説明

高ガラス転移温度熱可塑性物品

【課題】本発明は、高ガラス転移温度を持つ熱可塑性材料を含み、電子分野で有用である物品を提供する。
【解決手段】本発明の複合材料は基板の少なくとも一部上に配置される導電性材料を含み、前記基板は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高い単一のガラス転移温度を有するポリマ類の相溶性ブレンド、もしくはc)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許出願番号第11/228,728号(2005年9月16日出願、Gallucciらの発明になる「難燃性ポリスルホンブレンド」)、同第11/228,729号(2005年9月16日出願、Gallucciらの発明になる「難燃性ポリマブレンド」)、および同第11/229,455号(2005年9月16日出願、Gallucciらの発明になる「難燃性を向上させたポリアリールエーテルケトンポリマブレンド」)、それぞれの一部継続出願である。
【0002】
本発明は、約180℃より高いガラス転移温度を有する耐熱性ポリマ類を含む電気部品に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は電子分野で有用な物品に関する。特に、本開示は、高ガラス転移温度を持つ熱可塑性材料を含み、電子分野で有用である物品に関する。
【0004】
エレクトロニクスは我々の生活の中で益々増加し続けており、電子装置は一層厳しい環境で使用できるように設計されている。従って、電子装置に用いられる材料は、環境上の要求を満たし、それを超えるものでなければならない。多くの電子装置は、電気絶縁誘電体として1つあるいは複数の熱可塑性プラスチックを含んでいる。電気絶縁誘電体は通常、少なくともその一部上に配置される金属層と共に用いられる。
【0005】
1つの例はプリント配線板である。プリント配線板は通常、基板とこの上に配置された金属とを含む。多層配線板は、基板と金属との複数の層を含むことができる。基板は電気絶縁誘電体である。基板は織布、不織布およびポリマ層を含むことができる。米国特許出願第2005/0,121,226号、米国特許第6,500,529号、および米国特許出願第2003/0,072,929号に開示されるように、この電気絶縁誘電体が1つあるいは複数の熱可塑性組成物からなる積層物を含む場合もある。フッ素ポリマとポリエーテルイミド層との積層は、マイクロ波通信や高速デジタル処理装置分野に用いられる高性能、低損失プリント配線板に好適である。
【0006】
プリント配線板は、剛体であってもフレキシブルであってもよい。フレキシブル配線板は、補聴器やインクジェットカートリッジなどの小型製品に使用することができる。フレキシブルプリント配線板は、近年、テレコミュニケーション用器具や消費者用器具、産業用器具にも使用されている。こうした器具の包装が、より簡単に、よりコンパクトに、より信頼性高く、より高機能になるにしたがって、フレキシブルプリント配線板には非常に厳しい制限が課せられることとなる。こうした厳しい条件に答えるために、該配線板には、耐熱性が高く、耐候性、電気絶縁特性、ボンディング強度、および柔軟性に優れていることが要求される。
【0007】
厳しい条件の中には増加した熱も含まれる。回路と配線板の密度がますます上昇するために、電子装置の内部環境にはより多くの熱の発生がもたらされている。さらに、湿気、熱、寒冷などを含む外部環境にさらされるにもかかわらず、電子装置には、信頼性が高いことが期待されている。該装置がただでさえ熱を発生するために、これらの中では熱が最大の課題の1つとなる。従って、高温に耐えられる複合材料に対する技術的な需要が存在する。
【0008】
(発明の概要)
前述のニーズに対しては、基板の少なくとも一部上に配置される導電性材料を含む複合材料が検討されており、該基板は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類であって、そのうちの1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高い単一のガラス転移温度を有するポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。
【0009】
本発明はまた、少なくとも基板もしくはコーティングの一部の、上部もしくは下部それぞれに配置される導電性材料を含む、複合材料を備えた電子部品に係り、前記基板あるいはコーティングは、a)複数のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類のうち、1つが217℃より高いガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を含むポリマ類の非相溶性ブレンド、b)180℃より高いガラス転移温度を1つ有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含むポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を1つ有する単一のポリエーテルイミド、から構成される群から選択される材料を含む。
【発明の詳細な説明】
【0010】
「高Tg」とは、180℃以上のガラス転移温度を有するポリマ類を指す。
【0011】
ベンジルプロトンの定義は当分野では周知であり、本発明の観点では、それはフェニル環あるいはベンゼン環などの少なくとも1つの芳香族環に化学的に直接結合した少なくとも1つの脂肪族炭素原子であって、前記脂肪族炭素原子はさらに、この炭素原子に直接結合した少なくとも1つのプロトンを有する。
【0012】
本文脈において、実質的にあるいは本質的にベンジルプロトンを含まないとは、例えばポリイミドスルホン生成物などの上記ポリマが、含有するベンジルプロトンから誘導される構造単位を約5モル%未満含み、実施形態によっては約3モル%未満を含み、さらに実施形態によっては約1モル%未満の場合もあるということを意味する。ベンジル水素としても周知のベンジルプロトンを含まないとは、上記ポリエーテルイミド物品が、ベンジルプロトンあるいはベンジル水素を含有するモノマおよび末端キャップから誘導される構造単位を0モル%有することを意味する。ベンジルプロトン量は、化学構造に基づいた通常の化学分析によって決定することができる。
【0013】
「炭素原子に対する水素原子の数値比率」とは、ポリマ中、あるいはポリマを構成する繰り返し単位(モノマ)における、炭素原子数に対する水素原子数の比率である。
【0014】
本発明はまた、炭素原子数に対する水素原子数の比が0.45〜0.85、あるいは0.50〜0.80、あるいは0.55〜0.75、あるいは0.60〜0.70であるポリエーテルイミドを含む成形物品にも係る。
【0015】
本明細書で記載されるように、複合材料は基板を備えている。該基板は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンドか、b)217℃より高い単一のガラス転移温度を有するポリマ類の相溶性ブレンドか、c)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。上記基板は低誘電率および優れた熱特性を有する。さらにこの基板は、導電性層を備えた複合物に好適に用いられる熱膨張率を有する。
【0016】
ある実施形態では、この基板では、誘電率が2.0以下、あるいはより具体的には、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下、あるいは0.0である。
【0017】
米国特許第4,671,984号に開示されるように、上記基板は任意に、固体のガラスビーズ、中空ガラスビーズ、ガラス繊維、織布ガラスマット、ガラス不織布、およびこれらの2つ以上の組み合わせを含む1つあるいは複数の無機充填材を含んでいてもよい。
【0018】
上記基板は、1つあるいは複数の方法で処理して付着性を向上させてもよい。付着性向上処理としては、ブラシがけやサンドブラストなどの機械的処理と、アルカリ処理、コロナ処理、およびプラズマ処理などの化学的処理とがある。典型的な方法とその材料については、米国特許第6,629,348号および同第5,234,522号に教示されている。
【0019】
上記導電性材料を基板上に配置してもよく、あるいは、基板とこの導電性層との間に接着剤層を設けてもよい。接着剤層に有用な典型的材料としては、当分野で既知の、エポキシ系材料類、ポリマ前駆体類、ポリマオリゴマ類、およびアクリル系材料などがある。ある実施形態では、上記接着剤層は、基板に適切な溶液をコーティングし乾燥させて、ポリマ基板に適用することができる。この溶液は、米国特許第6,629,348号と同第5,234,522号とに開示されるように、ポリマ前駆体類と、前駆体類およびポリマとの混合物あるいは単にポリマと、有機溶剤とから構成されてもよい。
【0020】
上記導電性材料は、当分野で既知の任意の方法によって設けることができる。例えば、箔として用いその後でエッチングまたは粉砕してもよい。あるいは、上記導電性材料は、スパッタリングによって基板上および任意の接着剤層上に設けてもよい。
【0021】
導電性材料を箔として適用する場合は、任意に接着剤層を有する基板表面に積層する。あるいは、接着剤層を金属箔に適用し、その後でこの金属箔と接着剤層との組み合わせを基板上に積層してもよい。積層は、オートクレーブ積層、真空油圧プレス、非真空油圧プレス、あるいは熱間圧延積層などによって行うことができる。積層は、金属箔に隣接するポリマ材料を軟化させるに十分な量の電流を箔に流して箔を加熱するADARA型プレス機を用いて行ってもよい。真空プレスを用いる場合は通常、導電性材料と基板との結合に十分な温度、圧力、時間を用いて積層を行う。
【0022】
典型的な金属箔としては、銅、亜鉛、真鍮、クロム、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、鉄、金、銀、チタン、これらの組み合わせや合金などがある。上記金属箔は通常銅を含んでいる。当分野で周知のように、銅箔類は、溶液内の銅を電着によって回転金属ドラム上に作ることができる。この金属箔は厚みが約3mm〜約200mmであってもよく、より具体的には約5mm〜約50mmであってもよい。あるいは伸銅箔を用いてもよいが、この場合には、箔の厚みが18mm以下にならないように回転プロセスを効果的に制限する。
【0023】
金属箔の片面あるいは両面は任意に、微細エッチング、あるいは電着銅の粗面を形成する光沢面の電着処理、および/または、表面に金属または金属合金の微小塊の析出を含むように艶消し面の電着処理などによって、粗面化されてもよい。これらの小塊は銅または銅合金であることが好ましく、基板への接着力を高めることが好ましい。箔表面の微細構造は、オハイオ州シンシナチのMahr Feinpruef社から販売されている粗面計M4P型あるいはS5P型などの粗面計を用いて計測することができる。表面の結晶構造におけるピークと谷の地形測定は、イリノイ州 60062 Northbrook Sanders Road 2115にある、相互接続およびパッケージ回路協会の、業界基準IPC−TM−650セクション2.2.17に従って行うことができる。粗さの平均(Ra)が約1〜約10mm、谷の高さに対するピークの平均(Rz)が約2〜約10mmという粗度パラメータをもたらす、ピークと谷を有する表面構造を作るために表面処理を行う。
【0024】
導電性材料を基板に適用後、所望の回路パターン形成処理を行って配線板としうる。上記導電性材料が実質的に連続したままである場合もある。上記の回路パターン保護のために、その後、カバー層を適用することもできる。あるいは、この回路基板を他の回路基板あるいは接着コアの基板に積層してもよい。米国特許第4,388,136号で考慮されるように、第2の配線基板は同じ組成であっても異なった組成であってもよい。ある実施形態では、上記接着コアは、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。上記回路基板を、カバー層、接着コア、あるいは別の回路基板に積層する場合には、回路基板形成に関して上記で議論された任意のあるいはすべての方法を用いることができる。
【0025】
保護カバー層を上記導電性材料上に適用してもよい。ある実施形態では、この保護カバー層は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高い単一のガラス転移温度を有する1ポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を1つ有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。
【0026】
シェル部材に使用される基板材料の代表的な例としては、以下のものがある。すなわち、スルホン系ポリマあるいはブレンドからなる高Tgポリマブレンド類、シリコーン共重合体、およびレゾルシノール誘導ポリアリールエステル、である。
【0027】
本明細書に開示されたものは、ポリマブレンド表面の一部あるいは全部を被覆材でコーティングしたポリマブレンドを含む電気コネクタであり、ここで、該被覆材は上記のポリマブレンドとは異なる組成物であり、該ポリマブレンドは、a)高ガラス転移温度(Tg>180℃)を有するポリスルホン(PSu)類、ポリ(エーテルスルホン)(PES)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)(PPSU)類の群から選択される第1の樹脂と、b)例えば、シリコーンポリイミドあるいはシリコーンポリカーボネートなどのシリコーン共重合体と、任意的に、c)そのブレンドが驚くほどの低発熱量であるレゾルシノール系ポリアリレートと、を含む。
【0028】
(1.上記ブレンド中のポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルスルホン成分)
本明細書に記述の物品に有用な、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、例えば、米国特許第3,634,355号、同第4,008,203号、同4,108,837号、および同4,175,175号に記載された熱可塑性樹脂である。
【0029】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、高耐熱性、良好な電気特性、良好な加水分解安定性などの多くの魅力的な特徴を有する直鎖状の熱可塑性ポリマである。
【0030】
ポリスルホン類は、式(I)の構造を有する繰り返し単位を含み、
【化1】

式中、Rは芳香族基であり、炭素−炭素間単結合、炭素−酸素−炭素間結合、あるいは炭素−炭素間結合および炭素−酸素−炭素間単結合とを含んでおり、上記単結合は、ポリマの骨格鎖を形成している。
【0031】
ポリ(エーテルスルホン)類は、式(II)で示されるようなポリマの骨格鎖に、エーテル結合とスルホン結合の両方を有する繰り返し単位を含んでおり、
【0032】
【化2】

式中、ArおよびAr’は、同じ芳香族基であっても異なる芳香族基であってもよい。ArとAr’は、同じであっても異なってもよい。ArとAr’が共にフェニレン基の場合、このポリマはポリ(フェニレンエーテルスルホン)として既知である。ArおよびAr’が共にアリーレン基の場合、このポリマはポリ(アリーレンエーテルスルホン)として既知である。スルホン結合の数とエーテル結合の数は同じであっても異なっていてもよい。スルホン結合の数とエーテル結合の数が異なる場合の典型的な構造を式(III)に示す。
【0033】
【化3】

式中、Ar、Ar’およびAr’’は芳香族基であり、これらは同じであっても異なっていてもよい。Ar、Ar’およびAr’’は同じであっても異なっていてもよく、例えば、ArおよびAr’はともにフェニレン基であってもよく、Ar’’はビス(1,4−フェニレン)イソプロピル基であってもよい。
【0034】
様々なポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が市販されており、その中には、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびにジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品、ならびにビスフェノールAおよび/またはビフェニールとジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品が含まれる。市販の樹脂例としては、ソルベイ社(Solvay,Inc.)から販売されているRADEL R、RADEL A、およびUDELが、また、バスフ社(BASF Co.)から販売されているULTRASON Eがある。
【0035】
ポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類の調製方法は広く知られており、いくつかの適切なプロセスが当該技術に十分に記述されている。カーボネート法とアルカリ金属水酸化物法の2つの方法は当業者に既知である。アルカリ金属水酸化物法では、二価フェノールの2倍のアルカリ金属塩が、実質的に無水条件下で、双極性非プロトン溶媒の存在下において、ジハロベンゼノイド化合物と接触する。カーボネート法では、二価フェノールおよびジハロベンゼノイド化合物は、例えば、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ソーダ、ならびに第2のアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸ソーダと共に加熱されるが、この方法も、例えば、米国特許第4,176,222号に開示されている。あるいは、上記のポリスルホンおよびポリ(エーテルスルホン)は、既知の種々の方法のうち任意の方法によって調製されてもよい。
【0036】
塩化メチレンやクロロホルム、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中での粘度低下のデータによって示されるように、上記ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の分子量は、約0.3dl/g以上、より具体的には約0.4dl/g以上でなり得るが、通常、約1.5dl/gを超えない。
【0037】
ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の重量平均分子量は、ASTM法 D5296に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるように、約10,000〜約100,000の範囲となりうる場合がある。ポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が、約180℃〜約250℃の範囲のガラス転移温度を有していてもよい場合もある。上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、本明細書に記述の樹脂類とブレンドされると、約180℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。ポリスルホン樹脂は、ASTM法 D6394のスルホンプラスチック標準仕様書にも記述されている。
【0038】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらのブレンド品が、約0.85以下の水素原子数と炭素原子数との比率(H/C)を有する場合もある。理論に縛られずに、水素含有量に対して炭素含有量が高い、つまり、水素原子数対炭素原子数の比が低いポリマ類では、難燃性が向上することが多い。これらのポリマ類は、燃焼値が低く、燃焼時のエネルギ放出が少ない可能性がある。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成しやすいことにより、耐燃焼性も有しうる。いかなる特定のメカニズムあるいは作用機構と関係なく、低H/C比を持つそのようなポリマ類は優れた耐炎性を有することが観察されている。上記H/C比を、0.75以下あるいは0.65未満にできる場合もある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4以上のH/C比が好適な場合もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的な繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子をカウントすることによりその化学構造から決定されうる。
【0039】
ポリマブレンド中、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類ならびにそれらのブレンドは、該ポリマブレンド全重量に対して約1〜約99重量%存在してもよい。この範囲内では、上記のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、ならびにそれらの混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には、約50重量%以上、さらにより具体的には、約70重量%以上であってもよい。当業者であれば、上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、ならびにそれらの混合物は、ポリマブレンド全量に対して約1〜約99重量%の間の任意の数値で存在でき、特に、1〜70重量%の範囲で存在できることは理解するであろう。
【0040】
(2.ブレンドのシリコーン成分)
上記のシリコーン共重合体は、組成物の発熱性能の向上に有効な任意のシロキサン共重合体を含む。ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、ポリスルホン類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、ポリ(エーテルスルホン)類あるいはポリ(フェニレンエーテル)類のシロキサン共重合体が用いられてもよい場合もある。シロキサンポリエーテルイミド共重合体類、あるいはシロキサンポリカーボネート共重合体類が、熱放出の低減および流量性能の向上に効果的となりうる場合もある。異なるタイプのシロキサン共重合体類の混合物も考慮される。上記シロキサン共重合体が、共重合体全重量に対して、約5〜70重量%のシロキサン含有量からなる場合もあれば、20〜約50重量%からなる場合もある。
【0041】
共重合体中のシロキサン部のブロック長は、任意の有効長であってもよい。上記ブロック長さが、約2〜約70のシロキサン繰り返し単位である実施例もあり、約5〜約50の繰り返し単位である例もある。ジメチルシロキサンが用いられる例が多い。
【0042】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、ポリマブレンドに使用されるシロキサン共重合体の特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド共重合体の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号、および同第4,690,997号に示されている。ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、有機ジアミン反応物の一部あるいは全部を、例えば、式(IV)のアミン末端オルガノシロキサンで置換する点を除いて、ポリエーテルイミド類に用いられる方法と同様に調製されるが、式(IV)においては、gは1〜約50の範囲の整数であり、より具体的には約5〜約30の整数であり、R’は、炭素原子数が2〜約20のアリール、アルキルあるいはアリールアルキル基である。
【0043】
【化4】

【0044】
上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、式(V)の芳香族ビス(エーテル無水物)反応を含む、当業者に既知の任意の方法によって調製することができる。
【0045】
【化5】

式中、Tは−O−、−S−、−SO−もしくは式−O−Z−O−の官能基であり、−O−もしくは−O−Z−O−基の二価結合は(3,3’)、(3,4’)、(4,3’)もしくは(4,4’)の位置に存在する。ここで、Zは、これに限定されないが、(a)炭素原子数が約6〜約20の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそれらのハロゲン化誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、あるいは(d)式6の一般式を持つ二価ラジカル基、などの置換あるいは非置換の二価有機ラジカル類を含む。
【0046】
【化6】

式中、Qは、これに限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜8の整数)、および式(VII)の有機ジアミンを有するパーフルオロアルキレン基類を含むそれらのフッ素化誘導体と、からなる群から選択されるニ価官能基を含む。
【0047】
【化7】

式中、R基は、これに限定されないが、(a)炭素原子数が約6〜約24の芳香族炭化水素ラジカル、およびそれらのハロゲン誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、あるいは(d)式6の一般式を持つ二価ラジカル基、などの置換あるいは非置換の二価有機ラジカル類を含む。
【0048】
具体的な芳香族ビス無水物および有機ジアミンの例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。具体的には、式14の芳香族ビス無水物としては、
3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの種々の混合物、が挙げられる。
【0049】
上記のシロキサンジアミンに加えて適切なジアミンの例としては、
エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、
トリメチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン(triethylenetertramine)、
ヘキサメチレンジアミン、
ヘプタメチレンジアミン、
オクタメチレンジアミン、
ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、
1,12−ドデカンジアミン、
1,18−オクタデカンジアミン、
3−メチルヘプタメチレンジアミン、
4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
4−メチルノナメチレンジアミン、
5−メチルノナメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
2,2−ジメチルプロピレンジアミン、
N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、
3−メトキシヘキサメチレンジアミン、
1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、
ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、
1,4−シクロヘキサンジアミン、
ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、
2,4−ジアミノトルエン、
2,6−ジアミノトルエン、
m−キシリレンジアミン、
p−キシリレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
5−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
ベンジジン、
3,3’−ジメチルベンジジン、
3,3’−ジメトキシベンジジン、
1,5−ジアミノナフタレン、
ビス(4−アミノフェニル)メタン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、
ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、
ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、
1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、
ビス(4−アミノフェニル)スルホン、
ビス(4−アミノフェニル)エーテル、
およびこれらの2つ以上を含む組み合わせなどがある。シロキサンジアミンの特定の例は、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンである。ある実施形態では、シロキサンジアミンと一緒に用いられるジアミノ化合物は芳香族ジアミン類であり、具体的には、m−およびp−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリンおよびそれらの混合物である。
【0050】
いくつかのシロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、上述のように、式(VII)の有機ジアミンあるいはジアミン類の混合物と、式(IV)のアミン末端オルガノシロキサンとの反応によって製造してもよい。上記ジアミノ化合物は、ビス無水物(類)との反応前に物理的に混合して、実質的にランダムな共重合体を形成するようにしてもよい。あるいは、その後に互いに反応するポリイミドブロックを作るために、式(VII)と式(IV)を、例えば式(V)などの二無水物と選択的に反応させて、ブロック共重合体あるいは交互共重合体を形成してもよい。ポリエーテルイミド共重合体の調製に用いるシロキサンが、アミン官能性末端基ではなく、無水物を有しうる例もある。
【0051】
ある場合には、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、式(VIII)で示されるものであり、式中、T、R’およびgは上記の通りであり、bは約5〜約100の範囲の値を有し、Arは炭素原子数が6〜約36のアリールまたはアルキルアリールである。
【0052】
【化8】

【0053】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類の中には、シロキサンポリエーテルイミド共重合体のジアミン成分には、約20〜50モル%の式(IV)のアミン末端オルガノシロキサンと、約50〜80モル%の、式(VII)の有機ジアミンが含まれてもよいものがある。シロキサン共重合体類の中には、上記シロキサン成分が、約25〜約40モル%のアミンもしくは無水物末端オルガノシロキサンから誘導されるものがある。
【0054】
上記ポリマブレンドのシリコーン共重合体成分は、ポリマブレンドの全重量に対して、約0.1〜約40重量%の範囲で、あるいは、約0.1〜約20重量%の範囲で存在していてもよい。この範囲内で、シリコーン共重合体は、0.1〜約10%、さらに0.5〜約5.0%の範囲で存在していてもよい。
【0055】
(3.ブレンド中のレゾルシノール系ポリアリレート成分)
レゾルシノール系ポリアリレートは、ジフェノールと芳香族ジカルボン酸との反応生成物であるアリレートポリエステル構造単位を含むポリマである。上記アリレートポリエステル構造単位の少なくとも一部は、本明細書全体にわたって一般的にレゾルシノールあるいはレゾルシノール基として言及される、式(I)に示す1,3−ジヒドロキシベンゼン基を含む。本発明に使用されるレゾルシノールまたはレゾルシノール基は、特に明記されない限り、非置換1,3−ジヒドロキシベンゼンと、置換1,3−ジヒドロキシベンゼンとを含んでいるものとして理解されるべきである。
【0056】
【化9】

式(IX)において、Rは独立に、C1−12アルキル、C−C24アリール、C−C24アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンであり、nは0−4である。
【0057】
ある実施形態では、レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールと、例えば、カルボン酸ハライド類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類などのアリールエステル結合の形成に適した、アリ−ルジカルボン酸もしくはアリールジカルボン酸誘導体と、の反応生成物から誘導される約50モル%以上の単位を含んでいる。
【0058】
適切なジカルボン酸類は単環式および多環式芳香族ジカルボン酸類を含んでいる。典型的な単環式ジカルボン酸類には、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいはイソフタル酸とテレフタル酸の混合物が含まれる。多環式ジカルボン酸類には、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸および、例えば、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸が含まれる。
【0059】
したがって、ある実施形態では、上記ポリマブレンドは、式(X)で示されるレゾルシノールアリレートポリエステル単位を有する熱安定性ポリマ類を含んでおり、式中、Rおよびnは前述の定義通りである。
【0060】
【化10】

【0061】
レゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマ類は、界面重合法によって製造することができる。無水物結合を実質的に含まないレゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマを調製するために、第一のステップとして、水と水に実質的に不混和の有機溶剤との混物中で、レゾルシノール基と触媒とを混合する方法が用いられる。適切なレゾルシノール化合物は式(XI)のものであり、
【0062】
【化11】

式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、C−C24のアルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンであり、nは0〜4である。アルキル基が存在する場合には、通常、直鎖、分岐鎖、もしくは環式アルキル基であり、他の環式位置も考慮されるが、2つの酸素原子に対してオルトの位置の場合が最も多い。好適なC1−12のアルキル基には、これに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ノニル、デシル、およびベンジルを含むアリール置換アルキルが含まれる。特定の実施形態では、アルキル基はメチルである。好適なハロゲン基は、臭素、塩素、およびフッ素である。様々な実施形態において、nの値は0〜3とすることができ、場合によっては0〜2であり、さらに0〜1の場合もある。ある実施形態では、レゾルシノール基は2−メチルレゾルシノールである。別の実施形態では、レゾルシノール基は、nが0の非置換レゾルシノール基である。該方法は1つの触媒を上記反応混合物と混合させるステップをさらに含む。前記触媒は、種々の実施形態において、全量が0.01〜10モル%の範囲であり、塩酸基の全モル数に対して全量を0.2〜6モル%とする場合もある。好適な触媒類としては、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩類、第四級ホスホニウム塩類、ヘキサアルキルグアニジニウム塩類、およびそれらの混合物を含む。
【0063】
好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類には、例として、イソフタロイルジクロライド、テレフタロイルジクロライド、もしくはイソフタロイルジクロライドおよびテレフタロイルジクロライドの混合物などを含む単環式部分から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類はさらに、例として、ジフェニルジカルボン酸ジクロライド、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド、および、特にナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどのナフタレンジカルボン酸ジクロライドの多環式部分、あるいは、単環式および多環式芳香族ジカルボン酸ジクロライド類の混合物、から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。ある実施形態では、ジカルボン酸ジクロライドは、代表的に式(XII)で示されるイソフタロイルジクロライド、および/またはテレフタロイルジクロライドの混合物を含む。
【0064】
【化12】

【0065】
イソフタロイルジクロライドおよびテレフタロイルジクロライドのいずれか一方あるいはその両方が存在してもよい。該ジカルボン酸ジクロライドは、イソフタロイルジクロライドとテレフタロイルジクロライドのモル比が約0.25〜4.0:1となる混合物を含む場合もあり、該モル比が約0.4〜2.5:1となる混合物を含む場合も、さらには、該モル比が約0.67〜1.5:1となる混合物を含む場合もある。
【0066】
ジカルボン酸ハロゲン化物類は、上記のポリマを調製する唯一の方法を提供する。該レゾルシノールアリレート結合を作る他のルートとしては、例えば、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、特に活性化エ−テル、もしくはジカルボン酸塩類もしくは部分塩類を用いるルートなども考えられる。
【0067】
連鎖停止剤(以下、キャッピング剤と呼ぶこともある)を用いてもよい。該連鎖停止剤を添加する目的は、レゾルシノールアリレートポリエステル鎖物質を含むポリマの分子量を制限するためであり、それによって分子量を制御したポリマと望ましい加工性を提供するためである。通常、レゾルシノールアリレート含有ポリマに、さらに反応性末端基を付ける必要がなくなった時点で、連鎖停止剤を添加する。連鎖停止剤を用いない場合は、レゾルシノールアリレート含有ポリマは、レゾルシノールアリレートポリエステル部に、通常は水酸基である反応性末端基の存在が必要な共重合の形成などの形で次に使用するために、溶液中で使用することも、あるいは溶液から回収して使用することもできる。連鎖停止剤は、モノフェノール化合物、モノカルボン酸塩化物、およびモノクロロギ酸エステル類、あるいはこれらの2つ以上の組合せとすることができる。連鎖停止剤の量は、モノフェノール化合物類の場合にはレゾルシノールに対して、モノカルボン酸塩化物類および/またはモノクロロギ酸エステルの場合には、二塩基酸に対して、通常、0.05〜10モル%の量でよい。
【0068】
好適なモノフェノール化合物類としては、フェノール、C〜C22のアルキル置換フェノール類、p−クミルフェノール、p−第三級ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルなどの単環式フェノール類、p−メトキシフェノールなどのジフェニール類のモノエーテル類などがある。アルキル置換フェノール類には、米国特許第4,334,053号に記載されている炭素原子数8〜9の分枝鎖アルキル置換基を有するものも含まれる。モノフェノール連鎖停止剤が、フェノール、p−クミルフェノール、およびレゾルシノールモノベンゾエートの場合もある。
【0069】
好適なモノカルボン酸塩化物類としては、ベンゾイルクロライド、C1−22アルキル置換ベンゾイルクロライド、トルオイルクロライド、ハロゲン置換ベンゾイルクロライド、ブロモベンゾイルクロライド、塩化シンナモイル、4−ナジミドベンゾイルクロライド、およびそれらの混合物などの単環式モノカルボン酸塩化物類、無水トリメリットクロライドやナフトイル塩化物などの多環式モノカルボン酸塩化物類、ならびに単環式モノカルボン酸塩化物類および多環式モノカルボン酸塩化物類の混合物などがある。炭素原子数22までの脂肪族モノカルボン酸類の塩化物類も好適である。アクリロイルクロライドやメタクリロイルクロライドなどの脂肪族モノカルボン酸類の官能性塩化物類もまた好適である。好適なモノクロロギ酸エステル類には、フェニルクロロギ酸エステル、アルキル置換フェニルクロロギ酸エステル、p−クミルフェニルクロロギ酸エステル、トルエンクロロギ酸エステル、およびそれらの混合物などの単環式モノクロロギ酸エステル類が含まれる。
【0070】
連鎖停止剤はレゾルシノールと組合せてもよく、ジカルボン酸二塩化物類の溶液中に含有させてもよく、あるいは、予備凝縮物を作って上記反応混合物に添加して用いてもよい。モノカルボン酸塩化物類および/またはモノクロロギ酸エステル類を連鎖停止剤として用いる場合には、ジカルボン酸二塩化物類と共に導入されることも多い。これらの連鎖停止剤は、ジカルボン酸の塩化物が実質的に反応しきった時点、あるいは反応終了時点で、反応混合物に添加してもよい。フェノール化合物類を連鎖停止剤として用いる場合には、反応中に反応混合物に添加してもよく、あるいは、レゾルシノールと酸二塩化物間の反応開始前に添加してもよい。水酸基末端レゾルシノールアリレートを含有する予備凝縮物、あるいはオリゴマを調製する場合は、連鎖停止剤は用いなくてもよく、あるいは少量をオリゴマ分子量制御のために用いることもできる。
【0071】
別の実施形態では、三官能基以上の官能性カルボン酸塩化物、および/または三官能基以上の官能性フェノールなどの分岐剤が含まれていてもよい。そのような分岐剤を用いる場合には、その量は通常、使用されるジカルボン酸二塩化物類あるいはレゾルシノールそれぞれに対して、0.005〜1モル%の量とすることができる。好適な分岐剤類としては、例えば、トリメシン酸トリ酸塩化物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸四塩化物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸四塩化物、もしくは
ピロメリット酸四塩化物のなどの三官能基以上のカルボン酸塩化物類、ならびに、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、
1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、
1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、
トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、
2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、
2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)−フェノール、
テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、
2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、
テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニルイソプロピル]−フェノキシ)−メタン、
l,4−ビス−[(4,4−ジヒドロキシトリフェニル)メチル]−ベンゼンなどの三官能基以上のフェノール類などがある。酸塩化物分枝剤は酸二塩化物類と共に用いられてもよいが、フェノール分枝剤はレゾルシノール部と共に最初に用いてもよい。
【0072】
ある実施形態では、製品は、ポリエステル鎖の少なくとも2つの単位を結合する無水結合を実質的に含まず、記載された方法により作られた、熱安定性のレゾルシノールアリレートポリエステル類を含む。特定の実施形態では、前記ポリエステル類は、式(XIII)で示されるイソフタル酸とテレフタル酸との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含む。
【0073】
【化13】

式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンであり、nは0〜4であり、mは約5以上である。様々な実施形態では、nは0であり、mは約10〜約300である。イソフタレート対テレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1であり、他の実施形態では約0.4〜2.5:1であり、さらに他の実施形態では約0.67〜1.5:1である。実質的に無水物結合を含まないとは、上記ポリマーを約280〜290℃の温度で5分間加熱すると、上記ポリエステル類が、ある実施形態では30%未満の分子量低下率を示し、また他の実施形態では10%未満の分子量低下率を示すことを意味する。
【0074】
さらに、共通に所有された米国特許第5,916,997号に開示されるソフトブロックセグメント含有レゾルシノールアリレートコポリエステル類を含む物品も含まれる。本明細書で用いられるソフトブロックという用語から、該ポリマ類のセグメントには、非芳香族モノマ単位から構成されるものがあることがわかる。そのような非芳香族モノマ単位は一般に脂肪族であり、ソフトブロック含有ポリマ類に柔軟性を付与するものとして既知である。これらの共重合体類は、式(IX)、式(XIV)および式(XV)の構造単位を含む構造単位を含んでおり、
【0075】
【化14】

【0076】
【化15】

【0077】
【化16】

式中、Rとnは上記定義の通りであり、Zは二価の芳香族ラジカルであり、RはC3−20の直鎖アルキレン、C3−10の分枝鎖アルキレン、またはC4−10の環式あるいはビシクロアルキレン基であり、また、RおよびRはそれぞれ独立に、
【0078】
【化17】

または
【化18】

を表すが、ここで、式(XV)は、上記ポリエステルのエステル結合に対して約1〜約45モル%寄与している。式(XV)が種々の実施形態において、約5〜約40モル%の範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与し、また他の実施形態においては、約5〜約20モル%の範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与する、という組成を追加の実施形態は提供する。RがC3−14の直鎖アルキレン、あるいはC5−6の環式アルキレンを表す実施形態もあり、また、RがC3−10の直鎖アルキレンあるいはCの環式アルキレンを表わす実施形態もある、という組成を別の実施形態は提供する。式(XIV)は芳香族ジカルボン酸残基を表わす。式(XIV)の二価芳香族ラジカルZは、種々の実施形態において、上記に定義されるような好適なジカルボン酸残基類から誘導されてもよく、また実施例によっては、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、もしくは2,6−ナフチレン、あるいはこれらの2つ以上からなる組み合わせを含む場合もある。様々な実施形態において、Zは約40モル%以上の1,3−フェニレンを含む。ソフトブロック鎖のメンバーを含むコポリエステルの種々の実施形態では、式(IX)のnは0である。
【0079】
他の実施形態では、上記レゾルシノール系ポリアリレートは、有機カーボネートブロック部と併用して、レゾルシノールアリレート含有ブロック部を含む、ブロックコポリエスルカーボネートであってもよい。そのような共重合体中のレゾルシノールアリレート鎖のメンバーを含むセグメントは、実質的二無水物結合を含まない。実質的二無水物結合を含まないとは、該コポリエステルカーボネート類を約280〜290℃で5分間加熱した時の分子量の低下率が、実施例によっては10%未満を示す場合もあり、また、実施例によっては5%未満を示す場合もあることを意味する。
【0080】
カーボネートブロック部は、ビスフェノールとホスゲンなどのカーボネート形成種との反応から誘導される、カーボネート結合を含み、ポリエステルカーボネート共重合体を作る。例えば、上記レゾルシノールポリアリレートカーボネート共重合体類は、イソフタル酸、テレフタル酸、レゾルシノール、およびビスフェノールAおよびホスゲンの反応生成物を含むことができる。該レゾルシノールポリエステルカーボネート共重合体は、ビスフェノールジカルボン酸エステル結合の数が最小になるような方法、例えば、レゾルシノールをジカルボン酸と予め反応させてアリールポリエステルブロックを形成し、次に、前記ブロックをビスフェノールとカーボネートに反応させて、共重合体のポリカーボネート部分を形成する方法で作ることができる。
【0081】
最良の効果を得るためには、レゾルシノールポリエステルカーボネート中のレゾルシノールエステルの含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%以上であるべきである。用途に応じて、約75モル%以上のRECが、あるいは約90もしくは100モル%ものレゾルシノールから誘導される結合が、望ましい場合もある。
【0082】
ブロックコポリエステルカーボネート類は、典型的に式(XVI)に示されるように、アリレートと有機カーボネートブロックを交互に配置するものを含むが、式中、Rとnは上記に定義したものであり、Rは二価有機ラジカルである。
【0083】
【化19】

【0084】
該アリレートブロック類は、mで表される重合度(DP)を有しており、ある実施形態では重合度は約4以上、他の実施形態では約10以上、他の実施形態では約20以上、さらに別の実施形態では約30〜約150である。pで表わされる有機カーボネートブロックのDPは、ある実施形態では約2以上であり、他の実施形態では約10〜約20であり、さらに他の実施形態では約2〜約200である。これらの2つのブロックの配合は、カーボネートブロック類に対してアリレートブロック類の重量割合を任意の所望の値とする共重合体を提供するようになすことができる。一般に、アリレートブロック類の含有量は、ポリマの全重量に対して、ある実施形態では約10〜約95重量%であり、他の実施形態では約50〜約95重量%である。
【0085】
イソフタレートおよびテレフタレートの混合物は式(XVI)に示されるが、アリレートブロック類中のジカルボン酸残基は、上記の定義の通り、任意の好適なジカルボン酸残基から誘導されてもよく、あるいは、脂肪族二酸二塩化物類(いわゆる「ソフトブロック」セグメント)から誘導されるジカルボン酸残基を含む好適なジカルボン酸残基類の混合物から誘導されてもよい。様々な実施形態においてnは0であり、またアリレートブロックは、イソフタル酸残基とテレフタル酸残基との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含み、イソフタレートとテレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1、他の実施形態では約0.4〜2.5:1、さらに別の実施形態では約0.67〜1.5:1である。
【0086】
有機カーボネートブロック類では、各Rはそれぞれ独立に二価の有機ラジカルである。様々な実施形態において、前記ラジカルは、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を含んでおり、また、該ポリマ中のR基の総数の約60%以上が芳香族有機ラジカル類であり、それらのバランスは、脂肪族ラジカル、脂環式ラジカル、もしくは芳香族ラジカルである。好適なRラジカルは、m−フェニレン、p−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、4,4’−ビ(3,5−ジメチル)−フェニレン、2,2−ビス(4−フェニレン)プロパン、6,6’−(3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インダン])を含み、米国特許第4,217,438号に(一般もしくは固有)名もしくは式が開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類に相当するラジカルと類似のラジカル類を含む。
【0087】
それぞれのRが芳香族有機ラジカルの実施形態もあれば、式(XVII)のラジカルである実施形態もあり、
【0088】
【化20】

式中、AおよびAはそれぞれ、単環式二価アリールラジカルであり、Yは、1つあるいは2つの炭素原子がAおよびAを隔離している架橋ラジカルである。式(XVII)の自由原子価結合は通常、Yに対してAおよびAのメタもしくはパラの位置にある。Rが式(XVII)を有する化合物はビスフェノール類であり、また、簡略化のために、「ビスフェノール」という用語は、本明細書ではジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類を指すこともある。しかしながら、このタイプの非ビスフェノール化合物類も適宜使用されてもよいことは理解されるべきである。
【0089】
式(XVII)において、AとAは通常、非置換フェニレン、あるいはその置換誘導体を表し、置換基(1つまたは複数)の例としては、アルキル、アルケニル、およびハロゲン(特に臭素)が挙げられる。ある実施形態では、非置換フェニレンラジカルが好適である。AおよびとAは両方ともp−フェニレンであることが多いが、両方がo−フェニレンもしくはm−フェニレンでもよく、あるいは1つがo−フェニレンもしくはm−フェニレンで、もう1つがp−フェニレンであってもよい。
【0090】
架橋ラジカルYは、1つあるいは2つの原子によってAがAから分離しているラジカルである。特定の実施形態では、1つの原子がAをAから分離している。このタイプのラジカル類としては、−O−、−S−、−SO−、もしくは−SO−、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチルメチレン、エチレン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデン、および同種のラジカル類が挙げられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ゲムアルキレン(一般に「アルキリデン」として既知)ラジカル類が好適である。しかしながら、非置換ラジカル類もまた含まれる。いくつかの実施形態では、ビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAすなわちBPA)であり、ここで、Yはイソプロピリデンであり、AおよびAは各々p−フェニレンである。反応混合物中に存在するレゾルシノールのモル過剰に応じて、カーボネートブロック類中のRは、少なくとも部分的にレゾルシノール基を含んでもよい。すなわち、実施形態によっては、式(X)のカーボネートブロック類は、少なくとも1つの他のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と併用して、レゾルシノール基を含んでもよい。
【0092】
ジブロック、トリブロック、および多重ブロックコポリエステルカーボネート類が本発明に包含される。レゾルシノールアリレート鎖のメンバーを含むブロックと、有機カーボネート鎖のメンバーを含むブロック間の化学結合は、(a)例えば典型的に式(XVIII)で示される(ここでRは、上記に定義されたもの)、アリレート基の好適なジカルボン酸残基と、有機カーボネート基の−O−R−O−基との間のエステル結合、
【0093】
【化21】

ならびに(b)式(XIX)に示される(ここでRおよびnは上記に定義されたもの)、レゾルシノールアリレート基のジフェノール残基と、有機カーボネート基の−(C=O)−O−基との間のカーボネート結合、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0094】
【化22】

【0095】
ある実施形態では、コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとのカーボネート結合を有するジブロック共重合体から構成される。別の実施形態では、該コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネート末端ブロックとの間のカーボネート結合を有するトリブロックカーボネート−エステル−カーボネート共重合体で構成される。
【0096】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間のカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネート類は通常、レゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製され、そして、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施例では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。前記オリゴマ類は通常、ある実施形態では約10,000〜約40,000の、別の実施形態では約15,000〜約30,000の、重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネート類は、前記レゾルシノールアリレート含有オリゴマ類を、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、連鎖停止剤、およびジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0097】
ある例では、物品は、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、およびそれらの混合物、シリコーン共重合体、ならびにレゾルシノール系ポリアリレート、からなる群から選択された樹脂のブレンドを含むことができるが、上記アリールポリエステル結合の50モル%以上は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合である。
【0098】
物品の製造に使われるポリマブレンド類に使用されるレゾルシノール系ポリアリレートの量は、物品の最終用途に応じて大きく変わる場合がある。例えば、物品が、発熱量あるいは最大発熱量到達時間の増加が重要であるような最終用途に使用される場合には、レゾルシノールエステル含有ポリマの量を最大にすれば、発熱量を低下させ最大発熱量到達時間を延ばすことができる。レゾルシノール系ポリアリレートは、ポリマブレンドの約1〜約50重量%とすることができる場合もある。注目すべきいくつかの組成物では、ポリマブレンドの全量に対して約10〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートを有する。
【0099】
別の実施形態では、a)約1〜約99重量%のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、もしくはそれらの混合物、b)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体、c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のレゾルシノール系ポリアリレート、d)0〜約20重量%の金属酸化物、のポリマブレンドを含む物品が考慮されるが、重量%はこのポリマブレンドの全重量に対するものである。
【0100】
別の態様では、a)約50〜約99重量%のポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、もしくはそれらの混合物、b)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体、c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレート樹脂、d)0〜約20重量%の金属酸化物、ならびに、e)0〜約2重量%のリン含有安定剤、のポリマブレンドを含む物品が考慮される。
【0101】
(B.PEI、PI、PEIS、およびそれらの混合物、シリコーン共重合体、ならびにレゾルシノール系アリールポリエステル樹脂の、高Tgブレンド類)
例えば、シリコーンポリエーテルイミド共重合体類もしくはシリコーンポリカーボネート共重合体類と、高ガラス転移温度(Tg)ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)もしくはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)樹脂類、ならびにレゾルシノール系ポリアリレートとのシリコーンコポリマの組合せは、驚くほど低い発熱量と改善された耐溶剤性を持つ。
【0102】
上記レゾルシノール誘導アリールポリエステル類は、例えば、レゾルシノール−ビスフェノール−Aコポリエステルカーボネートなどの非レゾルシノール系結合を含有するコポリマであってもよい。最良の効果を得るためには、レゾルシノールエステル含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%より大きくすべきである。RECは高ければ高いほど好ましい可能性がある。これらの結合から誘導されるレゾルシノールの約75モル%より高い、あるいは90あるいは100モル%と高いRECが望ましい場合さえありうる。
【0103】
難燃性ブレンドに使用されるレゾルシノールエステル含有ポリマの量は、発熱量の低減や、最大発熱量到達時間の増加、もしくは耐溶剤性を向上させるために有効な量を用いることによって、大きく異なりうる。レゾルシノールエステル含有ポリマが、ポリマブレンドの約1〜約80重量%でよい例もある。10−50%のレゾルシノール系ポリエステルを含有するいくつかの組成物は注目される。ポリエーテルイミドもしくはポリエーテルイミドスルホンと、REC含有量が高い共重合体類とのブレンドが、約150〜約210℃の単一のガラス転移温度(Tg)を有する場合もある。
【0104】
レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールもしくは官能化レゾルシノールと、例えばカルボン酸ハロゲン化物類、カルボン酸エステル類、およびカルボン酸塩類などの、アリールエステル結合の形成に好適なアリールジカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体類と、の反応生成物から誘導される、約50モル%以上の単位を含むべきである。
【0105】
本発明に従って使用されうるレゾルシノール系ポリアリレート類について、他のポリマブレンド類のために、ここでさらに詳述する。
【0106】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間の少なくとも1つのカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネート類は、通常、本発明の種々の実施形態によって調製されるレゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製されるが、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施形態では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。上記オリゴマ類は通常、ある実施形態では約10,000〜約40,000、別の実施形態では約15,000〜約30,000の重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネート類は、上記のレゾルシノールアリレート含有オリゴマ類を、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、少なくとも1つの連鎖停止剤、および少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0107】
ある例では、難燃性改良ポリマブレンドは、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物からなる群から選択された樹脂、ならびにシリコーン共重合体、およびアリールポリエステル結合の50モル%以上が、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする、レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む。「ポリマ結合」もしくは「1つのポリマ結合」という用語は、該ポリマを形成する少なくとも2つのモノマの反応生成物として定義される。
【0108】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、水素原子数と炭素原子数の比(H/C)が約0.85以下の場合もあり、これは注目される。水素含有量に比較して炭素含有量の多いポリマ、すなわち水素原子数対炭素原子数の比が小さいポリマでは、難燃性(FR)が向上することが多い。これらのポリマ類は、燃焼値が低く、燃焼時のエネルギ放出が少なくてもよい。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成しやすいことにより、耐燃焼性も有してもよい。特定の作用機構や作用形態とは無関係に、そのような低H/C比を有するポリマ類が優れた難燃性(FR)を有することが観察されている。上記H/C比を0.85未満にできる場合がある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4より大きいH/C比が好適となる例もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子数をカウントすることによりその化学構造から決定できる。
【0109】
難燃性ポリマブレンド類およびそれらから作られた物品では、2分後発熱量が約65kW−分/m未満の場合もある。また、上記の最大発熱量が約65kW/m未満の場合もある。最大発熱量到達時間が約2分より長いことも、ある組成物類とそれらから作られる物品にとって有益な側面である。約4分より長い最大発熱量到達時間が実現されうる場合もある。
【0110】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類もしくはそれらの混合物と、シリコーン共重合体、および約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含むアリールポリエステル樹脂とのブレンドは、透明である。上記のブレンドが、約2mmの厚みにおいてASTM法 D1003に準拠して測定されるように、約50%を超える透過率を有する場合もある。これらの透明組成物類のヘイズ率が、ASTM法 D1003に準拠して測定し、約25%未満となる例もある。上記透過率が約60%より大きく、かつヘイズ率が約20%未満となる実施形態もある。さらに、その組成物およびその組成物から作られる物品が、最大発熱量が50kW/m以下で、透過率が約50%より大きく、かつヘイズ値が約25%未満の場合もある。
【0111】
上記の難燃性ブレンド類では、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、もしくはそれらの混合物は、組成物全重量に対して約1〜約99重量%の範囲で存在してもよい。この範囲内で、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、もしくはそれらの混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には約50重量%以上、あるいは、さらに具体的には約70重量%以上であってもよい。
【0112】
別の実施形態では、ある組成物は、a)約1〜約99重量%のポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、およびそれらの混合物、b)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のアリールポリエステル樹脂、c)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体、d)約0〜約20重量%の金属酸化物、を含み、上記の重量%は組成物の全重量に対するものであることを特徴とする、難燃性ポリマブレンドを含んでいる。
【0113】
他の態様では、a)約50〜約99重量%のポリエーテルイミドもしくはポリエーテルイミドのスルホン樹脂、b)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレート、c)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体、d)約0〜約20重量%の金属酸化物、ならびにe)0〜約2重量%のリン含有安定剤、を含む難燃性ポリマブレンドを含む組成物が考慮される。
【0114】
ポリイミド類は一般式(XX)を有しており、
【0115】
【化23】

式中、aは2より大きく、通常約10〜約1,000もしくはそれ以上、あるいはより具体的には約10〜約500であり、式中、Vは四価のリンカーであり、上記ポリイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限り、特に制限されない。好適なリンカー類は、これに限定されないが、(a)炭素原子数が約5〜約50の、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、または芳香族単環式および芳香族多環式の基、(b)炭素原子数が1〜約30の、置換あるいは非置換、直鎖あるいは分枝鎖、飽和あるいは不飽和のアルキル基、あるいはそれらの混合物、を含む。好適なリンカー類は、これらに限定されないが、式(XXI)などの構造式を有する四価の芳香族ラジカル類を含み、
【0116】
【化24】

式中、Wは、−O−、−S−、−C(O)−、SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜8の整数)、およびパーフルオロアルキレン基を含むそれらのフッ素化誘導体からなる群、あるいは、式−O−Z−O−で表されれる群であって、−W−もしくは−O−Z−O−基の二価結合が(3,3’)、(3,4’)、(4,3’)、もしくは(4,4’)の位置にあり、Zは上記で定義されたものである群、から選択される二価基である。Zは、式(XXII)の典型的なニ価ラジカル類を含んでもよい。
【0117】
【化25】

【0118】
式(XX)中のRは、これに限定されないが、(a)炭素原子数が約6〜約24の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそれらのハロゲン化誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約24の環式アルキレンラジカル類、あるいは、(d)一般式(VI)の二価ラジカル類、などの置換あるいは非置換二価有機ラジカル類を含み、
【0119】
【化26】

式中、Qは上記に定義されたものである。
【0120】
ポリイミド類の分類中には、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類およびポリエーテルイミド類が含まれ、特に、米国特許第3,803,085号および同第3,905,942号にその調製法および物性が記載されているような、溶液での加工が可能である、当分野では既知のポリエーテルイミド類が含まれる。
【0121】
ポリエーテルイミド樹脂類は、式(XXIII)の構造単位を2以上、通常は約10〜約1,000以上、より具体的には約10〜約500を含んでいてもよく、
【0122】
【化27】

式中、Tは、−O−あるいは−O−Z−O−基であって、二価結合が(3,3’)、(3,4’)、(4,3’)、もしくは(4,4’)の位置にあるものであり、Zは上記に定義されたものである。ある実施形態では、上記ポリイミド、ポリエーテルイミド、もしくはポリエーテルイミドスルホンは共重合体であってもよい。ポリイミド、ポリエーテルイミド、もしくはポリエーテルイミドスルホンの混合物を用いてもよい。
【0123】
該ポリエーテルイミドは、式(XVIII)の芳香族ビス(エーテル無水物)と式(VII)の有機ジアミンとの反応をを含む、当業者に既知の任意の方法で調製され、
【0124】
【化28】

【0125】
【化29】

式中、TおよびRは上記に定義したものである。
【0126】
特定の芳香族ビス無水物類および有機ジアミン類の例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。芳香族ビス無水物の具体例としては、
3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン)二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、ならびにそれらの種々の混合物類が含まれる。
【0127】
上記の式(XVIII)で包含される別の分類の芳香族ビス(エーテル無水物)類は、これに限定されないが、Tが式(XXIV)であり、
【0128】
【化30】

そのエーテル結合は、例えば好適には、(3,3’)、(3,4’)、(4,3’)、もしくは(4,4’)の位置に存在する化合物およびその混合物を含んでおり、ここで、Qは上記の定義の通りである。
【0129】
任意のジアミノ化合物が用いられてもよい。適切な化合物の例としては、
エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、
トリメチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン(triethylenetertramine)、
ヘキサメチレンジアミン、
ヘプタメチレンジアミン、
オクタメチレンジアミン、
ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、
1,12−ドデカンジアミン、
1,18−オクタデカンジアミン、
3−メチルヘプタメチレンジアミン、
4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
4−メチルノナメチレンジアミン、
5−メチルノナメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
2,2−ジメチルプロピレンジアミン、
N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、
3−メトキシヘキサメチレンジアミン、
1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、
ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、
1,4−シクロヘキサンジアミン、
ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、
m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、
2,4−ジアミノトルエン、
2,6−ジアミノトルエン、
m−キシリレンジアミン、
p−キシリレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
5−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、
ベンジジン、
3,3’−ジメチルベンジジン、
3,3’−ジメトキシベンジジン、
1,5−ジアミノナフタレン、
ビス(4−アミノフェニル)メタン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、
ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
2,4−ビス(p−アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、
ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、
1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、
ビス(4−アミノフェニル)スルホン、および
ビス(4−アミノフェニル)エーテルが挙げられる。
これらの化合物の混合物も用いられてもよい。好適なジアミノ化合物類は芳香族ジアミン類であり、特に、m−およびp−フェニレンジアミン、スルホニルジアミンならびにそれらの混合物は好適である。
【0130】
ある実施形態では、ポリエーテルイミド樹脂は、式(XVII)の構造単位を含んでおり、式中、各Rは独立に、p−フェニレンもしくはm−フェニレン、あるいはそれらの混合物であり、Tは式(XXV)の二価ラジカルである。
【0131】
【化31】

【0132】
ポリイミド類、特にポリエーテルイミド類の数ある製造方法には、米国特許第3,847,867号、同第3,852,242号、同第3,803,085号、同第3,905,942号、同第3,983,093号、および同第4,443,591号に開示の方法が含まれる。これらの特許は、教示の目的で、例示として、ポリイミド類を調製するための総括的および具体的方法について言及した。
【0133】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、およびポリエーテルイミドスルホン類は、6.6キログラム(kg)の樹脂を用い、米国材料試験協会(ASTM)法 D1238に準拠して、340〜約370℃において測定した、約0.1〜約10グラム/分(g/min)のメルトインデックスを有してもよい。ある1つの実施形態では、上記ポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリエチレン標準を用いてゲル透過クロマトグラフィ法で測定されるように、約10,000〜約150,000グラム/モル(g/mol)である。別の実施形態では、該ポリエーテルイミドは、20,000〜60,000の範囲のMwを有する。このようなポリエーテルイミド樹脂類は、25℃のm−クレゾール中で測定されるように、通常約0.2デシリットル/グラム(dl/g)より大きい、もしくは、より具体的には約0.35〜約0.7dl/gの固有粘度を持っている。本明細書に記載のブレンドに有用なポリエーテルイミド類のいくつかの例は、ASTM法 D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料標準分類システム」にリストされている。
【0134】
該共重合体のシロキサン部分のブロック長さは任意の有効長さであってもよい。ある場合には、2〜70のシロキサンの繰り返し単位であってもよい。また、シロキサンブロックの長さが、約5〜約30の繰り返し単位であってもよい場合もある。多くの場合、ジメチルシロキサンが用いられる。
【0135】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、使用されうるシロキサン共重合体の、特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド類の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号および同第4,690,997号に示されている。ポリエーテルイミドシロキサン類は、有機ジアミン反応剤の一部あるいは全部を、例えば式(XXII)のアミン末端オルガノシロキサンで置換することを除いて、ポリエーテルイミド類の調製に用いられるものと同じような方法で調製できる例もあり、式中、gは1〜約50までの整数であり、他の例では、gは、約5〜約30の整数、またR’は、炭素原子数が約2〜約20の、アリール、アルキル、もしくはアリールアルキルであってもよい。
【0136】
【化32】

【0137】
いくつかのポリエーテルイミドシロキサン類は、式(XIX)の、有機ジアミンもしくはジアミン類の混合物、式(XXII)のアミン末端オルガノシロキサン、および式(XIIX)の1つ以上の二無水物類、の反応によって形成されてもよい。ジアミノ成分を、反応に先立ってビス無水物(類)と物理的に混合し、実質的にランダムな共重合体を形成してもよい。あるいは、式(XIX)および式(XXII)と二無水物類との選択的反応によって、ブロックポリマもしくは交互共重合体を形成し、その後に互いに反応するポリイミドブロック類を作ってもよい。別の例では、ポリエーテルイミド共重合体の調製に用いられるシロキサンは、例えば米国特許第4,404,350号に記載されているように、アミン官能性末端基ではなく無水物を有していてもよい。
【0138】
ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、T、R’およびgが上記に記載されるものであって、nが約5〜約100、およびArが炭素数が6〜約36のアリールもしくはアルキルアリール基である、式(XXIII)であってもよい。
【0139】
【化33】

【0140】
いくつかのシロキサンポリエーテルイミド類では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体類のジアミン成分は、式(XXII)の約20モル%〜約50モル%のアミン末端オルガノシロキサン、および式(XIX)の約50〜約80モル%の有機ジアミンを含んでいてもよい。シロキサン共重合体類の中には、上記シロキサン成分が約25〜約40モル%のアミンもしくは無水物末端オルガノシロキサンを含むものもある。
【0141】
(C.高Tg相分離ポリマブレンド類)
本明細書ではさらに、a)ポリアリールエーテルケトン類、ポリアリールケトン類、ポリエーテルケトン類、およびポリエーテルエーテルケトン類、を含む群から選択されるポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ならびにそれを、b)50モル%以上の、アリールスルホン基を含む結合を有するポリエーテルイミドスルホン(PEIS)と組み合わせたもの、との混合物を含む相分離ポリマブレンド類が開示される。
【0142】
相分離とは、上記PAEK樹脂と上記PSEI樹脂とが、例えば、顕微鏡検査、示差走査熱量分析、あるいは動的機械分析などの標準的な分析技術を用いて識別できる、分離した化学物質の混合物として存在し、少なくとも2つの異なるポリマ相、つまり1つはPAEK樹脂を含み1つはPSEI樹脂を含んだポリマ相を示すことを意味する。それぞれの相が、約80モル%を超える上記それぞれの樹脂を含む場合もある。また、該ブレンドが、大きさが約0.1〜約50μmの相分離領域を形成する場合もあり、また、上記の領域が約0.1〜約20μmの場合もある。領域の大きさとは、顕微鏡検査で見られる最長の線寸法を指す。上記の相分離ブレンドは、完全に非混合性、もしくは部分的に混合性を示してもよいが、少なくとも固体状態においては、2つあるいはそれ以上の異なるポリマ相を示すように作用しなければならない。
【0143】
PAEKとPEISとの比は任意に設定できるが、それによって改良された特性、すなわち、樹脂単独で用いた場合よりも、最終用途によって良好であったり、あるいは悪くなったりする特性、が得られる。上記の比は、最終用途および所望の改良特性に応じて、1:99重量部から99:1重量部の範囲内で任意に選択される。上記の比は、15:85〜85:15とすることもでき、さらに、25:75〜75:25とすることもできる。用途によっては、40:60〜60:40の範囲であってもよい。当業者であれば、上記PAEKとPEISとの比を変化させてゆけば、所望の結果に応じて、上記の引用された範囲内で任意の実数比に収まることは理解されるであろう。
【0144】
最終ブレンドの特性は、成分の比を変化させることによって調整可能であるが、その特性には、熱変形温度と耐加重性能とが含まれる。例えば、ある実施形態では、ポリエーテルイミドスルホン樹脂は、個々の成分自体上のPAEKブレンドの耐加重性能を変える、すなわち増大し改善するのに有効な任意の量存在することができる。全混合物に対して、PAEK量は約30〜約70重量%とでき、一方、PEISの量は約70〜約30重量%としてもよい場合がある。ここで、重量%はPAEKとPEISの合計重量に対するものである。
【0145】
実施形態によっては、上記相分離ポリマブレンドは、ASTM法 D5418に準拠して、0.46MPa(66psi)の応力下、厚み3.2mmの棒で測定された、約170℃以上の熱変形温度(HDT)を有する。0.46MPA(66psi)の応力下でのHDTが200℃以上になる場合もある。さらに、PAEK−PEISの耐加重性能は、ASTM法 D1525に準拠して50ニュートン(N)の荷重下で測定された、約200℃以上のビカット軟化温度で示される場合もある。
【0146】
さらに、上記の相分離ポリマブレンドの耐加重性能は、例えばASTM法 D5418に準拠して厚み3.2mmの棒において200℃で測定された、曲げ弾性率が約200メガパスカル(MPa)以上であることによって示される場合もある。
【0147】
上記の相分離ポリマブレンド類は、ある量のPAEKとある量のPEISとを融解状態で混合して製造されてもよい。この2つの成分は、当業者に既知の、任意の相分離ブレンド製造方法を用いて混合されてもよい。そのような方法には、押出法、焼結法などがある。
【0148】
本明細書で用いられるように、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)類という用語には、異なる配列中のケトン基およびエーテル基が主として結合した、通常はフェニル環である芳香族環を含むいくつかのポリマタイプが含まれる。PAEK樹脂の例としては、ポリエーテルケトン(PEK)類、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)類、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)類、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)類、ならびにそれらの基とそれらのブレンドを含む共重合体類などがある。上記のPAEKポリマには、通常はフェニル環である芳香族環、ケト基およびエーテル基、を含むモノマ単位が任意の順序で含まれてもよい。根本的にPAEK樹脂の特性を変更しない限り、例えば10モル%未満など、低レベルの付加連結基を添加してもよい。
【0149】
例えば、融点が300℃より高く、高度に結晶性の数種類のポリアリールエーテルケトン類を、上記の相分離ブレンドに用いることができる。これらの結晶性ポリアリールエーテルケトン類の例を、式(XXVI)、式(XXVII)、式(XXVIII)、式(XXIX)、および式(XXX)に示す。
【0150】
【化34】

【0151】
【化35】

【0152】
【化36】

【0153】
【化37】

【0154】
【化38】

【0155】
ここで好適に用いられる結晶性ポリアリールエーテルケトン類の他の例は、一般的に、下記の式(XXXI)の繰り返し単位を含むことによって特徴付けられることができるが、
【0156】
【化39】

式中、Arは独立に、フェニレン、ビフェニレン、もしくはナフチレンから選ばれる二価の芳香族ラジカルであり、Lは独立に、−O−、−C(O)−、−O−Ar−C(O)−、−S−、−SO−、もしくは直接結合であり、hは0から約10の値を有する整数である。
【0157】
当業者であれば、ここには、ポリアリールエーテルケトン類の形成および特性に係る、十分に発展した本質的な特許の本文と、その他の文献が存在することは理解できるであろう。例えば、米国特許第3,065,205号などの初期研究のいくつかは、芳香族ジアシルハロゲン化物類とジフェニルエーテルなどの非置換芳香族化合物類との求電子芳香族置換(例えば、フリーデルクラフツ触媒)反応に関係している。この種の発展は米国特許第4,175,175号で実現されており、そこには、広範囲の樹脂類が、例えば、活性化された芳香族ジハライドと、芳香族ジオールもしくはその塩との芳香族求核置換反応によって形成できることが示されている。
【0158】
そのようなポリアリールケトン調製方法の1つは、多くの場合ビスフェノール塩として作用するビスフェノールと、ジハロベンゾイド化合物と、あるいは場合によっては、ハロフェノール化合物と、の実質的に等モル混合物を加熱するステップを含む。また、これらの化合物の混合物を用いてもよい場合もある。例えば、ヒドロキノンを、ジクロロベンゾフェノンもしくはジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトンと反応させて、ポリアリールエーテルケトンを形成することができる。また、ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシアリールケトンを、ジクロロベンゼンなどのアリールジハライド類で重合化してPAEK樹脂を形成できる場合もある。さらに、ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類を、ジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトン類と反応できる場合もある。他の変法として、ジヒドロキシビフェニルもしくはヒドロキノンなどのエーテル結合を持たないジヒドロキシ化合物類を、例えば、ビス−(ジクロロフェニル)ベンゾフェノンなどのエーテル結合とケトン結合の両方を有しうるジハロ化合物類と反応させてもよい。他の例としては、ジアリールエーテルカルボン酸類、もしくはカルボン酸ハライド類を重合化してポリアリールエーテルケトン類を形成することもできる。このような化合物として、ジフェニルエーテルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸塩化物、フェノキシ−フェノキシ安息香酸、もしくはそれらの混合物がある。さらに他の例では、ジカルボン酸類もしくはジカルボン酸ハライド類を、例えば、イソもしくはテレフタロイルクロライド(あるいはそれらの混合物)のジアリールエーテル類を用いて縮合し、ジフェニールエーテルと反応させてPAEK樹脂類を形成することもできる。
【0159】
そのプロセスは、例えば、米国特許第4,176,222号に記載されている。このプロセスは、100〜400℃の範囲の温度での加熱、(i)(a)ビスフェノール、および、(b.i)、ジハロベンゼノイド化合物、および/または、(b.ii)ハロフェノール、の実質的に等モル混合物を含むが、前記ジハロベンゼノイド化合物あるいはハロフェノール中では、ハロゲン原子はオルトあるいはパラ位置にある−C=O−基によって活性化されるが、それは炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ソーダと、第2のアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸ソーダとの混合物とともにであり、前記第2のアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸ソーダのアルカリ金属がナトリウムよりも大きな原子番号を有しており、前記第2のアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸ソーダの量は、ナトリウム1グラム原子当たり、前記のより大きな原子番号を持つアルカリ金属が0.001〜0.2グラム原子存在するようになされており、上記のアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸ソーダの全量は、存在するフェノール基毎に少なくとも1つのアルカリ金属原子が存在するようになされており、それによって上記のポリマをアルカリ金属ハロゲン化物から分離することを特徴としている。
【0160】
さらに、例えば米国特許第4,396,755号に記載されているプロセスに従って、他のポリアリールエーテルケトン類を調製してもよい。そのようなプロセスでは、(a)ジカルボン酸、(b)二価芳香族ラジカルおよびモノ芳香族ジカルボン酸、および(c)(a)と(b)との組合せ、などの反応物を、フルオロアルカンスルホン酸、特にトリフルオロメタンスルホン酸の存在下で反応させる。
【0161】
追加のポリアリールエーテルケトン類は、例えば米国特許第4,398,020号に記載されるようなプロセスに従って調整されてもよく、この場合には、芳香族ジアシル化合物類は、芳香族化合物およびモノアシルハライドとともに重合化される。
【0162】
上記のポリアリールエーテルケトン類は、25℃の濃硫酸中で測定されるように、少なくとも約0.4〜約5.0dl/gの範囲の低減した粘度を有していてもよい。PAEKの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜150,000g/molの範囲であってもよい。Mwが約10,000〜約80,000g/molの範囲であってもよい場合もある。
【0163】
第2の樹脂成分はポリエーテルイミドスルホン(PEIS)樹脂である。ここで用いられるように、PEISは、一般式(VII)を有する構造単位を含み、式中、約50モル%以上の上記ポリマ結合はアリールスルホン基を有し、
【0164】
【化40】

ここで、aは2以上、通常は約10〜約1,000もしくはそれ以上であり、より具体的には約10〜約500であるが、Vは四価リンカーであり、上記ポリスルホンエーテルイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限りリンカーは限定されない。好適なリンカーは、これに限定されないが、(a)炭素原子数が約5〜約50の、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、または、芳香族単環式もしくは芳香族多環式基、(b)炭素原子数が1〜約30の、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル基、あるいは(c)それらの組合せ、を含む。好適なリンカー類は、これに限定されないが、式(VIII)の四価芳香族ラジカル類を含み、
【0165】
【化41】

式中、Wは、いくつかの実施形態においては、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−、(yは1から5までの整数)および、パーフルオロアルキレン基もしくは式−O−D−O−の基を含む上記のハロゲン化誘導体類からなる群から選択される二価基である。上記のD基は、ビスフェノール化合物類の残基を含んでいてもよい。例えば、Dは式(IX)で示される任意の分子であってもよい。
【化42】

【0166】
上記−W−もしくは−O−D−O−基の二価結合は、(3,3’)、(3,4’)、(4,3’)、または(4,4’)の位置に存在してもよい。また、前述の化合物の混合物を用いてもよい。ベンジルプロトン類がない基は、溶液安定性が優れているために好適であることが多い。Wが−SO−である基は、ポリスルホンエーテルイミド樹脂類にアリールスルホン結合を導入する1つの方法であるために、特に注目される。
【0167】
本明細書で用いられるように、「ポリマ結合」もしくは「1つのポリマ結合」という用語は、ポリマを形成する少なくとも2つのモノマ類の反応生成物として定義されるが、ここではモノマ類のうち少なくとも1つが二無水物もしくはそれらの化学的均等物であり、また第2のモノマが少なくとも1つのジアミンもしくはそれらの化学的均等物である。上記のポリマは、100モル%のそのような結合から構成される。例えば、50モル%のアリールスルホン結合を有するポリマは、その結合の半分(モル基準で)が、少なくとも1つのアリールスルホン基を有する二無水物もしくはジアミンから誘導される結合を含む。
【0168】
−O−D−O−基の前駆体として用いられる好適なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類も、式(X)の構造を有しており、
【0169】
【化43】

式中、Rは独立に、水素、塩素、臭素、アルコキシ、アリールオキシ、あるいはC1−30の1価炭化水素もしくはヒドロカーボンオキシ基であり、RとRは独立に、水素、アリール、アルキルフルオロ基、もしくはC1−30炭化水素基である。
【0170】
上記−O−D−O−基の前駆体として用いられうるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類には、米国特許第2,991,273号、同第2,999,835号、同第3,028,365号、同第3,148,172号、同第3,153,008号、同第3,271,367号、同第3,271,368号、および同4,217,438号に物質名あるいは式が開示されたものを含む。使用可能なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類の特定の例としては、これらに限定されないが、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、
1,4−ジヒドロキシベンゼン、
4,4’−オキシジフェノール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、
1−1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、
2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、
ジヒドロキシナフタレン、
2,6−ジヒドロキシナフタレン、
ヒドロキノン、
レゾルシノール、
1−3アルキル置換レゾルシノール類、
メチルレゾルシノール、
1,4−ジヒドロキシ−3―メチルベンゼン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニル、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,4−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
3,3−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、および
ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどがある。前述のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素類のうちの任意のものを含む混合物も用られてもよい。
【0171】
特定の実施形態では、上記のスルホン結合を有するビスフェノール類を含むジヒドロキシ置換芳香族炭化水素は、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂にアリールスルホン結合を導入する別の手段であるために、注目される。ベンジルプロトン類を含まないビスフェノール化合物類が、優れた溶融安定性を有するポリエーテルイミドスルホン類の製造に好適な場合があってもよい。
【0172】
式(VII)において、R基は、ジアミノ化合物、あるいはその化学的均等物の残基であり、R基は、これらに限定されないが、(a)約6〜約24の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカル類およびそれらのハロゲン化誘導体類、(b)約2〜約20の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンラジカル類、(c)約3〜約24の炭素原子数を有するシクロアルキレンラジカル類、あるいは(d)一般式(XI)で表される二価ラジカル、などの置換あるいは非置換の二価有機ラジカルを含む。
【0173】
【化44】

式中、Qは、これに限定されないが、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−(yは1から約5までの整数)、から構成される群から選択される二価基および、パーフルオロアルキレン基を含むそれらのハロゲン化誘導体類を含んでいる。特定の実施形態においては、Rは本質的にベンジル水素類を含まない。ベンジルプロトン類の存在は化学構造から推定できる。
【0174】
いくつかの特定の実施形態では、好適な芳香族ジアミン類は、
m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、
m−およびp−フェニレンジアミンの混合物、
2−メチルおよび5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン類の異性体もしくはそれらの混合物、
ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、
4,4’−ジアミノジフェニル、
3,4’−ジアミノジフェニル、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリンと呼ばれることもある)、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
4,4’−ジアミノジフェニルケトン、
3,4’−ジアミノジフェニルケトン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(一般に、4,4’−メチレンジアニリンと名付けられている)
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、
1,5−ジアミノナフタレン、
3,3−ジメチルベンジジン、
3,3−ジメトキシベンジジン、
ベンジジン、
m−キシリレンジアミン、
ビス(アミノフェノキシ)フルオレン、
ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
ビス(アミノフェノキシ)フェニルスルホン、
ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、
ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、
ジアミノベンズアニリド、
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、
2,2’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、
4,4’−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、
1,2−ビス(3−アミノフェノキシ)エタン、
2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、
ビス(p−b−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、
ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、および
2,4―トルエンジアミンを含む。2つ以上のジアミン類の混合物も用いられてもよい。ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)類、およびそれらの混合物は、好適な芳香族ジアミン類である。
【0175】
本明細書に記載の熱可塑性ポリスルホンエーテルイミド類は、1つあるいは複数の芳香族ジアミンもしくはそれらの化学的に均等な誘導体類、および1つあるいは複数の芳香族テトラカルボン酸環式二無水物(以後、芳香族二無水物と呼ぶこともある)、芳香族テトラカルボン酸、または、それらの誘導体類であって、環式無水物類を形成できる、もしくは前に形成されたポリイソイミド類の熱/触媒の転移ができるもの、を含む反応物質から誘導されうる。さらに、芳香族ジアミン類および芳香族二無水物類を含む反応物質の、一部および他方の少なくとも一部、すなわち、それぞれの少なくとも一部は、少なくとも50モル%の合成されたポリマ結合が少なくとも1つのアリールスルホン基を含有するように、アリールスルホン結合を含んでいる。特定の実施形態では、芳香族ジアミン類および芳香族二無水物類とを含有する反応物質の一方あるいは他方のすべて、すなわち、それぞれの反応物質は、少なくとも1つのスルホン結合を有している。上記反応物質は重合して環式イミド結合およびスルホン結合を含むポリマ類を形成する。
【0176】
芳香族二無水物類の具体的な例としては、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの混合物が含まれる。
【0177】
他の有用な芳香族二無水物には、
2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2,2−ビス([4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2−[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2−[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、
2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ピロメリット酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、および、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物が含まれる。2つ以上の二無水物を含む混合物から誘導される構造単位を有するポリスルホンエーテルイミド類も考慮される。
【0178】
上記のポリスルホンエーテルイミド類が、オキシジフタル酸無水物である芳香族エーテル無水物から誘導される、約50モル%以上のイミド結合を有する場合もあり、別の実施形態においては、約60モル%〜約100モル%のオキシジフタル酸無水物から誘導されるイミド結合を有する。他の実施形態では、約70モル%〜約99モル%のイミド結合は、オキシジフタル酸無水物あるいはその化学的均等物から誘導される。
【0179】
「オキシジフタル酸無水物」とは、式(XII)、
【0180】
【化45】

および以下で定義されるようなそれらの誘導体類オキシジフタル酸無水物を意味する。
【0181】
式(XII)のオキシジフタル酸無水物には、4,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,3’−オキシビスフタル酸無水物、およびこれらの任意の混合物が含まれる。例えば、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上のイミド結合を含むポリスルホンエーテルイミドは、式(XIII)の4,4’−オキシビスフタル酸無水物構造単位から誘導されてもよい。
【0182】
【化46】

【0183】
上記の通り、オキシジフタル酸無水物類の誘導体類は、ポリスルホンエーテルイミド類の製造に用いられてもよい。イミド形成反応において、上記のオキシジフタル酸無水物の化学的な均等物として機能できる、誘導された無水物基の例には、式(XIV)のオキシジフタル酸無水物誘導体類が含まれ、
【0184】
【化47】

ここで、式(VII)のRおよびRは、水素、アルキル基、およびアリール基の任意のものであってよい。オキシジフタル酸無水物酸、オキシジフタル酸無水物エステル、および、オキシジフタル酸無水物酸エステルを作るためには、RとRは同じであっても異なっていてもよい。
【0185】
ここでいうポリスルホンエーテルイミド類には、例えば、式(XV)のオキシジフタル酸無水物誘導体のような、2つの誘導化無水物基を有するオキシジフタル酸無水物誘導体類から誘導されるイミド結合が含まれてもよく、
【0186】
【化48】

ここで、式(XV)のR、R、RおよびRは、水素、アルキル基、アリール基のいずれであってもよい。オキシジフタル酸、オキシジフタルエステル、およびオキシジフタル酸エステルを作るためには、R、R、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよい。
【0187】
2つ、3つ、もしくはそれ以上の異なる二無水物類を有する上記のオキシジフタル酸無水物類と、フレキシブルな結合を持ったおおよそ等モル量の有機ジアミンと、の混合物のイミド化反応から誘導される構造単位を含むポリスルホンエーテルイミド類の共重合体も考慮される。さらに、上に定義されたオキシジフタル酸無水物類(その誘導体類も含む)から誘導される約50モル%以上のイミド結合と、約50モル%以下の、オキシジフタル酸無水物とは異なるもう一方の二無水物類と、の共重合体類もまた考慮される。すなわち、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上の結合の他に、例えば、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ジスルホン二無水物、ベンゾフェノン二無水物、ビス(カルボフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビスフェノール二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニル二無水物、サルファ二無水物、スルホ二無水物、およびそれらの混合物などの、オキシジフタル酸無水物類とは異なる芳香族二無水物類から誘導されるイミド結合も含む共重合体類を作ることが望ましい実施例もある。
【0188】
本発明の別の実施形態では、上記のように、この二無水物は、スルホン結合を有するアリールジアミンと反応する。ある実施形態では、上記ポリスルホンエーテルイミドは、式(XVI)のアリールジアミノスルホンから誘導される構造単位を含み、
【0189】
【化49】

式中、Arは単一環あるいは複数環を含むアリール基種であってもよい。いくつかのアリール環は、例えば、エーテル結合、スルホン結合、もしくは2つ以上のスルホン結合を介して互いに結合されてもよい。上記のアリール環は縮合していてもよい。
【0190】
他の実施形態では、上記アリールジアミノスルホンのアミン基は、例えば、式(XVII)のように、スルホン結合に対してメタ、あるいはパラの位置とすることができる。
【0191】
【化50】

【0192】
芳香族二無水物類は、これに限定されないが、例えば、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)およびビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン類(BAPS)を含む。上記のオキシジフタル酸無水物類は、アリールジアミノスルホンとの反応によるポリイミド結合の形成に用いられてポリスルホンエーテルイミド類を作ってもよい。
【0193】
いくつかの実施形態においては、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂類は、芳香族二無水物モノマ(もしくは芳香族ビス(エーテル無水物)モノマ)と有機ジアミンモノマとの反応から調整でき、ここで上記2つのモノマの量は、本質的に等モル量、もしくは、一方のモノマが他方のモノマに対し多く存在するとしても、モル比で約20%程度、好適には約10%未満、または、約5%程度である。上記2つのモノマ量の差を、モル比で1%未満とする場合もある。
【0194】
メチルアミンなどのアルキル第一級アミン類を連鎖停止剤として用いてもよい。第一級モノアミン類を、ポリスルホンエーテルイミドの末端キャップもしくは連鎖停止用に用いてもよく、例えば、ポリスルホンエーテルイミドの分子量制御に用いてもよい。特定の実施形態では、第一級モノアミン類には、具体的には、アニリン、クロロアニリン、パーフルオロメチルアニリン、ナフチルアミン類等の芳香族第一級モノアミン類が含まれる。芳香族第一級モノアミン類は、芳香環に結合した官能基、例えば、これに限定されないが、アリール基類、アルキル基類、アリールアルキル基類、スルホン基類、エステル基類、アミド基類、ハロゲン類、ハロゲン化アルキルもしくはアリール基類、アルキルエーテル基類、アリールエーテル基類、またはアリールケト基類などの官能基をさらに有していてもよい。この付加官能基によって、芳香族第1級モノアミンのポリスルホンエーテルイミドの分子量制御機能に支障が生じてはいけない。好適なモノアミン化合物類は、米国特許第6,919,422号に記載されている。
【0195】
芳香族ジカルボン酸無水物類、つまり、1つの環式無水物基を含む芳香族基類は、さらにポリイミドスルホン類の分子量制御にも用いられてもよい。具体的な例としては、クロロフタル酸無水物類などの無水フタル酸、置換無水フタル酸が含まれる。上記無水物類は、芳香族環に結合する官能基をさらに有していてもよく、それらの具体的な例としては、芳香族第一級モノアミン類として上記に記述した官能基類を含む。
【0196】
低レベルのイソアルキリデン結合を持つポリスルホンエーテルイミド類が望ましい場合もある。PAEKブレンドの中には、イソアルキリデン結合が存在することによって相溶性が促進され、それによって高温での耐加重性能が低下するので望ましくないものもあると考えられている。イソアルキリデン含有ポリマを含む相溶性のPEEK樹脂類のブレンドについては、例えば、米国特許第5,079,309号および同第5,171,796号に記載されている。低レベルのイソアルキリデン基類とは、ポリスルホンエーテルイミド結合の30モル%未満がイソアルキリデン基類を含むことを意味する場合もあり、また、上記ポリスルホンエーテルイミド結合が20モル%未満のイソアルキリデン基類を含む場合もある。また、上記ポリスルホンエーテルイミド結合に10モル%未満のイソアルキリデン基類が存在する場合もある。
【0197】
ポリスルホンエーテルイミド類は、温度340〜425℃において米国材料試験協会(ASTM)法 D1238に準拠して測定されたメルトインデックス値が約0.1〜約10グラム/分(g/min)であってもよい。ある実施形態では、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィで測定された重量平均分子量(Mw)が約10,000〜約150,000グラム/モル(g/mol)である。別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドは、Mwが20,000〜60,000g/molである。いくつかのポリエーテルイミド類の例が、ASTM法 D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料用の標準分類システム」に記載されている。
【0198】
いくつかの例では、特に、フィルムおよび繊維の形成が望ましい場合には、組成物に、ガラス、炭素、セラミック、もしくは金属繊維などの繊維強化材を本質的に含ませないようにすべきである。本質的に含まないとは、繊維強化材が全組成物量に対して5重量%未満を指す場合もあれば、1重量%未満であるべき場合もある。
【0199】
冷却時にある程度結晶化する組成物を有することが有効な場合もある。これは、高表面積を有するためにすぐに冷却し、そのために最適な特性を得るために必要となる十分な結晶化ができない繊維類やフィルム類などの高表面積を持つ物品類においては、これがより重要であってもよい。結晶の形成は結晶化温度(Tc)に反映される場合もあり、それは、例えば、ASTM法 D3418などの示差走査熱量計(DSC)等の方法によって測定できる。最大結晶化速度となる温度はTcとして測定されてもよい。例えば、冷却速度80℃/minにおいて、約240℃以上のTcが望ましい場合もある。また、例えば、20℃/minという遅い冷却速度において、約280℃以上の結晶化温度が望ましい場合もある。
【0200】
上記組成物が少なくとも2つの別個のガラス転移温度(Tg)を有する場合もあり、第1のTgは、PAEK樹脂あるいは部分混和性PAEKブレンドからのものであり、第2のTgは、ポリスルホンエーテルイミド樹脂、もしくはそのような樹脂を優勢とする混合物に関連するものである。これらのガラス転移温度(Tg)は、DSC法あるいは動的機械分析法(DMA)などの任意の従来法を用いて測定できる。上記第1のTgを約120〜約200℃とでき、第2のTgを約240〜約350℃とできる場合もある。約280〜約350℃と、より高温の第2のTgを有することが有用であってもよい場合もある。特定の樹脂、分子量およびブレンド組成によって、これらのTgは別個のものであっても、もしくは転移状態が部分的に重なっていてもよい場合もある。
【0201】
別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドPEAKブレンドは、せん断速度を100〜1000sec−1とした、キャピラリーレオメータを用いて、温度380℃においてASTM法 D3835に準拠して測定されるように、約200パスカル秒(Pa・s)〜約10,000パスカル秒(Pa・s)の溶融粘度を有する。380℃で約200Pa・s〜約10,000Pa・sの溶融粘度を持つ樹脂ブレンドであれば、該組成物を溶融加工技術を用いることによってより容易に物品類に形成することができる。約200〜約5,000Pa・sのより低い溶融粘度が有用な実施例もある。
【0202】
溶融加工の別の態様、特に、本明細書に記載のPAEK−ポリスルホンエーテルイミド組成物類に必要な高温における態様としては、該組成物の溶融粘度が成型中あるいは押出加工中に過剰な変化を受けないということである。溶融安定性を測定する1つの方法として、パラレルプレート型レオメータを用いて、加工温度、例えば380℃における粘度の時間変化を調べる方法がある。実施例によっては、上記温度に約10分間以上保持した後、初期粘度の約50%以上を保持していなければならないものもある。また、少なくとも約10分間、上記の溶融粘度変化が初期値の約35%未満でなければならない実施例もある。上記初期溶融粘度値は、組成物が溶融し平衡に達した後の1〜5分の間に測定できる。粘度を測定(記録)する前に、サンプルを加熱して、サンプルが十分に溶解し平衡に達したことを確認後、通常1〜5分間待つ。溶融粘度の時間変化の好適な測定方法は、例えばASTM法 D4440法である。溶融粘度は、ポイズ(P)もしくはパスカル秒(Pa・s)で得られ、lPa・s=10Pである。
【0203】
(D.コポリエーテルイミド類)
有用なポリマ類は、218℃以上のガラス転移温度を有する、コポリエーテルイミドのコポリマ類も含むことができるが、前記コポリエーテルイミドは、式(I)および式(II)の構造単位を含み、
【0204】
【化51】

【0205】
【化52】

さらに任意に式(III)の構造単位を含む。
【0206】
【化53】

式中、Rは、ハロゲンもしくはアルキル置換基類、またはそれら置換基の混合物を含むC6−22の非置換二価芳香族炭化水素もしくはC6−22の置換二価芳香族炭化水素、あるいは、一般式(IV)の二価ラジカルを含み、
【0207】
【化54】

式中、該芳香環に関して割当てのない位置異性体が、Qに対してメタもしくはパラのいずれかであり、Qは、共有結合、−C(CHもしくは式(V)から選択される要素、
【0208】
【化55】

および、式C2y(yは1〜約5までの整数)のアルキレンもしくはアルキリデン基であり、Rは、二価芳香族ラジカルであり、式(I)の単位と式(II)の単位との重量比は、約99.9:0.1〜約25:75の範囲である。これらの要素を持つ共重合体類は、Brunelleらの発明になる「コポリエーテルイミド類」(2005年2月1日公布の特許第6,849,706号)に、より完全に議論されており、その内容のすべては参照により本明細書に援用される。
【0209】
(E.ブレンドへの他の添加剤類)
上記ブレンドのポリマ成分に加えて、改良された製造物品を作るために他の有用な組成物類を添加してもよい。当業者であれば、1つあるいは複数の製造特性あるいは性能特性を改良するために、広範囲の成分をポリマ類に添加できることは理解するであろう。
【0210】
本発明のポリマ類に金属酸化物が添加されてもよい場合もある。実施例によっては、上記の金属酸化物によって、発熱量が低減し最大発熱量到達時間も増加するために、難燃性能(FR)が向上してもよい。二酸化チタンは注目される。その他の金属酸化物類としては、酸化亜鉛類、酸化ホウ素類、酸化アンチモン類、酸化鉄類および遷移金属酸化物類が含まれる。実施例によっては白色の金属酸化物類が望ましい場合もある。金属酸化物類は、単独で用いられても、あるいは他の金属酸化物類と併用して用いられてもよい。金属酸化物類の量は任意でよく、ポリマブレンドの0.01〜約20重量%の範囲で用いられる実施例もある。
【0211】
その他の有用な添加剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、アルカリ金属ホウ酸塩もしくはアルカリ土類金属ホウ酸塩、またはその他のホウ酸塩類などの金属ホウ酸塩類といった防煙剤類がある。さらに、ホウ酸、ホウ酸塩エステル類、酸化ホウ素類、もしくは他のホウ素の酸素化合物類などの他のホウ素含有化合物類が有用であってもよい。さらに、アリールホスフェイト類や、臭素化アリール化合物類から作られた結合を含むポリマ類を含む臭素化芳香族化合物類などの、その他の難燃性添加物類も用いられてもよい。ハロゲン化芳香族化合物類の例としては、臭素化フェノキシ樹脂類、ハロゲン化ポリスチレン類、ハロゲン化イミド類、臭素化ポリカーボネート類、臭素化エポキシ樹脂類、およびそれらの混合物が含まれる。
【0212】
例えば、リン酸エステル類、スルホン酸塩類、およびハロゲン化芳香族化合物類などの従来の難燃性添加剤も用いられうる。これらの難燃性添加剤の任意のあるいはすべてのものの混合物も用いることができる。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、臭素化フェノキシ樹脂類、ハロゲン化ポリスチレン類、ハロゲン化イミド類、臭素化ポリカーボネート類、臭素化エポキシ樹脂類、およびそれらの混合物が挙げられる。スルホン酸塩類の例としては、カリウムパーフルオロブチルスルホン酸塩、ナトリウムトシレート、ナトリウムベンゼンスルホン酸塩、ナトリウムジクロロベンゼンスルホン酸塩、カリウムジフェニルスルホンスルホン酸塩、およびナトリウムメタンスルホン酸塩が挙げられる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のスルホン酸塩類が好適な場合もある。リン酸塩難燃剤類の例としては、
トリアリールホスフェート類、
トリクレシルホスフェート、
トリフェニルホスフェート、
ビスフェノールAフェニルジホスフェート類、
レゾルシノールフェニルジホスフェート類、
フェニル−ビス−(3,5,5’−トリメチルヘキシルホスフェート)、
エチルジフェニルホスフェート、
ビス(2−エチルヘキシル)−p−トリルホスフェート、
ビス(2−エチルヘキシル)−フェニルホスフェート、
トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、
フェニルメチルリン酸水素、
ジ(ドデシル)−p−トリルホスフェート、
ハロゲン化トリフェニルホスフェート類、
ジブチルフェニルホスフェート、
2−クロロエチルジフェニルホスフェート、
p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、
2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、
ジフェニルリン酸水素、
レゾルシノールジホスフェートなどが挙げられる。ハロゲン原子類、特に臭素および塩素を本質的に含まない難燃性組成物類が望ましい場合もある。ハロゲン原子類を本質的に含まないとは、ある実施形態においては、組成中のハロゲン原子類の量がハロゲン含有組成物量に対して3%未満であり、他の実施形態では、ハロゲン原子類の量が1%未満であることを意味する。ハロゲン原子類の量は通常の化学分析によって決定できる。上記の組成物はまた、任意に組成物量に対して0.01〜約5.0重量%のフッ素ポリマを含有していてもよい。上記のフッ素ポリマは、樹脂組成物に防滴性能をもたらすために、任意の有効量用いられてもよい。適切なフッ素ポリマ類のいくつかの例およびそれらの製造方法は、例えば、米国特許第3,671,487号、同第3,723,373号および同第3,383,092号に記載されている。適切なフッ素ポリマ類には、1つまたは複数のフッ素化a―オレフィンモノマ類から誘導される構造単位を含むホモポリマ類および共重合体類が含まれる。上記の「フッ素化a−オレフィンモノマ」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子置換基を含む、a−オレフィンモノマを意味する。適切なフッ素化a−オレフィンモノマ類の例としては、例えば、CF=CF、CHF=CF、CH=CFおよびCH=CHFなどのフッ素エチレン類、ならびに、例えば、CFCF=CF、CFCF=CHF、CFCH=CF、CFCH=CH、CFCF=CHF、CHFCH=CHFおよびCFCF=CHなどのフッ素プロピレン類が含まれる。
【0213】
いくつかの適切なフッ素化a−オレフィン共重合体類には、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン)などのフッ素化a―オレフィンモノマ類の2つ以上から誘導される構造単位を含む共重合体、ならびに1つまたは複数のフッ素化モノマ類、および例えばポリ(テトラフルオロエチレン−エチレン−プロピレン)共重合体類などのフッ素化モノマ類と共重合できる1つまたは複数の非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマ類とから誘導される構造単位を含む共重合体が含まれる。適切な非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマ類は、ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマ(PTFE)を好適なものとして、例えばエチレンや、プロピレン、ブテン、例えばメタクリル酸メチルやブチルアクリレートなどのアクリル酸モノマ類などの、例えばa−オレフィンモノマ類を含む。
【0214】
上記のブレンド類にはさらに、例えば、繊維ガラスや、粉砕ガラス、ガラスビーズ類、フレークなどの充填材や補強材が含まれていてもよい。タルクや、珪灰石、雲母、カオリン、もしくはモンモリロナイト粘土、シリカ、クォーツおよびバライトなどの鉱物類が加えられてもよい。上記組成物類は、例えば、炭素繊維類およびナノチューブ類、金属繊維類、金属粉末類、導電性カーボン、ならびにナノサイズの補強材類を含むその他の添加剤類などの無機充填材類を有効量添加して改質することもできる。導電性であってもよい、当業者に周知の他の添加剤類を、本発明のコネクタに遮蔽性を付与するために用いてもよい。
【0215】
他の添加剤類としては、亜リン酸塩類、ホスホナイト類、およびヒンダードフェノール類などの酸化防止剤類がある。トリアリール亜リン酸塩およびアリールホスホン酸塩類を含むリン含有安定剤類は、有用な添加剤類として注目される。二官能基リン含有化合物類も用いることができる。分子量が約300以上の安定剤類は好適に用いられる。分子量が500以上のリン含有安定剤類が有用な実施例もある。リン含有安定剤類は通常、組成中に処方の0.05〜0.5重量%存在する。光安定剤類およびUV吸収剤類の他に着色剤類もブレンド中に存在してもよい。流動性改良剤類および離型剤類も考慮される。離型剤類には、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、グリセリントリステアレート、およびエチレングリコールジステアレートなどのアルキルカルボン酸エステル類がある。離型剤類は通常、組成中に処方の0.05〜0.5重量%含まれる。好適な離型剤類は、溶融加工中の溶融ポリマ混合物からの損失を防ぐために、通常約300より大きいという高分子量を有する。
【0216】
本発明に従ったポリマブレンド類は、造核剤や、清澄剤、剛性添加剤、および/または結晶化速度調節剤などの種々の添加剤類も含んでいてもよい。これらの添加剤としては、既存の材料のものが既知の量用いられる。
【0217】
(3.本発明によるブレンド類の製造方法)
本発明に従った物品に用いられるポリマブレンド類は、上記の材料と処方中の任意の望ましい追加の添加剤との密接混合を含む種々の方法により、上述の成分類とブレンドすることができる。溶融混合も可能であるが、望ましい方法には、溶融混合が含まれる。商用のポリマ加工設備で溶融混合装置が入手しやすいことから、溶融加工方法が一般に好適である。そのような溶融加工方法で用いられる装置の具体例としては、共回転押出機および逆転押出機、単軸スクリュ押出機、コニーダ、ディスクパックプロセッサ、ならびにその他の種々のタイプの押出成形装置が挙げられる。本プロセスにおける溶融温度は、樹脂類の余分な分解を避けるために最小にすることが望ましい。実施形態によっては、溶融加工された組成物は、押出機などの加工設備から金型内の小さな出口孔を通って出て、得られる溶融樹脂のストランド(strand)は水浴中を通ってストランドを通過することで冷却される。冷却されたストランドは、包装、運搬あるいは最終製品生産のために、裁断できるし、および/または、任意の便利な形状、すなわちペレットに成形できる。
【0218】
本明細書で議論されるブレンド類は、種々の溶融混合技術で調製できる。良好な混合スクリュを備えた真空式の一軸もしくは二軸スクリュ押出機の使用は好適である。そのような押出成形機を運転すべき溶解加工温度は、一般に、熱可塑性プラスティックのTgより約100〜約150℃高い。上記の成分の混合物はすべて、個々のフィーダーを用いて押出機口に供給されても、あるいは混合物として供給されてもよい。例えば、2つあるいはそれ以上の樹脂類のブレンドにおいて、最初に成分の一部を第1の押出機に押出し、次に混合物の残りを第2の押出機内に添加する方法が好都合な場合もある。最初に着色剤類を樹脂凝縮物と混合し、次に樹脂組成物の残りの成分と混合する方法が有用であってもよい。他の状況では、押出機口よりもさらに下流で混合物の一部を添加する方法が有益であってもよい。押出し後、ポリマ溶解はひも状にでき、それを冷却した後に、次の生産工程に適した大きさのペレットに裁断もしくは切断する。好適なペレット類は長さが約1/16〜1/8インチであるが、当業者であれば、ペレットの大きさは任意であることは理解するであろう。ペレット化された熱可塑性樹脂類は次に乾燥して水分を除去し、本発明の物品類に成形される。温度約135〜約150℃で約4〜約8時間の乾燥が好適であるが、乾燥時間は樹脂の種類に応じて変わる。適切な温度、圧力、および締付けによる射出成形は、光沢面を持つ物品類の生産に好適である。成形時の溶融温度は、樹脂のTgを上回る約100〜約200℃となる。油加熱された鋳型が、より高温のTg樹脂類には好適である。型温度は約50〜約175℃の範囲で変動するが、約120〜約175℃が好適である。当業者であれば、本発明の組成物類および物品類の製造には、それらの混合方法と成形条件に関して多くのバリエーションがあり得ることは理解されるであろう。
【0219】
(実施例)
接着コアは、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかを含む。エッチング接着コアの厚みは10ミルである。上記接着コアは化学的方法を用いてエッチングされる。厚さが10ミルのエポキシ樹脂プリプレグNelco N4000−12は、標準の積層設備を用い、標準の積層条件下で、接着コアのそれぞれの面に積層される。
【0220】
この例においては、織布は、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンド、b)217℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリマ類の相溶性ブレンド、もしくは、c)247℃より高いガラス転移温度を有する単一の未使用ポリマ、のいずれかの樹脂で含浸されている。この樹脂を補強材へ押し込み、出来上がった樹脂含浸補強材を次に加熱塔を通過させ、ここでBステージ化されてプリプレグとなる。同時に、厚さ約1.4ミルの銅箔を厚さが約2ミルの樹脂でコーティングする。次に、この樹脂被覆銅を上記プリプレグに適用し、加熱ニップロールによって加圧しながら加熱して最終製品を得る。この銅クラッド複合材の全体の厚さは約9〜10ミルであり、これを必要な大きさのプリント配線基板に裁断する。
【0221】
本発明を典型的な実施形態で例示し、説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなしに様々な修正と置換が可能であるため、本発明はここに示された詳細に限定されることを意図したものではない。そのため、当業者であれば、単に通常の実験によって、本明細書に開示された発明をさらに修正したものや等価物が思い浮かぶかも知れないが、それら修正や等価物のすべては、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨と範囲内であると考えられる。本明細書に開示された特許、特許出願、およびその他の出版物のすべては、参照によりその全体が本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板もしくはコーティングの少なくとも一部の上部もしくは下部それぞれに配置される、導電性材料を含む複合材料を備えた電子部品であって、前記基板もしくはコーティングは、
a)複数のガラス転移温度を有する1つもしくは複数のポリエーテルイミド類のうち、1つが217℃より高いガラス転移温度を有するポリエーテルイミド類を含むポリマ類の非相溶性ブレンド、
b)180℃より高いガラス転移温度を1つ有する1つもしくは複数のポリエーテルイミド類を含むポリマ類の相溶性ブレンド、または、
c)247℃より高いガラス転移温度を1つ有する単一のポリエーテルイミド、から構成される群から選択される材料を含む電子部品。
【請求項2】
前記ポリエーテルイミドは、炭素原子数に対する水素原子数の比が約0.4〜0.85であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記ポリエーテルイミドは、本質的にベンジルプロトン類を含まないことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記基板は、複数のガラス転移温度を有するポリマ類のうち、1つが180℃より高いガラス転移温度を有するポリマ類の非相溶性ブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記基板は、217℃より高いガラス転移温度を1つ有するポリマ類の相溶性ブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記基板は、247℃より高いガラス転移温度を有する単一のポリマを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記基板は、
ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンエーテルスルホン類、およびそれらの混合物から構成される群から選択される第1の樹脂、
シリコーン共重合体を含む第2の樹脂、ならびに、
50モル%以上のアリールポリエステル結合がレゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であるレゾルシンール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂、のブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項8】
前記シリコーン共重合体は、
ポリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類、ポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類、およびそれらの混合物、から構成される群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
【請求項9】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項6に記載の複合材料。
【請求項10】
前記シリコーン共重合体は、20〜50重量%のシロキサン含有量を有することを特徴とする請求項6に記載の複合材料。
【請求項11】
前記ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンエーテルスルホン類、およびそれらの混合物は、炭素原子数に対する水素原子数の比が0.85以下であることを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
【請求項12】
前記ポリマブレンドの0.1〜20重量%の、1つあるいは複数の金属酸化物類をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
【請求項13】
前記レゾルシノール系アリールポリエステルは、下式に示す構造を有しており、
【化1】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C6−24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4、およびmは少なくとも約8であることを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
【請求項14】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下式に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化2】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C6−24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは、少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150、およびpは約2〜200であることを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
【請求項15】
前記Rは、ビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項12に記載の複合材料。
【請求項16】
前記相分離ポリマブレンドは、
a)ポリアリールエーテルケトン類、ポリアリールケトン類、ポリエーテルケトン類、およびポリエーテルエーテルケトン類、を含む群の1つあるいは複数から選択される第1の樹脂成分と、
b)少なくとも1つのアリールスルホン基を含む50モル%以上の結合を有する、少なくとも1つのポリスルホンエーテルイミドを含む第2の樹脂成分と、の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項17】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、ポリスルホンエーテルイミドの繰り返し単位の少なくとも50モル%が、少なくとも1つのアリールエーテル結合、少なくとも1つのアリールスルホン結合、および少なくとも2つのアリールイミド結合を含むように、アリールスルホン結合およびアリールエーテル結合とを含むことを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項18】
前記ポリスルホンエーテルイミド結合の少なくとも50モル%は、オキシジフタル酸無水物もしくはその化学的均等物から誘導されることを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項19】
前記ポリスルホンエーテルイミド結合の30モル%未満は、イソアルキリデン基を含む、ジアミンもしくは二無水物から誘導されることを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項20】
前記基板は、ASTM法 D648に準拠し、66psi(0.46MPa)の応力下、厚み3.2mmの試料を用いて測定した170℃以上の熱変形温度(HDT)を有することを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項21】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、前記基板の30〜70重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項22】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、本質的にベンジルプロトン類を含まないことを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項23】
前記ポリアリールエーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンのうちの1つあるいは複数は、300〜380℃の結晶融点を有することを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項24】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、250〜350℃のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項25】
前記ポリマブレンドは、ASTM法 D5418に準拠して測定された、少なくとも2つの異なるガラス転移温度を有し、第1のガラス転移温度が120〜200℃であり、かつ第2のガラス転移温度が250〜350℃であることを特徴とする請求項14に記載の複合材料。
【請求項26】
前記基板は、
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物から構成される群から選択される第1の樹脂、
シリコーン共重合体を含む第2の樹脂、ならびに
レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂とのブレンドを含み、前記アリールポリエステル結合の50モル%以上はレゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする改良された難燃性を有する請求項1に記載の複合材料。
【請求項27】
前記シリコーン共重合体は、ポリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類、およびポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類、から構成される群から選択される1つあるいは複数であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項28】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項29】
前記シリコーン共重合体は、シロキサン含有量が20〜50重量%であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項30】
前記ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、炭素原子数に対する水素原子数の比が0.75以下であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項31】
前記ポリマブレンドの0.1〜20重量%の割合で、1つあるいは複数の金属酸化物類をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項32】
前記レゾルシノール系アリールポリエステルは、下式に示す構造を有し、
【化3】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、かつmは少なくとも約8であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項33】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下式に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化4】

式中、RはC1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、もしくはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150であり、かつpは約2〜200であることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項34】
前記Rはビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項31に記載の複合材料。
【請求項35】
前記ポリイミド、ポリエーテルイミド、もしくはポリエーテルイミドスルホンは、ビスフェノールA二無水物、オキシジフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ジフタル酸無水物、スルホニル二無水物、サルファ二無水物、ベンゾフェノン二無水物、およびそれらの混合物、から構成される群から選択されるアリール二無水物類から作られ、かつ、
アリールジアミン類は、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、オキシジアニリン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェニルフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィド、およびそれらの混合物、から構成される群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の複合材料。
【請求項36】
前記基板は、ガラス転移温度が少なくとも約218℃のコポリエーテルイミドを含み、
前記コポリエーテルイミドは、式(I)および(II)の構造単位、
【化5】

【化6】

ならびに任意に式(III)の構造単位、を含み、
【化7】

(式中、Rは、ハロゲンもしくはアルキル置換基類、またはそれら置換基の混合物を含む、C6−22の非置換二価芳香族炭化水素もしくはC6−22の置換二価芳香族炭化水素、あるいは一般式(IV)の二価ラジカル基であり、
【化8】

式中、芳香環回りに関する非割当位置異性体がQに対してメタもしくはパラのいずれかであり、Qは共有結合、または式(V)の構成要素および式C2yのアルキレン基もしくはアルキリデン基から選択される要素であり、
【化9】

式中、yは1以上5以下の整数である。また、Rは二価芳香族ラジカルである)
式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との重量比が約99.9:0.1〜約25:75の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項37】
225℃より高いTgを有するコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項38】
式(III)の構造単位を含むコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項39】
前記Rは、m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、
2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、
5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、
ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、
ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、
4,4’−ジアミノジフェニル、
3,4’−ジアミノジフェニル、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルケトン、
3,4’−ジアミノジフェニルケトン、
2,4−トルエンジアミン、およびそれらの混合物、から構成される群から選択される少なくとも1つのジアミンから誘導されることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項40】
前記Rは、式(VI)のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の少なくとも1つから誘導され、
【化10】

式中、Dは、式(VII)の構造を有し、
【化11】

(式中、Aは芳香族基を表し、
Eは、硫黄含有結合、スルフィド、スルフォキシド、スルホン、リン含有結合、ホスフィニル、ホスホニル、エーテル結合、カルボニル基、第三級窒素基、シリコン含有結合、シラン、シロキシ、脂環式基、シクロペンチリデン、3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデン、任意に、1つのヒドロキシ置換基を有する1つあるいは複数の芳香族基類に接続した1つあるいは複数の縮合環の一部である、アルキレン基もしくはアルキリデン基、不飽和のアルキリデン基、または、アルキレンもしくはアルキリデンとは異なる部分が接続し、芳香族結合、第3級窒素結合、エーテル結合、カルボニル結合、シリコーン含有結合、シラン、シロキシ、硫黄含有結合、スルフィド、スルホキシド、スルホン、リン含有結合、ホスフィニル、およびホスホニル、から構成される群から選択される、2つ以上のアルキレンもしくはアルキリデン、を含み、
は、水素と、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、もしくはシクロアルキルなどの1価炭化水素基と、を含み、
は独立に、無機原子、ハロゲンすなわち無機基、ニトロ基などの、有機基、1価の炭化水素基、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、およびアルコキシなどのから構成される群から選択され、
文字「m」は、0以上で、Aにおける置換可能な位置の数までの任意の整数であり、
文字「p」は、0以上で、Eにおける置換可能な位置の数までの整数であり、
文字「t」は、1以上の整数であり、
文字「s」は、0あるいは1に等しい整数であり、ならびに、
「u」は、0を含む任意の整数である)
ことを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項41】
式(I)、(II)および(III)のそれぞれにおけるRの構造単位は同じであることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項42】
式(I)、(II)および(III)のうち少なくとも2つの式におけるRの構造単位の少なくとも一部は同じでないことを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項43】
前記R2は、
4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール、
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン)ジフェノール、
4,4’−(シクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(3,3−ジメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−(メチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、
4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、
2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、
ジヒドロキシナフタレン、
2,6−ジヒドロキシナフタレン、
ヒドロキノン、
レゾルシノール、
1−3アルキル置換レゾルシノール類、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,4−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
3,3−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチリンダン−5−オール、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチリンダン−5−オール、および
2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオールから構成される群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導されることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項44】
前記Rは、式(IX)のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素
【化12】

(式中、それぞれのRは独立に、水素、塩素、臭素またはC1−30の1価炭化水素もしくはヒドロカーボンオキシ基であり、少なくとも1つのZが塩素もしくは臭素であることを条件として、それぞれのZは、水素、塩素もしくは臭素である)ならびに式(X)のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素
【化13】

(式中、それぞれのRは独立に上文に定義されたものであり、RおよびRは、水素もしくはC1−30の炭化水素基である)から構成される基から選択される、少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導されることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項45】
前記Rは、ビスフェノールAから誘導されることを特徴とする請求項42に記載の複合材料。
【請求項46】
少なくとも1つの連鎖停止剤から誘導される構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項47】
前記連鎖停止剤は、
ハロゲン化アルキル類、塩化アルキル類、ハロゲン化アリール類、塩化アリール類、および式(XVII)および(XVIII)の塩化物類から構成される群から選択される、少なくとも1つの非置換もしくは置換要素であり、
【化14】

【化15】

式中、前記塩化物置換基は3位または4位の位置にあり、ZおよびZは、置換もしくは非置換のアルキルもしくはアリールであることを特徴とする請求項44に記載の複合材料。
【請求項48】
前記連鎖停止剤は、
モノクロロベンゾフェノン、
モノクロロジフェニルスルホン、
モノクロロフタルイミド、
4−クロロ−N−メチルフタルイミド、
4−クロロ−N−ブチルフタルイミド、
4−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、
3−クロロ−N−メチルフタルイミド
3−クロロ−N−ブチルフタルイミド、
3−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、
4−クロロ−N−フェニルフタルイミド、
3−クロロ−N−フェニルフタルイミド、
モノ−置換ビス−フタルイミド、
モノクロロビスフタルイミドベンゼン、
1−[N−(4−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、
1−[N−(3−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、
モノクロロビスフタルイミドジフェニルスルホン、
モノクロロビスフタルイミドジフェニルケトン、
モノクロロビスフタルイミドフェニルエーテル、
4−[N−(4−クロロフタルイミド)]フェニル−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、
4−[N−(3−クロロフタルイミド)フェニル]−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、および
3,4’−ジアミノジフェニルエーテルから誘導される、最後の2つの化合物に対応する異性体、から構成される群から選択される、少なくとも1つの要素であることを特徴とする請求項45に記載の複合材料。
【請求項49】
式(I)の単位と式(II)の単位の重量比が、約99:1〜約25:75であることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項50】
前記基板は、0.455mPaの応力下における熱変形温度が、少なくとも205℃であることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項51】
前記基板は、0.455mPaの応力下における熱変形温度が、少なくとも210℃であることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項52】
前記基板は、ASTM法 D3763に準拠して測定した脆性状態と延性状態間の遷移温度が、最大30℃であることを特徴とする請求項34に記載の複合材料。
【請求項53】
前記基板および導電性材料の間に配置された接着剤層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項54】
前記導電性材料は金属箔を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項55】
前記導電性材料は、銅、銀、および金から構成される群から選択される金属箔を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項56】
前記金属箔は銅箔であることを特徴とする請求項52に記載の複合材料。
【請求項57】
前記導電性材料上に配置されたカバー層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。

【公表番号】特表2009−522772(P2009−522772A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548552(P2008−548552)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047328
【国際公開番号】WO2007/078713
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】