説明

非鉄道車両用安全装置

本発明は、監視装置(24)を具備する、特に非鉄道車両(9)用の、安全装置(20、40)に関する。前記監視装置は、危険領域(15)と、さらに車両(9)側から見ると危険領域(15)の反対側にあり、前記危険領域(15)と隣接する、道路領域(16)とを監視する。監視装置は、危険領域(15)及び/又は道路領域(16)の障害物(32)を検出するものである。出力信号は、危険領域(15)の完走を妨げる障害物(32)が検出されると生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険領域の障害物を検出するために危険領域を監視し、障害物が危険領域で検出されると出力信号をもたらす監視装置を有する、特に、非鉄道車両用、安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような安全装置は特許文献1に記載されている。この状況において、鉄道の踏切によって形成される危険領域は、例えば、光電バリヤなどの適当なセンサによって監視される。故障した道路車両がその踏切を封鎖するようなことが起こった場合、接近してくる列車は、緊急停止を実行する。
【0003】
この知られている安全装置を用いると、封鎖された危険領域は、それで検出され、列車は、事故を回避するために制動される。危険な状況、特に鉄道の踏切が封鎖されることを阻止できないことがここでは欠点となる。危険な状況が起こった場合にだけ深刻な影響を回避する対策がとられる。
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第44 34 789 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包括的なタイプのこの安全装置を出発点とし、本発明の目的は、危険状況それ自体が回避されるような安全装置に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は本発明により達成され、ここでは、監視装置は、車両側から見て危険領域の反対側に位置し、危険領域と隣接している道路領域を、障害物に対し、追加的に監視し、危険領域を完走することを妨げる障害物が検出された場合に出力信号をもたらす。
【0007】
その結果、危険領域それ自体だけでなく危険領域と隣接する道路領域も監視されて危険領域又は道路領域のいずれかが障害物で封鎖されているかが判定される。この場合には、車両が危険領域を完走することは不可能である。この場合、出力信号がもたらされる。危険状況の発生は、車両が危険領域を完走できない場合には出力信号がすでにもたらされているので危険領域を閉鎖することで効果的に回避できる。これは、車両が危険領域に侵入することを防止する可能な方法となる。例えば、鉄道の踏切のような危険領域における交通の安全性はこのように著しく高められる。
【0008】
本発明による安全装置の有利な実施形態は従属請求項から明らかとなる。
【0009】
監視装置は、特に、例えば、カメラ配置構成のような光学センサ装置を有すると好都合である。危険領域及び道路領域は、センサ装置又はカメラ配置構成によって容易に監視される。像を形成するセンサ装置が使用されると、車両の運転者に追加の交通情報を提供するために、記録された像をその運転者に表示して見せることができる。
【0010】
安全装置は、移動可能な安全装置として具化され、車両内に配備されても良い。このことにより、車両は他の装置に頼る必要が無く、したがって、独立しているという利点を有する。
【0011】
あるいは、危険領域の近くに監視装置の少なくとも一部を固定して配置することも可能である。この状況において、例えば、危険領域の近くにセンサ装置を固定して設置することが可能となる。この実施形態において、車両を改修する費用が低減される。センサ装置を各車両に装備する必要がなく、別の装置として危険領域の近くに設置できる。これも車両のコスト及び重量を減少させる。
【0012】
監視装置は、被監視空間内の障害物を検出するためにセンサ装置のセンサ信号を受信し、評価する評価装置を有することができる。センサ装置が、像を出力するセンサ装置、例えばカメラ配置構成として具化される場合、評価装置は、記録された像を評価して障害物が危険領域及び道路領域によって形成された被監視空間内に存在し、危険領域の完走を妨げるかどうかを判定するために知られている画像処理法を使用することができる。したがって、このような既知の処理法に頼ることも可能である。
【0013】
視覚的及び/又は聴覚的及び/又は触覚的表示手段によって運転者に表示できる運転者警告は、監視装置の出力信号によって都合良く発動される。運転者には情報が提供されるので、運転者は、適切に反応でき、例えば、車両が危険領域に侵入する前に車両を制動できる。
【0014】
これに代わるか又は加えて、車両が危険領域に侵入する前に車両が停止状態となるように出力信号が車両の自動制動動作を始動させるならば好都合である。この実施形態において、運転者の注意力又は反応に関係なく安全装置それ自体によって危険領域への侵入を阻止することができる。
【0015】
安全装置の例示的実施形態を、添付図面を参照してより詳細に以下で説明する。図1は、安全装置の第1及び第2の実施形態の、危険領域の近くの概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図は、道路6と鉄道車両7との間の交差領域5の概略平面図である。道路6は、車両9の走行方向8に見て、車両9の走行方向8とは逆方向の走行用に提供されている第2の車線12から車線マーク表示11によって分離されている第1の車線10を有する。
【0017】
レール7と道路6の第1の車線10とが交差する領域は、この領域において、第1の車線10上の車両9とレール7上を走行する鉄道車両との間で衝突が起こる可能性があるので、危険領域15を構成する。
【0018】
危険領域15は、車両9の走行方向8に対し横方向に見たその幅がほぼ第1の車線10の幅に相当し、車両9の走行方向8に見たその長さが少なくとも1台の車両長に相当する道路領域16と、車両9の走行方向8に見て、隣接している。セミトレーラ又はトレーラ付きローリなど比較的長い車両も車両9として可能であり、道路領域16の長さが、したがって、それに応じて選択されるべきであることはここでは留意されるべきである。危険領域15及び道路領域16は、以下で説明する安全装置によって監視される被監視領域17を形成する。
【0019】
走行方向8に走行し、第1の車線10に位置する車両9は、第1の安全装置20を有する。第1の安全装置20は、カメラ21によって形成され、記録された像に対応するセンサ信号を発生し、その信号を評価装置23に送るセンサ装置22を包含する。センサ装置22及び評価装置23は、第1の安全装置20の監視装置24の構成要素である。
【0020】
図に示されるように、評価装置23は、例えば表示手段26に、及び車両9のブレーキ装置28のブレーキ制御装置27に接続される。ブレーキ制御装置27は、ホイールブレーキ装置29を作動させるために使用される。
【0021】
第1の安全装置20の動作についての方法を以下で説明する。
【0022】
車両9が第1の車線10の危険領域15に接近する場合、危険領域15により、及び道路領域16により形成された被監視空間17の像は、カメラ21によって継続的又は周期的に記録され、センサ信号の形式で評価装置23に送られる。危険領域15の検出は、画像処理法によって評価装置23内で実行される。例えば、危険領域15を特徴付ける特徴は、記録された像内で検出できるので、危険領域15への車両9の接近を推測することが可能となる。このような特徴は、例えば、交通信号や側道の警告標識である。例として示された鉄道の踏切の場合、鉄道の柵、レール7などを独特の特徴として使用することも可能である。
【0023】
さらに、評価装置23は、センサ信号を評価して被監視空間17に障害物32があるかを判定する。障害物32が危険領域15にも道路領域16にも検出されなかった場合、危険領域15を車両9によって完走できることがそれから推測されるので、評価装置23は出力信号をもたらさない。
【0024】
図で示された状況において、他の車両によって形成される障害物32は道路領域16に位置する。カメラ21によって経時順に記録された像のおかげで、障害物32が移動する障害物であるか又は静止障害物であるかを評価装置23で推測することが可能となる。障害物32は所定時間中移動しないか、又は僅かしか移動しないと検出された場合、車両9が危険領域15を完走することは可能でなく、評価装置23は出力信号をもたらす。
【0025】
例えば、評価装置23によってもたらされる出力信号は、第1の安全装置20の多段反応をもたらす。車両9に設けられた表示手段26は、交通状況を運転者に認識させ、これは視覚的及び/又は聴覚的及び/又は触覚的に行われる。運転者が所定反応時間内に反応しない場合、評価装置23は、制動制御装置27によって運転者から独立している自動制動動作を始動する。車両の減速又はホイールブレーキ装置29のブレーキ圧力又は制動力は、車両9が危険領域15に侵入する前にそれが停止状態となるようにここでは選択される。
【0026】
運転者制御操作活動は、運転者が表示手段26による警告の発動中に反応するかを検出するために使用できる。例えば、運転者による反応は、車両の1つ又はそれ以上のペダル又はハンドルが作動されるかで推測される。この場合、運転者から独立している自動制動動作は行われない。
【0027】
車両のホイールブレーキ装置29は、車両9が完全に停止状態になる場合、又は危険領域15を完走する可能性が第1の安全装置20によって検出される場合、自動制動動作が実行された後に再び使用可能状態になる。
【0028】
図は、第2の安全装置40と称される本発明による安全装置の他の実施形態をも示す。第1の安全装置20とは対照的に、センサ装置22は、第1のカメラ42と第2のカメラ43とを有するカメラ配置構成41によって形成される。例えば、第1のカメラ42は危険領域15の監視用に設けられ、第2のカメラ43は道路領域16の監視用に設けられる。カメラ配置構成41は、評価装置23’に接続され、続いて送信機44に接続される。第2の安全装置40は、中央安全装置として固定した状態で具化される。動作の方法は、上述の第1の安全装置20の動作の方法に対応する。第1の安全装置20と対照的に、第2の安全装置40の評価装置23’の出力信号は、この実施形態の変形では、表示手段26及びブレーキ制御装置27に接続される受信機(詳細に図示せず)を有する車両9に送信機44を介して伝送される。センサ装置22及び評価装置23’は、第2の安全装置40内に集中させて固定した状態で具化されるので、これらの装置を車両9に装備しなくても済む。
【0029】
上述の実施形態の変形において、評価装置23、23’は、障害物32が、危険領域15でも道路領域16でも検出されなかった場合に信号を発生させることもできる。例えば、進行信号と、称されるこの信号は、出力信号に対する相補的構造のものであるので、出力信号が、例えば、論理1に対応し、進行信号が論理ゼロに対応する。第1の安全装置20では、カメラ配置構成に、1台のカメラ21の代わりに、複数のカメラを提供することも可能である。
【0030】
さらに、他のセンサ、例えばレーダセンサをカメラの代わりに使用することも可能である。センサ装置22は、一定のセンサタイプの物理的欠点を補うために多様な物理的測定原理に基づくセンサを有することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】安全装置の第1及び第2の実施形態の、危険領域の近くの概略平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険領域(15)内の障害物(32)を検出するために該危険領域(15)を監視し、該危険領域(15)内に障害物(32)が検出された場合に出力信号をもたらす監視装置(24)を有する、非鉄道車両(9)用の安全装置であって、
前記監視装置(24)は、障害物(32)に対し、車両(9)から見て前記危険領域(15)の反対側に位置し、前記危険領域(15)と隣接している道路領域(16)をさらに監視し、前記危険領域(15)を完走することを妨げる障害物(32)が検出された場合に出力信号をもたらすことを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記監視装置(24)は、光学センサ装置(22)を有することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記センサ装置は、カメラ配置構成(41)によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
車両(9)内に配置構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項5】
前記監視装置(24)の少なくとも一部は前記危険領域(15)の近くに固定して配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項6】
前記センサ装置(22、41)は、前記危険領域の近くに固定して配置されることを特徴とする請求項2あるいは3と併せて請求項5に記載の安全装置。
【請求項7】
前記監視装置(24)は、前記被監視空間(15、16)の障害物(32)を検出するために前記センサ装置(22)のセンサ信号を受信し、評価する評価装置(23、23’)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記監視装置(24)によってもたらされる前記出力信号は、表示手段(26)を使用して運転者警告を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項9】
前記監視装置(24)によってもたらされる前記出力信号は、前記車両(9)が前記危険領域(15)に侵入する前にそれが停止状態となるように前記車両(9)の自動制動動作を始動することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の安全装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険領域(15)又は道路領域(16)内の障害物(32)を検出するために、前記危険領域(15)と、非鉄道車両(9)から見て前記危険領域(15)の反対側に位置し、前記危険領域(15)と隣接する、前記道路領域(16)とを監視する監視装置(24)を有する、非鉄道車両(9)用の安全装置であって、
前記道路領域の長さは、車両(9)の走行方向(8)から見て少なくとも1台の車両長に相当すること、及び前記監視装置(24)は、前記危険領域(15)を完走することを妨げる障害物(32)が検出された場合に前記危険領域(15)への侵入を阻止するために出力信号を発生させることを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記監視装置(24)は、光学センサ装置(22)を有することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記センサ装置は、カメラ配置構成(41)によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
車両(9)内に配置構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項5】
前記監視装置(24)の少なくとも一部は前記危険領域(15)の近くに固定して配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項6】
前記センサ装置(22、41)は、前記危険領域の近くに固定して配置されることを特徴とする請求項2あるいは3と併せて請求項5に記載の安全装置。
【請求項7】
前記監視装置(24)は、前記被監視空間(15、16)の障害物(32)を検出するために前記センサ装置(22)のセンサ信号を受信し、評価する評価装置(23、23’)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記監視装置(24)によってもたらされる前記出力信号は、表示手段(26)を使用して運転者警告を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項9】
前記監視装置(24)によってもたらされる前記出力信号は、前記車両(9)が前記危険領域(15)に侵入する前にそれが停止状態となるように前記車両(9)の自動制動動作を始動することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の安全装置。

【図1】
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【公表番号】特表2006−521589(P2006−521589A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557868(P2004−557868)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011743
【国際公開番号】WO2004/053813
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】