説明

面発光レーザ

【課題】 波長の安定化、光共振器の損失低減、冷却効率の改善を実現する。
【解決手段】 波長制御用のダイヤフラム上に設けられた第1の光学多層膜と、第2の光学多層膜とを活性層を介して対向させることにより、この第1および第2の光学多層膜により光共振器を形成する面発光レーザにおいて、前記第1の光学多層膜と前記活性層との間に形成された空間と、この空間に介在する液体とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光レーザに関し、詳しくは、面発光レーザの波長安定化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の面発光レーザの一例を示す構成断面図である(例えば、特許文献1参照)。図12において、分離層19が、下部DBR層12や活性層14からなる化合物半導体の表面上に新たに形成される。また、分離層19は、電気的な絶縁を行うものであり、例えば、pn接合層または高抵抗層である。
【0003】
屈折率制御部20が、下部DBR層12、誘電体多層膜ミラー17とで形成される光共振器内部のエアギャップAGに接して新たに設けられる。また、屈折率制御部20は、n型のコンタクト層21、多重量子井戸層22、p型のコンタクト層23、屈折率制御用の上部電極24、屈折率制御用の下部電極25を有する。
【0004】
n型のコンタクト層21は、分離層19の上に形成される。なお、この分離層19によってレーザ光を発光する化合物半導体と屈折率制御部20とが電気的に絶縁されている。多重量子井戸層22は、n型のコンタクト層21の上に形成される。ここで、多重量子井戸層22は、屈折率制御層である。また、多重量子井戸層22の吸収波長は、活性層14の吸収端波長よりも短波長側になる。つまり、多重量子井戸層22は、活性層14の発振波長に対して、透明になるバンドギャップをもつ。
【0005】
p型のコンタクト層23は、多重量子井戸層22の上に形成される。屈折率制御用の上部電極24は、レーザ光を取り出すための中央部が取り除かれp型のコンタクト層23の上に形成される。屈折率制御用の下部電極25は、メサ加工されて多重量子井戸層22、p型のコンタクト層23が取り除かれたn型のコンタクト層21の周辺部の上に形成される。
【0006】
次に、面発光レーザの動作を説明する。
先ず、レーザを発光させる動作について説明する。
上部電極16と下部電極25との間に電圧が印加されると上部電極16から、上部スペーサ層15、活性層14、下部スペーサ層13、下部DBR層12およびn型のInP基板11を通り下部電極25まで電流が流れる。
【0007】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層14において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、光共振器で光増幅されてn型のInP基板11の取り出し口、つまりn型のInP基板11の裏側からレーザ光として出射される。
【0008】
なお、注入された電流は上部電極16から下部電極18に向かって流れるので、発光領域である活性層14の上下方向から注入されているが、発光領域の横方向から電流を注入しても構わない。
【0009】
このように、化合物半導体のn型のInP基板11上に形成された下部DBR層12と、活性層14の上側にエアギャップAGを介して貼り合わせた誘電体多層膜ミラー17とで光共振器を形成し、面発光レーザとして機能させている。
【0010】
次に、発振波長変更する動作を説明する。
MEMSによって誘電体多層膜ミラー17を上下方向に移動させて光共振器の間隔を変化させ発振波長を変更している。
【0011】
次に、図13において、面発光レーザの従来例を説明する。図13は、従来の面発光レーザのその他の例を示す構成断面図である。
絶縁層は、ダイヤフラム5の移動量を測定するため中央部が取り除かれチップ8の上に形成される。従って、チップ8の上に中央部が取り除かれた絶縁層7a及び7b、この中央部が取り除かれた部分を下部ギャップ9とし、チップ8の上に絶縁層7aおよび絶縁層7bおよび下部ギャップ9を介してダイヤフラム5が形成され、その上に第1の光学多層膜4が形成される。
また、ダイヤフラム5上に設けられた第1の光学多層膜4と、第2の光学多層膜2とを活性層3および上部ギャップ10を介して対向させることにより、この第1光学多層膜4および第2の光学多層膜2により光共振器が形成される。従って、チップ1の上に第2の光学多層膜2、活性層3が形成される。
【0012】
このような図13に示す従来例の動作を説明する。
図示しないダイヤフラム5の上にある電極に電圧を加えると、静電気力が発生する。この静電気力を駆動力としてダイヤフラム5が下に移動し、元の状態に戻る動作をすることにより、第1の光学多層膜4および第2の光学多層膜2の距離が変化することにより、光共振器長、つまり光共振器の間隔が変化し、レーザ発振波長が変化する。つまり、第1の光学多層膜4および第2の光学多層膜2の間隔を変えることが出来る。
【0013】
【特許文献1】特開2005−222968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、このような面発光レーザには、次のような問題点があった。
【0015】
ダイヤフラムが空気中に置かれることにより、ダイヤフラム振動のダンピング特性が悪くなるという問題がある。
【0016】
また、ダイヤフラムが空気中に置かれることにより、ダイヤフラムが振動し、レーザ発振スペクトルの線幅が増加するという問題がある。
【0017】
また、光共振器の一部がチップの外にあるという問題がある。
【0018】
また、レーザ活性層が空気と接することにより、放熱がチップ内のみでしか行われないため、放熱特性が悪くなるという問題がある。
【0019】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の欠点をなくし、波長の安定化、光共振器の損失低減、冷却効率の改善を実現することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1では、波長制御用のダイヤフラム上に設けられた第1の光学多層膜と、第2の光学多層膜とを活性層を介して対向させることにより、この第1および第2の光学多層膜により光共振器を形成する面発光レーザにおいて、前記第1の光学多層膜と前記活性層との間に形成された空間と、この空間に介在する液体とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項2では、請求項1の面発光レーザにおいて、前記光共振器を内包する容器と、この容器内および前記空間内に充填された前記液体とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項3では、請求項1または2の面発光レーザにおいて、前記容器を貫通し、その容器内に達すると共に、中空に形成された電極用リードを有することを特徴とする。
【0023】
請求項4では、請求項1乃至3いずれかの面発光レーザにおいて、前記容器の内圧を一定に保持する安定化手段を有することを特徴とする。
【0024】
請求項5では、請求項4の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、前記容器内に配置された弾性球あるいは弾性中空球であることを特徴とする。
【0025】
請求項6では、請求項4の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、前記容器に形成される空気室であることを特徴とする。
【0026】
請求項7では、請求項4の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、前記電極用のリードに空気たまりがあることを特徴とする。
【0027】
請求項8では、請求項4の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、前記容器の外壁に形成される内圧安定化用ダイヤフラムであることを特徴とする。
【0028】
請求項9では、請求項4の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、少なくとも外壁の一部にベローズ形状を有する前記容器であることを特徴とする。
【0029】
請求項10では、請求項5の面発光レーザにおいて、前記安定化手段は、前記容器の内側または外側に突出するベローズであることを特徴とする。
【0030】
請求項11では、請求項1の面発光レーザにおいて、前記空間内に前記液体を保持するための保持手段を有することを特徴とする。
【0031】
請求項12では、請求項1の面発光レーザにおいて、前記液体は、空気と異なる屈折率を有することを特徴とする。
【0032】
請求項13では、請求項1乃至3いずれかの面発光レーザにおいて、前記液体は、絶縁性であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を説明すれば下記の通りである。
【0034】
光共振器の光路部分に液体を挿入することにより、波長を安定化し、光共振器の損失を低減し、冷却効率の改善をすることができる。
【0035】
また、容器に液体を挿入することで生じる環境温度に対する容器内の内圧変動を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を用いて、本発明の面発光レーザを説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の一実施例を示す構成図である。図において、前記図13と同様のものは同一符号を付して示す。
【0038】
図1に示すように、面発光レーザにおいて、先ず、チップ8の上には絶縁層7a、7bが形成され、レーザ光を取り出すため下部ギャップ9に示す部分が取り除かれて絶縁層7a及び7bとなる。
【0039】
また、絶縁層7a及び7bの上にはダイヤフラム5が形成され、このダイヤフラム5の上に第1の光学多層膜4が形成されている。
【0040】
一方、チップ1上に第2の光学多層膜2が形成され、この第2の光学多層膜2の上に活性層3が形成されている。そして、第2の光学多層膜2と第1の光学多層膜4とを活性層3および上部ギャップ10を介して対向させている。
【0041】
また、接合用柱6は、活性層3とダイヤフラム5を接合している。
【0042】
また、第2の光学多層膜2および第1の光学多層膜4により光共振器が形成される。
【0043】
この光共振器の光路部分にオイルまたはその他の液体(以下、液体30とする。)を挿入する。
【0044】
また、液体30を光共振器の光路部分に挿入することにより、活性層3と第1の光学多層膜4との間に形成された空間が表面張力により保持されている。
【0045】
つまり、液体30は、表面張力によって接合した2つのチップ間を保持している。
【0046】
光路部分に液体30を挿入したことにより、ダイヤフラム5の振動を少なくすることができる。ダイヤフラム5が振動を少なくすることができることにより、スペクトル線幅の低減をすることができる。
【0047】
また、光共振器の光路部分に液体30を挿入することにより、チップ1とチップ8とを接合するため、冷却効果を向上することができる。
【0048】
また、光共振器の光路部分に液体30を挿入することにより、光共振器の損失を低減することができる。
【0049】
また、光共振器の光路部分に液体30を挿入することにより、外部からの衝撃による揺れが生じたとしても液体30により振動が抑制される。つまり、ダイヤフラム5の振動を制振することができる。
【0050】
なお、液体30は、光路部分にのみ挿入してもよい。
【0051】
次に、本発明の第1の実施形態である面発光レーザの光共振器光路部分の液体封入構造を図2に基づいて説明する。
【0052】
図2は、第1の光学多層膜4と活性層3との間を形成する空間内に液体30を保持させるための保持手段を備えた構成図である。
【0053】
図2では、接合用柱6が保持手段として用いられている。
【0054】
つまり、接合用柱6は、図1の接合用柱6の役割である活性層3とダイヤフラム5とを接合し、かつ挿入する液体30の保持手段として用いられている。
【0055】
また、保持手段は、液体30の表面張力を考慮する場合、光共振器の光路部分を全て囲むのではなく、少なくとも一部を囲むようにすれば良い。
【0056】
保持手段があることにより、保持手段がない場合よりもより光共振器光路部分に挿入した液体30を保持することができるようになる。
【実施例2】
【0057】
図3は、本発明の一実施例を示す構成図である。図において、前記図1と同様のものは同一符号を付して示す。
【0058】
図3に示すように、実施例2では、実施例1の面発光レーザに容器31およびレーザ光取り出し口32を付加した。
【0059】
図3において、面発光レーザの容器31は、光共振器を含む面発光レーザを内包するものである。
【0060】
また、第2の光学多層膜2および第1の光学多層膜4により光共振器が形成される。
【0061】
液体30は、容器31および第1の光学多層膜4と活性層3との間を形成する空間内に充填される。
【0062】
面発光レーザを容器31で内包し、かつ液体30を第1の光学多層膜4と活性層3との間を形成する空間内に充填することにより、ダイヤフラム5振動のダンピング特性を改善することができる。
【0063】
また、光共振器光路部分を液体30で充填することにより、ダイヤフラム5の振動を少なくすることができる。ダイヤフラム5の振動を少なくすることができることにより、ダイヤフラム5の振動の原因となるレーザの出力光に乗るノイズを低減することができる。
【0064】
また、下部ギャップ9をレーザ光取り出し口32により大気に開放することにより、レーザ発光部の放熱特性が改善される。レーザ発光部の放熱特性が改善されることにより、レーザの発光出力を増やすことができる。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態である面発光レーザを内包した容器31への液体封入構造を図4に基づいて説明する。
【0066】
図4は、容器31を貫通し、その容器31の内側に達すると共に、中空に形成されている電極用のリード33およびこの電極用のリード33に液体30を充填するための液体封入口34を備えた構成図である。
【0067】
面発光レーザは、複数の電極用のリード33を有しているが、少なくともひとつの電極用のリード33を中空構造にすることにより、液体封入口34から面発光レーザを内包する容器31の内側に液体30を挿入することができる。
【0068】
また、中空に形成された電極用のリード33を用いて、容器31の内側を真空引きし、この真空引きした雰囲気中において、脱泡した液体30に電極用のリード33の先を付け、真空状態を破ることにより、容器31に液体30を挿入することができる。
【0069】
また、液体封入口34は、既存の電極用のリード33を中空にするため、別途液体封入口34を新たに作る必要がない。
【0070】
なお、液体封入口34は、液体30を容器31に挿入後、電極用のリード33の先を機械的に封じて切るか、あるいは半田付け等で封じる。
【実施例3】
【0071】
図5は、本発明の一実施例を示す構成図である。図において、前記図1と同様のものは同一符号を付して示す。
【0072】
図5に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段として弾性球35を付加した。
【0073】
図5において、弾性球35は、液体30が充填された容器31に挿入されている。
【0074】
また、弾性球35は、中空の弾性球でも良い。
【0075】
また、弾性球35の位置は、容器31の中であれば何処にあっても良い。
【0076】
液体30が充填されている容器31に弾性球35を挿入することにより、温度が上昇すると液体30が膨張し、弾性球35が圧縮され液体30の膨張を吸収し、圧力の増加を抑えることができる。
【0077】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、弾性球35が膨張し液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0078】
つまり、液体30が充填されている容器31に弾性球35を挿入することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0079】
図6に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段として空気室36を付加した。
【0080】
図6において、空気室36は、容器31に形成されている。
【0081】
また、空気室36の位置は、容器31と接続していれば何処にあっても良い。
【0082】
液体30が充填されている容器31に空気室36を接続することにより、温度が上昇すると液体30が膨張し、空気室36の空気が圧縮され液体30の膨張を吸収し、圧力の増加を抑えることができる。
【0083】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、空気室36の空気が膨張し液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0084】
つまり、液体30が充填されている容器31に空気室36を接続することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0085】
図7に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段として空気たまり37を付加した。
【0086】
図7において、図4で説明したように電極用のリード33に中空を形成し、この電極用のリード33の液体封入口34から液体30を容器31に挿入後、空気たまり37を設けるために、液体封入口34が封じられている。
【0087】
電極用のリード33に空気たまり37を設けることにより、温度が上昇すると、液体30が膨張し、空気たまり37の空気が圧縮され液体30の膨張を吸収することにより、圧力の増加を抑えることができる。
【0088】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、空気たまり37の空気が膨張し液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0089】
つまり、液体30が充填されている容器31に、この容器31を貫通し、容器31の内側に達すると共に、中空に形成された電極用のリード33に空気たまり37を接続することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0090】
図8に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段としてセンターダイヤフラム38を付加した。
【0091】
図8において、センターダイヤフラム38は、容器31の外壁に形成されている。
【0092】
また、センターダイヤフラム38の位置は、センターダイヤフラム38の片側が外界、もう一方の片側が容器31内の液体30に接していれば何処に設置しても良い。
【0093】
液体30が充填されている容器31の外壁に形成されているセンターダイヤフラム38を設けることにより、温度が上昇すると液体30が膨張し、センターダイヤフラム38が図8の点線の様にたわみ液体30の膨張を吸収することにより、圧力の増加を抑えることができる。
【0094】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、センターダイヤフラム38が図8の実線の様にたわみ、液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0095】
つまり、液体30が充填されている容器31の外側にセンターダイヤフラム38を形成することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0096】
なお、容器31の外壁には、容器31とこの容器31を塞ぐ板を含む。
【0097】
図9に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段としてベローズ付カン39を付加した。
【0098】
図9において、ベローズ付カン39は、容器31の一部がベローズ形状に形成されている。
【0099】
また、ベローズは、容器31の液体30と接していれば、容器31の何処のあっても良い。
【0100】
液体30が充填されている容器31の一部がベローズ形状に形成されているベローズ付カン39を用いることにより、温度が上昇すると液体30が膨張し、ベローズ付カン39のベローズが膨張し液体30の膨張を吸収することにより、圧力の増加を抑えることができる。
【0101】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、ベローズ付カン39のベローズが圧縮し、液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0102】
つまり、液体30が充填されている容器31の一部にベローズ付カン39を形成することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0103】
図10、図11に示すように、実施例3では、実施例1および2の面発光レーザに安定化手段としてベローズ40a、40bを付加した。
【0104】
図10、図11において、ベローズ40a、40bは、容器31の内側または外側に突出している。
【0105】
また、ベローズ40a、40bの位置は、何処にあっても良い。
【0106】
また、ベローズ40a、40bは、容器31の液体30と接していれば良い。
【0107】
液体30が充填されている容器31の内側または外側に突出しているベローズ40a、40bを用いることにより、温度が上昇すると液体30が膨張し、ベローズ40aのベローズが膨張し液体30の膨張を吸収することにより、圧力の増加を抑えることができる。
【0108】
一方、温度が下がると液体30が収縮し、ベローズ40bのベローズが圧縮し液体30の収縮を吸収することにより、圧力の減少を抑えることができる。
【0109】
つまり、液体30が充填されている容器31の内側または外側に突出することにより、容器31の内圧を環境温度に対して、安定化にすることができる。
【0110】
なお、上記の実施例では、空気と異なる屈折率である液体30を光共振器光路部分および容器31に挿入することにより、接合用柱6の長さに関わらず、面発光レーザの発振波長を変更することができる。
【0111】
また、液体30の圧力を変化させることにより、発振波長の微調を行なうことができる。
【0112】
また、液体30は、絶縁である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図6】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図7】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図8】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図9】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図10】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図11】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図12】従来の一例を示す構成図である。
【図13】従来の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0114】
1 チップ
2 第2の光学多層膜
3 活性層
4 第1の光学多層膜
5 ダイヤフラム
6 接合用柱
7a、7b 絶縁層
8 チップ
9 下部ギャップ
10 上部ギャップ
11 n型のInP基板
12 下部DBR層
13 下部スペーサ層
14 活性層
15 上部スペーサ層
16 上部電極
17 誘電体多層膜ミラー
18 下部電極
19 分離層
20 屈折率制御部
21 n型のコンタクト層
22 多重量子井戸層
23 p型のコンタクト層
24 上部電極
25 下部電極
30 液体
31 容器
32 レーザ光取り出し口
33 電極用のリード
34 液体封入口
35 弾性球
36 空気室
37 空気たまり
38 センターダイヤフラム
39 ベローズ付カン
40a、40b ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長制御用のダイヤフラム上に設けられた第1の光学多層膜と、第2の光学多層膜とを活性層を介して対向させることにより、この第1および第2の光学多層膜により光共振器を形成する面発光レーザにおいて、
前記第1の光学多層膜と前記活性層との間に形成された空間と、
この空間に介在する液体と
を有することを特徴とする面発光レーザ。
【請求項2】
前記光共振器を内包する容器と、
この容器内および前記空間内に充填された前記液体と
を有することを特徴とする請求項1記載の面発光レーザ。
【請求項3】
前記容器を貫通し、その容器内に達すると共に、
中空に形成された電極用リードを有することを特徴とする請求項2記載の面発光レーザ。
【請求項4】
前記容器の内圧を一定に保持する安定化手段を有することを特徴とする請求項2または3記載の面発光レーザ。
【請求項5】
前記安定化手段は、前記容器内に配置された弾性球あるいは弾性中空球であることを特徴とする請求項4記載の面発光レーザ。
【請求項6】
前記安定化手段は、前記容器に形成される空気室であることを特徴とする請求項4記載の面発光レーザ。
【請求項7】
前記安定化手段は、前記電極用のリードに空気たまりがあることを特徴とする請求項6記載の面発光レーザ。
【請求項8】
前記安定化手段は、
前記容器の外壁に形成される内圧安定化用ダイヤフラムであることを特徴とする請求項4記載の面発光レーザ。
【請求項9】
前記安定化手段は、少なくとも外壁の一部にベローズ形状を有する前記容器であることを特徴とする請求項4記載の面発光レーザ。
【請求項10】
前記安定化手段は、前記容器の内側または外側に突出するベローズであることを特徴とする請求項4記載の面発光レーザ。
【請求項11】
前記空間内に前記液体を保持するための保持手段を有することを特徴とする請求項1記載の面発光レーザ。
【請求項12】
前記液体は、空気と異なる屈折率を有することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の面発光レーザ。
【請求項13】
前記液体は、絶縁性であることを特徴とする請求項1乃至12いずれかに記載の面発光レーザ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−176970(P2009−176970A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14337(P2008−14337)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】