説明

面状発熱ユニット体およびこれを用いた暖房器具

【課題】均等な熱エネルギーの放散が可能で、温度を制御することもできる面状発熱ユニット体およびこれを用いた暖房器具を提供する。
【解決手段】一対の電極部4,5と、通電されてジュール熱を発生させる発熱性金属フィルムの抵抗発熱部6と、熱を発生しない複数の受熱部7とからなる熱放散部2が形成され、抵抗発熱部6は、2つの側部通電部6aと、この両側部通電部6aに対しこれらの間に平行に配設された複数の中間通電路6bと、側部通電路6aと中間通電路6bとの端部間および中間通電路6bの各端部間をそれぞれ接続する連結通電路6cとからなる通電経路パターンに形成されている。受熱部7は、各側部通電路6aから突出する配置と、中間通電路6bから突出する配置とで多数設けられている。暖房器具は、面状発熱ユニット体Hを収容部材の保持凹所に嵌め入れて、保持凹所を放熱板部材で密封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電して抵抗発熱させることで熱放散するようになった薄いシート状の面状発熱ユニット体およびこれを用いて構成した小型で所望の箇所に取り付けできる暖房器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の面状発熱ユニット体は、通電することによりジュール熱の発生が可能な電気抵抗を有する発熱性金属フィルムを、電気絶縁性耐熱フィルムに貼り付けたのち、発熱性金属フィルムの表面に光レジストを図5に示すパターンにスクリーン印刷で塗布し、続いて、発熱性金属フィルムにおける光レジストの塗布面に対し光照射することにより、パターンの部分を硬化させ、且つパターン以外の部分を溶かすエッチングを行う手順で製作されている。この面状発熱ユニット体は、電気絶縁性耐熱フィルムと発熱性金属フィルムの積層物により、一対の電極部30,31と、一方の電極部30から一方向に向け所定長さだけ直線状に延びたのちに360°向きを変換して他方向に向け所定長さだけ直線状に延びるパターン形状を複数回繰り返して他方の電極部31に接続された所定幅の抵抗発熱部32とを有するパターンに形成されている。
【0003】
上記面状発熱ユニット体は、両電極部30,31間に直流電力または交流電力を通電することにより、抵抗発熱部32にジュール熱が発生して熱放散し、この放散される熱エネルギーにより被加熱物を加熱できるものであり、複数を縦横に並べて配置することにより、パネルヒータを構成することができる。この面状発熱ユニット体は、薄いシート状であることから、設置スペースが小さくてよく、他の発熱用のものと比較して、クリーンな熱源である上に熱効率が高く、しかも、安全性が高く、且つ騒音がなく、清浄な雰囲気で処理できる種々の利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記面状発熱ユニット体は、抵抗発熱体32が、方向転換して交互に反対方向に延びるパターン形状になっているため、互いに反対方向に延びて隣接する各2つの直線帯状部分の間にそれぞれ隙間33が存在し、この隙間の部分からは、ジュール熱が発生しないことから、熱エネルギーが殆ど放散されない。したがって、この面状発熱ユニット体の全体を見た場合には、熱エネルギーの放散が不均等になる課題がある。また、上記面状発熱ユニット体は、抵抗発熱部32のジュール熱の発生に伴う温度を制御する手段がない課題もある。
【0005】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたもので、全体にわたり均等に熱エネルギーを放散させることができ、その熱エネルギーの温度を制御することもできる面状発熱ユニット体およびこれを用いて構成した小型で任意の箇所に取り付け可能な暖房器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の面状発熱ユニット体は、電気絶縁板の一面に、ジュール熱を発生させることが可能な電気抵抗を有する発熱性金属フィルムにより、一対の電極部と、この電極部を介して通電されることによりジュール熱を発生する抵抗発熱部とジュール熱を発生しない複数の受熱部とからなる熱放散部が形成され、前記抵抗発熱部は、前記電極部から直線状に延びる二つの側部通電路と、この両側部通電路に対しこれらの間に平行に配設された複数の中間通電路と、互いに隣接する前記側部通電路と中間通電路との端部間および互いに隣接する2つの前記中間通電路の各端部間をそれぞれ接続する連結通電路とからなる通電経路を有するパターンに形成され、前記各受熱部は、前記各側部通電路から相対向する前記中間通通電路へ向けて突出する配置と、前記各中間通電路から相対向する前記中間通通電路へ向けて突設する配置とで多数設けられていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明の面状発熱体は、前記電気絶縁板の他面に、電気導電性フィルムにより、前記抵抗発熱部の温度を制御する温度制御回路が形成された制御回路部が設けられている。
【0008】
請求項3に係る発明の面状発熱ユニット体を用いた暖房器具は、請求項1または2に記載の面状発熱体が耐熱性の収容部材の保持凹所に嵌め入れられ、この収容部材の保持凹所が、耐熱性および赤外線透過性を有する放熱板部材で密封され、前記面状発熱体を密封状態に保持する前記収容部材および発熱板部材が外装ケースの内部に収納されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、電極部から通電されることにより、抵抗発熱部にジュール熱が発生し、各受熱部7は、通電経路が形成されていないことから、ジュール熱が発生しないが、抵抗発熱部6の通電経路において発生した熱エネルギーが熱伝導されることにより加熱されるので、抵抗発熱部および受熱部を含む熱放散部の全体から熱放散されることになる。また、抵抗発熱部の通電経路を構成する側部通電路および中間通電路では、受熱部に対し自体の熱エネルギーが熱伝導された分だけ熱エネルギー強度が低減して、熱伝導された受熱部とほぼ同程度の熱エネルギー強度となる結果、熱放散部からは、全体にわたりほぼ均一な表面温度となるのに伴って全体にわたり均等な強度の熱エネルギーが放散される。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、制御回路部は、温度センサが検出した温度を制御信号として温度調整部に供給して、電極部に供給される電力を温度の工程に応じて増減することにより、抵抗発熱部の温度を設定値に保持するように調整することができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、面状発熱ユニット体から熱放散された熱エネルギにより温められた空気が外部に放出されるのを放熱用部材により防止しているので、面状発熱ユニット体は、自体の表面温度が効率的に上昇し、この温度上昇に伴って放射熱エネルギが大きくなる。これにより、面状発熱ユニット体に小さな供給電力を供給するだけで、比較的大きな放射熱エネルギを発生させることができるとともに、面状発熱ユニット体を熱発生源として構成していることから、極めてコンパクトな外形を有するものとなるので、所望の箇所に簡単に取り付けて、効果的な暖房効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る面状発熱ユニット体Hを示す平面図、図2は図1のA−A線に沿って切断した拡大断面図である。この面状発熱ユニット体Hは、図2に示すように、ポリイミドなどの電気絶縁体からなる電気絶縁板1を担持体として、この電気絶縁板1の一面(図の上面)に、通電することによりジュール熱の発生が可能な電気抵抗を有する発熱性金属フィルムをエッチングして後述するパターンに形成された熱放散部2が設けられているとともに、電気絶縁性フィルム1の他面(図の下面)に、銅などの電気導電性フィルムをエッチングして所定のパターンに形成された制御回路部3が設けられている。この実施の形態では、電気絶縁板1の厚さD1が100μm、熱放散部2の厚さD2が30μm、制御回路部3の厚さD3が16μmに設定されている。
【0013】
図1に示すように、熱放散部2は、一対の電極部4,5、抵抗発熱部6および多数の受熱部7とを有している。抵抗発熱部6は、両電極部4,5から一方向(図の右方向)に直線状に延びる側部通電路6aと、この両側部通電路6aの間において一定間隔で平行に配置された中間通電路6bと、互いに隣接する側部通電路6aと中間通電路6bの各々の端部を互いに接続する連結通電路6cとを有している。すなわち、抵抗発熱部6は、一方の電極部4から一方向に向け所定長さの側部通電路6aが直線状に延び、この側部通電路6aの端部が連結通電路6cを介し一方の中間通電路6bに接続されて向きを360°変換し、この中間通電路6bの端部が連結通電路6cを介し他方の中間通電路6bに接続されて向きを360°変換し、さらに、他方の中間通電路6bの端部が連結通電路6cを介し側部通電路6aに接続されて他方の電極部5に至る通電パターンに形成されている。なお、中間通電路6bおよび連結通電路6cの数は任意に増減して形成することができる。また、側部通電路6a、中間通電路6bおよび連結通電路6cの各幅は、この実施の形態において3mmに設定されている。
【0014】
多数の受熱部7は、何れもほぼ長方形状を有し、各側部通電路6aから幅狭の接続路6dを介して相対向する中間通通電路6bへ向けて突設されているとともに、両各中間通電路6bから幅狭の接続路6dを介して相対向する中間通通電路6bへ向けて突設されている。互いに隣接する側部通電路6aおよび中間通通電路6bからそれぞれ突設される受熱部7および両中間通電路6b,6bからそれぞれ突設される受熱部7は、互いに交互となる齟齬状の配置となっている。また、図2の制御回路部3には、温度センサおよび所要の電子部品が搭載されて、温度制御回路が構成されている。
【0015】
この面状発熱ユニット体Hは、熱放散部2の一対の電極部4,5間に直流電力または交流電力を通電すると、抵抗発熱部6の通電経路を構成する側部通電路6a、中間通電路6bおよび連結通電路6cに電流が流れて、ジュールの法則により単位時間当たりIR(Iは電流、Rは抵抗)ワットのジュール熱が抵抗発熱部6に発生する。一方、各受熱部7は、通電経路が形成されていないことから、電圧が印加されるだけであって電流が流れないので、ジュール熱が発生しない。しかし、各受熱部7は、抵抗発熱部6の通電経路において発生した熱エネルギーが接続路6dを通じて熱伝導されることにより、加熱される。したがって、この面状発熱ユニット体Hでは、抵抗発熱部6および受熱部7を含む熱放散部2の全体から熱放散されることになる。
【0016】
さらに、抵抗発熱部6の通電経路を構成する側部通電路6aよび中間通電路6bでは、受熱部7に対し自体の熱エネルギーが熱伝導された分だけ熱エネルギー強度が低減して、熱伝導された受熱部7とほぼ同程度の熱エネルギー強度となる。しかも、上述のように、互いに隣接する側部通電路6aおよび中間通通電路6bからそれぞれ突設される受熱部7および両中間通電路6b,6bからそれぞれ突設される受熱部7は、互いに交互となる齟齬状の配置となっているから、側部通電路6aよび中間通電路6bからは、全て同等の熱エネルギーが受熱部7に対し熱伝導される。その結果、熱放散部2は全体にわたりほぼ均一な表面温度となることから、熱放散部2からは全体にわたり均等な強度の熱エネルギーが放散される。さらに、制御回路部3は、温度センサが検出した温度を制御信号として温度調整部に供給して、電極部4,5に供給される電力を温度の高低に応じて増減することにより、抵抗発熱部6の温度を設定値に保持するように調整する。また、抵抗発熱部6および受熱部7は、熱容量の小さい発熱性金属フィルムにより形成されているから、小さな電力の供給で高い温度が得られる利点がある。
【0017】
熱放散部2の熱エネルギーは電磁放射により遠赤外線にエネルギー変換されて放射されるととともに、熱放散部2の温度を制御回路部3によって任意に設定することができる。そのため、この面状発熱ユニット体Hを縦横に並べて複数配置することにより、全体にわたり均等に遠赤外線を放射する良好な赤外線ヒータやパネルヒータなどの暖房器具を構成することができる他に、植物の光合成を促進して生育を促す用途にも好適に用いることができる。さらに、この面状発熱ユニット体Hは、全体にわたり均等な熱エネルギーを放散するので、柔軟性を得るために複数の素材を積層して製作される各種カードの製作過程における熱溶着工程の加熱手段として用いれば、貼りむらなく、且つ短時間で溶着できる顕著な効果が得られる。従来では、上記溶着工程の加熱手段として、油や蒸気の熱を利用していたため、貼りむらが発生する上に、長時間を要する課題があった。
【0018】
この面状発熱ユニット体Hの製作に際しては、図1に二点鎖線で示すように矩形状の電気絶縁板1の一面に、通電することによりジュール熱の発生が可能な電気抵抗を有する発熱性金属フィルムを貼り付けるとともに、電気絶縁板1の他面に、銅などの電気導電性フィルムを貼り付けたのち、光レジストを、発熱性金属フィルムおよび電気導電性フィルムの各表面にそれぞれ熱放散部2および制御回路部3のパターンにスクリーン印刷で塗布し、続いて、発熱性金属フィルムおよび電気導電性フィルムにおける光レジストの塗布面に対し光照射することにより、各々のパターンの部分を硬化させ、且つパターン以外の部分を溶かすエッチングを行う手順で行われる。
【0019】
図3は前記実施の形態の面状発熱ユニット体Hを用いて構成した本発明の一実施の形態に係る暖房器具8を示す分解斜視図である。この暖房器具8は、互いに合体されて外装用ケーシングを構成する本体ケース9と蓋ケース10とを備えている。この本体ケース9および蓋ケース10はそれぞれ耐熱性素材、例えばABS樹脂などで形成されている。本体ケース9は、暖房器具8の裏面側を構成するものであって、着脱自在または簡単に取り付けるできる周知の取付手段(図示せず)が、底面または側面に取り付けられる。また、本体ケース9の一側部には、面状発熱ユニット体Hの一対の電極部4,5を挿通させるための切欠き部9aが形成されている。蓋ケース10は、本体ケータ9を施蓋する他に、放熱用の機能を兼備するものであって、多数の放熱用スリット10aが形成されている。この放熱用スリット10aは、図示の便宜上、比較的広い幅に図示しているが、実用化に対しては、可及的に狭い幅で、且つ意匠面の向上を図れる曲線形状とするのが好ましい。
【0020】
この暖房器具8は、上述の実施の形態で説明した面状発熱ユニット体Hを用いて構成されるもので、一対の電極部4,5はコネクタに接続されている。なお、図3では、面状発熱ユニット体Hについて図1および図2において詳述したことと、複雑化を避けるための図示の便宜上とから、面状発熱ユニット体Hとして、熱放散部2、電機絶縁板1および制御回路部3のうちの熱放散部2のみを図示してあり、さらに、熱放散部2として、図1に示した受熱部7および接続路6dの図示を省略して抵抗発熱部6のみを図示している。この面状発熱ユニット体Hは、耐熱性および断熱性を有する素材、例えばフェノール樹脂発泡体で形成された収容部材12の保持凹所12aに嵌め入れて保持される。したがって、保持凹所12aは、面状発熱ユニット体Hの平面視形状に対応した溝形状に形成されている。なお、面状発熱ユニット体Hの受熱部7および接続路6dの図示を省略したのに伴って、保持凹所12aにおいても受熱部7および接続路6dを嵌め入れる形状の図示を省略している。
【0021】
収容部材12は、保持凹所12aに面状発熱ユニット体Hを嵌め入れた状態で、枠状の端面に放熱板部材13が密着状態に固着される。したがって、面状発熱ユニット体Hは、収容部材12と放熱板部材13との間に密封状態に保持される。放熱板部材13は、耐熱性および遠赤外線透過性を有する素材により平板状に形成されている。放熱板部材13の形成素材としては、この暖房器具8の発熱温度が70℃以下の場合にポリカーボネイトなどを用いるのが好ましく、発熱温度が150℃〜200℃の場合に耐熱ガラスを用いるのが好ましく、発熱温度が200℃異常の場合に雲母または石英ガラスなどを用いるのが好ましい。
【0022】
この暖房器具8は、図4(a)に示すように、極めてコンパクトな形状となり、その内部構造は、図4(b)に示すように、本体ケース9と蓋ケース10とが互いに合体された外装ケーシングの内部に、面状発熱ユニット体Hが収容部材12と放熱板部材13との間に密封された状態で収容されている。これにより、面状発熱ユニット体Hと放熱板部材13との間には、密封された狭い保熱空間14が形成される。また、面状発熱ユニット体Hの電極部4,5が接続されたコネクタ11が本体ケース9と蓋ケース10の外面に固定されている。
【0023】
この暖房器具8は、一対の電極部4,5間に直流電力または交流電力を通電すると、面状発熱ユニット体Hから熱放散された熱エネルギにより温められた空気が密封状態の保熱空間14内に閉じ込められる。すなわち、この暖房器具8では、面状発熱ユニット体Hの表面の空気の対流による熱放散を確実に防止している。そのため、面状発熱ユニット体Hは、自体の表面温度が効率的に上昇し、この温度上昇に伴って放射熱エネルギが大きくなる。これにより、この暖房器具8は、面状発熱ユニット体Hに小さな供給電力を供給するだけで、比較的大きな放射熱エネルギを発生させることができ、この放射熱が放熱板部材13を透過したのち蓋ケース10の各放熱用スリット10aから外部に放出される。また、この暖房器具8は、面状発熱ユニット体Hを熱発生源として構成していることから、図4(a)に示すように極めてコンパクトな外形を有するものとなるので、例えば、机の天板部の裏面に取り付ければ、椅子に座ったときに人体の膝周辺を直接的に温めることができ、また、トイレなどのエアコンを取り付け難い比較的狭い空間の壁面にも簡単に取り付けて暖房の用途に用いることができる。
【0024】
本発明は、前記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この面状発熱体は、熱放散部の全体にわたり均等な熱エネルギーを電磁放射により遠赤外線にエネルギー変換して放射できるとともに、熱放散部2の温度を制御回路部3によって任意に設定することができるので、この面状発熱ユニット体Hを縦横に並べて複数配置することにより、全体にわたり均等に遠赤外線を放射する良好な赤外線ヒータやパネルヒータなどの暖房器具を構成することができる他に、植物の光合成を促進して生育を促す用途や、柔軟性を得るために複数の部材を積層して製作される各種カードの製作過程における溶着工程の加熱手段としても好適に用いることができる。また、この面状発熱ユニットを用いた暖房器具は、面状発熱ユニットから熱放散された熱エネルギにより温められた空気を密封空間内に閉じ込めて、面状発熱ユニット体の表面の空気の対流による熱放散を防止しているので、面状発熱ユニット体の表面温度が効率的に上昇し、この温度上昇に伴って放射熱エネルギが大きくなるので、面状発熱ユニット体に小さな供給電力を供給するだけで比較的大きな放射熱エネルギを発生させることができるとともに、極めてコンパクトな外形となるので、所望の箇所に容易に取り付けて暖房することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る面状発熱ユニット体を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断した拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る面状発熱ユニット体を用いた暖房器具を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は同上の暖房器具の斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿って切断した拡大断面図である。
【図5】従来の面状発熱ユニット体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
H 面状発熱ユニット体
1 電気絶縁板
2 熱放散部
3 制御回路部
4,5 電極部
6 抵抗発熱部
6a 側部通電部
6b 中間通電部
6c 連結通電部
7 受熱部
8 暖房器具
9 本体ケース(外装ケース)
10 蓋ケース(外装ケース)
12 収容部材
12a 保持凹所
13 放熱板部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁板の一面に、ジュール熱を発生させることが可能な電気抵抗を有する発熱性金属フィルムにより、一対の電極部と、この電極部を介して通電されることによりジュール熱を発生する抵抗発熱部と、ジュール熱を発生しない複数の受熱部とからなる熱放散部が形成され、
前記抵抗発熱部は、前記電極部から直線状に延びる二つの側部通電部と、この両側部通電部に対しこれらの間に平行に配設された複数の中間通電路と、互いに隣接する前記側部通電路と中間通電路との端部間および互いに隣接する2つの前記中間通電路の各端部間をそれぞれ接続する連結通電路とからなる通電経路を有するパターンに形成され、
前記受熱部は、前記各側部通電路から相対向する前記中間通電路へ向けて突出する配置と、前記中間通電路から相対向する前記中間通電路に向けて突出する配置とで多数設けられていることを特徴とする面状発熱ユニット体。
【請求項2】
前記電気絶縁板の他面に、電気導電性フィルムにより、前記抵抗発熱部の温度を制御する温度制御回路が形成された制御回路部が設けられている請求項1記載の面状発熱ユニット体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の面状発熱ユニットが耐熱性の収容部材の保持凹所に嵌め入れられ、この収容部材の収容凹所が、耐熱性および赤外線透過性を有する放熱板部材で密封され、
前記面状発熱ユニット体を密封状態に保持する前記収容部材および発熱板部材が外装ケースの内部に収納されていることを特徴すとる暖房器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−15961(P2010−15961A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196995(P2008−196995)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(508230248)
【出願人】(508230329)
【Fターム(参考)】