面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法及び作業結果管理装置
【課題】ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部又は外壁の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置を提供する。
【解決手段】面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、該側壁に略平行且つ位置座標が既知である同一直線上にない3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、前記同一直線上にない3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する
【解決手段】面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、該側壁に略平行且つ位置座標が既知である同一直線上にない3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、前記同一直線上にない3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面で囲まれる空間内部又は外壁の保守検査などの作業に用いられる作業位置特定方法及び作業結果管理装置に関するものであり、特に大型タンク、ボイラ火炉等の内部に作業者が入って保守検査等の作業を行う場合に、作業者の居場所あるいは検査位置を特定するための位置特定方法、及び保守検査結果を位置情報とともに管理する点検結果管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電所で用いられるボイラ火炉は、製作時及び運転開始後定期的に開放し、内部に作業者が入り保守検査を行う必要がある。保守検査時には、検査箇所を明確にする必要があるが、ボイラ火炉は容量が大きく目視で検査箇所を正確に把握することは困難である。
そこで従来、検査箇所の高さ位置及び左右位置を巻尺等を用いて測定することで作業者の居場所即ち保守検査位置を把握していたが、この方法では位置の把握に多大な時間と人手を要するとともに、間違いが生じる可能性がある。
【0003】
そこで、三次元測位システムといわれる方法を用いて位置を特定することが考えられる。これは、3点以上の位置座標既知の位置から位置を特定しようとする点への距離を、音波を用いてその伝播速度と伝播時間から算出し、その距離を用いて位置を特定するものであり、このような三次元測位システムは例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。また音波に代えてレーザ光を用いて位置を特定する三次元測位システムが例えば特許文献3に開示されている。
【0004】
従来の三次元測位システムを用いてボイラ火炉内の保守検査位置を特定する場合について図14及び図15を用いて説明する。
図14はボイラ火炉を表す斜視図である。ボイラ火炉101は、図14に示すように外壁近傍に多くの配管102が取り付けられており、また内部に燃料を燃焼するための燃焼室103を有し、内壁面に沿って蒸発管が設置されている。
このようなボイラ火炉101の運転を停止し、内部に作業者が入り前記蒸発管の減肉、腐食状態の検査を行う際には、前記三次元測位システムを用いて検査箇所を特定する必要がある。図15を用いて詳細に説明する。
【0005】
図15はボイラ火炉101内の位置を特定する従来の方法を説明するための模式図である。
図15において、101は模式的に示したボイラ火炉である。ボイラ火炉101内のある点Aの位置を特定する場合、まずボイラ火炉101内の位置座標が既知である3点の基準位置R101、R102、R103に電波及び音波を受信可能な受波器を設置する。その後、点Aから電波及び音波を同時に発信し、前記3点の基準位置R101、R102、R103に配置した受波器それぞれで前記電波と音波の到達時間差を計測し、該到達時間差と音速を用いて位置Aとそれぞれの基準位置R101、R102、R103との間の距離L101、L102、L103を算出し、該距離L101、L102、L103と基準位置R101、R102、R103の位置座標を用いて点Aの位置を特定する。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−266376号公報
【特許文献2】特開2004−108978号広報
【特許文献3】特開平3−251706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記3点の基準位置R101、R102、R103によって形成される平面に対して点Aと対称な点A´から、前記3点の基準位置R101、R102、R103への距離L101´、L102´、L103´は、それぞれL101=L101´、L102=L102´、L103=L103´が成り立つ。
即ち、3点の基準位置R101、R102、R103からの距離がそれぞれL101、L102、L103となる点は、前記3点の基準位置R101、R102、R103によって形成される平面に対して対称な位置に2箇所(A、A´)存在するということである。図15に示した点A´に相当する位置がボイラ火炉101外であれば、A´に相当する位置は点Aの候補から除外することができるため、点Aを特定することができるが、図15に示したように点A´がボイラ火炉101内である場合には、点Aの位置を特定することができない。
【0008】
特許文献1では、3点の基準位置によって形成される平面に対して、特定する点がどちらの方向に位置するか分かった状態で位置特定を行っているため、3点の基準位置によって形成される平面に対して特定する点と対称な位置にある点を考慮しておらず、また特許文献2では、3点の基準位置を地上に配置し、空中の位置を特定しているため、3点の基準位置によって形成される平面に対して特定する点と対称な位置にある点は地中となるので考慮していない。そのため、特許文献1、2に開示された何れの方法を用いてもボイラ火炉内の位置を特定することは常に可能であるわけではない。
また、特許文献2に開示されている位置算出方法は、測位点と既知位置との距離を音波到達時間から求めており、それには測位点で音波を送信した時刻をカウントする必要がある。そのため、送波器には別途送波時刻を演算装置に伝達するための電波送信手段が必要となり、機器が大型化する。さらに、特許文献2に開示されている方法では、ボイラ火炉内の検査時のように位置を特定するボイラ側壁近傍に足場が組まれている場合には、該足場が音波送受信の障害となり測位精度が低下することが予想される。
さらに特許文献3に開示されたレーザー光を用いる方法は、発信器と受信器の間にレーザー光を遮断する障害物があると測定が不可能であり、点検時には内部に足場等の障害物が多いボイラ火炉内の検査時に使用することは向いていない。さらにレーザー光は目に入ると危険であり、使用するレーザー光の強度が制限される。
【0009】
また、ボイラ火炉内においても、3点によって形成される平面から特定する点(検査位置)への方向が特定できるように、例えば3点の基準点を全てボイラ火炉底の床面に配置することが考えられるが、3点の基準点を床面に配置した場合、送波位置と受波位置との間に音波伝播の障害となる足場があり測位精度を低減する要因となる。
【0010】
さらに、ボイラー火炉は大きな容量を有するため、開放点検時は複数の作業者が内部に入る。そのため、複数の作業者の検査位置を検知する必要があるが、特許文献1、2、3の何れも複数の作業者の位置の検知には対応することができない。
【0011】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明においては、
面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、該側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0013】
位置座標既知である同一直線上にない3点以上に受波器を設置することで、前記3点以上の受波器への音波の到達時間と位置座標から、送波器の位置の候補2点(実際に送波器のある位置と、該位置と前記3点以上の受波器によって形成される平面に対して鏡像の位置)が求められるが、各側壁(前壁、後壁、左側壁、右側壁)に平行に配置した既知位置にある受波器を用いて測位点を算出するため、前記鏡像位置を含めた2点の測定値が算出されても、測位データとして必要な高さや左右からの距離は同一であるため問題とならない。従って、受波器を床面に配置することが困難な場合であっても、保守検査等の作業を行う位置を特定することができる。
また、タンク、ボイラ火炉等の容器内部を点検する場合には、容器内部側壁近傍に足場を仮設して点検作業を行うが、該足場と側壁との間には炉壁を検査するために通常約3〜50cmの距離をもった空間が形成され、この空間は障害物が少ない場所である。この空間で音波を用いると、送波器と受波器の間に足場部材や炉壁突起物が存在しても、音波は前記足場部材や炉壁突起物にあまり影響を受けず、精度よく検査位置を特定することができる。さらに、音はレーザー光などと違って無害であり、炉内で作業を行っていても超音波域は暗騒音は小さく適用可能である。
【0014】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に電波及び音波を受信可能な受波器を設置し、容器内の作業を行う位置に配置された送波器より電波及び音波を同時に発信し、前記3点以上の受波器それぞれで、前記電波と音波の到達時間を計測し、該到達時間から送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離を算出し、前記算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0015】
電波速度は音波速度と比較すると充分に大きいため、送波器から電波及び音波が同時に発信されてから前記3点以上の受波器それぞれへ電波が到達するまでの時間は、電波が到達してから音波が到達するまでの時間と比較すると充分小さく0と見なすことができる。よって、前記受波器に電波が到達してから音波が到達するまでの時間を、送波器から音波が発信されてから受波器に音波が到達するまでの時間と見なすことができる。つまり前記送波器から電波と音波を同時に発信することで前記送波器から前記3点以上の受波器それぞれへ音波が到達する時間を計測することができ、該時間と音速を用いて前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出することができる。該距離と前記3点以上の受波器の位置座標を用いて前記送波器の位置を特定することができる。
【0016】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より音波を発信し、前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、前記算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0017】
これにより、前記送波器は音波だけを発信することができればよく、音波と電波を同時に発信する場合と比較して送波器を小型化することができる。同様に受波器も小型化することができる。
【0018】
また、前記空間内部側壁の作業を行う位置が複数存在し、前記複数の作業を行う位置それぞれから発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする。
さらに、前記複数の作業を行う位置それぞれから、周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする。
【0019】
大型タンク、ボイラ火炉等の内部検査を行う容器は、容量が大きく、1人の作業者だけで検査を行うと多大な時間を要するため、複数の作業者がボイラ火炉内に入る。このような場合、各作業者が検査位置を把握する必要があり、これを前記音波によって識別することができる。
【0020】
前記空間内部の同一直線上にない任意の3点以上に前記受波器を設置し、前記空間内部の位置座標既知である同一平面上にない4点以上に音波を発信可能な送波器を配置し、前記4点以上の送波器それぞれより音波を発信し、前記4点以上の送波器から発信された音波が前記受波器それぞれに到達する到達時間を計測し、前記到達時間と、前記4点以上の送波器の位置座標を用いて、前記3点以上の受波器それぞれの位置座標を特定することで、受波器の位置座標を既知としてから、前記空間内部で作業を行う位置を特定することができる。
【0021】
受波器を空間内の位置座標既知の3箇所以上に設置する必要があるため、受波器を予め位置座標が分かっている位置に設置してもよいが、空間内の作業を行う広範囲に渡る位置からの電波及び音波を受信するためには容器内のどの位置から発信された電波及び音波も受信しやすい場所に設置することが好ましい。しかし、空間内のどの位置から発信された電波及び音波も受信しやすい場所が位置座標既知であるとは限らない。
そこで、空間内の受信状態のいい箇所に受波器を設置し、位置座標既知の同一平面上にない4点以上に配置した送波器を用いて逆演算すれば受波器の位置を特定することができ、作業を行う位置の検出精度が高くなる。
これにより、任意の位置に設置した受波器の位置座標を容易に特定することができるため、空間内の自由な位置に受波器を設置することができる。
【0022】
また、前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする。
【0023】
このようにして受波器を設置することで受波器と送波器の間に障害物が存在する可能性が小さくなり、作業位置特定の精度が高くなる。また前記受波器は、前記足場に直接取り付けたり、前記足場から前記面方向へ向かって棒状の取付部材を延在させて該取付部材に取り付けると、受波器の設置を簡単に行うことができる。
【0024】
また、容器内の検査結果を管理する装置として、
面で囲まれる空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された信号を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された信号を発信可能な送波器と、
該送波器より発信された信号が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記送波器を容器内側壁の複数個所に配置し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
これにより、複数の位置情報及び検査結果を自動的に集中管理することができ、作業者の作業工数を削減することができる。
【0025】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された電波及び音波を受信可能な受波器と、前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された電波及び音波を発信可能な送波器と、前記3点以上の受波器それぞれでの前記送波器より発信された電波及び音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出し、該算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
【0026】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された音波を受信可能な受波器と、前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器と、前記送波器より発信された音波が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、該算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
【0027】
また、前記送波器を前記空間側壁に複数個配置し、前記複数の送波器から発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする。
さらに、前記複数の送波器から、それぞれ周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする。
【0028】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた前記作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0031】
まず図1、図2及び図3を用いて、実施例1における作業位置の特定方法の原理ついて説明する。
図1は実施例1における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図であり、図2は実施例1における3つの受波器が受ける音波の到達時間を示すグラフであり、図3は実施例1における3つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【0032】
図1において、10は模式的に示した内部検査を行う容器である。該容器10は側部を囲う一対の側壁11と一対の奥壁12と、前記一対の側壁11それぞれの下端から容器10中央方向へ向かって下向きに傾斜した傾斜面13とから概略構成されている。
容器10内の側壁11上の点Aの位置を特定する場合、まず容器10内の位置座標が既知である3点の基準位置に電波及び音波を受信可能な受波器R11、R12、R13を配置する。これらのR11、R12、R13受波器は側壁11と略平行な同一平面S上であり、さらに3つの受波器が同一直線上にないように配置する。なお、点Aは奥壁12上に配置することも可能であり、その場合は受波器R11、R12、R13を奥壁12と平行な面上に配置する。
その後、点Aに備えた送波器から電波及び音波を同時に発信し、前記3点の基準位置に配置された受波器R11、R12、R13で電波と音波との到達時間差を測定し、前記送波器から電波と音波が発信されてから前記受波器R11、R12、R13へ音波が到達するまでの時間を以下のようにして算出する。
【0033】
前記送波器から電波と音波が発信されてから前記受波器に音波が到達するまでの時間の算出方法について図2を用いて説明する。
送波器から電波及び音波が発信されると、まずそれぞれの受波器R11、R12、R13には電波が到達し、前記発信から電波到達までの時間をそれぞれt01、t02、t03とする。そして、前記受波器R11、R12、R13には、前記電波の到達時間t01、t02、t03からそれぞれ時間t1、t2、t3後に音波が到達する。
電波速度は音波速度と比較すると充分に大きいため、送波器から電波及び音波が発信されてからそれぞれの受波器R11、R12、R13へ電波が到達するまでの時間t01、t02、t03は、電波が到達してから音波が到達するまでの時間t1、t2、t3と比較すると充分小さく0と見なすことができる。よって、前記受波器に電波が到達してから音波が到達するまでの時間t1、t2、t3を、送波器から音波が発信されてから受波器に音波が到達するまでの時間と見なすことができる。
【0034】
以上のことより、測位環境下での音速をcとすると、送波器(点A)からそれぞれの受波器R1、R2、R3までの距離L1、L2、L3は以下の(1)(2)(3)式で算出することができる。
L1=t1×c ・・・(1)
L2=t2×c ・・・(2)
L3=t3×c ・・・(3)
【0035】
次に、送波器(点A)からそれぞれの受波器R11、R12、R13までの距離L11、L12、L13から、点Aを特定する原理について図3に基づいて説明する。
図3において、送波器の位置(点A)を(x、y、z)で表し、それぞれの受波器R1、R2、R3の位置をそれぞれ(x1、y1、z1)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)で表し既知であるとする。
このとき、以下の(5)(6)(7)の連立方程式が成立する。
L112=(x−x1)2+(y−y1)2+(z−z1)2 ・・・(4)
L122=(x−x2)2+(y−y2)2+(z−z2)2 ・・・(5)
L132=(x−x3)2+(y−y3)2+(z−z3)2 ・・・(6)
(4)(5)(6)はそれぞれR1、R2、R3を中心とする半径L11、L12、L13の球を意味しており、3つの球の交点が(4)(5)(6)式から成る連立方程式の解となり、解は2つ存在する。しかし、ここで得られる2つの解を(x、y、z)(x´、y´、z´)とすると、受波器R11、R12、R13を側壁と平行な同一平面上に配置しているため、側壁と垂直な方向をz座標軸方向とするとx=x´、y=y´、z=−z´の関係となるが、必要な値は側壁の横と高さの位置座標(x、y)であるため、z及びz´の座標は無視して送波器の位置を特定することができる。
【0036】
以上のように図1〜図3を用いて説明した原理で作業者の位置を特定する具体的な事例について、前記容器10がボイラ火炉であり、該ボイラ火炉内に電波及び音波を発信する送波器を持った作業者が入って、ボイラ火炉側壁に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合について説明する。なお、前記蒸発管は火炉によって地面に対して垂直方向や斜め方向に設けられたものやスパイラル状に設けられたものが存在するが、本実施例は蒸発管がどのような方向、状態で設置されていても適用することができる。
【0037】
図4を用いて、ボイラ火炉内の作業者の位置特定について説明する。
まず、処理に先立って作業位置を特定する必要がある側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点に音波信号を受信可能な受波器を設置する。本実施例においては受波器を3点に設置するが、4点以上に受波器を設けてもよい。
ステップS1で処理が開始されると、ステップS2で作業者は電波及び音波が発信可能な送波器を所有してボイラ火炉内に入り、検査作業を行う側壁で送波器から電波及び音波を発信する。
【0038】
ステップS2で送波器から電波及び音波が発信されると、ステップS3で前記位置座標が既知である3箇所の受波器それぞれにおける電波受信から音波受信までの時間差のデータを演算装置に送信する。前記演算装置は前記時間差のデータを受信できればどこに配置してもよい。
【0039】
ステップS3で前記電波受信及び音波受信の時間差のデータが演算装置に送信されると、ステップS4で、前記演算装置で前記時間差のデータを用いて、送波器と受波器間の距離を算出する。前記距離は前述の(1)(2)(3)式を用いることで算出することができる。
【0040】
ステップS4で送波器と4箇所それぞれの受波器との間の距離が算出されると、ステップS5で送波器の位置座標を算出する。送波器の位置座標は前述の(4)(5)(6)式から成る連立方程式の解を求めることによって算出することができる。
【0041】
ステップS5で送波器の位置座標が算出されると、ステップS6で前記送波器の位置座標を、ボイラ火炉内の位置の関係が分かる図面などと照合することで、送波器の位置を特定する。
【0042】
ステップS6で送波器の位置が特定されると、ステップS7で作業者の手元に位置情報を表示する。位置情報は、作業者に持たせた例えばPDA(Personal Digital Assistant)などの端末に、前記演算装置による演算結果を送信して表示させ、ステップS8で処理を終了する。
【0043】
また、ボイラ火炉は容量が大きいため、1人の作業者だけで検査を行うと多大な時間を要するため、複数の作業者がボイラ火炉内に入る。このような場合、各作業者が検査位置を把握するためには、各作業者を識別する必要がある。
【0044】
複数の作業者がボイラ火炉内に入る場合の作業者の識別について、図5及び図6を用いて説明する。
図5はボイラ火炉内の複数の検査位置の識別方法を説明するための模式図であり、図6はボイラ火炉内の複数の検査位置から発信される音波を表す図である。
【0045】
図5において、1は模式的に表したボイラ火炉である。ボイラ火炉1内には側壁11に平行な平面S上であり位置座標既知の受波器R11、R12、R13が設置されており、側壁11上の点A、B、C、Dの位置を知る必要があるとする。なお前記受波器R11、R12、R13は位置座標が既知である位置に設置している。また受波器は3点に限る必要はなく、位置の測定範囲をカバーするために必要な数を設置し、その内少なくとも3箇所で受信した受波器の位置から検査位置を求めればよい。
この時、点Aにいる作業者が持った送波器から電波及び音波を発信し、前記受波器R11、R12、R13に到達した時間によって送波器と受波器との間の距離(L11、L12、L13)を求め、前記(4)(5)(6)式から成る連立方程式を解くことによって点Aの位置座標を確定することができる。同様に点B、C及びDにいる作業者が持った送波器からも電波及び音波を発信するが、点A、B、C、Dそれぞれから発信する音波を図6に示したように送波時間、送波回数、送波間隔時間をそれぞれ異ならせ、どの位置から発信された音波であるか識別可能としている。また前記送波時間、送波回数、送波間隔時間の他に例えば周波数などその他の音波を識別できるような因子を変えてもよい。
このようにして、各送波器から発信される音波の波形等の特徴を異ならせることで、複数の作業者が同時に検査位置を特定することができる。
【0046】
さらに、上述のようにして検査位置を特定することを利用して、検査結果を簡単に管理することができる。
検査結果の管理について図7及び図8を用いて説明する。
図7は検査結果の管理の説明図であり、図8は検査結果の管理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず図7を用いて検査結果の管理の概略を説明する。
ボイラ火炉1内のA、B、C、Dの位置で検査を行った場合、それぞれの位置情報と検査結果の情報が処理センターなどに集約される。そして、該処理センターでは前記集約された結果をまとめて表示する。表示された結果は、A、B、C、Dの位置にいる作業者に送信するようにしてもよい。
結果の表示方法は、位置と検査結果が分かるような表示方法であればよく、たとえば図7に示したようにボイラ火炉の壁面の検査結果が不良である位置を領域a、bのように斜線で表示したり、色を変えて表示するなど視覚的に分かるように表示することができる。なお、図7におけるA1〜A10、B1〜B8、C1〜C6、D1〜D8はデスラッガを取り付けるための穴を表しており、デスラッガを取り付ける穴はその位置が既知であるため、デスラッガを取り付ける穴を検査結果と同時に表示させることで、検査結果が視覚的に分かり易くなる。
【0048】
次に検査結果の管理の具体的な方法について、図8のフローチャートを用いて説明する。
ステップS11で処理が開始されると、作業者A、B、C、D・・・はステップS12で各自の担当位置で腐食検査等の検査を実施する。なお、各作業者の作業は同じであるので、ここでは作業者Aについてのみ説明する。
【0049】
ステップS12で検査を実施すると、ステップS13で作業者はその検査結果を所持しているPDA(Personal Digital Assistant)に入力する。
【0050】
ステップS13で検査結果が入力されると、ステップS14で前記PDAから自動的に作業者が保持している送波器に電波及び音波の発信命令が出され、図4に示したフローチャートの手順に従って自動的に位置情報が特定される。
なお、前記送波器からの電波及び音波の発信命令を作業者の手動によって行うようにしてもよいが、本実施例のように検査結果入力により自動的に命令を出すようにしておくと、位置情報特定を忘れるというヒューマンエラーを防止することができる。
【0051】
ステップS14で位置情報が特定されると、ステップS15で位置情報及び検査結果が情報を集約する処理センターに送られる。
ステップS16では、各作業者から送られたデータをまとめて表示し、ステップS17で処理を終了する。
【実施例2】
【0052】
まず図9及び図10を用いて、実施例2における作業位置の特定方法について説明する。
図9は実施例2における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図であり、図10は実施例2における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【0053】
図9において、20は模式的に示した内部検査を行う容器である。該容器20は側部を囲う一対の側壁21と一対の奥壁22と、前記一対の側壁21それぞれの下端から容器20中央方向へ向かって下向きに傾斜した傾斜面23とから概略構成されている。
容器20内の側壁21上の点A2の位置を特定する場合、まず容器20内の位置座標が既知である3点の基準位置に音波を受信可能な受波器R21、R22、R23を配置する。これらのR21、R22、R23受波器は側壁21と略平行な同一平面S上であり、さらに3つの受波器が同一直線上にないように配置する。なお、点A2は奥壁22上に配置することも可能であり、その場合は受波器R21、R22、R23を奥壁22と平行な面上に配置する。
その後、点A2に備えた送波器から音波を発信し、前記3点の基準位置に配置された受波器R21、R22、R23それぞれへ到達する音波の到達時間差を計測する。
【0054】
次に送波器(点A2)を特定する原理について図10を参照しながら説明する。
図10において、送波器の位置(点A2)を(x、y、z)で表し、それぞれの受波器R21、R22、R23の位置をそれぞれ(x1、y1、z1)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)で表し既知であるとする。
また、前記の通り、送波器(点A2)から音波を発信し、各受波器R21、R22、R23で受波し、前記音波送波時のタイミングは各受波器で非同期である。
【0055】
送波器(点A2)から受波器R21、R22、R23までの音波伝播時間をそれぞれt1、t2、t3とし、受波器R21とR22、R21とR23、R22とR23の音波受波時間差をそれぞれt12、t13、t23とすると、以下の(7)(8)(9)の式が成り立つ。
±t12=t1−t2 ・・・(7)
±t13=t1−t3 ・・・(8)
±t23=t2−t3 ・・・(9)
なお、前記の通り音波送波時のタイミングは各受波器で非同期であるため、t1、t2、t3は未知数である。
【0056】
また、前記音波伝播時間t1、t2、t3は測位環境下での音速cを用いて以下の式で表すことができる。
【0057】
(10)(11)(12)式を(7)(8)(9)式に代入して整理すると、音波受波時間差をそれぞれt12、t13、t23は送波器(点A2)及び各受波器R21、R22、R23の座標を用いて以下の(16)(17)(18)式で表すことができる。
前記(13)(14)(15)式の連立方程式を解くことにより、送波器(点A2)の位置座標(x、y、±z)が求まり、送波器(点A2)の位置(x、y)(zは無関係)を特定することができる。
【0058】
以上のように図9、図10を参照して説明した原理で作業者の位置を特定する具体的な事例について、前記容器20がボイラ火炉であり、該ボイラ火炉内に音波を発信する送波器を持った作業者が入って、ボイラ火炉内壁面に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合について説明する。なお、前記蒸発管は火炉によって地面に対して垂直方向や斜め方向に設けられたものやスパイラル状に設けられたものが存在するが、本実施例は蒸発管がどのような方向、状態で設置されていても適用することができる。
【0059】
まず、前記送波器から発信された音波を受信する受波器を作業位置を特定する必要がある側壁に略平行且つ位置座標既知の3箇所以上に設置する。送波器を配置する位置は、位置座標が既知であればよく、例えば火炉の角部、デスラッガを取り付けるための穴部などを使用することができる。
【0060】
次に、図11を参照して、ボイラ火炉内の作業位置特定について説明する。
図11は実施例2における作業位置特定の説明図である。
作業者は音波が発信可能な送波器を所有してボイラ火炉内に入り、検査作業を行う側壁で送波器から音波を発信させる。前記送波器は信号発生器29、パワーアンプ30、送波部33から構成されており、信号発生器29で発生した信号をパワーアンプ30で増幅して発信部33から音波として発信する。
【0061】
前記送波器から音波が発信されると、該音波を位置座標既知の3箇所の受波器R21、R22、R23で受波し、受波した音波の信号はケーブル24を通じてボイラ火炉外に設置された増幅器25へ送られ増幅される。該増幅された音波の信号は波形記録装置26で記録された後、演算部27へ送られ、該演算部27で前述の(13)(14)(15)式を用いて送波器の送信部33の位置(点A2)を算出して特定する。特定された位置情報は表示部28で表示され、該位置情報は必要に応じて無線通信などで作業者にも連絡される。
これにより、前記送波器及び受波器は音波を送信、受信する機能を有すればよく、電波を送信、受信する機能は必要ない。従って装置全体を簡素化することができ、送波器重量を軽減することができるため、送波器を保有して移動する作業員の負担も軽減できる。
また、位置情報は図7を用いて説明した実施例1と同様に検査結果とともに管理するようにすることもできる。
【0062】
また、複数の作業者がボイラ火炉内に入る場合には、実施例1と同様に図6で示したように各作業者が携帯する送波器から発信される音波の送波時間、送波回数、送波間隔時間などの波形をそれぞれ異ならせることで、各作業者を識別することができる。
【0063】
図12は実施例2における作業位置特定の変形例の説明図である。受波器R21、R22、R23(図12においてはR21のみ図示)から波形記録装置26に至る構成以外は図11と同じであるため図示及び説明を省略する。
受波器R21、R22、R23で受波した音波の信号は送信機31から受信機32へ無線によって送信される。該受信機32で受信した前記音波の信号は波形記録装置26へ送られる。
これによりケーブル24が不要となり作業位置特定のための装置全体がさらに簡素化される。
【0064】
図13は実施例2における受波器設置位置の例を示す概略図である。炉壁21の内壁面に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合、炉壁21から空間Sを有した位置に作業者の通行及び作業用の足場41を仮設する。前記空間Sは足場41上の作業者が前記蒸発管の検査作業を行うことができる程度の間隔であり、3〜50cm程度である。
前記炉壁21と足場41の間の空間Sに受波器R21、R22、R23を配置し、作業位置に送波器40を配置して作業位置を特定する。受波器R21、R22、R23は図13に示したように足場41に固定すると設置が簡単である。
図13に示したように送波器及び受波器を配置することで、送波器と受波器の間に障害物が存在しないため正確に作業位置を特定することができるとともに、受波器の取付が簡単である。
【0065】
なお、実施例1、2においてはボイラ火炉内壁の検査について説明したが、ボイラ火炉外壁の検査についても本発明を適用することができ、その場合、前記受波器をボイラ火炉外部に設置する。通常ボイラ火炉は建屋内に設置されているため、該建屋内壁などに受波器を設置するとよい。
【0066】
さらに、本実施例においてはボイラ火炉について説明したが、化学プラントの大型タンク等の外壁部、内壁部の検査に本発明を適用することができることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
【図2】実施例1における4つの受波器が受ける音波の到達時間を示すグラフである。
【図3】実施例1における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【図4】ボイラ火炉内の作業者の位置特定手順を示すフローチャートである。
【図5】ボイラ火炉内の複数の検査位置の識別方法を説明するための模式図である。
【図6】ボイラ火炉内の複数の検査位置から発信される音波を表す図である。
【図7】検査結果の管理の説明図である。
【図8】検査結果の管理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例2における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
【図10】実施例2における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【図11】実施例2における作業位置特定の説明図である。
【図12】実施例2における作業位置特定の変形例の説明図である。
【図13】実施例2における受波器設置位置の例を示す概略図である。
【図14】ボイラ火炉を表す斜視図である。
【図15】ボイラ火炉内の位置を特定する従来の方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 ボイラ火炉
10、20 模式的に示した内部検査を行う容器
41 足場
A、B、C、D、A2 容器内部の保守検査を行う位置
S 炉壁と足場の間の空間
R11、R12、R13、R21、R22、R23 受波器
【技術分野】
【0001】
本発明は、面で囲まれる空間内部又は外壁の保守検査などの作業に用いられる作業位置特定方法及び作業結果管理装置に関するものであり、特に大型タンク、ボイラ火炉等の内部に作業者が入って保守検査等の作業を行う場合に、作業者の居場所あるいは検査位置を特定するための位置特定方法、及び保守検査結果を位置情報とともに管理する点検結果管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電所で用いられるボイラ火炉は、製作時及び運転開始後定期的に開放し、内部に作業者が入り保守検査を行う必要がある。保守検査時には、検査箇所を明確にする必要があるが、ボイラ火炉は容量が大きく目視で検査箇所を正確に把握することは困難である。
そこで従来、検査箇所の高さ位置及び左右位置を巻尺等を用いて測定することで作業者の居場所即ち保守検査位置を把握していたが、この方法では位置の把握に多大な時間と人手を要するとともに、間違いが生じる可能性がある。
【0003】
そこで、三次元測位システムといわれる方法を用いて位置を特定することが考えられる。これは、3点以上の位置座標既知の位置から位置を特定しようとする点への距離を、音波を用いてその伝播速度と伝播時間から算出し、その距離を用いて位置を特定するものであり、このような三次元測位システムは例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。また音波に代えてレーザ光を用いて位置を特定する三次元測位システムが例えば特許文献3に開示されている。
【0004】
従来の三次元測位システムを用いてボイラ火炉内の保守検査位置を特定する場合について図14及び図15を用いて説明する。
図14はボイラ火炉を表す斜視図である。ボイラ火炉101は、図14に示すように外壁近傍に多くの配管102が取り付けられており、また内部に燃料を燃焼するための燃焼室103を有し、内壁面に沿って蒸発管が設置されている。
このようなボイラ火炉101の運転を停止し、内部に作業者が入り前記蒸発管の減肉、腐食状態の検査を行う際には、前記三次元測位システムを用いて検査箇所を特定する必要がある。図15を用いて詳細に説明する。
【0005】
図15はボイラ火炉101内の位置を特定する従来の方法を説明するための模式図である。
図15において、101は模式的に示したボイラ火炉である。ボイラ火炉101内のある点Aの位置を特定する場合、まずボイラ火炉101内の位置座標が既知である3点の基準位置R101、R102、R103に電波及び音波を受信可能な受波器を設置する。その後、点Aから電波及び音波を同時に発信し、前記3点の基準位置R101、R102、R103に配置した受波器それぞれで前記電波と音波の到達時間差を計測し、該到達時間差と音速を用いて位置Aとそれぞれの基準位置R101、R102、R103との間の距離L101、L102、L103を算出し、該距離L101、L102、L103と基準位置R101、R102、R103の位置座標を用いて点Aの位置を特定する。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−266376号公報
【特許文献2】特開2004−108978号広報
【特許文献3】特開平3−251706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記3点の基準位置R101、R102、R103によって形成される平面に対して点Aと対称な点A´から、前記3点の基準位置R101、R102、R103への距離L101´、L102´、L103´は、それぞれL101=L101´、L102=L102´、L103=L103´が成り立つ。
即ち、3点の基準位置R101、R102、R103からの距離がそれぞれL101、L102、L103となる点は、前記3点の基準位置R101、R102、R103によって形成される平面に対して対称な位置に2箇所(A、A´)存在するということである。図15に示した点A´に相当する位置がボイラ火炉101外であれば、A´に相当する位置は点Aの候補から除外することができるため、点Aを特定することができるが、図15に示したように点A´がボイラ火炉101内である場合には、点Aの位置を特定することができない。
【0008】
特許文献1では、3点の基準位置によって形成される平面に対して、特定する点がどちらの方向に位置するか分かった状態で位置特定を行っているため、3点の基準位置によって形成される平面に対して特定する点と対称な位置にある点を考慮しておらず、また特許文献2では、3点の基準位置を地上に配置し、空中の位置を特定しているため、3点の基準位置によって形成される平面に対して特定する点と対称な位置にある点は地中となるので考慮していない。そのため、特許文献1、2に開示された何れの方法を用いてもボイラ火炉内の位置を特定することは常に可能であるわけではない。
また、特許文献2に開示されている位置算出方法は、測位点と既知位置との距離を音波到達時間から求めており、それには測位点で音波を送信した時刻をカウントする必要がある。そのため、送波器には別途送波時刻を演算装置に伝達するための電波送信手段が必要となり、機器が大型化する。さらに、特許文献2に開示されている方法では、ボイラ火炉内の検査時のように位置を特定するボイラ側壁近傍に足場が組まれている場合には、該足場が音波送受信の障害となり測位精度が低下することが予想される。
さらに特許文献3に開示されたレーザー光を用いる方法は、発信器と受信器の間にレーザー光を遮断する障害物があると測定が不可能であり、点検時には内部に足場等の障害物が多いボイラ火炉内の検査時に使用することは向いていない。さらにレーザー光は目に入ると危険であり、使用するレーザー光の強度が制限される。
【0009】
また、ボイラ火炉内においても、3点によって形成される平面から特定する点(検査位置)への方向が特定できるように、例えば3点の基準点を全てボイラ火炉底の床面に配置することが考えられるが、3点の基準点を床面に配置した場合、送波位置と受波位置との間に音波伝播の障害となる足場があり測位精度を低減する要因となる。
【0010】
さらに、ボイラー火炉は大きな容量を有するため、開放点検時は複数の作業者が内部に入る。そのため、複数の作業者の検査位置を検知する必要があるが、特許文献1、2、3の何れも複数の作業者の位置の検知には対応することができない。
【0011】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明においては、
面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、該側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0013】
位置座標既知である同一直線上にない3点以上に受波器を設置することで、前記3点以上の受波器への音波の到達時間と位置座標から、送波器の位置の候補2点(実際に送波器のある位置と、該位置と前記3点以上の受波器によって形成される平面に対して鏡像の位置)が求められるが、各側壁(前壁、後壁、左側壁、右側壁)に平行に配置した既知位置にある受波器を用いて測位点を算出するため、前記鏡像位置を含めた2点の測定値が算出されても、測位データとして必要な高さや左右からの距離は同一であるため問題とならない。従って、受波器を床面に配置することが困難な場合であっても、保守検査等の作業を行う位置を特定することができる。
また、タンク、ボイラ火炉等の容器内部を点検する場合には、容器内部側壁近傍に足場を仮設して点検作業を行うが、該足場と側壁との間には炉壁を検査するために通常約3〜50cmの距離をもった空間が形成され、この空間は障害物が少ない場所である。この空間で音波を用いると、送波器と受波器の間に足場部材や炉壁突起物が存在しても、音波は前記足場部材や炉壁突起物にあまり影響を受けず、精度よく検査位置を特定することができる。さらに、音はレーザー光などと違って無害であり、炉内で作業を行っていても超音波域は暗騒音は小さく適用可能である。
【0014】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に電波及び音波を受信可能な受波器を設置し、容器内の作業を行う位置に配置された送波器より電波及び音波を同時に発信し、前記3点以上の受波器それぞれで、前記電波と音波の到達時間を計測し、該到達時間から送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離を算出し、前記算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0015】
電波速度は音波速度と比較すると充分に大きいため、送波器から電波及び音波が同時に発信されてから前記3点以上の受波器それぞれへ電波が到達するまでの時間は、電波が到達してから音波が到達するまでの時間と比較すると充分小さく0と見なすことができる。よって、前記受波器に電波が到達してから音波が到達するまでの時間を、送波器から音波が発信されてから受波器に音波が到達するまでの時間と見なすことができる。つまり前記送波器から電波と音波を同時に発信することで前記送波器から前記3点以上の受波器それぞれへ音波が到達する時間を計測することができ、該時間と音速を用いて前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出することができる。該距離と前記3点以上の受波器の位置座標を用いて前記送波器の位置を特定することができる。
【0016】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波を受信可能な受波器を設置し、前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より音波を発信し、前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、前記算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする。
【0017】
これにより、前記送波器は音波だけを発信することができればよく、音波と電波を同時に発信する場合と比較して送波器を小型化することができる。同様に受波器も小型化することができる。
【0018】
また、前記空間内部側壁の作業を行う位置が複数存在し、前記複数の作業を行う位置それぞれから発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする。
さらに、前記複数の作業を行う位置それぞれから、周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする。
【0019】
大型タンク、ボイラ火炉等の内部検査を行う容器は、容量が大きく、1人の作業者だけで検査を行うと多大な時間を要するため、複数の作業者がボイラ火炉内に入る。このような場合、各作業者が検査位置を把握する必要があり、これを前記音波によって識別することができる。
【0020】
前記空間内部の同一直線上にない任意の3点以上に前記受波器を設置し、前記空間内部の位置座標既知である同一平面上にない4点以上に音波を発信可能な送波器を配置し、前記4点以上の送波器それぞれより音波を発信し、前記4点以上の送波器から発信された音波が前記受波器それぞれに到達する到達時間を計測し、前記到達時間と、前記4点以上の送波器の位置座標を用いて、前記3点以上の受波器それぞれの位置座標を特定することで、受波器の位置座標を既知としてから、前記空間内部で作業を行う位置を特定することができる。
【0021】
受波器を空間内の位置座標既知の3箇所以上に設置する必要があるため、受波器を予め位置座標が分かっている位置に設置してもよいが、空間内の作業を行う広範囲に渡る位置からの電波及び音波を受信するためには容器内のどの位置から発信された電波及び音波も受信しやすい場所に設置することが好ましい。しかし、空間内のどの位置から発信された電波及び音波も受信しやすい場所が位置座標既知であるとは限らない。
そこで、空間内の受信状態のいい箇所に受波器を設置し、位置座標既知の同一平面上にない4点以上に配置した送波器を用いて逆演算すれば受波器の位置を特定することができ、作業を行う位置の検出精度が高くなる。
これにより、任意の位置に設置した受波器の位置座標を容易に特定することができるため、空間内の自由な位置に受波器を設置することができる。
【0022】
また、前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする。
【0023】
このようにして受波器を設置することで受波器と送波器の間に障害物が存在する可能性が小さくなり、作業位置特定の精度が高くなる。また前記受波器は、前記足場に直接取り付けたり、前記足場から前記面方向へ向かって棒状の取付部材を延在させて該取付部材に取り付けると、受波器の設置を簡単に行うことができる。
【0024】
また、容器内の検査結果を管理する装置として、
面で囲まれる空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された信号を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された信号を発信可能な送波器と、
該送波器より発信された信号が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記送波器を容器内側壁の複数個所に配置し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
これにより、複数の位置情報及び検査結果を自動的に集中管理することができ、作業者の作業工数を削減することができる。
【0025】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された電波及び音波を受信可能な受波器と、前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された電波及び音波を発信可能な送波器と、前記3点以上の受波器それぞれでの前記送波器より発信された電波及び音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出し、該算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
【0026】
また、前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された音波を受信可能な受波器と、前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器と、前記送波器より発信された音波が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、該算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする。
【0027】
また、前記送波器を前記空間側壁に複数個配置し、前記複数の送波器から発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする。
さらに、前記複数の送波器から、それぞれ周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする。
【0028】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた前記作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0031】
まず図1、図2及び図3を用いて、実施例1における作業位置の特定方法の原理ついて説明する。
図1は実施例1における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図であり、図2は実施例1における3つの受波器が受ける音波の到達時間を示すグラフであり、図3は実施例1における3つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【0032】
図1において、10は模式的に示した内部検査を行う容器である。該容器10は側部を囲う一対の側壁11と一対の奥壁12と、前記一対の側壁11それぞれの下端から容器10中央方向へ向かって下向きに傾斜した傾斜面13とから概略構成されている。
容器10内の側壁11上の点Aの位置を特定する場合、まず容器10内の位置座標が既知である3点の基準位置に電波及び音波を受信可能な受波器R11、R12、R13を配置する。これらのR11、R12、R13受波器は側壁11と略平行な同一平面S上であり、さらに3つの受波器が同一直線上にないように配置する。なお、点Aは奥壁12上に配置することも可能であり、その場合は受波器R11、R12、R13を奥壁12と平行な面上に配置する。
その後、点Aに備えた送波器から電波及び音波を同時に発信し、前記3点の基準位置に配置された受波器R11、R12、R13で電波と音波との到達時間差を測定し、前記送波器から電波と音波が発信されてから前記受波器R11、R12、R13へ音波が到達するまでの時間を以下のようにして算出する。
【0033】
前記送波器から電波と音波が発信されてから前記受波器に音波が到達するまでの時間の算出方法について図2を用いて説明する。
送波器から電波及び音波が発信されると、まずそれぞれの受波器R11、R12、R13には電波が到達し、前記発信から電波到達までの時間をそれぞれt01、t02、t03とする。そして、前記受波器R11、R12、R13には、前記電波の到達時間t01、t02、t03からそれぞれ時間t1、t2、t3後に音波が到達する。
電波速度は音波速度と比較すると充分に大きいため、送波器から電波及び音波が発信されてからそれぞれの受波器R11、R12、R13へ電波が到達するまでの時間t01、t02、t03は、電波が到達してから音波が到達するまでの時間t1、t2、t3と比較すると充分小さく0と見なすことができる。よって、前記受波器に電波が到達してから音波が到達するまでの時間t1、t2、t3を、送波器から音波が発信されてから受波器に音波が到達するまでの時間と見なすことができる。
【0034】
以上のことより、測位環境下での音速をcとすると、送波器(点A)からそれぞれの受波器R1、R2、R3までの距離L1、L2、L3は以下の(1)(2)(3)式で算出することができる。
L1=t1×c ・・・(1)
L2=t2×c ・・・(2)
L3=t3×c ・・・(3)
【0035】
次に、送波器(点A)からそれぞれの受波器R11、R12、R13までの距離L11、L12、L13から、点Aを特定する原理について図3に基づいて説明する。
図3において、送波器の位置(点A)を(x、y、z)で表し、それぞれの受波器R1、R2、R3の位置をそれぞれ(x1、y1、z1)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)で表し既知であるとする。
このとき、以下の(5)(6)(7)の連立方程式が成立する。
L112=(x−x1)2+(y−y1)2+(z−z1)2 ・・・(4)
L122=(x−x2)2+(y−y2)2+(z−z2)2 ・・・(5)
L132=(x−x3)2+(y−y3)2+(z−z3)2 ・・・(6)
(4)(5)(6)はそれぞれR1、R2、R3を中心とする半径L11、L12、L13の球を意味しており、3つの球の交点が(4)(5)(6)式から成る連立方程式の解となり、解は2つ存在する。しかし、ここで得られる2つの解を(x、y、z)(x´、y´、z´)とすると、受波器R11、R12、R13を側壁と平行な同一平面上に配置しているため、側壁と垂直な方向をz座標軸方向とするとx=x´、y=y´、z=−z´の関係となるが、必要な値は側壁の横と高さの位置座標(x、y)であるため、z及びz´の座標は無視して送波器の位置を特定することができる。
【0036】
以上のように図1〜図3を用いて説明した原理で作業者の位置を特定する具体的な事例について、前記容器10がボイラ火炉であり、該ボイラ火炉内に電波及び音波を発信する送波器を持った作業者が入って、ボイラ火炉側壁に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合について説明する。なお、前記蒸発管は火炉によって地面に対して垂直方向や斜め方向に設けられたものやスパイラル状に設けられたものが存在するが、本実施例は蒸発管がどのような方向、状態で設置されていても適用することができる。
【0037】
図4を用いて、ボイラ火炉内の作業者の位置特定について説明する。
まず、処理に先立って作業位置を特定する必要がある側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点に音波信号を受信可能な受波器を設置する。本実施例においては受波器を3点に設置するが、4点以上に受波器を設けてもよい。
ステップS1で処理が開始されると、ステップS2で作業者は電波及び音波が発信可能な送波器を所有してボイラ火炉内に入り、検査作業を行う側壁で送波器から電波及び音波を発信する。
【0038】
ステップS2で送波器から電波及び音波が発信されると、ステップS3で前記位置座標が既知である3箇所の受波器それぞれにおける電波受信から音波受信までの時間差のデータを演算装置に送信する。前記演算装置は前記時間差のデータを受信できればどこに配置してもよい。
【0039】
ステップS3で前記電波受信及び音波受信の時間差のデータが演算装置に送信されると、ステップS4で、前記演算装置で前記時間差のデータを用いて、送波器と受波器間の距離を算出する。前記距離は前述の(1)(2)(3)式を用いることで算出することができる。
【0040】
ステップS4で送波器と4箇所それぞれの受波器との間の距離が算出されると、ステップS5で送波器の位置座標を算出する。送波器の位置座標は前述の(4)(5)(6)式から成る連立方程式の解を求めることによって算出することができる。
【0041】
ステップS5で送波器の位置座標が算出されると、ステップS6で前記送波器の位置座標を、ボイラ火炉内の位置の関係が分かる図面などと照合することで、送波器の位置を特定する。
【0042】
ステップS6で送波器の位置が特定されると、ステップS7で作業者の手元に位置情報を表示する。位置情報は、作業者に持たせた例えばPDA(Personal Digital Assistant)などの端末に、前記演算装置による演算結果を送信して表示させ、ステップS8で処理を終了する。
【0043】
また、ボイラ火炉は容量が大きいため、1人の作業者だけで検査を行うと多大な時間を要するため、複数の作業者がボイラ火炉内に入る。このような場合、各作業者が検査位置を把握するためには、各作業者を識別する必要がある。
【0044】
複数の作業者がボイラ火炉内に入る場合の作業者の識別について、図5及び図6を用いて説明する。
図5はボイラ火炉内の複数の検査位置の識別方法を説明するための模式図であり、図6はボイラ火炉内の複数の検査位置から発信される音波を表す図である。
【0045】
図5において、1は模式的に表したボイラ火炉である。ボイラ火炉1内には側壁11に平行な平面S上であり位置座標既知の受波器R11、R12、R13が設置されており、側壁11上の点A、B、C、Dの位置を知る必要があるとする。なお前記受波器R11、R12、R13は位置座標が既知である位置に設置している。また受波器は3点に限る必要はなく、位置の測定範囲をカバーするために必要な数を設置し、その内少なくとも3箇所で受信した受波器の位置から検査位置を求めればよい。
この時、点Aにいる作業者が持った送波器から電波及び音波を発信し、前記受波器R11、R12、R13に到達した時間によって送波器と受波器との間の距離(L11、L12、L13)を求め、前記(4)(5)(6)式から成る連立方程式を解くことによって点Aの位置座標を確定することができる。同様に点B、C及びDにいる作業者が持った送波器からも電波及び音波を発信するが、点A、B、C、Dそれぞれから発信する音波を図6に示したように送波時間、送波回数、送波間隔時間をそれぞれ異ならせ、どの位置から発信された音波であるか識別可能としている。また前記送波時間、送波回数、送波間隔時間の他に例えば周波数などその他の音波を識別できるような因子を変えてもよい。
このようにして、各送波器から発信される音波の波形等の特徴を異ならせることで、複数の作業者が同時に検査位置を特定することができる。
【0046】
さらに、上述のようにして検査位置を特定することを利用して、検査結果を簡単に管理することができる。
検査結果の管理について図7及び図8を用いて説明する。
図7は検査結果の管理の説明図であり、図8は検査結果の管理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず図7を用いて検査結果の管理の概略を説明する。
ボイラ火炉1内のA、B、C、Dの位置で検査を行った場合、それぞれの位置情報と検査結果の情報が処理センターなどに集約される。そして、該処理センターでは前記集約された結果をまとめて表示する。表示された結果は、A、B、C、Dの位置にいる作業者に送信するようにしてもよい。
結果の表示方法は、位置と検査結果が分かるような表示方法であればよく、たとえば図7に示したようにボイラ火炉の壁面の検査結果が不良である位置を領域a、bのように斜線で表示したり、色を変えて表示するなど視覚的に分かるように表示することができる。なお、図7におけるA1〜A10、B1〜B8、C1〜C6、D1〜D8はデスラッガを取り付けるための穴を表しており、デスラッガを取り付ける穴はその位置が既知であるため、デスラッガを取り付ける穴を検査結果と同時に表示させることで、検査結果が視覚的に分かり易くなる。
【0048】
次に検査結果の管理の具体的な方法について、図8のフローチャートを用いて説明する。
ステップS11で処理が開始されると、作業者A、B、C、D・・・はステップS12で各自の担当位置で腐食検査等の検査を実施する。なお、各作業者の作業は同じであるので、ここでは作業者Aについてのみ説明する。
【0049】
ステップS12で検査を実施すると、ステップS13で作業者はその検査結果を所持しているPDA(Personal Digital Assistant)に入力する。
【0050】
ステップS13で検査結果が入力されると、ステップS14で前記PDAから自動的に作業者が保持している送波器に電波及び音波の発信命令が出され、図4に示したフローチャートの手順に従って自動的に位置情報が特定される。
なお、前記送波器からの電波及び音波の発信命令を作業者の手動によって行うようにしてもよいが、本実施例のように検査結果入力により自動的に命令を出すようにしておくと、位置情報特定を忘れるというヒューマンエラーを防止することができる。
【0051】
ステップS14で位置情報が特定されると、ステップS15で位置情報及び検査結果が情報を集約する処理センターに送られる。
ステップS16では、各作業者から送られたデータをまとめて表示し、ステップS17で処理を終了する。
【実施例2】
【0052】
まず図9及び図10を用いて、実施例2における作業位置の特定方法について説明する。
図9は実施例2における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図であり、図10は実施例2における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【0053】
図9において、20は模式的に示した内部検査を行う容器である。該容器20は側部を囲う一対の側壁21と一対の奥壁22と、前記一対の側壁21それぞれの下端から容器20中央方向へ向かって下向きに傾斜した傾斜面23とから概略構成されている。
容器20内の側壁21上の点A2の位置を特定する場合、まず容器20内の位置座標が既知である3点の基準位置に音波を受信可能な受波器R21、R22、R23を配置する。これらのR21、R22、R23受波器は側壁21と略平行な同一平面S上であり、さらに3つの受波器が同一直線上にないように配置する。なお、点A2は奥壁22上に配置することも可能であり、その場合は受波器R21、R22、R23を奥壁22と平行な面上に配置する。
その後、点A2に備えた送波器から音波を発信し、前記3点の基準位置に配置された受波器R21、R22、R23それぞれへ到達する音波の到達時間差を計測する。
【0054】
次に送波器(点A2)を特定する原理について図10を参照しながら説明する。
図10において、送波器の位置(点A2)を(x、y、z)で表し、それぞれの受波器R21、R22、R23の位置をそれぞれ(x1、y1、z1)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)で表し既知であるとする。
また、前記の通り、送波器(点A2)から音波を発信し、各受波器R21、R22、R23で受波し、前記音波送波時のタイミングは各受波器で非同期である。
【0055】
送波器(点A2)から受波器R21、R22、R23までの音波伝播時間をそれぞれt1、t2、t3とし、受波器R21とR22、R21とR23、R22とR23の音波受波時間差をそれぞれt12、t13、t23とすると、以下の(7)(8)(9)の式が成り立つ。
±t12=t1−t2 ・・・(7)
±t13=t1−t3 ・・・(8)
±t23=t2−t3 ・・・(9)
なお、前記の通り音波送波時のタイミングは各受波器で非同期であるため、t1、t2、t3は未知数である。
【0056】
また、前記音波伝播時間t1、t2、t3は測位環境下での音速cを用いて以下の式で表すことができる。
【0057】
(10)(11)(12)式を(7)(8)(9)式に代入して整理すると、音波受波時間差をそれぞれt12、t13、t23は送波器(点A2)及び各受波器R21、R22、R23の座標を用いて以下の(16)(17)(18)式で表すことができる。
前記(13)(14)(15)式の連立方程式を解くことにより、送波器(点A2)の位置座標(x、y、±z)が求まり、送波器(点A2)の位置(x、y)(zは無関係)を特定することができる。
【0058】
以上のように図9、図10を参照して説明した原理で作業者の位置を特定する具体的な事例について、前記容器20がボイラ火炉であり、該ボイラ火炉内に音波を発信する送波器を持った作業者が入って、ボイラ火炉内壁面に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合について説明する。なお、前記蒸発管は火炉によって地面に対して垂直方向や斜め方向に設けられたものやスパイラル状に設けられたものが存在するが、本実施例は蒸発管がどのような方向、状態で設置されていても適用することができる。
【0059】
まず、前記送波器から発信された音波を受信する受波器を作業位置を特定する必要がある側壁に略平行且つ位置座標既知の3箇所以上に設置する。送波器を配置する位置は、位置座標が既知であればよく、例えば火炉の角部、デスラッガを取り付けるための穴部などを使用することができる。
【0060】
次に、図11を参照して、ボイラ火炉内の作業位置特定について説明する。
図11は実施例2における作業位置特定の説明図である。
作業者は音波が発信可能な送波器を所有してボイラ火炉内に入り、検査作業を行う側壁で送波器から音波を発信させる。前記送波器は信号発生器29、パワーアンプ30、送波部33から構成されており、信号発生器29で発生した信号をパワーアンプ30で増幅して発信部33から音波として発信する。
【0061】
前記送波器から音波が発信されると、該音波を位置座標既知の3箇所の受波器R21、R22、R23で受波し、受波した音波の信号はケーブル24を通じてボイラ火炉外に設置された増幅器25へ送られ増幅される。該増幅された音波の信号は波形記録装置26で記録された後、演算部27へ送られ、該演算部27で前述の(13)(14)(15)式を用いて送波器の送信部33の位置(点A2)を算出して特定する。特定された位置情報は表示部28で表示され、該位置情報は必要に応じて無線通信などで作業者にも連絡される。
これにより、前記送波器及び受波器は音波を送信、受信する機能を有すればよく、電波を送信、受信する機能は必要ない。従って装置全体を簡素化することができ、送波器重量を軽減することができるため、送波器を保有して移動する作業員の負担も軽減できる。
また、位置情報は図7を用いて説明した実施例1と同様に検査結果とともに管理するようにすることもできる。
【0062】
また、複数の作業者がボイラ火炉内に入る場合には、実施例1と同様に図6で示したように各作業者が携帯する送波器から発信される音波の送波時間、送波回数、送波間隔時間などの波形をそれぞれ異ならせることで、各作業者を識別することができる。
【0063】
図12は実施例2における作業位置特定の変形例の説明図である。受波器R21、R22、R23(図12においてはR21のみ図示)から波形記録装置26に至る構成以外は図11と同じであるため図示及び説明を省略する。
受波器R21、R22、R23で受波した音波の信号は送信機31から受信機32へ無線によって送信される。該受信機32で受信した前記音波の信号は波形記録装置26へ送られる。
これによりケーブル24が不要となり作業位置特定のための装置全体がさらに簡素化される。
【0064】
図13は実施例2における受波器設置位置の例を示す概略図である。炉壁21の内壁面に設けられた蒸発管の検査作業を行う場合、炉壁21から空間Sを有した位置に作業者の通行及び作業用の足場41を仮設する。前記空間Sは足場41上の作業者が前記蒸発管の検査作業を行うことができる程度の間隔であり、3〜50cm程度である。
前記炉壁21と足場41の間の空間Sに受波器R21、R22、R23を配置し、作業位置に送波器40を配置して作業位置を特定する。受波器R21、R22、R23は図13に示したように足場41に固定すると設置が簡単である。
図13に示したように送波器及び受波器を配置することで、送波器と受波器の間に障害物が存在しないため正確に作業位置を特定することができるとともに、受波器の取付が簡単である。
【0065】
なお、実施例1、2においてはボイラ火炉内壁の検査について説明したが、ボイラ火炉外壁の検査についても本発明を適用することができ、その場合、前記受波器をボイラ火炉外部に設置する。通常ボイラ火炉は建屋内に設置されているため、該建屋内壁などに受波器を設置するとよい。
【0066】
さらに、本実施例においてはボイラ火炉について説明したが、化学プラントの大型タンク等の外壁部、内壁部の検査に本発明を適用することができることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
ボイラ火炉等の面で囲まれる空間の内部の検査に用い、基準点を床面に配置することが出来ない場合においても位置を特定することができ、さらに複数の位置の検出が可能な容器の内部の検査に用いられる位置特定方法及び作業結果管理装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
【図2】実施例1における4つの受波器が受ける音波の到達時間を示すグラフである。
【図3】実施例1における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【図4】ボイラ火炉内の作業者の位置特定手順を示すフローチャートである。
【図5】ボイラ火炉内の複数の検査位置の識別方法を説明するための模式図である。
【図6】ボイラ火炉内の複数の検査位置から発信される音波を表す図である。
【図7】検査結果の管理の説明図である。
【図8】検査結果の管理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例2における内部検査(作業)を行う容器内の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
【図10】実施例2における4つの受波器と位置を特定する点の関係をx−y−z座標上に示したグラフである。
【図11】実施例2における作業位置特定の説明図である。
【図12】実施例2における作業位置特定の変形例の説明図である。
【図13】実施例2における受波器設置位置の例を示す概略図である。
【図14】ボイラ火炉を表す斜視図である。
【図15】ボイラ火炉内の位置を特定する従来の方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 ボイラ火炉
10、20 模式的に示した内部検査を行う容器
41 足場
A、B、C、D、A2 容器内部の保守検査を行う位置
S 炉壁と足場の間の空間
R11、R12、R13、R21、R22、R23 受波器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、
前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、
該側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、
前記同一直線上にない3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、
前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項2】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に電波及び音波を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より電波及び音波を同時に発信し、
前記3点以上の受波器それぞれで、前記電波と音波の到達時間差を計測し、該時間差から送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離を算出し、
前記算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする請求項1記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項3】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より音波を発信し、
前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、
前記算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする請求項1記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項4】
前記空間内部側壁の作業を行う位置が複数存在し、
前記複数の作業を行う位置それぞれから発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする請求項1〜3何れか1に記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項5】
前記複数の作業を行う位置それぞれから、周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする請求項4記載の面で囲まれる空間内部の作業を行う位置を特定する方法。
【請求項6】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする請求項1〜5何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業を行う位置を特定する方法。
【請求項7】
面で囲まれる空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された信号を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された信号を発信可能な送波器と、
該送波器より発信された信号が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記送波器を容器内側壁の複数個所に配置し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項8】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された電波及び音波を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された電波及び音波を発信可能な送波器と、
前記3点以上の受波器それぞれでの前記送波器より発信された電波及び音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出し、該算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする請求項7記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項9】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された音波を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器と、
前記送波器より発信された音波が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、該算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする請求項7記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項10】
前記送波器を前記空間側壁に複数個配置し、
前記複数の送波器から発信される音波の波形又は送波間隔を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする請求項7〜9何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項11】
前記複数の送波器から、それぞれ周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする請求項10記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項12】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた前記作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする請求項7〜11何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項1】
面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法であって、
前記空間内部の作業を行う位置が側壁であり、
該側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波信号を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器より信号を発信し、
前記同一直線上にない3点以上の受波器それぞれに到達する前記信号の到達時間を計測し、
前記到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項2】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に電波及び音波を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より電波及び音波を同時に発信し、
前記3点以上の受波器それぞれで、前記電波と音波の到達時間差を計測し、該時間差から送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離を算出し、
前記算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする請求項1記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項3】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に音波を受信可能な受波器を設置し、
前記空間の側壁の作業を行う位置に配置された送波器より音波を発信し、
前記3点以上の受波器それぞれに到達する前記音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、
前記算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定することを特徴とする請求項1記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項4】
前記空間内部側壁の作業を行う位置が複数存在し、
前記複数の作業を行う位置それぞれから発信される音波の波形を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする請求項1〜3何れか1に記載の面で囲まれる空間内部で作業を行う位置を特定する方法。
【請求項5】
前記複数の作業を行う位置それぞれから、周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする請求項4記載の面で囲まれる空間内部の作業を行う位置を特定する方法。
【請求項6】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする請求項1〜5何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業を行う位置を特定する方法。
【請求項7】
面で囲まれる空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された信号を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された信号を発信可能な送波器と、
該送波器より発信された信号が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記送波器を容器内側壁の複数個所に配置し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項8】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された電波及び音波を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された電波及び音波を発信可能な送波器と、
前記3点以上の受波器それぞれでの前記送波器より発信された電波及び音波の到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの距離を算出し、該算出された距離と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする請求項7記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項9】
前記空間内部側壁に略平行な同一面上であり且つ同一直線上にない位置座標が既知である3点以上に配置された音波を受信可能な受波器と、
前記空間内部側壁の作業を行う位置に配置された音波を発信可能な送波器と、
前記送波器より発信された音波が前記3点以上の受波器それぞれに到達する到達時間差を計測して、該到達時間差から前記送波器と前記3点以上の受波器それぞれとの間の距離の差を算出し、該算出された距離の差と、前記3点以上の受波器の位置座標を用いて、前記送波器の位置座標を特定する演算装置とを有し、
前記演算装置によって特定された複数の送波器それぞれの位置情報と、前記送波器の位置におけるそれぞれの作業結果を外部の管理装置に送信し、該管理装置によって集中管理することを特徴とする請求項7記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項10】
前記送波器を前記空間側壁に複数個配置し、
前記複数の送波器から発信される音波の波形又は送波間隔を異ならせることによって、送波器を識別することを特徴とする請求項7〜9何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項11】
前記複数の送波器から、それぞれ周波数、送波時間、送波回数又は送波間隔時間差の1以上が異なる音波を発信することによって送波器を識別することを特徴とする請求項10記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【請求項12】
前記空間側壁の作業を行う位置に音波を発信可能な送波器を設置し、該送波器を設置した壁面と空間を有して設けられた前記作業者が移動するための足場に、音波を受信可能な受波器を設置することを特徴とする請求項7〜11何れか1に記載の面で囲まれる空間内部の作業結果管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−85280(P2010−85280A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255492(P2008−255492)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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