説明

高周波誘導加熱方法およびその装置

【課題】 縦長の加熱対象ワークを一連の作業工程において設定される許容時間内に均一に加熱することができる高周波誘導加熱方法およびその装置を提供する。
【解決手段】
螺旋状の高周波誘導加熱コイル1を把持するテーブル2a、2bと、
高周波誘導加熱コイル1の中央位置においてワーク3を載置するワーク載置手段4と、
テーブル2a、2bを高周波誘導加熱コイル1の長手方向に移動させる駆動手段5a、5bと、
ワークの温度を検出する温度検出手段6a1と、
選択されたプロファイルデータに基づき、高周波電源および駆動手段5a、5bを制御し、高周波誘導加熱コイル1の加熱量を制御する制御手段と、
、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波誘導加熱方法およびその装置に関し、特に縦長の被加熱物を高周波誘導加熱する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二つの部品を接合させる方法として、外側となる部品を加熱膨張させ、内側となる部品を挿入し、冷却後締め付けにより固着状態にする焼きばめという方法がある。この焼きばめにより精度良く接合させるためには、外側となる部品を均一に加熱する必要がある。
【0003】
図9は、従来の高周波誘導加熱装置において、縦長の加熱対象ワークの中心を螺旋状の高周波誘導加熱コイルの中心と一致させて載置し、PID制御により誘導加熱した場合の加熱対象ワークの温度変化を示す図である。図において、縦軸は温度θ、横軸は時間T、θmaxは上限目標温度、θminは下限目標温度、また、a5、b5、c5およびa6、b6、c6は加熱対象ワークの温度変化を示す曲線で、a5,a6はワーク上部の温度変化、b5,b6 はワーク中央部の温度変化、c5,c6はワーク下部の温度変化である。
【0004】
従来の高周波誘導加熱装置においては、加熱対象ワークの中心を、螺旋状の高周波誘導加熱コイルの中心と一致させて載置し、ワーク下部の温度を基準として、PID制御により高周波出力(電流、電圧、周波数)を制御して誘導加熱し、ワーク温度(ワークの上部の温度およびワーク下部の温度)が上限目標温度θmax、下限目標温度θminの範囲内に収束するように調整していた。
しかしながら、加熱対象ワークが縦長形状の場合には、ワーク下部で加熱された熱量がワーク上部に溜まるため、ワークの下部とワークの上部とに温度差ができ(図中、a5、b5、c5)、a5に示すようにワーク上部の温度が過度に上昇し上限目標温度θmaxを越えてしまう場合があるという問題点があった。
また、温度上昇曲線を緩やかに上昇させた場合には(図中、a6、b6、c6)、ワーク温度が上限目標温度θmax、下限目標温度θminの範囲内に収束するまでに時間がかかり、一連の作業工程において設定される許容時間を越えてしまうという問題点もあった。
【0005】
被加熱物を均一に加熱するものとして、特許文献1に記載の高周波誘導加熱方法があった。この高周波誘導加熱方法は、被加熱物の周りに配設した高周波誘導加熱コイルの通電により生じる高周波誘導電流によりその被加熱物を高周波誘導加熱するに際して、その被加熱物の表面温度を2箇所または3箇所以上の位置において放射温度計により計測し、その各計測箇所における計測値の差異が小さくなる方向に高周波誘導加熱コイルを被加熱物に対して相対的に移動させるようにしている(例えば、図1〜図3参照)。
【0006】
また、被加熱物の部位によらず一定の温度になるように誘導加熱するものとして、特許文献2に記載の金属材の誘導加熱方法があった。この金属材の誘導加熱方法は、温度測定工程で測定された誘導加熱前の金属材の表面の温度分布の測定値および温度設定工程で予め設定された誘導加熱した後の金属材の目標温度と、金属材の形状および物性値に基づいた伝熱モデルシミュレーションとによって、交流電源の周波数を決定するようにしている(例えば、図5〜図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−228278号公報
【特許文献2】特開2008−159572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は、高周波誘導加熱コイルを被加熱物に対して相対的に移動させる方法であるが、比較的大型の被加熱物を高周波誘導電流により均一に熱処理あるいは接合する場合の加熱方法であって、縦長の加熱対象ワークにおいては被加熱物の温度を複数個所において計測するのは困難であるという問題点があった。
【0009】
また、特許文献2は、移動する金属材に対向して配設された電磁コイルを交流電源によって励磁して、金属材を誘導加熱する金属材の誘導加熱方法において、鋼板等の金属板や金属ストリップなどの被加熱物の移動にしたがって、温度分布の測定値および予め設定された温度を基にして、時間的に連続または断続して交流電源の周波数を決定するものであって、単品の縦長の加熱対象ワークの加熱においては、高周波出力(電流、電圧、周波数)を制御しても、均一に加熱させるのは困難であるという問題点があった。
【0010】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、縦長の加熱対象ワークを一連の作業工程において設定される許容時間内に均一に加熱することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る高周波誘導加熱装置は、
螺旋状の高周波誘導加熱コイルと、
この高周波誘導加熱コイルを設置するテーブルと、
前記高周波誘導加熱コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記高周波誘導加熱コイルの中央位置においてワークを載置するワーク載置手段と、
前記高周波誘導加熱コイルの長手方向に前記高周波誘導加熱コイルと前記ワークとを相対移動させる移動手段と、
前記ワークの温度を検出する温度検出手段と、
時間を計測する時間計測手段と、
ワーク対応の複数のプロファイルデータを記憶する記憶手段と、
複数のプロファイルデータから使用するプロファイルデータを選択する選択手段と、
この選択されたプロファイルデータに基づき、前記高周波電源および前記移動手段を制御し、前記高周波誘導加熱コイルの上部よりワークが出る量および移動速度を調整する制御手段と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、縦長の加熱対象ワークを一連の作業工程において設定される許容時間内に均一に加熱することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る高周波誘導加熱装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係るモデルワークの例である。
【図3】実施の形態1に係るモデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。
【図4】実施の形態1に係るモデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るモデルワークを誘導加熱して作成したデータ例である。
【図6】実施の形態1に係るモデルワークを誘導加熱して作成したプロファイルデータ例である。
【図7】実施の形態2に係るモデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。
【図8】実施の形態3に係る高周波誘導加熱装置の構成を示す図である。
【図9】従来の高周波誘導加熱装置において、螺旋状の高周波誘導加熱コイルの中央位置に、縦長の加熱対象ワークを載置し、PID制御により誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明に係る高周波誘導加熱装置の好適な実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る高周波誘導加熱装置の構成を示す図である。図において、1は螺旋状の高周波誘導加熱コイル、2aは高周波誘導加熱コイル1を設置するテーブル、3は高周波誘導加熱コイル1に高周波電力を供給する高周波電源、4は加熱対象となる縦長のワーク、5aは高周波誘導加熱コイル1の中央位置にワーク4を載置するワーク載置手段としてのワーク台、6aはワーク台5aを上下移動する上下移動手段、7aはワーク台5aに設置されワーク4の温度を検出する温度検出手段、8は複数のワーク対応のプロファイルデータを記憶する記憶手段と、複数のプロファイルデータから使用するプロファイルデータを選択する選択手段と、を有し、選択されたプロファイルデータに基づき、PID制御により高周波電源3の高周波出力(電流、電圧、周波数)を制御するとともに、上下移動手段6aを駆動する制御手段である。
【0016】
ここで、プロファイルデータは、ワークを過熱してワークの温度を目標温度範囲内に収束する条件として、高周波出力(電流、電圧、周波数)、移動時間、移動量、移動速度、などの制御データから構成される。
また、上述では、ワーク対応で高周波誘導加熱コイル1の中央位置にワーク4を載置できるワーク台として説明したが、ワーク台を共通部とワーク取付け治具部とに分けても良い。
【0017】
図2はモデルワークの例である。モデルワークには上部から下部の複数個所に等間隔に温度検出手段(7b1〜7bm)を取り付ける。
【0018】
図3は、モデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。図において、縦軸は温度θおよびワーク高さH、横軸は時間T、θmaxは上限目標温度、θminは下限目標温度、taはワーク台5aを移動する移動開始時、haは移動量、vaは移動速度である。また、a1はワーク上部の温度変化、b1はワーク中央部の温度変化、c1はワーク下部の温度変化である。モデルワークには複数個所に温度検出手段7b1〜7bmを取り付けて温度を検出しているが、図では3箇所として示した。
予め選択しておいた温度検出手段の温度(通常はワーク上部の温度)が下限目標温度θminを越えた後、移動開始時taにおいて、移動速度vaでワーク台5aを移動量haまで移動させることにより、モデルワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外すようにする。
【0019】
図4は、モデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。図において、縦軸は温度θおよびワーク高さH、横軸は時間T、θmaxは上限目標温度、θminは下限目標温度、ta,tbはワーク台5aを移動する移動開始時、ha,hbは移動量、va,vbは移動速度である。また、a2はワーク上部の温度変化、b2はワーク中央部の温度変化、c2はワーク下部の温度変化である。モデルワークには複数個所に温度検出手段7b1〜7bmを取り付けて温度を検出しているが、図では3箇所として示した。
予め選択しておいた温度検出手段の温度(通常はワーク上部の温度)が下限目標温度θminを越えた後、移動開始時taにおいて、移動速度vaでワーク台5aを移動量haまで移動させることにより、モデルワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外し、さらに移動開始時tbにおいて、移動速度vbでワーク台5aを移動量hbまで移動させることにより、モデルワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外す量を調整する。
【0020】
図5は、モデルワークを誘導加熱して作成したデータ例である。図において、11は、データNO、ワーク(モデルワーク)の材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件(目標温度、目標温度範囲内に収束するまでの許容時間)、高周波出力(電流、電圧、周波数)など基本データ、ワーク台5aを移動する移動量、移動速度などの運転状況データである。
また、12は、検出データであり、ワーク温度データθ1n〜θmnはモデルワークに取り付けた温度検出手段(7b1〜7bm)で検出された温度データ、ワーク温度データθw1〜θwnは温度検出手段7aで検出された温度データである。
また、ta,tbはワーク台5aを移動する移動開始時、ha,hbは移動量であり、va,vbは移動速度である。
【0021】
図1〜図5により、モデルワークを誘導加熱してデータを作成する例について説明する。
(1)モデルワークを対応するワーク台5aに載置する。(このとき、モデルワークは高周波誘導加熱コイル1の中央位置に載置される。)
(2)ワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)から、高周波電源3の高周波出力(電流、電圧、周波数)を決定し、温度検出手段7aで検出したワーク下部の温度を目安として、PID制御により高周波出力(電流、電圧、周波数)を制御して誘導加熱する。
(3)モデルワークに取り付けた温度検出手段7b1〜7bmの内、予め選択しておいた温度検出手段の温度が下限目標温度θminを越えた後、移動開始時時点taで、上下移動手段6を制御してワーク台5を上方へ移動する(移動量ha、移動速度va)。これにより、モデルワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外すことができ、ワーク上部の温度上昇を抑えることができる。
(4)モデルワーク温度が目標温度範囲内に収束する時間が短い場合には、許容時間まで保温することになるが、この場合には再度ワーク台5aを上方へ移動し(移動量hb、移動速度vb)、ワーク上部の温度上昇を抑える。
【0022】
上記データの作成においては、ワーク台移動について、移動タイミング(選択する温度検出手段を変更)、移動量、移動速度など、条件を変え、データを採取する。
【0023】
図6はモデルワークを誘導加熱して作成したプロファイルデータ例で、ワーク全体温度を目標温度内に入れるようにした運転状況を記憶したものである。
図において、21は、データNO、ワーク(モデルワーク)の材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件(目標温度、目標温度範囲内に収束するまでの許容時間)、高周波出力(電流、電圧、周波数)など基本データ、ワーク台5aを移動する移動量ha,hb、移動速度va,vbなどの運転状況データである。
また、22は、検出データであり、ワーク温度データθw1〜θwnは温度検出手段7aで検出された温度データである。
【0024】
実施の形態2.
図7は、モデルワークを誘導加熱した場合の温度変化を示す図である。図において、縦軸は温度θおよびワーク高さH、横軸は時間T、θmaxは上限目標温度、θminは下限目標温度、ta,tbは移動開始時、ha,hbは移動量、va,vbは移動速度である。また、a3、a4はワーク上部の温度変化、c3、c4はワーク下部の温度変化である。
実線で示した曲線a3、c3は常温ワークの温度変化、破線で示した曲線a4、c4は、例えば、途中まで加熱したワークなどのように、加熱前の温度が異なるワーク(以下、高温ワークと記す)の温度変化である。
高温ワークを再加熱する場合、加熱前のワーク温度が常温のときのプロファイルデータを適用して加熱すると、目標の温度範囲に収束しない。これは、加熱中のワークにはワーク上下に温度差があるが、途中まで加熱したワークはワーク全体が均一な温度分布となっているため温度センサーの測定温度が同じでもワークに蓄積された熱量が異なるからである。
このため、モデルワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)が同じであっても、高温ワークの場合には、加熱条件が異なるため高周波出力(電流、電圧、周波数)を変えてデータを作成する。加熱前の温度に適したプロファイルデータを作成することにより、加熱前の温度によってプロファイルデータを切り替えることができ、加熱前の温度が異なるワークでも目標の温度範囲内に均一に加熱することが可能となる。
【0025】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る高周波誘導加熱装置の構成を示す図である。図において、1は螺旋状の高周波誘導加熱コイル、2bは高周波誘導加熱コイル1を設置するテーブル、3は高周波誘導加熱コイル1に高周波電力を供給する高周波電源、4は加熱対象となる縦長のワーク、5bは高周波誘導加熱コイル1の中央位置にワーク4を載置するワーク載置手段としてのワーク台、6bはテーブル2bを上下移動する上下移動手段、7aはワーク台5bに設置されワーク4の温度を検出する温度検出手段、8は複数のワーク対応のプロファイルデータを記憶する記憶手段と、複数のプロファイルデータから使用するプロファイルデータを選択する選択手段と、を有し、選択されたプロファイルデータに基づき、PID制御により高周波電源3の高周波出力(電流、電圧、周波数)を制御するとともに、上下移動手段6を駆動する制御手段である。
【0026】
実施の形態1においては、ワーク台5aを移動してワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外すようにした例を示したが、実施の形態3においては高周波誘導加熱コイル1を設置するテーブル2bを移動してワークを高周波誘導加熱コイル1の上部より外すようにしたものである。
実施の形態3においては、ta,tbは移動開始時、テーブル2bを移動速度va,vbでワーク台5bを移動量ha,hbまで移動させる。ただし、ワーク台5aの移動方向とテーブル2bの移動方向とは、逆方向となる。
【0027】
上述では、ワーク高さの変化について、ワーク載置手段を上下移動する例、螺旋状の高周波誘導加熱コイルを移動させる例を示したが、ワーク載置手段と螺旋状の高周波誘導加熱コイルとの両方を移動させるようにしても良い。
【0028】
実施の形態4.
この発明の高周波誘導加熱方法について説明する。
(1)図1または図8の構成の高周波誘導加熱装置で加熱する加熱対象となるワークのモデルワークを複数準備する。(加熱条件の異なるデータを検出するため)
(2)電流、ワーク高さ変更時点、ワーク移動量、ワーク移動時間など変化させ、複数の温度データを検出する。
(3)目標の温度範囲内に収束したモデルワークを高温ワークとして、再度、電流、ワーク高さ変更時点、ワーク移動量、ワーク移動時間など変化させ、複数の温度データを検出する。
(4)上記データから、ワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件に適したプロファイルデータを作成する。
(5)加熱対象となるワークの加熱に際して、ワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件に適したプロファイルデータを選択する。
(6)加熱対象となるワークをワーク載置手段に載置し、選択したプロファイルデータに基づき加熱する。
【0029】
縦長の加熱対象ワークを一連の作業工程において設定される許容時間内に均一に加熱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明に係る高周波誘導加熱装置は、縦長の加熱対象ワークを一連の作業工程における許容時間内に均一に加熱させる場合に有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 螺旋状の高周波誘導加熱コイル
2a、2b 高周波誘導加熱コイル1を設置するテーブル
3 高周波誘導加熱コイル1に高周波電力を供給する高周波電源
4 加熱対象となる縦長のワーク
5a、5b 高周波誘導加熱コイル1の中央位置にワーク4を載置するワーク載置手段としてのワーク台
6a ワーク台5aを上下移動する上下移動手段
6b テーブル2bを上下移動する上下移動手段、
7a ワーク台5a、5bに設置されワーク4の温度を検出する温度検出手段
7b1〜7bm モデルワークの複数個所に取り付け温度を検出する温度検出手段
8 制御手段
a1、a2、a3、a4、a5、a6 ワーク上部の温度変化
b1、b2、b5、b6 ワーク中央部の温度変化
c1、c2、c3、c4、c5、c6 ワーク下部の温度変化
θmax 上限目標温度
θmin 下限目標温度
ta,tb 移動開始時
ha,hb 移動量
va,vb 移動速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の高周波誘導加熱コイルと、
この高周波誘導加熱コイルを把持する2個以上のテーブルと、
前記高周波誘導加熱コイルの中央位置においてワークを載置するワーク載置手段と、
前記2個以上のテーブルを高周波誘導加熱コイルの長手方向に移動させる駆動手段と、
前記ワークの温度を検出する温度検出手段と、
時間を計測する時間計測手段と、
ワーク対応の複数のプロファイルデータを記憶する記憶手段と、
複数のプロファイルデータから使用するプロファイルデータを選択する選択手段と、
この選択されたプロファイルデータに基づき、前記高周波電源および前記移動手段を制御し、前記高周波誘導加熱コイルの上部よりワークが出る量および移動速度を調整する制御手段と、
を備えたことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項2】
前記駆動手段により、2個以上の前記テーブルを前記高周波誘導加熱コイルの長手方向に移動させることにより、
前記高周波誘導加熱コイルの巻き密度を可変させることを特徴とする請求項1記載の高周波誘導加熱装置。
【請求項3】
前記ワークの温度を検出する温度検出手段を、2個以上の前記テーブルの近傍に取り付けたことを特徴とする請求項1ないし請求項に記載の高周波誘導加熱装置。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶するワーク対応の複数のプロファイルデータは、
データNO、ワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件(目標温度、目標温度範囲内に収束するまでの許容時間)、高周波出力(電流、電圧、周波数)など基本データと、
前記テーブルを移動させる移動速度、テーブル高さなどの運転状況データと、
前記テーブルを移動させる移動開始時間を含む温度データと、
を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の高周波誘導加熱装置。
【請求項5】
高周波誘導加熱コイルの中央位置に加熱対象ワークを載置する段階、
予めモデルワークによる温度上昇状態を測定し作成したワーク対応の複数のプロファイルデータから、ワークの材質、形状(長さ、外径、厚さ)、加熱条件(目標温度、目標温度範囲内に収束するまでの許容時間)、高周波出力(電流、電圧、周波数)などが加熱対象ワークに該当するプロファイルデータを選択する段階、
選択されたプロファイルデータの温度データに基づき、前記高周波誘導加熱コイルを把持する2個以上のテーブルのテーブル高さを調整する段階、
により所定のサイクルタイム内にワーク全体温度を目標温度内に入れるように加熱する高周波誘導加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−109040(P2012−109040A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254844(P2010−254844)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】