説明

高耐水圧ポリエステル不織布

ポリエステル系の素材にポリオレフィン系の素材を少なくとも1%以上添加した繊径が5μm以下である極細繊維不織布層と、繊径が7μm以上であるポリエステル系の長繊維不織布層とが熱圧着により一体化され、2kPa以上の耐水圧値を有する積層不織布構造体からなる高耐水圧ポリエステル不織布である。 建材に使用される透湿防水シートや靴材、更にはフィルター性能も要求される分野、例えば包材として使用される乾燥包材、耐放射線性やピール強度も要求される滅菌包材等の各種包材等として好適な不織布材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、高耐水性能が要求されまた同時に通気性や透湿性および強度や耐熱性も要求される分野、例えば建材用途として使用される透湿防水シート等や靴材、更にはフィルター性能も要求される分野、例えば包材として使用される乾燥包材、耐放射線性やピール強度も要求される滅菌包材等に有用な高耐水圧ポリエステル不織布に関する。
【背景技術】
従来、極細繊維不織布層と長繊維不織布層とを積層して熱圧着で一体化することは広く行われている。ポリプロピレン等の疎水性の素材であるポリオレフィン系樹脂を使用した不織布は、耐水性に優れるが、樹脂の融点が低いので耐熱性に劣り、高強度が得られないので、これらの特性が性能として要求される用途に適する不織布素材ではない。
タイベック(登録商標)に代表されるポリエチレンを用いたフラッシュ紡糸により得られた不織布でも、高耐水性及び高強力を得ることはできるが、ポリエステル樹脂素材を用いる不織布と比べて耐熱性が劣っている。一方、ポリエステル樹脂素材のみから得られる不織布は、強度や耐熱性に優れる反面、疎水性能に劣り、高耐水性能が求められる分野には適さない不織布素材であった。
特開平11−247061号公報に開示されるポリエステル長繊維不織布層とポリプロピレン等のポリオレフィン系極細繊維不織布層との積層に熱圧着法や接着による貼合せ法を適用して積層構造を固定することで、高強力で耐水性能を付与させようとする試みもある。しかし、繊維相互の融点差が大きい繊維層の積層構造を熱圧着法を適用して一体化させる場合、極細繊維が溶融して繊維の層構造が崩れるので、層間剥離が起り易く、製品不織布の耐水性能を低下させるといった問題点があった。
また、特開平7−207566号公報には、ポリエステル樹脂素材とポリオレフィン系樹脂素材との混合組成物にメルトブロー法を適用して得られる極細繊維からなる不織布層にスパンボンド法による長繊維不織布とを重ね合わせて、熱エンボス法を適用して、両者を貼合わすことで、積層された不織布が高剥離強度で貼合せられた柔軟性に優れ、風合いの良好なフィルター性能を備えた多層構造不織布を得ている。共にポリエステル繊維のみで構成される長繊維不織布層と極細繊維不織布層の積層構造不織布は、柔軟性に劣ってしまう傾向が著しいので、ポリプロピレン極細繊維層成分を添加して柔軟性の低下を緩和することができるとしても、ポリエステルとの相溶性を欠くポリプロピレンの両繊維の融着が不充分であるから、高い層間の剥離強度を有する積層不織布を得ることができない。
特開平7−207566号公報に開示の技術では、極細繊維層にポリエステル素材とポリプロピレン素材との混合樹脂を使用し、ポリエステル系重合体が略鞘部、ポリプロピレン系重合体が略芯部の構成とし、剥離強度の高い不織布を得ている。この方法では疎水性素材であるポリプロピレンが繊維の断面において略芯部に配置されることになるので、繊維表面の疎水性化効果が充分に得られず、不織布積層体にした場合でも、高耐水性能を有することができない。
疎水性繊維不織布層を貼合せて積層体を形成する方法では、特に低目付けの極細繊維不織布層を単独で取り扱う際は、不織布シートの、形態保持性が悪く取り扱い性が極めて困難となり、取扱いでの作業コストを増加させ、経済的に不利となる。
【発明の開示】
本発明の目的は、耐水性に優れ、且つ耐熱性や引張強度の高い高耐水性ポリエステル不織布を提供するものである。
本発明者らは、ポリエステル系樹脂に特定量のポリオレフィン系樹脂を混合して溶融押出紡糸し繊維化することで、繊維表面に非連続な疎水点(帯域)を特定割合で点在化させ、極細繊維不織布と長繊維不織布の積層不織布とすることで、上記課題を達成することを見出し、本発明をなすに至った。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂が少なくとも1wt%以上混合されたポリエステル系樹脂素材からなる繊径が5μm以下である極細繊維不織布層と、繊径が7μm以上であるポリエステル系樹脂を主体とした長繊維不織布層が熱圧着により一体化され、2kPa以上の耐水圧値を有する積層不織布構造体からなることを特徴とする高耐水圧ポリエステル不織布である。
【図面の簡単な説明】
図1は、極細繊維を構成するポリエステル樹脂中ポリプロピレン樹脂の混合量と本発明の積層不織布の耐水圧の関係を示す図である。
図2は、本発明の積層不織布の電子線照射後の引張強力保持率曲線を示す。
図3は、ポリオレフィン系樹脂混合ポリエステル系樹脂の極細繊維の表面におけるポリプロピレン樹脂相の点在態様を示す模式図である。
図4は、本発明に係る高耐水圧ポリエステル不織布の製造方法の一例を示すプロセス図である。
以下、本発明に関して詳述する。
本発明の高耐水圧性ポリエステル不織布は、繊径及び組成が相互に相違する繊維で構成される不織布が積層され、そして積層不織布の積層構造が熱カレンダー等の作用により熱固定されることで、特異な高耐水圧性が付与されている。
本発明の積層構造を構成する不織布層成分の一つは、メルトブロー紡糸法により形成された繊径5μm以下の特定ポリオレフィン系樹脂が特定割合で混合されたポリエステル系樹脂の極細繊維で構成される不織布であり、不織布層成分の他の一つは繊径が7μm以上より好ましくは7μm〜20μmであるポリエステル系樹脂を主体とした長繊維不織布である。
本発明では、このように樹脂組成及び繊径が相違する特定2種の不織布が積層された積層構造が、熱カレンダー等による加圧か加熱圧着の作用により、それぞれの不織布を構成するポリエステル繊維の表面に占めるポリエステル樹脂の熱融着作用による繊維間及び不織布層間の熱融着的接合を起して固定されている。
本発明のポリエステル不織布の発揮する耐水性は、ポリエステル極細繊維不織布成分を構成するポリエステル系極細繊維の繊維表面に疎水性のポリオレフィン系樹脂が非連続に分布して散在し、それが疎水点として作用する構造によるものである。
図3により、ポリエステル系極細繊維(F)の表面においてポリエステル相(a)内にポリオレフィン相(b)が非連続に分散して露出している態様を模式的に示す。
本発明における極細繊維不織布層を構成するポリエステル系極細繊維の相内に占めるポリオレフィン各樹脂の分散状態を後記する評価方法(7)により観測した結果、ポリオレフィン溶解処理後におけるSEM写真観察で、ポリオレフィン溶解処理前には存在しなかった、繊維表面にポリオレフィンが溶け落ちた穴や線状に分散した痕が観察され、極細繊維を形成するポリエステル樹脂に混合されたポリオレフィンが繊維の表面にブリードアウトして存在している構造をもっていることが確かめられた。そして、ポリオレフィン樹脂を混合しないポリエステル系樹脂の極細繊維で構成された不織布では、カレンダーロール加工により繊維層を強固に熱接着させても2kPa以上の耐水圧を発現させることはできないことが判明した。
本発明における極細繊維不織布層を構成する繊径が5μm以下のポリエステル極細繊維は、ポリオレフィン系樹脂が少なくとも1wt%以上混合されたポリエステル系樹脂組成物の極細繊維である。
より高い耐水性能を得るには、極細繊維層におけるポリオレフィン系樹脂の混合率として5〜75wt%が好ましく、より好ましくは10〜50wt%である。図1に、一例として、実施例1〜7における代表的なポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレン樹脂の混合量と耐水圧の関係を示した。この図より、ポリプロピレン樹脂を混合すると、少量の混合量で耐水圧が急激に向上する傾向にある。ポリオレフィン系樹脂の混合率が10〜50wt%の範囲にあると、耐水圧は7kPa以上となり極大値を示し、極めて高い耐水圧を有することがわかる。混合量が50wt%を超えると耐水圧はやや低下し、7kPaより低下する傾向にある。
ここに、ポリエステル系樹脂は、熱可塑性ポリエステルであって、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートが代表例として挙げられる。熱可塑性ポリエステルは、エステルを形成する酸成分としてイソフタル酸やフタル酸等が重合又は共重合されたポリエステルであってもよい。更には、生分解性を有する樹脂例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを主たる繰り返しの単位要素とする共重合体であってもよい。
一方、ポリエステル系樹脂に添加又は混合されるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。ポリエチレンは、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)等のポリエチレンであることができ、更には、ポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体やポリプロピレン中にポリエチレンや他の添加剤を添加したポリマーであることができる。
疎水性のポリオレフィン系樹脂が繊維表面に非連続で存在する一方、繊維表面にはポリエステルの熱接着面を有することが好ましく、その様なポリエステル系極細繊維を調製するための好ましいポリエステル樹脂組成物の条件が必要であることが判明した。
ポリエステル系樹脂粘度としては、粘度が高すぎると繊径を細くすることが難しくなりまた、粘度を低くすると製造工程中で風綿(フライ)が発生し易い条件となり、安定した紡糸が困難となる。従って、溶液粘度の範囲としては、0.2〜0.8ηsp/Cが好ましく、より好ましい範囲としては0.2〜0.6ηsp/Cである。なお、溶液粘度の測定は、オルトクロロフェノール溶媒25mlに試料0.25gを溶解し、温度35℃の条件で常法により測定したものである。この極細繊維不織布層の構造としては、図3で示した様に繊維表面に疎水点が非連続に存在すればよいため、散在した点状や線状及び面状でもよい。しかし、完全な鞘芯構造(例えば略鞘部がポリオレフィン、略芯部がポリエステル)の場合は、熱圧着にて一体化した場合、長繊維不織布層との融着が不十分となり剥離強度の低下や表面層へのオレフィンの滲み出しによりロール表面が汚れてしまうという工程上の問題点も生じるため好ましくない。また、極細繊維不織布層に表面張力の異なる試薬を滴下した際の濡れ・含浸開始レベルが50mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、40mN/m以下である。50mN/mを超えると繊維表面での疎水点の存在が不十分であるため、長繊維不織布層との積層構造体における耐水性も低下してしまう。メルトインデクサー溶融流量装置を用い、実際に溶融紡糸する際の温度と同一の温度条件で試験荷重21.18Nで10分間当りの溶融ポリマーの吐出量を測定し、この量を溶融流量とした場合、ポリエステル系樹脂の溶融流量よりもポリオレフィン系樹脂の溶融流量の方が大きな値を示すほど、よりブリードアウトしやすい状態となる。従って、使用するポリオレフィン系樹脂のポリマー粘度としては、MFRが20g/10分以上であればよいが、繊維の表面にポリオレフィン系樹脂がブリードアウトし易い状態となると、繊維表面の疎水効果が更に向上する。そのために、ポリオレフィン系樹脂のMFRが100g/10分以上が好ましく、更に好ましくは500〜3000g/10分のハイフロータイプである。なお、MFRの測定はJIS K 7210により実施し、試験条件は試験温度230℃、試験荷重21.18Nとした。
本発明において用いられるポリエステル系極細繊維不織布層は、押出機内で、前述したポリオレフィン系樹脂を熱可塑性ポリエステル系樹脂に混合して、ポリエステル樹脂組成物の溶融物を調製し、メルトブローノズルを経て、メルトブロー紡糸法により吐出し、極細繊維として捕集面上に堆積せしめることによって調製される。メルトブローの製造方法は具体態様は、例えば特公昭62−2062号公報や特公昭56−33511号公報に記載されている。
極細繊維不織布層を構成する繊維の繊径としては5μm以下であり、好ましくは0.5〜3μmであり、特に好ましく0.5〜2μmである。繊径が細くなれば細くなるほど耐水性能は向上するが、0.5μm未満の繊径の場合には、繊維が切断しやすく、製造工程中で風綿(フライ)が発生し易い条件となり、安定した紡糸が困難となる。紡糸工程での紡口ホール当りのポリマーの吐出量を少なくする方法もあるが、生産性が低下し経済的に好ましくない。一方、繊維径が5μmを超えるような繊径では、繊維間隙が大きくなり十分な耐水性能を得ることができない。
繊径が7μm以上のポリエステル系長繊維不織布層は、例えば、特公昭49−30861号公報や特公昭37−4993号公報等に記載されているスパンボンド不織布の製造方法を熱可塑性ポリエステル系樹脂に適用して調製される繊径が7μm以上のポリエステル系長繊維で形成される不織布で構成される。
ここでいうポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、またイソフタル酸やフタル酸等が重合されたポリエステル、更には生分解性を有する樹脂例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを主たる繰り返しの単位要素とする共重合ポリエステルであってもよい。またポリエステル系長繊維不織布においてポリエステル系樹脂に、ポリエステルに対して7wt%を超えない範囲でポリオレフィン系樹脂を混合した樹脂組成物であってもよい。ここで混合されるポリオレフィン系樹脂は、極細繊維不織布を形成するポリエステル樹脂に混合されるポリオレフィン樹脂から選ばれる重合体、共重合体であってよい。
これらのポリオレフィン系樹脂を混合したポリエステル系長繊維不織布は、水分が表面に付着した際の疎水効果に優れ、表面張力の異なる試薬を滴下した際の濡れ・含浸開始レベルも向上し水の浸入阻止性が良くなる。ポリエステル系長繊維不織布のポリオレフィン系樹脂の混合は、混合率を増やすことで表面の疎水効果も向上するが、安定した紡糸を実行するためには、混合率が3wt%以下が最も好ましい。
本発明の極細繊維不織布層と長繊維不織布層とからなる不織布積層体は、10g/m以上の目付けに調製される。不織布積層体中、極細繊維不織布層の成分としての目付は2g/m以上、長繊維不織布層が占める目付が8g/m以上であることがそれぞれ必要である。
本発明による不織布積層体の耐水性能は、主として、極細繊維不織布層の特性により付与されている。不織布が極細繊維層のみで構成されている不織布は、その不織布構造が水圧をかけたときに目開きしてしまう程強度を欠くので、耐水性能を十分発現させることができない。一方、不織布積層体中、長繊維不織布層が占める目付が8g/m未満であると、積層構造内に配置された極細繊維不織布層を破壊なく保持(ガード)する強度が得られなくなってしまうので、耐水性能が低下する。積層構造内の極細繊維層の目付を2g/m未満にすると耐水性能の向上が望めず、また生産性の低下を招くことにもなるため好ましくない。包材や建材や靴材等に使用される場合は、更に高強力や高耐水圧が求められるため、積層構造体の目付として40g/m以上で、長繊維不織布層の目付が20g/m以上、極細繊維不織布層の目付が6g/m以上に設計することが好ましい。
本発明の高耐水圧ポリエステル不織布は、長繊維不織布層の上から極細繊維不織布層を積層し熱圧着により一体化させることにより得られる。極細繊維不織布層の構成繊維は、繊維を形成するポリエステルの結晶化度が低く、またポリオレフィン系樹脂が繊維表面に存在している。このために、積層不織布の構造固定において、積層不織布が加熱されたプレスロールに直接接触するとロールに取られ易い状態となる。このような理由で、長繊維不織布層の上から極細繊維不織布層を積層し、更にはその上から長繊維不織布層を積層させ、熱圧着で一体化させる構造の積層不織布とすることが好ましい。積層構造の内容を、例えば、極細繊維不織布層を2層としたり、長繊維不織布層を2層重ねる等の長繊維不織布層を上下層として極細繊維層を中間層とする多層積層構造としてもよい。
本発明に係る高耐水圧ポリステル不織布は、長繊維と極細繊維をシート状に各々積層し、この多層のシート状積層ウエブ体をフラットロール又はエンボスロールにて熱圧着することで、積層構造が固定され高耐水圧ポリエステル不織布が製造される。
本願発明に係る高耐水圧ポリステル不織布の連続製造プロセス概念図を図4に示す。図4の連続製造プロセスにおいて、高耐水圧ポリステル不織布(200)は、図面左から右に向かって進行する無端の捕集ネット(100)上に、左端上部に設備されたスパンボンド不織布紡糸ユニット(20)から紡糸された長繊維スパンボンドウエブ(S1)が堆積され、ついで、前記の長繊維ウエブスパンボンドウエブ上に、中央部上部に設備されたメルトブロー紡糸装置(30)から紡出された所定の繊度の極細繊維からなるシート状ウエブ(M)が重ねて堆積され、更に右の下流側上部に置けられたもう一つのスパンボンド不織布紡糸ユニット(20)から紡出された長繊維スパンボンドウエブ(S2)が極細繊維層(M)面上に堆積して長繊維不織布(S1)/極細繊維不織布(M)/長繊維不織布(S2)で構成される三層不織布積層シートが調製されている。この三層不織布積層シートは、更に捕集搬送帯で右に搬送され、その端部から外側に引き取られ、ついで熱カレンダ(101)、(102)に通され、三層不織布構造が固定されて、本願発明に係る高耐水圧ポリステル不織布が調製される。このようなプロセスを用いることで、ウエブ捕集用のコンベアネット上に紡糸された長繊維不織布層の1層以上積層した上から、同一コンベアネット上で紡糸される少なくとも1層以上の極細繊維不織布層を重ねて積層するプロセスを、更に繰り返して、同一コンベアネット上で紡糸された1層以上の長繊維不織布層と、それぞれを少なくとも1層を任意数積層した積層構造シートを容易に調製することができる。図4において、21はエクストルーダ、22はスパンボンド紡糸ノズル、23は冷却チャンバー、24はサッカーである。31はエクストルーダ、32はギアポンプ、33はメルトブロー紡糸ノズルである。
長繊維不織布の層数を2層以上とすることで、地合斑や例えば一方の紡糸機で、ピンホールやメクレ等の欠損部が発生した場合でも、残る他方で欠損部をカバーできるため、より極細繊維不織布層の積層構造体の保持(ガード)効果を不織構造の全面について均一化することができる。極細繊維不織布層を多層にすることについても、同様に、地合斑や例えば一方の紡糸機でピンホール等の欠損部が発生した場合にも、残る他方で一方の欠損についてカバーすることができる意味で、物性(特に耐水圧)のばらつきを小さく抑制することができ好ましい態様である。
積層不織布構造は、構造内の不織布層間、繊維間が熱圧着により一体化され、固定されることが必要である。
熱圧着でより高耐水圧を得るには、例えば金属フラットロールにより層面間に均一な熱接合を起こさせることが望ましい。
熱接着する際の温度としては、180℃から245℃の範囲であるが、低い温度では表面の毛羽が発生し、高い温度では混合したポリオレフィン系樹脂が溶け出してしまうため、190℃〜230℃が好ましい。また、熱接着する際の加圧条件としては、1〜30t/mであり、表面の毛羽を抑えることを考えると2t/m以上が好ましい。表面の毛羽を完全に抑えるためには、一段プレス実施後に更にカレンダーロールを用いて潰し加工を実施することも可能である。
フラットロールによる熱圧着はエンボスロールによる熱圧着のように極細繊維層をエンボス部で損傷させることがないので、耐水性能を最高に発現させる上で好ましい。しかし、エンボスロールによる熱圧着も可能である。エンボスロールにおける部分接着によるエンボス形状やエンボス率は特に限定されないが、5%〜40%のエンボス面積率の範囲の部分接着が行われることが好ましい。
熱圧着により一体化された積層不織布は、シリコン系、ふっ素系等の撥水剤を用いて撥水処理を適用することで、耐水性能が更に向上する。
本発明の高耐水圧性ポリエステル不織布は、積層不織布構造内に、極細繊維不織布層を含んでいるので、フィルター性能にも優れており、細菌のバリア性にも優れている。また、ポリオレフィンを混合しているが、積層不織布構造体としてはポリエステル系樹脂の含有量が多く、耐放射線性にも優れている。更には、耐放射線性試験は、日本電子照射サービス(株)にて、電子線の強度を20〜60kGyとして、電子線を照射していないものからの引張強力保持率を評価した。ポリオレフィンの混合により積層体不織布同士をヒートシールした場合や、ヒートシール用フィルム、例えば滅菌包材等で用いられる、PETフィルムにPPのヒートシール用フィルムを貼合せたフィルムとヒートシールした場合においても、ピール強度に優れており、ピール毛羽も発生せずに、形状変化もしない特徴がある。
本発明は、ポリエステル系不識布の積層体を以上のように構成することにより、通気性や透湿性および耐熱性や引張強度が高い高耐水圧性ポリエステル不織布を得ることを可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例を挙げて更に発明について詳述するが、本発明はこれらの実施例に挙げられた具体態様のみに限定されるものではない。
なお、実施例における各特性の評価方法は下記の通りである。
(1)不織布の構成繊維の繊径(μm)の測定
生産された不織布の両端10cmを除き、CD方向に5等分して1cm角の試験片をサンプリングし、顕微鏡で極細繊維層及び長繊維不織布層に分け、それぞれの直径を各50点ずつキーエンス製の高倍率マイクロスコープVH−8000を用いて測定し、その平均値から繊径を算出した(小数点第2位を四捨五入)。
(2)耐水圧(kPa)の測定
積層不織布の両端部10cmを除き、CD方向に5等分、MD方向に3等分して計15点に関して20cm角の試験片をサンプリングし、JIS−L−1092に準じて測定して、その測定値の平均値から耐水圧を算出した。
なお、耐水圧の平均値が1kPa以上あるものに関しては、測定見かけ上の瞬間的な耐水性発現の可能性を除外するため、同装置を用いて1kPaの水圧をかけた状態で洩れ出しのないことを確認後24hr放置して、洩れだしの有無を確認し洩れだしの有る場合は耐水圧値を0とした。
24hr放置後の洩れだし無 : ○
24hr放置後の洩れだし有 : ×
(3)引張強度(N/3cm)の測定
積層不織布の両端部10cmを除き、CD方向に5等分、MD方向に3等分して計15点に関してCD、MD方向に3cm×20cmの試験片をサンプリングし、低速伸張試験型引張試験機に把握長10cmで取付け、引張速度30cm/分で試験片が破断するまで荷重を加える。MD,CD方向における、試験片の最大荷重時の強さの平均値を求め次式で引張強度を算出した(小数点第2位を四捨五入)。
引張強力=(MD平均+CD平均)/2(N/3cm)
(4)濡れ張力試験
層成分として用いられた極細繊維不織布層及び積層不織布をサンプリングし、試薬の表面張力を大きいものから順に段階的に下げていき、濡れ・含浸が開始したレベルを観察した。
尚、試薬の滴下は各サンプル2〜3滴とした。
試薬 : 和光純薬工業(株)製
成分−エチレングリコール、モノエチルエーテル、ホルムアミド
表面張力 − 54〜34mN/m (蒸留水 − 76mN/m)
(5)耐熱性試験
積層不織布の両端部10cmを除き、CD方向に3等分、MD方向3等分して計9点に関してCD、MD方向に20cm×30cmの試験片をサンプリングし、風速1m/分、90℃の雰囲気下における熱風オーブン内で加熱処理を実施した後、引張り強度(MD、CD方向)を測定し、熱処理を実施する前からの強力保持率の平均値を求めた。
(6)粉漏れ試験
積層不織布の両端部10cmを除き、CD方向に3等分、MD方向3等分して計9点に関してCD、MD方向に20cm×30cmの試験片をサンプリングし、田中化学機器株式会社 ロータップ篩振とう器 型式R−2を用いて、0.7〜3μmの石灰を振盪数270回/分、上下打数156回/分の条件下で粉漏れの発生の有無を確認し、1点でも粉漏れが発生した場合は、粉漏れ有りと判定した。
(7)繊維内ポリオレフィン系樹脂の分散状態評価
層成分として用いた極細繊維不織布層をサンプリングし、包埋かごに挟み込み、オイルバスを用いて150℃に加温したo−ジクロロベンゼンに4時間浸漬した。次に加温時間処理後の不織布をそれぞれガラス板に挟んで真空乾燥(40℃:15時間)を行い、SEM観察およびDSC測定にて処理後のポリオレフィン系樹脂の有無を確認した。
測定に使用した装置と条件は以下の通りである。
▲1▼SEM観察条件
装置 : S−4100(日立製作所製)
加速電圧 : 1.5kV
前処理 : Pt−Pd蒸着、0.1Torr、4.5mA×2分
(エイコー社製、IB−5使用)
▲2▼DSC測定条件
装置 : DSC210(S11ナノテクノロジー社製)
測定雰囲気: 窒素(ガス流量50ml/min)
測定温度 : 室温〜300℃
昇温速度 : 10℃/min
(8)細菌透過性試験
積層不織布の両端部10cmを除き、CD方向に3等分してMD,CD方向に5cm×5cmの試験片をサンプリングし、121℃、15分間高圧蒸気滅菌し試料とした。寒天平板培地上に試料を置き、その上に大腸菌の菌液を0.5ml滴下した。室温で放置し、1,3及び24時間後に寒天平板培地上の試料を取り除き、同平板培地を35℃±1℃、2日間培養後、培地上に生育する集落数を測定した。
▲1▼試験菌−Escherichia coli NBRC 3301(大腸菌)
▲2▼試験用培地−NA培地:普通寒天培地(栄研化学株式会社)
SA培地:標準寒天培地(栄研化学株式会社)
▲3▼菌液の調製−試験菌をNA培地で35℃±1℃、18〜24時間培養後、得られた試験菌の菌体を滅菌生理食塩水に懸濁させ、1ml当りの菌数が10〜10になるように調製し、それぞれを菌液とした。
尚、この菌液の生菌数をSA培地を用いた混釈平板培養法(35℃±1℃、2日間培養)により測定した。
実施例1〜7、比較例1、2
長繊維不織布層を上下にして極細繊維層が覆われた3層の積層構造体において、長繊維不織布層の目付を各25g/m、極細繊維層の目付を10g/mとし、フラットロールを用いて210℃の温度、線圧3.5t/mにて、熱圧着し一体化させた。長繊維不織布層の素材はポリエステルのみで繊径を13μmとし、極細繊維不織布層においては溶液粘度が0.48ηsp/Cのポリエステル素材にMFR700g/10minのポリプロピレンを1wt%(実施例1)、10wt%(実施例2)、30wt%(実施例3)、50wt%(実施例4)、75wt%(実施例5)混合したもの及び、ポリプロピレンを混合しないポリエステル素材のみ(比較例1)、ポリプロピレン素材のみ(比較例2)と変化させ、極細繊維層の繊径を2μmとした。
また、実施例3において長繊維不織布層のポリエステル素材にポリプロピレンを3wt%(実施例6)混合させた。
また、実施例3において長繊維不織布層の目付を各16.5g/m、極細繊維不織布層の目付を7g/m(実施例7)として採取した。また、実施例3においてエンボス率15%の織目柄におけるエンボスロールを用いて(実施例8)210℃の温度、線圧3.5t/mにて熱圧着させた積層不織布により強力値及び耐水性能を評価した結果を表1及び図1に示す。
極細繊維層にポリプロピレンを混合しない場合は、強力値は高くなるが、耐水性能が2kPaを下回ってしまう。ポリプロピレンを添加することで、強力値は若干低下傾向となるが、明らかに耐水性能は向上することがわかる。又、エンボスロールによる熱圧着はフラットロールに比べて耐水性能は若干低下するものの、2kPa以上の耐水圧を十分に有する事ができ、強力値もほとんど変わらない。しかし、ポリプロピレン素材のみでは、熱圧着の際、ポリプロピレンが溶け出し、極細繊維不織布層の繊維構造が破壊され、亀裂やピンホールが生じるため、耐水圧の向上がみられない。又、極細繊維不織布層の繊維構造を維持する場合は、熱圧着時のロール温度を低く設定しなければならず表面毛羽を抑える事が困難となり、剥離強力や引張強力の低下にも繋がり、積層体の外観や形状も悪くなる。

【実施例9】
同一コンベアネット上で、長繊維不織布層を2層積層し、その上から極細繊維不織布層を2積層し、更にはその上から長繊維不織布層を積層させた5層構造体において、1〜2層目の長繊維不織布層の目付をそれぞれ12.5g/m、3〜4層目の極細繊維不織布層の目付をそれぞれ5g/m、5層目の長繊維不織布層の目付を25g/mとし、フラットロールを用いて210℃の温度線圧3.5t/mにて熱圧着し一体化させた。長繊維不織布層の素材はポリエステルのみで繊径を13μmとし、極細繊維不織布層においては溶液粘度が0.48ηsp/Cのポリエステル素材にMFR700g/10分のポリプロピレンを30wt%(実施例9)混合し、極細繊維不織布層の繊径を2μmとした結果を表2に示す。
3層構造品と比較して耐水圧の平均値は若干高い値を示した。更には、測定した耐水圧の最低値が、3層構造のものと比較して高くなっており、長繊維不織布層における極細繊維不織布層の保持(ガード)効果の均一化及び極細繊維不織布層の地合の均一化の効果が現れた結果となった。

【実施例10〜11】
実施例3と同様の方法で、極細繊維不織布層をポリエステル素材に対して30%のMFR=53g/10分のHDPE(実施例10)、MFR132g/10分のLDPE(実施例11)を混合し、繊径を2μmとし採取した積層不織布により強力値及び耐水性能を評価した結果を表3に示す。
ポリプロピレンを混合した場合と同様に、ポリエチレンの種類を変えても耐水性能が向上することがわかる。

実施例12、13、比較例3
実施例3と同様の方法で、極細繊維層の繊維の繊径を1.5μm(実施例12)、2.8μm(実施例13)、6.0μm(比較例3)とし、採取した積層不織布により強力値及び耐水性能を評価した結果を表4に示す。極細繊維層の繊維の繊径が5μmを超えると強力値には殆ど変化は生じないが、極細繊維層におけるカバーリング効果が低下してしまうため、耐水性能が低下してしまう。

実施例14、比較例4、5
実施例3と同様の方法で、総目付を10g/mとし、極細繊維不織布層の目付を2g/m(実施例14)、1g/m(比較例4)、4g/m(比較例5)とし、採取した積層不織布により強力値及び耐水性能を評価した結果を表5に示す。
極細繊維層の目付が1g/mでは、極細繊維層の絶対量が少なくなりカバーリング効果が低下してしまうため、高耐水性能を発現することができない。また、極細繊維層の目付が4g/mでは、極細繊維層を保持する長繊維不織布層の強力値が13N/3cm以下に低下してしまうため、高耐水性能を発現することができなくなってしまう。

実施例15〜22、比較例5
極細繊維不織布層の目付を30g/mとし、ポリエステル素材にMFR700g/10分のポリプロピレンを1wt%(実施例15)、30wt%(実施例16)、50wt%(実施例17)、75wt%(実施例18)混合したもの及びポリプロピレンを混合しないポリエステル素材のみ(比較例5)と変化させ、極細繊維不織布層の繊径を2μmとして積層不織布を採取した。また、実施例14において混合するポリプロピレンのMFRを40g/10分(実施例19)、1500g/10分(実施例20)と変化させ積層不織布を採取した。更には、実施例3における積層構造体(実施例21)、実施例6における積層構造体(実施例22)、及び比較例1における積層構造体(比較例6)のそれぞれについて濡れ張力試験を実施した結果を表6に示す。
極細繊維不織布層にポリプロピレンを混合しない場合は、表面張力の大きな試薬でも含浸してしまうが、ポリプロピレンを混合する事で、表面張力の小さな試薬でも含浸しなくなることがわかる。また、混合するMFRを変化させても試薬が含浸する表面張力に変化はなかった。更には、長繊維不織布層と一体化した積層構造体においても同じように、極細繊維不織布層にポリプロピレンを混合しない場合は、表面張力の大きな試薬は含浸してしまうが、ポリプロピレンを混合する事により、表面張力の小さな試薬でも含浸しなくなることがわかる。長繊維不織布層にポリプロピレンを混合した積層構造体は、更に表面張力の小さな試薬でも含浸しなくなることがわかる。これらの結果が示すように、ポリプロピレンを混合する事で、表面張力の小さな試薬でも含浸し難くなる。従って、この事実は水を通さない(耐水性が向上する)一つの要因として考えることができる。

【実施例23〜26】
実施例3における積層体を用いて熱風オーブン内で加熱処理を200時間(実施例23)、1200時間(実施例24)、また、実施例4における積層体を用いて熱風オーブン内で加熱処理を200時間(実施例25)、1200時間(実施例26)した後の強力保持率を評価した結果を表7に示す。極細繊維不織布層にポリプロピレンを添加しても1200時間後における強力値の低下は殆ど見られないことがわかる。

【実施例27】
実施例3における積層体を用いて、篩振とう器にて粉漏れの評価を実施した結果を表8に示す。0.7μ程度の紛体(石灰)でも極細繊維不織布層のフィルター効果により粉漏れが発生せず、乾燥(石灰)包材等にも有用であることがわかる。

【実施例28】
実施例3における積層体を用いて、細菌透過性の試験を実施(実施例28)した結果を表9に示す。

24時間放置後においても、培地上に生育する集落数はなく、菌液が透過しないため、細菌のバリア性にも優れていることがわかる。
実施例29〜31、比較例8〜13
実施例3における積層体を用いて、電子線の照射強度を20kGy(実施例29)、40kGy(実施例30)、60kGy(実施例31)と変化させた。また、フラッシュ紡糸法により得られたポリエチレンの不織布を用いて、同様に電子線の強度を20kGy(比較例8)、40kGy(比較例9)、60kGy(比較例10)、更には、ポリプロピレンのスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド積層体を用いて、電子線の強度を20kGy(比較例11)、40kGy(比較例12)、60kGy(比較例13)と変化させ、照射後の引張強度を測定し、各々の照射前の引張強力値からの保持率を評価した結果を表10及び図2に示す。

実施例3における本発明の積層体に関しては、60kGyの照射強度でも引張強力値の変化はなく耐放射線性に優れていることがわかる。しかし、ポリエチレン不織布やポリプロピレン不織布に関しては、照射強度が増すにつれ引張強力値が低下してしまい、耐放射線性に劣っていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
本発明の高耐水圧ポリエステル不織布は、耐水性に優れており、引張強度も大きく、また、耐熱性や耐放射線性やバリア性にも優れているといった諸特性をバランスよく確保している。このような理由で、建材用途に使用される透湿防水シートや靴材、更にはフィルター性能も要求される分野、例えば包材として使用される乾燥包材や滅菌包材等の各種包材等の各種用途に好適な不織布材料である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂が少なくとも1wt%以上混合されたポリエステル系樹脂素材からなる繊径が5μm以下である極細繊維不織布層と、繊径が7μm以上であるポリエステル系樹脂を主体とした長繊維不織布層が熱圧着により一体化され、2kPa以上の耐水圧値を有する積層不織布構造体からなることを特徴とする高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項2】
積層不織布構造体のポリエステル系樹脂の含有量が70wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項3】
極細繊維不織布を構成する極細繊維の表面にポリオレフィン系樹脂の非連続な相が散在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項4】
長繊維不織布を構成する長繊維がポリオレフィン系樹脂が7wt%以下で混合されているポリエステル系樹脂樹脂からなる長繊維であることを特徴とする請求項1〜3に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項5】
積層構造体の目付が10g/m以上であり、且つ長繊維不織布層の目付が8g/m以上であり、且つ極極細繊維不織布層の目付が2g/m以上であり、積層構造体が13N/3cm以上の引張強力値を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項6】
長繊維不織布層の目付が20g/m以上及び極細繊維不織布層の目付が少なくとも6g/mであり、かつ不織布積層構造体の目付が40g/m以上とからなり、該不織布積層構造体が60N/3cm以上の引張強力値及び3kPa以上の耐水圧値を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項7】
極細繊維不織布層がポリオレフィン系樹脂が5〜75wt%混合されたポリエステル系樹脂素材からなる極細繊維で構成されてなることを特徴とした請求項1〜6に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項8】
極細繊維不織布がポリオレフィン系樹脂を10〜50wt%混合したポリエステル系樹脂素材からなる極細繊維で構成されていることを特徴とした請求項1〜6に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項9】
極細繊維不織布を構成する極細繊維が溶液粘度範囲0.2〜0.8ηsp/Cのポリエステル系樹脂で形成されることを特徴とした請求項1〜8に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項10】
極細繊維不織布を構成する極細繊維が溶液粘度範囲0.2〜0.6ηsp/Cであるポリエステル系樹脂で形成されることを特徴とした請求項1〜8に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項11】
極細繊維を形成するポリエステル樹脂に混合されるポリオレフィンのMFRが20g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜10に記載の高耐水圧不織布。
【請求項12】
極細繊維を形成するポリエステル樹脂に混合されるポリオレフィンのMFRが100g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜10に記載の高耐水圧不織布。
【請求項13】
極細繊維を形成するポリエステル樹脂に混合されるポリオレフィンのMFRが500g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜10に記載の高耐水圧不織布。
【請求項14】
極細繊維を形成するポリエステル樹脂に混合されるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレンもしくはポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜13に記載の高耐水圧不織布。
【請求項15】
極細繊維不織布層に表面張力の異なる試薬を滴下した際の濡れ・含浸開始レベルが50mN/m以下である極細繊維不織布層を用いていることを特徴とする請求項1〜14に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項16】
ポリオレフィン系樹脂を混合したポリエステル系樹脂に押出機を経て押し出し、メルトブロー法で得られた極細繊維でなる極細不織布層で構成されることを特徴とする請求項1〜15に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。
【請求項17】
紡糸されコンベアネット上に堆積された少なくとも1層の長繊維不織布の層上から、同一コンベアネット上に堆積される少なくとも1層の極細繊維不織層を積層し、更にその上に、紡糸され堆積される少なくとも1層の長繊維不織層を重ねて形成される積層体を熱圧着により一体化して形成される積層構造で構成されることを特徴とする請求項16に記載の高耐水圧ポリエステル不織布。

【国際公開番号】WO2004/082930
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503739(P2005−503739)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003644
【国際出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】