説明

音響変換器及びその駆動方法

【課題】広域周波数スペクトルで均一な応答特性を持つ音響変換器及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】 基板上に設けられた複数の駆動ユニットグループ(10、20、30)を備え、複数の駆動ユニットグループは、第1及び第2駆動ユニットグループを備え、第1及び第2駆動ユニットグループそれぞれは、少なくとも一つの電極を備え、第1駆動ユニットグループは第1位相で駆動され、第2駆動ユニットグループは第1位相と異なる第2位相で駆動される。複数の駆動ユニットグループは、他の周波数範囲で比較的均一な周波数応答特性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響変換器及びその駆動方法に係り、さらに詳細には、広域周波数スペクトルで均一な応答特性を持つ音響変換器及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用した音響変換器についての関連研究が進められている。音響変換器は、その構造の単純さ及び薄型化に有利であるため、音声通信及びデータ通信のための端末機に、マイクロスピーカやマイクロレシーバとして多様に活用できる。また、超音波映像診断装置で最も重要な要素は、映像の質を向上させること、及び超小型の変換器を製作することである。マイクロ超音波変換器(MUT;MicromachinedUltrasonicTransducers)は、半導体工程と互換可能な工程を用いて電子回路と集積化できるという長所及び広域特性を持つ。このため、既存の圧電セラミック、圧電ポリマーで製作された超音波変換器でも高解像度の超音波映像が製作でき、さらには3次元立体映像も製作できる。
【0003】
MEMS技術を利用した圧電型音響変換器は、圧電効果を利用して音波を発生させるものである。圧電型音響変換器は、外部から供給される電気的信号を機械的振動エネルギーに変えて音波を発生させる圧電型駆動ユニットを備える。圧電型駆動ユニットは、基板と基板上に設けられるメンブレン、及びメンブレン上に形成される第1電極と第2電極との間に位置している圧電層、を含む圧電素子を備える。圧電素子に交流電圧を印加すると、圧電層の形状が変形する。圧電層の変形はメンブレン上に振動を引き起こし、この振動により音波が発生する。MEMS技術を利用した静電型音響変換器は、基板上に形成される第1電極と、第1電極と離隔して設けられるメンブレン、及びメンブレン上に設けられる第2電極とを備える駆動ユニットで構成される。したがって、第1電極と第2電極との間に電圧を印加すると静電力が発生し、これにより、メンブレンが振動して音波を発生させる。またメンブレンに到達した音波によりメンブレンが振動し、第1電極と第2電極との間の静電容量が変化することで電気的信号を発生させる。
【0004】
一方、1個の駆動ユニットを備える音響変換器は、駆動ユニットの材質及び形状によって特定周波数帯域の応答特性が決定される。このため、広域の周波数応答特性を得るには限界がある。また、同じ周波数応答特性を持つ複数の駆動ユニットを備える音響変換器では、同じ周波数応答特性が重畳するため、特定周波数帯域でのみ音圧が増大する。このため、広域の周波数応答特性を得るのには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、広域で均一な周波数応答特性を持つ音響変換器及びその駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面において、基板上に設けられた複数の駆動ユニットグループを備え、上記複数の駆動ユニットグループは、第1及び第2駆動ユニットグループを備え、上記第1及び第2駆動ユニットグループそれぞれは、少なくとも一つの電極を備え、上記第1駆動ユニットグループは第1位相で駆動され、上記第2駆動ユニットグループは上記第1位相と異なる第2位相で駆動される音響変換器が提供される。
【0007】
上記第1駆動ユニットグループは、第1周波数領域における周波数応答特性を持ち、上記第2駆動ユニットグループは、上記第1周波数領域と異なる第2周波数領域における周波数応答特性を持つ。
【0008】
上記第1及び第2周波数領域は、互いに隣接し、上記第1位相及び上記第2位相は、互いに逆である。
【0009】
上記音響変換器は、上記基板と上記複数の駆動ユニットグループとの間に設けられた少なくとも一つのメンブレンをさらに備える。
【0010】
上記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備え、上記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備える。
【0011】
上記第1駆動ユニットグループの第2電極と、上記第2駆動ユニットグループの第1電極とは、第1配線により互いに電気的に連結され、上記第1駆動ユニットグループの第1電極と上記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、第2配線により互いに電気的に連結される。
【0012】
上記第1配線は交流電源の一端に連結され、上記第2配線は上記交流電源の他端に連結される。
【0013】
上記音響変換器は、位相反転回路をさらに備え、上記位相反転回路は、上記第1駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結され、上記位相反転回路は、上記第2駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結される。
【0014】
上記第1駆動ユニットグループの第2電極と上記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、一体に形成されて共通電極を構成する。
【0015】
上記音響変換器は、電源の一端に連結される位相反転回路をさらに備え、上記第1駆動ユニットグループの第1電極と上記第2駆動ユニットグループの第1電極のうち一つは、上記位相反転回路に連結される。
【0016】
上記第1駆動ユニットグループは少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニットを備え、上記第2駆動ユニットグループは少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニットを備える。
【0017】
上記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、単一平面上に設けられる。
【0018】
上記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、上記基板上に設けられたメンブレン上に位置する。
【0019】
上記第1及び第2圧電型駆動ユニットそれぞれは、第1電極と第2電極との間に設けられる圧電層を備える。上記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、サイズ及び形状のうち少なくとも一つが異なる。上記第1圧電型駆動ユニットは第1質量体を含み、上記第2圧電型駆動ユニットは、上記第1質量体と異なる重さを持つ第2質量体を含む。
【0020】
上記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1静電型駆動ユニットを備え、上記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2静電型駆動ユニットを備える。
上記第1静電型駆動ユニットは、メンブレン上の第1電極及び上記基板上の第2電極を備え、上記第2静電型駆動ユニットは、上記メンブレン上の第1電極及び上記基板上の第2電極を備える。
【0021】
上記第1静電型駆動ユニットの第2電極と上記第2静電型駆動ユニットの第1電極とは、電源の一端に連結された第1配線により互いに電気的に連結され、上記第1静電型駆動ユニットの第1電極と上記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、上記電源の他端に連結された第2配線により互いに電気的に連結される。
【0022】
上記第1静電型駆動ユニットの第2電極と上記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、上記基板上に一体に形成されて共通電極を構成し、上記第1静電型駆動ユニットの第1電極と上記第2静電型駆動ユニットの第1電極のうち一つは、位相反転回路に連結される。
【0023】
上記第1駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数は、第2駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数と異なる。
【0024】
本発明の他の側面において、基板上に設けられた複数の駆動ユニットグループを備え、上記複数の駆動ユニットグループは、第1ないし第3駆動ユニットグループを備え、上記第1ないし第3駆動ユニットグループそれぞれは、少なくとも一つの電極を備え、上記第1及び第3駆動ユニットグループは第1位相で駆動され、上記第2駆動ユニットグループは上記第1位相と異なる第2位相で駆動される音響変換器が提供される。
【0025】
本発明の他の側面において、基板上に設けられた第1及び第2駆動ユニットグループを備える複数の駆動ユニットグループを備え、上記第1及び第2駆動ユニットグループそれぞれが少なくとも一つの電極を備える音響変換器を駆動する方法において、上記第1駆動ユニットグループを第1位相で駆動する段階と、上記第2駆動ユニットグループを第2位相で駆動する段階と、を含み、上記第1位相と上記第2位相とは相異なる音響変換器の駆動方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。
【図2】図1のII−II’線の断面図である。
【図3】相異なる周波数帯域の周波数特性を持つ3個の駆動ユニットグループをいずれも同一位相で駆動した場合と、3個の駆動ユニットグループのうち一つを他の2個の駆動ユニットグループと逆の位相で駆動した場合と、の周波数応答特性を示す図面である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。
【図6】本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図面で同じ参照符号は同じ構成要素を称し、各構成要素のサイズや厚さは、説明の明瞭性のために誇張されている。一方、以下で説明される実施形態は単に例示的なものであって、これらの実施形態から多様な変形が可能である。
【0028】
図1は、本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。そして、図2は、図1のII−II’線の断面図である。
【0029】
図1及び図2を参照すれば、本発明の例示的な実施形態による音響変換器は、相異なる周波数応答特性を持つ複数の駆動ユニットグループ10、20、30を備える。ここで、駆動ユニットグループ10、20、30のうち少なくとも一つの駆動ユニットグループ20は、他の駆動ユニットグループ10、30と異なる位相で駆動される。本実施形態で音響変換器は、圧電型音響変換器になりうる。
【0030】
具体的に、音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30を備える。ここで、第1駆動ユニットグループ10は、例えば、相対的に低い第1周波数帯域の周波数特性を持つことができ、第2駆動ユニットグループ20は、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数特性を持つことができる。また第3駆動ユニットグループ30は、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。一方、図1に示された第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30の配置形態は、単に例示的なものであって、その他にも、第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30は、多様な形態で配されうる。また、図1には、音響変換器が3個の駆動ユニットグループ10、20、30で構成される場合が図示されているが、その他にも、音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ2つまたは4つ以上の駆動ユニットグループを備えることができる。
【0031】
第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30は、同一平面上に設けられる。第1駆動ユニットグループ10は、少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニット110を備えることができ、第2駆動ユニットグループ20は、少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニット120を備えることができる。第3駆動ユニットグループ30は、少なくとも一つの第3圧電型駆動ユニット130を備えることができる。これらの第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130は、同一基板101上に設けられる。基板101としては、例えば、シリコン基板が使われるが、これに限定されずに多様な材質の基板が使われうる。図1を参照すれば、第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30それぞれは、2個の圧電型駆動ユニットを備える。すなわち、第1駆動ユニットグループ10は、2個の第1圧電型駆動ユニット110を備え、第2駆動ユニットグループ20は、2個の第2圧電型駆動ユニット120を備え、第3駆動ユニットグループ30は、2個の第1圧電型駆動ユニット130を備える。しかし、各駆動ユニットグループ内の圧電型駆動ユニットの数は、2つに限定されるものではない。例えば、第1ないし第3駆動ユニットグループ10、20、30は、それぞれ一つまたは3つ以上の第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130で構成でき、また第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130の配置形態も多様に変形できる。そして、図1に示された第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130の配置形態は、単に例示的なものであって、その他にも、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130は多様な形態に配されうる。
【0032】
図2を参照すれば、第1圧電型駆動ユニット110は、基板101上に形成されるメンブレン102と、メンブレン102上に設けられる第1圧電素子111とを備える。ここで、第1圧電素子111は、メンブレン102上に順次に積層される第1電極112、第1圧電層113及び第2電極114で構成される。そして、第2圧電型駆動ユニット120は、メンブレン102と、メンブレン102上に設けられる第2圧電素子121とを備える。ここで、第2圧電素子121は、メンブレン102上に順次に積層される第1電極122、第2圧電層123及び第2電極124で構成される。また、第3圧電型駆動ユニット130は、メンブレン102と、メンブレン102上に設けられる第3圧電素子131とを備える。ここで、第3圧電素子131は、メンブレン102上に順次に積層される第1電極132、第3圧電層133及び第2電極134で構成される。
【0033】
第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つように、相異なるサイズを持つ。具体的に、第1圧電型駆動ユニット110は、相対的に低い第1周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2及び第3圧電型駆動ユニット120、130よりも大型であり得る。そして、第2圧電型駆動ユニット120は、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第1圧電型駆動ユニット110よりは小さくて、第3圧電型駆動ユニット130よりは大きいサイズを持つことができる。また、第3圧電型駆動ユニット130は、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2圧電型駆動ユニット120よりも小型であり得る。
【0034】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130のうち少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニット120は、他の圧電型駆動ユニット110、130と他の位相で駆動される。具体的に、互いに隣接する周波数帯域の周波数特性を持つ圧電型駆動ユニットは、互いに逆の位相で駆動される。これにより、第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130は、同一位相で駆動され、第2圧電型駆動ユニット120は、第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130とは逆の位相で駆動される。
【0035】
このような第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130は、図1及び図2に示したような配線構成により、一つの交流電源190で駆動できる。例えば、第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130の第2電極114、134は、第1配線151により電気的に互いに連結されており、第1配線151は、交流電源190の一端に連結されている。そして、第2圧電型駆動ユニット120の第1電極122は、第1配線151を通じて、第1及び第2圧電型駆動ユニット110、130の第2電極114、134と互いに電気的に連結されている。これにより、第1圧電型駆動ユニット110の第2電極114、第2圧電型駆動ユニット120の第1電極122及び第3圧電型駆動ユニット130の第2電極134が、第1配線151により電気的に連結される。また、第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130の第1電極112、132は、第2配線152により電気的に互いに連結されており、第2配線152は、交流電源190の他端に連結されている。電極114、122、134が第1配線151を通じて互いに電気的に連結されれば、第1圧電型駆動ユニット110の第1電極112、第2圧電型駆動ユニットの第2電極124及び第3圧電型駆動ユニット130の第1電極132が、第2配線152により電気的に連結される。したがって、交流電源190から音響変換器に電圧が印加されれば、第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130は同じ位相で駆動され、第2圧電型駆動ユニット120は第1及び第3圧電型駆動ユニット110、130と逆の位相で駆動される。一方、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130が、それぞれ別途の電源で駆動されることもできる。
【0036】
圧電型駆動ユニット(例えば、第1圧電型駆動ユニット110)では、圧電型駆動ユニットのメンブレン(例えば、メンブレン102)の変形位相と出力音圧の位相とが、圧電型駆動ユニット(例えば、第1圧電型駆動ユニット110)の共振周波数前後に変わる。したがって、もし、互いに隣接する周波数帯域の周波数特性を持つ第1及び第2圧電型駆動ユニット110、120が同一位相で駆動される場合には、全体出力音圧がかなり低減するディップ形状が生じる。第1圧電型駆動ユニット110の共振周波数以下の周波数では、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧の位相は、第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧の位相と同一になるので、全体出力音圧が上昇する。しかし、第1圧電型駆動ユニット110の共振周波数以上の周波数では、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧の位相が反転することで、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧の位相は、第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧の位相と逆になる。これにより、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧と第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧とが互いに相殺されて、全体出力音圧が低減するディップ現象が発生する。
【0037】
本発明の例示的な実施形態では、問題点を解決するために、第2圧電型駆動ユニット120を、第1圧電型駆動ユニット110と逆の位相で駆動する。この場合には、第1圧電型駆動ユニット110の共振周波数以上の周波数で、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧と第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧とが互いに補強される効果が発生して、第1周波数帯域から第2周波数帯域まで比較的均一な周波数応答特性を得ることができる。
【0038】
第1圧電型駆動ユニット110の共振周波数以下の周波数では、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧の位相と、第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧の位相とが逆になる。しかし、第1圧電型駆動ユニット110による出力音圧が第2圧電型駆動ユニット120による出力音圧より非常に大きいため、第1圧電型駆動ユニット110の共振周波数以下の周波数でも、比較的均一な周波数応答特性を得ることができる。
【0039】
図3は、相異なる第1ないし第3周波数帯域の周波数特性を持つ3個の圧電型駆動ユニットをいずれも同一位相で駆動(同一位相駆動)した場合と、3個の圧電型駆動ユニットのうち、第2周波数帯域の圧電型駆動ユニットを他の2個の圧電型駆動ユニットと逆の位相で駆動した場合(位相反転駆動)との、音響変換器の周波数による出力音圧を示したものである。図3を参照すれば、同一位相駆動では、第1周波数帯域と第2周波数帯域との間及び第2周波数帯域と第3周波数帯域との間ではディップ現象が発生して全体出力音圧が低減したが、位相反転駆動では、第1周波数帯域から第3周波数帯域まで比較的均一な周波数応答特性を得ることができるということが分かる。
【0040】
一方、以上の実施形態では、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110、120、130が相異なるサイズを持つことで、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得る場合が説明された。しかし、その他にも多様な方法で相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ圧電型駆動ユニットが製作できる。
【0041】
図4は、本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0042】
図4を参照すれば、本実施形態による音響変換器は相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ第1ないし第3駆動ユニットグループ10’、20’、30’を備える。ここで、第1駆動ユニットグループ10’は、例えば、相対的に低い第1周波数帯域の周波数特性を持つことができ、第2駆動ユニットグループ20’は、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。また第3駆動ユニットグループ30’は、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。図1に図示された例示的な実施形態と同様に、第1及び第3駆動ユニットグループ10’、30’は、同一位相で駆動され、第2駆動ユニットグループ20’は、第1及び第3圧電型駆動ユニット10‘、30’とは逆の位相で駆動される。一方、駆動ユニットグループ10’、20’、30’は多様な数で設けられ、その配置も多様にすることができる。
【0043】
第1駆動ユニットグループ10’は、少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニット110’を備え、第2駆動ユニットグループ20’は、少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニット120’を備える。そして、第3駆動ユニットグループ30’は、少なくとも一つの第3圧電型駆動ユニット130’を備える。このような第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120’、130’は、同一基板(図示せず)上に設けられる。図4で参照符号102’は、基板上に形成されたメンブレンを示す。本実施形態で、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120‘、130’は、そのサイズは同一であるが、相異なる形状を持つことで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。例えば、第1圧電型駆動ユニット110’は方形状を持つことができ、第2圧電型駆動ユニット120’は円形状を持つことができる。そして、第3圧電型駆動ユニット130’は、三角形状を持つことができる。しかし、これは単に例示的なものであって、その他にも、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120‘、130’は多様な形状を持つことができる。一方、第1ないし第3駆動ユニットグループ10’、20’、30’は、それぞれ多様な数の第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120‘、130’で構成され、またこのような第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120’、130’の配置形態も多様に変形される。第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120’、130’それぞれの構成は、前述した実施形態と同一であるので、これについての具体的な説明は省略する。一方、以上では第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120’、130’が、そのサイズは同一であるが、形状が異なる場合が説明されたが、第1ないし第3圧電型駆動ユニット110’、120’、130’は、サイズと形状いずれも相異なる場合もありうる。
【0044】
図5は、本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0045】
図5を参照すれば、本実施形態による音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ第1ないし第3駆動ユニットグループを備えることができる。ここで、第1駆動ユニットグループは、例えば、相対的に低い第1周波数帯域の周波数特性を持つことができ、第2駆動ユニットグループは、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数特性を持つことができる。また第3駆動ユニットグループは、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。本実施形態でも、前述した実施形態と同様に、第1及び第3駆動ユニットグループは同一位相で駆動され、第2駆動ユニットグループは、第1及び第3駆動ユニットグループとは異なる位相、さらに具体的には、逆の位相で駆動される。一方、駆動ユニットグループは多様な数で設けられ、その配置も多様にすることができる。
【0046】
第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニット210を備えることができ、第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニット220を備えることができる。そして、第3駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第3圧電型駆動ユニット230を備えることができる。これらの第1ないし第3圧電型駆動ユニット210、220、230は、同一基板201上に設けられる。本実施形態で、第1ないし第3圧電型駆動ユニット210、220、230は、サイズは同一であるものの相異なる重さの質量体241、242、243を含むことで、相異なる周波数帯域の周波数特性を得ることができる。具体的に、第1圧電型駆動ユニット210は、基板201上に形成されるメンブレン202と、メンブレン202の上面に設けられる第1圧電素子211と、メンブレン202の下面に設けられる第1質量体241とを備える。第2圧電型駆動ユニット220は、メンブレン202と、メンブレン202の上面に設けられる第2圧電素子221と、メンブレン202の下面に設けられる第2質量体242とを備える。そして、第3圧電型駆動ユニット230は、メンブレン202と、メンブレン202の上面に設けられる第3圧電素子231と、メンブレン202の下面に設けられる第3質量体243とを備える。ここで、第1質量体241は、第2及び第3質量体242、243より重く、第2質量体242は、第1質量体241よりは軽いが、第3質量体243よりは重い。そして、第3質量体243は第2質量体242よりも軽い。このように、本実施形態では、第1ないし第3圧電型駆動ユニット210、220、230が相異なる重さの第1ないし第3質量体241、242、243を含むことで、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。
【0047】
一方、以上の実施形態以外にも多様な方法により、第1ないし第3圧電型駆動ユニットが相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。例えば、第1ないし第3圧電型駆動ユニットが同じメンブレンサイズを持つが、圧電層のサイズを異ならせることで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つこともある。
【0048】
図6は、本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心として説明する。本実施形態による音響変換器は、静電型超音波変換器になりうる。
【0049】
図6を参照すれば、本実施形態による音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ複数の駆動ユニットグループを備え、これらの駆動ユニットグループのうち少なくとも一つは、他の駆動ユニットグループと逆の位相で駆動される。例えば、音響変換器は、図1に示したものと類似して配された、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ第1ないし第3駆動ユニットグループを備えることができる。しかし、これは単に例示的なものであって、音響変換器は多様な数の駆動ユニットグループを備えることができ、この駆動ユニットグループの配置も多様にすることができる。
【0050】
図6に図示された本発明の例示的な実施形態によれば、第1駆動ユニットグループは、相対的に低い第1周波数帯域の周波数特性を持つことができ、第2駆動ユニットグループは、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数特性を持つことができる。また第3駆動ユニットグループは、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。そして、このような第1ないし第3駆動ユニットグループは、同一平面上に設けられうる。第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1静電型駆動ユニット310を備え、第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2静電型駆動ユニット320を備える。第3駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第3静電型駆動ユニット330を備える。かかる第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330は同一基板301上に設けられうる。基板301としては、例えば、シリコン基板が使われるが、これに限定されずに多様な材質の基板が使われうる。
【0051】
図6を参照すれば、第1静電型駆動ユニット310は、基板301上に形成される第1電極312、第1電極312と離隔して設けられるメンブレン302、及びメンブレン302上に設けられる第2電極314を備える。第2静電型駆動ユニット320は、第1静電型駆動ユニット310の第1電極312から所定間隔離隔して基板301上に形成される第1電極322、第1電極322と離隔して設けられるメンブレン302、及び第1静電型駆動ユニット310の第2電極314から所定間隔離隔してメンブレン302上に設けられる第2電極324を備える。そして、第3静電型駆動ユニット330は、第1静電型駆動ユニット310の第1電極312から所定間隔離隔し、かつ第2静電型駆動ユニット320の第1電極322から所定間隔離隔して基板301上に形成される第1電極332、第1電極332と離隔して設けられるメンブレン302、及び第1静電型駆動ユニット310の第2電極314から所定間隔離隔し、かつ第2静電型駆動ユニット320の第2電極324から所定間隔離隔して前記メンブレン302上に設けられる第2電極334を備える。ここで、基板301上には、第1電極312、322、332を覆うように誘電体層305が形成されており、第1ないし第3駆動ユニット310、320、330の間には隔壁360が設けられる。
【0052】
第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330は、相異なるサイズを持つことで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。具体的に、第1静電型駆動ユニット310は、相対的に低い第1周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2及び第3静電型駆動ユニット320、330よりも大型であり得る。そして、第2静電型駆動ユニット320は、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第1静電型駆動ユニット310よりは小さく、第3静電型駆動ユニット330よりは大きいサイズを持つことができる。また、第3静電型駆動ユニット330は、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2静電型駆動ユニット320よりも小型であり得る。
【0053】
第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330のうち少なくとも一つ320は、他の静電型駆動ユニット310、330と逆の位相で駆動される。具体的に、互いに隣接する周波数帯域の周波数特性を持つ静電型駆動ユニットは、互いに逆の位相で駆動できる。これにより、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330は同一位相で駆動され、第2静電型駆動ユニット320は、第1及び第3圧電型駆動ユニット310、330とは逆の位相で駆動される。
【0054】
図6を参照すれば、第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330は一つの交流電源290で駆動される。具体的に、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330の第2電極314、334は、第1配線351により電気的に互いに連結されており、第1配線351は交流電源290の一端に連結されている。そして、第2静電型駆動ユニット320の第1電極322は、第1配線351を通じて第2電極314、334と互いに電気的に連結されている。これにより、第1静電型駆動ユニット310の第2電極314、第2静電型駆動ユニット320の第1電極322及び第3静電型駆動ユニット330の第2電極334が、第1配線351により電気的に連結される。また、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330の第1電極312、332は、第2配線352により電気的に互いに連結されており、第2配線352は、交流電源290の他端に連結されている。電極314、322、334が第1配線を通じ互いに電気的に連結されれば、第1静電型駆動ユニット310の第1電極312、第2静電型駆動ユニットの第2電極324及び第3静電型駆動ユニット330の第1電極332が、第2配線352により電気的に連結される。交流電源290から音響変換器に電圧が印加されれば、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330は同じ位相で駆動され、第2静電型駆動ユニット320は、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330と逆の位相で駆動される。第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330がそれぞれ別途の電源で駆動されることもできる。
【0055】
このように、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330は、同じ位相で駆動し、第2静電型駆動ユニット320は、第1及び第3静電型駆動ユニット310、330と逆の位相で駆動すれば、前述したように、広域で均一な周波数応答特性を得ることができる。
【0056】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330が、そのサイズを互いに異ならせることで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つことが説明された。しかし、その他にも前述したように、第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330は形状を異ならせるか、またはサイズ及び形状を異ならせることで、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。また、第1ないし第3静電型駆動ユニット310、320、330は、相異なる重さの質量体を含むことで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることもできる。
【0057】
図7は、本発明の例示的な実施形態による音響変換器を示す平面図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0058】
図7を参照すれば、本実施形態による音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ複数の駆動ユニットグループを備え、駆動ユニットグループのうち少なくとも一つは、他の駆動ユニットグループと逆の位相で駆動される。例えば、音響変換器は、図1に示したものと類似して配された相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ第1ないし第3駆動ユニットグループを備える。しかし、これは単に例示的なものであって、音響変換器は多様な数の駆動ユニットグループを備えることができ、駆動ユニットグループの配置も多様にすることができる。
【0059】
図7に図示された本発明の例示的な実施形態によれば、第1駆動ユニットグループは、相対的に低い第1周波数帯域の周波数応答特性を持つことができ、第2駆動ユニットグループは、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。また第3駆動ユニットグループは、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つことができる。第1ないし第3駆動ユニットグループは、同一平面上に設けられる。第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1静電型駆動ユニット410を備え、第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2静電型駆動ユニット420を備える。第3駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第3静電型駆動ユニット430を備える。これらの第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430は、同一基板401上に設けられる。
【0060】
図7を参照すれば、第1静電型駆動ユニット410は、基板401上に形成されるものであって、共通電極になりうる第1電極403、第1電極403と離隔して設けられるメンブレン402、及びメンブレン402上に設けられる第2電極414を備える。第2静電型駆動ユニット420は、第1電極403、メンブレン402、及び第1静電型駆動ユニット410の第2電極414から所定間隔離隔してメンブレン402上に設けられる第2電極424を備える。そして、第3静電型駆動ユニット430は、第1電極403、メンブレン402及び第1静電型駆動ユニット410の第2電極414から所定間隔離隔し、かつ第2静電型駆動ユニット420の第2電極424から所定間隔離隔してメンブレン402上に設けられる第2電極434を備える。図6を参照すれば、基板401上には、第1電極403を覆うように誘電体層405が形成されており、第1ないし第3駆動ユニット410、420、430の間には隔壁460が設けられる。
【0061】
第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430は、相異なるサイズを持つことで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。具体的に、第1静電型駆動ユニット410は、相対的に低い第1周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2及び第3静電型駆動ユニット420、430よりも大型であり得る。そして、第2静電型駆動ユニット420は、第1周波数帯域より高い第2周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第1静電型駆動ユニット410よりは小さくて、第3静電型駆動ユニット430よりは大きいサイズを持つことができる。また、第3静電型駆動ユニット430は、第2周波数帯域より高い第3周波数帯域の周波数応答特性を持つように、第2静電型駆動ユニット420よりも小型であり得る。
【0062】
第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430のうち少なくとも一つ420は、他の静電型駆動ユニット410、430と逆の位相で駆動される。具体的に、互いに隣接する周波数帯域の周波数特性を持つ静電型駆動ユニットは、互いに逆の位相で駆動される。これにより、第1及び第3静電型駆動ユニット410、430は同一位相で駆動され、第2静電型駆動ユニット420は、第1及び第3圧電型駆動ユニット410、430とは逆の位相で駆動される。
【0063】
これらの第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430は、一つの交流電源390で駆動される。具体的に、第1及び第3静電型駆動ユニット410、430の第2電極414、434は、第1配線451により電気的に互いに連結されており、第1配線451は、交流電源390の一端に連結されている。そして、第2静電型駆動ユニット420の第2電極424は、位相反転回路480を備える第2配線452に電気的に連結されており、第2配線452は、第1配線451が連結された前記交流電源390の一端に連結されている。そして、第1電極403は、第3配線453に電気的に連結されており、第3配線453は、交流電源390の他端に連結されている。一方、第2配線は、位相反転回路480を使用する代わりに、交流電源390の他端に連結されてもよい。第3配線453は接地できる。これにより、交流電源390から音響変換器に電圧が印加されれば、第1及び第3静電型駆動ユニット410、430は、同じ位相で駆動され、第2静電型駆動ユニット420は、位相反転回路により第1及び第3静電型駆動ユニット410、430と逆の位相で駆動される。大体、第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430がそれぞれ別途の電源で駆動されてもよい。
【0064】
このように、第1及び第3静電型駆動ユニット410、430は、同じ位相で駆動し、第2静電型駆動ユニット420は、第1及び第3静電型駆動ユニット410、430と逆の位相で駆動すれば、広域で比較的均一な周波数応答特性を得ることができる。一方、本実施形態では、第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430が、そのサイズを異ならせることで相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ場合が説明された。しかし、その他にも前述したように、第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430は、その形状を異ならせるか、またはサイズ及び形状を異ならせることで、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることができる。また、第1ないし第3静電型駆動ユニット410、420、430は、相異なる重さの質量体を含むことで、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を得ることもできる。
【0065】
以上のように本発明の実施形態によれば、音響変換器は、相異なる周波数帯域の周波数応答特性を持つ複数の駆動ユニットグループを備え、これらの駆動ユニットグループのうち少なくとも一つは、他の駆動ユニットグループと異なる位相で駆動されることで、広域で均一な周波数応答特性を得ることができる。以上で本発明の実施形態が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、音響変換器関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0067】
10 第1駆動ユニットグループ
20 第2駆動ユニットグループ
30 第3駆動ユニットグループ
102 メンブレン
110 第1圧電型駆動ユニット
114、124、134 第2電極
120 第2圧電型駆動ユニット
130 第3圧電型駆動ユニット
151 第1配線
152 第2配線
190 交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた複数の駆動ユニットグループを備え、
前記複数の駆動ユニットグループは、第1及び第2駆動ユニットグループを備え、
前記第1及び第2駆動ユニットグループそれぞれは、少なくとも一つの電極を備え、
前記第1駆動ユニットグループは第1位相で駆動され、前記第2駆動ユニットグループは前記第1位相と異なる第2位相で駆動される音響変換器。
【請求項2】
前記第1駆動ユニットグループは、第1周波数領域における周波数応答特性を持ち、前記第2駆動ユニットグループは、前記第1周波数領域と異なる第2周波数領域における周波数応答特性を持つ請求項1に記載の音響変換器。
【請求項3】
前記第1及び第2周波数領域は、互いに隣接する請求項2に記載の音響変換器。
【請求項4】
前記第1位相及び前記第2位相は、互いに逆である請求項1から3のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項5】
前記基板と前記複数の駆動ユニットグループとの間に設けられた少なくとも一つのメンブレンをさらに備える請求項1から4のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項6】
前記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備え、前記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備える請求項1から5のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項7】
前記第1駆動ユニットグループの第2電極と、前記第2駆動ユニットグループの第1電極とは、第1配線により互いに電気的に連結され、
前記第1駆動ユニットグループの第1電極と前記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、第2配線により互いに電気的に連結される請求項6に記載の音響変換器。
【請求項8】
前記第1配線は交流電源の一端に連結され、前記第2配線は前記交流電源の他端に連結される請求項7に記載の音響変換器。
【請求項9】
位相反転回路をさらに備え、
前記位相反転回路は、前記第1駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結され、
前記位相反転回路は、前記第2駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結される請求項6から8のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項10】
前記第1駆動ユニットグループの第2電極と前記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、一体に形成されて共通電極を構成する請求項6から9のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項11】
電源の一端に連結される位相反転回路をさらに備え、
前記第1駆動ユニットグループの第1電極と前記第2駆動ユニットグループの第1電極のうち一つは、前記位相反転回路に連結される請求項10に記載の音響変換器。
【請求項12】
前記第1駆動ユニットグループは少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニットを備え、前記第2駆動ユニットグループは少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニットを備える請求項1から11のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項13】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、単一平面上に設けられる請求項12に記載の音響変換器。
【請求項14】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、前記基板上に設けられたメンブレン上に位置する請求項12に記載の音響変換器。
【請求項15】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットそれぞれは、第1電極と第2電極との間に設けられる圧電層を備える請求項12から14のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項16】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、サイズ及び形状のうち少なくとも一つが異なる請求項12から15のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項17】
前記第1圧電型駆動ユニットは第1質量体を含み、前記第2圧電型駆動ユニットは、前記第1質量体と異なる重さを持つ第2質量体を含む請求項12から16のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項18】
前記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1静電型駆動ユニットを備え、前記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2静電型駆動ユニットを備える請求項1から17のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項19】
前記第1静電型駆動ユニットは、メンブレン上の第1電極及び前記基板上の第2電極を備え、前記第2静電型駆動ユニットは、前記メンブレン上の第1電極及び前記基板上の第2電極を備える請求項18に記載の音響変換器。
【請求項20】
前記第1静電型駆動ユニットの第2電極と前記第2静電型駆動ユニットの第1電極とは、電源の一端に連結された第1配線により互いに電気的に連結され、
前記第1静電型駆動ユニットの第1電極と前記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、前記電源の他端に連結された第2配線により互いに電気的に連結される請求項19に記載の音響変換器。
【請求項21】
前記第1静電型駆動ユニットの第2電極と前記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、前記基板上に一体に形成されて共通電極を構成し、
前記第1静電型駆動ユニットの第1電極と前記第2静電型駆動ユニットの第1電極のうち一つは、位相反転回路に連結される請求項19または20に記載の音響変換器。
【請求項22】
前記第1駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数は、第2駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数と異なる請求項1から21のいずれかに記載の音響変換器。
【請求項23】
基板上に設けられた複数の駆動ユニットグループを備え、
前記複数の駆動ユニットグループは、第1ないし第3駆動ユニットグループを備え、
前記第1ないし第3駆動ユニットグループそれぞれは、少なくとも一つの電極を備え、
前記第1及び第3駆動ユニットグループは第1位相で駆動され、前記第2駆動ユニットグループは前記第1位相と異なる第2位相で駆動される音響変換器。
【請求項24】
第1ないし第3駆動ユニットグループは、それぞれ第1ないし第3周波数領域における周波数応答特性を持ち、前記第1ないし第3周波数領域は相異なる請求項23に記載の音響変換器。
【請求項25】
前記第1位相と前記第2位相とは、互いに逆である請求項24に記載の音響変換器。
【請求項26】
基板上に設けられた第1及び第2駆動ユニットグループを備える複数の駆動ユニットグループを備え、前記第1及び第2駆動ユニットグループそれぞれが少なくとも一つの電極を備える音響変換器を駆動する方法において、
前記第1駆動ユニットグループを第1位相で駆動する段階と、
前記第2駆動ユニットグループを第2位相で駆動する段階と、を含み、
前記第1位相と前記第2位相とは相異なる音響変換器の駆動方法。
【請求項27】
前記第1駆動ユニットグループは、第1周波数領域における周波数応答特性を持ち、前記第2駆動ユニットグループは、前記第1周波数領域と異なる第2周波数領域における周波数応答特性を持つ請求項26に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項28】
前記第1及び第2周波数領域は、互いに隣接する請求項27に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項29】
前記第1位相と前記第2位相とは、互いに逆である請求項26から28のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項30】
前記基板と前記複数の駆動ユニットグループとの間に設けられた少なくとも一つのメンブレンをさらに備える請求項26から29のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項31】
前記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備え、前記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1電極及び少なくとも一つの第2電極を備える請求項26から30のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項32】
前記第1駆動ユニットグループの第2電極と前記第2駆動ユニットグループの第1電極とは、第1配線により互いに電気的に連結され、
前記第1駆動ユニットグループの第1電極と前記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、第2配線により互いに電気的に連結される請求項31に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項33】
前記第1配線は交流電源の一端に連結され、前記第2配線は前記交流電源の他端に連結される請求項32に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項34】
前記音響変換器は位相反転回路をさらに備え、
前記位相反転回路は、前記第1駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結され、前記位相反転回路は、前記第2駆動ユニットグループの第1及び第2電極のうち一つに連結される請求項31から33のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項35】
前記第1駆動ユニットグループの第2電極と前記第2駆動ユニットグループの第2電極とは、一体に形成されて共通電極を構成する請求項31から34のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項36】
前記音響変換器は、電源の一端に連結される位相反転回路をさらに備え、
前記第1駆動ユニットグループの第1電極と前記第2駆動ユニットグループの第1電極のうち一つは、前記位相反転回路に連結される請求項35に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項37】
前記第1駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第1圧電型駆動ユニットを備え、前記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2圧電型駆動ユニットを備える請求項26から36のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項38】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、単一平面上に設けられる請求項37に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項39】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、前記基板上に設けられたメンブレン上に位置する請求項37または38に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項40】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットそれぞれは、第1電極と第2電極との間に設けられる圧電層を備える請求項37から39のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項41】
前記第1及び第2圧電型駆動ユニットは、サイズ及び形状のうち少なくとも一つが異なる請求項37から40のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項42】
前記第1圧電型駆動ユニットは第1質量体を含み、前記第2圧電型駆動ユニットは前記第1質量体と異なる重さを持つ第2質量体を含む請求項37から41のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項43】
前記第1駆動ユニットグループは少なくとも一つの第1静電型駆動ユニットを備え、前記第2駆動ユニットグループは、少なくとも一つの第2静電型駆動ユニットを備える請求項26から42のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項44】
前記第1静電型駆動ユニットは、メンブレン上の第1電極及び前記基板上の第2電極を備え、前記第2静電型駆動ユニットは、前記メンブレン上の第1電極及び前記基板上の第2電極を備える請求項43に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項45】
前記第1静電型駆動ユニットの第2電極と前記第2静電型駆動ユニットの第1電極とは、電源の一端に連結された第1配線により互いに電気的に連結され、
前記第1静電型駆動ユニットの第1電極と前記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、前記電源の他端に連結された第2配線により互いに電気的に連結される請求項44に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項46】
前記第1静電型駆動ユニットの第2電極と前記第2静電型駆動ユニットの第2電極とは、前記基板上に一体に形成されて共通電極を構成し、
前記第1静電型駆動ユニットの第1電極と前記第2静電型駆動ユニットの第1電極のうち一つは、位相反転回路に連結される請求項44または45に記載の音響変換器の駆動方法。
【請求項47】
前記第1駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数は、第2駆動ユニットグループ内の駆動ユニットの数と異なる請求項26から46のいずれかに記載の音響変換器の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−147418(P2012−147418A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252273(P2011−252273)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】