説明

顕微鏡装置とその制御方法

【課題】長時間にわたる経時的な観察を行う場合においても、レーザ光の光軸の位置ズレを精度よく補正して、安定した観察を行う。
【解決手段】光源7と、強度変調器8と、強度変調されたレーザ光Lを走査するスキャナ14と、レーザ光Lを標本Aに集光し、標本Aにおいて発生した蛍光を集光する対物レンズ15と、集光された蛍光を検出する光検出器17と、強度変調器8と対物レンズ15との間において、光源7からのレーザ光Lの位置ズレを検出するレーザ位置検出部11およびその検出結果に基づいて位置ズレを補正するレーザ位置補正部10と、これらを制御する制御部4とを備え、制御部4が、光検出器17およびスキャナ14を作動させる蛍光検出開始時刻から強度変調器8を安定させるのに要する時間と、レーザ光Lの位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前に強度変調器8を作動させるよう制御する顕微鏡装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源からのレーザ光を顕微鏡に導入する照明光学系内に音響光学素子または電気光学素子等からなる強度変調器を備えるとともに、光源と強度変調器との間に、レーザ光のビーム系を調節するビームエキスパンダや、レーザの光軸位置を補正するビームシフタが配置された顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に開示されている顕微鏡装置は、強度変調器の狭い開口部に入射するレーザ光がけられてパワーロスを生じたり、レーザ光の波長切替時に、光軸の位置ズレや角度変化が生じたりしないように、ビームエキスパンダやビームシフタにより補正するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−345614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ビームエキスパンダやビームシフタによる光軸の位置ズレや角度変化の補正が一旦行われたとしても、長時間にわたる経時的な観察を行う場合に、時間経過に伴ってレーザ光源や強度変調器の温度上昇等が発生し、光学素子の光学特性が変化してレーザ光の光軸が変動する不都合がある。特に、前に行われた観察から長時間にわたる休止時間を経て観察を行う場合には、安定した観察を行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、長時間にわたる経時的な観察を行う場合においても、レーザ光の光軸の位置ズレを精度よく補正して、安定した観察を行うことができる顕微鏡装置とその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、レーザ光を射出する光源と、該光源からのレーザ光の強度変調を行う強度変調器と、該強度変調器により強度変調されたレーザ光を走査するスキャナと、該スキャナにより走査されたレーザ光を標本に集光する一方、標本において発生した蛍光を集光する対物レンズと、該対物レンズにより集光された蛍光を検出する光検出器と、前記強度変調器と前記対物レンズとの間に配置され、前記光源からのレーザ光の位置ズレを検出するレーザ位置検出部と、該レーザ位置検出機構による検出結果に基づいてレーザ光の位置ズレを補正するレーザ位置補正部と、これらを制御する制御部とを備え、該制御部が、前記光検出器およびスキャナを作動させた蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前に強度変調器を作動させるよう制御する顕微鏡装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、蛍光検出が開始されると、光源から発せられたレーザ光が強度変調器により強度変調され、スキャナにより走査されて対物レンズにより標本に集光される。標本においてはレーザ光が照射された位置において蛍光物質が励起されて蛍光が発生し、発生した蛍光は対物レンズにより集光された後、光検出器により検出される。スキャナによる走査位置および光検出器により検出された蛍光強度に基づいて、蛍光画像を構築することができる。
【0009】
強度変調器から出射されたレーザ光はレーザ位置検出部によりその光軸の位置ズレを検出され、その検出結果に基づいてレーザ位置補正部が光軸ズレを補正する。したがって、何らかの原因によってレーザ光の位置ズレが発生しても、これを補正して、精度よく標本に照射することができる。
【0010】
この場合において、複数回にわたる顕微鏡観察が長時間をかけて行われる場合には、一旦補正されることにより位置ズレが解消していても、経時的な光学的特性の変動によって、さらに位置ズレが発生してしまうことが考えられる。本発明によれば、制御部が蛍光検出開始に先立って強度変調器を作動させ、該強度変調器が安定してからレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うので、蛍光検出開始時にはレーザ光の位置ズレが解消している。この場合に、本発明によれば、レーザ光の位置ズレ検出を強度変調器が安定させたうえで行うことができレーザ光の位置ズレを精度よく補正することができる。
【0011】
上記発明においては、前記制御部は、複数設定された蛍光検出開始時刻が、前記強度変調器を安定させるのに要する時間とレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和より近接している場合に、これらの蛍光検出開始時刻間において強度変調器を作動停止しないよう制御することとしてもよい。
このようにすることで、2回目以降の蛍光検出に先立って、強度変調器の安定を待つことなくレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うことができ、長時間にわたって行われる顕微鏡観察においてもレーザ光の光軸ずれを精度よく補正して、標本に精度よく照射することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、前記制御部は、レーザ光の波長が切り替えられる場合に、前記スキャナおよび光検出器を作動させた蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始するよう制御することとしてもよい。
【0013】
このようにすることで、レーザ光の波長を切り替えて光源が安定し、かつ、強度変調器を作動させて強度変調器が安定してからレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を精度よく行うことができ、予め定められた蛍光検出開始時刻からレーザ光を標本に精度よく照射して観察を開始することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、前記制御部は、波長を切り替えて同時期に行う一群の観察前に、先頭波長におけるレーザ光の光軸に対する位置ズレ量を他の波長について波長毎に記憶しておき、先頭波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、残りの波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間より前に強度変調器を作動させ、前記光源を安定させるのに要する時間より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、これらの時間の間に記憶されている位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行うよう制御することとしてもよい。
【0015】
このようにすることで、先頭波長による観察時のみに、光源を安定させ、かつ、強度変調器を安定させてから、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行い、残りの波長による観察時には、レーザ光の位置ズレ検出を省略して、予め記憶されていた波長変化に基づく位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行う。同時期に行う一群の観察において、先頭波長による観察時のみに位置ズレを検出して補正することで、経時的な光学的特性の変化による光軸ずれを検出して補正することができ、長時間にわたる観察においてもレーザ光を精度よく標本に照射することができる。また、先頭波長以外の波長による観察時には、位置ズレの検出を省略することで、異なる波長に対する観察を短時間の内に行うことができ、一群の観察に要する時間を短縮することが可能となる。
【0016】
また、上記発明においては、前記対物レンズの前段において光路を遮断し、前記光検出器による蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放するシャッタを備えることとしてもよい。
このようにすることで、蛍光検出開始時刻前のレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正時には、シャッタの作動により光路が遮断されることによって、レーザ光が標本に照射されることが防止される。これにより、レーザ光による標本の褪色等の発生を未然に防止し、標本の健全性を向上することができる。また、蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放することにより、精度よく位置ズレが補正されたレーザ光を標本に照射することができる。
【0017】
また、本発明は、光源から射出されるレーザ光の強度を強度変調器により変調し、レーザ光の光軸の位置ズレを検出して補正し、補正されたレーザ光を標本上において走査し、標本において発生した蛍光を検出する顕微鏡装置の制御方法であって、予め設定された蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前に強度変調器を作動させるよう制御する顕微鏡装置の制御方法を提供する。
【0018】
本発明によれば、蛍光検出開始に先立って強度変調器を作動させ、該強度変調器が安定してからレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うので、蛍光検出開始時にはレーザ光の位置ズレが解消している。この場合に、本発明によれば、レーザ光の位置ズレ検出を強度変調器が安定させたうえで行うことができレーザ光の位置ズレを精度よく補正することができる。
【0019】
上記発明においては、複数設定された蛍光検出開始時刻が、前記強度変調器を安定させるのに要する時間とレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和より近接している場合に、これらの蛍光検出開始時刻間において強度変調器を作動停止しないよう制御することとしてもよい。
【0020】
このようにすることで、2回目以降の蛍光検出に先立って、強度変調器の安定を待つことなくレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うことができ、長時間にわたって行われる顕微鏡観察においてもレーザ光の光軸ずれを精度よく補正して、標本に精度よく照射することができる。
【0021】
また、上記発明においては、前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、レーザ光の波長が切り替えられる場合に、前記スキャナおよび光検出器を作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始するよう制御することとしてもよい。
【0022】
このようにすることで、レーザ光の波長を切り替えて光源が安定し、かつ、強度変調器を作動させて強度変調器が安定してからレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を精度よく行うことができ、予め定められた蛍光検出開始時刻からレーザ光を標本に精度よく照射して観察を開始することができる。
【0023】
また、上記発明においては、前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、波長を切り替えて同時期に行う一群の観察前に、先頭波長におけるレーザ光の光軸に対する位置ズレ量を他の波長について波長毎に記憶しておき、先頭波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、残りの波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間より前に強度変調器を作動させ、前記光源を安定させるのに要する時間より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、これらの時間の間に記憶されている位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行うよう制御することとしてもよい。
【0024】
このようにすることで、先頭波長による観察時のみに、光源を安定させ、かつ、強度変調器を安定させてから、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行い、残りの波長による観察時には、レーザ光の位置ズレ検出を省略して、予め記憶されていた波長変化に基づく位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行う。同時期に行う一群の観察において、先頭波長による観察時のみに位置ズレを検出して補正することで、経時的な光学的特性の変化による光軸ずれを検出して補正することができ、長時間にわたる観察においてもレーザ光を精度よく標本に照射することができる。また、先頭波長以外の波長による観察時には、位置ズレの検出を省略することで、異なる波長に対する観察を短時間の内に行うことができ、一群の観察に要する時間を短縮することが可能となる。
【0025】
また、上記発明においては、蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放し、それ以外において光路を遮断することとしてもよい。
このようにすることで、蛍光検出開始時刻前のレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正時には、光路が遮断されることによって、レーザ光が標本に照射されることが防止される。これにより、レーザ光による標本の褪色等の発生を未然に防止し、標本の健全性を向上することができる。また、蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放することにより、精度よく位置ズレが補正されたレーザ光を標本に照射することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、長時間にわたる経時的な観察を行う場合においても、レーザ光の光軸の位置ズレを精度よく補正して、安定した観察を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置1について、図1〜図4を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡装置1は、図1に示されるように、多光子励起用の短パルスレーザ光Lを出射する光源ユニット2と、該光源ユニット2から出射された短パルスレーザ光Lを標本Aに照射して蛍光を検出する顕微鏡本体3と、これらを制御する制御部4と、顕微鏡本体3により取得された画像を表示する表示部5と、観察条件を入力する入力部6とを備えている。
【0028】
前記光源ユニット2は、短パルスレーザ光Lを出射するレーザ光源7と、該光源から出射された短パルスレーザ光Lの強度変調を行うAOTFのような音響光学素子(強度変調器)8と、短波長光成分を優先的に透過するネガティブチャープを付与する分散補償器9と、短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレおよび傾きを調節するビームシフタ10と、短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレおよび傾きを検出する位置ズレ検出器11と、光源ユニット2からの短パルスレーザ光Lの出射をオンオフするシャッタ12とを備えている。
【0029】
ビームシフタ10は、図2に示されるように、2枚の平面ミラー10a,10bとこれらを駆動するモータ(図示略)とを備え、ミラー10a,10bをX,Y軸に沿って同時に駆動させることにより、短パルスレーザ光Lの光軸を平行移動させることができ、ミラー10a,10bを軸θx,θy回りに揺動させることにより、短パルスレーザ光Lの光軸の傾きを調節することができるようになっている。
【0030】
位置ズレ検出器11は、例えば、ビームシフタ10の後段の光路から短パルスレーザ光Lの一部を分岐するビームスプリッタ11aと、該ビームスプリッタ11aにより光路から分岐された短パルスレーザ光Lを異なる光路長を介して検出する2つのセンサ11b,11cとを備えている。符号11dはビームスプリッタ、符号11eはミラーである。
【0031】
各センサ11b,11cは、例えば、4分割フォトダイオードであり、受光する短パルスレーザ光Lのスポット位置に応じた4つのセンサ部分(図示略)の出力バランスにより、短パルスレーザ光Lの本来の光軸に対する該光軸に直交する方向に沿うオフセット量を検出することができるようになっている。また、異なる光路長を介した2つのセンサ11b,11cにおけるオフセット量の差に応じて、短パルスレーザ光Lの本来の光軸に対する傾き量を検出することができるようになっている。
【0032】
顕微鏡本体3は、標本Aを搭載するステージ13と、光源ユニット2から出力された短パルスレーザ光Lを2次元的に走査するスキャナ14と、該スキャナ14により走査された短パルスレーザ光Lを集光して標本Aに照射する一方、標本Aにおいて発生する蛍光を集光する対物レンズ15と、該対物レンズ15により集光された蛍光を短パルスレーザ光Lの光路から分岐するダイクロイックミラー16と、該ダイクロイックミラー16により分岐された蛍光を検出する光検出器17とを備えている。符号18は集光レンズである。
【0033】
前記スキャナ14は、例えば、相互に直交する軸線回りに揺動可能に支持された2枚のガルバノミラー14a,14bを対向配置させたものである。このスキャナ14によれば、2つのガルバノミラー14a,14bを同期させて揺動させることにより、短パルスレーザ光Lを、例えば、ラスタスキャン方式に2次元的に走査させることができるようになっている。
前記光検出器17は、例えば、光電子増倍管である。
【0034】
前記制御部4は、短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレの補正に必要な最大補正処理時間Tmaxを記憶する記憶部19を備えている。また、記憶部19には、他の一時的なデータ等を記憶するようになっている。
【0035】
最大補正処理時間Tmaxは、位置ズレ検出に要する時間および位置ズレ補正に要する時間の合計時間Taliと、音響光学素子8を安定させるために要する時間Taoとの和で表される。
制御部4は、入力部6から入力される観察条件に従って、以下の処理を行うようになっている。
【0036】
観察条件としては、例えば、画像取得回数、画像取得開始時間、フレーム間インターバル、スキャン速度、および画像サイズが入力される。制御部4は、入力された観察条件に基づいて、時間間隔をあけた複数の観察動作間における待機時間Trestと、各観察動作においてスキャナ14および光検出器17を作動させるスキャン開始時刻Tnextとを算出し、各観察動作における補正処理開始時刻Tstartを以下の式により算出するようになっている。
Tstart=Tnext−Tmax
【0037】
次いで、制御部4は、補正処理開始時刻Tstartまで待機した後に、シャッタ12により光路を遮断する一方、シャッタ12により光路が遮断された状態で音響光学素子8を作動させてレーザ光源7からの短パルスレーザ光Lを射出するように内部のシャッタ(図示略)をあけるようになっている。この際における音響光学素子8の調光値は蛍光検出時と等しい値でよい。
【0038】
また、この時点においては、音響光学素子8によるブランキング動作、すなわち、標本Aに照射する短パルスレーザ光Lの照射範囲を制限するために短パルスレーザ光Lをオンオフする処理は停止しておくようになっている。
また、制御部4は、音響光学素子8の作動開始から音響光学素子8を安定させるために要する時間Taoが経過した時点で、位置ズレ検出器11を作動させて短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレを検出し、ビームシフタ10を作動させて光軸の位置ズレを補正するようになっている。
【0039】
そして、制御部4は、ビームシフタ10による光軸の位置ズレ補正が終了した段階で、シャッタ12を開放させるようになっている。
その後、音響光学素子8によるブランキング動作を開始させ、スキャナ14および光検出器17を作動させて、標本Aの所定範囲の2次元的な蛍光の輝度情報を取得するようになっている。これにより1回の観察動作が終了するので、観察条件において入力された画像取得回数だけ、上記ステップを繰り返すようになっている。
光検出器17により検出された標本Aの輝度情報は、スキャナ14の走査位置情報に対応づけて記憶部19に記憶され、制御部4により蛍光画像が作成されて表示部5により表示されるようになっている。
【0040】
このように構成された本実施形態に係る顕微鏡装置1の制御方法について、図3および図4を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡装置1を用いて、標本Aの長時間観察(長時間タイムラプス観察)を行うには、まず、入力部6から撮像条件を入力する(ステップS1)。
【0041】
制御部4は、入力された撮影条件に基づいて、待機時間Trest、スキャン開始時刻Tnextおよび補正処理開始時刻Tstartを算出する(ステップS2)。
そして、時刻Tが補正処理開始時刻Tstartに達したか否かが判断され(ステップS3)、達した場合には、シャッタ12が作動されて顕微鏡本体3への光路が遮断される(ステップS4)。
【0042】
この状態で音響光学素子8が作動させられて(ステップS5)、短パルスレーザ光Lの分散補償器9への入射が開始される。この時点で、音響光学素子8が安定するのに要する時間Taoが経過したか否かが判定され(ステップS6)、時間Taoの経過を待って、位置ズレ検出器11による光軸の位置ズレが検出され(ステップS7)、ビームシフタ10による位置ズレの補正が行われる(ステップS8)。
【0043】
これにより、短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレが補正されるので、シャッタ12を開くことにより短パルスレーザ光Lが顕微鏡本体3に精度よく入射される(ステップS9)。
顕微鏡本体3に入射された短パルスレーザ光Lはスキャナ14によって2次元的に走査され、対物レンズ15によって標本Aに集光され、集光位置において多光子励起効果により蛍光を発生させる。発生した蛍光は、対物レンズ15により集光された後、ダイクロイックミラー16によって短パルスレーザ光Lの光路から分岐されて光検出器17により検出される(ステップS11)。
【0044】
このとき、音響光学素子8の作動によりブランキング動作が行われ、標本Aへの短パルスレーザ光Lの照射範囲が制限される(ステップS10)。したがって、帰線期間における標本Aへの短パルスレーザ光Lの照射が停止され、所定範囲内に均一な光子密度の短パルスレーザ光Lが照射される。これにより、1枚分の蛍光画像情報が取得され、1回の観察動作が終了する。この時点で観察条件として設定された画像取得回数に達したか否かが判断され、達していない場合には、ステップS2からのステップが繰り返される(ステップS12)。
【0045】
そして、設定された枚数の蛍光画像情報が取得された後には、光検出器からの蛍光画像情報とスキャナ14の走査位置情報とに基づいて、蛍光画像が生成され(ステップS13)、表示部に表示される(ステップS14)。
【0046】
このように、本実施形態に係る顕微鏡装置1とその制御方法によれば、音響光学素子8の安定を待って、短パルスレーザ光Lの光軸の位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うので、短パルスレーザ光Lの光軸を精度よく補正することができる。そして、このように精度よく光軸を補正された短パルスレーザ光Lを標本Aに照射するので、光学部品によるけられやパワーロスを抑制し、安定した均一な短パルスレーザ光Lを標本Aに照射して、標本Aの観察を精度よく行うことができる。
【0047】
また、蛍光画像の取得が行われる都度に光軸の補正が行われるので、長時間にわたるタイムラプス観察においてレーザ光源7や他の光学部品の温度上昇による経時的な光軸の位置ズレが発生しても、これを精度よく補正して、安定した観察を行うことができるという利点がある。
【0048】
なお、本実施形態においては、間隔をあけて行われる複数回の観察動作毎に、補正処理開始時刻Tstartを算出して、音響光学素子8の作動を開始することとしたが、観察動作毎の間隔が短く、補正処理開始時刻Tstartが算出できない場合には、図5に示されるように、観察動作どうしの間における音響光学素子8のオンオフをなくし、音響光学素子8を常に作動状態として、位置ズレ検出および位置ズレ補正を行うこととしてもよい。この場合、スキャナ14および光検出器17を作動させて蛍光画像を取得する時間のみにおいて、音響光学素子8にブランキング動作を行わせるとともに、シャッタ12を開放することとすればよい。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置1とその制御方法について、図6〜図10を参照して説明する。
本実施形態の説明において上述した第1の実施形態に係る顕微鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る顕微鏡装置1は、レーザ光源7として、複数波長、例えば、700nm〜1000nmの波長範囲において任意の波長を選択的に出射可能な可変レーザ光源を備えている。
また、記憶部19には、位置ズレ補正に要する時間Tali、位置ズレ検出に要する時間Texm、音響光学素子8が安定するのに要する時間Tao、レーザ光源7が波長切り替え後に安定するまでに要する時間Tlaserが記憶されている。ここで、波長変化の幅Δλが増大すると、波長切り替え時の待機時間Tlaserが増大することが知られている。例えば、ΔλとTlaserとの関係は、例えば、図8のような分布を示す。したがってシステム固有の分布を予め記憶部19に記憶しておくことが好ましい。
【0051】
制御部4は、まず、標本Aに対して短パルスレーザ光Lを照射しないプレスキャンを行うことにより、波長毎の位置ズレ補正値を求め記憶部19に記憶しておく。具体的には、図6に示されるように、レーザ光源7の射出波長を第1の波長λAに合わせ、同時に音響光学素子8を作動させ、シャッタ12を閉鎖する。
【0052】
図6の場合には、レーザ光源7が安定するまでに要する時間Tlaserの方が音響光学素子8が安定するまでに要する時間Taoより長いので、レーザ光源7が安定するのに要する時間Tlaserを待って、位置ズレ検出および位置ズレ補正を行い、位置ズレ補正値を記憶部19に記憶する。その後、第2の波長λBについても同様にして位置ズレ補正値を求め記憶部19に記憶する。それ以外の波長についても観察を行う場合には同様にして位置ズレ補正値を求め記憶部19に記憶する。
【0053】
次いで、長時間タイムラプス観察を行う。
この実施形態において、長時間タイムラプス観察は、ほぼ同時期に、短パルスレーザ光Lの波長を切り替えながら、標本Aからの蛍光を検出する一群の観察動作(図7では、第1の波長λAによる観察動作と、第2の波長λBによる観察動作)を、時間間隔をあけて長時間にわたって複数回行い、標本Aの経時的な変化を観察する観察方法である。
【0054】
具体的には、図9に示されるように、まず、入力部6から観察条件が入力される(ステップS21)。そして、レーザ光源7から出射される短パルスレーザ光Lの波長λAが選択され(ステップS22)、これに基づく観察動作が行われる(ステップS23)。次いで、波長λBが選択され(ステップS24)、これに基づく観察動作が行われる(ステップS25)。
【0055】
そして、これら一群の観察動作が、入力された観察条件に従って、時間間隔をあけて、所定の観察回数だけ行われたか否かが判断され(ステップS26)、設定された観察回数だけ行われた後に、光検出器からの蛍光画像情報とスキャナ14の走査位置情報とに基づいて、蛍光画像が生成され(ステップS27)、表示部に表示される(ステップS28)。
【0056】
ここで、各観察動作(ステップS23,S25)について、図10および図11を参照して説明する。
まず、選択された短パルスレーザ光Lの波長λに基づいて、記憶部19から位置ズレ補正値が読み出される(ステップS31)。その後、ビームシフタ10の作動により、プレスキャンにおいて求められた位置ズレ補正値に基づいて短パルスレーザ光Lの波長に依存する位置ズレ補正が行われる(ステップS32)。
【0057】
また、制御部4は入力された観察条件に基づいて、時間間隔をあけた複数の観察動作間における待機時間Trestと、各観察動作においてスキャナ14および光検出器17を作動させるスキャン開始時刻Tnextとを算出し、補正処理に必要な時間Tali+Texm+Tlaserが読み出され、補正処理開始時刻Tstartが次式により算出される(ステップS33)。
Tstart=Tnext−(Tali+Texm+Tlaser)
【0058】
補正処理開始時刻Tstartに達すると(ステップS34)、シャッタ12が閉鎖され(ステップS35)、レーザ光源7の波長が第1の波長λAに切り替えられ(ステップS36)、音響光学素子8が作動させられる(ステップS37)。時間Tlaserの経過を待つことにより(ステップS38)、レーザ光源7が安定し、音響光学素子8も安定するので、位置ズレ検出が行われ(ステップS39)、プレスキャンにおいて求められた位置ズレ補正値に対してさらなる位置ズレが生じているか否かが判定される(ステップS40)。
【0059】
そして、位置ズレが発生している場合には、ビームシフタ10による位置ズレ補正が行われ(ステップS41)、新たな位置ズレ補正値が短パルスレーザ光の波長と対応づけて記憶部に記憶される(ステップS42)。一方、位置ズレが発生していない場合には、位置ズレ補正は行わない。
【0060】
その後、スキャン開始時刻Tnextを待って(ステップS43)、シャッタ12が開かれ(ステップS44)、音響光学素子8がブランキング動作させられ(ステップS45)、スキャナ14および光検出器17が作動させられる(ステップS46)。
これにより、観察動作が終了する。
【0061】
本実施形態に係る顕微鏡装置1とその制御方法によれば、レーザ光源7から出射される短パルスレーザ光Lの波長が切り替えられることにより、音響光学素子8の設定、分散補償器9の設定等が切り替えられて光軸が変動するが、レーザ光源7が安定するまでに要する時間を待って位置ズレ検出および位置ズレ補正が行われるので、常に光軸の位置ズレを精度よく補正して顕微鏡本体3に入射させることができる。
【0062】
また、予めプレスキャンを行って波長毎の位置ズレ補正値を記憶しておき、波長が切り替えられる都度に、記憶されていた位置ズレ補正値を読み出して位置ズレ補正を行うので、光軸の位置ズレを迅速に補正することができる。また、スキャナ14および光検出器17を作動させた蛍光検出動作毎に、位置ズレの検出を行うので、長時間タイムラプス観察のように、経時的に光軸の位置ズレが発生しやすい観察形態においても、光軸ズレを精度よく補正することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、レーザ光源7から出射される短パルスレーザ光Lの波長切り替え開始と同時に音響光学素子8を作動させることとしたが、これに代えて、図11に示されるように、音響光学素子8は、スキャン開始時刻Tnextから位置ズレ検出および位置ズレ補正に必要な時間Texm+Taliおよび該音響光学素子8が安定するのに必要な時間Taoだけ遡った時刻において作動開始させることにしてもよい。
【0064】
また、観察条件によっては、1群の観察動作にかけることができる時間を十分に確保できる場合には、図12に示されるように、短パルスレーザ光lの波長切り替えに伴いレーザ光源7が安定するのに要する時間の経過後、すなわち、レーザ光源7が安定してから音響光学素子8を作動させることにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、短パルスレーザ光Lの波長を700nm〜1000nmの範囲で任意に変更可能な可変レーザ光源7を採用したが、これに代えて、単一波長レーザ光を出射可能な複数のレーザ光源を組み合わせたレーザ光源ユニットを採用してもよい。この場合には、可変レーザ光源と比較して、レーザ光源が安定するまでに要する時間をほとんど無視し得る程低減することができる。したがって、短パルスレーザ光Lの波長切り替え時の待機時間が大幅に短縮され、音響光学素子8が安定するまでに要する時間に応じて、補正処理開始時刻Tstartを設定することにすればよい。
【0066】
また、本実施形態においては、ほぼ同時期に行われる各一群の観察動作において、短パルスレーザ光Lの波長が切り替えられる毎に光軸の位置ズレ検出を行うこととした。これに代えて、プレスキャンにおいて、各一群の観察動作における最初の波長(先頭波長)と他の波長との間での光軸の位置ズレの差分値を検出して記憶しておき、図13に示されるように、各一群の観察動作における先頭波長に設定されたときにのみ位置ズレ検出を行い、他の波長においては記憶しておいた位置ズレの差分値に基づく位置ズレ補正のみを行うことにしてもよい。
【0067】
波長を切り替えることにより発生する光軸の位置ズレの差分値は、光学部品の温度が上昇しても変化しないので、これを記憶しておき、光学部品の温度上昇による光軸の位置ズレについては、一群の観察動作の先頭波長において検出し補正することで、他の波長については差分値に基づく位置ズレ補正のみで、各波長毎に温度上昇に伴う位置ズレ補正も行うことができる。
このようにすることで、波長を切り替えることに光軸の位置ズレ検出を行う必要がないので、波長切り替えに伴う待機時間を短縮することができる。
【0068】
すなわち、記憶されている差分値に基づく光軸の位置ズレ補正のみであれば、オープンループで行うことができ、レーザ光源7および音響光学素子8の安定を待つ必要がない。したがって、シャッタ12を閉じて開始される補正処理開始と同時に、位置ズレ補正を行うことができ、スキャナ14および光検出器17を作動させて行う蛍光検出動作の間隔を、レーザ光源7の安定に要する時間または音響光学素子8の安定に要する時間のいずれか長い方のみに短縮することができる。
これにより、複数の波長を切り替えて行う複数回の観察動作を互いに極力近接させて行うことができ、一群の観察動作における同時性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】図1の顕微鏡装置に備えられる位置ズレ補正機構の一例を示す図である。
【図3】図1の顕微鏡装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図4】図1の制御方法を説明するタイムチャートである。
【図5】図4の制御方法の変形例を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図7】図6の制御方法を説明するタイムチャートである。
【図8】図6の顕微鏡装置におけるレーザ光源の波長間隔と待機時間との関係を示すグラフである。
【図9】図6の顕微鏡の制御方法を主な流れを示すフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートにおける観察動作ルーチンを説明するフローチャートである。
【図11】図6の制御方法の第1の変形例を示すタイムチャートである。
【図12】図6の制御方法の第2の変形例を示すタイムチャートである。
【図13】図6の制御方法の第3の変形例を示すタイムチャートである。
【図14】図6の制御方法の第4の変形例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0070】
A 標本
L 短パルスレーザ光(レーザ光)
Tao 強度変調器を安定させるのに要する時間
Tali、Tali+Texm レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間
Tnext 蛍光検出開始時刻
1 顕微鏡装置
4 制御部
7 レーザ光源(光源)
8 音響光学素子(強度変調器)
10 ビームシフタ(レーザ位置補正部)
11 レーザ位置検出部
12 シャッタ
14 スキャナ
15 対物レンズ
17 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を射出する光源と、
該光源からのレーザ光の強度変調を行う強度変調器と、
該強度変調器により強度変調されたレーザ光を走査するスキャナと、
該スキャナにより走査されたレーザ光を標本に集光する一方、標本において発生した蛍光を集光する対物レンズと、
該対物レンズにより集光された蛍光を検出する光検出器と、
前記強度変調器と前記対物レンズとの間に配置され、前記光源からのレーザ光の位置ズレを検出するレーザ位置検出部と、
該レーザ位置検出機構による検出結果に基づいてレーザ光の位置ズレを補正するレーザ位置補正部と、
これらを制御する制御部とを備え、
該制御部が、前記光検出器およびスキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前に強度変調器を作動させるよう制御する顕微鏡装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数設定された蛍光検出開始時刻が、前記強度変調器を安定させるのに要する時間とレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和より近接している場合に、これらの蛍光検出開始時刻間において強度変調器を作動停止しないよう制御する請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項3】
前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、
前記制御部は、レーザ光の波長が切り替えられる場合に、前記スキャナおよび光検出器を作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始するよう制御する請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項4】
前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、
前記制御部は、波長を切り替えて同時期に行う一群の観察前に、先頭波長におけるレーザ光の光軸に対する位置ズレ量を他の波長について波長毎に記憶しておき、
先頭波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、
残りの波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間より前に強度変調器を作動させ、前記光源を安定させるのに要する時間より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、これらの時間の間に記憶されている位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行うよう制御する請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項5】
前記対物レンズの前段において光路を遮断し、前記光検出器による蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放するシャッタを備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の顕微鏡装置。
【請求項6】
光源から射出されるレーザ光の強度を強度変調器により変調し、レーザ光の光軸の位置ズレを検出して補正し、補正されたレーザ光を標本上において走査し、標本において発生した蛍光を検出する顕微鏡装置の制御方法であって、
予め設定された蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前に強度変調器を作動させるよう制御する顕微鏡装置の制御方法。
【請求項7】
複数設定された蛍光検出開始時刻が、前記強度変調器を安定させるのに要する時間とレーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和より近接している場合に、これらの蛍光検出開始時刻間において強度変調器を作動停止しないよう制御する請求項6に記載の顕微鏡装置の制御方法。
【請求項8】
前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、
レーザ光の波長が切り替えられる場合に、前記スキャナおよび光検出器を作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始するよう制御する請求項6に記載の顕微鏡装置の制御方法。
【請求項9】
前記光源が、複数波長のレーザ光を出射可能であり、
波長を切り替えて同時期に行う一群の観察前に、先頭波長におけるレーザ光の光軸に対する位置ズレ量を他の波長について波長毎に記憶しておき、
先頭波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記光源を安定させるのに要する時間と、レーザ光の位置ズレ検出および位置ズレ補正に要する時間との和だけ遡った時刻より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、
残りの波長による観察時には、前記光検出器および前記スキャナを作動させる蛍光検出開始時刻から前記強度変調器を安定させるのに要する時間より前に強度変調器を作動させ、前記光源を安定させるのに要する時間より前にレーザ光の波長の切り替えを開始させ、これらの時間の間に記憶されている位置ズレ量だけ位置ズレ補正を行うよう制御する請求項6に記載の顕微鏡装置の制御方法。
【請求項10】
蛍光検出開始時刻から蛍光検出終了時刻までの間で光路を開放し、それ以外において光路を遮断する請求項6から請求項9のいずれかに記載の顕微鏡装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−233227(P2008−233227A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69107(P2007−69107)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】