説明

駆動装置及びこれを備えた撮像装置

【課題】 より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動可能な駆動装置及びこれを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 磁力検出部3を可動部4により保持し、当該可動部4を磁界発生部材1におけるN極及びS極の配列方向Zに対して同一面内で交差する方向X,Yへスライド可能に保持する。磁界発生部材1と磁力検出部3との相対距離が長くなるY方向に可動部4が移動すれば、磁力検出部3で検出される磁力の振幅が減少し、磁界発生部材1と磁力検出部3との相対距離が短くなるX方向に可動部4が移動すれば、磁力検出部3で検出される磁力の振幅が増大する。したがって、可動部4の移動に伴って変化する磁力の振幅に基づいて可動部4のスライド方向を検出し、その検出結果に基づいて駆動部7が可動部4をスライドさせることにより、より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びこれを備えた撮像装置に係り、さらに詳しくは、磁力を検出することにより、その検出される磁力に基づいて駆動可能な駆動装置及びこれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの各種撮像装置に用いられる駆動装置として、ズームレンズやフォーカスレンズといった光学レンズを駆動軸上に保持し、当該駆動軸に沿って光学レンズを移動させることができるようになっているものがある。このような駆動装置の中には、N極及びS極が駆動軸に対して平行方向に配列された磁界発生部材を備え、この磁界発生部材から発生する磁力を検出することにより、その検出される磁力に基づいて光学レンズを移動させることができるようになっているものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されている技術では、駆動軸に沿って光学レンズが移動するのに伴い、駆動軸に対して平行方向に磁界発生部材が移動し、この磁界発生部材から発生する磁力の変化を固定されたセンサで検出することにより、光学レンズを位置決めすることができるようになっている。
【特許文献1】特開2006−214736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているような構成では、光学レンズを高精度で位置決めするために複数のセンサを設けなければならないため、製造コストが高くなるといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動可能な駆動装置及びこれを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明による駆動装置は、N極及びS極が一直線上に交互に配列された磁界発生手段と、上記磁界発生手段から発生する磁力を検出する磁力検出手段と、上記磁界発生手段又は上記磁力検出手段を保持し、上記N極及びS極の配列方向に対して同一面内で交差する一直線上でスライド可能な保持手段と、上記保持手段がスライドしているときに上記磁力検出手段で検出される磁力の極大値及び極小値に基づいて、磁力の振幅を算出する振幅算出手段と、上記振幅算出手段により算出される振幅の変化に基づいて、上記保持手段のスライド方向を検出するスライド方向検出手段と、上記スライド方向検出手段の検出結果に基づいて、上記保持手段をスライドさせる駆動手段とを備えて構成される。
【0007】
このような構成によれば、磁界発生手段のN極及びS極の配列方向と保持手段のスライド方向とが同一面内で交差しているので、保持手段がスライドするのに伴い、磁力検出手段で検出される磁力の振幅が変化する。すなわち、磁界発生手段と磁力検出手段との相対距離が長くなる方向に保持手段が移動すれば、磁力検出手段で検出される磁力の極大値及び極小値の差が小さくなるので振幅が減少し、磁界発生手段と磁力検出手段との相対距離が短くなる方向に保持手段が移動すれば、磁力検出手段で検出される磁力の極大値及び極小値の差が大きくなるので振幅が増大する。
【0008】
したがって、保持手段の移動に伴って変化する磁力の振幅に基づいて保持手段のスライド方向を検出し、その検出結果に基づいて駆動手段が保持手段をスライドさせることにより、より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動することが可能である。
【0009】
第2の本発明による駆動装置は、上記構成に加えて、上記保持手段がスライドしているときに上記磁力検出手段で検出される磁力の周期を計数する周期計数手段と、上記周期計数手段により計数される周期及び上記磁力検出手段で検出される磁力に基づいて、上記保持手段の位置を検出する位置検出手段とを備え、上記駆動手段が、上記スライド方向検出手段及び上記位置検出手段の検出結果に基づいて、上記保持手段をスライドさせるように構成される。
【0010】
このような構成によれば、保持手段がスライドしているときに磁力検出手段で検出される磁力の周期を計数し、その計数される周期及び磁力検出手段で検出される磁力に基づいて、保持手段の位置をより高精度で検出することができる。
【0011】
第3の本発明による撮像装置は、請求項1又は2に記載の駆動装置と、光軸が上記スライド方向に対して平行になるように上記保持手段に保持された光学レンズと、上記光学レンズの光軸上において上記スライド方向に対して直交する撮像面を有する撮像手段とを備えて構成される。
【0012】
このような構成によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏する駆動装置を備えた撮像装置を提供することができる。したがって、より少ない磁力検出手段を用いて光学レンズをより高精度で駆動可能な撮像装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保持手段の移動に伴って変化する磁力の振幅に基づいて保持手段のスライド方向を検出し、その検出結果に基づいて駆動手段が保持手段をスライドさせることにより、より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態による駆動装置の一例を示した斜視図である。この駆動装置は、磁界発生部材1、支持板2、磁力検出部3、可動部4、駆動軸5、副軸6、駆動部7及び取付部8を備え、磁界発生部材1から発生する磁力を磁力検出部3で検出し、その磁力に基づいて駆動部7が駆動することにより、可動部4が駆動軸5の軸方向に移動するようになっている。
【0015】
磁界発生部材1は、N極及びS極が一直線上で交互に配列された磁界発生手段であり、N極及びS極の配列方向Zが駆動軸5に対して同一面内で交差するように支持板2により支持されている。磁力検出部3は、磁界発生部材1から発生する磁力を検出する磁気センサなどの磁力検出手段であり、可動部4により保持されている。
【0016】
駆動軸5及び副軸6は、互いに平行に延びるように配置されており、これらの駆動軸5及び副軸6が可動部4により連結されている。より具体的には、可動部4の一端部に形成された圧接部4aが駆動軸5の外周面に圧接されるとともに、他端部に形成された係合部4bが副軸6に対して軸方向にスライド可能に係合されている。副軸6は、駆動軸5よりも磁界発生部材1側に配置されており、可動部4の係合部4b側の端部における磁界発生部材1に対向する位置に、磁力検出部3が取り付けられている。
【0017】
駆動部7は、モータなどを含む駆動手段であり、磁力検出部3の検出結果に基づいて駆動軸5を軸方向に移動させることにより、当該駆動軸5に連結された可動部4及び可動部4に保持された磁力検出部3をX方向又はY方向へスライドさせる。この際、副軸6は、可動部4を安定してスライドさせるためのガイドとして機能する。また、可動部4は、磁力検出部3をZ方向に対して交差する一直線上でX方向又はY方向へスライド可能に保持する保持手段を構成している。駆動部7は、取付部8を介して予め定められた位置に固定される。
【0018】
図2は、磁界発生部材1から発生する磁界の磁束線9について説明するための図である。磁界発生部材1は、それぞれ同一の長さからなるN極1a及びS極1bが、Z方向に交互に配列されることにより形成されている。この磁界発生部材1の周囲には、図2に示すように、各N極1aの中央部から隣接するS極1bの中央部へ磁束線9が向かうような磁界が形成される。このようにして形成される磁束線9上に磁力検出部3が位置した状態では、当該磁力検出部3を通過する磁束線9の本数に応じた電気信号が磁力検出部3から出力されることにより、その位置における磁力を検出することができる。
【0019】
図3は、磁界発生部材1から発生する磁界の強度について説明するための図である。この図3では、発生する磁界の方向を矢印10で示すとともに、その磁界の強度を矢印10の太さで表している。すなわち、磁界の強度が高い位置では太い矢印10、磁界の強度が低い位置では細い矢印10によって、磁界の強度が表されている。
【0020】
図3に示すように、磁界発生部材1から発生する磁界の強度は、N極1a及びS極1bの各中心部a,e,iにおいて最も低く、N極1aとS極1bとの境界部c,gにおいて最も高くなっている。そして、これらの各点の中間部b,d,f,hでは、磁界の強度が中程度となっている。ここで、互いに隣接するN極1a及びS極1bの各中心部a,e,iの距離をλとすると、図3にグラフで示したように、Z方向に沿って2λの一定周期で磁界の強度が変化するようになっている。
【0021】
図4は、磁力検出部3から出力される電圧出力値の変化について説明するための図である。上述した通り、磁界発生部材1におけるN極1a及びS極1bの配列方向Zと、磁力検出部3のスライド方向X,Yとは同一面内で交差している。すなわち、磁界発生部材1の一端側と他端側とで対向する磁力検出部3の距離が異なるような方向に、磁力検出部3がスライド可能に保持されている。そのため、磁力検出部3が磁界発生部材1に近づくX方向へ磁力検出部3をスライドさせたときには、磁力検出部3から出力される電圧出力値の極値が大きくなり、磁力検出部3が磁界発生部材1から遠ざかるY方向へ磁力検出部3をスライドさせたときには、磁力検出部3から出力される電圧出力値の極値が小さくなる。
【0022】
すなわち、磁力検出部3をよりX側へスライドさせたときの電圧出力値の隣接する極大値及び極小値間の振幅W1は、磁力検出部3をよりY側へスライドさせたときの電圧出力値の隣接する極大値及び極小値間の振幅W2よりも大きくなる。したがって、磁力検出部3がスライドしているときの上記振幅の変化に基づいて、磁力検出部3及び当該磁力検出部3を保持している可動部4のスライド方向を検出することができる。
【0023】
図5は、図1の駆動装置が適用された撮像装置の一例を示した斜視図である。図6は、図5に示した撮像装置の正面図である。なお、図5及び図6では、筐体21内の構造を分かりやすくするために、筐体21内の各部材を透視した状態を示している。
【0024】
この撮像装置は、デジタルカメラなどの光学機器に適用され、ズームレンズやフォーカスレンズといった光学レンズ4cを駆動軸5に沿って移動させることができるようになっている。駆動装置は筐体21内に収容されており、当該筐体21内の駆動装置における可動部4によって光学レンズ4cが保持されている。駆動部7は取付部8を介して筐体21に取り付けられ、副軸6は両端部が筐体21に固定されている。また、磁界発生部材1は、支持板2を介して筐体21に固定されている。
【0025】
光学レンズ4cは、その光軸が可動部4のスライド方向X,Yに対して平行になるように保持されており、当該光軸上において上記スライド方向X,Yに対して直交するようにイメージセンサ20の撮像面が形成されている。したがって、駆動部7を駆動させて可動部4をX方向又はY方向へスライドさせることにより、光学レンズ4cとイメージセンサ20との距離を変化させ、ズーム調整やフォーカス調整などを行うことができるようになっている。この例では、光学レンズ4cを保持している可動部4がイメージセンサ20の撮像面から遠ざかるにつれて、当該可動部4に保持されている磁力検出部3との相対距離が短くなるように、磁界発生部材1が傾斜して固定されている。
【0026】
図7は、図5の撮像装置における電気的構成の一例を示したブロック図である。この撮像装置は、AD変換器11、マイクロコンピュータ12、駆動パルス制御部13及びメモリ14を備えている。磁力検出部3から出力される電圧出力値は、AD変換器11によりデジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ12に入力される。
【0027】
マイクロコンピュータ12は、AD変換器11からの入力信号に基づいて、メモリ14に対するデータの書き込みを行うとともに、メモリ14内のデータに基づく制御信号を駆動パルス制御部13へ出力する。駆動パルス制御部13は、マイクロコンピュータ12からの制御信号に基づいて駆動部7にパルス信号を入力することにより、当該駆動部7を駆動させ、可動部4に保持されている光学レンズ4cをスライドさせる制御を行う。
【0028】
図8は、マイクロコンピュータ12の一構成例を示した機能ブロック図である。マイクロコンピュータ12は、極値検出部121、振幅算出部122、スライド方向検出部123、位置検出部124及び周期計数部125によって構成され、これらの各機能ブロックは、マイクロコンピュータ12が実行するコンピュータプログラムにより実現される。
【0029】
極値検出部121は、可動部4がスライドしているときに磁力検出部3から出力される電圧出力値の極大値及び極小値を検出する。すなわち、磁力検出部3から出力される電圧出力値が増加状態から減少状態へ遷移したときには、そのとき取得した電圧出力値を極大値として検出し、磁力検出部3から出力される電圧出力値が減少状態から増加状態へ遷移したときには、そのとき取得した電圧出力値を極小値として検出することができる。極値検出部121は、メモリ14に割り当てられている極値フラグ141を用いて極値を検出する。
【0030】
振幅算出部122は、極値検出部121の検出結果に基づいて、磁力検出部3から出力される電圧出力値の隣接する極大値及び極小値の差を振幅として算出する。この振幅算出部122は、可動部4がスライドしているときに磁力検出部3で検出される磁力の極大値及び極小値に基づいて、磁力の振幅を算出する振幅算出手段である。振幅算出部122は、メモリ14に割り当てられている更新フラグ142を用いて振幅を算出する。
【0031】
スライド方向検出部123は、振幅算出部122により算出される振幅の変化に基づいて、可動部4のスライド方向を検出するスライド方向検出手段である。すなわち、図4において説明した通り、振幅算出部122により算出される振幅が大きくなれば、可動部4のスライド方向がX方向と検出され、振幅が小さくなれば、可動部4のスライド方向がY方向と検出される。
【0032】
位置検出部124は、磁力検出部3から出力される電圧出力値及び周期計数部125からの入力信号に基づいて、可動部4の位置を検出する位置検出手段である。ここで、周期計数部125は、可動部4がスライドしているときに、図3において説明した磁界の強度変化の周期2λを計数する周期計数手段である。すなわち、可動部4がスライドしているときに、磁界の強度変化の周期2λの繰り返し回数を計数することにより、その繰り返し回数と上記周期2λ(例えば、400μm)とに基づいて磁力検出部3の移動距離を算出し、その移動距離と移動前の位置情報とに基づいて磁力検出部3を保持する可動部4の位置を検出することができる。
【0033】
このように、スライド方向検出部123により可動部4のスライド方向を検出するとともに、位置検出部124により可動部4の位置を検出し、これらの検出結果に基づいて駆動パルス制御部13に制御信号を出力することにより、可動部4を所望の目標位置までスライドさせることができる。
【0034】
図9及び図10は、可動部4をスライドさせる際にマイクロコンピュータ12が行う処理の一例を示したフローチャートである。可動部4をスライドさせる際には、まず、メモリ14の極値フラグ141及び更新フラグ142に格納されているデータの他、磁力検出部3から出力される電圧出力値の極大値及び極小値のデータや振幅値のデータ、可動部4の位置情報などが初期化されるとともに、可動部4の初期位置が設定される(ステップS101)。
【0035】
その後、磁力検出部3から一定のサンプリング周期で電圧出力値が取得される(ステップS102)。より高精度で駆動装置を駆動させるためには、上記サンプリング周期は、できるだけ短いことが好ましい。そして、取得した電圧出力値が前回の電圧出力値に対して増加している場合には(ステップS103でYes)、極値フラグ141に「1」が格納される(ステップS104)。一方、取得した電圧出力値が前回の電圧出力値に対して減少している場合には(ステップS103でNo)、極値フラグ141に「2」が格納される(ステップS105)。
【0036】
このとき、極値フラグ141に前回格納されたデータがある場合(ステップS106でYes)、すなわちデータ格納前の極値フラグ141が「0」でない場合には、その前回格納されたデータと今回格納されたデータとが比較される(ステップS107)。そして、極値フラグ141に今回格納されたデータが前回のデータと異なる場合(ステップS107でNo)、すなわち磁力検出部3からの電圧出力値が増加状態と減少状態との間で遷移した場合には、そのとき取得した電圧出力値を極大値又は極小値と判断することができる。
【0037】
この場合、更新フラグ142が「1」だけ加算されるとともに(ステップS108)、極値フラグ141に今回格納されたデータが「1」であるか否かが判定される(ステップS109)。そして、極値フラグ141が「1」である場合(ステップS109でYes)、すなわち磁力検出部3からの電圧出力値が減少状態から増加状態へ遷移した場合には、そのとき取得した電圧出力値が極値検出部121により極小値として検出され、当該極小値がメモリ14に格納される。一方、極値フラグ141が「2」である場合(ステップS109でNo)、すなわち磁力検出部3からの電圧出力値が増加状態から減少状態へ遷移した場合には、そのとき取得した電圧出力値が極値検出部121により極大値として検出され、当該極大値がメモリ14に格納される。
【0038】
これに対して、極値フラグ141に前回格納されたデータがない場合(ステップS106でNo)、すなわちメモリ14の初期化後(ステップS101)に初めて極値フラグ141にデータを格納する場合には、当該データの格納後にステップS102に戻り、次のサンプリング周期で再び磁力検出部3から電圧出力値を取得する。また、極値フラグ141に今回格納されたデータが前回のデータと同一である場合(ステップS107でYes)、すなわち磁力検出部3からの電圧出力値が増加状態と減少状態との間で遷移していない場合にも、当該データの格納後にステップS102に戻り、次のサンプリング周期で再び磁力検出部3から電圧出力値を取得する。
【0039】
このように、磁力検出部3から出力される電圧出力値の極大値又は極小値を検出してメモリ14に格納するといった制御を繰り返し、更新フラグ142が「4」に到達した場合(ステップS112でYes)、すなわち電圧出力値の極大値及び極小値が計4回検出された場合には、振幅算出部122により極大値及び極小値間の振幅が算出される(ステップS113)。より具体的には、直近に検出した極値とその前に検出した極値との差が振幅として算出され、メモリ14に格納される。
【0040】
上記のように、電圧出力値の極大値及び極小値が計4回検出されたとき、すなわち極大値及び極小値が2組検出されたときに振幅を算出するという構成によれば、AD変換器11の変換誤差を排除することができる。ただし、このような構成に限らず、電圧出力値の極大値及び極小値が計2回検出されたとき、すなわち極大値及び極小値が1組検出されたときに振幅を算出するような構成であってもよいし、電圧出力値の極大値及び極小値が計3回以上検出されたとき、すなわち極大値及び極小値が3組以上検出されたときに振幅を算出するような構成であってもよい。
【0041】
振幅算出部122により極大値及び極小値間の振幅が算出され(ステップS113)、その振幅値がメモリ14に格納されると、当該振幅値がメモリ14に前回格納された振幅値と比較される(ステップS114)。そして、今回の振幅値が前回の振幅値よりも大きい場合には(ステップS114でYes)、スライド方向検出部123により可動部4のスライド方向がX方向と検出され(ステップS115)、前回の振幅値よりも小さい場合には(ステップS114でNo)、可動部4のスライド方向がY方向と検出される(ステップS116)。
【0042】
その後、位置検出部124により可動部4の位置が検出され(ステップS117)、その位置が目標位置であれば(ステップS118でYes)、駆動部7の駆動が停止される。一方、可動部4がまだ目標位置に到達していなければ(ステップS118でNo)、ステップS102に戻り、検出した可動部4のスライド方向及び位置に基づいて可動部4をさらにスライドさせつつ、次のサンプリング周期で再び磁力検出部3から電圧出力値を取得する。
【0043】
本実施の形態では、磁界発生部材1のN極1a及びS極1bの配列方向Zと可動部4のスライド方向X,Yとが同一面内で交差しているので、可動部4がスライドするのに伴い、磁力検出部3で検出される磁力の振幅が変化する。すなわち、磁界発生部材1と磁力検出部3との相対距離が長くなるY方向に可動部4が移動すれば、磁力検出部3で検出される磁力の極大値及び極小値の差が小さくなるので振幅が減少し、磁界発生部材1と磁力検出部3との相対距離が短くなるX方向に可動部4が移動すれば、磁力検出部3で検出される磁力の極大値及び極小値の差が大きくなるので振幅が増大する。
【0044】
したがって、可動部4の移動に伴って変化する磁力の振幅に基づいて可動部4のスライド方向を検出し、その検出結果に基づいて駆動部7が可動部4をスライドさせることにより、より少ない磁力検出手段を用いてより高精度で駆動することが可能である。
【0045】
また、可動部4がスライドしているときに磁力検出部3で検出される磁力の周期を計数し、その計数される周期及び磁力検出部3で検出される磁力に基づいて、可動部4の位置をより高精度で検出することができる。
【0046】
特に、本実施の形態のように、本発明に係る駆動装置を撮像装置に適用すれば、より少ない磁力検出手段を用いて光学レンズ4cをより高精度で駆動可能な撮像装置を提供することができる。
【0047】
上記実施の形態では、可動部4がイメージセンサ20の撮像面から遠ざかるにつれて、磁力検出部3との相対距離が短くなるように磁界発生部材1が傾斜して固定された撮像装置について説明した。しかし、このような構成に限らず、可動部4がイメージセンサ20の撮像面から遠ざかるにつれて、磁力検出部3との相対距離が長くなるように磁界発生部材1が傾斜して固定されたような構成であってもよい。
【0048】
また、上記実施の形態では、駆動軸7の他に副軸6が設けられた構成について説明したが、このような構成に限らず、副軸6が省略された構成であってもよい。さらに、磁力検出部3や光学レンズ4cは、可動部4に直接取り付けられた構成に限らず、他の部材を介して可動部4に連結されたような構成であってもよい。
【0049】
上記実施の形態では、磁力検出部3が可動部4によりスライド可能に保持された構成について説明したが、このような構成に限らず、磁力検出部3が固定され、磁界発生部材1がN極1a及びS極1bの配列方向Zに対して同一面内で交差する一直線上でスライド可能に保持されたような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態による駆動装置の一例を示した斜視図である。
【図2】磁界発生部材から発生する磁界の磁束線について説明するための図である。
【図3】磁界発生部材から発生する磁界の強度について説明するための図である。
【図4】磁力検出部から出力される電圧出力値の変化について説明するための図である。
【図5】図1の駆動装置が適用された撮像装置の一例を示した斜視図である。
【図6】図5に示した撮像装置の正面図である。
【図7】図5の撮像装置における電気的構成の一例を示したブロック図である。
【図8】マイクロコンピュータの一構成例を示した機能ブロック図である。
【図9】可動部をスライドさせる際にマイクロコンピュータが行う処理の一例を示したフローチャートである。
【図10】可動部をスライドさせる際にマイクロコンピュータが行う処理の一例を示したフローチャートであり、図9の続きを示している。
【符号の説明】
【0051】
1 磁界発生部材
1a N極
1b S極
3 磁力検出部
4 可動部
4c 光学レンズ
7 駆動部
12 マイクロコンピュータ
13 駆動パルス制御部
14 メモリ
20 イメージセンサ
121 極値検出部
122 振幅算出部
123 スライド方向検出部
124 位置検出部
125 周期計数部
W1,W2 振幅
X,Y スライド方向
Z 配列方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極及びS極が一直線上に交互に配列された磁界発生手段と、
上記磁界発生手段から発生する磁力を検出する磁力検出手段と、
上記磁界発生手段又は上記磁力検出手段を保持し、上記N極及びS極の配列方向に対して同一面内で交差する一直線上でスライド可能な保持手段と、
上記保持手段がスライドしているときに上記磁力検出手段で検出される磁力の極大値及び極小値に基づいて、磁力の振幅を算出する振幅算出手段と、
上記振幅算出手段により算出される振幅の変化に基づいて、上記保持手段のスライド方向を検出するスライド方向検出手段と、
上記スライド方向検出手段の検出結果に基づいて、上記保持手段をスライドさせる駆動手段とを備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
上記保持手段がスライドしているときに上記磁力検出手段で検出される磁力の周期を計数する周期計数手段と、
上記周期計数手段により計数される周期及び上記磁力検出手段で検出される磁力に基づいて、上記保持手段の位置を検出する位置検出手段とを備え、
上記駆動手段は、上記スライド方向検出手段及び上記位置検出手段の検出結果に基づいて、上記保持手段をスライドさせることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動装置と、
光軸が上記スライド方向に対して平行になるように上記保持手段に保持された光学レンズと、
上記光学レンズの光軸上において上記スライド方向に対して直交する撮像面を有する撮像手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−15023(P2009−15023A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176848(P2007−176848)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】