説明

養毛・育毛剤

【課題】際立った養毛・育毛効果を有する養毛・育毛剤を提供すること。
【解決手段】養毛・育毛剤は、水層と油層とからなる。水層は、アルコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、イノシトール、ニンジンエキス、十薬エキス、フェルラ酸及び水を含有してなる。油層は、d−α−トコフェロール(天然)とdl−α−酢酸トコフェロール(合成)とからなるビタミンE、オリーブオイル、オリーブスクワラン、γ−オリザノール、ポリソルベートを含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮等に塗布することにより、養毛、育毛及び発毛の効果が得られる養毛・育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の植物エキスが養毛・育毛成分として使用されている。例えば、ニンジンエキスは、血行を促進させる作用、又は毛根、毛母細胞を活性化させる作用を有する成分として、多用されている。また、ビタミンE(トコフェロール)は、抗酸化作用(活性酸素を取り除く作用)、血行促進作用、血管拡張作用等を有していることが知られている。
【0003】
また、例えば、特許文献1においては、フェルラ酸又はγ−オリザノールを含有する細胞分化促進剤が開示されている。これによれば、生体に障害を引き起こすことなく、育毛、発毛を促進することができる。また、特許文献1の実施例には、微量のd−α−トコフェロールを添加してなる細胞分化促進剤が示されている。
【0004】
しかしながら、養毛・育毛効果を一層際立たせるには、上記特許文献1等の技術では不十分である。すなわち、際立った養毛・育毛効果を得るためには、各成分の組み合わせが重要であり、各成分の配合に更なる工夫が必要とされる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−310526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、際立った養毛・育毛効果を有する養毛・育毛剤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ニンジンエキス、十薬エキス及びフェルラ酸を含む植物エキスを含有する水層と、γ−オリザノール及びビタミンEを含有する油層とからなることを特徴とする養毛・育毛剤にある(請求項1)。
本発明の養毛・育毛剤は、水層と油層との2層からなり、使用する際には、撹拌することにより水層と油層とを混合させる。
そして、水層は、養毛、育毛作用を有するニンジンエキス、十薬エキス及びフェルラ酸を含む植物エキスを含有してなる。また、油層は、抗酸化作用及び血行促進作用、老化防止作用等を有するγ−オリザノール及びビタミンEを含有してなる。
【0008】
そのため、水層における植物エキスによる養毛、育毛作用が、油層におけるγ−オリザノール及びビタミンEによる抗酸化作用等を受けて、効果的に頭皮に働くことができる。
それ故、本発明の養毛・育毛剤によれば、頭髪、まつ毛、眉毛等に対して、際立った養毛・育毛効果を呈することができる。
なお、本発明にいう養毛・育毛効果とは、養毛及び育毛の効果をいうだけでなく、発毛の効果も含めていう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記十薬エキスとは、ドクダミ(ドクダミ科)の全草から抽出したもののことをいう。また、上記フェルラ酸としては、フェルラ酸自体又はその誘導体の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記γ−オリザノールとは、フェルラ酸エステルを含有するもののことをいう。また、上記ビタミンEとしては、天然又は合成のいずれのものも用いることができ、トコフェロール、又は酢酸トコフェロール等のトコフェロールの誘導体の1種又は2種以上とすることができる。また、ビタミンEは、α−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール等のα体とすることが好ましい。
【0010】
また、上記水層は、保湿剤を含有していることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記養毛・育毛剤において適切な保湿効果を得ることができる。
また、上記保湿剤は、例えば、イノシトール、1.3BG(1,3−ブチレングリコール)、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の1種又は2種以上とすることができる。
【0011】
また、上記水層は、アルコールを含有しており、上記養毛・育毛剤の全体に対する上記アルコールの配合率は、3〜10wt%であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、養毛・育毛剤の全体に対するアルコールの配合率を3〜10wt%と少なく抑えることにより、上記養毛・育毛剤による養毛・育毛効果を一層際立たせることができる。
【0012】
ところで、アルコールは、上記植物エキスの溶媒とすることができる一方、揮発性を有しており、頭皮に刺激を与える。そのため、アルコールの配合率は、10wt%以下とすることが好ましい。一方、アルコールの配合率が3wt%未満となると、上記植物エキス等を上記養毛・育毛剤中又は上記水層中に含有させておくことが困難になる。
また、上記アルコールとしては、例えば、エチルアルコール(エタノール)等を用いることができる。
【0013】
また、上記油層は、オリーブスクワランを含有していることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記養毛・育毛剤において、オリーブスクワランによる保湿効果、頭皮の柔軟効果、酸化皮脂の溶解効果、アルコール分の刺激緩和効果等を得ることができる。
また、上記オリーブスクワランは、モクセイ科のオリーブの果実から抽出したオイルとすることができる。
また、上記油層は、オリーブオイルを含有していることが好ましい。この場合には、上記養毛・育毛剤における保湿効果等を一層向上させることができる。
【0014】
また、上記油層における上記ビタミンEの配合率は、1〜5wt%であることが好ましい(請求項5)。この場合には、ビタミンEの配合率を1〜5wt%と多くしたことにより、一層際立った養毛・育毛効果を得ることができる。
【0015】
また、上記油層は、分散剤を含有していることが好ましい(請求項6)。この場合には、分散剤により上記水層中に上記油層を容易に分散させることができる。
上記分散剤としては、例えば、ポリソルベート、オレイン酸ソルビタン、PEG−40水添ヒマシ油等を用いることができる。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明の養毛・育毛剤にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の養毛・育毛剤は、ニンジンエキス、十薬エキス及びフェルラ酸を含む植物エキスを含有する水層と、γ−オリザノール及びビタミンEを含有する油層とからなる。
以下に、本例の養毛・育毛剤を詳説する。
【0017】
本例の水層は、アルコール、1,3−ブチレングリコール(保湿剤)、グリセリン(保湿剤)、イノシトール(保湿剤)、十薬エキス(養毛・育毛成分)、フェルラ酸(養毛・育毛成分)、防腐剤、着香料及び水を含有してなる。
また、本例の油層は、d−α−トコフェロール(天然)とdl−α−酢酸トコフェロール(合成)とからなるビタミンE(抗酸化作用、血行促進作用、老化防止作用等)、オリーブオイル(保湿作用、頭皮の柔軟作用、酸化皮脂の溶解作用、アルコール分の刺激緩和作用等)、オリーブスクワラン(保湿作用、頭皮の柔軟作用、酸化皮脂の溶解作用、アルコール分の刺激緩和作用等)、γ−オリザノール(抗酸化作用、血行促進作用、老化防止作用等)及び分散剤を含有してなる。
【0018】
また、上記水層は、上記成分の他に、次の養毛・育毛成分を含有してなる。この養毛・育毛成分は、ニンジンエキス、ボタンエキス、シナノキエキス、ヒキオコシエキス、オドリコソウエキス、アルニカエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス及びローマカミツレエキスを含有するものである。
また、本例の水層におけるアルコールの配合率は、養毛・育毛剤の全体に対して10wt%となっている。また、油層におけるビタミンEの配合率は、養毛・育毛剤の全体に対して4wt%となっている。
【0019】
本例の養毛・育毛剤を製造するに当たっては、γ−オリザノール、ビタミンE等の各油層成分を計量して混合し、この混合物を加熱して均一に溶解し、油層分とする。また、アルコール、ニンジンエキス、十薬エキス及びフェルラ酸等の各水層成分を水に加えて混合し、この混合物を均一に溶解して、水層分とする。その後、油層分を撹拌しながら水層分に加え、これをミキサーにかけて均一に分散させて、乳化状の養毛・育毛剤を製造した。その後、この養毛・育毛剤は、例えば、保管用、市販用等のビン等に投入する。
なお、養毛・育毛剤は、放置しておくと、水層と油層に分離するため、撹拌混合してから(例えば、養毛・育毛剤の入ったビン等をよく振ってから)頭皮等に使用する。
【0020】
本例の養毛・育毛剤は、肌によい成分を配合し、頭皮を健康な状態にすることにより、髪の毛のトラブルを解消するものである。
本例の養毛・育毛剤における水層及び油層を構成する各成分の原料名及び配合率(wt%)を表1に示す。本例の水層及び油層を構成する各成分の原料名及び配合率は、発明者が研究・試験を重ね、際立って養毛・育毛効果を有することを確認試験したものである。
【0021】
【表1】

【0022】
(頭髪の確認試験)
以下に、本例の養毛・育毛剤(発明品)を数人の被験者の頭皮に塗布し、養毛・育毛効果を確認した例を示す。
本確認試験においては、被験者は、客観的に脱毛症とわかる者とし、10人の被験者に対し、頭皮における脱毛部分を湿らす程度に養毛・育毛剤を毎日1回塗布した。そして、1週間目、2週間目、30日目、60日目、90日目において、頭皮に生じた変化を表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
表2において、△は、抜け毛の減少、髪の艶の増加、頭皮の赤み又はシミの減少等の効果が確認できたことを示す。また、○は、養毛、育毛又は発毛(新毛の発生、毛の成長等)が確認できたことを示す。また、◎は、毛が十分に成長すると共にその数も増加して、脱毛部分の一部が通常並みの頭髪となったことを示す。
【0025】
同表において、10人の被験者のうち、2人については30日目に養毛、育毛又は発毛の効果が確認できた。また、すべての被験者について、90日目には、養毛、育毛又は発毛の効果が確認できた。また、すべての被験者について、1週間目には、抜け毛の減少、頭皮の改善等の何らかの効果が確認できた。
本結果より、上記養毛・育毛剤によれば、際立った養毛・育毛効果を呈することができることがわかった。
【0026】
また、図1〜図3には、上記被験者の中の1人について、養毛・育毛剤を使用したときの頭髪の発毛、育毛の状態を示す写真である。各図において、黒い略直線状の部分が髪の毛を示し、その他の灰色の部分が頭皮を示す。なお、各図の写真は、直径3mmのレンズによる200倍のスコープ写真である。
【0027】
図1は、養毛・育毛剤を使用する前の頭皮の状態を示す写真であり、弱々しい髪の毛が3、4本見られる程度であり、頭皮も赤みがかった状態を示している。
図2は、養毛・育毛剤の使用を開始してから30日目の頭皮の状態を示す写真であり、頭皮の赤みが減少し、髪の毛の本数が増加している状態を示している。
図3は、養毛・育毛剤の使用を開始してから60日目の頭皮の状態を示す写真であり、髪の毛が太く成長している状態を示している。
これらの写真からもわかるように、上記養毛・育毛剤による養毛・育毛効果は際立っていることが確認できる。
【0028】
(頭髪の比較確認試験)
本比較確認試験においては、上記実施例1の養毛・育毛剤(発明品)における際立った養毛・育毛効果と比較するために、ビタミンE及びγ−オリザノールを含有しない養毛・育毛剤(比較品)についても確認試験を行った。
比較品における水層及び油層を構成する各成分の原料名及び配合率(wt%)を表3に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
本比較確認試験においては、被験者は、客観的に脱毛症とわかる者とし、5人の被験者に対し、頭皮における脱毛部分を湿らす程度に比較品を毎日1回塗布した。そして、30日目、60日目、90日目において、頭皮に生じた変化を表4に示す。
【0031】
【表4】

【0032】
表4において、−は、あまり変化が確認できなかったことを示す。△は、抜け毛の減少、頭皮の赤み又はシミの減少等の効果が確認できたことを示す。また、○は、養毛、育毛又は発毛(新毛の発生、毛の成長等)が確認できたことを示す。
同表において、5人の被験者のうち、1人については90日目に養毛、育毛又は発毛の効果が確認できたものの、残りの者については90日目においても養毛、育毛又は発毛の効果が確認できなかった。
本結果より、ビタミンE及びγ−オリザノールを含有しない養毛・育毛剤(比較品)においては、際立った養毛・育毛効果を呈することができないことがわかった。
【0033】
また、詳細は省略するが、10人の女性被験者に対して、まつ毛及び眉毛が生える部分に上記養毛・育毛剤を塗布して、その発毛、育毛の状態を観察したところ、上記髪の毛の場合と同様に際立った養毛・育毛効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例における、養毛・育毛剤使用前の頭皮の状態を拡大して示す説明図。
【図2】実施例における、養毛・育毛剤使用後30日目の頭皮の状態を示す説明図。
【図3】実施例における、養毛・育毛剤使用後60日目の頭皮の状態を示す説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンジンエキス、十薬エキス及びフェルラ酸を含む植物エキスを含有する水層と、γ−オリザノール及びビタミンEを含有する油層とからなることを特徴とする養毛・育毛剤。
【請求項2】
請求項1において、上記水層は、保湿剤を含有していることを特徴とする養毛・育毛剤。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記水層は、アルコールを含有しており、上記養毛・育毛剤の全体に対する上記アルコールの配合率は、3〜10wt%であることを特徴とする養毛・育毛剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記油層は、オリーブスクワランを含有していることを特徴とする養毛・育毛剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記油層における上記ビタミンEの配合率は、1〜5wt%であることを特徴とする養毛・育毛剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記油層は、分散剤を含有していることを特徴とする養毛・育毛剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−290766(P2006−290766A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111118(P2005−111118)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501029630)株式会社ルチア (2)
【Fターム(参考)】