説明

高屈折率ゾルゲル組成物および光パターン形成された構造を基板上で作製する方法

ゾルゲル組成物、ゾルゲル組成物前駆体、および光パターン形成された構造を基板上で製作する方法を、本明細書中に記載する。本ゾルゲル組成物は、金属酸化物または金属アルコキシドを組み込まずして、高屈折率と低光損失の組み合わせを有する。本ゾルゲル組成物は、特に、1300〜1600nmのテレコミュニケーション波長範囲における導波管製作への応用においてさらに有用である。さらに、本明細書中に記載するゾルゲル組成物を用いた、パターン形成された構造の製作は、例えば、シリコン・オン・シリカの基板およびモリブデン・オン・ガラスの基板をはじめとした種々の基板において達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、高屈折率で光パターン形成可能な、有機ゾルゲルおよび有機金属ゾルゲル、ならびに所定の光パターン形成された構造を基板上で作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
能動導波管および受動導波管に加えて、テレコミュニケーションをはじめとした様々な応用のための光子デバイスおよび光電子デバイスの分野における進歩は、光情報のルーティング、スイッチングまたはフィルタリングを実施するために大きな需要がある。そのような導波管を製作するための現在の技術は、複雑なプロセス(例えば、エピタキシャル成長、反応性イオンエッチング、イオン注入など)を必要とする。それらの方法のうちのいくつかは、使用される基板に対してより特異的であり、例えば、イオン交換はガラスを用いるときに功を奏するが、ケイ素処理と適合しない。他の方法(例えば、スパッタリング、エピタキシャル成長および蒸発)は、ケイ素の基板を用いるときに功を奏するが、複数の処理工程を必要とする。反応性イオンエッチングもまた、広く使用されている手法であるが、これは、導波管において主に粗面の壁の形成をもたらす散乱損失を増加させることが多い。
【0003】
導波管を利用するほとんどの応用では、およそ1dB/cmという低光損失(伝搬損失を含む)を有することが望まれる。通信業界にとって最も適した範囲である1300〜1600nmというテレコミュニケーション波長範囲でより低い光損失を有することも望ましい。したがって、そのようなテレコミュニケーションに応用するために有用な材料は、一般に非常に低い吸収/伝搬損失を有するので、それらの材料の選択は、非常に限定される。
【0004】
テレコミュニケーションへの応用において有用な1つの材料は、ゾルゲル組成物である。ゾルゲル組成物を使用する製造方法によって、低温の処理工程を用いて前駆体からガラスを製作することが可能になる。さらに、ゾルゲル法は、従来の方法では容易に利用することができない多岐にわたる組成物を提供する。ゾルゲル材料は、適切なモノマーの加水分解−縮合重合反応を用いて室温において生成される。それらのゾルゲル組成物は、M(OR)(Oは酸素であり、Rはアルキル鎖であり、Mは金属である)などの金属アルコキシド前駆体から得ることができる。前駆体において有用な金属としては、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムが挙げられる。通常、金属アルコキシドは、有機重合性アルコキシシランと組み合わされることにより、有機修飾されたゾルゲルを生成する。有機修飾されたゾルゲルは、R’−M(OR)(式中、R’は、有機部分である)の一般式を有し、これらの材料は、M−C結合に関する加水分解に対して非常に安定である。
【0005】
これらの有機修飾されたゾルゲル材料は、良好な光学的品質の導波管フィルムを形成する。しかしながら、その有機部分由来の多くのC−HおよびO−H結合から生じる、有機修飾された単純なゾルゲルの光損失が高いことに起因して、これらのC−H結合の多くを、光損失の低い結合で置き換えることが望ましいことが多い。低光損失結合でC−H結合を置き換える1つの例は、1500〜1600cm−1の範囲内であるC−HおよびO−H結合と比べて、およそ1000cm−1という低いIR吸収帯を有する低損失のC−F結合を代わりに使用することによるものである。しかしながら、多くのC−F結合を導入することは、ゾルゲル組成物において屈折率の低下をもたらすという不利益を有する。このことは、特に、テレコミュニケーションへの応用におけるような高い率のゾルゲルが必要とされるときに問題になる。結果として、1300〜1600nmというテレコミュニケーション波長範囲において、低光損失に加えて高屈折率を有する非常に望ましいゾルゲル特性を得ることは、非常に難しい。
【0006】
Paulsonらに対する米国特許文献(特許文献1参照、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)には、ゾルゲル処理工程を用いて、パターン形成された金属酸化物フィルムを作製する方法が記載されている。しかしながら、この参考文献は、1300〜1600nmというテレコミュニケーション波長の範囲についての低光損失で高屈折率の導波管の製造に関する開示を含んでいない。Fardadらに対する米国特許文献(特許文献2参照、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)には、金属屈折率調整剤、好ましくは、チタンとともにC−F結合をゾルゲルに導入することによる、1550nmにおいて1.50の屈折率を有する光パターン形成可能なゾルゲルが開示されている。しかしながら、Fardadらによって開示された最大屈折率は、たった約1.50だった。さらに、両方の参考文献が、酸化ケイ素以外の金属酸化物を使用して、Ti−O結合およびZr−O結合などのパターン形成されたゾルゲル材料を得る方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,100,764号明細書
【特許文献2】米国特許第6,908,723号明細書
【発明の概要】
【0008】
発明の要旨
前述のことを考慮して、本発明は、ゾルゲル材料、および低光損失で高屈折率のゾルゲルを生成する製作方法を提供する。本明細書中に記載するゾルゲルの実施形態は、1300〜1600nmのテレコミュニケーション波長において1.45を超える屈折率を得ることができる。ある実施形態において、屈折率は、1300〜1600nmの波長において約1.50を超える。1300〜1600nmの波長において、約1.55を超えるか、約1.60を超えるか、約1.65を超えるか、約1.70を超えるか、または約1.75を超える屈折率の値でさえも、本明細書中に記載するゾルゲル組成物の実施形態を用いて到達可能である。さらに、1300〜1600nmのテレコミュニケーション波長において、低伝搬損失、例えば、約1.5dB/cmより低いか、約1.0dB/cmより低いか、または約0.5dB/cmより低い低伝搬損失もまた、いくつかの実施形態において得られる。低伝搬損失と高屈折率の非常に望ましい組み合わせは、本明細書中に記載するゾルゲル組成物を用いて達成可能である。
【0009】
本明細書中に記載するゾルゲル材料の1つの有用な応用は、導波管の製作である。ゾルゲル材料は、一般に、標準的なフォトリソグラフィック法を用いる導波管の製作において大きな利点をもたらす。例えば、導波管は、ゾルゲル材料上で直接製作することができる。この導波管の直接的なパターニングは、製造工程の数を大幅に減少させる。さらに、他の材料を用いるときにしばしば必要とされ、散乱損失を増大させることが示されている、ドライエッチング処理工程を回避することができる。ゾルゲル組成物を用いた導波管の製作は、ウェット処理工程だけを含むことができるので、散乱損失を減少させることができる。本明細書中に記載するゾルゲル組成物を用いて製作されたデバイスの実施形態は、滑らかな壁を有する。
【0010】
本明細書中に記載するゾルゲル組成物に対する別の利点は、重合可能な部分が、ゾルゲル材料の有機部分に直接結合することができる点である。このことにより、種々の有機部分を用いることによる有機材料の架橋によるUV露光パターニングが可能になる。
【0011】
ゾルゲルは、調整可能な屈折率および光パターン形成能を達成する見込みがあるので、緩衝材料とクラッディング材料の両方として使用されている。クラッディング層または緩衝層として使用されるとき、ゾルゲル材料の屈折率は、基板、またはもしあればすでに基板上にコーティングされたポリマー層の屈折率よりも高い。結果として、ゾルゲル系の屈折率と光損失とのバランスをとることが重要になる。
【0012】
式(I)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物が、本明細書中に記載され:
【化1】

式中、Rは、光架橋性基であり、Rは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基であり、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基である。ある実施形態において、式(I)中の各nは、0〜約10の範囲の整数であるように独立して選択される。x、yおよびzの各々もまた、独立して選択され得、0〜約20の範囲であり得る。式(I)のさらなる実施形態を、以下に記載する。
【0013】
本明細書中に記載するゾルゲル組成物は、(a)2つの有機修飾されたシラン前駆体を酸性水溶液と混合することにより、混合物を形成する工程(シラン前駆体のうちの一方は、式(V)に記載のモノマーであり、他方のシラン前駆体は、式(VI)に記載のモノマーであり:
【化2】

式中、式(V)中のRは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基であり、式(VI)中のRは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、式(V)および(VI)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(V)および(VI)中の各nは、独立して0〜約10の範囲の整数である);(b)式(V)および(VI)中の−OR基が、少なくとも部分的に加水分解されるまで、混合物を撹拌する工程;(c)得られた混合物に第3の有機修飾されたシラン前駆体を加える工程(第3のシラン前駆体は、式(VII)に記載のモノマーであり:
【化3】

式中、式(VII)中のRは、光架橋性基であり、式(VII)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(VII)中のnは、0〜約10の範囲の整数であるように選択される);(d)該溶液が混合されるまで該溶液を撹拌する工程;(e)撹拌しながら追加の溶媒を加えることにより、さらに加水分解を完了する工程;および(f)縮合が生じ、粘稠性の液体が得られるまで、該溶液を熟成させる工程を包含する方法に従って調製することができる。ある実施形態において、溶媒が撹拌中に除去され、それにより、縮合および熟成が促進される。
【0014】
様々なゾルゲル前駆体もまた本明細書中に記載される。例えば、それらのゾルゲル前駆体は、式(V)、(VI)または(VII)のモノマーを含み得る。ある実施形態において、ゾルゲル前駆体は、アントラセニルトリメトキシシラン、フェナントレニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ピレニルトリメトキシシラン、ビス(ピレニル)ジメトキシシラン、ビス(ピレニル)ジエトキシシラン、ペリレニルトリエトキシシランまたはペリレニル3,9−ビス(トリエトキシシラン)から選択される化合物を含む。各化合物は、その異性体のいずれかとして存在することができる。例えば、1−アントラセニルトリメトキシシラン、2−アントラセニルトリメトキシシラン、9−アントラセニルトリメトキシシランおよびそれらの組み合わせを含む任意のアントラセニルトリメトキシシランを使用することができる。アントラセニルトリメトキシシランは、別名トリメトキシシリルアントラセンと称することができる。
【0015】
光パターン形成された構造を基板上で作製する方法がさらに本明細書中に記載される。光パターン形成された構造を基板上で作製する製造工程は、(a)該基板の少なくとも一部の上にゾルゲルをコーティングすることにより、フィルムを形成する工程(該ゾルゲルは、本明細書中に記載するような以下に記載する式(I)または式(Ia)の繰り返し単位を含む);(b)該フィルムをソフトベークすることにより、ゾルゲルフィルムを形成する工程;(c)該ゾルゲルフィルムの上方にマスクを置く工程(該マスクは、パターンデザインを規定する少なくとも1つの開口部を含む);(d)該ゾルゲルフィルムの少なくとも一部を、該マスクにおける少なくとも1つの開口部(露光されないフィルムの部分および露光されるフィルムの部分をもたらす)を通して紫外線に露光する工程(露光されるフィルムの部分は、フィルムの厚み全体にわたって、選択される溶媒に対して不溶性である);(e)選択された溶媒を用いて、フィルムの露光されない部分を洗浄することによって除去する工程;および(f)減圧下において該フィルムをハードベークする工程を包含し得る。
【0016】
本明細書中に記載するゾルゲル材料は、大量または少量で存在し得る他の金属酸化物と適合する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、1mol%未満の、Si以外の金属原子を含む。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、Si以外の金属原子を実質的に含まない。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、Si以外の金属原子を含まない。ある実施形態において、ゾルゲル組成物の屈折率を調整するために、Siを含む金属前駆体以外に他の金属前駆体は使用されない。
【0017】
これらの実施形態および他の実施形態を、以下でより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ゾルゲル組成物を含む基板の実施形態およびどのようにして電気伝導度を測定することができるのかを示している。
【0019】
【図2】図2は、いくつかのゾルゲル組成物の室温におけるバイアス電圧の関数として電流を測定しているグラフである。
【0020】
【図3】図3は、いくつかのゾルゲル組成物の温度の関数としての電流を測定しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の詳細な説明
ゾルゲル組成物、ゾルゲル組成物前駆体、および光パターン形成された構造を基板上で製作する方法を、本明細書中に記載する。本明細書中に記載するゾルゲル組成物および製作方法は、金属酸化物または金属アルコキシドを組み込まなくても、高屈折率で低光損失のゾルゲルを生成することができる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載するゾルゲル組成物は、1300〜1600nmのテレコミュニケーション波長の範囲において高屈折率および低光損失を有する。さらに、本明細書中に記載するゾルゲル組成物を用いて、パターン形成された構造を製作することは、例えば、シリコン・オン・シリカの基板およびモリブデン・オン・ガラスの基板を含む種々の基板において達成することができる。
【0022】
ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、上に記載したような式(I)の繰り返し単位を含む。ある実施形態において、式(I)中の各nは、独立して、0〜約5の範囲の整数である。ある実施形態において、式(I)中の各nは、独立して、0〜約3の範囲の整数である。
【0023】
式(I)中のx、yおよびzの各々は、上で述べたように独立して選択することができる。式(I)の繰り返し単位に存在するシロキサン単位の数は、x、yおよびzの数値によって決定することができる。例えば、x=1、y=1かつz=1のとき、式(I)は、3つの異なるシロキサン単位を含む。好ましくは、式(I)の繰り返し単位は、少なくとも2つの異なるシロキサン単位を含む。ある実施形態において、式(I)の繰り返し単位は、3つの異なるシロキサン単位を含む。ある実施形態において、式(I)中のxは、1〜3の範囲であり、式(I)中のyは、0〜3の範囲であり、式(I)中のzは、0〜3の範囲である。ある実施形態において、yまたはzの少なくとも1つは、少なくとも1である。ある実施形態において、式(I)中のxは、1であり、式(I)中のyは、0または1であり、式(I)中のzは、0または1であるが、但し、yおよびzの少なくとも1つは、1である。ある実施形態において、式(I)中のxは、1であり、式(I)中のyは、0または1であり、式(I)中のzは、1である。
【0024】
を含む式(I)のシロキサン単位は、光架橋性のシロキサン単位である。光架橋性基Rは、光を照射されたときに架橋する様々な基を含み得る。好ましくは、光架橋性基は、二重結合を含む。ある実施形態において、光架橋性基は、メタアクリレート基、ビニル基、エポキシ基、メタクリルオキシ基またはアクリルオキシ基を含む。ある実施形態において、光、例えば、UV光を照射されたとき、光架橋性基は、ゾルゲル中の様々な分子鎖を互いに結合する共有結合を形成するように反応する。UV照射は、例えば、適切なマスキング工程およびパターニング工程の後に、行うことができる。
【0025】
架橋度は、変動し得るものであり、当業者によって調整され得る。架橋度を制御するために用いられる因子としては、ゾルゲル組成物全体に分散している架橋性単位の数、架橋性単位間の距離、ゾルゲル組成物が照射に曝露される時間の長さ、および照射の強度が挙げられる。ある実施形態において、光架橋性基は、メタアクリレートおよびビニルからなる群から選択される。
【0026】
を含む式(I)のシロキサン単位は、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基を含むシロキサン単位である。様々なタイプの芳香族基を使用してもよい。例えば、芳香族基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルまたはペンタセニルであり得る。置換されるときは1つ以上のハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ジュウテリウム、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0027】
ある実施形態において、Rの芳香族基は、フッ素または塩素で置換される。ある実施形態において、Rは、フッ素化された芳香族基、ペルフルオロ化された芳香族基、臭素化された芳香族基、または全臭素化された(perbrominated)芳香族基である。ある実施形態において、Rは、ペルフルオロ化された芳香族基または臭素化された芳香族基である。例えば、Rは、ペンタフルオロフェニル基、ビスペンタフルオロフェニル基またはブロモフェニル基であり得る。その芳香族基におけるハロゲン置換またはジュウテリウム置換の程度は、変動し得る。1つの水素原子から芳香族基上のすべての水素原子までの任意の数の水素原子が、ハロゲン原子またはジュウテリウムで置換され得る。例えば、芳香族基が、フェニル基を含む場合、そのフェニル基は、1、2、3、4または5個のハロゲン原子および/またはジュウテリウム原子で置換され得る。ある実施形態において、芳香族基は、臭素で置換される。ある実施形態において、ハロゲン化された芳香族基は、ブロモアントラセニルを含む。
【0028】
を含む式(I)のシロキサン単位は、芳香族基を含むシロキサン単位である。Rを含むシロキサン単位は、ゾルゲル組成物に高屈折率をもたらすことに主に関与する。Rに対しては、いずれの芳香族基を用いてもよい。適切な芳香族基の非限定的な例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルが挙げられる。ある実施形態において、芳香族基は、アントラセニルである。芳香族基は、例えば、その芳香族基の任意の適切な炭素原子によって、シロキサン単位に接続され得る。例えば、芳香族基は、直接、または任意の水素原子の置き換えによってアルキルリンカーを通じて、シロキサン単位に接続され得る。
【0029】
本明細書中に記載するゾルゲル組成物は、作用の理論に限定されないが、式(I)の化学構造における芳香族基の存在によって、高屈折率を獲得すると考えられている。さらに、本明細書中に記載するゾルゲル組成物の屈折率は、Rの芳香族基に対する1つ以上のハロゲン原子またはジュウテリウム原子の付加によって調整することができる。例えば、Rの芳香族基は、フッ素原子または臭素原子で置換され得る。本明細書中に記載するゾルゲル組成物は、他のゾルゲル組成物と比べて、本組成物における脂肪族C−H結合の数が少ないことに部分的に起因して、低光損失を有する。
【0030】
およびRの芳香族部分は、(1)ゾルゲル組成物に高屈折率を与えること、(2)芳香族C−H結合による脂肪族C−H結合の置き換えに部分的に起因して低光損失をもたらすこと、(3)炭素−ハロゲン結合、例えば、C−F結合を用いることによっておよそ1000cm−1という低IR吸収帯をもたらすこと、および(4)光パターン形成可能な基が芳香族部分にも結合することができることを含むいくつかの有利な特性を提供する。
【0031】
式(I)に示されている各シロキサン単位は、様々な量で本ゾルゲル組成物に存在し得る。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、選択されたモルパーセントの式(II)の繰り返し単位を含み:
【化4】

式中、Rは、上に記載したような光架橋性基であり、nは、0〜約10の範囲の整数、好ましくは、0〜約3の範囲の整数であり、式(II)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%〜約90mol%の範囲である。式(II)の繰り返し単位は、式(I)中の光架橋性基を含むシロキサン単位に相当する。ある実施形態において、式(II)の繰り返し単位のモルパーセントは、約20mol%〜約80mol%の範囲である。ある実施形態において、式(II)の繰り返し単位のモルパーセントは、約30mol%〜約70mol%の範囲である。ある実施形態において、式(II)の繰り返し単位のモルパーセントは、約40mol%〜約60mol%の範囲である。
【0032】
ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、選択されたモルパーセントの式(III)の繰り返し単位を含み:
【化5】

式中、Rは、ハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基であり、nは、0〜約10の範囲の整数、好ましくは、0〜約3の範囲の整数であり、式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約0mol%〜約60mol%の範囲である。式(III)の繰り返し単位は、式(I)中のハロゲン原子で必要に応じて置換された芳香族基を含むシロキサン単位に相当する。ある実施形態において、式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約0.1mol%〜約50mol%の範囲である。ある実施形態において、式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約5mol%〜約40mol%の範囲である。ある実施形態において、式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%〜約30mol%の範囲である。ある実施形態において、式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約15mol%〜約25mol%の範囲である。ある実施形態において、Rは、ブロモアントラセニルである。
【0033】
ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、選択されたモルパーセントの式(IV)の繰り返し単位を含み:
【化6】

式中、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、nは、0〜約10の範囲の整数、好ましくは、0〜約3の整数であり、式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約0mol%〜約90mol%の範囲である。式(IV)の繰り返し単位は、式(I)中のRの芳香族基を含むシロキサン単位に相当する。ある実施形態において、式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%〜約90mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約15mol%〜約75mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約20mol%〜約60mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約30mol%〜約50mol%の範囲である。
【0034】
式(II)、(III)および(IV)の全繰り返し単位は、ゾルゲル組成物の最大100mol%を含み得る。しかしながら、追加の成分および/または不純物が存在し得るので、式(II)、(III)および(IV)の全繰り返し単位は、ゾルゲル組成物の100mol%を含まない。例えば、ゾルゲル組成物は、光開始剤をさらに含み得、これは、どの光架橋性基を使用しても存在し得る。ある実施形態において、光架橋性基が、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシおよびアクリルオキシからなる群から選択されるとき、ゾルゲル組成物は、光開始剤をさらに含む。
【0035】
任意の適切な光開始剤を使用することができる。適切な光開始剤は、組成物がUV光によって活性化されるとき、その組成物を硬化させる。光開始剤の非限定的な例としては、IRGACURE−184(登録商標)(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)またはIRGACURE−369(登録商標)(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)(両方ともがCiba Specialty Chemicalsから入手可能である)が挙げられる。光開始剤の量は、変動し得る。ある実施形態において、光開始剤は、ゾルゲル組成物の約0.1重量%〜約10重量%の範囲の量で存在する。ある実施形態において、光開始剤は、ゾルゲル組成物の約0.2重量%〜約8重量%の範囲の量で存在する。ある実施形態において、光開始剤は、ゾルゲル組成物の約0.5重量%〜約5重量%の範囲の量で存在する。
【0036】
式(I)中の芳香族基Rを含むシロキサン単位は、第2の芳香族基またはアルコキシ基をさらに含み得る。例えば、ある実施形態において、式(Ia)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物が提供され:
【化7】

式中、R、RおよびRは、式(I)において上で定義した様式と同じ様式で独立して定義され、Rは、−OR、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基である。Rの芳香族基は、Rに対して選択された芳香族基とは独立して選択され、Rは、Rと同じであり得るか、または異なり得る。式(Ia)基中のRは、低級アルキル基を含む。ある実施形態において、mは、独立して、0〜約10の範囲の整数である。ある実施形態において、式(Ia)中のn、x、yおよびzの各々は、式(I)において上で定義した様式と同じ様式で、独立して定義される。
【0037】
式(I)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物に対して適用可能な本明細書中に記載するバリエーションおよび実施形態の各々もまた、式(Ia)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物に対して適用可能である。ある実施形態において、式(Ia)中のmは、0〜約3の範囲の整数である。ある実施形態において、m=0のとき、Rは、−ORである。
【0038】
式(Ia)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物は、上で定義したような、選択されたモルパーセントの式(II)および式(III)の繰り返し単位を含むことができる。ある実施形態において、式(Ia)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物は、選択されたモルパーセントの式(IVa)の繰り返し単位を含み:
【化8】

式中、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、Rは、−OR、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、mおよびnの各々は、0〜約10の範囲の整数、好ましくは、0〜約3の整数であるように独立して選択され、式(IVa)の繰り返し単位のモルパーセントは、約0mol%〜約90mol%の範囲である。式(IVa)の繰り返し単位は、式(Ia)中のRおよびRの基を含むシロキサン単位に相当する。ある実施形態において、式(IVa)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%〜約90mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IVa)の繰り返し単位のモルパーセントは、約15mol%〜約75mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IVa)の繰り返し単位のモルパーセントは、約20mol%〜約60mol%の範囲である。ある実施形態において、式(IVa)の繰り返し単位のモルパーセントは、約30mol%〜約50mol%の範囲である。
【0039】
本明細書中に記載するゾルゲル組成物の実施形態において、高屈折率の値が得られる。ある実施形態において、屈折率は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において、約1.45を超える。ある実施形態において、屈折率は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において、約1.49を超える。ある実施形態において、屈折率は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において、約1.50を超える。ある実施形態において、屈折率は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において、約1.51を超え、約1.52を超え、約1.53を超え、約1.54を超え、約1.55を超え、約1.56を超え、約1.57を超え、約1.58を超え、約1.59を超え、約1.60を超え、約1.61を超え、約1.62を超え、約1.63を超え、約1.64を超え、約1.65を超え、約1.66を超え、約1.67を超え、約1.68を超え、約1.69を超え、約1.70を超え、約1.71を超え、約1.72を超え、約1.73を超え、約1.74を超え、そして/または約1.75を超える。本明細書中に記載するゾルゲル組成物の実施形態についての屈折率は、通常、約2.4未満である。
【0040】
ゾルゲル組成物の実施形態は、非常に有益なゾルゲルをもたらす低光損失という有利な特性をさらに有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約1.5dB/cm未満の光損失を有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約1.0dB/cm未満の光損失を有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約0.75dB/cm未満の光損失を有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約0.6dB/cm未満の光損失を有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約0.5dB/cm未満の光損失を有する。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、約1300〜約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される約0.4dB/cmの光損失を有する。
【0041】
式(I)または式(Ia)の繰り返し単位のバリエーションがさらに企図される。例えば、式(I)または式(Ia)の繰り返し単位は、シロキサン基を含むRが、シロキサン基を含むRとシロキサン基を含むRとの間に存在するように形成され得る。シロキサン基を含むRが、シロキサン基を含むRとシロキサン基を含むRとの間に存在することもまた企図される。本発明のゾルゲル組成物の構造単位の非限定的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されず:
【化9】

式中、各破線は、通常、追加のシロキサン単位(図示せず)との接続を表す。
【0042】
ゾルゲル組成物は、本明細書中に記載するプロセスおよび手法を用いて、またはそのような方法を適応させることによって、製造することができる。ある実施形態において、ゾルゲル組成物は、2つの有機修飾されたシラン前駆体を酸性水溶液と混合する最初の工程(上に記載したように、シラン前駆体の一方は、式(V)に記載のモノマーであり、他方のシラン前駆体は、式(VI)に記載のモノマーである)を包含する方法に従って調製される。本明細書中に記載するモノマーの各々は、ゾルゲル前駆体として使用することができる。前に言及したように、式(V)および(VI)中のR基の各々は、低級アルキル基であるように独立して選択される。「低級アルキル基」とは、本明細書中に記載するとき、分枝状または非分枝状のC−Cアルキル基のことを意味する。適切な低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロパニル、イソプロパニル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルおよびペンチル(およびそれらのすべての異性体)が挙げられる。ある実施形態において、式(V)および(VI)中のR基の各々は、独立して、メチルまたはエチルである。ある実施形態において、式(V)および(VI)中の各nは、0〜約5の範囲の整数であるように独立して選択される。好ましくは、式(V)および(VI)中の各nは、0〜約3の範囲の整数であるように独立して選択される。
【0043】
ゾルゲルを生成する方法の最初の工程は、2つの有機修飾されたシラン前駆体ではなく1つの有機修飾されたシラン前駆体を酸性水溶液と混合する工程を包含し得ることも企図される。例えば、式(VI)に記載のモノマーであるシラン前駆体を、酸性水溶液と単独で混合することができる。式(V)の構造を含むシラン前駆体が、処理工程に含められない場合、そのゾルゲル組成物は、典型的には、ハロゲン化された原子を実質的に含まないままである。しかしながら、式(V)に記載の少量のモノマーが、C−F結合を含むゾルゲル組成物を形成するために望ましいことがある。本明細書中の開示によって導かれる当業者は、混合物に加えられる式(V)によって表されるモノマーによってシラン前駆体の量を調整することによって、ゾルゲル組成物中のC−F結合の量を調整することができる。
【0044】
ある実施形態において、式(V)と(VI)の両方における−OR基が、少なくとも部分的に加水分解されるまで、混合物をかき混ぜる。−OR基が、部分的に加水分解された後、第3の有機修飾されたシラン前駆体を、混合物に加えることができ、ここで、第3のシラン前駆体は、式(VII)に記載のモノマーである。上で述べたように、式(VII)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択される。好ましくは、式(VII)中の各Rは、独立して、メチルまたはエチルである。ある実施形態において、式(VII)中のnは、0〜約5の範囲の整数である。ある実施形態において、式(VII)中のnは、0〜約3の範囲の整数である。
【0045】
次いで、その溶液を撹拌し(例えば、かき混ぜることによって)、その間に、縮合および熟成を促進するために溶媒が除去され得る。ある実施形態において、溶媒が除去されている間または除去された後、加水分解をさらに完了させるために、混合しつつ、追加の溶媒が加えられ得る。この追加の溶媒が加えられた後、溶液を再度熟成させ、追加の溶媒を除去することにより、粘稠性の液体が形成される。
【0046】
ある実施形態において、2つの有機修飾されたゾルゲル前駆体を混合する最初の工程は、その工程が、3つの有機修飾されたゾルゲル前駆体を混合する工程を包含するように改変される。例えば、式(V)と(VI)の両方における−OR基が少なくとも部分的に加水分解された後に加えられる第3の修飾されたゾルゲル前駆体が、代わりに最初の工程において加えられ得る。いくつかの実施形態において、3つすべての有機修飾されたゾルゲル前駆体が混合され、次いで、部分的に加水分解されるときは、さらなるゾルゲル前駆体をくわえる必要はない。その溶液が撹拌され得(例えば、かき混ぜることによって)、その間に、縮合および熟成を促進するために溶媒が除去され得る。ある実施形態において、溶媒が除去されている間または除去された後、加水分解をさらに完了させるために、混合しつつ、追加の溶媒が、加えられ得る。この追加の溶媒が加えられた後、溶液を再度熟成させ、追加の溶媒を除去することにより、粘稠性の液体が形成される。
【0047】
溶媒を除去する工程の後または除去する工程の間に追加の溶媒が加えられる実施形態では、光開始剤が、その溶液に加えられ得る。上で述べたものをはじめとした任意の適切な光開始剤を使用してもよい。Rに対する光架橋性基が、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシおよびアクリルオキシからなる群から選択されるとき、光開始剤は、特に好ましい。
【0048】
式(V)、(VI)および(VII)に記載のモノマーの各々は、ゾルゲル前駆体を含む。ある実施形態において、式(V)および(VI)に記載のモノマーにおける各Rは、メチルまたはエチルであるように独立して選択される。ある実施形態において、式(V)に記載のモノマーは、フッ素および/または臭素で置換された、フェニルまたはアントラセニルなどの芳香族基を含む。ある実施形態において、式(V)に記載のモノマーは、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ブロモアントラセニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、ブロモアントラセニルトリエトキシシランおよびブロモフェニルトリメトキシシランからなる群から選択される。ある実施形態において、式(VI)に記載のモノマーは、非置換の芳香族基(例えば、フェニル、ナフチルまたはアントラセニル)を含む。ある実施形態において、式(VI)に記載のモノマーは、アントラセニルトリメトキシシラン、フェナントレニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ピレニルトリメトキシシランおよびペリレニルトリエトキシシランからなる群から選択される。ある実施形態において、式(VI)に記載のモノマーは、置換された芳香族基を含む。例えば、その芳香族基は、追加のジ−またはトリ−アルコキシシラン基で置換することができる。そのようなモノマーの非限定的な1つの例は、ペリレニル3,9−ビス(トリエトキシシラン)である。ある実施形態において、式(VI)に記載のモノマーは、1−トリメトキシシリルアントラセン、2−トリメトキシシリルアントラセン、9−トリメトキシシリルアントラセンおよびそれらの組み合わせから選択される。ある実施形態において、式(VI)に記載のモノマーは、9−トリメトキシシリルアントラセンである。
【0049】
ある実施形態において、式(VII)に記載のモノマーにおける各Rは、メチルまたはエチルであるように独立して選択される。ある実施形態において、式(VII)に記載のモノマーは、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびアクリルオキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される。ある実施形態において、式(VII)に記載のモノマーは、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0050】
式(V)、(VI)および(VII)に記載のモノマーは、各々、それぞれR、RおよびR基のケイ素原子上に単一の一置換を有するケイ素原子に結合した3つのアルコキシ基を有する化合物を描写している。しかしながら、二置換および三置換のアルコキシシラン基もまた使用することができることがさらに企図される。
【0051】
例えば、ゾルゲル組成物の製造において、上に記載したような式(V)に記載のモノマーは、式(Va)に記載のモノマーで置き換えることができ:
【化10】

式中、式(Va)中のRおよびnは、式(V)に関して上で定義したとおりであり、式(Va)中のRは、−OR、または少なくとも1つのハロゲン原子もしくはジュウテリウム原子で必要に応じて置換された芳香族基であり、各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択される。ある実施形態において、mは、0〜約10の範囲の整数である。ある実施形態において、mは、0〜約3の範囲の整数である。本明細書中に記載する少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で必要に応じて置換されるいずれの芳香族基も、Rに対して用いることができる。式(Va)の有用な化合物の非限定的な例としては、ビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよびビスペンタフルオロフェニルジエトキシシランが挙げられる。
【0052】
さらに、ある実施形態において、ゾルゲル組成物の製造において上に記載したような式(VI)に記載のモノマーは、式(VIa)に記載のモノマーで置き換えることができ:
【化11】

式中、式(VIa)中のRおよびnは、式(VI)に関して上で定義したとおりであり、式(VIa)中のRは、−OR、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択される。ある実施形態において、mおよびnの各々は、独立して、0〜約10の範囲の整数である。ある実施形態において、mおよびnの各々は、独立して、0〜約3の範囲の整数である。RおよびRの芳香族基は、同じであり得るか、または異なり得る。ある実施形態において、RおよびRは、ピレニル基を含む。例えば、式(VIa)に記載のモノマーは、ビス(ピレニル)ジメトキシシランまたはビス(ピレニル)ジエトキシシランから選択することができる。
【0053】
式(V)、(Va)、(VI)、(VIa)および(VII)に記載のモノマーの各々は、様々な異性体として存在することができる。特に、置換されているか、置換されていないかにかかわらず、芳香族基を含むモノマーは、その芳香族基上の任意の数の炭素位置において、直接またはリンカーによってケイ素原子に結合した芳香族基を有することができる。特定の異性体の選択は、モノマーの合成の容易さをはじめとしたいくつかの因子に依存し得る。本明細書中の開示に導かれる当業者は、各異性体が、本明細書中において使用可能であると企図されることを理解するだろう。
【0054】
本明細書中に記載するゾルゲルを用いることにより、光パターン形成された構造を基板上で形成することができる。ある実施形態において、光パターン形成された構造を基板上で作製する方法が提供され、該方法は、基板の少なくとも一部の上にゾルゲルをコーティングすることにより、フィルムを形成する最初の工程を包含し、ここで、該ゾルゲルは、上に記載したような、式(I)の繰り返し単位または式(Ia)の繰り返し単位を含む。ゾルゲルフィルムがコーティングされた後、それを低温でソフトベークすることにより、溶媒を除去することができる。本明細書中で使用されるとき、用語「ソフトベーク」とは、ゾルゲルフィルム中の溶媒の少なくとも一部を蒸発させる目的の加熱操作のことを意味し、ここで、加熱条件は、ゾルゲルフィルムが曲げられない程度まで硬化せず、軟らかいままであるのに十分に低い温度および時間である。
【0055】
次いで、ゾルゲルフィルムは、マスクで覆われ得る。マスクは、ゾルゲルフィルムの上方に置かれ、好ましくは、パターンデザインを規定する少なくとも1つの開口部を有する。任意の適切なマスキング手法およびマスキング材料を使用することにより、マスクを適用することができる。マスクは、ゾルゲルフィルムの覆われた領域を光による照射から保護する。覆われていない領域、例えば、マスクにおける開口部に隣接するゾルゲルの領域は、光に露光され得、照射によって不溶性になり得る。
【0056】
マスクを置き、パターンの所望の輪郭が作られた後、ゾルゲルフィルムの覆われていない領域の少なくとも一部が、そのマスクにおける少なくとも1つの開口部を通して紫外線(U.V.)照射に露光されることにより、フィルムの露光された部分を、フィルムの厚み全体にわたって、選択される溶媒に対して不溶性にすることができる。次いで、ゾルゲルフィルムを、選択された溶媒中で洗浄することにより、例えば、溶解することによって、フィルムの露光されていない部分を除去することができる。次いで、ゾルゲルフィルムの溶解した部分が除去され得るので、所望のゾルゲルフィルムパターンが残る。残ったゾルゲルフィルムパターンを、真空オーブン内において高温でフィルムをハードベークすることによって、硬化させることができる。ハードベークは、ソフトベーク工程から残留していたいずれの溶媒もさらに除去することができる。本明細書中で使用されるとき、用語「ハードベーク」とは、ゾルゲル材料のさらなる重合および基板へのゾルゲル材料の付着を達成するために十分な時間および温度における加熱操作のことを意味する。
【0057】
光パターン形成された構造を基板上に形成するために様々なタイプの基板が使用され得る。ある実施形態において、基板は、シリコンウエハを含む。シリコンウエハは、ゾルゲル組成物が基板上で形成される前に、緩衝層を供え得る。ある実施形態において、シリコンウエハは、SiO緩衝層を含む。緩衝層は、任意の所望の程度の厚みまで、基板上で熱成長させられ得る。例えば、緩衝層は、約3μm〜約20μmの範囲の厚みを有し得る。ある実施形態において、緩衝層は、約4μm〜約10μmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、緩衝層は、約10μm〜約15μmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、緩衝層は、約16μm〜約20μmの範囲の厚みを有する。
【0058】
緩衝層に加えて、追加の層が、シリコンウエハの上面上に提供され得る。ある実施形態において、シリコンウエハは、SiO緩衝層の上方に(例えば、接触してその上に)金属層をさらに含む。有用な金属層としては、Au、Ag、Cu、Ti、Al、Cr、Moならびにそれらの組み合わせおよび合金が挙げられるが、これらに限定されない。ゾルゲル組成物は、シリコンウエハの上方、緩衝層の上方、または緩衝層の上面上の金属層の上方に、堆積させられ得る。
【0059】
基板は、ガラスも含み得る。ガラスは、様々な厚みの追加の緩衝層および/または金属層も有し得る。ある実施形態において、ガラスは、金属層をさらに含む。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、Ti、Al、CrまたはMoから選択される。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、モリブデンである。
【0060】
ガラスの上方に堆積させられる金属層の厚みは、変動し得る。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約50nm〜約700nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約200nm〜約500nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約50nm〜約150nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約150nm〜約250nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約250nm〜約350nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約350nm〜約450nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約450nm〜約550nmの範囲の厚みを有する。ある実施形態において、ガラスの上方に堆積させられる金属層は、約550nm〜約700nmの範囲の厚みを有する。
【0061】
以下の説明は、高屈折率の構成要素(例えば、式(VI)に記載のモノマーおよび式(VIa)に記載のモノマー)を合成するための合成経路を例示するものである。すなわち、9−トリメトキシシリルアントラセンの合成の2つの方法、9−トリエトキシシリルアントラセンの合成の1つの方法、ピレニルトリエトキシシランの合成の1つの方法、ビスピレニルジエトキシシランの合成の1つの方法、ならびにペリレントリエトキシシランおよびペリレンジ−トリエトキシシランの合成の1つの方法が、例示される。
【0062】
合成A:9−トリメトキシシリルアントラセン
以下において、本発明者らは、9−トリメトキシシリルアントラセンについての合成手順を説明する。示される合成は、アントラセンの9位における置換を含むが、同様の合成方法を用いることにより、アントラセン環上の他の位置において置換することができる。
【化12】

【0063】
150mlの無水エーテル中の9−ブロモアントラセン(6.7g,20mmol)の溶液に、t−BuLi(13mL,1.7M,22mmol)を、激しくかき混ぜながら、Ar下、−78℃において注射器によってゆっくり加えた。−78℃において30分間かき混ぜた後、その混合物を室温までゆっくり温め、室温において4時間かき混ぜ続けた。次いで、その混合物を−78℃に冷却し戻して、テトラメトキシシラン(Si(OMe))(5ml,36mmol)を注射器によって加えた。生じた混合物を、Ar下、室温で3日間かき混ぜ続けながら、再度室温までゆっくり温めた。
【0064】
反応混合物を、冷却された飽和塩化アンモニウム(水溶液)/ヘキサン(150ml/100ml)によって抽出した。有機相を回収し、無水MgSOで乾燥し、濾過した。有機溶媒および過剰の未反応Si(OMe)を、減圧下、40℃(水浴)においてロータリーエバポレーターによって除去することにより、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物をn−ヘキサンに溶解し、最初に、出発物質の9−ブロモアントラセン(回収されるべきもの)を除去するヘキサン、続いてヘキサン/酢酸エチル(30:1/v:v)によって溶出される短いシリカ−ゲルカラムに供することにより、生成物の9−トリメトキシシリルアントラセンを淡黄色固体として得て、それは、必要であれば、ヘキサンからの再結晶または蒸留によってさらに精製することができる。
【0065】
合成B:9−トリメトキシシリルアントラセン
以下において、本発明者らは、9−トリメトキシシリルアントラセンについての別の合成手順を説明する。示される合成は、アントラセンの9位における置換を含むが、同様の合成方法を用いることにより、アントラセン環上の他の位置において置換することができる。
【化13】

【0066】
150mlの無水エーテル中の9−ブロモアントラセン(6.7g,20mmol)の溶液に、t−BuLi(13mL,1.7M,22mmol)を、激しくかき混ぜながら、Ar下、−78℃において注射器によってゆっくり加えた。−78℃において30分間かき混ぜた後、その混合物を室温までゆっくり温め、室温において4時間かき混ぜ続けた。次いで、その混合物を−78℃に冷却し戻して、トリエトキシシリルクロライド(ClSi(OMe))(5ml,36mmol)を注射器によって加えた。生じた混合物を、Ar下、室温で3日間かき混ぜ続けながら、再度室温までゆっくり温めた。
【0067】
反応混合物を、冷却された飽和塩化アンモニウム(水溶液)/ヘキサン(150ml/100ml)によって抽出した。有機相を回収し、無水MgSOで乾燥し、濾過した。有機溶媒および過剰の未反応Si(OMe)を、減圧下、40℃(水浴)においてロータリーエバポレーターによって除去することにより、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物をn−ヘキサンに溶解し、最初に、出発物質の9−ブロモアントラセン(回収されるべきもの)を除去するヘキサン、続いてヘキサン/酢酸エチル(30:1/v:v)によって溶出される短いシリカ−ゲルカラムに供することにより、生成物の9−トリメトキシシリルアントラセンを淡黄色固体として得て、それは、必要であれば、ヘキサンからの再結晶または蒸留によってさらに精製することができる。
【0068】
合成C:9−トリエトキシシリルアントラセン
以下において、本発明者らは、9−トリエトキシシリルアントラセンについての合成手順を説明する。示される合成は、アントラセンの9位における置換を含むが、同様の合成方法を用いることにより、アントラセン環上の他の位置において置換することができる。
【化14】

【0069】
150mlの無水エーテル中の9−ブロモアントラセン(6.7g,20mmol)の溶液に、t−BuLi(13mL,1.7M,22mmol)を、激しくかき混ぜながら、Ar下、−78℃において注射器によってゆっくり加えた。−78℃において30分間かき混ぜた後、その混合物を室温までゆっくり温め、室温において4時間かき混ぜ続けた。次いで、その混合物を−78℃に冷却し戻して、テトラエトキシシラン(Si(OEt))(5ml,36mmol)を注射器によって加えた。生じた混合物を、Ar下、室温で3日間かき混ぜ続けながら、再度室温までゆっくり温めた。
【0070】
反応混合物を、冷却された飽和塩化アンモニウム(水溶液)/ヘキサン(150ml/100ml)によって抽出した。有機相を回収し、無水MgSOで乾燥し、濾過した。有機溶媒および過剰の未反応Si(OEt)を、減圧下、40℃(水浴)においてロータリーエバポレーターによって除去することにより、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物をn−ヘキサンに溶解し、最初に、出発物質の9−ブロモアントラセン(回収されるべきもの)を除去するヘキサン、続いてヘキサン/酢酸エチル(30:1/v:v)によって溶出される短いシリカ−ゲルカラムに供することにより、生成物の9−トリエトキシシリルアントラセンを淡黄色固体として得て、それは、必要であれば、ヘキサンからの再結晶または蒸留によってさらに精製することができる。
【0071】
合成D:ピレニルトリエトキシシラン
以下において、本発明者らは、ピレニルトリエトキシシランについての合成手順を説明する。
【化15】

【0072】
50mlの一首丸底フラスコに、3.29g(11.7mmol)のブロモピレンを加えた。このフラスコにゴム隔膜で栓をし、注射針に適合させた真空ラインを介して真空にした。次いで、その針を取り除いた。出発物質が溶解するまで(約35〜40mL)、両頭針を介してその反応フラスコにTHFを入れた。Arを装填されたバルーンを用いて、不活性雰囲気を導入した。この溶液を−78℃に冷却し、ヘキサン中の8.0mL(12.7mmol)のn−ブチルリチウムを5分間にわたって滴下した。
【0073】
この黄色懸濁液を−78℃において40分間かき混ぜ、次いで、新しくCaHから蒸留された10g(50.3mmol)のトリエトキシクロロシランを、注射器を介して手早く加えた。色が消失し、すぐに固体が溶液になった。反応混合物を自然に室温まで温め、一晩かき混ぜた。過剰のトリエトキシクロロシランを、10mlの絶対無水エタノールで処理することによってクエンチし、回転蒸発によって除去した。生じた油状物を25mLの溶出溶媒に溶かし、濾過することにより、LiBrを除去し、大量のシリカゲルを含むカラムに加えた。1:1ヘキサン:ジクロロメタン(R0.5)を用いて、そのカラムを溶出し、蒸発させることにより、かすかに黄色の油状物を得た。
【0074】
ピレニルトリエトキシシラン。収量2.7g(63%).H−NMR(400MHz,1,1,2,2−テトラクロロエタン):δ=8.61(d;J=9.1Hz;1H),8.47(d;J=7.7Hz;1H),8.24−8.04(m;7H),3.90(q;6H),1.26(t;9H).
【0075】
合成E:ビスピレニルジエトキシシラン
以下において、本発明者らは、ビス(ピレニル)ジエトキシシランについての合成手順を説明する。
【化16】

【0076】
50mlの一首丸底フラスコに、3.73g(13.3mmol)のブロモピレンを加えた。このフラスコにゴム隔膜で栓をし、注射針に適合させた真空ラインを介して真空にした。次いで、その針を取り除いた。出発物質が溶解するまで(約35〜40mL)、両頭針を介してその反応フラスコにTHFを入れた。Arを装填されたバルーンを用いて、不活性雰囲気を導入した。この溶液を−78℃に冷却し、ヘキサン中の9.0mL(14.5mmol)のn−ブチルリチウムを5分間にわたって滴下した。
【0077】
この黄色懸濁液を−78℃において40分間かき混ぜ、次いで、新しくCaHから蒸留された1.32g(6.65mmol)のトリエトキシクロロシランを、注射器を介して手早く加えた。色が消失し、すぐに固体が溶液になった。反応混合物を自然に室温まで温め、一晩かき混ぜた。過剰のトリエトキシクロロシランを、10mlの絶対無水エタノールで処理することによってクエンチし、回転蒸発によって除去した。生じた油状物を25mLの溶出溶媒に溶かし、濾過することにより、LiBrを除去し、大量のシリカゲルを含むカラムに加えた。4:1→3:1→2:1ヘキサン:ジクロロメタンという勾配を用いて、生成物を溶出した。蒸発の後、白色固体が得られた。
【0078】
ビスピレニルジエトキシシラン。収量1.8g(53%).H−NMR(400MHz,1,1,2,2−テトラクロロエタン):δ=8.64(t;J=7.7Hz;4H),8.23(d;J=7.7Hz;2H),8.18(d;J=7.0Hz;2H),8.14−8.10(m;6H),8.00−7.95(m;4H),3.96(q;4H),1.32(t;6H).MS(直接導入EI):m/z(%)=520(100)[M],521(39),522(11).
【0079】
合成F:ペリレントリエトキシシランおよびペリレンジ−トリエトキシシラン
以下において、本発明者らは、ペリレントリエトキシシランおよびペリレンジ−トリエトキシシランについての合成手順を説明する。
【化17】

【0080】
「Organic electroluminescent device」と題されるOhらによる欧州特許出願EP1,317,005A2(この内容の全体は参照により本明細書中に組み込まれる)における実施例1に記載されている条件に20g(80.0mmol)のペリレンを供することによって、まず、3−ブロモペリレンと3,9−ジブロモペリレンとの混合物(混合物M)を生成する。その20gのペリレンをDMFに溶解し、次いで、そのペリレンが消費されるまで、DMFに溶解したN−ブロモスクシンイミド(NBS)を滴下した。そのペリレンの消費は、約12.4gのN−ブロモスクシンイミドを加え、その溶液をかき混ぜた後に生じた。その反応によって、それぞれおよそ2:3の比であって、総重量約19.6gの3−ブロモペリレンと3,9−ジブロモペリレンとの分離できない混合物が生じた。
【0081】
次いで、17.0gの混合物Mを一首丸底フラスコに入れ、不活性雰囲気下において1.3Lの乾燥テトラヒドロフランに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、ヘキサン中の103mL(165mmol)のn−ブチルリチウムを加えた。この懸濁液を−78℃において3時間かき混ぜた後、50mL(256mmol)のトリエトキシクロロシランを加えた。反応混合物をドライアイス浴から取り出し、自然に室温にし、次いで、一晩かき混ぜた。反応混合物を、2Lの氷冷ジエチルエーテルを含む分液漏斗に注ぎこんだ。この溶液を、2Lの水における4gのNaOHの氷冷溶液で洗浄した。有機相を氷冷水で洗浄した後、氷冷ブラインで洗浄した。次いで、有機相をNaSOで乾燥し、蒸発させることにより、暗赤色油状物を得た。この油状物を、シリカゲル固定相および1:1トルエン:ジクロロメタン移動相を用いるカラムクロマトグラフィによって精製することにより、3−トリエトキシシリルペリレン(A)(R=0.5)および3,9−ビス(トリエトキシシリル)ペリレン(B)(R=0.2)を、それぞれ黄色粉末および固体と平衡状態の赤色油状物として得た。
【0082】
3−トリエトキシシリルペリレン。収量=3.7g(推定50%).H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.23(m;5H),7.98(m;1H),7.71(t;J=8.8Hz;2H),7.50(m;3H),3.92(q;6H),1.26(t;9H).
【0083】
3,9−ビス(トリエトキシシリル)ペリレン。収量=4.5g(推定29%).H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.30−8.17(m;6H),8.00(dd;J=7.69、J=1.83;2H),7.55(td;J1=8.42、J2=2.2),3.90(q;12H),1.24(t;18H).
【実施例】
【0084】
式(V)、(VI)および/または(VII)の様々なモノマーを組み合わせ、本明細書中に記載する製造工程を用いることによって、式(I)の繰り返し単位を含む様々なゾルゲル組成物を形成した。式(V)のモノマーを、ビスペンタフルオロフェニルジメトキシシラン(BPFPhDMS)、ブロモフェニルトリメトキシシラン(BrPhTMS)、ブロモアントラセニルトリエトキシシラン(BrAnTES)およびペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPhTES)から選択した。式(VI)のモノマーを、9−トリメトキシシリルアントラセン(9−TMSA)、ナフチルトリメトキシシラン(NaphTMS)、フェナントレニルトリエトキシシラン(PhenTES)、ピレニルトリエトキシシラン(PyrTES)、ビス(ピレニル)ジエトキシシラン(BPyrDES)、ペリレニルトリメトキシシラン(peryTES)および3,9−ビス(トリエトキシシリル)ペリレン(BTESPer)から選択した。式(VII)のモノマーは、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ(MAPTMS)だった。
【0085】
以下の実施例において例示されるように、ゾルゲル組成物中の、光架橋性基を含むシロキサン単位、芳香族基を含むシロキサン単位、および1つ以上のハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基を含むシロキサン単位のmolパーセントは、式(V)、(VI)および(VII)のモノマーの最初の割り当てを変更することによって、変動させることができる。これらの実施例では9−トリメトキシシリルアントラセンを用いるが、1−トリメトキシシリルアントラセン、2−トリメトキシシリルアントラセン、9−トリメトキシシリルアントラセンおよびそれらの組み合わせを用いることができ、それらは同様の特性をもたらすことができることも企図される。ゆえに、アントラセニルトリメトキシシランの任意の異性体または異性体の組み合わせを使用することができる。
【0086】
実施例1
1.047gの9−トリメトキシシリルアントラセンおよび0.871gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。この実施例および他のすべての実施例において、必要とされるフィルムの目標の厚みに応じて、その混合物から溶媒が除去され得るか、または追加の溶媒が加えられ得る。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.060gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0087】
実施例2
0.628gの9−トリメトキシシリルアントラセン、0.596gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.871gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0088】
実施例3
0.628gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.191gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.523gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0089】
実施例4
0.419gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.489gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.523gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0090】
実施例5
0.628gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.786gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.174gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0091】
実施例6
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、0.823gのペンタフルオロフェニルトリエトキシシランおよび0.833gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0092】
実施例7
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.646gのペンタフルオロフェニルトリエトキシシランおよび1.3gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0093】
実施例8
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.290gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.833gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0094】
実施例9
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、0.615gのブロモフェニルトリメトキシシランおよび1.38gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0095】
実施例10
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.230gのブロモフェニルトリメトキシシランおよび0.833gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0096】
実施例11
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、0.977gのビフェニルトリメトキシシランおよび1.380gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0097】
実施例12
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.984gのビフェニルトリメトキシシランおよび1.380gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0098】
実施例13
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、0.556gのナフチルトリメトキシシランおよび1.380gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gmlの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0099】
実施例14
1gの9−トリメトキシシリルアントラセン、1.112gのナフチルトリメトキシシランおよび0.833gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0100】
実施例15
1gのフェナントレニルトリエトキシシラン、0.406gのブロモフェニルトリメトキシシラン、0.312gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.556gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0101】
実施例16
1gのフェナントレニルトリエトキシシラン、0.840gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび1.240gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0102】
実施例17
1.021gのフェナントレニルトリエトキシシランおよび0.744gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0103】
実施例18
1.495gのナフチルトリメトキシシランおよび1.508gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.750gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0104】
実施例19
1.489gのナフチルトリメトキシシラン、0.833gのブロモフェニルトリメトキシシラン、0.654gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび1.112gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.791gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0105】
実施例20
0.998gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.320gのブロモフェニルトリメトキシシラン、0.254gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.442gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.560gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0106】
実施例21
0.503gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.085gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.149gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.266gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0107】
実施例22
0.419gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.169gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.149gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.222gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0108】
実施例23
0.750gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.145gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランを、0.400gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた後、スピンコーティングした。
【0109】
実施例24
0.750gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.170gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランを、0.400gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた後、スピンコーティングした。
【0110】
実施例25
0.629gのブロモアントラセニルトリエトキシシラン、0.424gのビスペンタフルオロフェニルジメトキシシランおよび0.620gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.333gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0111】
実施例26
0.370gのピレニルトリエトキシシラン、0.196gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.413gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.198gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.020gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0112】
実施例27
0.364gのピレニルトリエトキシシラン、0.096gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.497gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.193gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.020gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0113】
実施例28
0.486gのピレニルトリエトキシシラン、0.096gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.414gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.486gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.020gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0114】
実施例29
0.364gのピレニルトリエトキシシラン、0.047gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.122gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.193gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.020gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0115】
実施例30
0.312gのピレニルトリエトキシシラン(90:10)および0.024gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.138gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.010gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0116】
実施例31
0.874gのビス(ピレニル)ジエトキシシラン、0.322gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.690gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.530gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0117】
実施例32
0.388gのビス(ピレニル)ジエトキシシラン、0.053gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.230gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.233gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.020gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0118】
実施例33
0.364gのビス(ピレニル)ジエトキシシラン、0.040gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび0.138gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.022gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.010gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0119】
実施例34
1.036gのペリレニルトリエトキシシラン、0.482gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび1.035gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.549gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.010gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0120】
実施例35
1.442gの3,9−ビス(トリエトキシシリル)ペリレン、0.482gのペンタフルオロフェニルトリメトキシシランおよび1.035gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、0.549gの(0.01N)HCl水溶液と混合し、得られた混合物を周囲条件において12時間かき混ぜることによって、ゾルゲル組成物を調製した。その溶液を室温において数時間熟成させた。次いで、0.080gの量の光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンをその混合物に加え、その溶液を2時間かき混ぜた後、スピンコーティングした。
【0121】
屈折率
実施例において上に提供した様々なゾルゲル組成物の屈折率を、Metricon Prismカプラーを用いて測定した。ゾルを、1000rpmでシリコンウエハ上にスピンコートし、フィルムを形成した。次いで、そのゾルゲルフィルムを150℃において2時間硬化させた後、屈折率を測定した。これは、1310および1550nmにおける薄膜の屈折率の評価のために使用される標準的な方法である。屈折率の測定の結果を表1と表2の両方に示す。
【0122】
光損失
実施例において上に提供した様々なゾルゲル前駆体について得られる光損失データを、液体プリズム手法を用いて測定した。CC.Teng,Appl.Opt.,32,1051(1993)を参照のこと。この方法は、Siウエハ上にコーティングされたゾルゲルフィルムの変換(translation)を含む。フィルムを、市販の屈折率整合流体に浸漬した。プリズムを用いて光をフィルムに集め、その光をフィルムの界面で反射させ、フィルムによって横切られる距離の関数として屈折率整合液体をモニターする。検量線に当てはめる手順を用いて、測定値から光損失を推定する。ゾルゲルを、1000rpmでシリコンウエハ(少なくとも2”の長さ)上にスピンコートした。次いで、そのフィルムを150℃において2時間から一晩硬化させた後、損失を測定した。光損失の測定の結果を表1に示す。
【0123】
表1と2の両方に示されている数値およびパーセントは、ゾルゲルにおいて繰り返し単位を形成するモノマー前駆体のmolパーセントを表している。
【表1】

9−ATMS:9−トリメトキシシリルアントラセン
MAPTMS:メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
BPFPhDMS:ビスペンタフルオロフェニルジメトキシシラン
【表2】

NaphTMS:ナフチルトリメトキシシラン
BrPhTMS:ブロモフェニルトリメトキシシラン
PhenTES:フェナントレニルトリエトキシシラン
BrAnTES:ブロモアントラセニルトリエトキシシラン
PyrTES:ピレニルトリエトキシシラン
BpyrDES:ビス(ピレニル)ジエトキシシラン
PeryTES:ペリレニルトリメトキシシラン
BTESPer:3,9−ビス(トリエトキシシリル)ペリレン
PFPhTMS:ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン
9−ATMS:9−トリメトキシシリルアントラセン
MAPTMS:メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
BPFPhDMS:ビスペンタフ
【0124】
電気伝導度
図1は、ゾルゲル組成物を含むウエハの実施形態およびどのように電気伝導度を測定することができるかを図示している。構造10は、ガラスなどの基板12を含み、その基板は、その上に堆積させられたモリブデンなどの金属層14を有する。ゾルゲル組成物16を、金属層14の上面上にスピンコートし、ゾルゲルフィルムを150℃において2時間硬化させた後、伝導度を測定することができる。次いで、金などの第2金属層18を、スパッタリングによってそのゾルゲル組成物の上方に形成する。電圧計19からの導線を、金属層14(下の電極)および金属層18(上の電極)を介してサンプルに接続することができる。
【0125】
図1に示される実験装置を用いて、室温と最大150℃の温度の関数としての両方においてバイアス電圧を印加することによって、下に記載する電流測定を3つのサンプル(上に記載した実施例1〜3)に対して行った。図2および3において、実施例1についての測定値は、Anth50MAP50によって表されており、実施例2の測定値は、Anth30BPF20MAP50によって表されており、実施例3の測定値は、Anth30BPF40MAP30によって表されている。図2は、室温(約21℃)におけるバイアス電圧の関数として測定された電流のグラフを示している。図3は、温度(約21〜約150℃)の関数として測定された電流のグラフを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物であって:
【化1】

式中、Rは、光架橋性基であり、Rは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、各nは、独立して、0から約10の範囲の整数であり、xは、1であり、yは、0または1であり、zは、0または1であるが、但し、yまたはzの少なくとも1つは、1である、ゾルゲル組成物。
【請求項2】
前記組成物が、あるモルパーセントの、式(II)の繰り返し単位を含み:
【化2】

式中、Rは、光架橋性基であり、nは、0から約10の範囲の整数であり、該式(II)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%から約90mol%の範囲である、請求項1に記載のゾルゲル組成物。
【請求項3】
前記式(II)の繰り返し単位のモルパーセントが、約30mol%から約70mol%の範囲である、請求項2に記載のゾルゲル組成物。
【請求項4】
前記組成物が、あるモルパーセントの、式(III)の繰り返し単位を含み:
【化3】

式中、Rは、ハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、nは、0から約10の範囲の整数であり、該式(III)の繰り返し単位のモルパーセントは、約0mol%から約60mol%の範囲である、請求項1から3のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項5】
前記式(III)の繰り返し単位のモルパーセントが、約10mol%から約30mol%の範囲である、請求項4に記載のゾルゲル組成物。
【請求項6】
前記組成物が、あるモルパーセントの、式(IV)の繰り返し単位を含み:
【化4】

式中、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、nは、0から約10の範囲の整数であり、該式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントは、約10mol%から約90mol%の範囲である、請求項1から5のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項7】
前記式(IV)の繰り返し単位のモルパーセントが、約20mol%から約60mol%の範囲である、請求項6に記載のゾルゲル組成物。
【請求項8】
前記光架橋性基が、メタアクリレートおよびビニルからなる群から選択される、請求項1から7のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項9】
前記光架橋性基が、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシおよびアクリルオキシからなる群から選択され、前記組成物が、ある量の光開始剤をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのハロゲン原子で置換された前記芳香族基が、ブロモアントラセニル基を含む、請求項1から9のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項11】
前記ゾルゲル組成物が、約1300から約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される、約1.45より大きい屈折率および約1.5dB/cm未満の光損失を有する、請求項1から10のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項12】
前記ゾルゲル組成物が、約1300から約1600nmの範囲のテレコミュニケーション波長において測定される、約1.50より大きい屈折率および約1.0dB/cm未満の光損失を有する、請求項1から10のいずれかに記載のゾルゲル組成物。
【請求項13】
(a)2つの有機修飾されたシラン前駆体を酸性水溶液と混合することにより、混合物を形成する工程であって、該シラン前駆体のうちの一方は、式(V)に記載のモノマーであり、他方のシラン前駆体は、式(VI)に記載のモノマーであり:
【化5】

式中、式(V)中のRは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、式(VI)中のRは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、式(V)および(VI)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(V)および(VI)中の各nは、独立して、0から約10の範囲の整数である、工程;
(b)式(V)および(VI)中の−OR基が、少なくとも部分的に加水分解されるまで、該混合物を撹拌する工程;
(c)得られた混合物に第3の有機修飾されたシラン前駆体を加える工程であって、ここで、該第3の有機修飾されたシラン前駆体は、式(VII)に記載のモノマーであって:
【化6】

式中、式(VII)中のRは、光架橋性基であり、式(VII)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(VII)中のnは、0から約10までの整数である、工程;
(d)得られた混合物を撹拌する工程;
(e)工程(d)において形成された混合物にさらなる溶媒を加える工程;および
(f)工程(e)の生成物を熟成させることにより、粘稠性の液体を形成する工程、
を包含する方法に従って調製される、ゾルゲル組成物。
【請求項14】
式(V)、(VI)および(VII)に記載の3つすべての有機修飾されたシラン前駆体が、最初の工程(a)において混合され、撹拌工程(b)において部分的に加水分解されるように、工程(c)を撹拌工程(b)の前の工程(a)に組み合わせる、請求項13に記載のゾルゲル組成物。
【請求項15】
前記光架橋性基が、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシおよびアクリルオキシからなる群から選択され、少量の光開始剤が、工程(e)中に該溶液に加えられる、請求項13または14に記載のゾルゲル組成物。
【請求項16】
(a)2つの有機修飾されたシラン前駆体を酸性水溶液と混合することにより、混合物を形成する工程であって、該シラン前駆体のうちの一方は、式(V)に記載のモノマーであり、他方のシラン前駆体は、式(VI)に記載のモノマーであり:
【化7】

式中、式(V)中のRは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、式(VI)中のRは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、式(V)および(VI)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(V)および(VI)中の各nは、独立して、0から約10までの整数である、工程;
(b)式(V)および(VI)中の−OR基が、少なくとも部分的に加水分解されるまで、該混合物を撹拌する工程;
(c)得られた混合物に第3の有機修飾されたシラン前駆体を加える工程であって、ここで、該第3の有機修飾されたシラン前駆体は、式(VII)に記載のモノマーであって:
【化8】

式中、式(VII)中のRは、光架橋性基であり、式(VII)中の各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され、式(VII)中のnは、0から約10の範囲の整数である、工程;
(d)得られた混合物を撹拌する工程;
(e)工程(d)において形成された混合物にさらなる溶媒を加える工程;および
(f)工程(e)の生成物を熟成させることにより、粘稠性の液体を形成する工程
を包含する、ゾルゲル組成物を形成する方法。
【請求項17】
式(V)、(VI)および(VII)に記載の3つすべての有機修飾されたシラン前駆体が、最初の工程(a)において混合され、撹拌工程(b)において部分的に加水分解されるように、工程(c)を撹拌工程(b)の前の工程(a)に組み合わせる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光架橋性基が、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシおよびアクリルオキシからなる群から選択され、少量の光開始剤が、工程(e)中に該溶液に加えられる、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
光パターン形成された構造を基板上で作製する方法であって:
(a)該基板の少なくとも一部の上にゾルゲルをコーティングすることにより、フィルムを形成する工程であって、ここで、該ゾルゲルは、式(I)の繰り返し単位を含み:
【化9】

式中、Rは、光架橋性基であり、Rは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり、各nは、独立して、0から約10までの整数であり、xは、1であり、yは、0または1であり、zは、1である、工程;
(b)該フィルムをソフトベークすることにより、ゾルゲルフィルムを形成する工程;
(c)該ゾルゲルフィルムの上方にマスクを置く工程であって、ここで該マスクは、パターンデザインを規定する少なくとも1つの開口部を含む、工程;
(d)該マスクにおける該少なくとも1つの開口部を通して、該ゾルゲルフィルムの少なくとも一部を紫外線に露光することにより、該フィルムの露光される部分を、該フィルムの厚み全体にわたって、選択される溶媒に対して不溶性にする、工程;
(e)該選択される溶媒を用いて、該フィルムの露光されない部分を洗浄することによって除去する工程;および
(f)該フィルムを減圧下においてハードベークする工程
を包含する、方法。
【請求項20】
前記基板が、SiO緩衝層を含むシリコンウエハである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記SiO緩衝層が、約3μmから約20μmの範囲の厚みを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シリコンウエハが、前記SiO緩衝層の上方に金属層をさらに含み、該金属層が、Ti、Al、CrまたはMoから選択される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板が、モリブデン金属層をさらに含むガラスを含む、請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記モリブデン金属層が、約50nmから約700nmの範囲の厚みを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(VIa)に記載の化合物を含むゾルゲル前駆体であって:
【化10】

式中、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり;
は、−OR、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり;
各Rは、低級アルキル基であるように独立して選択され;
mおよびnは、各々独立して、0から約10の範囲の整数であるように選択される、
ゾルゲル前駆体。
【請求項26】
前記化合物が、アントラセニルトリメトキシシラン、フェナントレニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ピレニルトリメトキシシラン、ビス(ピレニル)ジメトキシシラン、ビス(ピレニル)ジエトキシシラン、ペリレニルトリエトキシシランおよびペリレニル3,9−ビス(トリエトキシシラン)からなる群から選択される、請求項25に記載のゾルゲル前駆体。
【請求項27】
式(Ia)の繰り返し単位を含むゾルゲル組成物であって:
【化11】

式中、Rは、光架橋性基であり、Rは、少なくとも1つのハロゲン原子またはジュウテリウム原子で置換された芳香族基であり、Rは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり;
は、−OR、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、キノリニル、テトラセニル、ペリレニルおよびペンタセニルからなる群から選択される芳香族基であり;
Rは、低級アルキル基であり;
mおよび各nは、独立して、0から約10の範囲の整数であり、xは、1であり、yは、0または1であり、zは、0または1であるが、但し、yまたはzの少なくとも1つは、1である、
ゾルゲル組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−518237(P2011−518237A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501852(P2011−501852)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033459
【国際公開番号】WO2009/120410
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】