説明

食品保温器

【課題】加熱調理された食品を品質良く保温することができる食品保温器を提供する。
【解決手段】本発明による食品保温器10は、グリル板2上に載置される保温器本体11と、この保温器本体11の上方を覆うように設置された蓋体30とを備えている。このうち、保温器本体11は、加熱調理された食品3が載置される保温板12を有している。この保温板12裏面の中央部に、グリル板2に当接してグリル板2からの熱を保温板12に伝える伝導板13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル板により加熱調理された食品を保温する食品保温器に係り、とりわけ、加熱調理された食品を品質良く保温することができる食品保温器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハンバーガーショップ等の飲食店において、ひき肉を薄い円形に固めたハンバーガーパテ(食品)を加熱し、このハンバーガーパテを野菜等とともに2つのパンの間に挟んでハンバーガーを製造することが行われている。
【0003】
このうちハンバーガーパテは、グリル(加熱装置)のグリル板に載置されて加熱調理される。この加熱調理されたハンバーガーパテを直ぐに使用しない場合には、加熱調理後に、このハンバーガーパテを、グリル板上に載置したままグリル板の設定温度を下げて保温していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グリル板の温度は、全体に亘って均一となることはなく、ムラがある。このため、このような方法により、加熱調理されたハンバーガーパテを保温する場合、ハンバーガーパテを載置している場所によっては、保温していたハンバーガーパテを焦がしてしまうという問題がある。また、比較的長時間保温する場合には、保温していたハンバーガーパテが乾いて硬くなり、食感及び風味を損ねてしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、加熱調理された食品を品質良く保温することができる食品保温器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、グリル板により加熱調理された食品を保温する食品保温器において、グリル板上に載置される保温器本体と、この保温器本体の上方を覆うように設置された蓋体と、を備え、保温器本体は、加熱調理された食品が載置される保温板と、保温板裏面の中央部に設けられ、グリル板に当接してグリル板からの熱を保温板に伝える伝導板とを有することを特徴とする食品保温器である。
【0007】
本発明は、保温器本体の保温板上に奥行方向に延びる仕切板が設けられ、保温板上が複数の保温領域に区画されていることを特徴とする食品保温器である。
【0008】
本発明は、保温板裏面に設けられた伝導板は、奥行方向に延びる帯板状に形成されるか、または奥行方向に沿って飛石状に形成された複数の伝導板部分を有し、保温器本体の仕切板は、伝導板に対応する位置に設けられていることを特徴とする食品保温器である。
【0009】
本発明は、蓋体は、各保温領域に対応して設置された複数の蓋体部分を有していることを特徴とする食品保温器である。
【0010】
本発明は、蓋体は、保温器本体に回動自在に設置され、保温器本体の保温板上に係止部が設けられ、蓋体に、この係止部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする食品保温器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保温器本体の保温板に、グリル板から、保温板の中央部に設けられた伝導板を介して熱が伝わる。また、保温器本体の上方は蓋板により覆われている。このことにより、加熱調理された食品が載置される保温板の温度を均一にすることができる。このため、加熱調理された食品を品質良く保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における食品保温器において、蓋体を閉じた状態を示す斜視図。
【図2】図2は、本発明の実施の形態における食品保温器において、蓋体を開けた状態を示す斜視図。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における食品保温器の保温器本体を示す上面図。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における食品保温器の保温器本体を示す前面図。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における食品保温器の保温器本体を示す側面図。
【図6】図6は、本発明の実施の形態における食品保温器の係止部の詳細を示す図。
【図7】図7は、本発明の実施の形態における食品保温器の蓋体を示す上面図。
【図8】図8は、本発明の実施の形態における食品保温器の蓋体を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、図1乃至図8により食品保温器10の全体構成について説明する。図1に示すように食品保温器10は、グリル(食品加熱調理器)1のグリル板2上に載置され、上方が開口したボックス状の保温器本体11と、この保温器本体11の上方を覆うように設置され、下方が開口したボックス状の蓋体30とを備えている。このうち、蓋体30は、保温器本体11に回動自在に設置され、蓋体30を容易に開閉可能に構成している。
【0015】
図2乃至図5に示すように、保温器本体11は、加熱調理されたハンバーガーパテ(食品)3が載置される矩形状の底板(保温板)12と、底板12の裏面の中央部に設けられ、グリル板2に当接してグリル板2からの熱を底板12に伝える伝導板13とを有している。このうち、伝導板13は、奥行方向(前後方向)に延びる帯板状に形成されている。
【0016】
底板12上面の一方の側縁(図2乃至図4の左側縁)に第1の側板14が設けられ、この第1の側板14の奥側端部に第1の奥板15の一端が連結されている。また、底板12上面の他方の側縁(図2乃至図4の右側縁)に第2の側板16が設けられ、この第2の側板16の奥側端部に第2の奥板17の一端が連結されている。
【0017】
保温器本体11の底板12上に奥行方向に延びる2つの仕切板18、19が設けられている。すなわち、仕切板は、第1の仕切板18とこの第1の仕切板18に隣接された第2の仕切板19とを有し、第1の仕切板18および第2の仕切板19は、伝導板13に対応する位置、すなわち奥行方向に延びる伝導板13の上方に配置されている。
【0018】
第1の仕切板18の奥側端部は第1の奥板15の他端に連結され、第1の側板14、第1の奥板15、および第1の仕切板18により、保温器本体11内に第1の保温領域21が区画されている。同様に、第2の仕切板19の奥側端部は第2の奥板17の他端に連結され、第2の側板16、第2の奥板17、および第2の仕切板19により、保温器本体11内に第2の保温領域22が区画されている。このように、第1の保温領域21および第2の保温領域22の手前側は開放されているため、ハンバーガーパテ3の移動作業を効率良く行うことができる。
【0019】
底板12の両側端に、保温器本体11を把持するための取っ手23が取り付けられている。また、図示しないが、底板12の裏面に、底板12をグリル板2上に安定して支持するための支持部を所望の箇所に設けてもよい。この場合、各支持部の下面と、伝導板13の下面とを面一にして、各支持部とグリル板2との接触面積を小さくすることが望ましい。さらに、底板12の裏面の前縁には、横方向(幅方向)に延びる付け板24が取り付けられている。
【0020】
図3および図5に示すように、底板12上の第1の奥板15および第2の奥板17の奥側に、後述する蓋体30(第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32)の係合部34(図6および図7参照)にそれぞれ係合する2対の係止部25が設けられている。各係止部25には、図6に示すように、蓋体30の係合部34を案内するL字状のガイド部25aが形成され、このガイド部25aの終端部25bが蓋体30の係合部34に対応する円弧状に形成されている。このようにして、保温器本体11に蓋体30が着脱自在に設置され、保温器本体11から蓋体30を容易に取り外すことができるようになっている。また、蓋体30の係合部34を係止部25の終端部25bに押し付けるようにして、蓋体30を保温器本体11に対して回動可能に構成されている。
【0021】
図1および図2に示すように、蓋体30は、第1の保温領域21および第2の保温領域22にそれぞれ対応して設置された2つの蓋体部分(第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32)を有している。これら第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32は、図7および図8に示すように、下方が開口したボックス状の蓋体本体33と、この蓋体本体33の後方に設けられ、丸棒状に形成され、対応する係止部25に係合する係合部34とをそれぞれ有している。このように、第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32は、保温器本体11に対して別々に回動自在となるように設置され、第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32をそれぞれ容易に開閉可能に構成している。また、蓋体本体33の前面に、取っ手35が設けられている。
【0022】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0023】
まず、図1および図2に示す食品保温器10を、加熱されているグリル1のグリル板2上に載置する。このことにより、保温器本体11の伝導板13を介して、グリル板2から底板12に熱が伝わり、底板12が加熱される。
【0024】
次に、グリル1のグリル板2上で加熱調理されていたハンバーガーパテ3の加熱調理が完了した後、このハンバーガーパテ3を食品保温器10により保温する。この場合、まず、第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32のうちの一方、例えば、第1の蓋体部分31の取っ手35を把持して持ち上げる。このことにより、保温器本体11の係止体25に係合している第1の蓋体部分31の係合部34を支点にして、第1の蓋体部分31を回動させて開けることができる。
【0025】
次に、加熱調理されたハンバーガーパテ3が、第1の保温領域21の底板12上に載置される。このことにより、グリル板2から、加熱された底板12によりハンバーガーパテ3が加熱されて保温される。
【0026】
次に、第1の蓋体部分31を閉じる。この場合、第1の保温領域21が密閉される。
【0027】
また、第1の保温領域21においてハンバーガーパテ3を保温している間、第2の保温領域22において、このハンバーガーパテ3とは種類が異なる他の加熱調理された食品を保温してもよい。
【0028】
保温していたハンバーガーパテ3を取り出す場合には、第1の蓋体部分31を開ける。その後、保温器本体11の第1の保温領域21からハンバーガーパテ3が取り出され、野菜等とともに2つのパンの間に挟まれてハンバーガーが製造される。
【0029】
このように本実施の形態によれば、保温器本体11の底板12に、底板12の中央部に設けられた伝導板13を介してグリル板2から熱が伝わる。この場合、底板12のうち伝導板13が取り付けられていない部分は、グリル板2に当接することがない。このことにより、グリル板2からの熱は、主に、この伝導板13を介して底板12に伝わる。このため、グリル板2の温度分布が不均一である場合においても、底板12の温度分布を均一にすることができるとともに、底板12の温度をグリル板2の温度よりも低くすることができる。また、保温器本体11の第1の保温領域21および第2の保温領域22は、第1の蓋体部分31および第2の蓋体部分32によりそれぞれ密閉されている。このことにより、第1の保温領域21および第2の保温領域22内の温度を均一にすることができるとともに、加熱調理されたハンバーガーパテ3が乾いて硬くなることを防止することができる。このため、加熱調理されたハンバーガーパテ3を品質良く保温することができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、保温器本体11の底板12上に、2つの仕切板(第1の仕切板18および第2の仕切板19)によって2つの保温領域(第1の保温領域21および第2の保温領域22)が区画されている。このことにより、種類が異なる加熱調理された食品を、第1の保温領域21および第2の保温領域22に別々に保温することができ、各食品の風味が混ざって損なわれることを防止することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態によれば、第1の仕切板18および第2の仕切板19は、奥行方向に延びる伝導板13の上方に設けられている。このことにより、底板12のうち、比較的温度が高くなる傾向にある伝導板13の近傍に、ハンバーガーパテ3が載置されることを防止し、ハンバーガーパテ3が過度に加熱されることを防止することができる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、保温器本体11の底板12上に、各側板14、16、各奥板15、17、および各仕切板18、19が設けられ、保温器本体11が上方に開口するボックス状に形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、底板12上に、各側板、各奥板、および各仕切板を設けることなく構成しても良い。この場合においても、底板(保温板)12上に載置されたハンバーガーパテ3を品質良く保温することができる。
【0033】
また、本実施の形態においては、保温器本体11の上方開口に、保温器本体11に回動自在な蓋体30が設置されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、蓋体30は、保温器本体11に回動自在に設置することなく、保温器本体11に着脱自在に取り付けられるように構成しても良い。
【0034】
また、本実施の形態においては、保温器本体11の伝導板13は、奥行方向に延びる帯板状に形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、伝導板13は、奥行方向に沿って飛石状に形成された複数の伝導板部分(図示せず)を有するように構成してもよい。
【0035】
さらに、本実施の形態においては、保温器本体11の底板12上に2つの仕切板(第1の仕切板18および第2の仕切板19)が設けられて、底板12上が2つの保温領域(第1の保温領域21および第2の保温領域22)に区画されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、底板12上に仕切板を設けることなく、1つの保温領域のみを構成してもよく、さらには、2つ以上の仕切板を設けて、3つ以上の保温領域を構成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 グリル
2 グリル板
3 ハンバーガーパテ
10 食品保温器
11 保温器本体
12 底板
13 伝導板
14 第1の側板
15 第1の奥板
16 第2の側板
17 第2の奥板
18 第1の仕切板
19 第2の仕切板
21 第1の保温領域
22 第2の保温領域
23 取っ手
24 付け板
25 係止部
25a ガイド部
25b 終端部
30 蓋体
31 第1の蓋体部分
32 第2の蓋体部分
33 蓋体本体
34 係合部
35 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル板により加熱調理された食品を保温する食品保温器において、
グリル板上に載置される保温器本体と、
この保温器本体の上方を覆うように設置された蓋体と、を備え、
保温器本体は、加熱調理された食品が載置される保温板と、保温板裏面の中央部に設けられ、グリル板に当接してグリル板からの熱を保温板に伝える伝導板とを有することを特徴とする食品保温器。
【請求項2】
保温器本体の保温板上に奥行方向に延びる仕切板が設けられ、保温板上が複数の保温領域に区画されていることを特徴とする請求項1に記載の食品保温器。
【請求項3】
保温板裏面に設けられた伝導板は、奥行方向に延びる帯板状に形成されるか、または奥行方向に沿って飛石状に形成された複数の伝導板部分を有し、
保温器本体の仕切板は、伝導板に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の食品保温器。
【請求項4】
蓋体は、各保温領域に対応して設置された複数の蓋体部分を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の食品保温器。
【請求項5】
蓋体は、保温器本体に回動自在に設置され、
保温器本体の保温板上に係止部が設けられ、蓋体に、この係止部に係合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の食品保温器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−4876(P2011−4876A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150060(P2009−150060)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(591186176)株式会社ゼンショー (16)
【Fターム(参考)】