(2S)−1−[[(7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−4,7−ジヒドロ−5−メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン−6−イル]カルボニル]−2−(4−フルオロフェニル)ピロリジンの新規な結晶形の製造方法、該製造方法において製造される新規な安定な結晶形、および製剤
本発明は、IKur化合物(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンの新規な結晶形を製造するための、すなわち、そのH2−1二水和物結晶形、H2−2二水和物結晶形、N−3無水和物結晶形、およびMTBE溶媒和物結晶形を選択的におよび終止変わらずに製造するための、方法を提供する。本発明はまた、特に安定でありそして適当な流動性質および所望する粒子サイズを有するN−3無水和物形を製造する際に使用する、H2−1およびH2−2の結晶形の製造をも提供する。本発明はまた、上記のIKur化合物の新規なH2−1二水和物結晶形、H2−2二水和物結晶形、およびN−3無水和物結晶形、それらの新規な結晶形を含有する医薬組成物、並びに該新規な結晶形を用いて不整脈(例えば、心房細動を含む)およびIKur関連疾患を予防しまたは治療する方法をも提供する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/630,593号(2004年11月24日出願)(これは、本明細書の一部を構成する)の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、IKur化合物(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンの新規な安定な結晶形(例えば、H2−1二水和物、H2−2二水和物、MTBE溶媒和物、およびN−3無水和物の結晶形を含む)の製造方法、該新規なH2−1およびH2−2二水和物の結晶形、対応するMTBE溶媒和物およびN−3無水和物の結晶形、該新規な結晶形を含有する医薬組成物、並びに該新規な結晶形を用いて心不整脈(例えば、心房細動)および関連疾患を患っている哺乳動物を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アトウォル(Atwal)らによる米国特許第6.706,720号は、不整脈(例えば、心房細動)および他のIKur関連障害の予防/停止のための、心房特異的な著しく早い遅延型整流カリウム電流(IKur)と関連する、カリウムチャネル機能のインヒビター(特に、電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーのインヒビター、より特にKv1.5のインヒビター)として有用である、ヘテロ環ジヒドロピリジミン化合物を開示する。該720アトウォルの特許中に開示されている1つの化合物は、構造式:
【化1】
を有する、(2S)-1-[[(7R)-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5-]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンであり、そしてこのものは、著しく早く活性化される持続性カリウム電流(IKur、これはKv1.5としても知られる)の選択的な遮断薬である(そして、これは以下、「IKur化合物」または「遊離塩基」とも呼ばれる)。該IKur化合物の水に対する溶解度は低い(結晶形に依存して、2〜4μg/mL)。
【発明の開示】
【0004】
(発明の概要)
本発明によれば、構造式I:
【化2】
の遊離塩基であるIKur化合物の新規な結晶性二水和物、無水和物、および溶媒和物の結晶形(これは、H2−1二水和物、H2−2二水和物、N−3無水和物、およびメチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物の結晶形を含む)を選択的に製造するための方法を提供する。
【0005】
その非晶質形および結晶形の構造Iの遊離塩基は、光および熱に対して感受性であることが見出されている。
【0006】
遊離塩基のN−3無水和物形(これは、好ましい結晶形である)は、物理学的に安定であるニートの結晶形であり、これは、良好な結晶化度、許容し得る熱性質、低吸湿性、十分な固体状態の安定性(物理学的および化学的)、および十分な経口バイオアベイラビリティを有し、そしてこのものは制御された所望する粒子サイズ(50μm以下のD90)を有するように製造することができる。
【0007】
遊離塩基IのH2−1二水和物(三斜晶系)および遊離塩基IのH2−2二水和物(単斜晶系)は、水性/有機溶媒系から容易に結晶化する。しかしながら、該H2−1およびH2−2の結晶形の両方が、約40〜50℃で脱水および非晶質固体への転移を受ける。水性エタノールスラリー中のH2−1およびH2−2結晶形の混合物はH2−2二水和物に完全に変換され、従って、H2−2二水和物はH2−1二水和物よりも熱力学的により安定である。H2−1結晶形のH2−2結晶形への変換が5℃、25℃、50℃、および80℃で観察される限り、該多形は、全ての温度でより安定な結晶形であるH2−2結晶形とモノトロピック的に(monotropically)関連する。
【0008】
安定なニートのN−3無水和物形(mp〜210℃)は、無水エタノール中でH2−2結晶形から結晶化する。
【0009】
遊離塩基のMTBE溶媒和物(以下、MTBE溶媒和物と呼ぶ)は、非晶質遊離塩基の化合物IをMTBE中にスラリー化することによって得ることができる。該MTBE溶媒和物は、かなりの熱安定性を有し、そして100℃以上まで脱溶媒和しない。
【0010】
本発明によれば、IKur化合物のH2−1二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)該IKur化合物(例えば、非晶質固体、H2−1二水和物、もしくはH2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形)を供給し(1実施態様において、これは場合により、t−ブチルアルコールおよび濃塩酸と、約2.5℃以下の低温で混合し得る);
b)工程a)由来の該IKur化合物をアルカノール(エチルアルコールが好ましく、無水エチルアルコールがより好ましい)と、約−10℃〜約10℃(約0℃〜約5℃が好ましい)の範囲内の低温で混合し;そして、
c)工程b)由来の反応混合物を、該反応混合物を約10〜約−25℃(約5〜約−15℃が好ましく、約0℃〜約−2.5℃がより好ましい)の範囲内の低温に保ちながら、強塩基(例えば、アルカリ性金属の水酸化物(水酸化ナトリウムが好ましい))を用いて処理し、そして場合によりリン酸三ナトリウムNa3PO4を加えて、該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内(約8〜約9が好ましい)に調節して、H2−1二水和物の析出を生じる。
【0011】
本発明によれば、該IKur化合物IのH2−2二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物のH2−1二水和物(上記工程c)に記載)の反応スラリーまたは1−ブタノール、エタノールおよびリン酸ナトリウム緩衝液の混合物もしくはエタノール中のH2−1二水和物のスラリーに、H2−2二水和物の結晶をシードし;
b)工程a)由来の反応混合物のpHを、例えば該反応混合物を飽和リン酸三ナトリウムと混合することによって、約5.5〜約8.5の範囲内(約6〜約7.5が好ましい)に調節し;そして、
c)工程b)由来の反応混合物を、約30〜約80℃の範囲内(約35〜約45℃が好ましい)の温度で加熱して、H2−2結晶性二水和物を得る。
【0012】
本発明によれば、IKur化合物Iの無水和物N−3結晶形を製造する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物の二水和物H2−2結晶形を供給し;
b)該二水和物H2−2結晶形をアルカノール(エチルアルコールが好ましく、無水エチルアルコールがより好ましい)を用いて処理し;
c)場合により、工程b)由来の反応混合物に、IKur化合物のN−3無水和物の結晶をシードしてスラリーを得て;
d)工程c)由来のスラリーを、約35℃〜約50℃の範囲内(約40℃〜約45℃が好ましい)の高温で加熱して、N−3無水和物の結晶を生じて;そして、
e)得られた反応生成物を乾燥して、N−3無水和物の結晶を回収する。
【0013】
本発明の別の実施態様において、IKur化合物の結晶性メチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)MTBE中の、非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形の該IKur化合物のスラリーを得て;そして、
b)工程a)由来のスラリーをMTBE溶媒和物の結晶種と一緒に混合して、MTBE溶媒和物を得る。
【0014】
加えて、本発明によれば、IKur化合物からの再結晶によってIKur化合物のH2−2二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物(これは、非晶質、H2−1二水和物、および/またはH2−2二水和物であり得る)をエチルアルコール中に溶解し;
b)該IKur化合物の溶液を、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形の結晶種の水性スラリーに加えて、スラリーを得て;
c)工程b)由来のスラリーを、約35℃〜約65℃の範囲内(約45℃〜約55℃が好ましい)の温度で加熱し;
d)場合により、エチルアルコールを工程c)由来の反応混合物に加え;
e)場合により、工程c)または工程d)由来の反応混合物にH2−2二水和物結晶形の更なる結晶種を加えて、H2−2二水和物を得て;そして、
f)場合により、工程e)由来の反応混合物を約−5℃〜約10℃の範囲内(約0℃〜約5℃が好ましい)の温度で冷却し、そしてH2−2二水和物を回収する。
【0015】
本発明によれば、IKur化合物のH2−1二水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図1および7において示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例1において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図2および2Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0016】
本発明によれば、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図3および7において示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例1、4および5において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図4および4Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0017】
本発明によれば、IKur化合物のN−3無水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図5、7および7Aにおいて示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例2において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図6および6Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0018】
本発明によれば、IKur化合物のMTBE溶媒和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図8および8Aにおいてそれぞれ示す観察された粉末および温度可変(variable temperature)(VT)粉末のX線回折(PXRD)パターン;並びに、図9および9Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0019】
加えて、本発明によれば、非晶質形または結晶形のIKur化合物(例えば、結晶性N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはMTBE溶媒和物(N−3無水和物が好ましい)を含む)および医薬的に許容し得るビヒクルを含む新規な医薬組成物を提供する。好ましい実施態様において、N−3無水和物組成物は、経口的な溶液または懸濁液の形態である。該組成物が経口溶液の形態である場合には、可溶化剤(例えば、d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS))、稠度増大剤および可溶化剤(例えば、エタノール)、界面活性剤、可溶化剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(トゥイーン80)、および基剤ビヒクルおよび可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコール400(PEG400、MW400、粘度(210°F)7.3センチストークス)を含む。
【0020】
該組成物が経口懸濁液の形態である場合には、N−3無水和物、界面活性剤(例えば、トゥイーン80)、および精製水を含むことが好ましい。しかしながら、該経口懸濁液は、IKur化合物の他の固体形態(例えば、非晶質形、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物を含む)を含み得る。
【0021】
(詳細な記載)
用語:N−3無水和物、ニートN−3形(form)、およびN−3ニート形は相互交換可能に使用され、そしてこれらは、結晶構造中に水またはいずれの他の溶媒を含まないN−3形を意味する。
【0022】
結晶性N−3無水和物を得る製造方法を実施する際に、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形、アルコール(エチルアルコールが好ましい)、およびIKur化合物のN−3無水和物形の結晶の種から形成された反応混合物を、約35℃〜約50℃の範囲内(約40〜約45℃が好ましい)の温度で、約0.5〜約20時間(約2〜約15時間が好ましく、約5〜約12時間がより好ましい)加熱し、次いで、周囲温度で不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)下、約0.5時間〜約3日間(約18時間〜約56時間が好ましい)保つ。
【0023】
該エチルアルコールを、H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約14:1〜約42:1の範囲内で(約23:1〜約35:1が好ましい)使用し、そして、該N−3無水和物結晶形の結晶種を、H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)で使用する。
【0024】
無水和物N−3結晶形を得るのに使用することができるエチルアルコール以外のアルコールは例えば、メタノール、2−プロパノール、および1−ブタノールを含むが、これらに限定されない。
【0025】
二水和物結晶形のH2−1およびH2−2を製造するための方法を実施する際に、使用するt−ブチルアルコールは、出発IKur化合物に対するモル比率が約12:1〜約24:1(約14:1〜約22:1が好ましい)で使用し、そして濃塩酸(約10〜約12N HCl)は、出発IKur化合物に対するモル比率が約4:1〜約10:1の範囲内(約5.5:1〜約7.5:1が好ましい)で使用する。
【0026】
上記の工程a)由来の反応混合物、またはIKur化合物(例えば、非晶質形)は、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約60:1の範囲内(約35:1〜約55:1が好ましい)で使用する、エチルアルコールを用いて処理することが好ましい。
【0027】
工程b)または工程c)由来の反応混合物は、強塩基(例えば、水酸化アルカリ(例えば、KOH、NaOH、またはLiOH(NaOHが好ましい))、および場合によりリン酸三ナトリウムを用いて処理して、該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内(約8〜約9が好ましい)に調節する。
【0028】
H2−2二水和物を生成する際に、析出するH2−1二水和物(H2−1二水和物の製造物由来)を含有する反応スラリー、または1−ブタノール、エタノールおよびリン酸ナトリウム緩衝液の混合物もしくはエタノール中にスラリー化したH2−1二水和物に、H2−2二水和物結晶:H2−1二水和物のモル比が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)を用いる、H2−2二水和物の結晶をシードする。H2−2二水和物をシードした反応スラリーのpHを、強酸(例えば、塩酸)を用いて約5.5〜約8.5の範囲内(約6〜約7.5が好ましく、約7.5がより好ましい)に調節し、そして該反応混合物を約30℃〜約80℃の範囲内(約35℃〜約45℃が好ましく、約40℃がより好ましい)の温度で加熱する。
【0029】
MTBE溶媒和物を製造するために本発明の製造方法を実施する際には、該MTBEは、H2−1二水和物に対するモル比が約30:1〜約60:1の範囲内(約40:1〜約50:1が好ましい)で使用する。
【0030】
該MTBE溶媒和物の結晶種を、出発H2−1二水和物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)で使用する。
【0031】
a)非晶質固体、b)H2−1二水和物、もしくはc)H2−2二水和物、および/またはa)とb)、b)とc)、a)とc)、もしくはa)とb)とc)の混合物の結晶形のIKur化合物からの再結晶による、H2−2二水和物を製造するための本発明の方法を実施する際に(n−ブチルアルコールおよびHClの存在を必要としない)、該IKur化合物を、該IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約50:1の範囲内(約35:1〜約45:1が好ましい)で使用する、エチルアルコール中に溶解する。
【0032】
H2−2二水和物の結晶種の水性スラリーを、エチルアルコール中のIKur化合物の溶液に加え(逆はない)、そしてH2−2二水和物の結晶種を、IKur化合物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.010:1の範囲内(約0.002:1〜約0.005:1が好ましい)で使用する。更なるエチルアルコールを場合により、予め加えたH2−2二水和物の結晶種を含有する加熱したスラリーに、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約10:1〜約30:1の範囲内(約15:1〜約25:1が好ましい)で加える。任意の更なる結晶種を、予め加えたH2−2二水和物結晶種に対するモル比率が約0.001:1〜約0.015:1(約0.004:1〜約0.008:1が好ましい)で加える。
【0033】
本発明のH2−1二水和物、H2−2二水和物、N−3無水和物、およびMTBE溶媒和物(これらは、本発明の化合物と呼ぶ)は、電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーを阻害し、そしてそのものは、以下の様々な障害の治療および/または予防に有用である。心不整脈(例えば、上室性不整脈、心房性不整脈、心房粗動、心房細動、心虚血の合併症、および心拍制御薬としての使用を含む);狭心症(例えば、プリンツメタル型症状、血管攣縮性症状、および異型症状の軽減を含む);胃腸管系障害(例えば、逆流性食道炎、機能性消化不良、運動性障害(例えば、便秘症および下痢症を含む)、および過敏性腸症候群を含む);血管性および内臓性の平滑筋の障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、末梢性血管性疾患(例えば、間欠性跛行症を含む)、静脈不全症、インポテンス、大脳および冠血管攣縮、レイノー病を含む);炎症性および免疫学的な疾患(例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、移植片拒絶反応、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、およびアテローム硬化症を含む);細胞増殖性障害(例えば、再狭窄および癌(例えば、白血病を含む)を含む);聴覚系の障害;視覚系の障害(例えば、黄斑変性症および白内障を含む);糖尿病(例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、および糖尿病性神経障害を含む);筋肉疾患(例えば、筋緊張症および萎縮病を含む);末梢性神経障害;認知障害;片頭痛;記憶喪失(例えば、アルツハイマーおよび認知症を含む);CNS媒介性運動機能不全(例えば、パーキンソン病および失調症を含む);癲癇;および、他のイオンチャネル媒介性障害。
【0034】
電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーのインヒビターとして、本発明の上記の化合物は、以下の様々な障害を処置するのに有用である。例えば、臓器または組織の移植による抵抗性、黄色髄骨意匠によって生じる移植片対宿主疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病ブドウ膜炎、若年発症型もしくは発症早期型(recent-onset)糖尿病、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、病原性微生物が原因の感染性疾患、炎症性および過剰増殖性の皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管浮腫、脈菅炎、紅斑、皮膚性好酸球増加症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病関連性ブドウ膜炎、角膜炎、疱疹性角膜炎、円錐状の角膜、ジストロフィー型上皮角膜、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍性強膜炎、グレーブス眼疾患、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性気道閉塞疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性もしくは難治性の喘息、遅発型喘息、気道過敏症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症が原因の血管性損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸管の病変、およびロイコトリエンB4−媒介性疾患、腹腔(Coeliaz)疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発性神経炎、多発性神経炎、単発神経炎、神経根症、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、低形成性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球生成欠如、骨粗鬆症、サルコイドーシス、はしか、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー敏感性、皮膚T細胞性リンパ腫、動脈硬化症、アテローム硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、脂肪症、好酸球性筋膜炎、歯肉の病変、歯根膜、歯槽骨、セメント質、糸球体腎炎、脱毛を防止しまたは毛髪の発芽を供しおよび/または毛髪の発生および毛髪の成長を促進することによる男性型脱毛症または初老期脱毛症、筋ジストロフィー症;膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、保存時に起こる臓器の虚血再灌流障害、移植または虚血性疾患、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物または放射線照射が原因の大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎機能不全、肺酸素(lung-oxygen)または薬物が原因の中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症(pigentosa)、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)、角膜のアルカリ損傷、皮膚炎多形滲出性紅斑(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染が原因の疾患、加齢、発癌、癌腫の転移および高山病、ヒスタミンまたはロイコトリエン−C4の放出が原因の疾患、ベーチェット病、自己免疫肝炎、原発性の胆汁肝硬変硬化性の胆管炎、部分的な肝臓の摘除、急性肝壊死、毒素が原因の壊死、ウイルス性肝炎、ショック、または無酸素症、B型ウイルス肝炎、非A型/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、「急性型(acute-on-chronic)」肝不全、化学療法効果の促進(augention)、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、癌、老人性認知症、トラウマ、および慢性細菌性感染症を含む。
【0035】
本発明の化合物は、不整脈の予防および治療(例えば、部分的な軽減または治癒を含む)において有用である不整脈薬である。本発明の範囲内のKv1.5化合物のインヒビターは、上室性不整脈(例えば、心房細動および心房粗動)の選択的な予防および治療において特に有用である。「上室性不整脈の選択的な予防および治療」とは、心室性に有効な不応性期間の延長に対する心房性に有効な不応性期間の延長の比率が1:1よりも大きい、上室性不整脈の予防または治療を意味する。この比率は、4:1よりも大きいことが好ましく、10:1よりも大きいことがより好ましく、そして心室性に有効な不応性期間の有意に検出可能な延長を伴わずに心房性に有効な不応性応答期間の延長が達成されることが最も好ましい。
【0036】
加えて、本発明の範囲内の化合物はIKurを遮断し、従って、このものは全てのIKur関連疾患の予防および治療に有用であり得る。「IKur関連疾患」とは、IKur遮断薬の投与によって予防され、部分的に軽減されもしくは治癒され得る障害である。該Kv1.5遺伝子は、胃組織、腸/結腸組織、肺動脈、および膵臓ベータ細胞中で発現することが知られる。従って、IKur遮断薬の投与は、障害(例えば、逆流性食道炎、機能性消化不良、便秘症、喘息、および糖尿病)の処置における有用性を供給し得る。加えて、Kv1.5は、脳下垂体前葉中で発現することが知られる。従って、IKur遮断薬の投与により、成長ホルモンの分泌を刺激し得る。IKurインヒビターは更に、細胞増殖性障害(例えば、白血病)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)、および移植拒絶において有用であり得る。
【0037】
従って、本発明は、本発明の化合物を用いる、上記の障害の1個以上の予防または治療のための方法を提供する。他の治療学的な薬物(例えば、以下に記載するもの)は、本発明の方法における本発明の化合物と一緒に使用することができる。本発明の方法において、該他の治療学的な薬物は、本発明の化合物の投与の前、同時、またはその後に投与することができる。
【0038】
本発明はまた、上記の障害の1個以上を予防しまたは治療することができる本発明の化合物の少なくとも1つの有効な量、および医薬的に許容し得るビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物をも提供する。本発明の組成物は、以下に記載する他の治療学的な薬物を含み得て、そしてこのものは例えば、通常の固体または液体のビヒクルまたは希釈剤、並びに所望する投与の様式に適当なタイプの医薬的な添加物(例えば、賦形剤(例えば、充填剤、結合剤、保存剤、安定化剤、可溶化剤、芳香剤など))を用いることによって、製薬の分野においてよく知られるものなどの技術に従って、製剤化し得る。
【0039】
本発明の化合物は、いずれかの適当な手段によって、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、水性および非水性の経口液剤および懸濁剤などの形態での経口で;舌下で;頬側で;非経口で(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注射もしくは注入の技術(例えば、滅菌注射可能な水性または非水性の液剤または懸濁剤));鼻腔で(例えば、吸入スプレーによる);局所的に(例えば、クリーム剤または軟膏剤の形態で);または、直腸で(例えば、坐剤の形態);非毒性の医薬的に許容し得るビヒクルまたは希釈剤を含有する用量単位製剤で、投与することができる。本発明の化合物は例えば、即放性または徐放性に適当な形態で投与することができる。即放性または徐放性は、本発明の化合物を含有する適当な医薬組成物の使用によって、あるいは、特に徐放性の場合には、例えば皮下インプラントまたは浸透圧性ポンプなどのデバイスの使用によって、達成することができる。本発明の化合物を不整脈を予防しまたは治療するのに投与する場合には、該化合物は、正常な洞調律への化学的な変換を達成するために投与することができ、あるいは場合により、電気的な心臓変換(electrical cardioconversion)と組み合わせて使用することができる。
【0040】
経口投与のための典型的な組成物としては、懸濁剤(これは、例えばバルクを分け与えるための微結晶セルロール、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および甘味剤または芳香剤(例えば、当該分野に知られるもの)を含み得る);および、即放性錠剤(これは例えば、微結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、および/またはラクトース、および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤(例えば、当該分野において知られるもの)を含み得る)を含む。式Iの化合物はまた、舌下および/または頬側の投与によって、口腔により運搬することもできる。すりこみ錠剤、圧縮錠剤、または凍結乾燥錠剤は、使用することができる典型的な形態である。典型的な組成物は、速く溶解させるための希釈剤(例えば、マンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリン)と一緒に本発明の化合物を製剤化する組成物を含む。該製剤中には、高分子量の賦形剤(例えば、セルロース(アビセル(avicel)またはポリエチレングリコール(PEG))が含まれ得る。該製剤はまた、粘膜接着を助けるための賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレズ(Gantrez))、および放出を制御するための薬物(例えば、ポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934))を含み得る。滑沢剤、流動促進剤(glidant)、芳香剤、着色剤、および安定化剤もまた、製造および使用の容易さのために加えることができる。
【0041】
経口溶液の形態での本発明の経口組成物は、賦形剤として、
a)可溶化剤(d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS)が好ましい)を、該組成物に対し約15〜約20重量%の範囲内(約20重量%が好ましい)の量で;
b)界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートが好ましい)を、該組成物に対し約7〜約10重量%の範囲内(約8.5重量%が好ましい)の量で;
c)稠度増大剤および可溶化剤(エタノールが好ましい)を、該組成物に対し約8〜約12重量%の範囲内(約10重量%が好ましい)の量で;および、
d)基剤ビヒクルおよび可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコール400が好ましい)を、該組成物に対し約50〜約70重量%の範囲内(約61.5%重量%が好ましい)の量で、
含む。
【0042】
好ましい実施態様において、経口液剤は、N−3無水和物の約5〜約30mg/mL(約5〜約20mg/mLが好ましい)を含む。しかしながら、経口液剤は、いずれかの他の形(例えば、非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物)でIKur化合物を含み得ると認められる。
【0043】
本発明のN−3無水和物のための経口懸濁剤は、賦形剤として、
a)界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートが好ましい)を、該組成物に対し約0.01〜約0.1重量%の範囲内(約0.05重量%が好ましい)の量で;および、
b)精製水を、該組成物に対し約99〜約99.98重量%の範囲内(約99.95重量%が好ましい)の量で、
を含む。
【0044】
該経口懸濁剤は、N−3無水和物の約2〜約10mg/mL(約2mg/mLが好ましい)を含むことが好ましい。しかしながら、該経口懸濁剤は、いずれかの他の形(例えば、非晶質形態、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物)でIKur化合物を含み得ると認められる。
【0045】
本明細書中に使用する用語「エタノール」または「エチルアルコール」とは、無水エタノール、およびエタノールおよび水(約5容量%まで)の混合物を含む。
【0046】
鼻腔エアロゾルまたは吸入投与のための典型的な組成物は生理食塩水中の溶液を含み、これは例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増大するための吸収促進剤、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤(例えば、当該分野において知られるもの)を含み得る。
【0047】
非経口投与のための典型的な組成物は、注射可能な溶液または懸濁液を含み、これは例えば、適当な非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤もしくは溶媒(例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液)、または他の適当な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤(例えば、合成モノ−もしくはジ−グリセリド、および脂肪酸(例えば、オレイン酸を含む))を含み得る。
【0048】
直腸投与のための典型的な組成物は、例えば適当な非刺激性賦形剤(例えば、ココアバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコール)(これらは、通常の温度で固体であるが、しかし、直腸腔中で液化しおよび/または溶解して、薬物を放出する)を含み得る坐剤を含む。
【0049】
局所投与のための典型的な組成物は、局所用担体(例えば、プラスチベース(Plastibase)(ポリエチレンでゲル化された鉱油)を含む。
【0050】
本発明の化合物の有効量は当該分野の当業者によって決定することができ、そしてこれは、成人にとっての典型的な用量(1日当たり活性化合物の約0.001〜100mg/体重kg)を含み、これを1回投与または個別に分割された投与(例えば、1日当たり1〜4回)で投与することができる。いずれかの被験者にとっての具体的な投与量レベルおよび用量の頻度は変えることができ、そしてこれらは様々な因子(例えば、使用する具体的な化合物の活性、代謝学的な安定性、および該化合物の作用の長さ、被験者の種類、年齢、体重、一般的な健康、性別および食餌、投与の様式および時間、排泄の割合、薬物の組み合わせ、並びに病気の激しさを含む)に依存すると理解する。処置のための好ましい被験者は上記の障害を被っている動物を含み、哺乳類の種類(例えば、ヒト)および家庭内の動物(例えば、イヌ、ネコなど)が最も好ましい。
【0051】
本発明の化合物は、単独であるいは互いにおよび/または上記の障害もしくは他の障害の処置に有用な以下の他の適当な治療学的な薬物と組み合わせて使用することができる。他の抗不整脈薬(例えば、クラスI薬(例えば、プロパフェノン)、クラスII薬(例えば、カルバジドール(carvadiol)およびプロプラノロール)、クラスII薬(例えば、ソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミライド、およびイブチリド)、クラスIV薬(例えば、ジルチアゼムおよびベラパミル)、5HT拮抗薬(例えば、スラムセロド(sulamserod)、セラリン(serraline)、およびトロプセトロン(tropsetron))、およびドロネダロン(dronedarone);カルシウムチャネル遮断薬(L−タイプおよびT−タイプの両方)(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン、およびミベフラジル(mybefradil);シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、COX−1および/またはCOX−2インヒビター)(例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ビオックス(Vioxx)(登録商標)、NSAIDs;抗血小板薬(例えば、GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y12拮抗薬(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、およびCS−747)、トロンボキサン受容体拮抗薬(例えば、イフェトロバン)、アスピリン、およびアスピリンあるなしでのPDE−IIIインヒビター(例えば、ジピリダモール);利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミネ(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミロライド、およびスピロノラクトン;降圧薬(例えば、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、レニンインヒビター、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル(pentopril)、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、A II拮抗薬(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET拮抗薬(例えば、シタキシセンタン(sitaxsentan)、アトルセンタン(atrsentan)、および米国特許第5,612,359号および第6,043,265号中に開示される化合物)、二重ET/AII拮抗薬(例えば、WO 00/01389中に開示される化合物)、中性エンドペプチターゼ(NEP)インヒビター、バソペプチダーゼインヒビター(二重NEP−ACEインヒビター)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラット(gemopatrilat))、ナイトレート、およびそれらの降圧薬の組み合わせ;抗血栓薬/血栓溶解薬(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組み換えtPA、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、因子VIIaインヒビター、因子Xaインヒビター、トロンビンインヒビター(例えば、ヒルジンおよびアルガトロバン)、PAI−1インヒビター(すなわち、組織プラスミノーゲン活性化因子インヒビターの失活剤)、α2−抗プラスミンインヒビター、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体、および動物または唾液腺プラスミノーゲン活性化因子;抗凝固薬(例えば、ワルファリンおよびヘパリン(例えば、未分画および低分子量のヘパリン(例えば、エノキサパリンおよびダルテパリン)を含む);HMG−CoA還元酵素インヒビター(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名:イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin))、およびZD−4522(別名:ロスバスタチン、アタバスタチン(atavastatin)、またはビサスタチン(visastatin));他のコレステロール/脂質低下薬(例えば、スクアレン合成酵素インヒビター、フィブレート、および胆汁酸捕捉剤(例えば、ケストラン(questran));抗増殖性剤(例えば、シクロスポリンA、タキソール、FK 506、およびアドリアマイシン);抗腫瘍剤(例えば、タキソール、アドリアマイシン、エポチロン、シスプラチン、およびカルボプラチン);抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド系(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース)、インスリン系、メグリチナイド系(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリドの組み合わせ(すなわち、グルコバンス)、チオゾリジンジオン(thiozolidinediones)(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、PPAR−ガンマ作動薬、aP2インヒビター、およびDP4インヒビター;甲状腺模倣薬(例えば、甲状腺受容体拮抗薬を含む)(例えば、サイロトロピン、ポリチロイド(polythyroid)、KB−130015、およびドロネダロン(dronedarone));鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(例えば、スピロノラクトンおよびエプレリノン(eplerinone));成長ホルモン分泌促進物質;抗骨粗鬆症薬(例えば、アレンドロネートおよびラロキシフェン);ホルモン補充療法薬(例えば、エストロゲン(例えば、プレマリン(premarin)中の結合型エストロゲン)、およびエストラジオール);抗うつ薬(例えば、ネファゾドンおよびセルトラリン);抗不安症薬(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、ブスピロン、およびヒドロキシジンパモ酸塩);経口避妊薬;抗潰瘍薬および胃食道逆流症薬(例えば、ファモチジン、ラニチジン、およびオメプラゾール);抗肥満症薬(例えば、オルリスタット);強心配糖体(例えば、ジギタリスおよびウアバインを含む);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、PDE IIIインヒビター(例えば、シロスタゾール)を含む)、およびPDE Vインヒビター(例えば、シルデナフィル(sildenafil));タンパク質チロシンキナーゼインヒビター;ステロイド性抗炎症性薬(例えば、プレドニゾンおよびデキサメタゾン);および、他の抗炎症性薬(例えば、エンブレル(enbrel))。
【0052】
本発明の化合物と組み合わせて使用する場合に、上記の他の治療学的な薬物は例えば、医師用処方薬参考書(PDR)中に示すかあるいはさもなければ当該分野の当業者によって決定される量で、使用することができる。
【0053】
IKurインヒビターとしての化合物の活性の大きさを決定するためのアッセイは、当該分野においてよく知られ、そして参考文献(例えば、J. Gen. Physiol. Apr; 101 (4): 513-43、およびBr. J. Pharmacol. 1995 May; 115 (2): 267-74)中に記載されている。
【0054】
Kv1サブファミリーの他の要素のインヒビターとしての化合物の活性の大きさを決定するためのアッセイもまた、当該分野においてよく知られる。例えば、Kv1.1、Kv1.2およびKv1.3の阻害は、グリスマー(Grissmer) S.らによるMol Pharmacol. 1994, Jun; 45(6): 1227-34によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.4の阻害は、ペターセン(Petersen) K. R.およびネルボンネ(Nerbonne), J, M.によるPflugers Arch. 1999 Feb; 437(3): 381-92によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.6の阻害は、ボウルビィー(Bowlby)M. R.およびレビタン(Levitan)I. B.によるJ. Nurophysiol. 1995, Jun; 73(6): 2221-9によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.7の阻害は、カルマン(Kalman)K.らによるJ. Biol. Chem. 1998 Mar 6; 273(10): 5851-7によって記載されている方法を用いて測定することができる。
【0055】
本発明の範囲内の化合物は、Kv1アッセイ(例えば、上記のアッセイ)において活性を実証される。
【0056】
本明細書中に引用する全ての文書は、本明細書の一部を構成する。
【0057】
以下の実施例および製造例は、本発明を製造しそして使用する様式および製法を記載し、そしてこれらは、限定よりもむしろ例示である。本明細書に添付する特許請求の範囲によって定義する本発明の精神および範囲内にある他の実施態様が存在し得ると理解されるべきである。本明細書中に使用する略号を以下に定義する。
【0058】
abs.=無水;
KF=カールフィッシャー(Karl Fisher);
AP=面積パーセント;
Et=エチル;
h=時間;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
min.=分;
Bu=ブチル;
LOD=乾燥時の減少;
RT=室温;
TFA=トリフルオロ酢酸;
g=グラム。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様である。
【0060】
(実施例1)
(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物およびH2−2二水和物の結晶形の製造
nBuOH(90mL)および濃HCl(30mL)中の冷たい(0〜5℃)粗IKur化合物(非晶質、H2−1二水和物および/またはH2−2二水和物)(27.5g、〜55mmol)からなる反応混合物をEtOH(40mL)を用いて希釈し、ポリッシュろ過し、そしてEtOH(20mL)を用いてすすいだ。該濾液を合わせて、メカニカルスターラーを備えた3つ口丸底フラスコ(1L)に移した。該ろ液用フラスコをEtOH(20mL)を用いてすすぎ、次いで該すすいだものをろ液と合わせた。該溶液(〜200mL)を4℃まで冷却した。温度が8℃未満となるように、NaOH(3N、80mL)を0.5時間かけて滴下した。HPLCは、分解が全くないことを示した。飽和Na3PO4水溶液(80mL)を加え、続いてNaOH(3N、8mL)を加えてpHを8.5に調節した。H2−1二水和物の析出がすぐに生じた。
【0061】
該反応混合物に、IKur化合物(0.3g、0.6mmol)のH2−2結晶形をシードした。該pHを、HCl(1N、1mL)を用いて7.5にまで調節した。該混合物を40℃まで加熱した。形の変換(H2−1からH2−2へ)はXRDによって追跡し、そしてこれは40℃で2時間で完結した。pHを、形の変換の間に、飽和Na3PO4水溶液(〜40mL)を加えることによって6.5〜7.5にまで調節した。該混合物をRTまで冷却し、そしてRTで2時間撹拌した。該固体をろ過によって集めた。該ケーキを、EtOH:H2O(1:1、100mL×2)およびH2O(100mL×2)を用いて洗浄した。そのものを吸引乾燥して、一定重量(19g)のIKur化合物のH2−2結晶形(AP 99.4およびKF 6.9)とした。
【0062】
実施例1のH2−1二水和物の観察およびシミュレートされた粉末X線回折(PXRD)パターンを図1および7に示し、そしてそれらの示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図2および2Aに示す。図1に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは12.67(±0.1)°、14.18(±0.1)°、23.99(±0.1)°、24.42(±0.1)°、および30.70(±0.1)°2シータであった。
【表1】
【表2】
【0063】
実施例のH2−2二水和物の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを図3および7に示し、そして実施例1のH2−2二水和物の示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図4および4Aに示す。図3に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは13.72(±0.1)°、18.35(±0.1)°、20.48(±0.1)°、23.78(±0.1)°、および26.63(±0.1)°2シータであった。
【0064】
全ての実施例において使用する粉末X線回折方法:
約200mgの試料を、バックロード(back loading)方法によってフィリップスPXRD試料ホルダー中に置いた。試料をCu Kα1、X線ビームによって照射した。走査条件:RTで連続的な操作モード、2シータのレンジ:2〜32°、走査速度:0.03℃/秒、自動発散(auto divergence)および抗散乱スリット(anti scatter slits)、受光スリット(receiving slit):0.2mm;サンプルスピナー:ON. インスツルメント−フィリップスMPDユニット、出力−45KV X 40mA。
【表3】
【表4】
【0065】
図7に記載する通り、該シミュレートされたパターンは、精巧な原子パラメータから算出した;H2−1(上のパターン)の場合には、無秩序な(disorderd)結晶構造中の4個の回転異性体全てが該シミュレーションに含まれた。強度のスケールはいくらか任意であり;理想的には、等数の薬物分子を含有する純粋な試料の場合には、三斜晶系H2−1(P1、Z=2)における2θ〜16.3°でのピークの高さは、H2−2(単斜晶系、P21、Z=4)における2θ〜16.4°でのピークの高さの〜80%である。
【0066】
(実施例2)
H2−2二水和物結晶形からN−3無水和物結晶形へのIKur化合物の形の変換、および粒子サイズの低下
物質:
【表5】
【0067】
製法:
100mLの3つ口丸底フラスコを、H2−2二水和物の形のIKur化合物(25.0g)で満たした。EtOH(38mL)を撹拌しながら加え、その後に結晶種(N−3無水和物の形のIKur化合物(0.25g))を加えた。得られたスラリーを、窒素のブランケット下、40℃まで10時間、次いでRTで2日間加熱した。そのものを0〜5℃まで15分間冷却し、そして0〜5℃で1時間撹拌した。該混合物をろ過し、そして母液と一緒にすすいだ。該ケーキをRTで1時間吸引乾燥した。次いで、そのものを結晶化皿に移した。該物質を、50℃で2時間、次いでRTで13時間、真空オーブン(27mmHg)で乾燥して、白色結晶性固体(22.4g、92%収率)(AP 99.5)を得た。
【0068】
分析データ
勾配HPLC方法:
【表6】
勾配:
【表7】
【表8】
【0069】
実施例2−2二水和物の観察およびシュミレートされた粉末X線回折パターンを実施例5、7および7Aに示し、そして実施例2のN−3無水和物の示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図6および6Aに示す。図5に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは、12.63(±0.1)°、17.14(±0.1)°、21.74(±0.1)°、22.76(±0.1)°、および27.11(±0.1)°2シータの位置にある。
【表9】
【0070】
(実施例3)
MTBE溶媒和物(P−1)の製造
IKur化合物(H2−1二水和物結晶の形)(500mg)を、室温でメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(5mL)中にスラリーとした。
【0071】
得られたスラリーを、MTBE溶媒和物(0.005g)をシードした。
【0072】
約1週間後に、該H2−1二水和物形は、化学的に安定であるMTBE溶媒和物形に変換された。
【0073】
HPL、純度〜98.2%。
【0074】
得られた実施例3のMTBE溶媒和物の観察されたPXRDおよびVT−PXRD、並びに示差熱量および熱重量分析の示差熱分析曲線は、それぞれ図8、8A、9および9Aに示す。図8において、PXRDにおける第1の5個の最も強いピークは、16.51(±0.1)°、17.11(±0.1)°、18.08(±0.1)°、21.10(±0.1)°、および23.87(±0.1)°2シータの位置にある。
【0075】
(実施例4)
H2−1二水和物およびH2−2二水和物の製造
n−ブチルアルコール(300mL)、12N HCl(100mL)、およびIKur化合物(非晶質、H2−1二水和物、およびH2−2二水和物の形の混合物の形)(90g)の溶液を調製した。無水エタノール(460mL)を、該IKur化合物を含有する上記溶液に加えた。該反応混合物をポリッシュろ過し(ろ紙:ワットマン4番)、次いでこのものを3つ口の凹んだ(indented)丸底フラスコ(2L)に移し、そして0〜5℃に保った。
【0076】
3N NaOH(330mL)を、バッチ温度を10℃以下に保ちながら、該反応混合物に15〜20分間かけて満たした。
【0077】
得られた溶液は、NaClの沈降のため最初に濁った。3N NaOH(〜200mL)を加えた後に、該溶液は有意に透明になった。NaOH(300mL)を加えた後に、該H2−1二水和物は析出し始めた。NaOHの添加が完結した後に、該スラリーのpHは約1〜2であった。
【0078】
H2−2二水和物の結晶種(1g)を該スラリーに加えた。飽和Na3PO4水溶液(〜115mL)を該シードした反応混合物に満たして、該混合物のpHを6.5〜8.5に調節した。更なる飽和Na3PO4(40mL)を該反応混合物に加えて、pHを6〜7.5内に保った。得られたスラリーを40℃まで加熱した。
【0079】
定期的に、X線回折試料を採取して、H2−1二水和物からのH2−2二水和物への変換を追跡した。
【0080】
1〜3時間後に、純粋なH2−2二水和物を得た。脱イオン水(115mL)を該スラリーに加えた。該スラリーを2℃まで1〜2時間かけて冷却した。該スラリーを2℃で少なくとも1/2時間保ち、次いでこのものをブフナーろうとおよびろ紙(ワットマン4番)を用いてろ過した。該湿性ケーキを、該ろ液の伝導率が約0.001Ω−1となるまで、300mL(〜3ケーキ容量)のエタノール/水(1/2)を用いて洗浄し、続いてH2Oで洗浄した。
【0081】
該ケーキを、弱いハウス(house)真空を用いて吸引乾燥した。該ケーキを均一さのために周期的に撹拌した。湿性ケーキのLOD(TGAによる)が約7.1%となるまで、乾燥を続けた。H2−2二水和物(67g)をHPLC法を用いて得た。AP=99%、粒子サイズD95=75μm。乾燥プロセスはまた、インラインIR寄り(in-line near IR)によっても追跡した。
【0082】
実施例4において製造されるH2−2二水和物の結晶の観察およびシュミレートされた粉末X線回折パターン、並びに示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を、図3、7、4および4Aにそれぞれ示す。
【0083】
(実施例5)
H2−2二水和物を製造するための再結晶
IKur化合物(非晶質、H2−1二水和物、およびH2−2二水和物の形)(128g)を、無水エタノール(560mL)中に2.5℃で溶解した。得られた溶液をポリッシュろ過した。
【0084】
3つ口の凹んだ丸底フラスコ(2L)に、脱イオン水(560mL)およびH2−2二水和物の結晶種(0.3g)を加えた。得られたスラリーを25℃で撹拌した。
【0085】
該リッチな溶液(〜600mL)を滴下ろうとを用いて1〜1.5時間かけて薄いH2Oスラリー(これは、H2−2二水和物の結晶種を含有する)に加えた。
【0086】
得られたスラリーを50℃まで加熱した。無水エタノール(280mL)を、該加熱したスラリーに20分間かけて加えた。エタノールの添加の完結後に、H2−2二水和物の結晶種(1g)を加えた。
【0087】
XRD試料を、H2−1二水和物のH2−2二水和物への変換について定期的に追跡した。
【0088】
純粋なH2−2二水和物を得た後に(4〜10時間)、該スラリーを2℃まで2時間冷却した。ろ過前に、該反応スラリーを2℃で少なくとも1/2時間保った。該冷スラリーをブフナーろうとおよびろ紙(ワットマン番号4)を用いてろ過した。該ケーキを、〜2ケーキ容量のエタノール/水(1/2)から〜4ケーキ容量の水を用いて洗浄した。得られた湿性ケーキを吸引乾燥した。H2−2二水和物(118g)を得た(収率=92.2%)。粒子サイズD95=25μm。
【0089】
実施例5において製造されたH2−2二水和物結晶の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターン、並びに熱重量分析の示差熱分析曲線を、図3、7、4および4Aにそれぞれ示す。
【0090】
(実施例6)
N−3無水和物の経口溶液
以下の組成物の経口溶液を以下に記載する通り製造した。
【表10】
【0091】
該ビヒクルは、第1にTPGSをエタノール中に溶解し、次いで適当な量のPEG400およびポリソルベート80を加えることによって、製造した。
【0092】
次いで、該ビヒクルはN−3無水和物と一緒に混合して、経口溶液を得た。
【0093】
(実施例7)
N−3無水和物の経口懸濁液
以下の組成物の経口懸濁液は、以下の通り製造した。
【表11】
【0094】
該経口懸濁液は、ポリソルベート80および水を混合し、次いでN−3無水和物と混合することによって製造した。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図2】図2は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図2A】図2Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図3】図3は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図4】図4は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図4A】図4Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図5】図5は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図6】図6は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図6A】図6Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図7】図7は、図1、3および5のシミュレートされた粉末X線回折パターンを合わせたものを示す図面である。
【図7A】図7Aは、図1および7からのN−3結晶形についてのシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図8】図8は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図8A】図8Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形のVT X線回折パターンを示す図面である。
【図9】図9は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図9A】図9Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/630,593号(2004年11月24日出願)(これは、本明細書の一部を構成する)の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、IKur化合物(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンの新規な安定な結晶形(例えば、H2−1二水和物、H2−2二水和物、MTBE溶媒和物、およびN−3無水和物の結晶形を含む)の製造方法、該新規なH2−1およびH2−2二水和物の結晶形、対応するMTBE溶媒和物およびN−3無水和物の結晶形、該新規な結晶形を含有する医薬組成物、並びに該新規な結晶形を用いて心不整脈(例えば、心房細動)および関連疾患を患っている哺乳動物を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アトウォル(Atwal)らによる米国特許第6.706,720号は、不整脈(例えば、心房細動)および他のIKur関連障害の予防/停止のための、心房特異的な著しく早い遅延型整流カリウム電流(IKur)と関連する、カリウムチャネル機能のインヒビター(特に、電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーのインヒビター、より特にKv1.5のインヒビター)として有用である、ヘテロ環ジヒドロピリジミン化合物を開示する。該720アトウォルの特許中に開示されている1つの化合物は、構造式:
【化1】
を有する、(2S)-1-[[(7R)-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5-]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンであり、そしてこのものは、著しく早く活性化される持続性カリウム電流(IKur、これはKv1.5としても知られる)の選択的な遮断薬である(そして、これは以下、「IKur化合物」または「遊離塩基」とも呼ばれる)。該IKur化合物の水に対する溶解度は低い(結晶形に依存して、2〜4μg/mL)。
【発明の開示】
【0004】
(発明の概要)
本発明によれば、構造式I:
【化2】
の遊離塩基であるIKur化合物の新規な結晶性二水和物、無水和物、および溶媒和物の結晶形(これは、H2−1二水和物、H2−2二水和物、N−3無水和物、およびメチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物の結晶形を含む)を選択的に製造するための方法を提供する。
【0005】
その非晶質形および結晶形の構造Iの遊離塩基は、光および熱に対して感受性であることが見出されている。
【0006】
遊離塩基のN−3無水和物形(これは、好ましい結晶形である)は、物理学的に安定であるニートの結晶形であり、これは、良好な結晶化度、許容し得る熱性質、低吸湿性、十分な固体状態の安定性(物理学的および化学的)、および十分な経口バイオアベイラビリティを有し、そしてこのものは制御された所望する粒子サイズ(50μm以下のD90)を有するように製造することができる。
【0007】
遊離塩基IのH2−1二水和物(三斜晶系)および遊離塩基IのH2−2二水和物(単斜晶系)は、水性/有機溶媒系から容易に結晶化する。しかしながら、該H2−1およびH2−2の結晶形の両方が、約40〜50℃で脱水および非晶質固体への転移を受ける。水性エタノールスラリー中のH2−1およびH2−2結晶形の混合物はH2−2二水和物に完全に変換され、従って、H2−2二水和物はH2−1二水和物よりも熱力学的により安定である。H2−1結晶形のH2−2結晶形への変換が5℃、25℃、50℃、および80℃で観察される限り、該多形は、全ての温度でより安定な結晶形であるH2−2結晶形とモノトロピック的に(monotropically)関連する。
【0008】
安定なニートのN−3無水和物形(mp〜210℃)は、無水エタノール中でH2−2結晶形から結晶化する。
【0009】
遊離塩基のMTBE溶媒和物(以下、MTBE溶媒和物と呼ぶ)は、非晶質遊離塩基の化合物IをMTBE中にスラリー化することによって得ることができる。該MTBE溶媒和物は、かなりの熱安定性を有し、そして100℃以上まで脱溶媒和しない。
【0010】
本発明によれば、IKur化合物のH2−1二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)該IKur化合物(例えば、非晶質固体、H2−1二水和物、もしくはH2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形)を供給し(1実施態様において、これは場合により、t−ブチルアルコールおよび濃塩酸と、約2.5℃以下の低温で混合し得る);
b)工程a)由来の該IKur化合物をアルカノール(エチルアルコールが好ましく、無水エチルアルコールがより好ましい)と、約−10℃〜約10℃(約0℃〜約5℃が好ましい)の範囲内の低温で混合し;そして、
c)工程b)由来の反応混合物を、該反応混合物を約10〜約−25℃(約5〜約−15℃が好ましく、約0℃〜約−2.5℃がより好ましい)の範囲内の低温に保ちながら、強塩基(例えば、アルカリ性金属の水酸化物(水酸化ナトリウムが好ましい))を用いて処理し、そして場合によりリン酸三ナトリウムNa3PO4を加えて、該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内(約8〜約9が好ましい)に調節して、H2−1二水和物の析出を生じる。
【0011】
本発明によれば、該IKur化合物IのH2−2二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物のH2−1二水和物(上記工程c)に記載)の反応スラリーまたは1−ブタノール、エタノールおよびリン酸ナトリウム緩衝液の混合物もしくはエタノール中のH2−1二水和物のスラリーに、H2−2二水和物の結晶をシードし;
b)工程a)由来の反応混合物のpHを、例えば該反応混合物を飽和リン酸三ナトリウムと混合することによって、約5.5〜約8.5の範囲内(約6〜約7.5が好ましい)に調節し;そして、
c)工程b)由来の反応混合物を、約30〜約80℃の範囲内(約35〜約45℃が好ましい)の温度で加熱して、H2−2結晶性二水和物を得る。
【0012】
本発明によれば、IKur化合物Iの無水和物N−3結晶形を製造する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物の二水和物H2−2結晶形を供給し;
b)該二水和物H2−2結晶形をアルカノール(エチルアルコールが好ましく、無水エチルアルコールがより好ましい)を用いて処理し;
c)場合により、工程b)由来の反応混合物に、IKur化合物のN−3無水和物の結晶をシードしてスラリーを得て;
d)工程c)由来のスラリーを、約35℃〜約50℃の範囲内(約40℃〜約45℃が好ましい)の高温で加熱して、N−3無水和物の結晶を生じて;そして、
e)得られた反応生成物を乾燥して、N−3無水和物の結晶を回収する。
【0013】
本発明の別の実施態様において、IKur化合物の結晶性メチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)MTBE中の、非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形の該IKur化合物のスラリーを得て;そして、
b)工程a)由来のスラリーをMTBE溶媒和物の結晶種と一緒に混合して、MTBE溶媒和物を得る。
【0014】
加えて、本発明によれば、IKur化合物からの再結晶によってIKur化合物のH2−2二水和物結晶形を製造するための方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
a)IKur化合物(これは、非晶質、H2−1二水和物、および/またはH2−2二水和物であり得る)をエチルアルコール中に溶解し;
b)該IKur化合物の溶液を、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形の結晶種の水性スラリーに加えて、スラリーを得て;
c)工程b)由来のスラリーを、約35℃〜約65℃の範囲内(約45℃〜約55℃が好ましい)の温度で加熱し;
d)場合により、エチルアルコールを工程c)由来の反応混合物に加え;
e)場合により、工程c)または工程d)由来の反応混合物にH2−2二水和物結晶形の更なる結晶種を加えて、H2−2二水和物を得て;そして、
f)場合により、工程e)由来の反応混合物を約−5℃〜約10℃の範囲内(約0℃〜約5℃が好ましい)の温度で冷却し、そしてH2−2二水和物を回収する。
【0015】
本発明によれば、IKur化合物のH2−1二水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図1および7において示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例1において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図2および2Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0016】
本発明によれば、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図3および7において示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例1、4および5において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図4および4Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0017】
本発明によれば、IKur化合物のN−3無水和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図5、7および7Aにおいて示す観察およびシュミレートされた粉末X線回折(PXRD)パターン、または該観察されたPXRDパターン中の第1の5個の主要なピーク;実施例2において示す単結晶X線回折データおよび結晶学的なデータ;並びに、図6および6Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0018】
本発明によれば、IKur化合物のMTBE溶媒和物結晶形は新規であり、そして、このものは、図8および8Aにおいてそれぞれ示す観察された粉末および温度可変(variable temperature)(VT)粉末のX線回折(PXRD)パターン;並びに、図9および9Aにおいてそれぞれ示す示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線、によって同定される。
【0019】
加えて、本発明によれば、非晶質形または結晶形のIKur化合物(例えば、結晶性N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはMTBE溶媒和物(N−3無水和物が好ましい)を含む)および医薬的に許容し得るビヒクルを含む新規な医薬組成物を提供する。好ましい実施態様において、N−3無水和物組成物は、経口的な溶液または懸濁液の形態である。該組成物が経口溶液の形態である場合には、可溶化剤(例えば、d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS))、稠度増大剤および可溶化剤(例えば、エタノール)、界面活性剤、可溶化剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(トゥイーン80)、および基剤ビヒクルおよび可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコール400(PEG400、MW400、粘度(210°F)7.3センチストークス)を含む。
【0020】
該組成物が経口懸濁液の形態である場合には、N−3無水和物、界面活性剤(例えば、トゥイーン80)、および精製水を含むことが好ましい。しかしながら、該経口懸濁液は、IKur化合物の他の固体形態(例えば、非晶質形、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物を含む)を含み得る。
【0021】
(詳細な記載)
用語:N−3無水和物、ニートN−3形(form)、およびN−3ニート形は相互交換可能に使用され、そしてこれらは、結晶構造中に水またはいずれの他の溶媒を含まないN−3形を意味する。
【0022】
結晶性N−3無水和物を得る製造方法を実施する際に、IKur化合物のH2−2二水和物結晶形、アルコール(エチルアルコールが好ましい)、およびIKur化合物のN−3無水和物形の結晶の種から形成された反応混合物を、約35℃〜約50℃の範囲内(約40〜約45℃が好ましい)の温度で、約0.5〜約20時間(約2〜約15時間が好ましく、約5〜約12時間がより好ましい)加熱し、次いで、周囲温度で不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)下、約0.5時間〜約3日間(約18時間〜約56時間が好ましい)保つ。
【0023】
該エチルアルコールを、H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約14:1〜約42:1の範囲内で(約23:1〜約35:1が好ましい)使用し、そして、該N−3無水和物結晶形の結晶種を、H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)で使用する。
【0024】
無水和物N−3結晶形を得るのに使用することができるエチルアルコール以外のアルコールは例えば、メタノール、2−プロパノール、および1−ブタノールを含むが、これらに限定されない。
【0025】
二水和物結晶形のH2−1およびH2−2を製造するための方法を実施する際に、使用するt−ブチルアルコールは、出発IKur化合物に対するモル比率が約12:1〜約24:1(約14:1〜約22:1が好ましい)で使用し、そして濃塩酸(約10〜約12N HCl)は、出発IKur化合物に対するモル比率が約4:1〜約10:1の範囲内(約5.5:1〜約7.5:1が好ましい)で使用する。
【0026】
上記の工程a)由来の反応混合物、またはIKur化合物(例えば、非晶質形)は、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約60:1の範囲内(約35:1〜約55:1が好ましい)で使用する、エチルアルコールを用いて処理することが好ましい。
【0027】
工程b)または工程c)由来の反応混合物は、強塩基(例えば、水酸化アルカリ(例えば、KOH、NaOH、またはLiOH(NaOHが好ましい))、および場合によりリン酸三ナトリウムを用いて処理して、該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内(約8〜約9が好ましい)に調節する。
【0028】
H2−2二水和物を生成する際に、析出するH2−1二水和物(H2−1二水和物の製造物由来)を含有する反応スラリー、または1−ブタノール、エタノールおよびリン酸ナトリウム緩衝液の混合物もしくはエタノール中にスラリー化したH2−1二水和物に、H2−2二水和物結晶:H2−1二水和物のモル比が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)を用いる、H2−2二水和物の結晶をシードする。H2−2二水和物をシードした反応スラリーのpHを、強酸(例えば、塩酸)を用いて約5.5〜約8.5の範囲内(約6〜約7.5が好ましく、約7.5がより好ましい)に調節し、そして該反応混合物を約30℃〜約80℃の範囲内(約35℃〜約45℃が好ましく、約40℃がより好ましい)の温度で加熱する。
【0029】
MTBE溶媒和物を製造するために本発明の製造方法を実施する際には、該MTBEは、H2−1二水和物に対するモル比が約30:1〜約60:1の範囲内(約40:1〜約50:1が好ましい)で使用する。
【0030】
該MTBE溶媒和物の結晶種を、出発H2−1二水和物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内(約0.005:1〜約0.015:1が好ましい)で使用する。
【0031】
a)非晶質固体、b)H2−1二水和物、もしくはc)H2−2二水和物、および/またはa)とb)、b)とc)、a)とc)、もしくはa)とb)とc)の混合物の結晶形のIKur化合物からの再結晶による、H2−2二水和物を製造するための本発明の方法を実施する際に(n−ブチルアルコールおよびHClの存在を必要としない)、該IKur化合物を、該IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約50:1の範囲内(約35:1〜約45:1が好ましい)で使用する、エチルアルコール中に溶解する。
【0032】
H2−2二水和物の結晶種の水性スラリーを、エチルアルコール中のIKur化合物の溶液に加え(逆はない)、そしてH2−2二水和物の結晶種を、IKur化合物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.010:1の範囲内(約0.002:1〜約0.005:1が好ましい)で使用する。更なるエチルアルコールを場合により、予め加えたH2−2二水和物の結晶種を含有する加熱したスラリーに、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約10:1〜約30:1の範囲内(約15:1〜約25:1が好ましい)で加える。任意の更なる結晶種を、予め加えたH2−2二水和物結晶種に対するモル比率が約0.001:1〜約0.015:1(約0.004:1〜約0.008:1が好ましい)で加える。
【0033】
本発明のH2−1二水和物、H2−2二水和物、N−3無水和物、およびMTBE溶媒和物(これらは、本発明の化合物と呼ぶ)は、電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーを阻害し、そしてそのものは、以下の様々な障害の治療および/または予防に有用である。心不整脈(例えば、上室性不整脈、心房性不整脈、心房粗動、心房細動、心虚血の合併症、および心拍制御薬としての使用を含む);狭心症(例えば、プリンツメタル型症状、血管攣縮性症状、および異型症状の軽減を含む);胃腸管系障害(例えば、逆流性食道炎、機能性消化不良、運動性障害(例えば、便秘症および下痢症を含む)、および過敏性腸症候群を含む);血管性および内臓性の平滑筋の障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、末梢性血管性疾患(例えば、間欠性跛行症を含む)、静脈不全症、インポテンス、大脳および冠血管攣縮、レイノー病を含む);炎症性および免疫学的な疾患(例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、移植片拒絶反応、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、およびアテローム硬化症を含む);細胞増殖性障害(例えば、再狭窄および癌(例えば、白血病を含む)を含む);聴覚系の障害;視覚系の障害(例えば、黄斑変性症および白内障を含む);糖尿病(例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、および糖尿病性神経障害を含む);筋肉疾患(例えば、筋緊張症および萎縮病を含む);末梢性神経障害;認知障害;片頭痛;記憶喪失(例えば、アルツハイマーおよび認知症を含む);CNS媒介性運動機能不全(例えば、パーキンソン病および失調症を含む);癲癇;および、他のイオンチャネル媒介性障害。
【0034】
電位開口型K+チャネルのKv1サブファミリーのインヒビターとして、本発明の上記の化合物は、以下の様々な障害を処置するのに有用である。例えば、臓器または組織の移植による抵抗性、黄色髄骨意匠によって生じる移植片対宿主疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病ブドウ膜炎、若年発症型もしくは発症早期型(recent-onset)糖尿病、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、病原性微生物が原因の感染性疾患、炎症性および過剰増殖性の皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管浮腫、脈菅炎、紅斑、皮膚性好酸球増加症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病関連性ブドウ膜炎、角膜炎、疱疹性角膜炎、円錐状の角膜、ジストロフィー型上皮角膜、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍性強膜炎、グレーブス眼疾患、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性気道閉塞疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性もしくは難治性の喘息、遅発型喘息、気道過敏症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症が原因の血管性損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸管の病変、およびロイコトリエンB4−媒介性疾患、腹腔(Coeliaz)疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発性神経炎、多発性神経炎、単発神経炎、神経根症、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、低形成性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球生成欠如、骨粗鬆症、サルコイドーシス、はしか、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー敏感性、皮膚T細胞性リンパ腫、動脈硬化症、アテローム硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、脂肪症、好酸球性筋膜炎、歯肉の病変、歯根膜、歯槽骨、セメント質、糸球体腎炎、脱毛を防止しまたは毛髪の発芽を供しおよび/または毛髪の発生および毛髪の成長を促進することによる男性型脱毛症または初老期脱毛症、筋ジストロフィー症;膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、保存時に起こる臓器の虚血再灌流障害、移植または虚血性疾患、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物または放射線照射が原因の大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎機能不全、肺酸素(lung-oxygen)または薬物が原因の中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症(pigentosa)、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)、角膜のアルカリ損傷、皮膚炎多形滲出性紅斑(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染が原因の疾患、加齢、発癌、癌腫の転移および高山病、ヒスタミンまたはロイコトリエン−C4の放出が原因の疾患、ベーチェット病、自己免疫肝炎、原発性の胆汁肝硬変硬化性の胆管炎、部分的な肝臓の摘除、急性肝壊死、毒素が原因の壊死、ウイルス性肝炎、ショック、または無酸素症、B型ウイルス肝炎、非A型/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、「急性型(acute-on-chronic)」肝不全、化学療法効果の促進(augention)、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、癌、老人性認知症、トラウマ、および慢性細菌性感染症を含む。
【0035】
本発明の化合物は、不整脈の予防および治療(例えば、部分的な軽減または治癒を含む)において有用である不整脈薬である。本発明の範囲内のKv1.5化合物のインヒビターは、上室性不整脈(例えば、心房細動および心房粗動)の選択的な予防および治療において特に有用である。「上室性不整脈の選択的な予防および治療」とは、心室性に有効な不応性期間の延長に対する心房性に有効な不応性期間の延長の比率が1:1よりも大きい、上室性不整脈の予防または治療を意味する。この比率は、4:1よりも大きいことが好ましく、10:1よりも大きいことがより好ましく、そして心室性に有効な不応性期間の有意に検出可能な延長を伴わずに心房性に有効な不応性応答期間の延長が達成されることが最も好ましい。
【0036】
加えて、本発明の範囲内の化合物はIKurを遮断し、従って、このものは全てのIKur関連疾患の予防および治療に有用であり得る。「IKur関連疾患」とは、IKur遮断薬の投与によって予防され、部分的に軽減されもしくは治癒され得る障害である。該Kv1.5遺伝子は、胃組織、腸/結腸組織、肺動脈、および膵臓ベータ細胞中で発現することが知られる。従って、IKur遮断薬の投与は、障害(例えば、逆流性食道炎、機能性消化不良、便秘症、喘息、および糖尿病)の処置における有用性を供給し得る。加えて、Kv1.5は、脳下垂体前葉中で発現することが知られる。従って、IKur遮断薬の投与により、成長ホルモンの分泌を刺激し得る。IKurインヒビターは更に、細胞増殖性障害(例えば、白血病)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)、および移植拒絶において有用であり得る。
【0037】
従って、本発明は、本発明の化合物を用いる、上記の障害の1個以上の予防または治療のための方法を提供する。他の治療学的な薬物(例えば、以下に記載するもの)は、本発明の方法における本発明の化合物と一緒に使用することができる。本発明の方法において、該他の治療学的な薬物は、本発明の化合物の投与の前、同時、またはその後に投与することができる。
【0038】
本発明はまた、上記の障害の1個以上を予防しまたは治療することができる本発明の化合物の少なくとも1つの有効な量、および医薬的に許容し得るビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物をも提供する。本発明の組成物は、以下に記載する他の治療学的な薬物を含み得て、そしてこのものは例えば、通常の固体または液体のビヒクルまたは希釈剤、並びに所望する投与の様式に適当なタイプの医薬的な添加物(例えば、賦形剤(例えば、充填剤、結合剤、保存剤、安定化剤、可溶化剤、芳香剤など))を用いることによって、製薬の分野においてよく知られるものなどの技術に従って、製剤化し得る。
【0039】
本発明の化合物は、いずれかの適当な手段によって、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、水性および非水性の経口液剤および懸濁剤などの形態での経口で;舌下で;頬側で;非経口で(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注射もしくは注入の技術(例えば、滅菌注射可能な水性または非水性の液剤または懸濁剤));鼻腔で(例えば、吸入スプレーによる);局所的に(例えば、クリーム剤または軟膏剤の形態で);または、直腸で(例えば、坐剤の形態);非毒性の医薬的に許容し得るビヒクルまたは希釈剤を含有する用量単位製剤で、投与することができる。本発明の化合物は例えば、即放性または徐放性に適当な形態で投与することができる。即放性または徐放性は、本発明の化合物を含有する適当な医薬組成物の使用によって、あるいは、特に徐放性の場合には、例えば皮下インプラントまたは浸透圧性ポンプなどのデバイスの使用によって、達成することができる。本発明の化合物を不整脈を予防しまたは治療するのに投与する場合には、該化合物は、正常な洞調律への化学的な変換を達成するために投与することができ、あるいは場合により、電気的な心臓変換(electrical cardioconversion)と組み合わせて使用することができる。
【0040】
経口投与のための典型的な組成物としては、懸濁剤(これは、例えばバルクを分け与えるための微結晶セルロール、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および甘味剤または芳香剤(例えば、当該分野に知られるもの)を含み得る);および、即放性錠剤(これは例えば、微結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、および/またはラクトース、および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤(例えば、当該分野において知られるもの)を含み得る)を含む。式Iの化合物はまた、舌下および/または頬側の投与によって、口腔により運搬することもできる。すりこみ錠剤、圧縮錠剤、または凍結乾燥錠剤は、使用することができる典型的な形態である。典型的な組成物は、速く溶解させるための希釈剤(例えば、マンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリン)と一緒に本発明の化合物を製剤化する組成物を含む。該製剤中には、高分子量の賦形剤(例えば、セルロース(アビセル(avicel)またはポリエチレングリコール(PEG))が含まれ得る。該製剤はまた、粘膜接着を助けるための賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレズ(Gantrez))、および放出を制御するための薬物(例えば、ポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934))を含み得る。滑沢剤、流動促進剤(glidant)、芳香剤、着色剤、および安定化剤もまた、製造および使用の容易さのために加えることができる。
【0041】
経口溶液の形態での本発明の経口組成物は、賦形剤として、
a)可溶化剤(d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS)が好ましい)を、該組成物に対し約15〜約20重量%の範囲内(約20重量%が好ましい)の量で;
b)界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートが好ましい)を、該組成物に対し約7〜約10重量%の範囲内(約8.5重量%が好ましい)の量で;
c)稠度増大剤および可溶化剤(エタノールが好ましい)を、該組成物に対し約8〜約12重量%の範囲内(約10重量%が好ましい)の量で;および、
d)基剤ビヒクルおよび可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコール400が好ましい)を、該組成物に対し約50〜約70重量%の範囲内(約61.5%重量%が好ましい)の量で、
含む。
【0042】
好ましい実施態様において、経口液剤は、N−3無水和物の約5〜約30mg/mL(約5〜約20mg/mLが好ましい)を含む。しかしながら、経口液剤は、いずれかの他の形(例えば、非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物)でIKur化合物を含み得ると認められる。
【0043】
本発明のN−3無水和物のための経口懸濁剤は、賦形剤として、
a)界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートが好ましい)を、該組成物に対し約0.01〜約0.1重量%の範囲内(約0.05重量%が好ましい)の量で;および、
b)精製水を、該組成物に対し約99〜約99.98重量%の範囲内(約99.95重量%が好ましい)の量で、
を含む。
【0044】
該経口懸濁剤は、N−3無水和物の約2〜約10mg/mL(約2mg/mLが好ましい)を含むことが好ましい。しかしながら、該経口懸濁剤は、いずれかの他の形(例えば、非晶質形態、H2−1二水和物、H2−2二水和物、およびMTBE溶媒和物)でIKur化合物を含み得ると認められる。
【0045】
本明細書中に使用する用語「エタノール」または「エチルアルコール」とは、無水エタノール、およびエタノールおよび水(約5容量%まで)の混合物を含む。
【0046】
鼻腔エアロゾルまたは吸入投与のための典型的な組成物は生理食塩水中の溶液を含み、これは例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増大するための吸収促進剤、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤(例えば、当該分野において知られるもの)を含み得る。
【0047】
非経口投与のための典型的な組成物は、注射可能な溶液または懸濁液を含み、これは例えば、適当な非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤もしくは溶媒(例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液)、または他の適当な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤(例えば、合成モノ−もしくはジ−グリセリド、および脂肪酸(例えば、オレイン酸を含む))を含み得る。
【0048】
直腸投与のための典型的な組成物は、例えば適当な非刺激性賦形剤(例えば、ココアバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコール)(これらは、通常の温度で固体であるが、しかし、直腸腔中で液化しおよび/または溶解して、薬物を放出する)を含み得る坐剤を含む。
【0049】
局所投与のための典型的な組成物は、局所用担体(例えば、プラスチベース(Plastibase)(ポリエチレンでゲル化された鉱油)を含む。
【0050】
本発明の化合物の有効量は当該分野の当業者によって決定することができ、そしてこれは、成人にとっての典型的な用量(1日当たり活性化合物の約0.001〜100mg/体重kg)を含み、これを1回投与または個別に分割された投与(例えば、1日当たり1〜4回)で投与することができる。いずれかの被験者にとっての具体的な投与量レベルおよび用量の頻度は変えることができ、そしてこれらは様々な因子(例えば、使用する具体的な化合物の活性、代謝学的な安定性、および該化合物の作用の長さ、被験者の種類、年齢、体重、一般的な健康、性別および食餌、投与の様式および時間、排泄の割合、薬物の組み合わせ、並びに病気の激しさを含む)に依存すると理解する。処置のための好ましい被験者は上記の障害を被っている動物を含み、哺乳類の種類(例えば、ヒト)および家庭内の動物(例えば、イヌ、ネコなど)が最も好ましい。
【0051】
本発明の化合物は、単独であるいは互いにおよび/または上記の障害もしくは他の障害の処置に有用な以下の他の適当な治療学的な薬物と組み合わせて使用することができる。他の抗不整脈薬(例えば、クラスI薬(例えば、プロパフェノン)、クラスII薬(例えば、カルバジドール(carvadiol)およびプロプラノロール)、クラスII薬(例えば、ソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミライド、およびイブチリド)、クラスIV薬(例えば、ジルチアゼムおよびベラパミル)、5HT拮抗薬(例えば、スラムセロド(sulamserod)、セラリン(serraline)、およびトロプセトロン(tropsetron))、およびドロネダロン(dronedarone);カルシウムチャネル遮断薬(L−タイプおよびT−タイプの両方)(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン、およびミベフラジル(mybefradil);シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、COX−1および/またはCOX−2インヒビター)(例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ビオックス(Vioxx)(登録商標)、NSAIDs;抗血小板薬(例えば、GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y12拮抗薬(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、およびCS−747)、トロンボキサン受容体拮抗薬(例えば、イフェトロバン)、アスピリン、およびアスピリンあるなしでのPDE−IIIインヒビター(例えば、ジピリダモール);利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミネ(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミロライド、およびスピロノラクトン;降圧薬(例えば、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、レニンインヒビター、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル(pentopril)、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、A II拮抗薬(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET拮抗薬(例えば、シタキシセンタン(sitaxsentan)、アトルセンタン(atrsentan)、および米国特許第5,612,359号および第6,043,265号中に開示される化合物)、二重ET/AII拮抗薬(例えば、WO 00/01389中に開示される化合物)、中性エンドペプチターゼ(NEP)インヒビター、バソペプチダーゼインヒビター(二重NEP−ACEインヒビター)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラット(gemopatrilat))、ナイトレート、およびそれらの降圧薬の組み合わせ;抗血栓薬/血栓溶解薬(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組み換えtPA、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、因子VIIaインヒビター、因子Xaインヒビター、トロンビンインヒビター(例えば、ヒルジンおよびアルガトロバン)、PAI−1インヒビター(すなわち、組織プラスミノーゲン活性化因子インヒビターの失活剤)、α2−抗プラスミンインヒビター、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体、および動物または唾液腺プラスミノーゲン活性化因子;抗凝固薬(例えば、ワルファリンおよびヘパリン(例えば、未分画および低分子量のヘパリン(例えば、エノキサパリンおよびダルテパリン)を含む);HMG−CoA還元酵素インヒビター(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名:イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin))、およびZD−4522(別名:ロスバスタチン、アタバスタチン(atavastatin)、またはビサスタチン(visastatin));他のコレステロール/脂質低下薬(例えば、スクアレン合成酵素インヒビター、フィブレート、および胆汁酸捕捉剤(例えば、ケストラン(questran));抗増殖性剤(例えば、シクロスポリンA、タキソール、FK 506、およびアドリアマイシン);抗腫瘍剤(例えば、タキソール、アドリアマイシン、エポチロン、シスプラチン、およびカルボプラチン);抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド系(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース)、インスリン系、メグリチナイド系(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリドの組み合わせ(すなわち、グルコバンス)、チオゾリジンジオン(thiozolidinediones)(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、PPAR−ガンマ作動薬、aP2インヒビター、およびDP4インヒビター;甲状腺模倣薬(例えば、甲状腺受容体拮抗薬を含む)(例えば、サイロトロピン、ポリチロイド(polythyroid)、KB−130015、およびドロネダロン(dronedarone));鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(例えば、スピロノラクトンおよびエプレリノン(eplerinone));成長ホルモン分泌促進物質;抗骨粗鬆症薬(例えば、アレンドロネートおよびラロキシフェン);ホルモン補充療法薬(例えば、エストロゲン(例えば、プレマリン(premarin)中の結合型エストロゲン)、およびエストラジオール);抗うつ薬(例えば、ネファゾドンおよびセルトラリン);抗不安症薬(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、ブスピロン、およびヒドロキシジンパモ酸塩);経口避妊薬;抗潰瘍薬および胃食道逆流症薬(例えば、ファモチジン、ラニチジン、およびオメプラゾール);抗肥満症薬(例えば、オルリスタット);強心配糖体(例えば、ジギタリスおよびウアバインを含む);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、PDE IIIインヒビター(例えば、シロスタゾール)を含む)、およびPDE Vインヒビター(例えば、シルデナフィル(sildenafil));タンパク質チロシンキナーゼインヒビター;ステロイド性抗炎症性薬(例えば、プレドニゾンおよびデキサメタゾン);および、他の抗炎症性薬(例えば、エンブレル(enbrel))。
【0052】
本発明の化合物と組み合わせて使用する場合に、上記の他の治療学的な薬物は例えば、医師用処方薬参考書(PDR)中に示すかあるいはさもなければ当該分野の当業者によって決定される量で、使用することができる。
【0053】
IKurインヒビターとしての化合物の活性の大きさを決定するためのアッセイは、当該分野においてよく知られ、そして参考文献(例えば、J. Gen. Physiol. Apr; 101 (4): 513-43、およびBr. J. Pharmacol. 1995 May; 115 (2): 267-74)中に記載されている。
【0054】
Kv1サブファミリーの他の要素のインヒビターとしての化合物の活性の大きさを決定するためのアッセイもまた、当該分野においてよく知られる。例えば、Kv1.1、Kv1.2およびKv1.3の阻害は、グリスマー(Grissmer) S.らによるMol Pharmacol. 1994, Jun; 45(6): 1227-34によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.4の阻害は、ペターセン(Petersen) K. R.およびネルボンネ(Nerbonne), J, M.によるPflugers Arch. 1999 Feb; 437(3): 381-92によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.6の阻害は、ボウルビィー(Bowlby)M. R.およびレビタン(Levitan)I. B.によるJ. Nurophysiol. 1995, Jun; 73(6): 2221-9によって記載されている方法を用いて測定することができる。Kv1.7の阻害は、カルマン(Kalman)K.らによるJ. Biol. Chem. 1998 Mar 6; 273(10): 5851-7によって記載されている方法を用いて測定することができる。
【0055】
本発明の範囲内の化合物は、Kv1アッセイ(例えば、上記のアッセイ)において活性を実証される。
【0056】
本明細書中に引用する全ての文書は、本明細書の一部を構成する。
【0057】
以下の実施例および製造例は、本発明を製造しそして使用する様式および製法を記載し、そしてこれらは、限定よりもむしろ例示である。本明細書に添付する特許請求の範囲によって定義する本発明の精神および範囲内にある他の実施態様が存在し得ると理解されるべきである。本明細書中に使用する略号を以下に定義する。
【0058】
abs.=無水;
KF=カールフィッシャー(Karl Fisher);
AP=面積パーセント;
Et=エチル;
h=時間;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
min.=分;
Bu=ブチル;
LOD=乾燥時の減少;
RT=室温;
TFA=トリフルオロ酢酸;
g=グラム。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様である。
【0060】
(実施例1)
(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物およびH2−2二水和物の結晶形の製造
nBuOH(90mL)および濃HCl(30mL)中の冷たい(0〜5℃)粗IKur化合物(非晶質、H2−1二水和物および/またはH2−2二水和物)(27.5g、〜55mmol)からなる反応混合物をEtOH(40mL)を用いて希釈し、ポリッシュろ過し、そしてEtOH(20mL)を用いてすすいだ。該濾液を合わせて、メカニカルスターラーを備えた3つ口丸底フラスコ(1L)に移した。該ろ液用フラスコをEtOH(20mL)を用いてすすぎ、次いで該すすいだものをろ液と合わせた。該溶液(〜200mL)を4℃まで冷却した。温度が8℃未満となるように、NaOH(3N、80mL)を0.5時間かけて滴下した。HPLCは、分解が全くないことを示した。飽和Na3PO4水溶液(80mL)を加え、続いてNaOH(3N、8mL)を加えてpHを8.5に調節した。H2−1二水和物の析出がすぐに生じた。
【0061】
該反応混合物に、IKur化合物(0.3g、0.6mmol)のH2−2結晶形をシードした。該pHを、HCl(1N、1mL)を用いて7.5にまで調節した。該混合物を40℃まで加熱した。形の変換(H2−1からH2−2へ)はXRDによって追跡し、そしてこれは40℃で2時間で完結した。pHを、形の変換の間に、飽和Na3PO4水溶液(〜40mL)を加えることによって6.5〜7.5にまで調節した。該混合物をRTまで冷却し、そしてRTで2時間撹拌した。該固体をろ過によって集めた。該ケーキを、EtOH:H2O(1:1、100mL×2)およびH2O(100mL×2)を用いて洗浄した。そのものを吸引乾燥して、一定重量(19g)のIKur化合物のH2−2結晶形(AP 99.4およびKF 6.9)とした。
【0062】
実施例1のH2−1二水和物の観察およびシミュレートされた粉末X線回折(PXRD)パターンを図1および7に示し、そしてそれらの示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図2および2Aに示す。図1に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは12.67(±0.1)°、14.18(±0.1)°、23.99(±0.1)°、24.42(±0.1)°、および30.70(±0.1)°2シータであった。
【表1】
【表2】
【0063】
実施例のH2−2二水和物の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを図3および7に示し、そして実施例1のH2−2二水和物の示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図4および4Aに示す。図3に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは13.72(±0.1)°、18.35(±0.1)°、20.48(±0.1)°、23.78(±0.1)°、および26.63(±0.1)°2シータであった。
【0064】
全ての実施例において使用する粉末X線回折方法:
約200mgの試料を、バックロード(back loading)方法によってフィリップスPXRD試料ホルダー中に置いた。試料をCu Kα1、X線ビームによって照射した。走査条件:RTで連続的な操作モード、2シータのレンジ:2〜32°、走査速度:0.03℃/秒、自動発散(auto divergence)および抗散乱スリット(anti scatter slits)、受光スリット(receiving slit):0.2mm;サンプルスピナー:ON. インスツルメント−フィリップスMPDユニット、出力−45KV X 40mA。
【表3】
【表4】
【0065】
図7に記載する通り、該シミュレートされたパターンは、精巧な原子パラメータから算出した;H2−1(上のパターン)の場合には、無秩序な(disorderd)結晶構造中の4個の回転異性体全てが該シミュレーションに含まれた。強度のスケールはいくらか任意であり;理想的には、等数の薬物分子を含有する純粋な試料の場合には、三斜晶系H2−1(P1、Z=2)における2θ〜16.3°でのピークの高さは、H2−2(単斜晶系、P21、Z=4)における2θ〜16.4°でのピークの高さの〜80%である。
【0066】
(実施例2)
H2−2二水和物結晶形からN−3無水和物結晶形へのIKur化合物の形の変換、および粒子サイズの低下
物質:
【表5】
【0067】
製法:
100mLの3つ口丸底フラスコを、H2−2二水和物の形のIKur化合物(25.0g)で満たした。EtOH(38mL)を撹拌しながら加え、その後に結晶種(N−3無水和物の形のIKur化合物(0.25g))を加えた。得られたスラリーを、窒素のブランケット下、40℃まで10時間、次いでRTで2日間加熱した。そのものを0〜5℃まで15分間冷却し、そして0〜5℃で1時間撹拌した。該混合物をろ過し、そして母液と一緒にすすいだ。該ケーキをRTで1時間吸引乾燥した。次いで、そのものを結晶化皿に移した。該物質を、50℃で2時間、次いでRTで13時間、真空オーブン(27mmHg)で乾燥して、白色結晶性固体(22.4g、92%収率)(AP 99.5)を得た。
【0068】
分析データ
勾配HPLC方法:
【表6】
勾配:
【表7】
【表8】
【0069】
実施例2−2二水和物の観察およびシュミレートされた粉末X線回折パターンを実施例5、7および7Aに示し、そして実施例2のN−3無水和物の示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を図6および6Aに示す。図5に示す観察されたPXRDパターンにおいて、第1の5個の最も強いピークは、12.63(±0.1)°、17.14(±0.1)°、21.74(±0.1)°、22.76(±0.1)°、および27.11(±0.1)°2シータの位置にある。
【表9】
【0070】
(実施例3)
MTBE溶媒和物(P−1)の製造
IKur化合物(H2−1二水和物結晶の形)(500mg)を、室温でメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(5mL)中にスラリーとした。
【0071】
得られたスラリーを、MTBE溶媒和物(0.005g)をシードした。
【0072】
約1週間後に、該H2−1二水和物形は、化学的に安定であるMTBE溶媒和物形に変換された。
【0073】
HPL、純度〜98.2%。
【0074】
得られた実施例3のMTBE溶媒和物の観察されたPXRDおよびVT−PXRD、並びに示差熱量および熱重量分析の示差熱分析曲線は、それぞれ図8、8A、9および9Aに示す。図8において、PXRDにおける第1の5個の最も強いピークは、16.51(±0.1)°、17.11(±0.1)°、18.08(±0.1)°、21.10(±0.1)°、および23.87(±0.1)°2シータの位置にある。
【0075】
(実施例4)
H2−1二水和物およびH2−2二水和物の製造
n−ブチルアルコール(300mL)、12N HCl(100mL)、およびIKur化合物(非晶質、H2−1二水和物、およびH2−2二水和物の形の混合物の形)(90g)の溶液を調製した。無水エタノール(460mL)を、該IKur化合物を含有する上記溶液に加えた。該反応混合物をポリッシュろ過し(ろ紙:ワットマン4番)、次いでこのものを3つ口の凹んだ(indented)丸底フラスコ(2L)に移し、そして0〜5℃に保った。
【0076】
3N NaOH(330mL)を、バッチ温度を10℃以下に保ちながら、該反応混合物に15〜20分間かけて満たした。
【0077】
得られた溶液は、NaClの沈降のため最初に濁った。3N NaOH(〜200mL)を加えた後に、該溶液は有意に透明になった。NaOH(300mL)を加えた後に、該H2−1二水和物は析出し始めた。NaOHの添加が完結した後に、該スラリーのpHは約1〜2であった。
【0078】
H2−2二水和物の結晶種(1g)を該スラリーに加えた。飽和Na3PO4水溶液(〜115mL)を該シードした反応混合物に満たして、該混合物のpHを6.5〜8.5に調節した。更なる飽和Na3PO4(40mL)を該反応混合物に加えて、pHを6〜7.5内に保った。得られたスラリーを40℃まで加熱した。
【0079】
定期的に、X線回折試料を採取して、H2−1二水和物からのH2−2二水和物への変換を追跡した。
【0080】
1〜3時間後に、純粋なH2−2二水和物を得た。脱イオン水(115mL)を該スラリーに加えた。該スラリーを2℃まで1〜2時間かけて冷却した。該スラリーを2℃で少なくとも1/2時間保ち、次いでこのものをブフナーろうとおよびろ紙(ワットマン4番)を用いてろ過した。該湿性ケーキを、該ろ液の伝導率が約0.001Ω−1となるまで、300mL(〜3ケーキ容量)のエタノール/水(1/2)を用いて洗浄し、続いてH2Oで洗浄した。
【0081】
該ケーキを、弱いハウス(house)真空を用いて吸引乾燥した。該ケーキを均一さのために周期的に撹拌した。湿性ケーキのLOD(TGAによる)が約7.1%となるまで、乾燥を続けた。H2−2二水和物(67g)をHPLC法を用いて得た。AP=99%、粒子サイズD95=75μm。乾燥プロセスはまた、インラインIR寄り(in-line near IR)によっても追跡した。
【0082】
実施例4において製造されるH2−2二水和物の結晶の観察およびシュミレートされた粉末X線回折パターン、並びに示差走査熱量測定および熱重量分析の示差熱分析曲線を、図3、7、4および4Aにそれぞれ示す。
【0083】
(実施例5)
H2−2二水和物を製造するための再結晶
IKur化合物(非晶質、H2−1二水和物、およびH2−2二水和物の形)(128g)を、無水エタノール(560mL)中に2.5℃で溶解した。得られた溶液をポリッシュろ過した。
【0084】
3つ口の凹んだ丸底フラスコ(2L)に、脱イオン水(560mL)およびH2−2二水和物の結晶種(0.3g)を加えた。得られたスラリーを25℃で撹拌した。
【0085】
該リッチな溶液(〜600mL)を滴下ろうとを用いて1〜1.5時間かけて薄いH2Oスラリー(これは、H2−2二水和物の結晶種を含有する)に加えた。
【0086】
得られたスラリーを50℃まで加熱した。無水エタノール(280mL)を、該加熱したスラリーに20分間かけて加えた。エタノールの添加の完結後に、H2−2二水和物の結晶種(1g)を加えた。
【0087】
XRD試料を、H2−1二水和物のH2−2二水和物への変換について定期的に追跡した。
【0088】
純粋なH2−2二水和物を得た後に(4〜10時間)、該スラリーを2℃まで2時間冷却した。ろ過前に、該反応スラリーを2℃で少なくとも1/2時間保った。該冷スラリーをブフナーろうとおよびろ紙(ワットマン番号4)を用いてろ過した。該ケーキを、〜2ケーキ容量のエタノール/水(1/2)から〜4ケーキ容量の水を用いて洗浄した。得られた湿性ケーキを吸引乾燥した。H2−2二水和物(118g)を得た(収率=92.2%)。粒子サイズD95=25μm。
【0089】
実施例5において製造されたH2−2二水和物結晶の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターン、並びに熱重量分析の示差熱分析曲線を、図3、7、4および4Aにそれぞれ示す。
【0090】
(実施例6)
N−3無水和物の経口溶液
以下の組成物の経口溶液を以下に記載する通り製造した。
【表10】
【0091】
該ビヒクルは、第1にTPGSをエタノール中に溶解し、次いで適当な量のPEG400およびポリソルベート80を加えることによって、製造した。
【0092】
次いで、該ビヒクルはN−3無水和物と一緒に混合して、経口溶液を得た。
【0093】
(実施例7)
N−3無水和物の経口懸濁液
以下の組成物の経口懸濁液は、以下の通り製造した。
【表11】
【0094】
該経口懸濁液は、ポリソルベート80および水を混合し、次いでN−3無水和物と混合することによって製造した。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図2】図2は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図2A】図2Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−1二水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図3】図3は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図4】図4は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図4A】図4Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのH2−2二水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図5】図5は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の観察およびシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図6】図6は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図6A】図6Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのN−3無水和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図7】図7は、図1、3および5のシミュレートされた粉末X線回折パターンを合わせたものを示す図面である。
【図7A】図7Aは、図1および7からのN−3結晶形についてのシミュレートされた粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図8】図8は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の粉末X線回折パターンを示す図面である。
【図8A】図8Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形のVT X線回折パターンを示す図面である。
【図9】図9は、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の示差走査熱量測定の示差熱分析曲線を示す図面である。
【図9A】図9Aは、(2S)-1-[[(7R)-7-(3,4-ジクロロフェニル)-4,7-ジヒドロ-5-メチルピラゾロ[1,5]ピリミジン-6-イル]カルボニル]-2-(4-フルオロフェニル)ピロリジンのMTBE溶媒和物結晶形の熱重量分析の示差熱分析曲線を示す図面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)構造:
【化1】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形;
b)上で定義する構造の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形;
c)上で定義する構造の遊離塩基のN−3無水和物結晶形;または、
d)上で定義する溶媒和物の遊離塩基のMTBE溶媒和物。
【請求項2】
図1において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける12.67(±0.1)°、14.18(±0.1)°、23.99(±0.1)°、24.42(±0.1)°、および30.70(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、図2および2Aにおいて示す示差熱分析曲線、並びに下記の表:
【表1】
に示す単結晶X線回折測定値、
を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化2】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形。
【請求項3】
図3において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける13.72(±0.1)°、18.35(±0.1)°、20.48(±0.1)°、23.78(±0.1)°、および26.63(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、図4および4Aにおいて示す示差熱分析曲線、並びに下記の表:
【表2】
に示す単結晶X線回折測定値、
を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化3】
の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形。
【請求項4】
図5において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける12.63(±0.1)°、17.14(±0.1)°、21.74(±0.1)°、22.76(±0.1)°、および27.11(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、並びに図6および6Aにおいて示す示差熱分析曲線を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化4】
の遊離塩基のN−3無水和物結晶形。
【請求項5】
図8および8Aにおいて示す観察された粉末X線回折パターン、または16.51(±0.1)°、17.11(±0.1)°、18.08(±0.1)°、21.10(±0.1)°、および23.87(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、並びに図9および9Aにおいて示す示差熱分析曲線を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化5】
の遊離塩基のMTBE溶媒和物結晶形。
【請求項6】
請求項4において定義する構造:
【化6】
のIKur化合物のN−3無水和物結晶形の製造方法であって、
a)該IKur化合物のH2−2二水和物結晶形を供給し;
b)該H2−2二水和物結晶形をエチルアルコールを用いて処理し;
c)場合により工程b)由来の反応混合物に該IKur化合物のN−3無水和物結晶形をシードして、反応スラリーを得て;
d)工程c)由来の該スラリーを約50℃までの高温で加熱し;そして、
e)得られた生成物を乾燥し、そして該IKur化合物のN−3無水和物結晶を回収する、
ことを含む、該製造方法。
【請求項7】
工程b)由来の反応混合物を該IKur化合物のN−3無水和物結晶の結晶種を用いて処理する、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
工程b)または工程c)由来の反応混合物を、約35〜約50℃の範囲内の温度で、約0.5〜約20時間の範囲内の期間で加熱し、次いで、該反応混合物を周囲温度で約0.5時間〜約3日間の期間、不活性雰囲気下に保つ、請求項6記載の製造方法。
【請求項9】
エチルアルコールを該H2−2二水和物に対するモル比率が約14:1〜約42:1の範囲内で使用し;そして、該N−3無水和物結晶系の結晶種を該H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内で使用する、請求項6記載の製造方法。
【請求項10】
請求項2に記載の構造:
【化7】
のIKur化合物のH2−1二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、もしくはH2−2二水和物、および/またはそれらの2個以上の混合物の結晶形のIKur化合物を供給し;
b)場合により、n−ブチルアルコールおよび濃塩酸中の該IKur化合物の混合物を得て;
c)工程a)または工程b)由来の該IKur化合物をエチルアルコールと約5℃以下の低温で混合し;そして、
d)工程b)または工程c)由来の反応混合物を、該反応混合物を約0℃〜約−25℃の範囲内の温度で保ちながら強塩基を用いて処理し、そして場合により、リン酸三ナトリウムを加えて該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内に調節して、該H2−1二水和物の析出を生じる、
ことを含む、該製造方法。
【請求項11】
ブチルアルコールを、出発IKur化合物に対するモル比率が約12:1〜約24:1の範囲内で使用し;そして、該濃塩酸を該出発IKur化合物に対するモル比率が約4:1〜約10:1の範囲内で使用する、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
工程a)由来の反応混合物を、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約60:1の範囲内で使用するエチルアルコールを用いて処理する、請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
工程b)または工程c)由来の反応混合物をNaOHおよびリン酸三ナトリウムを用いて処理して、該反応混合物のpHを約6〜約7.5の範囲内に調節する、請求項10記載の製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載の構造:
【化8】
のIKur化合物のH2−2二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、および/またはそれらの2個以上の混合物の結晶形のIKur化合物を約2.5℃以下の低温で供給し;
b)工程a)由来の該IKur化合物をエチルアルコールと一緒に混合し;
c)工程b)由来の反応混合物を、該反応混合物を約0〜約−2.5℃の範囲内の温度で保ちながら、塩基および場合によりリン酸三ナトリウムを用いて処理してpHを約6.5〜約9の範囲内に調節して、該IKur化合物のH2−1二水和物の析出を生じそして反応スラリーを得て;
d)H2−1二水和物を含有する反応スラリーにH2−2二水和物の結晶をシードし;
e)工程d)由来の反応混合物または工程c)由来の反応スラリーのpHを約5.5〜約8.5の範囲内に調節し;そして、
f)工程e)由来の反応混合物を約30℃〜約50℃の範囲内の温度で加熱して、H2−2二水和物を得る、
ことを含む、該製造方法。
【請求項15】
エチルアルコールを工程a)の反応混合物と混合する工程を含む、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
工程c)由来の反応混合物に、H2−2二水和物:H2−1二水和物のモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内で使用するH2−2二水和物の結晶をシードする工程を含む、請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
請求項5に記載の構造:
【化9】
のIKur化合物のメチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物結晶形の製造方法であって、
a)MTBE中の該IKur化合物のスラリーを得て;そして、
b)工程a)由来のスラリーをMTBE溶媒和物の結晶種と一緒に混合して、MTBE溶媒和物を得る、
該製造方法。
【請求項18】
請求項3に記載のIKur化合物:
【化10】
のH2−2二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形の該IKur化合物をエチルアルコール中に溶解し;
b)IKur化合物の溶液を、該IKur化合物のH2−2二水和物結晶形の結晶種の水性スラリーに加えて、スラリーを得て;
c)工程b)由来のスラリーを、約35℃〜約65℃の範囲内の温度で加熱し;
d)場合により、工程c)由来の反応混合物にエチルアルコールを加え;
e)場合により、工程c)または工程d)由来の反応混合物に、H2−2二水和物結晶形の更なる結晶種を加えて、H2−2二水和物を得て;
f)場合により、工程e)由来の反応混合物を約−5℃〜約10℃の範囲内の温度で冷却し;そして、
g)H2−2二水和物を回収する、
工程を含む、該製造方法。
【請求項19】
H2−2二水和物の結晶種を、出発IKur化合物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.010:1の範囲内で使用する、請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
工程c)由来の反応混合物を、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約10:1〜約30:1の範囲で使用するエチルアルコールを用いて処理する、請求項18記載の製造方法。
【請求項21】
エチルアルコールを工程c)の反応混合物と混合する工程を含む、請求項18記載の製造方法。
【請求項22】
工程d)由来の反応混合物に、H2−2二水和物:H2−1二水和物のモル比率が約0.001:1〜約0.015:1の範囲内で使用するH2−2二水和物の結晶をシードすることを含む、請求項18記載の製造方法。
【請求項23】
請求項10に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化11】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形。
【請求項24】
請求項14に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化12】
の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形。
【請求項25】
請求項6に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化13】
の遊離塩基のN−3無水和物結晶形。
【請求項26】
請求項17に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化14】
の遊離塩基のMTBE溶媒和物結晶形。
【請求項27】
請求項1記載の化合物の少なくとも1つ、および医薬的に許容し得る担体または希釈剤を含有する、医薬組成物。
【請求項28】
請求項4記載の化合物の少なくとも1つ、および医薬的に許容し得る担体または希釈剤を含有する、医薬組成物。
【請求項29】
処置が必要な患者に、請求項1記載の医薬組成物を投与することを含む、不整脈疾患の処置方法。
【請求項30】
炎症性疾患は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症性疾患、糖尿病、炎症性腸疾患、骨粗鬆症、乾癬、移植片対宿主病、アテローム硬化症、および関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎炎、痛風関節炎および骨関節炎を含む)から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
a)N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、非晶質形態、またはMTBE溶媒和物;
b)d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS);
c)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
d)エタノール;および、
e)ポリエチレングリコール400、
を含有する、経口溶液の形態での請求項27記載の医薬組成物。
【請求項32】
5〜30mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)15〜20重量%のTPGS;
b)7〜10重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
c)8〜12重量%のエタノール;および、
d)50〜70重量%のポリエチレングリコール400、
を含有する担体、
を含有する請求項31記載の組成物。
【請求項33】
組成が、
30mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)20重量%のTPGS;
b)8.5重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
c)10重量%のエタノール;および、
d)61.5重量%のポリエチレングリコール400、
を含有する担体、
を有する、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
a)N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、非晶質形、またはMTBE溶媒和物;
b)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
c)精製水、
を含有する、経口懸濁液の形態である請求項27記載の医薬組成物。
【請求項35】
2〜10mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)0.01〜1重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
b)98〜99.95重量%の精製水、
を含有する担体、
を含有する、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
2mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)0.05重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
b)99.95重量%の精製水、
を含有する担体、
を含有する、請求項34記載の組成物。
【請求項1】
a)構造:
【化1】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形;
b)上で定義する構造の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形;
c)上で定義する構造の遊離塩基のN−3無水和物結晶形;または、
d)上で定義する溶媒和物の遊離塩基のMTBE溶媒和物。
【請求項2】
図1において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける12.67(±0.1)°、14.18(±0.1)°、23.99(±0.1)°、24.42(±0.1)°、および30.70(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、図2および2Aにおいて示す示差熱分析曲線、並びに下記の表:
【表1】
に示す単結晶X線回折測定値、
を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化2】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形。
【請求項3】
図3において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける13.72(±0.1)°、18.35(±0.1)°、20.48(±0.1)°、23.78(±0.1)°、および26.63(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、図4および4Aにおいて示す示差熱分析曲線、並びに下記の表:
【表2】
に示す単結晶X線回折測定値、
を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化3】
の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形。
【請求項4】
図5において示すシミュレートおよび観察された粉末X線回折パターン、または該観察されたパターンにおける12.63(±0.1)°、17.14(±0.1)°、21.74(±0.1)°、22.76(±0.1)°、および27.11(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、並びに図6および6Aにおいて示す示差熱分析曲線を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化4】
の遊離塩基のN−3無水和物結晶形。
【請求項5】
図8および8Aにおいて示す観察された粉末X線回折パターン、または16.51(±0.1)°、17.11(±0.1)°、18.08(±0.1)°、21.10(±0.1)°、および23.87(±0.1)°2シータでの第1の5個の主要ピーク、並びに図9および9Aにおいて示す示差熱分析曲線を特徴とする、請求項1記載の構造:
【化5】
の遊離塩基のMTBE溶媒和物結晶形。
【請求項6】
請求項4において定義する構造:
【化6】
のIKur化合物のN−3無水和物結晶形の製造方法であって、
a)該IKur化合物のH2−2二水和物結晶形を供給し;
b)該H2−2二水和物結晶形をエチルアルコールを用いて処理し;
c)場合により工程b)由来の反応混合物に該IKur化合物のN−3無水和物結晶形をシードして、反応スラリーを得て;
d)工程c)由来の該スラリーを約50℃までの高温で加熱し;そして、
e)得られた生成物を乾燥し、そして該IKur化合物のN−3無水和物結晶を回収する、
ことを含む、該製造方法。
【請求項7】
工程b)由来の反応混合物を該IKur化合物のN−3無水和物結晶の結晶種を用いて処理する、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
工程b)または工程c)由来の反応混合物を、約35〜約50℃の範囲内の温度で、約0.5〜約20時間の範囲内の期間で加熱し、次いで、該反応混合物を周囲温度で約0.5時間〜約3日間の期間、不活性雰囲気下に保つ、請求項6記載の製造方法。
【請求項9】
エチルアルコールを該H2−2二水和物に対するモル比率が約14:1〜約42:1の範囲内で使用し;そして、該N−3無水和物結晶系の結晶種を該H2−2二水和物結晶形に対するモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内で使用する、請求項6記載の製造方法。
【請求項10】
請求項2に記載の構造:
【化7】
のIKur化合物のH2−1二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、もしくはH2−2二水和物、および/またはそれらの2個以上の混合物の結晶形のIKur化合物を供給し;
b)場合により、n−ブチルアルコールおよび濃塩酸中の該IKur化合物の混合物を得て;
c)工程a)または工程b)由来の該IKur化合物をエチルアルコールと約5℃以下の低温で混合し;そして、
d)工程b)または工程c)由来の反応混合物を、該反応混合物を約0℃〜約−25℃の範囲内の温度で保ちながら強塩基を用いて処理し、そして場合により、リン酸三ナトリウムを加えて該反応混合物のpHを約6.5〜約9の範囲内に調節して、該H2−1二水和物の析出を生じる、
ことを含む、該製造方法。
【請求項11】
ブチルアルコールを、出発IKur化合物に対するモル比率が約12:1〜約24:1の範囲内で使用し;そして、該濃塩酸を該出発IKur化合物に対するモル比率が約4:1〜約10:1の範囲内で使用する、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
工程a)由来の反応混合物を、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約30:1〜約60:1の範囲内で使用するエチルアルコールを用いて処理する、請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
工程b)または工程c)由来の反応混合物をNaOHおよびリン酸三ナトリウムを用いて処理して、該反応混合物のpHを約6〜約7.5の範囲内に調節する、請求項10記載の製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載の構造:
【化8】
のIKur化合物のH2−2二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、および/またはそれらの2個以上の混合物の結晶形のIKur化合物を約2.5℃以下の低温で供給し;
b)工程a)由来の該IKur化合物をエチルアルコールと一緒に混合し;
c)工程b)由来の反応混合物を、該反応混合物を約0〜約−2.5℃の範囲内の温度で保ちながら、塩基および場合によりリン酸三ナトリウムを用いて処理してpHを約6.5〜約9の範囲内に調節して、該IKur化合物のH2−1二水和物の析出を生じそして反応スラリーを得て;
d)H2−1二水和物を含有する反応スラリーにH2−2二水和物の結晶をシードし;
e)工程d)由来の反応混合物または工程c)由来の反応スラリーのpHを約5.5〜約8.5の範囲内に調節し;そして、
f)工程e)由来の反応混合物を約30℃〜約50℃の範囲内の温度で加熱して、H2−2二水和物を得る、
ことを含む、該製造方法。
【請求項15】
エチルアルコールを工程a)の反応混合物と混合する工程を含む、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
工程c)由来の反応混合物に、H2−2二水和物:H2−1二水和物のモル比率が約0.001:1〜約0.020:1の範囲内で使用するH2−2二水和物の結晶をシードする工程を含む、請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
請求項5に記載の構造:
【化9】
のIKur化合物のメチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶媒和物結晶形の製造方法であって、
a)MTBE中の該IKur化合物のスラリーを得て;そして、
b)工程a)由来のスラリーをMTBE溶媒和物の結晶種と一緒に混合して、MTBE溶媒和物を得る、
該製造方法。
【請求項18】
請求項3に記載のIKur化合物:
【化10】
のH2−2二水和物結晶形の製造方法であって、
a)非晶質固体、H2−1二水和物、H2−2二水和物、またはそれらの2個以上の混合物の結晶形の該IKur化合物をエチルアルコール中に溶解し;
b)IKur化合物の溶液を、該IKur化合物のH2−2二水和物結晶形の結晶種の水性スラリーに加えて、スラリーを得て;
c)工程b)由来のスラリーを、約35℃〜約65℃の範囲内の温度で加熱し;
d)場合により、工程c)由来の反応混合物にエチルアルコールを加え;
e)場合により、工程c)または工程d)由来の反応混合物に、H2−2二水和物結晶形の更なる結晶種を加えて、H2−2二水和物を得て;
f)場合により、工程e)由来の反応混合物を約−5℃〜約10℃の範囲内の温度で冷却し;そして、
g)H2−2二水和物を回収する、
工程を含む、該製造方法。
【請求項19】
H2−2二水和物の結晶種を、出発IKur化合物に対するモル比率が約0.001:1〜約0.010:1の範囲内で使用する、請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
工程c)由来の反応混合物を、IKur化合物に対するエチルアルコールのモル比率が約10:1〜約30:1の範囲で使用するエチルアルコールを用いて処理する、請求項18記載の製造方法。
【請求項21】
エチルアルコールを工程c)の反応混合物と混合する工程を含む、請求項18記載の製造方法。
【請求項22】
工程d)由来の反応混合物に、H2−2二水和物:H2−1二水和物のモル比率が約0.001:1〜約0.015:1の範囲内で使用するH2−2二水和物の結晶をシードすることを含む、請求項18記載の製造方法。
【請求項23】
請求項10に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化11】
の遊離塩基のH2−1二水和物結晶形。
【請求項24】
請求項14に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化12】
の遊離塩基のH2−2二水和物結晶形。
【請求項25】
請求項6に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化13】
の遊離塩基のN−3無水和物結晶形。
【請求項26】
請求項17に記載の製造方法によって製造される、構造:
【化14】
の遊離塩基のMTBE溶媒和物結晶形。
【請求項27】
請求項1記載の化合物の少なくとも1つ、および医薬的に許容し得る担体または希釈剤を含有する、医薬組成物。
【請求項28】
請求項4記載の化合物の少なくとも1つ、および医薬的に許容し得る担体または希釈剤を含有する、医薬組成物。
【請求項29】
処置が必要な患者に、請求項1記載の医薬組成物を投与することを含む、不整脈疾患の処置方法。
【請求項30】
炎症性疾患は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症性疾患、糖尿病、炎症性腸疾患、骨粗鬆症、乾癬、移植片対宿主病、アテローム硬化症、および関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎炎、痛風関節炎および骨関節炎を含む)から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
a)N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、非晶質形態、またはMTBE溶媒和物;
b)d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS);
c)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
d)エタノール;および、
e)ポリエチレングリコール400、
を含有する、経口溶液の形態での請求項27記載の医薬組成物。
【請求項32】
5〜30mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)15〜20重量%のTPGS;
b)7〜10重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
c)8〜12重量%のエタノール;および、
d)50〜70重量%のポリエチレングリコール400、
を含有する担体、
を含有する請求項31記載の組成物。
【請求項33】
組成が、
30mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)20重量%のTPGS;
b)8.5重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;
c)10重量%のエタノール;および、
d)61.5重量%のポリエチレングリコール400、
を含有する担体、
を有する、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
a)N−3無水和物、H2−1二水和物、H2−2二水和物、非晶質形、またはMTBE溶媒和物;
b)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
c)精製水、
を含有する、経口懸濁液の形態である請求項27記載の医薬組成物。
【請求項35】
2〜10mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)0.01〜1重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
b)98〜99.95重量%の精製水、
を含有する担体、
を含有する、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
2mg/mLのN−3無水和物、並びに、
a)0.05重量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;および、
b)99.95重量%の精製水、
を含有する担体、
を含有する、請求項34記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【公表番号】特表2008−521810(P2008−521810A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543365(P2007−543365)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042193
【国際公開番号】WO2006/057972
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042193
【国際公開番号】WO2006/057972
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】
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