説明

(メタ)アクリロイル−アジリジン架橋剤及び接着剤ポリマー

本開示では、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマー及び新規の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む予備接着剤硬化性組成物が説明され、これは架橋されると、感圧接着剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、中国特許出願第200910261937.3号(2009年12月23日出願)及び米国特許出願第12/849878号(2010年8月4日出願)からの優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、感圧接着剤、及びそれから調製されるテープ物品に関する。このテープは接着、又凝集特性の全体的バランスと、高温での優れた耐荷重性を示すことを特徴とする。
【背景技術】
【0003】
感圧テープは家庭及び仕事場において実質的にどこにでも存在する。その最もシンプルな構成においては、感圧テープは接着剤と裏材とを備え、全体的な構造は使用温度で粘着性があり、固着を形成するためにわずかな圧力を使うだけで種々の基板に接着する。こうした方法で、感圧テープは完全で自己充足型の接着システムを構成する。
【0004】
感圧テープ協議会によると、感圧接着剤(PSA)は、次の特性を有することが知られている:(1)強力で恒久的な粘着性、(2)指圧以下での接着性、(3)被着体上への十分な保持力、及び(4)被着体からきれいに除去するための十分な貼着力。PSAとして効果的に機能することが示されている材料としては、粘着性、剥離接着力、及び剪断保持力の望ましいバランスを与える必要な粘弾性を示すように設計及び配合されたポリマーがある。PSAは、通常は、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。PSAは、べたっとしていること、又は表面に接着することのみで、組成物を抱持するわけではない。
【0005】
これらの要件は概して、A.V.Pocius in Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction,2nd Ed.,Hanser Gardner Publication,Cincinnati,OH,2002に記されるように、粘着、接着(剥離強度)、及び凝集(剪断力保持力)を個々に測定するように設計された試験によって評価される。これらの測定値は全体として、PSAを特徴付けるうえでしばしば用いられる特性調和を構成する。
【0006】
近年の感圧テープの用途の拡大に伴い、性能要件はますます厳しくなっている。例えば、当初は室温で中程度の荷重を支えるための適用を目的としていた剪断保持力は、実用温度及び荷重における数多くの適用に対応するために大幅に増加した。いわゆる高性能感圧テープは、高温で10,000分、荷重を支えることができるものを指す。剪断保持力の増強は、通常PSAを架橋することで達成されるが、その際、高度の粘着と接着を保持し、前述の特性調和を保持するためには相当の注意を払う必要がある。
【0007】
アクリル接着剤においては2つの主な架橋メカニズムが存在する。すなわち、他のモノマーを伴う多官能エチレン性不飽和基のフリーラジカル共重合、及びアクリル酸などの官能性モノマーによる共有結合又はイオン架橋である。もう1つの方法は、共重合可能なベンゾフェノンなどの紫外線架橋剤、又は多官能性ベンゾフェノンやトリアジンなどの後添加光架橋剤を使用するものである。これまで、例えば多官能性アクリレート、アセトフェノン、ベンゾフェノン及びトリアジンなどのような、様々な異なる材料が架橋剤として使用されてきた。前述の架橋剤はしかし、次の1つ以上を含むいくつかの欠点をもっている:高揮発性、一定のポリマーシステムとの不適応性、腐食性、又は毒性副産物の生成、好ましくない色の生成、架橋反応を開始するための別の光能動的化合物の必要性、かつ酸素に対する高い感度。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本開示は、以下の式の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を提供する:
【化1】

式中、
及びXは、それぞれ独立して−O−又は−NH−であり、
は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
は、−H又はCHであり、
yは、0又は1であり、
各Rは、独立して−H又はC〜Cアルキル基である。
【0009】
本開示は、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマー及び(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む予備接着剤硬化性組成物を更に提供し、これは架橋されると、感圧接着剤組成物を提供する。1つの態様では、本開示は、a)第1の構成成分である酸官能性(メタ)アクリレート溶質コポリマーと、b)少なくとも1つのフリーラジカル重合性溶媒モノマーを含む第2の構成成分と、c)(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤と、を含む、新規予備接着剤シロップポリマー組成物を提供する。予備接着剤シロップポリマー組成物を重合及び架橋して感圧接着剤を製造することができる。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーの水性エマルションと、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤と、を含む接着剤エマルションを提供し、これをコーティングし架橋することで感圧接着剤を形成することができる。関連した一実施形態では、本開示は、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーの反応生成物である水性エマルションと、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む接着剤エマルションを提供し、これをコーティングし硬化させて感圧接着剤を形成することができる。
【0011】
環境的な理由により、コーティングプロセスにおける揮発性有機溶媒(VOC)の使用を止め、環境によりやさしい水性材料を使用する方向への要求があるため、本発明では、上記の水性エマルションを含む水性接着剤を提供する。水性系は、コスト、環境、安全、及び規制の理由のため望ましい。水性系は、容易にコーティングすることができ、硬化したとき、感圧接着剤をもたらす。
【0012】
本開示の感圧接着剤、架橋組成物は、粘着力、剥離接着力、剪断保持力の所望の調和を提供し、更にダルキスト基準に準拠しており、すなわち、適用温度(典型的には室温)での接着剤の弾性率は、1Hzの周波数で3×10dynes/cm未満である。
【0013】
(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤の使用は、(メタ)アクリル接着剤のための従来の架橋剤の使用と比較して多くの利点を提供する。これらの利点としては、酸素に対する架橋性組成物の感度の低下、毒性又は腐食性の副産物、又は最終製品の変退色の発出の回避、及び硬化後の架橋剤としての使用可能性などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、この架橋剤は前述の剤に対し以下の利点を有する:合成の容易さ、構成成分モノマー又は有機溶媒に対する高い溶解度特性、及び出発物質のコストの低さ。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は再生可能な資源に由来する接着剤組成物を提供する。特に、本発明は、植物性材料に部分的に由来する接着剤組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、基材又は裏材も再生可能な資源に由来する接着物品を更に提供する。石油及び付随する石油由来製品の価格上昇によって、多くの接着剤製品の価格が高騰し、供給が不安定になった。石油系原料の全て又は一部を、植物などの再生可能な資源に由来するものに置き換えることが望ましいが、それはこのような材料が比較的安価になり、したがって経済的かつ社会的に有益だからである。したがって、このような植物由来の材料の必要性は、ますます高まっている。
【0015】
本出願において、「予備接着剤」とは、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマー、及び架橋されて感圧接着剤を形成できる(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む溶液、懸濁液、又はエマルションを指す。
【0016】
「シロップポリマー」は、1つ以上の溶媒モノマーに溶質ポリマーが含まれている溶液を指し、溶液は22℃において500〜10,000cPsの粘度を有する。「溶液ポリマー」とは、1つ以上の有機溶媒に溶質ポリマーが含まれている溶液を指す。
【0017】
本出願においては、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルの両方を含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、直鎖、分枝鎖、及び環状アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。別段の指定がない限り、アルキル基は、典型的には、1〜20個の炭素原子を含有する。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、n−オクチル、n−ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル及びノルボルニル、並びにこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。別段の注記がない限り、アルキル基は、一価であっても多価であってもよい。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「ヘテロアルキル」は、独立してS、O、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する直鎖、分枝鎖、及び環状のアルキル基であって、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。別段の指定がない限り、ヘテロアルキル基は、典型的には、1〜20個の炭素原子を含有する。「ヘテロアルキル」は、以下に記載の「1個以上のS、N、O、P又はSi原子を含有するヒドロカルビル」の部分集合である。本明細書で使用するとき、「ヘテロアルキル」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、3,6−ジオキサへプチル、3−(トリメチルシリル)−プロピル、4−ジメチルアミノブチル及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。別段の注記がない限り、ヘテロアルキル基は、一価であっても多価であってもよい。
【0020】
本明細書で使用するとき、「アリール」は、6〜18個の環原子を含有する芳香族基であり、任意の縮合環を含有してもよく、これは、飽和であっても、不飽和であっても、芳香族であってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナンスリル、及びアントラシルが挙げられる。ヘテロアリールは、窒素、酸素、又は硫黄等の1〜3個のヘテロ原子を含有するアリールであり、縮合環を含有してもよい。ヘテロアリール基のいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、及びベンズチアゾリルである。特に指定しない限り、アリール及びヘテロアリール基は、一価であっても多価であってもよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、「(ヘテロ)ヒドロカルビル」は、ヒドロカルビルアルキル及びアリール基、並びにヘテロヒドロカルビルヘテロアルキル及びヘテロアリール基を含み、後者は、エーテル又はアミノ基等の1つ以上のカテナリー酸素ヘテロ原子を含む。ヘテロヒドロカルビルは、所望により、エステル、アミド、尿素、ウレタン、及びカーボネート官能基などの1つ以上のカテナリー(鎖内)官能基を含有してもよい。特に指定しない限り、非ポリマー(ヘテロ)ヒドロカルビル基は、典型的に、1〜60個の炭素原子を含有する。このようなヘテロヒドロカルビルのいくつかの例には、本明細書で使用するとき、上記「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」について記載したものに加えて、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、4−ジフェニルアミノブチル、2−(2’−フェノキシエトキシ)エチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサへキシル−6−フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリロイル」は、メタクリロイル及びアクリロイルを含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、式Iの新規の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤、及び酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーと(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤とを含む予備接着剤組成物を提供し、これは架橋されると、感圧接着剤及び感圧接着物品をもたらす。
【0024】
酸官能性(メタ)アクリレート接着剤コポリマーの調製に有用な(メタ)アクリレートエステルモノマーは、非三級アルコールの単量体(メタ)アクリルエステルであり、このアルコールは1〜14個の炭素原子、好ましくは平均で4〜12個の炭素原子を含有する。
【0025】
(メタ)アクリレートエステルモノマーとして用いるのに好適なモノマーの例としては、非第三級アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、イソオクチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、2−プロピルヘプタノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロール、及びこれらに類するものと、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかとのエステルが挙げられる。いくつかの実施形態において、2つ以上の異なる(メタ)アクリレートエステルモノマーの組み合わせが好ましいが、好ましい(メタ)アクリレートエステルモノマーは、ブチルアルコール若しくはイソオクチルアルコール、又はこれらの組み合わせと(メタ)アクリル酸とのエステルである。いくつかの実施形態では、好ましい(メタ)アクリレートエステルモノマーは、2−オクタノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールなどの再生可能な資源に由来するアルコールを伴う(メタ)アクリル酸のエステルである。
【0026】
いくつかの実施形態においては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、高Tモノマーを含み、少なくとも25℃、好ましくは少なくとも50℃のTを有するのが望ましい。好ましい高Tgモノマーには、本発明に有用な好適なモノマーの例が含まれ、それにはt−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド、及びプロピルメタクリレート、又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
(メタ)アクリレートエステルモノマーは、ポリマーを調製するのに使用される100部の総モノマー含量を基準として85〜99.5重量部の量で存在する。好ましくは、(メタ)アクリレートエステルモノマーは、100部の総モノマー含量を基準として90〜95重量部の量で存在する。高Tgモノマーが含まれるとき、コポリマーは、30重量部までの、好ましくは20重量部までの、85〜99.5重量部の(メタ)アクリレートエステルモノマー成分を含み得る。そのような実施形態において、コポリマーは、100重量部の総モノマーを基準として
i.55〜69.5重量部の非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、
ii.1〜30重量部の25℃超のTを有する(メタ)アクリル酸エステルと、
iii.0.5〜15重量部の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
iv.0〜10重量部の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
v.0〜5部のビニルモノマーと、
vi.0〜5部の多官能性(メタ)アクリレートと、を含み得る。
【0028】
ポリマーは更に、酸官能性モノマーを含み、ここで酸官能基は、カルボン酸などの本質的な酸であるか、又はその部分がアルカリ金属カルボン酸塩などの塩であってもよい。有用な酸官能性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。このような化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。
【0029】
それらの入手可能性のため、酸官能性コポリマーの酸官能性モノマーは一般に、エチレン性不飽和カルボン酸類、すなわち(メタ)アクリル酸類から選択される。更により強酸を所望の場合、酸性モノマーとしては、エチレン性不飽和スルホン酸類及びエチレン性不飽和ホスホン酸類が挙げられる。酸官能性モノマーは一般に、100重量部の総モノマーを基準として0.5〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の量で使用される。
【0030】
コポリマーの調製に有用な極性モノマーは、油溶性及び水溶性の両方の性質をある程度有し、エマルション重合中の水相と油相との間に、極性モノマーの分配をもたらす。本明細書で使用するとき、用語「極性モノマー」は、酸官能性モノマーを含まない。
【0031】
好適な極性モノマーの代表的な例としては、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカプロラクタム;アクリルアミド;モノ−又はジ−N−アルキル置換アクリルアミド;t−ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N−オクチルアクリルアミド;2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート;ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル;及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい極性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドンからなる群から選択されるものが挙げられる。極性モノマーは、100重量部の総モノマーを基準として0〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で存在し得る。
【0032】
使用されるとき、(メタ)アクリレートポリマーに有用なビニルモノマーとしては、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、スチレン、置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン)、ビニルハロゲン化物、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、ビニルモノマーは、酸官能性モノマー、アクリレートエステルモノマー、極性モノマーを含まない。そのようなビニルモノマーは一般に、100重量部の総モノマーを基準として0〜5重量部、好ましくは1〜5重量部で使用される。
【0033】
コーティングされた接着剤組成物の貼着力を増大させるために、多官能性(メタ)アクリレートが重合性モノマーのブレンドに組み込まれてもよい。多官能性アクリレートは特に、エマルション又はシロップ重合に有用である。有用な多官能性(メタ)アクリレートの例には、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びテトラ(メタ)アクリレート、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、及びプロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多官能性(メタ)アクリレートの量及び同一性は、接着剤組成物の用途に応じて調整される。典型的には、多官能性(メタ)アクリレートは、接着剤組成物の総乾燥重量を基準として5部未満の量で存在する。より詳細には、架橋剤は、接着剤組成物の総モノマー100部を基準として、0.01〜5部、好ましくは0.05〜1部の量で存在し得る。
【0034】
接着剤組成物は、(メタ)アクリレートコポリマーに加えて(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を更に含む。(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は一般に、コポリマー100部に対して0.005〜5.0重量部の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤の量で加えられる。
【0035】
(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は、以下の一般式のものであり、
【化2】

式中、
及びXは、それぞれ独立して−O−又は−NH−であり、
は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
は、−H又はCHであり、
yは、0又は1であり、
各Rは、独立して−H又はC〜Cアルキル基である。
【0036】
いくつかの実施形態では、Rは、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖のアルキレンである。Rがアルキレンであるとき、これは、カルボニル、オキシ、又はカテナリー窒素、好ましくは完全に置換されたカテナリー窒素などのヘテロ官能基も含有することができ、この場合、置換基は、水素供与体の水素結合官能基を含まない。別の実施形態では、Rは、アリーレン(例えば、1,4−フェニレン)、又は低級アルキル若しくは低級アルコキシRで置換されたアリーレンであることができ、また、そのようなアリーレン、アルケニレン、及びアルキレン基の組み合わせ、例えば1,4−キシリレンであってもよい。
【0037】
一方法において、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は、スキーム1に示されるようにアジリジン化合物を(メタ)アクリロイルアクリロイル化合物にマイケル付加することにより調製されてもよい。
【化3】

及びXは、それぞれ独立して−O−又は−NH−であり、
は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
各Rは、独立して−H又はC〜Cアルキル基であり、
yは、0又は1である。
【0038】
マイケル付加に関して、アクリロイルと、その他のエチレン性不飽和重合性基(メタクリル、ビニル、又はアリル基など)との間に反応度の差があるが、これは一般的に、アクリロイル基とアジリジン化合物との間で簡単に起こり、通常は軽度の加熱及び塩基性触媒の存在により、マイケル付加が自発的に起こる。この反応が起こるのは、もし困難であるならメタクリル、アリル、又はビニル基の場合にのみ困難であり得る。
【0039】
この理由で、スキーム1の反応はアクリロイル基(例えば、アクリルオキシ又はアクリルアミド官能基の一部として)、及び(メタ)アクリロイル基(例えば、メタクリレート又はメタクリルアミド官能基の一部として)、ビニル基又はアリル基などの更なるエチレン性不飽和基を有するのが好ましい。より好ましくは、化合物は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する。マイケル付加において比較的反応しないそのような基は、続いて光開始剤によって接着剤コポリマーを架橋するのに有利に使用され得る。有利にも、組成物は、マイケル付加がアクリル基により起こってスキーム1のマイケル付加物を形成して調製されることができ、光重合性(メタ)アクリロイル基は未反応のままである。そのような未反応の(メタ)アクリロイル基は、続いて光重合されてもよい。
【0040】
スキーム1に見られるように、式Iの(メタ)アクリロイルアジリジンは、スキーム2の式IIの(メタ)アクリロイルアクリロイル化合物に由来し得る。
【化4】

【0041】
これは今度は前駆体ジオール、ジアミン、又はヒドロキシアミンから誘導され、スキーム2におけるようなアクリレート化及びメタクリレート化が続く。スキーム2では、前駆体化合物が、イソシアナトアルキル(メタ)アクリロイル化合物と反応してもよい。
【0042】
(続くメタクリレート化のための)有用なモノアクリレート及び(続くアクリレート化のための)モノメタクリレートとしては、脂肪族ジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1−エトキシ−2,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール;芳香族ジオールのモノメチルアクリル酸エステル(mono(meth)acrylic acid esters)、例えばレゾルシノール、ピロカテコール、ビスフェノール−A及びビス(2−ヒドロキシエチル)フタレート;芳香族トリオールのモノアクリル酸エステル、例えばピロガロール、フロログルシノール、及び2−フェニル−2,2−メチロールエタノールが挙げられる。モノアクリロイル化合物は、対応するジアミンにも由来し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、式Iの(メタ)アクリロイルアジリジンは、スキーム3に示されるように、アズラクトン化合物と、アミノアルキルアクリロイル化合物又はヒドロキシアルキルアクリロイル化合物のいずれかとの間の反応に由来し得る。
【化5】

式中、X、R、X、x、R、及びyは、式Iで先に定義されたとおりである。式Iに関して、そのような実施形態では、−X−R−は、−NH−C(CH−CO−X−R−である。
【0044】
(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーのモノマーと共重合してもよく、又は現存のコポリマーに加えられてもよい。アジリジン基は酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント酸官能基と反応してカルボキシエチレンアミノ結合を形成すると考えられている。
【0045】
(メタ)アクリロイルアジリジンが現存のポリマーに加えられる一実施形態では、中間体は、任意のモノマー単位及び未反応の(遊離)酸官能性モノマー単位が示されていない以下の構造のものであってよい。ペンダントメタクリレート基は、次いでフリーラジカル重合してコポリマーを架橋し得る。R基に関しては、これが開環次第で、表されているように−NH−基に隣接する炭素に結合され得るか、又は−O−に隣接する炭素に結合され得るかが理解されるであろう。
【0046】
式:
【化6】

式中、
アクリレートは(メタ)アクリレートモノマーに由来する重合モノマー単位を示し、
は、酸官能性モノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
a及びbが、少なくとも1であり、
、X、R、X、x、R、及びyは、式Iで先に定義されたとおりである。
【0047】
a及びbが、重合性組成物中のモノマーの量に対応する値のもの、例えば、85〜99.5重量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び0.5〜15重量部の酸官能性モノマーであり得ることが理解されるであろう。式IIに表現されていないが、その他のモノマーが先に列挙した量で存在してもよい。
【0048】
別の実施形態では、(メタ)アクリロイルアジリジンは、他のモノマーと共重合されて、式IIIに示されるようにペンダント(メタ)アクリロイルアジリジン基を有するコポリマーが生成される。
【化7】

式中、
アクリレートは(メタ)アクリレートモノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
は酸官能性モノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
azirは、請求項1に記載のアジリジン架橋剤に由来する重合モノマー単位を表し、
a、b及びcは、少なくとも1である。
【0049】
このペンダント基は、続いて酸基と反応して、スキーム3に示されるようにアジリジン環の開環及びコポリマーの架橋をもたらすことができる。
【化8】

式中、
アクリレートは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
は酸官能性モノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
azirは、式Iの(メタ)アクリロイルアジリジンに由来する重合モノマー単位を表し、
a、b及びcは、少なくとも1であり、
、X、R、X、x、R、及びyは、式Iで先に定義されたとおりである。a、b及びcは、重合性組成物中のモノマーの量に対応する値のもの、即ち、85〜99.5重量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、0.5〜15重量部の酸官能性モノマー、及び0.005〜5.0重量部の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤であり得ることが理解されるであろう。スキーム4には表現されていないが、他のモノマーが先に列挙された量で存在してもよい。
【0050】
酸官能性コポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製でき、これには溶解、放射、バルク、分散、乳化、及び懸濁プロセスが含まれる。(メタ)アクリレートポリマーは懸濁重合により調製してもよく、これは米国特許第3,691,140号(Silver)、同第4,166,152号(Baker et al.)、同第4,636,432号(Shibano et al)、同第4,656,218号(Kinoshita)、及び同第5,045,569号(Delgado)に開示されている。それぞれは、接着剤組成物を記載し、重合プロセスの記載は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
酸官能性コポリマーの調製に有用な水溶性及び油溶性反応開始剤は、熱に曝露するとモノマー混合物の(共)重合を開始するフリーラジカルを生成する反応開始剤である。水溶性反応開始剤は、エマルション重合により(メタ)アクリレートポリマーを調製するのに好ましい。使用する場合、反応開始剤は、100重量部を基準にして、約0.05重量部〜約1重量部、好ましくは約0.1重量部〜約0.5重量部のモノマー構成成分を酸官能性コポリマー中に含んでよい。
【0052】
好適な水溶性反応開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物、上記過硫酸塩とメタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムからなる群から選択されるものなどの還元剤との反応生成物などの酸化還元反応開始剤、並びに4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム、カリウム)からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい水溶性反応開始剤は、過硫酸カリウムである。好ましい油溶性反応開始剤としては、アゾ化合物、例えばE.I.du Pont de Nemours Co.から入手可能なVAZO(商標)64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))、VAZO(商標)67(2,2’アゾビス(2−メチルブチロニトリル))、及びVAZO(商標)52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル))、過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイル、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい油溶性熱反応開始剤は、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)である。
【0053】
共重合性エマルション混合物は、得られたポリマーの分子量を制御するために、任意に連鎖移動剤を更に含んでもよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、好ましい連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレート及び四臭化炭素である。エマルション混合物は、使用する場合、総モノマー混合物の100重量部を基準として、約0.5重量部までの、典型的には約0.01重量部〜約0.5重量部の、好ましくは約0.05重量部〜約0.2重量部の連鎖移動剤を更に含んでよい。
【0054】
乳化技術による酸官能性コポリマーの重合は、乳化剤(emulsifier)(乳化剤(emulsifying agent)又は界面活性剤と呼ばれることもある)の存在を必要とする場合がある。本発明に有用なエマルション剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0055】
好ましくは、乳化重合は、アニオン性界面活性剤の存在下で行われる。乳化剤濃度の有用な範囲は、エマルション感圧接着剤の全てのモノマーの総重量を基準として約0.5〜約8重量パーセント、好ましくは約1〜約5重量パーセントである。
【0056】
酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーは、バッチ式、連続式、又は半連続式乳化重合プロセスによって調製され得る。重合は、一般に、
(a)
(i)(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、
(ii)酸官能性モノマーと、
(iii)任意に極性モノマーと、
(iv)任意にビニルモノマーと、
(v)任意に多官能性(メタ)アクリレートと、
(vi)任意に連鎖移動剤と、を含むモノマープレミックスを作製する工程と、
(b)
(i)水と、
(ii)アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤と、
(iii)フリーラジカル反応開始剤、好ましくは水溶性反応開始剤と、を含む水相と上記プレミックスと、を組み合わせる工程と、
(c)上記エマルションを攪拌しながら、約30℃〜約80℃の温度まで加熱し、高分子ラテックスが形成されるまで水中油型エマルション中で上記モノマーを重合させる工程と、を含む。その他の混合物が使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、酸官能性モノマー、又はその他の親水性モノマーが、水溶液に添加されてもよい。更に、一度エマルション混合物が調製されると、モノマーは、それらのそれぞれの分配係数により油相及び水相の間に分配され得る。モノマープレミックスが(メタ)アクリロイルアジリジンも含んでよいことが理解されるであろう。あるいは、(メタ)アクリロイルアジリジンは現存のポリマーに加えられてもよい。
【0057】
中和剤をこのコポリマーの調製に用いてもよい。中和剤は、ポリマーの酸性基の全て又は一部を中和するのに十分な濃度で用いることができる。中和は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属水酸化物と少量の別の中和剤との組み合わせの使用によって実現される。その他の種々の中和剤を使用してもよいことが、当業者に理解されるであろう。その他の中和剤の選択、及び用いられる量は、所望の結果を達成するように変えてよい。ただし、選択される種類及び量は、接着剤を非分散性としないものでなければならない。好ましくは、アンモニウム、ナトリウム及びカリウム水酸化物が中和剤として使用される。
【0058】
酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーを調製する別の方法としては、モノマーを部分的に重合して、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマー及び非重合モノマーを含むシロップポリマーを生成する方法がある。シロップポリマー組成物は有用なコーティング粘度に重合させ、それを(テープ裏材などの)基材にコーティングして、更に重合させることができる。部分重合は1つ以上の溶媒モノマー内の酸官能性(メタ)アクリレート溶質コポリマーのコーティング可能な溶液を提供する。一般に、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は、部分的に重合された組成物に加えられ、その後、好適な基材にコーティングされ、更に重合される。代替的な一実施形態では、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤は、重合性モノマーの混合物に加えられ、前述されたように部分的に重合される。
【0059】
シロップ適用処理においては、好ましいモノマー混合物(第2の構成成分)は、100部の総モノマーを基準として、85〜99.5pbwの1つ以上の(メタ)アクリレートエステルモノマー、0.5〜15pbwの酸官能性モノマー、0〜10pbwの1つ以上の第2の非酸極性モノマー、及び0〜約5pbwのその他のビニルモノマーを含む。モノマー混合物が(メタ)アクリロイルアジリジンも含んでよいことが理解されるであろう。あるいは、(メタ)アクリロイルアジリジンは現存のポリマーに加えられてもよい。
【0060】
重合は、シロップポリマーの構成成分の官能基と反応しないエチルアセテート、トルエン、及びテトラヒドロフランなどの好適な溶媒の存在下で、又は好ましくは、それらが存在しない状態で行うことができる。
【0061】
重合は光開始剤の存在下でシロップポリマー組成物をエネルギーに曝露することで達成することができる。エネルギーによって活性化された光開始剤は、例えば、重合を開始するために電離放射線が使用される場合は、不要である場合がある。これらの光開始剤は、100pbwの溶媒モノマーにつき、約0.0001〜約3.0pbw、好ましくは約0.001〜約1.0pbw、より好ましくは約0.005〜約0.5pbwの範囲の濃度において使用することができる。
【0062】
シロップポリマーの好ましい調製方法は、光開始されたフリーラジカル重合である。光重合法の利点は、1)モノマー溶液を加熱する必要がないことと、2)活性光源がオフになると光開始が完全に停止することである。コーティング可能な粘性を達成するための重合は、モノマーからポリマーへの変換が最大約30%になるように行ってよい。重合は、所望の変換、及び粘性が達成されたときに、光源を除去し、溶液に空気泡(酸素)を送って増殖しているフリーラジカルを抑えることで停止させることができる。溶質ポリマーは、非モノマー溶媒の中で、従来の方法で調製し、その後高い変換率(重合度)で変換させてもよい。溶媒(モノマー又は非モノマー)を使用する際、溶媒はシロップポリマーの形成前、又は形成後のいずれかで(例えば、真空蒸留で)除去することができる。これは許容できる方法ではあるが、高度に変換された官能性ポリマーが関わるこの手順は、追加的な溶媒除去作業が必要で、別の材料(非モノマー溶剤)が必要とされ、及び高分子量の、モノマー混合物内の高度に変換された溶質ポリマーの溶解には相当な時間を必要とし得るため、好ましいとは言えない。
【0063】
有用な光開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル;Irgacure(商標)651光開始剤(Ciba Specialty Chemicals)として入手可能な2,2−ジメトキシアセトフェノン、Esacure(商標)KB−1光開始剤(Sartomer Co.,West Chester,PA)として入手可能な2,2ジメトキシ−2−フェニル−l−フェニルエタノン、及びジメトキシヒドロキシアセトフェノンなどの、置換アセトフェノン;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール;2−ナフタレン−スルホニル塩化物などの芳香族スルホニル塩化物;並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシ−カルボニル)オキシムなどの光活性オキシムが挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、置換アセトフェノンである。
【0064】
好ましい光開始剤は、ノリッシュI開裂を起こして、アクリル二重結合に付加して開始できるフリーラジカルを生成する光能動的な化合物である。光開始剤は、コポリマーが形成された後に、コーティングする混合物に追加することができ、すなわち、光開始剤はシロップポリマー混合物に追加することができる。このような重合可能な光開始剤は、例えば、米国特許第5,902,836号、及び同第5,506,279号(Babu et al.)に記載されている。
【0065】
シロップポリマー組成物、及び光開始剤は、活性化紫外線で照射して、モノマー構成成分を重合させることができる。紫外線光源は、1)280〜400ナノメートルの波長範囲にわたって一般に10mW/cm以下(United States National Institute of Standards and Technologyに承認されている手順に沿って、例えば、Sterling,VAのElectronic Instrumentation & Technology,Inc.製のUVIMAP(商標)UM 365 L−Sラジオメーターを用いて測定される)の強度を提供するブラックライトなどの比較的低い強度の光源、及び2)10mW/cmを超え、好ましくは15〜450mW/cmの強度を提供する中圧水銀ランプなどの比較的高い強度の光源の、2つのタイプが挙げられる。シロップポリマー組成物を完全に又は部分的に重合させるために化学線を用いる場合、高い強度と短い曝露時間が好ましい。例えば、600mW/cmの強度と約1秒の曝露時間はうまく用いることができる。強度は、約0.1〜約150mW/cm、好ましくは約0.5〜約100mW/cm、及びより好ましくは約0.5〜約50mW/cmの範囲であることができる。これらの光開始剤は、好ましくはシロップポリマー組成物100pbwあたり0.1〜1.0pbwの量で存在する。
【0066】
したがって、光開始剤の消光係数が低い場合は、比較的厚いコーティング(例えば少なくとも約1mil又は25.4マイクロメートル)を達成することができる。
【0067】
変換の程度は、照射中に前述のように重合媒質の屈折率を測定することによって監視することができる。有用なコーティング粘度は、最大30%まで、好ましくは2〜20%、より好ましくは5〜15%、及び最も好ましくは7〜12%の範囲の変換(即ち、入手可能な重合されたモノマーの割合)によって達成される。溶質ポリマーの分子量(重量平均)は少なくとも100,000であり、好ましくは、少なくとも500,000である。
【0068】
酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーを調製する場合、例えば、約70℃未満(好ましくは50℃以下)の温度で、反応時間は24時間未満、好ましくは12時間未満、及びより好ましくは6時間未満でモノマー構成成分を枯渇させるなど、光開始重合反応を実質的に完了させることが得策である。これらの温度幅、及び反応速度は、好ましくない、未熟な重合とゲル化を安定化させるためにアクリル系にしばしば追加されるフリーラジカル重合阻害物質の必要性を除去する。更に、阻害物質の付加は、その系に残留する外来材料を加えることになり、シロップポリマーの望まれる重合及び架橋感圧接着剤の形成を阻害する。フリーラジカル重合阻害物質は、処理温度が70℃以上、また反応時間が約6〜10時間以上の場合にしばしば必要となる。
【0069】
いくつかの実施形態では、酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーは、溶液法により調製することができる。典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意の連鎖移動剤を反応槽に加え、フリーラジカル反応開始剤を添加し、窒素でパージし、反応槽をバッチサイズ及び温度に応じて反応が完了するまで、典型的には約1時間〜約20時間、高温で、典型的には約40℃〜100℃の範囲に維持することによって実施される。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。それらの溶媒は、単独で又はそれらの混合物として使用することができる。モノマー混合物は、(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含有してもよいし、又は架橋剤は現存のポリマーに加えられてもよい。
【0070】
調製後、接着剤組成物をただちにコーティングすることが好ましい。シロップ又は溶液状のいずれかの(コポリマー、モノマー、及び(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含有する)接着剤ポリマー組成物は、従来のコーティング技法を使って、柔軟性のある裏材などの好適な基材上に簡単にコーティングされ、その後、更に重合され、硬化又は乾燥さされて、接着剤コーティングされたシート材料が製造される。乳化重合技法が使用される場合は、接着剤コーティングされたシート材料を製造するために、現存のコポリマー及び(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含むエマルションがコーティングされ、乾燥される。可撓性裏材は、テープ裏材、光学フィルム又は任意の他の可撓性材料として従来利用されたあらゆる材料であってもよい。
【0071】
感圧接着剤はまた、1つ以上の従来の添加剤を含有してよい。好ましい添加剤としては、粘着付与剤、可塑剤、染料、酸化防止剤、及びUV安定剤が挙げられる。そのような添加剤は、それらがエマルション感圧接着剤の優れた特性に影響を及ぼさなければ、使用することができる。
【0072】
粘着付与剤が使用される場合、総接着剤ポリマーの乾燥重量を基準として約50重量%まで、好ましくは30重量%未満、より好ましくは5重量%未満が好適となる。実施形態によっては、粘着付与剤は使用されない。(メタ)アクリレートポリマー分散液と共に使用して好適な粘着付与剤としては、ロジン酸、ロジンエステル、テルペンフェノール樹脂、炭化水素樹脂、及びクマロンインデン樹脂が挙げられる。粘着付与剤の種類及び量は、接触性、固着範囲、固着強度、耐熱性及び固有接着などの特性に影響を及ぼすことができる。
【0073】
接着物品は、可撓性裏材などの好適な支持体の接着剤又は予備接着剤組成物をコーティングすることにより調製することができる。可撓性裏材に含まれることができる材料の例としては、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレンを含む)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリラクチド、セルロースアセテート、及びエチルセルロース並びにこれらに類するものが挙げられる。本発明で有用な市販の裏材としては、クラフト紙(Monadnock Paper,Inc.より入手可能);セロファン(Flexel Corp.より入手可能);Tyvek(商標)及びTypar(商標)(DuPont,Inc.より入手可能)などのスパンボンドポリ(エチレン)及びスパンボンドポリ(プロピレン);並びにTeslin(商標)(PPG Industries,Inc.より入手可能)及びCellguard(商標)(Hoechst−Celanese)より入手可能)などの、ポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)から得られる多孔質フィルムが挙げられる。
【0074】
支持体はまた、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、セラミック材料などの合成若しくは天然材料の糸から形成される織布、又は天然繊維、合成繊維若しくはこれらのブレンドのエアレイドウェブなどの不織布などの布地から調製されてもよい。支持体はまた、金属、金属化ポリマーフィルム、又はセラミックシート材料から形成されてもよく、ラベル、テープ、記号、カバー、マーキングのしるしなどの感圧接着剤組成物が利用されていることが従来から知られている任意の物品の形態を取ってもよい。
【0075】
上記組成物は、特定の基材に適するように調節された従来のコーティング技術を使用して基材にコーティングされる。例えば、これらの組成物は、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングなどの方法によって様々な固体基材に塗布することができる。これらの様々なコーティング法は、基材上に厚さを変えて組成物を定置することを可能にするものであり、これにより組成物はより広い範囲で使用できるようになる。コーティング厚さは、前述のように、様々であってもよい。溶液は、その後のコーティングのために、任意の所望の濃度、及び変換度であってよいが、典型的には溶媒内で20〜70重量%ポリマー固体、及びより典型的には30〜50重量%固体である。エマルションはまた、その後のコーティングのために、任意の所望の濃度であってよいが、典型的には30〜70重量%ポリマー固体で、一般に2%未満の未反応モノマーを含有する。シロップポリマーは、その後のコーティングのために、任意の所望の濃度であってよいが、典型的にはモノマー内で5〜20重量%ポリマー固体である。コーティング組成物を更に希釈、又は部分乾燥することにより、所望の濃度を得ることができる。
【0076】
可撓性の支持体はまた、剥離コーティング基材を含んでもよい。このような基材は、典型的には、接着転写テープが提供される場合に利用される。剥離コーティング基材の例は、当該技術分野において周知であり、例としてはシリコンコーティングクラフト紙などが挙げられる。本発明のテープにはまた、当該技術分野において既知の低付着性バックサイズ(LAB)などを取り入れてもよい。
【実施例】
【0077】
本発明の目的及び利点を以下の実施例で更に例示する。これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限しないように使用されるべきである。
【0078】
試験方法
剥離接着力試験[ASTM D 3330/D 3330M−04]
Mitsubishi Hostphan(商標)下塗りポリエステルフィルム上にコーティングされた0.5インチ(1.3cm)の2片の接着剤ストリップを、2kgのローラーをテープ上で転がすことによりガラス板に接着させた。テープを180度の角度で剥離するのに必要な力は、90インチ(228.6cm)/分及び12インチ(30.5cm)/分の圧盤速度にてオンス/0.5インチ(1.3cm)で測定された。2つのテープ試料の測定値を平均した。
【0079】
剪断強度試験[ASTM D−3654/D 3654M 06,PSTC−7]
高温剪断力:Mitsubishi Hostaphan(商標)下塗りポリエステルフィルム上にコーティングされた0.5インチ(1.3cm)の接着剤ストリップを、その接着剤でステンレス鋼(SS)基材上に接着させ、温度70℃での剪断試験用に1インチ(2.54cm)×0.5インチ(1.3cm)の試料が残るように切り取った。2kgの重量を接着部分の上で転がした。500gの荷重を試験用のテープ試料に貼り付けた。それぞれの試料を、破壊するまで及び/又は試験が終了するまで吊るした。破壊までの時間並びに破壊モードを記録した。試料は3重に試験され、平均が以下の表に記入された。
【0080】
室温剪断力:Mitsubishi Hostphan(商標)下塗りポリエステルフィルム上にコーティングされた0.5インチ(1.3cm)の接着剤ストリップを、その接着剤でステンレス鋼(SS)基材上に接着させ、室温での剪断試験用に0.5インチ(1.3cm)×0.5インチ(1.3cm)の試料が残るように切り取った。2kgの重量を接着部分の上で転がした。1000gの荷重を試験用のテープ試料に貼り付けた。それぞれの試料を、破壊するまで及び/又は試験が終了するまで吊るした。破壊までの時間並びに破壊モードを記録した。試料は3重に試験され、平均が以下の表に記入された。
【0081】
【表1】

【0082】
(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤の調製
【表2】

【0083】
化合物Iの調製:2−メチルアクリル酸2−ヒドロキシ−3−[3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロピオニルオキシ]プロピルエステル
【化9】

250mLの丸底フラスコに、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(32.1g、0.15mol、Aldrichから入手可能)、及び2−メチルアジリジン(10.8g、約0.17mol、純度90%、Aldrichから入手可能)を加えて、わずかな発熱を起こさせた。反応混合物は室温で一晩放置された。減圧下で過剰な2−メチルアジリジンを除去して、無色液体として所望の生成物(40.4g)が残った。NMR及びIRスペクトル解析によって、生成物の構造を確認した。
【0084】
化合物IIの調製:4−{[3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロパノイル]オキシ}ブチルN−アクリロイル−2−メチルアラニネート
【化10】

工程1:4−(アクリロイルオキシ)ブチルN−アクリロイル−2−メチルアラニネートの調製
【化11】

工程1
ビニルジメチルアズラクトン(13.9g、0.10mol、3Mから入手可能)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(14.4g、0.10mol、TCI Americaから入手可能)、及び3滴の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(Aldrichから入手可能)を4オンスのジャーの中で混合した。ジャーを密閉し、70℃のオーブンに4日間入れた。室温に冷却した後、所望の生成物が形成されたことがIR及びNMR分析により確認された。
【0085】
工程2:4−{[3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロパノイル]オキシ}ブチルN−アクリロイル−2−メチルアラニネートの調製
【化12】

工程1の生成物(4−(アクリロイルオキシ)ブチルN−アクリロイル−2−メチルアラニネート、10.0g、35mmol)を2−メチルアジリジン(2.7g、約42mmol、純度90%、Aldrichから入手可能)と混合して、わずかな発熱を起こさせた。反応混合物は室温で一晩放置された。減圧下で過剰な2−メチルアジリジンを除去して、無色液体として所望の生成物(11.8g)が残った。NMR及びIRスペクトル解析によって、生成物の構造を確認した。
【0086】
化合物IIIの調製:2−{[(2−{[3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロパノイル]オキシ}エトキシ)カルボニル]アミノ}エチル2−メチルアクリレート
【化13】

工程1:2−({[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]カルボニル}アミノ)エチル2−メチルアクリレート
【化14】

4オンスのガラスジャー内で、2−イソシアナトエチルメタクリレート(15.5g、0.10mol、Aldrichより入手可能)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.6g、0.10mol、Aldrichより入手可能)、及び1滴のジ−n−ブチルチンジラウレート(Alfa Aesarより入手可能)を混合して、わずかな発熱を起こさせた。ジャーを氷浴内で短時間冷却し、次いで室温で一晩放置した。NMR及びIRスペクトル解析によって、生成物の構造を確認した。
【0087】
工程2:2−{[(2−{[3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロパノイル]オキシ}エトキシ)カルボニル]アミノ}エチル2−メチルアクリレートの調製
【化15】

工程1の生成物(2−({[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]カルボニル}アミノ)エチル2−メチルアクリレート、10.0g、37mmol)を2−メチルアジリジン(2.8g、約44mmol、純度90%、Aldrichより入手可能)と混合して、わずかな発熱を起こさせた。反応混合物は室温で一晩放置された。減圧下で過剰な2−メチルアジリジンを除去して、無色液体として所望の生成物(12.0g)が残った。NMR及びIRスペクトル解析によって、生成物の構造を確認した。
【0088】
実施例2A〜H並びに比較例C1及びC2
シロップコポリマーの調製
1クオートのジャーを450gのイソオクチルアクリレート(IOA、90部)、50gのアクリル酸(AA、10部)、及び0.20gの2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン光開始剤(Irgacure(商標)651、Ciba Specialty Chemicals Inc、0.04phr)で充填した。モノマー混合物は窒素で20分間パージされ、その後、コーティング可能シロップコポリマーが調製されるまで低強度の紫外線照射に暴露され、その後、0.8g(0.16phr)の光開始剤が更に添加された。
【0089】
予備接着剤ポリマーシロップは、表1に示すように様々な濃度の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤とブレンド混合された。シロップ予備接着剤製剤に関して、製剤は次いでMitsubishi Hostaphan(商標)下塗りポリエステルフィルム上に2mil(〜50マイクロメートル)の厚さでコーティングされ、500mJ/cmで硬化された。剥離データ及び剪断データを表2に示す。
【0090】
比較目的のために、架橋剤を使用しない対照例(比較例C1)、又は架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを使用した対照例(比較例C2では0.08phrを使用)を更に調製し、試験した。上記試験方法に記載したように、これらの接着剤から調製されたテープの剥離接着力及び剪断強度を測定した。
【0091】
【表3】

【0092】
実施例3A〜L及び比較例C3及びC4
シロップコポリマーの調製
1クオートのジャーを400gのイソオクチルアクリレート(IOA、80部)、95gのイソボルニルアクリレート(IBOA、19部)、5gのアクリル酸(AA、1部)、及び0.20gの2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン光開始剤(Irgacure(商標)651、Ciba Specialty Chemicals Inc、0.04phr)で充填した。モノマー混合物は窒素で20分間パージされ、その後、コーティング可能シロップコポリマーが調製されるまで低強度の紫外線照射に暴露され、その後、0.80g(0.16phr)の光開始剤が更に添加された。
【0093】
予備接着剤ポリマーシロップは、表1に示すように様々な濃度の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤とブレンドされた。シロップ予備接着剤製剤に関して、製剤は次いでMitsubishi Hostaphan(商標)下塗りポリエステルフィルム上に2mil(〜50マイクロメートル)の厚さでコーティングされ、560mJ/cmで硬化された。剥離データ及び剪断データを表3に示す。
【0094】
比較目的のために、架橋剤を使用しない対照例(比較例C3)、又は架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを使用した対照例(比較例C4では0.08phrを使用)を更に調製し、試験した。上記試験方法に記載したように、これらの接着剤から調製されたテープの剥離接着力及び剪断強度を測定した。
【0095】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の架橋剤であって、
【化1】

式中、
及びXは、それぞれ独立して−O−又は−NH−であり、
は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
は、−H又はCHであり、
yは、0又は1であり、
各Rは、独立して−H又はC〜Cアルキル基である、架橋剤。
【請求項2】
が、−CH−CH(OH)CH−である、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項3】
が、アルキレン基である、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項4】
が、ポリ(アルキレンオキシ)基である、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項5】
酸官能性(メタ)アクリレートコポリマー及び請求項1に記載の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む、架橋性組成物。
【請求項6】
前記酸官能性(メタ)アクリレートコポリマーが、100重量部の総モノマーを基準として
i.85〜99.5重量部の非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、
ii.0.5〜15重量部の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
iii.0〜10重量部の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
iv.0〜5部のビニルモノマーと、
v.0〜5部の多官能性(メタ)アクリレートと、を含む、請求項5に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
100部のコポリマーに対して0.005〜5.0重量部の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤を含む、請求項5に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
前記コポリマーが、0.5〜5重量部のアクリル酸と1〜5重量部の非酸官能性エチレン性不飽和モノマーとを含む、請求項6に記載の架橋性組成物。
【請求項9】
ビニルエステル、スチレン、置換スチレン、ビニルハロゲン化物、プロピオン酸ビニル、及びこれらの混合物から選択される、1〜5部のビニルモノマーを含む、請求項6に記載の架橋性組成物。
【請求項10】
前記非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの前記非第三級アルコールが、2−オクタノール又はジヒドロシトロネロールから選択される、請求項6に記載の架橋性組成物。
【請求項11】
a)
i.85〜99.5重量部の非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、
ii.0.5〜15重量部の酸官能性モノマーと、
iii.0〜10重量部の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
iv.0〜5部のビニルモノマーと、を含む、第1の構成成分である溶質コポリマーと、
b)少なくとも1つのフリーラジカル重合性溶媒モノマーを含む第2の構成成分と、
c)0.005〜5.0重量部の、請求項1に記載の(メタ)アクリロイルアジリジン架橋剤と、を含む、シロップポリマー組成物を含む、請求項5に記載の架橋性組成物。
【請求項12】
以下の式のポリマーであって、
【化2】

式中、
アクリレートは(メタ)アクリレートモノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
は酸官能性モノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
azirは、請求項1に記載のアジリジン架橋剤に由来する重合モノマー単位を表し、
a、b及びcは、少なくとも1である、ポリマー。
【請求項13】
請求項12に記載のポリマーのフリーラジカル架橋に由来する、架橋ポリマー。
【請求項14】
以下の式のポリマーであって、
【化3】

式中、
アクリレートは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
は、酸官能性モノマーに由来する重合モノマー単位を表し、
a及びbは、少なくとも1である、ポリマー。
【請求項15】
請求項14に記載のポリマーのフリーラジカル架橋に由来する、架橋ポリマー。
【請求項16】
エマルションを含む架橋性組成物であって、前記エマルションが、
(a)前記エマルションの総重量を基準として30〜約70重量パーセントの、請求項10に記載の架橋性組成物と、
(b)前記エマルションの総重量を基準として30〜70重量パーセントの、界面活性剤を含む水相と、を含む、架橋性組成物。

【公表番号】特表2013−515819(P2013−515819A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546026(P2012−546026)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060219
【国際公開番号】WO2011/087664
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】