説明

音楽教習部材、音楽教習具、音楽教習装置、作曲支援具、作曲支援装置及びコンピュータプログラム

【課題】 音階、音程の理解はもとより、調性の確認や移調なども容易に理解でき、特に、初学者の音楽理論の学習の効率化を図る。
【解決手段】 本発明の音楽教習具は、等幅の升目1101〜1112が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部11を備えてなる。そして、この各升目1101〜1112に12音階の各音を順に割り当て、各升目1101〜1112に目印を付して使用される。等幅の各升目1101〜1112が帯状に連なっていわば直定規のようになっているため、半音毎の12音階を直線的に捉えることができ、音程(各音間の距離)を直線上の距離として視覚的に理解できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音程、音階、調性などの音楽理論の教授や学習を効率化するのに適する音楽教習部材、音楽教習具及び音楽教習装置に関し、さらに、これらを利用して作曲、編曲をより容易かつ効率的に行うことができる作曲支援具、作曲支援装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音程、音階、調性などの音楽理論の教授、学習のツールとして、完全8度に含まれる12音階を円盤の上に配置して視覚化したものがある(例えば、特許文献1参照)。また、五線譜上の音符と連動したものがある(例えば、非特許文献1参照)。また、特許文献2として、五線譜上にキャラクタを表示できるようにして、使用者がキャラクタの表示位置を五線譜上で指定して作曲をする装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−108332号公報
【特許文献2】特開平5−323957号公報
【非特許文献1】「新音楽理論ワークブック上巻」,北川祐,株式会社リットーミュージック,1998年,19ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1及び非特許文献1の場合、完全8度を構成する12音階や音程等を指示する名称について複数の言語、呼称を用いて説明している。例えば、特許文献1では、中心から放射状に12の区分けを設けた円盤上に、音階、音程等を指示する名称を複数表示している。特許文献1のものは、円盤を見ることにより、音階や音程等を視覚的に捉えることができると考えられるが、これを使いこなすには上記のような音階、音程を指示する名称の理解が前提となり、子供などの初学者の学習ツールとして適しているとは言い難い。また、音階、音程の理解まで進んだとしても、特許文献1の円盤状のものを用いて、さらに、曲の調性や移調などを学習するのは初学者にとって容易ではない。
【0004】
また、特許文献2に開示された作曲装置は、音符の代わりにキャラクタを利用することから、その点では、音符の種類についての知識に乏しくても作曲を行うことができるという利点はある。しかし、五線譜を利用するものであるため、少なくとも五線譜に関する知識を有する必要があり、音楽を初めて学ぶ子供などの初学者が容易に取り扱えるものではないし、また、子供が遊びの中で曲を作ったりするには操作が難しい。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、音階、音程の理解はもとより、調性の確認や移調なども容易に理解でき、特に、初学者の音楽理論の学習の効率化を図ることができる音楽教習部材、音楽教習具及び音楽教習装置を提供することを課題とする。また、本発明は、これらの音楽教習部材や音楽教習具を利用して、子供などの初学者が曲の作成を容易に行うことができる作曲支援具、作曲支援装置及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部を備え、
前記帯状升目部の各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられ、
前記各升目は目印を付することが可能であるように形成されていることを特徴とする音楽教習部材を提供する。
請求項2記載の本発明では、請求項1記載の音楽教習部材と、
前記音楽教習部材と組み合わせて使用され、前記帯状升目部の長手方向に沿って操作子が配列された12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部と
を備えた音楽教習具であって、
前記操作体イメージ部の各操作子が、前記帯状升目部の各升目に対応して等幅で区画されており、かつ、
前記帯状升目部が、各升目に1以上の目印を付した状態で、その長手方向に沿って前記操作体イメージ部に対して相対移動可能に設けられていることを特徴とする音楽教習具を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記操作体イメージ部が、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項2記載の音楽教習具を提供する。
請求項4記載の本発明では、等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の長手方向に沿って操作子が配列された12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部を表示体に表示させる操作体イメージ部表示手段と、
前記帯状升目部表示手段により表示される帯状升目部に目印を付与可能な目印付与手段と
を具備するコンピュータプログラムがコンピュータの記憶部にインストールされてなることを特徴とする音楽教習装置を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記帯状升目部表示手段は、前記帯状升目部をその長手方向に移動可能な機能を有することを特徴とする請求項4記載の音楽教習装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域と
を備え、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付することにより、前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、
前記目印を複数付することにより曲を作成可能であることを特徴とする作曲支援具を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記帯状升目部は、複数並置され、かつ、互いに長手方向に沿って移動可能に設けられ、一方の帯状升目部に対して他方の帯状升目部を相対移動させ、前記他方の帯状升目部を基準として目印を付することにより、予め前記一方の帯状升目部を基準として作成した曲から移調させた曲を作成可能であることを特徴とする請求項6記載の作曲支援具を提供する。
請求項81記載の本発明では、2音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部が、さらに設けられていることを特徴とする請求項6又は7記載の作曲支援具を提供する。
請求項9記載の本発明では、前記操作体イメージ部が、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項8記載の作曲支援具を提供する。
請求項10記載の本発明では、等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域を表示体に表示させる音表示領域表示手段と、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付する目印付与手段と
を備え、
前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、前記目印付与手段により、複数の目印を付することにより曲を作成可能であることを特徴とする作曲支援装置を提供する。
請求項11記載の本発明では、前記帯状升目部表示手段は、前記帯状升目部を複数並置して、かつ、互いに長手方向に沿って移動可能に表示可能であり、一方の帯状升目部に対して他方の帯状升目部を相対移動させ、前記他方の帯状升目部を基準として前記目印付与手段により目印を付することにより、予め前記一方の帯状升目部を基準として作成した曲から移調させた曲を作成可能であることを特徴とする請求項10記載の作曲支援装置を提供する。
請求項12記載の本発明では、12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部を表示体に表示させる操作体イメージ部表示手段をさらに有することを特徴とする請求項10又は11記載の作曲支援装置を提供する。
請求項13記載の本発明では、前記操作体イメージ部表示手段により表示される操作体イメージが、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項12記載の作曲支援装置を提供する。
請求項14記載の本発明では、前記目印付与手段により付され、音符として機能する前記複数の目印の音高及び音価に従った曲を演奏する曲演奏手段をさらに有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1に記載の作曲支援装置を提供する。
請求項15記載の本発明では、コンピュータから構成される作曲支援装置に導入されるコンピュータプログラムであって、
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域を表示体に表示させる音表示領域表示手段と、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付する目印付与手段と
を備え、
前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、前記目印付与手段により、複数の目印を付することにより曲を作成可能であることを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の音楽教習部材及び音楽教習具は、等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部を備えてなる。そして、この各升目に12音階の各音を順に割り当て、各升目に目印を付して使用される。等幅の各升目が帯状に連なっていわば直定規のようになっているため、半音毎の12音階を直線的に捉えることができ、音程(各音間の距離)を直線上の距離として視覚的に理解できる。学習者(特に初学者)が音階をイメージする楽器の操作体としては、ピアノ、オルガンなどの鍵盤であることが最も多いが、各音を奏でる個々の白鍵、黒鍵は、一直線上に連なって配置されている。従って、帯状升目部の各升目を一つの音として捉えることにより、音階、音程、和音等の理解が極めて容易になる。
【0008】
また、各楽器の操作体イメージ部を、帯状升目部の各升目を対応させて設けた構成とすることにより、所定の位置に配された各操作子がどの音を奏でるかの把握が容易になる。特に、操作体イメージ部として鍵盤のイメージを用い、白鍵と黒鍵を帯状升目部の各升目に対応させて等幅とした場合には、個々の白鍵、黒鍵が奏でる音の理解が極めて容易になる。また、操作体イメージ部に対し、帯状升目部を相対的に長手方向に沿って移動可能とすることにより、調性の学習や移調の理解、和音の理解等の効率化に役立つ。
【0009】
また、本発明の音楽教習装置も、表示体上に帯状升目部や操作体イメージ部を表示することができるため、上記音楽教習具と同様に音楽理論を容易に理解させることができる。
【0010】
本発明の作曲支援具は、音表示領域において、帯状升目部の所定の升目に対応させ、該帯状升目部が用いられていない軸(時間軸)に沿って所定の長さ目印を付すれば、その目印が、升目に対応する音高を備え、かつ、当該目印の長さに相当する音価の音符として機能する。従って、子供などの初学者は、五線譜や音符に対する知識がなくても、所望の位置に所望の長さの目印を付していく作業のみで曲を作成することができる。このため、帯状升目部及び音表示領域を、例えば、ホワイトボード等に表示しておけば、ペンなどで書き込んだり消去したりすることで、子供が遊びの中で曲を作る玩具として用いることができる。
【0011】
また、本発明の作曲支援装置及びコンピュータプログラムは、上記の作曲支援具と同様の操作を、表示体上で行うことができるため、書き込みや消去が容易にできることはもちろんのこと、それらのデータを保存したり、通信したりすることも容易となり、さらに長い曲や複雑な曲の作成も可能になる。また、複数人でデータを共有して作曲や編曲したりすることで、ゲーム感覚で楽しむこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1は、本発明の一の実施形態に係る音楽教習具を示す平面図であり、帯状升目部11、操作体イメージ部12及び目印15を有して構成される。
【0013】
帯状升目部11は、等幅の升目1101〜1112が帯状に12以上連なって設けられており、各升目1101〜1112は、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が一端側から順に割り当てられている。例えば、升目1101にC(ド),升目1102にC#(Db),升目1103にD(レ)というように、以降の各升目1104〜1112にも順に、D#(Eb),E(ミ),F(ファ),F#(Gb),G(ソ),G#(Ab),A(ラ),A#(Bb),B(シ)を割り当てる。なお、升目は12以上設けられていればよく、上限は限定されるものではない。例えば、升目は、24個(2オクターブ分)、36個(3オクターブ分)等であってもよい。
【0014】
本実施形態では、図1に示したように、帯状升目部11の升目1101を白色、升目1102を黒色、升目1103を白色、升目1104を黒色、升目1105を白色、升目1106を白色というように白、黒の2色に色分けしている。これは、ピアノやオルガン等の鍵盤の黒鍵、白鍵の配列に対応させたものであり、これにより、各升目1101〜1112の音を把握しやすくなる。色分けは音名、音階を把握しやすくするためであり、白、黒以外の2色で色分けしてもよいし、3色以上(例えば12色)で色分けしてもよい。また、色分けせずに、あるいは色分けと共に、C,D,E・・・やド,レ,ミ・・・などの文字や、○,△などの任意の記号を付することもできる。さらに、各升目は、後述の目印15を付すると、音を発音するようにしてもよい。
【0015】
帯状升目部11は、プラスチック製、木製、金属製、紙製などの長尺な板状体の一面に升目を表示した形態として提供することもできる。また、大きさも限定されるものではなく、学習者用としては例えば、十数cm程度のものとすることもできるし、黒板などを利用して教授する場合には例えば数十cmから1m前後のものとすることができる。また、上記のように、単独で動かすことが可能な長尺な板状体に限らず、例えば方形の書面(ノートの一面など)や板状体(下敷きの一面など)の一部に長尺な帯状升目部11を印刷して表示することもできる。このほか、学習者用として十数cm程度のものとする場合、鉛筆などの比較的長尺な文房具等に帯状升目部11を印刷して構成することもできる。
【0016】
帯状升目部11の各升目1101〜1112は、目印15を付することが可能であるように形成されている。例えば、帯状升目部11又は目印15のいずれか少なくとも一方を磁性材料から形成し、他方を金属から形成することで、磁力を用いて目印15を各升目1101〜1112に付するようにすることができる。この場合、図1に示したように、目印15は、例えば、各升目1101〜1112の大きさに収まる円盤状に形成することができる。もちろん、形状はこれに限定されるものではなく、方形、他の多角形、楕円形、棒状その他の種々の形状で形成することができる。また、目印15は、必ずしも各升目1101〜1112の大きさに収まるものである必要はなく、各升目1101〜1112のいずれを指し示しているかが判別できればよい。例えば、図2に示したように、帯状升目部11の外縁からいずれかの升目を指し示す矢印などの尖鋭部がついた棒状のものであってもよい。このような棒状の目印15の場合、例えば、帯状升目部11の外縁に、該棒状の目印15を指示可能なレール部材(図示せず)を設け、このレールに沿って目印15を移動可能に支持することもできる。
【0017】
また、目印15を、方形の書面(ノートの一面など)や板状体(下敷きの一面など)の一部などに印刷して表示することもできる。この場合には、帯状升目部11を上記のように例えば長尺な板状体から形成し、目印15を固定したままで帯状升目部11を動かすことで、目印15が所定の升目を指し示すようにすることができる。
【0018】
また、図3に示したように、帯状升目部11を、方形の書面(ノートの一面など)や板状体(下敷きの一面など)の一部などに印刷して表示すると共に、その上部又は下部の少なくとも一方に、帯状升目部11に対応する目印用升目13を印刷し、この目印用升目13に文字や記号を書き込み、その文字や記号を目印15として使用することで、帯状升目部11にいわば間接的に目印15を付する構成とすることもできる。この場合、目印用升目13を複数段設けることが好ましく、例えば、1段目には、升目1101に対応する目印用升目13に丸印などの目印15を付し、2段目には、升目1105に対応する目印用升目13に丸印などの目印15を付するようにして使用することができる。
【0019】
帯状升目部11は、等幅の升目1101〜1112を12以上備えている。このため、例えば、升目1101の音をC(ド)とすれば、升目1103がD(レ)、升目1105がE(ミ)、升目1106がF(ファ)・・・となる。従って、これらの各升目1101〜1112に上記した目印15を1以上付するようにすることで、半音毎に刻まれている12音階における各音間の距離(音程)を直線的な距離という極めて単純なイメージで把握でき、特に、子供などの初学者にとって12音階の学習が容易になる。
【0020】
音楽教習部材を構成する帯状升目部11は、このように目印15を利用することによって音楽理論の学習を行うことができるが、学習者の理解をより容易にするために、本実施形態のように、操作体イメージ部12を併せて備えた音楽教習具として構成することができる。操作体イメージ部12は、12音階の各音を発音させる楽器の操作体(ピアノなどの鍵盤楽器の鍵盤、木琴や鉄琴などの打楽器の音板等)をイメージしたものである。操作体イメージ部12としては、最も親しみやすく音階をイメージしやすいことからピアノなどの鍵盤を模したものが好ましい。ここで、図1に示したように、鍵盤には白鍵1201,1203,1205,1206,1208,1210,1212と黒鍵1202,1204,1207,1209,1211の2色の操作子が用いられているが、白鍵と黒鍵で併せて順に半音毎の音を構成するにも拘わらず、実際の鍵盤においては白鍵と黒鍵とは等幅で配列されているわけではない。実際の鍵盤において、例えば、黒鍵1202は、白鍵1201寄りに配置されており、黒鍵1207は、白鍵1206寄りに配置されている。また、その長さは、白鍵の方が長く、黒鍵は短く形成されている。これらのことから、実際の鍵盤そのもののみで12音階を理解しようとすると、白鍵、黒鍵の役割は本来同じはずであるのに、初学者は白鍵に注目しやすく、12音階、音程等の理解を困難にさせる要因にもなっている。
【0021】
これに対し、図1に示したように、本実施形態の操作体イメージ部12は、その長手方向(白鍵、黒鍵の各操作子が並んでいる方向)に沿った一方の外縁12Aにおける白鍵と黒鍵の幅Qが全て同じで、各幅Qが帯状升目部11において等幅に設けられた各升目1101〜1112の幅Pと同じになるように形成されている。すなわち、この操作体イメージ部12は、実際のピアノ等の鍵盤における白鍵と黒鍵との位置関係を全く同じに保ったイメージではなく、若干ずらした位置にすることで、各幅Qを等幅に構成したものである。なお、白鍵と黒鍵の幅Qを帯状升目部11の各升目に対応させて等幅にするということは、両者が全く同じ幅(すなわち、P=Q)の場合はもとより、図4に示したように、個々の升目と白鍵(又は黒鍵)の幅が異なっていたとしても、帯状升目部11における隣接する升目(例えば符号1101)と升目(例えば符号1102)の中心位置間の間隔Rと、隣接する白鍵(例えば符号1201)と黒鍵(例えば符号1202)の中心位置間の間隔Sとが等しい場合も含む意味である。
【0022】
このように、帯状升目部11の各升目1101〜1112の幅と操作体イメージ部12の各操作子(白鍵及び黒鍵)の幅が等しいことにより、帯状升目部11を操作体イメージ部12に対して相対的にその長手方向に沿って任意の升目数分移動させた場合にも、各升目1101〜1112と操作体イメージ部12の操作子(白鍵及び黒鍵)との対応関係は明瞭となる。
【0023】
操作体イメージ部12は、帯状升目部11と同様に、プラスチック製、木製、金属製、紙製などの長尺な板状体の一面に各操作子を表示した形態として提供することもでき、大きさも限定されるものではなく、学習者用として十数cm程度のものから、黒板などを利用して教授する場合には例えば数十cmから1m前後のものとすることができる。また、例えば方形の書面(ノートの一面など)や板状体(下敷きの一面など)の一部に操作体イメージ部12を印刷して表示することもできる(図3参照)。また、操作体イメージ部12を構成する操作子の表示数は、少なくとも12音階を示すことができればよく、上限は限定されるものではない。例えば、2オクターブ分、3オクターブ分等の操作子を表示することができる。また、帯状升目部11は、例えば、鍵盤の白鍵、黒鍵と同様の着色とすることにより、鍵盤の代用としてイメージできることから、操作体イメージ部12を、帯状升目部11と同じ形状、着色で構成することもできる。
【0024】
帯状升目部11と操作体イメージ部12とは、図3に示したように、両者とも方形の書面(ノートの一面など)や板状体(下敷きの一面など)に相互に略平行に印刷して提供することもできるが、少なくともいずれか一方は、長尺な板状体の一面に表示し、他方に対して相対移動できるようにすることが好ましい。
【0025】
また、図5に示したように、操作体イメージ部12にも、上記した帯状升目部11と同様に、各操作子(白鍵、黒鍵)上に、目印(以下、「操作子用目印」)16を付することができるように形成されていることが好ましい。その手段は、限定されるものではなく、上記の帯状升目部11と目印15の関係と同様に、少なくとも一方を磁性材料から形成したり、矢印状のものを保持できるレール部材を付設するなどして設けることができる。また、操作体イメージ部12の操作子に操作子用目印16を付した場合にも、当該操作子に対応する音が発生される構成とすることもできる。
【0026】
次に、本実施形態の音楽教習具の使用方法の例を説明する。
例えば、C,E,Gの音、音程を教授する場合、図5に示したように、操作体イメージ部12のC,E,Gの位置に操作子用目印16(符号221,222,223)を付する。操作体イメージ部12は、鍵盤を模したもので、黒鍵が白鍵よりも短くなっており、C及びE間の距離(音程)、C及びG間の距離(音程)等をイメージとして把握するのが容易ではない。そこで、帯状升目部11において、操作体イメージ部12のC,E,Gの位置に対応する升目1101,1105,1108に目印15(符号211,212,213)を付する。これにより、学習者は、例えば、C及びE間の距離(音程)が12音階で図6の符号Xで示した間隔、C及びG間の距離(音程)が同じく図6の符号Yで示した間隔であることが視覚的に容易に理解できる。
【0027】
この例のC,E,Gは、Cメジャーの和音を構成する。従って、図5及び図6の例では、Cメジャーを構成する各音の音程を把握するのが極めて容易になる。このように、本実施形態の音楽教習具では、目印15を複数(通常は3つ以上)用いることにより、和音の学習を効率よく行うことができる。
【0028】
図5及び図6に示した帯状升目部11のCメジャーを構成する升目1101,1105,1108に目印15(符号211,212,213)を付した状態で、長手方向に沿って、操作体イメージ部12に対して所定量平行移動させた状態が図7である。図7では、升目4つ分(図7の符号Xに相当する距離)、図の右方向に移動させている。升目4つ分移動させることで、升目1101に付されている目印15(符号211)は、操作体イメージ部12の白鍵1205に対応し、升目1105に付されている目印15(符号212)は、操作体イメージ部12の黒鍵1209に対応し、升目1108に付されている目印15(符号213)は、操作体イメージ部12の白鍵1212に対応することになる。白鍵1205、黒鍵1209、白鍵1212は、それぞれ、E、G#、Bの音であり、つまり、E音をルート音としたEメジャーコードを構成する。従って、移動前において、帯状升目部11のCメジャーコードに対応する位置に目印15を付した場合、符号Zで示した升目4つ分の距離移動させるだけでEメジャーコードを構成するということが視覚的に理解できる。つまり、CメジャーコードとEメジャーコードとが、それらを構成する各音間の距離(音程)が同じである一方で、ルート音をCからEにしたものであるということが容易に把握できる。
【0029】
図8及び図9は任意の調性の楽曲を移調させる際の使用方法を説明するための図である。図8に示したように、C、Am、Dm、Gの順でコードが進行する調性の楽曲51を、Cメジャーと完全4度の音程差のあるFメジャーから始まる調性の楽曲52に移調させるとする。この場合には、まず、Cメジャーの和音である帯状升目部11の升目1101,1105,1108に目印15を付した後、升目5つ分平行移動するとFメジャーに移調させる。次に、図6に示したように、帯状升目部11のCメジャーのルート音であるC音に位置する升目1101に目印15(図6の符号611)を表示すると共に、Fメジャーのルート音であるF音に位置する升目1106に目印15(図6の符号612)を表示する。これにより、CメジャーとFメジャーの音程差が設定される。
【0030】
次に、図6に示したように、帯状升目部11の升目1101の目印15(符号611)を、楽曲51のAmのルート音であるA音に位置する操作体イメージ部12の白鍵1210に対応させる。すると、帯状升目部11の升目1106の目印(符号612)が操作体イメージ部12の白鍵1203に対応することになる。白鍵1203はD音に位置するため、最初のコードをCメジャーからFメジャーに移調させた場合、次のコードAmはDmに移調することが容易に理解できると共に、極めて効率的に移調作業を行うことができる。同様にして以降、図8に示したように、DmをGm、GメジャーをCメジャーへと移調する。
【0031】
上記した説明では、帯状升目部11、操作体イメージ部12、目印15を板状体や書面等に印刷表示しているが、例えば、図10に示したように、これをコンピュータの液晶ディスプレイなどの表示体100に表示させるようにしてもよい。すなわち、上記のような帯状升目部11を表示体100に表示させる帯状升目部表示手段110、操作体イメージ部12を表示体に表示させる操作体イメージ部表示手段120、帯状升目部表示手段110により表示される帯状升目部11に目印15を付与可能な目印付与手段150等のコンピュータプログラムをコンピュータの記憶部101にインストールし、それらの動作により帯状升目部11や操作体イメージ部12を表示体100に表示させることができる。
【0032】
帯状升目部表示手段110により表示される帯状升目部11は、図10に示したように、操作体イメージ部表示手段120により表示される操作体イメージ部12の上部又は下部に表示されるようになっていることが好ましい。また、帯状升目部表示手段110は、帯状升目部11を、マウス等の入力手段102を操作して、帯状升目部11の長手方向に沿って操作体イメージ部12に対して相対的に移動できる機能を有することが好ましい。目印付与手段150は、例えば、マウス、キーボード、タッチペン等の入力手段102を操作して所定の位置でクリック等すると、円等の所定の目印15がその位置に表示される構成とすることができる。
【0033】
このようなコンピュータプログラムを設定した音楽教習装置を用いた場合も、上記実施形態で説明した使用方法と全く同様に、音階、音程等の学習、調性の確認、移調作業等を入力手段102を操作して表示体100上で容易に行うことができる。また、目印付与手段150により目印15を付した場合、その目印15を付した音に対応する音を発生させるようにしてもよい。操作体イメージ部12の操作子に操作子用目印を付した場合も、同様に音が発生するようにしてもよい。また、図1〜図9に示した音楽教習具の実施形態、並びに、図10に示した音楽教習装置の実施形態では、操作体イメージ部12を一列だけしか示していないが、2列以上配置してもよい。この場合、例えば、上段の操作体イメージ部12は、帯状升目部11と同じ形状、模様、着色とし、その下に鍵盤イメージのものを配置するといったように、異なる形状、模様、着色等のものを配置することもできる。また、帯状升目部11を挟んで、その上側と下側に操作体イメージ部12を配置することもできる。また、音楽教習具においては、帯状升目部11と操作体イメージ部12を筆箱などの文房具の蓋面の裏面に配置することにより、学習の際、筆箱を開けば、本実施形態の音楽教習具を用いた学習を行うことができるようにすることができる。また、音楽教習装置においては、操作体イメージ部表示手段120によって操作体イメージ部12が表示されるが、表される操作体イメージ部12の形状、模様、着色、操作体イメージ部12の表示位置、あるいは操作体イメージ部12の表示列数(一列表示、あるいは二列表示等)などを、使用者の好みに応じて選択できる構成とすることにより、使用者がより楽しんで使用することができる。同様に、帯状升目部表示手段110は、表示される帯状升目部11の形状、模様、着色等を使用者の好みに応じて選択できる構成とすることができる。また、音階学習の段階、和音学習の段階等、学習している段階に応じて、表示される操作体イメージ部12や帯状升目部11の形状、模様、着色、表示位置、表示列数などが変化するように設定することもできる。
【0034】
図11(a)は、本発明の一の実施形態に係る作曲支援具500を示した図である。作曲支援具500は、例えば、ホワイトボードや書面などのような書き込みや消去が可能な本体表示部501を有して構成される。本体表示部501は、縦軸と横軸が設けられる。本実施形態では、縦軸として、上記実施形態で説明したものと同様の帯状升目部510が表示されている。帯状升目部510は、12以上の升目を備え、各升目に12音階が順に割り当てられているが、本実施形態では縦方向に配置されていることから、一番下の升目がC音となるようになっている。帯状升目部510は、必要に応じて2本以上並置することも可能である。帯状升目部510が配置されていない横軸は、時間軸511として機能する。
【0035】
本体表示部501には、縦軸を構成する帯状升目部510の各升目5101毎に対応して設けられる一方の罫線(すなわち、横軸である時間軸511に平行な罫線)とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線(すなわち、縦軸である帯状升目部510に平行な罫線)とに取り囲まれた複数の音表示領域520が形成されている。なお、罫線の種類は何でもよく、直線、破線、一点鎖線、各種記号や文字を連ねた線などでよい。
【0036】
本実施形態の作曲支援具500を使用する場合、ペン540などを用いて、音表示領域520に目印530を付していく。なお、音価として、ここでは、例えば、4つ分の音表示領域520に亘る目印530は4分音符を意味し、2つ分が8分音符を意味するとする。使用者は、例えば、図11(a)に示したように、帯状升目部510のG音(ソ)の升目5108に対応させて、時間軸(横軸)に沿って4つ分の音表示領域520に亘って最初の目印530を付する。次に、帯状升目部510におけるオクターブ上のC音(ド)の升目5101に対応させて、時間軸(横軸)に沿って2つ分の音表示領域520に亘って二番目の目印530を付する。以降同様に、D音(レ)の升目5103に対応させて、2つ分の音表示領域520に亘って三番目の目印530を付し、さらに、四番目以降の目印530を付していく。これにより、上記実施形態の音楽教習部材である帯状升目部の知識を備えていれば、「ソ」の4分音符、「ド」の8分音符、「レ」の8分音符・・・というように、音符記号の知識がなくても、曲を作っていくことができる。図11(a)の曲は、目印530を五線譜上の音符で示すと、図11(b)のようなメロディになる。
【0037】
図11(b)のようなメロディを五線譜を用いて作曲するには初学者では困難であるが、本実施形態の場合には、図11(a)のように目印530を付していくだけでよいため、初学者の作曲ツールとして適している。
【0038】
上記した作曲支援具500は、本体表示部501に帯状升目部510と音表示領域520を表示して、目印530を付していくことで作曲(編曲等も含む)作業に役立てるものであり、ホワイトボードやノートに予め印刷しておき、学習者が目印530を書き込むだけであるが、この機能に加えて、書き込んだ目印530の音表示領域520対応する音高、音価の音が発音される構成となっていることが好ましい。これにより、より作曲しやすくなる。発音させる手段は限定されるものではなく、目印530が書き込まれている音表示領域520のX,Y座標上の位置と長さを電気信号に変換し、さらに、その電気信号を音に変換して発音する手段等を採用することができる。また、後述の作曲支援装置700と同様に、本体表示部501の任意位置、例えば、時間軸511に平行に、鍵盤などの操作体イメージ部(図示せず)を表示するようにしてもよい。また、その際には、発音している音に対応する位置の操作体イメージ部の操作子が、電気信号を受けて発光するような構成とすることもできる。
【0039】
図12は、コンピュータによって制御される液晶ディスプレイ等の表示体701に帯状升目部711,712、音表示領域723、目印731等を表示させて作曲や編曲を行う作曲支援装置700に係る実施形態の概略構成を示した図である。
【0040】
コンピュータから構成される作曲支援装置700の記憶部702には、帯状升目部表示手段710、音表示領域表示手段720、目印付与手段730、操作体イメージ部表示手段740及び曲演奏手段750等のコンピュータプログラムがインストールされている。
【0041】
帯状升目部表示手段710は、図13に示したように、表示体701の縦方向に、上記と同様の帯状升目部711,712を表示させる。この実施形態では帯状升目部711,712を並置して表示させているが、これは、移調用に設けたものである。このため、帯状升目部表示手段710は、マウスやキーボード等の入力手段703によってドラッグ等することにより、例えば、内側の帯状升目部711を上下に移動させる機能も有している。
【0042】
音表示領域表示手段720は、表示体701の縦横に罫線を表示することにより、すなわち、縦軸を構成する帯状升目部711,712の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線(すなわち、横軸である時間軸713に平行な罫線)とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線(すなわち、縦軸である帯状升目部711,712に平行な罫線)とを表示することにより、2つの罫線に取り囲まれた複数の音表示領域723を形成する。なお、罫線の種類は何でもよく、直線、破線、一点鎖線、各種記号や文字を連ねた線などでよいことは上記実施形態と同様である。
【0043】
目印付与手段730は、例えば、マウス、キーボード、タッチペン等の入力手段703を操作して所定の位置でクリック等すると、目印731をその位置に表示させる。本実施形態では、入力手段703としてタッチペン703aを用いている。
【0044】
操作体イメージ部表示手段740は、表示体701の中の任意の位置、本実施形態では、図13(a)に示したように、横軸である時間軸と略平行に操作体イメージ部741を表示させている。本実施形態では、操作体イメージ部741として、帯状升目部711,712と同じ図柄にしているが、図1等に示したように、鍵盤のイメージ等を表示させてもよい。また、操作体イメージ部表示手段740は、各目印731が付されている時間軸上のタイミングに至ると、その音高に対応する操作体イメージ部741上の操作子が発光するようになっている。
【0045】
曲演奏手段750は、各目印731が付されている時間軸上のタイミングに至ると、その目印731に対応する音高で、その長さに対応する音価の音を発音させる。各目印731が順に発音させることにより所定の曲が演奏されることになる。
【0046】
本実施形態の作曲支援装置700によれば、例えば、タッチペン703aを用いて、上記実施形態と同様に、例えば、図13(a)に示したように、帯状升目部710のG音(ソ)の升目7108に対応させて、時間軸(横軸)に沿って4つ分の音表示領域723に亘って最初の目印731を付する。次に、帯状升目部710におけるオクターブ上のC音(ド)の升目7101に対応させて、時間軸(横軸)に沿って2つ分の音表示領域723に亘って二番目の目印731を付する。以降同様に、D音(レ)の升目7103に対応させて、2つ分の音表示領域723に亘って三番目の目印731を付し、さらに、四番目以降の目印731を付していく。
【0047】
このようにして各目印731を付したならば、例えば、入力手段703を操作して、曲演奏手段750を動作させる。これにより、曲演奏手段750は、図13(b)に示したように、「ソ」の4分音符、「ド」の8分音符、「レ」の8分音符・・・というように、順に発音して曲を演奏する。また、本実施形態では、各目印731が発音されると、これに伴って、操作体イメージ部741の各操作子が順に発光していく。図13(a)では、ラインAの位置が曲演奏手段750によって音が発生している目印731であり、この目印731の音高はオクターブ上の「ミ」であり、操作体イメージ部741では、この音に対応する操作子741aが発光する。
【0048】
移調する場合、マウスやキーボード等の入力手段703によってドラッグ等して、例えば、図14(a)の状態から図14の(b)に示したように、内側の帯状升目部711を2音分上にずらす。従って、帯状升目部711の最も下の升目7101は、C音の位置からD音の位置に移調される。そしてこの移動させた帯状升目部711をスケールとして音表示領域723に目印731を付していけば、曲の移調を容易に行うことができる。
【0049】
なお、タッチペン703a等の入力手段703を用いて音表示領域723に目印731を付する場合、音高によって、付される目印731の色が変わるように、例えば、「ド」は赤、「レ」は橙、「ミ」は黄・・・というようにすることができ、それにより、初学者にとってより使いやすくなる。
【0050】
また、上記したコンピュータプログラムは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROMなどの記録媒体へ記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて伝送することも可能である。
【0051】
また、作曲支援具及び作曲支援装置のいずれにおいても、上記した音楽教習具の実施形態、音楽教習装置の実施形態と同様に、操作体イメージ部を複数列配置することもできる。また、帯状升目部や操作体イメージ部の形状、模様、着色等のデザインも種々のものを採用できる。また、特に、作曲支援装置においては、使用者の好みに応じて、好みのデザインの帯状升目部、操作体イメージ部あるいは音表示領域を表示するようにすることもできるし、学習段階に応じて、それらのデザインが変化するように設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係る音楽教習具を説明するための図である。
【図2】図2は、目印の他の例を示した図である。
【図3】図3は、目印の付し方のさらに他の例を説明するための図である。
【図4】図4は、帯状升目部の升目間の間隔と操作体イメージ部の操作子間の間隔の関係を説明するための図である。
【図5】図5は、音楽教習具の使用方法の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、C音とE音間の距離、C音とG音間の距離を示した図である。
【図7】図7は、CメジャーをEメジャーに移調する過程の一例を示した図である。
【図8】図8は、楽曲の移調の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、図8の移調過程を説明するための図である。
【図10】図10は、音楽教習装置の構成の一例を説明するための図である。
【図11】図11(a)は、本発明の一の実施形態に係る作曲支援具を示した図であり、図11(b)は、作曲した曲の一例を五線譜上に示した図である。
【図12】図12は、本発明の一の実施形態に係る作曲支援装置の概略構成を説明するための図である。
【図13】図13(a)は、上記実施形態に係る作曲支援装置の表示体の表示内容を示した図であり、図13(b)は、作曲した曲の一例を五線譜上に示した図である。
【図14】図14(a),(b)は、曲の移調を行う手順を説明するための図である。
【0053】
11 帯状升目部
1101〜1112 升目
12 操作体イメージ部
1201〜1212 操作子(白鍵、黒鍵)
15 目印
100 表示手段
101 記憶部
102 入力手段
110 帯状升目部表示手段
120 操作体イメージ部表示手段
150 目印付与手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部を備え、
前記帯状升目部の各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられ、
前記各升目は目印を付することが可能であるように形成されていることを特徴とする音楽教習部材。
【請求項2】
請求項1記載の音楽教習部材と、
前記音楽教習部材と組み合わせて使用され、前記帯状升目部の長手方向に沿って操作子が配列された12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部と
を備えた音楽教習具であって、
前記操作体イメージ部の各操作子が、前記帯状升目部の各升目に対応して等幅で区画されており、かつ、
前記帯状升目部が、各升目に1以上の目印を付した状態で、その長手方向に沿って前記操作体イメージ部に対して相対移動可能に設けられていることを特徴とする音楽教習具。
【請求項3】
前記操作体イメージ部が、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項2記載の音楽教習具。
【請求項4】
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなる帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の長手方向に沿って操作子が配列された12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部を表示体に表示させる操作体イメージ部表示手段と、
前記帯状升目部表示手段により表示される帯状升目部に目印を付与可能な目印付与手段と
を具備するコンピュータプログラムがコンピュータの記憶部にインストールされてなることを特徴とする音楽教習装置。
【請求項5】
前記帯状升目部表示手段は、前記帯状升目部をその長手方向に移動可能な機能を有することを特徴とする請求項4記載の音楽教習装置。
【請求項6】
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域と
を備え、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付することにより、前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、
前記目印を複数付することにより曲を作成可能であることを特徴とする作曲支援具。
【請求項7】
前記帯状升目部は、複数並置され、かつ、互いに長手方向に沿って移動可能に設けられ、一方の帯状升目部に対して他方の帯状升目部を相対移動させ、前記他方の帯状升目部を基準として目印を付することにより、予め前記一方の帯状升目部を基準として作成した曲から移調させた曲を作成可能であることを特徴とする請求項6記載の作曲支援具。
【請求項8】
12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部が、さらに設けられていることを特徴とする請求項6又は7記載の作曲支援具。
【請求項9】
前記操作体イメージ部が、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項8記載の作曲支援具。
【請求項10】
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域を表示体に表示させる音表示領域表示手段と、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付する目印付与手段と
を備え、
前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、前記目印付与手段により、複数の目印を付することにより曲を作成可能であることを特徴とする作曲支援装置。
【請求項11】
前記帯状升目部表示手段は、前記帯状升目部を複数並置して、かつ、互いに長手方向に沿って移動可能に表示可能であり、一方の帯状升目部に対して他方の帯状升目部を相対移動させ、前記他方の帯状升目部を基準として前記目印付与手段により目印を付することにより、予め前記一方の帯状升目部を基準として作成した曲から移調させた曲を作成可能であることを特徴とする請求項10記載の作曲支援装置。
【請求項12】
12音階の各音を発音させるための楽器の操作体イメージ部を表示体に表示させる操作体イメージ部表示手段をさらに有することを特徴とする請求項10又は11記載の作曲支援装置。
【請求項13】
前記操作体イメージ部表示手段により表示される操作体イメージが、鍵盤のイメージであることを特徴とする請求項12記載の作曲支援装置。
【請求項14】
前記目印付与手段により付され、音符として機能する前記複数の目印の音高及び音価に従った曲を演奏する曲演奏手段をさらに有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1に記載の作曲支援装置。
【請求項15】
コンピュータから構成される作曲支援装置に導入されるコンピュータプログラムであって、
等幅の升目が帯状に12以上に配置されてなり、各升目に、完全8度に含まれる12音階を構成する各音が順に割り当てられてなり、縦軸又は横軸のいずれかとして表示される帯状升目部を表示体に表示させる帯状升目部表示手段と、
前記帯状升目部の各升目毎に対応して設けられる一方の罫線とこの一方の罫線に略直交して所定間隔毎に設けられた他方の罫線とに取り囲まれた複数の音表示領域を表示体に表示させる音表示領域表示手段と、
前記縦軸又は横軸のうち、帯状升目部が用いられていない軸に沿って、所定の長さに亘って前記音表示領域に目印を付する目印付与手段と
を備え、
前記目印が、前記帯状升目部の各升目に対応する音高とその長さに相当する音価を備えた音符として機能し、前記目印付与手段により、複数の目印を付することにより曲を作成可能であることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−91993(P2010−91993A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264656(P2008−264656)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(507131436)
【Fターム(参考)】