説明

食器洗い機用洗浄剤組成物およびその製造方法、ならびに該食器洗い機用洗浄剤製品

【課題】保存性が良く、茶渋汚れに対して高い洗浄力を達成できるともに、使い勝手が良好な食器洗い機用洗浄剤組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)界面活性剤を含む液体成分、(B)無機ビルダー(結晶性シリケートを除く)と(D)アミノカルボン酸またはその塩を含む第1の粉体成分、及び(E)無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む第2の粉体成分を用い、流動状態にある前記第1の粉体成分に、前記液体成分を添加し混合して液体―粉体混合物を形成する工程と、該液体―粉体混合物と前記第2の粉体成分とを混合して粉体混合物を調製する工程と、前記粉体混合物に(C)漂白成分、酵素、および香料からなる群から選ばれる1種以上を混合する工程とを有する方法で食器洗い機用洗浄剤組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗い機用洗浄剤組成物およびその製造方法、ならびに食器洗い機用洗浄剤組成物を容器に収納してなる食器洗い機用洗浄剤製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に食器洗い機用洗浄剤組成物は粉末状であり、その製品形態としては、スプーン付きの箱形容器に収納されている形態が多い。また詰め替え用としてパウチ形態の製品もある。
食器洗い機用洗浄剤組成物の成分については、界面活性剤、漂白剤、漂白活性化剤、酵素やケイ酸(塩)を含有させることにより、洗浄性能の向上が図られている。
また、下記特許文献1,2には漂白洗浄剤中の漂白剤、漂白活性化剤の平均粒径および線速度を規定することで漂白剤や漂白活性化剤の分級や崩壊を防止して貯蔵安定性の良好な漂白洗浄剤を得る技術についての開示がある。
【0003】
食器洗い機用洗浄剤製品の使い易さについては、下記特許文献3に、食器洗浄機用洗浄剤中の界面活性剤の含有量、食器洗浄機用洗浄剤の嵩密度、安息角、粒子径分布を規定することで計量器内臓のボトル容器からの良好な排出性をもたらす技術の開示がされている。
【特許文献1】特開平11−172287号公報
【特許文献2】特開2000−256696号公報
【特許文献3】特開2003−231542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗い機用洗浄剤製品においては、油汚れおよび茶渋汚れをきれいに洗浄できる程度の高い洗浄力が求められている。また食器洗い機用洗浄剤に配合されている洗浄成分が、使用時に速やかに溶解してその洗浄性能が充分に発揮されるためには、保存中に固化し難くて保存性が良好であることも重要である。また、スプーンですくい易く、所定量を計量し易いという使い勝手の良さに対する要求も高い。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、保存性が良く、油汚れおよび茶渋汚れに対して高い洗浄力を達成できるともに、使い勝手が良好な食器洗い機用洗浄剤組成物およびその製造方法、ならびに食器洗い機用洗浄剤製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は(A)界面活性剤を含む液体成分、(B)無機ビルダー(結晶性シリケートを除く)と(D)アミノカルボン酸またはその塩を含む第1の粉体成分、及び(E)無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む第2の粉体成分を用い、流動状態にある前記第1の粉体成分に、前記液体成分を添加し混合して液体―粉体混合物を形成する工程と、該液体―粉体混合物と前記第2の粉体成分とを混合して粉体混合物を調製する工程と、前記粉体混合物に(C)漂白成分、酵素、および香料からなる群から選ばれる1種以上を混合する工程とを有することを特徴とする食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法を提供する。
前記液体成分と前記第1の粉体成分と第2の粉体成分の合計に対して、前記液体成分の割合が1〜10質量%、前記第1の粉体成分の割合が80〜98.5質量%、前記第2の粉体成分の割合が0.5〜10質量%であることが好ましい。
前記(B)無機ビルダーが、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩とケイ酸塩の複合体からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0006】
本発明は、本発明の製造方法により製造された食器洗い機用洗浄剤組成物を提供する。
また本発明は、(A)界面活性剤、(B)無機ビルダー(結晶性シリケートを除く)、(C)漂白成分、(D)アミノカルボン酸またはその塩、(E)無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含んでなり、嵩比重が0.8g/mL以上、安息角が50°以下、平均粒子径が300〜600μm、粒子径が710μm以上である粒子の割合が12質量%未満、粒子径が180μm未満の粒子の割合が12質量%以下であり、ロート流動時間が8秒以下であることを特徴とする食器洗い機用洗浄剤組成物を提供する。
前記(B)無機ビルダーが、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩とケイ酸塩の複合体からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0007】
本発明は、収納部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部と嵌合する蓋と、前記容器本体と前記蓋との間に収納される計量スプーンとを有するスプーン付き容器において、
前記容器本体は、前記開口部を介して相対する側面両側に設けられて前記計量スプーンの先端部および後端部が載置される一対のスプーン収納用段差部と、それぞれのスプーン収納用段差部の両側に設けられた位置決め突起とを有し、閉蓋時に、前記計量スプーンの前記スプーン収納用段差部からの脱落が、前記蓋によって防止されるようになっているスプーン付き容器に、本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物が収納されている食器洗い機用洗浄剤製品を提供する。
前記スプーン付き容器において、計量スプーンの先端部と後端部が同一幅とされて、容器本体一側の前記両位置決め突起間と容器本体他側の前記両位置決め突起間に対して、前記計量スプーンがその先端部と後端部を入れ換えて収納自在とされてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法によれば、保存性が良く、茶渋汚れに対して高い洗浄力を達成できるともに、使い勝手が良好な食器洗い機用洗浄剤組成物を製造できる。
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、保存性が良く、茶渋汚れに対して高い洗浄力を達成できるともに、使い勝手も良好である。
本発明の食器洗い機用洗浄剤製品は、洗浄剤組成物の茶渋汚れに対する洗浄力が優れるとともに、食器洗い機用洗浄剤組成物の保存性、使い勝手が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(A)界面活性剤]
本発明で用いられる(A)界面活性剤(以下、(A)成分ということもある。)としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤;α−スルホ脂肪酸アルキルエステル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、石鹸などのアニオン界面活性剤;カチオン界面活性剤;両性界面活性剤などを用いることができる。
界面活性剤は1種でもよく2種以上を併用することもできる。
【0010】
食器洗い機で使用する洗浄剤にあっては発泡性が低いことが好ましく、発泡性の高い界面活性剤は単独で使用するよりも消泡剤や抑泡剤を併用することが好ましい。したがって界面活性剤の中でも低泡性若しくは無泡性の界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤は、イオン性界面活性剤とは異なり、温度が曇点以上に上昇すると発泡性が低下するためより好ましい。特に、発泡性が低い界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、とくにポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのモル比が1以下のものが好ましい。
食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、1〜40質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な洗浄力が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には洗浄力は頭打ちとなり、格段の洗浄力の向上が認められないことがある。
【0011】
[(B)無機ビルダー]
本発明で用いられる(B)無機ビルダー(以下、(B)成分ということもある。)としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩もしくは炭酸水素塩;1号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、3号ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;ナビオン15(製品名、ローディア社製)等の炭酸塩とケイ酸塩の複合体等のアルカリ無機ビルダーが使用でき、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸塩とケイ酸塩の複合体である。
なお本発明において、「結晶性シリケート」は後述の(E)成分に分類され、(B)無機ビルダーには含まれないものとする。
これらの無機ビルダーは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(B)成分の含有量は、1〜40質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な洗浄力が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には洗浄力は頭打ちとなり、格段の洗浄力の向上が認められないことがある。
【0012】
[(C)漂白成分]
本発明で用いられる(C)漂白成分(以下、(C)成分ということもある。)としては、特に限定されるものではないが、(c1)無機過酸化物と、(c2)過酸化水素と反応して有機過酸を生じる化合物(以下、漂白活性化剤という。)および/または(c3)漂白活性化触媒を用いることが好ましい。
【0013】
(c1)無機過酸化物としては、アルカリ金属の過ホウ酸塩、過炭酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等、水溶液中で過酸化水素を発生する無機過酸化物を使用することができる。これらは、単独(1種)で又は2種以上を混合して用いることができる。
より高い漂白効果の点から、過硫酸水素カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムが望ましく、特に過炭酸ナトリウムが望ましい。
(c1)無機過酸化物の表面被覆の有無は特に限定されないが、漂白効果の持続性や酸化性固体を安全に貯蔵するといった観点から、(c1)無機過酸化物を炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等の無機塩で被覆した形態で用いるのが好ましい。
(c1)無機過酸化物は、前記表面被覆された、または表面被覆されない粒子状で用いることが好ましい。その粒子径は特に限定されるものではないが、平均粒子径200〜1200μmが好ましく、200〜700μmが特に好ましい。
食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(c1)無機過酸化物の含有量は、特に限定するものではないが、2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。(c1)無機過酸化物の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な漂白効果が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には漂白効果は頭打ちとなり、格段の漂白効果の向上が認められないことがある。
【0014】
(c2)漂白活性化剤としては、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、テトラアセチルグリコリルウリル、グルコースペンタアセテート、アセトキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシ安息香酸塩、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。これらは、単独(1種)で又は2種以上を混合して用いることができる。より高い漂白効果の点から、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)が望ましい。
(c3)漂白活性化触媒としては、例えば、マンガン錯体、鉄錯体、コバルト錯体、ルテニウム錯体などが挙げられる。これらは、単独(1種)で又は2種以上を混合して用いることができる。より高い漂白効果を発揮せしめる点から、マンガン錯体が望ましい。
【0015】
(c2)漂白活性化剤および(c3)漂白活性化触媒は、いずれか一方だけを用いてもよく、または併用してもよい。
(c2)漂白活性化剤を用いる場合、食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(c2)漂白活性化剤の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。(c2)漂白活性化剤の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な漂白効果が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には漂白効果は頭打ちとなり、格段の漂白効果の向上が認められないことがある。
(c3)漂白活性化触媒を用いる場合、食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(c3)漂白活性化触媒の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。(c3)漂白活性化触媒の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な漂白効果が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には漂白効果は頭打ちとなり、格段の漂白効果の向上が認められないことがある。
【0016】
(c2)漂白活性化剤および(c3)漂白活性化触媒は、貯蔵安定性の点から造粒物として配合されることが好ましい。造粒物の処方については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば特開2004−210862号公報の[0010]〜[0011]記載の方法が好ましい。また、(c3)漂白活性化触媒はPCT/JP03/05700に記載の方法などを用いて造粒、成型することで、経時での貯蔵安定性を向上させることができるので好ましい。
【0017】
[(D)アミノカルボン酸またはその塩]
本発明で用いられる(D)アミノカルボン酸またはその塩(以下、(D)成分ということもある。)としては、特に限定されるものではないが、分子内に3級窒素原子と3乃至4個のナトリウムイオンで中和されたカルボキシル基を有するものが好ましい。これらの中でも、N,N−ジカルボキシル化されたアラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等の3乃至4ナトリウム塩から選ばれるアミノ酸誘導体であることが好ましい。
(D)成分は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(D)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な茶渋洗浄力が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には茶渋洗浄力は頭打ちとなり、格段の茶渋洗浄力の向上が認められないことがある。
【0018】
[(E)成分]
本特許請求の範囲及び明細書において、無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を(E)成分と称する。
(E)成分は吸油能のある粉体であり、好ましくは、JIS−K5101に準処する方法で測定される吸油量が20cm/100g以上であり、100cm/100g以上が好ましく、150cm/100g以上がより好ましく、200cm/100g以上がさらに好ましい。上限は400cm/100g以下が好ましい。
(E)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸油能、固化しにくさ、食器洗い機でのすすぎ易さの点から無水ケイ酸または結晶性シリケートがより好ましい。結晶性シリケートは、好ましくは結晶性層状シリケートである。
食器洗い機用洗浄剤組成物の全量に対して、(E)成分の含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。(E)成分の含有量が上記範囲の下限値未満では充分な吸油能が得られず粉体流動性が悪化する場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には吸油能は頭打ちとなり、格段の粉体流動性の向上が認められないことや(E)成分が食器洗い機の庫内に溶け残る場合がある。
【0019】
[その他の成分]
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記以外の他の成分を含有させてもよい。他の成分は、用途等に応じて公知の慣用成分を用いることができる。
他の成分の具体例としては、酵素成分、香料、植物抽出エキス、アルコール、食器表面保護剤(アルミン酸Na等)などが挙げられる。
酵素成分の具体例としてはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等が挙げられる。酵素成分は、粒子状で用いることが好ましい。
【0020】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は以下の物性を有する。
食器洗い機用洗浄剤組成物の嵩比重は0.8g/mL以上であり、好ましくは0.9g/mL以上、より好ましくは1.0g/mL以上である。嵩比重を上記範囲とすることにより本発明の効果が得られ、特に流動性が良好となる。該嵩比重の上限は特に制限されないが、使用時や詰め替え時の粉体の飛散防止の点からは1.6g/mL以下が好ましく、1.5g/mL以下がより好ましい。
食器洗い機用洗浄剤組成物の安息角は50°以下であり、好ましくは45°以下、より好ましくは40°以下である。本発明における安息角の値は、後述の実施例において記載した測定方法により得られる値とする。前記安息角を上記範囲とすることにより本発明の効果が得られ、特に流動性が良好となる。
食器洗い機用洗浄剤組成物のロート流動時間は8秒以下であり、好ましくは7秒以下である。本発明におけるロート流動時間の値は後述の実施例において記載した測定方法により得られる値とする。流動時間の下限値は特に限定されないが、好ましくは4秒以上、より好ましくは5秒以上である。
ロート流動時間を上記範囲とすることにより、本発明の効果が得られる。特にスプーンですくい易く、所定量を計量し易いという使い勝手の良さが向上する。又、詰め替えもし易くなる。
【0021】
食器洗い機用洗浄剤組成物の平均粒子径は300〜600μmであり、好ましい範囲は350〜550μmである。本発明における平均粒子径の値は、後述の実施例において記載した測定方法により得られる「質量平均分子量(質量50%)」の値とする。該平均粒子径を上記範囲とすることにより本発明の効果が得られる。特に下限値以上とすることにより粉体の凝集が抑えられ、上限値以下とすることにより溶解性が良好となる。
食器洗い機用洗浄剤組成物において、粒子径が710μm以上である粒子の割合(以下、粒度分布1ということもある)は12質量%未満であり、好ましくは11質量%以下である。ゼロでもよい。本発明における粒度分布1の値は後述の実施例において記載した粒度分布の測定方法により得られる値とする。粒度分布1の値を上記範囲とすることにより本発明の効果が得られる。特に、良好な溶解性が得られる。
食器洗い機用洗浄剤組成物において、粒子径が180μm未満である粒子の割合(以下、粒度分布2ということもある)は12質量%以下であり、好ましくは11質量%以下である。ゼロでもよい。本発明における粒度分布2の値は後述の実施例において記載した粒度分布の測定方法により得られる値とする。粒度分布2の値を上記範囲とすることにより本発明の効果が得られる。特に粉体の凝集を抑えることができる。
食器洗い機用洗浄剤組成物の平均粒子径および粒度分布は、製造に用いる粉体原料の粒子径の選択や、製造時に篩い分け等の分級操作を行うことにより制御することができる。
【0022】
上記物性を有する本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、以下の製造方法で製造することができる。
出発原料として、(A)成分を含む液体成分、(B)成分と(D)成分とを含む第1の粉体成分、及び(E)成分を含む第2の粉体成分を用いる。前記液体成分には界面活性剤のほかに、アルコール、香料や植物抽出エキス等のその他の液体成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
【0023】
まず、流動状態にある前記第1の粉体成分に、前記液体成分を添加して混合して液体―粉体混合物を形成する。液体成分の添加方法は限定されるものではないが、液体成分の局在化を回避してより短時間で効率的に均一な液体-粉体混合物を形成せしめるためには噴霧ノズルを用いた混合方式がより好ましい。
具体的には、第1の粉体成分を混合機中に投入し、攪拌しながら前記(A)成分を含む液体成分を噴霧することが好ましい。
混合機は汎用のものを適宜用いることができるが、好ましい範囲の安息角、平均粒子径、粒度分布、ロート流動時間を有する食器洗い機用洗浄剤組成物を得るためには、例えば、リボンミキサー、V型ミキサー、二重円錐型ミキサー等の混合機を用いることが好ましい。
また液体成分の噴霧には通常の噴霧ノズルを用いることができるが、好ましい範囲の安息角、平均粒子径、粒度分布、ロート流動時間を有する食器洗い機用洗浄剤組成物を得るためには、扇形ノズル、充円錐ノズル、空円錐ノズルを用いることが好ましい。
【0024】
次に、液体成分の噴霧終了後、前記第2の粉体成分を投入して攪拌することにより、粉体混合物としての食器洗い機用洗浄剤組成物が得られる。
食器洗い機用洗浄剤組成物に(C)漂白成分および/または酵素を含有させる場合は、第2の粉体成分の投入および攪拌後に、これらを添加して混合することが好ましい。
また、得られた粉体混合物に対して、篩い分け等の分級操作を行って、粗粉及び/または微粉が除去された食器洗い機用洗浄剤組成物を得ることも好ましい。
【0025】
食器洗い機用洗浄剤組成物の製造に用いられる前記液体成分と前記第1の粉体成分と第2の粉体成分の合計のうち、前記液体成分の割合が1〜10質量%、前記第1の粉体成分の割合が80〜98.5質量%、前記(E)成分の割合が0.5〜10質量%であることが好ましい。
前記液体成分のより好ましい範囲は3〜7質量%、前記第1の粉体成分の好ましい範囲は88〜96質量%、前記第2の粉体成分の好ましい範囲は1〜5質量%である。
前記液体成分の割合が上記範囲の下限値未満では充分な洗浄力が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には洗浄力は頭打ちとなり、格段の洗浄力の向上が認められないことがある。
前記第1の粉体成分の割合が上記範囲の下限値未満では充分な洗浄力が得られない場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には洗浄力は頭打ちとなり、格段の洗浄力の向上が認められないことがある。
前記第2の粉体成分の割合を上記範囲の下限値未満では充分な吸油能が得られず粉体流動性が悪化する場合があり、上記範囲の上限値を超える場合には吸油能は頭打ちとなり、格段の粉体流動性の向上が認められないことや(E)成分が食器洗い機の庫内に溶け残る場合がある。
【0026】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物によれば、保存中の固化が生じ難く、良好な保存性を有する。また溶解性が良好で、含有されている洗浄成分による洗浄性能が効率良く発揮され、高い洗浄力が得られる。またスプーンですくい易く、所望の量に計量する操作のし易さ(計量性)も良好である。
【0027】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法によれば、上記のような優れた特性を有する本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物を製造することができる。
本発明の製造方法においては、まず液体―粉体混合物を形成することにより、第1の粉体成分が液体成分により均一にコートされた状態となり、その後了後、第2の粉体成分を投入して攪拌を行うことにより、液体―粉体混合物表面の液体成分が効率的に第2の粉体成分に移行すると考えられる。本発明者等は、本発明の方法で製造された食器洗い機用洗浄剤組成物において、第2の粉体成分の粒子表面の細孔内に液体成分が浸透(含浸)していることを顕微鏡観察により確認している。
その結果、上記のような優れた特性を有する食器洗い機用洗浄剤組成物が得られるものと考えられる。
また、本発明の製造方法により得られる食器洗い機用洗浄剤組成物の特徴として、第1の粉体成分に含まれる粒子どうしの造粒はほとんど生じておらず、(B)成分を含む粒子、および(D)成分を含む粒子のほとんどは、それぞれ別個の粒子とし存在している。このことは、本発明における保存性(固化防止性)、スプーンでのすくい易さ、および計量性の向上に寄与していると考えられる。
【0028】
以下、本発明の食器洗い機用洗浄剤製品について説明する。本発明の食器洗い機用洗浄剤製品は、収納部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部と嵌合する蓋と、前記容器本体と前記蓋との間に収納される計量スプーンとを有するスプーン付き容器において、前記容器本体は、前記開口部を介して相対する側面両側に設けられて前記計量スプーンの先端部および後端部が載置される一対のスプーン収納用段差部と、それぞれのスプーン収納用段差部の両側に設けられた位置決め突起とを有し、閉蓋時に、前記計量スプーンの前記スプーン収納用段差部からの脱落が、前記蓋によって防止されるようになっているスプーン付き容器に、本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物が収納されている。
【0029】
図1〜7は、本発明にかかるスプーン付き容器の一形態例を示す図面であり、図1は容器の部分切欠斜視図、図2および図3は容器の断面図、図4および図5は計量スプーンが容器に固定された状態を示す断面図、図6はスプーンの長手方向に沿う断面図、図7(a)はスプーンの平面図、図7(b)はスプーンの正面図、図7(c)はスプーンの左側面図である。図1では、手前側のスプーン収納用段差部が見えるように、つば部の一部を切り欠いている。
【0030】
図1に示すように、本形態例のスプーン付き容器1Bは、収納部11を有する容器本体10と、この容器本体10の開口部12と嵌合する蓋20と、容器本体10と蓋20との間に収納される計量スプーン70(以下、計量スプーンを単に、スプーンということがある。)とを有する。容器本体10と蓋20とにより、容器2Bが構成されている。
容器本体10、蓋20、およびスプーン70は、適宜のプラスチックから、インジェクション成形、シート成形、あるいはブロー成形によって得ることができる。容器本体10、蓋20、およびスプーン70の材質は、上記の成形方法に用いられるものであれば制限はなく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
【0031】
図2,図3に示すように、容器本体10は、収納部11の周囲を取り囲む側壁13と、この側壁13の一側を塞ぐ底部14とにより、箱状に形成されている。側壁13の底部14とは反対側には、前記収納部11に通じる開口部12が開口している。
側壁13は、開口部12側から底部14側に向かって横断面積が小さくなるように内側に傾斜している。これにより容器本体10は、別の容器本体10A(図3に二点鎖線で示す)をその底部14Aから積み重ね(スタッキング)が可能になっている。
スタッキングされた別の容器本体10Aの底部14Aを支持するため、容器本体10の側壁13の内側には、底部14側から延びるリブ15が一体に成形されている。
容器本体10の開口部12の周縁には、段差部16を介して側壁13から外側に突出したつば部17が形成されている。また、このつば部17の外面には、図2に示すように、ヒンジ軸受け部18が突設されている。
【0032】
図1等に示すように、蓋20は、板状の蓋本体21と、この蓋本体21の周囲に形成された嵌合部22と、嵌合部22の外縁部に相対して設けられたヒンジ軸23およびつまみ24とを備えて構成されている。
嵌合部22は、容器本体10のつば部17と嵌合可能に形成されている。蓋20の嵌合部22が容器本体10のつば部17と嵌合することにより、蓋20が容器本体10に対して着脱自在に嵌合し、開口部12が密閉されるようになっている。
ヒンジ軸23は、ヒンジ軸受け部18に対して回動可能に取り付けられている。ヒンジ軸23とヒンジ軸受け部18によって容器本体10と蓋20を連結するヒンジが構成される。これによって、容器本体10に対して蓋20を自在に開閉することができる。
【0033】
図1,図6,図7に示すように、スプーン70は、粉体を計量するための計量部71と、この計量部71から延出された把持部72とを備えて構成されている。
計量部71の開口側より下方には第1の計量用段差部77が形成されており、さらに第1の計量用段差部77の下方には第2の計量用段差部78が形成されている。このため、計量部71を全部満たした場合の量と、第1の計量用段差部77の高さまで充填する量と、第2の計量用段差部78の高さまで充填する量とにより、計量可能な量を3通りから選択することができる。また、計量部71の先端部75には、第1の計量用段差部77から上向きに突出された端壁部76が形成されている。
把持部72は、計量部71が開口する側(図6の上側)とは反対側の面に、把持部72の周縁を残して肉盗みのための凹所74が形成されており、把持部72の後端部73の厚さは、計量部71先端の端壁部76の高さと同程度に確保されている。
図4に示すように、計量部71の先端の端壁部76および把持部72の後端部73は、容器本体10のつば部17の内面84に沿うような形状になっており、この例では、スプーン70の長手方向に対してほぼ垂直な端面を有している。
【0034】
図1に示すように、本形態例のスプーン付き容器1Bにおいて、容器本体10の段差部16には、開口部12を介して相対する両側に、それぞれスプーン収納用段差部81,81が設けられている。一方のスプーン収納用段差部81は、ヒンジ軸受け部18の側に設けられており、他方のスプーン収納用段差部81は、ヒンジ軸受け部18とは反対の側に設けられている。ここでは、スプーン収納用段差部81は、つば部17の下部にある段差部16と同一の高さの面になっているが、特にこれに限定されるものではない。
【0035】
それぞれのスプーン収納用段差部81の両側には、スプーン収納用段差部81に載置されたスプーン70の横ずれを防止するための位置決め突起83が形成されている。ここでは、位置決め突起83は、容器本体10の段差部16とつば部17との間の内隅部にリブ状に形成されている。
スプーン収納用段差部81に粉体が入り込んだとしても、容易に収納部11へと落として除去することができる。従って、スプーン70がスプーン収納用段差部81に入り込んだ粉体の上に乗り上がって蓋20を閉じるのに支障を来たすことが防止される。
【0036】
図4、図5に示すように、スプーン70は、計量部71の先端部75(詳しくは第1の計量用段差部77の下面)および把持部72の後端部73をスプーン収納用段差部81に収納することにより、容器本体10の開口部12付近に載置することができる。また、蓋20を閉じた状態では、容器本体10のスプーン収納用段差部81に収納されたスプーン70は、スプーン収納用段差部81と蓋本体21との間に支持される。
ここで図示した形態例では、図5に示すように、蓋本体21の下面はスプーン70の若干上方に位置しており、蓋20によってスプーン70の上方への移動が制限を受けるので、スプーン70の脱落を防止することができる。また、図4に示すように、計量部71の先端の端壁部76および把持部72の後端部73が、容器本体10の容器本体10の側面(ここではつば部17の内面84)に近接して配置されるので、スプーン70の長手方向(図4の左右)におけるがたつきが抑制される。計量部71の先端部75および把持部72の後端部73は、容器本体10の側面84に沿うような形状になっているので、スプーン70の長手方向が容器本体10の側面の向かい合う方向に対して斜めになりにくく、また、多少斜めになっても先端部75および後端部73が容器本体10の側面84から離れにくい。スプーン70の一端(先端部75または後端部73)が容器本体10の側面84に突き当たったとしても他端側がスプーン収納用段差部81の上に残るようになっているので、スプーン収納用段差部81からスプーン70が抜け落ちることはない。この点では、計量部71の先端部75の幅がより広く確保されているほど、また、スプーン収納用段差部81の幅(容器本体10の側面84に垂直な方向の寸法)が広いほど、有利である。
本形態例のスプーン付き容器1Bにおいては、図4に実線と二点鎖線とで図示するように、スプーン70の向きを左右入れ換えてもスプーン70の固定が可能であり、スプーン70の向きを選ぶ必要がない。
【0037】
次に、スプーン付き容器1Bの使用形態について説明する。
容器2Bにスプーン70を収納するには、図1に示すように、把持部72の後端部73を一方のスプーン収納用段差部81の上に、計量部71の先端部75を他方のスプーン収納用段差部81の上に載せる。そして、図5に示すように、蓋20を閉めることにより、スプーン70が容器本体10のスプーン収納用段差部81と蓋20の蓋本体21との間に支持される。蓋20を閉める前には、スプーン70をスプーン収納用段差部81を載せるだけであり、載せ面の面積が広く確保することができるので着脱が容易である。閉蓋時には平坦な蓋本体21がスプーン収納用段差部81に対面させられるので、スプーン収納用段差部81上でのスプーン70の多少の位置のずれ(水平方向の位置ずれ)を許容でき、蓋20を閉めやすい。
なお、粉体は、図2に示すように、スプーン70が固定された状態で粉体の上面3がスプーン70の下方となるまで充填することができる。なお、粉体の充填は、スプーン70の取り付けの前または後に行うことができる。
【0038】
本形態例のスプーン付き容器1Bによれば、スプーン70をスプーン収納用段差部81と蓋20との間に保持しているので、輸送時などに発生しうる振動や衝撃などによってスプーン70が外れることがなく、スプーン70が粉体中に潜り込むことがない。また、スプーン70は、粉体をすくいやすいように、計量部71が上向きに開口する姿勢で支持される。このため、初回開封使用時に指先が粉に触れることなくスプーン70を取り出し、その状態でスプーン70を持ちかえることなく使用することができる。また、使用後には計量スプーン70を容器2Bに容易に固定することができ、保管中であってもスプーン70が粉体中に潜り込むことがない。このため、2回目以降の使用時においても、指先が粉に触れることなくスプーン70を取り出し、その状態でスプーン70を持ちかえることなく使用することができる。
また、スプーン70の前後の向きを入れ換えてもスプーン70の固定が可能であり、スプーン70の向きを選ぶ必要がない。
【0039】
また、スプーン収納用段差部81の左右に設けられている位置決め突起83の間隔をスプーン70の先端部75の幅あるいは後端部73の幅と略同一か若干広くしておくことで、スプーン70が左右にずれることを防止できる。
さらに、スプーンの先端部75の幅と後端部73の幅とを同一にしておくならば、一方のスプーン収納用段差部81の側の位置決め突起83の間隔と、他方のスプーン収納用段差部81の側の位置決め突起83の間隔とは同一でよい。先端部75の幅と後端部73の幅とが同一の場合はスプーンを左右どちら向きにしても収納できる。
【0040】
なお、スプーンの先端部75の幅と後端部73の幅とは同一にする必要はないので、先端部75の幅と後端部73の幅とが異なるときには、それらの幅に合わせてそれぞれの位置決め突起83の間隔を調節すればよい。図4,図5に示すように、把持部72の後端部73の幅が計量部71の先端部75の幅より狭い場合、容器本体10のつば部17の内面84と計量部71の先端部75との間隔および容器本体10のつば部17の内面84と計量部71の後端部73との間隔を十分に小さくすれば、後端部73の幅が位置決め突起83の間隔に比べてかなり狭くても、スプーンのがたつきが抑制される。従って、両方の位置決め突起83の間隔を同一にすることで、スプーンを左右どちら向きにしても収納できる。あるいは、後端部73が収納される側の位置決め突起83の間隔を後端部73の幅に合わせて狭くすることもできるが、この場合はスプーンの収納方向が一方向に規定される。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、物性の測定方法および特性の評価方法は、以下の方法で行った。
〔嵩比重の測定法〕
容積1リットルの円柱状容器に食器洗い機用洗浄剤組成物を一定速度にて静かに充填し、すりきり後の質量を量り、質量/容積(g/mL)を算出し、嵩比重の値とした。
【0042】
〔安息角の測定法〕
縦10cm×横10cm×奥行き3cmの透明直方体に食器洗い機用洗浄剤組成物を充填し、10cm×3cm側の一側面を排出口として開き、重力により排出させ、残留している洗浄剤の傾斜角(°)を測定し、安息角の値とした。
〔ロート流動時間の測定方法〕
下方出口の直径が10mm、上方入口の直径が90mm、高さが140mmの円錐型ステンレス製ロート(嵩比重測定器、JIS規格K−3362、東京蔵持科学器械製作所製)にサンプル100mLを一度に注ぎ入れ、自然落下させたとき、全てが落下し終わるまでの時間(sec)を測定し、ロート流動時間の値とした。
【0043】
〔平均粒子径の測定方法〕
目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行なった。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。
回収により、粒子径がそれぞれ1410〜1680μm(1410μm.on)、1190〜1410μm(1190μm.on)、1000〜1190μm(1000μm.on)、1000〜710μm(710μm.on)500〜710μm(500μm.on)、350〜500μm(350μm.on)、250〜350μm(250μm.on)、149〜250μm(149μm.on)、(受け皿)〜149μm(149μm.pass)の各分級サンプルが得られるので、それぞれについて質量を測定し、ベースサンプル(100g)に対する質量頻度(質量%)を算出した。
次に、算出した質量頻度が50質量%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、該aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記数式によって平均粒子径(質量50%)(単位はμm)を求めた。
【0044】
【数1】

【0045】
〔粒度分布の測定方法〕
(1)粒度分布1
目開き710μm、直径20cm、深さ4.5cmのステンレス製ふるいに、100gのサンプルを入れ、左右前後に50回ずつ振幅15cmにてふった後、ふるい上とふるい下の残渣の質量を測定した。サンプルの全質量に対する、ふるい上の残渣の質量の割合(質量%)を、流度分布1(粒子径が710μm以上である粒子の割合)として算出した。
(2)粒度分布2
目開き180μm、直径20cm、深さ4.5cmのステンレス製ふるいに、100gのサンプルを入れ、左右前後に50回ずつ振幅15cmにてふった後、ふるい上とふるい下の残渣の質量を測定した。サンプルの全質量に対する、ふるい下の残渣の質量の割合(質量%)を、流度分布2(粒子径が180未満である粒子の割合)として算出した。
【0046】
〔洗浄力の評価法〕
サンプルとしては食器洗い機用洗浄剤組成物を45℃、85%RH条件下に1ヶ月保存したものを用いた。洗浄力の評価には全自動食器洗浄機、松下電器産業(株)製、機種NP−50SX3を使用した。食器洗い機用洗浄剤組成物の使用量は6gで標準コース洗浄を行った。
洗浄終了後、以下の判定基準に基づいた官能評価を行った。下記評価基準で○もしくは◎を合格とする。
〔評価基準〕
×・・・汚れがまったく落ちない。
△・・・汚れがわずかに落ちる。
○・・・汚れがわずかに残存している。
◎・・・汚れを完全に除去できている。
(1)油洗浄力の評価については、大塚食品(株)製、ボンカレーゴールド辛口12gをポリプロピレン製皿(直径210mm、高さ20mm)に塗布したもの2枚を食器洗い機に装填し、洗浄した。
(2)茶渋汚れ洗浄力の評価については、水道水2.5リットル中にティーバック(LIPTON YELLOW LABEL TEA)5個を入れ、100℃で1時間煮出した。その煮出した紅茶を白色のティーカップ(直径70mm、高さ70mm)に5分目まで注ぎ、一晩室温で放置することにより、茶渋を作成した。さらに紅茶を飲み干してから25℃、50%RH条件下に一昼夜放置した後の、紅茶汚垢の付いたティーカップ3個を食器洗い機に装填して洗浄した。
【0047】
〔スプーン進入性の評価法〕
食器洗い機用洗浄剤組成物600g〜800gを箱型容器1Bに充填した食器洗い機用洗浄剤製品を、45℃、85%RH条件下に1ヶ月保存した後、蓋を外して電子上皿天秤に載せた。図4〜7に記載のスプーン70を長手方向に持ち、スプーンの先端を容器内の食器洗い機用洗浄剤組成物に対して垂直に進入させた。スプーンの先端から3mmを洗浄剤組成物中に埋めるのに要する荷重値を測定した。評価基準は以下の通りとし、3点以上を合格とする。
〔評価基準〕
5点・・・50g未満。
4点・・・50g以上〜150g未満。
3点・・・150g以上〜250g未満。
2点・・・250g以上〜350g未満。
1点・・・350g以上。
【0048】
〔固化性の評価法〕
食器洗い機用洗浄剤組成物600g〜800gをスプーン付き容器1Bに充填した食器洗い機用洗浄剤製品を、45℃、85%RH条件下に1ヶ月保存した後、全量を40×28cm、深さ4.5cm、目開き4.8mmのふるいの上にゆっくりあけ、サンプル全量の質量に対するふるい上の残渣の質量の割合を算出する。評価基準は以下の通りとし、5点を合格とする。
〔評価基準〕
5点・・・20%未満。
4点・・・20%以上〜40%未満。
3点・・・40%以上〜60%未満。
2点・・・60%以上〜80%未満。
1点・・・80%以上
【0049】
〔計量性の評価法〕
食器洗い機用洗浄剤組成物600g〜800gをスプーン付き容器1Bに充填した食器洗い機用洗浄剤製品を45℃、85%RH条件下に1ヶ月保存した後、普段食器洗い乾燥機を使用している主婦10名をパネラーとし、図4〜7に記載のスプーン70を用いて容器内の洗浄剤製品の粉を6g(洗浄剤組成物が良好な状態でスプーン1杯に相当)を目標としてすくって食器洗い乾燥機に投入してもらった。評価基準は以下の通りとし、4点以上を合格とする
〔評価基準〕
5点・・・粉が全く固着していなくて、イメージした量をすくいやすい。
4点・・・粉が若干固着しているが問題なくすくうことができる。
3点・・・どちらともいえない。
2点・・・粉がかなり固着していてすくいにくい。
1点・・・粉が著しく固着していて非常にすくいにくい。
【0050】
(実施例1〜7、比較例1〜4)
表1に示す配合で食器洗い機用洗浄剤組成物を製造した。製造方法は下記のイ〜ニのいずれかを用いた。いずれの製造方法においても、食器洗い機用洗浄剤組成物の調製には(株)吉田製作所製、リボンミキサー1102−1500型(巾900mm×長さ1800mm×深さ1100mm)を用いた。
得られた食器洗い機用洗浄剤組成物を、図1〜7に示す、スプーン70を備えたスプーン付き容器1Bに収納して食器洗い機用洗浄剤製品とした。
上記に記載した方法で食器洗い機用洗浄剤組成物の物性および特性を評価した。その結果を表1に記載する。
【0051】
〔製造方法(イ)〕
まず、粉体である炭酸ナトリウムまたは炭酸Naとケイ酸Naの複合体、アミノカルボン酸(メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムまたはグルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム)、クエン酸3Na、アクリル酸マレイン酸コポリマー、アルミン酸ナトリウム、および無水芒硝をリボンミキサーに入れ25rpmで攪拌しながら、液体成分である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、香料、ローズマリーの水抽出エキスを、(株)いけうち製ノズルJPX020を用いて0.4MPaの圧力で噴霧して液体−粉体混合物を調製した。
液体成分の噴霧終了後、該液体−粉体混合物に、粉体である無水ケイ酸を添加して25rpm、10分間混合して粉体混合物を調製した。
さらにこの粉体混合物に過炭酸ナトリウム、テトラアセチルエチレンジアミン、酵素を添加して25rpm、5分間混合して食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
【0052】
〔製造方法(ロ)〕
前記製造方法(イ)において、無水ケイ酸を結晶性層状シリケートまたはタルクに変更した他は同様にして食器洗い機用洗浄剤組成物を調製した。
すなわち、液体−粉体混合物を調製する工程までは、前記製造方法(イ)と同様に行った。液体成分の噴霧終了後、得られた液体−粉体混合物に、粉体である結晶性層状シリケートまたはタルクを添加して25rpm、10分間混合して粉体混合物を調製した。
さらにこの粉体混合物に過炭酸ナトリウム、テトラアセチルエチレンジアミン、酵素を添加して25rpm、5分間混合して食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
【0053】
〔製造方法(ハ)〕
前記製造方法(イ)において、無水ケイ酸を配合しない他は同様にして食器洗い機用洗浄剤組成物を調製した。
すなわち、液体−粉体混合物を調製する工程までは、前記製造方法(イ)と同様に行った。液体成分の噴霧終了後、得られた液体−粉体混合物に、過炭酸ナトリウム、テトラアセチルエチレンジアミン、酵素を添加して25rpm、5分間混合して食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
〔製造方法(ニ)〕
全部の原料を一括混合する方法により食器洗い機用洗浄剤組成物を調製した。
すなわち、炭酸ナトリウム、アミノカルボン酸(メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムまたはグルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム)、アクリル酸マレイン酸コポリマー、アルミン酸ナトリウム、無水芒硝、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、香料、ローズマリーの水抽出エキス、無水ケイ酸、過炭酸ナトリウム、テトラアセチルエチレンジアミン、酵素をリボンミキサーに投入して25rpm、5分間混合して食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に記載されている各使用原料は以下のものを用いた。
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル;製品名 プルラファックLF403、BASF社製。
・C12直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na;合成品。
・過炭酸ナトリウム;製品名 SPC−G、三菱瓦斯化学社製。
・テトラアセチルエチレンジアミン;製品名 ペラクティブAN、クラリアント社製。
・アミラーゼ;製品名 デュラミル60T、ノボザイムズ社製。
・プロテアーゼ;製品名 エバラーゼ8.0T、ノボザイムズ社製。
・リパーゼ;製品名 リポラーゼ、ノボザイムズ社製。
・無水ケイ酸;製品名 トクシールNP、トクヤマ社製。
・結晶性層状シリケート;SKS−6コンパクト、トクヤマ社製。
・タルク;製品名 タルクMS、日本タルク社製。
・炭酸Naとケイ酸Naの複合体;製品名 ナビオン15、ローディア社製。
・炭酸Na;粒灰、旭硝子社製。
・メチルグリシンジ酢酸3Na;製品名 Trilon M Powder、BASF社製。
・グルタミン酸ジ酢酸4Na;合成品。
・クエン酸3Na;クエン酸ナトリウム、磐田化学社製。
・アクリル酸マレイン酸コポリマー;製品名 ソカランCP7、BASF社製。
・アルミン酸ナトリウム;アルミン酸ナトリウム(NAP−120)、住友化学社製。
・無水芒硝;製品名 無水芒硝K(2)、日本化学社製。
・ローズマリーの水抽出エキス;製品名 Extrapone Rosemary P、シムライズ社製。
・香料;特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物。
【0056】
表1の結果より、実施例1〜5においては、油汚れおよび茶渋汚れに対する洗浄力が優れており、粉体の固化も少なく保存性が良好であるうえ、スプーンでのすく易さ、スプーンでの計量のし易さといった使い勝手も優れていた。
これに対して、(E)成分を配合しなかった比較例1、および全材料を一括混合して製造した比較例2では、(A)〜(D)成分および酵素を含有しているにもかかわらず、良好な特性が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のスプーン付き容器の一形態例を示す部分切欠斜視図である。
【図2】図1の形態例に係るスプーン付き容器の容器を示し、スプーンの長手方向に沿う断面図である。
【図3】図1の形態例に係るスプーン付き容器の容器を示し、スプーンの幅方向に沿う断面図である。
【図4】図1の形態例に係るスプーン付き容器において計量スプーンが容器に固定された状態を示し、スプーンを平面視する方向に沿う断面図である。
【図5】図1の形態例に係るスプーン付き容器において計量スプーンが容器に固定された状態を示し、スプーンの長手方向に沿う断面図である。
【図6】図1の形態例に係るスプーン付き容器の計量スプーンを示し、スプーンの長手方向に沿う断面図である。
【図7】図1の形態例に係るスプーン付き容器の計量スプーンを示す(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図である。
【符号の説明】
【0058】
1B…スプーン付き容器、10…容器本体、11…収納部、12…開口部、20…蓋、
70…計量スプーン(スプーン)、71…計量部、72…把持部、73…後端部、
75…先端部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)界面活性剤を含む液体成分、(B)無機ビルダー(結晶性シリケートを除く)と(D)アミノカルボン酸またはその塩を含む第1の粉体成分、及び(E)無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む第2の粉体成分を用い、
流動状態にある前記第1の粉体成分に、前記液体成分を添加し混合して液体―粉体混合物を形成する工程と、該液体―粉体混合物と前記第2の粉体成分とを混合して粉体混合物を調製する工程と、
前記粉体混合物に(C)漂白成分、酵素、および香料からなる群から選ばれる1種以上を混合する工程とを有することを特徴とする食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項2】
前記液体成分と前記第1の粉体成分と第2の粉体成分の合計に対して、前記液体成分の割合が1〜10質量%、前記第1の粉体成分の割合が80〜98.5質量%、前記第2の粉体成分の割合が0.5〜10質量%である請求項1記載の食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項3】
前記(B)無機ビルダーが、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩とケイ酸塩の複合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により製造された食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)界面活性剤、(B)無機ビルダー(結晶性シリケートを除く)、(C)漂白成分、(D)アミノカルボン酸またはその塩、(E)無水ケイ酸、結晶性シリケート、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含んでなり、
嵩比重が0.8g/mL以上、安息角が50°以下、平均粒子径が300〜600μm、粒子径が710μm以上である粒子の割合が12質量%未満、粒子径が180μm未満の粒子の割合が12質量%以下であり、ロート流動時間が8秒以下であることを特徴とする食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記(B)無機ビルダーが、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩とケイ酸塩の複合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項5記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
収納部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部と嵌合する蓋と、前記容器本体と前記蓋との間に収納される計量スプーンとを有するスプーン付き容器において、
前記容器本体は、前記開口部を介して相対する側面両側に設けられて前記計量スプーンの先端部および後端部が載置される一対のスプーン収納用段差部と、それぞれのスプーン収納用段差部の両側に設けられた位置決め突起とを有し、閉蓋時に、前記計量スプーンの前記スプーン収納用段差部からの脱落が、前記蓋によって防止されるようになっているスプーン付き容器に、請求項4〜6のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物が収納されている食器洗い機用洗浄剤製品。
【請求項8】
前記スプーン付き容器において、計量スプーンの先端部と後端部が同一幅とされて、容器本体一側の前記両位置決め突起間と容器本体他側の前記両位置決め突起間に対して、前記計量スプーンがその先端部と後端部を入れ換えて収納自在とされてなる請求項7記載の食器洗い機用洗浄剤製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−206893(P2006−206893A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374144(P2005−374144)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】