説明

風力発電施設のモノパイル式基礎構造

【課題】 陸上又は海上の風力発電施設のモノパイル式基礎構造を提供する。
【解決手段】 地盤が支持層上に軟弱層が堆積している場合に、軟弱層はモノパイルが根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には軟弱層の高さ全域の範囲で地盤改良して、モノパイルの支持に必要とされる水平方向への支持力が確保されている。改良地盤の略中央部に、モノパイルが改良地盤の範囲内に、又は地盤の支持層に一部到達する深さまで根入れされている。モノパイルは風力発電施設の荷重、風等の外力に十分耐え得る直径及び肉厚で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、陸上又は海上の風力発電施設のモノパイル式基礎構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量を低減するべく、火力発電等の代替手段として自然エネルギーを利用する風力発電が、米国、欧州などを中心として大規模に実施されている。
【0003】
我が国でも風力発電は実施されているが、陸上において風力発電で要求される断続的に一定以上の安定した風力を得ようとすると、起伏が激しい地域に限定され、当該地域では、風が巻き込むなどの影響で、一方向からの風を得ることはできず、良好な風力発電が難しい。また、広い敷地を確保することができず大規模に実施できないなどの地理的事情がある。それに比べて、海上では断続的に一定以上の安定した風力を一方向から得やすく、しかも大規模に実施できる利点を有するので、風力発電施設を海上へ構築できるように、従来からケーソン式や組杭式などの基礎構造が種々開発されている。なかでも海底地盤の沈下や波力による影響を受け難く、その他の基礎構造に比べて安価に構築できるモノパイル式(単杭式)基礎構造が注目されている。
【0004】
モノパイル式基礎構造は、風力発電施設を支持するモノパイルの下端部が、海底地盤の支持層まで根入れされた構造である。通例、前記モノパイルは大口径(一例として、4000mm程度)の鋼管で構成され、打設用の大型専用船を用いて現地に構築される。なお、特許文献1には、モノパイルをコンクリートパイルで構成した技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−207948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モノパイル式基礎構造は、支持層までの深さが浅い遠浅の欧州沿岸を中心として、根入れ長さが短くて済むため、多数実施され主流となりつつある。しかし、我が国沿岸の海底地盤は、支持層までの深さが深く、同支持層上に軟弱層が厚く堆積している。軟弱層は支持力を発揮しないので、支持層の深くまでモノパイルを根入れする必要があり、結果としてモノパイルの根入れ長さが長くなって根入れ作業が大変である。また、大口径のモノパイルは高価なので、長くなる分コストが嵩む問題点がある。
【0006】
しかも、海底地盤の軟弱層は水平方向への支持力を殆ど発揮しないので、モノパイル上端での水平変位(撓み変位)が大きく、同モノパイルが塑性変形して、風力発電施設が傾く虞がある。そのため、モノパイルの肉厚を厚くして剛性を高める必要があり、やはりコストが嵩む問題点がある。特に、台風などによる突風が頻繁に吹く我が国で実施しようとすると、該突風による風荷重に十分耐え得る剛性とする必要があり、尚のことである。
【0007】
本発明の目的は、沿岸域の埋め立て地等の陸上又は海底地盤の軟弱層を、モノパイルが根入れされる部位の周辺領域を一定範囲まで地盤改良してモノパイルを支持させ、モノパイルを支持層の深くまで根入れしなくても風力発電施設を堅固に支持できる基礎構造を提供することであり、更に云えば、根入れ長さが短くて済み、根入れ作業が容易でコストの削減を図れる、風力発電施設のモノパイル式基礎構造を提供することである。
【0008】
本発明の次の目的は、改良地盤に水平方向への支持力を発揮させて、モノパイルの上端での水平変位を小さくし、風力発電施設を健全な状態で支持できる基礎構造を提供することであり、更に云えば、モノパイルの肉厚をむやみに厚くして剛性を高める必要が無く、コストの削減を図れる、風力発電施設のモノパイル式基礎構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る風力発電施設のモノパイル式基礎構造は、
風力発電施設を支持するモノパイルが地盤に根入れされて成る基礎構造において、
地盤が支持層上に軟弱層が堆積している場合に、前記軟弱層はモノパイルが根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には前記軟弱層の高さ全域の範囲で地盤改良して、モノパイルの支持に必要とされる水平方向への支持力が確保されており、前記改良地盤の略中央部に、モノパイルが前記改良地盤の範囲内に、又は地盤の支持層に一部到達する深さまで根入れされていること、
前記モノパイルは風力発電施設の荷重、風等の外力に十分耐え得る直径及び肉厚で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明に係る風力発電施設のモノパイル式基礎構造は、
風力発電施設を支持するモノパイルが海底地盤に根入れされて成る基礎構造において、
海底地盤が支持層上に軟弱層が堆積している場合に、前記軟弱層はモノパイルが根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には前記軟弱層の高さ全域の範囲で地盤改良して、モノパイルの支持に必要とされる水平方向への支持力が確保されており、前記改良地盤の略中央部に、モノパイルが前記改良地盤の範囲内に、又は海底地盤の支持層に一部到達する深さまで根入れされていること、
前記モノパイルは風力発電施設の荷重、風や波等の外力に十分耐え得る直径及び肉厚で形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した風力発電施設のモノパイル式基礎構造において、
(イ)軟弱層の地盤改良に必要とされる水平方向の範囲は、予め設定された改良地盤の滑動抵抗力、抵抗モーメント、支持力、端し圧を満たし、
(I)改良地盤の滑動抵抗力は、以下の[数1]によって求められること、
[数1] H<R/Fs
但し、Fs:安全率、H:改良地盤に作用する水平力、R:改良地盤の滑動抵抗力
(II)改良地盤の抵抗モーメントは、以下の[数2]によって求められること、
[数2] M<MR/Fs
但し、Fs:安全率、M:改良地盤に作用する転倒モーメント、MR:改良地盤の抵抗モーメント
(III)改良地盤の支持力は、以下の[数3]によって求められること、
[数3] t<q/Fs
但し、Fs:安全率、t:支持層の地盤反力、q:改良地盤の支持力
(IV)改良地盤の端し圧は、以下の[数4]によって求められること、
[数4] t<qu/Fs
但し、Fs:安全率、t:改良地盤の端し圧、qu:改良地盤の設計基準強度
(ロ)モノパイルの直径、肉厚は、予め設定された応力度、支持力、根入れ長さを満たし、
(V)モノパイルの応力度は、以下の[数5]によって求められること、
[数5] σ=P/A+Mp/Z<σa
但し、P:モノパイルに作用する鉛直力、A:モノパイルの断面積、Mp:モノパイルに作用する最大モーメント、Z:モノパイルの断面係数、σa:許容応力度
(VI)モノパイルの支持力は、以下の[数6]によって求められること、
[数6] P<Ru/Fs
但し、Fs:安全率、P:モノパイルに作用する鉛直力、Ru:モノパイルの支持力
(VII)モノパイルの根入れ長さは、以下の[数7]によって求められること、
[数7] L>3/β
但し、L:モノパイルの根入れ長さ、β:仮想固定点
を特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3にいずれか一に記載した風力発電施設のモノパイル式基礎構造において、
地盤改良は、セメント又はセメント系固化材を攪拌混合する深層混合処理工法、又は同深層混合処理工法に石炭灰を安定剤として添加する深層混合処理工法を用いて実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る風力発電施設のモノパイル式基礎構造は、沿岸域の埋め立て地等の陸上又は海底地盤を形成する軟弱層を、モノパイルが根入れされる部位の周辺領域を一定範囲まで地盤改良してモノパイルを支持させるので、改良地盤の弾性係数が大きいことによりモノパイルの根入れ長さを短くでき、モノパイルを支持層の深くまで根入れしなくても風力発電施設を堅固に支持できる。そのため、モノパイルの根入れ長さを短くできるので、根入れ作業が容易であり、工期の短縮を図ることもできる。しかも、根入れ長さが短くて済む分、モノパイルの全長を短くできるので、コストの削減を図れる。
【0014】
特に、改良地盤は水平方向への支持力も発揮するので、モノパイルの上端での水平変位が小さくなり、風力発電施設を健全な状態に支持できる。そのため、モノパイルの肉厚をむやみに厚くして剛性を高める必要が無く、やはりコストの削減を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
請求項2及び請求項3に記載した発明に係る風力発電施設のモノパイル式基礎構造の実施形態を、図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
図1等に示すモノパイル式基礎1は、通例のモノパイル式基礎と略同様に、風力発電施設2の基礎として構築されるものである。すなわち、ブレード3が取り付けられた風力発電機4の支柱5を支持するべく、鋼管から成るモノパイル6の下端部が海底地盤7に根入れされ、上端部は前記支柱5の下端部を連結するべく、海面から突き出されている。但し、本発明のモノパイル式基礎1は、海底の支持層8上に軟弱層9が厚く堆積した海底地盤7上へ構築される風力発電施設2の基礎として好適な構造とされている。
【0017】
その手段として、海底地盤7の軟弱層9は、前記モノパイル6が根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には前記軟弱層9の高さ全域の範囲で必要最小限度に地盤改良し、この地盤改良された改良地盤10(以下、単に改良地盤10と云う。)の略中央部に、モノパイル6が前記改良地盤10の範囲内に、又は海底地盤7の支持層8に一部到達する深さまで根入れされている。改良地盤10の弾性係数が大きいことによりモノパイル6の根入れ長さを短くできるので、モノパイル6は支持層8の深くまで根入れしなくても風力発電施設2を堅固に支持できる。そのため、モノパイル6の根入れ長さが短くて済み、根入れ作業が容易で、工期の短縮を図ることもできる。しかも、根入れ長さが短くて済む分、モノパイル6の全長を短くできるので、コストの削減を図れるのである。
【0018】
特に、改良地盤10は水平方向への支持力も発揮するので、モノパイル6の上端での水平変位が小さくなり、風力発電施設2を健全な状態に支持できる。そのため、モノパイル6の肉厚をむやみに厚くして剛性を高める必要が無く、やはりコストの削減が図れる。
【0019】
モノパイル6の支持に必要とされる水平方向への支持力を発揮させるべく、実施した改良地盤10の必要最小限度の範囲は、次のように設定される。
【0020】
具体的には、改良地盤10の範囲は、予め設定された改良地盤10の滑動抵抗力、抵抗モーメント、支持力、端し圧を満たすように設定される(図3を参照)。なお、以下に示す[数1]〜[数4]に用いられている記号の説明は重複した記載を省略している。
【0021】
(I)改良地盤10の滑動抵抗力Rは、以下の[数1]によって求められる。
[数1] H<R/Fs
Fs:安全率、H:改良地盤10に作用する水平力
ここで、改良地盤10の滑動抵抗力Rは、R=(Wupper+Wpile+Wdm)×tanφ+Ppで定義される。また、改良地盤10に作用する水平力Hは、暴風時がH=Fwind+Fwave+Pa、地震時がH=Eupper+Epile+Paで定義され、算出された両値を満たすように設定される。安全率Fsは、一例として暴風時が1.2、地震時が1.0に設定され、両値を満たすように設定される。
Wupper:風力発電施設2の自重、Wpile:モノパイル6の自重、Wdm:改良地盤10の自重、φ:内部摩擦角、Fwind:風荷重、Fwave:波荷重、Pa:主働土圧、Eupper:風力発電施設2に作用する地震荷重、Epile:モノパイル6に作用する地震荷重
【0022】
(II)改良地盤10の抵抗モーメントMRは、以下の[数2]によって求められる。
[数2] M<MR/Fs
M:改良地盤10に作用する転倒モーメント
ここで、改良地盤10の抵抗モーメントMRは、MR=(Wupper+Wpile+Wdm)×r+Pa×y7で定義される。また、改良地盤10の転倒モーメントMは、暴風時がM=Fwind×y1+Fwave×y2+Pa×y3、地震時がM=Eupper×y4+Epile×y5+Edm×y6+Pa×y3で定義され、算出された両値を満たすように求められる。安全率Fsは、一例として暴風時が1.2、地震時が1.1に設定され、両値を満たすように求められる。
Edm:改良地盤10に作用する地震荷重、y1:海底地盤7の軟弱層9底面から風荷重Fwindの作用点までの高さ、y2:海底地盤7の軟弱層9底面から波荷重Fwaveの作用点までの高さ、y3:海底地盤7の軟弱層9底面から主働土圧Paの作用点までの高さ、y4:海底地盤7の軟弱層9底面から風力発電施設2に作用する地震荷重Eupperの作用点までの高さ、y5:海底地盤7の軟弱層9底面からモノパイル6に作用する地震荷重Epileの作用点までの高さ、y6:海底地盤7の軟弱層9底面から改良地盤10に作用する地震荷重Edmの作用点までの高さ
【0023】
(III)改良地盤の支持力qは、以下の[数3]によって求められる。
[数3] t<q/Fs
t:支持層の地盤反力
安全率Fsは、一例として暴風時が2.5、地震時が1.5に設定され、両値を満たすように求められる。
【0024】
(IV)改良地盤の端し圧tは、以下の[数4]によって求められる。
[数4] t<qu/Fs
qu:改良地盤の設計基準強度
安全率Fsは、一例として暴風時が3.0、地震時が2.0に設定され、両値を満たすように求められる。
【0025】
上記モノパイル6は、風力発電機施設2の荷重、風や波等の外力に十分耐え得る直径、肉厚とされており、同モノパイル6の直径、肉厚は、予め設定された応力度、支持力、根入れ長さを満たすように設定される(図3を参照)。なお、以下に示す[数5]〜[数7]に用いられる記号の説明も、上記[数1]〜[数4]と同様に重複した記載を省略している。
【0026】
(V)モノパイル6の応力度は、以下の[数5]によって求められる。
[数5] σ=P/A+Mp/Z<σa
P:モノパイル6に作用する鉛直力、A:モノパイル6の断面積、Mp:モノパイル6に作用する最大モーメント、Z:モノパイル6の断面係数、σa:許容応力度
ここで、モノパイル6に作用する鉛直力Pは、P=Wupper+Wpileで定義される。また、許容応力度σaは、一例として暴風時が190N/mm、地震時が285N/mmに設定され、両値を満たすように求められる。
【0027】
(VI)モノパイル6の支持力Ruは、以下の[数6]によって求められる。
[数6] P<Ru/Fs
ここで、モノパイル6の支持力Ruは、Ru=c×Asc+2N×Assで定義される。
c:軟弱層9の粘着力(c=qu/2で定義される。)、Asc:モノパイル6の改良地盤10内の全表面積、Ass:モノパイル6の支持層8内の全表面積
【0028】
(VII)モノパイル6の根入れ長さLは、以下の[数7]によって求められる。
[数7] L>3/β
β:仮想固定点(β={Es/(4EI)}1/4で定義される。)、Es:改良地盤10の弾性係数、E:モノパイル6の弾性係数、I:モノパイル6の断面二次モーメント
【0029】
以上の[数1]〜[数7]に基づいて改良地盤10の範囲、及びモノパイル6の直径、肉厚を設定することで、大掛かりな実験などをすることなく、簡易に且つ迅速に適切な改良地盤10の範囲、モノパイル6の直径、肉厚を設定することができる。
【0030】
図4は、上記[数1]〜[数7]に基づき、各条件下における改良地盤10の範囲、及びモノパイル6の直径、肉厚を設定した本発明のモノパイル式基礎と、当該各条件下で通例の設計指針によって設定した従来のモノパイル式基礎とを比較している。図5は、図4の検討結果に示した両モノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量(暴風時)をグラフにして示している。図6は、図4の検討結果に示した両モノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量(地震時)をグラフにして示している。
【0031】
図4から本発明のモノパイル式基礎は、モノパイルの全長が短くて済むことが明らかである。また、図5及び図6からは、いずれの条件下でも本発明のモノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量が、従来のモノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量より圧倒的に小さくなることが明らかである。
【0032】
したがって、本発明に係るモノパイル式基礎構造は、我が国沿岸のように支持層までの深さが深く、同支持層上に軟弱層が厚く堆積した海底地盤上へ構築される風力発電施設2の基礎として、好適な構造であることが云える。
【0033】
なお、地盤改良は特に限定せず、セメント又はセメント系固化材を攪拌混合する通例の深層混合処理工法、又は同深層混合処理工法に石炭灰を安定剤として添加する深層混合処理工法(所謂FGC(フライアッシュ・ジプサム・セメント)−DM工法)を用いて実施することができる(請求項4記載の発明)。FGC−DM工法は、安定剤として石炭灰と必要に応じて石膏をセメント又はセメント系固化材に添加するので、通例の深層混合処理工法ではスラリー量が少なく均一な攪拌混合が困難な低強度域の地盤改良が可能であり、モノパイル6の根入れ作業が行いやすい低強度改良地盤を形成することができる。
【0034】
本実施形態では、海上に風力発電施設2を構築するべく海底地盤7にモノパイル式基礎1が構築されているが、これに限らない。類似した地盤が想定される沿岸域の埋め立て地等の陸上に風力発電施設2を構築するべく、同埋め立て地等の地盤にモノパイル式基礎1が構築されても良い(請求項1記載の発明)。この場合、図3の波荷重とモノパイルに作用する地震荷重、及びモノパイルの自重が作用しないことになるが、風力発電施設2の基礎構造として、同様に好適な構造である(図4〜図6の水深0mのデータを参照)。
【0035】
なお、以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る風力発電施設のモノパイル式基礎構造を用いて構築された風力発電施設を示した立面図である。
【図2】モノパイル式基礎構造の水平断面図である。
【図3】モノパイル式基礎構造の力学特性を示した立面図である。
【図4】各条件下における改良地盤の範囲、モノパイルの直径、肉厚を設定した本発明のモノパイル式基礎と、従来のモノパイル基礎との比較図である。
【図5】図4の検討結果に示した両モノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量(暴風時)を比較したグラフである。
【図6】図4の検討結果に示した両モノパイル式基礎の海底面位置での水平変位量(地震時)を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 モノパイル式基礎
2 風力発電施設
6 モノパイル
7 海底地盤
8 支持層
9 軟弱層
10 改良地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電施設を支持するモノパイルが地盤に根入れされて成る基礎構造において、
地盤が支持層上に軟弱層が堆積している場合に、前記軟弱層はモノパイルが根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には前記軟弱層の高さ全域の範囲で地盤改良して、モノパイルの支持に必要とされる水平方向への支持力が確保されており、前記改良地盤の略中央部に、モノパイルが前記改良地盤の範囲内に、又は地盤の支持層に一部到達する深さまで根入れされていること、
前記モノパイルは風力発電施設の荷重、風等の外力に十分耐え得る直径及び肉厚で形成されていることを特徴とする、風力発電施設のモノパイル式基礎構造。
【請求項2】
風力発電施設を支持するモノパイルが海底地盤に根入れされて成る基礎構造において、
海底地盤が支持層上に軟弱層が堆積している場合に、前記軟弱層はモノパイルが根入れされる部位の周辺領域を、水平方向に一定の範囲まで、深さ方向には前記軟弱層の高さ全域の範囲で地盤改良して、モノパイルの支持に必要とされる水平方向への支持力が確保されており、前記改良地盤の略中央部に、モノパイルが前記改良地盤の範囲内に、又は海底地盤の支持層に一部到達する深さまで根入れされていること、
前記モノパイルは風力発電施設の荷重、風や波等の外力に十分耐え得る直径及び肉厚で形成されていることを特徴とする、風力発電施設のモノパイル式基礎構造。
【請求項3】
(イ)軟弱層の地盤改良に必要とされる水平方向の範囲は、予め設定された改良地盤の滑動抵抗力、抵抗モーメント、支持力、端し圧を満たし、
(I)改良地盤の滑動抵抗力は、以下の[数1]によって求められること、
[数1] H<R/Fs
但し、Fs:安全率、H:改良地盤に作用する水平力、R:改良地盤の滑動抵抗力
(II)改良地盤の抵抗モーメントは、以下の[数2]によって求められること、
[数2] M<MR/Fs
但し、Fs:安全率、M:改良地盤に作用する転倒モーメント、MR:改良地盤の抵抗モーメント
(III)改良地盤の支持力は、以下の[数3]によって求められること、
[数3] t<q/Fs
但し、Fs:安全率、t:支持層の地盤反力、q:改良地盤の支持力
(IV)改良地盤の端し圧は、以下の[数4]によって求められること、
[数4] t<qu/Fs
但し、Fs:安全率、t:改良地盤の端し圧、qu:改良地盤の設計基準強度
(ロ)モノパイルの直径、肉厚は、予め設定された応力度、支持力、根入れ長さを満たし、
(V)モノパイルの応力度は、以下の[数5]によって求められること、
[数5] σ=P/A+Mp/Z<σa
但し、P:モノパイルに作用する鉛直力、A:モノパイルの断面積、Mp:モノパイルに作用する最大モーメント、Z:モノパイルの断面係数、σa:許容応力度
(VI)モノパイルの支持力は、以下の[数6]によって求められること、
[数6] P<Ru/Fs
但し、Fs:安全率、P:モノパイルに作用する鉛直力、Ru:モノパイルの支持力
(VII)モノパイルの根入れ長さは、以下の[数7]によって求められること、
[数7] L>3/β
但し、L:モノパイルの根入れ長さ、β:仮想固定点
を特徴とする、請求項1又は2に記載した風力発電施設のモノパイル式基礎構造。
【請求項4】
地盤改良は、セメント又はセメント系固化材を攪拌混合する深層混合処理工法、又は同深層混合処理工法に石炭灰を安定剤として添加する深層混合処理工法を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜3にいずれか一に記載した風力発電施設のモノパイル式基礎構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−46013(P2006−46013A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231850(P2004−231850)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】