説明

高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳化

高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳濁液を形成する一工程直接方法で提供される。この一工程直接方法においては、10,000以上の分子量を有する官能化ポリオレフィン、脂肪酸、塩基、界面活性剤、及び水を、圧力反応容器中で、水性乳濁液を形成するのに十分な時間、攪拌しながらポリオレフィンの乳化温度より高い温度に加熱する。この高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳濁液はサイズ剤組成物に添加することができ、ガラス繊維の製造過程において直接ガラス繊維に塗布しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には直接加圧法を用いた高分子量ポリオレフィンの水性乳化に関する。特に本発明は、分子量が10,000以上の官能化即ち化学的に修飾したポリオレフィンの一工程直接加圧法における水性乳化に関する。本発明はまた、機械的性能の高い強化ポリオレフィン複合材料を得るために、ガラス繊維製造過程中又はその後の工程のいずれかにおいて、これらの高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液をガラス繊維へ直接塗布することに関する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維表面がサイズ剤化学的配合物により適切に変性されていれば、ガラス繊維強化ポリマー複合材料が強化されていないポリマー複合材料より優れた機械的性質を有することは当業者には公知である。従って、ガラス繊維強化複合材料は、寸法安定性、引張強さ及び弾性率、曲げ強さ及び弾性率、及び耐衝撃性及びクリープ抵抗がより良好になりうる。
ガラス繊維強化ポリプロピレン(PP)複合材料は、特定の短期及び長期間の機械的、物理的、化学的、経年変化、及び美的性質の組合せを必要とする自動車用、家庭用、及びその他の電化製品のような種々の市場部門に広範囲に及ぶ用途を有する。これらの性質は最終複合材料製品の設計において重要な役割を果たす。例えば、強力なポリプロピレンであれば、製品の質量を低下させ、製品を製造するのに使用する材料を減少させ、かつ製品の価格を低下させるためにより薄い壁部を有する製品を形成することができ、このことが生産性を改良してサイクル時間を低下させるのに役立つ。複合材料の強さを改良すると、最終製品の寿命を延ばすことにも役立つ。新興用途の要望の見地から、ポリプロピレン複合材料業界は、新規市場の用途のために及び現在使用されているその他のより高価なエンジニアリング・プラスチックの代替品のためにより強い“次世代”ポリプロピレン複合材料を開発する方法を絶えず捜し求めている。
繊維−マトリクス界面相互作用が強化複合材料の多くの機械的内部特性に影響を及ぼすことも当業者には公知である。従って、弱い方のマトリクス樹脂から強い方の繊維へ加えられた荷重を効果的に移動させるためには、特にガラス繊維強化熱可塑性複合材料においては繊維−マトリクス相互作用を改良することが必要である。繊維表面を変性して複合材料における繊維−マトリクス相互作用、接着性、及び相溶性を改良するためには、業界ではガラス繊維製造中における化学的サイズ剤配合物の塗布による繊維表面処理が実施されてきた。
【0003】
ポリプロピレン複合材料の繊維−マトリクス相互作用を最大化するためには、ガラス繊維業界では種々の水性サイズ剤配合物が使用されてきた。これらのサイズ剤配合物には、ガラス繊維及びマトリクス樹脂間に界面相を集合的に形成する成分が含まれる。典型的には、サイズ剤配合物には、皮膜形成樹脂、シラン、潤滑剤、帯電防止剤、及びその他の化学的成分のような成分が含まれる。無水マレイン酸グラフトポリプロピレンのような化学的に修飾した、即ち官能化したポリオレフィンの水性乳濁液を含むサイズ剤配合物が有利であることが見いだされている。
水性乳濁液の形で多くの従来のサイズ剤配合物中に含まれる無水マレイン酸グラフトポリプロピレン成分は、非常に低分子量(即ち、分子量6,000〜9,000)で、高グラフト官能化量(即ち、5〜10質量%)である。これらのグラフトポリプロピレンの分子量が低く(即ち、分子量10,000未満)、溶融粘度が低く、かつ無水マレイン酸官能化度が高いほど、例えば“間接加圧”又は“直接加圧”法によるようなそれらの乳化はあまり問題なく可能である。例えば、低分子量ポリオレフィンは、典型的には適する乳化剤と一緒に溶融して混合される。次いで必要な量の水を添加することにより乳濁液が得られる。
容易に入手しうる低分子量グラフトポリプロピレンの一例は、平均分子量が約9100の無水マレイン酸をグラフトしたホモポリプロピレンであるEpolene E43である。このグラフトポリプロピレンから調製した水性乳濁液は、それが主要な成分である場合にはガラス繊維サイズ剤の用途において有用である。しかしながら、グラフトポリプロピレンが低分子量であるために、そのような低分子量グラフトポリプロピレン配合物でサイジングしたガラス繊維で強化した複合材料は現在の用途の要求に合格するほど十分には強くないとされている。そのようなポリプロピレン複合材料の比較的弱い最終的な性質を増強するためには、製造過程の配合工程で固体状態の高分子量官能化ポリプロピレンを添加することが一般的に実施されるようになった。しかしながら、これらの弱い最終的な性質を補償するためには、固体の形で大量に添加しなければならない(例えば、マトリクス樹脂の2〜15質量%を添加しなければならない)。更に、配合工程中においては、添加された高分子量グラフトポリプロピレンは複合材料製品中に分散し、ごく一部だけが繊維表面に向けられるので、この一般的により高価なグラフト固体ポリプロピレン添加剤の最適な使用とはならない。
【0004】
そのような高分子量グラフトポリプロピレンの水性乳化は、それらの高い分子量、高い溶融粘度、低い溶融流量(MFR)又はメルトフローインデックス(MFI)、高い疎水性、及び比較的低い極性のために困難である。アイソタクチックの高分子量グラフトポリプロピレンの乳化は、それらの結晶化傾向が高いために一層困難である。従って、高分子量グラフトポリプロピレンの水性乳化を成功させるために配合物を誘導することは非常に困難である。
高分子量の官能化ポリオレフィンを乳化させる種々の技術が開示されてきた。例えば、仏国特許第2,588,263号には、水と不混和性である有機溶媒中に加熱しながらポリマーを溶解させることにより高分子量のアイソタクチックポリオレフィンを乳化する技術が記載されている。次いで混合物を希釈するために水を添加する。この方法は、抽出又は洗浄及び乾燥によるその後の溶媒除去を必要とする。追加の工程の負担の他に、有機炭化水素溶媒を使用するために化学者がポリオレフィンを乳化させることに関して安全上注意しなければならない。
米国特許第4,240,944号には、高分子量アイソタクチックグラフトポリプロピレンと低分子量非晶質グラフトポリプロピレンの混合物(質量比1:1〜1:4)を基剤及び界面活性剤とともに共乳化し、その後乳濁液を得るために水を添加することが記載されている。しかしながら、この方法においては、50%以下のアイソタクチック高分子量グラフトポリプロピレンしか乳濁液に添加できない。更に、かなり高濃度の低分子量非晶質グラフトポリプロピレンが、最終的には室温及び、特に高温用途において複合材料の性質に弊害をもたらしうるとされている。
【0005】
米国特許第5,242,969号及び同第5,389,440号には、高分子量ポリプロピレン水性乳濁液を形成する二工程法が記載されている。第一工程においては、高分子量グラフトポリプロピレンと十分な量の脂肪酸の流動化、溶融混合、及び溶融ブレンドを高剪断及び高温において押出機中で成就する。次いで混合物を冷却して粉砕する。第二工程においては、混合物を塩基及びその他の成分と圧力反応器中で一緒にする。この方法は、二工程を必要とするので高価であり、ポリプロピレン樹脂が2つの熱サイクルを経るのでポリプロピレンの構造が過剰に分解及び劣化するという点で不利である。ポリプロピレンの分解及び劣化は、形成される複合材料において機械的性質及び色の性能に影響を及ぼす。
米国特許第6,166,118号(及び英国特許願第232616A号)には、“希釈法”又は“加圧希釈法”とも呼ばれている“間接加圧”乳化法が記載されている。この方法においては、予備乳濁液濃縮物を形成するために撹拌機を具備する圧力反応器中で成分を加熱する。次いで内容物を希釈するために圧力を加えながら熱水(又は水蒸気)を圧力反応器にゆっくり添加する。しかしながら、水を添加すると反応器が冷却されるので、予備乳濁液濃縮物を再び加熱して、乳濁液を形成するのに十分な時間その高温に保持しなければならない。次いで混合物を冷却して水性乳濁液を形成する。この方法は、熱水(又は水蒸気)の取扱のための特別な装置又は設備を必要とし、水を添加した後圧力反応器の内容物を再び加熱する必要性のために時間がかかり、かつ乳化中に熱水(又は水蒸気)に圧力を加えなければならないという事実のために危険かもしれないという点で不利である。
それ故、先行技術の不利な点を克服するために、一工程の直接加圧法で高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤を水性乳化することが望ましい。ガラス繊維製造過程中に高分子量グラフトポリプロピレンをガラス繊維表面に塗布する効果的な方法を提供することも望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の重要な目的は、先行技術の不利な点を克服する高分子量官能化ポリオレフィンの乳化方法を提供することである。
10,000以上の分子量を有する官能化ポリオレフィンの水性乳濁液を提供することが本発明の別の目的である。
高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳化のために一工程直接加圧法を提供することが本発明の更に別の目的である。
安定したあまり変色しない高分子量官能化ポリプロピレン乳濁液配合物を提供することが本発明の更なる目的である。
ガラス繊維製造過程中のガラス繊維表面への直接塗布に適する高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳濁液を提供することが本発明の別の目的である。
ガラス繊維製造過程中に高分子量グラフトポリオレフィンをガラス繊維表面に直接付着させることが本発明の別の目的である。
高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液にアルキルフェノールを基剤とする界面活性剤が存在しないことは本発明の特徴である。
高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液に溶媒及び揮発性有機化合物が存在しないことは本発明の更に別の特徴である。
高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液がガラス繊維表面との効果的な直接相互作用を可能にすることは本発明の利点である。
高分子量乳濁液が複合材料製品の酸化及び変色を減少させうることは本発明の更なる利点である。
【0007】
高分子量官能性ポリオレフィン乳濁液が環境に優しいことは本発明の利点である。
複合材料の高い機械的性能を得るために、その後の配合工程で固体状の高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤がほとんど又は全く必要とされないことは本発明の更に別の利点である。
複合材料製品における高性能を成就するために必要とされるガラス繊維が少量化することは本発明の更なる利点である。
これら及びその他の目的、特徴、及び利点は、高分子量官能化ポリオレフィン水性乳濁液を製造する一工程直接法を提供することにより本発明により成就される。この一工程直接法においては、10,000以上の分子量の官能化ポリオレフィン、脂肪酸、塩基、界面活性剤、及び水を、水性乳濁液を形成するのに十分な時間、攪拌しながらポリオレフィンの乳化温度より高い温度に圧力反応器中で加熱する。この高分子量ポリオレフィン水性乳濁液は、サイズ剤組成物に添加してガラス繊維製造過程中にガラス繊維に直接添加させうる。
本発明の前述の及びその他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明を考慮することにより更に十分に明らかになろう。
本発明の利点は、特に添付図面も参照しながら以下の本発明の詳細な開示を考慮すると明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一工程直接加圧乳化方法で高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳化を提供して、得られる乳濁液を製造過程のサイジング工程中に直接、効果的に、かつ一様にガラス繊維に塗布しうることにより前述の先行技術の不利な点及び問題を解決する。“グラフト”及び“官能化”という用語は、本明細書においては相互に代替できるように使用されている。更に、“ポリオレフィン”及び“ポリプロピレン”という用語も、本明細書においては相互に代替できるように使用されている。
乳濁液の成分には、高分子量官能化ポリオレフィン、界面活性剤又は異なる界面活性剤の混合物、脂肪酸又は異なる脂肪酸の混合物、塩基、及び水が含まれる。官能化ポリオレフィンには、2乃至約6個の炭素原子を有するオレフィンのモノマーを基剤とするポリマーが含まれる。ポリオレフィンと呼ばれるこれらのモノマーを基剤とするポリマーの適する例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、及びポリヘキセンが含まれる。好ましいポリマーには、低、中、又は高密度のポリエチレンのホモ-及びコポリマー、並びに結晶質、半結晶質、非晶質、又はゴム状及び弾性のポリプロピレンのホモ-及びコポリマーが含まれる。
乳濁液に使用される官能化又はグラフトポリオレフィンには、反応性の化学的官能基が結合している前述のポリオレフィンが含まれる。反応性基の適する例には、限定するわけではないが、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸のような酸又は酸無水物、及びグリシジルアクリレート又はメタクリレートのようなオキシランが含まれる。固体状のカップリング剤として入手しうる高分子量無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの適する例には、限定するわけではないが、Polybond PB3200、Polybond PB3000、Polybond PB4000、Fusabond M613-05、Fusabond MD353D、Fusabond 411D、Exxcelor PO1020、Priex 20099、Priex 21099、Epolene 3015、Epolene 3003、及びOrevac CA100が含まれる。官能化ポリオレフィンカップリング剤は、一般的にはそれらの種類、分子量、メルトフローインデックス、官能化度(質量%で与えられる)、及び酸価で特性決定される。以下に示す表1は、種々の適する高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤の種々の種類、官能化度、酸価、及び分子量を示す。





















【0009】
【表1】

【0010】
無水マレイン酸グラフト度が0.5%程度に低く、酸価が5.75程度に低いグラフトポリプロピレンカップリング剤(例えば、表1中のPP8)、及び分子量が120,000程度に高いポリプロピレン(例えば、表1中のPP1)は、本明細書に記載した一工程直接加圧法を用いて首尾よく乳化した。しかしながら、無水マレイン酸グラフト度は、好ましくは0.5%より高く、分子量は好ましくは約100,000〜約120,000である。高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤は、乳化配合物において単独でも異なるカップリング剤との混合物としても使用しうる。乳濁液中の官能化ポリオレフィンの量は、典型的には総乾燥固体質量の52〜90質量%、好ましくは60〜80%、及び更に好ましくは65〜75%である。
乳濁液の第二の成分は、直鎖状又は分枝鎖状の固体又は液体状態の飽和又は不飽和アルキル酸又は脂肪酸である。適する脂肪酸には、酸、酸無水物、又はエステルを含むように変性された脂肪族化合物が含まれる。より良好な最終的な色性能を提供し、熱酸化に対してより安定であるから、飽和アルキル又は脂肪酸が好ましい。適する飽和脂肪酸の例には、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリン酸、及びベヘン酸、及び4〜36個、好ましくは8〜36個の炭素原子を含む脂肪酸が含まれる。不飽和脂肪酸の典型的な例には、オレイン酸、タル油脂肪酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、ラウロレイン酸、及びリノール酸が含まれる。脂肪酸は、ポリオレフィンを分解することなく高分子量ポリオレフィンの溶融粘度を低下させるので有利に使用される。更に、脂肪酸は、ガラス繊維製造中のサイズ剤塗布過程において潤滑剤として作用する。脂肪酸は、複合材料におけるガラス繊維の分散を改良し、マトリクス樹脂の冷却中に繊維及びマトリクス樹脂間に相溶性を提供するポリオレフィンと類似した構造を提供する。脂肪酸は中和度の変化を受けやすく、乳化配合系に必要とされるHLB(親水性−親液性平衡)値の変化を生じやすいので、それらはまた乳化剤として使用しうる。従って、脂肪酸は、単独で又はその他の乳化剤と組み合わせて種々の乳化系の乳化剤として有用である。典型的には、高分子量官能化ポリプロピレン乳濁液中に存在する脂肪酸の量は、総乾燥固体質量の5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%、更に一層好ましくは13〜17質量%である。
【0011】
水性乳濁液の第三の成分は、非イオン乳化剤又は界面活性剤又は非イオン乳化剤又は界面活性剤の混合物である。いずれの非イオン界面活性剤も水性乳濁液に使用するのに適するが、エトキシ化脂肪族アルキルアルコール、エトキシ化脂肪アルコール、エトキシ化脂肪族アルキル酸、エトキシ化脂肪酸、又はそれらのいずれかの組合せが望ましく使用される。そのような非イオン乳化剤の適する例には、限定するわけではないが、エトキシ化脂肪酸であるPegosperse 1500MS(HLB値14)、エトキシ化脂肪アルコールであるBrij 78(HLB値15.3)、エトキシ化アルキルアルコールであるBrij 35(HLB値16.9)、Lutensol ON60(HLB値12.5)が含まれる。
アルキル又は脂肪族連鎖中の炭素原子数は4乃至36であり、これらの化合物中のエトキシ化の長さは2〜50エトキシ単位の範囲であるが、3〜35エトキシ単位が望ましい。アルキル基連鎖中の炭素原子数は、一般的には4〜36である。アルキルフェノール又はエトキシ化ノニルフェノール化合物を基剤とする非イオン界面活性剤及び界面活性剤のようなその他の界面活性剤は、環境に優しくないし、熱的にあまり安定ではないので複合材料製品において黄変を引き起こしうるので、水性懸濁液中で使用するのは好ましくない。水性乳濁液中に存在する界面活性剤又は界面活性剤の混合物の量は、総乾燥固体質量の5〜20質量%、好ましくは8〜15質量%、更に好ましくは10〜13質量%である。
乳濁液に適するHLB値を提供するためには種々のHLB値を有する乳化剤の混合物を使用する。水性乳濁液中の界面活性剤又は乳化剤は長期間にわたる貯蔵安定性を提供し、微細な粒度の良好な乳濁液品質を保証するのに使用される。そのような乳化剤は加熱時に乳濁液の色を保持し、変色した成分を生成しない。
【0012】
水性乳濁液の第四の成分は塩基である。塩基は、有機でも、無機でも、有機及び無機塩基の組合せでもよい。塩基はいずれの公知の有機又は無機塩基でもよいが、適する例には、NaOH、KOH、及びCa(OH)2のようなアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、又は限定するわけではないが、2-ジメチルアミノ-1-エタノール(DMAE)、2-ジメチルアミノ-1-プロパノール(DMAP)、トリエチルアミン(TEA)、アンモニア(NH3)、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール(DMAMP)、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)のような有機アミンが含まれる。好ましくは、塩基は有機アミン又はアミンの組合せであり、それはカルボキシル官能基を中和するのに使用される。塩基は、乳濁液成分の酸官能基を中和するのに十分な量が水性乳濁液中に存在する。塩基は、水性乳濁液中に総乾燥固体質量の約1〜10質量%、好ましくは約3〜8質量%、更に一層好ましくは5〜7質量%存在しうる。
取扱が容易で、臭いが少なく、揮発性が低くて、塩基強度が高いという特質のために、アミノ基及びヒドロキシル基の両方を含むヒドロキシルアミンがもっとも望ましい塩基である。そのようなアミンは、安定な水性乳濁液を成就して水性乳濁液に改良された安定性を提供するのにより少量の使用で可能である。更に、そのようなアミンは(酸官能価の低い官能化オレフィンを含む)高分子量官能化ポリオレフィンを中和することができ、可溶化された系を提供し、高分子量ポリオレフィンの乳化を容易にする。更に、これらのアミンは、乾燥中に過剰のアミンが水性系から容易に除去されうる水との共沸混合物を形成しうる。その上、ヒドロキシルアミンは乾燥系に改良された耐水性を提供し、乾燥製品において望ましくない着色を引き起こさない。
【0013】
任意に、水性乳濁液は乳濁液の物理的特性(例えば、色及び安定性)及び塗布性能を改良するために1種以上の成分を含みうる。そのような成分には、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアの次亜リン酸塩が含まれる。適する例には、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び次亜リン酸ナトリウムが含まれ、それらは乳濁液の安定性及び色を改良するために使用されうる。水性乳濁液はまた、ヒンダードフェノール、ジアリールアミン、チオエーテルを基剤とする酸化防止剤、又は複合材料製品が分解するのを防いで最終的には良好な色としうる金属失活剤/酸化防止剤を含みうる。硫化亜鉛のような色増強剤又は硫化亜鉛顔料も少量使用しうる。乳濁液及び乳濁液から得られる最終塗膜の色を改良するために、相の乳化中に蛍光増白剤としても公知である蛍光成分も含まれうる。接着性及び表面張力のようなその他の特性を改良するためには、分子量範囲が30,000〜500,000のその他のオリゴマー又はポリマー成分(例えば、酸化ポリエチレン、低分子量ポリアミド、及びポリ(無水マレイン酸-alt-1-オクタデセン))が含まれうる。任意の成分は、乳濁液の総乾燥質量の0.01〜20%の範囲である。任意の成分は、単独でも相互の組合せでも使用しうる。
相の乳化中に任意の成分を含むことにより、それらは水性乳濁液中に分散し、一般的にはこれらの成分を沈降させうる比較的穏和な混合条件で実施されるサイズ剤の化学的混合中にこれらの任意成分を含む必要が回避される。そのような沈降はガラス繊維の製造中に中断を引き起こすか、ガラス繊維上に不十分な塗膜が形成されうる。更に、乳濁液が繊維表面上にサイズ剤として塗布される際にこれらの成分が水性乳濁液中に分散されているので、それらは塗膜が分解及び変色しないように保護しうる。
【0014】
高分子量官能化ポリオレフィン水性乳濁液を形成するためには、水性乳濁液の全ての成分(例えば、高分子量官能化ポリオレフィン、界面活性剤又は異なる界面活性剤の混合物、脂肪酸又は異なる脂肪酸の混合物、塩基、及び水)を高温高圧条件で使用しうる圧力反応器に添加する。高分子量官能化ポリオレフィンの乳化には、いずれの公知の従来の圧力反応器も使用するのに適する。乳化の典型的な圧力は、使用する特定のポリオレフィン、乳濁液の総乾燥含量、及び圧力容器の体積に依存するが6〜11バールである。乳濁液配合物の例及び乳化の結果を以下の表2に示す。













【0015】
【表2】



























【0016】
【表3】














【0017】
【表4】















【0018】
【表5】















【0019】
【表6】

【0020】
次いで水性乳濁液の成分を、高分子量ポリオレフィンを乳化するのに十分な時間攪拌しながら高圧下で高分子量官能化ポリオレフィンの融解温度より高い温度に加熱する。典型的には、成分を、例えばプロペラタイプの攪拌器又はアンカータイプの攪拌器、又は攪拌器の組合せで攪拌しながら、約30〜60分間高分子量官能化ポリオレフィンの融解温度より10〜20℃(49.9〜67.9°F)高い温度に加熱して水性乳濁液を形成する。その後得られた乳濁液を冷却する。もっとも望ましくは、冷却速度はできるだけゆっくりであり、1℃(33.8°F)/分より少しゆっくりであるのが好ましい。乳濁液温度が約95℃(203°F)に冷却されたら、その後の冷却は任意である。反応器中の水性乳濁液の固体含量は、一般的には10〜45質量%、好ましくは15〜40質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
本明細書に記載した一工程直接加圧法を用いると、微細な粒度及び乳白色の非常に安定した水性乳濁液が得られる。代表的な本発明の乳濁液に関する粒度の分析結果を図5A、5B、5C、及び5Dに示す。表3、4、及び5に記載した本発明の乳濁液E25、E13、E20及びE18に関する粒度分析を表す図5A〜5Dからわかるように、直径0.081〜0.2μmの粒度を有する微細な粒度及び良好な品質の水性乳濁液が形成される。
前述の従来の乳化法とは異なり、本発明の方法は、例えば全ての成分が一緒に反応容器に入れられ加熱される一工程直接加圧法である。(間接法のような)希釈工程の必要性がなく、熱水(又は水蒸気)を取り扱うための特別な装置を全く必要とせず、押出も粉砕も必要としない。
高分子量官能化ポリオレフィンの水性乳濁液が形成されれば、水性乳濁液は、例えば、床、自動車、金属、紙、織物の塗料の一成分、繊維(無機、合成、有機、又は天然)のサイズ剤の一成分、紙のカレンダー仕上げの潤滑剤、及び果物の塗料のような多くの用途に使用しうる。一用途においては、水性ポリオレフィン乳濁液を、製造過程中にガラス繊維の表面に直接付着させるサイズ剤配合物に添加する。水性乳濁液は当業者に公知のいずれかの手段によりガラス繊維に付着させうる。次いで、高分子量官能化ポリオレフィン水性乳濁液を含むサイズ剤を付着させたガラス繊維は、連続したストランド、チョップトストランド、織物、及び連続した、チョップト、織られた、又は織られていない繊維から製造されたマットのような幅広い形のポリオレフィンマトリクス樹脂を強化するのに使用されうる。
【0021】
サイジング工程中にガラス繊維に乳化ポリオレフィン乳濁液を塗布することにより、高分子量官能化ポリオレフィンは、直接、一様に、効果的にガラス繊維に付着される。そのような高分子量ポリオレフィン乳濁液を直接ガラス繊維表面に塗布することは、ガラス繊維及びマトリクス樹脂を相溶化及びカップリングするための高分子量グラフトポリオレフィンの最適な使用を提供し、その結果機械的性質が改良される。高分子量グラフトポリオレフィンがガラス繊維に直接付着される場合には、それがガラス繊維及び樹脂マトリクス間に強い界面相を創成することに関与し、ポリプロピレンマトリクスとの良好な相溶性を提供する。従って、高分子量グラフトポリオレフィン乳濁液は、ガラス繊維表面をより強く保護するばかりでなく、ガラス繊維(無機物質)のポリオレフィンマトリクス樹脂(有機物質)への接着性及び相溶性を改良する。更に、従来は配合工程中に固体状態で使用された高分子量グラフトポリオレフィンカップリング剤が配合工程前に繊維に付着されるので、その後の配合工程中に固体状態の非常に高分子量のグラフトポリオレフィンカップリング剤を添加する必要ほとんどない。
本発明を一般的に記載したが、単に説明の目的で提供する、特に指示がないかぎり全てを包括するつもりも限定するつもりもない以下に記載する特定の実施例を参照することにより更に理解することができる。
【実施例】
【0022】
以下の表3に示すサイズ剤組成物を調製し、ガラス繊維製造過程中にガラス繊維に塗布した。次いで湿った繊維をインラインで切断し、標準製造条件に従ってオーブン中で乾燥させた。乾燥したチョップトストランドを標準二軸スクリュー押出機内でマトリクスポリマー樹脂と配合した。次いで押し出された配合物をインラインで切断してペレットにした後、標準射出成形機を用いて成形して複合材料製品及び試験片を製造した。










【0023】
【表7】

【0024】
一実施例においては、本発明による高分子量官能化ポリオレフィン水性乳濁液を含むサイズ剤を塗布した後に乾燥させたチョップト繊維(平均の長さ4mm)30部を、メルトフローインデックス10〜12g/10分(236℃/2.16kg)及び1.2g/10分(236℃/2.16kg)のホモポリマーポリプロピレンマトリクス樹脂70部とWerner & Pfleiderer製のZSK30/2タイプの押出機で押出配合した。押出配合した配合物を、以下の表4に示すような種々の濃度の固体状態高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤とブレンドした。







【0025】
【表8】

【0026】
次いで押し出したペレットを、当業者に公知の標準射出成形技術を用いてDemag D80 machine(Demag Hamilton Plastics, Ltd.)で射出成形してISO成形片を形成し、それを機械的性質について試験した。ISO法527-4に従ってZwick製の万能材料試験機を用いて引張強さを測定し、結果をMPaの単位で報告した。衝撃試験は、Zwick製の試験機を用いて実施した。kJ/m2の単位で測定された、複合材料が耐えうる衝撃力の程度の尺度である耐衝撃性は、ノッチなし試験片についてはISO法179/1Dに従って、ノッチ付試験片(2mmのノッチをつけた)についてはISO法180に従って測定した。シャルピー衝撃強さもまた衝撃強さの尺度であり、kJ/m2の単位で抵抗として測定された。機械的試験の結果を表5に示す。






【0027】
【表9】

【0028】
次いで、配合工程中に種々の濃度の固体状態高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤を含む試料について引張強さの結果を比較する。表5に示される結果から、ずっと低分子量のグラフトポリプロピレンの水性乳濁液“ERef”を含むサイズ剤“SRef”をコーティングした強化ガラス繊維“FRef”を使用した対照(表5中の試料MRef)と比較して、本発明による高分子量グラフトポリプロピレンの水性乳濁液を含む塗料でサイジングした強化繊維を使用した複合材料(表5中の試料M1〜M9)は、機械的性質が有意に増大されていることが明らかである。更に、対照試料が許容しうる程度の機械的性質を得るためには配合工程中に固体状態で添加される高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤を約2%以上必要とするのに対し、本発明による試料(例えば、M1〜M9)は、配合工程中に固体状態で添加される高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤の濃度がずっと低くても最高レベルの機械的強度に達した。一般的には、強化繊維の直径が低下(即ち、“アスペクト比”と呼ばれる長さの直径に対する割合が増大)すると、より高い複合材料の性質が得られる。従って、試料M8(直径10μm)により示されるように、直径の小さい繊維はその他のより直径の大きい強化繊維と比較して複合材料の機械的性質は高い。しかしながら、表5からわかるように、より直径の大きい試料(例えば、直径17μmのM7)が対照試料MRef(直径14μm)より高い機械的性質を示した。従って、この機械的強度の改良は、高分子量グラフト水性乳濁液を含むサイズ剤組成物のためである。
【0029】
対照試料MRefと比較したM2、M5、及びM6のような本発明の試料に関する引張強さの結果は図1にも示されている。同様に、図2は、対照試料MRefと比較すると、M2、M5、及びM6のような本発明の試料は曲げ強さの性質が明らかに増大していることを示す。図3及び4は、それぞれシャルピーノッチなし耐衝撃性及びアイゾッドノッチ付耐衝撃性に関する比較を示す。図1〜4から、本発明による高分子量グラフトポリプロピレンの水性乳濁液を使用することにより複合材料の性能が有意に改良されることがわかる。また、配合工程中の固体状態の高分子量グラフトプロピレンカップリング剤の添加がより少量で高い機械的性質が得られるので、最初に高分子量官能化ポリプロピレンを水性相に乳化させ、それをガラス繊維の製造過程におけるサイジング中にガラス繊維に直接付着させることによりこれらのカップリング剤を使用することが最適である。
表3〜5及び図1〜4に示される結果から、ガラス繊維が化学的に結合してポリプロピレンを強化する配合工程中のカップリング剤の添加量が低下しても、水性乳濁液の形で高分子量グラフトポリプロピレンカップリング剤を使用することが複合材料の機械的性質を予期せぬことに非常に改良することが明らかである。
本出願の発明を、一般的に及び特定の実施態様に関して前記のように記載した。本発明は好ましい実施態様とされていることに関して記載したが、当業者により公知の幅広い代替は一般的な開示の範囲内に選択されうる。特許請求の範囲に列挙すること以外には、本発明は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による高分子量水性乳濁液及び対照試料を基剤とする複合材料製品の引張強さのグラフである。
【図2】本発明による高分子量水性乳濁液及び対照試料を基剤とする複合材料製品の曲げ強さのグラフである。
【図3】高分子量水性乳濁液及び対照試料を基剤とする複合材料製品のシャルピーノッチなし衝撃強さのグラフである。
【図4】本発明による高分子量水性乳濁液及び対照試料を基剤とする複合材料製品のアイゾッドノッチ付衝撃強さのグラフである。
【図5A】表2の乳濁液試料E25の平均粒度及び粒度分布のグラフである。
【図5B】表2の乳濁液試料E13の平均粒度及び粒度分布のグラフである。
【図5C】表2の乳濁液試料E20の平均粒度及び粒度分布のグラフである。
【図5D】表2の乳濁液試料E18の平均粒度及び粒度分布のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量ポリオレフィンの水性乳濁液を形成する一工程直接方法であって、
10,000以上の分子量を有するポリオレフィン、界面活性剤、脂肪酸、塩基、及び水を、水性ポリオレフィン乳濁液を形成するのに十分な時間、高圧下において攪拌しながら圧力反応容器中で前記ポリオレフィンの乳化温度より高い温度に加熱する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記時間が、30乃至60分である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記温度が、前記ポリオレフィンの乳化温度より10乃至20℃高い温度である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、1種以上の反応性官能基を含む官能化ポリオレフィンである請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン及びポリヘキセンからなる群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、約100,000乃至120,000の分子量を有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記反応性化学的官能基が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、グリシジルアクリレート又はメタクリレートからなる群から選択される請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪酸が、1種以上の飽和脂肪酸、1種以上の不飽和脂肪酸及びそれらの組合せからなる群から選択され、5乃至25質量%で存在する請求項4乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記飽和脂肪酸が、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びベヘン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記塩基が、有機塩基、無機塩基及びそれらの組合せからなる群から選択され、1乃至10質量%存在する請求項4乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記塩基が、NaOH、KOH、Ca(OH)2、2-ジメチルアミノ-1-エタノール、2-ジメチルアミノ-1-プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が、アミノ基及びヒドロキシル基の両方を含むヒドロキシルアミンである請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤が、エトキシ化アルキルアルコール及びエトキシ化アルキル酸からなる群から選択され、5乃至20質量%で存在する請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記圧力反応容器内の水性乳濁液の固体含量が、10乃至45質量%である請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の方法により形成された高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項16】
前記ポリオレフィンが、1種以上の反応性化学的官能基を含む官能化ポリオレフィンである請求項15記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項17】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン及びポリヘキセンからなる群から選択される請求項16記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項18】
前記反応性官能基が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、グリシジルアクリレート及びメタクリレートからなる群から選択される請求項16又は17記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項19】
前記脂肪酸が、5乃至25質量%で存在し、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項16乃至18のいずれかに記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項20】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びベヘン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される飽和脂肪酸である請求項19記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項21】
前記塩基が、1乃至10質量%で存在し、有機塩基、無機塩基及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項16乃至20のいずれかに記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項22】
前記塩基が、NaOH、KOH、Ca(OH)2、2-ジメチルアミノ-1-エタノール、2-ジメチルアミノ-1-プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項21記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項23】
前記界面活性剤が5乃至20質量%存在し、エトキシ化アルキルアルコール及びエトキシ化アルキル酸からなる群から選択される請求項16乃至22のいずれかに記載の高分子量官能化ポリオレフィン乳濁液。
【請求項24】
高分子量ポリオレフィンの水性乳濁液をガラス繊維に直接添加する方法であって、
(1) 10,000以上の分子量を有する官能化ポリオレフィン、界面活性剤、脂肪酸、塩基、及び水を反応容器に同時に添加し、水性乳濁液を形成するのに十分な時間同じ時間だけ高圧下において攪拌しながら加熱する一工程直接加圧方法により高分子量ポリオレフィンの水性乳濁液を形成する工程、
(2) 前記水性乳濁液をサイズ剤組成物に添加する工程、及び
(3) 前記ガラス繊維の製造中に前記サイズ剤組成物を前記ガラス繊維に直接塗布する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記ポリオレフィンが、1種以上の反応性化学的官能基を含む官能化ポリオレフィンである請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン及びポリヘキセンからなる群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記反応性化学的官能基が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、グリシジルアクリレート及びメタクリレートからなる群から選択される請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記脂肪酸が、5乃至25質量%で存在し、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項25乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びベヘン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される飽和脂肪酸である請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記塩基が、1乃至10質量%で存在し、有機塩基、無機塩基及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項25乃至29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記塩基が、NaOH、KOH、Ca(OH)2、2-ジメチルアミノ-1-エタノール、2-ジメチルアミノ-1-プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記界面活性剤が、5乃至20質量%で存在し、エトキシ化アルキルアルコール及びエトキシ化アルキル酸からなる群から選択される請求項25乃至31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記時間が、30乃至60分である請求項24乃至32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記温度が、前記官能化ポリオレフィン、界面活性剤、脂肪酸、塩基、及び水を、前記官能化ポリオレフィンの乳化温度より10乃至20℃高い温度に加熱する請求項24乃至33のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate


【公表番号】特表2006−502256(P2006−502256A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540791(P2004−540791)
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011061
【国際公開番号】WO2004/031246
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(303005492)オウェンス コーニング コンポジッツ エスピーアールエル (2)
【Fターム(参考)】