説明

高圧放電ランプ点灯装置、高圧放電ランプ装置、投射型画像表示装置及び高圧放電ランプ点灯方法

【課題】輝度の低下によって決まる寿命特性を改善し、寿命期間にわたる色再現や明るさの微妙な変化などに対する安定性の維持を実現できる高圧放電ランプ点灯装置を提供する。
【解決手段】内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく変化させる周波数制御手段とを備える高圧放電ランプ点灯装置であって、前記周波数制御手段は、前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく、340Hzと85Hzの間で1周期ごとに変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧放電ランプの点灯装置、高圧放電ランプ装置、投射型画像表示装置及び高圧放電ランプ点灯方法に関し、特に、交流電流を流して高圧放電ランプを点灯させる高圧放電ランプ点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧放電ランプの中でも、高圧水銀ランプは、液晶プロジェクタなどの投射型画像表示装置の光源として用いられており、近年注目されている。
一般に高圧水銀ランプは、ハロゲン物質、希ガス及び水銀が封入された発光管内に一対の電極が対向して配設されている。高圧放電ランプ点灯装置はこの高圧放電ランプに所定の高圧パルス電圧を印加して電極間を絶縁破壊した後、所定の固定周期の交流電流を流して点灯させている。
【0003】
なお、希ガスは、始動補助用ガスとしてアルゴンガス単体が選択されている。
このような高圧水銀ランプのランプ寿命は、2000時間から3000時間程度となっている。
【特許文献1】特開平4−303592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶プロジェクタは、従来、学校の教室や会議室において主に使用されていたが、近年では、一般家庭にも普及しつつある。
液晶プロジェクターにはその光源として短い電極間に放電を起こさせて発生する光、つまり点光源が使用されている。このため画像の安定性は放電の安定性によって左右される。このために放電ランプの放電の安定性を確保するために従来から次のようなランプの構成および、点灯方法が使用されてきた。
【0005】
現在使用されている液晶プロジェクター用の高圧水銀ランプは一般に、封入物として水銀の他にハロゲン物質が封入されている。これは、封入したハロゲン物質のハロゲンサイクル作用を利用することで、点灯中に電極の材料であるタングステンが蒸発することにより発生するランプの黒化を防止するためである。このハロゲンサイクル作用はランプの黒化の防止には非常に効果的であるが、同時に、この作用により電極先端へ移送されたタングステンが堆積し電極に突起を形成する。この突起の成長は供給する交流電流の周波数を変えることで制御できることが特開2001−312997号、特開2003−338394号に開示されている。この方法では、適度な突起を形成することで電極間距離を短くし点光源にすることで、集光効率を向上させ、高輝度化を実現しつつ、しかもその輝度の安定が図られる。
【0006】
そして、近年、液晶プロジェクターの使用範囲がテレビ画面そして大画面を実現できるホームシアターなどのディスプレイとして使用されるに及んでいる。このような使用用途に対しては、より明るい画面の実現、つまり一層の高輝度化の実現が望まれている。
そこで一層の高輝度化を実現するべく、上記した電極の突起形成による電極間距離の短縮化はもちろんだが、これに加えて単純に一対の電極をさらに接近させ、電極間距離の短縮化を図ることが有効だと考えられる。しかし、その場合、電極の先端部の温度が過度に上昇することで、電極の材料であるタングステンの飛散の激しさが増し、上記したような方法では突起成長の制御を十分に行えないことがわかった。つまり、電極の突起形成による電極間距離の短縮化が困難であることがわかった。
【0007】
また、このような問題に加えて、次のような問題があった。
すなわち、学校の教室や会議室において主に使用されていたプロジェクターは、静止画が多く、その使用時間もせいぜい一日数時間の使用である。これに対して、テレビ表示あるいはホームシアターとして使用する場合には、動画表示が中心であり、しかも連続使用される。このため従来の使用とは比較にならない程の長時間の使用が前提となる。さらにテレビ画像やホームシアターで表示される画像は色再現や明るさの微妙な変化などの要求がコンピュータ画像に比べて厳しくなる。このためランプに対しては長時間にわたる安定性が求められる。この結果、従来学校の教室や会議室において主に使用されてきた液晶プロジェクタの寿命、2000時間から3000時間では不充分であり、従来ランプの寿命の数倍の寿命時間が求められている。しかもこの長期にわたる寿命期間中に極めて安定した色再現や明るさが求められるに至っている。
【0008】
しかしながら、これら従来の点灯方法をテレビ画面そして大画面を実現できるホームシアターなどのディスプレイとして使用したところ上記した長寿命(例えば6000時間)や、安定した色再現や明るさを得ることができなかった。この原因を解析した結果、次のことが明らかになった。ランプの電極先端は駆動の初期の時期に突起の成長が顕著に生じるが、その後の2000時間から3000時間の時期には突起の成長よりも減退がゆるやかに進み、電極間隔が徐々に拡大する。このため放電領域が拡大し、光学装置での輝度が低下していく。従来のランプの点灯方法では、放電電圧を検出し、供給する交流電流の周波数を変えることで制御を行なっているが、この過程では放電電圧の変化はゆるやかであり、この制御方法が有効に作用しない。また、ランプは駆動時間の経過とともに電気特性がおだやかに変化していくために、突起の成長と縮小を制御する最適な条件も変化していく。このような理由から、ランプの駆動初期から2000時間あるいは3000時間までの時間帯において、同じ駆動周波数条件で制御する制御方法ではランプ使用開始時の電極形状を十分に維持することが困難であった。
【0009】
さらに、表示される画像の色再現や明るさの微妙な変化などに対する安定性がある。先に示したように、テレビ画面そして大画面を実現できるホームシアターなどのディスプレイでは、長時間にわたる安定性が要求される。この課題に対する分析の結果、安定性を維持するには、電極先端の形状を維持することにあることが明らかになった。光源の発光の中心は、ランプの電極間に位置している。プロジェクターの明るさ、色再現は発光中心の大きさで左右されるし、その位置もまた光学系の光軸との関係において重要である。この結果、電極先端の形状を維持していれば、画像の色再現や明るさの微妙な変化などに対する安定性が維持できることになる。
【0010】
本発明は、一層の高輝度化を実現しつつも、輝度の低下によって決まる寿命特性を改善し、寿命期間にわたる色再現や明るさの微妙な変化などに対する安定性の維持を実現できる高圧放電ランプ点灯装置、高圧放電ランプ装置、投射型画像表示装置および高圧放電ランプ点灯方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく変化させる周波数制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、「突起部」とは、高圧放電ランプの製造工程、特に製造工程のエージング中、および完成品の点灯初期(点灯経過時間100時間以内)に形成されたものを示す。また「点灯経過時間とともに変化する動作データ」とは、高圧放電ランプの電圧値、電流値、光学装置における輝度、電極間の距離(アーク長)及び発光管の温度(特に点灯中高温となる発光管上部の温度)などの、高圧放電ランプの点灯時間が経過するに伴って変化する測定可能な動作データのことである。
【0013】
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を一定期間、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続ける制御を行うことを特徴とする。
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく連続的に変化させる変化期間と、前記周波数を固定させる固定期間とを交互に繰り返す制御を行うことを特徴とする。
【0014】
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を少なくとも2つ以上の異なる値に断続的に切り替える制御を行うことを特徴とする。
さらに、前記周波数制御手段は、前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に常時変化させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、前記交流電流の周波数を、規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続ける制御を行う高圧水銀ランプ周波数制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、前記交流電流の周波数を予め定められ規則に従って連続的に変化させる変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを交互に繰り返す制御を行う周波数制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、前記交流電流の周波数を、予め定められた規則に従って常時変化させる周波数制御手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を、前記一定期間中、連続的に変化させることを特徴とする。
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を、前記一定期間中、少なくとも2つ以上の値に断続的に切り替えて変化させることを特徴とする。
また、前記一定期間中には、前記周波数が連続的に変化する変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記周波数制御手段は、前記周波数を、予め定められた最大周波数と最小周波数との間で変化させ、前記最小周波数は70Hz以上であることを特徴とする。
また、前記発光管内には、さらにクリプトン85が封入されていることを特徴とする。
また、本発明に係る高圧放電ランプ装置は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプと、この高圧水銀ランプを点灯させるための前記高圧放電ランプ点灯装置とを備えていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る投射型画像表示装置は、前記高圧放電ランプ装置を備えたことを特徴とする。
本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく変化させることを特徴とする。
【0021】
また、前記周波数を、一定期間、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続けることを特徴とする。
また、前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく連続的に変化する変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを交互に繰り返すことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記周波数を少なくとも2つ以上の異なる値に断続的に切り替えることを特徴とする。
また、前記周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に常時変化させることを特徴とする。
また、本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、前記交流電流の周波数を、規則的に、または不規則的に一定期間変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、または断続的に続けることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、前記交流電流の周波数を予め定められ規則に従って連続的に変化させる変化期間と、前記周波数を固定した固定期間とを交互に繰り返すことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法は、内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、前記交流電流の周波数を予め定められた規則に従って常時変化させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法において、前記発光管内には、さらにクリプトン85が封入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高輝度化を実現しつつも、輝度の低下によって決まる寿命特性を改善し、寿命期間にわたる色再現や明るさの微妙な変化などに対する安定性の維持を実現できる高圧放電ランプ点灯装置、高圧放電ランプ装置、投射型画像表示装置および高圧放電ランプ点灯方法を提供することが可能となる。
また、定常点灯での電極先端の突起形状変化に起因する輝度の変化が抑制されて従来のランプでは達成できなかった寿命を実現することが可能となる。従って、寿命はこれ以外の要因、例えばランプ外管の白濁による光透過率の低下、あるいはランプ外管の変形による光透過率の低下により制限されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
1.高圧水銀ランプの構成
高圧放電ランプの一例としての高圧水銀ランプの構成について説明する。
図1は、定格電力130Wの高圧水銀ランプ100(以下、単に「ランプ」という。)の概略構成を示す図である。
【0028】
同図に示すように、発光管101は、その外囲器の構成材料が石英ガラス製であり、発光部101aと当該発光部101aの両端に設けられた封止部101b,101cとを備えている。
発光部101aは略回転楕円体形状をしており、その内部の放電空間(発光空間)108内には、発光物質である水銀109、少なくともキセノン(Xe)からなる希ガスと、及びヨウ素(I)、臭素(Br)などのハロゲン物質が封入されている。
【0029】
なお、希ガスとしてキセノンに加えて、後述するようにクリプトン85(Kr)を封入することが好ましい。もちろん、ここにアルゴンが封入されていてもよい。しかし、後述するようにキセノンを封入した場合、ブレークダウン電圧が上昇する傾向にあり、この場合においてアルゴン単体が始動補助用ガスとして機能することは困難であると考えられる。
【0030】
また、発光部101aの内部には一対のタングステン(W)製の電極102,103が互いに略対向して配置されている。
上記水銀109の封入量は、発光管101の内容積あたり150〜650mg/cm3の範囲に、希ガスのランプ冷却時の封入圧力は、0.1MPa〜1MPaの範囲にそれぞれ設定されている。
【0031】
上記ハロゲン物質は、点灯時の高温により電極102,103から蒸発したタングステンを電極102,103に戻すという、いわゆるハロゲンサイクル作用を行なう機能を有している。上記作用を効果的に機能させるためには、臭素の封入量は1×10-10〜1×10-4mol/cm3の範囲に設定することが好ましい、より好ましい範囲は1×10-9mol/cm3〜1×10-5mol/cm3である。
【0032】
電極102及び103の先端部同士の間隔、即ち電極間距離Deは、0.3〜2.0mmの範囲に設定されている。なお、本実施の形態の電極102,103では、製品完成時において、その先端部にある程度の突起124,134が形成されているので、上記電極間距離Deとは、突起124,134の先端同士の間隔を示す。
電極102,103(102a,103a)は、モリブデン箔104,105を介して、外部モリブデンリード線106,107と電気的に接続されており、この外部モリブデンリード線106,107は、封止部101b,101cの端面から発光管101外部に導出されている。
2.ランプユニットの構成
図2は、ランプユニット(高圧水銀ランプ装置)200の構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【0033】
ランプユニット200は、ランプ100、当該ランプ100を点灯させる点灯装置(図示しない)、当該ランプ100から放射される光を反射するリフレクター(反射材)としての凹面反射鏡203を備えている。
発光管101(図1参照)の片方の端部には口金201が装着されており、ランプ100はスペーサ202を介して凹面反射鏡203に取り付けられている。この取り付けは、発光管101の長手方向の中心軸と凹面反射鏡の光軸とが略平行となり、かつランプ100の放電アークの位置が凹面反射鏡203の焦点位置と略一致するように調整して行なわれる。
【0034】
ランプ100の口金201側のリード線107(図1参照)には端子204を介して電力が供給される。他方のリード線106には、凹面反射鏡203に穿設された貫通孔206を通過し、外側に引き出されたリード線205を介して電力が供給される。
3.点灯装置の構成
図3は、上記ランプ100を点灯させる点灯装置300の構成を示すブロック図である。
【0035】
同図に示すように点灯装置300は、DC電源302、DC/DCコンバータ304、DC/ACインバータ306、高圧発生器308、制御部310、電流検出器312、電圧検出器314、プログラマブル発振器316から構成される。
DC電源302は、例えば、整流回路を含んでおり、家庭用の交流100Vから直流電圧を生成する。
【0036】
DC/DCコンバータ304は、所定の大きさの直流をDC/ACインバータ306に供給する。
DC/ACインバータ306は、制御部310から送出された制御信号に基づいて、所定の周波数の矩形波交流電流を生成して高圧発生器308に送る。
高圧発生器308は、例えばトランスを含んでおり、高電圧を発生させてランプ100に印加する。
【0037】
制御部310は、DC/DCコンバータ304、DC/ACインバータ306等を統括的に制御する。
電流検出器312はランプ100の電流を検出し、電圧検出器314はランプ100の電圧を検出する。
プログラマブル発振器316は、所定のプログラムに基づいて、所定周波数の矩形波交流を発生させる。制御部310は、この波形を参照して、DC/ACインバータ306に制御信号を送出する。
【0038】
上記プログラムの設定値を変更することにより、矩形波交流電流の周波数を所望のパターンで変化させることが可能である。すなわち本実施の形態では、制御部310とプログラマブル発振器316とを含む構成が、交流電流の周波数を変化させる周波数制御手段に該当することとなる。
図示しないランプ100の点灯スイッチがonに切り替えられると、点灯装置300はランプ100に高圧パルスを印加する。そして、ランプ100の電極間が絶縁破壊して当該電極間にアーク放電電流が流れ出すと、電流検出器312が制御部310に検知信号を送り、制御部310内の点灯判別回路が「点灯開始」を判断する。
【0039】
「点灯開始」後、制御部310は、電圧が上昇して定格電力に到達するまでは定電流制御を行う。そして、電圧が所定値に到達した後には定電力制御に移行する。すなわち、制御部310は電流検出器312により検出された電流値と、電圧検出器314により検出された電圧値との積を、当該制御部310の内部メモリに格納された電力基準値と比較し、定電力となるようにDC/DCコンバータ304の出力電流を制御する。
【0040】
なお、制御部310には、点灯装置300外部に設けられた制御ユニット402(図8参照)と通信する為のスイッチが接続されている。
4.本願発明に至った経緯
キセノンは、同じ希ガスであるアルゴンと比べて沸点が高いため、液化させた状態で封入し易く、封入圧を高く設定することができる。
【0041】
そこで、本発明者らは、発光管101内のキセノンを高封入圧化したところ、安定点灯時の電圧値(ランプ電圧)をかなり上昇させることができるとわかった。一例として、キセノンを数気圧(アルゴンを用いた場合には為し得なかった値である。)封入すると、アルゴンの場合と比べて点灯時の電圧値を約10%以上も上昇させることができた。
ランプ100は定電力制御によって点灯されるので、このように安定点灯時の電圧値を上昇させることにより、逆にその電流値(ランプ電流)を低下させることが可能となる。電流値が下がれば点灯時の電極102,103の温度も下がるため、単純に一対の電極102,103を接近させて電極間距離を一層短縮化したとしても、電極102,103の材料であるタングステンの飛散を従来のようにアルゴン単体が封入されているものに比して抑えることができると考えられる。
【0042】
しかし、これに従来の突起成長の制御方法を適用しただけでは、電極102,103の先端に形成される突起の成長を十分に制御できないことがわかった。つまり、一対の電極102,103を接近させて電極間距離を短縮させることができたとしても、電極102,103の突起形成による電極間距離の短縮化が困難になるという問題が顕著に現れることがわかった。その原因の詳細については不明であるが、これは上記したとおりキセノンを高封入圧化して電極102,103の温度を下げられているのは平均的に温度を下げられているだけであって、電極間距離の一層の短縮化によって特に電極102,103の先端部という局所的な部分の温度はかなり過度に上昇し、電極102,103の材料であるタングステンの飛散の激しさは増しているためであると考えられる。
5.本実施の形態に係る点灯方法
そこで、本発明者らは、キセノンを封入した高圧水銀ランプにおいて当該高圧水銀ランプを点灯させる際の交流電流の周波数に対して特定の制御を行うことにより、前記問題を解決できることを見出した。以下、その詳細について説明する。
【0043】
図4は、本実施の形態に係るランプの点灯装置が生成する矩形波交流電流の一例を示し、上部のグラフは矩形波交流電流の時間的な変化を示し、下部のグラフは上部のグラフに対応しており上記矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す。
本実施の形態では、ランプの定常点灯中に、矩形波交流電流の周波数を、340Hz、255Hz、170Hz、128Hz、85Hzの各周波数を、矩形波の1周期毎に階段的に切り換える。
【0044】
切り替える周波数の中の最大の周波数である340Hzから、最小の周波数である85Hzまで周波数を段階的に小さくすると、再び周波数を340Hzまで段階的に大きくし、この周波数の切り替えを反復させる。
図4に示すように、周波数の切り替えを繰り返す周期(サイクル)を可変周期と称することとする。点灯中、可変周期中の周波数の切り替えが常時反復されることとなる。なお、この可変周期は1周期約50.0msである。
【0045】
この本発明に係るランプの点灯方法を使用して、次のような点灯試験を行なった。
すなわち、ランプ100の輝度維持率とランプ電圧の経時的な変化を調査する点灯試験を行なった。当試験は、定格電力130Wのランプ100を高圧水銀ランプ装置200の取り付けた状態で、ランプの定常点灯中に流す矩形波電流の周波数を図4に示すものとした。
【0046】
図5に、この試験結果のグラフを示す。同図においては比較の便宜のため従来の170Hz周波数固定方式のグラフも示している。本試験では各周波数とも5本ずつランプを使用し、5本分の平均値をグラフに描いている。
図5のグラフにおいて、輝度維持率は点灯初期における輝度を100%としたときの相対値を表したものである。この輝度は、ANSIlm測定(アンシルーメン測定:光学系から投影された画面照度をスクリーン上で定められた9点で測定し、その平均照度から光束を算出した値で評価する。)に基づいて求めた。また、図5のグラフは片対数グラフであり、横軸の累積点灯時間を対数的に表している。片対数を使用しているのは、点灯初期段階における動的な変化を把握しやすくするためである。 図5(a)のグラフに示すように、本実施の形態に係る可変方式の点灯方法は、従来の周波数固定方式のような寿命初期の段階の輝度の上昇はなく、点灯開始から100時間までは略一定の輝度となっている。一般に、ランプにおいては寿命中輝度が一定であることが要請されているところ、上記可変方式によれば従来より寿命中の輝度を安定することができた。
【0047】
そして、寿命中後期の段階においては、従来よりなだらかに輝度が減少しており、6000時間以上という長寿命が実現できたことがわかる。
このように、本発明の点灯方法において寿命を長くすることができたのは、上述の堆積と蒸発のバランスを保つことにより、ランプ使用開始の初期状態における電極102,103の先端の突起124,134の形状を、従来より長時間に亘って維持できたためと考えられる。
【0048】
なお、従来の周波数固定方式の点灯方法では、寿命初期段階の点灯開始後数十時間後において、電極102,103の突起124,134が過度に成長し、電極間距離が過度に短くなった。図5(b)のグラフにおいて電圧値が低下(電流値は上昇)しているのは電極間距離短縮化の表れである。すなわち、従来の点灯方法では、電極間距離の極端な短縮化によって電極102,103の先端部の温度が過度に上昇し、電極材料であるタングステンが大量に飛散したものと考えられる。そして、大量飛散により電極102,103先端の突起124,134が早期に、いわば磨り減ったのである。図5(b)のグラフにおいて、電圧値が低下した後の上昇に転じた傾きが、周波数可変方式と比べて大きいのは、突起124,134がすぐに後退して電極間が離間していることの表れである。
【0049】
図6,図7は、上記した点灯試験におけるそれぞれ輝度推移と電圧推移の結果を示す表である。
(変化させる周波数について)
(1)本実施の形態においては、周波数を340Hzと85Hzの間で直接変化させるのでなく、340Hzと85Hzの周波数の間には、255Hz、170Hz、128Hzの3つの周波数があり、340Hz、255Hz、170Hz、128Hz、85Hzと階段的に変化させるようにしている(図4参照)。これは、点灯回路の特性上、周波数を急激に変化させると、矩形波が歪んでしまうことがあるからである。このように周波数を段階的に変化させることで矩形波のひずみを抑制することが可能である。
【0050】
(2)本実施の形態においては、固定周波数で最も寿命が長くなった170Hzの周波数を挟むようにして、340Hzと85Hzの間で周波数を変化させている。固定周波数の中の寿命面で最適な170Hzを挟んで周波数を変化させれば、前述の堆積と蒸発のバランスを従来より保つことができ、確実にランプの寿命を長くすることができると考えられる。ここでいう、「寿命面で最適」とは、寿命初期に実用上問題のない光束が得られることに加えて、光束維持率が長時間低下しにくいということを意味している。
【0051】
ランプの定常点灯中の矩形波交流電流の周波数を如何なるパターンで変化させればよいかは、ランプの各種仕様(発光管容積、管内封入物質の組成、電極間距離等)によって変わり、実験から好適なパターンを決めることができる。
(3)変化させる周波数の下限について
ランプ100を定常点灯駆動させる場合の最小周波数は、数Hzから駆動可能である。しかしながら、現在商用周波数として使用されている50Hzあるいは60Hzで駆動させた場合には、照明装置の点滅とプロジェクター表示画面の点滅が位相の変化と共に同期し、あたかも表示画面が点滅しているような状況となる。このような不具合を避けるためには、最小周波数として商用周波数との干渉を避けるために60Hz以上が求められる。実験によれば、10Hzずらした場合には、このような点滅が目立たないほどに軽減された。従って、現在商用周波数として使用されている最大周波数へのマージンを考察すると70Hz以上が安全な周波数として選択できる。なお、この周波数において、電極先端の突起が成長していく事も確認している。
【0052】
(4)変化させる周波数の上限について
130Wランプ100を130Wで駆動した場合に固定周波数で300Hz、400Hz、500Hz、550Hzの各周波数において定常駆動が可能であることを確認している。他の電力条件についても実験を行ったが、固定周波数300Hz〜500Hzであれば、最大周波数として使用可能である。ランプの固有のバラツキを考慮しても、定常駆動が可能な最大の駆動周波数は、300Hz〜500Hzの範囲内にある。またこの時にランプの電極突起についても評価した。ランプの電極突起はこの周波数で成長することはなく、減少傾向も見られる。このことは、ランプの放電電圧からも確認している。すなわち、この周波数は電極先端に発生する突起の成長が最も少なく、もしくは電極間距離が増大する駆動周波数である。
【0053】
(5)変化させる最大の周波数は、最小の周波数の3倍以上であることが好ましい。最大と最小の周波数にこの程度の差を設けると、電極間距離を適正に維持しやすいと考えられるからである。
(6)本実施の形態においては、周波数を340Hz、170Hz、85Hzの3つの周波数を切り替えて変化させているが、切り替える周波数が2つのみであっても構わない。その場合、電極間距離を従来より適正に維持する期間を長くするためには、上記2つの周波数の内の大きい方の周波数を、寿命初期段階に電極の先端が成長する周波数に設定し、かつ、小さい方の周波数を、寿命初期段階に電極の先端が後退する周波数に設定することが好ましい。
【0054】
ところで、キセノンを封入すると、ランプ始動時の絶縁破壊のための電圧であるブレークダウン電圧が高くなってしまうおそれがある。具体的には、定格電力250Wクラスのランプでは、ブレークダウン電圧が数kV程度も上昇する。
そこで、ベータ崩壊する性質を有する放射性元素であるクリプトン85をキセノンに加えて封入することが好ましい。これは、クリプトン85のベータ崩壊により放電空間108内の初期電子を増加するため、ブレークダウン電圧を低下させることができるからである。
【0055】
係るクリプトン85を、例えば数kBq程度封入すれば、キセノン封入によるブレークダウン電圧の上昇を帳消しすることが可能となる。
以上をまとめると、キセノンガスとクリプトン85とを組み合わせて封入することにより、ブレークダウン電圧の上昇を招くことなく、安定点灯時の電流値を低下させることが可能となる。
6.画像表示装置
本発明に係るランプの点灯装置300を備えたランプユニット200は、投射型画像表示装置に適用することができる。
【0056】
図8は、投射型画像表示装置の一例としての上述のランプユニット200を使用した液晶プロジェクタ400の構成を示す概略図である。
同図に示すように透過型方式の液晶プロジェクタ400は、電源ユニット401と、制御ユニット402と集光レンズ403と、透過型のカラー液晶表示板404と駆動モータが内蔵されたレンズユニット405および冷却用のファン装置406とからなる。
【0057】
電源ユニット401は、商用AC入力(100V)を所定の直流電圧に変換して、制御ユニット402に供給する。
制御ユニット402は、外部から入力された画像信号に基づき、カラー液晶表示板404を駆動してカラー画像を表示させる。また、レンズユニット405内の駆動モータを制御してフォーカシング動作やズーム動作を実行させる。
【0058】
ランプユニット200から射出された光は、集光レンズ403で集光され、光路途中に配されたカラー液晶表示板404を透過し、レンズユニット405を介して当該液晶表示板404に形成された画像を図外のスクリーン上に投影させる。
本発明に係る高圧水銀ランプと点灯装置からなる従来より長寿命なランプユニットを使用することにより、商品価値の高い液晶プロジェクタを提供することができる。
【0059】
なお、本発明に係るランプの点灯装置300を備えたランプユニット200は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を使用したDLP(登録商標)方式のプロジェクタや、その他反射型液晶素子を用いた液晶プロジェクタ等、他の投射型画像表示装置にも適用することができる。
7.変形例
以上、本実施の形態について説明してきたが、本発明は上記した形態に限定されないことは勿論であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できるものである。
【0060】
(1)矩形波交流電流の周波数の切り替えるパターンについては、種々の変形例が考えられる。当該変形例を図9〜図13に示す。いずれの図においても図4の上部のグラフと同様な表現とした図である。
図9に示す切り替えパターンは、最大の周波数から最小の周波数まで周波数を階段的に小さくすると、再び周波数を最大の周波数まで階段的に大きくする点は実施の形態1と同様であるが、半周期毎に周波数を切り替える点が異なっている。例えば、1可変周期は周波数を340Hz、255Hz、170Hz、128Hz、85Hz、128Hz、170Hz、255Hzと順次半周期毎に切り替えるものである。
【0061】
図10に示す切り替えパターンは、最大の周波数から最小の周波数まで矩形波の1周期毎に段階的に周波数を切り替える周期を1可変周期とする。例えば、1可変周期は周波数を340Hz、255Hz、170Hz、128Hz、85Hzと、矩形波の1周期毎に切り替えるものである。
図11に示す切り替えパターンは、最大の周波数から最小の周波数まで矩形波の半周期毎に周波数を切り替える。例えば、可変1周期は周波数を340Hz、255Hz、170Hz、128Hz、85Hz、128Hz、170Hz、255Hzと順次矩形波の半周期毎に切り替えるものである。
【0062】
図12に示す切り替えパターンは、一定時間ごとに周波数を固定した固定期間a,b,cの3種類の周波数を順次切り換える周期を1可変周期(1サイクル)とし、このサイクルを繰り返すものである。例えば、固定期間a(第1期間)の固定周波数は340Hz、固定期間b(第2期間)の固定周波数は170Hz、固定期間c(第3期間)の固定周波数は85Hzである。
【0063】
また、図12に示すように、各固定期間a,b,cは、固定周波数を複数周期分含む長さであり、固定期間aは7.5周期分、固定期間bは6.5周期分、固定期間cは2.5周期分含んでいる。
図13に示す切り替えパターンは、一定時間ごとに周波数を固定した固定期間と周波数を変化させる可変期間を交互に切り替える周期を、1可変周期とするものである。例えば、可変1周期は、固定周波数は340Hzとした固定期間と、図10に示す可変周期における周波数切り替えと同様な切り替えを行なう可変期間の2つの期間から構成される。
【0064】
(2)本実施の形態においては、周波数を段階的に(飛び飛びに)変化させるものであったが、周波数をリニアに変化させるようにしても構わない。
周波数のリニア変化を実現するための点灯装置について説明する。図14は変形例に係る点灯装置301の構成を示すブロック図である。図14に示す点灯装置301は、実施の形態に係る点灯装置300(図3参照)と基本的には同様の構成をしているので異なる点を中心に説明する。
【0065】
発振器a318は被変調信号を生成し、発振器b320は変調信号を生成する。
周波数決定回路316は、上記被変調信号を変調信号により変調すると共に、変調した矩形波を生成する。
制御部310は、上記矩形波を参照してDC/ACインバータ306に所定の制御信号を送出する。
【0066】
このような点灯装置301によれば、簡単な回路構成でランプに供給する矩形波交流電流の周波数を常時変化させることができると共に、周波数の変化を細やかに制御することが可能である。
なお、周波数決定回路316、発振器318、320に代えて公知の周波数変調回路を用いてもよいであろう。
【0067】
(3)周波数の変化については、さらに種々の変形例が考えられる。当該変形例を図15〜図18に示す。図15〜図18中のグラフは、いずれも、横軸に時間(t)、縦軸に周波数(f)を取り、周波数の時間的な変化を示している。
(A)規則的変化と不規則的変化
周波数を規則的に、すなわち一定のきまりに従って変化させてもよいし、不規則的に変化させてもよい。図15中のグラフは規則的変化と不規則的変化を概念的に示している。同図に示すように、期間Aにおける周波数の変化は規則的であるのに対して、期間Aにおける周波数の変化は不規則的である。なお、期間A2においては、不規則的な変化といっても、周波数の最大(fmax)と最小(fmin)を定め、両者の間で変化させるようにしている。
【0068】
(B)断続的変化と連続的変化
周波数を断続的に変化させてもよいし、連続的に、すなわち常時変化させてもよい。図16(a)(b)中のグラフは断続的変化と連続的変化を概念的に示している。
図16(a)中のグラフにおいては、周波数を変化させる一定期間の後には周波数を固定させる期間が続き、上記周波数変化の一定期間が時々とだえながら続いている。
【0069】
これに対して図16(b)中のグラフでは、周波数は連続的に変化している。
(C)断続的変化と連続的変化の組み合わせ
上記(B)で述べた断続的変化の期間と連続的変化の期間を組み合わせてもよい。例えば、図17中のグラフに示すように、断続的変化の期間と連続的変化の期間を交互に繰り返すようにしてもよい。
【0070】
(D)変化期間と固定期間のグループ化
特に図示しないが、周波数を連続的に変化させる期間と周波数を固定させる期間の両者をグループ化した期間を1サイクルとして繰り返すようにしてもよい。例えば、連続的に変化させる期間とその後に続く固定させる期間の2つの期間をグループ化し、1サイクルとして取り扱って、これを繰り返すようにしてもよい。
【0071】
(E)不規則的な繰り返し
図18中のグラフに示すように、連続的変化の期間と周波数固定期間の2つを準備しておき、この両者の期間を不規則的に繰り返すとしてもよい。すなわち、予め両者の順番を定めるのではなく、ある期間の後に両者いずれの期間とするかを不定にするとしてもよい。
【0072】
(F)動作データ(放電電圧等)に依存する周波数変化との組み合わせ
上述の(A)〜(E)においては、動作データに依存せずに周波数を変化させる期間と周波数を固定させる期間との組み合わせについて述べたが、上記周波数を固定させる期間に替えて、動作データに依存させて周波数を変化させる期間を用いるようにしても構わない。
8.その他
(1)ランプのタイプについて
上記実施の形態においては、発光物質として水銀が封入された高圧水銀ランプを例として説明したが、本発明は、メタルハライドランプなどの他の高圧放電ランプにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、従来より長寿命なので液晶表示装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】高圧水銀ランプ100の概略構成を示す図である。
【図2】高圧水銀ランプ100を用いたランプユニット200の構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】点灯装置300の構成を示すブロック図である。
【図4】上部のグラフは矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す。下部のグラフは上部のグラフに対応しており上記矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す。
【図5】(a)は従来の方式を用いた点灯試験結果の累積点灯時間と輝度維持率の関係を示すグラフである。
【0075】
(b)は従来の方式を用いた点灯試験結果の累積点灯時間とランプ電圧の関係を示すグラフである、
【図6】点灯試験における輝度推移の結果を示す表である。
【図7】点灯試験における電圧推移の結果を示す表である。
【図8】液晶プロジェクタの構成を示すブロック図である。
【図9】一変形例に係る矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す図である。
【図10】一変形例に係る矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す図である。
【図11】一変形例に係る矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す図である。
【図12】一変形例に係る矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す図である。
【図13】一変形例に係る矩形波交流電流の波形の時間的な変化を示す図である。
【図14】変形例に係る点灯装置301の構成を示すブロック図である。
【図15】一変形例に係る矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す図である。
【図16】一変形例に係る矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す図である。
【図17】一変形例に係る矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す図である。
【図18】一変形例に係る矩形波交流電流の周波数の時間的な変化を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
100 高圧水銀ランプ
101 発光管
101a 発光部
101b,101c 封止部
102,103 電極
200 ランプユニット(高圧放電ランプ装置)
300,301 点灯装置
400 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、
前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく変化させる周波数制御手段とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項2】
前記周波数制御手段は、前記周波数を一定期間、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続ける制御を行うことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
前記周波数制御手段は、前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく連続的に変化させる変化期間と、前記周波数を固定させる固定期間とを交互に繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
前記周波数制御手段は、前記周波数を少なくとも2つ以上の異なる値に断続的に切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項5】
前記周波数制御手段は、前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に常時変化させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項6】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、
前記交流電流の周波数を、規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続ける制御を行う高圧水銀ランプ周波数制御手段とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項7】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、
前記交流電流の周波数を予め定められ規則に従って連続的に変化させる変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを交互に繰り返す制御を行う周波数制御手段とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項8】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる点灯回路と、
前記交流電流の周波数を、予め定められた規則に従って常時変化させる周波数制御手段とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項9】
前記周波数制御手段は、前記周波数を、前記一定期間中、連続的に変化させることを特徴とする請求項2または請求項6に記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項10】
前記周波数制御手段は、前記周波数を、前記一定期間中、少なくとも2つ以上の値に断続的に切り替えて変化させることを特徴とする請求項2または請求項6に記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項11】
前記一定期間中には、前記周波数が連続的に変化する変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを含むことを特徴とする請求項2または請求項6に記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項12】
前記周波数制御手段は、前記周波数を、予め定められた最大周波数と最小周波数との間で変化させ、前記最小周波数は70Hz以上であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項13】
前記発光管内には、さらにクリプトン85が封入されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の高圧放電ランプ点灯装置。
【請求項14】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプと、この高圧水銀ランプを点灯させるための請求項1〜請求項13のいずれかに記載された高圧放電ランプ点灯装置とを備えていることを特徴とする高圧放電ランプ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の高圧放電ランプ装置を備えたことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項16】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、
前記交流電流の周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく変化させることを特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項17】
前記周波数を、一定期間、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、またはこれを断続的に続けることを特徴とする請求項16記載の高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項18】
前記周波数を前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく連続的に変化する変化期間と、前記周波数が固定されている固定期間とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項16記載の高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項19】
前記周波数を少なくとも2つ以上の異なる値に断続的に切り替えることを特徴とする請求項16記載の高圧放電ランプ点灯方法。
【請求項20】
前記周波数を、前記高圧水銀ランプの点灯経過時間とともに変化する動作データに依存することなく規則的に、または不規則的に常時変化させることを特徴とする請求項16記載の高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項21】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、
前記交流電流の周波数を、規則的に、または不規則的に一定期間変化させ、かつこの一定期間を1サイクルとしてこれを連続的に繰り返す、または断続的に続けることを特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項22】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、
前記交流電流の周波数を予め定められ規則に従って連続的に変化させる変化期間と、前記周波数を固定した固定期間とを交互に繰り返すことを特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項23】
内部に、ハロゲン物質及びキセノンが封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧水銀ランプに対して交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプの点灯方法であって、
前記交流電流の周波数を予め定められた規則に従って常時変化させることを特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。
【請求項24】
前記発光管内には、さらにクリプトン85が封入されていることを特徴とする請求項16〜請求項23のいずれかに記載の高圧放電ランプの点灯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−280734(P2007−280734A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104603(P2006−104603)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】