説明

食材洗浄装置

【課題】 多品種少量の食材の洗浄に適しており、高い作業性で食材を傷つけることなく効果的に洗浄する。
【解決手段】 多数の編目が形成された篭状の容器本体22と、容器本体22の開口部を塞ぐ蓋体24とからなり、モータ65の駆動力によって、容器本体22と蓋体24との合わせ面上の軸を中心に連続的に一回転する洗浄槽20内に、洗浄槽20の回転軸上に配置された散水管40に形成された多数の散水孔から、オゾン水発生装置80で生成したオゾン水を散水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を洗浄する食材洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、サラダ用の野菜類を所定の大きさにカットして単身者用に小分けしパック詰めにして販売したり、または、加工工場でカットした野菜類を系列のレストランに輸送する等、生食用の野菜類を所定の大きさにカットして輸送または販売する方式が実施されており、近年は、その需要は増加傾向にある。係るカット済みの野菜類は、長時間の鮮度保持が困難である。そこで、鮮度を低下させる要因となる細菌を除去する目的で殺菌処理が行われる。
【0003】
殺菌処理の際に使用される殺菌剤としては、安価且つ殺菌力が強力である次亜塩素酸ナトリウムが広く用いられている(特許文献1参照)。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムを殺菌剤に用いた場合には、その殺菌剤を多量の真水などで洗い流す必要があり、使用水量が多くなる。また、次亜塩素酸ナトリウムのような塩素系の殺菌剤を食材の洗浄に用いた場合には、食材本来の風味が損なわれる。さらに、次亜塩素酸ナトリウムは有機物と反応することによって発がん性を有するトリハロメタンを生成するので、そのまま排水として下水道等に放出すると環境汚染を生じさせる虞がある。そこで、近年では、オゾン水を使用して殺菌処理が行われている。
【0004】
特許文献2には、洗浄槽内に野菜類を投入して洗浄するバッチ式であり、野菜類が投入された洗浄槽の貯水を、循環ポンプで循環させることによって固定した洗浄槽内に旋回流を発生させると共に、オゾン発生装置で生成したオゾン含有ガスを洗浄槽内に吹き込む食材洗浄装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、筒状の洗浄槽内を通過させることによって野菜類を連続的に洗浄する連続式であり、オゾン水発生装置で生成したオゾン水を含む洗浄水が洗浄槽内に散水されると共に、当該筒状の洗浄槽がその長手方向に沿う軸を中心に1回転する毎に、洗浄槽内に散水された洗浄水の少なくとも一部を、洗浄槽に形成された水は通過するが野菜類は通過しない程度の多数の開口から排出する食材洗浄装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−124481号公報
【特許文献2】特開平9−19376号公報
【特許文献3】特再WO01/080669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の食材洗浄装置では、オゾンを有する空気が洗浄槽内に吹き込まれても、オゾンが溶解し難いために、高い洗浄効果を得るためには、高濃度オゾンガスや多量のオゾンガスが必要となり、非効率的且つ非経済的である。また、オゾン濃度が安定しないために、洗浄効果にばらつきが生じる。加えて、食材の種類を変える場合には、洗浄槽内の貯水を全て入れ換える工程が必要となり、作業性が低下する。さらに、洗浄槽内を旋回流により攪拌することで、食材を傷つけてしまう虞がある。
【0007】
特許文献3に記載されているような連続式の食材洗浄装置は、少品種多量の食材を洗浄する場合には有効であるが、バッチ式のものに比べて、設置面積が大きく且つ多くの動力を必要とするので、多品種少量の食材を洗浄するには不適当である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、多品種少量の食材の洗浄に適しており、高い作業性で食材を傷つけることなく効果的に洗浄することができる食材洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の食材洗浄装置は、多数の編目が形成された篭状の容器本体と、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを有しており、前記容器本体と前記蓋体との合わせ面上の軸を中心に回転可能な洗浄槽と、前記洗浄槽を回転させるための駆動機構と、前記軸上に配置されており、洗浄水を前記洗浄槽内に散水するための散水孔が形成された散水管とを備えている。
【0010】
なお、本発明における「回転」とは、回転角度が360度未満の回転運動も含める。
【0011】
この構成によると、容器本体と容器本体の開口部を塞ぐ蓋体とによって閉塞された洗浄槽内で食材を洗浄するバッチ式であるので、洗浄槽内を通過させながら洗浄する連続式に比べて少量多品種の食材の洗浄に適している。また、洗浄槽が回転することによって、洗浄槽内に投入された食材がオゾン水等の洗浄水と効率良く接触する。したがって、食材を効果的に洗浄することができる。さらに、食材と接触して汚染された洗浄水は、篭状の容器本体の編目から速やかに排水される。よって、食材は、常に新規に供給される洗浄水にて洗浄されるので、洗浄槽に新規の洗浄水が供給されずに貯水された状態で洗浄を行う場合にように、徐々に洗浄効果が低下することなく、高い洗浄効果を保つことができると共に、食材の種類を変える場合に、洗浄槽内の貯水を全て入れ換える必要が無いので、高い作業性が得られる。加えて、洗浄水がオゾン水の場合、食材と接触した洗浄水はオゾンの濃度が低下するが、篭状の容器本体の編目から速やかに排水されるので、常にオゾン濃度が管理された洗浄水で洗浄することができ、より効率的に食材を洗浄することが可能となる。その上に、洗浄槽内を旋回流により攪拌することによって洗浄する場合と比べて、食材を傷めにくい。
【0012】
本発明の食材洗浄装置は、前記容器本体の開口部の周囲に前記容器本体の外側に延出する縁部が形成されており、前記縁部と係合しつつ前記容器本体を案内するガイド部材をさらに備えていることが好ましい。通常、食材洗浄装置による洗浄工程が行われた後、食材を脱水する脱水工程が行われる。上述の構成によると、篭状の容器本体を装置から容易に取り外し、脱水工程で使用する脱水篭として流用することができる。つまり、洗浄工程から脱水工程へ移る際に、食材を容器から容器へと移し替える必要がなくなる。したがって、人の手作業による食材の移し替え作業に起因する二次汚染の防止、移し替え作業の際に食材をこぼしてしまうことによる生産の歩留まりの低下の防止、及び移し替え作業の省略による作業性の向上を実現することができる。
【0013】
本発明の食材洗浄装置は、前記軸が水平方向に延在しており、且つ、前記容器本体の前記開口部が前記蓋体によって塞がれた状態で前記容器本体とは反対側に膨らんだ凹形状を前記蓋体が有していることが好ましい。この構成によると、洗浄槽が軸を中心に一回転する場合に、蓋体が軸よりも下側に到達した際に、オゾン水を含む洗浄水が蓋体の内部に溜まる。このとき、蓋体に溜まった洗浄水に食材が浸漬されるので、食材が洗浄水とさらに効率良く接触する。したがって、食材をさらに効果的に洗浄することができる。また、蓋体が軸よりも下側から軸よりも上側に移動する際に、蓋体に溜まった洗浄水が食材と共に蓋体内から滝状に流れ出すので、流水効果による食材の洗浄を付加することができる。
【0014】
本発明の食材洗浄装置は、前記容器本体が前記軸よりも下側に位置する時間に比べて、前記蓋体が前記軸よりも下側に位置する時間が長くなるように、前記洗浄槽が連続的または間欠的に一回転するように前記駆動機構を制御する制御手段とをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、容器本体が軸よりも下側に位置する時間の長さが、蓋体が軸よりも下側に位置する時間の長さ以上である場合に比べて、蓋体が軸よりも下側に到達した際に、蓋体に溜まるオゾン水を含む洗浄水の量を多くすることができるので、食材の浸漬効果を促進させることができる。したがって、食材をいっそう効果的に洗浄することができる。また、蓋体が軸よりも下側から軸よりも上側に移動する際に、蓋体に溜まった大量の洗浄水が食材と共に蓋体内から滝状に流れ出すので、流水効果による食材の洗浄をより効果的に行うことができる。
【0015】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄槽が正転方向へ少なくとも一回転するのに加えて、揺動または逆転方向へ少なくとも一回転するように前記駆動機構を制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、洗浄槽内の食材の動きが大きくなり、洗浄水との接触効率が向上するために、洗浄効果を促進することができる。
【0016】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄槽の下方に配置されており、前記散水管の散水孔から散水され前記洗浄槽の前記容器本体に形成された編目を通過した洗浄水の排水を貯留するタンクをさらに備えていることが好ましい。例えば、カット野菜をオゾン水で殺菌する場合には、野菜の切り口から浸出する浸出液によってオゾンが分解されるために、オゾン水の濃度が低下し、殺菌効果が低下する。したがって、通常、オゾン水による殺菌処理を行う前に、野菜の切り口から浸出する浸出液を予め除去する予備洗浄工程が行われる。上述の構成によると、直前に行われたオゾン水による殺菌処理の際にタンクに貯留された排水を用いて、予備洗浄工程を行うことができる。したがって、係る予備洗浄工程を行うための水を別途用意する場合と比べて、使用水量を削減することができる。
【0017】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄槽を密閉状態で内部に格納する筐体をさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄槽及び前記タンクを密閉状態で内部に格納する筐体をさらに備えていてもよい。
【0019】
これらの構成によると、散水管の散水孔から散水される洗浄液から気化したガス(例えばオゾン水から気化したオゾンガス)による臭い(例えばオゾン臭)が外部に漏れることを防止することができる。
【0020】
本発明の食材洗浄装置は、前記筐体内の気体を前記筐体の外に放出するためのファンをさらに備えていてもよい。この構成によると、散水管の散水孔から散水される洗浄水から気化し、筐体内に充満するガス(例えばオゾンガス)を、ファンによって、例えば排気ダクト等に排気することができる。したがって、洗浄が終了した後、筐体内から食材を取り出す際のガス臭、例えばオゾン臭を防止することができる。
【0021】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄水がオゾン水であって、前記洗浄槽内に前記オゾン水が外部から供給されてもよい。
【0022】
本発明の食材洗浄装置は、オゾン水発生装置をさらに備えており、前記洗浄槽内に前記オゾン水発生装置で生成したオゾン水が供給されてもよい。
【0023】
この構成によると、オゾン水の殺菌作用により、食材を殺菌することができる。
【0024】
本発明の食材洗浄装置は、前記洗浄槽内に供給する洗浄水を貯留するバッファタンクをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、洗浄水の供給量や供給圧力の大小に拘らず、種々の洗浄水の供給手段(例えばオゾン水発生装置)をこの食材洗浄装置に適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
まず、図1〜図5を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る食材洗浄装置の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る食材洗浄装置の扉体を開放した状態の概略外観図である。図2は、図1に示す食材洗浄装置の扉体を閉じた状態の概略外観図である。図3は、図1及び図2に示す食材洗浄装置を紙面略左側から見た概略側面図である。図4は、図1に示す洗浄槽の上面図である。図5は、図1に示す食材洗浄装置の内部構成を示す概略図である。
【0027】
本実施の形態の食材洗浄装置1は、殺菌作用を有するオゾン水を洗浄水として用いて食材を洗浄する装置であり、図1、図2に示すように、食材を洗浄する洗浄部10と、洗浄部10を操作するための操作部50とからなる。
【0028】
図3に示すように、洗浄部10は、洗浄槽20と、洗浄槽20の下方に配置されたタンク26と、洗浄槽20及びタンク26を格納する洗浄部筐体30とを備えている。
【0029】
洗浄部筐体30は、略直方体形状であり、装置の正面となる面(図1において紙面手前の面)の上半分に開口35aが形成された筐体本体35と、筐体本体35の開口35aを開放した状態(図1に示す状態)と、図示しない扉体用ロック機構によって閉鎖した状態(図2に示す状態)とを取り得る扉体36とからなる。なお、扉体36により筐体本体35の開口35aを閉鎖した際には、洗浄部筐体35は密閉される。また、図1に示すように、筐体本体35の扉体36との当接部分には、リミットスイッチ16が設けられている。リミットスイッチ16は、開口35aが開放されている場合にはOFFとなり、開口35aが閉鎖されている場合には、扉体36によって押圧されてONとなる。なお、リミットスイッチ16の位置は、図示したものに限らない。そして、扉体36には、食材洗浄装置1の操作者が扉体36を開閉するための把手37と、洗浄部筐体30内の様子を観察することができるように、ガラス等の透明な部材が嵌め込まれた窓38とが設けられている。さらに、図3に示すように、洗浄部筐体30には、排気用のファン12が配設されている。
【0030】
洗浄槽20は、洗浄水が通過可能であり且つ洗浄対象である食材が通過不可能である多数の編目が形成された篭状の容器本体22と、容器本体22の開口部を塞ぐ蓋体24とからなる。図1においては、蓋体24の図示が省略されている。なお、後で詳述するように、洗浄槽20は回転可能であるが、装置の運転を停止している状態では、図3に示すように、容器本体22が蓋体24よりも下に位置する。また、このとき、容器本体22と蓋体24との合わせ面は、水平となっている。ただし、容器本体22と蓋体24との合わせ面は、必ずしも水平である必要はなく、容器本体22をより取り出し易くするために、装置手前から奥に向かって下り勾配となるようにすることも可能である。
【0031】
容器本体22は、図示しないロック機構によって、蓋体24に固定することができる。また、容器本体22の開口部の周囲には、容器本体22の外側に延出する縁部22aが形成されている。蓋体24は、図3に示すように、容器本体22とは反対側に膨らんだ凹形状である。なお、本実施の形態では、蓋体24の深さ(図3における紙面上下方向に沿う長さ)は、容器本体22の深さの50%以上となっている。さらに、蓋体24は、容器本体22との合わせ面上に配置された図示しない回転軸に固定されている。
【0032】
散水管40は、図5に示すように、第3配水管43と連通している。第3配水管43は、後で詳述するオゾン発生装置80で生成されたオゾン水を供給する第1配水管41と、後で詳述するタンク26に貯留された排水を供給する第2配水管42との合流部分から延びている。第1配水管41と第2配水管42との合流部分には、第1配水管41によって供給されるオゾン水と第2配水管42によって供給される排水とを切り換えて第3配水管43に流通させる第1電磁弁44が配置されている。また、第3配水管43には、第1配水管41によって供給されるオゾン水または第2配水管42によって供給される排水を散水管40に送り込むためのポンプ45が配置されている。そして、散水管40には、図1に示すように、散水管40に供給されたオゾン水または排水を洗浄槽20内に散水するための多数の散水孔40aが形成されている。
【0033】
また、散水管40と同軸上に図示しない回転軸が配置されている。回転軸には、ガイド部材14が、支持部材15によって固定されている。ここで、図4を参照しつつ、ガイド部材14について説明する。ガイド部材14は、図4において紙面右側(装置奥側に対応する)に位置しており、容器本体22の開口部が有する径よりもやや大きな径を有する半円の円弧形状である湾曲部分14aと、図4において紙面左側(装置手前側に対応する)に位置しており、湾曲部分14aの両端部からそれぞれ直線的に延びている直線部14bとからなる。このような形状により、ガイド部材14は、筐体本体35の開口35aから出し入れされる容器本体22の縁部22aと係合しつつ容器本体22を案内することができる。
【0034】
そして、回転軸が回転すると、上述のように回転軸に固定されている蓋体24とガイド部材14とが回転する。このとき、容器本体22は、上述のようにロック機構によって蓋体24に固定されているので、蓋体24と共に回転する。したがって、洗浄槽20は、図3に示すような、散水管40を中心とする一点鎖線の円を描きながら回転する。なお、図3に示すように、扉体36が完全に閉じられた状態でないと、回転物が露出する危険、オゾン臭による作業環境の低下、および回転する洗浄槽20が扉体36と接触する虞があるので、洗浄槽20は、上述のリミットスイッチ16がONの場合、すなわち開口35aが扉体36によって閉鎖されている場合のみ回転する。
【0035】
タンク26は、図3に示すように、その上面に漏斗状の開口31が形成されている。さらに、開口31には、食材のくず等を除去する図示しないフィルターが取り付けられている。したがって、散水管40によって洗浄槽20内に散水されたオゾン水または排水は、洗浄槽20の容器本体22の編目を通過し、食材くず等がフィルターで除去された後タンク26内に貯留する。また、タンク26は、図5に示すように、上述の第2配水管42に加えて、タンク26内の排水を下水道に流すための排水管46と連通している。そして、排水管46には、タンク26内の排水を下水道に放出する状態と放出しない状態とを切り換える第2電磁弁47が配置されている。
【0036】
操作部50は、図1及び図2に示すように、略直方体形状であり、洗浄部筐体30の略右側に隣接配置された操作部筐体60と、操作部筐体60の表面に配置されており、食材洗浄装置1に関する情報を表示するディスプレイ52と、食材洗浄装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ54aと、洗浄を開始させる開始ボタン54bと、食材洗浄装置1を初期状態に戻すクリアボタン54cと、洗浄作業を一時停止させる停止ボタン54dと、操作部筐体60の上面に配置された報知ランプ56とを備えている。報知ランプ56は、洗浄部10で洗浄が行われている場合には緑色が点灯し、洗浄工程が終了すると赤色が点灯するようになっている。したがって、食材洗浄装置1の操作者は、装置から離れた場所にいても、運転の状況を確認することができる。
【0037】
また、操作部筐体60の内部には、図5に示すように、洗浄槽20を回転駆動させるためのモータ65と、食材洗浄装置1を制御するコントローラ70と、オゾン水を生成するオゾン水発生装置80とが設置されている。
【0038】
モータ65は、図示しないカップリングや歯車機構等を介して、回転軸と連結されている。したがって、モータ65の駆動によって、回転軸が回転駆動する。このとき、上述のように、回転軸の回転に伴って洗浄層20が回転する。
【0039】
次に、オゾン水発生装置80について説明する。本実施の形態では、高濃度のオゾンガスを水に溶解させることによってオゾン水を生成する方式と比べて、より高濃度のオゾン水を生成可能な、水の電気分解法によるオゾン水発生装置を用いることとする。かかる電解式オゾン水発生装置は、例えば特開平8−134677号公報に開示されているので、詳細な説明は省略する。図5に示すように、オゾン水発生装置80は、上述の第1配水管41に加えて、上水道の真水をオゾン水発生装置80に供給するための供給管48と連通している。そして、供給管48には、オゾン水発生装置80に水を供給する状態と供給しない状態とを切り換える第3電磁弁49が配置されている。
【0040】
コントローラ70は、図5に示すように、ファン12の駆動を制御するファン制御部71と、第1〜第3電磁弁44、47、49の開閉タイミングをそれぞれ制御する電磁弁制御部72と、ポンプ73の駆動を制御するポンプ制御部73と、インバータ制御によってモータ65の運転周波数を制御するモータ制御部74とを備えている。以下、ファン制御部71、電磁弁制御部72、ポンプ制御部73、及びモータ制御部74の機能について、それぞれ具体的に説明する。
【0041】
ファン制御部71は、オゾン水発生装置80で生成されたオゾン水が洗浄槽20に供給されている間、およびオゾン水の供給が終了した後の所定時間ファン12が駆動して筐体35内が換気されるように制御する。なお、洗浄装置1が運転されている間、常にファン12が駆動されるものとしてもよい。電磁弁制御部72は、洗浄槽20にタンク26内の排水を供給する場合には、第1電磁弁44を第2配水管42と第3配水管43とが連通される状態とすると共に、第3電磁弁49を閉じる(以降、「排水供給状態」と称する)。また、洗浄槽20に、オゾン水発生装置80で生成したオゾン水を供給する場合には、第1電磁弁44を第1配水管41と第3配水管43とが連通される状態とすると共に、第3電磁弁49を開く(以降、「オゾン水供給状態」と称する)。さらに、タンク26内の排水を放出する場合には、第2電磁弁47を開く。
【0042】
ポンプ制御部73は、電磁弁制御部72によって第1電磁弁44が制御されて、第3配水管43に第1配水管41または第2配水管42が連通している状態である場合に、ポンプ45を駆動させる。モータ制御部74は、洗浄槽20が一方向に連続的に一回転するようにモータ65を制御する。より詳細には、モータ制御部74は、容器本体22が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度が遅くなるようにモータ65を制御する。また、モータ制御部74は、上述のリミットスイッチ16がOFFである場合、すなわち扉体36が完全に閉じられていない場合に、モータ65の駆動を禁止する。
【0043】
続いて、食材洗浄装置1で行われる洗浄工程の手順を示すフローチャートである図6を参照しつつ、本実施の形態の食材洗浄装置1を用いて食材の洗浄を行う際の手順について説明する。なお、ここでは、洗浄対象である食材は、カット野菜であるとする。
【0044】
まず、操作者によって、カット野菜が入った容器本体22がガイド部材14にセットされ、開始ボタン54bが操作されたか否かが判断される(ステップS101)。開始ボタン54bが操作されていないと判断された場合には(ステップS101:NO)、開始ボタン54bが操作されたと判断されるまで、ステップS101での判断が繰り返し行われる。そして、開始ボタン54bが操作されたと判断された場合には(ステップS101:YES)、リミットスイッチ16がONであるか否かが判断される(ステップS102)。
【0045】
リミットスイッチ16がOFFである場合には(ステップS102:NO)、ステップS101に戻って、洗浄開始のボタンが操作されたか否かが再び判断される。一方、リミットスイッチ16がONである場合には(ステップS102:YES)、電磁弁制御部72によって、第1及び第3電磁弁44、49が排水供給状態とされると共に、ポンプ制御部73によってポンプ45が駆動されて、洗浄槽20内へのタンク26内の排水の供給が開始される(ステップS103)。なお、このときタンク26内に溜まっている排水は、直前の本洗浄工程(後述する)の際に洗浄槽20から排水された使用済みのオゾン水である。また、このとき電磁弁制御部72によって、第2電磁弁47は閉じられている。さらに、このとき、報知ランプ56の緑色が点灯する。
【0046】
続いて、モータ制御部74によって、モータ65の駆動が開始され、洗浄槽20が回転する(ステップS104)。このとき、カット野菜に付着している異物や野菜の切り口に付着している浸出液が、散水管40の散水孔40aから散水される排水によって除去される(予備洗浄工程)。そして、予備洗浄工程で使用された排水は、洗浄槽20から排水され、タンク26内に貯留する。予備洗浄工程が終了すると、電磁弁制御部72によって第2電磁弁47が開かれて、タンク26内の排水が下水道に放出される(ステップS105)。
【0047】
その後、電磁弁制御部72によって、第1及び第3電磁弁44、49がオゾン水供給状態とされると共に、ポンプ制御部73によってポンプ45が駆動されて、洗浄槽20内へのオゾン水発生装置80によって生成されたオゾン水の供給が開始される(ステップS106)。このとき、ファン制御部71によってファン12の駆動が開始され、筐体35内が換気される。また、このとき、電磁弁制御部72によって、第2電磁弁47が閉じられ、洗浄槽20から排水された使用済みのオゾン水がタンク26に貯留する。
【0048】
続いて、モータ制御部74によって、モータ65の駆動が開始され、洗浄槽20が回転する(ステップS107)。このとき、散水管40の散水孔40aから散水されるオゾン水によって、洗浄槽20内の野菜が殺菌される(本洗浄工程)。なお、洗浄が終了すると、ファン12による筐体35内の換気が所定時間継続された後、報知ランプ56の赤色が点灯する(本洗浄工程が終了)。食材洗浄装置1の操作者は、報知ランプ56によって洗浄工程が終了したことを確認すると、扉体36を開いて容器本体22を取り出し、脱水工程を行うための脱水機にセットする。
【0049】
次に、図7を参照しつつ、本洗浄工程における殺菌処理について詳細に説明する。図7は、回転する洗浄槽20と洗浄槽20が回転する際の食材及びオゾン水の様子を模式的に描いた図である。
【0050】
まず、図7(a)に示すように、洗浄槽20が、容器本体22が散水管40よりも下にある場合には、散水管40の散水孔40aから散水されたオゾン水は、容器本体22内の食材と接触した後、篭状の容器本体22の編目から速やかに排水される。そして、洗浄槽20が矢印の方向(反時計回り)に45度回転し、図7(b)に示す状態となるまでは、洗浄槽22内の食材は、洗浄槽20の回転に伴って容器本体22内を移動する。したがって、洗浄槽20内の食材は、散水管40の散水孔40aから散水された汚染されていないオゾン水と万遍無く接触する。
【0051】
さらに、洗浄槽20が矢印の方向(反時計回り)に45度回転し、図7(c)に示すように、蓋体24が散水管40よりも下に移動した場合には、散水管40の散水孔40aから散水されたオゾン水が蓋体24内に溜まる。そして、蓋体24に溜まったオゾン水に食材が浸漬される。なお、モータ制御部74によって、容器本体22が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度が遅くなるように制御されているので、蓋体24内には、食材を浸漬させるのに十分な量のオゾン水が溜まる。その後、洗浄槽20が矢印の方向(反時計回り)に45度回転し、図7(b)に示すような状態となると、蓋体24内に溜まったオゾン水が食材と共に蓋体24内から滝状に流れ出す。
【0052】
本洗浄工程では、図7(a)〜図7(b)に示すように、洗浄槽20が連続的に一回転し、洗浄槽20内の食材と散水管40の散水孔40aから散水されるオゾン水とを接触させて殺菌処理を行う。
【0053】
以上のように、本実施の形態の食材洗浄装置1では、多数の編目が形成された篭状の容器本体22と容器本体22の開口部を塞ぐ蓋体24とからなる洗浄槽20が、容器本体22と蓋体24との合わせ面上に配置されており、洗浄水を洗浄槽20内に散水するための散水孔40aが形成された散水管40を中心に回転する。したがって、容器本体22と蓋体24とによって閉塞された洗浄槽20内で食材を洗浄するバッチ式であるので、洗浄槽内を通過させながら洗浄する連続式に比べて少量多品種の食材の洗浄に適している。また、洗浄槽20が回転することによって、洗浄槽20内に投入された食材が洗浄水と効率良く接触する。したがって、食材を効果的に洗浄することができる。さらに、食材と接触して汚染された洗浄水は、篭状の容器本体22の編目から速やかに排水される。よって、食材は、新規に供給される洗浄水によって洗浄されるので、洗浄槽に洗浄水が供給されずに貯水された状態で洗浄を行う場合のように、徐々に洗浄効果が低下することなく、高い洗浄効果を保つことができると共に、食材の種類を変える場合に、洗浄槽内の貯水を全て入れ換える必要が無いので、高い作業性が得られる。加えて、食材と接触したオゾン水はオゾンの濃度が低下するが、篭状の容器本体22の編目から速やかに排水されるので、常に濃度が管理されたオゾン水で洗浄することができ、より効率的に食材を洗浄することが可能となる。その上に、洗浄槽内を旋回流により攪拌することによって洗浄する場合と比べて、食材を傷めにくい。
【0054】
また、本実施の形態の食材洗浄装置1では、容器本体22の開口部の周囲に形成された容器本体22の外側に延出する縁部22aと係合しつつ容器本体22を案内するガイド部材14が、支持部材15と共に備えられている。したがって、容器本体22を容易に装置から取り外すことができるので、容器本体22を食材洗浄装置1による洗浄工程(本実施の形態では、予備洗浄工程と本洗浄工程とからなる)が行われた後に行われる脱水工程で使用する脱水篭として流用することができる。つまり、洗浄工程から脱水工程へ移る際に、食材を容器から容器へと移し替える必要がなくなる。ゆえに、人の手作業による食材の移し替え作業に起因する二次汚染の防止、移し替え作業の際に食材をこぼしてしまうことによる生産の歩留まりの低下の防止、及び移し替え作業の省略による作業性の向上を実現することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態の食材洗浄装置1では、洗浄槽20の回転軸上の位置に散水管40が水平方向に延在しており、且つ、蓋体24が容器本体22とは反対側に膨らんだ凹形状である。したがって、洗浄槽20が散水管40を中心に一回転し、蓋体24が散水管40よりも下側に到達した際に、散水管40の散水孔40aから散水された洗浄水が蓋体24の内部に溜まる。このとき、蓋体24に溜まった洗浄水に食材が浸漬されるので、食材が洗浄水とさらに効率良く接触する。よって、食材をさらに効果的に洗浄することができる。また、蓋体24が散水管40よりも下側から散水管40よりも上側に移動する際に、蓋体24に溜まった洗浄水が食材と共に蓋体24内から滝状に流れ出すので、流水効果による食材の洗浄を付加することができる。
【0056】
加えて、本実施の形態の食材洗浄装置1では、モータ制御部74が、容器本体22が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側にある際の洗浄槽20の回転速度が遅くなるようにモータ65を制御する。これにより、容器本体22が散水管40よりも下側に位置する時間に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側に位置する時間が長くなる。したがって、容器本体22が散水管40よりも下側に位置する時間の長さが、蓋体24が散水管よりも下側に位置する時間の長さ以上である場合に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側に到達した際に、蓋体24に溜まる洗浄水の量を多くすることができるので、食材の浸漬効果を促進させることができる。したがって、食材をいっそう効果的に洗浄することができる。また、蓋体24が散水管40よりも下側から散水管40よりも上側に移動する際に、蓋体24に溜まった大量の洗浄水が食材と共に蓋体24内から滝状に流れ出すので、流水効果による食材の洗浄をより効果的に行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態の食材洗浄装置1では、散水管40の散水孔40aから散水され洗浄層20の容器本体22に形成された編目を通過したオゾン水の排水を貯留するタンク26が、洗浄槽20の下方に配置されている。そして、タンク26内の排水を用いて、オゾン水による殺菌処理の際の殺菌効果の低下を防止するべく野菜の切り口から浸出する浸出液を除去する予備洗浄工程を行う。したがって、予備洗浄工程を行うための水を別途用意する場合と比べて、使用水量を削減することができる。
【0058】
また、本実施の形態の食材洗浄装置1では、洗浄部筐体30内に洗浄槽20及びタンク26が密閉状態で格納されている。したがって、散水管40の散水孔40aから散水されるオゾン水から気化したオゾンガスによるオゾン臭が外部に漏れることを防止することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態の食材洗浄装置1では、洗浄部筐体30に、排気用のファン12が配設されている。したがって、散水管40の散水孔40aから散水されるオゾン水から気化し、洗浄部筐体30内に充満するオゾンガスを、ファン12によって、例えば排気ダクト等に排気することができる。これにより、洗浄部筐体30内から食材を取り出す際のオゾン臭を防止することができる。
【0060】
加えて、本実施の形態の食材洗浄装置1では、オゾン水発生装置80を備えており、本洗浄工程において、洗浄槽20にオゾン水発生装置80で生成されたオゾン水が供給される。したがって、オゾン水の殺菌作用によって、食材が殺菌される。
【0061】
続いて、図8を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態に係る食材洗浄装置100について説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態に係る食材洗浄装置100の内部構成を示す概略図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態の食材洗浄装置1と同様の構成を有する部材については同一の番号を付記し、その説明を省略する。図8においては、コントローラ70、操作部筐体60等の図示を省略する。また、本実施の形態では、モータ65は洗浄部筐体30に格納されている。
【0062】
洗浄部筐体30は、開口95を有する仕切り板94によって、洗浄部筐体上部30aと洗浄部筐体下部(タンク部)30bとの空間に分割される。洗浄部筐体上部30aには、容器本体22及び蓋体24からなる洗浄槽20が収容されている。一方、洗浄部筐体下部30bには、予備洗浄水用タンク90、オゾン水保持用タンク91、及び活性炭分解用タンク92が収容されている。さらに、ポンプ45ほか、オゾン水を洗浄槽20に供給するために流路、弁等が備えられている。具体的には、食材洗浄装置100の外部に設けられた図示しないオゾン水発生装置から供給されるオゾン水を、オゾン水保持用タンク91に流入させるための第1オゾン水供給管98と、オゾン水保持タンク91と三方弁93とを接続する第2オゾン水供給管99と、予備洗浄水用タンク90と三方弁93とを接続する予備洗浄水供給管96と、三方弁93とポンプ45とを接続する合流管97とが備えられている。また、ポンプ45から送り出される洗浄水を洗浄槽20に供給可能なように、第1の実施の形態の食材洗浄装置1における第3配水管43と同様に、ポンプ45と散水管40とを接続する管路101が備えられている。加えて、洗浄部筐体上部30a内の空気をダクト105を介して排気するファン12が設けられている。
【0063】
本実施の形態の食材洗浄装置100では、まず、予備洗浄工程を予備洗浄水用タンク90に溜められたオゾン水を利用して行う。すなわち、予備洗浄工程では、三方弁93の各ポートの開閉状態を制御し、予備洗浄水供給管96と合流管97とを連通状態とする一方、第2オゾン水供給管99と合流管97とを非連通状態とする。そして、予備洗浄水用タンク90に溜められたオゾン水を、予備洗浄水用タンク90から予備洗浄水供給管96及び合流管97を介してポンプ45に送り、さらにポンプ45から管路101及び散水管40を介して洗浄水として洗浄槽20に供給する。
【0064】
元来、予備洗浄工程には、清浄度の極めて高い洗浄水は不要である。したがって、以前の洗浄にて利用され、開口部95を介して予備洗浄水用タンク90に溜められたオゾン水を予備洗浄工程に利用することができるので、予備洗浄工程のために、新規にオゾン水を生成する必要がなくなる。
【0065】
次いで、オゾン水保持用タンク91に溜められたオゾン水を利用して、本洗浄工程を行う。すなわち、オゾン水保持用タンク91には、食材洗浄装置100の外部に設けられた図示しないオゾン水発生装置から供給されるオゾン水が溜められており、本洗浄工程では、三方弁93の各ポートの開閉状態を改めて制御し、第2オゾン水供給管99と合流管97とを連通状態とする一方、予備洗浄水供給管96と合流管97とを非連通状態とする。そして、オゾン水保持用タンク91に溜められたオゾン水を、オゾン水保持用タンク91から第2オゾン水供給管99及び合流管97を介してポンプ45に送り、さらにポンプ45から管路101及び散水管40を介して洗浄水として洗浄槽20に供給する。
【0066】
これにより、第1の実施の形態と同様に、本洗浄工程において、清浄度が高く、洗浄効果も高い新規のオゾン水を洗浄槽20に供給することができ、効果的な食材の洗浄が可能となる。また、オゾン水保持用タンク91は、その名称のとおり所定の容積を持つ『タンク』であり、バッファ的な役割を果たすため、オゾン水の供給量や供給圧力の大小に拘らず、種々のオゾン水発生装置を食材洗浄装置100に適用することができる。
【0067】
なお、オゾン水保持用タンク91と予備洗浄水用タンク90とは、管路102によってその上部で接続され、予備洗浄水用タンク90と活性炭分解用タンク92とは、管路103によってはその上部で接続されている。これにより、図示しないオゾン水発生装置からオゾン水保持用タンク91へ供給されるオゾン水が過多となった場合でも、管路102を介して、余剰分のオゾン水を予備洗浄水用タンク90に流入させることができる。なお、予備洗浄水用タンク90でもオゾン水が過多となった場合には、管路103を介して、余剰分のオゾン水を活性炭分解タンク92に流入させることができる。活性炭分解タンク92に溜められたオゾン水は、活性炭による処理の後、管路104を介して、食材洗浄装置100の外部に設けられた図示しないオゾン水の回収設備に回収される。上述の構成により、オゾン水が食材洗浄装置100の内部に漏出する虞がない。
【0068】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の第1及び第2の実施の形態では、容器本体22の開口部の周囲に容器本体22の外側に延出する縁部22aが形成されており、容器本体22の縁部22aと係合しつつ容器本体22を案内するガイド部材14が、洗浄槽20の回転軸である散水管40に支持部材15によって固定されている場合について説明したが、ガイド部材14は無くてもよい。
【0069】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、洗浄槽20の回転軸である散水管40が水平方向に延在しており、且つ、蓋体24が容器本体22とは反対側に膨らんだ凹形状である場合について説明したが、これには限られない。例えば、蓋体24は平板形状であってもよいし、容器本体22と同じ側に膨らんだ凹形状であってもよい。また、散水管40が水平方向に延在していなくてもよい。すなわち、洗浄槽20の回転軸は水平でなくてもよい。
【0070】
さらに、上述の第1及び第2の実施の形態では、モータ制御部74が、容器本体22が散水管40よりも下側にある際の散水管40の回転速度に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側にある際の散水管40の回転速度が遅くなるようにモータ65を制御することによって、容器本体22が散水管40よりも下側に位置する時間に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側に位置する時間が長くなる場合について説明したが、これには限られない。例えば、モータ制御部74が、蓋体24が散水管40よりも下側に到達した際に、散水管40の回転が停止するようにモータ65を制御することによって、容器本体22が散水管40よりも下側に位置する時間に比べて、蓋体24が散水管40よりも下側に位置する時間が長くなるようにしてもよい。また、容器本体22が散水管40よりも下側に位置する時間の長さが、蓋体24が散水管よりも下側に位置する時間の長さ以上であってもよい。
【0071】
加えて、上述の第1及び第2の実施の形態では、散水管40の散水孔40aから散水され洗浄層20の容器本体22に形成された編目を通過したオゾン水の排水を貯留するタンク26(第2の実施の形態においては予備洗浄水用タンク90)が、洗浄槽20の下方に配置されている場合について説明したが、タンク26(予備洗浄水用タンク90)は無くてもよい。
【0072】
さらに、上述の第1及び第2の実施の形態では、洗浄部筐体30内に洗浄槽20及びタンク26(第2の実施の形態においては予備洗浄水用タンク90)が密閉状態で格納されている場合について説明したが、これには限られない。洗浄槽20及びタンク26(予備洗浄水用タンク90)は、洗浄部筐体30に密閉状態で格納されていなくてもよい。
【0073】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、洗浄部筐体30に、排気用のファン12が配設されている場合について説明したが、ファン12は無くてもよい。
【0074】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、モータ制御部74が、洗浄槽20が一方向に連続的に一回転するように制御する場合について説明したが、これには限られない。例えば、洗浄槽20が正転方向に少なくとも一回転した後、逆転方向に少なくとも一回転するように制御してもよいし、正転方向に少なくとも一回転した後、揺動するように制御してもよい。また、洗浄槽20は、回転軸を中心に回転運動すればよく、必ずしも一回転する必要はない。したがって、モータ制御部71は、洗浄槽20が揺動するように制御してもよい。
【0075】
加えて、上述の第1及び第2の実施の形態では、洗浄水としてオゾン水を用いて本洗浄工程を行う場合について説明したが、これには限られない。例えば、次亜塩素酸ナトリウム等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態に係る食材洗浄装置の扉体を開放した状態の概略外観図である。
【図2】図1に示す食材洗浄装置の扉体を閉じた状態の概略外観図である。
【図3】図1及び図2に示す食材洗浄装置の概略側面図である。
【図4】図3に示す洗浄槽の上面図である。
【図5】図1に示す食材洗浄装置の内部構成を示す概略図である。
【図6】図1の食材洗浄装置で行われる洗浄工程の手順を示すフローチャートである。
【図7】図3に示す洗浄槽が回転する際の洗浄槽内の食材及びオゾン水の様子を模式的に描いた図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る食材洗浄装置の内部構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0077】
1 食材洗浄装置
12 ファン
14 ガイド部材
20 洗浄槽
22 容器本体
22a 縁部
24 蓋体
26 タンク
30 洗浄部筐体(筐体)
40 散水管
40a 散水孔
80 オゾン水発生装置
65 モータ(駆動機構)
74 モータ制御部(制御手段)
91 オゾン水保持用タンク(バッファタンク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の編目が形成された篭状の容器本体と、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを有しており、前記容器本体と前記蓋体との合わせ面上の軸を中心に回転可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽を回転させるための駆動機構と、
前記軸上に配置されており、洗浄水を前記洗浄槽内に散水するための散水孔が形成された散水管とを備えていることを特徴とする食材洗浄装置。
【請求項2】
前記容器本体の開口部の周囲に前記容器本体の外側に延出する縁部が形成されており、
前記縁部と係合しつつ前記容器本体を案内するガイド部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の食材洗浄装置。
【請求項3】
前記軸が水平方向に延在しており、且つ、前記容器本体の前記開口部が前記蓋体によって塞がれた状態で前記容器本体とは反対側に膨らんだ凹形状を前記蓋体が有していることを特徴とする請求項1または2に記載の食材洗浄装置。
【請求項4】
前記容器本体が前記軸よりも下側に位置する時間に比べて、前記蓋体が前記軸よりも下側に位置する時間が長くなるように、前記洗浄槽が連続的または間欠的に一回転するように前記駆動機構を制御する制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の食材洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽が正転方向へ少なくとも一回転するのに加えて、揺動または逆転方向へ少なくとも一回転するように前記駆動機構を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の食材洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽を密閉状態で内部に格納する筐体をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の食材洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽の下方に配置されており、前記散水管の散水孔から散水され前記洗浄槽の前記容器本体に形成された編目を通過した洗浄水の排水を貯留するタンクをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の食材洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽及び前記タンクを密閉状態で内部に格納する筐体をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の食材洗浄装置。
【請求項9】
前記筐体内の気体を前記筐体の外に放出するためのファンをさらに備えていることを特徴とする請求項6または8に記載の食材洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄水がオゾン水であって、前記洗浄槽内に前記オゾン水が外部から供給されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の食材洗浄装置。
【請求項11】
オゾン水発生装置をさらに備えており、前記洗浄槽内に前記オゾン水発生装置で生成したオゾン水が供給されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の食材洗浄装置。
【請求項12】
前記洗浄槽内に供給する洗浄水を貯留するバッファタンクをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の食材洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−333848(P2006−333848A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165950(P2005−165950)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】