説明

飲酒判定装置及びプログラム

【課題】判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができるようにする。
【解決手段】撮像装置から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像と可視光域の撮像画像とを取得し(100)、各撮像画像から、エタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域を検出する(102)。そして、可視光域の撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値に対する特定波長域の撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値の比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出し(104)、算出された特徴量が、予め定められたしきい値未満であるか否かによって、運転者の飲酒状態を判定する(106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲酒判定装置及びプログラムに係り、特に、判定対象者の飲酒状態を判定する飲酒判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、近赤外光を発する光源と、近赤外光に対して感度のある撮像手段と、撮像された指の画像を入力し処理する画像処理手段とを設け、セキュリティ制御を行うと共に、撮像と同時に取得する指の生体情報、もしくはその時間変化を解析し、健康・体調等の生体状態を計測する指認証装置が知られている(特許文献1)。この指認証装置では、生体認証技術と健康診断技術とを組み合わせており、また、使い易い操作性を実現している。
【0003】
また、レーザーダイオードからアルコール吸収波長のレーザービームを走行車両に向けて出射すると共に、時間差をおいてレーザーダイオードから参照波長のレーザービームを出射し、両レーザービームを共通のフォトダイオードによって検出して、参照波長の受光量データからアルコール吸収波長の受光量データを差し引いたアルコール濃度データに基づいて、車両内のアルコール成分を検出する車両内アルコール検出装置が知られている(特許文献2)。この車両内アルコール検出装置では、走行車両の車内のアルコール成分を、車両の走行状態のまま遠隔的に検出している。
【特許文献1】特開2003−146107
【特許文献2】特開2000−230900
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1には、飲酒状態を検知する具体的な方法について記載されていないため、飲酒状態を判定することができない、という問題がある。また、上記特許文献2に記載の技術では、車室内全体の空気に含まれるアルコールを検知しており、運転者と同乗者の飲酒状態を区別できないため、判定対象となる運転者の飲酒状態を精度よく判定することができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる飲酒判定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る飲酒判定装置は、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度、及び前記光の吸収特性が現れていない画像又は前記判定対象画像とは前記光の吸収特性が異なる画像であって、かつ、前記所定部位を表わす基準画像の輝度に基づいて、前記所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0007】
また、第2の発明に係るプログラムは、コンピュータを、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段により撮像された判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度、及び前記光の吸収特性が現れていない画像又は前記判定対象画像とは前記光の吸収特性が異なる画像であって、かつ、前記所定部位を表わす基準画像の輝度に基づいて、前記所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段、及び前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段として機能させるためのプログラムである。
【0008】
第1の発明及び第2の発明によれば、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段によって、判定対象者を撮像する。そして、撮像手段により撮像された判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度を取得すると共に、光の吸収特性が現れていない画像又は判定対象画像とは光の吸収特性が異なる画像であって、かつ、所定部位を表わす基準画像の輝度を取得し、特徴量算出手段によって、判定対象画像の輝度及び基準画像の輝度に基づいて、所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する。
【0009】
そして、判定手段によって、特徴量算出手段によって算出された特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0010】
このように、判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度と、所定部位を表わす基準画像の輝度とに基づいて算出される判定対象者の所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することにより、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0011】
第1の発明に係る撮像手段は、少なくとも一つの波長域が赤外光波長域の少なくとも一部分を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、複数の波長域の各々の画像を出力し、特徴量算出手段は、撮像手段により撮像された判定対象者の所定部位を表わす複数の波長域の何れか一つの波長域の判定対象画像の輝度、及び撮像手段により撮像された複数の波長域のうちの判定対象画像の波長域以外の波長域の基準画像の輝度に基づいて、特徴量を算出することができる。これによって、波長域が異なる画像の輝度を比較することにより、判定対象者の所定部位のアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出することができる。
【0012】
第1の発明に係る特徴量算出手段は、判定対象画像の輝度、及び撮像手段によって過去に撮像された光の吸収特性が現れていない基準画像の輝度に基づいて、特徴量を算出することができる。これによって、判定対象画像の輝度と、過去に撮像された光の吸収特性が現れていない基準画像の輝度とを比較することにより、判定対象者の所定部位のアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出することができる。
【0013】
第3の発明に係る飲酒判定装置は、判定対象者を撮像し、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像の判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度、及び前記撮像手段により撮像された画像の前記判定対象者の前記光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度に基づいて、前記判定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段とを含んで構成されている。
【0014】
第4の発明に係るプログラムは、コンピュータを、判定対象者を撮像し、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段により撮像された画像の判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度、及び前記撮像手段により撮像された画像の前記判定対象者の前記光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度に基づいて、前記判定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段、及び前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段として機能させるためのプログラムである。
【0015】
第3の発明及び第4の発明によれば、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段によって、判定対象者を撮像する。そして、撮像手段により撮像された画像の判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度を取得すると共に、撮像手段により撮像された画像の判定対象者の光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度を取得し、特徴量算出手段によって、所定部位を表わす領域の輝度及び基準部位を表わす領域の輝度に基づいて、判定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する。
【0016】
そして、判定手段によって、特徴量算出手段によって算出された特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定する。
【0017】
このように、判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度と、判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度とに基づいて算出される判定対象者の所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することにより、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0018】
第3の発明に係る基準部位を、髪又は眉とすることができる。
【0019】
上記のアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を、輝度の相対値とすることができる。
【0020】
上記の飲酒判定装置は、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域の光を判定対象者に照射する照明手段を更に含むことができる。
【0021】
また、上記のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を、唇、目、上瞼、下瞼、耳、首、及び胸元の少なくとも一つとすることができる。これによって、所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を精度よく算出することができる。
【0022】
また、上記の波長域を、1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含んだ波長域とすることができる。これによって、所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を精度よく算出することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の飲酒判定装置及びプログラムによれば、判定対象者の所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、判定対象者の飲酒状態を判定することにより、判定対象者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両の運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0025】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置10は、近赤外光波長域の特定波長域の光を判定対象者である運転者の顔に対して照射する照明装置12と、照明装置12が照射する特定波長域の光に感度を有する受光デバイスを備え、運転者の顔を含む被写体の像を撮像画像として取得する撮像装置14とを備えている。
【0026】
照明装置12は、近赤外光波長域の特定波長域の光として、例えば1650〜1750nmの波長域の光を運転者の顔に照射する。照明装置12は、撮像装置14のシャッターに合わせて近赤外光を照射するように制御される。
【0027】
撮像装置14は、1650〜1750nmの特定波長域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)と、特定波長域とは異なる可視光域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)とを備え、アルコールとしてのエタノールによる光の吸収特性が異なる特定波長域の撮像画像と可視光域の撮像画像とを出力する。なお、撮像装置14は、3CCDカメラのようにプリズムやハーフミラーを用いて複数波長域(特定波長域と可視光域)の画像を一度に撮影してもよいし、時間的にフィルタを切り換えて撮影してもよい。単板式カラーカメラのように画素ごとに異なるフィルタを配列してもよい。
【0028】
また、撮像装置14は、受光デバイスで生成された画像信号をA/D変換するA/D変換部(図示省略)と、A/D変換された画像信号を一時的に格納するための画像メモリ(図示省略)とを備えている。また、2つの受光デバイスが感度を有する波長域について、一方の波長域が近赤外光波長域を含み、かつ、主要な波長域が異なっていれば、波長域の一部が重複していてもよい。
【0029】
近赤外光波長域の光は、皮膚の表面だけでなく、皮膚の内部まで入り込み、肌の内部で反射されるため、照明装置12から照射された近赤外光波長域の特定波長域の光は、運転者の顔の皮膚の内部で反射され、反射された光が、撮像装置14の受光デバイスによって受光される。一方、可視光域の光は、皮膚の表面で反射されるため、運転者の顔の皮膚の表面で反射された可視光域の光が、撮像装置14の受光デバイスによって受光される。
【0030】
また、飲酒判定装置10は、撮像装置14から出力される2枚の撮像画像に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ16と、コンピュータ16での処理結果を表示するための表示装置18とを備えている。
【0031】
コンピュータ16は、CPU、後述する飲酒判定処理ルーチンの判定プログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ16をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図1に示すように、撮像装置14から出力される濃淡画像である2枚の撮像画像を入力する画像入力部20と、画像入力部20によって入力された2枚の撮像画像の各々から、エタノールが含まれている場合にエタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域を検出する特定部位検出部22と、2枚の撮像画像の各々の特定部位を表わす領域の輝度値から、飲酒判定に必要な特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出部24と、算出された特徴量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定部26とを備えている。
【0032】
特定部位検出部22では、パターンマッチングなどの従来の画像処理技術の手法によって、撮像画像から特定部位を表わす領域が検出される。特定部位とは、皮下脂肪が薄く、皮膚表面から血管までの距離が短い部分を指し、具体的には、特定部位検出部22によって、図2に示すような目、上下の瞼、唇、耳、首筋、胸元を表わす領域が検出される。なお、これらのいずれか一つの領域を検出してもよいし、全ての部位の各々を表わす領域を検出するようにしてもよい
特徴量算出部24は、特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量として、2つの撮像画像の各々の特定部位を表わす領域の輝度値の比が算出される。なお、特定部位検出部22によって複数の特定部位の各々を表わす領域が検出された場合には、各部位に対して、同様に特徴量が算出される。
【0033】
飲酒判定部26は、算出された特徴量に基づいて、特定部位が所定量以上のエタノールを含むか否かが判定され、所定量以上のエタノールを含む場合には飲酒状態と判定され、所定量以上のエタノールを含まない場合には、非飲酒状態と判定される。
【0034】
表示装置18は、コンピュータ16による判定結果を出力画面に表示して、判定対象者である運転者に判定結果を伝達する。
【0035】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。例えばエタノールによる光の吸光特性が見られる波長域Aの撮像画像と、エタノールによる光の吸収特性が見られない波長域Bの撮像画像とを取得することを考える。このとき、被写体である運転者が飲酒状態であれば波長域Aの撮像画像の輝度は飲酒状態でない場合に比べて小さくなる(暗く写る)。波長域Bの撮像画像の輝度値では飲酒状態と非飲酒状態とでそのような変化は現れない。したがって,波長域Bの撮像画像の輝度値に対する波長域Aの撮像画像の輝度値の比を算出し、算出された比の大きさが、小さい場合には、運転者が飲酒状態であると判定され、算出された比の大きさが、大きい場合には、運転者が飲酒状態でないと判定される。
【0036】
次に、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置10の作用について説明する。
【0037】
まず、撮像装置14が、運転者の顔に向けられ、撮像装置14によって運転者の顔を表わす2つの撮像画像が撮像されると、コンピュータ16において、図3に示す飲酒判定処理ルーチンが実行される。
【0038】
まず、ステップ100において、撮像装置14から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を判定対象画像として取得すると共に、可視光域の撮像画像を基準画像として取得し、ステップ102において、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像から、特定部位を表わす領域を検出すると共に、可視光域の撮像画像から、特定部位を表わす領域を検出する。
【0039】
そして、ステップ104において、上記ステップ102で検出された近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の特定部位を表わす領域と、可視光域の撮像画像の特定部位を表わす領域とに基づいて、可視光域の撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値に対する特定波長域の撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値の比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出し、ステップ106において、上記ステップ104で算出された特徴量が、予め定められたしきい値未満であるか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、飲酒状態における可視光域の撮像画像の特定部位の輝度値に対する近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の特定部位の輝度値の比を求めておき、求められた比に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0040】
上記ステップ106において、算出された特徴量が、しきい値未満である場合には、ステップ108で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出された特徴量が、しきい値以上である場合には、ステップ110で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0041】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像のうちのエタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域の輝度と、可視光域の撮像画像のうちの特定部位を表わす領域の輝度とに基づいて算出されるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定することにより、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0042】
また、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を判定対象画像として用いることにより、特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量を精度よく算出することができる。
【0043】
また、近赤外光波長域であって、かつ、エタノールによる吸収特性が現れる特定波長域で、判定対象の運転者の顔を撮像し、皮膚の影響がほとんどない目、耳、唇、首、胸元において血中のエタノールによる光の吸収により、画像の輝度(対象領域の光反射率)が低下する現象を検知して、非接触で運転者の飲酒状態を判定することができる。
【0044】
なお、上記の実施の形態では、輝度値の比を特徴量として算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、輝度値の相対値を特徴量として算出すればよい。例えば、基準画像の特定部位の領域の輝度値と判定対象画像の特定部位の領域の輝度値との差を、特徴量として算出してもよい。また、基準画像の特定部位の領域の輝度値と判定対象画像の特定部位の領域の輝度値とに基づいて、相対反射率を特徴量として算出するようにしてもよい。
【0045】
また、判定結果を表示装置に表示して、運転者に判定結果を伝達する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、音声を通じて運転者に判定結果を伝達するようにしてもよい。また、判定結果に基づいて、エンジン停止などの制御を行うようにしてもよい。
【0046】
また、判定対象画像の波長域が、近赤外光波長域であって、基準画像の波長域が可視光域である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、判定対象画像の波長域が、近赤外光波長域の1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含む波長域であって、基準画像の波長域が、判定対象画像の波長域と異なっていればよい。また、判定対象画像の波長域は、基準画像の波長域と異なっていれば、近赤外光波長域の波長域であってもよい。
【0047】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態では、エタノールによる光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度値と光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域の輝度値との比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0049】
図4に示すように、第2の実施の形態に係る飲酒判定装置210は、照明装置12と、1650〜1750nmの特定波長域の光に感度を有する受光デバイス(図示省略)を備え、かつ、特定波長域の撮像画像を出力する撮像装置214と、撮像装置214から出力される1枚の撮像画像に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ216と、表示装置18とを備えている。
【0050】
コンピュータ216は、撮像装置214から出力される濃淡画像である1枚の撮像画像を入力する画像入力部220と、画像入力部220によって入力された1枚の撮像画像から、エタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域を検出する特定部位検出部22と、画像入力部220によって入力された1枚の撮像画像から、エタノールによる光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域を検出する基準部位検出部222と、撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値と基準部位を表わす領域の輝度値とから、飲酒判定に必要な特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出部224と、飲酒判定部26とを備えている。
【0051】
基準部位検出部222では、パターンマッチングなどの従来の画像処理技術の手法によって、撮像画像から基準部位を表わす領域が検出される。エタノールによる光の吸収特性が現れない基準部位とは、エタノールの存在に影響を受けない部位、例えば、図5に示すような血流が流れていない髪や眉である。
【0052】
特徴量算出部224は、特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量として、撮像画像の基準部位を表わす領域の輝度値に対する特定部位を表わす領域の輝度値の比が算出される。なお、特定部位検出部22によって複数の特定部位の各々を表わす領域が検出された場合には、各部位に対して、同様に特徴量が算出される。
【0053】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。例えば、エタノールによる光の吸光特性が見られる波長域Aの撮像画像から、エタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域と、エタノールによる光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域とを取得することを考える。このとき、被写体である運転者が飲酒状態であれば特定部位の輝度は飲酒状態にない場合に比べて小さくなる(暗く写る)。基準部位を表わす領域の輝度値については、飲酒状態と非飲酒状態とでそのような変化は現れない。したがって,基準部位を表わす領域の画像の輝度値に対する特定部位を表わす領域の画像の輝度値の比を算出し、算出された比の大きさが、小さい場合には、運転者が飲酒状態であると判定され、算出された比の大きさが、大きい場合には、運転者が飲酒状態でないと判定される。
【0054】
次に、第2の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンについて、図6を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
まず、ステップ250において、撮像装置214から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を取得し、ステップ252において、上記ステップ250で取得した撮像画像から、特定部位を表わす領域を検出し、ステップ254において、撮像画像から、基準部位を表わす領域を検出する。
【0056】
そして、ステップ256において、上記ステップ252で検出された撮像画像の特定部位を表わす領域と、上記ステップ254で検出された撮像画像の基準部位を表わす領域とに基づいて、基準部位を表わす領域の輝度値に対する特定部位を表わす領域の輝度値の比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出し、ステップ106において、上記ステップ256で算出された特徴量が、予め定められたしきい値未満であるか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の基準部位の輝度値に対する特定部位の輝度値の比を求めておき、求められた比に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0057】
上記ステップ106において、算出された特徴量が、しきい値未満である場合には、ステップ108で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出された特徴量が、しきい値以上である場合には、ステップ110で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0058】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、運転者を撮像した近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像におけるエタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域の輝度と、運転者のエタノールによる光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度とに基づいて算出され、かつ、運転者の特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定することにより、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0059】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
第3の実施の形態では、過去に撮像した撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値と、判定対象となる撮像画像の特定部位を表わす輝度値とに基づいて、特徴量を算出している点が第1の実施の形態及び第2の実施の形態と異なっている。
【0061】
図7に示すように、第3の実施の形態に係る飲酒判定装置310は、照明装置12と、撮像装置214と、撮像装置214から出力される1枚の撮像画像に基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定処理ルーチンを実現するための判定プログラムを格納したコンピュータ316と、表示装置18とを備えている。
【0062】
コンピュータ316は、画像入力部220と、特定部位検出部22と、過去に撮像装置214によって撮像されたエタノールによる光の吸収特性が見られない基準画像の特定部位を表わす領域の輝度を記憶した基準画像記憶部322と、撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値と基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値とから、飲酒判定に必要な特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出部324と、飲酒判定部26とを備えている。
【0063】
基準画像記憶部322には、飲酒状態でない運転者を撮像装置214によって過去に撮像して得られたエタノールによる光の吸収特性が見られない基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値が記憶されている。飲酒状態でない運転者を撮像装置214によって過去に撮像しておき、撮像された基準画像から、特定部位を表わす領域を検出して、検出された特定部位を表わす領域の輝度値を基準画像記憶部322に記憶しておく。なお、過去に撮像された光の吸収特性が見られない複数の基準画像の各々について、特定部位を表わす領域の輝度値を求め、求められた輝度値の分布から、記憶する輝度値(例えば輝度値の平均値)を求めてもよい。また、特定部位検出部22によって複数の特定部位が検出される場合には、各特定部位の領域に対する輝度値を基準画像記憶部322に記憶しておく。
【0064】
特徴量算出部324は、特定部位に含まれるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量として、記憶された基準画像の特定部位の輝度値に対する判定対象の撮像画像の特定部位の輝度値の比を算出する。なお、特定部位検出部22によって複数の特定部位が検出される場合には、特定部位毎に輝度値の比が算出される。
【0065】
ここで、飲酒状態を判定する原理について説明する。例えば、エタノールによる光の吸光特性が見られる波長域Aの判定対象の撮像画像から、光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域を取得すると共に、波長域Aの撮像画像であって、かつ、エタノールによる光の吸光特性が見られない画像である基準画像から、特定部位を表わす領域を取得することを考える。このとき、被写体である運転者が飲酒状態であれば、判定対象の撮像画像の特定部位の輝度は飲酒状態にない場合に比べて小さくなる(暗く写る)。一方、基準画像の特定部位の輝度値についてはそのような変化は現れない。したがって,基準画像の特定部位を表わす領域の画像の輝度値に対する判定対象の撮像画像の特定部位を表わす領域の画像の輝度値の比を算出し、算出された比の大きさが、小さい場合には、運転者が飲酒状態であると判定され、算出された比の大きさが、大きい場合には、運転者が飲酒状態でないと判定される。
【0066】
次に、第3の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンについて、図8を用いて説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
まず、ステップ250において、撮像装置214から、近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像を判定対象画像として取得し、ステップ252において、上記ステップ250で取得した撮像画像から、特定部位を表わす領域を検出し、ステップ350において、基準画像記憶部322から、基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値を取得する。
【0068】
そして、ステップ352において、上記ステップ252で検出された撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値と、上記ステップ350で取得された基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値とに基づいて、基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値に対する判定対象の撮像画像の特定部位を表わす領域の輝度値の比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出し、ステップ106において、上記ステップ352で算出された特徴量が、予め定められたしきい値未満であるか否かを判定する。なお、しきい値については、統計的又は実験的に、非飲酒状態における近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の特定部位の輝度値に対する飲酒状態における特定波長域の撮像画像の特定部位の輝度値の比を求めておき、求められた比に基づいて、しきい値を予め設定しておけばよい。
【0069】
上記ステップ106において、算出された特徴量が、しきい値未満である場合には、ステップ108で、運転者が飲酒状態であることを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了するが、一方、算出された特徴量が、しきい値以上である場合には、ステップ110で、運転者が飲酒状態でないことを示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0070】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る飲酒判定装置によれば、近赤外光波長域の特定波長域の判定対象画像のうちのエタノールによる光の吸収特性が現れる特定部位を表わす領域の輝度と、過去に撮像された光の吸収特性が現れていない基準画像のうちの特定部位を表わす領域の輝度とに基づいて算出されるエタノールによる光の吸収量を表わす特徴量に基づいて、運転者の飲酒状態を判定することにより、運転者に触れることなく、飲酒状態を精度よく判定することができる。
【0071】
なお、上記の実施の形態では、過去に撮像された非飲酒状態の撮像画像の特定部位の輝度値を記憶しておく場合を例に説明したが、前回撮像された非飲酒状態の撮像画像の特定部位の輝度値を記憶しておいてもよい。
【0072】
また、基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値を記憶しておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、基準画像自体を記憶しておいてもよい。この場合には、特徴量を求めるときに、基準画像から特定部位を表わす領域を検出して、基準画像の特定部位を表わす領域の輝度値を取得すればよい。
【0073】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
第4の実施の形態では、過去に撮像した撮像画像から算出される特徴量の分布と、判定対象となる撮像画像から算出される特徴量とを比較している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0075】
図9に示すように、第4の実施の形態に係る飲酒判定装置410のコンピュータ416は、画像入力部20と、特定部位検出部22と、特徴量算出部24と、過去に撮像した撮像画像から算出した特徴量の分布を記憶した特徴量分布記憶部424と、算出された特徴量と特徴量分布記憶部424に記憶された特徴量の分布とに基づいて、運転者の飲酒状態を判定する飲酒判定部426とを備えている。
【0076】
撮像装置14によって飲酒状態の運転者を過去に撮像した複数の撮像画像の各々から算出された光の吸収量を表わす特徴量を収集し、収集した特徴量を分析して、飲酒状態における特徴量の分布を求め、求められた特徴量の分布が、特徴量分布記憶部424に記憶されている。また、撮像した時間帯毎に特徴量の分布が求められ、時間帯毎に特徴量の分布が特徴量分布記憶部424に記憶されている。なお、運転者の個人差を考慮して、個人データ毎に特徴量の分布を記憶してもよい。
【0077】
飲酒判定部426は、特徴量分布記憶部424から判定時の時間帯に対する特徴量の分布を取得し、判定対象の撮像画像から算出された現在の特徴量が、取得した特徴量の分布からどの程度外れているかを検証することによって飲酒判定を行う。
【0078】
第4の実施の形態に係る飲酒判定処理ルーチンでは、特定部位検出部22によって検出された近赤外光波長域の特定波長域の撮像画像の特定部位を表わす領域と、可視光域の撮像画像の特定部位を表わす領域とに基づいて、特定部位を表わす領域の輝度値の比を、光の吸収量を表わす特徴量として算出する。そして、現在の時間帯に対する飲酒状態における特徴量の分布を特徴量分布記憶部424から取得し、算出された特徴量が、取得した特徴量の分布からどれくらい外れているかに基づいて、運転者が現在飲酒状態であるか否かを判定し、判定結果を示すメッセージを表示装置18に表示させて、飲酒判定処理ルーチンを終了する。
【0079】
このように、過去に撮像された飲酒状態の撮像画像から得られる特徴量の分布と、判定対象画像から得られる特徴量とを比較して、飲酒状態を判定するため、精度よく飲酒状態を判定することができる。
【0080】
また、時間帯毎の特徴量の分布を記憶しているため、時間帯による照明変化や生体変化によって変化する環境に対応した判定を行うことができ、更に精度よく飲酒状態を判定することができる。
【0081】
なお、上記の実施の形態では、特徴量の分布を記憶した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、過去に撮像された撮像画像から得られた特徴量の分布から求められる特徴量に関するしきい値を記憶するようにしてもよい。
【0082】
また、特定部位が複数部位である場合には、各特定部位の特徴量を示す特徴量の分布を記憶するようにしてもよい。
【0083】
また、特徴量の分布ではなく、過去に撮像された撮像画像から得られる特徴量を記憶しておき、判定対象画像から得られる特徴量と、記憶された特徴量とを比較して、飲酒状態を判定するようにしてもよい。
【0084】
また、飲酒状態の撮像画像から求められた特徴量の分布を記憶した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、飲酒状態でない撮像画像から求められた特徴量の分布を記憶しておいてもよい。この場合には、判定対象画像から得られる特徴量が、記憶されている特徴量の分布からどれだけ離れているかによって、飲酒状態を判定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図2】特定部位の具体例を示すイメージ図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図5】基準部位の具体例を示すイメージ図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る飲酒判定装置における飲酒判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る飲酒判定装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
10、210、310、410飲酒判定装置
12 照明装置
14、214 撮像装置
16、216、316、416コンピュータ
18 表示装置
20、220 画像入力部
22 特定部位検出部
24、224、324 特徴量算出部
26、426 飲酒判定部
222 基準部位検出部
322 基準画像記憶部
424 特徴量分布記憶部
426 飲酒判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度、及び前記光の吸収特性が現れていない画像又は前記判定対象画像とは前記光の吸収特性が異なる画像であって、かつ、前記所定部位を表わす基準画像の輝度に基づいて、前記所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、少なくとも一つの波長域が赤外光波長域の少なくとも一部分を含む各々異なる複数の波長域に感度を有し、前記複数の波長域の各々の画像を出力し、
前記特徴量算出手段は、前記撮像手段により撮像された前記判定対象者の前記所定部位を表わす前記複数の波長域の何れか一つの波長域の前記判定対象画像の輝度、及び前記撮像手段により撮像された前記複数の波長域のうちの前記判定対象画像以外の波長域の前記基準画像の輝度に基づいて、前記特徴量を算出する請求項1記載の飲酒判定装置。
【請求項3】
前記特徴量算出手段は、前記判定対象画像の輝度、及び前記撮像手段によって過去に撮像された前記光の吸収特性が現れていない前記基準画像の輝度に基づいて、前記特徴量を算出する請求項1記載の飲酒判定装置。
【請求項4】
判定対象者を撮像し、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像の判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度、及び前記撮像手段により撮像された画像の前記判定対象者の前記光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度に基づいて、前記判定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段と、
を含む飲酒判定装置。
【請求項5】
前記基準部位を、髪又は眉とした請求項4記載の飲酒判定装置。
【請求項6】
前記特徴量を、輝度の相対値とした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項7】
前記近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域の光を前記判定対象者に照射する照明手段を更に含む請求項1〜請求項6の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項8】
前記所定部位を、唇、目、上瞼、下瞼、耳、首、及び胸元の少なくとも一つとした請求項1〜請求項7の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項9】
前記波長域を、1200〜1300nm、1650〜1750nm、及び2300〜2400nmの少なくとも一つを含んだ波長域とした請求項1〜請求項8の何れか1項記載の飲酒判定装置。
【請求項10】
コンピュータを、
近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段により撮像された判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす判定対象画像の輝度、及び前記光の吸収特性が現れていない画像又は前記判定対象画像とは前記光の吸収特性が異なる画像であって、かつ、前記所定部位を表わす基準画像の輝度に基づいて、前記所定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段、及び
前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
判定対象者を撮像し、近赤外光波長域の少なくとも一部分を含む波長域に感度を有する撮像手段により撮像された画像の判定対象者のアルコールによる光の吸収特性が現れる所定部位を表わす領域の輝度、及び前記撮像手段により撮像された画像の前記判定対象者の前記光の吸収特性が現れない基準部位を表わす領域の輝度に基づいて、前記判定部位に含まれるアルコールによる光の吸収量を表わす特徴量を算出する特徴量算出手段、及び
前記特徴量算出手段によって算出された前記特徴量に基づいて、前記判定対象者の飲酒状態を判定する判定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−31004(P2009−31004A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192379(P2007−192379)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(598131203)
【Fターム(参考)】