説明

面実装型電子部品及びその製造方法

【課題】 一組を構成する第1リード端子2a及び第2リード端子3bと、前記第1リード端子の先端に一体に設けたアイランド部4aの上面にダイボンディングした半導体素子6aと、この半導体素子と前記第2リード端子の先端に一体に設けたボンディング部5bの上面とを電気的に接続する金属線7aと、前記アイランド部及び前記ボンディング部の部分を密封する合成樹脂製のパッケージ体8から成る面実装型の電子部品において、前記各リード端子に、半田付けに際しての十分な半田付け面積を確保する。
【解決手段】 アイランド部4a及びボンディング部5bを、その各々におけるリード端子のうち前記パッケージ体内の部分をその下面側からの厚さを薄くて幅を広くする塑性変形にて形成する一方、前記第1リード端子及び第2リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分を、前記パッケージ体の下面に半田付け用実装面9a,10bとして露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ダイオード又はトランジスター等のように、半導体素子の部分を合成樹脂によるパッケージ体にて密封して成る電子部品のうち、前記半導体素子に対するリード端子を前記パッケージ体の下面に露出することにより、面実装に適するように構成して成る面実装型の電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術としての特許文献1には、図14〜図16に示すように構成して成る面実装型の電子部品が記載されている。
【0003】
すなわち、この面実装型電子部品1′は、同一平面上に互いに反対の方向に延びるように配設して成る薄い金属板製の少なくとも一組を成すリード端子2′,3′を備え、前記一組を成すリード端子2′,3′のうち第1リード端子2′における先端に幅広にしたアイランド部4′を、第2リード端子3′の先端に幅広にしたボンディング部5′を各々一体に設けて、前記アイランド部4′の上面に半導体チップ等の半導体チップ6′をダイボンディングし、この半導体チップ6′と前記第2リード端子3′における前記ボンディング部5′の上面との間を金属線7′によるワイヤボンディング等にて電気的に接続して、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体8′にて、前記各リード端子2′,3′が当該パッケージ体8の左右両側面8a,8bより外向きに突出するように密封するに際して、前記各リード端子2′,3′のうち前記パッケージ体8′内の部分に、一旦下向きに折り曲げ次いで前記パッケージ体8′の下面8c′に沿うように横向きに折り曲げて成る屈曲部2a′,3a′を設けることにより、この各リード端子2′,3′の下面を、前記パッケージ体8′の下面8c′に露出した半田付け用の実装面9′,10′にするという構成である。
【特許文献1】特開平3−248551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構成の面実装型電子部品1′において、前記各リード端子2′,3′の下面における実装面9′,10′には、所定の半田付け強度を得ることのために所定の面積を確保することが必要であり、また、前記各リード端子2′,3′におけるアイランド部4′及びボンディング部5′の上面には、これらに対して半導体チップ6′のダイボンディングと、金属線7′のワイヤボンディングとを行うことのために十分な広い領域を確保することが必要である。
【0005】
しかし、前記した先行技術による面実装型電子部品1′は、リードフレーム製の一組の各リード端子2′,3′のうちパッケージ体8′内の部分に、屈曲部2a′,3a′を設けて、この各リード端子2′,3′の下面を、前記パッケージ体8′の下面8c′に露出して半田付け用の実装面9′,10′にするという構成であることにより、前記両実装面9′,10′と、前記アイランド部4′及びボンディング部5′の上面において半導体チップ6′のダイボンディングと金属線7′のワイヤボンディングとを行う領域とは、前記屈曲部2a′,3a′が境界として分けられることになっている。
【0006】
従って、前記アイランド部4′及びボンディング部5′の上面においてダイボンディング等の行うための領域を広く設定すると、前記両屈曲部2a′,3a′がパッケージ体8′における左右両側面8a′,8b′に近づいて、前記両実装面9′,10′におけるパッケージ8′の両側面8a′,8b′からの内側への入り込み寸法A′が小さくなるから、前記両実装面9′,10′における面積が減少することになる。
【0007】
また、逆に、前記両実装面9′,10′における面積を広くすることのために、この両実装面9′,10′におけるパッケージ8′の側面8a′,8b′からの内側への入り込み寸法A′を大きく設定すると、前記両屈曲部2a′,3a′が互いに近づき、その間に位置する前記アイランド部4′及びボンディング部5′の上面における領域が狭くなるという問題があった。
【0008】
換言すると、前記実装面9′,10′における面積、つまり、この両実装面9′,10′におけるパッケージ体8′の側面8a′,8b′からの内側への入り込み寸法A′と、前記アイランド部4′及びボンディング部5′の上面において半導体チップ6′のダイボンディング及び金属線7′のワイヤボンディングを行う領域との間には、その一方を大きくすると他方が小さくなり、また、他方を大きくすると一方が小さくなるというように相反する関係にあるから、前記パッケージ体8′における幅寸法W及び前記各リード端子2′,3′における側面8a′,8b′からの突出寸法L′のうちいずれか一方又は両方を大きくしない限り、前記アイランド部4′及びボンディング部5′の上面に半導体チップ6′のダイボンディング等を行うことに十分な広さの領域を確保することと、前記実装面9′,10′に、半田付けに際して十分な半田付け面積を確保することとを同時に達成することはできないのであった。
【0009】
しかも、各リード端子2′,3′の下面から前記屈曲部2a′,3a′への折れ曲がり部分には、必然的に丸角状になることにより、前記パッケージ体8′をトランスファ成形するとき、前記折れ曲がり部分と金型との間に先窄まりの隙間ができ、この部分に合成樹脂が充填されて、合成樹脂により薄いバリができ、このバリの一部が欠け落ちることになるから、前記両実装面9′,10′におけるパッケージ体8′の下面8c′に対する境界線9a′,10a′が、図16に二点鎖線で示すように不揃いになるばかりか、前記入り込み寸法Aも不揃いになるという問題もあった。
【0010】
本発明は、これらの問題を解消した面実装型電子部品と、その製造とを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この技術的課題を達成するため本発明の面実装型電子部品は、請求項1に記載したように、
「一組を構成する第1リード端子及び第2リード端子と、前記第1リード端子の先端に一体に設けたアイランド部の上面にダイボンディングした半導体素子と、この半導体素子と前記第2リード端子の先端に一体に設けたボンディング部の上面とを電気的に接続する金属線と、前記アイランド部及び前記ボンディング部の部分を密封する合成樹脂製のパッケージ体から成る電子部品において、
前記第1リード端子におけるアイランド部、及び前記第2リード端子におけるボンディング部を、その各々におけるリード端子のうち前記パッケージ体内の部分を当該アイランド部及びボンディング部の上面をリード端子の上面と同一平面又は略同一平面した状態でその下面側からの厚さを薄くて幅を広くする塑性変形にて形成する一方、前記第1リード端子及び第2リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分を、前記パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出する。」
ことを特徴としている。
【0012】
次に、本発明の製造方法は、第1に、請求項2に記載したように、
「リードフレームの一部をその下面側から凹ませるように塑性変形する工程と、前記リードフレームを打ち抜き加工することによって、一組を構成する第1リード端子及び第2リード端子を、これら各リード端子が前記両抜き孔を結ぶ線に対して横方向に延び、第1リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のアイランド部を備え第2リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のボンディング部を備えた形態にして形成する工程と、前記第1リード端子のアイランド部の上面に半導体素子をダイボンディングし、この半導体素子と前記第2リード端子のボンディング部の上面との間を金属線にてワイヤボンディングする工程と、前記第1リード端子におけるアイランド部及び第2リード端子におけるボンディング部を合成樹脂製のパッケージ体にて、前記各リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分が当該パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出した状態に密封する工程と、前記各リード端子のうち前記パッケージ体から突出する部分を切断する工程とから成る。」
ことを特徴としている。
【0013】
本発明の製造方法は、第2に、請求項3に記載したように、
「リードフレームに二つの抜き孔を適宜間隔を隔てて穿設する工程と、前記リードフレームのうち前記両抜き孔間の部分を、その下面側から凹ませるように塑性変形する工程と、前記リードフレームを打ち抜き加工することによって、複数組を構成する第1リード端子及び第2リード端子の複数本を、これら各リード端子が前記両抜き孔を結ぶ線に対して横方向に延び、各第1リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のアイランド部を備え各第2リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のボンディング部を備えた形態にして形成する工程と、前記各第1リード端子におけるアイランド部の上面に半導体素子をダイボンディングし、この半導体素子と前記各第2リード端子のうち当該半導体素子を備えた第1リード端子とで一組を構成する第2リード端子におけるボンディング部の上面との間を金属線にてワイヤボンディングする工程と、前記各第1リード端子のアイランド部及び各第2リード端子のボンディング部を合成樹脂製のパッケージ体にて、前記各リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分が当該パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出した状態に密封する工程と、前記各リード端子のうち前記パッケージ体から突出する部分を切断する工程とから成る。」
ことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の製造方法は、請求項4に記載したように、
「前記請求項3の記載において、前記リードフレームをその下面から凹ませるように塑性変形する工程よりも前に、前記リードフレームのうち前記各リード端子の間の部分に、補助抜き孔を穿設する工程を備えている。」
ことを特徴としている。
【0015】
更にまた、本発明の製造方法は、請求項5に記載したように、
「前記請求項3の記載において、前記リードフレームに穿設する二つの抜き孔における内幅寸法のうち前記各リード端子の長手方向に沿った内幅寸法を、前記リードフレームを凹ませるように塑性変形するときにおける幅寸法を越えない寸法にする。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
前記請求項1に記載したように、第1リード端子におけるアイランド部、及び第2リード端子におけるボンディング部を、その各々におけるリード端子のうちパッケージ体内の部分を当該アイランド部及びボンディング部の上面をリード端子の上面と同一平面又は略同一平面した状態でその下面側からの厚さを薄くて幅を広くする塑性変形にて形成する一方、前記第1リード端子及び第2リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分を、前記パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出するという構成にすることにより、前記各リード端子における下面をパッケージ体の下面に露出する半田付け用の実装面の形成に、上面をアイランド部及びボンディング部の形成に各々分けることができるから、前記半田付け用実装面におけるパッケージ体の側面からの内側への入り込み寸法を、前記各リード端子のアイランド部及びボンディング部の上面において半導体素子のダイボンディングと金属線のワイヤボンディングとを行う領域の広さとは無関係に、換言すると、前記アイランド部及びボンディング部の上面における領域の広さを狭めることなく、大きくすることができる。
【0017】
従って、本発明によると、前記パッケージ体における幅寸法及び前記各リード端子におけるパッケージ体側面からの突出寸法のうちいずれか一方又は両方を大きくことなく、各リード端子におけるアイランド部及びボンディング部に、半導体素子のダイボンディング及び金属線のワイヤボンディングを行うことに十分な広さの領域を確保することと、前記各リード端子の下面における実装面に、半田付けに際して十分な半田付け面積を確保することとを同時に確実に達成できる。
【0018】
しかも、前記各リード端子におけるアイランド部及びボンディング部を、前記リード端子の先端部を塑性変形することによって形成するという構成にしたことにより、前記リード端子のうち、その下面における実装面と、この実装面から前記アイランド部及びボンディング部に立ち上がる側面とが交わる隅角部を、丸みの少ない角張った形状にすることが確実且つ容易にできて、この部分に、合成樹脂のバリができることを、確実に低減ないしなくすることができるから、前記実装面におけるパッケージ体の下面に対する境界線を揃えた形状にできるとともに、前記実装面におけるパッケージ体の側面から内側への入り込み寸法を略一定に揃えることができる。
【0019】
一方、請求項2に記載した製造方法によると、前記した効果を奏する構成の電子部品を、リードフレームに対する塑性変形及び打ち抜き加工を経て、安価に製造できる。
【0020】
また、請求項3に記載した製造方法によると、前記した効果を奏する構成の電子部品を、これに複数組のリード端子を備えた形態にして、同様に、リードフレームに対する塑性変形及び打ち抜き加工を経て、安価に製造できる。
【0021】
しかも、この請求項3に記載した製造方法においては、リードフレームの塑性変形を、リードフレームのうちこれに穿設した二つの抜き孔の間の部分に行うことにより、その塑性変形に際して発生する余肉を、その両側における前記抜き孔に逃がすことができるから、前記リードフレームの下面を部分的に凹ませるように塑性変形することに要する荷重を低減できるとともに、リードフレームが前記した塑性変形にて歪み変形することを低減できる。
【0022】
特に、前記請求項3に記載した製造方法に、請求項4又は5を適用することにより、
以下の実施の形態において詳しく説明するように、リードフレームを塑性変形するときにおいて、各リード端子のうち半田付け用実装面の部分が、いびつな形状になることを回避できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図13の図面について説明する。
【0024】
これらの図面のうち図1〜図4は、第1リード端子と二本の第2リード端子とで一組を構成し、この組の複数個、つまり、二組を備えて成る電子部品1を示す。
【0025】
この電子部品1は、左右両側のうち一方側に、比較的厚い板厚さT0のリードフレームによる二本の第1リード端子2a,2b及び一本の第2リード端子3aを、二本の第1リード端子2a,2bの間に一本のリード端子3aが位置するように並べて配設する一方、他方側に、同じく比較的厚い板厚さT0の金属材料による三本の第2リード端子3b,3c,3dを並べて配設して、前記各第1リード端子2a,2bの先端に、その先端部を下面側から厚さをT1に薄くするように塑性変形することによって幅広のアイランド部4a,4bを一体的に形成する一方、前記各第2リード端子3a,3b,3c,3dの先端に、その先端部を下面側から厚さを薄くするように塑性変形することによって幅広のボンディング部5a,5b,5c,5dを一体的に形成する。
【0026】
この場合、前記各第1リード端子2a,2bの上面と、各第2リード端子3a,3b,3c,3dの上面とは同一又は略同一平面にされている一方、前記アイランド部4a,4bの上面は、その各々における第1リード端子2a,2bの上面と、前記各ボンディング部5a,5b,5c,5dの上面は、その各々における第2リード端子3a,3b,3c,3dの上面と同一又は略同一平面にされている。
【0027】
前記二つの第1リード端子2a,2bにおけるアイランド部4a,4bの上面の各々に、半導体チップ等の半導体素子6a,6bをダイボンディングし、この二つの半導体素子6a,6bのうち一方の半導体チップ6aと、前記各第2リード3a,3b,3c,3dのうち二本の第2リード端子3b,3cにおけるボンディング部5b,5cとの間を、金属線7a,7bによるワイヤボンディングにて電気的に接続する一方、他方の半導体チップ6bと、前記各第2リード3a,3b,3c,3dのうち残り二本の第2リード端子3a,3dにおけるボンディング部5a,5dとの間を、金属線7c,7dによるワイヤボンディングにて電気的に接続する。
【0028】
そして、前記各第1リード端子2a,2b及び各第2リード端子3a,3b,3c,3dにおける先端の部分を、エポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹脂によるパッケージ体8にて、前記各リード端子が当該パッケージ体8おける左右両側面8a,8bから外向きに突出するように密封する。
【0029】
このパッケージ体8による密封に際しては、前記各第1リード端子2a,2bにおける下面のうち前記の塑性変形をしていない部分が前記パッケージ体8の下面8cに、半田付け用の実装面9a,9bとして露出するように構成する一方、前記各第2リード端子3a,3b,3c,3dにおける下面のうち前記の塑性変形をしていない部分が、前記パッケージ体8の下面8cに、半田付け用の実装面10a,10b,10c,10dとして露出するように構成する。
【0030】
なお、前記各第1リード端子2a,2bにおける実装面9a,9b、及び、前記各第2リード端子3a,3b,3c,3dにおける実装面10a,10b,10c,10dには、錫又は半田等の半田付けに優れた金属のメッキ層を形成する。
【0031】
この電子部品1においては、各第1リード端子2a,2bにおけるアイランド部4a,4b、及び各第2リード端子3a,3b,3c,3dにおけるボンディング部5a,5b,5c,5dを、その各々におけるリード端子のうちパッケージ体8内の部分を当該アイランド部及びボンディング部の上面をリード端子の上面と同一平面又は略同一平面した状態でその下面側からの厚さを薄くて幅を広くするように塑性変形することによって形成する一方、前記各第1リード端子2a,2bにおける実装面9a,9b、及び各第2リード端子3a,3b,3c,3dにおける10a,10b,10c,10dを、前記各リード端子における下面のうち前記の塑性変形していない部分を前記パッケージ体8の下面8cに露出することによって形成するという構成である。
【0032】
この構成であることにより、前記各リード端子2a,2b、3a,3b,3c,3dにおける下面をパッケージ体8の下面8cに露出する半田付け用の実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dの形成に、上面をアイランド部4a,4b及びボンディング部5a,5b,5c,5dの形成に各々分けることができるから、前記各半田付け用実装面におけるパッケージ体8の側面8a,8bからの内側への入り込み寸法Aを、前記各リード端子のアイランド部4a,4b及びボンディング部5a,5b,5c,5dの上面において半導体素子6a,6bのダイボンディングと金属線7a,7b,7c,7dのワイヤボンディングとを行う領域の広さを狭めることなく、大きくすることができるから、前記各リード端子におけるアイランド部4a,4b及びボンディング部5a,5b,5c,5dに、半導体素子6a,6bのダイボンディング及び金属線7a,7b,7c,7dのワイヤボンディングを行うことに十分な広さの領域を確保することと、前記各リード端子の下面における実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dに、半田付けに際して十分な半田付け面積を確保することとを、前記パッケージ体8における幅寸法W及び前記各リード端子におけるパッケージ体側面8a,8bからの突出寸法Lのうちいずれか一方又は両方を大きくすることなく、同時に確実に達成できる。
【0033】
また、前記各リード端子2a,2b、3a,3b,3c,3dの先端部を、前記アイランド部4a,4b及びボンディング部5a,5b,5c,5dに塑性変形するに際して、前記各リード端子2a,2b、3a,3b,3c,3dのうち、その下面における実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dと、この各実装面から前記アイランド部4a,4b及びボンディング部5a,5b,5c,5dに立ち上がる側面11とが交わる隅角部12を、丸みの少ない角張った形状にすることが、前記塑性変形により確実且つ容易にできるから、前記パッケージ体8をトランスファ成形したときに、前記各実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dの周囲、つまり、当該各実装面における前記パッケージ8の下面8cに対する境界に合成樹脂のバリができることを確実に低減ないしなくすることができる。
【0034】
次に、図5〜図9は、前記構成の電子部品1を製造する場合における第1の実施の形態を示す。
【0035】
この第1の実施の形態における製造方法は、先ず、図5に示すように、例えば、真鍮又は青銅等の銅合金とか、或いは、鉄に42%のニッケルを含む所謂42アロイ等のように展性に優れた金属材料にて比較的厚い板厚さT0にしたリードフレーム13を用意して、このリードフレーム13のうち電子部品を形成する箇所の各々に、矩形にした二つの抜き孔14,15を、その間に前記した各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dを形成するだけの間隔を隔てて穿設する。
【0036】
次いで、図6〜図8に示すように、前記リードフレーム13を、受け金型16の上面に、その上面13aを下向きに下面13bを上向きにして載せ、この状態で、前記リードフレーム13における下面13bのうち前記両抜き孔14,15の間の部分を、前記受け金型16に向かって下降動するパンチ17の打ち付けにて凹ませることにより、その板厚さを元の板厚さT0から薄い板厚さT1に塑性変形する。
【0037】
この塑性変形に際しては、この塑性変形を行うパンチ17の左右両側面のうち前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dの箇所に、凹所17aを設けることにより、この凹所17aによって、前記各リード端子における実装面9a,9b,10a,10b,10c,10dのうち内側端の部分を、半円形に形成するように構成する。
【0038】
次いで、前記リードフレーム13を、図示しない受けダイと抜きパンチとにて打ち抜き加工することにより、図9に示すように、前記した六本のリード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dを、当該各リード端子のうら二本の第1リード端子2a,2bの先端にアイランド部4a,4bを、残り四本の第2リード端子3a,3b,3c,3dの先端にボンディング部5a,5b,5c,5dを各々一体的に設けた形態にて形成する。
【0039】
次いで、前記リードフレーム13を、その上面13aを上向きにした状態で、前記各第1リード端子2a,2bの先端におけるアイランド部4a,4bの上面に、半導体素子6a,6bを各々ダイボンディングし、この各半導体素子6a,6bと前記各第2リード端子3a,3b,3c,3dの先端におけるボンディング部5a,5b,5c,5dの上面との間に金属線7a,7b,7c,7dによるワイヤボンディングを行う。
【0040】
次いで、前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dの先端の部分を密封する合成樹脂製のパッケージ体8を、当該パッケージ体8の下面に前記各リード端子の下面における各実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dが露出するようにトランスファ成形することにより電子部品1とし、次いで、前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dを、前記パッケージ体8における左右両側面8a,8bから適宜寸法Lの位置に切断することにより、前記電子部品1をリードフレーム13から切り離すようにする。
【0041】
なお、前記各実装面9a,9b、10a,10b,10c,10dに対する金属メッキは、前記パッケージ体8をトランスファ成形した後であれば、リードフレーム13からの切り離す前か、或いは、切り離した後において行うようにすれば良く、また、前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dの切断は、前記パッケージ体8における左右両側面8a,8bの箇所において行うようにしても良い。
【0042】
ところで、前記リードフレーム13における下面13bを、パンチ17の打ち付けにて部分的に凹ませるように塑性変形にするに際して、リードフレーム13に二つの抜き孔14,15を穿設し、この両抜き孔14,15の間の部分を塑性変形するようにすることにより、この塑性変形に際しての余肉を両側における抜き孔14,15に向かって逃がすことができるから、前記の塑性変形を行うことに要する荷重を低減できるとともに、リードフレーム13が前記した塑性変形にて歪み変形することを低減できる。
【0043】
しかし、前記パンチ17の側面に凹所17aを設けて、前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dにおける実装面9a,9b,10a,10b,10c,10dの内側端の部分を半円形に形成する場合において、前記両抜き孔14,15における内幅寸法のうち各リード端子の長手方向に沿った内幅寸法Sが、塑性変形の幅寸法Eを越えているときには、前記塑性変形するときの余肉の前記両抜き孔14,15内への方向に押し出しは円滑に行われるものの、前記各リード端子のうち外側に位置する四本のリード端子2a,2b,3b,3dにおける実装面の内側端は、前記両抜き孔14,15内の方向への余肉の押し出しにより、半円形にならずに、図8に二点鎖線で示すように、偏ったいびつな形状になる。
【0044】
次に、図10及び図11は、本発明における第2の実施の形態を示す。
【0045】
この第2の実施の形態においては、図10に示すように、リードフレーム13のうち塑性変形する部分の両側に抜き孔14,15を穿設することに加えて、前記各リード端子2a,2b,3a,3b,3c,3dの間の部分に、長溝状の補助抜き孔16を穿設する。
【0046】
これにより、塑性変形は、図11に示すように、余肉を前記両抜き孔14,15に加えて、前記補助抜き孔16内にも押し出すようにして行われることになり、前記余肉の押し出しが、前記各リード端子のうち外側に位置する四本のリード端子2a,2b,3b,3dにおける実装面に対して及ぼす影響を、前記補助抜き孔16を穿設していない場合よりも低減できるから、前記各リード端子のうち外側に位置する四本のリード端子2a,2b,3b,3dにおける実装面の内側端を、正しく半円形にすることができる。
【0047】
そして、図12及び図13は、本発明における第3の実施の形態を示す。
【0048】
この第3の実施の形態においては、リードフレーム13のうち塑性変形する部分の両側に抜き孔14,15を穿設するに際して、この両抜き孔14,15における内幅寸法のうち各リード端子の長手方向に沿った内幅寸法Sを、塑性変形の幅寸法Eを越えない寸法に設定したものである。
【0049】
これにより、塑性変形は、余肉を前記したように内幅寸法Sの狭い両抜き孔14,15内に押し出すようにして行われることになり、前記余肉の押し出しが、前記各リード端子のうち外側に位置する四本のリード端子2a,2b,3b,3dにおける実装面に対して及ぼす影響を、前記両抜き孔14,15における内幅寸法Sを塑性変形の幅寸法Eを越えて大きくする場合よりも低減できるから、前記各リード端子のうち外側に位置する四本のリード端子2a,2b,3b,3dにおける実装面の内側端を、正しく半円形にすることができる。
【0050】
前記した実施の形態は、一つの電子部品1に、第1リード端子と第2リード端子とで構成される組を二組設ける場合であったが、本発明は、これに限らず、一つの電子部品に、第1リード端子と第2リード端子とで構成される組の一組を設ける場合は勿論のこと、前記組を三組以上の複数組を設ける場合にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態による電子部品を平断面図である。
【図2】図1のII−II視断面図である。
【図3】図1のIII −III 視断面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】第1の実施の形態による製造方法における第1の工程を示す図である。
【図6】第1の実施の形態による製造方法における第2の工程を示す図である。
【図7】図6のVII −VII 視拡大断面図である。
【図8】図6の要部拡大図である。
【図9】第1の実施の形態による製造方法における第3の工程を示す図である。
【図10】第2の実施の形態による製造方法における第1の工程を示す図である。
【図11】第2の実施の形態による製造方法における第2の工程を示す図である。
【図12】第3の実施の形態による製造方法における第1の工程を示す図である。
【図13】第3の実施の形態による製造方法における第2の工程を示す図である。
【図14】従来における電子部品の縦断正面図である。
【図15】図14のXV−XV視平断面図である。
【図16】図14の底面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子部品
2a,2b 第1リード端子
3a,3b,3c,3d 第2リード端子
4a,4b アイランド部
5a,5b,5c,5d ボンディング部
6a,6b 半導体素子
7a,7b,7c,7d 金属線
8 パッケージ体
8a,8b パッケージ体の側面
8c パッケージ体の下面
9a,9b 実装面
10a,10b,10c,10d 実装面
13 リードフレーム
14,15 抜き孔
16 補助抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組を構成する第1リード端子及び第2リード端子と、前記第1リード端子の先端に一体に設けたアイランド部の上面にダイボンディングした半導体素子と、この半導体素子と前記第2リード端子の先端に一体に設けたボンディング部の上面とを電気的に接続する金属線と、前記アイランド部及び前記ボンディング部の部分を密封する合成樹脂製のパッケージ体から成る電子部品において、
前記第1リード端子におけるアイランド部、及び前記第2リード端子におけるボンディング部を、その各々におけるリード端子のうち前記パッケージ体内の部分を当該アイランド部及びボンディング部の上面をリード端子の上面と同一平面又は略同一平面した状態でその下面側からの厚さを薄くて幅を広くする塑性変形にて形成する一方、前記第1リード端子及び第2リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分を、前記パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出することを特徴とする面実装型電子部品。
【請求項2】
リードフレームの一部をその下面側から凹ませるように塑性変形する工程と、前記リードフレームを打ち抜き加工することによって、一組を構成する第1リード端子及び第2リード端子を、これら各リード端子が前記両抜き孔を結ぶ線に対して横方向に延び、第1リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のアイランド部を備え第2リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のボンディング部を備えた形態にして形成する工程と、前記第1リード端子のアイランド部の上面に半導体素子をダイボンディングし、この半導体素子と前記第2リード端子のボンディング部の上面との間を金属線にてワイヤボンディングする工程と、前記第1リード端子におけるアイランド部及び第2リード端子におけるボンディング部を合成樹脂製のパッケージ体にて、前記各リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分が当該パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出した状態に密封する工程と、前記各リード端子のうち前記パッケージ体から突出する部分を切断する工程とから成ることを特徴とする面実装型電子部品の製造方法。
【請求項3】
リードフレームに二つの抜き孔を適宜間隔を隔てて穿設する工程と、前記リードフレームのうち前記両抜き孔間の部分を、その下面側から凹ませるように塑性変形する工程と、前記リードフレームを打ち抜き加工することによって、複数組を構成する第1リード端子及び第2リード端子の複数本を、これら各リード端子が前記両抜き孔を結ぶ線に対して横方向に延び、各第1リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のアイランド部を備え各第2リード端子のうち前記塑性変形した部分に厚さが薄くて幅広のボンディング部を備えた形態にして形成する工程と、前記各第1リード端子におけるアイランド部の上面に半導体素子をダイボンディングし、この半導体素子と前記各第2リード端子のうち当該半導体素子を備えた第1リード端子とで一組を構成する第2リード端子におけるボンディング部の上面との間を金属線にてワイヤボンディングする工程と、前記各第1リード端子のアイランド部及び各第2リード端子のボンディング部を合成樹脂製のパッケージ体にて、前記各リード端子の下面のうち前記塑性変形していない部分が当該パッケージ体の下面に半田付け用実装面として露出した状態に密封する工程と、前記各リード端子のうち前記パッケージ体から突出する部分を切断する工程とから成ることを特徴とする面実装型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記請求項3の記載において、前記リードフレームをその下面から凹ませるように塑性変形する工程よりも前に、前記リードフレームのうち前記各リード端子の間の部分に、補助抜き孔を穿設する工程を備えていることを特徴とする面実装型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記請求項3の記載において、前記リードフレームに穿設する二つの抜き孔における内幅寸法のうち前記各リード端子の長手方向に沿った内幅寸法を、前記リードフレームを凹ませるように塑性変形するときにおける幅寸法を越えない寸法にすることを特徴とする面実装型電子部品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−13001(P2006−13001A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185467(P2004−185467)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】