説明

麺測定器

【目的】種々の麺類の太さを麺に対して非接触状態で計測することができ、且つ麺の太さが合格基準範囲内に収まっているか否かを瞬時に判定することができる麺測定器を提供すること。
【構成】 サンプル麺Mの長さ方向の一端を挟持固定する上部クランプAと、前記麺の他端を挟持固定する下部クランプBと、前記上部クランプAと前記下部クランプBとを結ぶ仮想線Lvに対して交差する光を発するセンサ8と、該センサ8よる麺の太さを数値表示する表示部83とからなること。前記上部クランプAと前記下部クランプBは水平面を同一角度回動自在とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の麺類の太さを麺に対して非接触状態で計測することができ、且つ麺の太さが合格基準範囲内に収まっているか否かを瞬時に判定することができる麺測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
製麺工場では、レストラン,食堂或は食品店等の納品先の要望に応じて種々の太さの麺が製造される。麺類の中でも、特に中華そばの麺は、シート状の麺生地から裁断機等を介して一度に多数本の麺を製造する。中華そばの麺は、レストラン,食堂,食品店等でそれぞれ太さの異なる麺が使用又は販売され、このようなことから製麺工場に対して種々の太さの麺の製造が要望される。
【0003】
ところで、麺を茹でる時間は、袋等の容器に記載されたり、又は添付された調理説明書に記載されることが多い。レストラン,食堂或は各家庭で麺を茹でる時間は、麺の太さがおおよその決定要件となっている。麺の太さが均一であれば、同一太さの麺であれば、茹で上がる時間は、ほとんど同一である。そのために、麺は、要求された太さで且つ長さ方向にほとんど均一でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−146252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もし、麺の太さが長さ方向において変化し、不均一であれば、所定の茹で時間では、適正な茹で上がりにすることができず、茹で上がった麺は、軟らかくなりすぎたり、又は茹で上がりが不足し麺が硬く仕上がることになる。これでは、美味しい中華そば等の麺料理を提供することができない。特に、大量の料理を提供する大食堂では、一度にたくさんの麺を同時に茹でることになり、同一の時間で、同一の茹で上がりとなるように麺を提供しなくてはならい。
【0006】
そのために、麺の太さの長さ方向における均一性がより一層重要視されるものである。しかし、製麺工場等で製麺するときには、その日の室温や湿度等の変化によって、麺の生地の体積も変化する。そのために、製麺では、時間によって、麺の太さが変化することがある。したがって、麺を製造するときには、温度の変化、湿度の変化等時間による環境の変化に注意し、麺生地の種々の成分を変化させなければならない。
【0007】
そのために一定の時間ごとに麺の太さを検査測定し、麺の太さが常時一定となるように製造管理する必要がある。従来では、麺の太さを検査するときには、ノギス等のような計測工具を使用せざるを得ないが、麺に直接計測器が接触すると、麺が僅かな外力であっても変形したり、或は麺の太さを検査するために、検査箇所を直接手を触れると体温で麺の太さが微妙に変化し、高い精度での太さの測定は困難であった。このようなことから、麺の太さを正確且つ非接触状態で太さの測定検査が行える装置の出現が望まれている。
【0008】
特許文献1では、麺の外観を検査する方法が開示されているが、これは麺に異物が混入しているか否かを判定するものであり、麺の太さを検査測定するものは存在しない。本発明の目的(技術的課題)は、製麺工場等の製麺作業において、常時要求された麺の太さであるか否かを極めて正確且つ簡単に非接触にて検査測定する機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、検査サンプルとした麺の長さ方向の一端を挟持固定する上部クランプと、前記麺の他端を挟持固定する下部クランプと、前記上部クランプと前記下部クランプとを結ぶ仮想線に対して交差する光を発するセンサと、該センサによる麺の太さを数値表示する表示部とからなり、前記上部クランプと前記下部クランプは水平面を同一角度回動自在としてなる麺測定器としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項2の発明を、請求項1において、前記上部クランプ又は前記下部クランプには、挟持片を有する一対の挟持部材が具備され、且つ前記両挟持片同士が当接するように弾性付勢されてなる麺測定器としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記上部クランプ及び前記下部クランプのサンプル麺の固定中心は水平方向に可変自在としてなる麺測定器としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記上部クランプ及び前記下部クランプには、サンプル麺を水平方向に移動して挟持位置に遊挿するU字状開口部が設けられてなる麺測定器としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記麺の太さの合格又は不合格を判定する警告手段が具備されてなる麺測定器としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、製造された麺からサンプル麺を抽出して、上部クランプと前記下部クランプによって、支持固定し、上部クランプと下部クランプとの固定中心同士を結ぶ仮想線に対して交差する光を発するセンサを備え、センサの光域によってサンプル麺の太さを計測するので、全く非接触状態で麺の太さを測定することができる。
【0013】
さらに、上部クランプと下部クランプとが水平面を同一角度で回動自在としているので、サンプル麺を複数の面から計測することができ、極めて精度の高い計測を行うことができる。特に、サンプル麺は、その断面形状を90度の異なる2つの方向から測定すれば、太さの合否が判定できるので、上部クランプと下部クランプとは回動角度は90度でよく、迅速に麺の太さ測定を行うことができる。
【0014】
請求項2の発明では、前記上部クランプ又は前記下部クランプには、挟持片を有する一対の挟持部材が具備され、且つ前記両挟持片同士が当接するように弾性付勢されたもので、両挟持部材の挟持片同士が離間するように操作することでサンプル麺の上部クランプ及び下部クランプへの装着ができ、よって極めて簡単な操作でサンプル麺を挟持固定することができる。請求項3の発明では、前記上部クランプ及び前記下部クランプの挟持固定中心は水平方向に可変自在とすることにより、サンプル麺にちぢれが大きく発生したものであっても、正確に太さの測定ができる。
【0015】
また、両挟持部材のサンプル麺への挟持固定位置を可変させることができるので、たとえば、麺には、細麺から太麺まで種々存在するものであるが、その麺のいずれの太さであっても、麺の断面中心位置を常に上部クランプ及び下部クランプの略中心で両挟持部材により挟持固定ができ、正確な測定及びサンプル麺の上部クランプ及び下部クランプへの設置を簡単にできる。これは、両挟持部材において一方側の挟持部材の位置をサンプル麺の太さに応じてロック部により上部クランプのクランプベースに固定すれば、サンプル麺が細麺又は太麺のいずれの太さ測定にも簡単に対応させることができる。
【0016】
請求項4の発明では、上部クランプ及び前記下部クランプには、水平方向に挟持位置に到達する遊挿開口部が設けられたことにより、サンプル麺の装着が極めて効率的にできる。請求項5の発明では、前記麺の太さの合格又は不合格のいずれかを検出する音声表示手段が具備されることにより、作業員はサンプル麺の測定をより一層効率的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)は本発明の正面図、(B)は(A)のY1−Y1矢視断面図、(C)は(A)のX1−X1矢視図、(D)は(A)のX2−X2矢視断面図、(E)は(C)の(ア)部拡大図である。
【図2】(A)は本発明の要部縦断側面図、(B)は(A)の(イ)部拡大断面図、(C)は(A)の(ウ)部拡大断面図、(D)は(A)のX3−X3矢視断面図、(E)は上部クランプ及び下部クランプの初期位置状態図、(F)は上部クランプ及び下部クランプの初期位置から90度回動させた状態図である。
【図3】(A)は上部クランプの斜視図、(B)は上部クランプの縦断側面図、(C)は(B)のX4−X4矢視断面図、(D)は上部クランプの分解斜視図、(E)は挟持部材の構成を示す横断平面図、(F)は上部クランプの挟持固定位置の可変構造を示す横断平面図である。
【図4】(A)は下部クランプの斜視図、(B)は下部クランプの縦断側面図、(C)は(B)のX5−X5矢視断面図、(D)は下部クランプのクランプベースの斜視図、(E)は挟持部材の斜視図、(F)は挟持部材の構成を示す縦断側面図、(G)は下部クランプの挟持固定位置の可変構造を示す横断平面図である。
【図5】(A)は本発明におけるサンプル麺の設置状態を示す略示図、(B)は太さの合否の判定例として合格の場合を示す行程図、(C)は太さの合否の判定例として不合格の場合を示す行程図である。
【図6】(A)はちぢれの大きいサンプル麺の設置状態を示す略示図、(B)はサンプル麺の光域に対するズレを直すために挟持固定中を移動させる上部クランプの挟持部材の移動行程図、(C)はサンプル麺の光域に対するズレを直す行程の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、全体の構成について説明する。本発明は、主に、図1に示すように、検査サンプルとしたサンプル麺Mの上端を挟持固定する上部クランプAと、前記サンプル麺Mの下端を挟持固定する下部クランプBと、前記上部クランプAと前記下部クランプBのそれぞれの挟持固定中心Qa,Qbを結ぶ仮想線Lvに対して交差(略交差状も含む)する光を発するセンサ8と、その光の光域Lbによって検知されたサンプル麺Mの太さを数値表示する表示部83とから構成される。
【0019】
前記挟持固定中心Qaとは、上部クランプ部Aの両挟持部材1,1の挟持片12a、1
2a同士によってサンプル麺Mを挟持固定する位置のことである。また、挟持固定中心Qbとは、下部クランプBの両挟持部材4,4の挟持片42a、42a同士によってサンプ
ル麺Mを挟持固定する位置のことである。上部クランプ部Aの挟持固定中心Qaと、下部クランプBの挟持固定中心Qbとは、前記仮想線Lvに沿って上下方向に存在する〔図1(A),図5(A)参照〕。
【0020】
前記上部クランプA,下部クランプB及びセンサ8は、フレーム6に装着されハウジング64により覆われている。上部クランプA及び下部クランプBは、上下方向に適宜の間隔をおいて設けられている〔図1(A),(B)及び図2(A)参照〕。上部クランプAは、左右一対の挟持部材1,1と、バネ2と、クランプベース3とから構成される。前記両挟持部材1,1は、図3に示すように、前述したように、2個で左右一対を構成し、相互に近接及び離間する構造としたものである〔図3(E)参照〕。クランプベース3内では、前記一対の挟持部材1,1が略一列状(或いは略一直線状)に配列されている〔図3(C)参照〕。各挟持部材1には、図3(D),(E)に示すように、可動本体部11と挟持部12とから構成されている。
【0021】
前記可動本体部11は、略直方体形状に形成され、その長手方向の一端は内側面11aと称し、長手方向の他端は外側面11bと称する。さらに、可動本体部11の幅方向両側は縦側面11c,11cと称し、上下方向の下面側を下部側面11dとし、上面側を上部側面11eと称する。そして、一対の挟持部材1,1がクランプベース3内に収納されて、クランプベース3の直径方向に沿って摺動できるように設置される。
【0022】
挟持部12については、前記可動本体部11の幅方向のいずれか一方の縦側面11cで且つ内側面11aから長手方向に沿って突出する突出片12bが形成され、該突出片12bの先端から前記可動本体部11の長手方向に対して直交する面となるように挟持片12aが形成されている。挟持片12aは、正方形又は長方形等の方形状の板片である。また、可動本体部11の長手方向の内側面11aと、挟持部12の挟持片12aとの間には空隙sが形成されており、一対の挟持部材1,1の挟持片12a,12aは、相互に相手側の空隙s,sに遊挿される構成となっている〔図3(C),(E)参照〕。
【0023】
さらに、両挟持部材1,1のそれぞれの内側面11a,11aと、それぞれの空隙s,sに遊挿された他方の挟持部材1の挟持片12a,12aとの間には、バネ2がそれぞれ
装着されている。そして、該両バネ2,2により、一方の挟持部材1の可動本体部11の内側面11aと、他方の挟持部材1の挟持片12aとが相互に弾発的に離間する構成とな
っている。バネ2は、具体的には、圧縮コイルバネが使用されるが、特にバネ2の種類には限定されることなく、同様の作用をなすものであれば、他の種類のバネ(例えば板バネ等)であっても構わない。
【0024】
前述したように、一対の挟持部材1,1同士は、それぞれの挟持片12aが他方の空隙
sに遊挿され、且つそれぞれの挟持片12aは空隙s内を移動可能となっている。そして
、一対の挟持部材1,1に装着されたバネ2,2によって、常時は、両挟持片12a,1
2a同士が当接した状態となり〔図3(B),(C)参照〕、両挟持部材1,1同士を互
いに近接させるようにそれぞれの挟持部材1,1の両外側面11b,11b同士を相互に近接させるように押圧することで、前記両挟持片12a,12a同士が離間する構造となっている〔図3(E)参照〕。また、前記両挟持部材1,1の両外側面11b,11bには、薄板状の押圧板13,13がビス等の固着具にて固着されている。押圧板13は、外側面11bよりも、面積が広く形成され、手の指先で押圧し易いように形成されている。
【0025】
クランプベース3は、略円筒形状のベース本体31にガイド溝32が形成されており、該ガイド溝32に前記両挟持部材1,1が一列状に配置装着される。ガイド溝32は、ベース本体31の直径中心を通過する直線状の溝であり〔図3(C),(D)等参照〕、ガイド溝32の長手方向に直交する断面形状は、前記挟持部材1の可動本体部11の断面形状と同一で、略方形状に形成されている。そして、可動本体部11の両縦側面11c,11cと下部側面11dが、ガイド溝32に略接触した状態で配置される。
【0026】
ベース本体31の直径中心には、貫通する麺通過路33の開口が形成されている。そして、該麺通過路33は、前記ガイド溝32の底面32aに形成されることになる〔図3(D)参照〕。前記ベース本体31の下面側には、スリーブ34が形成されている。該スリーブ34は、段付き円筒形状に形成され、大径円筒部34aと小径円筒部34bとから構成される〔図3(A),(B)参照〕。大径円筒部34aは、扁平円筒形状であり、また小径円筒部34bは、軸状に形成されている。そして、前記麺通過路33は、大径円筒部34a及び小径円筒部34bに連続して貫通形成されている。すなわち、前記ベース本体31,スリーブ34(大径円筒部34a,小径円筒部34b)に共通する麺通過路33が形成されるものである〔図3(B)参照〕。大径円筒部34aは、後述するフレームの軸受台座に回動自在に配置される。また、小径円筒部34bには、後述する歯車伝達機構7の駆動歯車71が固着される。
【0027】
クランプベース3には、ベースカバー部36が具備されており、該ベースカバー部36が、前記ベース本体31の上部に被覆される〔図2(B)、図3(A),(B)等参照〕。ベースカバー部36には、円形状頂面部36aと外周側面36bとからなり、円形状頂面部36aには、前記麺通過路33が貫通孔として形成されている。ここで、ベースカバー部36,ベース本体31,前記スリーブ34のそれぞれの麺通過路33は、垂直方向において、直径中心が一致している〔図3(B)参照〕。ベースカバー部36は、ベース本体31にビス等の固着具を解して固着される。
【0028】
また、前記ベースカバー部36の外周側面36bには、前記円形状頂面部36aの直径方向両側に位置する部分に2個の切除部36c,36cが形成されている。該切除部36cは、前記挟持部材1の可動本体部11の外側面11bと、縦側面11c,下部側面11d,上部側面11eの一部がベース本体31及びベースカバー部36の外部に突出するために設けられた開口である〔図3(A)乃至(C)参照〕。ベース本体31にベースカバー部36が被せられた状態で、両切除部36c,36cと、前記ガイド溝32とが略水平方向に貫通する通路を構成し、前記一対の挟持部材1,1はその通路状のガイド溝32にて摺動するものである。従って、可動本体部11の外側面11bに固着された前記押圧板13は、ベースカバー部36の外部に位置することになる。
【0029】
さらに、ベースカバー部36の円形状頂面部36aには、ロック部37が具備されており、前記両挟持部材1,1のいずれか一方をガイド溝32内にて不動状態となるように固定する役目をなす。ロック部37は、螺子軸部37aと摘み部37bとからなり〔図3(A),(B)参照〕、円形状頂面部36aには、前記螺子軸部37aと螺合する螺子孔37cが形成されている。ロック部37は、摘み部37bを回動させることによって螺子軸部37aを締め付けて挟持部材1の可動本体部11の上部側面11eを押圧するようにして挟持部材1が不動となるように固定する〔図3(B)参照〕。ロック部37の締付によって、一対の挟持部材1,1の一方側をベース本体31のガイド溝32内に固定することにより、一方の挟持部材1の挟持部12の位置も固定される。
【0030】
そして他方側の挟持部材1をガイド溝32に摺動自在としておくことで、両挟持部12,12の挟持片12a、12aによるサンプル麺Mへの挟持固定位置が麺通過路33内において常時一定の位置となるように設定することができる。たとえば、両挟持部材1,1のサンプル麺Mへの挟持固定位置を可変させることができるので、細麺から太麺までの各太さの異なる種類のサンプル麺Mに応じて、その断面中心位置を常に上部クランプAの麺通過路33と下部クランプBの麺通過路53の略直径中心となるように両挟持部材1,1により挟持固定ができる。そして、サンプル麺Mの正確な太さ測定ができ、簡単にサンプル麺Mを上部クランプA及び下部クランプBへ設置することができる。
【0031】
下部クランプBは、前記上部クランプAと同様に、一対の挟持部材4,4と、クランプベース5と、バネ2とから構成される(図4参照)。ここで、下部クランプBを構成する部材は、上部クランプAを構成する部材と略等しいので、対応する部材の名称は上部クランプAに準じて同様の名称とした。したがって、可動本体部41においても、内側面41a,外側面41b,縦側面41c,下部側面41d及び上部側面41eが存在する。また、挟持部42には、挟持片42a及び突出片42bが存在する。挟持部材4は、可動本体部41及び挟持部42とから構成されるものであり、前記上部クランプA側の挟持部材1とは、多少形状が異なる。具体的には、両挟持部42,42が左右対称の状態で且つ一列状に配列された状態において、両突出片42b,42bは、可動本体部41の同一側の縦側面41c,41cより突出形成される〔図4(C)参照〕。
【0032】
ただし、両突出片42b,42bは、相互に干渉しないように、一方の挟持部材4の突出片42bは、縦可動側面の高さ中央よりも上方に形成され、他方の挟持部材4の突出片42bは、縦可動側面の高さ中央よりも下方に形成されている〔図4(E),(F)参照〕。すなわち、一列状に配列された挟持部材4,4の両突出片42b,42bは上下方向となる位置関係を有しており、相互に干渉することなく、前記両挟持片42a、42a同士が当接且つ離間することができるようになっている〔図4(F)参照〕。
【0033】
また、可動本体部41の長手方向の内側面41aと、挟持部42の挟持片42aとの間
には空隙sが形成されており、一対の挟持部材4,4の挟持片42a,42aは、相互に
相手側の空隙s,sに遊挿される構成となっている〔図4(B),(C)等参照〕。さらに、両挟持部材4,4のそれぞれの内側面41a,41aと、それぞれの空隙s,sに遊挿された他方の挟持部材4の挟持片42a,42aとの間には、バネ2がそれぞれ装着さ
れている。そして、該両バネ2,2により、一方の挟持部材4の可動本体部41の内側面41aと、他方の挟持部材4の挟持片42aとが相互に弾発的に離間する構成となってい
る。また、可動本体部41の上下方向の下面側を下部側面41dである。
【0034】
下部クランプBに使用されるバネ2は、上部クランプAに使用されたものと同様に、圧縮コイルバネである。そして、両バネ2,2によって、常時は、両挟持片42a,42a同士が当接した状態となり〔図4(B),(C)参照〕、両挟持部材4,4同士を互いに近接させるようにそれぞれの挟持部材4,4の両外側面41b,41b同士を相互に近接させるように押圧することで、前記両挟持片42a,42a同士が離間する構造となっている〔図4(F)参照〕。また、前記両挟持部材4,4の両外側面41b,41bには、薄板状の押圧板43,43がビス等の固着具にて固着されている。
【0035】
下部クランプBのクランプベース5のベース本体51は略扁平円筒形状に形成されており、該ベース本体51の下面にガイド溝52が形成されている〔図4(D)参照〕。ガイド溝52は、クランプベース5の直径方向に貫通する溝である。ベース本体51の外周側面51bには、円形状頂面部51aの直径方向両端に対応する位置に切除部51c,51cがそれぞれ形成されている。クランプベース5の下面には、ベースカバー部54がビス等の固着具にて固着され、クランプベース5のガイド溝52に装着された挟持部材4,4をベース本体51の下面側より支持している。
【0036】
下部クランプBのクランプベース5及びベースカバー部54においても、前記麺通過路53が形成されている。そして、ベース本体51においては、ガイド溝52の上面に形成されるものである〔図4(A),(B)及び(D)等参照〕。クランプベース5には、その外周側面より直径方向中央で且つ前記麺通過路53に向かって略U字形状に切除されたU字状開口部55が形成されている。該U字状開口部55は、前記麺通過路53と連通形成される構成となり、サンプル麺Mを挟持部材4,4の離間した状態の両挟持片42a、
42aに水平方向より遊挿して、挟持固定することができる。これによって、サンプル麺
Mは、下部クランプBに対する設置作業が極めて行い易くなる。前記上部クランプAに設けた麺通過路33と、下部クランプBに設けた麺通過路53は、その直径中心位置が垂直線上に揃うように構成される。
【0037】
さらに、クランプベース5の円形状頂面部51aには、前記上部クランプAと同様に、ロック部57が具備されている。該ロック部57は、前記両挟持部材4,4のいずれか一方をガイド溝52内にて不動状態となるように固定する役目をなす。ロック部57は、螺子軸部57aと摘み部57bとからなり〔図4(A),(B)参照〕、円形状頂面部51aには、前記螺子軸部57aと螺合する螺子孔57cが形成されている。
【0038】
ロック部57は、摘み部57bを回動させることによって螺子軸部57aを締め付けて挟持部材4の可動本体部41の上部側面41eを押圧するようにして挟持部材4が不動となるように固定する〔図3(B)参照〕。下部クランプBのロック部57は、2個具備されているが、上部クランプAの場合と同様に1個でも構わない。下部クランプBのロック部57は、上部クランプAのロック部37と同様に、サンプル麺Mの太さに応じて、挟持固定位置を調整する役目をなし、上部クランプ部Aの両挟持部材1,1の挟持固定位置と、下部クランプBの両挟持部材4,4の挟持固定位置が仮想線Lvに揃うように調整されるものである〔図3(B)、図4(B)参照〕。
【0039】
上部クランプA及び下部クランプBは、フレーム6に装着されている。フレーム6は、フレームベース60,上部クランプ支持部61及び下部クランプ支持部62を有しており、前記フレームベース60の上端に、上部クランプ支持部61が設けられ、フレームベース60の下端に下部クランプ支持部62が設けられている。そして、上部クランプ支持部61に上部クランプAが装着され、下部クランプ支持部62に下部クランプBが装着されている〔図1(A),(B)及び図2(A)等参照〕。
【0040】
上部クランプ支持部61には、クランプ受台611に軸受台座612が回動自在に装着され、該軸受台座612に、上部クランプAのスリーブ34の大径円筒部34aが水平面
上を回動自在となるように装着される。前記軸受台座612は、垂直方向に貫通孔として案内路612aが形成され、前記スリーブ34がその案内路612aを貫通する構造である。そして、スリーブ34の小径円筒部34bには、後述する歯車伝達機構7の駆動歯車71がボス部71aにて固定される。上部クランプAは、軸受台座612に固定にて固定され、上部クランプAと軸受台座612とが共に回動したり、或は軸受台座612が固定され、上部クランプAのみ回動することもできる。
【0041】
下部クランプ支持部62は、下部クランプBが回動自在に装着支持される部位であり、クランプ受台621と、回動台座部622と柱状支持部623とから構成される〔図1(A),(B)及び図2(A)等参照〕。回動台座部622は、円板形状に形成され、該回動台座部622上に3本の柱状支持部623,623,…が配置され、該柱状支持部623,623,…上に下部クランプBが装着されている。そして、回動台座部622が回動することにより、下部クランプBは水平面上を回動する。前記フレームベース60は、スタンド63であり、縦板部63aと座板部63bとから構成されている。前記フレームベース60は、前記縦板部63aにビス等の固着具を介して装着される。
【0042】
歯車伝達機構7は、駆動歯車71,第1従動歯車72,第2従動歯車73及び第3従動歯車74と、伝達軸75とから構成される。前記駆動歯車71,第1従動歯車72,第2従動歯車73及び第3従動歯車74は歯数が同一である。第1従動歯車72と第2従動歯車73とは、それぞれに一体的に形成されたボス部72a及び73aによって前記伝達軸75の軸方向両端箇所に装着され、該伝達軸75が、前記上部クランプ支持部61のクランプ受台611と、下部クランプ支持部62のクランプ受台621とに亘って軸支され、軸周方向に回動自在となる構造となっている。第3従動歯車74は、該第3従動歯車74に一体的に形成されたボス部74aによって前記回動台座部622に装着されている。そして、前記駆動歯車71と第1従動歯車72とが適正に噛み合い、第1従動歯車72と第3従動歯車74とが適正に噛み合う状態に構成される。
【0043】
そして、前記上部クランプAを回動させることにより、その回動が駆動歯車71に伝わり、該駆動歯車71から第1従動歯車72,伝達軸75,第2従動歯車73,第3従動歯車74に回動が伝達され、この回動が回動台座部622及び柱状支持部623,623,…に伝達され、下部クランプBが回動するようになっている。このとき、上部クランプAの回動動作に対して、下部クランプBは上部クランプAの回動動作と共に同一角度(同一位相)だけ回動する。
【0044】
すなわち、上部クランプAを90度だけ回動させると、下部クランプBも上部クランプAと同一方向に90度だけ回動することができる。また、上部クランプAと、前記上部クランプ支持部61の軸受台座612との間には、上部クランプAを回動させて90度の角度で停止できるストッパを具備した回動角度規制機構が設けられることもある。これによって、上部クランプAの回動角度が90度回動させると停止するストッパによって、上部クランプA(及び下部クランプB)は正確に90度の回動ができる。したがって、サンプル麺Mの太さ測定において、角度90度の異なる2面(麺幅Sw及び麺厚Sd)の測定が効率的にできる。
【0045】
センサ8は、投光部81と、受光部82と、表示部83とから構成されている。ここで、使用されるセンサ8は、投光部81より発する光が受光部82に向かって進むものであり、その光は面状の光域Lbである。ここで、光域Lbとは、光が線状ではなく、水平方向に平坦面で且つ所定の幅を有する面状の光線のことである。ただし、光域Lbの面幅は、各センサ8の仕様及び性能等により異なる。高品質のセンサ8では、光域Lbの面幅は広くなっている。また、低品質のセンサ8では、光域Lbの面幅は狭くなり、略直線状に近い光線のものが存在する。
【0046】
光域Lbの領域内に位置するサンプル麺Mは、断面形状における太さのサイズが計測される。すなわち、通常において検査計測されるサンプル麺Mは、麺生地が多数の線状に裁断された適宜の1本から所定長さに抽出したものである。サンプル麺Mのほとんどのものは断面略方形(四角形)状であり、麺幅Sw及び麺厚Sdを有している。この麺幅Swと麺厚Sdが光域Lb内に位置し、その太さのサイズが表示部83によって、数値として表される〔図5(A)参照〕。表示部83には、サンプル麺Mの太さを数値で表示する表示画面831が設けられている。表示画面831には、サンプル麺Mの太さの測定結果を数値で知らせる数字が表示される。
【0047】
数値表示で上段の数値は、サンプル麺Mの太さの実測値であり、下段の数値は、設定値である。この設定値は、サンプル麺Mの要望された太さの麺幅Sw及び麺厚Sdの値であり、麺測定において、設定値の範囲を超えた場合には、実測値の表示色が変化するようになっている。具体的には、麺幅Sw及び麺厚Sdが設定値の範囲内であれば緑色の数値表示で合格を知らせ、設定値の範囲外であれば赤色の数値表示で不合格を知らせる。また、センサ8には、サンプル麺Mの太さの合否を数値以外の手段にて知らせる警告手段832が具備されることもある。警告手段としては、合否を判定するランプ832aが点滅するものや、合否を知らせるスピーカ,ブザー等の音声機832bが存在する。
【0048】
センサ8による光域Lb内のサンプル麺Mを、麺幅Swの測定から麺厚Sdの測定に切り替える場合には、上部クランプAと下部クランプBとを90度だけ回動させる。これによって、サンプル麺Mの異なる2面である麺幅Sw及び麺厚Sdが計測され、サンプル麺Mの太さの合否が判定される。合否の判定には、表示部83に表示された数値を検査員が見て麺幅Sw及び麺厚Sdが所望された数値に合致しているか否かで合否判定を行う。さらに、センサ8には、警告手段が具備されるものでは、ランプが点滅して合否を知らせたり、或は音声で合否を検査員に知らせる。特に、不合格の場合にランプが点滅したり、或は音声が発せられるようにすることで、検査員はサンプル麺Mの太さが不合格であることを確認し易くなる。前記センサ8の投光部81及び受光部82は、ハウジング64に収容されている。ハウジング64は、前記フレームベース60に装着されている(図1参照)。
【0049】
次に、本発明によって、サンプル麺Mの太さを検査測定する行程を説明する。サンプル麺Mは、前述したように、製造された麺の一部を検査測定用として適当な長さに切り取ったものである。そのサンプル麺Mの長さは、上部クランプAの両挟持片12a、12aと、下部クランプBの両挟持片42a、42aとで挟持固定することが可能な程度の長さでよい〔図5(A),図6(A)参照〕。上部クランプAと下部クランプBとの間にサンプル麺Mが配置される。
【0050】
このとき、上部クランプAの挟持固定中心Qaと、下部クランプBの挟持固定中心Qbとを結ぶ仮想線Lvは垂直線をなし、仮想線Lvとセンサ8により発せられる光域Lbとは、直交するように交差する。さらに、光域Lbは前述したように、水平方向に平面となる所定幅を有する面状の光のことである。サンプル麺Mは、前記仮想線Lvに沿って配置されることになり、且つ前記光域Lb内に収まるように配置される(図5参照)。
【0051】
まず、製造された麺をサンプル抽出し、且つ適当な長さとし、サンプル麺Mを作る。該サンプル麺Mは、麺幅Sw及び麺厚Sdが存在する。そして、サンプル麺Mは、仮想線Lvに沿って配置される〔図5(A)及び(B)の(1)参照〕。次に、サンプル麺Mを上部
クランプAと下部クランプBによって挟持する。このときサンプル麺Mは、略垂直状にセットされている〔図5(A)参照〕。上部クランプAのロック部37の回動ロック螺子を緩めて、上部クランプAと下部クランプBは共に回動自在としておく。ここで、上部クランプAと下部クランプBとは、歯車伝達機構7を介して共に同一角度に回動する。
【0052】
上部クランプA及び下部クランプBを回動させて、光域Lbがサンプル麺Mを透過するようにセットされる〔図5(B)の(1)参照〕。そして、表示部83による数値の最小
数値になるように設定する。すなわち、光域Lbが麺幅Sw又は麺厚Sdを検知し、サンプル麺Mの最も太さの小さい部位が決定する。図5(B)の(1)では、具体例として、麺
幅Swの数値が表示される。次に、この状態から上部クランプAを回動させる〔図5(B)の(2)参照〕。そして、90度回動させて回動を停止する〔図5(B)の(3)参照〕。同時に、下部クランプBも上部クランプAと同時に90度回動して停止する。
【0053】
このとき光域Lbは、サンプル麺Mの麺厚Sdを検知し、表示部83により数値で示される。そして、麺幅Swと麺厚Sdとが適正な数値であるか否かを判断し、サンプル麺Mの合否を判定する。図5(B)は、サンプル麺Mの太さの検査における判定例として合格の場合を示す。また図5(C)は、サンプル麺Mの太さの検査における判定例として不合格の場合を示す。
【0054】
そして、麺幅Swと麺厚Sdとが適正な値に合致すれば、表示部83により合格の判定が下される〔図5(B)参照〕。麺幅Swと麺厚Sdとが適正な値と合致しない場合には、表示部83により不合格の判定が下される。たとえば、図5(C)では、麺幅Swが適正値よりも大きく、麺厚Sdが適正値よりも小さくなっている。そして、前述したように、センサ8に警告手段が具備されたものでは、その警告手段によってサンプル麺Mの太さの合否が検査員に告げられ、検査の誤認を防止することができる。
【0055】
図6は、センサ8において、光域Lbの面幅が狭く、ほとんど直線状の光線に近いものが使用された場合で、且つちぢれを有する麺の製造における検査測定を示すものである。ちぢれたサンプル麺Mが上部クランプAと下部クランプBとによって挟持固定された場合に、上部クランプAと下部クランプBに固定するサンプル麺Mが大きなちぢれを有している場合には、仮想線Lvと直線状の光域Lbとの交差する点Qからサンプル麺Mが距離kだけずれてしまうことになる〔図6(A),(C)の(1)参照〕。
【0056】
このような状態で、上部クランプA及び下部クランプBを90度回転させるとサンプル麺Mは直線状の光域Lbから距離kだけずれることになり、すなわち、サンプル麺Mが光域Lbから外れて、センサ8による計測が不可能となる場合が生じる〔図6(C)の(1)
及び(2)参照〕。この場合には、上部クランプAの挟持部材1,1及び下部クランプBの挟持部材4,4を共にその挟持固定中心Qa,Qbをkだけ移動させる〔図6(B)の(3)参照〕。これによって、サンプル麺Mを光域Lbに適正に当てることができ〔図6(C)の(3)参照〕、サンプル麺Mの検査測定を正確に行うことが可能となり、ちぢれを有するサンプル麺Mの太さの合否を判定することができる。なお、本発明によって、太さを検査測定することができる麺類は、中華そばの他に日本そば,うどん,パスタ等のほとんど全ての種類である。
【符号の説明】
【0057】
M…サンプル麺、A…上部クランプ、B…下部クランプ、Lv…仮想線、Lb…光域、1,4…挟持部材、12a,42a…挟持片、8…センサ、83…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル麺の長さ方向の一端を挟持固定する上部クランプと、前記麺の他端を挟持固定する下部クランプと、前記上部クランプと前記下部クランプとを結ぶ仮想線に対して交差する光を発するセンサと、該センサによる麺の太さを数値表示する表示部とからなり、前記上部クランプと前記下部クランプは水平面を同一角度回動自在としてなることを特徴とする麺測定器。
【請求項2】
請求項1において、前記上部クランプ又は前記下部クランプには、挟持片を有する一対の挟持部材が具備され、且つ前記両挟持片同士が当接するように弾性付勢されてなることを特徴とする麺測定器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記上部クランプ及び前記下部クランプのサンプル麺の固定中心は水平方向に可変自在としてなることを特徴とする麺測定器。
【請求項4】
請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記上部クランプ及び前記下部クランプには、サンプル麺を水平方向に移動して挟持位置に遊挿するU字状開口部が設けられてなることを特徴とする麺測定器。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記麺の太さの合格又は不合格を判定する警告手段が具備されてなることを特徴とする麺測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−252885(P2011−252885A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128697(P2010−128697)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(599028032)関東電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】