説明

音声通信装置

【課題】通話中の送話者に対し受話側の通信装置における受話品質の不適切度合いをより的確に伝えることができるようにする。
【解決手段】通話中に、話者の送話音量Ina、自装置TMaの送話利得Gaina、通信相手装置TMbの受話利得Gainb及び受話ボリューム設定値Volbをもとに通信相手装置TMbにおける受話音量Outbを算出し、さらにこの算出された通信相手装置TMbの受話音量Outbと、通信相手装置TMbにおける周囲騒音レベルNoiseb及び受話利得Gainbと、雑音に対する音声の識別特性paとをもとに、通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを計算する。そして、この計算されたUnableLを予め設定されたしきい値qaと比較し、その大小関係をもとに自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量Saを決定して、聴覚、臭気又は触覚による刺激を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信ネットワークを介して遠隔地の相手側装置との間で音声通話を行う音声通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固定電話機や携帯電話機等の音声通信装置を用いて遠隔地間で音声通話を行っているとき、受話音声の品質は送話者の送話音量や伝送路の状況、受話側の周辺雑音レベル等により変動する。受話音量が小さい場合、受話側の話者が送話側の話者に口頭で送話音量を高めることを要求するのが一般的である。しかし、このような方法では要求を伝える際に通話が一時中断されるため、話者にとっては非常に好ましくない。
【0003】
そこで、受話側の通信装置が予め音の伝播モデルを求めておき、通信時にこの伝播モデルを用いて送話側の通信装置からの音声の伝播状態を求め、その結果を送話側の通信装置に送って視覚的に提示する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−238344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような従来の技術は受話側の通信装置から送話側の通信装置へ音声の伝播状態を表す情報をエフェクトとして映像データに付加して送るものであり、音声信号のみを伝送する音声通信には適用できない。また、仮に適用しようとすると通話信号に伝播状態を表す情報を制御信号として挿入又は重畳して伝送するための処理が必要となり、通信装置の処理負担が大きくなる。
【0006】
また送話側の通信装置では、受話側の通信装置から送られた伝播状態を表す情報が送話者に対し視覚的に提示される。しかし、一般に話者が電話機に設けられた表示器を見ながら通話を行うことは稀であるため、上記伝播状態を表す情報は送話者にきわめて伝わり難い。特に、携帯電話機やコードレス電話機を使用している場合には、通話中に話者が自身の電話機の表示器を視認することは不可能なため、上記伝播状態を表す情報を通話中の話者に認識させることはできない。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、通話中の送話者に対し受話側の通信装置における受話品質の不適切度合いをより的確に伝えることができるようにした音声通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、送話側の通信装置の送話利得、受話側の通信装置の受話利得、受話側の通信装置の周囲騒音レベル及び当該騒音レベルの下で識別可能な受話出力音量の必要値をパラメータとしてパラメータ記憶手段に記憶しておく。そして、上記送話側及び受話側の通信装置間で音声通信が始まると、送話側の話者による送話音声の入力音量と、上記記憶された送話側の通信装置の送話利得及び受話側の通信装置の受話利得とをもとに受話側の通信装置における受話音の出力音量を計算する。さらに、この計算された受話側の通信装置における受話音の出力音量と、上記記憶された受話側の通信装置の受話利得、周囲騒音レベル及び受話出力音量の必要値とをもとに、受話側の通信装置における受話音の聞き取り難さの度合いを算出する。そして、上記聞き取り難さの度合いの算出値を予め設定した聞き取り難さの度合いのしきい値と比較して送話側の通信装置における送話音量の不足度合いを判定し、この送話音量の不足度合いの判定結果に基づいて送話側の通信装置における話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を与えるようにしたものである。
【0009】
したがって、受話側の通信装置から送話側の通信装置へ、通話中に音声の伝播状態を表す情報を伝送する必要がなくなり、これにより通話信号に制御信号を挿入又は重畳するといった特別な伝送信号処理を行うことなく、つまり受話側の通信装置の処理負担を増やすことなく、受話側における音の聞き取り難さの度合いを送話側に通知することが可能となる。
【0010】
また、この発明の一観点は以下のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、受話側の通信装置における受話音の出力音量の計算値を予め設定された受話音量を過剰と感じる度合いのしきい値と比較して送話音量の過剰度合いを判定し、この送話音量の過剰度合いの判定結果に基づいて送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を与えるように構成したものである。
したがって、送話音量が不足している場合だけでなく、送話音量が過剰な場合にも送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激が与えられるため、送話音量をさらに適切なレベルに調整させることが可能となる。
【0011】
第2の構成は、送話側の通信装置が自身の送話利得を検出すると共に、受話側の通信装置から受話利得及び周囲騒音レベルの検出値を通信ネットワークを介して取得し、この送話利得の検出値、相手側装置の受話利得及び周囲騒音レベルの検出値をもとに、パラメータ記憶手段に記憶されたパラメータを更新するように構成したものである。
したがって、送話側の通信装置又は受話側の通信装置において話者が送話利得又は受話利得をボリューム操作により手動調整された場合や、受話側の通信装置の周囲騒音レベルが変化した場合には、その変化をパラメータに反映することができる。
【0012】
第3の構成は、送話側の通信装置が送話利得の可変手段を備える場合に、送話音量の不足度合いの判定結果に基づいて、上記送話利得の可変手段の利得を増加させるべく可変制御するように構成したものである。
このように構成すると、例えば話者が会議室や病室等のように大きな声を出すことができない場所で通話を行っている場合に、受話側の通信装置における受話音量不足を解消することが可能となる。
【0013】
第4の構成は、送話側の通信装置が送話利得の可変手段を備える場合に、送話音量の過剰度合いの判定結果に基づいて、上記送話利得の可変手段の利得を減少させるべく可変制御するように構成したものである。
このように構成すると、例えば地声の大きい話者が通話を行っている場合に、受話側の通信装置における受話音量の過剰を抑えることが可能となる。
【0014】
第5の構成は、送話側の通信装置が同時に複数の相手側装置との間で音声通信を行っている場合に、上記複数の相手側装置の各々について送話音量の不足度合い又は過剰度合いを判定し、その判定結果に基づいて該当する相手側装置ごとに異なる刺激を送話者に与えるように構成したものである。
したがって、例えばマルチコール機能により三者間で会議通話を行っている場合に、送話者は相手話者ごとにその受話品質を把握することが可能となり、これにより個々の相手話者向けの送話音量を適宜調整することが可能となる。
【0015】
またこの発明の一観点は、送話者に対し送話音量の調整を促すため刺激を与える手段として、送話音量の調整を指示するために送話者の聴覚を刺激する手段、送話音量の調整を指示するために送話者の触覚を刺激する手段、送話音量の調整を指示するために送話者の嗅覚を刺激する手段、送話音量の調整を指示するために送話者の味覚を刺激する手段を選択的に使用することを特徴とする。
このようにすると、送話音量の調整を促すための刺激を視覚的提示手段に頼らずに送話者に与えることが可能となる。この結果、通話中に話者が電話機に設けられた表示器を見ない場合でも、また携帯電話機やコードレス電話機のように通話中に話者が自身の電話機の表示器を視認することが不可能な場合でも、送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を確実に与えることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
すなわちこの発明によれば、通話中の送話者に対し受話側の通信装置における受話品質の不適切度合いをより的確に伝えることが可能な音声通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる音声通信システムの概略構成図である。このシステムは、複数の音声通信装置TMa,TMbを通信ネットワークNWを介して互いに接続して音声通信を可能としたものである。音声通信装置TMa,TMbには、例えば固定電話機、携帯電話機又はコードレス電話機が用いられる。通信ネットワークNWは、例えばインターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばDSL(Digital Subscriber Line)や光伝送路を使用する有線加入者網、LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動通信網、専用線網、CATV(Cable Television)網が用いられる。
【0018】
ところで、上記音声通信装置TMa,TMbの外観は例えば次のように構成される。図2(a),(b)はそれぞれその外観を示す正面図及び背面図である。
すなわち、この音声通信装置TMa,TMbは携帯電話機からなり、その筐体1の前面部にはキー入力部11と、液晶等を用いた表示器12と、受話器としてのスピーカ13と、送話器としてのマイクロホン14が配設されている。一方筐体1の背面部には、周囲騒音を検出するための騒音検出用マイクロホン15と、刺激発生制御スイッチ16と、刺激発生ユニットが配設されている。
【0019】
このうち刺激発生ユニットは、バイブレータ17と、臭気発生器18を備える。バイブレータ17は着信報知用として既に設けられているもので、この実施形態では話者に送話音量の調整を促すための刺激を発生する用途としても使用される。臭気発生器18は話者に送話音量の調整を促すための刺激を与えるための香料などの臭気を発生する。また刺激モード設定スイッチ16は話者が手動操作するもので、刺激発生モードを許容モード又は停止モードに指定するために使用される。
【0020】
一方、上記音声通信装置TMa,TMbの回路は次のように構成される。図3はその構成を示すブロック図である。すなわち、音声通信装置TMa,TMbは、ユーザインタフェースユニット10と、ベースバンドユニット20と、無線ユニット30と、記憶ユニット40と、図示しない電源ユニットとを備えている。
【0021】
ユーザインタフェースユニット10には、表示器12と、先に述べた通話用のスピーカ13及びマイクロホン14と、キー入力部11及び刺激モード設定スイッチ16と、騒音検出用マイクロホン15と、先に述べた刺激発生ユニットのバイブレータ17及び臭気発生器18が設けられている。
【0022】
無線ユニット30は、通信ネットワークNWから送信された無線信号をアンテナ31を介して受信し復調して受信ベースバンド信号を得、この受信ベースバンド信号をベースバンドユニット20に入力する。またそれと共に、ベースバンドユニット20から出力された送信ベースバンド信号を変調しさらに所定電力の無線信号に変換した後、アンテナ31から通信ネットワークNWに向け送信する。
【0023】
ベースバンドユニット20は、信号処理ユニット21と制御ユニット22とから構成される。信号処理ユニット21は例えばDSP(Digital Signal Processor)を有し、受信ベースバンド信号に含まれる音声データを誤り訂正復号及び音声復号すると共に、送話信号を音声符号化及び誤り訂正符号化して送信ベースバンド信号を生成する。
【0024】
制御ユニット22は例えばCPU(Central Processing Unit)からなり、この発明に係わる新たな機能として、パラメータ検出部221と、しきい値設定部222と、受話品質計算部223と、刺激量決定部224と、刺激出力制御部225を有している。これらの各機能部221〜225はいずれも、記憶ユニット40に格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0025】
パラメータ検出部221は、通信相手の音声通信装置TMbとの間に通信リンクが確立されている状態で、自装置TMaの信号処理ユニット21に設定されている送話利得Gainaを定期的に検出する。またそれと共に通信相手の音声通信装置TMbから、その信号処理ユニット21に設定されている受話利得Gainb及び受話ボリューム設定値Volbと、騒音検出用マイクロホン15により検出される周囲騒音レベルNoisebを定期的に取得する。そして、上記検出した送話利得Gaina、又は取得した受話利得Gainb、受話ボリューム設定値Volb及び周囲騒音レベルNoiseb値が、記憶ユニット40に記憶してある値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化した場合に、上記記憶ユニット40に記憶されている値を上記新たに検出又は取得した値に更新する。
【0026】
しきい値設定部222は、通話が開始される前に3種類のしきい値pa,qa,rbを設定して記憶ユニット40に記憶する。paは、雑音に対する音声の識別特性を表す値である。具体的には、周囲騒音レベルよりpa[dB]だけ小さい送話音量でも通話相手が受話音声を聞き取ることが可能なときの上記paの値を示すもので、デフォルト値は0[dB]に設定される。qaは、通話相手が受話音声をまったく聞き取れなくなるときの聞き取り難さの度合いを表すもので、デフォルト値は5[dB]に設定される。rbは、通話相手が受話音声をうるさいと感じるときの当該受話音量の値を示すもので、デフォルト値は90[dB]に設定される。
【0027】
上記各しきい値pa,qa,rbのうち、pa,qaは自装置TMaの話者がキー入力部11から入力した値を取り込むことにより設定され、rbは通話相手の音声通信装置TMbの話者がキー入力部11から入力した値を取得することにより設定される。なお、上記各しきい値pa,qa,rbをより正確に設定する場合には、音声通信装置TMa,TMbにおける各送話音量と周囲騒音レベルの値をそれぞれ検出又は取得し、この検出又は取得した値に応じて動的に設定するとよい。一方、上記各しきい値pa,qa,rbを簡易に設定する場合には、一般的な送話音量である60[dB]と、一般的な周囲騒音レベルである60[dB]により設定することが可能である。
【0028】
受話品質計算部223は、話者の送話音声の入力が検出されたとき、通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを計算する。この聞き取り難さの度合いUnableLは、
UnableL=(Noiseb/Gainb)+pa−Outb
により計算する。ただし、Outbは相手側の通信装置TMbから出力される受話音量であり、自装置TMaにおける話者の送話音量をInaとしたとき、
Outb=Ina×Gaina×Volb
により計算できる。
【0029】
刺激量決定部224は、上記受話品質計算部223において計算された通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを上記しきい値設定部222により設定されたしきい値qaと比較して、その大小関係をもとに自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量Saを決定する。
また、刺激量決定部224は、先に計算された相手側通信装置TMbにおける受話音量Outbの値を、記憶ユニット40に記憶されたしきい値rbと比較する。そして、rb<Outbの場合に、自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量Saを決定する。
【0030】
刺激出力制御部225は、上記決定された刺激量Saに応じて特定の刺激音を生成し、この刺激音を受話音声に重畳してスピーカ13から出力させる。または、バイブレータ17を駆動して着信報知時の振動パターンとは異なる特定のパターンの振動を発生させるか、もしくは臭気発生器18を駆動して一定期間香料を含む臭気を発生させる。
【0031】
次に、以上のように構成された音声通信装置による発話支援動作を説明する。
なお、ここでは音声通信装置TMaが音声通信装置TMbと通話を行う場合を例にとって説明を行う。また、しきい値pa,qa,rbは、しきい値設定部222において事前に最適値が設定されて記憶ユニット40に記憶されているものとする。
【0032】
(1)パラメータの設定
音声通信装置TMa,TMb間に通信リンクが確立されると、音声通信装置TMaの制御ユニット22は、通話が行われていない期間(無音区間)を利用して定期的にパラメータの設定制御を以下のように実行する。図4はその制御手順制御内容を示すフローチャートである。
【0033】
すなわち、制御ユニット22は自装置TMaの信号処理ユニット21に設定されている送話利得Gainaを定期的に検出する。またそれと共に通信相手の音声通信装置TMbから、その信号処理ユニット21に設定されている受話利得Gainb及び受話ボリューム設定値Volbと、騒音検出用マイクロホン15により検出される周囲騒音レベルNoisebを定期的に取得する。取得方法は、例えば自装置TMaから通信相手の音声通信装置TMbへ取得要求コマンドを定期的に送信し、この取得要求コマンドに応答して音声通信装置TMbから返送されるデータを受信することにより行われる。上記取得要求コマンド及び応答データの伝送は、例えば送話音声の無音区間を利用するか又は送話音声に重畳することにより行われる。なお、取得要求コマンドを送信せず、通信相手の音声通信装置TMbから自律的に定期送信してくるデータを受信するようにしてもよい。
【0034】
上記送話利得Gainaを検出すると制御ユニット22は、ステップS41において当該送話利得Gainaの検出値を記憶ユニット40に記憶されているデフォルト値又は前回の設定値と比較し、この記憶された値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化したか否かを判定する。そして、変化した場合にはステップS42に移行して、記憶ユニット40に記憶されている値を上記検出された新たな送話利得Gainaに更新する。
【0035】
また、通信相手の音声通信装置TMbから受話利得Gainb、受話ボリューム設定値Volb及び周囲騒音レベルNoisebを取得すると、制御ユニット22は先ずステップS43において上記取得した受話利得Gainbを記憶ユニット40に記憶されているデフォルト値又は前回の設定値と比較し、この記憶された値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化したか否かを判定する。そして、変化した場合にはステップS44に移行して、記憶ユニット40に記憶されている値を上記検出された新たな受話利得Gainbに更新する。
【0036】
次に制御ユニット22は、ステップS45において上記取得した受話ボリューム設定値Volbを記憶ユニット40に記憶されているデフォルト値又は前回の設定値と比較し、この記憶された値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化したか否かを判定する。そして、変化した場合にはステップS46に移行して、記憶ユニット40に記憶されている値を上記検出された新たな受話ボリューム設定値Volbに更新する。
【0037】
同様に、ステップS47において上記取得した周囲騒音レベルNoisebを記憶ユニット40に記憶されているデフォルト値又は前回の設定値と比較し、この記憶された値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化したか否かを判定する。そして、変化した場合にはステップS48に移行して、記憶ユニット40に記憶されている値を上記検出された新たな周囲騒音レベルNoisebに更新する。
以上のパラメータ設定制御は、通話期間中において定期的に繰り返し行われる。
【0038】
(2)通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いに応じた送話者への刺激付与
制御ユニット22は、話者による送話音声の入力を監視しており、送話音声が入力されると聞き取り難さの度合いに応じた送話者への刺激付与制御を次のように実行する。図5はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0039】
すなわち、制御ユニット22はステップS51で送話音声の入力を検出すると、ステップS52に移行して送話音声の入力音量Inaを検出する。そして、ステップS53により通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを計算する。この聞き取り難さの度合いUnableLは、先に述べたように
UnableL=(Noiseb/Gainb)+pa−Outb
により計算できる。
【0040】
すなわち、先ず記憶ユニット40から自装置TMaの送話利得Gaina及び通信相手の音声通信装置TMbの受話ボリューム設定値Volbを読み出し、この読み出した値と上記検出された送話音声の入力音量Inaとをもとに、次の計算式により
Outb=Ina×Gaina×Volb
通信相手の音声通信装置TMbから出力される受話音量Outbを算出する。
【0041】
続いて記憶ユニット40から通信相手の音声通信装置TMbから、通信相手の音声通信装置TMbの受話利得Gainb及び周囲騒音レベルNoisebを読み出し、さらに雑音に対する音声の識別特性を表す値paを読み出して、これらの値と上記算出された受話音量Outbをもとに、上記通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを算出する。
【0042】
次に制御ユニット22は、上記算出された聞き取り難さの度合いUnableLをもとに、自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量Saを決定する。すなわち、先ず上記UnableLが0以下であるか否かをステップS54により判定し、UnableL<=0であれば通話相手は受話音声を十分に聞き取ることが可能と見なしてステップS55により刺激量Sa=0に設定する。これに対し上記UnableLが0よりも大きかったとすると、次にステップS56においてUnableLしきい値qaよりも小さいか否かを判定する。この判定の結果、0<UnableL<qaだったとすると、相手話者は受話音声を聞き取り可能ではあるものの聞き取り難い状態にあると見なし、ステップS57により刺激量Sa=UnableL/qaに設定する。上記UnableLがqa以上だった場合には、ステップS58でUnableL>=qaであるか否かを再度確認する。そして、UnableL>=qaであれば相手話者は受話音声を聞き取り不可能と見なしてステップS59に移行し、ここで刺激量Sa=1に設定する。
【0043】
続いて制御ユニット22は、上記設定された刺激量Saの値に応じてステップS60により刺激制御信号を生成する。例えば、Sa=UnableL/qaの場合及びSa=0の場合にはそれぞれ異なるパターンの刺激制御信号を生成し、一方Sa=0の場合には刺激制御信号を生成しない。
【0044】
また制御ユニット22は、上記生成した刺激制御信号を予め設定された刺激発生モードに応じて刺激発生ユニットに供給し刺激発生動作を行わせる。例えば、いま刺激発生モードとして聴覚による刺激モードが設定されていれば、特定の刺激音を発生させるための信号を生成する。そして、この刺激信号を信号処理ユニット21に供給して受話音声信号に重畳させ、スピーカ13から出力させる。このときのビープ音としては、例えば携帯電話機において他の目的で既に使用しているビープ音以外のビープ音が用いられ、さらにこのビープ音は上記Sa=UnableL/qaの場合とSa=1の場合とで異なるものが用いられる。なお、ビープ音を異ならせる手段としては、例えば周波数を異ならせたり、断続パターンを異ならせる手段が使用可能である。
【0045】
また、刺激発生モードとして臭気による刺激モードが設定されている場合には、制御ユニット22は臭気発生器18へ刺激制御信号を供給する。この結果、臭気発生器18からは一定期間ハーブ等の香料を含む臭気が発生される。このとき、臭気の発生量は上記Sa=UnableL/qaの場合とSa=1の場合とで異なるように制御される。
【0046】
さらに、刺激発生モードとして触覚による刺激モードが設定されている場合には、制御ユニット22は、バイブレータ17に対し刺激制御信号を供給する。この結果バイブレータ17が動作して振動が発生する。このとき、振動パターンは上記Sa=UnableL/qaの場合とSa=1の場合とで異なるように設定される。
【0047】
したがって、話者は受話音声の聴取中に上記ビープ音を聞くことにより、また臭気をかぐことにより、さらには振動を感じることにより、通話相手が自身の送話音声を聞き取り難い状態にあるか又は聞き取れない状態にあることを認識することができる。そして、この刺激に応じて自身の送話音量を大きくすると云った対応を行い得る。
【0048】
なお、上記刺激発生モードの設定は、刺激モード設定スイッチ16の操作により行うことができる。例えば、着信待ち受け中に、刺激モード設定スイッチ16を1回押下すれば聴覚による刺激モードが、2回押下すれば臭気による刺激モードが、3回押下すれば触覚による刺激モードが順に設定される。また、4回押下すると、刺激発生モードを「設定なし」に設定することが可能であり、この場合には刺激発生動作を行われない。さらに、刺激の発生中に話者が上記刺激モード設定スイッチ16を押下した場合には、その時点で刺激発生動作は中止される。
【0049】
(3)通話相手において受話音量がうるさいと感じる度合いに応じた刺激発生動作
制御ユニット22は、上記聞き取り難さの度合いに応じた送話者への刺激付与制御に加え、通話相手において受話音量がうるさいと感じる度合いに応じた刺激発生制御も実行する。図6はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0050】
すなわち、制御ユニット22は、先にステップS53において計算された相手側通信装置TMbにおける受話音量Outbの値を、記憶ユニット40に記憶されたしきい値rbとステップS61で比較する。そして、rb<Outbの場合に、自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量SaをステップS62においてSa=1に決定する。Sa=1に決定した場合、制御ユニット22はステップS63に移行して刺激制御信号を生成する。そしてこの生成された刺激制御信号を予め設定されている刺激発生モードに応じて刺激発生ユニットに供給し、聴覚、臭気又は触覚により刺激を発生させる。なお、このとき発生する刺激のパターンは、先に(2)で述べた受話音声を聞き取り難い場合に発生するパターンと区別できるように異なるものが選択される。
以上、図4乃至図6にて説明した発話支援制御は、音声通信装置TMa,TMb間の通話動作が終了するまで繰り返し実行される。また、上記発話支援動作は、音声通信装置TMaばかりでなく通信相手側の音声通信装置TMbにおいても同様に行われる。
【0051】
以上述べたようにこの実施形態では、通話中に、話者の送話音量Ina、自装置TMaの送話利得Gaina、通信相手装置TMbの受話利得Gainb及び受話ボリューム設定値Volbをもとに通信相手装置TMbにおける受話音量Outbを算出し、さらにこの算出された通信相手装置TMbの受話音量Outbと、通信相手装置TMbの周囲騒音レベルNoiseb及び受話利得Gainbと、雑音に対する音声の識別特性を表す値paとをもとに、通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを計算する。そして、この計算された通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLを予め設定されたしきい値qaと比較して、その大小関係をもとに自装置TMaの話者に対し与えるべき刺激量Saを決定し、この決定した刺激量Saに応じた刺激を聴覚、臭気又は触覚により発生させるようにしている。
【0052】
したがって、相手通信装置TMbにおける受話音量が不足しているときに、話者は通話中に発生される刺激により、通話相手が自身の送話音声を聞き取り難い状態にあるか又は聞き取れない状態にあることを認識することができ、この刺激に応じて自身の送話音量を大きくすると云った対応をとることが可能となる。しかも、受話側の通信装置TMbから送話側の通信装置TMaへ、通話中に音声の伝播状態を表す情報を伝送する必要がなくなり、これにより通話信号に制御信号を挿入又は重畳するといった特別な伝送信号処理を行うことなく、つまり受話側の通信装置の処理負担を増やすことなく、受話側における音の聞き取り難さの度合いを送話側の話者に認識させることが可能となる。
【0053】
またこの実施形態では、計算により求めた相手側通信装置TMbにおける受話音量Outbを、記憶ユニット40に記憶されたしきい値rbと比較して、rb<Outbの場合に自装置TMaの話者に対し刺激を与えるようにしている。したがって、通話相手において受話音量がうるさいと感じる場合にも、話者はその状況を認識することが可能となり、これにより自身の送話音量を適切に調整することが可能となる。
【0054】
さらに、この実施形態では、上記したように視覚的手段に頼らずに聴覚、臭気又は触覚により刺激を発生させるようにしている。このため、通話中に話者が電話機に設けられた表示器を見ない場合でも、また携帯電話機やコードレス電話機のように通話中に話者が自身の電話機の表示器を視認することが不可能な場合でも、送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を確実に与えることが可能となる。
【0055】
さらにこの実施形態では、(1)で述べたように通信相手の音声通信装置TMbとの間に通信リンクが確立されている状態で、自装置TMaの送話利得Gainaを定期的に検出すると共に、通信相手の音声通信装置TMbから受話利得Gainb、受話ボリューム設定値Volb及び周囲騒音レベルNoisebを定期的に取得し、上記検出した送話利得Gaina、又は取得した受話利得Gainb、受話ボリューム設定値Volb及び周囲騒音レベルNoiseb値が、記憶ユニット40に記憶してある値に対し一定時間以上連続して一定量以上変化した場合に、上記記憶ユニット40に記憶されている値を上記新たに検出又は取得した値に更新するようにしている。
【0056】
したがって、送話側の音声通信装置TMa又は受話側の音声通信装置TMbにおいて、話者が送話利得Gaina又は受話利得Gainbをボリューム操作により手動調整した場合や、受話側の音声通信装置TMbの周囲騒音レベルNoisebが変化した場合には、その変化を聞き取り難さの度合い及びうるさく感じる度合いの判定に反映することができる。
【0057】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、音声通信装置TMaが送話利得Gainaの可変手段(例えば可変利得増幅器)を備える場合に、通話相手における受話音声の聞き取り難さの度合いUnableLの判定結果に基づいて、上記送話利得Gainaの可変手段の利得を増加させるべく可変制御するように構成してもよい。このように構成すると、例えば話者が会議室や病室等のように大きな声を出すことができない場所で通話を行っている場合に、受話側の音声通信装置TMbにおける受話音量不足を解消することが可能となる。
【0058】
また、同様に受話側の通信装置TMbにおける受話音量Outbの過剰度合いの判定結果に基づいて、上記送話利得Gainaの可変手段の利得を減少させるべく可変制御するように構成してもよい。このように構成すると、例えば地声の大きい話者が通話を行っている場合に、受話側の通信装置TMbにおける受話音量Outbの過剰を抑えることが可能となる。
【0059】
さらに、音声通信装置TMaが同時に複数の相手側装置TMb,TMc,…との間で音声通信を行っている場合に、上記複数の相手側通信装置TMb,TMc,…の各々について受話音量Gainb,Gainc,…の不足度合い又は過剰度合いを判定し、その判定結果に基づいて該当する相手側の通信装置ごとに異なる刺激を送話者に与えるようにしてもよい。このように構成すると、例えば携帯電話機又は会議用電話機のマルチコール機能を使用して三者間で会議通話を行っている場合に、送話者は相手話者ごとにその受話品質を把握することが可能となり、これにより個々の相手話者向けの送話音量を適宜調整することが可能となる。
【0060】
さらに、前記実施形態では騒音検出用マイクロホン15を携帯電話機に設けてこれにより周囲騒音レベルを検出するようにした。しかし、それに限定されるものではなく、例えばコードレス電話装置や自動車の車載電話装置等のように音声通信装置が本体ユニットとハンドセットユニットとから構成される場合に、騒音検出用マイクロホンを本体ユニットに設けて周囲騒音レベルを検出するようにしてもよい。
【0061】
さらに、話者に刺激を与える手段としては、聴覚、触覚又は臭気以外に、話者の味覚に作用させるものであってもよい。これは、例えば特定の無害の化学物質を話者の舌に散布することにより可能である。また、触覚に作用させる手段としては、振動以外に発熱又は冷却機能を使用するものや、空気の噴出を利用するもの、筐体の形状を変化させる機能(例えば筐体の一部を凹凸させる機構)等を使用することが可能である。
【0062】
また、以上の複数種類の刺激発生手段を同時に複数種類動作させて刺激を発生させるようにしてもよい。さらに、前記実施形態では刺激量SaをSa=UnableL/qaの場合とSa=1の場合の2段階に制御したが、3段階以上に制御するようにしてもよい。これはしきい値qaを複数用意することにより実現できる。
【0063】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の一実施形態に係わる音声通信システムの概略構成図である。
【図2】この発明の一実施形態に係わる音声通信装置の外観を示す図である。
【図3】この発明の一実施形態に係わる音声通信装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示した音声通信装置の制御ユニットによるパラメータ検出処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図5】図3に示した音声通信装置の制御ユニットによる送話音の聞き取り難さの度合いの算出、送話音量の不足度合いの判定及び刺激発生制御の手順と内容を示すフローチャートである。
【図6】図3に示した音声通信装置の制御ユニットによる送話音をうるさいと感じる度合いの算出、送話音量の過剰度合いの判定及び刺激発生制御の手順と内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
TMa,TMb…音声通信装置、NW…通信ネットワーク、1…音声通信装置の筐体、10…ユーザインタフェースユニット、11…キー入力部、12…表示器、13…スピーカ、14…マイクロホン、15…騒音検出用マイクロホン、16…刺激モード設定スイッチ、17…バイブレータ、18…臭気発生器、20…ベースバンドユニット、21…信号処理ユニット、30…無線ユニット、31…アンテナ、40…記憶ユニット、22…制御ユニット、221…パラメータ検出部、222…しきい値設定部、223…受話品質計算部、224…刺激量決定部、225…刺激出力制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側装置との間で通信ネットワークを介して音声通信を行う音声通信装置であって、
自装置の送話利得、前記相手側装置の受話利得、前記相手側装置の周囲騒音レベル及び当該騒音レベルの下で相手話者が識別可能な受話出力音量の必要値をパラメータとして記憶するパラメータ記憶手段と、
自装置の話者による送話音の入力音量を検出する手段と、
前記検出された送話音の入力音量と、前記記憶された自装置の送話利得及び相手側装置の受話利得とをもとに、相手側装置における受話音の出力音量を計算する手段と、
前記記憶された相手側装置の受話利得、相手側装置の周囲騒音レベル及び受話出力音量の必要値と、前記計算された相手側装置における受話音の出力音量とをもとに、相手側装置における受話音の聞き取り難さの度合いを計算する手段と、
前記聞き取り難さの度合いの計算値を、予め設定した聞き取り難さの度合いのしきい値と比較して、自装置における送話音量の不足度合いを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による送話音量の不足度合いの判定結果に基づいて、前記送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を与える刺激付与手段と
を具備することを特徴とする音声通信装置。
【請求項2】
前記相手側装置における受話音の出力音量の計算値を、予め設定した受話音量を過剰と感じる度合いのしきい値と比較して、自装置における送話音量の過剰度合いを判定する第2の判定手段を、さらに具備し、
前記刺激付与手段は、前記第1の判定手段による送話音量の不足度合いの判定結果と、前記第2の判定手段による送話音量の過剰度合いの判定結果に基づいて、前記送話者に対し送話音量の調整を促すための刺激を与えることを特徴とする請求項1記載の音声通信装置。
【請求項3】
前記自装置の送話利得を検出すると共に、前記相手側装置から受話利得及び周囲騒音レベルの検出値を前記通信ネットワークを介して取得し、この送話利得の検出値及び相手側装置の受話利得及び周囲騒音レベルの検出値をもとに前記パラメータ記憶手段に記憶されたパラメータを更新する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の音声通信装置。
【請求項4】
自装置が送話利得の可変手段を備える場合に、前記第1の判定手段による送話音量の不足度合いの判定結果に基づいて、前記送話利得の可変手段の利得を増加させるべく可変制御する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の音声通信装置。
【請求項5】
自装置が送話利得の可変手段を備える場合に、前記第2の判定手段による送話音量の過剰度合いの判定結果に基づいて、前記送話利得の可変手段の利得を減少させるべく可変制御する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項2記載の音声通信装置。
【請求項6】
自装置が同時に複数の相手側装置との間で音声通信を行っている場合に、
前記第1及び第2の判定手段はそれぞれ、前記複数の相手側装置の各々について送話音量の不足度合い及び過剰度合いを判定し、
前記刺激付与手段は、前記第1及び第2の判定手段の判定結果に基づいて、前記各相手側装置に対応付けて異なる刺激を送話者に与えることを特徴とする請求項2記載の音声通信装置。
【請求項7】
前記刺激付与手段は、送話音量の調整を指示するために送話者の聴覚を刺激する手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の音声通信装置。
【請求項8】
前記刺激付与手段は、送話音量の調整を指示するために送話者の触覚を刺激する手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の音声通信装置。
【請求項9】
前記刺激付与手段は、送話音量の調整を指示するために送話者の嗅覚を刺激する手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の音声通信装置。
【請求項10】
前記刺激付与手段は、送話音量の調整を指示するために送話者の味覚を刺激する手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の音声通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−294640(P2008−294640A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136740(P2007−136740)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】