説明

高周波パルス変調装置及び高周波無線装置

【課題】変調状態によらずローカルリークを除去して変調信号への影響を低減できる高周波パルス変調装置及び高周波無線装置を提供する。
【解決手段】第1のコンパレータ130は、インパルス源110から入力した反転インパルス信号112を閾値として、高周波源120から入力したローカル信号121が閾値を超える区間だけ、高周波パルス列131を出力する。高周波パルス列131は、第1のBPF140に入力され、ここで直流成分等の低い周波数成分を除去した変調パルス信号が生成される。第1のコンパレータ130でディジタル信号に変換することで、高周波源120からのローカルリークを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波パルス変調装置及び高周波無線装置に関し、より詳しくは、UWB(Ultra Wideband)無線装置の送信機で使用されるインパルス信号で高周波信号(RF信号)を変調する高周波パルス変調装置及びこれを用いた高周波無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の高周波信号を得る方法には、ダイレクトコンバージョン方式のように、データ信号で高周波信号を直接変調する方式と、ヘテロダイン方式のように、低周波においてデータ信号で変調した後に必要な高周波信号に周波数変調する方式とが考えられる。両者を比較すると、回路規模、コストなどの観点から直接変調方式の方が好ましい。
【0003】
直接変調方式では、ローカル発振器から出力される搬送波が、データ発生器から出力されたデータに基づいて乗算器(ミキサ)によって変調され、高周波アンプ、高周波バンドパスフィルタ等を介して送信アンテナから送信される。
しかし、ミキサの出力ポートである高周波(RF)ポートと、ローカル発振器からローカル信号を入力するためのローカル信号ポートとの間で、アイソレーションを完全に行うことは難しく、ローカル発振器から出力される搬送波のローカル信号が高周波ポートに漏れ(ローカルリーク)、さらに高周波アンプ及び高周波バンドパスフィルタを伝わって送信アンテナから空中に放射されてしまうといった問題がある。
【0004】
高周波ポートとローカル信号ポートの間のアイソレーションは数十dB程度、特にミリ波帯、準ミリ波帯ではたかだか30dB程度であるため、高周波ポートにはローカルリーク信号があるレベルで定常的に出現する。
【0005】
例えば、変調方式にパルス変調を採用する場合、ローカルリーク信号によって、第1に、定常的に(パルスがない期間も)無変調キャリアが出現しているためパルスのオンオフ比が劣化し、第2に、非常に短いパルスによる広帯域変調時には、変調信号に比べてローカルリーク信号の線スペクトル電力が大きくなり、周波数スペクトルに係る規定条件を満足できない、といった問題が生じる。
【0006】
上記のようなローカルリークの問題を解決する手段として、例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。特許文献1では、図11に示すようなローカルリークのキャンセル回路が記載されている。ローカル発信器911とミキサ913との間に分配器915を介在させ、ローカル発信器911から出力される搬送波をミキサ913と位相・振幅調整器916に分配し、位相・振幅調整器916から出力される信号とミキサ913から出力される変調信号とを合成器920により合成してアンテナ914に送る構成となっている。位相・振幅調整期916から合成器920に出力される信号は、変調信号に重畳された搬送波をキャンセルする位相と振幅を有している。
【0007】
【特許文献1】特開2005−20288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているローカルリークのキャンセル回路では、最適なキャンセル量が変調信号の有無、信号レベルなどによって変化するため、パルス変調のような高速に状態が変化する方式では、キャンセル量の調整が追従できない。そのため、パルス信号がオンの時かオフの時かのいずれかに限定して、最適なキャンセル量が得られるよう調整せざるを得ないといった問題があった。例えば、リークレベルのモニタ・調整のしやすさなどの観点から、パルス信号がオフの時にキャンセル量が最適になるよう調整されることが多く、この場合にはパルス信号がオンの時のローカルリークが十分キャンセルされずに送信されてしまうといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、変調状態によらずローカルリークを除去して変調信号への影響を低減できる高周波パルス変調装置及び高周波無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高周波パルス変調装置の第1の態様は、非反転インパルス信号とこれを反転させた反転インパルス信号とを一対に出力するインパルス源と、高周波のローカル信号を生成する高周波源と、前記高周波源から出力されるローカル信号と前記インパルス源から出力される反転インパルス信号とを入力し、前記反転インパルス信号を閾値として前記ローカル信号を比較して高周波パルス列を出力する第1のコンパレータと、前記高周波パルス列を入力して前記反転インパルス信号の周波数以上の帯域の周波数成分を通過させて変調パルス信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の高周波パルス変調装置の第2の態様は、前記インパルス源は、ハイレベル側出力が前記ローカル信号の振幅より大きく、ローレベル側出力が前記振幅より小さくなるよう調整された前記反転インパルス信号を出力することを特徴とする。
【0012】
本発明の高周波パルス変調装置の第3の態様は、前記高周波源と前記第1のコンパレータとの間に設けられ、前記インパルス源から前記非反転インパルス信号を入力して開閉制御される高周波スイッチを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の高周波パルス変調装置の第4の態様は、前記第1のバンドパスフィルタから出力される前記変調パルス信号と前記インパルス源から出力される前記反転インパルス信号とを入力し、前記反転インパルス信号を閾値として前記変調パルス信号をもとに高周波パルス列を生成して出力する第2のコンパレータと、前記第2のコンパレータの出力信号を入力して前記反転インパルス信号の周波数以上の帯域の周波数成分を通過させて変調パルス信号を出力する第2のバンドパスフィルタとを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の高周波パルス変調装置の第5の態様は、前記インパルス源から出力される前記反転インパルス信号の位相を調整する位相調整部を備え、前記第2のコンパレータは、前記位相調整部で位相調整された反転インパルス信号を入力することを特徴とする。
【0015】
本発明の高周波パルス変調装置の第6の態様は、前記第1のバンドパスフィルタまたは前記第2のバンドパスフィルタから前記変調パルス信号を入力し、該変調パルス信号の中心周波数を所定の整数倍に逓倍する逓倍器を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の高周波無線装置の態様は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つに記載の高周波パルス変調装置と、前記高周波パルス変調装置で生成された変調パルス信号を送信する送信アンテナと、前記変調パルス信号と略等しい中心周波数を有する電波を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナで受信された受信信号と前記高周波パルス変調装置に備えられた高周波源から入力したローカル信号とを混合してベースバンド受信信号を出力するミキサと、前記ベースバンド受信信号を入力して所定帯域の周波数成分を通過させる第3のバンドパスフィルタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンパレータを用いてローカル信号をディジタルパルスに変換し、これから変調パルス信号を生成することで、変調状態によらずローカルリークを除去して変調パルス信号への影響を低減できる高周波パルス変調装置及び高周波無線装置を提供することができる。ローカル信号のリークを防止することで、送信信号である変調パルス信号の放射電力が制限されるのを回避でき、放射電力の効率化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好ましい実施の形態における高周波パルス変調装置及び高周波無線装置について、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る高周波パルス変調装置を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の高周波パルス変調装置100の構成を示すブロック図である。高周波パルス変調装置100は、インパルス源110と高周波源120と第1のコンパレータ130、及び第1のバンドパスフィルタ(BPF)140とで構成されている。
【0020】
インパルス源110は、所定周期の非反転インパルス信号とこれを反転させた反転インパルス信号とを一対に出力するもので、例えば図2に示すような非反転インパルス信号111と反転インパルス信号112を所定の周期で出力している。同図において、横軸は時間tを表し、縦軸は電圧Vを表している(後述の図3〜6も同様)。非反転インパルス信号111は、ローレベル側出力111aとハイレベル側出力111bとで形成され、ローレベル側出力111aのときパルス信号がオフ、ハイレベル側出力111bのときパルス信号がオンとなっている。
【0021】
他方、反転インパルス信号112は非反転インパルス信号111を反転させた信号であり、非反転インパルス信号111がローレベル側出力111aのときハイレベル側出力112aとなり、非反転インパルス信号111がハイレベル側出力111bのときローレベル側出力112bとなる。インパルス源110として、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いることができる。
高周波源120は、例えば図3に示すような高周波のローカル信号121を出力する。
【0022】
第1のコンパレータ130は、2つの信号を入力して一方の入力信号を閾値とし、他方の入力信号がこの閾値を超えるときのみ所定の出力信号を出力する。すなわち、一方の入力信号をS1とし他方の入力信号をS2とするとき、(S2−S1)がゼロより大きいときのみ、所定のレベルの出力信号を出力する。本実施形態では、一方の入力信号として、インパルス源110から出力される2つのインパルス信号のうち反転インパルス信号を入力し、他方の入力信号として、高周波源120から出力されるローカル信号121を入力している。
【0023】
第1のコンパレータ130は、インパルス源110から図2(b)に示した反転インパルス信号112を入力し、高周波源120から図3に示したローカル信号121を入力すると、反転インパルス信号112とローカル信号121とを比較する(図4を参照)。そして、ローカル信号121が閾値の反転インパルス信号112を超える区間だけ、ローカル信号121に対応して図5に示すような高周波パルス列131が出力される。
【0024】
インパルス源110は、図4に示すように、反転インパルス信号112のハイレベル側出力112aがローカル信号121の振幅より大きくなり、かつローレベル側出力112bがローカル信号121の振幅より小さくなるよう反転インパルス信号112を生成するのがよい。これにより、第1のコンパレータ130において、反転インパルス信号112のハイレベル側出力112aが閾値に用いられるときはコンパレータ130からの出力はゼロとなり、ローレベル側出力112bが閾値に用いられるときは、ローカル信号121が閾値を超える期間に限り所定のレベルの信号が出力され、その結果図5に示すような高周波パルス列131が出力される。
【0025】
図5に示した高周波パルス列131は、反転インパルス信号112のローレベル側出力112bの時間帯だけローカル信号121と等しい周期でディジタルに出力されるパルス131aで形成されている。パルス131aの振幅は、第1のコンパレータ130によって調整可能である。
【0026】
第1のBPF140は、第1のコンパレータ130から出力される高周波パルス列131を入力し、反転インパルス信号112の周波数以上の帯域の周波数成分を通過させる特性を有しており、これにより直流成分等の低い周波数成分を除去している。図5に示した高周波パルス列131を入力したときの第1のBPF140の出力信号の一例を図6に示す。出力信号141は、高周波パルス列131から直流成分等の低周波成分を除去することで、ローカル信号121と同様の高周波信号が得られる。第1のBPF140の出力信号が、本実施形態の高周波パルス変調装置100の出力である変調パルス信号となる(以下では、変調パルス信号141と記す)。
【0027】
上記の通り、本実施形態では、反転インパルス信号112のローレベル側出力112bの期間だけ、BPF140から変調パルス信号141が出力される。これは、搬送波であるローカル信号121を用いて非反転インパルス信号111に対応する高周波パルス信号を形成しているのと同等になっている。しかし、本実施形態では第1のコンパレータ130で一旦ディジタル信号の高周波パルス列131を生成し、これをもとに高周波パルス信号を形成しており、高周波源120から入力したローカル信号を直接搬送波に用いていない。これにより、高周波源120からのローカルリークを防止することが可能となる。本実施形態によれば、変調状態(インパルス源110で生成される非反転インパルス信号111の状態等)によらず、ローカルリークを除去することができる。
【0028】
従来、非反転インパルス信号111を、ローカル信号121を搬送波として送信する場合、高周波対応のスイッチを開閉制御することで、高周波源120からのローカル信号121の出力を制御して送信していた。本実施形態では、高価な高周波対応のスイッチに代えて、安価なコンパレータ130を用いて高周波パルス変調装置100を実現している。コンパレータは、例えば周期が10ps〜100ps程度の極めて高速のものが低コストで実現されている。
【0029】
また本実施形態では、スイッチに代えてコンパレータを用いることで、ディジタルデバイスだけで高周波パルス変調装置を構成することができる。これにより、信頼性の高い装置を提供することができる。
さらに、コンパレータを用いた場合、これに入力される反転インパルス信号及びローカル信号の電力を極力小さくすることができ、これにより周辺に配置されている回路への影響を十分小さくすることが可能となる。
【0030】
本発明の第2の実施の形態に係る高周波パルス変調装置を、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態の高周波パルス変調装置200の構成を示すブロック図である。本実施形態の高周波パルス変調装置200は、高周波源120と第1のコンパレータ130との間の信号線の途中に、高周波スイッチ250を追加している。高周波スイッチ250は、インパルス源110から非反転インパルス信号111を入力し、これを用いて開閉制御を行うよう構成されている。すなわち、高周波スイッチ250は、非反転インパルス信号111がハイレベル側出力111bのときに閉となり、ローレベル側出力111aのときに開となる。
【0031】
高周波スイッチ250を非反転インパルス信号112に同期させて開閉させることにより、ローカル信号121を搬送波として非反転インパルス信号111で変調されたパルス信号が第1のコンパレータ130に入力される。第1のコンパレータ130では、非反転インパルス信号111と正確に同期された反転インパルス信号112を用いて、第1の実施形態と同様にして高周波パルス列131が生成される。さらに、第1のBPF140では、高周波パルス列131を入力して波形整形することで、変調パルス信号が形成される。
【0032】
第1の実施形態の高周波パルス変調装置100では、高周波源120から第1のコンパレータ130にローカル信号121が常時入力されていた。そのため、ローカル信号121が第1のコンパレータ130にリークして変調パルス信号141に重畳されてしまうおそれがあった。これに対し、本実施形態では、スイッチ250を用いて非反転パルス信号111がオフの時にはローカル信号121が第1のコンパレータ130に供給されないように構成していることから、ローカルリークを十分に除去することが可能となる。
また、本実施形態でも第1のコンパレータ130を用いていることから、これに入力する反転インパルス信号112及びローカル信号121の電力を極力小さくすることができ、これにより周辺に配置されている回路への影響を十分小さくすることが可能となっている。
【0033】
本発明の第3の実施の形態に係る高周波パルス変調装置を、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の高周波パルス変調装置300の構成を示すブロック図である。高周波パルス変調装置300は、第1のBPF140の出力側に第1のコンパレータ130とは別の第2のコンパレータ330を追加しており、第2のコンパレータ330の出力側には第1のBPF140とは別の第2のBPF340を追加している。
【0034】
第2のコンパレータ330は、第1のコンパレータ130と同様に、インパルス源110から反転インパルス信号112を入力して閾値に用いており、これと第1のBPF140から出力される変調パルス信号141とを比較させることで、変調パルス信号141以外のローカルリークによるノイズ成分を除去することができる。第2のコンパレータ330からは、図5に示したのと同様の高周波パルス列331が出力され、これを第2のBPF340に入力する。第2のBPF340の出力信号が、本実施形態の高周波パルス変調装置300の出力である変調パルス信号341となる。
【0035】
なお、第1のコンパレータ130に入力される反転インパルス信号と第2のコンパレータ330に入力される反転インパルス信号との位相差が問題となる場合には、インパルス源110と第2のコンパレータ330との間に位相調整部350を設け、インパルス源110から入力される反転インパルス信号112の位相を位相調整部350で調整した後に、第2のコンパレータ330に入力させるように構成するのがよい。また、本実施形態では、第2のコンパレータ330と第2のBPF340とをそれぞれ1つずつ備えるように構成したが、第2のコンパレータ330と第2のBPF340とを1組として、2組以上縦続して備えるようにすることも可能である。さらに、図7に示した第2の実施形態例のように、高周波源120と第1のコンパレータ130との間にインパルス源110からの非反転インパルス信号111によって開閉する高周波スイッチ250を介在させてもよい。
【0036】
本発明の第4の実施の形態に係る高周波パルス変調装置を、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態の高周波パルス変調装置400の構成を示すブロック図である。高周波パルス変調装置400は、BPF140の出力側に逓倍器460を追加した構成としている。
【0037】
逓倍器460は、第1のBPF140から出力される変調パルス信号141の周波数に所定の整数倍を掛けた高周波の出力信号に変換することができる。逓倍器460を追加することで、高周波源120には、使用周波数より低周波のローカル信号を生成するものを用いることができる。高周波源120として、より低周波のものを用いるほうがコストを低減できるといった効果が得られる。
【0038】
なお、本第4の実施形態例では、第1の実施形態例に係る高周波パルス変調装置100におけるBPF140の出力側に逓倍器460を追加した構成としたが、第2又は第3の実施形態例に係る高周波パルス変調装置200、300におけるBPF140又は340の出力側に逓倍器460を追加した構成としてもよい。
【0039】
本発明の高周波パルス変調装置を用いた高周波無線装置を、図10を参照して説明する。なお、図10は本発明の第1の実施形態例に係る高周波パルス変調装置100を用いた高周波無線通信装置500を示したものであるが、本発明の第2乃至第4の実施形態に係る高周波パルス変調装置200、300、400を用いた場合も同様である。
【0040】
高周波無線装置500は、送信部510と受信部520とから構成されている。送信部510は、高周波パルス変調装置100と高周波パルス変調装置100で生成された変調パルス信号141を送信する送信用アンテナ511とを備えており、受信部520は、受信回路521、信号復調用BPF522、ミキサ523、増幅器524、及び受信アンテナ525とを備えている。受信アンテナ525は、高周波パルス変調装置100で生成された変調パルス信号の中心周波数と略等しい中心周波数を有する電波を受信するものである。
【0041】
受信アンテナ525で受信された受信信号は、増幅器524で増幅された後ミキサ523で高周波源120から入力したローカル信号121と混合されてベースバンドにダウンコンバートされる。ミキサ523でダウンコンバートされた信号は信号復調用BPF522に入力され、ここでインパルス源110で生成される非反転インパルス信号111に対応する周波数の信号に復調される。信号復調用BPF522は、非反転インパルス信号111の周波数に対応する信号を通過するよう構成されている。
【0042】
このように構成された高周波無線装置500では、高周波源120で生成されるローカル信号121の電力の大部分をミキサ523に出力させ、ここで受信信号のダウンコンバートに使用させるように構成することができる。高周波源120で生成されるローカル信号121は第1のコンパレータ130にも出力されるが、第1のコンパレータ130に入力されるローカル信号121の電力は十分低くすることができ、ミキサ523においてダウンコンバートに効率的に用いることができる。
【0043】
また、第1のコンパレータ130に供給されるローカル信号121の電力を低くすることにより、送信用アンテナ511から送信される変調パルス信号141がローカルリークの影響を受けるのを低減することが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る高周波パルス変調装置及び高周波無線装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における高周波パルス変調装置及び高周波無線装置の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る高周波パルス変調装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態のインパルス源で生成される非反転インパルス信号及び反転インパルス信号の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態の高周波源で生成されるローカル信号の一例を示す図である。
【図4】第1のコンパレータで行われる信号比較の一例を示す図である。
【図5】第1のコンパレータから出力される高周波パルス列の一例を示す図である。
【図6】高周波パルス列を入力したときの第1のBPFの出力信号の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る高周波パルス変調装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る高周波パルス変調装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る高周波パルス変調装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る高周波無線装置の構成を示すブロック図である。
【図11】従来のローカルリークをキャンセルするためのキャンセル回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
100、200、300、400 高周波パルス変調装置
110 インパルス源
120 高周波源
130 第1のコンパレータ
140 第1のBPF
250 高周波スイッチ
330 第2のコンパレータ
340 第2のBPF
350 位相調整部
460 逓倍器
500 高周波無線装置
510 送信部
511 送信用アンテナ
520 受信部
521 受信回路
522 信号復調用BPF
523 ミキサ
524 増幅器
525 受信アンテナ
911 ローカル発信器
913 ミキサ
914 アンテナ
915 分配器
916 位相・振幅調整器
917 レベル検出器
918 比較器
919 レベル調整器
920 合成器
921 第1逓倍器
922 第2逓倍器
925 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非反転インパルス信号とこれを反転させた反転インパルス信号とを一対に出力するインパルス源と、
高周波のローカル信号を生成する高周波源と、
前記高周波源から出力されるローカル信号と前記インパルス源から出力される反転インパルス信号とを入力し、前記反転インパルス信号を閾値として前記ローカル信号を比較して高周波パルス列を出力する第1のコンパレータと、
前記高周波パルス列を入力して前記反転インパルス信号の周波数以上の帯域の周波数成分を通過させて変調パルス信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、を備える
ことを特徴とする高周波パルス変調装置。
【請求項2】
前記インパルス源は、ハイレベル側出力が前記ローカル信号の振幅より大きく、ローレベル側出力が前記振幅より小さくなるよう調整された前記反転インパルス信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波パルス変調装置。
【請求項3】
前記高周波源と前記第1のコンパレータとの間に設けられ、前記インパルス源から前記非反転インパルス信号を入力して開閉制御される高周波スイッチを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波パルス変調装置。
【請求項4】
前記第1のバンドパスフィルタから出力される前記変調パルス信号と前記インパルス源から出力される前記反転インパルス信号とを入力し、前記反転インパルス信号を閾値として前記変調パルス信号をもとに高周波パルス列を生成して出力する第2のコンパレータと、
前記第2のコンパレータの出力信号を入力して前記反転インパルス信号の周波数以上の帯域の周波数成分を通過させて変調パルス信号を出力する第2のバンドパスフィルタと、
を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高周波パルス変調装置。
【請求項5】
前記インパルス源から出力される前記反転インパルス信号の位相を調整する位相調整部を備え、
前記第2のコンパレータは、前記位相調整部で位相調整された反転インパルス信号を入力する
ことを特徴とする請求項4に記載の高周波パルス変調装置。
【請求項6】
前記第1のバンドパスフィルタまたは前記第2のバンドパスフィルタから前記変調パルス信号を入力し、該変調パルス信号の中心周波数を所定の整数倍に逓倍する逓倍器を備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の高周波パルス変調装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の高周波パルス変調装置と、
前記高周波パルス変調装置で生成された変調パルス信号を送信する送信アンテナと、
前記変調パルス信号と略等しい中心周波数を有する電波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信された受信信号と前記高周波パルス変調装置に備えられた高周波源から入力したローカル信号とを混合してベースバンド受信信号を出力するミキサと、
前記ベースバンド受信信号を入力して所定帯域の周波数成分を通過させる第3のバンドパスフィルタと、を備える
ことを特徴とする高周波無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−5085(P2009−5085A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164045(P2007−164045)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】