説明

(メタ)アクリルアミドリンモノマー組成物

本発明は、重合性のN−置換アクリルアミドリン含有モノマー、それから形成される有機ポリマーに関する。前記モノマーの、極性表面又は極性粒子のための接着剤、顔料分散剤、コーティング又はフィルムへの組み込みは、改良された接着性、耐食性、及び難燃性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願番号60/697,790(2005年7月8日申請、参照により全て本明細書に組み入れられる)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、重合性のN−置換アクリルアミドリン含有モノマー、及びそれから形成される有機ポリマーに関する。前記モノマーの、極性表面又は極性粒子のための接着剤、顔料分散剤、コーティング又はフィルムへの組み込みは、改良された接着性、耐食性、及び難燃性を与える。
【0003】
リン含有材料を、難燃剤、コロージョンインヒビター、接着促進剤、及びスケール防止剤として使用することは周知である。従来のリン含有添加剤は、非重合性であり、いくつかの欠点、たとえばマイグレーション及び浸出を有し、接着性、コーティング又はフィルム特性の経時的変性を導く。市販されているリン含有モノマー、たとえばビニルホスホン酸及びエチルホスホン酸モノビニルエステルは、重合を低減させる傾向を示し、そして低分子量のポリマーを与える。
【0004】
市販されている(メタ)アクリル官能性を含有するアルキルホスフェートは、ホスフェート又はメタクリレートエステル結合が水の存在下で開裂するので、低減された加水分解安定性を示す。このことがその貯蔵安定性を低減し、その用途を限定する。
【0005】
(メタ)アクリルホスホン酸及びエステルは、類似のホスフェート酸及びエステルよりも加水分解に安定であることが公知である。これらのモノマーは、コーティング中でのその難燃化活性、スケール防止活性及び接着性付与でも知られている。
【0006】
たとえば、米国特許第3,030,347号及び2,934,555号には、ジアルキルホスホノアルキルアクリレート及びメタクリレートコポリマー、並びに製造方法が示されている。この化合物は、皮革又は織物仕上げで難燃性を付与するために用いられる。
【0007】
米国特許第3,884,628号には、生地用の難燃剤としてN−ホスホノメチルアクリルアミドが示されている。
【0008】
米国特許第3,989,772号には、N,N−ビス−(ホスホノメチル)−アクリルアミドが開示されている。この化合物は、防炎加工剤として適切であるとされている。
【0009】
米国特許第4,526,728号は、染色助剤及びスケール防止剤用ホスホネートモノマーについて論じている。
【0010】
米国特許第3,351,617号には、メチロールアクリルアミド及びβ−(ジメチルホスホノ)−プロピオンアミドの縮合物、及びこの生成モノマーの生地処理における難燃剤としての使用が開示されている。
【0011】
米国特許第4,650,591号には、コロージョンインヒビターとしてのアクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、及びスケール防止剤としてのその使用が開示されている。
【0012】
PCT出願番号WO03/035013には、ホスホン酸部分を含有するセルフ・プライミング(self-priming)歯科用接着剤組成物が開示されている。この発明は、接着強さ(bond strength)少なくとも8Mpaでのエナメル及び/又は象牙質への接着性が主張されている。
【0013】
(メタ)アクリルホスホン酸及びエステルを、直接に表面、たとえば金属に付着して、接着性を促進することが公知である。場合によっては、(メタ)アクリルホスホン酸及びエステルを、放射線硬化によって、他のモノマーの存在下で、表面に直接に重合する。
【0014】
たとえば、米国特許第4,029,679号には、金属プライマーとしてホスホネートモノマーが開示されている。
【0015】
米国特許第6,740,173には、ホスホネートオリゴマー及びホスホネートモノマー(ホスホン化メタクリレート)の、バインダー及び金属反応性添加剤を用いる金属腐食を防止するための組成物中での使用が開示されている。
【0016】
Bressy-Brondino, C. et al, Journal of Applied Polymer Science 2002, 83(11), 2277-2287には、スチール上のコーティングとして、ポリ(フッ化ビニリデン)と、メチルメタクリレート及びジメチル2−メチルアクリロイルオキシエチルホスホネートのコポリマーとのブレンドが開示されている。
【0017】
米国特許第6,436,475号には、少なくとも1個のリン酸又はホスホン酸基を有する有機化合物を金属表面に付着する、亜鉛、マグネシウム又はアルミニウムの処理方法が開示されている。
【0018】
米国特許第4,738,870号及び第4,658,003号には、接着性促進モノマーとして、ヒドロキシホスフィニルアルキル(メタ)アクリレートが開示されている。
【0019】
組成物のポリマー成分に重合するか、又はそれ自体重合性の添加剤として、接着剤、コーティング又はフィルム組成物に組み込むことができる加水分解に安定なリン含有モノマーがまだ必要とされている。組み込まれた本発明のモノマーは、水性配合物、たとえばラテックス中で、その接着性をまだ維持しながら、驚くほど加水分解に安定なままである。
【0020】
本発明は、加水分解に安定なリン含有(メタ)アクリルアミドモノマーを可能にする。これらのモノマーは、従来のラジカル開始剤、光開始剤及び/又は熱開始剤を用いて重合して、接着剤、塗料及びコーティング、又はプラスチック中で使用するのに適切な、改良された接着性、難燃性、スケール防止性、分散性及び/又は耐食性を有するポリマーを得ることができる。
【0021】
本発明は、少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分を含む、少なくとも1種のN−置換アクリルアミドモノマーから形成されるポリマーを含む、接着剤、コーティング又はフィルム組成物を包含する。
【0022】
N−置換アクリルアミドモノマーは、場合により他の重合性モノマーと重合することができ、そして表面に付着する前にコーティング、フィルム又は接着剤に組み込むことができる。それは、放射線照射又は熱硬化のような手段により、表面上に直接に重合してもよい。
【0023】
重合性のN−置換アクリルアミドモノマーは、たとえば式(I)又は(II)又は(III)又は(IV)で表すことができる。
【0024】
【化5】

【0025】
[式中、
Qは、1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、又はアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の結合基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−Q’−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、−Q’−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Qは、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
1及びR2は、独立に、水素、分岐状又は非分岐状C1〜C4アルキルであり;
3は、水素又はC1〜C4アルキル、−Q”−P(O)(OR4)(OR5)又は−Q”−P(O)(OR4)(R6)であり;
Q’及びQ”は、同じか異なり、そして1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、キシリレン又はアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Q’及びQ”は、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
4及びR5は、独立に、H、C1〜C4アルキルであり、ここでC1〜C4アルキルは分岐状又は非分岐状で、非置換であるか、又はC1〜C4アルキル、C6〜C12アリールもしくはハロゲンで置換されており、
そして
6は、水素、分岐状又は非分岐状C1〜C8アルキル、アリール又はアラルキルであり、ここでアルキル、アリール又はアラルキルは、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルもしくはハロゲンで置換されている]。
【0026】
4又はR5の少なくとも1個は、好ましくは水素である。
【0027】
1〜C18アルキレンは直鎖状又は分岐状であり、たとえば、C1〜C8、C1〜C6又はC1〜C4アルキレンである。例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン及びドデシレンである。C1〜C8アルキレン、特にC1〜C6アルキレン、好ましくはC1〜C4アルキレン、たとえばメチレン又はブチレンが好ましい。
【0028】
6〜C12アリーレンは、たとえば、o−、m−又はp−フェニレン、1,4−ナフチレン又は4,4’−ジフェニレンである。アリーレンの他の例は、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ビフェニレンエーテル及びアントラセニレンである。
【0029】
1〜C4アルコキシは、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシであり、炭素原子数が2個より多いアルコキシ基におけるアルキル基が分岐状であることも可能である。
【0030】
用語「アラルキレン基」は、たとえば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の両方が非置換であっても置換されていてもよいベンジレンである。アラルキレンは、非置換であっても、C1〜C4アルキルもしくはC1〜C4アルコキシで置換されていても、あるいは2〜12のオキシアルキレン単位及びアルキレン中に2〜6個のC原子を有するポリオキシアルキレンでもよい。
【0031】
1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−基で中断されたC2〜C12アルキレンは、たとえば、−O−で1回又は数回中断されていることができる。たとえば、非連続の−O−により、それは1〜5回、たとえば1〜3回又は1回もしくは2回中断されていることができる。したがって、得られた構造単位は、たとえば:−CH2−O(CH22O−CH2−、−CH2−O−CH2−、及び−CH2CH2−O−CH2CH2−である。
【0032】
モノマーがホスホンもしくはホスフィン酸のエステル又は酸であるので、式(I〜IV)において、Qは、リンに直接に結合された炭素原子を、少なくとも1個含有しなければならない。また、式(I〜IV)の(メタ)アクリル酸部分のアミドに直接に結合されたヘテロ原子はない。ヘテロ原子は、炭素以外の非水素原子を意味する。たとえば、酸素、硫黄及び窒素がヘテロ原子である。
【0033】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0034】
1〜C4アルキルは、通常直鎖状又は分岐状である。たとえば、C1〜C4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル又はt−ブチルとすることができる。
【0035】
1〜C4ハロアルキルは、アルキル基で、ハロゲン、たとえば、1〜3個又は1個又は2個のハロゲン置換基によりモノ−又はポリ−置換されたC1〜C4アルキルである。例は、クロロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は2−ブロモプロピルである。
【0036】
用語「ハロアルキル(又はハロゲン置換アルキル)」は、上述のアルキル基を、ハロゲン、たとえばトリフルオロメチルなどで部分的に又は完全に置換することにより得られる基を意味する。
【0037】
1〜C8アルキルは、分岐状又は非分岐状基、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、又はn−オクチルである。
【0038】
1〜C4アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ又はt−ブトキシである。
【0039】
式(II)、(III)及び(IV)の化合物は、新規であると考えられるが、ただし化合物が式(II)である場合、R6は水素である。
【0040】
式(I)及び(III)において、R4及び/又はR5の少なくとも1個は水素であることが好ましい。
【0041】
【化6】

【0042】
式(II)及び(IV)のR5は、たとえば水素である。
【0043】
リン含有モノマーは、このモノマーを他のエチレン性不飽和モノマーと重合してポリマーを形成し、次いでこれを接着剤、コーティング又はフィルムに組み込むことにより、コーティング又はフィルムに組み込むことができる。リン含モノマーは、コーティングを付着する表面に付着するプライマーとして用いることができる。モノマーをポリマーにグラフトすることもでき、そして得られたグラフトポリマーを接着剤、コーティング又はフィルムに組み込むことができる。モノマーを、放射線硬化性接着剤、コーティング又はフィルムに組み込むこともできる。この場合、モノマーを表面に付着し、フリーラジカル開始剤の存在下で、紫外線(UV)硬化による又は電子ビーム(EB)硬化による、放射線照射によって共重合して、極性表面への強い接着性を有するリン含有ポリマーを製造することができる。
【0044】
これらのアクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルは、有機物質の極性表面又は極性粒子への接着性を改良することを見出した。この接着性改良作用は、表面をアクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルで直接に処理することにより行うことができ、あるいは表面又は粒子の処理前にホスホン又はホスフィンモノマーを溶剤に溶解してもよい。アクリルアミドホスホン又はホスフィンモノマーは、接着剤、コーティング又はフィルムのポリマー成分の1種以上に重合することにより、従来の合成又は天然有機材料の保護コーティング、たとえば塗料、ラッカー、樹脂、プラスチック又はゴムに、組み込むこともできる。アクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルから形成したポリマーを、接着剤、コーティング又はフィルム中で、顔料粒子用分散剤として使用することもできる。形成したポリマーの顔料分散特性は、特に顔料が極性又は金属ベースである場合、改良される。
【0045】
ホスフェートエステルと比較して、コーティングの接着性が改良されるばかりでなく、コーティングの加水分解安定性も改良され、これによりアクリルアミドホスホンもしくはホスフィンモノマー、又はこれらから誘導されるポリマーの、水性コーティング及びラテックスへの組み込みが可能になる。
【0046】
したがって本発明は、コーティング、接着剤又はフィルムの表面への接着性を向上させるための方法であって、アクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルを、コーティング、フィルム又は接着剤組成物に組み込み、そして前記表面に付着する方法を包含する。コーティング、分散剤、フィルム又は接着剤組成物の重合は、基材に付着前又は後に行うことができる。
【0047】
さらに、本発明は、コーティング、接着剤又はフィルムの表面への接着性を向上させる方法であって、アクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルを、表面に付着した後で、コーティング又はフィルムを前記表面に付着する方法も包含できる。
【0048】
たとえば、アクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルを用いて金属基材を処理し、次いでコーティング、接着剤又はフィルムをこの処理ずみ金属基材に付着し、そしてアクリルアミドホスホン又はホスフィン酸又はエステルを含有するコーティング、分散剤、接着剤又はフィルムの重合を行う。
【0049】
アルキルホスホン酸は、工業的に極めて重要であり、そして、それ自体又はその塩、エステル及び無水物の形態で、種々の適用分野、たとえば:スケール防止又は硬水軟化、鉱石浮選、凝集、重金属錯化、分散剤、難燃剤、医薬、及び農薬で広く使用されている。
【0050】
本発明は、少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分を含有する重合性のN−置換アクリルアミドモノマーに関する。これらのリン含有アミドは、そのホスフェート類似物よりも加水分解に安定であり、従来のラジカル重合で、単独又は他の重合性のコモノマーと混合して、容易に重合でき、多数の有機マトリックスと適合性であり、そして改良された特性、たとえば接着性、難燃性、耐食性、分散性を有する材料を与える。
【0051】
重合してポリマーに組み込めば、形成したポリマーはそれ自体が、加水分解安定性を維持しながら、基材への改良された接着性を提供し続ける。
【0052】
特に、重合性のN−置換アクリルアミドモノマーを、コーティング、分散剤、フィルム又は接着剤に組み込むことができる。
【0053】
コーティング材料の例は、ラッカー、塗料又はワニスである。これらは常に有機フィルム形成バインダーを、他の任意の成分のほかに含有する。バインダーは、重合性のN−置換アクリルアミドモノマーを組み込むことができる。
【0054】
好ましい有機フィルム形成バインダーは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、アクリルコポリマー樹脂、ポリビニル樹脂、フェノール樹脂、スチレン/ブタジエンコポリマー樹脂、ビニル/アクリルコポリマー樹脂、ポリエステル樹脂又はアルキド樹脂、又はこれらの樹脂の2種以上の混合物、又はこれらの樹脂もしくはこれらの樹脂の混合物の塩基性もしくは酸性の水性分散液、又はこれらの樹脂もしくはこれらの樹脂の混合物の水性エマルションである。
【0055】
特に対象となるのは、水性コーティング組成物用有機フィルム形成バインダー、たとえば、アルキド樹脂;アクリル樹脂、二成分エポキシ樹脂;ポリウレタン樹脂;通常飽和しているポリエステル樹脂;水希釈性フェノール樹脂又は誘導分散液;水希釈性尿素樹脂;ビニル/アクリルコポリマーをベースとする樹脂;及びたとえば、エポキシアクリレートをベースとするハイブリッド系である。
【0056】
アクリル樹脂は、純粋なアクリル樹脂、エポキシアクリレートハイブリッド系、アクリル酸もしくはアクリル酸エステルコポリマー、ビニル樹脂との組合せ、又はビニルモノマー、たとえば酢酸ビニル、スチレンもしくはブタジエンとのコポリマーとすることができる。これらの系は、自然乾燥系及び焼付け系とすることができる。
【0057】
たとえば、ホスホネート又はホスフィンモノマーは、エチレン性不飽和二重結合を1個以上含有できる、1種以上の不飽和化合物と重合することができる。これらは低分子量(モノマー)であっても高分子量(オリゴマー)であってもよい。二重結合を有するモノマーの例は、アルキル及びヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレート、たとえばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル及び2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート並びにメチル及びエチルメタクリレートである。さらに対象となるのはシリコーンアクリレートである。他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、たとえば酢酸ビニル、ビニルエーテル、たとえばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロゲン化スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0058】
複数の二重結合を有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート又は同様のメタクリレート類似物である。
【0059】
たとえば、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及び鎖又は側基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、たとえば不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びこれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖に(メタ)アクリル基を有するポリマー及びコポリマー、並びにこのようなポリマー1種以上の混合物が特に適切である。
【0060】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸及び不飽和脂肪酸、たとえばリノール酸又はオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0061】
ホスホネート又はホスフィンモノマーを、接着剤に組み込むことができる。たとえば、ホスホネート又はホスフィンモノマーの反応性アクリル接着剤への組み込みは有利である。特に、構造用接着剤系、たとえば嫌気性及び好気性アクリルが考えられる。
【0062】
嫌気性接着剤は当技術分野において周知であり、空気にさらした場合液体のままであるが、金属表面の間に閉じ込めた場合硬化する、アクリル酸エステルの混合物を含む。これらの接着剤を、たとえばロッキングねじ込みファスナーにおいて用いることができる。この適用では、本発明のホスホネート又はホスホンモノマーは、特にファスナー表面が金属である場合、特に効果的である。理論により限定されないが、ホスホネート又はホスフィンモノマーは、キレート化によって金属ファスナーに浸透し、したがって金属を部分的に溶解し、そしてファスナーのねじ込み表面の間の接着性を改善すると考えられる。
【0063】
これらの嫌気性接着剤用の配合物は、モノマー、たとえば(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸及び他のビニル重合性モノマーを含有する。
【0064】
嫌気性接着剤用の開始剤又は硬化誘発化合物は、主に、ヒドロペルオキシドである。本発明の組成物は、他の従来の成分、たとえばフリーラジカル開始剤、他のフリーラジカル共促進剤、フリーラジカル発生の抑制剤、並びに金属触媒、たとえば鉄及び銅も含むことができる。
【0065】
このようなヒドロペルオキシド化合物は、通常、本発明において、組成物の合計重量に基づいて約0.1〜約10重量%の範囲で用い、約1〜約5重量%が望ましい。
【0066】
嫌気性接着剤は、さらに、促進剤、たとえばサッカリン及び芳香族アミンを配合することができる。
【0067】
輸送及び貯蔵中の早期重合を防ぐために、反応抑制剤、たとえばヒドロキノン、p−メトキシフェノール及びキレート剤が、液体嫌気性接着剤に組み込まれる。
【0068】
したがって、(a)少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分の成分を含む、少なくとも1種のN−置換アクリルアミドモノマー;及び(b)嫌気性硬化誘発組成物を含む、嫌気性の硬化性組成物が考えられる。
【0069】
さらに、本発明は、本発明による嫌気性硬化性組成物を望ましい基材表面に付着し、この組成物を、組成物の硬化に十分な時間、嫌気性環境にさらす工程を含む、嫌気性硬化性組成物からの反応生成物の製造方法を包含する。
【0070】
当然、本発明の嫌気性硬化性組成物は、また、2枚の対になった基材の間に形成された結合に本発明の組成物を提供する。
【0071】
好気性接着剤は、迅速に硬化するように設計され、構造強度をもつ強い結合を形成する。これらを用いて、高接着性シーラント及びコーティングを提供することができる。モノマー配合物の硬化は、化学物質、熱及び紫外線により実施することができる。
【0072】
したがって、本発明の目的は、熱、エージング及び湿気に耐える高強度ポリマーを迅速に形成し、種々の類似材料及び異なる材料(複合材料)の結合に有効な好気性硬化接着剤組成物を提供することである。
【0073】
したがって、フリーラジカル重合性の化合物、開始剤、そして場合により従来の添加剤を含む好気性硬化組成物であって、前記組成物は、前記フリーラジカル重合性の化合物として(a)少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分の成分を含む、少なくとも1種のN−置換アクリルアミドモノマーを含有することを特徴とする、好気性硬化組成物が考えられる。
【0074】
ホスホネート又はホスフィンモノマーは、従来の手段、たとえば放射線、熱、又はレドックス硬化により、他のビニルモノマーと重合し、コーティング、フィルム又は接着剤を形成することができる。
【0075】
本発明の目的のための放射線照射は、紫外光、可視光及び赤外光並びに電子ビーム開始を含む。
【0076】
UV又は可視の硬化を行うために、特定の光開始剤をモノマー配合物に加える。光開始剤は、UV又は可視光線を露光するとフリーラジカルを形成し、モノマー、オリゴマー及び不飽和成分のブレンドを硬化させる。
【0077】
光開始剤は、当技術分野において周知であり、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、たとえばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノアセトフェノン、たとえば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、たとえばジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸エステル及びその誘導体、フェニルグリオキサル酸エステル二量体、モノアシルホスフィンオキシド、たとえば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、フェロセニウム化合物、又はチタノセン、たとえばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタンを含む。
【0078】
基材は無機でも有機でもよく、そして任意の固体状であってよい。好ましくは、基材は、粉末又は粒子、繊維、フィルム又は三次元物体の形態である。
【0079】
基材は、無機でも有機でもよい。たとえば基材は、熱可塑性プラスチック、金属酸化物、ガラス、セラミック、金属又は金属合金とすることができる。
【0080】
たとえば、基材は金属、たとえばスチール、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、チタン又は金とすることができる。
【0081】
基材の表面は極性であるのが好ましい。極性表面の例は、金属顔料粒子、金属、ガラス又はセラミック繊維、シート金属、たとえばスチール、アルミニウム及び金属合金である。基材は、生地が金属、ガラス又はセラミック繊維から形成されない限り、通常生地ではない。
【0082】
本発明のホスホン又はホスフィンアクリルアミドモノマーのポリマー分散剤への組み込みは、金属顔料を分散させるために用いる場合、特に有利である。
【0083】
金属顔料の例は、たとえば二酸化チタン、超微粉化二酸化チタン、酸化鉄顔料、及びフタロシアニン顔料の金属錯体である。特別の効果もしくは干渉顔料が対象となる。これらはアルミニウム、銅、ガラス又はマイカから製造し、屈折材料の薄層でさらにコーティングすることができる。干渉顔料の例は、フレーク状の、二酸化チタンコーティングされたアルミニウム、コーティングされたマイカ、及びコーティングされた酸化鉄とすることができる。
【0084】
ポリマーのホスホン又はホスフィン部分は、金属顔料とキレートを作り、金属顔料の凝集を防ぐことができ、したがって極めて有効な分散剤として働く。
【0085】
重合性のN−置換アクリルアミドモノマーは、たとえば式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表すことができる。
【0086】
【化7】

【0087】
[式中、
Qは、1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、アリーレン、又はアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の結合基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−Q’−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、−Q’−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Qは、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
1及びR2は、独立に、水素、分岐状又は非分岐状C1〜C4アルキルであり;
3は、水素又はC1〜C4アルキル、−Q”−P(O)(OR4)(OR5)又は−Q”−P(O)(OR4)(R6)であり;
Q’及びQ”は、同じか異なり、そして1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、又はアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Q’及びQ”は、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
4及びR5は、独立に、H、C1〜C4アルキルであり、ここでC1〜C4アルキルは分岐状又は非分岐状で、非置換であるか、又はC1〜C4アルキル、C6〜C12アリールもしくはハロゲンで置換されており、
そして
6は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルもしくはハロゲンで置換された、分岐状又は非分岐状C1〜C8アルキル、アリール、アラルキルである]
【0088】
好ましくは、R4及び/又はR5の少なくとも1個は、水素である。
【0089】
二価の基により、結合基Qが少なくともリン及びアクリルアミドのアミドに共有結合されていることを意味する。
【0090】
式(I)のいくつかの代表的な例には、
【0091】
【化8】

【0092】
(式中、R1は、H又はC1〜C4アルキルであり;
2及びR3は、H又はC1〜C4アルキルであり、そしてC1〜C4アルキルは、非置換であるか、又は1個以上のハロゲンで置換され;
4は、H又はC1〜C4アルキルである)がある。
【0093】
好ましくはR2及びR3の少なくとも1個は水素である。
【0094】
本発明のホスホン又はホスフィンアクリルアミド組成物は、改良された耐食性及び難燃性、特に強化された接着性を有する有機ポリマーの容易な入手を可能にする。
【0095】
ホスホン又はホスフィンアクリルアミド組成物を難燃剤として用いる場合、それらは通常、全固形分に基づいて、コーティング、接着剤、分散剤又はフィルムの少なくとも約10〜約50重量%である。著しい難燃性を得るために、比較的多量のリンをコーティング、フィルム、分散剤又は接着剤に組み込まなければならない。
【0096】
本発明のホスホン又はホスフィンアクリルアミド構造用接着剤組成物は、歯科用接着剤、特に象牙質エナメルが基材又は基材の一つである歯科用接着剤を包含しない。
【0097】
コーティング、フィルム、分散剤又は接着剤の、耐食性、分散剤特性及び接着特性を向上させるための、ホスホン又はホスフィンアクリルアミドの有効濃度は、約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1〜約5重量%、特に約0.1重量%〜約3重量%であり、重量%は、コーティング、分散剤、フィルム又は接着剤の全乾燥重量に基づく。たとえば、約0.05〜約2重量%、約0.05重量%〜約1重量%、約0.2重量%〜約7重量%が考えられる。このように低い重量%レベルのホスホン又はホスフィンアクリルアミドモノマーの組み込みが、コーティング、分散剤、フィルム又は構造用接着剤の接着特性を改善することは、極めて驚くべきことである。
【0098】
接着剤が水中で接着強さの著しい低下を示すことは周知である。したがって、本発明のモノマーの接着剤組成物への組み込みは、表面間の接着強さの維持に特に有利である。約0.05重量%のような少量が、接着剤、コーティング又はフィルムの、接着性促進及び改良された加水分解安定性を付与する。
【0099】
(メタ)アクリルアミドホスホンもしくはホスフィン酸又はエステルの改良された加水分解安定性は、顔料分散剤又は金属用塗料バインダーの様々な適用を伴う水性媒体中で、その使用を可能にする。モノマー又は形成したポリマーが金属に接着性及び耐食性を与えるラテックス及び水性系の製造におけるその使用が特に重要である。したがって、たとえばホスホン又はホスフィンアクリルアミドを組み込んだ分散剤の配合物は、二つの利点をコーティング、接着剤又はフィルム組成物に与える。分散剤は、有効な分散剤として機能し、金属顔料、たとえばTiO2の凝集を防ぎ、そして極性基材、たとえば金属への接着性を改善する。
【0100】
顔料分散剤として広く工業的に用いられてきた酸性のホモポリマー及びコポリマー(たとえばDispex N40及びDispex G40)は、最終フィルムに多数の満足な特性を与えるが、重大な問題は、最終フィルムが多くの場合水への耐性が不十分なことである。このため、これらの塗料フィルムは望まれるような水での洗浄に耐性を示さない。
【0101】
本発明は、それを単独又は主な分散剤として用いて形成した安定な顔料分散液を含み、そしてエマルション塗料にブレンドするのに適切な分散剤コポリマー、並びに顔料を用いて形成したエマルション塗料を含む。本発明は、定義された分散剤の、改良された耐水性を持つエマルション塗料中での顔料分散剤としての使用、及び改良された耐水性を持つコーティングを形成するためのエマルション塗料の使用も含む。
【0102】
顔料分散剤は、(a)モノマーが少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分の成分を含む、少なくとも1種のN−置換アクリルアミドモノマーから形成されるコポリマーである。
【0103】
コポリマーは、効果的な分散剤として機能するような適切な低い分子量であり、したがって分子量は、通常約100,000未満、好ましくは約70,000未満である。通常、少なくとも2,500、多くの場合少なくとも10,000である。好ましいコポリマーは、分子量が20,000〜60,000、好ましくは約25,000〜約50,000の範囲である。
【0104】
本明細書では、分子量は全て、Toso Haas PWXLカラム一式(G4000+G3000+ガード)並びにポリアクリル酸ナトリウム標準及びアクリル酸ナトリウムモノマー標準を用いるサイズ排除クロマトグラフィーにより得られた重量平均分子量(Mw)値である。ポリマーが水溶性であるかどうかによって、ポリスチレン標準を用いることができる。
【0105】
コポリマーは通常、溶剤中、適切な開始剤、たとえば過硫酸アンモニウムの存在下で、低分子量ポリカルボン酸分散剤の製造の従来の方法で、溶液重合により製造する。重合は、酸性基を遊離酸の形態としながら行うのが都合よく好ましいが、この基は、必要ならばたとえばアルカリ金属又はアミン又はアンモニアで、完全に又は部分的に中和されて水溶性塩を形成することができる。
【0106】
エマルション塗料に組み込むことができる顔料ペーストを形成するために、分散剤は、無機又は有機の粒状顔料と共に配合できる。分散剤の量は、通常、顔料の重量に基づいて0.01〜1%である。
【0107】
分散剤コポリマーに組み込む、モノマーが少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分の成分を含むN−置換アクリルアミドモノマーのmol%は、分散剤コポリマーに基づいて、約0.1〜約10mol%、好ましくは0.1〜約7mol%、最も好ましくは約0.1〜約5mol%である。
【0108】
顔料が耐食性塗料で用いる種類の反応性顔料である場合、エマルション塗料は耐食性塗料とすることができる。たとえば顔料は、亜鉛又はアルミニウムの酸化物又はホウ酸塩又は他の塩とすることができ、あるいはたとえば、Albritect(商標)耐食性顔料に含まれる種類のリン酸カルシウム、又は「K-White」(商標)耐食性顔料に含まれる種類のアルミニウムトリホスフェート顔料、又はHalox(商標)耐食性顔料に含まれる種類のカルシウムストロンチウム亜鉛ホスホシリケート顔料とすることができる。
【0109】
本発明の利点は、従来の塗料と反応性顔料を含む耐食性塗料との両方において、分散剤が良好な結果を与えることであり、したがって、製造業者は全てのグレードに対して単独の分散剤を用いることができる。
【0110】
さらに、本発明の分散剤は、顔料が非反応性、たとえば二酸化チタン、白陶土及び/又は炭酸カルシウムである場合、良好な結果を与える。たとえば、本発明の分散剤は、従来のエマルション塗料中で良好な光沢値を導く。
【0111】
ペースト又はスラリーは、従来の方法で、たとえば、顔料、分散剤及び水を適切な量で、ボールミル粉砕、そうでなければブレンドし粉砕することにより、形成することができる。ペーストは、通常、50〜90%の顔料を含有し、残部は通常、場合により従来の添加剤、たとえば消泡剤、増粘剤及び/又はグリコールを微量伴った水である。
【0112】
エマルション塗料は、従来の方法で、顔料ペーストと適切なバインダーラテックスとをブレンドすることにより形成することができる。ラテックスは、たとえば、酢酸ビニル−バーサチック酸のビニルエステルラテックス、エチレン酢酸ビニルラテックス、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニルラテックス、アクリル−エチレン−塩化ビニルラテックス、アクリルラテックス又はスチレンアクリルラテックスとすることができる。
【0113】
バインダーの量は、通常、20〜80%及び顔料80〜20%(乾燥重量)の範囲にある。
【0114】
バインダーが酢酸ビニル又はエチレン酢酸ビニルラテックスである場合、塗料は、バインダー20〜40%(乾燥重量)及び顔料60〜80%から形成されるのが好ましいことが多い。このような塗料は、よりマットな仕上げ塗装を与える。
【0115】
高い品質、そして通常高い光沢の、塗料フィルムが必要な場合、バインダーの量は、典型的には50〜80%、好ましくは70〜80%であり、顔料の量は20〜50%、好ましくは20〜30%であり、そしてバインダーは一般にアクリル又はスチレンアクリルラテックスである。これらの高バインダー塗料は、より耐水性で光沢のあるコーティングを与える傾向があり、そして本発明の新規な分散剤の使用は、このような塗料から形成されるフィルムの耐水性をさらに一層高める傾向がある。
【0116】
本発明の分散剤の特定の利点は、これらは、従来プラスター上に用いるマット及びステイン塗料、又は従来プラスターもしくは木材上に用いるマットもしくは光沢塗料、並びに金属上に用いることができる耐食性のグロス又は他の塗料を含む、広い範囲のエマルション塗料に対して、改良された耐水性を与えるだけでなく、効果的な分散特性も与えることである。したがって、本発明は、エマルション塗料の実質的に全てのグレードにおいて、単独の分散剤を用いることが可能であり、そしてこれにより、良好な耐水性ばかりでなく、満足な(関係する特定のエマルション塗料に対して)被覆力、安定性及び他の特性も得られるような広い範囲の効果を有する分散剤を提供する。
【0117】
したがって、本発明は、耐食性及び従来のエマルションにおける、本発明による同じ分散剤の製造業者による使用を含む。
【0118】
本発明の目的に対する水性とは、水が組成物の実質的な量であるコーティング、フィルム又は接着剤組成物を意味する。水は、単独溶剤及び/又は乳化剤であってよい。しかし、組成物は、水のほかに、有機溶剤も含有することができる。
【0119】
組成物の含水量は、組成物の望ましい固形分により、実質的に決定する。好ましい組成物は、水を約5〜約80重量%含有し、エマルション、分散液又は溶液とすることができる。
【0120】
コーティング、分散剤、フィルム又は接着剤を、当技術分野において公知の任意の方法によって表面に付着することができる。
【0121】
たとえば、コーティング材料は、通常の方法により、たとえば噴霧、浸漬、塗布又は電着により、基材に付着することができる。多くの場合、複数のコートを付着する。
【0122】
ホスホン又はホスフィンアクリルアミドモノマーから形成される、接着性促進又は分散ホスホン又はホスフィンアクリルアミドモノマー又はポリマーは、ベース層(プライマー)コーティングに添加することができるが、それはこれらが、特に金属コーティング界面で活性であるからである。しかしこれらは、中間体コート又はトップコートに、同様に添加することもできる。バインダーが物理的、化学的、もしくは酸化的乾燥樹脂であるか、又は熱硬化もしくは放射線硬化樹脂であるかによるが、コーティングを室温で、又は加熱(焼付け)により、又は照射により硬化する。
【0123】
(メタ)アクリルアミドホスホン酸エステルを、標準的な合成手段により、二酸又は一酸に転化することができる。たとえば、ホスホネートエステルを、トリメチルシリルブロミドでシリル化し、その後メタノリシスして、対応するホスホン酸を高い収率で得ることができる。
【0124】
あるいはまた、(メタ)アクリルアミドホスホン酸を、適切な不飽和のホスホン酸から、(メタ)アクリロニトリルとのRitter合成によって、当業者により周知の方法、たとえば米国特許第4,526,728号に開示されている方法で製造することができる。
【0125】
次の実施例には、本発明の特定の実施態様が記載されている。本明細書での開示にしたがって、本発明の要旨から逸脱することなく、開示した実施態様への多数の改変が可能であることが理解されるであろう。したがって、これらの例は、本発明の範囲を限定するものではない。もっと正確に言えば、本発明の範囲は、請求項及びその均等物によってのみ決定される。
【0126】
実施例において、特記しない限り、示された部は全て重量によるものである。
【0127】
1H及び31PNMRスペクトルは、300MHz Gemini分光計で、周囲温度で記録した。
【0128】
実施例
ホスホネート含有(メタ)アクリルアミド
実施例1
ジエチル4−(アクリルアミド)ベンジルホスホネート
【0129】
【化9】

【0130】
0〜5℃に冷却した、トルエン(7ml)中のジエチル4−(アミノ)ベンジルホスホネート(2.02g;8.3mmol)及びトリエチルアミン(1.02g;9mmol)の溶液に、トルエン(2ml)中のアクリロイルクロリド(純度95%、0.91g;10mmol)の溶液を30分で滴下した。その後、さらにトルエン(5ml)を、フラスコに注ぎ、混合物を室温であと2時間攪拌した。水(10ml)の添加により反応を終了させた。有機相をジエチルエーテルで抽出し、MgSO4で乾燥し、真空下で溶剤を除去して淡黄色固体(2.22g;収率90%)を得た。
【0131】
【表1】

【0132】
実施例2
ジエチル4−(メタクリルアミド)ベンジルホスホネート
【0133】
【化10】

【0134】
実施例1の記載と同じ方法により、トルエン(9ml)中の、ジエチル4−(アミノ)ベンジルホスホネート(1.94g;8mmol)、トリエチルアミン(0.87g;8.6mmol)、及びメタクリロイルクロリド(0.9g;8.6mmol)から、ジエチル4−(メタクリルアミド)ベンジルホスホネートを微黄色固体(2.3g;収率92%)として得た。
【0135】
【表2】

【0136】
実施例3
テトラエチル2,2’−イミノビス(エチルホスホネート)
【0137】
【化11】

【0138】
濃アンモニア(14.4g)中のジエチルビニルホスホネート(10.52g;0.062mol)の溶液を、室温で2日間攪拌した。反応混合物を水(100ml)で希釈し、ジクロロメタン(4×30ml)で抽出し、MgSO4で乾燥した。溶剤を真空中で一定の重量になるまで除去して、無色の液体(8.36g;収率73%)を得た。
【0139】
【表3】

【0140】
実施例4
ジエチル2−アミノエチルホスホネート
【0141】
【化12】

【0142】
10%のPd/C(1g)上の、エタノール(70ml)中のジエチルシアノメチルホスホネート(17.7g;0.1mol)及びHCl水溶液(40mlの10%HCl)の混合物を、圧力容器中、60psiで攪拌した。H2の計算された量が吸収された時点(約26時間)で、触媒をCeliteでろ別し、エタノールで洗浄し、ろ液をNaHCO3で中和し真空下で乾燥するまで蒸発させた。残留物を無水エタノール(2×50ml)で抽出し、透明な抽出物を約110℃かつ0.18mbarで蒸留し、無色の液体(11.4g;収率63%)を得た。
【0143】
【表4】

【0144】
実施例5
ジエチル[3−(N−フタルイミド)]プロピルホスホネート
【0145】
【化13】

【0146】
フタルイミドカリウム(2.8g;15.1mmol)及びジエチル3−ブロモプロピルホスホネート(3.92g;15.1mmol)を、98〜100℃で2時間勢いよく攪拌した。混合物を室温に冷まし、ジエチルエーテル(15ml)で希釈し、ろ過した。溶剤を真空中で除去して、無色の液体(4.52g;収率90%)を得た。
【0147】
【表5】

【0148】
実施例6
ジエチル3−アミノプロピルホスホネート
【0149】
【化14】

【0150】
ジエチル[3−(N−フタルイミド)]プロピルホスホネート(実施例5)(3.72g;11.4mmol)、無水エタノール(46ml)及びヒドラジン水和物(98%の純度0.78ml;15.7mmol)の混合物を還流させながら35分攪拌した。混合物をろ過し、真空下で溶剤を蒸留した。得られた油状物を、CHCl3(10ml)に溶解し、再びろ過した。溶剤を真空中で除去し、無色の液体(0.7g;収率30%)を得た。実施例4にしたがって、ジエチル3−アミノプロピル−ホスホネート(6)を、ジエチル2−シアノエチルホスホネートから、同様の方法でさらに得て、その後約115℃かつ0.18mbarで真空蒸留した(収率80%)。
【0151】
【表6】

【0152】
実施例7
テトラエチル2,2’−N−アクリロイルイミノビス(エチルホスホネート)
【0153】
【化15】

【0154】
アクリロイルクロリド(0.96g;10.6mmol)を、−5℃で冷却した、濃アンモニア(28.8%アンモニア水;1.32g;10.6mmol)中の実施例3からのテトラエチル2,2’−イミノビス(エチルホスホネート)(3.35g;9.7mmol)の溶液に滴下した。反応混合物をさらに4時間攪拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物をろ過し、続いて真空中で溶剤を蒸発し、無色の液体(2.9g;収率75%)を得た。
【0155】
【表7】

【0156】
実施例8
テトラエチル2,2’−N−メタクリロイルイミノビス(エチルホスホネート)
【0157】
【化16】

【0158】
メタクリロイルクロリド(1.7g;16.3mmol)を、−5℃で冷却した、濃アンモニア(28.8%アンモニア水;2.1g;15.9mmol)中の実施例3からのテトラエチル2,2’−イミノビス(エチルホスホネート)(5.36g;15.5mmol)の溶液に滴下した。反応混合物をさらに4時間攪拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物をろ過し、続いて真空中で溶剤を蒸発し、無色の液体(5.64g;収率91%)を得た。
【0159】
【表8】

【0160】
実施例9〜12は、実施例1及び2と同様に製造し、アクリロイルクロリド又はメタクリロイルクロリドを、ジエチル3−アミノエチルホスホネート(実施例4と同様に)又はジエチルアミノプロピルホスホネート(実施例6と同様に)と反応させた。
【0161】
実施例9
ジエチル3−(N−アクリルアミド)プロピルホスホネート
【0162】
【化17】

【0163】
実施例10
ジエチル3−(N−メタクリルアミド)プロピルホスホネート
【0164】
【化18】

【0165】
実施例11
ジエチル(N−アクリルアミド)エチルホスホネート
【0166】
【化19】

【0167】
実施例12
ジエチル(N−メタクリルアミド)エチルホスホネート
【0168】
【化20】

【0169】
実施例13〜18
次の工程で例示するように、実施例7〜12の加水分解を実施して、対応する二酸を形成した。
【0170】
トリメチルシリルブロミド(0.4g;2.6mmol)を、室温で、ジクロロメタン(5ml)中の実施例7からのテトラエチル2,2’−N−アクリロイルイミノビス(エチルホスホネート)(0.5g;1.24mmol)の溶液に滴下した。反応混合物を、窒素散布下で4時間還流し、続いて減圧下で揮発分を蒸発した。メタノール(5ml)を、反応粗生成物に加え、混合物を室温でさらに12時間攪拌した。真空下でメタノールを一定の重量になるまで除去して、対応するホスホン酸を得た。
【0171】
応用例
実施例19
(メタ)アクリルアミドホスホン酸エステル及び酸(実施例7〜18)の重合
上述の実施例からの(メタ)アクリルアミドホスホネートの重合速度論は、フォトDSCにより評価した。重合は、バルクで、単独のモノマー又は重合性の混合物と共に、窒素下、Irgacure 651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、Ciba)2mol%を用いて、光強度30mW/cm2又は100mW/cm2で行った。アクリル官能性に典型的な速度で重合は起こり、リン含有基の対応するコポリマーへの優れた組み込みを付与する。
【0172】
実施例20
構造用接着剤へのモノマーの組み込み
上述の実施例で製造した接着性促進モノマーを、構造用接着剤用ベース配合物に組み込んだ。モノマーを配合物に1及び3重量部で混合し、そしてスチール、アルミニウム、及び亜鉛メッキスチールのストリップに付着した。接着剤の効果を、硬化後の引張強さの測定により評価した。金属接着促進剤を伴わない樹脂を対照として用いた。
【0173】
実施例21
ブチルメタクリレート及びホスホネート(メタ)アクリルアミドから製造したコポリマー
マグネチックスターラ及び冷却器を備えた100mLのフラスコ中、窒素下、重合性のホスホネートアクリルアミド(実施例7〜18)と、トルエン中のブチルメタクリレートとを、モル比1:30(ホスホネート:ブチルメタクリレート)で混合した。混合物を脱ガスし、70℃の一定温度の浴中に置いた。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を加え、共重合が完結するまで混合物を攪拌した。コポリマーを、沈殿し、乾燥し、後続の配合物中で接着性エンハンサーとして用いた。
【0174】
実施例22
実施例21で製造したコポリマーを種々の百分率(約5重量%〜約50重量%)で組み込み、固形分20重量%のコーティング溶液を作った。溶液を、バーコータを用いて亜鉛メッキ鋼板に付着した。溶剤及び水を、通気オーブン中で蒸発させた。コーティングの鋼板への接着性は良好であった。
【0175】
実施例23
UV−硬化性コーティング
コモノマー、オリゴマー及び光開始剤を含有するベースUV−硬化性配合物を作り、次いで上述の実施例からのリン含有(メタ)アクリルアミドを、全固形分に基づいて1及び3重量部加えた。この配合物を、厚さ5.0〜6.0μmのコーティングに対して750mJ/cm2エネルギーが測定される2個の300ワット毎インチ水銀灯を用いて硬化した。コーティングのスチール、アルミニウム及びガラスへの接着性は良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分を含む、少なくとも1種のN−置換アクリルアミドモノマーから形成されるポリマーを含む、接着剤、コーティング又はフィルム組成物。
【請求項2】
N−置換アクリルアミドモノマーが、式(I)、(II)、(III)又は(IV):
【化1】


[式中、
Qは、1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、及びアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の結合基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−Q’−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、−Q’−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Qは、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
1及びR2は、独立に、水素、分岐状又は非分岐状C1〜C4アルキルであり;
3は、水素又はC1〜C4アルキル、−Q”−P(O)(OR4)(OR5)又は−Q”−P(O)(OR4)(R6)であり;
Q’及びQ”は、同じか異なり、そして1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、及びアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Q’及びQ”は、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
4及びR5は、独立に、H、C1〜C4アルキルであり、ここでC1〜C4アルキルは分岐状又は非分岐状で、非置換又はC1〜C4アルキル、C6〜C12アリールもしくはハロゲンで置換されており;
そして
6は、分岐状又は非分岐状C1〜C8アルキル、アリール、アラルキルであり、ここでC1〜C8アルキル、アリール、アラルキルは、非置換又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルもしくはハロゲンで置換されている]の少なくとも1つで表される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物が水性である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
組成物が放射線により硬化する、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
式(I)又は(III)のR4又はR5の少なくとも1個が水素である、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
4及びR5が両方とも水素である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
式(II)又は(IV)のR5が水素である、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
ポリマーが、さらに第二の不飽和モノマーから形成されるコポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
モノマーを、式:
【化2】


及び
【化3】


(式中、R1は、H又はC1〜C4アルキルであり;
2及びR3は、H又はC1〜C4アルキルであり、C1〜C4アルキルは、非置換であるか、又は1個以上のハロゲンで置換され;そして
4は、H又はC1〜C4アルキルである)から選択する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
さらに金属顔料を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
接着剤、コーティング又はフィルムの、表面への接着性を促進する方法であって、
少なくとも1種の請求項1記載のN−置換アクリルアミドモノマーから形成されるポリマーを含む接着剤、コーティング又はフィルム組成物を表面に付着すること
を含むか、あるいは
少なくとも1種の請求項1記載のN−置換アクリルアミドモノマーを含む接着剤、コーティング又はフィルム組成物を表面に付着し、重合すること
を含む方法。
【請求項12】
接着剤、コーティング又はフィルムの、表面への接着性を促進する方法であって、接着剤、コーティング又はフィルムを付着する前に、少なくとも1種の請求項1記載のN−置換アクリルアミドモノマーを、前記表面に付着することにより表面を前処理することを含む方法。
【請求項13】
表面が、粉末、粒子、繊維、フィルム又は三次元物体の形態の基材である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
ポリマー組成物が水性である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
ポリマー組成物が放射線により硬化する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法により形成されたコーティング、フィルム又は接着剤。
【請求項17】
少なくとも1個のホスホンもしくはホスフィン酸又はエステル部分を含有する、少なくとも1種の重合性のN−置換アクリルアミドモノマーから形成されるポリマーを含む、顔料分散剤組成物。
【請求項18】
さらに、金属顔料を含有する、請求項17記載の顔料分散剤。
【請求項19】
式(II)、(III)又は(IV):
【化4】


[式中、
Qは、1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、アリーレン、及びアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の結合基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−Q’−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、−Q’−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Qは、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
1及びR2は、独立に、水素、分岐状又は非分岐状C1〜C4アルキルであり;
3は、水素又はC1〜C4アルキル、−Q”−P(O)(OR4)(OR5)又は−Q”−P(O)(OR4)(R6)であり;
Q’及びQ”は、同じか異なり、そして1種以上のC1〜C18アルキレン、C6〜C12アリーレン、及びアラルキレンよりなる群から選択される少なくとも1個の二価の基;
(ここで結合基は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、−P(O)(OR4)(OR5)、−P(O)(OR4)(R6)、ヒドロキシもしくはC1〜C4アルコキシで置換されている)であるか;
あるいは
Q’及びQ”は、1個以上の−O−、−S−、−NR4−、−O(CO)−、−S(CO)−、−OC(O)O−、−NR4−C(O)−O−、−C(O)−又は−NR4(CO)−で中断されたC2〜C12アルキレンであり;
4及びR5は、独立に、H、C1〜C4アルキルであり、ここでC1〜C4アルキルは分岐状又は非分岐状で、非置換であるか、又はC1〜C4アルキル、C6〜C12アリールもしくはハロゲンで置換されており;
そして
6は、非置換であるか、又は1個以上のC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルもしくはハロゲンで置換された分岐状又は非分岐状C1〜C8アルキル、アリール、アラルキルであり、ただし、化合物が式(II)である場合、R6は水素である]の化合物。

【公表番号】特表2009−500481(P2009−500481A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519901(P2008−519901)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063618
【国際公開番号】WO2007/006648
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】