説明

顔認証装置

【課題】入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる顔認証装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る顔認証装置は、入力される顔画像データの特徴量データと顔画像データ登録部30に登録された顔画像データの特徴量データとの間の類似度を算出する第1の類似度算出部50と、特徴量データ記憶部60に記憶された複数の特徴量データと第1の類似度抽出部50が抽出する特徴量データとの間の類似度を算出する第2の類似度算出部70と、第2の算出部70が算出する類似度に基づいて、入力顔画像データと登録顔画像データとが同一人か否かを判断するための閾値を設定する閾値設定部80と、閾値設定部80により設定された閾値と第1の類似度算出部70が算出する類似度とを比較して、入力顔画像データと登録顔画像データとが同一人のものであるか否かを判定する識別判定部90とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像データを利用して、本人認証を行う顔認証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鍵等の携帯が不要で利便性が高く、遺失や盗難等による不正行使の恐れも少ないセキュリティ方式として、顔画像や指紋や虹彩や血管パターンといった個人の体の一部を鍵として用いる生体認証が注目されている。中でも、顔画像を用いた認証方法は、個別認証に必要な生体情報を登録するのに、認証対象となる人に時間や手間をほとんどかけさせないという利点がある。すなわち、顔画像を用いた認証方法では、指紋認証や血管パターンのように指や手を差し出させたり、虹彩認証のように直接眼球に光を照射したりする必要がないので、認証対象となる人が生体情報を登録するのに非協力的であっても、容易に認証を実現できる。また、顔画像を用いた認証方法では、指紋や虹彩や血管パターンを用いた認証と比べて、認証される側の心理的抵抗感が少ないという利点も有している。
【0003】
特許文献1には、顔画像をモザイク化してニュートラルネットワークに学習させて認証をする顔認証装置に関する技術が提案されている。ここで、ニュートラルネットワークとは、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルである。特許文献1に記載の技術によれば、顔の位置・角度の変動や照明の変動を吸収して個人認証を行える。
【0004】
また、特許文献2には、登録者の使用頻度に応じて、個人認証用の閾値を変動させて認証をする認証装置に関する技術が提案されている。特許文献2に記載の技術によれば、利用条件に応じて認証に用いる閾値を動的に変更でき、利便性および安全性の向上を図ることができる。
【特許文献1】特開2005−316888号公報
【特許文献2】特開2002−183734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、顔の位置・角度の変動度合や照明の変動度合によっては十分に学習しきれず、実環境における様々な環境変動に対応しきれないという問題があった。また、特許文献2に記載の技術では、登録者の利用頻度のみによって閾値を変動させているため、顔の位置・角度の変動や照明の変動に対する措置が全く考慮されていないという問題があった。
【0006】
例えば、監視カメラで取得される顔画像を顔認証装置で認証する場合、当該監視カメラ周囲の撮像環境は時々刻々と変化する。このため、予め登録されている特定人の顔画像の登録時の撮像環境と、同一の特定人の認証時の撮像環境とが互いに異なっているのが、通常である。このとき、認証対象の人物とは別人であるのに、登録顔画像の撮像環境が認証対象の入力顔画像の撮像環境に近いというだけで、全く別人どうしの入力顔画像および登録顔画像が互いに類似しているものと判断されてしまうことがあった。すなわち、例えば、顔認証装置に登録されている登録顔画像が、青いネオンが光っている間に撮像されたものであるとする。これに対して、認証時の入力顔画像が、登録顔画像のものとは別人であるにもかかわらず、同じ青いネオンが光っている間に撮像されたものであったとき、顔認証装置により類似していると判断されてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる顔認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の顔認証装置は、入力される顔画像データから特徴量データを抽出する第1の抽出部と、所定の撮像条件下で撮像された顔画像データが登録されている顔画像データ登録部と、顔画像データ登録部に登録されている顔画像データから特徴量データを抽出する第2の抽出部と、第1および第2の抽出部がそれぞれ抽出する特徴量データを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する第1の算出部と、所定の撮像条件と略同一の条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが記憶された特徴量データ記憶部と、特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと第1の抽出部が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する第2の算出部と、第2の算出部が算出する類似度に基づいて、入力される顔画像データと顔画像データ登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定する閾値設定部と、閾値設定部により設定された閾値と第1の算出部が算出する類似度とを比較することによって、入力される顔画像データと顔画像データ登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判定する判定部とを備えた構成を有している。
この構成により、入力される顔画像データに対応した閾値を設定することができるので、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる。
【0009】
また、特徴量データ記憶部は、異なる撮像条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが上記異なる撮像条件毎にそれぞれ分類して記憶された複数の副特徴量データ記憶部を有し、第2の算出部は、複数の副特徴量データ記憶部のうち、顔画像データ登録部に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと第1の抽出部が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出してもよい。
この構成により、特徴量データ記憶部が撮像条件毎に分類されるので、入力される顔画像データの撮像条件が多様化しても、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる。
【0010】
また、新たな顔画像データを上記顔画像データ登録部に登録するとき、第2の抽出部により抽出される新たな顔画像データの特徴量データを、複数の副特徴量データ記憶部のうち、新たな顔画像データの撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶している。
この構成により、新しい顔画像データの特徴量データを追加する場合に、当該特徴量データを、最も適切な副特徴量データ記憶部に分類して記憶することができる。
【0011】
また、第1の算出部は、第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の距離に基づいて、両特徴量データ間の類似度を算出している。
この構成により、第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の類似度を簡単に算出できる。
【0012】
また、第2の算出部は、特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと第1の抽出部が抽出する特徴量データとの間の距離に基づいて、両特徴量データ間の類似度を算出している。
この構成により、第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の類似度を簡単に算出できる。
【0013】
また、閾値設定部は、第2の算出部が算出する類似度の平均値および分散値に基づいて、入力される顔画像データと登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定している。
この構成により、個人識別に適した閾値を簡単に設定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できるという効果を有する顔認証装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る顔認証装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、部屋のドアの開閉認証や携帯電話機の使用認証等に用いられ、顔画像データを利用して本人認証を行う顔認証装置の場合を例示する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る顔認証装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0016】
図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係る顔認証装置1は、顔画像データ取得部10と、第1の特徴量抽出部20と、顔画像データ登録部30と、第2の特徴量抽出部40と、第1の類似度算出部50と、特徴量データ記憶部60と、第2の類似度算出部70と、閾値設定部80と、識別判定部90とを備えて構成されている。
顔画像データ取得部10は、例えば、ビデオカメラやイメージスキャナーなどから入力される顔画像データを取得する。
【0017】
第1の特徴量抽出部20は、顔画像データ取得部10に入力されている顔画像データから特徴量データを抽出する。また、第2の特徴量抽出部40は、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データから特徴量データを抽出する。
具体的には、第1および第2の特徴量抽出部20、40は、例えば、顔画像データ中の目や鼻や口の位置などに基づいて、当該顔画像データ中の顔領域を一定の大きさおよび形状に切り出し、切り出した領域全ての画素の輝度値を要素とする一次元のベクトルvを特徴量データに変換した特徴量データxを抽出する。
【0018】
ここで、vより個人認証に適したデータxに変換する方法については、例えば、「Weak Orthogonalization of Face and Perturbation, CVPR 1998, Kenji Nagao, Masaki Sohma」に記載された方法などが提案されている。
すなわち、まず、撮影条件を変えて撮影した同一人物の複数の画像を拭く数人分用意し、これらの画像から一次元のベクトルを求める。そして、同一人物内の変動成分である摂動成分分布と、他の人物間の変動成分である個人間変動成分分布から、それぞれの特徴ベクトル分布の共分散行列Σ1、Σ2を求め、2つの共分散行列Σ1、Σ2を同時に対角化する行列Lを求める。
【0019】
このとき、行列Lと共分散行列Σ1、Σ2との関係は、式(1)および式(2)のように示される。
【数1】

【数2】

【0020】
ここで、Lは対角行列なので、式(1)および式(2)のΛ(1)およびΛ(2)は、式(3)および式(4)に示されるように表される。
【数3】

【数4】

【0021】
式(3)および式(4)から、対角化された行列Lの対角成分の値を用いて、下記の式(5)に示されるように、Γを生成する。なお、Γの生成方法として、式(5)以外に様々な生成方法があり、これらの生成方法を用いて、Γを生成してもよい。
【数5】

【0022】
そして、切り出した領域全ての画素の輝度値を要素とする一次元ベクトルvに、下記の式(6)に示される行列Ψをx=Ψ・vのようにかけると、個人識別に適した特徴量に変換できる。行列Ψは式(6)に示されるように、Γおよび対角行列Lから得られる。
【数6】

【0023】
以上のようにして、第1および第2の特徴量抽出部20、40は、顔画像データ中の目や鼻や口の位置などに基づいて、当該顔画像データ中の顔領域を一定の大きさおよび形状に切り出し、個人認証に適したデータに変換することで、特徴量データを抽出する。
顔画像データ登録部30には、所定の撮像条件下で撮像された顔画像データが予め登録されている。
【0024】
第1の類似度算出部50は、第1および第2の特徴量抽出部20、40がそれぞれ抽出する特徴量データを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する。具体的には、第1の類似度算出部50は、第1および第2の特徴量抽出部20、40がそれぞれ抽出する特徴量データを照合して、両特徴量データ間の類似度として、両特徴量間の距離を算出する。すなわち第1の類似度算出部50は、第1および第2の特徴量抽出部20、40がそれぞれ抽出する特徴量データの要素の系列を一次元ベクトルとみなして、両ベクトル間の距離を算出する。両ベクトル間の距離の算出方法には、例えば、特徴量ベクトル間の差分のL1ノルムやL2ノルムを用いる方法や、特徴量ベクトル間の相関値を用いる方法を、用いることができる。このように、両特徴量間の距離を第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の距離を算出することにより、両特徴量データ間の類似度を簡単に算出できる。
【0025】
特徴量データ記憶部60には、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの撮像条件と略同一の条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが記憶されている。この特徴量データ記憶部60に記憶されている複数の特徴量データは、互いに異なる人物の顔画像データからそれぞれ抽出されたものである。なお、特徴量データ記憶部60に記憶されている複数の特徴量データは、例えば、第2の特徴量抽出部40により抽出されている。但し、これに限定されず、第1の特徴量抽出部20により、複数の特徴量データを抽出してもよい。また、予め複数の特徴量データを互いに異なる人物の顔画像データから抽出してから、当該複数の特徴量データを特徴量データ記憶部60に記憶してもよい。
【0026】
第2の類似度算出部70は、特徴量データ記憶部60に記憶された複数の特徴量データと、第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する。具体的には、第2の類似度算出部70は、特徴量データ記憶部60に記憶された複数の特徴量データと、第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度として、両特徴量間の距離を算出する。両特徴量間の距離を第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の距離を算出することにより、両特徴量データ間の類似度を式(7)に示されるように算出できる。
【数7】

例えば、特徴量データ記憶部60にN人分の特徴量データが記憶されている場合には、N個分の特徴量間の距離が第2の類似度算出部70により算出される。
【0027】
閾値設定部80は、第2の類似度算出部70により算出される複数の特徴量データに基づいて、個人識別に適した閾値を設定する。すなわち、閾値設定部80は、第2の類似度算出部70が算出する類似度に基づいて、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定する。
【0028】
ここで、特徴量データ記憶部60に、認証対象であって、顔画像データ取得部10に入力される顔画像データに対応する人物の特徴量データが記憶されている場合を想定する。この場合は、まず、第2の類似度算出部70により算出されたN個の特徴量間の類似度のうち、最大値を除いた(N−1)個の特徴量間の類似度を用意する。このように、N個の特徴量間の類似度のうち、最大値を除くことによって、同一人の顔画像データ間の類似度を予め除去することができる。
【0029】
次に、(N−1)個の特徴量間の類似度が正規分布をなすと仮定して、(N−1)個の特徴量間の類似度から平均値および分散値を算出する。この結果に基づいて、認証対象であって顔画像データ取得部10に入力される顔画像データと、特徴量データ記憶部60に記憶されている複数の他人の顔画像データとの間の類似度に現れる確率を算出し、許容できる他人受入率に合わせて、個人識別に適した閾値を設定する。なお、(N−1)個の特徴量間の類似度から算出される平均値および分散値を用いることにより、個人識別に適した閾値を簡単に設定できる。
【0030】
識別判定部90は、閾値設定部80により設定された閾値と第1の類似度算出部50が算出する類似度とを比較することによって、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判定する。
【0031】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る顔認証装置1について、図に基づいて、その動作を説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る顔認証装置の動作フロー図である。
図2に示されるように、まず、カメラやスキャナー等から入力される顔画像データを顔画像データ取得部10により取得する(ステップ(STEP(以下、Sと称する))201)。次に、顔画像データ取得部10により取得された顔画像データから特徴量を抽出する(S202)。次に、第2の類似度算出部70が、特徴量データ記憶部60内に記憶されている複数の特徴量データと、入力される顔画像データの特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度として、両特徴量データ間の特徴量の類似度を算出する(S203)。
【0032】
次に、第2の類似度算出部70が、特徴量データ記憶部60内に記憶されている全ての特徴量データに対して、入力される顔画像データの特徴量データとの間の類似度の算出を完了した場合(S204)、閾値設定部80が、第2の特徴量算出部70により算出された類似度に基づいて、個人識別のための閾値を設定する(S205)。第2の類似度算出部70が、特徴量データ記憶部60内に記憶されている全ての特徴量データに対して、入力される顔画像データの特徴量データとの間の類似度の算出を完了しない場合(S204)、S203の処理を繰り返す。
【0033】
次に、第1の類似度算出部50が、入力される顔画像データおよび登録されている顔画像データの特徴量データ間の類似度を算出する(S206)。具体的には、第1の類似度算出部50が、第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データと、顔画像データ登録部30に登録された顔画像より第2の特徴量抽出部40によって抽出された特徴量データを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する。
【0034】
次に、識別判定部90が、閾値設定部80により設定された閾値と第1の類似度算出部50が算出する類似度を比較する(S207)。そして、第1の類似度算出部50が算出する類似度が閾値より大きい場合(S207)、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが同一人のものであると判定する(S208)。一方、第1の類似度算出部50が算出する類似度が閾値より小さい場合(S207)、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが異なる人物のものであると判定する(S209)。
【0035】
次に、本発明の実施の形態1に係る顔認証装置の原理について、図に基づいて具体的に説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る顔認証装置の原理を説明する概略図である。
図3に示されるように、顔画像データ取得部10に入力される顔画像データの入力顔画像201、202と、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの登録顔画像203に対応する人物は全て同一人物であると仮定する。ここで、入力顔画像201と登録顔画像203は照明の明るさや方向などが大きく異なる撮像環境で撮影されており、入力顔画像202と登録顔画像203は近い撮像環境で撮影されているものとする。
【0036】
一般に顔認証では、撮像環境がより近い顔画像間の方が、同一人物であることを示す類似度がより高くなりやすい。したがって、入力顔画像202と登録顔画像203との間で認証を行った場合の方が、入力顔画像201と登録顔画像203との間で認証を行った場合よりも類似度が高くなる傾向にある。また、異なる人物間の類似度算出においても、大きく異なる撮像環境で撮影された顔画像間では類似度が低く、近い撮像環境で撮影された顔画像間では類似度が高い傾向にある。このように、入力顔画像の撮像環境の違いによって類似度の現れ方が異なることから、類似度が低くなる傾向のときは低い閾値を設定し、類似度が高くなる傾向のときは高い閾値を設定する必要がある。
【0037】
そこで、本発明の実施の形態1に係る顔画像認証装置1では、予め登録顔画像203と同じ撮像環境で撮影された複数の人物の顔画像204を用意して、これらの複数人の顔画像の特徴量データを特徴量データ記憶部60に記憶している。図3の特徴量データ記憶部60内に、登録顔画像203と同じ撮像環境で撮影された複数の顔画像204を模式的に示している。この特徴量データ記憶部60内の複数の顔画像204のそれぞれの特徴量データと入力顔画像の特徴量データとの間の類似度が第2の類似度算出部70により算出されることによって、類似度の分布も取得できる。
【0038】
例えば、登録顔画像203の撮像環境と異なる撮像環境で撮影された入力顔画像201の特徴量データと、特徴量データ記憶部60内に記憶されている複数の顔画像204の特徴量データとの間の類似度は低い傾向となる。一方、登録顔画像203の撮像環境と近い撮像環境で撮影された入力顔画像202の特徴量データと、特徴量データ記憶部60内に記憶されている複数の顔画像204の特徴量データとの間の類似度は高い傾向となる。
【0039】
そして、第2の類似度算出部50により算出された類似度の分布に合わせて、閾値を設定する。このようにすることにより、類似度が低くなる傾向のときは低い閾値を設定でき、類似度が高くなる傾向のときは高い閾値を設定でき、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる。
【0040】
このような本発明の実施の形態1に係る顔認証装置1によれば、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの撮像条件と略同一の条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが記憶された特徴量データ記憶部60と、特徴量データ記憶部60に記憶された複数の特徴量データと第1の抽出部50が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する第2の類似度算出部70と、第2の類似度算出部70が算出する類似度に基づいて、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定する閾値設定部80とを設けている。このように構成することにより、入力される顔画像データに対応した閾値を設定することができ、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる。
【0041】
(発明の実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る顔認証装置について、図面を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る顔認証装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係る顔画像認証装置1では、特徴量データ記憶部60は副特徴量データ記憶部を有していないのに対し、図4に示されるように、本発明の実施の形態2に係る顔画像認証装置1aでは、特徴量データ記憶部61は複数の副特徴量データ記憶部611〜61nを有している点で相違する。
【0042】
また、図4に示されるように、本発明の実施の形態2に係る顔画像認証装置1aでは、特徴量データ分類部100、100b、副特徴量データ記憶部選択部110および特徴量データ更新部120を備えている点で、本発明の実施の形態1に係る顔画像認証装置1と異なる。
図4に示されるように、本発明の実施の形態2に係る顔認証装置1aは、顔画像データ取得部10と、第1の特徴量抽出部20と、顔画像データ登録部30と、第2の特徴量抽出部40と、第1の類似度算出部50と、特徴量データ記憶部61と、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nと、第2の類似度算出部70aと、閾値設定部80と、識別判定部90と、特徴量データ分類部100、100bと、副特徴量データ記憶部選択部110と、特徴量データ更新判断部120とを備えて構成されている。なお、特徴量データ分類部100および100bの機能は、後述するように同一である。
【0043】
図4に示されるように、特徴量データ記憶部61は、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nを有している。
複数の副特徴量データ記憶部611〜61nには、異なる撮像条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが上記異なる撮像条件毎にそれぞれ分類して記憶されている。
【0044】
ここでは、例えば、特徴量データ記憶部61は、n個の副特徴量データ記憶部611〜61nを有しているものとする。これら特徴量データ記憶部611〜61nは、例えば、正面、上向き、下向き、左向き、右向きといった分類で顔の向きごとに分類されている。
【0045】
第2の類似度算出部70aは、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する。
【0046】
特徴量データ分類部100は、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データが、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nを参照し、どの副特徴量データ記憶部に対応した顔画像データに近いかを判定して分類する。例えば、入力される顔画像データの向きが、正面、上向き、下向き、左向き、右向きのどの分類に属するかを判定する。
副特徴量データ記憶部選択部110は、複数の副特徴量データ記憶部611〜61n、第2の類似度算出部70aおよび特徴量データ分類部100に接続されている。副特徴量データ記憶部選択部110は、特徴量データ分類部100による分類結果に従って、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部を選択する。
【0047】
特徴量データ更新判断部120は、複数の副特徴量データ記憶部611〜61n、第1の特徴量抽出部20および特徴量データ分類部100bの出力に接続されている。特徴量データ分類部100bは、特徴量データ分類部100と同じように、顔画像データ取得部10が取得した顔画像データが副特徴量データ記憶部611〜61nのどれに対応するのかを分類する。特徴量データ更新判断部120は、特徴量データ分類部100bの分類結果より第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データを用いて、複数の特徴量データ記憶部611〜61nに記憶されている特徴量データを更新する。すなわち、特徴量データ更新判断部120は、新たな顔画像データが入力されたときに、第1の類似度抽出部20により抽出される新たな顔画像データの特徴量データを、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、新たな顔画像データの撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶する。このようにして、特徴量データ更新判断部120は、特徴量データ記憶部61内の各データを更新する。
【0048】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る顔認証装置1aについて、図に基づいて、その動作を説明する。
図5は、本発明の実施の形態2に係る顔認証装置の動作フロー図である。
図2とは、S501が追加され、S502がS203に代えて追加され、S503がS204に代えて追加されている点で相違する。
【0049】
図5に示されるように、まず、カメラやスキャナー等から入力される顔画像データを顔画像データ取得部10により取得する(S201)。次に、顔画像データ取得部10により取得された顔画像データから特徴量を抽出する(S202)。
次に、副特徴量データ記憶部選択部110が、特徴量データ記憶部61内の複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部を選択する(S501)。
【0050】
具体的には、まず、特徴量データ分類部100が、副特徴量データ記憶部611〜61nを参照し、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データが、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、どの副特徴量データ記憶部に対応した顔画像データに近いかを判定して分類する。
【0051】
そして、副特徴量データ記憶部選択部110は、特徴量データ分類部100により分類された特徴量データに基づいて、n個の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部を選択する。そして、副特徴量データ記憶部選択部110は、選択した副特徴量データ記憶部に関する情報を第2の類似度算出部70aに入力する。
【0052】
ここで、特徴量データ分類部100の動作について具体的に説明する。特徴量データ分類部100は、副特徴量データ記憶部611〜61nを参照し、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データが、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、どの副特徴量データ記憶部に対応した顔画像データに近いかを判定して分類する。
【0053】
複数の副特徴量データ記憶部611〜61nが顔の向きによって分類されている場合、例えば、「Real-Time Combined 2D+3D Active Appearance Models J. Xiao, S. Baker, I. Matthews, and T. Kanade Proceedings of the IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, June, 2004」に記載された方法などにより、顔の向きを求めることが可能である。
【0054】
ここでは、AAM(Active Appearance Model)による、2次元形状、3次元形状及び顔向き推定方法について説明する。AAMは形状モデルとテクスチャモデルの2つの線形モデルからなり、形状とテクスチャモデルに任意のパラメータを与えることで様々な顔の変動を表現できる。形状モデルは2次元の座標系からなり、テクスチャモデルは統計的な平均形状上の輝度情報として表現されている。AAMを用いた特徴点検出では、入力顔画像との差が最も小さくなるAAMのパラメータを求め、そのときの形状モデルより2次元の位置情報を取得する。
【0055】
このとき、2次元形状は、3次元形状の2次元投影(投影行列P)で表現できる。入力顔画像に一致するAAMを求める際に、3次元形状によるこの拘束条件を加えると、式(8)のようになる。ただし、Iを入力顔画像とし、s2Dを2次元モデルとし、s3Dを3次元形状モデルとした。
【数8】

【0056】
ここで、Kは重み係数であり、この値がより大きいほど3次元形状による拘束が強まる。式(8)を最小とするパラメータを求めると、特徴点位置と同時に、3次元形状と投影行列(すなわち、顔の向き)を求めることができる。
【0057】
次に、第2の類似度算出部70aが、副特徴量データ記憶部選択部110により選択された副特徴量データ記憶部内の全ての特徴量データと第1の特徴量抽出部20により抽出された顔画像データの特徴量データとの間の類似度として、両特徴量データ間の距離値を算出する(S502)。
【0058】
次に、第2の類似度算出部70aが、選択された副特徴量データ記憶部内に記憶されている全ての特徴量データに対して、入力される顔画像データの特徴量データとの間の類似度の算出を完了した場合(S503)、閾値設定部80が、第2の特徴量算出部70aにより算出された類似度に基づいて、個人識別のための閾値を設定する(S205)。第2の類似度算出部70aが、選択された特徴量データ記憶部内に記憶されている全ての特徴量データに対して、入力される顔画像データの特徴量データとの間の類似度の算出を完了しない場合(S503)、S502の処理を繰り返す。
【0059】
次に、第1の類似度算出部50が、入力される顔画像データおよび登録されている顔画像データの特徴量データ間の類似度を算出する(S206)。具体的には、第1の類似度算出部50が、第2の特徴量抽出部40により抽出された複数の特徴量データと、第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データとの間の距離を算出する。
【0060】
次に、識別判定部90が、閾値設定部80により設定された閾値と第1の類似度算出部50が算出する類似度とを比較する(S207)。そして、第1の類似度算出部50が算出する類似度が閾値より大きい場合(S207)、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが同一人のものであると判定する(S208)。一方、第1の類似度算出部50が算出する類似度が閾値より小さい場合(S207)、入力される顔画像データと顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データとが異なる人物のものであると判定する(S209)。
【0061】
なお、特徴量データ分類部100および特徴量データ分類部100によって分類される複数の副特徴量データ記憶部611〜61nを分類する判定基準には、顔の向きだけではなく、例えば、顔画像データ取得部10が顔画像を取得した日時や、顔画像データ取得部10が顔画像を取得したときの天気情報や、顔画像の撮像位置や、顔画像を撮像する際の設置角や、マスク、サングラス等のアクセサリーの有無や、撮像場所における照明状況等の互いに異なる撮像条件等を用いることができる。
マスクやサングラスや眼鏡といった顔の向きによって分類されている場合、顔上にアクセサリーが存在するか否かを、例えば、BoostingやSVM(Support Vector Machine)を用いて判定できる。
【0062】
Boostingは、2値の判別器(例えば眼鏡の有無を判定)を構築する一般的な手法として知られている。多数の弱い判別器を用意し、それぞれの重みを変化させ、強い分類器を生成する。よく用いられる手法としてadaBoostが挙げられる。adaBoostでは逐次的に判別器が選択され、一つ前に選択された判別器で、間違えて判別された学習データの重みを、増加させることで、その学習データに対して重点的に学習を行っている。選択された判別器はその誤り率に応じて信頼度αが与えられ、判別結果は、信頼度αで重み付けされた判別器の多数決によって決まる。
【0063】
また、SVMも、値の判別器(例えば眼鏡の有無を判定)を構築する一般的な手法として知られている。2クラスの分類問題を解くために、2つのクラスの真ん中を通る超平面を求める。これを実現するために、超平面と訓練サンプルとの最小距離を評価関数として用い、これを最大にするように超平面を決定する。このままではSVMは線形な判別器となるが、カーネルトリックを用いることによって非線形な判別器を構成できる。
【0064】
また、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nが照明環境によって分類されている場合、照明変動毎にカテゴリを分類する。具体的には、例えば、「Weak Orthogonalization of Face and Perturbation, CVPR 1998, Kenji Nagao, Masaki Sohma」に記載された特徴量生成方法において、低次元の要素は、顔の一般的な変動の成分となる。本人間の摂動成分として、撮影環境や照明の当たり方の変動を多く用いると、その分布の主成分には、撮影環境の変化や照明変動を表す成分が表れる。この基底ベクトルを用いて部分空間を構築すると、主として照明変動を示す部分空間が得られる。この部分空間内で、各カテゴリのデータの分布への近さを用いて入力データを分類する。
【0065】
また、次に示すように、照明の方向と強度を明示的に推定する手法を用いることができる。式(9)に示されるように、予め統計量算出で求めた法線アルベド行列B(l)の平均Bavrを用いて、最小二乗法により、光源sを推定できる。
【数9】

【0066】
この推定した光源sを用いると、容易に照明方向による分類が可能となる。
ここで、画像nは入力画像であり、その画素数をPとすると、法線アルベド行列B(l)は式(10)によって表される。
【数10】

【0067】
ここで、npは式(11)に示されるように、p番目の画素のアルベドと単位法線ベクトルの積である。
【数11】

【0068】
また、光源sは式(12)に示されるように、照明強度と照明方向単位ベクトルの積である。
【数12】

【0069】
このような本発明の実施の形態2に係る顔認証装置1aによれば、特徴量データ記憶部61は、異なる撮像条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが異なる撮像条件毎にそれぞれ分類して記憶された複数の副特徴量データ記憶部611〜61aを有し、第2の類似度算出部70aは、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、顔画像データ登録部30に登録されている顔画像データの所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと第1の特徴量抽出部20が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する。これにより、特徴量データ記憶部が撮像条件毎に分類されるので、入力される顔画像データの撮像条件が多様化しても、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できる。
【0070】
次に、特徴量データ記憶部61のデータ更新方法について、具体的に説明する。
まず、特徴量データ分類部100bが、複数の副特徴量データ記憶部611〜61nのうち、追加する新たな顔画像データの撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部を選択する。次に、特徴量データ更新判断部120が、選択された副特徴量データ記憶部に、新たな顔画像データの特徴量データを追加するか否かを判断する。具体的には、追加したい特徴量データと、選択された副特徴量データ記憶部内の全ての特徴量データとの間の距離値を算出する。
【0071】
そして、算出された距離値中に統計的に外れ値が存在しない場合、当該特徴量データを、選択された副特徴量データ記憶部に追加する。一方、算出された距離値中に統計的な外れ値が存在した場合、当該特徴量データを、選択された副特徴量データ記憶部に追加しない。
このようにして、特徴量データ更新判断部120を設けたことにより、新しい顔画像データの特徴量データを追加する場合に、当該特徴量データを、最も適切な副特徴量データ記憶部に分類して記憶することができる。なお、例えば、動画像から入力画像を取得する場合、同一人物が連続して現れるが、追跡判定などを用いて、同じ人物は登録しないようにしている。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる顔画像認証装置は、入力される顔画像の撮像環境にかかわらず、高精度に個人識別できるという効果を有し、顔画像データを利用して、本人認証を行う顔認証装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1に係る顔認証装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る顔認証装置の動作フロー図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る顔認証装置の原理を説明する概略図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る顔認証装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る顔認証装置の動作フロー図である。
【符号の説明】
【0075】
1 顔認証装置
10 顔画像データ取得部
20 第1の特徴量抽出部
30 顔画像データ登録部
40 第2の特徴量抽出部
50 第1の類似度算出部
60、71 特徴量データ記憶部
611〜61n 第1〜第nの副特徴量データ記憶部
70、71 第2の類似度算出部
80 閾値設定部
90 識別判定部
100 特徴量分類部
110 副特徴量データ記憶部選択部
120 特徴量データ更新判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される顔画像データから特徴量データを抽出する第1の抽出部と、
所定の撮像条件下で撮像された顔画像データが登録されている顔画像データ登録部と、
上記顔画像データ登録部に登録されている顔画像データから特徴量データを抽出する第2の抽出部と、
上記第1および第2の抽出部がそれぞれ抽出する特徴量データを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する第1の算出部と、
上記所定の撮像条件と略同一の条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが記憶された特徴量データ記憶部と、
上記特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと上記第1の抽出部が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する第2の算出部と、
上記第2の算出部が算出する類似度に基づいて、上記入力される顔画像データと上記顔画像データ登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定する閾値設定部と、
上記閾値設定部により設定された閾値と上記第1の算出部が算出する類似度とを比較することによって、上記入力される顔画像データと上記顔画像データ登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判定する判定部とを備えたことを特徴とする顔認証装置。
【請求項2】
上記特徴量データ記憶部は、異なる撮像条件下で撮像された複数人の顔画像データから各々抽出された複数の特徴量データが上記異なる撮像条件毎にそれぞれ分類して記憶された複数の副特徴量データ記憶部を有し、
上記第2の算出部は、上記複数の副特徴量データ記憶部のうち、上記顔画像データ登録部に登録されている顔画像データの上記所定の撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと上記第1の抽出部が抽出する特徴量データとを照合して、両特徴量データ間の類似度を算出する請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項3】
新たな顔画像データを上記顔画像データ登録部に登録するとき、上記第2の抽出部により抽出される上記新たな顔画像データの特徴量データを、上記複数の副特徴量データ記憶部のうち、上記新たな顔画像データの撮像条件に最も近い撮像条件に対応した副特徴量データ記憶部に記憶する請求項2に記載の顔認証装置。
【請求項4】
上記第1の算出部は、上記第1および第2の抽出部が抽出する特徴量データの間の距離に基づいて、両特徴量データ間の類似度を算出する請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項5】
上記第2の算出部は、上記特徴量データ記憶部に記憶された複数の特徴量データと上記第1の抽出部が抽出する特徴量データとの間の距離に基づいて、両特徴量データ間の類似度を算出する請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項6】
上記閾値設定部は、上記第2の算出部が算出する上記類似度の平均値および分散値に基づいて、上記入力される顔画像データと上記登録部に登録されている顔画像データとが同一人のものであるか否かを判断するための閾値を設定する請求項1に記載の顔認証装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−146539(P2008−146539A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335508(P2006−335508)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】