説明

頭部装着型表示装置および頭部装着型表示装置の制御方法

【課題】頭部装着型表示装置において、使用者が認識する虚像の画質を低下させることなく、低消費電力を実現する技術を提供する。
【解決手段】使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる頭部装着型表示装置は、右眼用画像データから画像光を生成し出射する右眼用画像光生成部と、左眼用画像データから画像光を生成し出射する左眼用画像光生成部と、出射された画像光を使用者の左右の眼に導く一対の導光部と、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのそれぞれに対して、画像光の出射を制御するための制御信号を送信する表示制御部とを備える。表示制御部は、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのうちの、一方に画像光の出射を停止させると共に他方に画像光の出射を実行させる第1の状態と、一方に画像光の出射を実行させると共に他方に画像光の出射を停止させる第2の状態と、を交互に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に装着する表示装置である頭部装着型表示装置および頭部装着型表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着する表示装置である頭部装着型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、HMD))が知られている。頭部装着型表示装置は、例えば、液晶ディスプレイおよび光源を利用して画像を表す画像光を生成し、生成された画像光を投写光学系や導光板を利用して使用者の眼に導くことにより、使用者に虚像を認識させる。
【0003】
上述のようなヘッドマウントディスプレイは、携帯性を高めるためにバッテリー駆動可能な構成が採用されることが一般的である。バッテリー駆動のヘッドマウントディスプレイにおいては、使用可能時間を長くするために、ヘッドマウントディスプレイの消費電力を低減することが求められる。この点に関して、従来では、表示素子に形成される画像を低解像度もしくは低フレームレートとすることで、ヘッドマウントディスプレイの低消費電力化を実現する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−118159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、表示素子に形成される画像を低解像度もしくは低フレームレートとすると、使用者が認識する虚像の画質が顕著に低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、頭部装着型表示装置において、使用者が認識する虚像の画質を低下させることなく、低消費電力を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる頭部装着型表示装置であって、
使用者の右眼に対応する右眼用画像データから画像光を生成し、出射する右眼用画像光生成部と、
使用者の左眼に対応する左眼用画像データから画像光を生成し、出射する左眼用画像光生成部と、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とから出射された前記画像光を使用者の左右の眼に導く一対の導光部と、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのそれぞれに対して、前記画像光の出射を制御するための制御信号を送信する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのうちの、一方に前記画像光の出射を停止させると共に他方に前記画像光の出射を実行させる第1の状態と、一方に前記画像光の出射を実行させると共に他方に前記画像光の出射を停止させる第2の状態と、を交互に切り替える、頭部装着型表示装置。
このような構成とすれば、表示制御部は、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのうちの、一方に画像光の出射を停止させると共に他方に画像光の出射を実行させる第1の状態と、一方に画像光の出射を実行させると共に他方に画像光の出射を停止させる第2の状態と、を交互に切り替えるため、頭部装着型表示装置において、観察者が認識する虚像の画質を低下させることなく、低消費電力を実現することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の頭部装着型表示装置であって、
前記表示制御部は、さらに、
前記第1の状態と、前記第2の状態との切り替え時に、前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのうちの両方に前記画像光の出射を実行させる第3の状態を経由する、頭部装着型表示装置。
このような構成とすれば、表示制御部は、第1の状態と、第2の状態との切り替え時に、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのうちの両方に画像光の出射を実行させる第3の状態を経由するため、第1の状態と、第2の状態とを、より自然に切り替えることができる。
【0010】
[適用例3]
適用例1または2記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記右眼用画像光生成部の温度を検出する右眼用温度検出部と、
前記左眼用画像光生成部の温度を検出する左眼用温度検出部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記右眼用温度検出部により検出した前記温度と、前記左眼用温度検出部により検出した前記温度との差が、所定の温度差以上となった場合に、前記第1の状態と、前記第2の状態とを切り替える、頭部装着型表示装置。
このような構成とすれば、表示制御部は、右眼用画像光生成部の温度と、左眼用画像光生成部の温度との差が、所定の温度差以上となった場合に、第1の状態と、第2の状態とを切り替えるため、一方の画像光生成部の高温化を抑制することができる。
【0011】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
虚像の表示に用いる対象画像を取得し、前記対象画像を用いて前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとを生成する画像処理部を備える、頭部装着型表示装置。
【0012】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、頭部装着型表示装置および頭部装着型表示装置の制御方法、頭部装着型表示システム、これらの方法、装置またはシステムの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例における頭部装着型表示装置の外観の構成を示す説明図である。
【図2】ヘッドマウントディスプレイの構成を機能的に示すブロック図である。
【図3】使用者に認識される虚像の一例を示す説明図である。
【図4】ヘッドマウントディスプレイがとり得る状態について示す状態遷移図である。
【図5】ヘッドマウントディスプレイが通常状態に遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図5の処理を経て画像光が出射される様子を示す説明図である。
【図7】ヘッドマウントディスプレイが省電力状態に遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS202の処理が終了した時点の画像光生成部の様子を示す説明図である。
【図9】ヘッドマウントディスプレイの状態遷移の一例を示す説明図である。
【図10】第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイがとり得る状態について示す状態遷移図である。
【図11】第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイが第2の状態に遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップS302の処理が終了した時点の画像光生成部の様子を示す説明図である。
【図13】第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイの状態遷移の一例を示す説明図である。
【図14】第3実施例におけるヘッドマウントディスプレイがとり得る状態について示す状態遷移図である。
【図15】第3実施例におけるヘッドマウントディスプレイの状態遷移の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
【0015】
A.第1実施例:
(A−1)頭部装着型表示装置の構成:
図1は、本発明の一実施例における頭部装着型表示装置の外観の構成を示す説明図である。頭部装着型表示装置HMは、頭部に装着する表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、HMD)とも呼ばれる。本実施例のヘッドマウントディスプレイHMは、使用者が、虚像を視認すると同時に外景も直接視認可能な光学透過型の頭部装着型表示装置である。
【0016】
ヘッドマウントディスプレイHMは、使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる画像表示部20と、画像表示部20を制御するコントローラー10とを備えている。
【0017】
画像表示部20は、使用者の頭部に装着される装着体であり、本実施例では眼鏡形状を有している。画像表示部20は、耳掛部21と、右表示駆動部22と、左表示駆動部24と、照度センサー25と、右光学パネル26と、左光学パネル28とを含んでいる。耳掛部21は、右表示駆動部22および左表示駆動部24の端部から使用者の耳の上を横断するように設けられた部材であり、テンプル(つる)として機能する。右光学パネル26および左光学パネル28は、使用者が画像表示部20を装着した状態においてそれぞれ使用者の右および左の眼の前に位置するように配置されている。右表示駆動部22は、右耳用の耳掛部21と右光学パネル26との接続箇所に配置されている。また、左表示駆動部24は、左耳用の耳掛部21と左光学パネル28との接続箇所に配置されている。なお、以降では、右表示駆動部22および左表示駆動部24を総称して単に「表示駆動部」と、右光学パネル26および左光学パネル28を総称して単に「光学パネル」とも呼ぶ。照度取得部としての照度センサー25は、周囲の明るさ(照度)を取得するためのセンサーである。
【0018】
表示駆動部は、図示しないLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)や、投写光学系等を含む。詳細は後述する。光学パネルは、図示しない導光板と、調光板とを含んでいる。導光板は、光透過性の樹脂材料等によって形成され、表示駆動部から取り込んだ画像光を使用者の眼に向けて射出させる。調光板は、薄板状の光学素子であり、前面側(使用者の眼の側とは反対の側)を覆うように配置されている。調光板は、導光板を保護し、導光板の損傷や、汚れの付着等を抑制するとともに、調光板の光透過率を調整することにより、使用者の眼に入る外光量を調整し、虚像の視認のしやすさを調整することができる。なお、調光板は省略可能である。
【0019】
画像表示部20は、さらに、右耳用の右イヤホン32および左耳用の左イヤホン34を有する。右イヤホン32および左イヤホン34は、使用者が画像表示部20を装着した際に、それぞれ右および左の耳に装着される。
【0020】
画像表示部20は、さらに、画像表示部20をコントローラー10に接続するための接続部40を有している。接続部40は、コントローラー10に接続される本体コード48と、本体コード48が2本に分岐した右コード42と、左コード44と、分岐点に設けられた連結部材46と、を含んでいる。右コード42は、右表示駆動部22に接続されており、左コード44は、左表示駆動部24に接続されている。画像表示部20とコントローラー10とは、接続部40を介して各種信号の伝送を行う。本体コード48における連結部材46とは反対側の端部と、コントローラー10とのそれぞれには、互いに嵌合するコネクター(不図示)が設けられており、本体コード48コネクターとコントローラー10のコネクターとの嵌合/嵌合解除により、コントローラー10と画像表示部20とが接続されたり切り離されたりする。右コード42と、左コード44と、本体コード48には、例えば、金属ケーブルや、光ファイバーを採用することができる。
【0021】
コントローラー10は、ヘッドマウントディスプレイHMを操作するための装置である。コントローラー10は、点灯部12と、タッチパッド14と、十字キー16と、電源スイッチ18とを含んでいる。点灯部12は、ヘッドマウントディスプレイHMの動作状態(例えば、電源のON/OFF等)を、その発光状態によって通知する。点灯部12としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。タッチパッド14は、タッチパッド14の操作面上での使用者の指の操作を検出して、検出内容に応じた信号を出力する。十字キー16は、上下左右方向に対応するキーへの押下操作を検出して、検出内容に応じた信号を出力する。電源スイッチ18は、スイッチのスライド操作を検出することで、ヘッドマウントディスプレイHMの電源投入状態を切り替える。
【0022】
図2は、ヘッドマウントディスプレイHMの構成を機能的に示すブロック図である。コントローラー10は、入力情報取得部110と、記憶部120と、電源130と、CPU140と、インターフェイス180とを備え、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0023】
入力情報取得部110は、使用者による操作入力に応じた信号(例えば、タッチパッド14や十字キー16、電源スイッチ18に対する操作入力)を取得する機能を有する。記憶部120は、図示しないROM、RAM、DRAM、ハードディスク等を含む記憶部である。記憶部120には、設定情報CIが格納されている(詳細は後述)。電源130は、ヘッドマウントディスプレイHMの各部に電力を供給する。電源130としては、例えば二次電池を用いることができる。
【0024】
CPU140は、予めインストールされたプログラムを実行することで、オペレーティングシステム(ОS)150としての機能を提供する。また、CPU140は、ROMやハードディスクに格納されているファームウェアやコンピュータープログラムをRAMに展開して実行することにより、画像処理部160(詳細は後述)、音声処理部170(詳細は後述)、表示制御部190(詳細は後述)としても機能する。
【0025】
インターフェイス180は、コントローラー10に対して、コンテンツの供給元となる種々の外部機器OA(例えば、パーソナルコンピューターPCや携帯電話端末、ゲーム端末)を接続するためのインターフェイスである。インターフェイス180としては、例えば、USBインターフェイスや、マイクロUSBインターフェイス、メモリーカード用インターフェイス、無線LANインターフェイス等を備えることができる。また、コンテンツとは、画像(静止画像、動画像)や音声等からなる情報内容を意味する。
【0026】
画像処理部160は、インターフェイス180を介して入力されるコンテンツに基づき、垂直同期信号VSync、水平同期信号HSync、画像データDataを生成し、接続部40を介してこれらの信号を画像表示部20に供給する。具体的には、画像処理部160は、コンテンツに含まれる画像信号を取得する。取得した画像信号は、例えば動画像の場合、一般的に、1秒あたり30枚のフレーム画像から構成されているアナログ信号である。画像処理部160は、取得した画像信号から、垂直同期信号VSyncや水平同期信号HSync等の同期信号を分離する。画像処理部160は、同期信号が分離されたアナログ画像信号を、図示しないA/D変換回路等を用いてデジタル画像信号に変換する。その後、画像処理部160は、変換後のデジタル画像信号を、対象画像の画像データData(RGBデータ)として、1フレームごとに記憶部120内のDRAMに格納する。画像処理部160は、この対象画像の画像データDataを、右眼用画像データおよび左眼用画像データとして出力する。なお、画像処理部160は、必要に応じて、画像データに対して、解像度変換処理、輝度や彩度の調整といった種々の色調補正処理、キーストーン補正処理等の画像処理を実行してもよい。
【0027】
表示制御部190は、右表示駆動部22および左表示駆動部24を制御する制御信号を生成し、接続部40を介して画像表示部20に供給することにより、画像表示部20における画像表示状態を制御する。具体的には、表示制御部190は、制御信号により、右LCD制御部211による右LCD241の駆動の有効/無効や、右バックライト制御部201による右バックライト221の駆動の有効/無効や、左LCD制御部212による左LCD242の駆動の有効/無効や、左バックライト制御部202による左バックライト222の駆動の有効/無効を個別に制御することにより、右表示駆動部22および左表示駆動部24のそれぞれによる画像光の生成および出射の有無を制御する。詳細は後述する。
【0028】
音声処理部170は、コンテンツに含まれる音声信号を取得し、取得した音声信号を増幅して、画像表示部20の右イヤホン32および左イヤホン34に接続部40を介して供給する。
【0029】
画像表示部20は、右表示駆動部22と、左表示駆動部24と、右光学パネル26としての右導光板261と、左光学パネル28としての左導光板262と、照度センサー25と、右イヤホン32と、左イヤホン34とを備えている。右表示駆動部22は、光源として機能する右バックライト(BL)制御部201および右バックライト(BL)221と、表示素子として機能する右LCD制御部211および右LCD241と、右眼用温度検出部として機能する右温度検出部231と、右投写光学系251を含んでいる。左表示駆動部24は、光源として機能する左バックライト(BL)制御部202および左バックライト(BL)222と、表示素子として機能する左LCD制御部212および左LCD242と、左眼用温度検出部として機能する左温度検出部232と、左投写光学系252を含んでいる。なお、右表示駆動部22と左表示駆動部24とは対になっており、左表示駆動部24の各部は、右表示駆動部22で説明する各部と同様の構成および動作を有するため詳細な説明は省略する。
【0030】
右バックライト制御部201は、接続部40を介して入力された制御信号に基づいて、右バックライト221を駆動する機能を有する。右バックライト221は、例えば、LED等の発光体である。右LCD制御部211は、接続部40を介して入力された垂直同期信号VSyncと、水平同期信号HSyncと、右眼用画像データとに基づいて、右LCD241を駆動する機能を有する。右LCD241は、複数の画素をマトリクス状に配置した透過型液晶パネルである。右LCD241は、マトリクス状に配置された各画素位置に対応する液晶を駆動することによって、右LCD241を透過する光の透過率を変化させることにより、右バックライト221から照射される照明光を、画像を表す有効な画像光へと変調する機能を有する。なお、右バックライト制御部201と、右LCD制御部211と、右バックライト221と、右LCD241とを総称して「右眼用画像光生成部」とも呼ぶ。同様に、左バックライト制御部202と、左LCD制御部212と、左バックライト222と、左LCD242とを総称して「左眼用画像光生成部」とも呼ぶ。なお、本実施例ではバックライト方式を採用することとしたが、フロントライト方式や、反射方式を用いて画像光を射出する構成としてもよい。
【0031】
右投写光学系251は、右LCD241から射出された画像光を並行状態の光束にするコリメートレンズによって構成される。右光学パネル26としての右導光板261は、右投写光学系251から出力された画像光を、所定の光路に沿って反射させつつ使用者の右眼に導く。なお、右投写光学系251と右導光板261とを総称して「導光部」とも呼ぶ。
【0032】
右温度検出部231は、右LCD241の端部に取り付けられ、右LCD241の温度を検出する機能を有する。右温度検出部231は、例えば、サーミスタや、温度センサーICや、ヒューズ等によって構成することができる。また、右温度検出部231は、接触式の温度センサーのほか、非接触式の温度センサーとして構成してもよい。
【0033】
図3は、使用者に認識される虚像の一例を示す説明図である。上述のようにして、ヘッドマウントディスプレイHMの使用者の両眼に導かれた画像光が使用者の網膜に結像することにより、使用者は虚像を視認することができる。図3に示すように、ヘッドマウントディスプレイHMの使用者の視野VR内には虚像VIが表示される。また、使用者の視野VRのうち、虚像VIが表示された部分以外については、使用者は、右光学パネル26および左光学パネル28を透過して、外景SCを見ることができる。なお、本実施例のヘッドマウントディスプレイHMでは、使用者の視野VRの内の虚像VIが表示された部分についても、虚像VIの背後に外景SCが透けて見えるようになっている。
【0034】
(A−2)頭部装着型表示装置の状態遷移:
図4は、ヘッドマウントディスプレイHMがとり得る状態について示す状態遷移図である。本実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMは、通常状態SNと、省電力状態SEとをとることができる。通常状態SNでは、ヘッドマウントディスプレイHMの右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で、画像光の生成と出射が行われる。このため、通常状態SNでは、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。一方、省電力状態SEでは、ヘッドマウントディスプレイHMの右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのいずれか一方で、画像光の生成と出射が行われる。このため、省電力状態SEでは、使用者の左右どちらかの眼前に虚像が表示される。
【0035】
表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが通常状態SNである場合は、省電力開始条件が成立するか否かを監視する。省電力開始条件成立後、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMを省電力状態SEへ遷移させる。また、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEである場合は、省電力停止条件が成立するか否かを監視する。省電力停止条件成立後、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMを通常状態SNへ遷移させる。なお、ヘッドマウントディスプレイHMが起動されたときに最初にとる状態(初期状態)は、どちらの状態としてもよい。
【0036】
(A−2−1)省電力開始条件:
省電力開始条件は、任意に定めることができる。例えば、下記に列挙する条件(a1)〜(a7)から1つまたは複数を選択することができる。
【0037】
(a1)コンテンツが静止画像である場合。静止画像とは、OSの初期画面や、OS上で起動される文書作成ソフトやメールソフトの画面、音楽のプレイリスト表示画面等、情報の表示を主目的とする画像を意味する。なお、表示制御部190は、コンテンツが静止画像であるか否かを、OS上で起動されるアプリケーションの種類により判定することができる。省電力開始条件として、条件(a1)を選択すれば、ヘッドマウントディスプレイHMは対象画像の種類に応じて省電力状態SEをとることができるため、対象画像の種類に応じて低消費電力を実現することができる。コンテンツが静止画像である場合は、使用者の片目の眼前に虚像を表示する省電力状態SEであっても、使用者は視野領域に表示された虚像を認識しやすい。
【0038】
(a2)電源130(二次電池)の残量が所定の残量以下となった場合。なお、所定の残量は任意に定めることができ、記憶部120内の設定情報CIに格納されている。省電力開始条件として、条件(a2)を選択すれば、二次電池の残量が少なくなった場合に省電力状態SEをとることができるため、二次電池の残量が少なくなった場合に低消費電力を実現することができる。この結果、バッテリー駆動可能なヘッドマウントディスプレイHMにおいてバッテリーの残量が少なくなった際に、その使用時間を長くすることができる。
【0039】
(a3)照度センサー25が取得した照度が所定の照度以下となった場合。なお、所定の照度は任意に定めることができ、記憶部120内の設定情報CIに格納されている。省電力開始条件として、条件(a3)を選択すれば、周囲の明るさが所定の照度以下となった場合、すなわち、周囲が暗くなった場合に省電力状態SEをとることができるため、周囲が暗くなった場合に低消費電力を実現することができる。周囲が暗い場合は、使用者の片目の眼前に虚像を表示する省電力状態SEであっても、使用者は視野領域に表示された虚像を認識しやすい。
【0040】
(a4)右温度検出部231により検出された右LCD241の温度と、左温度検出部232により検出された左LCD242の温度とのうちの、少なくともいずれか一方が所定の温度以上となった場合。なお、所定の温度は任意に定めることができ、記憶部120内の設定情報CIに格納されている。省電力開始条件として、条件(a4)を選択すれば、右眼用画像光生成部もしくは左眼用画像光生成部の温度が所定の温度以上となった場合、すなわち、左右の画像光生成部が高温となった場合に省電力状態SEをとることができるため、左右の画像光生成部が高温となった場合に低消費電力を実現することができる。画像光生成部の高温化はLCDの故障に繋がるため抑制することが好ましい。このようにすれば、左右の画像光生成部が高温となった場合に低消費電力を実現するため、画像光生成部の更なる高温化を抑制することができる。
【0041】
(a5)OS内の予め指定されたアプリケーションの起動を検出した場合。なお、アプリケーションの指定は、例えば使用者による指定が可能であり、その指定内容は記憶部120内の設定情報CIに格納されている。省電力開始条件として、条件(a5)を選択すれば、予め指定されたアプリケーションの起動に応じて、省電力状態SEをとることができる。
【0042】
(a6)外部からの省電力要求を取得した場合。具体的には、表示制御部190が、コントローラー10に設けられたタッチパッド14や十字キー16を介して省電力を選択する旨を取得した場合。省電力開始条件として、条件(a6)を選択すれば、タッチパッド14や十字キー16からの操作に応じて、省電力状態SEをとることができる。
【0043】
(a7)ヘッドマウントディスプレイHMに対する操作(例えば、タッチパッド14と、十字キー16とに対する操作)を検出しない状態が所定の時間継続した場合。なお、所定の時間は任意に定めることができ、記憶部120内の設定情報CIに格納されている。省電力開始条件として、条件(a7)を選択すれば、ヘッドマウントディスプレイHMに対する操作が長時間行われない場合に、省電力状態SEをとることができる。
【0044】
(A−2−2)省電力停止条件:
省電力停止条件は、任意に定めることができる。例えば、下記に列挙する条件から1つまたは複数を選択することができる。なお、下記では、番号の末尾に示す数字が省電力開始条件において付した番号と同じものは、対応する条件である。省電力停止条件は、省電力開始条件と対応する条件とすることが好ましく、具体的には、省電力開始条件が条件(a1)であるときは、省電力停止条件は条件(b1)とすることが好ましい。
【0045】
(b1)コンテンツが動画像である場合。動画像とは、映像を表示する画面や、ゲーム画面等、映像の表示を主目的とする画像を意味する。なお、コンテンツが動画像であるか否かは、OS上で起動されるアプリケーションの種類により判定することができる。表示される画像が絶えず変化する動画像である場合は、通常状態SNをとることにより、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。省電力停止条件(b1)を、省電力開始条件(a1)とセットで用いれば、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて低消費電力を実現しつつ、使用者による視認性を担保することができる。
【0046】
(b2)電源130(二次電池)の残量が所定の残量を超えた場合。省電力停止条件(b2)を、省電力開始条件(a2)とセットで用いることで、ヘッドマウントディスプレイHMのバッテリー残量が所定の残量を超えた場合(すなわち、充電が行われた場合)、ヘッドマウントディスプレイHMは通常状態SNに遷移し、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。この結果、低消費電力を実現しつつ、使用者による視認性を向上させることができる。
【0047】
(b3)照度センサー25が取得した照度が所定の照度を超えた場合。省電力停止条件(b3)を、省電力開始条件(a3)とセットで用いることで、周囲が明るく、使用者が虚像を認識しづらい環境である場合、ヘッドマウントディスプレイHMは通常状態SNに遷移し、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。この結果、低消費電力を実現しつつ、使用者による視認性を担保することができる。
【0048】
(b4)右温度検出部231により検出された右LCD241の温度と、左温度検出部232により検出された左LCD242の温度とのうち両方が所定の温度よりも低くなった場合。省電力停止条件(b4)を、省電力開始条件(a4)とセットで用いることで、左右の画像光生成部が高温状態ではなくなった場合、ヘッドマウントディスプレイHMは通常状態SNに遷移し、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。この結果、低消費電力を実現しつつ、使用者による視認性を担保することができる。
【0049】
(b5)OS内の予め指定されたアプリケーションの終了を検出した場合。省電力停止条件(b5)を、省電力開始条件(a5)とセットで用いることで、使用者等から予め指定された特定のアプリケーションの起動と終了に合わせて、通常状態SNと省電力状態SEとを切り替えることができる。
【0050】
(b6)外部からの省電力解除要求を取得した場合。具体的には、表示制御部190が、コントローラー10に設けられたタッチパッド14や十字キー16を介して省電力状態を解除する旨を取得した場合。省電力停止条件(b6)を、省電力開始条件(a6)とセットで用いることで、外部からの要求に応じて、通常状態SNと省電力状態SEとを切り替えることができる。
【0051】
(b7)ヘッドマウントディスプレイHMに対する操作(例えば、タッチパッド14と、十字キー16とに対する操作)を検出した場合。省電力停止条件(b7)を、省電力開始条件(a7)とセットで用いることで、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて、より低消費電力を実現することができる。
【0052】
図5は、ヘッドマウントディスプレイHMが通常状態SNに遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。表示制御部190は、左右の画像を再生させる(ステップS102)。具体的には、表示制御部190は、右LCD制御部211、左LCD制御部212に対して、それぞれ「有効」を示す制御信号を送信する。「有効」を示す制御信号を受信した右LCD制御部211は、入力される右眼用画像データに基づいて右LCD241を駆動して画像を生成する。左LCD制御部212についても同様である。次に、表示制御部190は、左右のバックライトを点灯させる(ステップS104)。具体的には、表示制御部190は、右バックライト制御部201、左バックライト制御部202に対して、それぞれ「有効」を示す制御信号を送信する。「有効」を示す制御信号を受信した右バックライト制御部201は、右バックライト221を点灯させることで、右LCD241により生成された画像に照明光を照射し、画像を表す画像光を出射する。左バックライト制御部202についても同様である。
【0053】
図6は、図5の処理を経て画像光が出射される様子を示す説明図である。図6(A)は、右眼用画像光生成部において、照明光ILの照射により画像光PLが出射される様子を示している。図6(B)は、左眼用画像光生成部において、照明光ILの照射により画像光PLが出射される様子を示している。
【0054】
この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で画像光の生成と出射が行われるため、通常状態SNでは、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。なお、通常状態SNでは、画像光の生成(ステップS102)の後に照明光の照射(ステップS104)を行うため、虚像の表示の際におけるちらつきを抑制し、虚像の表示をスムーズに行うことができる。
【0055】
図7は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEに遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。表示制御部190は、右バックライト221を消灯させる(ステップS202)。具体的には、表示制御部190は、右バックライト制御部201に「無効」を示す制御信号を、左バックライト制御部202に「有効」を示す制御信号を、それぞれ送信する。「無効」を示す制御信号を受信した右バックライト制御部201は、右バックライト221の照明光を消灯させるため、右LCD241により生成された画像は、画像光として出射されない。一方、「有効」を示す制御信号を受信した左バックライト制御部202は、左バックライト222の照明光を点灯させたまま維持するため、左LCD242により生成された画像は、画像光として出射される。
【0056】
図8は、図7のステップS202の処理が終了した時点の画像光生成部の様子を示す説明図である。図8(A)のように、右眼用画像光生成部では、照明光が消灯されることにより、画像光の出射が停止される。一方、図8(B)のように、左眼用画像光生成部では、照明光ILの照射により画像光PLの出射が継続される。
【0057】
次に、図7のステップS204において、表示制御部190は、右の画像の再生を停止させる。具体的には、表示制御部190は、右LCD制御部211に「無効」を示す制御信号を、左LCD制御部212に「有効」を示す制御信号を、それぞれ送信する。「無効」を示す制御信号を受信した右LCD制御部211は、右LCD241の駆動を停止する。これにより、LCDによる画像の生成が停止される。一方、「有効」を示す制御信号を受信した左LCD制御部212は、左LCD242の駆動を継続する。
【0058】
この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右眼用画像光生成部における画像光の生成および出射は停止され、左眼用画像光生成部のみが画像光の生成と出射を行うこととなるため、省電力状態SEでは、使用者の左側の眼前に虚像が表示される。なお、省電力状態SEでは、照明光の照射停止(ステップS202)の後に画像光の停止(ステップS204)を行うため、虚像表示の停止時におけるちらつきを抑制し、虚像をスムーズに消すことができる。
【0059】
なお、本実施例では省電力状態SEにおいて、使用者の左側の眼前に虚像が表示される構成、すなわち、右眼用画像光生成部における画像光の生成、出射を停止する構成であるとしたが、これは逆にしてもよい。すなわち、左眼用画像光生成部における画像光の生成、出射を停止することとしてもよい。また、省電力状態SEにおいて、右目用画像光生成部と、左目用画像光生成部とのどちらを停止させるかは、使用者が指定可能な構成とすることができる。具体的には、使用者は、選択受付部としてのコントローラー10に設けられたタッチパッド14や十字キー16を操作することによって、画像光の生成および出射を停止させる一方を選択する。
【0060】
図9は、ヘッドマウントディスプレイHMの状態遷移の一例を示す説明図である。図9の例では、ヘッドマウントディスプレイHMの初期状態を省電力状態SEとし、かつ、省電力開始条件として条件(a1)を、省電力停止条件として条件(b1)を採用した場合について説明する。
【0061】
図9(A)は、ヘッドマウントディスプレイHMが起動された時刻t1における右LCD241、左LCD242の様子を示している。ヘッドマウントディスプレイHMの初期状態は省電力状態SEであるため、ヘッドマウントディスプレイHMの起動時において表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEに遷移した際の処理(図7)を実行する。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの左眼用画像光生成部(左LCD242)でのみ画像光の生成および出射が行われ、使用者の左眼の眼前には、図9(A)に示す画像光に基づいた虚像が表示される。
【0062】
図9(B)は、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて動画像の再生が開始された時刻t2における右LCD241、左LCD242の様子を示している。表示制御部190は、動画像(映像)を再生するためのアプリケーション(動画ビューワーVW)の起動を検出した場合、省電力停止条件(b1)が成立したと判定し、ヘッドマウントディスプレイHMが通常状態SNに遷移した際の処理(図5)を実行する。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右眼用画像光生成部(右LCD241)と、左眼用画像光生成部(左LCD242)の両方で画像光の生成および出射が行われ、使用者の左右の眼前には、図9(B)に示す画像光に基づいた虚像が表示される。
【0063】
図9(C)は、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて動画像の再生が終了した時刻t3における右LCD241、左LCD242の様子を示している。表示制御部190は、動画ビューワーVWの終了を検知し、OSの初期画面表示となったことを検出した場合、省電力開始条件(a1)が成立したと判定し、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEに遷移した際の処理(図7)を実行する。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの左眼用画像光生成部(左LCD242)でのみ画像光の生成および出射が行われ、使用者の左眼の眼前には、図9(C)に示す画像光に基づいた虚像が表示される。
【0064】
以上のように、第1実施例では、表示制御部190は、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのそれぞれに対して、制御信号により画像光の生成および出射の有無を制御することができる。このため、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部の両方で画像光の生成と出射を行う通常状態SNと、右眼用画像光生成部と、左眼用画像光生成部のいずれか一方で画像光の生成と出射を行う省電力状態SEとを実現することができる。省電力状態SEでは、使用者の片目(左右いずれか)の眼前に虚像が表示される。片目の眼前に表示される虚像であっても、使用者が意識することによって、図3と同様に使用者の視野領域に表示された1枚の虚像VIとして認識可能である。また、LCDを駆動するための電力は、ヘッドマウントディスプレイHMが全体として消費する電力の約1/3を占める。このため、左右いずれかのLCDのみ駆動させればよい省電力状態SEは、通常状態SNと比較して、ヘッドマウントディスプレイHM全体としての消費電力を抑制することができる。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて、使用者が認識する虚像の画質を低下させることなく、低消費電力を実現することができる。
【0065】
B.第2実施例:
本発明の第2実施例では、省電力状態SEにおいて、右目用画像光生成部と、左目用画像光生成部とに、交互に虚像を表示させる構成について説明する。以下では、第1実施例と異なる構成および動作を有する部分についてのみ説明する。なお、図中において第1実施例と同様の構成部分については先に説明した第1実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
(B−1)頭部装着型表示装置の構成:
第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMの構成は、図1〜図3で説明した第1実施例と同様である。
【0067】
(B−2)頭部装着型表示装置の状態遷移:
図10は、第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMがとり得る状態について示す状態遷移図である。図4に示した第1実施例との違いは、省電力状態SEにおいて、さらに、第1の状態SE1と、第2の状態SE2とをとる点のみであり、他の動作については第1実施例と同様である。第1の状態SE1では、ヘッドマウントディスプレイHMの左目用画像光生成部で画像光の生成と出射が行われ、右目用画像光生成部では画像光の生成と出射が停止される。このため、第1の状態SE1では、使用者の左眼の眼前に虚像が表示される。第2の状態SE2では、ヘッドマウントディスプレイHMの右目用画像光生成部で画像光の生成と出射が行われ、左目用画像光生成部では画像光の生成と出射が停止される。このため、第2の状態SE2では、使用者の右眼の眼前に虚像が表示される。
【0068】
表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEである場合に、切替条件が成立するか否かを監視する。切替条件成立後、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1である場合は第2の状態SE2へ、ヘッドマウントディスプレイHMが第2の状態SE2である場合は第1の状態SE1へ、それぞれ遷移させる。なお、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEとなった場合に最初にとる状態は、第1の状態SE1と、第2の状態SE2とのうち、どちらの状態としてもよい。
【0069】
(B−2−1)切替条件:
切替条件は、任意に定めることができる。例えば、下記に列挙する条件から1つまたは複数を選択してもよい。
【0070】
(c1)状態遷移後、一定時間が経過した場合。なお、一定時間とは任意に定めることができ、例えば、数分としてもよく、例えば、30フレームを表示するまでの時間、等としてもよい。切替条件として、条件(c1)を選択すれば、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とを均等に切り替えることができる。
【0071】
(c2)右温度検出部231により検出された右LCD241の温度と、左温度検出部232により検出された左LCD242の温度との差が、所定の温度差以上となった場合。なお、所定の温度差は任意に定めることができ、記憶部120内の設定情報CIに格納されている。切替条件として、条件(c2)を選択すれば、画像光の生成と出射を停止している側(換言すれば、LCDの温度が低い側)の画像光生成部を用いて画像光の生成と出射を行うように切り替えることができる。この結果、LCDの温度に応じて、第1の状態SE1と、第2の状態SE2とを切り替えることができるため、一方の画像光生成部のみが高温化することを抑制することができる。
【0072】
ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1に遷移した際の処理の手順は、図7と同様である。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右目用画像光生成部における画像光の生成および出射は停止され、左眼用画像光生成部のみが画像光の生成と出射を行うこととなるため、第1の状態SE1では、使用者の左側の眼前に虚像が表示される。
【0073】
図11は、第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMが第2の状態SE2に遷移した際の処理の手順を示すフローチャートである。表示制御部190は、左バックライト222を消灯させる(ステップS302)。具体的には、表示制御部190は、右バックライト制御部201に「有効」を示す制御信号を、左バックライト制御部202に「無効」を示す制御信号を、それぞれ送信する。「有効」を示す制御信号を受信した右バックライト制御部201は、右バックライト221の照明光を点灯させたまま維持するため、右LCD241により生成された画像は、画像光として出射される。一方、「無効」を示す制御信号を受信した左バックライト制御部202は、左バックライト222の照明光を消灯させるため、左LCD242により生成された画像は、画像光として出射されない。図12は、図11のステップS302の処理が終了した時点の画像光生成部の様子を示す説明図である。
【0074】
次に、表示制御部190は、左の画像の再生を停止させる(ステップS304)。具体的には、表示制御部190は、右LCD制御部211に「有効」を示す制御信号を、左LCD制御部212に「無効」を示す制御信号を、それぞれ送信する。「有効」を示す制御信号を受信した右LCD制御部211は、右LCD241の駆動を継続する。一方、「無効」を示す制御信号を受信した左LCD制御部212は、左LCD242の駆動を停止する。これにより、LCDによる画像の生成が停止される。
【0075】
この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの左眼用画像光生成部における画像光の生成および出射は停止され、右目用画像光生成部のみが画像光の生成と出射を行うこととなるため、第2の状態SE2では、使用者の右側の眼前に虚像が表示される。
【0076】
なお、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1に遷移した際の処理(図7)のステップS204と、ヘッドマウントディスプレイHMが第2の状態SE2に遷移した際の処理(図11)のステップS304とは省略可能である。そうすれば、バックライトの点灯/消灯のみで虚像の表示有無を切り替えることができるため、第1の状態SE1と、第2の状態SE2とをすばやく切り替えることができる。
【0077】
図13は、第2実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMの状態遷移の一例を示す説明図である。図13の例では、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEとなった場合に最初にとる状態は第1の状態SE1とし、かつ、切替条件として条件(c1)を採用した場合について説明する。
【0078】
図13(A)は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEとなった時刻t1における右LCD241、左LCD242の様子を示している。ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEとなった時、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1に遷移した際の処理(図7)を実行する。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの左眼用画像光生成部(左LCD242)でのみ画像光の生成および出射が行われ、使用者の左眼の眼前には、図13(A)の画像光に基づいた虚像が表示される。
【0079】
図13(B)は、時刻t1から一定時間経過後の時刻t2における右LCD241、左LCD242の様子を示している。表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1に遷移した後、一定時間が経過した場合、切替条件(c1)が成立したと判定し、ヘッドマウントディスプレイHMが第2の状態SE2に遷移した際の処理(図11)を実行する。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右目用画像光生成部(右LCD241)でのみ画像光の生成および出射が行われ、使用者の右眼の眼前には、図13(B)の画像光に基づいた虚像が表示される。
【0080】
以上のように、第2実施例では、表示制御部190は、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部とのうちの一方(右目用画像光生成部)に画像光の生成および出射を停止させると共に他方(左眼用画像光生成部)に画像光の生成および出射を実行させる第1の状態SE1と、一方(右目用画像光生成部)に画像光の生成および出射を実行させると共に他方(左眼用画像光生成部)に画像光の生成および出射を停止させる第2の状態SE2と、を切替条件の成立をトリガーとして交互に切り替える。このため、第1実施例と同様に、ヘッドマウントディスプレイHMにおいて、使用者が認識する虚像の画質を低下させることなく、低消費電力を実現することができる。また、第2実施例では、右目用画像光生成部と、左目用画像光生成部とに、交互に虚像を表示させる。このようにすれば、いずれか一方の画像光生成部のみを連続で使用する場合と比較して、LCDの連続使用に伴う温度上昇や、劣化等を抑制することができる。
【0081】
C.第3実施例:
本発明の第3実施例では、第1の状態SE1と、第2の状態SE2との切り替え時に、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で虚像を表示させる第3の状態を経由する構成について説明する。なお、図中において第2実施例と同様の構成部分については先に説明した第2実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0082】
(C−1)頭部装着型表示装置の構成:
第3実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMの構成は、図1〜図3で説明した第1実施例と同様である。
【0083】
(C−2)頭部装着型表示装置の状態遷移:
図14は、第3実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMがとり得る状態について示す状態遷移図である。図10に示した第2実施例との違いは、第1の状態SE1と、第2の状態SE2との間に、さらに第3の状態SE3を備える点のみであり、他の動作については第2実施例と同様である。第3の状態SE3では、ヘッドマウントディスプレイHMの右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で画像光の生成と出射が行われる。
【0084】
表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが省電力状態SEである場合に、切替条件が成立するか否かを監視する。切替条件成立後、表示制御部190は、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1である場合は、第3の状態を経由させた後、第2の状態SE2へ、ヘッドマウントディスプレイHMが第2の状態SE2である場合は、第3の状態を経由させた後、第1の状態SE1へ、それぞれ遷移させる。第3の状態に留まる時間は、任意の時間とすることができるが、短時間(数秒間)とすることが好ましい。
【0085】
ヘッドマウントディスプレイHMが第3の状態SE3に遷移した際の処理の手順は、図5と同様である。この結果、ヘッドマウントディスプレイHMの右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で画像光の生成および出射を行うこととなるため、第3の状態SE3では、使用者の左右の眼前に虚像が表示される。
【0086】
図15は、第3実施例におけるヘッドマウントディスプレイHMの状態遷移の一例を示す説明図である。図13で示した第2実施例との違いは、ヘッドマウントディスプレイHMが第1の状態SE1に遷移した後、一定時間が経過した際に、図15(B)で示す第3の状態SE3を経由して、図15(C)で示す第2の状態SE2へ遷移することである。
【0087】
以上のように、第3実施例では、表示制御部190は、第1の状態SE1と、第2の状態SE2との切り替え時に、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方に画像光の生成および出射をさせる第3の状態SE3を経由する。この結果、第1の状態SE1と、第2の状態SE2との切り替え時に使用者が感じる違和感を低減し、より自然に切り替えを行うことができる。
【0088】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下のような変形が可能である。
【0089】
D1.変形例1:
上記実施例では、ヘッドマウントディスプレイの構成について例示した。しかし、ヘッドマウントディスプレイの構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に定めることが可能であり、例えば、各構成部の追加・削除・変換等を行うことができる。
【0090】
例えば、図1に示したコントローラー、画像表示部の構成は任意に変更することができる。具体的には、例えば、コントローラーからタッチパネルを省略し、十字キーのみで操作する構成としてもよい。また、コントローラーに操作用スティック等の他の操作用インターフェイスを備えても良い。また、コントローラーにはキーボードやマウス等のデバイスを接続可能な構成として、キーボードやマウスから入力を受け付けるものとしてもよい。また、コントローラーにWi−Fi(wireless fidelity)等を用いた通信部を設けてもよい。
【0091】
例えば、図1に示したコントローラーは、有線の信号伝送路を介して画像表示部と接続されているものとした。しかし、コントローラーと、画像表示部とは、無線LANや赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の無線の信号伝送路を介した接続により接続されていてもよい。
【0092】
例えば、ヘッドマウントディスプレイは、両眼タイプの透過型ヘッドマウントディスプレイであるものとしたが、使用者がヘッドマウントディスプレイを装着した状態において外景が遮断される非透過型ヘッドマウントディスプレイとして構成してもよい。また、単眼タイプのヘッドマウントディスプレイとしてもよい。
【0093】
例えば、右眼用画像光生成部は、右バックライト制御部と、右LCD制御部と、右バックライトと、右LCDとを用いて構成されるものとしたが、これらに代えて、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)と、有機EL制御部とを用いても良い。有機ELの場合、温度上昇に伴う劣化がLCDよりも激しいため、本発明が特に有効である。左眼用画像光生成部についても同様である。
【0094】
例えば、画像処理部、表示制御部、音声処理部等の機能部は、CPUがROMやハードディスクに格納されているコンピュータープログラムをRAMに展開して実行することにより実現されるものとして記載した。しかし、これら機能部は、当該機能を実現するために設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)を用いて構成されてもよい。
【0095】
例えば、上記実施例では、画像表示部を眼鏡のように装着するヘッドマウントディスプレイであるとしているが、画像表示部が通常の平面型ディスプレイ装置(液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等)であるとしてもよい。この場合にも、コントローラーと画像表示部との間の接続は、有線の信号伝送路を介した接続であってもよいし、無線の信号伝送路を介した接続であってもよい。このようにすれば、コントローラーを、通常の平面型ディスプレイ装置のリモコンとして利用することができる。
【0096】
また、画像表示部として、眼鏡のように装着する画像表示部に代えて、例えば帽子のように装着する画像表示部といった他の形状の画像表示部を採用してもよい。また、イヤホンは耳掛け型やヘッドバンド型を採用してもよく、省略しても良い。
【0097】
例えば、上記実施例では、電源として二次電池を用いることしたが、電源としては二次電池に限らず、種々の電池を使用することができる。例えば、一次電池や、燃料電池、太陽電池、熱電池等を使用してもよい。
【0098】
D2.変形例2:
上記実施例において、画像処理部は、同じ画像データを右眼用画像データおよび左眼用画像データとして出力することとした。しかし、画像処理部は、右眼用画像データと、左眼用画像データとを、異なる画像データにすることで、使用者に3Dの虚像を視認させることが可能な構成としてもよい。
【0099】
D3.変形例3:
上記第1実施例では、省電力開始条件と、省電力停止条件の一例を示した。しかし、上記第1実施例で示した遷移条件はあくまで一例であり、種々の条件を採用することができる。
【0100】
例えば、ヘッドマウントディスプレイが、使用者に3Dの虚像を視認させることが可能な構成である場合に、ヘッドマウントディスプレイが3D虚像を表示させるモードであることを省電力開始条件とし、ヘッドマウントディスプレイが2D虚像を表示させるモードであることを省電力停止条件としてもよい。
【0101】
D4.変形例4:
上記第2実施例では、切替条件の一例を示した。しかし、上記第2実施例で示した切替条件はあくまで一例であり、種々の条件を採用することができる。
【0102】
D5.変形例5:
上記第3実施例では、第1の状態と、第2の状態との切り替え時に経由させる第3の状態では、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で虚像を表示させるものとした。しかし、第3の状態は、右目用画像光生成部と、左眼用画像光生成部との両方で虚像の表示を停止させる状態であるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…コントローラー
12…点灯部
14…タッチパッド
16…十字キー
18…電源スイッチ
20…画像表示部
21…耳掛部
22…右表示駆動部
24…左表示駆動部
25…照度センサー(照度取得部)
26…右光学パネル
28…左光学パネル
30…イヤホン
32…右イヤホン
34…左イヤホン
40…接続部
42…右コード
44…左コード
46…連結部材
48…本体コード
110…入力情報取得部
120…記憶部
130…電源
140…CPU
160…画像処理部
170…音声処理部
180…インターフェイス
190…表示制御部
201…右バックライト制御部(右眼用画像光生成部)
202…左バックライト制御部(左眼用画像光生成部)
211…右LCD制御部(右眼用画像光生成部)
212…左LCD制御部(左眼用画像光生成部)
221…右バックライト(右眼用画像光生成部)
222…左バックライト(左眼用画像光生成部)
231…右温度検出部(右眼用温度検出部)
232…左温度検出部(左眼用温度検出部)
241…右LCD(右眼用画像光生成部)
242…左LCD(左眼用画像光生成部)
251…右投写光学系(導光部)
252…左投写光学系(導光部)
261…右導光板(導光部)
262…左導光板(導光部)
VSync…垂直同期信号
HSync…水平同期信号
Data…画像データ
OA…外部機器
PC…パーソナルコンピューター
SC…外景
SE…省電力状態
CI…設定情報
VI…虚像
IL…照明光
PL…画像光
SN…通常状態
VR…視野
VW…動画ビューワー
SE1…第1の状態
SE2…第2の状態
SE3…第3の状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる頭部装着型表示装置であって、
使用者の右眼に対応する右眼用画像データから画像光を生成し、出射する右眼用画像光生成部と、
使用者の左眼に対応する左眼用画像データから画像光を生成し、出射する左眼用画像光生成部と、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とから出射された前記画像光を使用者の左右の眼に導く一対の導光部と、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのそれぞれに対して、前記画像光の出射を制御するための制御信号を送信する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのうちの、一方に前記画像光の出射を停止させると共に他方に前記画像光の出射を実行させる第1の状態と、一方に前記画像光の出射を実行させると共に他方に前記画像光の出射を停止させる第2の状態と、を交互に切り替える、頭部装着型表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の頭部装着型表示装置であって、
前記表示制御部は、さらに、
前記第1の状態と、前記第2の状態との切り替え時に、前記右眼用画像光生成部と、前記左眼用画像光生成部とのうちの両方に前記画像光の出射を実行させる第3の状態を経由する、頭部装着型表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記右眼用画像光生成部の温度を検出する右眼用温度検出部と、
前記左眼用画像光生成部の温度を検出する左眼用温度検出部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記右眼用温度検出部により検出した前記温度と、前記左眼用温度検出部により検出した前記温度との差が、所定の温度差以上となった場合に、前記第1の状態と、前記第2の状態とを切り替える、頭部装着型表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
虚像の表示に用いる対象画像を取得し、前記対象画像を用いて前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとを生成する画像処理部を備える、頭部装着型表示装置。
【請求項5】
使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる頭部装着型表示装置の制御方法であって、
(a)使用者の右眼に対応する右眼用画像データから画像光を生成し、出射する工程と、
(b)使用者の左眼に対応する左眼用画像データから画像光を生成し、出射する工程と、
(c)前記工程(a)と、前記工程(b)とにより出射された前記画像光を使用者の左右の眼に導く工程と、
(d)前記工程(a)と、前記工程(b)とにおいて、前記画像光の出射を制御するための制御信号を送信する工程と、
を備え、
前記工程(d)は、前記工程(a)と、前記工程(b)との一方に前記画像光の出射を停止させると共に他方に前記画像光の出射を実行させる第1の状態と、一方に前記画像光の出射を実行させると共に他方に前記画像光の出射を停止させる第2の状態と、を交互に切り替える、頭部装着型表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−168221(P2012−168221A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26810(P2011−26810)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】