駆動軸損傷診断ユニット
【課題】 圧延設備等の駆動軸の損傷を診断するに際して、センサの出力を取り出すことが困難であるという問題を解消するとともに、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度を少なくした駆動軸損傷診断ユニットを提供する。
【解決手段】 駆動軸損傷診断ユニット11は、ベアリングカップ9に設けられたケース挿入孔12に挿入される有底円筒状ケース13と、ケース13外面に設けられて十字軸継手4のクロス7の状態を検出するセンサ14bと、ケース13内に配されたワイヤレス通信機15と、センサ14bおよびワイヤレス通信機15に電力を供給する電池16とを備えている。センサ14bおよびワイヤレス通信機15と電池16との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチ18が設けられている。
【解決手段】 駆動軸損傷診断ユニット11は、ベアリングカップ9に設けられたケース挿入孔12に挿入される有底円筒状ケース13と、ケース13外面に設けられて十字軸継手4のクロス7の状態を検出するセンサ14bと、ケース13内に配されたワイヤレス通信機15と、センサ14bおよびワイヤレス通信機15に電力を供給する電池16とを備えている。センサ14bおよびワイヤレス通信機15と電池16との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチ18が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧延設備等の駆動軸の損傷を診断するための駆動軸損傷診断ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼の圧延設備では、駆動軸に大きな負荷が掛かるため、駆動軸が損傷しやすく、損傷を早く検知して故障を防止することが重要となっている。そのため、定期的に分解検査が行われているが、この検査に手間および時間が掛かるため、分解検査に代わる稼働中での検査が望まれており、駆動軸の損傷を監視するニーズが高いものとなっている。圧延設備の駆動軸は、それ自体が回転するため、これを監視するにはワイヤレス化が不可欠となる。
【0003】
一方、特許文献1には、自動車の駆動軸に設けられている十字軸継手において、クロスの中央部にセンサ設置孔が設けられており、同孔内に、温度センサおよび送信部を有するセンサ装置が設けられているものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−304975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧延設備の駆動軸の損傷を診断するには、上記特許文献1の自動車の駆動軸用構成を圧延設備の駆動軸用として適用することが考えられるが、圧延設備用駆動軸は圧延する機構上、2つの駆動軸が密着していて、十字軸継手の外部に隙間が無く、センサの出力の取り出すためのアンテナを外部に取り付けることができないという問題がある。また、この種の設備は、24時間連続稼働である上、駆動軸の径が非常に大きいため、一旦取り付けた後の交換が困難であり、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度をいかに少なくするかが重要な課題となる。
【0005】
この発明の目的は、圧延設備等の駆動軸の損傷を診断するに際して、センサの出力を取り出すことが困難であるという問題を解消するとともに、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度を少なくした駆動軸損傷診断ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による駆動軸損傷診断ユニットは、十字軸継手のクロスに結合されるベアリングカップに設けられる駆動軸損傷診断ユニットであって、ベアリングカップに設けられたケース挿入孔に挿入される有底円筒状ケースと、ケースに設けられて十字軸継手のクロスの状態を検出するセンサと、ケース内に配されたワイヤレス通信機と、センサおよびワイヤレス通信機に電力を供給する電池とを備えており、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
十字軸継手は、2つの回転軸の端部にそれぞれ設けられたフランジヨーク間に配されるクロス(十字軸)および4つのクロスベアリングからなる。クロスベアリングは、ベアリングカップおよび複数のころからなり、ベアリングカップとフランジヨークとがボルトで結合されることにより、2つの回転軸は、相対的な揺動が可能とされかつ回転が確実に伝達するように結合される。クロスとベアリングカップとの相対的揺動は、一方の回転軸から他方の回転軸に回転運動を伝達する際の衝撃を緩和するバッファー機能を果たす。
【0008】
ベアリングカップには、グリースを供給するための孔が設けられており、この孔がケース挿入孔として使用される。
【0009】
駆動軸損傷診断ユニットは、十字軸継手のクロスの各軸部(トラニオン)にそれぞれ設けられるもので、1つの駆動軸損傷診断ユニットは、アンテナおよびワイヤレス基板からなるワイヤレス通信機と、センサおよびセンサ基板からなるセンサユニットと、これらの電源となる電池とからなる。センサ基板には、プリアンプおよび電源回路などが内蔵される。
【0010】
ワイヤレス通信機と電池との接続が一定時間が経過するとオフとなるようにするには、例えば、電池は、3端子レギュレータを介してセンサおよびワイヤレス通信機と接続され、起動スイッチは、電池と3端子レギュレータとの間に設けられ、タイマは、3端子レギュレータに接続されたPICマイコンに内蔵されているものとされる。起動スイッチは、例えば、プッシュボタン型スイッチとされる。
【0011】
この駆動軸損傷診断ユニットを備えた駆動軸監視システムは、十字軸継手のクロスの各軸部にそれぞれ設けられた駆動軸損傷診断ユニット(子機)と、子機と送受信してセンサ出力を取得するとともに必要な指示を子機に与える親機と、センサ出力を処理して損傷の程度について判別する監視パソコンなどとから構成される。
【0012】
この駆動軸損傷診断ユニットによると、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、通常、オフ状態とされ、駆動軸の診断を行う際に、起動スイッチを入れることで、オン状態とされる。親機から指示があればすぐにセンサからの出力を送信するように、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続をオンの状態としておいた場合には、親機から要求があったときにのみセンサからの出力を送信するようにしたとしても、待機状態での消費電力が無視できないため、電池の寿命は数ヶ月程度となってしまう。圧延設備は24時間連続稼働であり、電池の交換のために稼働を停止することは避ける必要がある。駆動軸の損傷診断は、月に1〜2回程度行えばよいものなので、診断を行う際のみに起動スイッチによって所定時間(例えば、5分程度)センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続をオン状態とすることにより、電池の寿命を大幅(数年程度)に向上することができる。
【0013】
センサは、十字軸継手の損傷(剥離)を検知するためのもので、例えば、変位センサ(センサからクロス表面までの距離の変化によって損傷を検出する)とされるが、これに限定されるものではなく、圧電型加速度ピックアップにより損傷を振動で検知する振動センサ、損傷部から発生するAE(アコースティック・エミッション)を検知して損傷を診断するAEセンサ、損傷を温度上昇で検知する温度センサ、損傷をクロスからころを介してベアリングカップに作用する力に伴う歪量の増大で検知する非接触歪センサ(歪によって損傷を検出する)、その他のセンサが適宜使用される。
【0014】
上記駆動軸損傷診断ユニットがベアリングカップに設けられる際には、駆動軸損傷診断ユニットのケースおよびベアリングカップのケース挿入孔がいずれも段付き状に形成されているとともに、ケース開口端部がケース挿入孔から突出するようになされて、その突出部外周におねじ部が設けられており、このおねじ部にナットがねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニットが着脱自在に内蔵されていることが好ましい。このようなベアリングカップは、駆動軸損傷診断ユニットが内蔵されていないベアリングカップに代えてこれを使用することにより、既存の圧延設備における駆動軸損傷診断を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の駆動軸損傷診断ユニットによると、ケース内に配されたワイヤレス通信機によって、センサの出力を取り出すことが可能であり、また、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられているので、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度を非常に少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットが使用される圧延設備の駆動軸(1)の一部を示している。駆動軸(1)は、図示省略した圧延ローラと駆動モータとを接続して、駆動モータの回転を圧延ローラに伝達するもので、圧延ローラに一端部が結合されたローラ回転軸(2)と、ローラ回転軸(2)の他端部に十字軸継手(4)を介して一端部が結合された中間回転軸(3)と、中間回転軸(3)の他端部に十字軸継手を介して一端部が結合され、他端部が駆動モータに結合されたモータ回転軸とからなる。十字軸継手(4)による結合部分の構成は、モータ回転軸側とローラ回転軸(2)側とで同じであり、1対の回転軸(2)(3)がこれらの結合端部に介在された十字軸継手(4)により相対的に揺動可能に結合されている。
【0018】
一方の回転軸(2)の結合端部には、角度にして90°の大きさのフランジヨーク(5)が180°離れて対向するように設けられており、他方の回転軸(3)の結合端部には、角度にして90°の大きさのフランジヨーク(6)が一方の回転軸(2)と90°ずれた位置に180°離れて対向するように設けられている。十字軸継手(4)は、4つの軸部(トラニオン)(7a)を有しているクロス(十字軸)(7)と、クロス(7)と各ヨーク(5)(6)との結合部位に設けられる4つのクロスベアリング(8)とからなる。各クロスベアリング(8)は、図2に示すように、ベアリングカップ(9)およびこれに支持された複数のころ(10)からなる。各フランジヨーク(5)(6)には、めねじ部(5a)(6a)が設けられ、各ベアリングカップ(9)には、ボルト挿通孔(9a)が設けられており、一方の回転軸(2)の突き合わせ端部において、1対のフランジヨーク(5)とこれらに対応する1対のベアリングカップ(9)とがボルトで結合されるとともに、他方の回転軸(3)の突き合わせ端部において、1対のフランジヨーク(6)とこれらに対応する1対のベアリングカップ(9)とがボルトで結合されることにより、回転軸(2)(3)同士が互いに回転を伝達するように結合されている。クロス(7)とベアリングカップ(9)とは、ころ(10)を介して接触することにより、相対的に揺動可能であり、一方の回転軸(2)から他方の回転軸(3)に回転運動を伝達する際の衝撃を緩和するバッファー機能を果たしている。こうして、圧延ローラの移動が許容されることにより、駆動軸(1)への衝撃が緩和されている。しかしながら、十字軸継手(4)には、衝撃等による大きな負荷が掛かるため、長期間の使用により損傷が進行していくことになる。この損傷の進行を監視するため、各ベアリングカップ(9)には、クロス(7)の損傷を検知する駆動軸損傷診断ユニット(11)が内蔵されている。
【0019】
図2に示すように、ベアリングカップ(9)には、クロス(7)の軸部(7a)を収納するクロス軸部収納空間(9b)が内周側から設けられており、複数のころ(10)は、クロス(7)の軸部(7a)の外周に接触して転がるように同空間(9b)内に配置されている。ベアリングカップ(9)には、さらに、クロス軸部収納空間(9b)に通じるグリス供給孔(12)がその外周側から設けられている。このグリス供給孔(12)は、クロス(7)およびベアリングカップ(9)ところ(10)との転がり接触部を潤滑するためのグリースを供給する孔であるとともに、後述するように、駆動軸損傷診断ユニット(11)のケース(13)を挿入するためのケース挿入孔として使用されている。
【0020】
駆動軸損傷診断ユニット(11)は、ベアリングカップ(9)に設けられたケース挿入孔(12)に挿入された有底円筒状ケース(13)と、ケース(13)に支持されて十字軸継手(4)のクロス(7)の状態を検出するセンサユニット(14)と、センサユニット(14)からの出力を外部に取り出すためのワイヤレス通信機(15)と、センサユニット(14)およびワイヤレス通信機(15)に電力を供給する電池(16)と、ケース開口に着脱可能に取り付けられた孔あき円盤状の鋼製蓋(17)と、蓋(17)の孔内に嵌め合わせられた起動スイッチ(18)とを有している。
【0021】
ケース(13)およびベアリングカップ(9)のケース挿入孔(12)は、いずれも径方向外方が小径の段付き状に形成されている。ケース(13)の開口端部は、ケース挿入孔(12)から突出するようになされており、その突出部外周におねじ部(13a)が設けられている。そして、ケース(13)がケース挿入孔(12)に径方向内方から嵌め入れられるとともに、ケース(13)のおねじ部(13a)にナット(19)がねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニット(11)がベアリングカップ(9)に着脱自在に内蔵されている。
【0022】
センサユニット(14)は、プリアンプおよび電源回路を有しケース(13)内周の径方向内側部分に配置されたセンサ基板(14a)と、クロス(7)の軸部(7a)の外周を臨むようにケース(13)の大径部(13b)の外周に設けられた変位センサ(14b)と、センサ基板(14a)と変位センサ(14b)とをつなぐ接続線(14c)とからなる。
【0023】
ワイヤレス通信機(15)は、ケース(13)内周のセンサ基板(14a)上方に配置されたワイヤレス基板(15a)と、ワイヤレス基板(15a)に接続され先端が蓋(17)の孔に臨まされているアンテナ(15b)とからなる。
【0024】
起動スイッチ(18)は、通常はオフ状態とされたプッシュ型ボタンスイッチとされており、プッシュボタン(18a)を押すことで、センサユニット(14)およびワイヤレス通信機(15)と電池(16)との接続を外部からオンにすることができる。起動スイッチ(18)は、プッシュ型ボタンスイッチ以外のスイッチであってももちろんよい。
【0025】
図3は、この発明による駆動軸損傷診断ユニット(11)を使用した駆動軸監視システムのハードウェア構成を示している。同図に示すように、各駆動軸損傷診断ユニット(11)は、この駆動軸監視システムの子機として使用されており、各子機(11)は、センサユニット(14)からの出力をワイヤレス通信機(15)を介して親機(19)に送信する。親機(19)には監視用のパソコン(20)が接続されている。パソコン(20)は、圧延設備から離れた監視室内などに設置され、各駆動軸損傷診断ユニット(11)から送られてくるデータを処理して、クロス(7)の損傷の程度について判別し、その結果をパソコン(20)のディスプレイに表示する。
【0026】
駆動軸(1)が回転すると、クロス(7)とベアリングカップ(9)とは、ころ(10)を介して力を及ぼし合い、この力によって生じるクロス(7)とベアリングカップ(9)との相対変位がセンサユニット(14)によって検知され、ワイヤレス通信機(15)によって親機(19)に送信される。ワイヤレス通信機(15)は、ベアリングカップ(9)に内蔵されているので、圧延設備用駆動軸のように2つの駆動軸(1)が密着していて、十字軸継手(4)の外部に隙間が無い場合でも、センサユニット(14)からの出力を容易に取り出すことができる。クロス(7)表面に損傷が生じていると、センサユニット(14)からの出力が正常時と相違することになり、この相違量が許容範囲かどうかを判定することにより、駆動軸(1)の損傷診断を行うことができる。クロス(7)の各軸部(7a)は、損傷の進行の程度が通常異なっているので、損傷診断は、各軸部(7a)毎に行われる。こうして、駆動軸(1)を稼働させた状態で損傷の診断を行うことが可能となり、稼働を停止しての分解検査をなくすことができる。
【0027】
次いで、図4を参照して、駆動軸損傷診断ユニット(11)の電源供給回路の詳細について説明する。
【0028】
電源供給回路は、電池(16)および起動スイッチ(18)のほかに、電池(16)と各基板(14a)(15a)との間に設けられた3端子レギュレータ(21)と、3端子レギュレータ(21)の出力端子(Vout)に接続されたPICマイコン(22)とを備えている。
【0029】
電池(16)は、3端子レギュレータ(21)の入力端子(Vin)に接続されており、起動スイッチ(18)は、電池(16)と3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)との間に配されている。PICマイコン(22)の出力端子(Ra)は、3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)とダイオード(23)を介して接続されている。
【0030】
起動スイッチ(18)のプッシュボタン(18a)を押すと、コントロール端子(CTRL)付きの3端子レギュレータ(21)は、電源を各基板(14a)(15a)に供給する。同時に、PICマイコン(22)が動作し、出力端子(Ra)をHとし、3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)を保持する。これにより、3端子レギュレータ(21)の出力端子(Vout)からの供給電圧が一定値で保持され、各基板(14a)(15a)への電源供給が継続される。PICマイコン(22)は、内部タイマを有しており、この内部タイマに設定された時間(例えば5分)が経過すると、PICマイコン(22)の出力端子(Ra)がLとなり、各基板(14a)(15a)への電源供給が停止される。この状態では、電池(16)から3端子レギュレータ(21)に待機消費電力(電流が100μA)が供給されているほかは、電源が供給されておらず、電池(16)の消耗が防止される。
【0031】
上記構成とすることにより、電池(16)の寿命は、起動スイッチ(18)を設けていなかった従来のものでは半年であったものが、5年以上となり、電池(16)の交換回数を大幅に削減することができた。
【0032】
上記駆動軸損傷診断ユニット(11)は、これを有していない駆動軸に対して、ケース(13)の形状をベアリングカップ(9)のグリス供給孔=ケース挿入孔(12)に合わせて形成することにより、着脱自在に取り付けることができる。これにより、既存の駆動軸の損傷診断を容易に行うことができる。駆動軸損傷診断ユニット(11)は、これをベアリングカップ(9)に内蔵しておいて、ベアリングカップ(9)ごと取り替えることも可能であり、このようにしても、既存の駆動軸の損傷診断を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットが好適に使用される圧延設備の駆動軸を示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットおよびこれを内蔵したベアリングカップを示す断面図である。
【図3】図3は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットを使用した駆動軸監視システムを示すブロック図である。
【図4】図4は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットの電源供給回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
(1) 駆動軸
(4) 十字軸継手
(7) クロス
(9) ベアリングカップ
(11) 駆動軸損傷診断ユニット
(12) ケース挿入孔
(13) ケース
(13a) おねじ部
(14) センサユニット
(14b) センサ(変位センサ)
(15) ワイヤレス通信機
(16) 電池
(18) プッシュボタン型スイッチ(起動スイッチ)
(19) ナット
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧延設備等の駆動軸の損傷を診断するための駆動軸損傷診断ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼の圧延設備では、駆動軸に大きな負荷が掛かるため、駆動軸が損傷しやすく、損傷を早く検知して故障を防止することが重要となっている。そのため、定期的に分解検査が行われているが、この検査に手間および時間が掛かるため、分解検査に代わる稼働中での検査が望まれており、駆動軸の損傷を監視するニーズが高いものとなっている。圧延設備の駆動軸は、それ自体が回転するため、これを監視するにはワイヤレス化が不可欠となる。
【0003】
一方、特許文献1には、自動車の駆動軸に設けられている十字軸継手において、クロスの中央部にセンサ設置孔が設けられており、同孔内に、温度センサおよび送信部を有するセンサ装置が設けられているものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−304975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧延設備の駆動軸の損傷を診断するには、上記特許文献1の自動車の駆動軸用構成を圧延設備の駆動軸用として適用することが考えられるが、圧延設備用駆動軸は圧延する機構上、2つの駆動軸が密着していて、十字軸継手の外部に隙間が無く、センサの出力の取り出すためのアンテナを外部に取り付けることができないという問題がある。また、この種の設備は、24時間連続稼働である上、駆動軸の径が非常に大きいため、一旦取り付けた後の交換が困難であり、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度をいかに少なくするかが重要な課題となる。
【0005】
この発明の目的は、圧延設備等の駆動軸の損傷を診断するに際して、センサの出力を取り出すことが困難であるという問題を解消するとともに、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度を少なくした駆動軸損傷診断ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による駆動軸損傷診断ユニットは、十字軸継手のクロスに結合されるベアリングカップに設けられる駆動軸損傷診断ユニットであって、ベアリングカップに設けられたケース挿入孔に挿入される有底円筒状ケースと、ケースに設けられて十字軸継手のクロスの状態を検出するセンサと、ケース内に配されたワイヤレス通信機と、センサおよびワイヤレス通信機に電力を供給する電池とを備えており、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
十字軸継手は、2つの回転軸の端部にそれぞれ設けられたフランジヨーク間に配されるクロス(十字軸)および4つのクロスベアリングからなる。クロスベアリングは、ベアリングカップおよび複数のころからなり、ベアリングカップとフランジヨークとがボルトで結合されることにより、2つの回転軸は、相対的な揺動が可能とされかつ回転が確実に伝達するように結合される。クロスとベアリングカップとの相対的揺動は、一方の回転軸から他方の回転軸に回転運動を伝達する際の衝撃を緩和するバッファー機能を果たす。
【0008】
ベアリングカップには、グリースを供給するための孔が設けられており、この孔がケース挿入孔として使用される。
【0009】
駆動軸損傷診断ユニットは、十字軸継手のクロスの各軸部(トラニオン)にそれぞれ設けられるもので、1つの駆動軸損傷診断ユニットは、アンテナおよびワイヤレス基板からなるワイヤレス通信機と、センサおよびセンサ基板からなるセンサユニットと、これらの電源となる電池とからなる。センサ基板には、プリアンプおよび電源回路などが内蔵される。
【0010】
ワイヤレス通信機と電池との接続が一定時間が経過するとオフとなるようにするには、例えば、電池は、3端子レギュレータを介してセンサおよびワイヤレス通信機と接続され、起動スイッチは、電池と3端子レギュレータとの間に設けられ、タイマは、3端子レギュレータに接続されたPICマイコンに内蔵されているものとされる。起動スイッチは、例えば、プッシュボタン型スイッチとされる。
【0011】
この駆動軸損傷診断ユニットを備えた駆動軸監視システムは、十字軸継手のクロスの各軸部にそれぞれ設けられた駆動軸損傷診断ユニット(子機)と、子機と送受信してセンサ出力を取得するとともに必要な指示を子機に与える親機と、センサ出力を処理して損傷の程度について判別する監視パソコンなどとから構成される。
【0012】
この駆動軸損傷診断ユニットによると、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、通常、オフ状態とされ、駆動軸の診断を行う際に、起動スイッチを入れることで、オン状態とされる。親機から指示があればすぐにセンサからの出力を送信するように、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続をオンの状態としておいた場合には、親機から要求があったときにのみセンサからの出力を送信するようにしたとしても、待機状態での消費電力が無視できないため、電池の寿命は数ヶ月程度となってしまう。圧延設備は24時間連続稼働であり、電池の交換のために稼働を停止することは避ける必要がある。駆動軸の損傷診断は、月に1〜2回程度行えばよいものなので、診断を行う際のみに起動スイッチによって所定時間(例えば、5分程度)センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続をオン状態とすることにより、電池の寿命を大幅(数年程度)に向上することができる。
【0013】
センサは、十字軸継手の損傷(剥離)を検知するためのもので、例えば、変位センサ(センサからクロス表面までの距離の変化によって損傷を検出する)とされるが、これに限定されるものではなく、圧電型加速度ピックアップにより損傷を振動で検知する振動センサ、損傷部から発生するAE(アコースティック・エミッション)を検知して損傷を診断するAEセンサ、損傷を温度上昇で検知する温度センサ、損傷をクロスからころを介してベアリングカップに作用する力に伴う歪量の増大で検知する非接触歪センサ(歪によって損傷を検出する)、その他のセンサが適宜使用される。
【0014】
上記駆動軸損傷診断ユニットがベアリングカップに設けられる際には、駆動軸損傷診断ユニットのケースおよびベアリングカップのケース挿入孔がいずれも段付き状に形成されているとともに、ケース開口端部がケース挿入孔から突出するようになされて、その突出部外周におねじ部が設けられており、このおねじ部にナットがねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニットが着脱自在に内蔵されていることが好ましい。このようなベアリングカップは、駆動軸損傷診断ユニットが内蔵されていないベアリングカップに代えてこれを使用することにより、既存の圧延設備における駆動軸損傷診断を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の駆動軸損傷診断ユニットによると、ケース内に配されたワイヤレス通信機によって、センサの出力を取り出すことが可能であり、また、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられているので、センサ、ワイヤレス通信機などに電力を供給する電池の交換頻度を非常に少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットが使用される圧延設備の駆動軸(1)の一部を示している。駆動軸(1)は、図示省略した圧延ローラと駆動モータとを接続して、駆動モータの回転を圧延ローラに伝達するもので、圧延ローラに一端部が結合されたローラ回転軸(2)と、ローラ回転軸(2)の他端部に十字軸継手(4)を介して一端部が結合された中間回転軸(3)と、中間回転軸(3)の他端部に十字軸継手を介して一端部が結合され、他端部が駆動モータに結合されたモータ回転軸とからなる。十字軸継手(4)による結合部分の構成は、モータ回転軸側とローラ回転軸(2)側とで同じであり、1対の回転軸(2)(3)がこれらの結合端部に介在された十字軸継手(4)により相対的に揺動可能に結合されている。
【0018】
一方の回転軸(2)の結合端部には、角度にして90°の大きさのフランジヨーク(5)が180°離れて対向するように設けられており、他方の回転軸(3)の結合端部には、角度にして90°の大きさのフランジヨーク(6)が一方の回転軸(2)と90°ずれた位置に180°離れて対向するように設けられている。十字軸継手(4)は、4つの軸部(トラニオン)(7a)を有しているクロス(十字軸)(7)と、クロス(7)と各ヨーク(5)(6)との結合部位に設けられる4つのクロスベアリング(8)とからなる。各クロスベアリング(8)は、図2に示すように、ベアリングカップ(9)およびこれに支持された複数のころ(10)からなる。各フランジヨーク(5)(6)には、めねじ部(5a)(6a)が設けられ、各ベアリングカップ(9)には、ボルト挿通孔(9a)が設けられており、一方の回転軸(2)の突き合わせ端部において、1対のフランジヨーク(5)とこれらに対応する1対のベアリングカップ(9)とがボルトで結合されるとともに、他方の回転軸(3)の突き合わせ端部において、1対のフランジヨーク(6)とこれらに対応する1対のベアリングカップ(9)とがボルトで結合されることにより、回転軸(2)(3)同士が互いに回転を伝達するように結合されている。クロス(7)とベアリングカップ(9)とは、ころ(10)を介して接触することにより、相対的に揺動可能であり、一方の回転軸(2)から他方の回転軸(3)に回転運動を伝達する際の衝撃を緩和するバッファー機能を果たしている。こうして、圧延ローラの移動が許容されることにより、駆動軸(1)への衝撃が緩和されている。しかしながら、十字軸継手(4)には、衝撃等による大きな負荷が掛かるため、長期間の使用により損傷が進行していくことになる。この損傷の進行を監視するため、各ベアリングカップ(9)には、クロス(7)の損傷を検知する駆動軸損傷診断ユニット(11)が内蔵されている。
【0019】
図2に示すように、ベアリングカップ(9)には、クロス(7)の軸部(7a)を収納するクロス軸部収納空間(9b)が内周側から設けられており、複数のころ(10)は、クロス(7)の軸部(7a)の外周に接触して転がるように同空間(9b)内に配置されている。ベアリングカップ(9)には、さらに、クロス軸部収納空間(9b)に通じるグリス供給孔(12)がその外周側から設けられている。このグリス供給孔(12)は、クロス(7)およびベアリングカップ(9)ところ(10)との転がり接触部を潤滑するためのグリースを供給する孔であるとともに、後述するように、駆動軸損傷診断ユニット(11)のケース(13)を挿入するためのケース挿入孔として使用されている。
【0020】
駆動軸損傷診断ユニット(11)は、ベアリングカップ(9)に設けられたケース挿入孔(12)に挿入された有底円筒状ケース(13)と、ケース(13)に支持されて十字軸継手(4)のクロス(7)の状態を検出するセンサユニット(14)と、センサユニット(14)からの出力を外部に取り出すためのワイヤレス通信機(15)と、センサユニット(14)およびワイヤレス通信機(15)に電力を供給する電池(16)と、ケース開口に着脱可能に取り付けられた孔あき円盤状の鋼製蓋(17)と、蓋(17)の孔内に嵌め合わせられた起動スイッチ(18)とを有している。
【0021】
ケース(13)およびベアリングカップ(9)のケース挿入孔(12)は、いずれも径方向外方が小径の段付き状に形成されている。ケース(13)の開口端部は、ケース挿入孔(12)から突出するようになされており、その突出部外周におねじ部(13a)が設けられている。そして、ケース(13)がケース挿入孔(12)に径方向内方から嵌め入れられるとともに、ケース(13)のおねじ部(13a)にナット(19)がねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニット(11)がベアリングカップ(9)に着脱自在に内蔵されている。
【0022】
センサユニット(14)は、プリアンプおよび電源回路を有しケース(13)内周の径方向内側部分に配置されたセンサ基板(14a)と、クロス(7)の軸部(7a)の外周を臨むようにケース(13)の大径部(13b)の外周に設けられた変位センサ(14b)と、センサ基板(14a)と変位センサ(14b)とをつなぐ接続線(14c)とからなる。
【0023】
ワイヤレス通信機(15)は、ケース(13)内周のセンサ基板(14a)上方に配置されたワイヤレス基板(15a)と、ワイヤレス基板(15a)に接続され先端が蓋(17)の孔に臨まされているアンテナ(15b)とからなる。
【0024】
起動スイッチ(18)は、通常はオフ状態とされたプッシュ型ボタンスイッチとされており、プッシュボタン(18a)を押すことで、センサユニット(14)およびワイヤレス通信機(15)と電池(16)との接続を外部からオンにすることができる。起動スイッチ(18)は、プッシュ型ボタンスイッチ以外のスイッチであってももちろんよい。
【0025】
図3は、この発明による駆動軸損傷診断ユニット(11)を使用した駆動軸監視システムのハードウェア構成を示している。同図に示すように、各駆動軸損傷診断ユニット(11)は、この駆動軸監視システムの子機として使用されており、各子機(11)は、センサユニット(14)からの出力をワイヤレス通信機(15)を介して親機(19)に送信する。親機(19)には監視用のパソコン(20)が接続されている。パソコン(20)は、圧延設備から離れた監視室内などに設置され、各駆動軸損傷診断ユニット(11)から送られてくるデータを処理して、クロス(7)の損傷の程度について判別し、その結果をパソコン(20)のディスプレイに表示する。
【0026】
駆動軸(1)が回転すると、クロス(7)とベアリングカップ(9)とは、ころ(10)を介して力を及ぼし合い、この力によって生じるクロス(7)とベアリングカップ(9)との相対変位がセンサユニット(14)によって検知され、ワイヤレス通信機(15)によって親機(19)に送信される。ワイヤレス通信機(15)は、ベアリングカップ(9)に内蔵されているので、圧延設備用駆動軸のように2つの駆動軸(1)が密着していて、十字軸継手(4)の外部に隙間が無い場合でも、センサユニット(14)からの出力を容易に取り出すことができる。クロス(7)表面に損傷が生じていると、センサユニット(14)からの出力が正常時と相違することになり、この相違量が許容範囲かどうかを判定することにより、駆動軸(1)の損傷診断を行うことができる。クロス(7)の各軸部(7a)は、損傷の進行の程度が通常異なっているので、損傷診断は、各軸部(7a)毎に行われる。こうして、駆動軸(1)を稼働させた状態で損傷の診断を行うことが可能となり、稼働を停止しての分解検査をなくすことができる。
【0027】
次いで、図4を参照して、駆動軸損傷診断ユニット(11)の電源供給回路の詳細について説明する。
【0028】
電源供給回路は、電池(16)および起動スイッチ(18)のほかに、電池(16)と各基板(14a)(15a)との間に設けられた3端子レギュレータ(21)と、3端子レギュレータ(21)の出力端子(Vout)に接続されたPICマイコン(22)とを備えている。
【0029】
電池(16)は、3端子レギュレータ(21)の入力端子(Vin)に接続されており、起動スイッチ(18)は、電池(16)と3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)との間に配されている。PICマイコン(22)の出力端子(Ra)は、3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)とダイオード(23)を介して接続されている。
【0030】
起動スイッチ(18)のプッシュボタン(18a)を押すと、コントロール端子(CTRL)付きの3端子レギュレータ(21)は、電源を各基板(14a)(15a)に供給する。同時に、PICマイコン(22)が動作し、出力端子(Ra)をHとし、3端子レギュレータ(21)のコントロール端子(CTRL)を保持する。これにより、3端子レギュレータ(21)の出力端子(Vout)からの供給電圧が一定値で保持され、各基板(14a)(15a)への電源供給が継続される。PICマイコン(22)は、内部タイマを有しており、この内部タイマに設定された時間(例えば5分)が経過すると、PICマイコン(22)の出力端子(Ra)がLとなり、各基板(14a)(15a)への電源供給が停止される。この状態では、電池(16)から3端子レギュレータ(21)に待機消費電力(電流が100μA)が供給されているほかは、電源が供給されておらず、電池(16)の消耗が防止される。
【0031】
上記構成とすることにより、電池(16)の寿命は、起動スイッチ(18)を設けていなかった従来のものでは半年であったものが、5年以上となり、電池(16)の交換回数を大幅に削減することができた。
【0032】
上記駆動軸損傷診断ユニット(11)は、これを有していない駆動軸に対して、ケース(13)の形状をベアリングカップ(9)のグリス供給孔=ケース挿入孔(12)に合わせて形成することにより、着脱自在に取り付けることができる。これにより、既存の駆動軸の損傷診断を容易に行うことができる。駆動軸損傷診断ユニット(11)は、これをベアリングカップ(9)に内蔵しておいて、ベアリングカップ(9)ごと取り替えることも可能であり、このようにしても、既存の駆動軸の損傷診断を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットが好適に使用される圧延設備の駆動軸を示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットおよびこれを内蔵したベアリングカップを示す断面図である。
【図3】図3は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットを使用した駆動軸監視システムを示すブロック図である。
【図4】図4は、この発明による駆動軸損傷診断ユニットの電源供給回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
(1) 駆動軸
(4) 十字軸継手
(7) クロス
(9) ベアリングカップ
(11) 駆動軸損傷診断ユニット
(12) ケース挿入孔
(13) ケース
(13a) おねじ部
(14) センサユニット
(14b) センサ(変位センサ)
(15) ワイヤレス通信機
(16) 電池
(18) プッシュボタン型スイッチ(起動スイッチ)
(19) ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
十字軸継手のクロスに結合されるベアリングカップに設けられる駆動軸損傷診断ユニットであって、ベアリングカップに設けられたケース挿入孔に挿入される有底円筒状ケースと、ケースに設けられて十字軸継手のクロスの状態を検出するセンサと、ケース内に配されたワイヤレス通信機と、センサおよびワイヤレス通信機に電力を供給する電池とを備えており、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられていることを特徴とする駆動軸損傷診断ユニット。
【請求項2】
電池は、3端子レギュレータを介してセンサおよびワイヤレス通信機と接続され、起動スイッチは、電池と3端子レギュレータとの間に設けられ、タイマは、3端子レギュレータに接続されたPICマイコンに内蔵されている請求項1の駆動軸損傷診断ユニット。
【請求項3】
請求項1または2の駆動軸損傷診断ユニットが設けられたベアリングカップであって、駆動軸損傷診断ユニットのケースおよびベアリングカップのケース挿入孔がいずれも段付き状に形成されているとともに、ケース開口端部がケース挿入孔から突出するようになされて、その突出部外周におねじ部が設けられており、このおねじ部にナットがねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニットが着脱自在に内蔵されているベアリングカップ。
【請求項1】
十字軸継手のクロスに結合されるベアリングカップに設けられる駆動軸損傷診断ユニットであって、ベアリングカップに設けられたケース挿入孔に挿入される有底円筒状ケースと、ケースに設けられて十字軸継手のクロスの状態を検出するセンサと、ケース内に配されたワイヤレス通信機と、センサおよびワイヤレス通信機に電力を供給する電池とを備えており、センサおよびワイヤレス通信機と電池との接続は、タイマによって一定時間が経過するとオフとされるようになされているとともに、この接続を外部からオンにすることができる起動スイッチが設けられていることを特徴とする駆動軸損傷診断ユニット。
【請求項2】
電池は、3端子レギュレータを介してセンサおよびワイヤレス通信機と接続され、起動スイッチは、電池と3端子レギュレータとの間に設けられ、タイマは、3端子レギュレータに接続されたPICマイコンに内蔵されている請求項1の駆動軸損傷診断ユニット。
【請求項3】
請求項1または2の駆動軸損傷診断ユニットが設けられたベアリングカップであって、駆動軸損傷診断ユニットのケースおよびベアリングカップのケース挿入孔がいずれも段付き状に形成されているとともに、ケース開口端部がケース挿入孔から突出するようになされて、その突出部外周におねじ部が設けられており、このおねじ部にナットがねじ合わされることにより、駆動軸損傷診断ユニットが着脱自在に内蔵されているベアリングカップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−200613(P2006−200613A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12213(P2005−12213)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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