説明

駆動装置

【課題】可動部材を駆動させた際の振動,騒音等を低減させ又は抑止し得る機構を備えた駆動装置を提供する。
【解決手段】移動可能な可動部材11と、可動部材を移動可能に保持する固定部材23と、固定部材に配置されていて可動部材を固定部材に対して移動させるアクチュエータ14と、アクチュエータによって可動部材が駆動された際に可動部材の移動に基いて固定部材に作用する反作用による振動を低減または抑止するための慣性力を発生させる振動子20と、振動子の振動を制御する制御部21とを備え、制御部は振動子の振動速度が最低速度から最高速度に到達するまでの時間と当該最高速度に到達してから最低速度になるまでの時間が等しくならないように振動子を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動部材を移動させる駆動装置において、その動作時に発生する振動,騒音等を低減させるか、または抑止する機構を備えた駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影光学系により結像された光学像を光電変換素子等によって順次画像信号に変換し、その画像信号を所定の形態の画像データ、例えば静止画像データや動画像データ等として記録媒体に記録し得ると共に、この記録媒体に記録された画像データに基いて対応する静止画像若しくは動画像として再生表示し得る画像表示装置、例えば液晶表示装置(LCD)等を備えて構成された画像機器、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等(以下、これらを総称してカメラという)が一般に実用化され、広く普及している。
【0003】
このような形態のカメラにおいては、例えば手ブレ防止機構やフォーカシング機構,ズーミング機構等、電気的な駆動力によって可動部材を移動させるための駆動装置を、内部構成ユニットとして複数有しているのが一般である。この場合において、手振れ防止機構は、撮像素子等を保持する可動部材を適宜移動させることによって、手振れ等に起因する像ブレを低減させ抑止するものである。また、フォーカシング機構,ズーミング機構等は、撮影光学系の一部の光学レンズを保持する可動部材を適宜光軸方向に移動させることによって、焦点調節動作(フォーカシング)や変倍動作(ズーミング)等を行うというものである。そして、これら手ブレ防止機構やフォーカシング機構,ズーミング機構等における可動部材の電気的な駆動制御は、高速かつ精密に行うべきことが求められる。
【0004】
しかしながら、この種の駆動装置において、可動部材を電気的に駆動制御するのに際しては、高速化する程、振動や騒音等が発生する可能性が高くなる傾向がある。これらの振動や騒音等は、当該駆動装置を備えた機器の使用者に不快感を与えたり、機器の使用を阻害してしまう等の問題、例えば画像機器(カメラ)において駆動装置から振動や騒音等が発生すると、振動によって記録画像の画質を劣化させたり、動画撮影時における同時録音時に騒音等が記録されてしまう等の問題が生じる可能性がある。
【0005】
繰り返し説明すると、従来の画像機器であるカメラ等においては、撮影機会を逸したり、記録画像の画質の劣化等を避けるために、シャッター開閉駆動,フォーカシング駆動,ズーミング駆動等の各駆動制御を高速かつ精密に行うことによって、可動部材等の高速かつ精密駆動を確保することが望まれている。
【0006】
その一方で、この種の画像機器(カメラ)等においては、可動部材等を高速で駆動させ、また停止を行うような駆動制御を行うと、不要な振動が発生してしまい、よって可動部材の位置決めが不安定になることから、例えば可動部材を所望の停止位置に対して正確に停止させることができなかったり、また精密な停止位置を確保するために可動部材の停止時間が長時間必要になるといった制御になってしまうという問題点がある。
【0007】
さらに、上述のようにして発生した振動,騒音等は、カメラ本体や撮影レンズ鏡筒を介して機器全体に伝達されてしまい、よって機器使用者に不快感を与えたり、動画撮影時の不要な騒音等が記録されてしまう等の問題点があった。したがって、この種の駆動装置においては、可動部材をより高速駆動した場合に発生する不要な振動,騒音等は、できる限り低減させ若しくは抑止することが望まれている。
【0008】
そこで、このような駆動装置においては、例えば、可動部材を高速駆動した場合に発生する振動や騒音等を低減若しくは抑止する工夫についての提案が、例えば特開昭62−48357号公報等によって、従来より種々なされている。
【0009】
上記特開昭62−48357号公報によって開示されているカメラの防振装置は、例えばカメラに用いられるクイックリターンミラーやフォーカルプレーンシャッター等の運動部材(可動部材)が駆動される時に生じる反作用を受けて、カメラ本体側に発生する振動,騒音等を低減若しくは抑止するために、上記運動部材(即ちミラー,シャッター等)の運動方向とは逆方向に向けて、所定の重量を有するバランス錘を、例えば超音波モータ等の駆動手段を用いて変位させるように構成している。
【0010】
一方、特開平8−179835号公報によって開示されているアクティブダンパは、制振対象である振動している装置に対して、先端に錘を備えた圧電体のバネ定数を制御回路によって制御することにより該装置の制振を行うというものであって、所謂アクティブダンパが開示されている。
【0011】
当該公報に開示されている従来のアクティブダンパは、可動部材に相当するものは存在しないが、所定の周波数の正弦波振動を行う制振対象に対し、圧電体を介して所定の錘を取り付け、この錘を制振対象に対して変位させるように構成している。そして、圧電体の駆動電圧を制御することによって、圧電体のバネ定数を適宜制御することによって装置の制振を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭63-214727号公報
【特許文献2】特開平8−179835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上記特開昭63−214727号公報に開示されているカメラの防振装置の構成では、錘が発生させる力は慣性力であるので、発生する振動,騒音等を抑制するためには、可動部材と同等の質量が必要となる。したがって、このことから、当該公報による構成によれば、機構自体が大きく重いものとなってしまうので、これを適用するカメラもまた大型化してしまうという問題点がある。また、錘を支えるための支持部材や、それらを駆動する超音波モータ等の駆動手段が必要になることから、これらの構成要素も機器の大型化に寄与する可能性がある。これと同時に、各構成部材そのものの剛性が低いと、不要な振動,騒音等がより多く発生することになることから、部材剛性を考慮する必要が生じ、各構成要素の軽量化を阻害してしまう可能性もある。
【0014】
一方、上記特開平8−179835号公報によって開示されているアクティブダンパの構成では、例えば圧電体のバネ定数αの制御は、錘の質量m,錘を支えるバネのバネ定数k2,外力の角周波数ωとしたとき、
α=m×ω−k2
となるように圧電体のバネ定数αを制御している。
【0015】
しかしながら、α,ωを一定値と考えた場合、錘を支えるバネのバネ定数k2を小さくすると錘の質量mは大きくしなければならないという問題点がある。また、バネ定数k2を大きくして錘の質量mを小さくした場合には、錘を支えるバネ定数の大きな硬いバネを圧電体で変位させることになってしまうので、圧電体を大きくする必要がある。しがって、当該公報によって開示されている手段によっても、機構自体の小型化は困難であり、よって、機構自体が大きく重くなってしまうという問題点がある。
【0016】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、可動部材を駆動させることによって発生する反力に起因して生じる振動,騒音等を低減させるか、又は抑止し得る駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の駆動装置は、移動可能な可動部材と、上記可動部材を移動可能に保持する固定部材と、上記固定部材に配置されていて、上記可動部材を当該固定部材に対して移動させるアクチュエータと、上記アクチュエータによって上記可動部材が駆動された際に、当該可動部材の移動に基いて上記固定部材に作用する反作用による振動を低減または抑止するための慣性力を発生させる振動子と、上記振動子の振動を制御する制御部と、を具備し、上記制御部は、上記振動子の振動速度が、最低速度から最高速度に到達するまでの時間と当該最高速度に到達してから最低速度になるまでの時間が等しくならないように、当該振動子を制御する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像機器等に適用される駆動装置において、可動部材を駆動させることによって発生する反力に起因して生じる振動,騒音等を低減させるか、又は抑止し得る駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の駆動装置を適用した画像機器(カメラシステム)の構成を示すブロック構成図、
【図2】図1の画像機器(カメラシステム)のうち撮影レンズ鏡筒のフォーカシング機構を主に示す正面図、
【図3】図2の[3]−[3]線に沿う断面図、
【図4】図2の[4]−[4]線に沿う断面図、
【図5】本実施形態の駆動装置における圧電体の概略構成を示す分解斜視図、
【図6】本実施形態の駆動装置における圧電体と圧電体制御回路を示す概略構成図、
【図7】図1の画像機器(カメラシステム)において、フォーカスレンズ枠(可動部材)を所定の振幅,周波数にて正弦波運動をさせた場合におけるフォーカスレンズ枠(可動部材)の(A)速度,(B)加速度,(C)加わる力量を、それぞれ表すグラフ、
【図8】図1の画像機器(カメラシステム)において、フォーカスレンズ枠(可動部材)駆動時に生じる固定部材の反力Fa(t)を相殺する(A)力量F(t)と、力量F(t)を発生させるための錘の(B)加速度αw(t),(C)錘の速度Vw(t),(D)錘の位置Zw(t),(E)錘の運動を発生させるために必要となる圧電体への印加電圧信号Vp(t)の関係の一例を示すグラフ、
【図9】本実施形態の駆動装置における圧電体の制御回路を示す概念図、
【図10】図1の画像機器(カメラシステム)の基本動作の処理シーケンスを示すフローチャート、
【図11】図10のフローチャートのうちAF動作(オートフォーカス動作)のサブルーチンを示すフローチャート、
【図12】図11のAF動作中に実行される圧電体の駆動制御の処理シーケンスを示すフローチャート、
【図13】本発明の一実施形態の駆動装置における圧電体制御の変形例を示し、(A)圧電体の錘の位置Zw(t),(B)圧電体の錘の位置に対応した圧電体への印加電圧(Vp(t))の関係を示すグラフ、
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0021】
本発明の一実施形態は、例えば光学レンズにより形成される光学像を固体撮像素子等を用いて光電変換し、これによって得られる画像信号を静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データに変換し、こうして生成されたデジタルデータを記録媒体に記録し、また記録媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を表示装置に再生表示し得るように構成される画像機器であるカメラシステム(以下、単にカメラという)の一部を構成する撮影レンズ鏡筒に適用した場合の例示である。
【0022】
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0023】
また、本実施形態においては、撮影レンズ鏡筒における撮影レンズの光軸を符号Oで表す。この光軸Oに沿う方向において、カメラの前面に対向する被写体のある側を前方というものとし、その反対側、即ちカメラの背面側に配置される撮像素子の受光面(結像面)のある側を後方というものとする。そして、上記光軸Oと一致する軸をZ軸というものとし、このZ軸に直交する平面上において互いに直交する2つの軸をX軸,Y軸というものとする(図2,図3,図4参照)。
【0024】
図1〜図12は、本発明の一実施形態を示す図である。このうち、図1は、本発明の一実施形態の駆動装置を適用した画像機器(カメラシステム)の構成を示すブロック構成図である。図2〜図4は、図1の画像機器(カメラシステム)のうち撮影レンズのフォーカシング機構を主に示す図である。このうち、図2は、撮影レンズの正面側から見た際の概略構成を示す正面図である。図3は、図2の[3]−[3]線に沿う断面図である。図4は、図2の[4]−[4]線に沿う断面図である。図5は、本実施形態の駆動装置における圧電体の概略構成を示す分解斜視図である。図6は、本実施形態の駆動装置における圧電体と圧電体制御回路を示す概略構成図である。
【0025】
図7は、フォーカスレンズ枠(可動部材)を所定の振幅,周波数にて正弦波運動をさせた場合におけるフォーカスレンズ枠(可動部材)の(A)速度,(B)加速度,(C)加わる力量を、それぞれ表すグラフである。
【0026】
図8は、フォーカスレンズ枠(可動部材)駆動時に生じる固定部材の反力Fa(t)を相殺する(A)力量F(t)と、力量F(t)を発生させるための錘の(B)加速度αw(t),(C)錘の速度Vw(t),(D)錘の位置Zw(t),(E)錘の運動を発生させるために必要となる圧電体への印加電圧信号Vp(t)の関係の一例を示すグラフである。
【0027】
図9は、本実施形態の駆動装置における圧電体の制御回路を示す概念図である。
【0028】
図10〜図12は、本実施形態の作用を示す図である。このうち、図10は、図1の画像機器(カメラシステム)の基本動作の処理シーケンスを示すフローチャートである。図11は、図10のフローチャートのうちAF動作(オートフォーカス動作)のサブルーチンを示すフローチャートである。図12は、図11のAF動作中に実行される圧電体の駆動制御の処理シーケンスを示すフローチャートである。
【0029】
まず、本発明の一実施形態の駆動装置を適用した画像機器(カメラ)の内部構成の概略を図1を用いて以下に説明する。
【0030】
本実施形態の駆動装置を適用したカメラ1は、図1に示すように、撮影レンズ鏡筒10と、カメラ本体50とによって構成されている。撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50とは別体に構成されており、撮影レンズ鏡筒10はカメラ本体50の前面に対して着脱自在に配設される構成のいわゆるレンズ交換式カメラシステムである。したがって、撮影レンズ鏡筒10がカメラ本体50に装着された状態となった時に、レンズ側とボディ側とにそれぞれ設けられる接点部材であるレンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68が接触状態となることによって、両者間での電気的な通信が可能となるように構成されている。
【0031】
撮影レンズ鏡筒10は、複数の光学レンズ(例えばフォーカスレンズ11a,ズームレンズ12a等)と、各光学レンズ等を保持する枠部材(例えばフォーカスレンズ枠11,ズームレンズ枠12,固定部材23)と、絞り機構13と、フォーカスレンズ枠駆動部(以下、F枠ドライバと略記する)14と、ズームレンズ枠駆動部(以下、Z枠ドライバと略記する)15と、絞り駆動部(絞りドライバともいう)16と、レンズ制御部17と、フラッシュメモリ18と、位置センサ19と、振動子ユニット20と、圧電体制御部21と、レンズ側インターフェース22等を具備して主に構成されている。
【0032】
レンズ制御部17は、当該撮影レンズ鏡筒10を統括的に制御する制御手段である。そのために、レンズ制御部17には、F枠ドライバ14,Z枠ドライバ15,絞りドライバ16,フラッシュメモリ18,位置センサ19,圧電体制御回路21,ボディ側インタフェース22等が電気的に接続されている。なお、レンズ制御部17は、後述するように圧電体制御部21を介して振動子ユニット20を含む駆動装置を制御する制御手段としても機能する。
【0033】
撮影レンズ鏡筒10は、上述したように複数の光学レンズを有して構成されており、これら複数の光学レンズは、光軸Oに沿って並べて配設されている。これにより、複数の光学レンズは、被写体の光学像を形成し、その被写体像を撮像素子52の受光面上に結像させる役目をしている。
【0034】
これら複数の光学レンズのうち、フォーカスレンズ11aは、焦点調節動作に主に寄与するレンズである。フォーカスレンズ11aは、可動部材であるフォーカスレンズ枠11によって保持されて、光軸Oに沿う方向に進退自在となるように構成されている。フォーカスレンズ枠11は、F枠ドライバ14を介してレンズ制御部17によって駆動制御される。これにより、F枠ドライバ14によってフォーカスレンズ枠11が駆動されることにより、フォーカスレンズ11aが光軸Oに沿う方向に移動することで、上記撮像素子52の受光面上に結像される被写体像の焦点調節やフォーカス位置の変更等を行うことができるようになっている。
【0035】
なお、F枠ドライバ14は、後述するようにステッピングモータやボイスコイルモータ(VCM)等のアクチュエータ等からなる駆動源等の構成要素が含まれる(詳細は後述する。図2,図3,図4参照)。
【0036】
また、上記複数の光学レンズのうち、ズームレンズ12aは、被写体像の光学的変倍動作に主に寄与するレンズである。ズームレンズ12aは、可動部材であるズームレンズ枠12によって保持されて、光軸Oに沿う方向に進退自在となるように構成されている。ズームレンズ枠12は、Z枠ドライバ15を介してレンズ制御部17によって駆動制御される。これにより、Z枠ドライバ15によってズームレンズ枠12が駆動されることにより、ズームレンズ12aが光軸Oに沿う方向に移動することで焦点距離の変更を行って、上記撮像素子52の受光面上に結像される被写体像を変倍させることができるようになっている。なお、光学的変倍動作時においては、上記フォーカスレンズ11a,フォーカスレンズ枠11も動作するような構成であってもよい。
【0037】
Z枠ドライバ15は、例えばステッピングモータ,ボイスコイルモータ(VCM)等からなるアクチュエータ等の駆動源及びその駆動力を伝達する駆動機構等を含んで構成されているものであるが、ここでは、従来のカメラと同様の一般的なものを適用するものとして、その詳細構成の説明及び図示は省略する。
【0038】
絞り機構13は、上記複数の光学レンズ中に配設され、当該複数の光学レンズを通過する被写体からの光量を調節する機構部である。絞り機構13は、絞りドライバ16を介してレンズ制御部17によって駆動制御される。絞りドライバ16は、例えばステッピングモータ等の駆動源及びその駆動力を伝達する駆動機構等を含んで構成されている。この絞り機構13についても、従来のカメラと同様の一般的なものが適用されるものとして、その詳細構成の説明及び図示は省略する。
【0039】
フラッシュメモリ18は、例えば撮影レンズ鏡筒10に関する製品情報や固有のレンズ情報等、各種の情報が予め記憶された記憶媒体である。レンズ制御部17は、フラッシュメモリ18から必要となる各種情報(データ)を適宜読み込んで、各種の制御を実行する。また、レンズ制御部17は、必要に応じてフラッシュメモリ18に対し所定の情報(データ)を書き込むこともできるようになっている。
【0040】
位置センサ19は、フォーカスレンズ枠11の光軸O上における位置を検出する検出手段である。位置センサ19の検出信号はレンズ制御部17へと出力される。これにより、レンズ制御部17は、位置センサ19の出力信号に基いてフォーカスレンズ枠11の駆動制御をF枠ドライバ14を介して行う。
【0041】
なお、上記カメラ1においては、フォーカスレンズ枠11の位置を検出するための検出手段としての位置センサ19として、二つのセンサ(19a,19b)を有して構成している。このうち、位置センサ19aは、フォーカスレンズ枠11の相対的な位置を検出するための検出手段である。また、絶対位置センサ19bは、同フォーカスレンズ枠11の絶対的な位置(例えば基準位置)を検出するための検出手段である(図2,図3参照)。
【0042】
上述したように、フォーカスレンズ枠11の基準位置となる絶対位置の検出は、絶対位置センサ19bによって行われる。絶対位置センサ19bは、例えば同フォーカスレンズ枠11の外周部の所定の部位に設けられた遮光板である板状突起部11dと、この板状突起部11dに対応する固定部位に配設され例えばフォトインタラプタ等の絶対位置センサ素子19ab等によって構成される(図2参照)。この構成により、フォーカスレンズ枠11が光軸Oに沿う方向に移動すると、板状突起部11d(遮光板)が絶対位置センサ素子19ab(フォトインタラプタ)の発光素子の光線を遮蔽するタイミング若しくは遮蔽が解除されるタイミングの位置が検出できる。なお、ここでは、絶対位置センサ19bとして、光センサを例示したが、これに限られることはなく他の形式のもの、例えば磁気センサ,静電容量センサ等、種々の形態のものを適用し得る。
【0043】
一方、フォーカスレンズ枠11の相対的な位置検出には位置センサ19aが用いられる。位置センサ19aは、例えばフォーカスレンズ11aを保持する可動部材であるフォーカスレンズ枠11の外周部の所定の部位に固設された磁気スケール11fと、この磁気スケール11fに対向する固定部材23の固定位置に固設され、例えばGMR素子(巨大磁気抵抗素子)等の位置センサ素子19aa等によって構成される(図2,図3参照)。この位置センサ19aは、上記絶対位置センサ19bよりも位置検出精度が高い。
【0044】
上記位置センサ19aについて、さらに詳述すると、磁気スケール11fは、フォーカスレンズ枠11の移動方向にN極,S極を同間隔で着磁し磁性体シートで形成される。位置センサ素子19aaは、上述したように例えばGMR(巨大磁気抵抗)素子が用いられる。そして、フォーカスレンズ枠11が光軸Oに沿う方向に移動すると、位置センサ素子19aaは磁気スケール11fの着磁間隔で正弦波電圧を出力するというものである。この場合において、磁気スケール11fの着磁間隔は、数μmから数100μmであるので、この着磁間隔よりも位置検出精度を上げる場合には、例えば位置センサ19aの制御回路に正弦波信号の逓倍回路を組み込む等によって、正弦波の1周期分を多分割して出力信号を得られるようにすれば、より小さな間隔で位置検出ができるようになる。なお、ここでは、位置センサ19aとして、磁気式のものを例示したが、これに限られることはなく他の形式のもの、例えば光学式のもの等、種々の形態のものを適用し得る。
【0045】
このように、上記絶対位置センサ19bによってフォーカスレンズ枠11の基準位置を検出し、位置センサ19aによって、基準位置からの相対位置を検出することにより、フォーカスレンズ枠11の位置を高精度で検出することが可能となる。また、カメラ1が動作していない状態において、振動や衝撃等の外力を受けて、フォーカスレンズ枠11の位置が変化してしまったような場合でも、絶対位置センサ19bが基準位置を通過するようにフォーカスレンズ枠11を動作させて、絶対位置センサ19bによって基準位置を検出することにより、フォーカスレンズ枠11の正確な位置を再検出することが可能である。
【0046】
振動子ユニット20は、後述するように圧電体板を複数積層して形成した圧電体20aと、この圧電体20aと一体に配設される錘20b等によって構成されるユニットである(詳細は後述する。図4,図5,図6参照)。圧電体制御部21は、ボディ制御部66及びレンズ制御部17の制御下において振動子ユニット20を駆動制御する制御部であって振動子制御回路である。
【0047】
即ち、圧電体制御部21は、レンズ制御部17からの制御信号を受けて、振動子ユニット20の圧電体20aを駆動制御する。この圧電体20aの駆動制御を行うことによって、該圧電体20aの一面側に取り付けられた錘20bの運動が制御される。このような作用により、振動子ユニット20及び圧電体制御部21は、フォーカスレンズ枠11が光軸O上において移動する際に起因する振動,騒音等を抑制する役目を担う構成要素となっている。
【0048】
レンズ側インターフェース22は、撮影レンズ鏡筒10側の電気回路に接続される電気接点部材である。上述したように撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50とを接続状態とした時に、レンズ側インターフェース22は、ボディ側接点部材であるボディ側インターフェース68と接触状態となることによって、撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50との間を電気的に接続するインターフェースである。
【0049】
このように、撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50とが、レンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68を介して電気的に接続されると、レンズ制御部17とボディ制御部66とは相互に通信可能な状態となる。これにより、レンズ制御部17とボディ制御部66との間では、適宜所定のタイミングで各種の情報(データ)等の送受信が行われる。
【0050】
具体的には例えば、レンズ制御部17は、撮影レンズ鏡筒10側に設けられる操作部材(不図示)が操作されることによって生じる指示信号や位置センサ19からの出力信号(検出信号)等に応じた情報(データ)信号等をボディ制御部66へと送信する。
【0051】
また、例えば、レンズ制御部17は、ボディ制御部66から送信されてくる圧電体制御部21の制御信号等を受信する。
【0052】
一方、カメラ本体50は、シャッタ機構51と、撮像素子52と、アナログ処理部53と、アナログ−デジタル変換部(以下、A/D変換部と略称する)54と、AE処理部55と、AF処理部56と、画像処理部57と、画像圧縮展開部58と、表示駆動部(以下、表示ドライバと略記する)59と、表示部60と、メモリインターフェース(以下、メモリI/Fと略記する)61と、記録媒体62と、SDRAM63と、フラッシュメモリ64と、操作部65と、ボディ制御部66と、通信用バス67と、電源回路69等を具備して主に構成されている。
【0053】
シャッタ機構51は、撮像素子52の受光面上に被写体像を露光する時間を制御する機構部である。シャッタ機構51は、ボディ制御部66によって駆動制御される。
【0054】
撮像素子52は、例えばCMOS,CCD等の光電変換素子が適用される。撮像素子52は、例えば各画素を構成し複数並べて配置したフォトダイオードの前面にベイヤー配列のカラーフイルタを配置して構成される受光素子である。この場合において、ベイヤー配列のカラーフイルタは、水平方向にR画素とG(Gr)画素とを交互に配置したラインと、G(Gb)画素とB画素とを交互に配置したラインとを有して構成され、さらに、それら2つのラインを垂直方向にも交互に配置するように構成されてなるものである。
【0055】
撮像素子52は、フォーカスレンズ11a及びズームレンズ12a等を含む複数の光学レンズによって集光された光束を、画素を構成する上記フォトダイオードによって受光して光電変換することによって、光量を電荷量を表わすアナログ信号に変換する光電変換素子である。撮像素子52によって生成された電気信号(アナログ画像信号)はアナログ処理部53へと出力される。
【0056】
アナログ処理部53は、撮像素子52から出力された電気信号(アナログ画像信号)を受けて、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行った後、目的の明るさとなるようにゲインアップ処理等を行う信号処理部である。アナログ処理部53による処理済み信号は、A/D変換部54へと出力される。
【0057】
A/D変換部54は、アナログ処理部53から出力されたアナログ画像信号を受けて、これをデジタル画像信号(以後、画像データという)に変換する信号処理部である。A/D変換部54から出力された画像データは、通信用バス67を介して、SDRAM63において一時的に記憶される。
【0058】
通信用バス67は、カメラ1の内部で発生した各種データ等を、本カメラ1を構成する内部構成ユニットの各部へと転送するための転送路である。通信用バス67は、A/D変換部54,AE処理部55,AF処理部56,画像処理部57,画像圧縮展開部58,LCDドライバ59,メモリI/F61,SDRAM63,ボディ制御部66等に接続されている。
【0059】
SDRAM63は、A/D変換部54において生成された画像データや、画像処理部57,画像圧縮展開部58において処理された画像データ等の各種データを一時的に記憶する記憶部である。
【0060】
AE処理部55は、SDRAM63に一時的に記憶されたA/D変換後の画像データに基いて被写体輝度を算出するデータ処理部である。なお、AE処理部55において扱うデータ、即ち被写体輝度算出用データとしては、上記の画像データ以外に、例えば専用測光センサを設け、この専用測光センサからの出力データとしてもよい。
【0061】
AF処理部56は、上記画像データから高周波成分の信号を取り出して、AF(Auto Focus;オートフォーカス)積算処理を行って合焦評価値を取得するデータ処理部である。
【0062】
画像処理部57は、上記SDRAM63から読み出した画像データに対して様々な画像処理を施すデータ処理部である。この画像処理部57において各種の処理が行われた後の画像データは、再度SDRAM63に一時的に記憶される。
【0063】
画像圧縮展開部58は、所定の圧縮方式による画像データの圧縮処理や、所定の圧縮方式により圧縮された圧縮画像データの展開(伸長)処理等を行うデータ処理部である。この画像圧縮展開部58において取り扱う画像データが静止画像データである場合には、例えばJPEG規格に準拠した方式等による圧縮及び展開処理を行う。また、画像圧縮展開部58において取り扱う画像データが動画像データである場合には、例えばMotion−JPEG規格やH.264規格等に準拠した各種方式等による圧縮及び展開処理を行う。なお、静止画に係る画像データの記録を行う場合には、画像圧縮展開部58は、SDRAM63から画像データを読み出し、読み出した画像データを、例えばJPEG圧縮方式に従った圧縮処理を施して、圧縮処理済みのJPEG画像データを、再度SDRAM63に一時記憶するという、一連の処理が実行される。そして、ボディ制御部66は、SDRAM63に一時記憶されたJPEG画像データに対して、必要となるJPEGヘッダ情報等を付加してJPEGファイルを作成し、作成されたJPEGファイルをメモリI/F61を介して記録媒体62へと記録する処理を行う。
【0064】
メモリI/F61は、ボディ制御部66の制御下で記録媒体62をドライブし、該記録媒体62に記録済みの画像データファイルを読み込んだり、所定形式の画像データを記録媒体62に記録する等の処理を行う際のインターフェースである。
【0065】
記録媒体62は、画像データ等を記録するための媒体であって、例えばカメラ本体50に対して着脱自在に配設されるカード形状の半導体メモリ、いわゆるメモリカード等が適用される。なお、記録媒体62の形態は、この形態に限られることはなく、他の形態、例えばカメラ本体50内に固定される媒体としてもよいし、半導体メモリ以外にも、光学板媒体,磁気媒体等、様々な形態のものを適用し得る。
【0066】
表示部60は、例えば液晶表示装置(LCD)等、各種形態の表示装置である。表示部60は、ボディ制御部66の制御下で表示ドライバ59を介して駆動制御される。表示部60には、例えば、撮影動作直後の画像データを受けて所定の短い時間だけ画像表示を行うレックビュー表示、記録媒体62に記録済みの画像データ(JPEGファイル等)に基く画像の再生表示、ライブビュー表示等の動画表示が行われる。
【0067】
ここで、例えば記録媒体62に記録済みの画像データ(JPEGファイル)に基いて画像再生を行う場合には、ボディ制御部66は、画像圧縮展開部58を介して記録媒体62に記録済みの画像データ(JPEGファイル)の中から所望のデータを読み出して伸張処理(展開処理)を施す。画像圧縮展開部58において伸張処理された画像データはSDRAM63に一時記憶される。続いて、ボディ制御部66は、表示ドライバ59を介して上記伸張処理済み画像データをSDRAM63から読み出し、表示部60を用いて表示可能な映像信号に変換処理した後、表示部60へと出力する。これにより、表示部60には、画像表示がなされる。
【0068】
ボディ制御部66は、当該カメラ本体50の各種シーケンスを統括的に制御する制御手段である。また、ボディ制御部66は、レンズ制御部17と協働して撮影レンズ鏡筒10側に配設される駆動装置を制御する制御手段としても機能する。ボディ制御部66には、操作部65と、フラッシュメモリ64とが、直接接続されている。
【0069】
操作部65は、本カメラ1に対する各種操作を行うための複数の操作部材及び対応する操作スイッチ等によって構成される。使用者が操作部65のうちの所定の操作部材を操作すると、対応する操作スイッチより所定の指示信号が発生し、その指示信号は、ボディ制御部66へと伝達されるようになっている。この指示信号を受けて、ボディ制御部66は、適宜操作に応じた各種シーケンスを実行する。操作部65としては、具体的には例えば電源ボタン,レリーズボタン,再生ボタン,メニューボタン,動画ボタン,モード切換ボタン等のほか、各種の指示を入力するための入力用操作部材等が含まれる。
【0070】
操作部65のうち、例えば電源ボタンは、本カメラ1の電源状態のオン指示若しくはオフ指示を行うための操作部材である。電源ボタンが例えば押下されたときには、ボディ制御部66は、カメラ1の電源回路をオン状態に若しくはオフ状態に変化させる処理を実行する。
【0071】
また、レリーズボタンは、例えばファーストレリーズスイッチとセカンドレリーズスイッチの2段スイッチを有して構成される。そして、レリーズボタンが半押しされると、ファーストレリーズスイッチがオン状態となり、この場合には、ボディ制御部66は、AE処理部55,AF処理部56等を制御すると共に、レンズ制御部17を介してF枠ドライバ14を制御してAF動作処理を実行させて所定の撮影準備シーケンス処理を実行する。続いて、レリーズボタンが全押しされると、セカンドレリーズスイッチがオン状態となりこの場合には、ボディ制御部66は、シャッタ機構51,撮像素子52等を制御して所定の撮影シーケンスを実行する。
【0072】
再生ボタンは、記録媒体62に記録済みの画像ファイルに基く画像再生指示を行うための操作部材である。使用者によって再生ボタンが押下されると、ボディ制御部66は、所定の再生シーケンス処理を実行し、表示部60に画像を再生表示させる。
【0073】
メニューボタンは、カメラ1における各種の設定を変更操作するためのメニュー表示を指示する操作部材である。メニューボタンが押下されるとボディ制御部66は、カメラ設定シーケンス処理を実行して、表示部60に所定のメニュー表示処理等を行う。
【0074】
動画ボタンは、動画撮影指示を行うための操作部材である。動画ボタンが押下されると、ボディ制御部66は、動画撮影シーケンス処理を実行して動画撮影を行う。
【0075】
フラッシュメモリ64は、ホワイトバランスモードに応じたホワイトバランスゲイン,ローパスフィルタ係数等のカメラ動作に必要となる各種パラメータ,銀塩粒子による粒状感に似せた粒状パターンの画像データ,カメラ1を特定するための固有情報、例えば製品名,製造番号等の各種の情報が予め記憶されているメモリ部である。さらに、フラッシュメモリ64には、ボディ制御部66にて実行される各種プログラム等も予め記憶されている。したがって、ボディ制御部66は、フラッシュメモリ64に記憶されているプログラムを適宜のタイミングで読み込んで実行する。その際、ボディ制御部66は、各種シーケンス処理に必要となる各種のパラメータ等を、フラッシュメモリ64から読み込む。
【0076】
電源回路69は、バッテリ等の電源と、この電源を制御する回路等によって構成され、ボディ制御部66の制御下で、本カメラ1のカメラ本体50及び撮影レンズ鏡筒10内の各構成ユニットや回路ユニットに対し必要となる電力を適宜供給する構成部である。その他の構成は、従来一般的なカメラと同様の構成を有するものとする。
【0077】
また、本実施形態の撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50からなるカメラ1においては、例えば手ブレを補正するための手振れ補正機構等についての説明は省略しているが、これを設けるようにしてもよい。
【0078】
その場合には、例えばカメラ本体50側に角速度センサーや加速度センサー等を設けて手ブレを検出し、その検出値に基いて撮影レンズ鏡筒10の一部の光学レンズを光軸Oに沿う方向とは直交する方向に移動変位させたり、撮像素子52を光軸Oに沿う方向とは直交する面内において移動変位させる等によって、手振れ補正機構を実現し得る。そして、手振れ補正機構を備えた場合においては、当該機構の作動時に移動変位するレンズ若しくは撮像素子の運動に伴って振動が生じる。したがって、その振動を抑制するために、本実施形態の駆動装置を適用することは可能である。
【0079】
次に、撮影レンズ鏡筒10におけるフォーカスレンズ11aを保持する可動部材であるフォーカスレンズ枠11の駆動機構の詳細構成と、このフォーカスレンズ枠11の運動に伴って生じる振動,騒音等を抑制するための駆動装置の詳細構成について、図2〜図6を用いて以下に説明する。なお、図2〜図4においては、図面の煩雑化を避けるために、撮影レンズ鏡筒10を構成する複数の光学レンズ及びこれら複数の光学レンズをそれぞれ保持する複数のレンズ枠等の構成部材うち、本発明に直接関係する構成部材、即ちフォーカスレンズ枠11と、その駆動機構と、フォーカスレンズ枠11の運動による振動,騒音等を抑制するための駆動装置と、上記フォーカスレンズ枠11を支持する固定部材23のみを図示し、その他の光学レンズ及びレンズ枠等の図示は省略している。
【0080】
上述したように、フォーカスレンズ枠11は、フォーカスレンズ11aを保持し、光軸Oに沿う方向に移動自在に配設される可動部材である。また、固定部材23は、内部にフォーカスレンズ枠11,ズームレンズ枠12等を移動自在に保持し、カメラ本体50に対して固定される枠部材である。固定部材23は、固定部材本体23aと、固定部材蓋部23bとによって構成されている。固定部材本体23aは、基端側に内向フランジ23aaを有し先端に開口を有する筒状部材からなり、基端側がカメラ本体50の前面に設けられたいわゆるバヨネットマウント(不図示)を介して固定される。固定部材蓋部23bは、固定部材本体23aの先端開口の外周縁部を覆う円環形状に形成されている。
【0081】
そして、固定部材本体23aの内向フランジ23aaには、二つの凹部23ab,23acが、例えば円周方向に角度180度の間隔を持って形成されている。一方、固定部材蓋部23bには、二つの凹部23bb,23bcが、上記内向フランジ23aa側の二つの凹部23ab,23acに対向する部位にそれぞれ形成されている。
【0082】
フォーカスレンズ枠11は、図2,図3に示すように、光軸Oと平行に配設されたガイド軸24によって光軸Oに沿う方向に進退自在となるように配設されている。また、フォーカスレンズ枠11は、回転止軸25によって、上記ガイド軸24に沿う方向への移動が許容されつつ、ガイド軸24を中心として回転することが規制されている。
【0083】
この構成を詳述すると、まず、ガイド軸24は、後端24bが内向フランジ23aaの凹部23abに、先端24aが固定部材蓋部23bの凹部23bbにそれぞれ嵌合し、接着等の手段により固設されている。これにより、ガイド軸24は固定部材23の内側で張架されている。また、ガイド軸24は、フォーカスレンズ枠11のガイド穴11bに挿通している(特に図3参照)。これにより、フォーカスレンズ枠11は、ガイド軸24によって光軸Oに沿う方向に進退移動自在に配設されている。
【0084】
次に、回転止軸25は、後端25bが内向フランジ23aaの凹部23acに、先端25aが固定部材蓋部23bの凹部23bcにそれぞれ嵌合し、接着等の手段により固設されている。これにより、回転止軸25は固定部材23の内側で張架されている。また、回転止軸25は、フォーカスレンズ枠11の切欠11cに係合している。切欠11cは、フォーカスレンズ11aの上記ガイド穴11bとは、円周方向に角度約180度離れた部位に位置し、例えば断面が略U字形状に形成された切り欠き部位である。回転止軸25が、この切欠11cに係合することによって、フォーカスレンズ枠11は、ガイド軸24による光軸O方向への移動が許容されつつ、ガイド軸24を回転中心として回転してしまうことが規制されている。
【0085】
さらに、フォーカスレンズ枠11は、上記の状態において、光軸Oを回転中心とする回転方向に付勢されている。即ち、フォーカスレンズ枠11には、その外周縁部近傍部位から光軸O方向に向けた突起部11eが突設されている。一方、本撮影レンズ鏡筒10の固定部位(不図示)からは、同様に光軸O方向に向けた突起部27が突設されている(図2にのみ図示)。そして、上記突起部11eと上記突起部27との間には、緊縮性のコイルバネ等からなる付勢部材26が張架されている。したがって、この付勢部材26は、フォーカスレンズ枠11を、光軸Oを回転中心として図2における時計方向に回転するように常に付勢している。
【0086】
この場合において、フォーカスレンズ枠11は、ガイド軸24及び回転止軸25によって同方向への回転が規制されるので、所定量以上の回転はしない状態にある。同時に、上記付勢部材26の付勢力は、ガイド穴11bとガイド軸24との間のガタ、及び切欠11cと回転止軸25との間のガタを吸収する役目をし、かつフォーカスレンズ枠11の固定部材23に対する位置決めをしている。
【0087】
一方、フォーカスレンズ枠11には、図2,図4に示すように、光軸Oについての軸対称となる部位のそれぞれに、該フォーカスレンズ枠11の駆動機構であるF枠ドライバ14の一部を構成し、駆動源となるボイスコイルモータ(以下、VCMと略称する)が配設されている。
【0088】
このVCMは、ヨーク14aと、磁石14bと、コイル14cとによって主に構成される。フォーカスレンズ枠11の外周面上には、絶縁被服された銅線14dを巻回して形成されるコイル14cが、接着等の手段によって固設されている。このとき、コイル14cは、前面から見た際の断面形状がトラック形状若しくは円環状となるように、かつその環状中空部が光軸Oと平行となるように配置されている。
【0089】
ヨーク14aは、図4に示すように、断面が略U字形状に形成された磁性体によって構成されている。このヨーク14aは、固定部材23に対してビス等の締結手段を用いて固定されている。この場合において、ヨーク14aのU字状後端部が、固定部材23の内向フランジ23aaの前面に当接した状態となるように、かつ先端開口部が前方を向くように固定されている。また、ヨーク14aの一方の腕部の内側部位に矩形板状の磁石14bが接着固定されている。そして、コイル14cの円環内の空間にヨーク14aの他方の腕部が、コイル14cと接触しないように挿通されている。
【0090】
さらに、ヨーク14aの先端開口部には、矩形板状の磁性体ヨーク14aaが一体に固設されている。この構成とすることにより、磁石14bの発生する磁束がヨーク14aによって囲まれる空間以外の空間に漏出しないように、いわゆる磁気回路を形成している。なお、コイル14cから延びる銅線14dは、フォーカスレンズ枠11に固設されるフレキシブルプリント基板28に電気的に接続される(図2参照)。
【0091】
なお、ここでは、コイル14cは2つ用いた例を示しているが、ヨークが囲む空間をコイルが通過するような形態としてもよい。したがって、例えばフォーカスレンズ枠11の外周側に該フォーカスレンズ枠11を囲むように銅線を巻いた形態としてもよい。
【0092】
このような構成とすることにより、フォーカスレンズ枠11の駆動機構において、磁石14bの磁束のベクトルは、図4の矢印MFで示すように、磁石14bに対向する側のヨーク14aの腕部に向かっている。一方、コイル14cには、上記磁束MFに直交する方向の電流が流れる。したがって、これによりコイル14cは磁石14bに対して磁束MFのベクトル方向と電流方向とのそれぞれに直交する方向、即ち図4に示す矢印Fc方向への力量を受けて、同方向にフォーカスレンズ枠11を移動させることになる。
【0093】
なお、上述の説明においては、1つのVCMの概略作用を説明したが、他方のVCMについても同方向の力量Fcを受け得るように、磁石14bの磁束MFの向き,コイル14cに流れる電流の向きを設定すればよい。そうすれば、二つのコイル14cは同方向の力量を受けるので、これら二つのコイル14cが固設されるフォーカスレンズ枠11は、力量Fc×2を受けることになる。
【0094】
このようにして、フォーカスレンズ枠11に対し所定の方向の所定の力量Fcが加わった時、固定部材23に対しては、その反力「−(マイナス)Fc」(図4参照)が磁石14bを介して加わることになる。この反力−Fcが、例えば固定部材23に振動,騒音等を発生させる要因となる。そこで、本発明においては、その振動,騒音等を抑制するために、後述する駆動装置(振動子ユニット20等)を、固定部材23の内向フランジ23aaにおいて上記ヨーク14aが固設されている面とは反対側の面に配設している(図4参照。詳細後述)。
【0095】
駆動装置は、上記反力「−Fc」を相殺するための固定部材23に作用する慣性力Fiを発生させるものである。即ち、
−Fc+Fi=0
となるような状況とすれば、固定部材23には、フォーカスレンズ枠11の駆動に起因する力が発生せず、よって、振動,騒音等も発生することがなくなる。
【0096】
なお、
−Fc+Fi≠0
であっても、小さい値とすることができれば、固定部材23に生じる振動,騒音等を小さくすることができる。
【0097】
また、固定部材23には、ガイド軸24と穴11b,回転止軸25と切欠11cの各摩擦力Ffが作用する。その摩擦係数μは、0.1未満で小さく無視できる範囲のものである。ただし、二つの振動子ユニット20を動作させる際に、上記摩擦力Ffも含めて相殺するような動作としてもよい。
【0098】
具体的には、フォーカスレンズ枠11が重力に対抗して動作される場合、該フォーカスレンズ枠11の重量Wk,重力加速度g(=9.8m/s^2)とすると、上記付勢部材26は、フォーカスレンズ枠11を重力に抗して押える必要がある。
【0099】
したがって、その場合の押圧力Fpは、
Fp=Wk×g
である。また、このときの摩擦力Ffが、
Ff=μ×Wk×g
としたとき、
Fc×2>Wk×g+μ×Wk×g
となれば、フォーカスレンズ枠11を移動させ得る。このとき、フォーカスレンズ枠11の位置を制御する場合には、上記駆動力「Fc×2」の二倍以上の駆動力が発生するように二つの駆動機構(VCM)は構成されている。このことから、コイル14cにかかる力よりも、摩擦力が非常に小さくなることがわかる。
【0100】
フォーカスレンズ枠11の運動による振動,騒音等を抑制するための駆動装置は、フォーカスレンズ枠11の二つの駆動機構(VCM;ヨーク14a,磁石14b,コイル14c等)の配設されている位置に対して、固定部材23の内向フランジ23aaを挟んで後方側にそれぞれ配設されている。
【0101】
当該駆動装置は、図4に示すように、また上述したように、圧電体20aと錘20bとからなる振動子ユニット20によって構成されている。また、圧電体20aは、後述する回路から圧電体20aに電圧を印加するためのリード線28aが取り付けられ、リード線28aの端部はフレキ28に接続されている。
【0102】
ここで、圧電体20aの構成について、図5,図6を用いて簡単に説明する。
【0103】
圧電体20aは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスで形成された一対の圧電体板(401,402)を複数積層させて接続した積層圧電体である。その基本構成は、全体が矩形薄板状に形成された圧電体単板A(401)及び圧電体単板B(402)との一対が合わさった形態の圧電体板(403)が複数積層された形態となっている。
【0104】
圧電体単板A(401)は、一面側(図5の上面;表面)の周縁部の一部を除いて略矩形に形成された内部電極C(401c)を有している。この内部電極C(401c)は、周縁部の一部は一側面に電極が引き出され、側面電極A(401a)と電気的に接続されている。
【0105】
圧電体単板B(402)は、一面側(図5の下面;裏面)の周縁部の一部を除いて略矩形に形成された内部電極C(402c)を有している。この内部電極C(402c)は、周縁部の一部は他側面(上記一側面とは対向する側面)に引き出され、側面電極B(402b)と電気的に接続されている。
【0106】
そして、上述したように、上記一対の圧電体板(401,402)を接合させた圧電体板(403)を、さらに積層して焼成したものが圧電体20aとなる。したがって、図6に示すように、圧電体20aの一側面には、上記側面電極A(401a,402a)が集合して成る電極A20aaが形成され、同様に他側面には、上記側面電極B(401b,402b)が集合して成る電極B20abが形成される。また、圧電体20aは、上記構成により、圧電体単板(401,402)の一枚おきに内部電極C(401c,402c)が接続された形態となっている。
【0107】
そして、図4,図6等に示すように、上記電極A20aa,電極B20abには、リード線28aが接続されている。さらに、このリード線28aは、図4に示すように、フレキシブルプリント基板28に電気的に接続されている。そして、このフレキシブルプリント基板28には、圧電体制御部21が実装されていることから、圧電体20aは、圧電体制御部21の制御を受け得るようになっている。
【0108】
なお、図6においては、図面の煩雑化を避けるために、圧電体20aの一面に対し一体となるように取り付けられる錘20bは二点鎖線で示すのみに留めている。
【0109】
また、図5に示す例では、複数の圧電体単板を積層させて構成した例を示しているが、この例に限られることはなく、例えば圧電体単板を折り畳んだ形態で製作しても同様な構成の圧電体を形成することは可能である。
【0110】
このように構成された積層圧電体からなる圧電体20aにおいて、電極A20aa,電極B20ab間に高電圧を印加すると、各圧電体板(401,402)が板厚方向において同方向に分極されることになる。したがって、圧電体20aの電極A20aa,電極B20abの一方(図6においては電極A20aa)を、図6に示すように、圧電体制御部21におけるグランドGに繋ぐと共に、他方(図6においては電極B20ab)を圧電体制御部21の信号出力端子Sに繋いで周波電圧を印加すると、圧電体20aは板厚方向に伸縮する。
【0111】
ここで、上記カメラ1の撮影レンズ鏡筒10の可動部材であるフォーカスレンズ枠11が上記駆動機構(VCM;ヨーク14a,磁石14b,コイル14c等)によって光軸O方向に進退移動する際に振動,騒音等が発生する際のメカニズムの概略を説明する。
【0112】
図7は、フォーカスレンズ枠(可動部材)を所定の振幅,周波数にて正弦波運動をさせた場合におけるフォーカスレンズ枠(可動部材)の(A)速度,(B)加速度,(C)加わる力量を表すグラフである。なお、図7において横軸は時間を示している。また、フォーカスレンズ枠(可動部材)の移動方向は、光軸Oに一致するZ軸方向である。
【0113】
図7(A)において、フォーカスレンズ枠11の正弦波運動の振幅Z0,周波数f,角周波数ω=2π×fとし、ある時刻tにおけるフォーカスレンズ枠11の位置をZ(t)とし、フォーカスレンズ枠11が最も後ろ側(カメラ本体側)にある時をt=T0にとると、
Z(t)=Z0×cos(ω×t)
となる。このとき、フォーカスレンズ枠11の速度V(t)は、上記位置Z(t)を時間tで微分することにより、
V(t)=ω×Z0×sin(ω×t)
となる。また、フォーカスレンズ枠11の加速度α(t)は、上記速度V(t)を時間tで微分することにより、
α(t)=ω2×Z0×cos(ω×t)
となる。また、フォーカスレンズ枠11の質量Wkとすると、上記の正弦波運動をさせるための力量2Fcは、
2Fc(t)=Wk×α(t)
=Wk×ω2×Z0×cos(ω×t)
となる。
【0114】
一方、フォーカスレンズ枠11の運動によって固定部材23に加わる反力Fa(t)は、フォーカスレンズ枠11と固定部材23との間の摩擦等のエネルギー損失が0と仮定すると、フォーカスレンズ枠11に働く力2Fc(t)の位相を反転したものとなる。即ち、
Fa(t)=−2Fc(t)
=−Wk×ω2×Z0×cos(ω×t)
となる。
【0115】
この場合において、固定部材23に生じる反力Fa(t)を相殺する力量F(t)を、上記駆動装置によって発生させる際には、次のように駆動装置を制御すればよい。
【0116】
図8は、固定部材の反力Fa(t)を相殺する(A)力量F(t)と、力量F(t)を発生させるための錘の(B)加速度αw(t),(C)錘の速度Vw(t),(D)錘の位置Zw(t),(E)錘の運動を発生させるために必要となる圧電体への印加電圧信号Vp(t)の関係の一例を示すグラフである。
【0117】
固定部材23に加わる反力Fa(t)(図7(C),図8(A)参照)に対して、この反力Fa(t)を相殺するための相殺力F(t)は、互いに位相を反転させたものである。即ち、
F(t)=−Fa(t)
である。
【0118】
ここで、上記相殺力F(t)を錘20bの運動によって発生させるために、錘20bに離散的な加速度αw(t)を発生させている(図8(B)参照)。錘20bによって発生する力Fw(t)は、
Fw(t)=m×αw(t)
である。この離散的な力Fw(t)を固定部材23に加える。ここで、F(t)とFw(t)とを近付けるためには、加速度αw(t)の発生周期を短くするか、若しくは周期を所定値以上(周波数を所定値以上)に設定し、加速度αの絶対値を高くするかのいずれかによって対応し得る。
【0119】
錘20bに加速度αw(t)を発生させるための錘20bの速度Vw(t)は、図8(C)によって示される。ここで、錘の速度Vw(t)は、ノコギリ波に近い三角波であり、速度の変化率の大きなところで相殺力を発生させる加速度αw(t)を発生し、一方、固定部材23の反力Fa(t)を増加させる方向にも向くことになるが、その時の速度変化率を小さくすることによって、錘20bの速度方向のエネルギーの大部分が相殺力F(t)を発生させるように圧電体20aを制御している。
【0120】
錘20bの速度Vw(t)を発生させるための錘20bの運動を錘20bの位置Zw(t)で示すと、位置Zw(t)は速度Vw(t)を時間tで積分した形となる。Vw(t)は非対称な三角波で、傾きの異なる2つの直線からなるので、その時間積分は2つの2次曲線が繋がったものとなる。2次曲線は、曲率の小さい2次曲線と曲率が大きな2次曲線となる(図8(D)参照)。この曲率の小さな2次曲線部分で相殺力F(t)を発生する動きをし、曲率の大きな2次曲線部分で相殺力F(t)と逆の力が発生する動作をしている。
【0121】
さらに、錘20bにZw(t)の運動をさせるには、圧電体20aに位置Zw(t)に対応した2次曲線で表される電圧を加える(図8(E)参照)。圧電体20aは、印加される電圧に比例して変位するので、2次曲線波形の振幅を制御することによって、図8(E)に示す電圧を発生させることができる。一方、この錘20bの2次曲線波形状の動作は、ノコギリ波形状の電圧波形を圧電体20aに印加することでも発生することができる。ノコギリ波の場合、このノコギリ波の立ち上がり部は垂直に立ち上がり、圧電体20aがその電圧に応じて垂直に変位すると、その場合の速度は無限になってしまうが、実際には回路上のコイル成分やコンデンサー成分で信号は鈍り、また圧電体20aの剛性やダンピング成分によって変位は鈍り、曲率の小さな2次曲線的な波形となるので、速度が無限になることは無い。また、ノコギリ波の傾きを持つ直線部分は、速度が一定になるので、加速度は0となり、慣性力は発生しない。したがって、電圧信号の周期(周波数)や振幅は、実際の圧電体20aや錘20bに合わせて調整する必要があるが、ノコギリ波形状の電圧波形を圧電体20aに印加することで、錘20bに所定の方向の離散的な加速度を発生させることができる。ノコギリ波形状の電圧波形の発生は、より簡単な回路で実現が可能である。
【0122】
なお、図8(E)に示す例では、電圧は片側振幅の2次曲線波形としているが、両側振幅の(プラス方向とマイナス方向の両方に振れる)電圧波形にしてもよい。両側振幅にすると、電源の最大電圧を低くすることができるので、制御回路を小型にすることができると共に、圧電体20aに加わる最大電圧が低くても発生する振幅は同じであるため、圧電体20aも小型化することができる。このような構成にした場合、錘20bは高周波で駆動させることが必要であるが、錘20bは小型化,軽量化することができる。
【0123】
具体的には、例えば、フォーカスレンズ枠(可動部材)11の質量Wk=5g,フォーカスレンズ枠(可動部材)11の正弦波運動の振幅50μm,周波数500Hzとすると、フォーカスレンズ枠(可動部材)11の最大速度は157mm/s,最大加速度は493m/s^2にも達する。
【0124】
ところが、この運動で発生する固定部材23の反力を相殺するのに圧電体20aの周波数を50kHzのノコギリ波とした場合、錘20bは振幅0.08μmとして質量0.3g(錘2つ分)となり、これは、フォーカスレンズ枠(可動部材)11の質量の1/17程度とすることが可能である。このとき、錘20bを黄銅で作れば、一辺2.7mm程度の立方体2つ分となる。
【0125】
一方、圧電体20aは積層圧電体とし、一層の形状を1.5mm角の正方形、厚さを50μmとして50層で構成すると、積層方向の寸法は2.5mmとなる。これを、最大電圧5Vで駆動すれば、錘20bを付けた振動子ユニット20の状態でも必要な変位(例えば、振幅0.08μm)をさせることができる。
【0126】
また、フォーカスレンズ枠11の周波数500Hzに対して、錘20bの周波数は50kHzであり、フォーカスレンズ枠11の正弦波1周期に対し100回の相殺力が加えられることになる。
【0127】
以上の説明は、フォーカスレンズ枠11が正弦波駆動している場合の例示であるが、これとは異なる運動をしている場合でも、離散的な加速度の振幅や周波数を変えることによって表現可能なので、対応する錘20bの動作を決めることは容易に可能である。実際には、フォーカスレンズ枠11を駆動することにより生じる不要な振動や音等の主要な周波数振動は、いくつかの特定の周波数で強く発生するので、それらの周波数に対して振動子ユニット20の制御を細かく行うことによって、より効果的な防振が可能である。
【0128】
上述のように、圧電体20aにノコギリ波状の速度を持つ振動を発生させるための圧電体制御部21の構成について、図9を用いて以下に説明する。
【0129】
圧電体制御部21は、圧電体20aに入力されるノコギリ波を発生させるノコギリ波発振器21aと、ノコギリ波発振器21aの電源電圧を制御する電圧制御回路21bとを有して構成される。
【0130】
電圧制御回路21bは、電圧の絶対値を所定のステップで変更可能であり、正負両方の電圧を出力可能に構成される回路部である。 この圧電体制御部21は、上述したように、レンズ制御部17に電気的に接続されている。
【0131】
レンズ制御部17は、制御ポートとして設けられた2つのIOポート、即ち「P_PwCont」と「VCont」を有しており、これら2つのIOポートは、圧電体制御部21bに接続されている。レンズ制御部17は、所定のタイミングで、「P_PwCont」を「High」にすることによって電圧制御回路21b内のトランジスタをオン(ON)状態とし、「Low」にすることによって同トランジスタをオフ(OFF)状態にすることができ、よって圧電体制御部21のオン/オフ制御を行う。
【0132】
一方、IOポート「VCont」は、電圧制御回路21bに電圧の指示値を出力する。その指示値は、フォーカスレンズ枠11を進退駆動させる駆動機構(VCM)の動作電圧に対して、振幅と位相を上記レンズ制御部17において調整されて演算された値である。また、指示値は事前にフォーカスレンズ枠11の動作パターンに対応して予め設定済みの各種情報データが、フラッシュメモリ18に記憶されており、レンズ制御部17は、フラッシュメモリ18より、そのデータを読み出す。あるいは、不図示の加速度センサー等を用いて固定部材23に直接加わる加速度を検出し、その検出値をレンズ制御部17に入力して演算された電圧指示値を、電圧制御回路21bに入力するようにしてもよい。
【0133】
なお、圧電体制御部21,レンズ制御部17のそれぞれに対しては、カメラ本体50側の電源回路69からレンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68を介して電力の供給を受け得るようになっている。
【0134】
以上のように構成された本実施形態の駆動装置を備えたカメラ1の作用を、図10〜図12を用いて、以下に説明する。
【0135】
まず、図10によって、該カメラ1の作用のうち撮影動作を行う際の処理シーケンスを説明する。
【0136】
まず、使用者がカメラ1の電源ボタン等を操作することによって、該カメラ1の電源状態をオン状態に切り換えて、該カメラ1のシステムを起動させる。
【0137】
図10のステップS1において、ボディ制御部66は、システムの起動時に行う所定の初期設定処理を実行する。
【0138】
続いて、ステップS2において、ボディ制御部66は、アクセサリ等が装着されているか否か等の検出処理を実行する。検出された場合には、その旨の情報を、例えばフラッシュメモリ64等に記憶する。
【0139】
次に、ステップS3において、ボディ制御部66は、操作部65からの指示信号を確認して、操作部材(操作スイッチ)の状態検出処理を実行する。
【0140】
続いて、ステップS4において、ボディ制御部66は、再生ボタンがオン状態であるか否かの確認を行う。ここで、再生ボタンがオン操作されてオン状態になったことが確認された場合には、ステップS5の処理に進む。また、再生ボタンがオフ状態のままであれば、ステップS6の処理に進む。
【0141】
ステップS5において、ボディ制御部66は、表示ドライバ59を介して表示部60を、メモリI/F61を介して記録媒体62をそれぞれ制御して再生動作を実行する。そして、再生動作の終了指示が確認された場合には、ステップS6の処理に進む。
【0142】
ステップS6において、ボディ制御部66は、動画ボタンがオン状態になったか否かの確認を行う。ここで、動画ボタンがオン操作されてオン状態になったことが確認された場合には、ステップS7の処理に進む。また、動画ボタンが操作されないままであれば、ステップS8の処理に進む。
【0143】
続いて、ステップS7において、ボディ制御部66は、記録中フラグの反転処理を実行する。本カメラ1において動画撮影記録動作時には、その開始時に動画ボタンの押下操作を行う一方、動画撮影記録動作を終了させる際にも、同じ動画ボタンの押下操作を行うことになる。したがって、上述のステップS6の処理にて動画ボタンがオン状態にされたことを確認しただけでは、現在のカメラ1の状態が、動画撮影記録動作開始直後の状態であるのか、動画撮影記録動作終了直後の状態であるのかの判別がつかない。そこで、このステップS7の処理にて、記録中フラグの反転処理を行っておく。その後、ステップS8の処理に進む。
【0144】
ステップS8において、ボディ制御部66は、記録中フラグを確認して現在のカメラ1の状態が動画撮影記録中の状態であるか否かの確認を行う。ここで、現在、動画撮影記録中の状態であれば、ステップS17の処理に進む。また、現在、動画撮影記録を行っていない状態であれば、ステップS9の処理に進む。
【0145】
ステップS9において、ボディ制御部66は、操作部65からの指示信号を監視して、ファースト(1st.)レリーズボタンがオン状態に変化したか否かの確認を行う。ここで、1st.レリーズボタンがオン状態に変化した場合には、次のステップS10の処理に進む。また、1st.レリーズボタンに変化がない場合には、ステップS13の処理に進む。
【0146】
ステップS10において、ボディ制御部66は、撮像素子52,AE処理部55等を制御してAE動作処理を実行する。
【0147】
続いて、ステップS11において、ボディ制御部66は、撮像素子52等を制御すると共に、表示ドライバ59を介して表示部60を制御して画像撮影動作を開始する。ここで行われる画像撮影動作は記録を伴うものではなく、いわゆるライブビュー表示動作である。
【0148】
続けて、ステップS12において、ボディ制御部66は、レンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68を介してレンズ制御部17との通信を行って、該レンズ制御部17を介してF枠ドライバ14を制御してフォーカスレンズ枠11を駆動させると共に、AF処理部56等を制御して、AF動作処理(詳細は後述する;図11のフローチャート参照)を実行する。その後、ステップS22の処理に進む。
【0149】
一方、ステップS13において、ボディ制御部66は、操作部65からの指示信号を監視して、セカンド(2nd.)レリーズボタンがオン状態に変化したか否かの確認を行う。ここで、2nd.レリーズボタンがオン状態に変化した場合には、次のステップS14の処理に進む。また、2nd.レリーズボタンに変化がない場合には、ステップS22の処理に進む。
【0150】
ステップS14において、ボディ制御部66は、撮像素子52,表示部60等を制御して静止画撮影動作を実行する。
【0151】
続いて、ステップS15において、ボディ制御部66は、画像処理部57等を制御して画像処理を実行する。
【0152】
次に、ステップS16において、ボディ制御部66は、画像圧縮展開部58を制御して画像圧縮処理を行うと共に、メモリI/F61を介して記録媒体62を制御して画像記録処理を実行する。その後、ステップS22の処理に進む。
【0153】
他方、ステップS17において、ボディ制御部66は、撮像素子52,AE処理部55等を制御してAE動作処理を実行する。
【0154】
続いて、ステップS18において、ボディ制御部66は、撮像素子52等を制御すると共に、表示ドライバ59を介して表示部60を制御して動画撮影処理を開始する。
【0155】
続けて、ステップS19において、ボディ制御部66は、レンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68を介してレンズ制御部17との通信を行って、該レンズ制御部17を介してF枠ドライバ14を制御してフォーカスレンズ枠11を駆動させると共に、AF処理部56等を制御してAF動作処理を実行する(詳細は後述する;図11のフローチャート参照)。
【0156】
ステップS20において、ボディ制御部66は、画像処理部57等を制御して画像処理を実行する。
【0157】
次に、ステップS21において、ボディ制御部66は、画像圧縮展開部58を制御して画像圧縮処理を行うと共に、メモリI/F61を介して記録媒体62を制御して動画像記録処理を実行する。その後、ステップS22の処理に進む。
【0158】
ステップS22において、ボディ制御部66は、操作部65からの指示信号を監視して、電源ボタンがオフ状態とされたか否かの確認を行う。ここで、電源ボタンがオフ状態にされたことが確認されると、一連の処理を終了する。また、電源ボタンがオフ状態にされていない場合には、上述のステップS4の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0159】
次に、上述の図10のフローチャートのうちAF動作(オートフォーカス動作)処理のサブルーチンを、図11を用いて以下に説明する。なお、このAF動作処理においては、撮影レンズ鏡筒10側のレンズ制御部17による作用も含まれる。
【0160】
AF動作処理の実行が開始されると、まず、ステップS31において、ボディ制御部66は、操作部65からの指示信号を監視して、動作モードがAFモードに設定されているか否かの確認を行う。ここで、AFモードに設定されていることが確認されると、ステップS32の処理に進む。また、AFモードに設定されていないことが確認されると、AF動作以外の動作処理シーケンスへと移行する。なお、AF動作以外の動作処理シーケンスについての詳細は、本発明に直接関連しない部分であるので、その詳細説明は省略するものとする。
【0161】
ステップS32において、ボディ制御部66は、AF動作が開始されたか否かの確認を行う。ここで、AF動作が開始されたことが確認されると、ステップS33の処理に進む。また、AF動作が開始されていない場合には、上述のステップS31の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0162】
ステップS33において、ボディ制御部66は、レンズ側インターフェース22,ボディ側インターフェース68を介してレンズ制御部17との通信を行って、該レンズ制御部17を介して圧電体制御部21を制御して振動子ユニット20の圧電体20aに対する圧電体駆動処理の実行を開始する。これにより、圧電体20aは駆動待機状態となる。
【0163】
まず、ステップS34において、ボディ制御部66は、ウォブリング動作処理を実行する。このウォブリング動作処理とは、フォーカスレンズ枠11(又は他の可動部材)を光軸Oに沿う方向へと所定の周波数によって正弦波振動させる。この動作によって、合焦点のある方向が判るようになっている。
【0164】
続いて、ステップS35において、ボディ制御部66は、撮像素子52等を制御して画像撮影処理を開始する。この画像撮影処理自体は、通常一般のカメラで行われる処理シーケンスである。したがって、その詳細説明は省略する。なお、画像撮影処理としては、静止画撮影であっても動画撮影であっても略同様の処理が行われる。
【0165】
次に、ステップS36において、ボディ制御部66は、撮像素子52によって取得され、アナログ処理部53,A/D変換部54等による処理が施された後の画像データに基いてコントラスト検出処理を実行する。
【0166】
ステップS37において、ボディ制御部66は、上述のステップS36の処理にて取得された画像データに関するコントラストデータが許容差以内にあるか否かの確認を行う。ここで、許容差以内にあることが確認された場合には、ステップS39の処理に進む。また、許容差の範囲外にある場合には、ステップS38の処理に進む。
【0167】
ステップS38において、ボディ制御部66は、フォーカスレンズ枠11の駆動動作を実行する。その後、上述のステップS34の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0168】
一方、ステップS39において、ボディ制御部66は、ウォブリング動作の停止処理を実行する。
【0169】
続いて、ステップS40において、ボディ制御部66は、圧電体駆動処理を停止させる。その後、元の処理シーケンスに復帰する(リターン)。
【0170】
次に、上述の図11のフローチャートのうち圧電体駆動制御処理のサブルーチンを、図12を用いて以下に説明する。
【0171】
まず、ステップS51において、ボディ制御部66は、フラッシュメモリ64等に予め記憶されている各種情報データの中からV(t)を指示値として読み出す。ここで読み出されるデータV(t)は、例えばフォーカスレンズ枠11の駆動機構(VCM)の動作電圧値(位相,振幅,ゲイン等を変えた数値)等である。
【0172】
次に、ステップS52において、ボディ制御部66は、上記ステップS51の処理にて読み出されたV(t)のデータをレンズ制御部17の「VCont」(図9参照)に設定する。
【0173】
続いて、ステップS53において、ボディ制御部66は、レンズ制御部17の「P_PwCont」をハイ(High)に設定する。
【0174】
ステップS54において、ボディ制御部66は、電圧値に変更が生じたか否かの確認を行う。ここで、電圧値に変更が生じた場合には、上述のステップS51の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。また、電圧値に変更が生じていない場合には、次のステップS55の処理に進む。
【0175】
ステップS55において、ボディ制御部66は、内部タイマ(不図示)等を参照し所定の時間だけ待機する。
【0176】
続いて、ステップS56において、ボディ制御部66は、圧電体20aの駆動が停止されたか否かの確認を行う。ここで、圧電体20aの駆動が停止されたことが確認されると次のステップS57の処理に進む。また、圧電体20aの駆動が停止されていない場合には、上述のステップS54の処理に進み、以降の処理を繰り返す。
【0177】
そして、ステップS57において、ボディ制御部66は、「P_PwCont」をロー(Low)に設定した後、元の処理シーケンスに復帰する(リターン)。
【0178】
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、カメラ1の撮影レンズ鏡筒10において、固定部材23に対し光軸方向に移動し得るように保持されたフォーカスレンズ枠11(可動部材)を、アクチュエータ(VCM;ヨーク14a,磁石14b,コイル14c等)を含む駆動機構を用いて駆動させたとき、固定部材23に対し、上記駆動機構の駆動力による反力が働く。この反力が固定部材23に作用するとき不要な振動,騒音等が発生することがある。そのために、本実施形態の駆動装置においては、当該反力を減少させるために振動子ユニット20を駆動させる。この場合において、振動子ユニット20は、上記反力を減少させる方向の慣性力が、該反力を増大させる方向の慣性力よりも大きくなるように圧電体20aを周期的に振動させて、固定部材23に対して働く反力を低減させる。これにより、当該反力によって生じる固定部材23の振動,騒音等を低減させ抑止させる。
【0179】
つまり、フォーカスレンズ枠11(可動部材)を駆動させる駆動機構(VCM;アクチュエータ)を動作させたときの反力に起因して生じる振動,騒音等を、効率的に低減させ抑止することができる。したがって、可動部材であるフォーカスレンズ枠11の移動をスムースに行うことができ、より高速かつ精密なフォーカスレンズ枠11(可動部材)の動作を確保することができる。しかも、装置を大型化することなく、当該効果を実現し得る。
【0180】
なお、図13は、上記一実施形態の変形例を示す図であって、上記一実施形態(図7参照)において、圧電体への電圧印加パターンを変えた場合の変形例を示すグラフである。なお、図13においては、錘の位置の変位Zw(t)と、この錘の運動を発生させるために必要な圧電体への印加電圧信号Vp(t)のみを図示している(図8(D),(E)に相当する)。
【0181】
この変形例の場合のフォーカスレンズ枠11の運動は、図7に示す例と同様に、フォーカスレンズ枠を所定の振幅,周波数にて正弦波運動をさせ、その運動による固定部材23の反力を相殺するように錘20bを変位させるための印加電圧を設定する。
【0182】
図8に示す例との相違としては、本変形例の場合の電圧信号は、片側振幅ではなく両側振幅であって、最大電圧は図8に示す例よりも低いものとしている。また、振幅そのものも正弦波的に変えておらず一定としている。このようにすると、電圧指示のパラメータが少なくてよくなるので、制御が簡単になるという効果がある。
【0183】
本実施形態においては、駆動装置を適用するカメラ1として、撮影レンズ鏡筒10とカメラ本体50とが別体構成のいわゆるレンズ交換式のカメラシステムを例に挙げて説明したが、この形態に限られることはなく、例えば撮影レンズ鏡筒とカメラ本体とが一体に構成される形態のカメラであっても同様に、本実施形態の駆動装置は適用し得る。
【0184】
また、本実施形態においては、フォーカスレンズ枠11を駆動させることによって生じる振動,騒音を抑制するために駆動装置を適用する例を示したが、本実施形態の駆動装置は、これに限ることはなく、また、これに加えて、ズームレンズ枠12や絞り機構13,シャッタ機構51,手振れ防止機構等を駆動させることに起因して生じる振動,騒音等を抑制するために適用することも、同様に可能である。
【0185】
なお、上述の実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
【0186】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影機能に特化した電子機器である画像機器に限られることはなく、画像撮影機能を備えた他の形態の電子機器、例えば携帯電話,録音機器,電子手帳,パーソナルコンピュータ,ゲーム機器,テレビ,時計,GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション機器等、各種の電子機器にも適用することができる。さらに、撮像素子を用いて画像を取得し、その取得画像を表示装置に表示して観察する機能を有する電子機器、例えば望遠鏡,双眼鏡,顕微鏡等の観察用機器に対しても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0188】
1……カメラ,10……撮影レンズ鏡筒,11……フォーカスレンズ枠,11a……フォーカスレンズ,11f……磁気スケール,12……ズームレンズ枠,12a……ズームレンズ,13……絞り機構,14……F枠ドライバ,14a……ヨーク,14aa……磁性体ヨーク,14b……磁石,14c……コイル,15……Z枠ドライバ,16……絞りドライバ,17……レンズ制御部,18……フラッシュメモリ,19……位置センサ,19a……位置センサ,19aa……位置センサ素子,19ab……絶対位置センサ素子,19b……絶対位置センサ,20……振動子ユニット,20a……圧電体,20b……錘,21……圧電体制御部,21a……ノコギリ波発振器,21b……電圧制御回路,22……レンズ側インターフェース,23……固定部材,24……ガイド軸,25……回転止軸,26……付勢部材,50……カメラ本体,52……撮像素子,53……アナログ処理部,54……A/D変換部,55……AE処理部,56……AF処理部,57……画像処理部,58……画像圧縮展開部,59……表示ドライバ,60……表示部,62……記録媒体,63……SDRAM,64……フラッシュメモリ,65……操作部,66……ボディ制御部,67……通信用バス,68……ボディ側インターフェース,69……電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な可動部材と、
上記可動部材を移動可能に保持する固定部材と、
上記固定部材に配置されていて、上記可動部材を当該固定部材に対して移動させるアクチュエータと、
上記アクチュエータによって上記可動部材が駆動された際に、当該可動部材の移動に基いて上記固定部材に作用する反作用に基く力による振動を低減または抑止するための慣性力を発生させる振動子と、
上記振動子の振動を制御する制御部と、
を具備し、
上記制御部は、上記振動子の振動速度が、最低速度から最高速度に到達するまでの時間と当該最高速度に到達してから最低速度になるまでの時間が等しくならないように、当該振動子を制御することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
上記制御部が上記振動子に発生させる速度に関する波の波形は、1周期に1つのノコギリ波を含む波であって、当該ノコギリ波は最低速度から最高速度に到達するまでの時間と当該最高速度に到達してから最低速度になるまでの時間が異なっていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記固定部材に作用する反作用に基づく力よりも、この反作用に基づく力を緩和する反対方向の慣性力の方が大きくなるように上記振動子の振動を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
上記振動子は、圧電体と錘とを含み、当該圧電体は一端部が当該固定部材に固定され、他端部に慣性力を発生させるための錘に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
上記振動子は、上記固定部材に複数配設されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−101492(P2013−101492A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244764(P2011−244764)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】