説明

高温熱交換器

【課題】 熱交換効率を高めることができ、伝熱管の耐久性を向上させることができる。【解決手段】 本発明は、高温流体と低温流体との間で熱交換を行うように構成された高温熱交換器11であって、丸チューブ14から成る第1熱交換部12と、扁平チューブ15とフィン16,17とから成る第2熱交換部13とを備えており、第1熱交換部12は前記高温流体の上流側に配置され、第2熱交換部13は前記高温流体の下流側に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの流体間において熱交換を行う熱交換器に関し、特に、高温流体と低温流体との間で熱交換を行う高温熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービンから排出される高温ガスの排熱を回収する場合や、燃料電池において燃料となる水素を生成する場合等において、高温熱交換器が使用されている。
【0003】
図4は、この種の高温熱交換器を発電プラントにおいて使用した例を示すものである。この発電プラントは、ガスタービン1と、排気管2を介してこのガスタービン1に接続された排熱回収用の高温熱交換器3と、高温熱交換器3内に設けられた蒸発器4及びエコノマイザ5とを備えている。そして、蒸発器4及びエコノマイザ5は蛇行して形成された伝熱管6,7により構成されており、これらの伝熱管6,7内にはそれぞれ蒸気及び水が流通するようになっている。
【0004】
このような構成において、ガスタービン1から排出された高温の排気ガスは、排気管2を介して排熱回収用の高温熱交換器3に送られ、この高温熱交換器3において、各伝熱管6,7内をそれぞれ流通する蒸気及び水と熱交換され、排気ガスの排熱が回収される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭58−203303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の高温熱交換器では、熱交換部が蛇行する伝熱管6,7により構成されていると共に熱交換を行う2つの流体が全体的に同方向に流れるようになっているため、熱交換効率を高めることが難しいといった問題があった。
【0006】
また、伝熱管6,7が高温ガスにより熱膨張し、応力の発生を抑制することが難しいため、伝熱管6,7が劣化し易いといった問題もあった。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、熱交換効率を高めることができ、さらに、伝熱管の耐久性を向上させることのできる高温熱交換器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高温流体と低温流体との間で熱交換を行うように構成された高温熱交換器11であって、丸チューブ14から成る第1熱交換部12と、扁平チューブ15とフィン16,17とから成る第2熱交換部13とを備えており、第1熱交換部12は前記高温流体の上流側に配置され、第2熱交換部13は前記高温流体の下流側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
そして、好ましくは、前記低温流体はチューブ14,15内を流通し、前記高温流体はチューブ14,15の外側を流通し、前記低温流体と前記高温流体とは全体的に直交且つ対向して流通するように構成されているのがよい。
【0010】
また、第1熱交換部12の丸チューブ14には耐高温酸化材料が使用されているのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温流体と高温流体の温度差の小さい高温流体の下流側に伝熱効率の高い第2熱交換部が配置され、両流体の温度差の大きい高温流体の上流側に流体抵抗の小さい第1熱交換部が配置されているため、熱交換効率と流体抵抗とのバランスが改善され、全体として効率の良い高温熱交換器を提供することができる。
【0012】
また、低温流体と高温流体とが全体的に直交且つ対向して流れるように構成されている場合には、熱交換効率をさらに高めることができる。
【0013】
さらに、第1熱交換部の丸チューブに耐高温酸化材料が使用されている場合には、温度変化による劣化を防止することができ、耐久性の向上を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る高温熱交換器を示す分解斜視図、図2はその第2熱交換部を示す斜視図、図3は高温熱交換器の作用を示す概略説明図である。
【0015】
この高温熱交換器11は、第1熱交換部12と第2熱交換部13の2つの熱交換部を備えている。第1熱交換部12はU字状に屈曲された複数の丸チューブ14により構成されており、丸チューブ14には耐高温酸化材料が使用されている。また、第2熱交換部13は複数並設された扁平チューブ15と、扁平チューブ15内に挿入された波形インナーフィン16と、各扁平チューブ15間に介装されたコルゲートオフセットフィン17とから構成されており、扁平チューブ15には一般的な低コスト材料、例えば、ステンレス鋼(SUS316,304)が使用されている。そして、丸チューブ14及び扁平チューブ15の内部を低温流体が流通し、その低温流体と全体的に直交且つ対向するように高温流体が丸チューブ14及び扁平チューブ15の外側を流通するようになっており、第1熱交換部12は高温流体の上流側に配置され、第2熱交換部13は高温流体の下流側に配置されている。
【0016】
また、高温熱交換器11には、第1熱交換部12及び第2熱交換部13の両端側にそれぞれ上流側ヘッダ部材18及び下流側ヘッダ部材19が設けられていると共に、第1熱交換部12及び第2熱交換部13の両側にそれぞれサイドカバー20,21が設けられている。
【0017】
上流側ヘッダ部材18は、扁平チューブ15の上流側端部22が貫設される上流側ヘッダプレート23と、上流側ヘッダプレート23に取り付けられる箱状のヘッダ本体部24と、ヘッダ本体部24に取り付けられる低温流体取入れ部25とから構成されている。一方、下流側ヘッダ部材19は、扁平チューブ15の下流側端部27と丸チューブ14の上流側端部28及び下流側端部29が貫設される下流側ヘッダプレート30と、扁平チューブ15の下流側端部27と丸チューブ14の上流側端部28とを連通させるように下流側ヘッダプレート30に取り付けられる第1ヘッダ本体部31と、下流側ヘッダプレート30の丸チューブ14の下流側端部29側に取り付けられる第2ヘッダ本体部32と、第2ヘッダ本体部32に取り付けられる低温流体排出部33とから構成されている。
【0018】
サイドカバー20,21はそれぞれ、板状部材の上下端部をそれぞれ内側に折曲させた形状を成しており、第1熱交換部12及び第2熱交換部13の各側面を覆うように形成されている。そして、サイドカバー20,21は、自由に熱膨張又は熱収縮可能なように、一端のみが固定され、他端はフリーになっている。
【0019】
次に、主に、図3を参照しつつ、高温熱交換器11における作用について説明する。
【0020】
低温流体は、低温流体取入れ部25からヘッダ本体部24を通って、第2熱交換部12の扁平チューブ15内に流入し、下流側ヘッダ部材19の第1ヘッダ本体部31を通って、第1熱交換部13の丸チューブ14内に流入する。そして、丸チューブ14内に流入した低温流体は、丸チューブ14の形状に沿って折り返し、下流側ヘッダ部材19の第2ヘッダ本体部32を通って低温流体排出部32から外部に排出される。
【0021】
一方、高温流体は、全体的に低温流体の流れの方向と直交且つ対向する向き(図3では下から上方の向き)に、第1熱交換部12の丸チューブ14の外側を流通した後、第2熱交換部13の扁平チューブ15の外側を流通する。そして、その高温流体と丸チューブ14及び扁平チューブ15内を流通する低温流体との間で熱交換が行われる。この時、熱により丸チューブ14は伸長するが、丸チューブ14は下流側ヘッダプレート30にのみ固定されており、曲がり部によってその伸びを吸収し、熱応力を緩和することができるため、丸チューブ14の上流側及び下流側端部28,29と下流側ヘッダプレート30との接合箇所に負荷が掛かることはない。したがって、耐久性の向上を図ることができる。
【0022】
このように、本発明の実施の形態によれば、低温流体と高温流体の温度差の小さい高温流体の下流側に伝熱効率の高い第2熱交換部13が配置され、両流体の温度差の大きい高温流体の上流側に流体抵抗の小さい第1熱交換部12が配置されているため、熱交換効率と流体抵抗とのバランスが改善され、全体として効率の良い高温熱交換器を提供することができる。また、低温流体と高温流体とは直交且つ対向して流れるように構成されているため、熱交換効率をさらに高めることができる。さらに、第1熱交換部12の丸チューブ14には耐高温酸化材料が使用されているため、温度変化による劣化を防止することができ、耐久性の向上を図ることができると共に、第2熱交換部13の扁平チューブ15には低コスト材料が使用されているため、製造コストの低減化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る高温熱交換器を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る高温熱交換器の熱交換部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る高温熱交換器を示す概略説明図である。
【図4】従来例を示す系統図である。
【符号の説明】
【0024】
11 高温熱交換器
12 第1熱交換部
13 第2熱交換部
14 丸チューブ
15 扁平チューブ
16 波形インナーフィン
17 コルゲートオフセットフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温流体と低温流体との間で熱交換を行うように構成された高温熱交換器であって、
丸チューブから成る第1熱交換部と、扁平チューブとフィンとから成る第2熱交換部とを備えており、前記第1熱交換部は前記高温流体の上流側に配置され、前記第2熱交換部は前記高温流体の下流側に配置されていることを特徴とする高温熱交換器。
【請求項2】
前記低温流体は前記チューブ内を流通し、前記高温流体は前記チューブの外側を流通し、前記低温流体と前記高温流体とは全体的に直交且つ対向して流通するように構成されている請求項1に記載の高温熱交換器。
【請求項3】
前記第1熱交換部の丸チューブには耐高温酸化材料が使用されている請求項1又は2に記載の高温熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−38336(P2006−38336A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218298(P2004−218298)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】