説明

高性能磁気シールドと超高感度磁気センサを備えた微細金属検出装置

【課題】被検査物に混入する微細な磁性体の金属異物を検知することができる微細金属検出装置を提供する。
【解決手段】微細金属検出装置1は、被検査物2を対向させてフラックスゲートセンサ50による磁気の検出方向と一致する方向に金属異物を磁化する帯磁手段と、帯磁手段を通過させた後の被検査物2を支持して被検査物2とフラックスゲートセンサ50との間隔を所定寸法に保つことが可能な支持手段3と、50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサ50を含む磁気検出部5と、磁気検出部5を覆う磁気遮蔽用のPCパーマロイ製シールド6bと高周波遮断用のアルミニウム製シールド6aとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検査物に混入する微細な金属異物を帯磁し、前記金属異物の強化された磁気を検出することによって前記金属異物の存在を検知する高性能磁気シールドと超高感度磁気センサとを備えた微細金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車や電気自動車等が脚光を浴び二次電池の開発が盛んである。また、環境に対する配慮及び省エネルギーの社会要請に応じて、様々な分野に二次電池が普及しはじめている。
【0003】
反面、二次電池からの発煙若しくは発火等の事件がマスコミュニケーションに取り上げられることがあり、二次電池の安全性が強く求められている。
【0004】
このような背景によって、二次電池の製造者や、二次電池を組み込んだ電気自動車等の最終製品の製造者から、二次電池に含まれる異物を検出し除去したい旨の強い要望がある。
【0005】
二次電池は、アルミニウムで形成されたフィルム状の陽極基板と、銅で形成されたフィルム状の陰極基板と、陽極と陰極との間に配置され、合成樹脂等で形成されたフィルム状のセパレータとで構成してある。二次電池の中には、活物質含有ペーストを使用して製造するものがある。このペーストには、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体の金属異物が含まれている場合があり、この金属異物がある程度以上の大きさであると、二次電池の発火や、早期の劣化という不具合を発生するという問題がある。鉄、ニッケル、コバルト等が磁性体である一方、アルミニウム、銅、合成樹脂が非磁性体であることを考慮すると、二次電池に含まれる異物のうち、磁性体の金属異物については、帯磁手段で帯磁させることによって検知することが考えられる。
【0006】
従来、飲料等の製造工程において、その飲料に含まれる磁性体の金属異物を検知する装置は公知である。
【0007】
例えば、特許文献1には、以下に説明する装置が開示されている。この装置は、非磁性体の流体を被検査物とし、流体に含まれる磁性体の金属異物を検知するものである。
この装置は、内部に流体を流す非磁性体の移送パイプと、移送パイプを囲むように配置し、流体に含まれる磁性体を磁化する帯磁装置と、帯磁装置よりも下流側において、移送パイプをMIセンサ(Magneto−Impedance Sensor)で囲むように配置することで構成した検出部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−98117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非常に微細な磁性体の金属異物は、帯磁装置によって仮に帯磁強化させることができたとしても、そのものの磁気の大きさが極めて微細であるため、微弱な磁気を検出することができるセンサを用いなければ金属異物の混入を検知することはできない。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されているMIセンサの分解能はおよそ1nT/√(Hz)であり、MIセンサと被検査物との離間距離をできるだけ短くしても、検出できる金属異物の大きさは概ね鉄球150Φμm〜200Φμmが検出限界である。従って、これよりも小さいサイズの金属異物を検出することができないという問題があった。
【0011】
そこで、この発明では、被検査物に混入する微細な磁性体の金属異物を検知することができる、高性能磁気シールドと超高感度磁気センサとを備えた微細金属検出装置を提供することを課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、被検査物に混入する微細な金属異物を磁化し、金属異物からの残留磁気を検出することによって金属異物の存在を検知する高性能磁気シールドと超高感度磁気センサとを備えた微細金属検出装置である。
【0013】
かかる微細金属検出装置においてこの発明が特徴とするところは、被検査物と対向させた超高感度磁気センサによる残留磁気の検出方向と一致する方向に金属異物を磁化する帯磁手段と、帯磁手段を通過させた後の被検査物を支持して被検査物と超高感度磁気センサとの間隔を所定寸法に保つことが可能な支持手段と、超高感度磁気センサとして50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサを含む磁気検出部と、高性能磁気シールドとして磁気検出部を覆う磁気遮断用のPCパーマロイ製シールドと高周波遮断用のアルミニウム製シールドとを備えていることである。
【0014】
この発明の好ましい実施態様の一つにおいて、微細金属検出装置は、被検査物が走行する機械方向と、機械方向に直交する磁気の検出方向と、機械方向及び検出方向に直交する交差方向とを有し、機械方向の上流から下流に向かって帯磁手段と磁気検出部とが並び、支持手段が被検査物を機械方向へ走行させるものである。
【0015】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、磁気検出部で検出した磁気信号を磁気検出部の直後で増幅する回路として、浮遊容量や誘導によって不要な雑音が磁気検出部との間の経路において侵入することを防止して、良好な信号雑音比(S/N)を得ることができる増幅回路と、磁気信号のうちから支持手段による被検査物の走行速度に対応した周波数帯域の信号を取り出すため、所定の第1周波数以上の周波数をカットするローパスフィルタ及び第1周波数よりも小さい所定の第2周波数以下の周波数をカットするハイパスフィルタを有する電子回路とを備えており、高性能磁気シールドが増幅回路及び電子回路をも覆っている。
【0016】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、磁気検出部は、機械方向に複数のフラックスゲートセンサを有し、機械方向における上流側の前記フラックスゲートセンサと、それに隣接する下流側の前記フラックスゲートセンサとの間では、前記上流側から見たときに、上流側のフラックスゲートセンサと下流側のフラックスゲートセンサとの位置が一致することのない様に、上流側のフラックスゲートセンサに対して下流側のフラックスゲートセンサが交差方向へ偏倚させてある。
【0017】
この発明の実施態様の他の一つにおいて、残留磁気を検出するためのフラックスゲートセンサのそれぞれには、フラックスゲートセンサの異常を検出するための試験コイルを設置し、試験コイルのそれぞれは直列に接続して試験コイルのそれぞれに同一の電流が流れる回路を形成し、回路に所定の試験電圧を印加すると、試験コイルのそれぞれが発生する同一レベルの磁気をフラックスゲートセンサのそれぞれが検出可能となり、フラックスゲートセンサそれぞれの検出する磁気に対しての波形判定装置で、同一レベルの磁気の検出の有無を判定し、同一レベルの磁気の検出がないときにフラックスゲートセンサに異常が存在すると判断することのできる前記試験コイルを備えている。
【0018】
この発明の実施態様の他の一つにおいて、試験コイルの全てに同一の試験用の一定波形を与える電源と、電源を制御する制御部とを有しており、制御部は、金属異物からの残留磁気を継続的に検出している過程で、フラックスゲートセンサに異常が存在すると判断することが可能な試験電流を間欠的に一定の時間だけ試験コイルに流して試験電流に特徴的な同一レベルの磁気を発生させ、残留磁気を検出中である磁気センサに同一レベルの磁気を検出させることにより、フラックスゲートセンサにおける異常の存在を自動的に判断する。
【0019】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、仮想平行六面体を形成する三組の互いに平行な仮想平面それぞれにおける稜線に沿って設けられた環状の第1〜第6のアクティブシールド回路と、仮想平行六面体の内側にあって仮想平面のそれぞれに直交する方向の磁気の大きさを検知する三方位磁気センサと、第1〜第6のアクティブシールド回路に電圧を印加する電源と、三方位磁気センサの検知結果に基づいて、検知した磁気を打ち消す逆磁場を第1〜第6のアクティブシールド回路に発生させるために第1〜第6のアクティブシールド回路に電圧を印加する制御部と、によって仮想平行六面体の内側にアクティブシールド空間が形成され、アクティブシールド空間の内部に磁気検出部とPCパーマロイ製シールドとアルミニウム製シールドとを配置する一方、アクティブシールド空間の外部及び内部のいずれかに帯磁手段を配置してある。
【0020】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、PCパーマロイ製シールドに形成されていて機械方向へ走行する被検査物が入出する入口及び出口と、PCパーマロイ製シールドにおける入口と出口とのそれぞれの周縁及びその周縁の近傍に設けられて環状のアクティブシールド回路を形成する入口コイル及び出口コイルと、入口コイル及び出口コイルに電圧を印加する電源と、環状のアクティブシールド回路それぞれによって囲繞された空間の内側に設けられて、入口から検出空間部に侵入する磁気と出口から検出空間部に侵入する磁気を磁気センサで検出して、磁気センサの検出結果に基づいて、検出した磁気を打ち消す逆磁場を入口コイル及び出口コイルに発生させるために入口コイル及び出口コイルに電流を流して外部磁気を遮蔽する制御部とを有している。
【0021】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、アルミニウム製シールドは、複数枚のアルミニウム鋼板及びアルミニウム鋼板からの削り出し品のうちの少なくとも一方の材料による組み立て品であって、材料が嵌合及び材料を貫通することがないように使用されたねじによる締結のうち少なくとも一方の組立手段によって組み立ててある。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る微細金属検出装置は、被検査物を対向させて超高感度磁気センサによる磁気の検出方向と一致する方向に金属異物を磁化する帯磁手段と、帯磁手段を通過させた後の被検査物を支持して被検査物と超高感度磁気センサとの間隔を所定寸法に保つことが可能な支持手段と、超高感度磁気センサとして50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサを含む磁気検出部と、高性能磁気シールドとして磁気検出部を覆うPCパーマロイ製シールドとアルミニウム製シールドとを備えているため、被検査物に混入する微細な磁性体の金属異物を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】微細金属検出装置の制御系を示す構成図。
【図2】微細金属検出装置の正面図。
【図3】図2のIII−III線における断面図。
【図4】図2のIV−IV線における断面図。
【図5】図4における要部の詳細図。
【図6】アクティブシールドを示す斜視図。
【図7】図3のVII−VII線における断面図。
【図8】図7のVIII−VIII線における断面図。
【図9】図7のIX−IX線における断面図。
【図10】微細金属検出装置の一態様における制御系の部分図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照してこの発明に係る、高性能磁気シールドと超高感度磁気センサとを備えた微細金属検出装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0025】
図1は、この発明に係る微細金属検出装置の制御系を示す構成図であり、図2は、この装置を後記機械方向MDの上流側から見たときの内部構造を示す正面図であり、図3は、図2におけるIII−III線断面図であり、図4は、図2におけるIV−IV線断面図である。図2〜図4において、MDは機械方向(Machine direction)、VDは機械方向MDに直交する上下方向(Vertical direction)、CDは機械方向MD及び上下方向VDに直交する交差方向(Cross direction)をそれぞれ示す。なお、この発明において、機械方向MDと、これに反対の方向とを長さ方向と言うことがあり、上下方向のうち、上方から下方に向かう方向を磁気の検出方向と言うことがある。
【0026】
図1〜4に例示する微細金属検出装置1は、常温において、被検査物2の中に含まれる鉄、ニッケル、コバルト及びステンレス等の磁性体の金属異物を検出するものである。被検査物2は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池の陽極として使用されるシート状のアルミニウムの連続体や、陰極として使用されるシート状の銅の連続体、セパレータとして使用されるシート状の合成樹脂の連続体等の非磁性シート状連続体やそのシート状連続体に活物質含有ペーストが塗布してある複合連続体である。ただし、微細金属検出装置1による金属検出の対象となるのは、被検査体2のごとき連続体に限定されるわけではない。ガラス瓶のごとき個別の容器に入れられた流体や固体であってもこの発明における被検査体になり得る。
【0027】
この微細金属検出装置1は、フレーム10と、支持手段3と、帯磁手段4と、磁気検知部5と、アルミニウム製シールド6aと、PCパーマロイ製シールド6bと、アクティブシールド7と、試験コイル17と、電源18と、CPU(制御部)80とを備え、帯磁手段4と磁気検知部5とが機械方向MDに並んでいる。
【0028】
フレーム10は、下部フレーム11及び上部フレーム12を含んでおり、図2,4に示すように、下部フレーム11は、機械方向MDに延在する第1フレーム部材11aと、交差方向CDに延在し、第1フレーム部材11aの両端部にそれぞれ取り付ける第2フレーム部材11bと、第2フレーム部材11bの上端部にあって後記回転ローラ30がスペーサ32bを介して取り付けられる天板13とを含んでいる。
【0029】
支持手段3は、図4に示すように、被検査物2を機械方向MDへ走行させる複数の回転ローラ30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30hによって構成される回転ローラ30を含み、その被検査物2は、支持手段3の上流側に位置する繰り出しローラ(図示せず)から繰り出され、支持手段3の下流側に位置する巻き取りローラ(図示せず)によって巻き取られる。被検査物2は、繰り出しローラと巻き取りローラとの間において、所要のテンションが加えられている。繰り出しローラと巻き取りローラとの間には、必要に応じてテンションローラが設けられることがある。
回転ローラ30a〜30hは、図示するようにスペーサ32bを介して天板13に取り付けられていて回転軸30x(図5,9参照)を中心に回転自在である。回転ローラ30b、30d、30e、30gは、それぞれに固有の高さ位置調整手段32を備え、高さ位置調整手段32によってその上下方向VDの位置を調整することができる。微細金属検出装置1は、高さ位置調整手段であるダイアル32を回転させることによって回転ローラ30b、30c、30d、30eの上下方向VDの位置を変更することによっても、被検査物2のテンションを調整することができる。また、ダイアル32は、手動で操作することもできるし、ダイアル32を回転させるモータ等につながったダイアル駆動源33aを使用して、自動で操作することもできる。支持手段3のうちの回転ローラ30dと30eとは、磁気検知部5の上流側と下流側とにあって、被検査物2と後記フラックスゲートセンサ50との間隔を所定寸法に保つものでもある(図5参照)。具体的には、ダイアル32によって、被検査物2を上下方向VDの上方に位置させれば、被検査物2はフラックスゲートセンサ50との間隔を所定寸法に保った検出位置におさまる一方、その検査位置よりも下方に位置させれば、被検査物2はフラックスゲートセンサ50が金属異物の磁気の影響を受けない非検出位置におさまる。支持手段3は、一例として、被検査物2を30〜80m/分の速度で走行させることができる。
【0030】
帯磁手段4は、支持台40と、支持台40に取り付けた第1の永久磁石41と、第1の永久磁石41よりも上方において支持台40に取り付けた第2の永久磁石42とを備えている。この帯磁手段4の一例として、第1の永久磁石41は、その上端部がN極となるよう配置してある一方、第2の永久磁石42は、その下端部がS極となるよう配置してあり、下方から上方に向かう磁場を常時形成するものである。被検査物2が帯磁手段4に進入して磁性体の金属異物が第1の永久磁石41と、第2の永久磁石42との間に来ると、金属異物は磁気が上下方向VDの下方に向かうように磁化され、帯磁手段4の下流側において残留磁気を有するものになる。
【0031】
磁気検知部5は、アルミニウム製シールド6aの内側に設けられているもので、その詳細は、後記図5、7〜9に基づく説明のとおりである。アルミニウム製シールド6aの外側には、PCパーマロイ製シールド6bが設けられている。磁気検出部5には、一例として50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサ50が使用してある。
【0032】
磁気検知部5は、図1、7〜9に示すように、個々のフラックスゲートセンサ50に対応する個別の増幅回路51と、電子回路52と、センサ回路基板53と、増幅電子回路基板54とを備えている。センサ回路基板53は、フラックスゲートセンサ50の上端部に取り付けてあって、機械方向MDの間隔を調整するスペーサ53aを介して増幅電子回路基板54に取り付けてあり、フラックスゲートセンサ50と、増幅回路51と、電子回路52と、センサ回路基板53と、増幅電子回路基板54とが一体となっている。
増幅回路51は、フラックスゲートセンサ50で検出した磁気信号をアルミニウム製シールド6aの内部において増幅するものである。図示例の増幅回路51は、フラックスゲートセンサ50で検出した磁気信号を5,000倍に増幅するものである。
電子回路52は、ローパスフィルタとハイパスフィルタとを含んでいる。
ローパスフィルタは、フラックスゲートセンサ50が検出した磁気による磁気信号のうちで所定の第1周波数以上の周波数をカットするものである。図示例の電子回路52の一例において、ローパスフィルタは、60Hz以上の周波数をカットするものである。
ハイパスフィルタは、磁気信号のうちで前記第1周波数よりも小さい所定の第2周波数以下の周波数をカットするものである。図示例の電子回路52の一例において、ハイパスフィルタは、0.1Hz以下の周波数をカットするものである。
このように、電子回路52は、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタによって、磁気検知部5で検出した磁気信号のうちから支持手段3による被検査物2の走行速度に対応した周波数帯域の信号を取り出すことができて、図示例においては0.1Hzから60Hzの間の信号を取り出すことができる。それゆえ、予めノイズの周波数帯域が分かっていれば、電子回路52によってノイズをカットすることができる。
センサ回路基板53は、フラックスゲートセンサ50のためのセンサ回路56が形成されている基板である。増幅電子回路基板54は、増幅回路51及び電子回路52が形成されている基板である。
【0033】
増幅電子回路基板54は、スペーサ54aを介して板部材55に取り付けてある。この板部材55は、交差方向CDの位置を調節することができるように取付部材16に取り付けてある。交差方向CDの位置を調節するには、例えば、取付部材16にスライドレールを設け、板部材55には、スライドレールに摺動可能に嵌合する突起を設ける。板部材55の交差方向CDへの移動によって、フラックスゲートセンサ50の交差方向CDへの移動が可能になる。なお、磁気検知部5は、上下方向VDにフラックスゲートセンサ50を移動させることのできる機構(図示せず)を備えている。また、図7に例示の装置1では、センサ取付部材16が機械方向MDにピッチL4で並んでいる。フラックスゲートセンサ50は、機械方向MDにピッチL2で並んでいる。フラックスゲートセンサ50はまた、図8に示すように、機械方向MDの上流側に位置するフラックスゲートセンサ50と、そのフラックスゲートセンサ50に対して下流側で隣接するフラックスゲートセンサ50とは、機械方向MDの上流側から見たときに交差方向CDにピッチL3で並んでいる。さらに、図9において、検知部5の最も上流側では、2つのフラックスゲートセンサ50が交差方向CDに並んでいて、これらフラックスゲートセンサ50の交差方向CDにおける中心間隔はL1である。図7、8に例示したようにフラックスゲートセンサ50を配置すれば、被検査物2の幅全体に対して金属異物による残留磁気の検出が可能になる。また、このように配置したフラックスゲートセンサ50を機械方向MDの上流側から見ると、上流側のフラックスゲートセンサ50と下流側のフラックスゲートセンサ50とが部分的に重なり合っているので、被検査物2を交差方向CDにおいて隙間なく検査することができる。交差方向CDに1列にフラックスゲートセンサ50を並べた場合には、隣り合うセンサ回路板53どうしが接触してフラックスゲートセンサ50どうしの間には隙間が生じることがあり、その隙間では微細な金属異物の残留磁気を検出することができない。
【0034】
アルミニウム製シールド6aの内部は、図7〜9に示すとおりであって、図7は図3におけるVII−VII線矢視図であり、図8は図7におけるVIII−VIII線矢視図であり、図9は図7におけるIX−IX線矢視図である。
アルミニウム製シールド6aは、中空の六面体であって、四つの面からなる周壁6bと、上流側端壁6cと、下流側端壁6dとを有する。このようなアルミニウム製シールド6aは複数枚のアルミニウム鋼板69の組立品であって、組立品の内側にはシールド空間60aが形成され、その空間60aには磁気検出部5が納められている。複数枚のアルミニウム鋼板69は、ねじ69aと、アルミニウム製角材69bと、アルミニウム製ブロック材69c(いずれも図7参照)とを使用して組み立てる。より具体的には、アルミニウム鋼板69は、ねじ69aによって角材69bに取り付けられており、角材69bはブロック材60cを介して互いに固定されている。このように組立てられているアルミニウム製シールド6aでは、金属異物を検知するときのノイズとなる電磁波が鋼板69と69との間から侵入することを効率よく防ぐことができる。なお、このような組立て方に代えて、鋼板69と69とを溶接することによって、鋼板69どうしの間隙をふさぎながらアルミニウム製シールド6aを組立てることも可能ではあるが、溶接した部位はポーラスな構造になって電磁波を透過させ易いことがあるので、ねじ止めに代えて溶接を採用することは好ましいことではない。ただし、アルミニウム製シールド6aの構造の補強を目的とする鋼板69と69との局所的な溶接をねじ止めと併用することは可能である。また、鋼板69は、それをネジ止めすることに代えて、またはネジ止めと併用して、アルミニウム製サッシに嵌合させて組立てることもできる。アルミニウム製シールド6aには、アルミニウム鋼板からの削り出し品を使用することもできる。アルミニウム製シールド6aは、携帯電話等が発する電波がシールド空間60aへ侵入することを防止できる。
【0035】
再び図2〜図5において、PCパーマロイ製シールド6bは、高透磁率のPCパーマロイ鋼板によって形成されている第1シールド61及び第2シールド62を含んでいる。第1、第2シールド61、62は、磁気を二重に遮蔽することによって、第1シールド61の内側に磁気遮蔽空間60bを形成している。磁気遮蔽空間60bには、アルミニウム製シールド6aが配置され、アルミニウム製シールド6aの内側にはフラックスゲートセンサ50、センサ回路基板53、増幅回路基板54等が配置されている。
第1シールド61には、機械方向MDへ走行する被検査物2に対しての入口63と出口64とが形成されている。第2シールド62には、機械方向MDへ走行する被検査物2に対しての入口65と出口66とが形成されている。
【0036】
この発明では、PCパーマロイ製シールド6bとその内側に配置されたアルミニウム製シールド6aとによって、微細金属検出装置1における高性能磁気シールドが形成されている。
【0037】
さらに図2〜図4において、アクティブシールド7は、三組の互いに平行な仮想平面101〜106(図6参照)によって画成される仮想平行六面体72(図6参照)の稜線を形成するように機械方向MDへ延びる4本のパイプ74a、74b、74c、74dと、交差方向CDへ延びる4本のパイプ74e、74f、74g、74hと、上下方向VDへ延びる4本のパイプ74i、74j、74k、74lとを含むことに加えて、これらのパイプ74a〜74lの内部に延びる第1〜第6のアクティブシールド回路70a〜70fと、三方位磁気センサ71とを含んでいる。パイプ74a〜74lは、銅やアルミニウム、プラスチック等の非磁性材料で形成されている。
図6は、アクティブシールド7のうちのパイプ74a〜74lの組立状態を示す斜視図である。図6において、端部どうしがつながるパイプ74e、74i、74h、74jは同一平面上にあって第1仮想平面101を画成し、これらパイプの内側には環状の第1のアクティブシールド回路70aを形成する第1コイルC1が配置されている。
端部どうしがつながるパイプ74f、74l、74g、74kは同一平面上にあって第1仮想平面101に平行する第2仮想平面102を画成し、これらパイプ74f、74l、74g、74kの内側には環状の第2のアクティブシールド回路70bを形成する第2コイルC2が配置されている。
端部どうしがつながるパイプ74a、74l、74b、74iは同一平面上にあって第1、第2仮想平面101、102に直交する第2仮想平面103を画成し、これらパイプ74a、74l、74b、74iの内側には環状の第3のアクティブシールド回路70cを形成する第3コイルC3が配置されている。
端部どうしが互いにつながるパイプ74d、74k、74c、74jは同一平面上にあって第4仮想平面103に平行する第4仮想平面104を画成し、これらパイプ74d、74k、74c、74jの内側には環状の第4のアクティブシールド回路70dを形成する第4コイルC4が配置されている。
端部どうしが互いにつながるパイプ74e、74d、74f、74aは同一平面上にあって第1〜第4仮想平面101〜104に直交する第5仮想平面105を画成し、これらパイプ74e、74d、74f、74aの内側には環状の第5のアクティブシールド回路70eを形成する第5コイルC5が配置されている。
さらに、端部どうしが互いにつながるパイプ74h、74c、74g、74bは同一平面上にあって第5仮想平面105に平行する第6仮想平面106を画成し、これらパイプ74h、74c、74g、74bの内側には環状の第6のアクティブシールド70fを形成する第6コイルC6が配置されている。
図4におけるパイプ74jの部分拡大図には、パイプ74jの内側に配置された第1コイルC1と第4コイルC4それぞれを形成する2本の導線の一部分が示されている。この部分拡大図に示されているように、パイプ74a〜74lのそれぞれには、二つのコイルのそれぞれを形成する2本の導線が納められている。
再び図2〜4において、三方位磁気センサ71は、仮想平行六面体72の内側に配置してあり、第1〜第6仮想平面101〜106のそれぞれに直交する方向の磁気の大きさを検知するものである。図2において、三方位磁気センサ71は、支持棒71aの頂部に取り付けてある。アクティブシールド7では、CPU80により、三方位磁気センサ71で検出した磁気を打ち消す逆磁場を第1〜第6のアクティブシールド回路70a、70b、70c、70d、70e、70fに発生させるために、第1〜第6のアクティブシールド回路70a、70b、70c、70d、70e、70fに電圧を印加して仮想平行六面体72の内側にアクティブシールド空間75を形成する。図2、3で明らかなように、アクティブシールド空間75に、磁気検知部5と、アルミニウム製シールド6aと、PCパーマロイ製シールド6bとが配置してあり、アクティブシールド空間75の外部に、帯磁手段4が配置してある。ただし、帯磁手段4は、それをアクティブシールド空間75の内部に配置してこの発明を実施することもできる。
【0038】
試験コイル17は、図1に示すようにフラックスゲートセンサ50それぞれの先端に設けられ、電源18に電気的に接続されている。この試験コイル17は、電源18から試験電圧が印加されると、フラックスゲートセンサ50に磁気の検出方向の磁場を発生させる。なお、各フラックスゲートセンサ50に設けた試験コイル17は、直列に接続してあり、試験コイル17のそれぞれに同一の電流が流れる回路(図示せず)が形成してある。
【0039】
電源18は、被検査物2を走行させるモータ等の駆動源31と、ダイアル32によって磁気検出部5における被検査物2を検査位置と非検査位置とのいずれかにセットすることができるダイアル駆動源33aと、第1〜第6のアクティブシールド回路70a、70b、70c、70d、70e、70fと、試験コイル17とに電気的に接続されており、CPU80の指令に基づいてこれらに電圧を印加する。電源18は、図4における制御装置8に内蔵されている。
【0040】
制御装置8は、電源18の他に、CPU80と、メモリ81と、表示部82と、操作部83と、警報部84とを備えている。
CPU80は、微細金属検出装置1を統括的に制御するもので、その作用は後記のとおりである。
メモリ81は、記憶手段であって、微細金属検出装置1を作動させるためのプログラム、及び被検査物2における金属異物の存在を検知する過程で得られる信号の波形等を格納するものである。
表示部82では、CPU80の指令に基づき、金属異物の存在を検知する過程で得られる信号の波形等を表示する。
操作部83は、マンマシンインターフェースであって、例えば、警報部84によって警報を発する閾値等を入力する。
警報部84では、金属異物の存在を検知する過程で得られる信号の大きさが、操作部83において設定された閾値を超えている場合、警報ランプを点灯させたり、警報音を発生させたりする。
【0041】
このように形成されている微細金属検出装置1では、被検査物2における磁性金属の残留磁気の検出と、金属異物の存在の検知とが以下のようにして行なわれる。
被検査物2における残留磁気の検出は次のとおりである。最初に、CPU80を介して駆動源31の始動、又はCPU80とは別系統の電源による駆動源の始動によって、被検査物2を機械方向MDに連続的又は間欠的に走行させ、帯磁装置4において、被検査物2に混入している磁性金属異物を磁化し、磁気検知部5において磁性金属異物による残留磁気を検出して、金属異物の存在を検知する。磁気検知部5においては、アルミニウム製シールド6aとPCパーマロイ製シールド6bとの内側に形成された磁気遮蔽空間60aの内側で、より好ましくはアクティブシールド7とアルミニウム製シールド6aとPCパーマロイ製シールド6bとの内側に形成された磁気遮蔽空間60aの内側で、50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサ50を使用して残留磁気を検出し、その残留磁気の検出直後で磁気信号を増幅する回路として、浮遊容量や誘導によって不要な雑音が磁気検出部5との間の経路で侵入することを防止して良好な信号雑音比(S/N)を得る為の増幅回路51を使用する。増幅回路51で増幅された磁気信号は、電子回路52によって所定の周波数帯域の磁気信号のみが取り出される信号処理が行われ、CPU80によって信号処理後の磁気信号がメモリ81に格納される。このメモリ81に格納される磁気信号において、予め設定してある閾値よりも大きい磁気信号が含まれている場合、CPU80は、被検査物2に金属異物が混入していたと判断し、警報部84によって警報を発する。
【0042】
金属異物による微弱な磁気を検出する過程においてのアクティブシールド7の作用は次のとおりである。金属異物からの残留磁気を検出する過程において、CPU80は、第1〜第6仮想平面101〜106のそれぞれに直交する方向の磁気の大きさを三方位磁気センサ71を介して検出する。
第1〜第6仮想平面101〜106のいずれかにおいて磁気が検出された場合、CPU80は、その仮想平面101〜106を構成しているアクティブシールド回路70a〜70fに対してその磁気を打ち消す逆磁場を発生させるために電源18から電圧を印加する。かような逆磁場によって、金属異物の検知にとってノイズとなる外部からの大きな磁気がアクティブシールド空間75の内部に侵入することを防止することができる。
【0043】
個々のフラックスゲートセンサ50に対する試験コイル17と試験電圧とは、次のように使用される。金属異物からの残留磁気を継続的に検出する過程において、試験コイル17には試験電圧が所要の時間間隔で一定の時間だけ、すなわち間欠的に短時間だけ印加される。例えば、0.5〜1時間に1回の割合で、試験コイル17に一定の波形を有する微弱な試験電流が生じるように試験電圧が50〜200μsecの間だけ印加される。試験電圧が印加された試験コイル17には、その微弱な電流に特徴的な磁気がフラックスゲートセンサ50の磁気検出方向に発生する。この際、フラックスゲートセンサ50が正常に作動するものであれば、その特徴的な磁気を検出することができる。フラックスゲートセンサ50でその特徴的な磁気を検出することができなければ、CPU80における波形判定装置(図示せず)は、そのフラックスゲートセンサ50に異常が存在すると自動的に判断して、その異常の存在を電気的等の表示手段によって表示したり、警報部84によって警報を発してフラックスゲートセンサ50の点検又は交換を促したりすることができる。なお、試験コイル17における微弱な電流は、磁性金属異物による残留磁気よりも弱い磁気を試験コイル17に発生させるためのものである。この発明では、試験電圧による磁気が検出されたか否かを明確にするために、試験電圧を印加するきには、被検査物2の走行を一時的に止めたり、ダイヤル駆動源33aを駆動することによって検出位置にある被検査物2を非検出位置に移動させたり、フラックスゲートセンサ50から一時的に大きく離間させたりする手段を採用することもできるのであるが、これらの手段は、被検査物2の生産速度が問題にならない場合に採用することが好ましい。
【0044】
この発明に係る微細金属検出装置1によれば、50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサ50を含む磁気検出部5を備えているため、被検査物2に混入する微細な磁性体の金属異物を検知することができる。
また、磁気検出部5を覆うPCパーマロイ製シールド6bとアルミニウム製シールド6aで空間60aの内側に、フラックスゲートセンサ50、増幅回路51、電子回路52、センサ回路56を設け、磁気を検出した直後に磁気信号を増幅するから、磁気信号の増幅、及び信号処理を行う前に、ノイズが入ることを防止して、金属異物の存在を確実に検知することができる。
磁気検出部5は、微細金属検出装置1に対する全体的なアクテイィブシールド7でシールドすることによって、金属異物の存在を確実に検知することができる。
【0045】
なお、この発明は、上述した実施の態様に限られるわけではない。例えば、フラックスゲートセンサ50は交差方向CDで列を形成するように複数設けることができ、そのときに、隣接するフラックスゲートセンサ50どうしの間に生じた間隙を通過する被検査物2に対しては、その列の下流側に設けたフラックスゲートセンサ50で検査することができる。また、アルミニウム製シールド6a及びPCパーマロイ製シールド6bによって形成される高性能磁気シールドと、アクティブシールド7とは、それらを併用することが好ましいが、高性能磁気シールドだけを使用してこの発明を実施することもできる。
【0046】
図10は、微細金属検出装置1の一態様を説明するための図であって、微細金属検出装置1の一部分に対して使用する部分的なアクティブシールド9と、一方位磁気センサ99とを示している。アクティブシールド9は、アクティブシールド7と併せて、またはアクティブシールド7に代えて使用することができるもので、図5にはアクティブシールド9を形成するための入口コイル91と出口コイル92とが仮想線で示してある。
入口コイル91及び出口コイル92は、PCパーマロイ製シールド6bのうちの第2シールド62における入口65と出口66との周縁及びその周縁の近傍のいずれかに環状に設けられるもので、それぞれが環状のアクティブシールド9を形成している。入口コイル91及び出口コイル92には、これらのコイル91、92に電圧を印加する電源18が接続してある。
一方位磁気センサ99は、入口コイル91及び出口コイル92それぞれによって囲繞されたアクティブシールド空間60bそれぞれの内側に設けられている。一方位磁気センサ99は、入口65から空間60bに侵入する磁気を検出する入口用と、出口から空間60bに侵入する磁気を検出する出口用とをそれぞれ設けてある。
この場合の微細金属検出装置1のCPU80は、一方位磁気センサ99の検出した磁気を打ち消す逆磁場を入口コイル91及び出口コイル92に発生させるため、入口コイル91及び出口コイル92に電圧を印加する。
このアクティブシールド9を使用する微細金属検出装置1によれば、第1〜第6のアクティブシールド回路70a〜70fが不要になることがあり、そのときには装置1の構成が複雑になることを避けることができる。なお、部分的なアクティブシールド9と、全体的なアクティブシールド7とを併用すれば、磁気ノイズの侵入を確実に防止することができる。
なお、図示例では、PCパーマロイ製シールド6bのうちの第2シールド62における入口65と出口66との周縁に、入口コイル91及び出口コイル92を設けるもので説明したが、これに限られず、PCパーマロイ製シールド6bとは別個の支持物(図示せず)を設け、この支持物に入口コイル91及び出口コイル92を設け、入口65と出口66との周縁の近傍に設けても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 微細金属検出装置
2 被検査物
3 支持手段
4 帯磁手段
5 磁気検知部
6a アルミニウム製シールド
6b PCパーマロイ製シールド
7 アクティブシールド
9 アクティブシールド
17 試験コイル
18 電源
50 フラックスゲートセンサ50(超高感度磁気センサ)
51 増幅回路
52 電子回路
63 第1の入口(入口)
64 第1の出口(出口)
70a、70b、70c、70d、70e、70f 第1〜第6のアクティブシールド回路
71 三方位磁気センサ
72 仮想平行六面体
73a、73b、73c、73d、73e、73f 仮想平面
80 CPU(制御部)
91 入口コイル
92 出口コイル
99 一方位磁気センサ
MD 機械方向
CD 交差方向
VD 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に混入する微細な金属異物を磁化し、前記金属異物の残留磁気を検出することによって前記金属異物の存在を検知する高性能磁気シールドと超高感度磁気センサとを備えた微細金属検出装置において、
前記被検査物と対向させた前記超高感度磁気センサによる前記残留磁気の検出方向と一致する方向に前記金属異物を磁化する帯磁手段と、
前記帯磁手段を通過させた後の前記被検査物を支持して前記被検査物と前記超高感度磁気センサとの間隔を所定寸法に保つことが可能な支持手段と、
前記超高感度磁気センサとして50pT/√(Hz)以下の磁気を検出可能なフラックスゲートセンサを含む磁気検出部と、
前記高性能磁気シールドとして前記磁気検出部を覆う磁気遮蔽用のPCパーマロイ製シールドと高周波遮蔽用のアルミニウム製シールドと、
を備えることを特徴とする前記微細金属検出装置。
【請求項2】
前記微細金属検出装置は、前記被検査物が走行する機械方向と、前記機械方向に直交する前記磁気の検出方向と、前記機械方向及び前記検出方向に直交する交差方向とを有し、前記機械方向の上流から下流に向かって前記帯磁手段と前記磁気検出部とが並び、前記支持手段が前記被検査物を前記機械方向へ走行させるものである請求項1に記載の微細金属検出装置。
【請求項3】
前記磁気検出部で検出した磁気信号を前記磁気検出部の直後で増幅する回路として、浮遊容量や誘導によって不要な雑音が前記磁気検出部との間の経路において侵入することを防止して、良好な信号雑音比(S/N)を得ることができる増幅回路と、
前記磁気信号のうちから前記支持手段による前記被検査物の走行速度に対応した周波数帯域の信号を取り出すため、所定の第1周波数以上の周波数をカットするローパスフィルタ及び前記第1周波数よりも小さい所定の第2周波数以下の周波数をカットするハイパスフィルタを有する電子回路とを備えており、
前記高性能シールドが前記増幅回路及び前記電子回路をも覆っている請求項1又は2に記載の微細金属検出装置。
【請求項4】
前記磁気検出部は、前記機械方向に複数の前記フラックスゲートセンサを有し、前記機械方向における上流側の前記フラックスゲートセンサと、それに隣接する下流側の前記フラックスゲートセンサとの間では、前記上流側から見たときに、前記上流側の前記フラックスゲートセンサと前記下流側の前記フラックスゲートセンサとの位置が一致することのない様に、前記上流側のフラックスゲートセンサに対して前記下流側のフラックスゲートセンサが前記交差方向へ偏倚させてある請求項1〜3のいずれかに記載の微細金属検出装置。
【請求項5】
前記残留磁気を検出するための前記フラックスゲートセンサのそれぞれには、前記フラックスゲートセンサの異常を検出するための試験コイルを設置し、前記試験コイルのそれぞれは直列に接続して前記試験コイルのそれぞれに同一の電流が流れる回路を形成し、前記回路に所定の試験電圧を印加すると、前記試験コイルのそれぞれが発生する同一レベルの磁気を前記フラックスゲートセンサのそれぞれが検出可能となり、前記フラックスゲートセンサそれぞれの検出する磁気に対しての波形判定装置で、前記同一レベルの磁気の検出の有無を判定し、前記同一レベルの磁気の検出がないときに前記フラックスゲートセンサに異常が存在すると判断することのできる前記試験コイルを備えている請求項1〜4のいずれかに記載の微細金属検出装置。
【請求項6】
前記試験コイルの全てに同一の試験用の一定波形を与える電源と、
前記電源を制御する制御部とを有しており、
前記制御部は、前記金属異物からの前記残留磁気を継続的に検出している過程で、前記フラックスゲートセンサに前記異常が存在すると判断することが可能な前記試験電流を間欠的に一定の時間だけ前記試験コイルに流して前記試験電流に特徴的な前記同一レベルの磁気を発生させ、前記残留磁気を検出中である前記磁気センサに前記同一レベルの磁気を検出させることにより、前記フラックスゲートセンサにおける前記異常の存在を自動的に判断する請求項5に記載の微細金属検出装置。
【請求項7】
仮想平行六面体を形成する三組の互いに平行な仮想平面それぞれにおける稜線に沿って設けられた環状の第1〜第6のアクティブシールド回路と、
前記仮想平行六面体の内側にあって前記仮想平面のそれぞれに直交する方向の磁気の大きさを検知する三方位磁気センサと、
前記第1〜第6のアクティブシールド回路に電圧を印加する電源と、
前記三方位磁気センサの検知結果に基づいて、検知した磁気を打ち消す逆磁場を前記第1〜第6のアクティブシールド回路に発生させるために前記第1〜第6のアクティブシールド回路に電圧を印加する制御部と、
によって前記仮想平行六面体の内側にアクティブシールド空間が形成され、
前記アクティブシールド空間の内部に前記磁気検出部と前記PCパーマロイ製シールドと前記アルミニウム製シールドとを配置する一方、前記アクティブシールド空間の外部及び内部のいずれかに前記帯磁手段を配置してある請求項1〜6のいずれかに記載の微細金属検出装置。
【請求項8】
前記PCパーマロイ製シールドに形成されていて前記機械方向へ走行する前記被検査物が入出する入口及び出口と、
前記PCパーマロイ製シールドにおける前記入口と前記出口とのそれぞれの周縁及びその周縁の近傍のいずれかに設けられて環状のアクティブシールド回路を形成する入口コイル及び出口コイルと、
前記入口コイル及び前記出口コイルに電圧を印加する電源と、
前記環状のアクティブシールド回路それぞれによって囲繞された空間の内側に設けられて、前記入口から前記空間に侵入する磁気と前記出口から前記空間に侵入する磁気とを検出する一方位磁気センサと、
前記一方位磁気センサの検出結果に基づいて、検出した磁気を打ち消す逆磁場を前記入口コイル及び前記出口コイルに発生させるために前記入口コイル及び前記出口コイルに電圧を印加する制御部と、
を有する請求項2〜7のいずれかに記載の微細金属検出装置。
【請求項9】
前記アルミニウム製シールドは、複数枚のアルミニウム鋼板及びアルミニウム鋼板からの削り出し品のうちの少なくとも一方の材料による組み立て品であって、前記材料が嵌合及び前記材料を貫通することがないように使用されたねじによる締結のうち少なくとも一方の組立手段によって組み立ててある請求項1〜8のいずれかに記載の微細金属検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237181(P2011−237181A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106167(P2010−106167)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(598159997)アドバンスフードテック株式会社 (14)
【Fターム(参考)】