説明

駆動装置および画像形成装置

【課題】回転軸のねじれ振動による回転体の速度変動の悪化を抑制することが可能であり、かつ、装置を安価にすることができる駆動装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体1Yの駆動側と反対側(装置手前側)には、遊星機構200Yが設けられており、遊星機構200から延びる出力軸203Yの先端には、フライホイール106Yが設けられている。遊星機構200Yの外輪部201Yは、感光体1Yの手前側のフランジに形成されている。遊星機構200Yの太陽部たる出力軸203Yは、第1手前側側板111と第2手前側側板112とに軸受113を介して回転自在に支持されている。3つの遊星歯車202a,202b,202cは、第1手前側側板111Yに設けられた遊星軸に回転自在に固定されている。出力軸203Yおよび遊星歯車202aY,202bY,202cYと外輪部201Yとが接離可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転慣性体を備えた駆動装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転体を一定速度で回転させるために、回転慣性体(フライホイール)を設けた回転体駆動装置が知られている。このような回転体駆動装置は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の感光体駆動装置として広く用いられている。画像形成装置は、回転体である感光体に対して、光走査部で画像データの書き込みを行い、感光体上にトナー像を形成し、トナー像を記録媒体に転写した後、記録媒体上のトナー像を定着して画像を得るものである。このような画像形成装置においては、感光体に対して光走査部で画像データを書き込む際、または、記録媒体にトナー像を転写する際、感光体の速度を一定に維持する必要がある。感光体の速度にムラがあると、トナー像の画質が劣化したり、用紙に転写する際に画像が乱れたりする等の問題が発生するためである。このため、回転慣性体を設けた感光体駆動装置を設けて感光体を一定速度で回転させることで、画像品質を維持している。
【0003】
また、回転慣性体がその充分な効果を得るためには、慣性エネルギーE=(Jω)/2(ここで、Jは回転慣性体の慣性モーメント、ωは回転慣性体の角速度)を大きくすることが有利である。すなわち、回転慣性体の慣性モーメントJを大きくするか、回転慣性体の角速度ωを大きくするかである。
直径が大きく、重量が重い回転慣性体を用いることで慣性モーメントJを大きくすることができる。しかし、直径が大きい回転慣性体は、大きな設置スペースを必要とする。また、重量が重い回転慣性体は、回転慣性体の回転軸を支持する支持機構の剛性高める必要があり、支持機構が高価になる。
【0004】
特許文献1には、感光体の角速度よりも回転慣性体の角速度を大きくする駆動装置が開示されている。
図33は、特許文献1に記載の駆動装置を示す図である。
図に示すように、画像形成装置のモータフレーム202には、感光体1を駆動するための駆動モータ(駆動源)205が固定されている。駆動モータ205のモータ軸205aには、モータ歯車206が固定されており、このモータ歯車206が大歯車207と噛み合っている。大歯車207は、小歯車208と共に、モータフレーム202,画像形成装置本体の奥側フレーム203に回転自在に支持された回転軸210に固定されている。そして、小歯車208は、感光体歯車209と噛み合っている。感光体歯車209は、モータフレーム202と奥側フレーム203とに回転自在に支持された入力軸211に固定されており、入力軸211の端部には、第1軸継手212が固定されている。
一方、感光体1の回転中心となる回転軸1aの端部には、第2軸継手213が固定されており、この第2軸継手213が第1軸継手212に取り付けられている。また、入力軸211には、第1のプーリ218が固定されている。
【0005】
また、モータフレーム202と奥側フレーム203とには、ホイール回転軸219(出力軸)が支持されている。このホイール回転軸219には、感光体1の回転速度を安定化するための回転慣性体たるフライホイール220が固定されている。さらに、ホイール回転軸219の端部には、第2プーリ221が固定されている。第2プーリ221は、第1プーリ218よりも小径になされている。そして、第2プーリ221および第1プーリ218にエンドレスベルト222が巻回されている。
【0006】
駆動モータ205が駆動回転されると、歯車206〜209によって回転速度が減速されて伝達されながら入力軸211が回転される。これにより、入力軸211に固定された第1プーリ218も回転され、同時に、軸継手212,213により回転軸1aも回転され、感光体1も回転される。また、エンドレスベルト222により、第1プーリ218の駆動力が第2プーリ221に伝達されて第2プーリ221も回転され、これにより第2プーリ221と同軸上のフライホイール220も回転される。ここで、第1プーリ218の半径は、第2プーリ221の半径よりも大きいので、感光体1の角速度よりも、フライホイール220の角速度の方が大きくなる。
【0007】
このように、回転慣性体であるフライホイール220の角速度ωを大きくすることにより、慣性モーメントJを大きくすることなく、慣性エネルギーEを大きくすることができる。よって、フライホイール220の半径が小さく、重量が軽くても、必要な慣性エネルギーを得ることができる。その結果、フライホイール220の設置スペースが大きくなるのを抑制することができる。また、ホイール回転軸219を支持する軸受、フレーム202,203の剛性を高める必要がなく、安価にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の変速機構は、第1プーリ218、第2プーリ221に対してエンドレスベルト222にすべりなどが発生しないように、エンドレスベルト222に大きな張力を与えている。このため、入力軸211とホイール回転軸219とには、エンドレスベルト222の張力によって互いに近づく方向に曲げ応力が働き、各軸211、219が撓んでしまう。その結果、フライホイール220及び感光体1に回転ぶれが発生する。この回転ぶれによる振動により、フライホイール220を設けたにもかかわらず、かえって速度変動を大きくしてしまう場合があった。
【0009】
そこで、本出願人は、特願2007−108590号において、変速機構として遊星機構を用いて、感光体の角速度よりもフライホイールの角速度を大きくする駆動装置を提案した。遊星機構は、太陽部たる太陽ローラの円周方向均等に配置された複数の遊星部たる遊星ローラを外輪部と太陽ローラとの内周面とで圧接する構成である。このため、特許文献1の変速機構のように、変速機構によって入力軸や出力軸を撓ませることがない。その結果、変速機構に起因する回転体の振動を抑制することができる。さらに、遊星機構を用いることで、入力軸と出力軸とを同軸上にすることができるので、回転軸と同軸上に回転慣性体を設けることが可能となる。そして、回転慣性体を回転軸と同軸上に設けることで、特許文献1に比べて回転軸の径方向に駆動装置を小型化することができる。
【0010】
さらに、本出願人は、特願2007−108590号において、図34に示すように、フライホイール361および遊星機構370を、感光体の駆動モータ側と反対側の装置手前側に設けたものも提案した。
このように、感光体1の駆動モータ側と反対側にフライホイール361を設けることで、次のような利点がある。フライホイール361を感光体1の駆動モータ側に設けた場合、負荷変動などにより感光体1の回転速度が変動した場合、フライホイール361の慣性力で感光体1を一定速度で回転させようとするが、このとき、感光体1の駆動モータ側の軸1aがねじれてねじれ振動が生じることがある。特に、感光体1の速度変動が高周波の場合、このような軸のねじれ振動が生じやすい。そして、このようなねじれ振動によって、感光体1の速度変動を低減することができず、逆に悪化させてしまうおそれがある。
一方、図34に示すように、感光体1の駆動モータ側と反対側にフライホイール361を設けた場合は、負荷変動などにより感光体1の回転速度が変動したとき、フライホイール361の慣性力で感光体1を一定速度で回転させようとするととともに、駆動モータ362の駆動力でも感光体1を一定速度で回転させようとする。その結果、感光体1の駆動モータ側の軸1aが駆動モータ362のトルクによりねじれ、感光体1の駆動モータ側と反対側の軸1bがフライホイール361のトルクによりねじれる。このとき、駆動モータ361のトルクによる感光体1の駆動モータ側の軸1aのねじれ振動の周期に対して、フライホイール361のトルクによるフライホイール側の軸1bのねじれ振動の周期が半周期ずれるよう、慣性力や駆動モータ362のトルクを設定すれば、駆動モータ側の軸1aのねじれ振動を、フライホイール側のねじれ振動で打ち消すことができる。その結果、感光体1の回転速度が変動したときに、ねじれ振動によって、速度変動が悪化するのを抑制することが可能となり、良好な感光体の速度変動の低減を実現することができる。
【0011】
感光体1は、消耗部品であるため、感光体1は、定期的に交換する必要がある。このため、装置本体に対して、分離可能に構成している。よって、感光体1の駆動モータ側と反対側にフライホイール361を設けた場合においては、図34に示すように、感光体の軸1bと遊星機構の入力軸381とを連結するカップリング380が必要となる。その結果、フライホイール361を駆動モータ側に設けた場合に比べて、部品点数が増加し、装置が高価となるという問題があった。
【0012】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、回転軸のねじれ振動による回転体の速度変動の悪化を抑制することが可能であり、かつ、装置を安価にすることができる駆動装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転体を駆動する駆動源と、前記回転体の速度変動を抑制するための回転慣性体とを備えた駆動装置において、前記回転慣性体を、前記回転体を挟んで前記駆動源と反対側に配置し、外輪部と、外輪部内に設けられた太陽部と、外輪部と太陽部との間に設けられた複数の遊星部とで少なくとも構成され、前記回転体と前記回転慣性体との間で角速度を増速して前記回転慣性体へ伝達する遊星機構を設け、前記遊星機構で、前記回転体が装置本体に対して分離できるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の駆動装置において、前記回転慣性体が取り付けられ、前記遊星機構によって増速される出力軸の軸中心と、前記回転体の軸中心とが合うように、前記出力軸を、前記回転体に対して回転可能に嵌合させたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の駆動装置において、前記遊星機構を構成する部品の一部を前記回転体に設け、前記遊星機構を構成する残りの部品を装置本体に設け、前記回転体に設けた部品と、前記装置本体側に設けた部品との間で、前記回転体を装置本体に対して分離することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の駆動装置において、前記太陽部に前記回転慣性体を取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の駆動装置において、前記外輪部を前記回転体に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の駆動装置において、前記遊星部は、装置本体に設けられた支持軸に回転可能に支持されており、前記支持軸を、装置本体に対して所定量揺動可能に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3または4の駆動装置において、前記遊星部を前記回転体に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの駆動装置において、前記回転体または前記遊星機構の回転を検出する回転検出手段を設け、前記回転検出手段の検出結果に基づいて、前記駆動源を制御する駆動源制御手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記回転検出手段のパルス信号に基づいて、第1基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、前記第1基準位置から所定角度進んだ第2基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、を求め、予め記憶手段に記憶された前記回転体の平均回転速度と、前記第1基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、前記第2基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、に基づいて、前記回転体一回転の回転速度変動を算出し、算出した速度変動に基づいて、前記駆動源を制御することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の駆動装置において、前記規定回転角をπ[rad]とし、前記第2基準位置は、前記第1基準位置に対して(π/2)[rad]進んだ位置であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の駆動装置において前記回転検出手段として、前記回転体(1/4)回転毎にひとつのパルス信号を発信する回転検出手段を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項8乃至11の駆動装置において、前記回転検出手段は、前記回転慣性体が取り付けられ、前記遊星機構によって増速される出力軸の回転を検出することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、前記回転検出手段は、前記遊星部の自転を検出することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、前記回転検出手段は、前記遊星部の公転を検出することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項5の構成を備えた請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、前記回転検出手段は、前記外輪部の回転を検出することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15いずれかの駆動装置において、前記遊星機構として、遊星摩擦車機構を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1乃至16いずれかの駆動装置において、前記遊星機構として、遊星歯車機構を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、回転体を備えた画像形成装置において、前記回転体を回転駆動させる駆動装置として、請求項1乃至17いずれかひとつに記載の駆動装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項18の画像形成装置において、前記回転体が像担持体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転慣性体を回転体の駆動源側と反対側に配置したので、回転体の速度変動が生じた際に生じた回転体の回転軸のねじれ振動による速度変動を抑制することが可能となる。すなわち、回転体の速度変動が生じた際に、駆動源の駆動力により回転体の駆動源側の回転軸がねじれ振動する。また、回転慣性体の慣性力により回転体を挟んで前記駆動源と反対側の回転軸もねじれ振動する。そして、駆動源の駆動力による駆動源側回転軸のねじれ振動の周期に対して、回転慣性体の慣性力による回転体を挟んで前記駆動源と反対側の回転軸のねじれ振動の周期が半周期ずれるよう、慣性力や駆動源の駆動力を設定すれば、駆動源側回転軸のねじれ振動と回転体を挟んで駆動源と反対側の回転軸のねじれ振動を打ち消し合うことができる。その結果、回転体の回転速度が変動したときに、回転軸のねじれ振動によって、速度変動が悪化するのを抑制することが可能となり、良好な回転体の速度変動の低減を実現することができる。
また、前記遊星機構で、回転体が装置に対して分離できるよう構成したので、回転体の回転軸と遊星機構とを連結するためのカップリングを不要にすることができる。その結果、カップリングを設けて、カップリングで回転体を装置に対して分離できるようにしたものに比べて、部品点数を削減でき、装置を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスユニットと、その周囲とを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのY用感光体の駆動装置を示す構成図。
【図4】遊星機構の概略構成図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】遊星機構の箇所で、感光体が装置に対して分離する様子を説明する図。
【図7】変形例1の遊星機構の概略構成図。
【図8】出力軸を第1手前側側板および第2手前側側板に支持させた構成のときにおける変形例1の遊星機構の箇所で、感光体が装置に対して分離する様子を説明する図。
【図9】出力軸を感光体の手前側フランジで支持させた構成のときにおける変形例1の遊星機構の箇所で、感光体が装置に対して分離する様子を説明する図。
【図10】変形例2の遊星機構の概略構成図。
【図11】変形例2の遊星機構における他の実施形態を示す概略構成図。
【図12】変形例2の遊星機構における他の実施形態において、出力軸を第1手前側側板および第2手前側側板に支持させた構成を示す図。
【図13】変形例2の遊星機構における他の実施形態において、出力軸を感光体の手前側フランジに支持させた構成を示す図。
【図14】変形例3の遊星機構の概略構成図。
【図15】変形例3の遊星機構における他の実施形態を示す図。
【図16】変形例3の遊星機構におけるさらに別の実施形態を示す図。
【図17】変形例3の遊星機構におけるさらに別の実施形態において、出力軸を第1手前側側板および第2手前側側板に支持させた構成を示す図。
【図18】変形例3の遊星機構におけるさらに別の実施形態において、出力軸を感光体の手前側フランジに支持させた構成を示す図。
【図19】回転検出器の検出結果に基づいて、駆動モータをフィードバック制御する構成を示す図。
【図20】遊星歯車の自転を検出する一構成を示す図。
【図21】遊星歯車の自転を検出する他の構成を示す図。
【図22】スケールの概略構成図。
【図23】スケール検出器の概略構成図。
【図24】遊星歯車の公転を検出する構成を示す図。
【図25】スケール部材とその周辺部材を示す概略斜視図。
【図26】遊星歯車の外輪部回転を検出する構成を示す図。
【図27】図8の構成の変形例を示す概略構成図。
【図28】図9の構成の変形例を示す概略構成図。
【図29】遊星軸を揺動可能に構成したその他の実施例を示す図。
【図30】遊星軸を揺動可能に構成したさらにその他の実施例を示す図。
【図31】遊星軸を揺動可能に構成したさらにその他の実施例を示す図。
【図32】遊星軸を揺動可能に構成したさらにその他の実施例を示す図。
【図33】従来の駆動装置の概略構成図。
【図34】その他の従来の駆動装置の概略構成図。
【図35】低分解能の回転検出器400Yの概略構成図。
【図36】遊星部の自転から感光体(1/4)回転毎に回転検出器がパルス信号を出力できるメカニズムについて説明する図。
【図37】出力軸の回転を低分解能の回転検出器で検知する構成を示す図。
【図38】出力軸の回転から感光体(1/4)回転毎に回転検出器がパルス信号を出力できるメカニズムについて説明する図。
【図39】遊星歯車の公転を低分解能の回転検出器で検知する構成を示す図。
【図40】図39のB−B断面図。
【図41】透過型光学センサを用いた例を示す概略構成図
【図42】透過型光学センサの概略構成図。
【図43】磁気センサの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット6Yを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像器5Y等を備えている。プロセスユニット6Yは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0017】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる像担持体としての感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器5YによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(6M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、ベルト部材としての中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0018】
現像器5Yは、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ロール51Yを有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ55Y、ドクターブレード52Y、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)56Yなども有している。
【0019】
現像器5Yのケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ55Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、上記現像ロール51Yの表面に担持される。そして、ドクターブレード52Yによってその層厚が規制されてからY用の感光体1Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体1Y上にYトナー像が形成される。現像器5Yにおいて、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール51Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0020】
2つの搬送スクリュウ55Yの間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール51Yや図中右側の搬送スクリュウ55Y等を収容する第1供給部53Yと、図中左側の搬送スクリュウ55Yを収容する第2供給部54Yとがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Y内のY現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール51Yに供給する。図中右側の搬送スクリュウ55Yによって第1供給部53Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部54Y内に進入する。第2供給部54Y内において、図中左側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Yから送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ55Yとは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ55Yによって第2供給部54Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(不図示)を通って第1供給部53Y内に戻る。
【0021】
透磁率センサからなる上述のTセンサ56Yは、第2供給部54Yの底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と良好な相関を示すため、Tセンサ56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、Tセンサ56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像器に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Tセンサ56Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部54Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器5Y内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、M,C,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
【0022】
先に示した図1において、プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、潜像書込装置としての光書込ユニット7が配設されている。光書込ユニット7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射して露光する。この露光により、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
【0023】
光書込ユニット7の図中下側には、紙収容カセット26、これらに組み込まれた給紙ローラ27など有する紙収容手段が配設されている。紙収容カセット26は、シート状の記録体たる転写紙Pを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27を当接させている。給紙ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが給紙路70に向けて送り出される。
【0024】
この給紙路70の末端付近には、レジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0025】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、ベルト部材たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。ベルト駆動装置としての転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他に、2次転写バイアスローラ19、ベルトクリーニング装置10などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、エンコーダーローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら7つのローラに張架されながら、駆動ローラ12の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0026】
駆動回転体としての駆動ローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、この2次転写ニップで転写紙Pに転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された転写紙Pは、転写後搬送路71を経由して定着装置20に送られる。
【0027】
定着装置20は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラ20aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ20bとによって定着ニップを形成している。定着装置20内に送り込まれた転写紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ20aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0028】
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた転写紙Pは、定着装置20を出た後、排紙路72と反転前搬送路73との分岐点にさしかかる。この分岐点には、第1切替爪75が揺動可能に配設されており、その揺動によって転写紙Pの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前送路73に近づける方向に動かすことにより、転写紙Pの進路を排紙路72に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路73から遠ざける方向に動かすことにより、転写紙Pの進路を反転前搬送路73に向かう方向にする。
【0029】
第1切替爪75によって排紙路72に向かう進路が選択されている場合には、転写紙Pは、排紙路72から排紙ローラ対100を経由した後、機外へと配設されて、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック50a上にスタックされる。これに対し、第1切替爪75によって反転前搬送路73に向かう進路が選択されている場合には、転写紙Pは反転前搬送路73を経て、反転ローラ対21のニップに進入する。反転ローラ対21は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pをスタック部50aに向けて搬送するが、転写紙Pの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、転写紙Pがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、転写紙Pの後端側が反転搬送路74内に進入する。
【0030】
反転搬送路74は、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対22、第2反転搬送ローラ対23、第3反転搬送ローラ対24を有している。転写紙Pは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の転写紙Pは、上述の給紙路70に戻された後、再び2次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら2次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、転写後搬送路71、定着装置20、排紙路72、排紙ローラ対100を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、転写紙Pの両面にフルカラー画像が形成される。
【0031】
上記転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル32Y,M,C,Kを搭載している。トナーボトル32Y,M,C,Kは、互いに水平よりも少し傾斜した角度で並ぶように配設され、Y、M、C、Kという順で配設位置が高くなっている。トナーボトル32Y,M,C,K内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ後述するトナー搬送装置により、プロセスユニット6Y,M,C,Kの現像器に適宜補給される。これらのトナーボトル32Y,M,C,Kは、プロセスユニット6Y,M,C,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0032】
本プリンタにおいては、モノクロ画像を形成するモノクロモードと、カラー画像を形成するカラーモードとで、感光体と中間転写ベルト8との接触状態を異ならせるようになっている。具体的には、転写ユニット15における4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kのうち、K用の1次転写バイアスローラ9Kについては、他の1次転写バイアスローラとは別に、図示しない専用のブラケットで支持している。また、Y,M,C用の3つの1次転写バイアスローラ9Y,M,Cについては、それらを図示しない共通の移動ブラケットで支持している。この移動ブラケットについては、図示しないソレノイドの駆動によって、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cに近づける方向と、感光体1Y,M,Cから遠ざける方向とに移動させることが可能である。移動ブラケットを感光体1Y,M,Cから遠ざける方向に移動させると、中間転写ベルト8の張架姿勢が変化して、中間転写ベルト8がY,M,C用の3つの感光体1Y,M,Cから離間する。但し、K用の感光体1Kと中間転写ベルト8とは接触したままである。モノクロモードにおいては、このように、K用の感光体1Kだけを中間転写ベルト8に接触させた状態で、画像形成動作を行う。
【0033】
上述の移動ブラケットを3つの感光体1Y,M,Cに近づける方向に移動させると、中間転写ベルト8の張架姿勢が変化して、それまで3つの感光体1Y,M,Cから離間していた中間転写ベルト8がそれら3つの感光体1Y,M,Cに接触する。このとき、K用の感光体1Kと中間転写ベルト8とは接触したままである。カラーモードにおいては、このように、4つの感光体1Y,M,C,Kの全てを中間転写ベルト8に接触させた状態で、画像形成動作を行う。かかる構成においては、移動ブラケットや上述したソレノイドなどが、感光体と中間転写ベルト8とを接離させる接離手段として機能している。
【0034】
このようなカラープリンタにおいては、4色それぞれの感光体の回転精度が4色の重ね合わせの精度に大きく影響する。感光体には、クリーニングブレードなどが当接しており、クリーニングブレードの感光体に対する摺動抵抗などが変動すると感光体の回転速度が変動し、色あわせ精度に影響が出る。また、現像装置などの駆動振動が感光体に伝搬することで、感光体の速度が変動し、色あわせ精度に影響が出る。そこで、本実施形態においては、感光体駆動装置に回転慣性体たるフライホイールを設けて、感光体の速度変動を起こりにくくしている。以下に、具体的に説明する。
【0035】
図3は、4つの感光体駆動装置のうち、Y色の感光体を駆動するY色用感光体駆動装置100YをY色の感光体とともに示す概略構成図である。なお、M、C、K色用感光体駆動装置は、Y色用感光体駆動装置100Yと同様な構成である。また、図中左側は、装置の奥側に該当し、図中右側が、装置手前側に該当する。
【0036】
図に示すように、Y色用感光体駆動装置100Yは、装置奥側に設けられた不図示の奥側側板に固定された駆動源たる駆動モータ101Yを有している。駆動モータの種類に関しては特別な制約はなく、種々のモータを用いることができる。また、パルスモータを用いた場合は、一定パルスを入力することで高精度に駆動することができる。また、ブラシレスDCモータであれば内部FG信号などによりモータを高精度に駆動することができる。
【0037】
駆動モータ101Yのモータ軸101aYの先端には、駆動ギヤ102Yが固定されており、この駆動ギヤ102Yには、感光体ギヤ103Yが噛み合っている。感光体ギヤ軸103aYと回転体たる感光体の駆動側軸1aYとは、カップリング104Yによって連結されている。感光体1Yの駆動側と反対側(装置手前側)には、後述する遊星機構200Yが設けられており、遊星機構200から延びる出力軸203Yの先端には、回転慣性体たるフライホイール106Yが設けられている。
【0038】
図4は、遊星機構200Yの概略構成図であり、図5は、図4のA−A断面図である。
遊星機構200Yは、外輪部201Y、太陽部たる出力軸203Y、3つの遊星部たる第1遊星歯車203aY、第2遊星歯車203bY、第3遊星歯車203cYなどを有している。
外輪部201Yは、感光体1Yの手前側のフランジに形成され円筒状の形状を有しており、その内周面にギヤ歯が形成されている。
遊星機構200Yの太陽部たる出力軸203Yは、第1手前側側板111と第2手前側側板112とに軸受113を介して回転自在に支持されている。出力軸203Yの手前側端部(図中右側端部)には、フライホイール106Yがネジ止めされている。出力軸の駆動側端部(図中左側端部)は、外輪部201Yの内部に位置しており、出力軸203Yの駆動側端部には、ギヤ歯が形成されている。出力軸203Yは、第1手前側側板111Yと第2手前側側板112Yとに支持されているが、1つの側板で支持される構造でもかまわない。しかし、2つの側板で支持することで、出力軸203Yの回転中心の精度を確保する事が容易になるので好ましい。
第1手前側側板111Yには、円周方向等間隔で3箇所、駆動側方向に側板111Yに対して垂直に延びる第1遊星軸204aY、第2遊星軸204bY、第3遊星軸204cYが設けられており、これら遊星軸204aY、204bY、204cYの先端にそれぞれ遊星歯車202aY、202bY、202cYが回転自在に固定されている。遊星歯車202aY、202bY、202cYの外周面には、ギヤ歯が形成されており、出力軸203Yの駆動側端部に設けられたギヤ歯、および外輪部201Yの内周面に設けられたギヤ歯と噛み合っている。なお、本実施形態においては、遊星歯車を3個設けているが、2個でも1個でも構わない。また、4個以上設けてもよい。
【0039】
駆動モータ101Yが回転駆動すると、駆動ギヤ102Yから感光体ギヤ103Yに駆動力が伝達されて、感光体ギヤ軸103aYが回転する。これにより、カップリング104Yを介して感光体1Yが回転する。また、これに伴い感光体の手前側フランジに形成された遊星機構200Yの外輪部201Yが回転する。外輪部201Yが回転すると、遊星軸204aY、204bY、204cYに回転自在に取り付けられた3個の遊星歯車202aY、202bY、202cYが、自転する。遊星歯車202aY、202bY、202cYの自転による回転が伝達されて出力軸203Yが回転する。外輪部201Yの内径と出力軸203Yの径が異なるため、外輪部201Yのギヤ歯と出力軸203Yのギヤ歯との歯数比だけ出力軸203Yの方が外輪部201Yより回転が速くなる。これにより、出力軸203Yの回転速度が増速され、フライホール106Yが感光体1Yの角速度よりも速い角速度で回転する。
【0040】
このように、フライホイール106Yの角速度ωを速くすることができるので、上述した慣性エネルギーE=(Jω)/2(ここで、Jは回転慣性体の慣性モーメント、ωは回転慣性体の角速度)を大きくすることができる。よって、半径が小さく、重量が軽いフライホイール106Yであっても感光体1Yの速度変動を抑えるのに必要な慣性エネルギーEを得ることができる。これにより、感光体1Yの速度変動を抑制する効果を損なうことなく、フライホイール106Yを小型化でき、省スペースな駆動装置100Yを得ることができる。
【0041】
また、本実施形態の駆動装置100Yは、フライホイール106Yを駆動側と反対側の手前側に配置している。感光体1Yに速度変動が生じた場合、フライホイール106Yの慣性力で感光体1Yを一定速度で回転させようとするととともに、駆動モータ101Yの駆動力でも感光体1Yを一定速度で回転させようとする。その結果、感光体1Yの感光体軸1aY、カップリング104Y、感光体ギヤ軸103aYが、モータのトルクによりねじれ、出力軸203Yがフライホイール106Yのトルクによりねじれる。その結果、駆動側と手前側とでねじれ振動が発生するが、本実施形態においては、駆動モータ101Yのトルクによるねじれ振動が、フライホイール106Yのトルクによるねじれ振動によって減衰するよう、フライホイール106Yの慣性力や駆動モータ101Yのトルクなどが設定されている。具体的には、駆動モータ101Yのトルクによるねじれ振動の周期に対して、フライホイール106Yのトルクによるねじれ振動の周期を半周期遅らせるようにしている。よって、感光体1Yの回転速度が変動したときに、ねじれ振動によって、速度変動が悪化するのを抑制することができ、良好な感光体1Yの速度変動の低減を実現することができる。
【0042】
また、フライホイール106Yを駆動側(奥側)に対して感光体を挟んで反対側(手前側)に配置することによって、フライホイール106Yの角速度を感光体1Yの角速度よりも増速させるための遊星機構200Yが、駆動モータ101Yの駆動力伝達方向に対して、感光体1Yよりも下流側に配置される。よって、感光体駆動時において、遊星機構200Yの組み付け誤差などによる速度変動は、フライホイール106Yのみに生じ、感光体1Yに生じることがない。よって、遊星機構200による感光体1Yの速度変動を抑制できる。
【0043】
感光体1Yは、消耗品であり、例えば、所定枚数プリント後などに交換される。
図1に示すように感光体の上方には、トナーボトルや転写ユニット15が配置され、感光体の下方には、光書込ユニット7や紙収容カセット26が配置されている。また、装置奥側には、中間転写ベルトを駆動するための駆動装置や、現像装置を駆動するための駆動装置などが配置されている。このため、感光体を上方や下方、奥側から交換するのは、困難である。よって、本実施形態においては、感光体を手前方向に引き出して、交換するようにしている。その結果、第1手前側側板111Y、第2手前側側板112Yを開閉させる必要が生じ、第1手前側側板111Y、第2手前側側板112Yに設けられた、出力軸と感光体とを分離する必要が生じる。従来においては、出力軸と感光体とを分離できるようにカップリングを設けていたが、部品点数が増加し、装置が高価となるという問題があった。そこで、本実施形態においては、遊星機構200Yで、出力軸と感光体とを分離できるようにして、カップリングを無くしている。以下に、具体的に説明する。
【0044】
感光体1Yを交換する際は、図示しない手前側開閉ドアを開けて、第1手前側側板111Y、第2手前側側板112Yを手前側(図4中右側)へスライドさせる。すると、図6に示すように、出力軸203Yおよび遊星歯車202aY,202bY,202cYが第1手前側側板111Y、第2手前側側板112Yとともに手前側にスライドして、外輪部201Yから離間する。このようにして、出力軸203Yおよび遊星歯車202aY,202bY,202cYが外輪部201Yから離間したら、感光体1Yを手前側へスライドさせて、感光体ギヤ軸103aYと感光体の駆動側軸1aYとの連結を外して、装置本体から取り外す。次に、新品の感光体の駆動側軸1aYと感光体ギヤ軸103aYとをカップリング104で連結させた後、第1、第2手前側側板を奥側へスライドさせて、遊星歯車202aY,202bY,202cYと外輪部内周面のギヤ歯とを噛み合せる。これにより、新品の感光体が装置本体に取り付けられる。感光体1Yの回転中心は外輪部201Yを介して遊星軸204aY、204bY、204cYにより位置決めされる。
【0045】
このように、遊星機構200Yは、出力軸203Yおよび遊星歯車202aY,202bY,202cYと外輪部201Yとが接離可能に構成されているので、カップリングを用いずに、感光体1Yを装置本体から分離させることができる。これにより、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができる。
【0046】
なお、感光体を、プロセスユニットとしてドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像器5Y等と一体で交換するようにしてもよい。
【0047】
次に、遊星機構200Yの変形例について説明する。
【0048】
[変形例1]
図7は、変形例1の遊星機構210Yの概略構成図である。
この変形例1の遊星機構201Yは、太陽部たる出力軸203Yを、感光体1Yのフランジの軸中心の嵌合穴に取り付けられた軸受1bYに嵌合させたものである。
先の図4に示した構成においては、遊星歯車202aY,202bY,202cYを介して出力軸203Yと感光体1Yとが連結されるため、遊星歯車202aY,202bY,202cYの製造誤差や遊星軸204aY,204bY,204cYの製造誤差などにより、感光体1Yの軸中心と出力軸203Yの軸中心とがずれるおそれがある。軸中心がずれると、出力軸203Yにねじ止めされたフライホイールの軸中心と感光体1Yの軸中心とがずれてしまう。感光体1Yの軸中心とフライホイール106Yの軸中心とがずれると、フライホイール106Yの偏心によりフライホイール106Yに速度変動が生じ、その速度変動によって感光体1Yが速度変動してしまうおそれがある。
しかし、変形例1のように、出力軸203Yを感光体にフランジに嵌合させて、出力軸203Yを感光体1Yに直接連結することによって、遊星歯車202aY,202bY,202cYを介して出力軸203Yと感光体1Yとを連結するものに比べて、感光体1Yの軸中心に対する出力軸203Yの軸心ずれを抑制することができる。これによるフライホイール106Yの偏心による速度変動が抑制され、フライホイール106Yによって感光体1Yが速度変動してしまうのを抑制することができる。
【0049】
この変形例1の遊星機構210Yにおいては、図8に示すように、遊星歯車202aY,202bY,202cYと出力軸203Yとを装置本体に設け、外輪部201Yを感光体1Yに設けた構成でもよいし、図9に示すように、外輪部201Yと出力軸203Yを感光体1Yに設け、遊星歯車202aY,202bY,202cYのみを装置本体に残す構成でもよい。
図9に示すように、外輪部201Yと出力軸203Yとを感光体1Yに設けた場合において、感光体1Yを交換する場合は、まず、第2手前側側板112Yよりも手前側に設けられた不図示の筐体板を取り外して、出力軸203Yの手前側端部にネジ止めされているフライホイール106Yを取り外す。次に、図9(a)に示すように、第1、第2手前側側板を手前側にスライドさせて遊星歯車202aY,202bY,202cYを外輪部201Yおよび出力軸203Yから離間させる。次に、感光体1Yを手前側へスライドさせて、感光体ギヤ軸103aYと感光体の駆動側軸1aYとの連結を外して、装置本体から取り外す。次に、新品の感光体の駆動側軸1aYと感光体ギヤ軸103aYとをカップリング104で連結させた後、第1、第2手前側側板を奥側へスライドさせて、出力軸203Yを第1手前側側板111Y、第2手前側側板112Yに設けられた軸受にそれぞれ嵌合させるとともに、遊星歯車202aY,202bY,202cYを外輪部内周面のギヤ歯と出力軸203Yのギヤ歯とに噛み合せる。これにより、新品の感光体1Yが装置本体に対して位置決めされる。このように、感光体が装置本体に対して位置決めされたら、図9(b)に示すように、フライホイール106Yを出力軸203Yの手前側端部にネジ107Yでネジ止めする。
【0050】
また、図8に示す構成において、装置本体側の出力軸203Yを感光体1Yのフランジに嵌合させる前に、外輪部201Yが遊星歯車202aY,bY,cYと噛み合う場合において、感光体1Yが斜めの場合、遊星歯車202aY,bY,cYを外輪部201Yに挿入する途中で、外輪部201Yのギヤ歯のフライホイール側先端が3つの遊星歯車うちのひとつに引っ掛かる場合がある。外輪部201Yのギヤ歯のフライホイール側先端が遊星歯車に引っ掛かると、これ以上、挿入することが困難となり、出力軸201Yの先端を感光体のフランジに嵌合させることができなくなり、感光体1Yの軸心と出力軸201Yの軸心とを一致させることができなくなる。
また、図9に示すように、感光体側に出力軸201Yがある場合においても、感光体1Yが斜めになっていると、出力軸201Yを3つの遊星歯車202aY,bY,cYに囲われた領域に挿入していくと、出力軸201Yの先端が遊星歯車202aY,bY,cYに引っ掛かり、これ以上挿入できなくなる。
そこで、本実施形態においては、遊星軸204aYを揺動可能に取り付け、感光体が斜めでも、うまく挿入できるようにした。以下に、具体的に説明する。
【0051】
図27は、図8の構成の変形例を示す概略構成図である。
図27(a)に示すように、各遊星軸204aY、204bY、204cYは、第1手前側側板111Yの貫通孔121aY,121bY(不図示),121cYを貫通して第2手前側側板112Yに固定されている。第1手前側側板の貫通孔121aY,121bY(不図示),121cYは、遊星軸204aY、204bY(不図示)、204cYの外径よりも大きくなっている。各遊星軸204aY、204bY(不図示)、204cYは、貫通孔の出力軸203Y側の面と反対側の面に接触している。第2手前側側板112Yには、感光体側に延びて遊星軸204aY、204bY(不図示)、204cYと対向する台座部123aY、123bY(不図示)、123cYが円周方向等間隔で3箇所設けられている。各台座部123aY、123bY(不図示)、123cYには、スプリング122aY、122bY(不図示)、122cYが設けられており、スプリング122aY、122bY(不図示)、122cYは、遊星軸を出力軸203から離間する方向に付勢している。
【0052】
図27(b)に示すように、感光体1Yが出力軸203Yに対して斜めの状態で、第1、第2手前側側板111Y,112Yを感光体側へスライドさせていくと、外輪部201Yのギヤ歯のフライホイール側先端が遊星歯車202Yに引っ掛かる。この引っ掛かった状態で、さらに第1、第2手前側側板をスライドさせようとすると、遊星歯車202Yが外輪部201Yのギヤ歯のフライホイール側先端によって出力軸側へ押し込まれる。その結果、遊星軸204Yがスプリング122の付勢力に抗って遊星歯車側の先端が出力軸側に撓んで、遊星歯車202Yが出力軸側へ移動する。遊星歯車202Yと出力軸203Yのギヤ歯とは、径方向にある程度の隙間を有しているので、遊星歯車202Yが出力軸側へある程度移動できるのである。これにより、更に、第1、第2手前側側板を感光体側へスムーズにスライドさせることができ、出力軸203Yの先端を感光体のフランジに設けられた軸受1bYへ嵌合させることができる。出力軸203Yの先端が感光体1Yのフランジと嵌合すると、感光体1Yが出力軸203Yに対して斜めの状態から真直ぐな状態になる。その結果、撓んでいた遊星軸が、スプリング122の付勢力によって、真直ぐに戻る。
【0053】
図28は、図9の構成の変形例を示す概略構成図である。
図28(a)に示すように、この例では、遊星軸204Yをスプリング122Yで出力軸側に付勢して、遊星軸を貫通孔121Yの出力軸側に接触させている。
図28(b)に示すように、感光体1Yが斜めの状態で、第1、第2手前側側板を感光体側へスライドさせていくと、出力軸203Yの先端が遊星歯車202aYと突き当たったり(図中B)、遊星歯車202cYの感光体側先端が出力軸に突き当たったり(図中A)する。この突き当たった状態で、さらに第1、第2手前側側板をスライドさせようとすると、遊星歯車202Yが出力軸203Yから離間する方向へ押し込まれる。その結果、遊星軸202Yがスプリング122Yの付勢力に抗って遊星歯車側の先端が出力軸203Yから離間する方向に撓んで、遊星歯車202Yが出力軸203Yから離間する方向に移動する。これにより、更に、第1、第2手前側側板を感光体側へスムーズにスライドさせることができ、出力軸203Yの先端を第1手前側側板111Yの軸受113Yに嵌合させることができる。出力軸203Yの先端が第1手前側側板111Yの軸受113Yと嵌合すると、真直ぐな状態になる。その結果、撓んでいた遊星軸204Yが、スプリング122Yの付勢力によって、真直ぐに戻る。このように、出力軸203Yの先端を第1手前側側板111Yの軸受113Yに嵌合した状態からさらに第1、第2手前側側板を感光体側へスライドさせていくと、出力軸203Yの先端が第2手前側側板112Yの軸受113Yを貫通するとともに、外輪部201Yのギヤ歯と出力軸203Yのギヤ歯に遊星歯車202Yが噛み合う。
【0054】
なお、上述では、遊星軸204Yをいずれか一方側に付勢しているが、例えば、図29に示すように、遊星軸204Yを出力軸側へ付勢するスプリング124Yと遊星軸124Yを出力軸側から離間する方向へ付勢するスプリング125Yとを設けてもよい。また、スプリングの付勢力を偏らせ、遊星軸124Yを貫通孔121Yの出力軸側もしくは出力軸側と反対側に接触させてもよい。
さらに、図30に示すように、遊星軸204Yを、スプリング126Yを介して第2手前側側板112Yに取り付けてもよい。このように構成することで、遊星歯車202Yが、外輪部201Yまたは出力軸203Yと突き当たったときによりスムーズに姿勢を変えることができ、よりスムーズな連結を行うことができる。また、図30においては、遊星軸204Yを出力軸203Yから離間する方向に付勢するスプリング127Yを設けているが、これは、無くてもよい。また、遊星軸204Yを出力軸側に付勢するスプリングを設けてもよい。
【0055】
さらに、図31に示すように、遊星軸204Yを、スプリング126Yを介して第2手前側側板112Yに取り付け、遊星軸204Yに貫通孔を設け、この貫通孔にピン128Yを貫通させた構成でもよい。この場合、外輪部201Yまたは出力軸203Yが遊星歯車202Yを押圧する押圧力のピン128Yと平行な成分分、遊星軸204Yがスライドし、押圧力のピン128Yと直交する成分分ピン128Yを中心にして遊星軸204Yが揺動する。これにより、遊星歯車202Yが押圧方向へ移動できる。そして、出力軸203Yが感光体のフランジの軸受1bYまたは第1手前側側板111Yの軸受113Yと嵌合したら、スプリング126Yの付勢力によって、遊星軸204Yは、元の位置に戻る。このような構成でも、出力軸203Yが感光体1Yのフランジの軸受1bYまたは第1手前側側板111Yの軸受113Yとスムーズに嵌合させることができる。
【0056】
また、図32に示すように、遊星軸204Yを、スプリング126Yを介して第2手前側側板112Yに取り付け、遊星軸204Yを遊星軸204Yの外径よりも僅かに内径が大きい円筒部材129Yに貫通させ、遊星軸204Yの可動範囲を限定してもよい。この円筒部材129Yは、第1手前側側板111Yに設けてもよいし、第2手前側側板112Yに設けてもよい。
【0057】
[変形例2]
次に、変形例2の遊星機構について説明する。
図10は、変形例2の遊星機構220Yの概略構成図である。
この変形例2の遊星機構220Yは、遊星歯車202aY,202bY,202cYを感光体に設けたものである。具体的に説明すると、感光体の手前側フランジの側面に円周方向等間隔で3箇所遊星軸204aY,204bY,204cYを設け、これら遊星軸204aY,204bY,204cYの先端にそれぞれ遊星歯車202aY,202bY,202cYが回転自在に取り付けられている。第1手前側側板111Yには、円筒状の外輪部201Yが固定されている。外輪部201Yの内周面にはギヤ歯が形成されており、遊星歯車202aY,202bY,202cYと噛み合っている。出力軸203Yは、第1手前側側板111Yと第2手前側側板112Yに軸受113Yを介して回転自在に支持されている。出力軸203Yの奥側端部には、ギヤ歯が形成されており、遊星歯車202aY,202bY,202cYと噛み合っている。
【0058】
この変形例2の遊星機構220Yにおいては、感光体1Yが駆動モータ101Yの駆動力によって回転すると、3個の遊星歯車202aY,202bY,202cYが、出力軸203Yの軸中心を公転する。このとき、遊星歯車202aY,202bY,202cYは、第1手前側側板111Yに固定された外輪部201Yのギヤ歯と噛み合っているため、遊星軸の軸中心を中心として遊星歯車202aY,202bY,202cYが自転することになる。また、遊星歯車202aY,202bY,202cYは、出力軸203Yに設けられたギヤ歯とも噛み合っているので、出力軸203Yは遊星歯車202aY,202bY,202cYの公転による回転と、自転による回転とが伝達されて出力軸203Yが回転する。出力軸203Yは、(出力軸の歯数+外輪部の歯数)/(出力軸の歯数)の値だけ回転が速くなる。これにより、出力軸203Yの手前側端部に固定されたフライホイール106Yが増速され、感光体1Yの角速度よりも速くなる。よって、感光体1Yの速度変動を抑制する効果を損なうことなく、フライホイールの半径を小さくできる。
【0059】
また、この変形例2の遊星機構220Yも、図11に示すように、変形例1の遊星機構210Yと同様、出力軸203Yを感光体のフランジに嵌合させてもよい。この図11に示す遊星機構220Yにおいては、図12に示すように、出力軸203Yを第1、第2手前側側板に支持させて装置本体側に設けた構成でもよいし、図13に示すように、感光体のフランジに支持させて感光体側に設けてもよい。なお、図13に示す構成の場合における感光体の交換は、図9に示して説明した方法と同様の方法で行う。
【0060】
この変形例2の遊星機構220Yにおいても、遊星機構で感光体を装置本体から離間できるので、カップリングを無くすことができ、装置を安価にすることができる。さらに、図11に示すように、出力軸を感光体に嵌合させることで、出力軸の軸中心と感光体の軸中心とを精度よく合わせることができ、フライホイール106Yの速度変動を抑制することができる。
【0061】
[変形例3]
次に、変形例3の遊星機構について説明する。
図14は、変形例3の遊星機構230Yの概略構成図である。
変形例3の遊星機構230Yは、第1外輪部201aY、第2外輪部201bY、太陽部たる出力軸203Y、第1遊星部たる3つの第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cY、第2遊星部たる3つの第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cY、などを有している。
第1外輪部201aYは、感光体1Yの手前側フランジに形成されている。第2外輪部201bYは、第1手前側側板111Yに固定されている。出力軸203Yは、第1、第2手前側側板111Y,112Yに軸受113Yを介して回転自在に支持されている。この出力軸203Yには、キャリア部材206Yが軸受207Yを介して回転自在に取り付けられている。このキャリア部材206Yの感光体側面には、円周方向等間隔で3箇所遊星軸204aY,204bY(不図示),204cYが延びており、各遊星軸204aY,204bY(不図示),204cYには、それぞれ、第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYが回転自在に取り付けられている。第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYは、第2外輪部201bYの内周面に設けられたギヤ歯と噛み合っている。各第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYには、第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYが固定されており、各第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYは、第1外輪部201aYの内周面に設けられたギヤ歯と出力軸203Yに設けられたギヤ歯と噛み合っている。第1、第2遊星歯車の歯数は、同じであり、第1外輪部201aYの内周面に設けたギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYの内周面に設けた歯数とを異ならせている。
【0062】
次に、変形例3の遊星機構230Yにおける駆動伝達について説明する。ここでは、増速方向(感光体1Yからフライホイール106Yへの駆動伝達)の説明は、少しわかりにくいので、減速方向(フライホイール106Yから感光体1Yへの駆動伝達)について説明する。なお、実際の増速(感光体1Yからフライホイール106Yへの駆動伝達)は、その逆の順序で動作が行われていると考えればよい。
まず、出力軸203Yが回転すると、この出力軸203Yと噛み合っている第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYが回転する。第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYが回転すると、第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYと一体の第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYが同じ回転数で回転する。第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYと噛み合っている第2外輪部201bYは、第1手前側側板111Yに固定されているので、第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYが回転すると、第1、第2遊星歯車は、遊星軸204aY、204bY(不図示)、204cYの軸中心を中心にして自転しながら、出力軸203Yの軸中心を中心として公転する。ここで、仮に第1外輪部203Yのギヤ歯の歯数と、第2外輪部201aYのギヤ歯の歯数とが同じ場合は、ただ単に第1、第2遊星歯車が自転しながら公転するだけであり、第1外輪部201aYは回転しない。しかし、第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数を異ならせているので、第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数との差の分だけ第1外輪部201aYは、回転する。すなわち、出力軸203Yが回転すると、第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数との差の分だけ感光体1Yが、回転するのである。
以上の動作を逆に考えると、感光体1Yの回転速度に対して、第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数との差の分増速されて出力軸が回転する。これにより、出力軸203Yに固定されたフライホイール106Yの角速度が感光体1Yの角速度よりも速くすることができる。よって、感光体1Yの速度変動を抑制する効果を損なうことなく、フライホイール106Yの半径を小さくできる。
【0063】
なお、上述では、第1、第2遊星歯車の歯数は、同じであり、第1外輪部201aYの内周面に設けたギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYの内周面に設けた歯数を異ならせた例について説明したが、第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYの歯数と第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYの歯数、および第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数をそれぞれ異ならせた構成でもよい。
【0064】
第1遊星歯車と第2遊星歯車の歯数、および第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数をそれぞれ異ならせることで、第1、第2遊星歯車の歯数および第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数のいずれか一方を同じにした場合に比べて、遊星歯車の寿命を延ばすことができ、好ましい。これは、後者の場合は、いずれか一方の歯を深くしたり、歯幅を広くしたりする必要が生じ、バックラシや噛み合い応力が大きくなるおそれがあるためである。
【0065】
第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYの歯数と第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYの歯数、および第1外輪部201aYのギヤ歯の歯数と第2外輪部201bYのギヤ歯の歯数をそれぞれ異ならせたときの駆動伝達について説明する。この場合においても、減速方向で説明する。上述同様、出力軸203Yが回転すると、第1、第2遊星歯車が自転しながら出力軸203Yの軸中心を中心として公転する。ここで、仮に第1遊星歯車202が1公転する際の第1遊星歯車202の自転数と、第2遊星歯車205が1公転する際の第2遊星歯車205の自転数が同じ場合は、ただ単に第1、第2遊星歯車が自転しながら公転するだけであり、第1外輪部201aYは回転しない。しかし、第1遊星歯車202が1公転する際の第1遊星歯車202の自転数と、第2遊星歯車205が1公転する際の第2遊星歯車205の自転数が異なる場合は、その自転数の差分だけ第1外輪部201aYが回転する。より、具体的に説明すると、例えば、第1遊星歯車202の歯数が10で、第1外輪部201aYの歯数が100の場合、第1遊星歯車202が1公転する際の第1遊星歯車202の自転数は10である。一方、第2遊星歯車205の歯数が9で、第2外輪部201bYの歯数が85の場合、第2遊星歯車205が1公転する際の第2遊星歯車205の自転数は、第1遊星歯車202よりも5歯分少なくなる。この5歯分、第1外輪部201aYが回転するのである。
以上の動作を逆に考えると、感光体1Yの回転速度に対して、第1遊星歯車202が1公転する際の第1遊星歯車202の自転数と、第2遊星歯車205が1公転する際の第2遊星歯車205の自転数との差の分増速されて出力軸が回転する。これにより、出力軸203Yに固定されたフライホイール106Yの角速度が感光体1Yの角速度よりも速くすることができる。よって、感光体1Yの速度変動を抑制する効果を損なうことなく、フライホイール106Yの半径を小さくできる。
【0066】
なお、図14では、出力軸203Yのギヤ歯は、第1遊星歯車202aY、202bY(不図示)、202cYと噛み合っているが、図15に示すように、第2遊星歯車205aY、205bY(不図示)、205cYと噛み合わせてよい。また、この変形例3の遊星機構230Yも、図16に示すように、変形例1の遊星機構210Yと同様、出力軸203Yの感光体先端部を感光体1Yにフランジに回転可能に嵌合させてもよい。この図16に示す遊星機構220Yにおいては、図17に示すように、出力軸203Yを第1、第2手前側側板に支持させて装置本体側に設けた構成でもよいし、図18に示すように、感光体1Yの手前側フランジに支持させて感光体側に設けてもよい。
【0067】
また、感光体1Yまたは遊星機構200Yによって増速された箇所の回転を検出する回転検出手段たる回転検出器を設け、この回転検出器からの信号から感光体1Yの駆動状態を計測して駆動モータ101Yを制御してもよい。
図19に示すように、フライホイール106Yの手前側側面に検出軸41Yを設ける。検出軸41Yは、検出軸41Yの軸中心とフライホイール106Yの回転中心とが合うようにフライホイール106Yに取り付けられている。検出軸41Yの手前側端部には、検出軸41Yの回転を検出する回転検出器40Yが取り付けられている。回転検出器40Yとしては、例えば光学エンコーダやタコジェネレータなどが挙げられる。駆動源制御手段たる制御部80Yは、計算部81Yやドライバ部82Yなどを備えている。
回転検出器40Yで検出された回転信号は制御部80Yの計算部81Yにおくられ、必要な換算や目標値との比較が行われる。計算部81Yからは、その時の負荷状況や変動状況に応じた駆動指令信号が出力され、ドライバ部82Yに送られる。ドライバ部82Yでは入力された駆動指令信号に基づいて駆動モータ101Yの回転数を決定し、駆動モータ101Yを制御する。
【0068】
図19に示す構成においては、回転検出器40Yは、遊星機構で増速された箇所の回転を検出するので、遊星機構で増速されていない箇所の回転を検出する場合に比べて、感光体1回転当りの回転検出器40Yからの信号数を容易に増やすことができる。このように、感光体1回転当りの信号数を増やすことができるので、感光体の回転速度の検出精度を高めることができ、高精度なフィードバック制御が可能となる。
【0069】
回転検出器40Yの回転検出箇所は、図19に示す箇所に限られない。例えば、図20や図21に示すように、遊星歯車の自転を検出してもよい。
図20においては、遊星歯車202cYの手前側側面に図22に示すような無反射部42aYと全反射部42bYとが交互に形成されたパターンを有するス被検出部たるスケール42Yを設け、第1手前側側板111Yにパターンと対向するように図23に示すような
検出部たるスケール検出器43Yを設ける。なお、図22では、スケール42Yは、直線状に見えるが、実際は、リング状に形成されたものである。図23に示すスケール検出器43Yは発光部43aYと受光部43bYとから構成された反射型光学センサである。
【0070】
まず、図23(a)に示すように、パターンの無反射部42aYがスケール検出器43Yと対向した場合は、発光部43aYから発光された光Lはスケール42Y上の無反射部42aYに当たる。しかし、反射されないため、受光部43bYには光は入って来ず、『光がない』という信号をスケール検出器43Yは得る。一方、図23(b)に示すように、パターンの全反射部42bYがスケール検出器43Yと対向した場合は、発光部43aYから発光された光Lはスケール42Y上の全反射部42bYに当たるため、反射して受光部43bYに光が入ってくる。そのため、スケール検出器43Yは『光が有る』、という信号を得る。これらを繰り返す事で連続的にパターン信号を読み取って、遊星歯車202cYの自転情報を得る事が可能となる。
【0071】
また、図21に示すように、遊星軸204aYを第1手前側側板111Yに回転自在に支持し、この遊星軸204aYの感光体側先端に遊星歯車202aYを遊星軸204aYに対して回転不能に固定する。また、遊星軸204aYのフライホイール側端部に、回転検出器40Yを取り付ける。この図21の構成においては、第1手前側側板111Yに回転自在に支持された遊星軸204aYは、感光体1Yを駆動させたとき、遊星歯車202aYとともに回転する。よって、回転検出器40Yで遊星軸204aYの回転を検出することで遊星歯車202aYの自転情報を得ることが可能となる。
【0072】
また、図21、図22に示す例では、3つの遊星歯車のうちのひとつの遊星歯車の自転を検知しているが、各遊星歯車の自転を検知し、各遊星歯車の自転を平均化してもよい。
【0073】
遊星歯車の回転速度は、感光体1Yよりも外輪部202aYのギヤの歯数と遊星歯車の歯数との比分増速される。よって、遊星機構で増速されていない箇所の回転を検出する場合に比べて、感光体1回転当りの回転検出器からの信号数を容易に増やすことができ、感光体の回転速度の検出精度を高めることができ、高精度なフィードバック制御が可能となる。
【0074】
また、変形例2の遊星機構220Yの場合においては、図24に示すように、遊星歯車の公転を回転検出器で検知してもよい。
図24に示す回転検出器40Yは、図25に示すようなリング状のスケール部材44Yと、スケール検出器43Yとで構成されている。
スケール部材44Yの感光体側側面には、円周方向等間隔に3箇所結合軸45aY,45bY,45cYが設けられており、これら結合軸45aY,45bY,45cYは、それぞれ、遊星歯車202aY,202bY(不図示),202cYの遊星軸が軸受を介して嵌合してしている嵌合穴に軸受を介して嵌合している。スケール部材44Yのフライホイール側の側面には、先の図22に示したようなパターンが形成されている。
スケール検出器43Yは、スケール部材44Yに形成されたパターンと対向するように、第1手前側側面111Yに固定されている。
【0075】
感光体1Yが駆動すると、変形例2の遊星機構220Yにおいては、遊星歯車202aY,202bY,202cYは、自転しながら出力軸203Yの軸中心を中心として公転する。遊星歯車202aY,202bY,202cYが公転すると、スケール部材44Yが回転し、スケール検出器43Yが遊星歯車の公転を検出する。
【0076】
感光体1Yに形成された遊星歯車の公転を検出することで、直接感光体の回転情報を得ることができる。よって、例えば、遊星歯車と外輪内周面のギヤ歯と噛み合い振動などの不必要な速度変動が検出されることがなく、感光体1Yのみの回転情報を得る事ができる。
【0077】
さらに、図26に示すように、遊星機構の外輪部201Yの回転を検出してもよい。
図26に示す構成においては、外輪部201Yの端面に先の図22に示したようなスケール42Yを設け、第1手前側側板111Yにスケール42Yに形成されたパターンと対向するように、図23に示したようなスケール検出器43Yを設ける。
感光体1Yが回転駆動すると、外輪部201Yが回転して、スケール検出器43Yが外輪部201Yの回転を検出する。この図26の構成においては、感光体1Yに形成された外輪部201Yの回転を検出することで、例えば、遊星歯車と外輪部内周面のギヤ歯と噛み合い振動などの不必要な速度変動が検出されることがない。よって、感光体1Yのみの回転情報を得る事ができる。
【0078】
本実施形態においては、駆動モータ101Yの1回転周期変動あたりから高周波の周期変動に対してはフライホイール効果により振動は十分に低減されている。そのため、低減が必要な周期変動は感光体1Yの1回転周期などとなり、一般的に知られているロータリーエンコーダを用いると不必要に高性能であり、製品のコストアップにつながってしまう。そこで、ロータリーエンコーダを用いずに、感光体1Yの(1/4)回転毎に1パルスの信号は発信する低分解能の回転検出器を用いて感光体1Yの1回転周期変動を検出するようにしてもよい。
【0079】
図35は、上記低分解能の回転検出器400Yの概略構成図である。
この回転検出器400Yは、外輪部201Yの端面に4箇所等間隔で被検出部たる4つの反射板401aY,401bY,401cY,401dYを有している。また、先の図26と同様に、第1手前側側板111Yに各反射板401aY〜401dYと対向するように、図23に示したようなスケール検出器43Yを設ける。
【0080】
以下、上記低分解能の回転検出器400Yを用いた感光体1回転周期変動の検出方法について、説明する。
まず、制御部80Yは、駆動モータ101Yを所定の回転速度で回転させ、適当なタイミングで、検知された反射板を基準位置と設定する。また、計算部81Yに内臓されているカウンタを0に設定して、時間計測を開始する。なお、以下の説明では、反射板401aYが、第1基準位置と設定され、反射板401bYが第2基準位置と設定されたとして説明する。スケール検出器43Yは、反射板の通過時に計算部へパルス信号を出力し、計算部81Yはパルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間を記憶手段たるデータメモリに記憶する。本実施形態においては、図35に示すように、t1、t2、t3の時間が、データメモリに記憶される。
【0081】
また、計算部81Yのデータメモリには、予め回転検出器400Yの反射板401の数記憶しておき、パルス信号の数が反射板401の数となったら、第1基準位置を検出したとしてタイマカウンタをリセットする。
【0082】
次に、計算部81Yは、データメモリに記憶されたt1、t2、t3を用いて、感光体1Yの回転速度変動の算出を行う。具体的には、感光体1Yの1回転の回転速度変動の振幅Aと、第1基準位置を基準とした初期位相αを算出する。
感光体1Yの回転速度変動の振幅Aと位相αは、次の3つのから求める。すなわち、第1基準位置(時間0)を基準として、2つの反射板で構成する第1区間(図35における反射板401aYから反射板401cYまでの区間)の回転時間t2。第2基準位置を基準として、2つの反射板で構成する第1区間とは位相が異なる第2区間(図35における反射板401bYから反射板401dYの区間)の回転時間(t3−t1)。予めデータメモリに記憶された感光体の平均角速度ωである。
【0083】
まず、感光体1Yの1回転の回転速度変動ωを以下のように規定する。
【数1】

【0084】
ここで、第1区間において、感光体1Yが半回転(πラジアン回転)したことから以下の関係が成り立つ。
【数2】

【0085】
また、第2区間においても、数2と同様に積分範囲が異なる形で以下の式が成立する。
【数3】

【0086】
数2、数3を変形し導出される以下に示す方程式を解くことで、感光体1Yの回転速度変動成分の振幅Aと位相αが求められる。
【数4】

【0087】
上式数4は、左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これにより、感光体1Yの回転速度変動の振幅Aと基準位置を基準とした位相αが求められる。実際には、数4のみが計算部81Yのデータメモリに保存されており、数4に計測時間(t1、t2、t3)および平均角速度ω0を代入することで、振幅A、位相αを求める。
【0088】
この振幅Aと位相αの演算処理終了後、数値をデータメモリに記憶する。
【0089】
計算部81Yは、振幅A、位相α、平均角速度ω0から、数1に示した感光体1Yの1回転の回転速度変動と逆位相の波形を作り出し、スケール検出器43Yが基準位置(反射板401aY)を検知したら、作り出した波形に基づき、ドライバ部82Yへ駆動指令信号を出力する。そして、ドライバ部82Yは、駆動指令信号に基づいて駆動モータ101Yの回転数を決定し、駆動モータ101Yを制御する。
【0090】
また、本実施形態では、第1区間および第2区間の検出区間を感光体の半回転(π[rad]にして、第1区間と第2区間の位相差を(π/2)[rad]にしているが、これに限られない。しかし、検出区間をπにして、第2区間と第2区間の位相差を(π/2)とすることで、計算を単純化することができ、好ましい。
【0091】
また、ここでは、スケール検出器43Yを一つだけ用いた構成について説明したが、スケール検出器43Yを180°位相の異なる箇所にもうひとつ設けてもよい。こちらでも、上記と同様にして感光体1Yの回転速度変動成分の振幅Aと位相αとの算出を行う。すなわち、基準位置(反射板401a)から反射板401cまでの第1区間の時間と、第2基準位置(反射板401b)から反射板401dまでの第2区間の時間と、平均角速度ω0に基づいて、感光体1周期の回転速度変動の位相と振幅とを算出するのである。各反射板の取り付け位置(感光体の軸中心からの距離)やスケール検出器43Yの取り付け位置(感光体の軸中心からの距離)が同じであれば、一方のスケール検出器で検出した時間に基づいて算出した感光体1回転の速度変動と、他方のスケール検出器で検出した時間に基づいて算出した感光体1回転の速度変動とに差がでることはない。一方、各反射板の取り付け位置や、各スケール検出器に取り付け誤差があった場合には、算出した感光体1回転の速度変動が異なる。各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差は、感光体1回転を1周期の速度変動として現れる。また、一方のスケール検出器で検出した時間に基づき算出した感光体1回転周期の速度変動に含まれる各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差の成分と、他方のスケール検出器で検出した時間に基づき算出した感光体1回転周期の速度変動に含まれる各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差の成分とは、180°(半周期)位相が異なっている。よって、一方のスケール検出器で検出した時間に基づき算出した感光体1回転周期の速度変動と、他方のスケール検出器で検出した時間に基づき算出した感光体1回転周期の速度変動とを平均化すれば、一方のスケール検出器で検出した各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差の成分と、他方のスケール検出器で検出した各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差の成分とが相殺される。これにより、感光体の偏心による速度変動を精度よく算出することができる。なお、この例では、180°位相の異なる位置にスケール検出器を設けたが、厳密に180°でなくてもかまわず、また、180°でなくても構わない。しかし、180°位相を異ならせることで、簡単に各反射板の取り付け誤差や各スケール検出器の取り付け誤差の成分を除去できるので好ましい。
【0092】
上記では、外輪部201Yの回転を低分解能の回転検出器400Yで検知して、感光体1Yの1回転の速度変動を検知しているが、先の図20に示したように、遊星部202の自転を低分解能の回転検出器400Yで検知して、感光体1Y一回転の速度変動を検知することも可能である。
【0093】
図36は、遊星部202の自転から感光体(1/4)回転毎に回転検出器400Yがパルス信号を出力できるメカニズムについて説明する図である。なお、この図36においては、遊星歯車202の歯数を20、外輪部201Yの歯数を80にしている。
図に示すように、遊星部202の自転を検知する回転検出器400Yは、遊星歯車202cYの手前側側面に一つ設けられた反射板401と、図20と同様に第1手前側側板111Yに反射板401Yと対向するように図23に示すような反射型光学センサからなるスケール検出器43Yとを有している。なお、図中Kは、感光体1Yの基準位置を示す。
【0094】
図36に示すように、遊星歯車202cYが一周し、再び反射板401Yが、スケール検出器43Yにより検出され、パルス信号が出力されたとき、感光体1Yは、(1/4)回転している。よって、この回転検出器400Yにおいても、感光体1Yが(1/4)回転する毎に1パルスの信号を発信することができる。その結果、上述同様、基準位置から感光体が(1/4)回転したときの時間t1,基準位置から感光体が(1/2)回転したときの時間t2,基準位置から感光体が(3/4)回転したときの時間t3,を計測することでき、上述と同様にして、感光体1Yの1回転の速度変動の振幅Aと位相αとを算出することができる。
【0095】
なお、上述では、遊星歯車機構について説明したが、遊星摩擦車機構摩であっても同様の考え方が適用可能である。また、径比(遊星摩擦車機構の場合)あるいは歯数(遊星歯車機構の場合)がきれいに割り切れない数だとしても、反射板の数を増やすなどして、上記t1、t2、t3が得られる構成にできれば問題ない。さらに、感光体1Yが(1/4)回転するまでの間に遊星歯車202cYが半回転しかしない場合などのときなどは、反射板401Yの数を増やすことで、対応することができる。
【0096】
また、ここでは、スケール検出器43Yを一つだけ用いた構成について説明したが、スケール検出器43Yをおおよそ180°位相の異なる箇所にもうひとつ設けてもよい。そして、上述と同様にして、一方のスケール検出器43Yで検出した時間に基づいて算出した感光体速度変動と、他方のスケール検出器43Yで検出した時間に基づいて算出した感光体速度変動とを用いて、反射板の取り付け誤差や、スケール検出器43Yの取り付け誤差の成分を、相殺させ、感光体の偏心による速度変動成分を算出する。これにより、正確に感光体1Yのみによる1回転変動周期を求めるようにしてもよい。
【0097】
また、図37に示すように、出力軸203Yの回転を低分解能の回転検出器400Yで検知して、感光体1回転の速度変動を検知することも可能である。
図37に示すように、低分解能回転検出器は、出力軸203Yに一つ設けられた反射板401Yと、第1手前側側板111Yに反射板401Yと対向するように図23に示すような反射型光学センサからなるスケール検出器43Yとを有している。
図38は、出力軸203Yの回転から感光体(1/4)回転毎に回転検出器がパルス信号を出力できるメカニズムについて説明する図である。なお、この図38においては、出力軸203Yの歯数を20、外輪部201Yの歯数を80にしている。
図38に示すように出力軸203Yが一周し、再び反射板401Yが、スケール検出器43Yにより検出され、パルス信号が出力されたとき、感光体1Yは、(1/4)回転している。よって、この回転検出器400Yにおいても、感光体が(1/4)回転する毎に1パルスの信号を発信することができる。その結果、上述同様、基準位置から感光体が(1/4)回転したときの時間t1,基準位置から感光体が(1/2)回転したときの時間t2,基準位置から感光体が(3/4)回転したときの時間t3,を計測することでき、上述と同様にして、感光体1Yの1回転の速度変動の振幅Aと位相αとを算出することができる。
【0098】
なお、遊星摩擦車機構であっても同様の考え方が適用可能である。また、径比あるいは歯数がきれいに割り切れない数だとしても、反射板の数を増やすなどして、上記t1、t2、t3が得られる構成ならば問題はない。さらに、感光体1Yが(1/4)回転するまでの間に出力軸203Yが半回転しかしない場合などのときなどは、反射板401Yの数を増やすことで、対応することができる。
【0099】
また、図39、図40に示すように、遊星歯車202Yの公転を低分解能の回転検出器400Yで検知して、感光体1回転の速度変動を検知することも可能である。
この場合は、図40に示すように、遊星歯車202Yを4個設けてあり、各遊星歯車202aY,202bY,202cY,202dYの中心にそれぞれ反射板401aY,401bY,401cY,401dYを設ける。そして、図39に示すように、第1手前側側板111Yに反射板401と対向するように図23に示すような反射型光学センサからなるスケール検出器43Yを取り付ける。このように構成することで、感光体1Yが回転すると、各遊星歯車各遊星歯車202aY,202bY,202cY,202dが公転し、遊星歯車の軸中心が、感光体1Yが(1/4)回転するごとに、スケール検出器43Yを通過していく。その結果、スケール検出器43Yが、感光体1Yが(1/4)回転する毎に1パルスの信号を発信し、上述同様、基準位置から感光体1Yが(1/4)回転したときの時間t1,基準位置から感光体が(1/2)回転したときの時間t2,基準位置から感光体1Yが(3/4)回転したときの時間t3,を計測することできる。よって、上述と同様にして、感光体1Yの1回転の速度変動の振幅Aと位相αとを算出することができる。
【0100】
また、その他の構成として、一つの遊星歯車の回転中心に反射板401Yを設け、スケール検出器43Yを円周方向に4箇所等間隔に配置することでも、感光体(1/4)回転毎にパルス信号を発信することができる。また、遊星歯車202Yが5つ以上のものや3つ以下の場合でも、反射板401Yの数、スケール検出器43Yの数および配置を工夫することで、感光体(1/4)回転毎にパルス信号を発信することができる。
【0101】
また、回転検出器400Yのスケール検出器43Yとして、透過型光学センサを用いることも可能である。
図41は、透過型光学センサを用いた例を示す概略構成図である。
図41に示すように、外輪部201の端部に円周方向等間隔で突起部を設ける。透過型光学センサ431Yは、図42に示すように、発光部431aYと受光部431bYとが所定の間隔を有して対向している。そして、図42(a)に示すように、突起部421Yが発光部431aYと受光部431bYとの間にないときは、発光部431aYの光を受光部431bYが受光し、スケール検出器43Yは『光が有る』、という信号を得る。一方、図42(b)に示すように、突起部421Yが、発光部431aYと受光部431bYとの間にあるときは、突起部421Yが発光部431aYの光を遮るので、スケール検出器43Yは『光がない』、という信号を得る。低分解能回転検出器400Yにおいては、このような突起部421Yを円周方向に等間隔で4箇所設けておき、計算部81Yは、『光がない』という信号に基づいて、t1、t2、t3を計測すればよい。また、このような突起部421Yをリング状に形成し、円周方向に等間隔で4箇所切り欠きを設けた構成でもよい。この場合は、計算部81Yは、『光がある』という信号に基づいて、t1、t2、t3を計測すればよい。
【0102】
また、図43に示すように、スケール検出器として、磁力の変化を検出することが可能な磁気センサ440Yを用いてもよい。磁気センサ440Yは、磁性材料で構成された芯441Yに対してコイル442Yが巻いてある構成となっている。そして、図41に示した突起部421Yに磁力を持たせておく。磁力を持った突起部421Yを通過すると、磁力変化が発生してコイル442Yに流れる電流に変化が生じる。これを利用する事で、t1、t2、t3を計測することができる。また、図43では、突起部421YがN極の帯磁しているが、S極でも構わない。
【0103】
また、本実施形態の遊星機構は、歯車を用いて駆動力を伝達する遊星歯車機構について説明したが、摩擦力により駆動力を伝達する遊星摩擦車機構を用いてもよい。遊星摩擦車機構の場合は、遊星摩擦車が、外輪部の内周面と出力軸の外周面とに圧接した構成となっている。遊星摩擦車機構が、図4に示す構成の場合は、外輪部の内径と出力軸の外径との径比分増速されることになる。また、遊星摩擦車機構が、図10に示す変形例2の構成の場合は、(出力軸の外径+外輪部の内径)/(出力軸の外径)分増速される。また、遊星摩擦車機構が、図14に示す変形例3の構成の場合は、第1遊星摩擦車の外径と第2遊星摩擦車の外径および第1外輪部の内径と第2外輪部の内径を異ならせる。そして、第1遊星摩擦車が1公転するときの自転数と、第2遊星摩擦車が1公転するときの自転数と差(第2遊星摩擦車が、第1遊星摩擦車と同じ自転数となるために必要な、第2外輪部の内径の移動距離)分増速される。
【0104】
また、本実施形態の駆動装置は、回転体たる現像ロール51を駆動する駆動装置や回転体たる定着ローラ20aを駆動する駆動装置、回転体たる中間転写ベルト8を駆動する駆動装置などにも適用することができる。
【0105】
以上、本実施形態の駆動装置によれば、回転慣性体たるフライホイールを回転体たる感光体の駆動源側と反対側に配置している。これにより、感光体の速度変動が生じた際に、駆動源たる駆動モータの駆動力による感光体の駆動源側の回転軸がねじれ振動するとともに、フライホイールの慣性力による感光体の駆動源側と反対側の回転軸もねじれ振動する。そして、駆動モータの駆動力による駆動側回転軸のねじれ振動の周期に対して、フライホイールの慣性力によるフライホイール側回転軸のねじれ振動の周期が半周期ずれるよう、慣性力や駆動モータの駆動力を設定すれば、駆動側回転軸のねじれ振動とフライホイール側の回転軸のねじれ振動を打ち消し合うことができる。その結果、感光体の回転速度が変動したときに、回転軸のねじれ振動によって、速度変動が悪化するのを抑制することが可能となり、良好な感光体の速度変動の低減を実現することができる。
また、遊星機構の箇所で、感光体が装置に対して分離できるよう構成したので、感光体の回転軸と遊星機構とを連結するためのカップリングを不要にすることができる。その結果、カップリングを設けて、カップリングで感光体を装置に対して分離できるようにしたものに比べて、部品点数を削減でき、装置を安価にすることができる。
【0106】
また、変形例1に示すように、出力軸の軸中心と感光体の軸中心とが合うように、出力軸を感光体に対して回転可能に嵌合させることで、フライホイールの偏心によるフライホイールの速度変動を抑制することができる。よって、フライホイールの速度変動によって感光体が速度変動してしまうのを抑制することができ、感光体を安定して回転させることができる。
【0107】
また、フライホイールと感光体とを分離したとき、遊星機構を構成する部品の一部が、装置本体側にあるよう構成している。よって、感光体側に全ての遊星機構を備えるものに比べて、感光体交換時に感光体とともに交換される部品点数を削減することができる。これにより、感光体ユニットを安価にすることができる。
【0108】
また、遊星機構の太陽部にフライホイールを取り付け、太陽部を出力軸とすることで、太陽部に出力軸を噛み合せた構成に比べて、部品点数を削減することができる。また、出力軸と太陽部との間の駆動伝達が歯車機構の場合は、バッックラッシュや、歯形精度により、噛み合い振動が発生するし、出力軸と太陽部との間の駆動伝達が摩擦機構の場合は滑りが発生する。その結果、フライホイールの慣性力で感光体を回転させようとした場合に出力軸と太陽部との間の噛み合い振動や滑りなどにより、感光体の安定的な回転を阻害してしまうおそれがある。しかし、太陽部を出力軸とすることで、出力軸と太陽部との間の駆動伝達時に生じる噛み合い振動や滑りなどが生じることがない。これにより、感光体を安定して回転させることができる。
【0109】
また、外輪部を感光体に設けることで、装置本体に設けた遊星歯車に向かって軸方向に感光体に設けた外輪部を相対的にスライドさせれば、遊星歯車と外輪部とで感光体とフライホイールとを連結することができる。
【0110】
また、遊星歯車を回転可能に支持する支持軸たる遊星軸を装置本体に対して所定量揺動可能に取り付ける。感光体が斜めの状態で感光体を装置本体に取り付けようとした場合、感光体側に出力軸がある場合は、出力軸が遊星歯車と当接して遊星歯車を押圧する。また、感光体側に外輪部のみがある場合は、外輪部が遊星歯車当接して遊星歯車を押圧する。このように、出力軸や外輪部が遊星歯車を押圧する場合、装置本体に対して所定量揺動可能に取り付けた遊星軸が揺動して、遊星歯車を押圧方向に移動させることができる。これにより、感光体側に設けられた出力軸や外輪部をフライホイール側へスムーズに移動させることができ、感光体とフライホイールとの連結をスムーズに行うことができる。
【0111】
また、変形例2に示すように、遊星歯車を感光体に設けてもよい。このような構成でも、装置本体に設けた外輪部に向かって軸方向に感光体に設けた遊星歯車を相対的にスライドさせれば、遊星歯車と外輪部とで感光体とフライホイールとを連結することができる。
【0112】
また、回転検出手段たる回転検出器の検出結果に基づいて、駆動モータを制御することで、感光体の速度変動をより一層抑制することができる。
【0113】
また、回転検出器のパルス信号に基づいて、第1基準位置から感光体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、第1基準位置から所定角度進んだ第2基準位置から感光体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、を求める。そして、求めた回転時間と、予め記憶手段に記憶されている感光体の平均回転速度ω0と、感光体の回転速度変動を規定した数1に示す振幅A及び位相αを未知のパラメータとして含む正弦波関数とを用いて連立方程式を立てて、解くことで感光体の回転速度変動の振幅と位相とを導出できる。
本実施形態においては、第1基準位置、第1基準位置から感光体が規定回転角回転したとき、第2基準位置、第2基準位置から感光体が規定回転角回転したときに、パルス信号を発生するようなエンコーダを用いればよいので、感光体1回転の間に数回パルス信号を発するような低分解能の回転検出器を用いることが可能となる。よって、微小回転毎にパルス信号を発生させるロータリーエンコーダなどの高分解能の回転検出器を用いるものに比べて、安価にすることができる。
【0114】
また、規定回転角をπ[rad]とし、第2基準位置は、第1基準位置に対して(π/2)[rad]進んだ位置とすることで、計算を単純化することができ、計算部の負荷を低減することができる。
【0115】
そして、回転検出手段としての回転検出器として、回転体(1/4)回転毎にひとつのパルス信号を発信する回転検出器を用いることで、第1基準位置からπ[rad]進むまでの時間(t2)と、第2基準位置からπ[rad]進むまでの時間(t3−t1)とを回転検出器のパルス信号から求めることができる。
【0116】
また、回転検出器は、出力軸の回転を検出することで、感光体の回転速度よりも増速した箇所の速度を検出することができる。これにより、感光体1回転あたりのパルス数を容易に増やすことができ、感光体の回転速度の検出精度を上げることができる。
【0117】
また、遊星歯車の自転を回転検出器で検出してもよい。遊星歯車の自転は感光体よりも外輪部のギヤの歯数と遊星歯車の歯数との比分増速される。よって、遊星歯車の自転を回転検出器で検出した場合も、感光体1回転あたりのパルス数を容易に増やすことができ、感光体の回転速度の検出精度を上げることができる。また、遊星歯車が複数ある場合、各遊星歯車の自転を検出して、平均化処理も行うことができる。
【0118】
さらに、遊星歯車の公転を回転検出器で検出してもよい。感光体に形成された遊星歯車の公転を検出することで、直接感光体の回転情報を得ることができる。よって、例えば、遊星歯車と外輪内周面のギヤ歯と噛み合い振動などの不必要な速度変動が検出されることがなく、感光体1Yのみの回転情報を得る事ができる。
【0119】
さらに、外輪部が感光体側にある構成の場合には、外輪部の回転を回転検出器で検出してもよい。外輪部の回転を検出することで、感光体の回転速度を直接検知することができる。よって、例えば、遊星歯車と外輪部との噛み合い振動などの影響を受けることがないので、正確な感光体の速度を検出することが可能となる。
【0120】
また、回転検出器の検出部たるスケール検出器として光学センサを用いることで、被検出部として、反射板などの安価な構成部品の追加で、回転の検出が可能となる。
【0121】
また、回転検出器を、周方向に複数の磁力の異なる部分を有する被検出部と、検出部として磁力の変化を検出することが可能な磁気センサとで構成してもよい。磁気センサを用いることで、センサにトナーなどが付着しても、光学センサに比べて検出を良好に回転を検出することができる。
【0122】
また、被検出部を、周方向に複数の凸部あるいは切り欠き部とすることで、検出対象に加工を施して、形成が可能となり、部品点数を増やすことなく、被検出部を形成することができる。
【0123】
また、遊星機構として、遊星摩擦機構を用いることで、遊星摩擦車機構のようにバックラッシュなどが生じることがない。
【0124】
また、遊星機構として、遊星摩擦車機構を用いることで、遊星摩擦機構を用いた場合に生じる滑りが発生することがない。
【0125】
また、感光体を安定的に回転させることができ、画像品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0126】
1Y,1M,1C,1K:感光体
40Y:回転検出器
41Y:検出軸
43Y:スケール検出器
44Y:スケール部材
101Y:駆動モータ
106Y:フライホイール
111Y:第1手前側側板
112Y:第2手前側側板
200Y,210Y,220Y,230Y:遊星機構
201Y:外輪部
202aY,202bY,202cY:遊星歯車
203Y:出力軸
206Y:キャリア部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特許第3013779号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体を駆動する駆動源と、
前記回転体の速度変動を抑制するための回転慣性体とを備えた駆動装置において、
前記回転慣性体を、前記回転体を挟んで前記駆動源と反対側に配置し、
外輪部と、外輪部内に設けられた太陽部と、外輪部と太陽部との間に設けられた複数の遊星部とで少なくとも構成され、前記回転体と前記回転慣性体との間で角速度を増速して前記回転慣性体へ伝達する遊星機構を設け、
前記遊星機構で、前記回転体が装置本体に対して分離できるよう構成したことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1の駆動装置において、
前記回転慣性体が取り付けられ、前記遊星機構によって増速される出力軸の軸中心と、前記回転体の軸中心とが合うように、前記出力軸を、前記回転体に対して回転可能に嵌合させたことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2の駆動装置において、
前記遊星機構を構成する部品の一部を前記回転体に設け、
前記遊星機構を構成する残りの部品を装置本体に設け、
前記回転体に設けた部品と、前記装置本体側に設けた部品との間で、前記回転体を装置本体に対して分離することを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3の駆動装置において、
前記太陽部に前記回転慣性体を取り付けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項3または4の駆動装置において、
前記外輪部を前記回転体に設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項5の駆動装置において、
前記遊星部は、装置本体に設けられた支持軸に回転可能に支持されており、
前記支持軸を、装置本体に対して所定量揺動可能に取り付けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項3または4の駆動装置において、
前記遊星部を前記回転体に設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの駆動装置において、
前記回転体または前記遊星機構の回転を検出する回転検出手段を設け、
前記回転検出手段の検出結果に基づいて、前記駆動源を制御する駆動源制御手段を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項8の駆動装置において、
前記駆動制御手段は、前記回転検出手段のパルス信号に基づいて、第1基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、前記第1基準位置から所定角度進んだ第2基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、を求め、
予め記憶手段に記憶された前記回転体の平均回転速度と、前記第1基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、前記第2基準位置から前記回転体が規定回転角だけ回転するときの回転時間と、に基づいて、前記回転体一回転の回転速度変動を算出し、
算出した速度変動に基づいて、前記駆動源を制御することを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項9の駆動装置において、
前記規定回転角をπ[rad]とし、前記第2基準位置は、前記第1基準位置に対して(π/2)[rad]進んだ位置であることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項10の駆動装置において
前記回転検出手段として、前記回転体(1/4)回転毎にひとつのパルス信号を発信する回転検出手段を用いたことを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項8乃至11の駆動装置において、
前記回転検出手段は、前記回転慣性体が取り付けられ、前記遊星機構によって増速される出力軸の回転を検出することを特徴とする駆動装置。
【請求項13】
請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、
前記回転検出手段は、前記遊星部の自転を検出することを特徴とする駆動装置。
【請求項14】
請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、
前記回転検出手段は、前記遊星部の公転を検出することを特徴とする駆動装置。
【請求項15】
請求項5の構成を備えた請求項8乃至11いずれかの駆動装置において、
前記回転検出手段は、前記外輪部の回転を検出することを特徴とする駆動装置。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれかの駆動装置において、
前記遊星機構として、遊星摩擦車機構を用いたことを特徴とする駆動装置。
【請求項17】
請求項1乃至16いずれかの駆動装置において、
前記遊星機構として、遊星歯車機構を用いたことを特徴とする駆動装置。
【請求項18】
回転体を備えた画像形成装置において、
前記回転体を回転駆動させる駆動装置として、請求項1乃至17いずれかひとつに記載の駆動装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項18の画像形成装置において、
前記回転体が像担持体であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2010−55055(P2010−55055A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66283(P2009−66283)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】