は、本発明の開示で使用される際には、拡散なしに入射可視光線の少なくとも50%を透過するそして好ましくは拡散なしに入射可視光線の少なくとも70%を透過する性質を有することを意味する。
【0045】
柔軟の用語は、本発明の開示で使用される際には、例えばドラムの如き曲った対象の曲げに損傷されずに応じうることを意味する。
【0046】
用語「着色剤」は、本発明の開示で使用される際には、染料および顔料を意味する。
【0047】
用語「染料」は、本発明の開示で使用される際には、それが適用される媒体中でそして関係する周囲条件下で10mg/Lまたはそれより大きい溶解度を有する着色剤を意味する。
【0048】
用語「顔料」はここで引用することにより本発明の内容となるDIN55943に、分散媒体中に関係する周囲条件下で実際に不溶性であり、その結果としてその中で10mg/Lより小さい溶解度を有する無機もしくは有機性の彩色または不彩色性の着色剤として定義されている。
【0049】
非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルム
本発明の局面は、連続相線状ポリエステルマトリックスより本質的になり、内部に分散された架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに内部に分散または溶解された無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を有するフィルムであって、ここでフィルムが微孔形成されており、非透明性でありそして軸延伸されており、線状ポリエステルマトリックスが少なくとも1種の芳香族ジカルボキシレート、少なくとも1種の脂肪族ジメチレンおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボキシレートより本質的になる単量体単位を有し、そして線状ポリエステル対架橋結合されていないSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択されるフィルムにより実現される。
【0050】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第一の態様によると、非透明なフィルムは白色フィルムである。
【0051】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第二の態様によると、非透明なフィルムは着色フィルムである。
【0052】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第三の態様によると、少なくとも1種の脂肪族ジカルボキシレートはポリエステルマトリックス中に線状ポリエステルマトリックス中の全てのジカルボキシレート単位の20モル%より少ない濃度で存在する。
【0053】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四の態様によると、フィルムは二軸延伸されたフィルムである。
【0054】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第五の態様によると、線状ポリエステル対架橋結合されていないSAN−重合体の重量比は2.3:1〜13:1の範囲内にあり、2.5:1〜10:1の範囲が好ましく、2.7:1〜9.0:1の範囲が特に好ましくそして2.85:1〜7.0:1の範囲が特別に好ましい。
【0055】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第六の態様によると、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムには英数文字、浮き彫りパターン、場合により浮き彫りされたホログラムおよび連続的なハーフトーンまたはデジタル像の少なくとも1種が付与される。
【0056】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第七の態様によると、フィルムには少なくとも一面に好ましくは透明な重複印刷可能層が付与され、それは衝撃または非衝撃印刷に適する。この透明な重複印刷可能層は非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの表面上に英数文字、浮き彫りパターン、場合により浮き彫りされたホログラムおよび連続的なハーフトーンまたはデジタル像の少なくとも1種に重ねて付与しうる。
【0057】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第八の態様によると、フィルムには少なくとも一面に透明化可能(transparentizable)な多孔性の重複印刷可能層が付与され、すなわち衝撃または非衝撃印刷、例えばインキ−ジェット印刷、に適する。これも像通りに適用することができる適切な屈折率を有する液体の適用により透明化される透明化可能な多孔性の層は欧州特許出願公開第1362710号明細書および欧州特許出願公開第1398175号明細書に開示されている。この透明化可能な重複印刷可能層は透明なパターンを有する非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの表面上に英数文字、浮き彫りパターン、場合により浮き彫りされたホログラムおよび連続的なハーフトーンまたはデジタル像の少なくとも1種に重ねて付与しうる。
【0058】
透明化可能な多孔性受容層の一部の透明化はそれ自体で像を製造することができまたは不透明な多孔性受容層の透明化されていない領域はそれ自体で像を表示することができる。透明なパターンは、例えば、貯金通帳、株券、チケット、クレジットカード、身分証明書または荷物および包装用のラベルの一部でありうる。
【0059】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第九の態様によると、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムは約15μm〜約500μmの範囲内の厚さを有し、約25μm〜約300μmが好ましい。
【0060】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第十の態様によると、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムに下塗り層が付与される。
【0061】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第十一の態様によると、フィルムは発泡体を含まない。
【0062】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第十二の態様によると、フィルムは発泡剤および/または発泡剤の分解生成物を含まない。
【0063】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第十三の態様によると、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムは電気伝導性増加添加剤、例えば溶融物中でイオン化して増加した電気伝導性を与える金属塩、例えば酢酸マグネシウム、マンガン塩類および硫酸コバルト、をさらに含有する。適当な塩濃度は約3.5×10−4モル/モル ポリエステルである。増加されたポリエステル溶融粘度は5〜25℃(好ましくは15〜30℃)の温度に保たれた冷却ローラー上での改良された押さえつけ(pinning)を可能にして押し出し物を冷却し、それによってより高い延伸力をそしてその結果として増加した孔−形成およびより高い不透明化を実現可能にする。
【0064】
非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法
本発明の局面は非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを製造する方法であって、i)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸および少なくとも1種の脂肪族ジオールよりなる群から選択される単量体成分を有する少なくとも1種の線状ポリエステル、架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を混練器または押し出し器の中で混合してポリエステルマトリックス中に架橋結合されていないランダムSAN−重合体を含んでなる混合物を製造し、ii)段階i)で製造された混合物を厚いフィルムに形成し、引き続き例えば室温にクエンチし、そしてiii)該厚いフィルムを>2.5N/mmの延伸張力において該SAN−重合体のガラス転移温度と該線状ポリエステルのガラス転移温度との間の温度において最初の長さの少なくとも2倍に延伸する段階を含んでなり、ここでポリエステルマトリックス対架橋結合されていないランダムSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、そして該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択される方法によっても実現される。
【0065】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第一の態様によると、クエンチされた押し出しフィルムは約10μm〜約6000μmの厚さを有し、約100〜約5000μmの厚さが好ましく、約200μm〜約3000μmの厚さが特に好ましくそして約500μm〜約2000μmの厚さが特別に好ましい。
【0066】
非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムは、厚いフィルムを例えば機械方向にまたは機械方向に垂直な方向(横方向)に延伸することにより配向することにより、製造される。好ましくは非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムは二軸延伸される。二軸延伸はフィルムを最初に1つの方向に(例えば機械方向=MDに)延伸しそして次に第二の方向[例えば機械方向に垂直=TD(横方向)]に延伸することにより実現される。これが重合体連鎖を配向させ、それにより密度および結晶化度を増加させる。押し出し方向における縦配向は回転ローラーの表面速度V2を線状押し出し速度V1に関して延伸比がV2/V1になるように設定することにより所望する延伸比に対応する異なる速度で走行する2つのロールを用いて行うことができる。縦延伸比は孔を創出するのに充分なものにすべきである。
【0067】
軸および二軸配向されたポリエステルフィルムを製造するための当該技術で既知の縦延伸操作を使用できる。例えば、層を延伸が起きる領域でポリエステルのガラス転移温度(ポリテレフタル酸エチレンに関しては約80℃)より高い温度に加熱する一対の赤外線ヒーターの間に組み合わされたフィルム層を通す。延伸温度は不透明性を改良するために連続相重合体のガラス転移温度近くにすべきである。さらに、延伸温度はPETSAN−重合体のガラス転移温度より低くすべきである。ポリテレフタル酸エチレンの場合には、縦延伸は一般的に約80〜約130℃において行われる。縦延伸中に縦に伸びているフィルム中で分散された重合体の各粒子から形成された孔の結果として不透明性が実現される。
【0068】
横延伸は縦延伸の方向に対して実質的に90°の角度で行われ、この角度は典型的には約70°〜90°の間である。横配向に関しては、フィルムの両端を挟みそして次に上にあるプライマー層と組み合わされた層を例えばフィルムをガラス転移温度より高く加熱する熱空気ヒーター中に通すことにより加熱することにより2つの側面に向かって引っ張る適当な張り枠が一般的に使用される。ポリテレフタル酸エチレンの場合には、横延伸は約80〜約170℃、好ましくは約90〜約150℃、において行われる。フィルムの横延伸が孔を横方向に延長させる。
【0069】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第二の態様によると、厚いフィルムの延伸は>2.5N/mmの延伸張力において行われ、>5.0N/mmの延伸張力が好ましくそして>7.0N/mmの延伸張力が特に好ましい。延伸張力は延伸温度が低下するにつれて増加する。
【0070】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第三の態様によると、フィルムは二軸延伸される。
【0071】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第四の態様によると、方法はさらなる段階である段階(iv)を含んでなり、ここではフィルムを第一の延伸工程に対して実質的に90°の角度で>2.5N/mmの延伸張力において最初の長さの少なくとも2倍に延伸するさらなる延伸工程にかけ、>4.0N/mmの延伸張力が好ましい。
【0072】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第五の態様によると、方法はさらなる段階である段階(iv)を含んでなり、ここではフィルムを第一の延伸工程に対して実質的に90°の角度で>2.5N/mmの延伸張力において最初の長さの少なくとも2倍に延伸するさらなる延伸工程にかけ、そして段階iv)は線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度より30℃またはそれ以下ほど上の温度において行われ、線状ポリエステルのガラス転移温度より20℃またはそれ以下ほど上の温度が好ましくそして線状ポリエステルのガラス転移温度より10℃またはそれ以下ほど上の温度が特に好ましい。実現可能な延伸張力は延伸温度の低下につれて増加する。
【0073】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第六の態様によると、段階iii)およびiv)は同時に、例えばブルックナー(Brueckner)により製造された装置を用いて、行われる。
【0074】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第七の態様によると、方法は第五段階として熱定着段階をさらに含んでなる。
【0075】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第八の態様によると、縦延伸に関する延伸比は約2〜約6の間であり、約2.5〜約5の間が好ましくそして3〜4の間が特に好ましい。延伸比が高くなればなるほど、不透明度は高くなる。
【0076】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第九の態様によると、横延伸比は約2〜約6の範囲内であり、2.5〜約5の範囲が好ましくそして約3〜4の範囲が特に好ましい。延伸比が高くなればなるほど、不透明度は高くなる。さらに、%/分での延伸速度が高くなればなるほど、不透明度は高くなる。
【0077】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの製造方法の第十の態様によると、線状ポリエステルは主成分としてテレフタル酸ブチレンを有していない。
【0078】
軸延伸または二軸延伸されたフィルムを最後に、フィルム層上に160〜240℃の間の温度の熱空気を吹き付ける熱空気ヒーターの第二のセットの中に通してフィルム層を熱硬化または熱定着させる。熱硬化温度はポリエステルの結晶化を得るために充分でなければならないが、孔が破壊しうるため層を過熱しないように注意を払うべきである。他方で、熱硬化温度の増加はフィルムの寸法安定性を改良する。熱硬化温度を変えることにより適切な性質混合が得られうる。ポリテレフタル酸エチレンまたはポリナフタレン酸エチレンの場合の好ましい熱硬化または熱定着温度は少なくとも140℃そして好ましくは少なくとも150℃そして特に好ましくは少なくとも175℃である。
【0079】
縦延伸の前または後に、プライマー層と称する第一の下塗り層を孔が形成されていないポリエステル層に例えばエアナイフコーティングシステムの如きコーティング手段により適用できる。第一の下塗り層は例えば(メタ)アクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、スルホン化されたポリエステルまたは塩化物含有共重合体、例
えば塩化ビニリデン共重合体から幾らかの親水性官能性を有するラテックス形態で水性分散液として適用される共重合された不飽和カルボン酸の存在下で製造される。
【0080】
微孔によるフィルムの光学密度
微孔の故の可視フィルターの透過において測定されるフィルムの光学密度は次のようにして得られる。孔形成成分を含まないフィルムの光学密度をフィルム厚さの関数として測定して比較のための値を与える。それから、孔形成成分を加えた組成物を二軸延伸して孔の故の可視フィルターの透過において測定されるフィルムの光学密度が得られ、可視フィルターの透過により測定された光学密度を、縦および横の延びの比に基くフィルムの予測される厚さのための孔形成成分が排除された組成物の可視フィルター透過において測定される光学密度から減ずる。
【0081】
線状ポリエステル
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十四の態様によると、線状ポリエステルは少なくとも1種の芳香族ポリエステル樹脂、例えばポリ(テレフタル酸エチレン)またはその共重合体、を含んでなる。加熱時に、例えば押し出し器内での混合中に、存在する異なる線状ポリエステル樹脂はメタセシス、縮合および縮合分離を受けて充分に長い加熱により、単一樹脂中を生ずるであろう。
【0082】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十五の態様によると、線状ポリエステルはイソフタレート単量体単位をジカルボキシレート単量体単位の合計濃度に関して少なくとも1モル%の濃度で含んでなり、少なくとも3モル%が好ましくそして少なくとも5モル%が特に好ましい。
【0083】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十六の態様によると、線状ポリエステルはイソフタレート単量体単位をジカルボキシレート単量体単位の合計濃度に関して20モル%またはそれより少ない、好ましくは15モル%またはそれより少ないそして特に好ましくは12モル%またはそれより少ない、濃度で含んでなる。
【0084】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十七の態様によると、線状ポリエステルはポリテレフタル酸エチレンの共重合体である。
【0085】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十八の態様によると、線状ポリエステルはポリテレフタル酸エチレン並びにテレフタル酸エチレンおよびイソフタル酸エチレンの共重合体を含んでなる。
【0086】
適当なポリエステル類は、ジカルボキシレート基が4−20個の炭素原子を有する芳香族、脂肪族、もしくは脂環式ジカルボン酸類またはそれらのエステル類、並びに脂肪族ジメチレン基が2−24個の炭素原子を有する脂肪族(脂環式を包含する)グリコール類またはそれらのエーテル類から製造されるもの、並びにそれらの混合物を包含する。適当な芳香族ジカルボキシレート類の例はテレフタレート類、イソフタレート類、フタレート類、ナフタレンジカルボキシレート類およびソジオスルホイソフタレート類を包含する。適当な脂肪族ジカルボキシレート類の例はスクシネート類、グルタレート類、アジペート類、アゼライエート類(アゼライン酸から)、セバケート類、フマレート類、マレエート類(マレイン酸から)およびイタコネート類を包含する。適当な脂環式ジカルボキシレート類の例は1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート類、1,3−シクロヘキサン−ジカルボキシレート類および1,3−シクロペンタン−ジカルボキシレート類を包含する。適当な脂肪族ジメチレン類の例はエチレン、プロピレン、メチルプロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ネオペンチレン[−CHC(CH−CH]、1,4−シクロヘキサン−ジメチレン、1,3−シクロヘキサン−ジメチレン、1,3−シクロペンタン−ジメチレン、ノルボルナン−ジメチレン、−CHCH(OCHCH−[ここで、nは好ましくは1〜5の整数である]、およびそれらの混合物を包含する。
【0087】
そのようなポリエステル類は当該技術で既知でありそして既知の技術、例えば、米国特許第2,465,319号明細書および米国特許第2,901,466号明細書に記述されたもの、により製造できる。
【0088】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第十九の態様によると、線状ポリエステルはテレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸よりなる群から選択される芳香族ジカルボン酸を有する重合体である。
【0089】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十の態様によると、線状ポリエステルはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エンド,3−エンドノルボルナンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールよりなる群から選択される脂肪族ジオールを有する重合体であり、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの組み合わせが好ましい。
【0090】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十一の態様によると、線状ポリエステルはポリテレフタル酸エチレン並びにテレフタル酸エチレンおよびテレフタル酸1,4−シクロヘキサンジメチレンの共重合体を含んでなる。
【0091】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十二の態様によると、線状ポリエステル中の脂肪族ジメチレン単量体単位の少なくとも1モル%はネオプレンまたは1,4−シクロヘキサンジメチレン単量体単位であり、少なくとも3モル%が好ましくそして少なくとも5モル%が特に好ましい。
【0092】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十三の態様によると、線状ポリエステル中の脂肪族ジメチレン単量体単位の20モル%またはそれ以下はネオプレンまたは1,4−シクロヘキサンジメチレン単量体単位であり、18モル%またはそれ以下が好ましく、15モル%またはそれ以下が特に好ましい。
【0093】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十四の態様によると、線状ポリエステルの数平均分子量は10,000〜30,000である。
【0094】
少量の他の単量体により改質されたポリ(テレフタル酸エチレン)が特に好ましい。他の適当なポリエステル類は適量の例えばスチルベンジカルボン酸の如き共−酸成分の包含により製造される液晶性コポリエステル類を包含する。そのような液晶性コポリエステル類の例は米国特許第4,420,607号明細書、米国特許第4,459,402号明細書および米国特許第4,468,510号明細書に開示されているものである。
【0095】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十五の態様によると、線状ポリエステルは40〜150℃、好ましくは50〜120℃そして特に好ましくは60〜100℃、のガラス転移温度を有する。
【0096】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十六の態様によると、線状ポリエステルは配向可能である。
【0097】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十七の態様によると
、線状ポリエステルは60重量%のフェノールおよび40重量%のオルト−ジクロロベンゼンの0.5g/dL溶液中で25℃において測定して少なくとも0.45dl/gの固有(inherent)粘度を有し、0.48〜0.9dl/gの固有粘度が好ましくそして0.5〜0.85dl/gの固有粘度が特に好ましくそして0.55〜0.8dl/gの固有粘度が特別に好ましい。
【0098】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十八の態様によると、線状ポリエステルは主成分としてテレフタル酸ブチレンを有していない。
【0099】
ポリエステル類の混合物は溶融物内での混合中にメタセシスを受けて混合物の全体的組成を有して製造される共重合体を生ずる。適当なマトリックスの例はポリ(テレフタル酸エチレン)およびポリ(テレフタル酸1,4−シクロヘキシレンジメチレン)を含んでなる配合物を包含する。
【0100】
ランダムSAN−重合体
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第二十九の態様によると、SAN−重合体の濃度は少なくとも5重量%であり、少なくとも10重量%が好ましくそして少なくとも15重量%が特に好ましい。
【0101】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十の態様によると、SAN−重合体の濃度は少なくとも35重量%またはそれより少なく、30重量%またはそれ以下が好ましくそして25重量%またはそれ以下が特に好ましい。
【0102】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十一の態様によると、SAN−重合体中のAN−単量体の濃度は15〜35重量%であり、18〜32重量%が好ましくそして21〜30重量%が特に好ましい。
【0103】
この組成物のSAN重合体添加剤は、スチレンおよびアルファ−低級アルキル−置換されたスチレンまたはそれらの混合物を包含するスチレン系単量体成分並びにアクリロニトリルおよびアルファ−低級アルキル−置換されたアクリロニトリルまたはそれらの混合物を包含するアクリロニトリル系単量体成分から本質的になる既知の重合体群である。低級アルキルは、メチル、エチル、イソプロピルおよびt−ブチル基により例示される炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を意味する。容易に入手可能なSAN重合体では、スチレン成分は一般的にスチレン、アルファ−直鎖状アルキル置換されたスチレン、典型的にはアルファ−メチル−スチレン、またはそれらの混合物であり、スチレンが好ましい。同様に容易に入手可能なSAN重合体では、アクリロニトリル成分は一般にアクリロニトリル、アルファ−メチル−アクリロニトリルまたはそれらの混合物であり、アクリロニトリルが好ましい。
【0104】
SAN重合体では、スチレン成分は主要重量割合で、すなわちスチレン成分およびアクリロニトリル成分の合計重量を基準として50%より多い、典型的には約65%〜約90%、特に約70%〜約80%、の重量割合で、存在する。アクリロニトリル成分は少量割合で、すなわちスチレン単量体成分およびアクリロニトリル単量体成分の合計重量を基準として50%より少ない、典型的には約10%〜約35%、特に約20%〜30%、の重量割合で、存在する。
【0105】
SAN重合体種は1976年10月26日に発行されたR. E. Gallagherの米国特許第3,988,393号明細書(特に9欄14−16行および請求項8中)に、"Whittington's Dictionary of Plastics", Technomic Publishing Co., First Edition, 1968, page 231に"Styrene-Acrylonitrile Copolymers (SAN)"の標題で、そしてR. B. Seymour,"Introduction to Polymer Chemistry", McGraw-Hill, Inc., 1971, page 200(最後の2行)〜page 201(第1行)にさらに特に同定されそして記述されている。スチレンおよびアクリロニトリルの共重合によるSAN重合体の製造は"Encyclopedia of Polymer Science and Technology", John Wiley and Sons, Inc., Vol. 1, 1964, pages 425-435にさらに特に記述されている。
【0106】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十二の態様によると、架橋結合されていないランダムSAN−重合体の数平均分子量は30,000〜100,000であり、32,000〜80,000が好ましく、35,000〜70,000が特に好ましくそして40,000〜60,000が特別に好ましい。典型的なSAN−重合体は45,000〜60,000の数平均分子量および1.2〜2.5の重合体分散度(M/M)を有する。
【0107】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十三の態様によると、架橋結合されていないランダムSAN−重合体の重量平均分子量は50,000〜200,000の範囲内、好ましくは75,000〜150,000の範囲内、である。
【0108】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十四の態様によると、分散されたSAN−重合体は10μmまたはそれより小さい数平均粒子寸法を有し、5μmまたはそれより小さい数平均粒子寸法が好ましく、2.5μmまたはそれより小さい数平均粒子寸法が特に好ましく、そして1.5μmまたはそれより小さい数平均粒子寸法が格別に好ましい。分散されたSAN−重合体の粒子寸法が小さければ小さいほど、不透明度は高くなる。
【0109】
無機不透明化顔料
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第三十五の態様によると、無機不透明化顔料の濃度は0.1重量%であり、1重量%が好ましい。本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第三十六の態様によると、無機不透明化顔料は10重量%の濃度で存在し、3重量%が好ましい。
【0110】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第三十七の態様によると、フィルムはそれぞれが2.0より小さい屈折率を有する10重量%の無機不透明化顔料を含んでなり、3重量%が好ましい。
【0111】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第三十八の態様によると、フィルムはそれぞれが少なくとも1.5の屈折率を有する10重量%の無機不透明化顔料を含んでなる。
【0112】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第三十九の態様によると、フィルムは0.1〜10μmの間の数平均粒子寸法を有する無機不透明化顔料をさらに含んでなり、0.2〜2μmが好ましくそして0.2〜1μmが特に好ましい。
【0113】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十の態様によると、フィルムはシリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、燐酸アルミニウムおよびクレー類よりなる群から選択される無機不透明化顔料をさらに含んでなる。二酸化チタンはアナターゼまたはルチル形態を有することができそして酸化アルミナおよび/または二酸化珪素により安定化させうる。燐酸アルミニウムは非晶質中空顔料、例えばブンゲ(BUNGE)からのBiphorTM 顔料、でありうる。
【0114】
これらの顔料の屈折率は以下の表に示される:
【0115】
【表2】

【0116】
無機不透明化顔料の添加はポリエステルの配向を安定化させる利点を有するため、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムは175℃の温度において非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの不透明度に実質的に影響を与えずに安定化されうる。無機不透明化顔料、例えばBaSOまたはTiO、の存在なしには、非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの不透明度の一部の犠牲によってのみ、ポリエステルの熱定着が可能である。さらに、2.0より小さい屈折率を有する顔料、例えばBaSO、はそれら自体では顔料と重合体マトリックスの間の小さい屈折率の差異のために実質的な不透明度を与えない。
【0117】
重合体フィルム中に分散された二酸化チタン粒子はそれら自体ではフィルムの延伸時に微孔形成を誘発しないことが見出されていた。
【0118】
白化剤
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムの第四十一の態様によると、白化剤の濃度は0.5重量%であり、0.1重量%が好ましく、0.05重量%が特に好ましく、0.035重量%が特別に好ましい。
【0119】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十二の態様によると、フィルムはビス−ベンゾキサゾール類、例えばビス−ベンゾキサゾリル−スチルベン類およびビス−ベンゾキサゾリル−チオフェン類;ベンゾトリアゾール−フェニルクマリン類;ナフトトリアゾール−フェニルクマリン類;トリアジン−フェニルクマリン類およびビス(スチリル)ビフェニル類よりなる群から選択される白化剤をさらに含んでなる。
【0120】
適当な白化剤は以下のものである:
【0121】
【表3】

【0122】
難燃剤
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十三の態様によると、フィルムは難燃剤をさらに含んでなる。
【0123】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十四の態様によると、フィルムは臭素化された化合物、有機燐化合物;メラミン;メラミン−誘導体、例えばホウ酸、シアヌル酸、燐酸またはピロ/ポリ−燐酸の如き有機もしくは無機酸とのメラミン塩類、並びにメラミン同族体、例えばメラム、メレムおよびメロン;金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム;ポリ燐酸アンモニウム類並びに例えばxZnO.yB.zHO、例えば2ZnO.3B.3.5HO、の組成を有するホウ酸亜鉛よりなる群から選択される難燃剤をさらに含んでなる。
【0124】
適当な難燃剤は以下のものを包含する:
【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
酸化防止剤
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十五の態様によると、フィルムは酸化防止剤をさらに含んでなる。
【0128】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十六の態様によると、フィルムは有機錫誘導体、立体障害フェノール類、立体障害フェノール誘導体およびホスファイト類よりなる群から選択される酸化防止剤をさらに含んでなる。
【0129】
適当な難燃剤は以下のものを包含する:
【0130】
【表6】

【0131】
光安定剤
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十七の態様によると、フィルムは光安定剤をさらに含んでなる。
【0132】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十八の態様によると、フィルムは障害アミン光安定剤をさらに含んでなる。
【0133】
適当な光安定剤は以下のものを包含する:
【0134】
【表7】

【0135】
紫外線吸収剤
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第四十九の態様によると、フィルムは紫外線吸収剤をさらに含んでなる。
【0136】
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの第五十の態様によると、フィルムはベンゾトリアゾール誘導体およびトリアジン誘導体よりなる群から選択される紫外線吸収剤をさらに含んでなる。
【0137】
適当な紫外線吸収剤は以下のものを包含する:
【0138】
【表8】

【0139】
像記録要素
本発明の局面は本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを含んでなる像記録要素によっても実現される。
【0140】
本発明に従う像記録要素の第一の態様によると、像は非写真像である。
【0141】
本発明に従う像記録要素の第二の態様によると、フィルムには少なくとも一面に透明な
重複印刷可能層、すなわち衝撃および非衝撃印刷用のもの、が付与される。
【0142】
本発明に従う像記録要素の第三の態様によると、フィルムには少なくとも一面に非透明な重複印刷可能層、すなわち少なくとも1種の衝撃および非衝撃印刷技術に適するもの、が付与される。
【0143】
本発明に従う像記録要素の第四の態様によると、フィルムには少なくとも一面に非透明な透明化可能な重複印刷可能層、すなわち少なくとも1種の衝撃および非衝撃印刷技術に適するもの、が付与される。
【0144】
本発明に従う像記録要素の第五の態様によると、フィルムには少なくとも一面にインキ−ジェット受容層に付与される。典型的な受容層は水性もしくは溶媒インキまたはペーストの場合には急速な接触乾燥を可能にするために多孔性であるか或いは相−変化インキまたは硬化性インキ、例えば放射線硬化性インキ、の場合には非多孔性である。多孔性受容層は典型的には少なくとも1種の顔料、例えばシリカまたはアルミナ;少なくとも1種の結合剤、例えばスチレン−アクリレート−アクリル酸三元共重合体のアンモニウム塩;界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、例えば脂肪族スルホネート;場合により均染剤、例えばポリジメチルシロキサン;および場合により媒染剤を含んでなる。
【0145】
本発明に従う像記録要素の第六の態様によると、フィルムには少なくとも一面に像形成要素、例えば写真層、例えばハロゲン化銀乳剤層;フォトサーモグラフィー要素および実質的に不感光性のサーモグラフィー要素;並びに染料熱転写系の染料受容層が付与される。
【0146】
本発明に従う像記録要素の第七の態様によると、フィルムには少なくとも一面に、例えば鉛筆、ボールペンおよび万年筆を用いて、筆記可能な層が付与される。
【0147】
透明なパターンを得る方法
本発明の局面は、連続相線状ポリエステルマトリックスから本質的になり、内部に分散された架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を有する非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムに対する、場合により圧力の適用により補助されていてもよい熱の像通りの適用の段階を含んでなる透明なパターンを得る方法によっても実現され、ここで線状ポリエステルは少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジオールおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸から本質的になる単量体成分を有し、架橋結合されていないSAN−重合体対線状ポリエステルの重量比は3.0〜9.0の範囲内にありそしてここでSAN−重合体中のAN−単量体単位の濃度は18〜35重量%であり、3.0〜5.5の範囲内の架橋結合されていないSAN−重合体対線状ポリエステルの重量比が好ましい。
【0148】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第一の態様によると、フィルムは二軸延伸されたフィルムである。
【0149】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第二の態様によると、無機不透明化顔料の濃度は0.1重量%、好ましくは1重量%、である。
【0150】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第三の態様によると、白化剤の濃度は0.5重量%であり、0.1重量%が好ましく、0.05重量%が特に好ましく、0.035重量%が特別に好ましい。
【0151】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第四の態様によると、熱は加熱されたもしくは熱いスタンプ、熱ヘッド、加熱されたもしくは熱い棒またはレーザーにより適用される。加熱はフィルムの一面または両面から実施できる。本発明に従う透明なパターンを得る際に実現される釣り合いのとれた透明化はフィルム厚さの低下につれて増加し、100μmまたはそれ以下が好ましい。少なくとも0.4のまたは40%までの光学密度変化がフィルム厚さにおける有意な変化なしに容易に実現できる。さらに、本発明に従う透明なパターンを得る方法により実現される透明化効果は熱源により供給される熱、熱源とフィルムとの間の圧力および熱源が適用される時間の組み合わせから生ずる。熱は少なくとも1msにわたり連続的または不連続的に適用されなければならない。熱ヘッドを用いる加熱は単一の熱パルスであってもよいが、加熱要素の過熱を避けるためには複数の短い加熱パルスが好ましい。熱ヘッドが使用される時には箔が熱ヘッドと非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムとの間で加熱工程中に使用され、例えば6μm厚さのPET−フィルムを非透明な微孔形成されたフィルムと熱ヘッドとの間に挿入して起きうる熱ヘッドの汚染を防止することができる。熱ヘッドプリンター、例えばアグファ−ゲベルト(AGFA-GEVAERT)N.V.により供給されるDRYSTAR-プリンター、を使用して本発明の透明なパターンを例えば個人用のウォーターマークとして製造することができる。
【0152】
この透明化効果にはレリーフパターンが伴われ、それは接触により、すなわち触知方法で、そして光沢性における変化により、検出できる。このレリーフパターンは熱源の温度が高くなればなるほどより顕著となり、このエンボス効果は110℃および線状ポリエステルマトリックスの融点の間の温度に伴い増加する。熱スタンプを非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムに適用することにより得られる触知レリーフは熱ヘッドを用いて得られるものよりはるかに顕著である。
【0153】
実現される透明度はスタンプ/熱ヘッド印刷条件である時間、温度および圧力に依存する。材料の熱定着歴も重要である。非透明な微孔形成された軸延伸された自己支持性フィルムの加熱で誘発される透明化は例えばインキ−ジェット受容層の如き層の、場合による適用の前または後にそして透明化の前または後に行うことができる。支持体中の透明化された領域および透明度の相対的な関係は追加の安全手段として価値がありうる。
【0154】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第五の態様によると、熱は不連続的に適用される。
【0155】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第六の態様によると、透明な重複印刷可能層はフィルム上に熱の像通りの適用前に付与される。
【0156】
本発明に従う透明なパターンを得る方法の第七の態様によると、透明な重複印刷可能層はフィルム上に熱の像通りの適用後に付与される。
【0157】
工業用途
本発明に従う非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムは印刷および他の用途のための合成紙として、非写真像形成材料、例えば衝撃および非衝撃(例えば電子写真、エレクトログラフィーおよびインキジェット)受容材料、フォトサーモグラフィー記録材料、実質的に不感光性のサーモグラフィー記録材料、染料昇華印刷、熱転写印刷など、のための支持体として、安全および偽造防止用途において、例えばチケット、ラベル、タグ、およびIDカード、銀行カード、法的書類、銀行通帳および包装において使用することができ、そして包装内に一体化することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0158】
本発明を比較例および本発明の実施例により以下で説明する。これらの実施例に示される
百分率および比は断らない限り重量による。
支持体の乳剤側の下塗り層番号01:
【0159】
【表9】

【0160】
実施例で使用した成分:
ポリエステル:
【0161】
【表10】

【0162】
スチレン−アクリロニトリル共重合体:
【0163】
【表11】

【0164】
硫酸バリウム: NEOBRK/renol white、50重量%の硫酸バリウムおよび50重量%のポリエステルを含有するクラリアント(CLARIANT)GmbHからのマスターバッチ
二酸化チタン: Renol-white/PTX506、65重量%のTiOおよび35重量%のポリエステルを含有するクラリアントGmbHからのマスターバッチ
【比較例1〜3】
【0165】
比較例1〜3のフィルムを製造する際に使用される押し出し物を製造するために使用されるPET-タイプおよびSAN-タイプは表1に示される。表3に示されている重量百分率のPET、SAN、TiOおよびUVITEX OB-oneを混合しそして次に150℃において4時間にわたり真空(<100ミリバール)下で乾燥し、混合物を次にPET-押し出し器の中で溶融しそしてシートダイを通して押し出しそして冷却して比較例1〜3の押し出し物を製造した。
【0166】
【表12】

【0167】
比較例1〜3の押し出し物を次にインストロン(INSTRON)装置を用いて縦延伸し、そこでは押し出し物を装置上に設置されたオーブン中で表2に示された条件下で加熱した。
【0168】
【表13】

【0169】
縦延伸されたフィルム上で横延伸を次に30秒間の延伸時間および1000%/分の延伸速度で表3に示された条件下で行った。最後に、フィルムを175℃において1分間にわたり熱定着させて比較例1/LS1、2/LS2および3/LS3の実質的に不透明なフィルムを与えた。
【0170】
比較例1/LS1/BS1、2/LS2/BS1および3/LS3/BS1のフィルムの光学密度を透過方式で可視フィルターを装備したマクベスTR924デンシトメーターを用いて測定しそして結果は表3に示される。
【0171】
【表14】

【0172】
比較例1/LS1/BS、2/LS2/BSおよび3/LS3/BSのフィルムをインストロン4411装置の中にそれぞれ設置しそして120〜190℃の間の種々の温度に5秒間にわたりハンダゴテを用いて0.5 N/mmの圧力でフィルムと接触する上部クランプの中で加熱した。試験後のフィルムの光学密度を透過方式で可視フィルターを装備したマクベスTR924デンシトメーターを用いて測定しそしてフィルム厚さも測定した。結果はそれぞれ以下の表4および5にまとめられている。
【0173】
【表15】

【0174】
【表16】

【0175】
実験誤差内で比較例1/LS1/BS、2/LS2/BSおよび3/LS3/BSのフィルムの加熱で透明化は観察されなかった。これは分散されたSAN-重合体粒子の不存在下では二酸化チタンを含有するフィルムの透明化がないこと、すなわち微孔形成がないこと、を示す。
【比較例4】
【0176】
2重量%の二酸化チタン、100ppmのUVITEX OB-oneおよび98重量%のPET02の組成を有する比較例4の1083μm厚さの押し出し物を実施例1〜58に関して記載された通りにして製造しそしてマクベスTR924デンシトメーター中で透過方式で1.35の可視フィルターを用いて測定された光学密度を有していた。押し出し物を比較例1〜3に記載された通りにして表6に示された条件下で長さ方向に延伸した。上表面を16の異なる位置で0.8Nの測定力において1μmの解像力、2μmの精度および直径が3mmの接触球のソニー(SONY)U30A厚さゲージを用いて接触させることにより得られた測定値を平均化することにより厚さ値を測定した。
【0177】
【表17】

【0178】
縦延伸されたフィルム上で横延伸を次に30秒間の延伸時間および1000% /分の延伸速度で表7に示された条件下で行った。測定された厚さおよびマクベスTR924デンシトメーター中で透過方式で可視フィルターを用いて測定された光学密度も表7に示されている。
【0179】
【表18】

【0180】
二軸延伸時の孔形成からの光学密度に対する寄与が比較例1〜3から見られたように比較例4の組成物に関しては見られないため、フィルム厚さに対する光学密度の寄与度を使用して二軸延伸時に孔を形成する2重量%の同じ二酸化チタン顔料を有する芳香族ポリエ
ステル類に基づくこれらの組成物に関する光学密度に対する孔−形成の寄与度を評価する基準を与えることができる。
【0181】
ビアー−ランベルト(Beer-Lambert)関係は例えば二酸化チタンの如き光散乱性顔料を有する顔料着色されたフィルムに関しては適用されない。フィルム厚さが散乱光の平均的な自由通過−長さより小さい場合には、光はそうでなければ光が逃げないであろう散乱後に逃げるであろうしそして実際にフィルム厚さに対する光学密度の準指数関数的依存性を与えるさらなる散乱光を妨害するであろう。状況はあまりに複雑であるため理論的に記述することはできずそしてその結果として唯一の可能な方式は特定のフィルム厚さにおいて観察された実際の光学密度を測定することである。上記の光学密度は層厚さ範囲1084〜120μmにおけるフィルム厚さの対数に対してかなりの近似性で線状依存性であるようであり、以下の関係:
OD = 0.891 log [厚さ、μm] − 1.3727
を与える。この関係はフィルム厚さの関数として使用される二酸化チタン顔料の2重量%濃度に起因する光学密度を与える。
【0182】
実施例1〜7
表8にある成分を表8に示された割合で混合しそして次に混合物を150℃において4時間にわたり真空(<100ミリバール)下で乾燥し、PET-押し出し器の中で溶融し、シートダイを通して押し出しそして冷却することにより、全てが2重量%の二酸化チタンおよび15重量%のSAN06を有する実施例1〜7の約1100μm厚さの押し出し物を製造して、表8にネオペンチレン単位のモル%と共にまとめられている実施例1〜7の押し出し物を製造した。
【0183】
【表19】

【0184】
長さ方向における延伸をそれぞれの押し出し物に関して比較例1〜3に記述された通りにして表9に示された条件下で行った。予測された厚さは孔が形成されなかったフィルムに関して観察された押し出し物厚さおよび長さを基準とした厚さである。
【0185】
【表20】

【0186】
長さ方向に延伸されたフィルム上で横延伸を次に30秒間の延伸時間および1000%/分の延伸速度で表10に示される条件下で行った。測定された厚さ、予測された厚さ、すなわち押し出し物厚さを基準として孔−形成がない場合の厚さ、縦延伸比および横延伸比、マクベスTR924デンシトメーター中で透過方式で可視フィルターを用いて測定された光学密度、予測された光学密度、並びに観察された光学密度と芳香族ポリエステルにより予測される光学密度との間の差異であるΔODも表10に示される。
【0187】
【表21】

【0188】
表10中の結果は非常に実質的な不透明化を明らかに示しており、実現された光学密度の69%がPETおよびPETGの配合物のマトリックスを用いる孔−形成による。
【0189】
孔−形成の存在は本発明の実施例の二軸延伸されたフィルムである1/LS1/BS1、2/LS1/BS2、3/LS1/BS1、5/LS1/BS1および6/LS1/BS1に関して、フィルムをインストロン4411装置中で挟みそしてフィルムをハンダゴテと5秒間にわたり種々の温度において接触させる時のフィルム厚さおよび光学密度における変化を観察することにより、示された。これらの実験の結果は表11に示される。
【0190】
【表22】

【0191】
本発明の実施例1/LS1/BS1のフィルムに関する0.413から本発明の実施例6/LS1/BS1のフィルムに関する0.654まで変動する170℃における光学密度における減少は41.6ないし61.7%に相当する。光学密度におけるこれらの減少には層厚さにおける16ないし47.7%の減少が伴われた。これらの結果は15重量%のSAN 06および2重量%のTiOを有するポリエステル層の透明化による0.654までの光学密度における大きな減少を示す。
【0192】
実施例8〜13
表12にある成分を表12に示された割合で混合しそして次に混合物を150℃において4時間にわたり真空(<100ミリバール)下で乾燥し、PET-押し出し器の中で溶融し、シートダイを通して押し出しそして冷却することにより、全てが2重量%の二酸化チタンおよび15重量%のSAN06を有する実施例8〜13の約1100μm厚さの押し出し物を製造して、表12にまとめられている実施例8〜13の押し出し物を製造した。
【0193】
【表23】

【0194】
長さ方向における延伸をそれぞれの押し出し物に関して比較例1〜3に記述された通りにして表13に示される条件下で行った。予測された厚さは孔が形成されなかったフィルムに関して観察されたような押し出し物厚さおよび長さを基準とする厚さである。
【0195】
【表24】

【0196】
長さ方向に延伸されたフィルム上で横延伸を次に30秒間の延伸時間および1000%/分の延伸速度で表14に示される条件下で行った。測定された厚さ、予測された厚さ、すなわち押し出し物厚さを基準として孔−形成がない場合の厚さ、縦延伸比および横延伸比、マクベスTR924デンシトメーター中で透過方式で可視フィルターを用いて測定された光学密度、予測された光学密度、並びに観察された光学密度と芳香族ポリエステルにより予測される光学密度との間の差異であるΔOD、並びにハンターラブ(Hunterlab)装置を用いてASTM D589 C/2°に従い測定された不透明度も表14に示される。
【0197】
【表25】

【0198】
表14にある結果は非常に実質的な不透明化を明らかに示しており、不透明度測定はX-riteデンシトメーターで得られた光学密度測定値に概略相当する。
【0199】
本発明はここに暗示的にまたは明瞭に開示されたいずれかの特徴または特徴の組み合わせ或いはそれがここに特許請求された発明に関するかどうかに関係なくいずれかの一般概念も包含しうる。以上の記述に鑑みて、種々の改変を発明の範囲内で行えることは当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相線状ポリエステルマトリックスより本質的になり、内部に分散された架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに内部に分散または溶解された無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を有するフィルムであって、ここで該フィルムが白色であり、微孔形成されており、非透明性でありそして軸延伸されており、該線状ポリエステルマトリックスが少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジオールおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸より本質的になる単量体単位を有し、該線状ポリエステル対該架橋結合されていないSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、そして該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択されるフィルム。
【請求項2】
該フィルムが二軸延伸されたフィルムである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
無機不透明化顔料の濃度が0.1重量%である、請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の20モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
該SAN−重合体中のAN−単量体単位の濃度が15〜35重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
【請求項6】
該線状ポリエステル対該架橋結合されていないSAN−重合体の該重量比が2.7:1〜9.0:1の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
合成紙としてまたはその中での請求項1〜6のいずれかに記載のフィルムの使用。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のフィルムを含んでなる像記録要素。
【請求項9】
該像が非写真像である、請求項8に記載の像記録要素。
【請求項10】
該フィルムに少なくとも一面上に重複印刷可能層が付与される、請求項8に記載の像記録要素。
【請求項11】
該フィルムに少なくとも一面上に非透明な透明化可能な重複可能層が付与される、請求項8に記載の像記録要素。
【請求項12】
該フィルムに少なくとも一面上にインキ−ジェット受容層が付与される、請求項8〜11のいずれかに記載の像記録要素。
【請求項13】
該フィルムに少なくとも一面上に像形成層が付与される、請求項8〜12のいずれかに記載の像記録要素。
【請求項14】
該フィルムに少なくとも一面上に筆記可能層が付与される、請求項8〜13のいずれかに記載の像記録要素。
【請求項15】
非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムを製造する方法であって、i)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジオールおよび場合により少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸より本質的になる単量体単位を有する少なくとも1種の線状ポリエステル、架橋結合されていないランダムSAN−重合体並びに無機不透明化顔料、白化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤および難燃剤よりなる成分群からの少なくとも1種の成分を混練器または押し出し器の中で混合してポリエステルマトリックス中に該架橋結合されていないランダムSAN−重合体を含んでなる混合物を製造し、ii)段階i)で製造された混合物を厚いフィルムに形成し、引き続きクエンチし、そしてiii)該厚いフィルムを>2.5N/mmの延伸張力において該SAN−重合体のガラス転移温度と該線状ポリエステルのガラス転移温度との間の温度において最初の長さの少なくとも2倍に延伸する段階を含んでなり、ここで該ポリエステルマトリックス対該架橋結合されていないランダムSAN−重合体の重量比が2.0:1〜19.0:1の範囲内であり、そして該少なくとも1種の脂肪族ジメチレン単量体単位の1種が全ての脂肪族ジメチレン単量体単位の30モル%もしくはそれより少ない濃度のネオペンチレンおよび1,4−シクロヘキサンジメチレンよりなる群から選択される方法。
【請求項16】
該方法が段階(iv)該フィルムを第一の延伸工程に対して実質的に90°の角度で>2.5N/mmの延伸張力において該SAN−重合体のガラス転移温度と線状ポリエステルのガラス転移温度との間の温度において最初の長さの少なくとも2倍にさらに延伸する工程にかけるさらなる段階を含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
段階iv)が120℃またはそれより低いフィルム温度において行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
段階iii)およびiv)が同時に行われる、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
該少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸単量体単位の少なくとも1種がイソフタル酸でありそして該イソフタル酸が該ポリエステルマトリックス中に該線状ポリエステルマトリックス中の全てのジカルボン酸単量体単位の15モル%またはそれより少ない濃度で存在する、請求項15〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれかに記載の非透明な微孔形成された軸延伸されたフィルムに対する、場合により圧力の適用により補助されていてもよい、熱の像通りの適用の段階を含んでなる透明なパターンを得る方法。

【公表番号】特表2010−522787(P2010−522787A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500252(P2010−500252)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053517
【国際公開番号】WO2008/116869
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509267959)
【Fターム(参考)】