説明

頭髪処理剤及び頭髪処理方法

【課題】 洗髪しても熱処理したセットを維持可能にする。
【解決手段】 生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を含むシャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液、ヘアカラーを用い、生分解性樹脂分散体を頭髪に付着させ、生分解性樹脂分散体の付着後に頭髪をヘアアイロンにより10℃〜180℃の温度で熱処理し、光沢及び持続性のあるカールセット、或いはストレートパーマを施し、弱酸性の石鹸等で洗髪しても光沢のあるカールセット、或いはストレートパーマはとれず、アルカリ石鹸を用いて洗浄し、生分解性樹脂を洗い流すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪をヘアアイロン等により熱処理する際に使用する頭髪処理剤及び頭髪処理剤を使用した頭髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪処理剤として熱によって硬化する樹脂を含んだ整髪剤の開発が進められている。樹脂としては、酸エポキシ硬化樹脂や熱重合型樹脂といった熱にて硬化し得るものが種々提案されている。
【0003】
しかしながら、酸エポキシ硬化樹脂や熱重合型樹脂は、その分子内にエポキシ基や不飽和二重結合、分解型ラジカル発生基を有するため、安全性が重視される整髪剤への応用は困難であった。
【0004】
これに対し、アミノ基含有モノマーを含有したモノマー成分を重合させて得られた重合体中のアミノ基が炭酸にて中和された中和重合体からなる整髪剤がある。この整髪剤は、頭髪への塗布後にドライヤー処理するとセット保持力を十分に向上させることができ、且つ洗浄性に優れ、安全性も高い。
【0005】
しかしながら、洗浄性に優れているため、カールセットする頭髪処理に適用すると、洗髪により熱処理したカールセットがとれてしまうため不向きであるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−363045
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、洗髪により熱処理したセットがとれてしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、洗髪しても熱処理したセットを維持可能にするため、生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を含む頭髪処理剤としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の頭髪処理剤は、生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を含むため、生分解性樹脂分散体の付着後に頭髪をヘアアイロン等により熱処理すると生分解性樹脂を硬化させ、カールセット等を簡単に形成することができる。また、硬化した生分解性樹脂は、アルカリ性の洗浄剤で洗い流すことができ、それ以外の洗浄剤を用いた洗髪では、生分解性樹脂の硬化を維持することができ、カールセット等を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の頭髪処理剤は、洗髪しても熱処理したセットを維持可能にするため、生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を含めて実現した。
【実施例1】
【0011】
本発明実施例の頭髪処理剤は、生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体である生分解性樹脂水系分散体を含む。頭髪処理剤は、例えば、シャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液、ヘアカラーの何れかである。
【0012】
シャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液としての処方例は表1〜表5に示す通りである。

[シャンプー処方例]
(表1)
























【0013】
(表2)

【0014】

[トリートメント処方例]
(表3)


【0015】

[パーマネントウエーブ液処方例]
(表4)

【0016】
(表5)

【0017】

生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂、脂肪族・芳香族ポリエステル系生分解性樹脂、アセチルセルロース系生分解性樹脂、化学変性澱粉系生分解性樹脂、ポリアミノ酸系生分解性樹脂、ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂等が用いられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えばポリ乳酸 、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル、ポリカプロラクトン、カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。脂肪族・芳香族ポリエステル系生分解性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート・アジペート、ポリエチレンテレフタレート・サクシネート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
アセチルセルロース系生分解性樹脂としては、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等が挙げられるが、光沢、透明性、引っ張り強さ、硬度等の物理的特性と生分解性が良好である点でアセチルセルロースが好ましい。
【0020】
化学変性澱粉系生分解性樹脂としては、例えば高置換度エステル化澱粉、エステル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉等の澱粉エステル、エーテル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エーテル化ポリエステルグラフト重合澱粉等の澱粉エーテル、ポリエステルグラフト重合澱粉等が挙げられるが、これらの中でもエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉が好ましい。これらエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉に用いられるエステル化試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、又は酸無水物、酸塩化物が好ましく、グラフト試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、環員数2〜12のラクトンが好ましい。これら化学変性澱粉系生分解性樹脂は2種以上を併用することができる。
【0021】
ポリアミノ酸系生分解性樹脂としては、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジン等が挙げられる。またポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂としては、1,3‐ブタンジオールとコハク酸の縮重合物等の脂肪族ポリエステルとトリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート等の炭酸エステルとの共重合体や環状のエチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、2,2-ジメチルトリメチレンカーボネートとε-カプロラクトン、ピバロラクトンとの開環共重合体等が挙げられる。ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂は、樹脂物性の改善や分散特性の向上のために、他の生分解性樹脂構成モノマーをグラフト重合等の方法により共重合したものでも良い。ポリアミノ酸系生分解性樹脂やポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂は、2種以上を併用することができる。
【0022】
生分解性樹脂は同一種類の生分解性樹脂から選択した1種又は2種以上を用いるのみならず、異なる種類の生分解性樹脂から選択した2種以上の樹脂を適宜混合して用いることもできる。
【0023】
生分解性樹脂としては、ポリ乳酸 樹脂、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸系樹脂が、樹脂の耐熱性、耐水性、耐溶剤性、光沢等の点で好ましい。乳酸と共重合する他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシバレリン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−エチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ペンチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシバレリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。上記乳酸及びヒドロキシカルボン酸は、D体、L体、D/L体などの形をとる場合があり、その形態は制限されない。
【0024】
生分解性樹脂を水に分散させる分散剤として、鹸化度が85.0モル%以上、より好ましくは90.0モル%以上、更に好ましくは95.0モル%以上のポリビニルアルコールが用いられるが、鹸化度が98.0%以上であるとさらに耐水性が向上して好ましい。また、炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールがより好ましい。このような変性ポリビニルアルコールの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により、ビニルエステルまたは、ビニルエステルとα−オレフィンの共重合体をケン化することにより得ることができる。ここでビニルエステルとしては蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが好ましく用いられる。また、α−オレフィンとしては、炭素数4以下のもので、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等が挙げられるが、得られる分散体の耐水接着力の点でエチレンが好ましい。α−オレフィンの含有量としては、1〜20モル%、好ましくは2〜10モル%がであることが必要である。α−オレフィンの含有量が1%未満であるとα−オレフィンのは共重合効果がなく、また20モル%を超えると水溶性が低下して安定な分散体を得ることが出来ない。
【0025】
分散剤は、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。分散剤の使用量は生分解性樹脂重量に対し、0.1〜20重量%が好ましい。
【0026】
生分解性樹脂水系分散体中には、鹸化度85.0モル%以上のポリビニルアルコールとともに、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、鹸化度85.0モル%以上のポリビニルアルコール以外の水溶性保護コロイド等の他の分散剤や分散助剤を併用することができるが、特に平均分子量30万以上のアニオン性またはカチオン性高分子界面活性剤が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸を必須構成成分とするアニオン性高分子界面活性剤を用いると分散体の粒子径が十分に小さくなり好ましい。
【0027】
平均分子量30万以上のカチオン性高分子界面活性剤としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のカチオン性アクリル系モノマーや、これらカチオン性アクリル系モノマーにハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸、モノクロル酢酸等を反応して得られる4級アンモニウム塩等のモノマーの単独重合体や共重合体、上記カチオン性アクリル系モノマーと、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸ポリオキシエチレンエステル、アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ポリオキシエチレンエステル、メタクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、モルホリルアクリルアミド等のアクリルモノマー、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、メトキシトリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルアリルエーテル、テトラエチレングリコールアリルエーテル、メトキシエチレングリコールアリルエーテル等のアリルエーテル類、酢酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、メチルビニルイミダゾール等のビニルアミン類、ジアリルアンモニウムクロライド、或いは上記カチオン性アクリル系モノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体等のアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0028】
アクリル系ポリマー以外のカチオン性高分子界面活性剤として、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の不飽和アミンの重合体等や、これらの4級アンモニウム塩等のカチオン系ポリマーが挙げられる。またこれらのカチオン系ポリマーに、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシアルキル基等を付加したものでも良い。アルキル基はアルキルハライドを、ヒドロキシアルキル基は1,2−エポキシアルカンを、アシル基は、脂肪酸またはアシルハライドを、ポリオキシアルキレン基は酸化エチレンを、カルボキシアルキル基はモノクロル酢酸やアクリル酸等を、それぞれカチオン系ポリマーと反応させることにより付加させることができる。
【0029】
カチオン性高分子界面活性剤は、上記カチオン系ポリマーあるいはこれにアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシアルキル基等を付加したものにさらに、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、これら二塩基酸類のアルキルエステル類、ヘキサメチレンジイソシアネートグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエーテル等のジエポキシ類、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類、尿素、グアニジン類、二塩基酸ジハライド、ジアルデヒド等で架橋したものでも良い。
【0030】
平均分子量30万以上のカチオン性高分子界面活性剤として、カチオン性アクリル系モノマーと他のモノマーとの共重合体を用いる場合、カチオン性高分子界面活性剤中におけるカチオン性アクリル系モノマーの含有率は30モル%以上であることが好ましい。カチオン性高分子界面活性剤は、通常、適当な酸性化合物の塩として用いるのが好ましく、このような酸性化合物としては、塩酸、硫酸、蟻酸、リン酸等の無機酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、乳酸等の有機酸のいずれでも良いが、中でも酢酸、リン酸、乳酸が安全性、価格、熱安定性、着色性等の面で好ましい。
【0031】
カチオン性高分子界面活性剤のなかでも、アクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルやその中和物或いは4級塩の少なくとも一種を主成分とする重合体が好ましい。
【0032】
平均分子量30万以上のアニオン性高分子界面活性剤としては、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体の単独重合体やこれら単量体相互の共重合体、これら不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体と、共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸やこれらの酸の中和物、部分中和物等が挙げられ、不飽和ジカルボン酸系単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸やこれらの酸の中和物、部分中和物等が挙げられ、不飽和スルホン酸系単量体としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸やこれらの中和物、部分中和物等が挙げられる。
【0033】
アニオン性高分子界面活性剤として、上記不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体と他の単量体との共重合体を用いる場合、他の単量体としては例えば、(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、ポリエチレングリコールモノプレノールエステル、ポリプロピレングリコールモノプレノールエステル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレンアルコールエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノアリルエーテル、ビニルアルコール等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等のリン含有単量体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0034】
アニオン性高分子界面活性剤は、前記不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体の単独重合体やこれら単量体相互の共重合体、これら不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体と、他の単量体との共重合体をさらに、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、これら二塩基酸類のアルキルエステル類、ヘキサメチレンジイソシアネートグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエーテル等のジエポキシ類、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類、尿素、グアニジン類、二塩基酸ジハライド、ジアルデヒド等で架橋したものでも良い。
【0035】
アニオン性高分子界面活性剤は、通常、適当な塩基性化合物の塩として用いるのが好ましく、このような塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン化合物、アンモニア等が用いられる。
【0036】
アニオン性高分子界面活性剤としては、上記した化合物のうち、メタクリル酸やその中和物の少なくとも一種を主成分とする重合体が好ましい。
【0037】
分散剤として鹸化度85.0モル%以上のポリビニルアルコールとともに、平均分子量30万以上のアニオン系高分子化合物を、ポリビニルアルコールに対して3〜30重量%併用することが好ましく、特にアニオン系高分子化合物として(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩共重合体をポリビニルアルコールと併用すると分散体の粒子径が小さくなり、結果的に目標とする粒子径の分散体を得るために必要な分散剤量が減少できるため、皮膜の耐水性が向上するので好ましい。
【0038】
生分解性樹脂水系分散体には、必要に応じて可塑剤、増粘剤、表面平滑剤、離型剤、流動性調製剤等を含有させることができる。
【0039】
可塑剤としては、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸誘導体、アジピン酸と1,4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらのうちアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体を用いたものが、造膜性向上効果が高い点で特に好ましい。可塑剤の使用量は生分解性樹脂100重量部あたり5から40重量部が好ましい。5重量部未満となると可塑化効果が発揮できなくなる虞れがあり、40重量部を超えると可塑剤のブリードアウトが発生する虞れがある。
【0040】
増粘剤としては、ポリエチレングリコール等のポリアルコキシド系高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等の植物ガム、カゼイン、キトサン、キチン等の動物性高分子等が挙げられる。
【0041】
表面平滑性、離型性等を改善するためには、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類を含有させることができる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられる。合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
【0042】
生分解性樹脂水系分散体は、頭髪の耐水性等を高めるために天然ワックス、合成ワックスを含有させることができる。天然ワックス、合成ワックスを含有する場合、頭髪の耐水性等をより向上させることができる。ヘアアイロン等による熱処理工程においても離型性が向上し、カールセット、或いはストレートパーマを無理なく、的確に行わせることができる。
【0043】
本発明の実施例に用いる水系分散体は、例えば攪拌装置を有する密閉槽内に、生分解性樹脂と分散剤、水を同時に仕込み、加熱攪拌しながら加圧して生分解性樹脂を分散させる加圧分散法、常圧または加圧下に保持されている熱水中に生分解性樹脂を添加攪拌して分散させる直接分散法、生分解性樹脂の有機溶媒溶液を水溶液中に添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を除去する方法、生分解性樹脂を加熱溶融させ、これに水溶液を添加攪拌して生分解性樹脂を水に分散させる転相法等により、生分解性樹脂を水に分散させることにより得ることができる。上記以外の方法でも、生分解性樹脂の水系分散体を得ることができる方法であれば適宜採用することができるが、生分解性樹脂の幅広い種類に適応が可能な点で、上記した生分解性樹脂の有機溶媒溶液を水中に添加攪拌して分散させる方法が好ましい。また水系分散体を調製するに際し、必要により高圧ホモゲナイザー等の分散装置を併用しても良い。
【0044】
水系分散体中に必要に応じて前記可塑剤、増粘剤、表面平滑剤、離型剤、流動性調製剤等の成分を更に配合する場合、これらの成分を生分解性樹脂を分散させる前に予め水に添加する、生分解性樹脂と共に水に添加する、生分解性樹脂を水に分散させた後に添加する手順の何れでも良い。
【0045】
実施例としては、ポリ乳酸 樹脂(D体量15重量%・残存ラクチド量300ppm)50重量部、鹸化度98モル%・重量平均分子量17万のポリビニルアルコール10重量部、水50重量部、酢酸エチル40重量部、をホモミキサーを装着したオートクレーブ中に仕込み、100℃に加熱して10,000r.p.m.で3分間撹拌した後、40℃まで急冷し、その後、減圧下に酢酸エチルを除去してポリ乳酸樹脂の水系分散体を得ることができる。
【0046】
この生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂水系分散体を、前記表1〜表5の処方例の成分割合で混合し、頭髪処理剤としてシャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液を得る。生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂水系分散体を、ヘアカラーに混合することもできる。
【0047】
頭髪処理方法としては、生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂水系分散体を頭髪に付着させる第1工程と、前記生分解性樹脂水系分散体の付着後に頭髪を熱処理する第2工程とを備える。
【0048】
第1工程では、頭髪処理剤として表1〜表5のシャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液を用い、洗髪、トリートメント処理、或いはパーマネント処理を行うことで生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂水系分散体を頭髪に膜状に付着させる。生分解性樹脂水系分散体を頭髪処理剤として直接頭髪に付着させても良い。
【0049】
第2工程では、ヘアアイロンを用い10℃〜180℃の温度により頭髪を加熱しながらカールセット、或いはストレートパーマ処理を行う。この加熱処理により、頭髪に付着した生分解性樹脂が頭髪の表面で適度に硬化し、カールセット、或いはストレートパーマ処理を確実且つ容易に行わせることができる。
【0050】
また、頭髪の表面で適度に硬化した生分解性樹脂がカールセット、或いはストレートパーマを維持すると共に頭髪に光沢を与え、審美な処理を得ることができる。適度に硬化した生分解性樹脂は、耐水性が高く、雨の日など湿度が高い日でもカールセット、或いはストレートパーマを維持し、さらさら感を持続することができる。
【0051】
第2工程後に、例えば弱酸性の洗浄剤を用いて洗髪しても適度に硬化した生分解性樹脂が頭髪からとれることはなく、カールセット、或いはストレートパーマをそのまま長く維持することができる。
【0052】
頭髪の表面で適度に硬化した生分解性樹脂を洗浄するときは、アルカリ性の洗浄剤として例えばアルカリ石鹸を用いて頭髪を洗浄する。この洗浄により、生分解性樹脂が分解され、頭髪から洗い流すことができる。
【0053】
なお、第2工程の加熱処理は、ドライヤなどによっても行うことができる。
【0054】
生分解性樹脂分散体は、上記の実施例に限定されず、他のものを用いることもできる。
【0055】
頭髪処理剤として、生分解性樹脂分散体をヘアトニック、ポマード、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアムース、ジェル、ヘアワックス、ヘアクリーム、養毛剤等に混合するともできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を含む頭髪処理剤。
【請求項2】
請求項1記載の頭髪処理剤は、シャンプー、トリートメント、パーマネントウェーブ液、ヘアカラーの何れかである
ことを特徴とする頭髪処理剤。
【請求項3】
生分解性樹脂が分散安定化されている生分解性樹脂分散体を頭髪に付着させる第1工程と、
前記生分解性樹脂分散体の付着後に頭髪を熱処理する第2工程とを備えた
ことを特徴とする頭髪処理方法。
【請求項4】
請求項3記載の頭髪処理方法であって、
前記第2工程後の生分解性樹脂をアルカリ性の洗浄剤を用いて洗浄する
ことを特徴とする頭髪処理方法。

【公開番号】特開2006−193432(P2006−193432A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3749(P2005−3749)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(302009512)
【Fターム(参考)】