説明

1−アミノ、3−置換フェニルシクロペンタンカルボン酸エステルの個々の立体異性体の製造および単離方法

本発明は、1−アミノ、3−置換フェニルシクロペンタンカルボン酸エステルの個々の立体異性体の製造および単離方法を開示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年12月21日出願の米国暫定特許出願第60/876251号(これの内容は本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
1−アミノ、3−置換フェニルシクロペンタンカルボン酸エステルは、有用な種類の生理活性分子を製造する上での重要な中間体である。これら化合物製造に関する当業界で開示の方法は、ジアステレオマー過剰および/またはエナンチオマー過剰度の高い立体異性体の単離を扱うものではない。従って、ジアステレオマー豊富およびエナンチオマー豊富である材料の単離を扱う方法の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
既報の公知の方法とは対照的に本発明は、高収率であって、ジアステレオマー過剰およびエナンチオマー過剰の両方を高くする(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステル、(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルの製造および単離の有効な方法を開示するものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの化合物は、薬理活性を有する他の化合物を合成する上での中間体である。特に、これらの他の化合物には、WO2007089715A2、WO2006088944A1および他の刊行物に記載のものなどのS1P1作働薬などがあるが、これらに限定されるものではない。S1P1作働薬は、例えば炎症性の疾患および状態の治療、ならびに他の疾患および状態の治療において有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、90%deおよびeeより大きい(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル、(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステル、(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルの効率的かつ有効な合成および単離に関するものである。
【0006】
第1の実施形態において本発明は、下記の式2aおよび2bの化合物:
【0007】
【化1】

の混合物の製造方法であって、下記式1の化合物:
【0008】
【化2】

をアンモニアおよびシアン化物塩と、反応が実質的に完結して下記の式2aおよび2bの化合物の混合物が生成するまで反応させる段階を有する方法を提供する。
【0009】
【化3】

式中、RはBrまたはメトキシである。
【0010】
第2の実施形態において本発明は、L−酒石酸と塩を形成する段階および溶媒中での溶解度差に基づいてジアステレオマー塩混合物を分離する段階を有する、下記式2bの化合物を単離する方法を提供する。
【0011】
【化4】

式中、RはBrまたはメトキシである。
【0012】
第3の実施形態において本発明は、下記式2bの化合物:
【0013】
【化5】

をHCl水溶液およびジオキサンと、反応が実質的に完結して下記式3の化合物が単離されるまで反応させる段階を有する、式3の化合物の製造方法を提供する。
【0014】
【化6】

式中、RはBrまたはメトキシである。
【0015】
第4の実施形態において本発明は、下記式4の化合物:
【0016】
【化7】

の製造方法であって、下記式3の化合物:
【0017】
【化8】

を、反応が実質的に完結して下記式4の化合物が単離されるまで、メタノールおよび塩化チオニルと反応させる段階を有する方法を提供する。
【0018】
【化9】

式中、RはBrまたはメトキシである。
【0019】
第5の実施形態において本発明は、下記式5の化合物:
【0020】
【化10】

の製造方法であって、有機溶媒、窒素で脱気した水中にて、置換されたアリールボロン酸およびロジウム触媒を(R)−または(S)−BINAPと反応させる段階ならびに下記式のシクロアルカノン:
【0021】
【化11】

を、反応が実質的に完了して下記式5の化合物が形成されるまで加える段階を有する方法を提供する。
【0022】
【化12】

式中、RはBrまたはメトキシである。
【0023】
第6の実施形態において本発明は、下記の式6aおよび式6bの化合物の混合物:
【0024】
【化13】

の製造方法であって、水中にて炭酸アンモニウムおよびシアン化物塩の混合物を、下記式5の化合物:
【0025】
【化14】

(式中、RはBrである)と、反応が実質的に完結して下記の式6aおよび式6bの化合物の混合物が得られるまで反応させる段階を有する方法を提供する。
【0026】
【化15】

第7の実施形態において本発明は、下記の式7aおよび式7bの化合物:
【0027】
【化16】

の混合物の製造方法であって、下記の式6aおよび式6bの化合物:
【0028】
【化17】

の混合物を炭酸カリウムおよびアルキル化剤と、反応が実質的に完結して下記の式7aおよび式7bの化合物の混合物が得られるまで反応させる段階を有する方法を提供する。
【0029】
【化18】

第8の実施形態において本発明は、下記式8の化合物:
【0030】
【化19】

の単離方法であって、下記の式7aおよび式7bの化合物:
【0031】
【化20】

の混合物を熱アセトニトリルに溶かす段階、次に反応が実質的に完結して下記式8の化合物が得られるまで前記溶液を冷却する段階を有する方法を提供する。
【0032】
【化21】

第9の実施形態において本発明は、下記式9の化合物:
【0033】
【化22】

の製造方法であって、下記式8の化合物:
【0034】
【化23】

を水系塩基で、反応が実質的に完結して下記式9の化合物が得られるまで加水分解する段階を有する方法を提供する。
【0035】
【化24】

第10の実施形態において本発明は、下記の式10aおよび式10bの化合物:
【0036】
【化25】

の混合物の製造方法であって、下記の式6aおよび式6bの化合物:
【0037】
【化26】

の混合物を無機塩基で、反応が実質的に完結して下記の式10aおよび式10bの化合物の混合物が形成されるまで処理する段階を有する方法を提供する。
【0038】
【化27】

第11の実施形態において本発明は、下記の式11aおよび式11bの化合物:
【0039】
【化28】

の混合物の製造方法であって、下記の式10aおよび式10bの化合物:
【0040】
【化29】

の混合物を塩化チオニルおよびメタノールと、反応が実質的に完結して下記の式11aおよび式11bの化合物の混合物が形成されるまで反応させる段階を有する方法を提供する。
【0041】
【化30】

第12の実施形態において本発明は、下記式11aの化合物:
【0042】
【化31】

の単離方法であって、下記の式11aおよび式11b:
【0043】
【化32】

の混合物を濾過して下記式11aの化合物を単離する段階を有する方法を提供する。
【0044】
【化33】

【発明を実施するための形態】
【0045】
略称
ACN:アセトニトリル
de:ジアステレオマー過剰
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
ee:エナンチオマー過剰
EtOAc:酢酸エチル
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LiOH:水酸化リチウム
MeOH:メタノール
MgSO:硫酸マグネシウム
NaHCO:重炭酸ナトリウム
NaOH:水酸化ナトリウム
Rh:ロジウム
:保持時間
(R)−BINAP:(R)−(−)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン
(S)−BINAP:(S)−(−)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン
TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0046】
分析方法
分析方法は、一般手順または実施例の表中のいずれかで定義される。別段の断りがない限り、Hまたは13C ΝMRデータはいずれも、バリアン・マーキュリー・プラス(Varian Mercury Plus)400MHzまたはブルカー(Bruker)DRX400MHz装置で収集したものであり、化学シフトは百万分率(ppm)で示している。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析データは、実験の部内で詳細に記載されているか、表1中で小文字の方法文字を用いたHPLC条件の表を参照する。
【0047】
【表1】

【0048】
一般的合成図式
本願で開示の大半の化合物を構築するのに用いた一般的合成図式を、以下に記載している(図式1から3)。
【0049】
図式1:α−アミノニトリルを経由する(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルを得る経路
(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチルの合成および単離方法を図式1に示してある。当業者であれば、この方法を(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチルの合成にも適用可能であることは理解するはずである。
【0050】
【化34】

【0051】
図式2:相当するヒダントインを経由する(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステル、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステル、(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルおよび(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルを得る経路
(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチルの合成および単離方法を図式2に示してある。当業者であれば、この方法を(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチルの合成にも適用可能であることは理解するはずである。
【0052】
【化35】

【0053】
図式3:α−アミノニトリルを経由する(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルを得る経路
(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸エステルの合成および単離方法を図式3に示してある。当業者であれば、この方法を(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチルの合成にも適用可能であることは理解するはずである。
【0054】
【化36】

【0055】
一般手順のリスト
一般手順A:α,β−不飽和ケトンへのマイケル付加
一般手順B:ケトンからのヒダントインの形成
一般手順C:N−アルキル化ヒダントインの形成
一般手順D:N−メチルヒダントインの分割
一般手順E:ヒダントインの相当するアミノ酸への加水分解
一般手順F:酸からのエステルの形成
一般手順G:アミノエステルの分割
一般手順H:α−アミノニトリルの形成
一般手順I:α−アミノニトリル類の分割
一般手順J:α−アミノニトリルの加水分解。
【0056】
一般手順の使用例
一般手順の文字コードは、最終生成物に至る合成経路を構成している。その経路の決定方法の作業例を、例として(これに限定されるものではない)実施例##を用いて以下に示す。下記の実施例の合成は、一般手順に詳細に示した一般手順Fを用いて行った。すなわち以下の通りである。
【0057】
【化37】

経路(A、H、I、J)を用いて原料を製造した(一般手順で詳細に説明)。これは、下記の手順に相当し、一般手順Fで用いられるカルボン酸原料は手順A、H、IおよびJにその順序で従っての生成物である。
【0058】
【化38】

【0059】
一般手順
以下において、前記の一般手順図式によって示した合成方法について説明し、それに続いてその一般手順によって合成した化合物の例を示す。下記において記載の具体的な条件および試薬のいずれについても、本発明の範囲に限定を加えるものと解釈すべきではなく、それらは例示のみを目的として提供されている。
【0060】
一般手順A:α,β−不飽和ケトンへのマイケル付加
置換アリールボロン酸(1から3当量、好ましくは1.5当量)およびロジウム触媒(Rh(NBD)BF、ヒドロキシル[(S)−BINAP]ロジウム(I)二量体、Rh(acac)(C/(R)−BINAP、または(R)−もしくは(S)−BINAPと組み合わせたアセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム(I)、好ましくは(S)−生成物の場合は(S)−BINAPと組み合わせたRh(NBD)BF、(R)−生成物の場合は(R)−BINAPと組み合わせたRh(NBD)/BFなど))(1から5mol%、好ましくは1.25mol%)の有機溶媒(テトラヒドロフランまたはジオキサンなど、好ましくはジオキサン)および水中溶液を、窒素で脱気する。シクロアルカノンを混合物に加える。反応液を約20から100℃(好ましくは約25℃)で1から24時間(好ましくは約16時間)にわたり、有機塩基(好ましくはトリエチルアミン)の存在下または非存在下、不活性雰囲気下に攪拌する。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0061】
一般手順Aの例示
(S)−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタノンの製造
【0062】
【化39】

【0063】
Rh(NBD)BF(22mg)およびS−BINAP(40mg)を、脱気した1,4−ジオキサン(3mL)中で一緒に混合する。混合物を室温で2時間攪拌して橙赤色スラリーを得る。別のフラスコ中、4−ブロモフェニルボロン酸(1g、1.5当量)をジオキサン(5.6mL)および水(1.4mL)に室温で溶かし、触媒の入ったフラスコに移す。得られた懸濁液を窒素で脱気し、2−シクロペンテン−1−オン(0.273g、1当量)およびトリエチルアミン(0.336g、1当量)を加える。赤色−橙赤色透明溶液を室温で終夜攪拌する。反応液を酢酸エチルと水との間で分離し、有機層を5%NaCl(水溶液)で1回洗浄し、濃縮する。粗生成物を、20%酢酸エチル/ヘプタンを用いるシリカゲルカラムでさらに精製する。
【0064】
別法として、温度プローブおよび窒素吹き込み管を取り付けた3L三頸丸底フラスコに、室温でジオキサン(1667mL)および水(167mL)中にて4−ブロモフェニルボロン酸(100g、498mmol)およびヒドロキシ[(S)−BINAP]ロジウム(I)二量体(6.20g、4.17mmol)を入れた。得られた懸濁液を窒素で脱気し、2−シクロペンテン−1−オン(27.8mL、332mmol)を1回で加えた。混合物をさらに5分間脱気し、35℃で約16時間加熱した。反応混合物を冷却して室温とし、濃縮した。褐色残留物をEtOAc(500mL)で処理し、濾過した。濾液を飽和NaHCO溶液(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、暗色褐色固体を得た。粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液として1:9EtOAc:ヘプタン)によって精製した。生成物を含む分画を合わせ、濃縮して、(S)−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタノン(70.4g、89%、95%eeキラルHPLCによる測定で)を象牙色固体として得た。
【0065】
LCMS(表1、方法a)R=2.81分;特徴的な質量は検出されなかった。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ7.47(d、2H)、7.27(d、2H)、3.35(m、1H)、2.55(m、1H)、2.25(m、4H)、1.85(m、1H)。
【0066】
別法として、下記の方法に従って、ボロン酸エステルをイン・サイツで形成し、エノンへのロジウム触媒付加で用いることができる。ラバーセプタムおよび窒素導入針を取り付けた250mL丸底フラスコに、EtO(10.7mL)中にて室温で1−ブロモ−4−オクチルベンゼン(5.77g、21.43mmol)を入れる。得られた溶液を冷却して0℃とする。5分後、BuLi(8.21mL、21.43mmol)溶液を注射器によって20分間かけて滴下する。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。得られた溶液を冷却して−78℃とする。10分後、ホウ酸トリメチル(2.395mL、21.43mmol)を注射器によって5分間かけて滴下する。反応混合物を−78℃で30分間攪拌する。反応混合物を飽和NHCl 20mLおよびトルエン50mLで処理する。水相を分離し、トルエン50mLずつで2回抽出する。有機相を合わせ、濃縮する。残留物をトルエンでさらに希釈し、濃縮して水を除去し、真空乾燥する。得られた白色ペースト状固体を、次の変換で直接用いる。粗ホウ酸エステルを、窒素導入アダプタを装備した還流冷却管を取り付けた200mL丸底フラスコに移し、その間にアセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム(I)(0.166g、0.643mmol)および(R)−BINAPエナンチオマー(0.480g、0.772mmol)をそれぞれ一気に加える。フラスコを排気し、窒素を充填する(3サイクル行って酸素を除去する)。その固体に、ジオキサン(40mL)、シクロペント−2−エノン(1.796mL、21.43mmol)および水(4mL)をそれぞれ注射器によって滴下する。得られた懸濁液を100℃で16時間加熱する。得られた橙赤色/褐色溶液を放冷して室温とする。橙赤色/褐色溶液を濃縮し、褐色残留物をエーテルに取り、1N HCl溶液で洗浄する。黄褐色乳濁液が形成される。乳濁した混合物を分離し、EtOAcで抽出する。水相もEtOAcで抽出する。合わせた有機相を10%NaOHおよびブラインで洗浄し、濃縮して褐色油状物を得る。粗サンプルをシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、無色油状物1258mgを得る。
【0067】
一般手順B:ケトンからのヒダントインの形成
炭酸アンモニウム(1から10当量、好ましくは4.5当量)およびシアン化物塩(シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムなど)(1から3当量、好ましくは1.1当量)の水中混合物にケトン(1当量)を加える。反応混合物を2から40時間(好ましくは16時間)にわたり加熱還流する。反応混合物を冷却して室温とし、固体を濾過によって回収し、水で洗浄して粗生成物を得て、それをエーテルでの磨砕によって精製することができる。
【0068】
一般手順Bの例示
(S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンの製造
【0069】
【化40】

【0070】
炭酸アンモニウム(268g、2.79mol)およびシアン化カリウム(44.4g、0.681mol)を入れた丸底フラスコに、水(1500mL、82mol)を加えた。混合物を80℃で加熱し、(S)−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタノン(148.09g、0.62mol)のエタノール(1500mL、25mol)中溶液を加えた。反応混合物を終夜加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とした。粗反応混合物を濾過し、水で洗浄した。固体をエーテル(1.5リットル)で磨砕し、濾過し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、(S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(181.29g、95%)をジアステレオマーの1:1混合物として得た。
【0071】
LCMS(表1、方法a)R=2.24分;m/z:307(M−H)H NMR(400MHz、DMSO−d)δ10.61(s、1H)、8.29(s、1H)、8.24(s、1H)、7.49(d、2H)、7.27(d、1H)、7.24(d、1H)、3.14−3.35(m、1H)、2.45(dd、0.5H)、1.68−2.27(m、5.5H)。
【0072】
一般手順C:N−アルキル化ヒダントインの形成
ヒダントイン(1当量)の入ったフラスコに塩基(炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムなど)(1から3当量、好ましくは1.5当量)および有機溶媒(DMFまたはDMAなど)(好ましくはDMF)を加える。混合物を室温で10から30分間(好ましくは約15分間)にわたり攪拌し、ヨウ化メチル(1から2当量、好ましくは1.1当量)を加える。反応液を室温で24から72時間(好ましくは約48時間)にわたり攪拌する。反応混合物を濃縮し、氷水浴で冷却し、水を加える。沈殿を濾過によって回収して粗生成物を得る。2つの立体異性体を、結晶化によって分離することができる。
【0073】
一般手順Cの例示
(5R,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンの製造
【0074】
【化41】

【0075】
(5)−7−(4−ブロモ−フェニル)−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(ジアステレオマーの1:1混合物、180.3g、0.583mol)の入ったフラスコに、炭酸カリウム(120.9g、0.875mol)と次にDMF(1リットル)を加えた。室温で15分間撹拌後、ヨウ化メチル(39.9mL、0.642mol)を1回で加えた。反応液を室温で2日間攪拌した。反応混合物を減圧下に25℃で部分濃縮して、DMF約400mLおよび過剰のヨウ化メチルを除去した。粗混合物を氷水浴で冷却し、水(2リットル)を加えた。1時間撹拌後、得られた白色沈殿を濾過し、水(1リットル)で洗った。フィルターケーキを屋内真空で終夜乾燥させて、粗(5)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン220gをジアステレオマーの混合物として得た。
【0076】
LCMS(表1、方法a)R=2.50分;m/z:321(M−H)H NMR(400MHz、DMSO−d)δ8.56(s、1H)、7.50(d、2H、J=8.42Hz)、7.27(d、2H、J=8.53Hz)、3.16−3.31(m、1H)、2.84(s、3H)、2.46(dd、1H、J=13.62、8.40Hz)、2.02−2.18(m、2H)、1.72−1.95(m、3H)。
【0077】
一般手順D:N−メチルヒダントインの分割
N−メチルヒダントインの混合物を、濃度約1g/約1から約100mL(好ましくは1g/約23mL)で有機溶媒(好ましくはアセトニトリル)に懸濁させる。得られたスラリーを、固体が溶解するまで加熱して約50から約100℃とする。溶液が均一でない場合は、溶液を熱濾過する。得られた均一溶液を放冷し、かなりの量の固体が存在するまで熟成させる。固体を濾過によって回収する。
【0078】
一般手順Dの例示
(5R,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンの製造
【0079】
【化42】

【0080】
(5R,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンおよび(5S,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンの約1:1混合物(110g)をACN(2.5リットル)に懸濁させ、ほぼ完全に溶解するまで70℃で加熱した。取得物を70℃で一気に濾過し、70℃のACNで洗った(500mLで2回)。合わせた濾液(合計容量3.5リットル)を65℃で撹拌しながら再度加熱した。透明溶液が得られた後、混合物をゆっくり放冷させて50℃としたところ、その時点で溶液から材料が沈降し始めた。溶液を撹拌下に(100rpm)ゆっくり放冷させて30℃とした。2時間熟成させた後、溶液を濾過し、固体を屋内真空下に65℃で3時間乾燥させて、(5R,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(22.2g、12%)を得た。
【0081】
LCMS(表1、方法a)R=2.50分;m/z321(M−H)H NMR(400MHz、DMSO−d)δ8.56(s、1H)、7.50(d、2H、J=8.42Hz)、7.27(d、2H、J=8.53Hz)、3.16−3.31(m、1H)、2.84(s、3H)、2.46(dd、1H、J=13.62、8.40Hz)、2.02−2.18(m、2H)、1.72−1.95(m、3H)。
【0082】
一般手順E:ヒダントインの相当するアミノ酸への加水分解
N−アルキル化ヒダントイン(1当量)の水および有機溶媒の混合物(好ましくは水/ジオキサンまたは水/DMSO)中懸濁液に、無機塩基(水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなど)(5から15当量、好ましくは約8から10当量)を加える。混合物を、16から48時間(好ましくは24時間)にわたり加熱還流する。冷却して室温とした後、反応混合物を希釈し、酸性とし、濾過する。フィルターケーキを好適な溶媒(好ましくは水、酢酸エチルまたはメタノール)で洗浄し、必要に応じてトルエン中でスラリーとして過剰の水を除去し、真空乾燥する。
【0083】
一般手順Eの例示
(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸の製造
【0084】
【化43】

【0085】
(5R,7S)−7−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1,3−ジアザ−スピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(79g、0.24mol)の水(1リットル)中スラリーに、2M NaOH水溶液(1リットル、2mol)およびジオキサン(200mL)を加えた。得られた混合物を24時間加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とし、水(2リットル)で希釈し、沈殿が生成し始めるまで(約pH7)濃HClで酸性とする。酢酸(約20mL)を加えると、粘稠沈殿が生じた。白色沈殿を回収し、水(1リットルで2回)およびEtOAc(1リットル)で洗浄した。フィルターケーキをトルエン(1リットル)に懸濁させ、45℃で減圧下に濃縮した。このプロセスをもう一回繰り返した。白色沈殿を恒量となるまで真空乾燥して、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸(65g、95%)を得た。
【0086】
LCMS(表1、方法a)R=1.56分;m/z:284/286(M+H)H NMR(400MHz、DMSO−d)δ7.55(d、2H)、7.3(d、2H)、3.3(m、1H)、2.65(m、1H)、2.3(m、1H)、2.1−2.2(m、2H)、2.0−2.1(m、1H)、1.85(t、1H)。
【0087】
一般手順F;酸からのエステルの形成
大過剰のメタノールに懸濁させた酸(1当量)を氷/水浴で冷却し、塩化チオニル(5から20当量、好ましくは8から12当量)を滴下する。得られた混合物を2から48時間(好ましくは24から36時間)にわたり加熱還流する。反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、濃縮乾固させる。残留物を好適な溶媒(EtOAcまたはエーテルなど)で磨砕し、真空乾燥して所望の生成物を得る。
【0088】
一般手順Fの例示
(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル塩酸塩の製造
【0089】
【化44】

【0090】
MeOH(1.8リットル)に懸濁させた(1R、3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸(79g、0.28mol)を氷/水浴で冷却し、塩化チオニル(178mL、2.44mol)を滴下した。2日後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、MeOHで洗った(200mLで2回)。濾液を減圧下に濃縮して、白色固体を得た。白色固体をEtOAc(1リットル)で磨砕し、濾過によって回収し、EtOAcで洗い(500mLで2回)、真空乾燥して、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル塩酸塩を白色固体として得た(79g、96%)。
【0091】
LCMS(表1、方法a)R=1.80分(ELSD);m/z:198(M+H)H NMR(400MHz、DMSO−D)δ7.55(d、2H)、7.35(d、2H)、3.82(s、3H)、3.3(m、1H)、2.65(m、1H)、2.3(m、1H)、2.1−2.2(m、3H)、1.95−2.05(t、1H)。キラルHPLC(表1、方法b)。
【0092】
一般手順G:アミノ−エステルの分割
大過剰のメタノールに懸濁させたアミノ酸の混合物(約1当量)を氷/水浴で冷却し、それに塩化チオニル(5から20当量、好ましくは8から12当量)を滴下する。得られた混合物を2から48時間(好ましくは24から36時間)にわたり加熱還流する。反応混合物を冷却して室温とし、濃縮し、約1から15%(好ましくは5%)水の有機溶媒(好ましくはDME)中溶液約5から25容量(好ましくは15容量)に懸濁させる。混合物を加熱して約30から100℃(好ましくは50℃)として約3時間経過させる。冷却してほぼ室温とした後、混合物を濾過する。その手順を約1から5回(好ましくは1回)繰り返して、所望のメチルエステルを約>95%eeおよび約>95%deで得る。
【0093】
一般手順Gの例示:(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル塩酸塩の単離
【0094】
【化45】

【0095】
(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル;塩酸塩および(1S,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル;塩酸塩(一般手順Fから)の粗混合物(約2.6mol)を、1,2−DMEの水溶液(含水量4.8%)15リットルと合わせた。得られたスラリーを50℃で3時間混合し、放冷して室温とし、室温で15時間混合した。得られた混合物を濾過し、60℃で真空乾燥して、(1R,3S)−1−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)シクロペンタンカルボン酸メチル塩酸塩水和物を白色固体として得た(332g、収率36%)。キラルHPLC(表1、方法b)R=19.9分、LCMS(表1、方法a)R=1.80分(ELSD);m/z:198(M+H)
【0096】
一般手順H:α−アミノニトリルの形成
ケトン(1当量)のメタノール性アンモニア中溶液をシアン化ナトリウム(1から4当量、好ましくは約2当量)および塩化アンモニウム(1から4当量、好ましくは約2当量)で処理し、混合物を室温で12から72時間攪拌する。溶媒を減圧下に除去し、残留物を炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムなどの水系塩基で処理し、アミノニトリルを酢酸エチルまたはメチレンクロライドなどの有機溶媒で抽出し、濃縮する。
【0097】
一般手順Hの例示
例H1:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルおよび(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルの製造
【0098】
【化46】

【0099】
(R)−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタノン(11.0g、57.9mmol)の7Mメタノール性アンモニア溶液(120mL)中の溶液を塩化アンモニウム(6.21g、116mmol)およびシアン化ナトリウム(5.68g、116mmol)で処理した。反応液にストッパーを施し、室温で2日間攪拌した。反応液を濃縮し、飽和NaHCO溶液(80mL)で処理し、CHClで抽出した(100mLで2回)。CHCl抽出液を水(40mL)で洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮して、(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルおよび(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルの混合物を油状物として得て(12.4g)、それをそれ以上精製せずに分割で用いた。LCMS(表1、方法a)R=2.17分;m/z217.1(M+H)
【0100】
例H2:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルおよび(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルの製造
【0101】
【化47】

【0102】
(R)−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタノン(21.5g、90.0mmol)の7Mメタノール性アンモニア溶液(220mL)中の溶液を塩化アンモニウム(9.63g、180mmol)およびシアン化ナトリウム(8.82g、180mmol)で処理した。反応液にストッパーを施し、室温で3日間攪拌した。反応液を濃縮し、飽和NaHCO溶液(400mL)で処理し、EtOAc(400mL)で抽出した。EtOAc層を飽和NaCl(300mL)で洗浄し、それ以上精製せずに分割段階で用いた。LCMS(表1、方法a)R=2.61分;m/z:265.1/267.1(M+H)
【0103】
一般手順I:α−アミノニトリルの分割
一般手順Hからの粗生成物をメタノールまたは酢酸エチルなどの好適な有機溶媒に再度溶かし、D−酒石酸またはL−酒石酸のいずれかのメタノール性溶液で処理する。沈殿を溶媒(水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトンまたは混和性有機溶媒の水系混合物)で洗浄して、相対的に溶解度の高いジアステレオマーを除去する。
【0104】
一般手順Iの例示
例I1:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との複合体の製造
【0105】
【化48】

【0106】
例H1からの(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルおよび(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルの混合物(12.4g)をメタノール(100mL)に溶かし、L−酒石酸(8.69g、57.9mmol)のメタノール(100mL)中溶液に加えた。得られた固体を濾去し、HPLC(サーモクエスト(ThermoQuest)50×4.6mm、5μ、ハイパーカーブ(Hypercarb)カラム、部品番号35005−025)によって相対的に溶解度の高い異性体がほぼ消失したことが示されるまで、メタノール80mLずつで繰り返し磨砕した。残った白色固体を乾燥させて、(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との複合体6.0g(28%)を得た。NMR(DMSO−d)7.18(d、2H)、6.85(d、2H)、4.22(s、2H)、3.72(s、3H)、3.30−3.41(m、1H)、2.10−2.30(m、3H)、1.8−2.0(m、2H)、1.6−1.75(m、1H);LCMS(ELSD)親イオンなし、R=2.26分。
【0107】
例I2:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との2:1複合体の製造
【0108】
【化49】

【0109】
例H2からの(1R,3R)−I−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルおよび(1S,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリルのEtOAc(400mL)中混合物をL−酒石酸(13.5g、90.0mmol)で処理し、ロータリーエバポレータでEtOAcを除去した。得られた白色固体を濾去し、HPLC(サーモクエスト50×4.6mm、5μ、ハイパーカーブカラム、部品番号35005−025)によって相対的に溶解度の高い異性体がほぼ消失したことが示されるまで、水で磨砕した(250mLで9回)。残った白色固体を乾燥させて、粗(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との2:1複合体14.5g(47%)を得た。NMR(DMSO)7.45(d、2H)、7.23(d、2H)、4.01(s、1H)、3.30−3.45(m、1H)、2.50(m、1H)、2.10−2.35(m、3H)、1.8−2.0(m、2H)、1.6−1.75(m、1H)。
【0110】
一般手順J:α−アミノニトリルの加水分解
α−アミノニトリルの酒石酸塩(または二酒石酸塩)を、約0.1から0.2g/mLの濃度で6N HClおよびジオキサンの混合物とともに加熱する。混合物を4から48時間(好ましくは約18時間)還流下に加熱し、放冷して室温とする。得られた沈殿を濾去し、水で洗浄し、乾燥させる。
【0111】
一般手順Iの例示
例I1:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸塩酸塩の製造
【0112】
【化50】

【0113】
(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との複合体(5.0g、13.66mmol)の6N塩酸(50mL)およびp−ジオキサン(5mL)中懸濁液を窒素下に100℃で終夜加熱した。反応液を氷上で冷却し、生成物を濾去し、水で洗浄し(5mLで3回)、乾燥させて、(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸塩酸塩2.72g(74%)を白色固体として得た。NMR(DMSO−d)13.9(s(広い)、1H)、8.55(s(広い)、3H)、7.17(d、2H)、6.88(d、2H)、3.40−3.52(m、1H)、2.28−2.40(m、2H)、2.13−2.20(m、2H)、1.90−1.99(m、1H)、1.74−1.85(m、1H)。LCMS(ELSD)、236MH、R=1.43分。
【0114】
例I2:(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸塩酸塩の製造
【0115】
【化51】

【0116】
(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル;(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−コハク酸との2:1複合体(14.4g、42.4mmol)の6N塩酸(72mL)およびp−ジオキサン(72mL)中懸濁液を窒素下に100℃で24時間加熱した。反応液を冷却して室温とし、生成物を濾去し、水で洗浄し(25mLで2回)、乾燥させて、粗(1R,3R)−1−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−シクロペンタンカルボン酸塩酸塩7.91g(58%)を得た。粗生成物(6.89g)をEtOAc25mLでの磨砕を3回行うことでさらに精製し、再度乾燥させて、白色固体6.29g(53%)を得た。NMR(DMSO)13.9(s(広い)、1H)、8.5g(s(広い)、3H)、7.51(d、2H)、7.23(d、2H)、3.50(m、1H)、2.30−2.42(m、2H)、2.10−2.26(m、2H)、1.90−2.05(m、1H)、1.75−1.88(m、1H)。
【0117】
雑誌の論文、特許および公開特許出願などの全ての参考文献の内容は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式2aおよび2bの化合物:
【化52】

の混合物の製造方法であって、下記式1の化合物:
【化53】

をアンモニアおよびシアン化物塩と、反応が実質的に完結して下記の式2aおよび2bの化合物の混合物が生成するまで反応させる段階を有する方法。
【化54】

[式中、RはBrまたはメトキシである。]
【請求項2】
L−酒石酸と塩を形成する段階および溶媒中での溶解度差に基づいてジアステレオマー塩混合物を分離する段階を有する、下記式2bの化合物を単離する方法。
【化55】

[式中、RはBrまたはメトキシである。]
【請求項3】
下記式2bの化合物:
【化56】

をHCl水溶液およびジオキサンと、反応が実質的に完結して下記式3の化合物が単離されるまで反応させる段階を有する、式3の化合物の製造方法。
【化57】

[式中、RはBrまたはメトキシである。]
【請求項4】
下記式4の化合物:
【化58】

の製造方法であって、下記式3の化合物:
【化59】

を、反応が実質的に完結して下記式4の化合物が単離されるまで、メタノールおよび塩化チオニルと反応させる段階を有する方法。
【化60】

[式中、RはBrまたはメトキシである。]
【請求項5】
下記式5の化合物:
【化61】

の製造方法であって、有機溶媒、窒素で脱気した水中にて、置換されたアリールボロン酸およびロジウム触媒を(R)−または(S)−BINAPと反応させる段階ならびに下記式のシクロアルカノン:
【化62】

を、反応が実質的に完了して下記式5の化合物が形成されるまで加える段階を有する方法。
【化63】

[式中、RはBrまたはメトキシである。]
【請求項6】
下記の式6aおよび式6bの化合物の混合物:
【化64】

の製造方法であって、水中にて炭酸アンモニウムおよびシアン化物塩の混合物を、下記式5の化合物:
【化65】

(式中、RはBrである)と、反応が実質的に完結して下記の式6aおよび式6bの化合物の混合物が得られるまで反応させる段階を有する方法。
【化66】

【請求項7】
下記の式7aおよび式7bの化合物:
【化67】

の混合物の製造方法であって、下記の式6aおよび式6bの化合物:
【化68】

の混合物を炭酸カリウムおよびアルキル化剤と、反応が実質的に完結して下記の式7aおよび式7bの化合物の混合物が得られるまで反応させる段階を有する方法。
【化69】

【請求項8】
下記式8の化合物:
【化70】

の単離方法であって、下記の式7aおよび式7bの化合物:
【化71】

の混合物を熱アセトニトリルに溶かす段階、次に反応が実質的に完結して下記式8の化合物が得られるまで前記溶液を冷却する段階を有する方法。
【化72】

【請求項9】
下記式9の化合物:
【化73】

の製造方法であって、下記式8の化合物:
【化74】

を水系塩基で、反応が実質的に完結して下記式9の化合物が得られるまで加水分解する段階を有する方法。
【化75】

【請求項10】
下記の式10aおよび式10bの化合物:
【化76】

の混合物の製造方法であって、下記の式6aおよび式6bの化合物:
【化77】

の混合物を無機塩基で、反応が実質的に完結して下記の式10aおよび式10bの化合物の混合物が形成されるまで処理する段階を有する方法。
【化78】

【請求項11】
下記の式11aおよび式11bの化合物:
【化79】

の混合物の製造方法であって、下記の式10aおよび式10bの化合物:
【化80】

の混合物を塩化チオニルおよびメタノールと、反応が実質的に完結して下記の式11aおよび式11bの化合物の混合物が形成されるまで反応させる段階を有する方法。
【化81】

【請求項12】
下記式11aの化合物:
【化82】

の単離方法であって、下記の式11aおよび式11b:
【化83】

の混合物を濾過して下記式11aの化合物を単離する段階を有する方法。
【化84】


【公表番号】特表2010−513531(P2010−513531A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542959(P2009−542959)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/026257
【国際公開番号】WO2008/079380
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】