説明

駆虫製剤

本発明は、トリクラベンダゾール溶液を含有する、動物用駆虫製剤の調製に関する。前記駆虫製剤は、特に肝蛭症等の寄生虫感染症の治療用であり、特にポアオンの形態で動物に投与する。前記溶液は、2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコールから選択される少なくとも1つの溶媒を含む溶媒系に溶解させたトリクラベンダゾールを含み、追加的な溶媒を含んでもよい。トリクラベンダゾールを最大約60重量/容量パーセント濃度で溶液に含有させることができ、これにより25ml以下の量で動物に有効用量を送達できるため、本発明は有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリクラベンダゾール溶液、具体的には溶液中にトリクラベンダゾールを含む動物用駆虫製剤に関する。本発明は特に、液体ポアオン(pour-on)製剤に適用されるが、この適用が唯一ではない。
【背景技術】
【0002】
線虫、条虫、及び吸虫(肝吸虫)等の寄生蠕虫に起因する疾患は、反すう動物及び他の動物の飼育において、重大な経済的損失をもたらし得る。寄生性肝吸虫に起因する疾患である肝蛭症(fasciolisis)は一般的には、ヒツジ、ウシ、ヤギ等の草食動物の家畜が罹患する。肝吸虫である肝蛭(Fasciola hepatica)及び巨大肝蛭(Fasciola gigantica)は、宿主の(肝臓の)胆管に住みつく扁虫類である。
【0003】
肝蛭による感染症がまん延しており、通常、低湿地又は冠水地と関連づけられる。平均年間降水量が約600mm以上の地域及び灌漑地域は特に、水生巻貝にとって理想的な生活/繁殖環境を生み出しやすく、前記水生巻貝は、肝蛭の一齢幼生(ミラシジウム)の中間宿主となる。ミラシジウムは成長、増殖し、最終的には宿主巻貝を離れて植生上に被嚢し、メタセルカリアを形成する(肝蛭の感染性期)。草食動物が前記植生を摂取すると、前記メタセルカリアは小腸で脱嚢し、幼寄生虫(young parasite)を放出する。これらの幼吸虫は腸壁を貫通し、腹腔に入り、そこから肝臓に移動する。肝臓体を掘り進む幼吸虫により、急性感染症が起きる場合がある。これに伴う失血のため、しばしば死に至る。
【0004】
世界中で、放牧されている少なくとも4千万頭のヒツジ及び6百万頭のウシが、肝蛭(肝吸虫)に汚染されていると推定されている。
【0005】
ヒツジ、ウシ、及びヤギ等の反すう動物は肝蛭症に罹患しやすいため、この疾患に対する有効な製剤を入手可能にすることが非常に重要である。
【0006】
肝蛭症の治療は最近まで、決して最善ではなかった。従来用いられた薬剤はビチオノール(bithionol)であり、体重1kg当たり30mgの用量を、5日間以上経口投与しなければならなかった。プラジクアンテル(praziquantel)は、大抵の吸虫感染症に対して非常に有効な薬剤であるが、肝蛭種に対しては活性がない。
【0007】
ベンゾイミダゾール類の活性薬剤は、その駆虫活性により知られている。これらは難溶性であることが知られており、錠剤又は散剤(小動物に使用するため)の形態に調製するか、又は典型的には経口水薬に用いる懸濁液として調製する。
【0008】
全ての公知のベンゾイミダゾール類の中で、ハロゲン化ベンゾイミダゾールであるトリクラベンダゾール(triclabendazole)は、生活環のどの段階にある肝吸虫(肝蛭症)に対しても極めて有効である。トリクラベンダゾールは、5−クロロ−6−(3,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルチオ−1H−ベンゾイミダゾールとして知られており、以下の構造式によって表される:
【0009】
【化1】

【0010】
ベンゾイミダゾール類の活性物質である、アルベンダゾール(albendazole)等のその他の活性薬剤は、成熟した吸虫に対してのみ有効である。
【0011】
多数の動物への適用を容易にするため、農場及び獣医は通常、経口水薬又は注射剤よりも、ポアオン剤で家畜を治療することを好む。
【0012】
ポアオン剤は、典型的には比較的粘性の液体を、動物の首又は背筋に少量を適用する。ヒツジ用のポアオン剤の場合、塗薬ガン(applicator gun)は、約5ml〜10mlの用量を供給するように構成されており、ウシの場合は(製品にもよるが)典型的な用量は約40ml〜60mlである。大抵のポアオン剤は溶液中に活性物質を含み、溶媒又は溶媒系は、前記活性物質が皮層を通過し、十分に高い全身量の活性物質を十分に早く提供できるように選択される。
【0013】
前記溶媒系は、農場で働く者及び動物に対して無刺激であり、安定性、非毒性、非発がん性、且つポアオン用の塗薬ガンで使用可能である必要がある。各々の用量が少量であるため(多過ぎると、動物の背中から液が流れ落ちる)、ポアオン製剤は典型的には、十分な活性物質が溶媒系に含まれるように設計されており、典型的な設計用量率(designed dose rate)としては、動物の生体重10kg当たりポアオン剤1mlが標準である。したがって通常、ポアオン剤10mlの用量で100kgのヒツジの治療に十分な活性物質を供給し、通常、ポアオン剤50mlの用量で500kgの家畜ウシ(cattle beast)の治療に十分な活性物質を供給する。
【0014】
その一方、寄生虫研究者は経口水薬の使用を推奨する。なぜなら通常、ポアオン剤よりも経口水薬からのほうが活性物質の吸収がよいからである。
【0015】
動物に用いる場合、製剤者は懸濁液としてよりも溶液として設計することを好む。なぜなら溶液は通常、ポアオン投与経路又は経口投与経路のいずれかに用いることができ、さらに溶液は通常、大量に保存する場合に懸濁液よりもはるかに安定性が高いからである。しかし活性物質が水又は大抵の実用的な溶媒に難溶性であることが分かっている場合、製剤者は経口水薬としての使用に懸濁液を好む。
【0016】
ポアオンにより容易に投与可能な、溶液中に十分量の活性駆虫剤を含む液体製剤を提供することは、特に有利である。
【0017】
トリクラベンダゾール溶液を含有する液体製剤を提供することは、今まで困難であった。実際、トリクラベンダゾールは最近まで、経口投与用の懸濁製剤としてのみ入手可能であった。
【0018】
市販のトリクラベンダゾール水薬製剤としては、液体担体にトリクラベンダゾールを懸濁させたものが知られている。前記製剤は、適切な水薬投与装置により経口投与するか、または皮下注射により投与する。経口用トリクラベンダゾール懸濁製剤は市販されており、“Fasinex 120”又は“Fasinex 240”なる商標名で販売されている。前記製剤は、約120g/l(又は240g/l)の濃度でトリクラベンダゾールを含有している可能性がある。これは、12重量/容量パーセント(24重量/容量パーセント)に相当する。用量50ml(25ml)のFasinex 120 (240)は、500gの家畜に対して用量6gのトリクラベンダゾール(12mg/kg)に相当する。
【0019】
トリクラベンダゾールを含有する経口(水薬)懸濁製剤が入手可能であり、肝蛭症の治療に功を奏してきた。しかし、経口製剤を適切な量で投与する方法においては多くの場合、適切な経験/資格を有する者が投薬を行う必要がある。したがって、一群の動物に対する投与は労力かつ時間を要し、通常の農場にとっては経済的負担である。一回の注射によって肝蛭症の治療を行うことは、農場にとってさらに実用性の低い選択肢である。
【0020】
したがって農場のコミュニティーでは、ベンゾイミダゾール化合物を含有するポアオン製剤が望まれる。しかし本出願人がトリクラベンダゾールのポアオン用製剤を発明するまで、ベンゾイミダゾール類を含有するポアオン剤を製造する試みは失敗の連続であった。本出願人は以前、オクスフェンダゾール(oxfendazole)ポアオン剤の製剤を試みたが失敗した。
【0021】
WO95/23590(Bomac)は、ポアオン製剤について記載している。かかる文献には、オクフェンダゾール及び/又はアルベンダゾールから選択されるベンゾイミダゾールを処方した懸濁液が記載されている。”Bomac”に記載の製剤によるアルベンダゾール懸濁液は、寄生虫病の治療には有効でなかった。上記に記載のいずれの場合においても、アルベンダゾールは肝吸虫症の治療に好適な活性物質ではない。
【0022】
活性薬剤を溶媒/溶媒混合物に溶解、乳化、又は懸濁させた他のポアオン製剤も、特許文献において提案されている。ポアオン剤として、類似の経口剤又は注射剤と同程度の駆虫作用を示すオクスフェンダゾール、並びにテトラミゾール及びレバミゾールを含む駆虫製剤が知られている。フランス特許登録番号9614068号は、非水ビヒクル、非水共溶媒、非イオン性界面活性剤及びポリマー中に溶解させた5重量/容量パーセント量のオクスフェンダゾールを含む、局所投与用の製剤について教示している。しかし上記したようにこのような駆虫薬は、幼若(early immature)肝蛭及び幼(immature)肝蛭の治療には有効でない。
【0023】
トリクラベンダゾールの溶解度特性が、有効なトリクラベンダゾールポアオン剤の製剤を極めて困難にしている。商業的に効率的な剤形で活性成分を製剤することは、多数の障害に直面してきた。これらの障害としては、(i)活性物質を全身量で迅速に提供するため、効率的かつ十分に吸収させること、(ii)有毒な剤型に対する動物の曝露を最低限に抑制すること、及び(iii)製剤の安定性が挙げられる。
【0024】
トリクラベンダゾールの特性、及びトリクラベンダゾールポアオン製剤の提供が望まれることを考慮すると、これら及びその他の制限がさらに増幅される。ポアオン製剤の場合さらに、動物の真皮に浸透し、十分に吸収されて感染部位(肝臓)に運ばれる必要がある。またさらに、薬剤耐性寄生虫株が発達する可能性を実質的に最小限に抑制するため、肝吸虫の十分な殺傷率を達成しなければならないという障害も存在する。
【0025】
トリクラベンダゾールポアオン剤の有効用量は、動物の体重1kg当たり約30mgである。トリクラベンダゾールが、1ml当たり150mg即ち15重量/容量パーセント濃度で溶液中に存在する場合、体重350kgのウシの肝蛭症の治療に十分なトリクラベンダゾールを送達する用量は70mlである。
【0026】
PCT/NZ00/00053において本発明者は、トリクラベンダゾールを溶解することができる特定の溶媒を開示している。前記開示されている特定の溶媒とは、ベンジルアルコール、n−メチルピロリドン、及びブチルジオキシトールを含むグリコールエーテル類である。例として挙げた製剤は、30重量/容量パーセント濃度でトリクラベンダゾールを含む。したがって、体重350kgのウシの肝蛭症を治療する十分なトリクラベンダゾールを送達する用量は35mlである。
【0027】
これは大きな進歩であるが、ポアオン剤及びその他の投与経路用に、他の溶媒類を用いた溶液中にトリクラベンダゾールを含有させられることは有益である。ポアオン製剤の場合は、動物に適用する製剤の量をさらに少なくしつつ依然として有効用量を提供できるようにするため、好ましくはより高濃度のトリクラベンダゾールを含む。
【0028】
本明細書において従来技術に言及しているが、その引用技術が、一般常識の一部を構成することを認めているとは見なされない。
【特許文献1】WO95/23590(Bomac)
【特許文献2】フランス特許第9614068号
【特許文献3】PCT/NZ00/00053
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の課題は、改良された又は公衆に有用な選択肢を少なくとも提供する、溶液中にトリクラベンダゾールを含む動物用駆虫製剤を提供することである。
【0030】
[発明の要旨]
一態様において本発明は、安定なトリクラベンダゾール溶液を含有する動物用駆虫製剤を提供する。前記溶液は、有効量のトリクラベンダゾールと1又は複数の溶媒を含む溶媒系とを含有し、前記溶媒の少なくとも1つは、2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコールにより構成される群から選択される。
【0031】
前記溶媒系は好ましくは、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロールホルマール、グリコールエーテル類、ブチルジオキシトール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール及び1−ヘキサノールより構成される群から選択される1又は複数の溶媒をさらに含む。
【0032】
最も好適な態様において本発明は、安定なトリクラベンダゾール溶液を含有する、安定な液体の動物用駆虫ポアオン製剤を提供する。前記溶液は有効量のトリクラベンダゾールと、1又は複数の溶媒を含む溶媒系とを含有する。前記溶媒の少なくとも1つは、2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコールより構成される群から選択される。
【0033】
前記溶媒系は好ましくは、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロールホルマール、グリコールエーテル類、ブチルジオキシトール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール及び1−ヘキサノールより構成される群から選択される1又は複数の溶媒をさらに含む。
【0034】
前記溶媒系は好ましくは、2−ピロリドンと、ブチルジオキシトール、N−メチルピロリドン、ベンジルアルコール、グリセロールホルマール、プロピレングリコール、及びエチルアルコールより構成される群から選択される少なくとも1つの追加的な溶媒とを含む。
【0035】
前記トリクラベンダゾールは好ましくは、5〜60重量/容量パーセントの範囲で存在する。
【0036】
前記トリクラベンダゾールは好ましくは、実質的に25ml以下の量で有効量のトリクラベンダゾールを動物に送達しうる、十分に高い濃度で存在する。
【0037】
前記トリクラベンダゾールは好ましくは、40〜60重量/容量パーセントの範囲で存在する。
【0038】
前記製剤は好ましくは、前記溶媒系に可溶性の少なくとも1つの追加的な駆虫活性物質又はその他の薬物を含む。
【0039】
前記追加的な駆虫活性物質又は駆虫活性物質類は好ましくは、アベルメクチン類、ミルベマイシン類、テトラミゾール及びレバミゾールより構成される群から選択される。
【0040】
前記追加的な駆虫活性物質は好ましくは、アバメクチン等のアベルメクチンである。
【0041】
前記製剤は好ましくは、着色料、保存料、安定剤、緩衝剤、増粘剤、消泡剤、展着剤等の賦形剤をさらに含む。
【0042】
前記製剤は好ましくは、(a)約60重量/容量パーセントのトリクラベンダゾールと、(b)約1.0重量/容量パーセントのアバメクチンと、溶媒系とを含有する。前記溶媒系は、約10重量/容量パーセント量のN−メチルピロリドンと、約29重量/容量パーセント量の2−ピロリドンとを含む。
【0043】
他の態様において本発明は、上記の製剤を動物に投与することにより、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫病を治療する方法を提供する。
【0044】
他の態様において本発明は、上記のポアオン製剤を提供し、かかるポアオン製剤を約25ml以下の量で動物の皮膚表面に投与することにより、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫病を治療する方法を提供する。
【0045】
前記温血動物の肝蛭症を治療する方法は好ましくは、治療対象の動物の体重10kg当たり少なくとも1mgのトリクラベンダゾールを送達可能な量でポアオン剤を投与することを含む。
【0046】
「薬物」なる語の意味には、動物の健康の増進に有益な可能性がある、駆虫薬、抗原、ワクチン、ビタミン、及びミネラルサプリメント等の物質並びにその他の物質が含まれる。
【0047】
「液体ポリエチレングリコール」なる語には、室温で液状のポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。PEG200〜400は室温で液状である。さらに、分子量がより大きい又は小さいポリエチレングリコール類を含有する混合物も、結果的に生じる混合物が室温で液状であれば、用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
ベンゾイミダゾール類は一般的には難溶性とみなされており、そのため市販の製剤は、主に経口水薬として用いる懸濁液として製造される。
【0049】
本発明者は比較のために、ベンゾイミダゾールファミリーの各種の構成員の溶解度を、各種の溶媒において測定する試験を行った。オクスフェンダゾール、アルベンダゾール、及びリコベンダゾールは全て、不溶性であるか又はごくわずかに溶解性であるに過ぎないので、これらはベンジルアルコール、プロピレングリコール、NMP、2−ピロリドン、PEG、グリセロールホルマール、及びブチルジオキシトール等の溶媒に溶解した、有効な動物用溶液として製剤することはできないことを本発明者は見い出した。
【0050】
トリクラベンダゾールで試験したところ、トリクラベンダゾールは、よく言っても難溶性の、ほとんどの場合不溶性である他のベンゾイミダゾール類よりも、一般的に上記の溶媒に溶けやすいことを本発明者は見い出した。しかしより重要なことに本発明者は、トリクラベンダゾールが2−ピロリドン及びPEG400に非常に溶けやすく、これらの溶媒1mlに、500mg超のトリクラベンダゾールを溶解させられることを発見した。これにより、ウシ及びその他の動物に送達するための、低量の製剤が製造できるので、特に有利である。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
上記の溶解度データに基づき、2−ピロリドン又はPEGを含有する各種の高濃度製剤を提案した。前記製剤類を調製し、室温及び冷蔵温度で30日間保存した。室温でも冷蔵でも、上記製剤に沈殿物は見られなかった。
【0055】
これらの製剤は現場で使用する場合、高濃度のトリクラベンダゾールを比較的少量の溶媒で動物に送達するという柔軟性を提供し得るため、極めて望ましい。理想的には、溶媒に溶解した高濃度量のトリクラベンダゾールを、体重20kg当たり1mlという低い率で送達する。
【0056】
ベンゾイミダゾール類全般、特にトリクラベンダゾールの溶解度の検討を何回も実施したところ、トリクラベンダゾールが2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコール(特にPEG400)に非常に溶けやすく、これらの各溶媒1ミリリットルに、500mg超のトリクラベンダゾールが溶解することを本発明者は見い出した。
【0057】
これらの溶媒を用い、トリクラベンダゾール溶液を含有する安定な液体製剤が調製できること、及びこれらの活性物質が、皮膚を通して吸収可能であり、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫性疾患を抑制することが見い出された。トリクラベンダゾールを高濃度に溶解させて、ウシ及びその他の動物に投与する用量を低くすることができるため、これらの特定の溶媒を用いることは有利である。
【0058】
前記溶解度の検討に基づき、2−ピロリドン又は液体ポリエチレングリコールを含有する各種の製剤を、以下の実施例にしたがって調製した。
【0059】
下記の実施例の製剤は、ポアオン剤としての投与に特に適している。しかし本発明の溶液は、別の剤形で用いることも可能である。例として、前記トリクラベンダゾール溶液は、錠剤、カプセル剤(該錠剤及びカプセル剤には各々、徐放製剤又は持続放出製剤(timed release formulation)が含まれる)及び水薬等の経口剤形に含有させることができる。スポットオン等のその他の局所的投与形態も用いることができる。医薬及び獣医学分野の当業者であれば、各種の剤形について詳しい知識を有する。
[実施例]
【実施例1】
【0060】
【表4】

【0061】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、60℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、DGBEで希釈して全量を100mlとする。
【実施例2】
【0062】
【表5】

【0063】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400(ポリエチレングリコール400)を合わせ、60℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、DGBEで希釈して全量を100mlとする。
【実施例3】
【0064】
【表6】

【0065】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例4】
【0066】
【表7】

【0067】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、NMP、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例5】
【0068】
【表8】

【0069】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例6】
【0070】
【表9】

【0071】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、DGBE、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例7】
【0072】
【表10】

【0073】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例8】
【0074】
【表11】

【0075】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例9】
【0076】
【表12】

【0077】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、DGBE、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例10】
【0078】
【表13】

【0079】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例11】
【0080】
【表14】

【0081】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、NMP、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例12】
【0082】
【表15】

【0083】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例13】
【0084】
【表16】

【0085】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例14】
【0086】
【表17】

【0087】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例15】
【0088】
【表18】

【0089】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例16】
【0090】
【表19】

【0091】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、NMP、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例17】
【0092】
【表20】

【0093】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例18】
【0094】
【表21】

【0095】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例19】
【0096】
【表22】

【0097】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例20】
【0098】
【表23】

【0099】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例21】
【0100】
【表24】

【0101】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例22】
【0102】
【表25】

【0103】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、NMP、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例23】
【0104】
【表26】

【0105】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例24】
【0106】
【表27】

【0107】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例25】
【0108】
【表28】

【0109】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例26】
【0110】
【表29】

【0111】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例27】
【0112】
【表30】

【0113】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例28】
【0114】
【表31】

【0115】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、NMP、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例29】
【0116】
【表32】

【0117】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例30】
【0118】
【表33】

【0119】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例31】
【0120】
【表34】

【0121】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例32】
【0122】
【表35】

【0123】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及び2−ピロリドンを合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、2−ピロリドンで希釈して全量を100mlとする。
【実施例33】
【0124】
【表36】

【0125】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例34】
【0126】
【表37】

【0127】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例35】
【0128】
【表38】

【0129】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例36】
【0130】
【表39】

【0131】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例37】
【0132】
【表40】

【0133】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例38】
【0134】
【表41】

【0135】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例39】
【0136】
【表42】

【0137】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例40】
【0138】
【表43】

【0139】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例41】
【0140】
【表44】

【0141】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例42】
【0142】
【表45】

【0143】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例43】
【0144】
【表46】

【0145】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例44】
【0146】
【表47】

【0147】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例45】
【0148】
【表48】

【0149】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例46】
【0150】
【表49】

【0151】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、グリセロールホルマール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例47】
【0152】
【表50】

【0153】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、ベンジルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例48】
【0154】
【表51】

【0155】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、プロピレングリコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【実施例49】
【0156】
【表52】

【0157】
この製剤を調製するには、トリクラベンダゾール、エチルアルコール、及びPEG400を合わせ、70℃に加熱して攪拌し、溶解させる。この混合物を25℃未満に冷却し、PEG400で希釈して全量を100mlとする。
【0158】
上記の製剤類は単なる例に過ぎず、その他の製剤も意図されると理解される。前記その他の製剤の溶媒系は、2−ピロリドン及び/又は液体ポリエチレングリコールの任意の組合せと、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロールホルマール、グリコールエーテル類、ブチルジオキシトール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、及び1−ヘキサノールより構成される群から選択される追加的な溶媒とを含んでよい。
【0159】
さらに前記製剤は、前記溶媒系に可溶性の追加的な駆虫活性物質又はその他の薬剤を追加的に含む場合があると理解される。前記追加的な駆虫活性物質又は物質類は例えば、アベルメクチン類、ミルベマイシン類、テトラミゾール、及びレバミゾールより構成される群から選択することができる。アバメクチンは特に適切であることが見い出された。
【0160】
前記製剤は、着色料、保存料、安定剤、緩衝剤、増粘剤、消泡剤、展着剤等の賦形剤をさらに含んでよい。
【0161】
[安定性試験]
2−ピロリドン又はPEGを含有する各種の製剤類を調製し、室温及び冷蔵温度で30日間保存した。室温でも冷蔵でも、前記製剤に沈殿物は見られなかった。
【0162】
[有効性試験]
本発明の現場性能を評価するため、生体への利用性(bioavailability)について、本発明の製剤とPCT/NZ00/00053に記載の、市販のトリクラベンダゾールポアオン製剤との処方(formulation)を比較、検討した。
【0163】
実施例4(アバメクチンを追加)の記載及び下記のように、高濃度の60%トリクラベンダゾールポアオン製剤を調製した(製剤1)。
【0164】
【表53】

【0165】
PCT/NZ00/00053に記載されている、市販の低濃度の30%ポアオン製剤は、以下のように処方されている(製剤2)。
【0166】
【表54】

【0167】
前記試験では、10頭の動物を5頭ずつ2つのグループに分けて用いた。試験ゼロ日目に、全動物を治療した。グループ1の動物を製剤2で治療し、グループ2の動物を製剤1で治療した。製剤は両方とも、動物の皮膚表面に局所的に適用した。動物が舌でなめる可能性を最小限に抑制するため、全動物の処置は首の剃った部分に行い、試験の期間中、前記動物を個々の放牧場に隔離した。
【0168】
4、6、8、及び10日目に、血液試料を採取した。前記動物における、活性トリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの分解に伴い体内に現れる代謝産物)の相対的濃度を測定した。結果を次の表5に示す(トリクラベンダゾールスルホキシドの測定値(ng/ml))。
【0169】
本研究では動物の体内における、代謝産物であるトリクラベンダゾールスルホキシド成分の相対的濃度を測定し、ng/mlで表した(トリクラベンダゾールは体内で、スルホキシド及びスルホンに分解される。
【0170】
両方の製剤を局所的に適用し、動物が舌でなめる可能性を最小限に抑制するため、全動物の処置は首の剃った部分に行い、試験の期間中、前記動物を個々の放牧場に隔離した。4、6、8、及び10日目に、血液試料を採取した。
【0171】
本研究の結果、少なくともトリクラベンダゾールスルホキシドの濃度の点で、60%製剤は市販の30%製剤と同程度の効果を達成できることが明確に示された。
【0172】
【表55】

【0173】
本研究の結果、少なくともトリクラベンダゾールスルホキシドの濃度の点で本発明の製剤が、肝蛭症を含む寄生虫感染症の有効な治療法を提供することが知られている、本出願人の文献PCT/NZ00/00053に記載のAncare New Zealand社が市販する製剤と同程度の効果を達成できることが明確に示された。
【0174】
[利点]
本発明のトリクラベンダゾール製剤は、従来知られているよりも大幅に高い濃度でトリクラベンダゾールを溶液中に含有させることができるため有利である。これにより、有効量のトリクラベンダゾールを低用量で投与することが可能になるため有利である。
【0175】
例として、溶液中に約40重量/容量パーセント以上のトリクラベンダゾールを含むポアオン製剤は、製剤約25mlで、350kgのウシに対して有効用量のトリクラベンダゾールを送達する。このように少量であることは、ポアオン用のガンが送達できる液体量に密接に関連するため特に有利である。さらに、同一のパックでより多くの頭数の動物を治療できるため、パックを取り替える必要性が低下する。このように少量であることはまたさらに、トリクラベンダゾールが動物の背中から流れ落ちる危険性を低下させる。
【0176】
これらの製剤は、比較的少量の溶媒で高濃度のトリクラベンダゾールを動物に送達するという柔軟性を提供し得るため、現場での使用に極めて望ましい。高濃度量のトリクラベンダゾールを含有する溶液は、体重20kg当たり1mlという低い率で送達することが可能であり、これは350kgのウシに対し、わずか17.5mlに相当する。
【0177】
[変型]
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、追加的な賦形剤を含有させることにより、本発明の製剤の変更が可能であると想定されている。
【0178】
特に、前記製剤に着色料を含有させ、治療を受けた動物を容易に識別できるようにすることが望ましい。別法として(alternately)、保存料、安定剤、緩衝剤、増粘剤、消泡剤、展着剤等の賦形剤を含有させて、特定の動物用に前記製剤を変更することができる。
【0179】
また、本発明の製剤に追加的な賦形剤を含有させて、特定の投与方法に適合するように特別に調製することもできる。
【0180】
本明細書における「含む(include)」、「含んでいる(including)」等の用語及び「構成される(comprise)」、「構成されている(comprising)」等の用語は同義語であり、非包括的な意味を有すると見なされる。
【0181】
最後に、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に対し各種の他の変化及び変更を加えることが可能であると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定なトリクラベンダゾール溶液を含有する動物用駆虫製剤であって、前記溶液が、有効量のトリクラベンダゾールと、1又は複数の溶媒を含む溶媒系とを含有し、前記溶媒の少なくとも1つが、2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコールより構成される群から選択されることを特徴とする動物用駆虫製剤。
【請求項2】
溶媒系が、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロールホルマール、グリコールエーテル類、ブチルジオキシトール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール及び1−ヘキサノールより構成される群から選択される1又は複数の溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の動物用駆虫製剤。
【請求項3】
安定なトリクラベンダゾール溶液を含有する安定な液体の動物用ポアオン駆虫製剤であって、前記溶液が、有効量のトリクラベンダゾールと、1又は複数の溶媒を含む溶媒系とを含有し、前記溶媒の少なくとも1つが、2−ピロリドン及び液体ポリエチレングリコールより構成される群から選択されることを特徴とする動物用駆虫製剤。
【請求項4】
溶媒系が、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロールホルマール、グリコールエーテル類、ブチルジオキシトール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール及び1−ヘキサノールより構成される群から選択される1又は複数の溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項3記載のポアオン製剤。
【請求項5】
溶媒系が、2−ピロリドンと、ブチルジオキシトール、N−メチルピロリドン、ベンジルアルコール、グリセロールホルマール、プロピレングリコール、及びエチルアルコールより構成される群から選択される少なくとも1つの追加的な溶媒とを含有することを特徴とする請求項4記載のポアオン製剤。
【請求項6】
トリクラベンダゾールが、5〜60重量/容量パーセントの範囲で存在することを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項7】
実質的に25ml以下の量の中に、有効量のトリクラベンダゾールを動物に送達しうる十分に高濃度なトリクラベンダゾールが存在することを特徴とする請求項3〜6のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項8】
トリクラベンダゾールが、40〜60重量/容量パーセントの範囲で存在することを特徴とする請求項3〜7のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項9】
製剤が、溶媒系に可溶性である少なくとも1つの追加的な駆虫活性物質又はその他の薬剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項10】
追加的な駆虫活性物質又は駆虫活性物質類が、アベルメクチン類、ミルベマイシン類、テトラミゾール及びレバミゾールより構成される群から選択されることを特徴とする請求項9記載のポアオン製剤。
【請求項11】
追加的な駆虫活性物質が、アバメクチン等のアベルメクチンであることを特徴とする請求項9又は10記載のポアオン製剤。
【請求項12】
製剤が、着色料、保存料、安定剤、緩衝剤、増粘剤、消泡剤、展着剤等の賦形剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項13】
製剤が、(a)約60重量/容量パーセントのトリクラベンダゾールと、(b)約1.0重量/容量パーセントのアバメクチンと、溶媒系とを含有し、該溶媒系が、約10重量/容量パーセント量のN−メチルピロリドンと、約29重量/容量パーセント量の2−ピロリドンとを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載のポアオン製剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか記載の製剤を動物に投与することを含む、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫病の治療方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか記載の製剤をポアオン製剤の形態で用意し、実質的に25ml以下の量の前記ポアオン製剤を動物の皮膚表面に投与することを含む、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫病の治療方法。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか記載の製剤をポアオン製剤の形態で用意し、治療を受ける動物の体重10kg当たり少なくとも1mgのトリクラベンダゾールを送達できる量を投与することを含む、肝蛭症を含む温血動物の寄生虫病の治療方法。


【公表番号】特表2009−508853(P2009−508853A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531040(P2008−531040)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000243
【国際公開番号】WO2007/032688
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】