説明

高度不けん化物およびそれを用いる方法

植物からの抽出物のような高レベルの不けん化物質を含む材料は、独特の特性を有する加水分解産物となる。加水分解プロセスを材料、特に高レベルの不けん化物(例えば、材料の総重量で少なくとも6%)を含む材料に行うと、6重量%未満の不けん化物を含む材料を従来のようにけん化することにより得られる生成物と有意に異なる特性を備えた生成物を生じることが見出されている。本発明を実施することから得られる加水分解産物は、表面持続性があり、皮膚および毛髪から物理的に除去することおよび水に基づいて除去することの両方に抵抗性であり、極めて独特の界面活性剤特性を示し、水との発泡剤ではない。従って、余分なアルカリ金属水酸化物を本発明によるこれらの加水分解産物に加えることを用いて、酸性ゲル化剤を中和することができ、従って、化粧品および医薬品のための性能を高めたゲルを生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、天然材料由来の物質または天然材料の抽出物の新規な組成物に関する。詳細には、本発明は、比較的高レベルの不けん化材料(以下に定義する)を有する天然成分由来の組成物およびそれを用いてゲル化剤を活性化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
植物性および動物性脂肪は、一般に、長鎖脂肪酸およびグリセリンのエステルを含む有機脂質材料である。特定の条件下では、これらのエステルは、水と反応して(加水分解)アルコール(グリセリン)および脂肪酸を形成する。(加水分解では、水および酵素、酸または塩基を加えることにより化合物が分割されて構成成分になる。)加水分解反応の結果は、「加水分解産物」として知られる。アルカリ性水酸化物を存在させて上に述べたエステルを加熱すると、石けん(脂肪酸のアルカリ塩)およびグリセリンが生じる。この特別な加水分解プロセスをけん化という。「けん化」および「けん化すること」は、本明細書で普通に用いる場合、ワックス、油または脂肪とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を反応させて対応する金属塩石けんを形成する加水分解反応を意味する。これらの脂肪および油のけん化値は、遊離有機酸および/または有機酸エステル1グラムを完全にけん化するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。
【0003】
けん化後生成物は、親水性(水溶性)となることも疎水性(水不溶性)となることもある。本明細書では、「不けん化物」という用語を用いて、けん化反応が完了した後にも水不溶性のままである材料を意味することにする。これは、不けん化材料を、通常の苛性処理によりけん化することができないが、普通の脂肪および油に可溶性である脂肪および油の構成成分として見出されることが多い物質であると定義するA.O.C.S.(米国油脂化学協会)公式方法Ca6b−53に完全に一致する。不けん化材料群には、高級脂肪族アルコール、ステロール、色素、鉱物油、および炭化水素がふくまれるが、これに限定されない。不けん化材料は、一般に103℃で不揮発性である。物質中の不けん化材料の重量パーセントは、不けん化物と定義される材料の重量パーセントを測定することにより直接測定することができる。
【0004】
最もよく知られている植物性および動物性脂質は、低レベル、すなわち5パーセント未満(<5%)の不けん化材料を有する。これは、けん化反応生成物の殆どが水溶性であることを意味する。よく用いられる植物油の不けん化材料のレベルは、一般に1%未満である。例えば、ダイズ油をけん化すると、0.7重量パーセントの不けん化材料が残り、オリーブ油をけん化すると1.2重量パーセントの不けん化材料が残り、ピーナッツ油をけん化すると0.4重量パーセントの不けん化材料が残る。しかし、いくつかの市販の油は、6.0重量パーセントまでの不けん化材料ほどの高濃度の不けん化物生成物を含む。例として、未精製米ぬか油、4.2%不けん化物、未精製小麦胚芽油、6%不けん化物、シアバター、9〜13%不けん化物が挙げられる。シアバターのような高レベルの不けん化物を含む材料は、けん化反応後に大量の不けん化材料が残るため、石けんを生成するための好ましい開始材料ではない。
【0005】
殆どの場合、けん化プロセスの加水分解生成物は、衛生皮膚清浄剤(石けん)のような単一の目的のためには単独で用いられる。従来、石けんの基本成分は、動物性脂肪(ラードまたは獣脂としても知られる)であり、けん化プロセスに木灰ベースのあくを用いた。理想的には、石けんバーは、使用期間を最大にするのに適切な硬度を有し、非使用時の水再吸収にある程度の抵抗性を有するが、同時に、十分な泡を生成して(発泡剤として働く)石けんの洗浄能力を高める。動物性脂質は、石けん製造プロセスの活性材料としては一般に、このような使用者の要求事項を程度の差はあっても満たすことになる。現行の石けん生成では、消費者の要求事項および生成に必要な事項を満たすために、製品は依然として動物性脂肪に大きく依存しているが、多くの異なる種類の合成材料も石けん組成物に用途が見いだされ始めている。種々の合成化合物および化合物の混合物は、これらにより石けん品質および使用者の満足度が高まるため、現代石けん製造技術では極めて人気のある添加剤となっている。しかし、これらの合成に基づく石けんは、一般に、自然分解プロセス(即ち生物分解性)に抵抗性があり、従って環境で比較的難分解性である。
【0006】
石けん製造プロセスには、基本的に2つの異なる種類がある。第1の方法では、油および脂肪を苛性アルカリ溶液とともに開放反応釜に入れて沸騰させ、脂肪および油の全てが完全にけん化されるまで徐々にけん化させ、その後、グリセリンを除去する。このプロセスは、バッチ法で行うこともでき、連続プロセスで行うこともできる。
【0007】
典型的には連続的方法である(しかしバッチ法で行うこともできる)第2の方法では、脂肪酸およびアルカリを適切な比率で混合弁またはそれらを密接に接触させる他の装置内に入れ、完全にけん化する。けん化の進行は、温度、接触時間および混合効率に依存する。これらの方法により生成された濃縮溶液は、「純」石けんと呼ばれ、濃度60〜65%の石けん、約35%の水および微量の塩およびグリセリンを有する。この生成物から、まず純石けんを乾燥して含水量が約12〜16%のペレットにし、その後、粉砕、プロッディング、アマルガム化等のような仕上げ工程によりバー、フレーク、顆粒および粉末の形の消費者石けんが生成される。
【0008】
今日の消費者バー石けんは、ココナツ油および/または獣脂またはその脂肪酸から製造される。経済的な理由でココナツ油の代わりにパーム核油が用いられることもあり、パーム核油で調製された石けんは、代替物を用いない獣脂/ココナツ処方と同様に性能特性を調節される。また、パーム油は、獣脂の代わりに用いられることも多い。
【0009】
石けん製造のための材料を選択するときに考慮する点は、飽和脂肪酸対不飽和脂肪酸比、長鎖脂肪酸対短鎖脂肪酸比を適切にすることであり、これにより、石けんが、安定性、溶解性、泡立ちのよさ、硬度、洗浄能力等の望ましい品質を有することになる。混合物中の脂肪酸の大部分が12原子未満の炭素鎖を有する脂肪酸混合物から調製された石けんは皮膚に刺激があることが確認されている。飽和C16およびC18脂肪酸で調製された石けんは、典型的には、消費者の用途には不溶性が大きすぎる。従って、石けん生成に好ましい材料の脂肪酸鎖の長さは、12〜18の炭素原子の長さである。
【0010】
獣脂のけん化により、C14:0、C16:0、C18:0、およびC18:1脂肪酸(それぞれミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸)の混合物で構成された石けんが生成され、ココナツ油のけん化により、C12:0およびC14:0脂肪酸(それぞれラウリン酸およびミリスチン酸)および有意な量のC8:0およびC10:0脂肪酸の混合物で構成される石けんが生成される。消費者石けんの調製では、獣脂/ココナツ(T/C)比が、通常、ほぼ90:10〜75:25の範囲である。ラウリン酸は、T/C混合物のココナツ分画にのみ見出されるため、T/C混合物のココナツ分画のパーセントが増大するときに観察される最も劇的な変化はラウリン酸の増大である。T/C脂肪酸を含む石けん内のココナツ分画が増大すると、一般に、このような石けんの望ましい発泡特性が改善する。しかし、T/C比が50:50の石けんでは、望ましい皮膚への低刺激性特性が減少する。
【0011】
主な石けん製造構成成分の典型的な脂肪酸分布(重量パーセント)を以下に示す。
【0012】
【表1】

【0013】
表から、ココナツおよびパーム核脂肪(両方ともラウリン脂肪として知られる)は、特に、C10〜14飽和脂肪酸、特にラウリン酸自身の誘導体が豊富であることがわかる。ココナツ油に類似する飽和の比較的短鎖脂肪酸を含む別の脂肪は、ババス油である。これと対照的に、獣脂およびパーム油それ自体は、非ラウリン脂肪、特にC16およびC18脂肪酸を含むものの工業原料である。
【0014】
一般に、長鎖脂肪酸のアルカリ塩、特に費用の高くないC16およびC18の塩(獣脂およびパーム油から得られる)は、完成石けんバーの構造を与え、水に暴露されたときの石けんバーの崩壊を防止または遅延させる。これより高価な短鎖ラウリン脂肪由来(即ち、ラウリン酸塩)および他の可溶性塩(典型的にはココナツおよびパーム核油から得られる)は、組成物全体の起泡特性に寄与する。バー石けんの製剤形態での一般的な問題は、実際的な全体の費用で、構造を与えること(一般に長鎖構成成分から得られる)と起泡特性を維持すること(一般にこれより高価な短鎖構成成分から得られる)との間のバランスを取ることである。
【0015】
脂肪酸塩に加え、石けんバーは、遊離脂肪酸を含むことができる。遊離脂肪酸の添加は、「過脂肪化」として公知である。5〜10%の遊離脂肪酸レベルで過脂肪化すると、多量のクリーム状の泡が生じることが知られている。用いられる他の過脂肪化剤には、クエン酸、および脂肪ブレンド中で遊離脂肪酸の形成を促進することにより機能する他の酸が含まれる。
【0016】
石けんケークの製造では、ベース石けんの100重量部といわれる規定量で、ベース石けんに過剰給脂剤(1〜3重量%)、安定剤(酸化防止剤、錯化剤)(0.05〜0.5重量%)、香料(0.5〜3重量%)および場合によっては染料(0.05〜0.3重量%)のようなよく用いられる添加剤のほか、ソルビトール、グリセリン等(1〜5重量%)のような皮膚保護剤を加えることができる。
【0017】
医薬品および化粧品業界では、最も初期から植物由来の脂肪抽出物が用いられてきた。何年も前に、これらの業界では、特に価値のある生物学的特性は、不けん化材料が豊富な植物性脂肪または植物性脂肪の抽出物を用いることで得られることは明らかになっている。特定の植物性油、例えばアボカド、および、特にシアバターは、特に不けん化材料が豊富でありおよび/またはこれらの不けん化材料を含むことが知られている。
【0018】
化粧品および医薬品組成物に用いるための油、特にシアバターの不けん化物を濃縮するプロセスは、ラウル(Laur)に付与された米国特許第5,679,393号明細書に記載されている。このプロセスでは、結晶化および分画化プロセスにより脂肪および油の不けん化物分画が濃縮される。この方法は高価であり、アルコール部分を開始化合物から遊離させない(加水分解)。従って、ラウルのプロセスおよびその生成物を用いる方法は、加水分解を用いてアルカリ塩および遊離アルコールおよび他の不けん化物を生成するものではない。
【0019】
生命体および非生命体に局所的に加水分解産物を塗布することには、化粧品調製、医薬品、水和製剤、殺虫剤、防虫剤等にわたる清浄以外の多数の分野に用途が見出されている。局所的に塗布される薬剤をさまざまに用いることにより生じる関心のある領域の1つは、局所塗布用活性薬剤が塗布表面に存在する持続時間を最大にすることである(表面持続性(substantivity))。このように強い関心がもたれているため、局所塗布した化粧品、医薬品、および生物活性剤の固定量の持続時間を改善する方法を模索することが、局所塗布した化粧品、医薬品、および生物活性剤を用いる全ての分野で最も重要なことであった。この関心の例は、日焼け止め組成物に関する先行技術に見出すことができる。
【0020】
日光に暴露される人々のほんの少数しか太陽放射の有害作用から保護する天然色素を有さないため、日焼け止め組成物の使用は多くの社会で必要とされている。日光に短時間暴露されただけでも紅斑が現れる人が多いため、紅斑誘発放射、即ち紫外線から保護し、日焼けの危険性を低減して日光に長時間暴露することができるようにする日焼け止め組成物が必要とされている。
【0021】
当技術分野では種々の日焼け止め組成物が公知である。日焼け止め組成物を製剤化する際の傾向の1つは、皮膚に対して耐水性である組成物を調製することである。方法の1つは、紫外線吸収材を化学的に修飾して、米国特許第3,506,758号明細書に記載されているようにイミダゾールを四級化することにより皮膚との相互作用を増大させることである。別の方法は、米国特許第3,529,055号明細書および第3,864,473号明細書に記載されるように紫外線光吸収モノマーを他のモノマーと共重合し、耐水性フィルムを形成することである。更に別の方法は、米国特許第3,784,488号明細書に記載されるように、水不溶性ポリマーでポリマーフィルムを形成することである。
【0022】
架橋エチレン−無水マレイン酸コポリマーの酸の形を用いて紫外線光吸収剤を保持することは、米国特許第3,821,363号明細書に開示されている。弱い水素結合溶媒中で溶解性パラメータが6〜10である水不溶性アクリレートポリマーを用いることは、米国特許第4,172,122号明細書に開示されている。水不溶性でアルコール可溶性のフィルム形成ポリアミド材料は、表面持続性を改善するためだけに米国特許第3,895,104号明細書に開示されている。
【0023】
先行技術の化粧品および他の用途では、これまで、高度不けん化物または長鎖エステル(長さが18炭素より長い)を含む天然由来の材料の加水分解産物に固有の表面持続性を用いて、それが組み込まれる局所塗布剤固有の表面持続性を向上させることは行っていなかった。以前は、先行技術の組成物中にポリマーまたはポリマー材料を用いる目的は、局所材料の皮膚に対する粘着性、即ち表面持続性を改善することに関するものであるか、増粘剤として単独で用いられてきた。他の特性のなかでも、本発明による加水分解産物を用いることにより達成される表面持続性の改善は、これまで先行技術で開示もされていず、正しく評価もされていなかった。
【0024】
局所塗布剤の表面持続性を増大させると、このような材料が更に有効で費用のかからない利用法になる。詳細には、本発明は、皮膚軟化剤、水分保持剤、日焼け止め、口紅、メーキャップ、防虫剤、殺虫剤、毒性農薬、除草剤等を含み、高レベルの不けん化材料を含む少なくとも有効な量の加水分解産物を有する改良組成物を提供する。
【0025】
更に、これらの組成物の多くは、ゲル化剤または増粘剤を用いることが必要である。典型的には、これらの増粘剤は、製剤に含ませる前には酸性水溶液に入れておく。ゲル化または増粘化は、溶液(製剤)のpHがほぼpH5.5〜7.0まで中和されると起こり、ゲル粘性は、pHにより制御される。
【0026】
最もよく用いられる中和剤は、AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)、AMPD(アミノメチルプロパンジオール、TIPA(トリイソプロピルアミン)、DMS(ジメチルステアラミン)、DMHTA(ジメチル水素化獣脂アミン)、TEA(トリエタノールアミン)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、DEPA(ジエチルプロピルアミン)、DIPA(ジイソプロパノールアミン)であり、最もよく用いられるのはTEAである。しかし、健康問題は、多くの基本的構成成分に関して起こる。例えば、TEAは、発癌剤の可能性があるものとして調査されている。国立がん研究所(National Cancer Institute)は、TEAが化粧品および他の消費者製品に突出して用いられ、発がん性物質N−ニトロソジエタノールアミン(nitrosodienthanolamine)に変換される可能性があるためTEAを研究するように指定した。今の時点で、皮膚研究の結論は未決定である。しかし、投薬したラットおよびマウスには、皮膚に塗布した部位にさまざまな程度の表皮肥厚(表皮の有棘細胞層の厚さ)および炎症、潰瘍および上皮糜爛が起こった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、付随する健康上のリスクを伴うことなくゲル化溶液を中和することができる組成物が必要とされている。また、好ましい組成物では、表面持続性も増大することになり、ある程度皮膚を軟化する可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明の概要
植物抽出物のような高度の不けん化物質を有する材料を加水分解すると、独特の特性を有する生成物になる。高度不けん化物分画(例えば、材料総重量の少なくとも6%)を含む材料、特に天然由来の材料に加水分解プロセスを行うと、6重量%未満の不けん化物を含む材料を従来のようにけん化することにより得られる生成物と有意に異なる特性を備えた加水分解産物が生成されることが見出されている。
【0029】
本発明を実施することにより得られる生成物は、表面持続性があり、水分を保持し、塗布表面が保有する活性成分の望ましくない吸収を避け、独特の界面活性剤機能を示し、水との発泡剤ではなく、酸性溶液を中和するのに適する高pHである。得られる加水分解産物に対して予想されていなかったいくつかの用途は、皮膚軟化剤および/または化粧品、医薬品、および生物活性剤を特に被験者の皮膚に局所塗布するための別の天然キャリア剤としても働き、保有する材料を直接支持する酸性溶液中和剤であるということが見出された。
【0030】
本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、添付の請求の範囲に詳細に述べる。しかし、本発明自身は、添付の図面とともに読めば、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から、付加的な目的および利点と併せてその構造および作動の両方に関して最もよく理解されるであろう。特に明記しなければ、本明細書および請求の範囲中の語および語句は、適用可能な技術分野または各技術分野の当業者にとって普通の慣れた意味であるものとする。何らかの他の意味を意図する場合には、本明細書では、語または語句に特別な意味を当てはめると具体的に述べることにする。同様に、発明の詳細な説明中に語「機能」または「手段」を用いても、米国特許法(35U.S.C.)第112条、第6段落の特別条項を用いて本発明を定義しようとすることを示すものではない。それとは別に、米国特許法第112条、第6段落の条項を探して本発明を定義するのに用いる場合には、請求の範囲で、このような語句内の構造、材料、または機能を支持する動作を述べていなくても、語句「のための手段」または「のための工程」および機能を具体的に述べることになる。請求の範囲で「のための手段」または「のための工程」が機能を行うことを述べていても、また、工程のその手段を支持する何らかの構造、材料または動作を述べている場合にも、本発明は米国特許法第112条、第6段落の条項を用いない。更に、米国特許法第112条、第6段落の条項を用いて本発明を定義する場合でも、本発明が好ましい実施形態に記載されている特定の構造、材料または動作だけに限定されず、これに加えて、特許請求した機能を行うあらゆる全ての構造、材料または動作、および特許請求した機能を行うためのあらゆる全ての公知のまたは後に開発される同等の構造、材料または動作も含むことを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、高pHおよび表面持続性の増大のようないくつかの有用な固有の性質を有する局所塗布材料として有用な物質の組成物、およびそれを用いる方法である。また、この組成物は、有効な量の局所塗布活性材料を保有するのに有用である。更に詳細には、本発明による組成物は、酸性ゲル化溶液の中和剤、および優れた「持続」力または表面持続性が必要な場合に材料を局所的に塗布するためのキャリア剤を提供する。また、本発明は、特に、皮膚軟化剤および独特の乳化剤の両方として働くとともに表面持続性を実際に示し、日焼け止めから医薬製剤までの多くの異なる種類の「活性」材料をあらゆる塗布する生命体または無生命体表面に「固定」する能力を有するため有用である。
【0032】
本発明においては、以下の定義を考慮する必要がある。
「高度不けん化材料」または「高度不けん化物含量」の油、ワックス、脂肪等は、総有機材料の少なくとも6重量%の不けん化物および有機材料の少なくとも10重量%のけん化物(製剤のいくつかでは不けん化物のパーセントは95%を超えることも可能である。)を含む組成物を意味する。従って、この用語は、有機材料の6〜90重量%の不けん化材料および10〜94重量%のけん化可能材料を含む組成物を含む。高度不けん化物を有する生物ベースの材料の例を下の表に列記する。
【0033】
【表2】

【0034】
「表面持続性」とは、材料が容易に除去されるのに抵抗性である傾向または皮膚上の治療に持続性があることを意味する。例えば、いくつかの日焼け止めローションは、皮膚上に比較的水不溶性の膜を形成するため表面持続性がある。すると、これは、表面持続性のある材料が、身体の接触、発汗または洗浄により除去されたり移行したりするのに抵抗性であることを意味する。
【0035】
少なくとも6重量%の不けん化物成分および少なくとも10重量%のけん化可能成分を含むワックス、油および/または脂肪(脂質)を含む物質の組成物にアルカリ加水分解反応を行い、活性成分としてまたは他の活性成分を塗布するためのキャリアとして、例えば、化粧品、医薬品または他の活性成分を塗布するためのキャリアベースとして用いることができる独特の界面活性剤特性を有する非発泡性の表面持続性のある組成物を生成する。高度不けん化物を有する市販の生物ベースの抽出物には、カンデリラロウ、カルナバロウ、ホホバ油、ラノリン、レシチン、およびシアバターが含まれるが、これに限定されない。
【0036】
本発明のプロセスを行う脂質は、粗生成物とすることもでき、または、前もって種々の精製工程および/または修飾工程を行うこともできる。挙げることができる精製プロセスの例は、従来の化学的または物理的精製のプロセスまたはシアバターを精製するための更に特殊なプロセスであり、これらのプロセスにより、特に、不けん化材料の最大量を保持または濃縮することが可能になり、その後、このような処理材料に本発明のプロセスを行う。
【0037】
本発明のプロセスを行う前に植物性脂肪に行われる好んで用いられる化学的精製は、あらゆる従来の化学的精製プロセス、詳細には以下の段階を含むあらゆるプロセスとすることができる。
工程1:一般に、酸(リン酸であることが最も多い)を存在させてリン脂質を水に不溶化する工程と、デカント法または遠心分離により分離する工程と、を含む脱ゴム化する工程(連続プロセス)。
工程2:水酸化ナトリウム溶液を加えることにより油中の遊離脂肪酸を中和させ、遠心分離後水で数回洗浄することにより形成されることが最も多い石けん(石けんストックと呼ばれる)を分離する工程であり、工程1および工程2は、連続プロセスで同時に行われることが多い。
工程3:真空下約100℃で活性漂白土を用いて脱色し、ろ過する工程。
工程4:油の臭気および香味の原因である化合物を除去し、精製油を生成するために必要な脱臭作業。この作業は、脱臭装置と呼ばれる装置で行われ、手順には、4トル(即ち約532Pa)程度の真空下、不純物を抜き取るために蒸気を大量に注入しつつ高温(180℃〜220℃)まで油を加熱する工程が含まれる。
【0038】
別の物理的精製法は、上に記載の化学的生成プロセスの変形であると理解され、相違点は、水酸化ナトリウムでの中和工程を行わず、油からの遊離脂肪酸の除去が脱臭工程の間に達成される点である。この物理的精製法の間に選択される精製条件は、本発明を調製するための手順の間に用いるために選択した高度不けん化物の望ましい特性を保持するために修正する必要がある可能性がある。
【0039】
本発明の方法による加水分解反応のための開始材料として用いられる抽出物は、未精製または精製した状態とすることができる。また、抽出物は、加水分解反応の前に、アルコキシル化、重合化、アセチル化、酸化、還元、濃縮、水素化、部分水素化、インターエステル化、二重結合修飾、ランダム化、精製、または他の方法で修飾することもできる。脂質の多くは、低濃度または低分画(例えば上に論じたように1%以下)の不けん化物を有するため、本発明には、低分画不けん化物を濃縮して高分画即ち6%より大きくすることが含まれる。
【0040】
不けん化物を生じる有機材料の加水分解反応での生成物には、a)極性のある親水性塩(けん化可能物)およびb)非極性の親油性材料(不けん化物)に、初期反応物質の供給源、状態および形により、場合によっては他の材料も存在させた混合物が含まれる。
【0041】
本発明による方法で生成された材料の組成物は、アルカリ金属水酸化物水溶液、例えばNaOH、LiOH、KOH(好ましい水酸化物)、CaOH、MgOH等と、有機組成物が高分画の不けん化材料(6%より大きい)を好ましくは長鎖エステルとして含む有機脂質組成物、通常、(抽出物または抽出物誘導体の)植物抽出物、油、脂肪、またはワックスと、を反応させることにより生成する。
【0042】
例の場合としてホホバ油を調べることができる。精製ホホバ油は、種々の比率の長鎖二不飽和エステルを含む。精製ホホバ油の加水分解産物は、極性のある親水性長鎖塩(アルカリ塩)および比較的非極性の親油性材料(脂肪アルコール)のほぼ55:45混合物である。親油性分画は、本明細書に用いられる定義による不けん化材料である。これらのホホバ加水分解産物の両方の炭素鎖長さにはC18〜C24が含まれてこの範囲で変化し、各分子の一部としてω−9二重結合を有する。本発明による加水分解産物のけん化物および不けん化物分画の組み合わせが、化粧品、医薬品、および他の組成物を配合するのに役立つ特性を有することが見出されている。
【0043】
本発明を実行する間に生成される高パーセントの不けん化材料を含む脂質を加水分解することにより得られる生成物は、単味で用いようと、賦形剤、溶媒、またはキャリアとブレンド、溶解、分散、または乳化して用いようと、塗布表面に対して有用な特性を含み、それを付与することができる。これらの表面は、生命体表面、特にヒトの皮膚、植物表面とすることができ、更に、無生命体物体の表面、例えば木材、繊維、またはプラスック物体の表面とすることもできる。この特性には、表面持続性、乳化性、水分保持等を含むことができるが、これに限定されない。
【0044】
上記の特性の1つである表面持続性は、口紅、シャンプー、コンディショナー、髪用光沢剤、忌避剤、誘引剤、化粧品、医薬品、および日焼け止めの分野で特に有用である。表面持続性という特性は、表面持続性を示す天然誘導材料が特に市販用として望ましい「残存性」ヘアコンディショナーのようなヘアケア製品に特に有利である。また、表面持続性は、日焼け止め、日光遮断剤、または日焼け用製剤のほか、マダニ、ノミおよびハエ忌避剤のような防虫剤、および毒性農薬に特に有用である。また、表面持続性は、無生命体物体に、例えばエアフレッシュナー、抗菌剤、抗カビ剤、抗真菌剤、ハエ取り用ストリップ、毒性農薬、殺虫剤、防虫剤、除草剤等を用いる場合に有利である可能性がある。
【0045】
高レベルの不けん化材料が有機材料に含まれていると、本発明による加水分解産物が独特の組み合わせの特徴を示すことができることの理論が示されている。油、ワックス、脂肪または他の天然抽出物中の不けん化材料の正確な性質は、特に重要ではなく(特定の特性が望ましい場合を除く)、種々の利用可能な天然開始材料の各々の不けん化物の組成および種類は、有意に異なる可能性がある。例えば、ユリネア抽出物(例えば、ユリネアの石油エーテル抽出物)は、40重量%の五環系トリテルペンアルコールのほか、そのエステル(ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、酢酸エステル)、およびα−アミリン、β−アミリン、ルペオール、タラクサステロール(例えばt−タラクサステロール(脂質(Lipids)、K.L.ミコライザク(K.L.Mikolajczak)ら、1967年第2巻第2号127〜132ページ))を含むことができる。ブリザ油は、20重量%の半固体の脂質を含むことができ、この脂質は、49%の不けん化物ジガラクトシルグリセリド、29%の不けん化物モノガラクトシルグリセリドおよび少量の従来のけん化可能なトリグリセリドを含む。上記油中の主脂肪酸は、パルミチン酸、オレイン酸およびリノール酸(脂質、C.R.スミスJr.(C.R.Smith,Jr.)ら、1966年3月第1巻第2号123〜127ページ)である。
【0046】
アルカリ金属水酸化物水溶液を提供することにより、高pHの基本溶液を生成することができることが見出されている。この高pH溶液が、酸性ゲル化剤を中和(濃厚化)するのに適する。酸性ゲル化剤を中和するのに必要な本発明による高pH加水分解産物の正確な量は、加水分解産物のpHおよびゲル化剤の量、組成およびpHによって決まることは当業者には理解される。
【0047】
好ましい酸性ゲル化剤には、合成ポリマー、ゴム、親水性コロイドおよびその誘導体が含まれるが、これに限定されない。合成ポリマーは、カルボマー、アクリレーツコポリマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、アクリレーツ/ステアレス−20アクリレーツコポリマー、およびステアレス−10アリルエーテル/アクリレーツコポリマー(またはその組み合わせ)のような原料から開始し、ゴム、親水性コロイドおよびその誘導体は、セルロースまたは炭水化物型誘導体のような原料から開始する。この種の原料の例には、ジェランガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルグアールが含まれる。ジェランガムは、定義によれば、炭水化物をシュードモナス・エロデア(Pseudomonas elodea)で純粋培養発酵することにより生成される高分子量複合多糖ゴムである。キサンタンガムは、同じ定義に当てはまるが、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)で生成される。
【0048】
本発明による組成物は、プロペラミキサを装備した大きな蒸気釜を用いるバッチプロセスで生成されることが好ましい。
【0049】
測定量の水酸化カリウムペレットを測定量の蒸留、脱イオン、または逆浸透精製水とともに蒸気釜に加える。遊離有機酸および/または有機酸エステルを完全にけん化するのに用いられる水酸化カリウムの量は、それに応じて、開始材料のけん化値から計算することができ、理論的には、化学量論的量とされることになる。しかし、実際には、形成される加水分解産物が確実に未使用のアルカリを含むようにするために、水酸化カリウムの化学量論的量より僅かに多く用いることが好ましい。用いる水酸化カリウムの量は、化学量論的量よりかなり多くすることができ、例えば、望む結果によっては化学量論的量の150%またはそれ以上ほどの量を用いることができる。
【0050】
水酸化カリウムペレットおよび水は、水酸化カリウムペレットが溶解するまでプロペラミキサで共に撹拌する。安全のために、この工程では熱が発生し、この混合物はかなり腐食性であることに留意することが重要である。近くにいる人は、熱および化学的火傷を避けるために、手袋、眼および顔面保護具、衣類保護具を着用する必要がある。
【0051】
次に、中に入っている腐食性溶液が跳ねないように気をつけながら、ホホバ油のような高比率の不けん化物を含む測定量の精製または誘導した有機材料をゆっくりと蒸気釜に加える。
【0052】
蒸気釜を90〜95℃まで加熱し、継続的に撹拌しながらその温度範囲に2時間保持する。この時点で、得られる混合物のpHを検査する必要がある。混合物を継続的に撹拌しながら90〜95℃で加熱を続ける。pHがほぼ10.5で安定するまで周期的に溶液を再検査する。pHが安定すると、試料を引き上げて分析する。この試料は、クロマトグラフィーのような方法または同様または類似の方法により分析して、反応が望ましく進行したことを示す必要がある。
【0053】
次に、得られた加水分解産物は、第2の測定量の水または他の希釈剤を蒸気釜に加え、混合プロペラで撹拌することにより希釈することができる。混合物が均質になるまで80℃未満で継続的に加熱を続ける必要がある。
【0054】
均質になれば、加水分解産物混合物をプロペラで撹拌を続けつつ60℃まで冷却する。次に、加水分解産物混合物を収容容器に移し、室温まで冷却してから収容容器を密封することができる。
【0055】
以下に、本発明による加水分解産物に見出されたいくつかの用途の例を記載する。
【実施例】
【0056】
実施例1 皮膚保湿が延長する手指用除菌剤
この処方では、皮膚軟化性およびビタミンEを送達することにより手指に潤いを残し、栄養を与え、若々しく保つ透明な抗菌剤ゲルが生成される。潤い保持時間の延長は、本発明による直接組成物を用いることにより達成される。芳香剤が香る時間も本発明による組成物を用いると延長される。
【0057】
【表3】

【0058】
混合手順
1.室温でプロペラ撹拌しつつヴェルセンNAを水に加える。カーボポルETD2020をゆっくりと加え、高速プロペラ撹拌で1時間分散させる。
2.相Bを相Aに加え、中程度の掃引撹拌で20分間混合する。ABを少なくとも1時間静置して脱気する。
3.相Cを予め混合し、望ましい粘度が達成されるまで中程度の掃引撹拌を用いて相ABに加える。
4.等量のABCを用いて相Dを湿潤させ、中程度の掃引撹拌を行いつつABCに加える。
5.中程度の掃引撹拌を用いて15分間または全ての相Dがバッチ中に均等に分布されるまで混合する。
【0059】
市販の皮膚ローションを購入し、等量に分けた。半分を対照として用い、半分をベースとして用い、その中に、5%のホホバ加水分解産物を導入した。ホホバ加水分解産物は、本発明に開示した方法を用いて調製した。ノバ・メータ(Nova Meter)を用いて、各パネリストに対してローションを塗布する前に基準線皮膚水和を読み取った。対照および加水分解産物含有ローションを各パネリストの前腕の異なる領域に塗布した。加水分解産物含有ローションは右前腕に塗布し、対照ローションは左前腕に塗布した。ノバ・メータを用いて、各参加者が各ローションを塗布した前腕領域の皮膚水和を読み取った。ローション塗布後1時間間隔で複数の皮膚水和を読み取って記録した。
【0060】
この実験では、対照製剤の試験領域に比較し、加水分解産物製剤を塗布した殆ど全ての試験の被験者の試験領域で皮膚水和の時間が劇的に延長した。一般に、塗布後6〜10時間で、加水分解産物ローション製剤は、含水量が基準線領域にわたって20%〜54%改善したことが示された。加水分解産物製剤は、対照製剤で処理した皮膚にわたって含水量が10%〜47%改善したことが示された。
【0061】
実施例2−皮膚調整髭剃りゲル
この独特の髭剃りゲルは、きれいに深剃りするのに発泡体または泡に依存しない。代わりに、髭剃りゲルは、植物のみに可能なように皮膚および顎鬚を潤滑化する。このゲルを用いると、かみそり摩擦が減少し、深剃り度が高まり、刺激が事実上消失する。この表面持続性のあるゲルにより、髭剃り後数時間も皮膚保湿効果が高まる。
【0062】
【表4】

【0063】
混合手順
1.プロペラ混合を行いつつヴェルセンNAを脱イオン水に加える。カーボポルを脱イオン水にゆっくりと振るい入れ、完全に水和が起こるのに十分な混合時間を置く。
2.相Bの構成成分を60℃で共に混合する。続けて相Aを混合し、温度を60℃に上げる。相Bを相Aに加え、60℃で20分間混合する。温度を40℃まで下げる。
3.メチルおよびプロピルパラベンをブチレングリコール中で予め混合し、相ABに加える。必要な場合には芳香剤を加える。
4.フローラエステルK−20Wをエタノール中で予め混合し、相ABCに加える。必要な場合には着色剤を加える。
【0064】
本発明による加水分解産物を典型的には乾燥髭剃りゲル製剤に組み込むと、加水分解産物を含まない製剤に比較して水分保持特性が改善したことが示される。また、本発明による加水分解産物を組み込むと、髭剃りプロセスに知覚し得る程度の潤滑性が加わる。
【0065】
実施例3−皮膚調整シャワーゲル
透明な洗浄用シャワーゲルは、シャワーする度に皮膚の手触りを絹のように滑らかにして保湿する。製品に視覚的効果を与えるとともに、シャワーを行う間にごしごし洗える感覚を生じさせるために、フローラパール(Florapearls)およびフローラビーズ(Florabeads)を加える。
【0066】
【表5】

【0067】
混合手順
1.ヴェルセンEDTAを水に入れて溶解するまで混合する。アクアSF−1ポリマーを中程度のプロペラ撹拌を行いつつ加える。PEG−16マカダミアおよびラウレス硫酸ナトリウムを混入し、30分の混合時間を置いて、確実に完全に混合させる。
2.室温で相Bを共に混合し、十分な時間を置いてK−20Wを液体に完全に溶解させる。手でゆっくり混ぜながら相Bを相Aに加え、混合物内に過剰な気泡が捕捉されないようにする。
3.手で緩やかに混ぜながら相Cを相ABに加える。
4.芳香剤をポリソルベート20に加え、手で緩やかに混ぜながら相Dを相ABCに加える。
5.相Eを相ABCDに加え、完全に手で混ぜてベース混合物中にフローラパールおよびフローラビーズが完全に確実に分配されるようにする。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は、上の発明の詳細な説明に記載している。これらの説明では、上の実施形態を直接記載しているが、本明細書に示されて説明されるこの特定の実施形態に対して当業者が変更形態および/または変形形態を思いつくことができることは理解される。この説明の範囲に含まれる全てのこのような変更形態または変形形態も、本発明の範囲に含まれるものとする。特に明記しなければ、本明細書および請求の範囲中の語および語句は、適用可能な技術分野の当業者にとって普通の慣れた意味で用いることを本発明者は意図する。出願した時点で出願者に既知の上記の好ましい実施形態および本発明の最良の形態の説明は、例を挙げて説明するために示したものであることを意図する。これは、網羅的でも、開示した正確な形に本発明を制限するものでもなく、上記の教示事項に照らして、多くの変更形態および変形形態が可能である。実施形態は本発明の原理およびその実際の応用を最もよく説明するために、また、他の当業者が種々の実施形態および意図する特定の用途に適する種々の変更を行った実施形態で本発明を最もよく利用することができるようにするために選択して記載したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸のアルカリ塩、グリセリン、および少なくとも6重量パーセントの不けん化材料を含む組成物であって、pHが7より大きく、表面持続性が少なくとも6重量パーセントの不けん化材料を含まない同様組成物より大きい組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸が、アマランス種子油、アニス種子油、アボカド種子油、オオムギ油、ブリザ油、ソバ油、カンデリラロウ、カルナバロウ、カッシアオクシデンタリス油、コーヒー豆油、脱油レシチン、サメ油、エスパルトワックス、真菌類および他の微生物由来の油、グアユール植物抽出物、ホホバ油、ユリネア油、ラノリン、ローレルベリー油、オレストラ(オリーン)、濃縮オリーブ油(フィトスクアレン)、オリーブ種子油、オレンジラフィー油、オリキュリーワックス、キノア種子油、ライムギ胚芽油、サメ肝油、シアバター、マッコウクジラ油、サトウキビロウ、ヒマワリワックス、トール油、トール油蒸留物、小麦穀粒由来のベジピュア、および小麦胚芽油から成る群から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも20重量%の不けん化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも20重量%の不けん化物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
動物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項1に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項6】
動物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項2に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項7】
植物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項1に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項8】
植物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項2に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項9】
無生命体被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項1に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項10】
無生命体被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項2に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項11】
脂肪酸のアルカリ塩、グリセリン、および少なくとも6重量パーセントの不けん化材料を含む局所塗布のための組成物であって、前記組成物のpHが7より大きく、少なくとも6重量パーセントの不けん化材料を含まない同様の組成物より表面持続性が大きく、前記不けん化材料の長さが少なくとも18炭素である組成物。
【請求項12】
前記脂肪酸のアルカリ塩、グリセリン、および少なくとも6重量パーセントの不けん化材料が、更に、アマランス種子油、アニス種子油、アボカド種子油、オオムギ油、ブリザ油、ソバ油、カンデリラロウ、カルナバロウ、カッシアオクシデンタリス油、コーヒー豆油、脱油レシチン、サメ油、エスパルトワックス、真菌類および他の微生物由来の油、グアユール植物抽出物、ホホバ油、ユリネア油、ラノリン、ローレルベリー油、オレストラ(オリーン)、濃縮オリーブ油(フィトスクアレン)、オリーブ種子油、オレンジラフィー油、オリキュリーワックス、キノア種子油、ライムギ胚芽油、サメ肝油、シアバター、マッコウクジラ油、サトウキビロウ、ヒマワリワックス、トール油、トール油蒸留物、小麦穀粒由来のベジピュア、および小麦胚芽油から成る群から選択される抽出物から得られる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも20重量%の不けん化物を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも20重量%の不けん化物を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
皮膚軟化剤、コンディショナー、色素、染料、医薬品、紫外線吸収剤、物理的放射遮断剤、防虫剤、動物忌避剤、殺虫剤、毒性農薬、除草剤、動物誘引剤、芳香剤、およびホルモンから成る群から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて請求項11の組成物を含む表面持続性のある組成物。
【請求項16】
皮膚軟化剤、コンディショナー、色素、染料、医薬品、紫外線吸収剤、物理的放射遮断剤、防虫剤、動物忌避剤、殺虫剤、毒性農薬、除草剤、動物誘引剤、芳香剤、およびホルモンから成る群から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて請求項12の組成物を含む表面持続性のある組成物。
【請求項17】
動物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項11に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項18】
動物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項12に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項19】
植物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項11に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項20】
植物被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項12に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項21】
非生命体被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項11に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。
【請求項22】
非生命体被検体に表面持続性の利点を提供する方法であって、請求項12に記載の組成物の適切な量を酸性ゲル化剤に加えて酸性ゲル化剤を中和する工程と、続いて、得られる中和ゲル化剤を動物被検体の毛髪、皮膚、鱗片、または羽毛に塗布する工程と、を含む方法。

【公表番号】特表2007−518678(P2007−518678A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517212(P2006−517212)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018354
【国際公開番号】WO2005/004831
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(500176311)インターナショナル フローラ テクノロジーズ,リミテッド (15)
【Fターム(参考)】