説明

音叉型圧電振動デバイス

【課題】 振動漏れを抑制して小型化が容易な音叉型圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】 パッケージ7の内部の前記ベース3上に音叉型圧電振動片2が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止された音叉型圧電振動デバイスにおいて、前記音叉型圧電振動片は、当該音叉型圧電振動片の基部より長く全長以内に寸法設定された脆性材からなるサポート材6と導電接合材を介して前記ベース上に電気機械的に接合され、前記サポート材は連結部とこの連結部の一端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部と当該2本の脚部間の切欠き部とが形成され、前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部、または前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部の基部側への延長線とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置した接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音叉型圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイスの一つとして、基部とこの基部から突出された2つの脚部を有する振動部とからなる音叉型水晶振動片(音叉型圧電振動片)を用いた音叉型水晶振動子がある(例えば、特許文献1参照。)。この音叉型水晶振動子は、例えば、正確なクロック周波数を得るためのものとして電子機器や携帯端末などに利用されている。
【0003】
上記したような音叉型水晶振動子は、そのパッケージがベースと蓋とから構成され、このパッケージ内部には、ベース上に導電接合材により接合して保持された音叉型水晶振動片が気密封止される。なお、導電接合材として、例えば、導電性樹脂接着剤、はんだ、バンプなどが用いられる。この導電接合材を用いて音叉型水晶振動片の基部とベースとが接合されることにより、音叉型水晶振動片に設けられた励振電極とベースに設けられた電極パッドとが導通状態とされる。
【特許文献1】特開2005−094724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、電子機器の小型化に伴って当該電子機器に備えられる音叉型圧電振動デバイスも同様に小型化がすすめられている。
【0005】
そこで、音叉型圧電振動デバイスに用いられている音叉型圧電振動片の小型化を図ることになる。この時、音叉型圧電振動片の寸法を小さくした場合であっても周波数を可変させずにその寸法を小さくする場合、振動部である脚部の寸法に対して保持部である基部の寸法をより制限して小型化することが実施されている。上記した従来の音叉型圧電振動デバイスでは、発振部(脚部)の振動が基部に伝わり基部から導電接合材を介してベースへ振漏れの影響が生じることがある。この振動漏れの影響により音叉型圧電振動デバイスの直列共振抵抗値が増加し電気的特性を劣化させることが懸念されている。これらは音叉型圧電振動片の小型化に伴って顕著となっている。例えば音叉型圧電振動片の基部の寸法が300μm以下に設定されたものでは保持の影響が受けやすくなり、振動漏れに対する対策が必要不可欠となっている。上記特許文献1では、これらの振動漏れ影響を軽減させるため手法として、音叉型圧電振動片の基部の一部に保持用腕部(枝部)を形成したものが提案されている。ところが、このような保持用腕部(枝部)を形成したものでは、音叉型圧電振動片の平面視的な面積が増大することが避けられない。結果としてベースの収納面積が増大し、音叉型圧電振動デバイスの小型化の阻害要因となっていた。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、脚部における振動が基部に伝わり基部からベースへ漏れるのを抑制することができるだけでなく小型化が容易な音叉型圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる音叉型圧電振動デバイスは、基部とこの基部の一端面から突出した複数の脚部と当該脚部間の切欠き部とが設けられた音叉型圧電振動片と、ベースと蓋とを接合することで構成されるパッケージとを具備しており、前記パッケージの内部の前記ベース上に音叉型圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止された音叉型圧電振動デバイスにおいて、前記音叉型圧電振動片は、当該音叉型圧電振動片の基部より長く音叉型圧電振動片の全長以内に寸法設定された脆性材からなるサポート材と導電接合材を介して前記ベース上に電気機械的に接合され、前記サポート材は連結部とこの連結部の一端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部と当該2本の脚部間の切欠き部とが形成され、前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部、または前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部の基部側への延長線とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置し、前記サポート材の各脚部先端部を前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極、または前記ベースの2つの接続電極とそれぞれ前記導電接合材により接合し、当該サポート材の他端部を前記導電接合材により前記ベースの2つの接続電極、または前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極と接合した。
【0008】
上記構成では、前記音叉型圧電振動片の脚部における振動(振動部の振動)が前記基部に伝わり前記基部から導電接合材を介してサポート材に伝わっても、サポート材で前記振動漏れを吸収して、前記ベースへ前記振動が漏れるのを抑制することが可能となる。その結果、発振周波数のバラツキや発振周波数偏差を抑制し、直列共振抵抗値の増加を抑制することが可能となる。
【0009】
具体的に、前記サポート材の一端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部の先端部で、前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極、または前記ベースの2つの接続電極とそれぞれ前記導電接合材を介して接合されているので、当該2つの接合点からサポート材の各脚部に伝わった音叉型圧電振動片の振動を均一に減衰させることができる。
【0010】
加えて、音叉型圧電振動片の基部より長く音叉型圧電振動片の全長以内に寸法設定されたサポート材の他端部にて前記導電接合材により、前記ベースの2つの接続電極、または前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極と接合されているとともに、前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部、または前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部の基部側への延長線とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置しているので、前記2つの接合点からの減衰振動がアンバランス状態で伝播することに起因する新たな不要振動が生じることもなく、より確実に振動を吸収し、ベースの接合点に向かって伝わるのを抑制することが可能となる。小型化を実現しながら振動部である音叉型振動片の脚部に悪影響を与えにくく設計が容易となる。特に、音叉型圧電振動片の基部より長く音叉型圧電振動片の全長より短く寸法設定することで、落下の衝撃により音叉型圧電振動片の脚部の先端部分とサポート材とが接触することによる不具合がなくなる。例えば音叉型圧電振動片の脚部の先端部分に存在する錘や電極材料などがサポート材に接触することで転写され周波数変動が生じることがない。
【0011】
また、本発明によれば、振動漏れ抑制機能を有したサポート材を音叉型圧電振動片とベースとの間に介在させているので、音叉型圧電振動片本体に振動漏れ抑制機構を形成する必要がなくなり、より簡易な構成で音叉型圧電振動片本体の平面視的な面積を縮小することができる。結果として収納スペースの面積がより縮小化されたベースを用いることができ、音叉型圧電振動デバイスの小型化を実現することができる。特に、前記サポート材部材の幅寸法が音叉型圧電振動片の幅寸法と同一とすることで、平面視的な面積の増大もなくなり、かつベースに対してサポート材と音叉型圧電振動片を相互に配置する際の位置決めや搭載が容易となり実用上好ましい。
【0012】
また、前記構成において、前記サポート材は連結部の他端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部と当該2本の脚部間の切欠き部とが形成され、前記サポート材の他端部の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置し、前記サポート材の一端部側の各脚部先端部を前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極とそれぞれと前記導電接合材により接合し、当該サポート材の他端部側の各脚部先端部を前記ベースの2つの接続電極とそれぞれ前記導電接合材により前記ベースと接合した。
【0013】
この場合、上述の作用効果に加えて、ベースの2つの接続電極はサポート材の他端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部の先端部で導電接合材を介して接合され、前記サポート材の他端部の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置しているので、音叉型圧電振動片の振動漏れをより減衰させるだけでなく、前記ベースの2つの接合点から伝わるベース外部の衝撃もサポート材の各脚部によって均一に減衰させることができる。
【0014】
また、前記構成において、前記サポート材の脚部の幅寸法が前記音叉型圧電振動片の脚部の幅寸法と同一か幅広に形成しもよい。この場合、上述の作用効果に加えて、音叉型圧電振動片の振動漏れ吸収効果が高まる。また、サポート材の脚部の幅寸法を幅広にすることで、サポート材と音叉型圧電振動片の両方の画像認識性が高まり、サポート材と音叉型圧電振動片を一体で搭載する際に位置精度が高まる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる音叉型圧電振動デバイスによれば、脚部における振動が基部に伝わり基部からベースへ漏れるのを抑制することができるだけでなく小型化が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、音叉型圧電振動デバイスとして音叉型水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。本実施例にかかる音叉型水晶振動子1(以下、水晶振動子という)では、図1〜5に示すように、フォトリソグラフィ法で成形された音叉型水晶振動片2(本発明でいう音叉型圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持する水晶やガラスなどの脆性材からなるサポート材6と、水晶振動片2とサポート材6をベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4と、が設けられている。
【0017】
この水晶振動子1では、ベース3と蓋4とからパッケージが構成され、ベース3と蓋4とが接合されてパッケージの内部空間が形成され、このパッケージの内部空間内のベース3上にサポート材6と導電接合材5を介して水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージの内部空間が気密封止される。なお、本実施例の導電接合材5としては、金を主材料とする金属バンプや金属メッキバンプ、あるいははんだや導電性樹脂接着剤を用いて電気機械的に接合されている。次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
【0018】
ベース3は、図1に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した壁部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部32は、底部31の表面外周に沿って成形されている。この壁部32の上面は、蓋4との接合領域であり、この接合領域には、蓋4と接合するための接合層33(例えば、タングステンメタライズ層上にニッケル,金の順でメッキした構成、または錫と金、錫と銀とからなる構成、またはガラス層)が設けられている。このベース3には、サポート材6のベース接続電極61,62と電気機械的に接合する接続電極33,34が形成されている。これら接続電極33,34は、ベース3の外周裏面に形成される外部端子電極35,36にそれぞれ電気機械的に接合されている。これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの外部端子電極および接続電極33,34は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極および外部接続電極のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0019】
蓋4は、金属材料やセラミック材料等からなり、図1に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋4は、下面に封止用接合材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接、ろう材やガラス等を雰囲気加熱する手法によりベース3に接合されて、蓋4とベース3とによる水晶振動子1のパッケージ7が構成される。なお、本実施例では、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された蓋4と、凹状に成形されたベース3とを用いているが、これに限定されるものではない。ベース3と蓋4とにより水晶振動片2を気密封止できれば、ベースと蓋の形状は任意に設定してもよい。
【0020】
水晶振動片2は、異方性材料の水晶片からエッチング形成された音叉型水晶振動片(音叉型圧電振動片)で、2本の脚部21,22と基部23と前記脚部間の切欠き部24から構成されてその外周形が略直方体形状からなり、同一幅寸法W1の2本の脚部21,22が基部23から突出して形成されている。また、水晶振動片2は、2本の脚部21,22の両主面には、水晶振動片2の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、凹部25を形成してもよい。この水晶振動片2の両主面には、図示しない異電位で構成された2つの励振電極と、これらの励振電極を後述するサポート材6の素子接続電極63,64に電気機械的に接合させるための接続電極26,27が形成され、当該接続電極26,27は励振電極から基部23に引き出されている。これらの励振電極や接続電極は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、素子側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはニッケル、金(Ni−Au)の順に積層して形成されている。
【0021】
また、サポート材6は、例えばZ板水晶片やATカット水晶片、ガラスなどの脆性材からなり、前記水晶振動片の基部23より長く水晶振動片の全長以内に寸法設定されている。本形態では水晶振動片の脚部中央付近まで延在させた寸法としており、前記サポート材は連結部65とこの連結部の一端部から突出した同一幅寸法W2の2本の脚部661,662と当該2本の脚部間の切欠き部663とが形成され、前記連結部65の他端部から突出した同一幅寸法W3の2本の脚部671,672と当該2本の脚部間の切欠き部673とが形成されている。また、これら各脚部の先端部には前記水晶振動片2とベース3とお互いに電気的機械的に接続するための接続電極が構成されている。より具体的には、脚部661,662の先端部を素子接合領域とし、それぞれ素子接続電極63,64が形成されており、脚部671,672の先端部をベース接合領域とし、それぞれベース接続電極61,62が形成されている。また、素子接続電極とベース接続電極をお互いに接続する接続電極68,69が形成されている。これらの接続電極は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、素子側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはニッケル、金(Ni−Au)の順に積層して形成されている。なお、本発明の実施形態では、サポート材6の幅寸法と水晶振動片2の幅寸法とほぼ同一としている。このため、平面視的な面積の増大もなくなり、かつベース3に対してサポート材6と水晶振動片2を相互に配置する際の位置決めや搭載が容易となり実用上好ましい。
【0022】
以上のように構成された前記ベース3の接続電極33,34と、サポート材の脚部671,672の先端部のベース接続電極61,62とが導電接合材5を介して電気的機械的に接合される。また、前記サポート材の脚部661,662の先端部の素子接続電極63,64と、水晶振動片2の基部23の接続電極26,27とが導電接合材5を介して電気的機械的に接合される。この際、前記サポート材6の切欠き部663と音叉型圧電振動片の切欠き部24の基部側への延長線とがお互いに重畳し、前記サポート材6の切欠き部673と音叉型圧電振動片の切欠き部24とがお互いに重畳するように前記ベース3上にサポート材6と水晶振動片2を配置している。加えて、サポート6の素子接続電極63,63の存在位置とベース接続電極61,62の存在位置が前記水晶振動片の基部23より長く、水晶振動片の脚部21,22中央付近までの寸法として設定している。
【0023】
その後、周波数調整工程やアニーリング工程などの必要な処理を行い、ベース3およびサポート6の上部に接合された水晶振動片2は、蓋4により気密封止される。蓋4の下面には封止用接合材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接、ろう材やガラス等を雰囲気加熱する手法によりベース3に接合されて、蓋4とベース3とによる水晶振動子1のパッケージ7が構成される。以上により本発明にかかる音叉型水晶振動子(音叉型圧電振動デバイス)が得られる。
【0024】
以上のように構成することで、前記水晶振動片2の脚部21,22における振動(振動部の振動)が前記基部23に伝わり前記基部23から導電接合材5を介してサポート材4に伝わっても、サポート材4で前記振動漏れを吸収して、前記ベース3へ前記振動が漏れるのを抑制することが可能となる。その結果、発振周波数のバラツキや発振周波数偏差を抑制し、直列共振抵抗値の増加を抑制することが可能となる。
【0025】
具体的に、水晶振動片の基部23の接続電極26,27はサポート材6の一端部から突出した同一幅寸法W2の2本の脚部661,662の先端部の素子接続電極63,64で導電接合材5を介して接合されているので、当該2つの接合点(接続電極26,27)からサポート材6の各脚部に伝わった水晶振動片の振動を均一に減衰させることができる。
【0026】
加えて、水晶振動片の基部23より長く水晶振動片の全長以内に寸法設定されたサポート材6の他端部から突出した同一幅寸法W2の2本の脚部671,672の先端部のベース接続電極61,62でベースの接続電極33,34で導電接合材5を介して接合され、前記サポート材6の切欠き部663と音叉型圧電振動片の切欠き部24の基部側への延長線とがお互いに重畳し、前記サポート材6の切欠き部673と音叉型圧電振動片の切欠き部24とがお互いに重畳するように前記ベース3上にサポート材6と水晶振動片2を配置しているので、前記2つの接合点(接続電極26,27)からの減衰振動がアンバランス状態で伝播することに起因する新たな不要振動が生じることもなく、より確実に振動を吸収し、ベース3の接合点(接続電極33,34)に向かって伝わるのを抑制することが可能となる。前記ベース3の2つの接合点(接続電極33,34)から伝わるベース外部の衝撃もサポート材の各脚部によって均一に減衰させることができる。なお、前記サポート材6の切欠き部663をより深く形成することで、音叉型圧電振動片の切欠き部24とお互いに重畳するように形成してもよい。この構成では前記振動漏れの吸収性能がより向上する。
【0027】
また、振動漏れ抑制機能を有したサポート材6を水晶振動片2とベース3との間に介在させているので、水晶振動片本体に振動漏れ抑制機構を形成する必要がなくなり、より簡易な構成で水晶振動片本体の平面視的な面積を縮小することができる。結果として収納スペースの面積がより縮小化されたベース3を用いることができ、音叉型水晶振動子(音叉型圧電振動デバイス)の小型化を実現することができる。
【0028】
また、前記サポート材6の脚部661,662の幅寸法W2、および脚部671,672の幅寸法W3が前記水晶振動片2の脚部21,22の幅寸法W1より幅広に形成しているので、水晶振動片2の振動漏れ吸収効果が高まるより好ましい形態となっている。また、本実施形態では前記サポート材6の脚部661,662の幅寸法W2と、脚部671,672の幅寸法W3とを同一寸法に形成しているが、前記サポート材6の脚部671,672の幅寸法W3を脚部661,662の幅寸法W2より幅広に形成してもよい。このように構成することで、水晶振動片、サポートの素子接合領域、サポートのベース接合領域に向かうにしたがって各脚部の幅寸法を段階的に幅広に形成され、振動漏れの吸収性能が高められる。
【0029】
なお、上記実施形態に限らず、前記サポート材の連結部の一端部から突出した同一幅寸法W2の2本の脚部661,662と当該2本の脚部間の切欠き部663のみを形成した構成とし、サポート材の他端部には脚部と切欠き部を形成しない構成としてもよい。この構成ではサポート材6と水晶振動片2の両方の画像認識性が高まり、サポート材6と水晶振動片2を一体で搭載する際に位置精度が高まる。前記サポート材の連結部の他端部から突出した同一幅寸法W3の2本の脚部671,672と当該2本の脚部間の切欠き部673のみを形成した構成とし、サポート材の一端部には脚部と切欠き部を形成しない構成としてもよい。この構成では水晶振動片2と接合されるサポート材6の一端部の機械的強度が低下することがないので、水晶振動片とサポート材の導電性接合材としてバンブを使用する構成により好ましい形態となる。
【0030】
また、前記サポート材6の脚部661,662の幅寸法W2と前記水晶振動片2の脚部21,22の幅寸法W1と同寸法に形成してよい。さらに前記サポート材の連結部65の一部に切り欠きや貫通孔、溝などの連結部の縮幅部を形成してもよい。この場合、振動漏れの吸収性能がさらに高められる。前記サポート材6の素子接合領域に使用する導電接合材を金属バンプ、または金属メッキバンプを選定し、前記サポート材のベース接合領域に使用する導電接合材をはんだ、または導電性樹脂接着剤から選定してもよい。この場合、サポート材と水晶振動片の接続領域を小さく強固なバンプにより一体構造として形成した後に、この一体物を加重の加わることのない導電性樹脂接着剤でベースと接合することができるので、小型化に対応させながらサポート材や水晶振動片の割れや欠けの影響が少ない組み立てが行える。
【0031】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態にかかる音叉型水晶振動子の分解斜視図。
【図2】図1の分解断面図。
【図3】図2の組み立てた状態の断面図。
【図4】本実施のサポート材と水晶振動片の平面図。
【図5】図4の底面図。
【0033】
1 水晶振動子(音叉型圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(音叉型圧電振動片)
3 ベース
4 蓋
5 導電接合材
6 サポート材
7 パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部とこの基部の一端面から突出した複数の脚部と当該脚部間の切欠き部とが設けられた音叉型圧電振動片と、ベースと蓋とを接合することで構成されるパッケージとを具備しており、前記パッケージの内部の前記ベース上に音叉型圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止された音叉型圧電振動デバイスにおいて、
前記音叉型圧電振動片は、当該音叉型圧電振動片の基部より長く音叉型圧電振動片の全長以内に寸法設定された脆性材からなるサポート材と導電接合材を介して前記ベース上に電気機械的に接合され、
前記サポート材は連結部とこの連結部の一端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部と当該2本の脚部間の切欠き部とが形成され、
前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部、または前記サポート材の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部の基部側への延長線とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置し、前記サポート材の各脚部先端部を前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極、または前記ベースの2つの接続電極とそれぞれ前記導電接合材により接合し、当該サポート材の他端部を前記導電接合材により前記ベースの2つの接続電極、または前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極と接合したことを特徴とする音叉型圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記サポート材は連結部の他端部から突出した同一幅寸法の2本の脚部と当該2本の脚部間の切欠き部とが形成され、
前記サポート材の他端部の切欠き部と音叉型圧電振動片の切欠き部とが重畳状態で前記ベース上にサポート材と音叉型圧電振動片を配置し、前記サポート材の一端部側の各脚部先端部を前記音叉型圧電振動片の基部の2つの接続電極とそれぞれと前記導電接合材により接合し、当該サポート材の他端部側の各脚部先端部を前記ベースの2つの接続電極とそれぞれ前記導電接合材により前記ベースと接合したことを特徴とする特許請求項1記載の音叉型圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記サポート材の脚部の幅寸法が前記音叉型圧電振動片の脚部の幅寸法と同一か幅広に形成したことを特徴とする特許請求項1、または特許請求項2記載の音叉型圧電振動デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−65543(P2009−65543A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233057(P2007−233057)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】