説明

1つ又は2つの多孔性ベッドを含む流路

1、2、またはそれ以上の流路(101;201a,b;301a,a’,b)を有し、これらの全てが、全ての流路に共通の多孔質ベッドI(104,204,304)を含み、多孔質ベッドがベッドを通過する溶質Sと作用することができる固定された反応物Rを有する、マイクロチャネル構造を含むマイクロ流体装置。流路の少なくとも1つ(101;201a;301a,a’)が、多孔質ベッドI(104,204,304)の上流に配置され、溶質Sに対する作用ではダミーとなるが、溶質Sを伴う液体アリコート中に存在し、溶質Sと固定された反応物Rとの間の作用の結果を妨害できる物質DSとは作用しうる第2の多孔質ベッドII(105,205,305)を含む。固定されたRが、包括親和力リガンドL、および/またはLとは異なった包括リガンドLIIを示す多孔質ベッドIIで置き換えられる装置および装置の変形を用いる方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体装置、および当該装置のマイクロチャネル構造の特別な種類の流路(101;101a,b;301a,a’,b)中で行われる工程を含むマイクロ流体プロセスに関する。プロセスの一部は、溶質Sが、固相材料に固定された反応物Rと作用することを含む。関連する特別な流路は、流路(101;201a,b;301a,a’,b)中の多孔質ベッドI(204,204,304)の形態の固相材料を含む。
【0002】
プロセスは、例えば、
a)例えば多孔質ベッドI上のグループへの親和力による、溶質Sが固相によって保持または解体されるような、液体から溶質Sの分離を含む除去、および/または、
b)固定された反応物Rとなるように用いられる触媒システムの1つの構成要素を備えた、例えば酵素反応のような触媒反応、および/または、
c)固相合成、
を含む。
【0003】
変形(a)および(b)では、本発明のプロセスは、一般に分析評価またはプロトコルの一部であり、反応物(アナライト)の未同定の形態は、例えば、同一性、構造的特徴、濃度のような絶対的または相対的用語の量等で、特徴づけられ、規定される。「反応物」の用語は、アナライトおよび試薬を含む。
【0004】
「溶質」の用語は、真に溶解された形態、又はコロイド状を含む懸濁した状態の物質をいう。この用語はこのように、バクテリア、糸状菌、ウイルス、バクテリオフォージ等のマイクロ生物体を含み懸濁形態で使用された場合、それらの残像物も含む。
【0005】
ここで引用された全ての特許および特許出願は、参照されることによりその全体がここに組み込まれる。
【背景刊行物】
【0006】
WO 02075312(Gyros AB)は、液体アリコートから特別の材料を除去するための分離ユニットをそれぞれが含む、マイクロチャネル構造を備えたマイクロ流体装置が記載されている。液体アリコートは、次の工程における、親和力に基づく評価の反応物である溶質を含む。
【0007】
PCT/SE2004/001424、WO 0147638(Gyros AB)、WO 03098302(Gyros AB)、WO 02075775(Gyros AB)、WO 02075775(Gyros AB)には、上流処理の結果物の、同定処理を含む場合もある下流処理、に続く液体サンプルの上流処理がそれのために提案された、様々な構造が記載されている。
【0008】
US 6,632,655(Caliper)、Piyasera et al (Anal. Chem. 76 (2004) 6266-6273)およびBuranda et al (Anal. Chem. 74 (2004) 1149-1156)には、区分を含む多孔質ベッドが記載されている。ベッドは、マルチアナライト分析で使用される。
【発明が解決しようとする問題】
【0009】
生物学上の液体試料のような多くの試料が、多くの場合、溶質と、多孔質ベッドに固定された反応物との間の反応の、否定的な良くない結果となりうる妨害物質を含む。これは、WO 02075312(Gyros AB)、およびWO 04083108(Gyros AB)に概略が記載されたサンドイッチ分析中で、即ちアナライトが上述の溶質Sと同じ場合、問題を発生させる。妨害物質は、分解された合成物、集合体、および/または、多くの種類の機能しない試薬(下記参照)を含む特別な材料であってもよい。生物学的に得られた粒状材料は、細胞有機堆積物等や脂質であってもよい。遭遇する問題は、例えばアナライトのような反応物のタイプに関連する。膜関連の生物学的アナライトは、評価を妨害する比較的大量の粒状材料に伴う。細胞、組織、および体液からの試料は、マイクロ流体装置中で扱うのが難しい。免疫性の評価で、望まない方法で免疫試薬と影響しあう、異種親和性の免疫があるかも知れない。試薬の組成は、評価の結果を妨害する形態を含むかもしれない。例えば、通常の背景応答と同等、まあはこれより高い信号応答を形成することによる。区別された反応物は、異常な密度の区別されたグループを有する形態を含み、これにより、通常の区別された形態から、大きさおよび/または化学的に分けられる。
【発明の目的】
【0010】
本発明の目的は、他の問題と同様に、上述の問題に関連するマイクロ流体装置に適用できる改良を提供するものである。これは、アナライトの特徴が特定される分析的評価の、改良された検出限界、アナライト特異性、診断感度および特異性、精度、ダイナミックレンジ、回復等を可能とする方法およびマイクロ流体装置を意味する。本発明は、このように、a)10−9M以下、又は10−12M以下、又は10−13M以下、又は10−14M以下、又は10−15M以下、又は10−16M以下のような、10−6M以下のアナライトの検出限界、b)2、3、4、5、またはそれ以上のオーダーのマグニチュード(M)のダイナミックレンジ、c)±10%以内、又は±5%以内、又は±3%以内のような、±20%以内の精度(CV)、d)80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は100%以上、又はそれ以上のような、70%以上の回復を目的とする。「技術分野」の表題の下部に示したタイプのような、他のプロセスプロトコルに対して、この目的は、他の関連する変形、例えば、単位時間に受け入れられる実験/ランの数、精度、再生産性等に関連する、改良された処理に関する。
【発明】
【0011】
3つの目的の達成が、以下により実現される。
a)多孔質ベッドI(104,204,304)の上流の位置に、マイクロチャネル構造の流路(101,201a,301a,a’)中の多孔質ベッドII(105,205,305)を有する形態の固相材料を提供し、
b)溶質と付随する液体とが、多孔質ベッドI(104,204,304)をとって移動する前に、多孔質ベッドII(105,205,305)を通って、1又はそれ以上の妨害物質を含む液体アリコート中に溶けた溶質Sを移動させる。
多孔質ベッドII(105,205,305)は、溶媒Sに関連したダミーであり、即ち、溶質Sは、影響されずにベッドを通過でき、一方、妨害物質は、固相材料と反応してベッド中で中和される。中和は、退化、捕獲、又は溶質Sと同時又は前に、多孔質ベッドI(104,204,304)を通過するのを防止する他の方法を意味する。溶質Sは、このように、多孔質ベッドII(105,205,305)中で中和された妨害物質の存在下で、固相材料の多孔質ベッドI(104,204,304)と影響しあうことができる。
【0012】
本発明の第1の形態は、1、2、又はそれ以上のマイクロチャネル構造を含むマイクロ流体装置である。各マイクロチャネル構造は、共通の多孔質ベッドI(104,204,304)の形状の固相材料を保有する共通反応マイクロキャビティI(102,202,302)を含む、1又はそれ以上の流路(101,201a,b;301a,a’,b)を含む。このベッドは、ベッドを通過する溶質Sと影響しあうことができる固定した反応物Rをさらし、又はさらそうとする。この文脈で、共通は、この反応マイクロキャビティI/多孔質ベッド(102,202,302/104,204,304)を通る全ての流路を意味する。
【0013】
この装置の主な特徴は、マイクロチャネル構造が、第1の多孔質ベッドIの上流に配置された、第2の多孔質ベッド(105,205,305)を含むことである。多孔質ベッドII(105,205,305)は、反応マイクロキャビティI(102,202,302)から物理的に分離され、又は長い反応マイクロキャビティI+IIを形成するように反応マイクロキャビティII(103,203,303)と接続されて、反応マイクロキャビティII(103,203,303)中には配置される。もし、2つの多孔質ベッドIおよびIIが、そのような反応マイクロキャビティ中に配置された場合、これらは、多孔質ベッドII(105,205,305)に対応する上流セグメントと、多孔質ベッドI(104,204,304)に対応する下流セグメントとを含むジョイント多孔質ベッドを形成する。還元すれば、上流セグメントの下流端部が、下流セグメントの上流端部と接する。これは、多孔質膜(106)がセグメント中に配置され、この境界面で2つの固相材料は混合しないことを確実にすることを含む。多孔質ベッドII(105,205,305)は、溶質Sとの関係ではダミーであるが、妨害物質に対してはダミーでは無い。
【0014】
マイクロキャビティ、マイクロ導管、又は他の機能的ユニットが、他にマイクロキャビティ、マイクロ導管、又は他の機能的ユニットと流体接続され、前者から後者に移動する。
【0015】
妨害物質
妨害物質は、得られる結果に負の影響を与える程度に、多孔質ベッドI(104,204,304)の中又は下流で起きる1又はそれ以上の所望の相互作用の結果を妨害する。一般のプロセスでは、反対方向に影響する多くの品質のパラメータ(結果)が存在する。例えば、同一プロセス/方法の、1回の実験またはランを行うのに必要な時間の量(増加)、単位時間あたりのラン数として測定された生産性(減少)、使用される1又はそれ以上の個々の反応物の回復又は損失(それぞれ減少または増加)、1又はそれ以上の得られる生産物の量(減少)、生産量、純度等のような製造パラメータについての精度(増加)である。分析評価のプロトコルでは、1又はそれ以上の、以下に示す品質パラメータが、反対に影響する。精度(低下)、検出限界(増加)、ダイナミックレンジ(狭くなる)、アナライト感度(低下)、診断感度および特異性(低下)、回復(低下)、アナライト等の使用する反応物の望まない損失(低下)である。
【0016】
妨害物質は、溶解した状態、および/または粒子の状態であっても良い。粒子の状態は、溶解していない如何なる状態も含む。粒子の状態では、妨害物質は、多孔質ベッドIや、多孔質ベッドIの下流にある他の多孔質ベッドを詰まらすことにより、有害な影響を発揮する。プロセス中にベッドの上流又は中で容易に粒子の状態にならない限り、溶解した状態の妨害物質は、ベッドを詰まらせる危険性は低い。溶解した状態の妨害物質は、妨害の影響を次のように発揮する。
a)所望の物質の測定に使用する特徴と同じか、またはそうでなければこの特徴を妨害する測定上の特徴を本来的に含むことにより、またはプロセス中に、そのような測定される特徴を含む存在になる反応にあずかることによる。
b)プロセスの所望の反応と抵触することによる。例えば、加えられた反応物(例えば、アナライトおよび/または1またはそれ以上の加えられた試薬)の中和またはそうでなければ消費による。
c)粒子の状態に変わることにより、マイクロチャネル構造(例えば、多孔質ベッド、測定ゾーン、および/または他の場所)中での堆積および/または沈殿を含む沈殿を起こすことによる。
【0017】
本発明の文脈では、妨害物質は、主として、例えばアナライトまたは試薬のような、溶質Sが反応物である液体中で考えられる。この部脈での液体は、処理されないマイクロ流体装置に投与されることを意図する液体を意味する。
【0018】
試薬含有液
この種類の液体は、一般に合成物である。溶媒や緩衝成分から分配された妨害物質は、このように、比較的容易に避けることができる。試薬部分は、より複雑かも知れない。例えば生物学的有機試薬のような有機試薬は、一般により複雑な材料から形成され、しばしば除去が困難な妨害物質(汚染物)を含む。このように、これらの物質が、使用される液体中に残っている危険性がある。例えば、発言するペプチド/アミノ酸、炭水化物、および/または液体構造(ステロイド構造を含む)、のような生物学的成分により得られた試薬は、このように、出発材料、複生産物等により汚染されるかも知れない。分極するために使用される試薬に加えて、分極される試薬は、活性、および/または分極の数、および/またはそれぞれの分極が取り付けられる位置について異なっている分子状の存在のスペクトラムを含んでも良い。2つの物質AおよびBの結合は、活性、Aおよび/またはBの量、Aの数とBの数との比、および/またはAがBに取り付けられる位置およびBがAに取り付けられる位置、に関連して変化する分子状の存在のスペクトラムを含んでも良い。分極により得られた分極された試薬は、活性度が変化する断辺のスペクトラムを含んでも良い。分極されていない形態の試薬は、分極汚染物を含む。例えば、それらは、生物学的材料から分極され、および/またはペプチドまたはアミノ酸、ヌクレオチド、炭化水素、および/またはステロイド構造を含む液体構造から選択される、少なくとも1つの構造を示す。分極した試薬、および分極していない形態の試薬の双方は、例えば分子量のスペクトラムを有する集塊試薬を含んでも良い。このように、試薬合成物中の分子のいくつかは、検出、および/または処理される感度の限界を、例えば、多孔質ベッドI(104,204,304)やマイクロチャネル構造の内部表面への不特定な固定のような、複製産物中で関係する他のものより高くする傾向にある。
【0019】
アナライト含有液
この種類の液体は、アナライトの濃度および他の成分に関連した、重要な中間試料変化を有する試料により、一般に代表される。アナライト含有液は、一般に、複雑な混合物から形成され、本発明により実行される評価を妨害する物質を多数含む。アナライト含有試料は、このように、工業的または研究的プロセスや方法のプロセスから分配されても良い。プロセスは、非生物学的プロセス、または化学的または生物学的方法により得られる少なくともいくつかの生物学的に得られた材料を用いるという意味において生物学的プロセスであっても良い。例えば、ペプチドまたはアミノ酸、ヌクレオチド、炭化水素、および/またはホルモン構造を含む液体構造から選択される少なくとも1つの構造を示す生物学的有機物を含む。試料の重要な供給源は、血液や血漿および血清のようなその一部、リンパ液、尿、髄液(CSF)、涙、唾液、腸液、胃液、吐き出し液、汗、細胞ホモジェネート、組織上清、人口生物学的流体等のような生物学的流体(即ち、液体)である。「生物学的流体」の用語は、1又はそれ以上のそれらの液体に起因する、この明細書で示される生物学的構造を一般に示す生物学的有機合成物を含む部分も意図する。人口的な生物学的流体は、ここで記載された種類の、1又はそれ以上の生物学的有機分子が加えられた液体を意図する。
【0020】
上述のアナライト含有流体中に存在する3つの主な妨害物質がある(内生的物質)。
A)上述のような粒子材料。血液に起因する試料にとって、粒子材料の用語は、血小板のような血球、赤血球やリンパ細胞のような血液細胞、それらの血球の断片、フィブリンのような凝固生産物、凝血およびその断片、他の血液沈殿物質を含む。一般に生物学的流体では、粒子材料が、細胞関連であり、細胞とその断片、組織断片、分極されていない形態の中性および/またはイオン性の液体等であっても良い。
B)上述のような沈殿、堆積物、またはデポジットを形成する物質。
C)プロセスで使用される試薬と望まない方法で反応し、測定される特徴から分けることができない測定上の特徴を含む物が形成される物質。試薬は、固定化した試薬R、又は分類されたおよび/または結合した形態の試薬のような溶解した形態の試薬でも良い。異好抗体は、この文脈で重要であり、即ち、内生的な抗体は、抗体決定要因を示す抗体試薬と反応し、抗体決定要因は、試料の内生的な抗体を固定することができる。アナライトのための内生的キャリアタンパクは重要であり、特に、もしアナライトが低分子量(例えば、5000ダルトン以下のような10000ダルトン以下)の場合、および/またはもしその自由形態が限定される場合に重要である。他の例は、使用される分類と同じ測定上の特徴を有する内生的な構成である。例えば、もし、試薬で使用される分類が、内生的な酵素と同じ部室を使用すれば、内生的な酵素は測定を妨害する。
D)アルブミン、特にIgGおよびIgAを含むガンマ−グロブリン、アンチトリプシン、およびハプトグロブリンを含むバルクタンパクは妨害し、C)によってキャリアタンパクとして働かない場合でさえも、除去するべきである。
【0021】
多孔質ベッドIおよびII中の固相材料
多孔質ベッドI(104,204,304)および多孔質ベッドII(105,205,305)の固相材料は、同様または異なる種類でも良い。このように、下流のベッド(104,204,304)は、多孔質の一体的なプラグであり、上流のベッド(105,205,305)は、粒子又は他の周囲の方法で密集させたベッドである。両方のベッドは、多孔質の一体物または粒子を密集させた多孔質ベッドでも良い。2つのベッドの固相材料は、基本材料、粒子サイズ(および粒子サイズの分布)、極性、被覆性、親水性/疎水性、膨潤性、弾力性、剛性等の1又はそれ以上について異なってもよい。
【0022】
適当な粒子は、球状又は楕円状(玉状)又は非球状である。固相材料として使用される粒子の適当な平均直径は、一般に1〜100μmの範囲内であり、好適な平均直径は10μm以上、または15μm以上のような5μm以上、および/または50μm以下である。また、例えば平均直径が0.1μmのような、より小さな粒子も使用できる。反応マイクロキャビティの出口と使用される粒子は、互いにマッチして、粒子が反応マイクロキャビティ中に保持される。直径は、「流体力学」の直径に属する。粒子の準備は、単分散(単一サイズ)または多分散(複サイズ)である。粒子は、多孔質での非多孔質でも良い。単一サイズ/複サイズ、および多孔質/非多孔質の用語は、WO 02075312(Gyros AB)と同じ意味を有する。
【0023】
固相の基本材料は、無機、および/または有機材料から形成される。一般的な無機材料はガラスを含み、一般的な有機材料は有機ポリマを含む。ポリマ材料は、例えばガラスのような無機ポリマや、人工的なまたは生物学的な起源から形成される有機ポリマ(生物ポリマ)でも良い。生物ポリマの用語は、天然生物ポリマから形成されるポリマバックボーンを有する半人工的ポリマを含む。一般の人工的有機ポリマは架橋されており、しばしば、重合可能な炭素と炭素の2重結合を含むモノマの重合により得られる。適当なモノマの例は、水酸基のアルキルアクリレートと対応するメタクリレート、アクリルアミドとメタクリルアミド、ビニルとスチリルエーテル、アルケン置換ポリハイドロキシポリマ、スチレン等である。一般的な生物ポリマは、架橋であってもなくても良い。多くの場合、それらは、例えば、アガローズ、デキシトラン、デンプン等の炭水化物構造を示す。多孔質ベッドの文脈における「親水性」の用語は、水と接触した場合に、水を吸着する能力を意図する。この表現は、また、吸着中に液体と接触するベッドの内面が、例えば、酸素や窒素から選択されるヘテロ原子を有する複数の多孔質機能グループを示す。適当な機能グループは、水酸化グループ、エチレンオキサイドグループ(-X-[-CH2CH2O-]n、ここでnは1より大きい整数で、Xは窒素または酸素)、アミノグループ、アミドグループ、エステルグループ、するフォングループ等から選択され、好ましくは、それらのグループは、本質的に電荷のない独立のpHを有し、例えば2〜12の範囲である。特別な形態での固相材料では、これは、少なくとも粒子の外部表面が、多孔質機能グループを示すことを意味する。
【0024】
もし、固相材料の基質材料が疎水性又は十分な親水性で無い場合、例えば、スチレンやポリオレフィンポリマ(コポリマ)に基づく場合、水性液と接触する表面は親水化されなければならない。一般的なプロトコルは、固相材料が、上述と同じような多孔機能グループを示す化合物または化合物の混合物で被覆された固相材料を含む。
【0025】
多孔質ベッドI(104,204,304)、および多孔質ベッドII(105,205,305)中の固相材料は、原則的に、WO 04083108(Gyros AB)のACsのための材料と同じ固相材料から選択される。選択基準またはベッド保持作用の存在に基づく特徴は、適用されてもされなくても良い。多孔質ベッドII(104,204,304)の材料のための追加の基準は、所定の変形でのサイズ排除材料(size exclusion material)は有益であることである。
【0026】
多孔質ベッドII(105,205,305)は、妨害物質および溶質Sの双方を含む液体のフィルタと考えられる。妨害物質が粒子材料の場合、多孔質ベッドII(105,205,305)の上端で機械的に集められる。もし妨害物質が溶解した形態の場合、溶質Sの前又は同時に、反応物が多孔質ベッドI(104,204,304)に達するのを防止するのに2つの主な選択がある。a)この明細書の他の箇所で示したように、固相材料が、妨害物質を中和できる固定化した反応物RDSを備える、および/またはb)固相材料が、妨害材料を遅らし溶質Sを遅らさないサイズ排除材料の形態を備える。
【0027】
適当に選択されたサイズ排除固相材料は、多くの利点を有する。なぜならば、適当に固定されたRDSを備えた場合、a)粒子材料、b)RDSと反応する化合物、およびc)溶質Sより小さなサイズを有する溶解した化合物の形態の妨害物質の中和に有効だからである。好ましいサイズ排除材料または媒体は、ゲル濾過材料を含む液体クロマトグラフィサイズ排除材料である。この文脈で、「より小さいサイズ」は、一般に、より低い分子量、および/または、より小さな流体力学サイズをいう。低い分子量の溶解された妨害物質は、例えば50000ダルトン以下、または10000ダルトン以下、または7000ダルトン以下のような100000ダルトン以下の分子量を有する物質から選択される。「より小さな」と「分子量」の用語は、上述のクロマトグラフサイズ排除材料で行われる測定で与えられる。
【0028】
多孔質サイズ排除媒体は、多孔質ベッドIIを通過する反応物(溶質S)に対して、例えば0.4より小さい、または0.1より小さいような、0.5より小さいKav値を有する固相材料から選択されると信じられている。もし、溶質Sより前または同意に多孔質ベッドIに到達することができる小さいまたは低い分子量の妨害物質または合成物を送らせることが目的であれば、好適なサイズ排除媒体は、0.1〜0.95の範囲無い、典型的には0.40〜0.95の範囲内のKav値を有する。例えば、Kavの定義については、L.Hagerの「タンパクの純化原理、高分解、および応用」、J-C Janson and L Ryden (Eds), VCH Publishers Inc. New York, 1989, 99頁参照。
【0029】
固定化した試薬RDSの選択は、公知の原理により行われ、妨害物質の種類に依存する。RDSはこのように、a)多孔質ベッドII(105,205,305)への電子対により、またはそうでなければプロセスに無害な物質を作ることにより妨害物質を細くする化学反応物、b)物質を無害な生産物に換える触媒システムを有する化合物、c)妨害物質への親和力対(ACDS)である。アナライト含有試料の異好抗体は、例えば、(c)ACDSが、不適切な抗体活性(cold Ig)の免疫グロブリンの準備であり、異好抗体の抗体活性部分と反応する抗原性のデタミナントをさらす場合に、多孔質ベッドII(105,205,305)に捕獲される。多孔質ベッドII(105,205,305)の固相材料は、HIC媒体、即ち、疎水性のグループ(ACDS)を含む親水性分離媒体でも良い。かかる媒体は、リポイド系物質および/または反応物断片より疎水性の反応物断片のような疎水性グループをさらす妨害物質と、潜在的に関係し、中和する。
【0030】
固定化したRDSは、多孔質ベッドII(105,205,305)中の溶質(AC)と親和性のある一方のような、固定化した試薬Rで議論したように、この分野で公知な技術的により行われる。ステプタビジンとビボチンのそれぞれのような、包括的な固定化した親和性のあるペア(バインダBDSとリガンドLDS)は、特に有用であると予想される。
【0031】
ACDSのような、固定化したRDSの部分についての更なる情報は、WO 04083108 (Gyros AB)に見られる固定技術や、以下のACSでの議論に記載されている。
【0032】
一般には、水中でミセル(micelles)を形成する、固定化した両親媒性の高分子材料は、分極した試薬分子を除去するための固定化したRDSとして特に有用である。適当な高分子材料としては、ベータカセインを備えたカセインのような、乳タンパクのようなペプチド構造を示す高分子材料から選択される。適当なそのような物質は、例えば、ポリプロピレン酸化物チェインのような疎水性のポリマチェインのセントラルブロックや、例えばポリスチレン酸化物のような親水性ポリマチェインのエンドブロックを含む、トリブロックポリマのような合成された両親媒性の高分子材料から選択される。SE出願 05001318、および2005年1月20日出願の対応US仮出願「保護物質(Protecting agent)」を参照。最も重要なこの種類のRDS/ACDSの改良された効果は、ダイナミックレンジと検出限界の下方への拡張、ダイナミックレンジの低い部分での感度の増加として表れると思われる。この変形は、特に、疎水分類のような、疎水グループが導入される、分極した試薬に対して有用であると考えられている。
【0033】
多孔質ベッドIの固相材料は、有機的、無機的、生物化学的な作用等の関連できる、固定化した試薬Rを含む。環境や反応物の種類や溶質Sに依存して、この作用は、a)分離、b)触媒反応、c)親和反応、d)固相合成、およびe)その他、の一部からなる。固定化された試薬Rは、a)〜e)の中で、溶質Sの対する親和の一方ACである。即ち、溶質Sと、親和複合体AC−Sを形成することができる。親和対は、一般に、(a)静電気作用、(b)疎水性作用、(c)電子供給需要作用、および/または(d)生物親和固定、に基づく。
【0034】
親和対ACと溶質Sは、このように、生物的親和反応物/生物的親和対の部材である。一般に、生物的親和対は、a)抗原/ハフテンと抗体、b)相補性核酸、c)免疫グロブリン結合タンパクと免疫グロブリン(例えば、IgG、またはそのFc部分とタンパクAまたはG)、d)レクチンおよび対応する炭水化物、e)ビオチンおよびアビジン(ストレプトアビジン)、e)酵素系合成物(酵素物質、酵素余因子、酵素抑制剤等)、f)ヒスチジルおよび/またはシステイニル、リン酸化残渣(即ち、IMACモチーフ)等を含むIMACグループおよびアミノ酸シーケンス、である。抗体は、抗原固定フラグメント、および抗体の擬態を含む。「生物親和対」の用語は、一方または双方の部材が合成物である親和対、例えば、天然生物親和対の部材の一方または双方の擬態、を含む。IMACの用語は、固定化された金属キレートを表す。
【0035】
「親和反応物」の用語は、また、例えば二硫化形態より、可逆共有結合できる反応物を含む。この種類の反応物は、一般に、HS−または−S−SO−グループ(nは0、1、又は2、炭素への自由電子価結合)である。米国特許 5,887,997 (Batista)、4,175,173 (Axen et al.)、および4, 563,304 (Axen et al.)参照。
【0036】
固定化反応物Rは、触媒システムまたは触媒システムの化合物でも良い。触媒システムの化合物は、触媒、共触媒、共同因子、基質(物質)または補基質、制限物質、促進剤等である。酵素システムについて、対応合成物は、酵素、共触媒、共同因子、補酵素、基質、補基質等である。「触媒システム」の用語は、例えば第1のシステムの製造物が、第2の触媒システム等の基質や、すべての生物学的細胞またはそのような細胞の一部である、結合触媒システムを含む。
【0037】
固定化された親和反応物(AC等のR)は、適当な感度と、意図する応用に関連する溶質Sとの作用を特定するように選択されるべきである。一般的な方法や、反応物Rの適当な選択の基準は、この分野では公知である。
【0038】
固相材料への結合は、共有結合、親和結合(例えば、生物学的親和結合)、物理吸着等により行われる。固定化のための技術は、この分野において、一般に知られている。
【0039】
親和結合による固定には、例えば、電子対の共有のように、部材(固定化されたリガンド又はL)の1つが固相材料に固く取り付けられた、固定化された親和対を用いる。対の他の部材(固定化されたバインダ、B)は、バインダBと反応物(R、例えばAC)とを含む結合(固定化結合)として使用される。固定化された親和対の例は、a)ストレプトアビジン/アビジン/ニュートラアビジンと、ビオチニル化された反応物(または、逆に)、b)抗体とハプテニル化された反応物(または、逆に)、c)IMACグループと反応物/溶質Sと接合されたヒスチジルおよび/またはシスチジルおよび/またはホスホニル化された残渣(即ち、IMACモチーフ)を含むアミノ酸シークエント、等である。本発明で使用される固定化された結合対は、一般的な意味で、使用された親和結合は、その後の親和反応に無関係である。
【0040】
「結合(conjugate)」の用語は、第1に、化学結合や組み換え製造結合(半分のそれぞれがペプチド構造)のような電子対共有結合をいう、この用語は、また、いわゆる自然結合、即ち、親和は2つの異なった分子物質に向かっや、互いに間隔をおいた2つの結合サイトを有する親和反応物である。例えば、分子の一の側の種(species)とクラス特性(class-specific)と、他の側の抗原/ハプテン結合とを含む。
【0041】
好ましい固定化親和対(LとB)は、一般には、多くとも10倍以下、または10倍、または10倍、ストレプトタビジンとビオチンの対応する親和定数より大きい、親和定数(KL−B=[L][B]/[L−B])を有する。これは、親和定数が、おおよそ10−13mol/l以下、10−12mol/l以下、10−11mol/l以下、10−10mol/l以下のそれぞれであることを意味する。好ましくは、LとBは、それぞれビオチン結合化合物、ストレプトアビジン結合化合物から選択され、または逆に、ビオチン結合化合物として、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、およびアビジン、ストレプトアビジン、およびニュートラアビジン、アンチビオジン抗体の他の置き換え化学的変形形態のようなアンチビオチンを含む。
【0042】
上述の親和定数は、バイアコア(Uppsala、スエーデン)製のバイオセンサ(表面プラズモン共鳴)、即ち、デキストラン被覆の金表面に固定された親和反応物(ACおよびL)によりその値が得られる。
【0043】
本発明で使用される親和対の少なくとも1つの部材は、特に、生物親和対では、a)ポリおよびオリゴペプチド構造のようなペプチド構造を含むアミノ酸構造、b)炭水化物構造、c)ヌクレイン酸構造を含むヌクレオチド構造、d)ステロイド構造、トリグリサリド構造等のような脂質構造、から選択される構造を示す。この文脈において親和対の用語は、固定化親和対(LとB)、親和反応物および溶質(ACおよびS)、および例えばRDSの固定化に使用される他の親和対をいう。
【0044】
流路および反応マイクロ流路/多孔質ベッド
本発明にかかる一般的なマイクロチャネル構造は、1、2、3、またはそれ以上の流路(101;201a,b;301a,a’,b)を含み、かかる流路のそれぞれは、流路の全てに対して共通の部分を有する。この共通部分(108,208)において、多孔質ベッドI(104,204,304)を含む反応マイクロキャビティI(102,202,302)があり、この多孔質ベッドIは、流路(101;201a,b;301a,a’,b)の全てに共通である。それぞれの流路は、多孔質ベッドI(104,204,304)を通って液体を移動させるために使用される。図1〜3参照。共通部分の上流では、少なくとの1つの流路(101;201a;301a,a’)中に多孔質ベッドII(105,205,305)を含む上流の反応マイクロキャビティ(102,202,302)を有する。
【0045】
多孔質ベッドI(104,204,304)は、ベッド(104,204,304)中を通る液体中に存在する溶質Sと作用する反応物Rを示す。多孔質ベッドII(105)は、例えば、溶質Sを含む液体のような、ベッド中を通る液体中に存在する妨害物質DSと作用する反応物(RDS)を示しても示さなくても良い。多孔質ベッドII(105,205,305)と妨害物質との間の相互作用は、もし、妨害物質が溶質Sより小さなサイズを有し、多孔質ベッドII(105,205,305)の固相材料が適当に選択された場合に、サイズ排除により起きる。
【0046】
多孔質ベッドI(104,204,304)および/または多孔質ベッドII(105,205,305)は、代わりに、包括的な固定化親和対の包括的なリガンドを示しても良い。この変形で、包括的リガントは、マイクロチャネル構造の少なくとも2つの多孔質ベッド中と同じ結合特異性を有する。例えば同じ流路の多孔質ベッドIおよびII(104,204,304および105,205,305)は、本質的に同じ包括的リガント(同じリガント)を有する。このように、同じ流路(101;201a;301a,a’)にある多孔質ベッドI(104,204,304)と多孔質ベッドII(105,205,305)は、包括リガンド(または抗ビオチン)としてビオチンを有する。代わりに、包括リガンドは、同じ流路中の多孔質ベッIおよびII(104,204,304および105,205,305)で、異なった結合特異性を有する。このように、多孔質ベッドI(104,204,304)は、ビオチンを有し、多孔質ベッドII(105,205,305)は、同じ流路(101;201a;301a,a’)中に、抗ビオチン又は逆に包括リガンドLを有する。
【0047】
多孔質ベッドIまたはII(それぞれ104,204,304と105,205,305)を含む反応マイクロキャビティは、ベッドにより占められる体積により定義される。反応マイクロキャビティは、全体として直線または湾曲したマイクロ導管のようで、連続して広くおよび/または狭くなっても、ならなくても良い。同じ位置に配置され、および/または1のマイクロチャネル構造中で機能するマイクロキャビティは、一般に、他のマイクロチャネル構造中の対応マイクロキャビティと、実質的の同じ形状および/または大きさを有する。一般の、反応マイクロキャビティとして、多孔質ベッドIまたはII(104,204,304および105,205,305)を含むマイクロキャビティは、少なくとも1つの断面直径(深さおよび/または幅)において、500μm以下、または200μm以下のような1000μm以下となる。最も小さい断面直径は、一般には25μm以上、または50μm以上のような5μm以上である。反応マイクロキャビティの全体積は、一般には、1000nl以下、または500nl以下、または100nl以下、または50nl以下、または25nl以下のような、5000nl以下である。
【0048】
図1aは、変形例であり、多孔質ベッドI(104)および多孔質ベッドII(105)の双方のための、1の単体の反応マイクロキャビティ(102+103)を備えた少なくとも1つの流路(101)を有する。上流ベッド(105)の下流端部は、下流ベッド(104)の上流端部に接し、可能ならば、ベッド(104,105)の間に多孔質膜(106)を含む。
【0049】
図1bは、変形例であり、2つの分離されたマイクロキャビティIおよびII(それぞれ102および103)を備えた少なくとも1つの流路(101)を有する。1つは多孔質ベッドI(104)用であり、他方は多孔質ベッドII(105)用である。図2のために、より詳細の述べると、2つの反応マイクロキャビティ(102および103)の間に、液体ルータ機能(107)を有する。このルータ(107)は、液体を、多孔質ベッドI(104)に接続されたマイクロ導管(109)、または流路(101)から液体を排出できるマイクロ導管(110)のいずれかに接続される。
【0050】
図2は、変形例であり、少なくとも2種類の流路(201aおよび201b)を有する。それらの1つは、上述のように多孔質ベッドIおよびII(204および205)の双方がその中にある流路(201a)を含む。他の1つは、多孔質ベッドIIの無い流路(201b)を含む。反応マイクロキャビティ/ベッド(202/204;203/205)の間には、液体ルータ機能(207)を有する。この機能は、2つのマイクロ導管AおよびB(それぞれ209および210)のいずれかに液体を切り替え、多孔質ベッドII(205)のみと作用することを意図する液体が、多孔質ベッドI(204)を通過するのを防止することができる。液体ルータ機能(207)は、機械的又は表面張力に基づくバルブ機能を有する。もし遠心力が使用された場合、ルート機能は、PCT/SE2004/001424 (Gyros AB)に記載されたようになる。この液体ルータ機能は、多孔質ベッドII(205)が、包括的リガンドに対する包括的な親和の一方(バインダ)を含む結合形態の反応物をそれに固定化する包括的リガンドRDSを最初から含む場合に有用である。多孔質ベッドI(204)が包括的リガンドを示した場合、固定化された反応物Rは、多孔質ベッドI(204)を通る流路(201b)、即ち、多孔質ベッドII(205)の無い流路を介して、このリガンド(包括的バインダ)に対する包括的な一方(counterpart)を備えた結合(共役)の形で反応物Rを通すことにより、導入される。実際の方法が行われた場合、妨害物質を伴う反応物を含む液体がベッドII(205)を通り、マイクロ導管A(209)を介して多孔質ベッドI(204)を通る。他の液体は、好ましくは、多孔質ベッドIIの無い流路(201b)を介して導入される。
【0051】
図3は、他の変形例であり、少なくとも2種類の流路(301a,301a’および301b)を有する。それらの1つは、多孔質ベッドIおよびII(304および305)の双方を有する流路(301a,301a’)を含む。他の1つは、全ての流路(301a,301a’および301b)に共通の多孔質ベッドI(304)のみを含む流路を含む。各流路(301a,301a’)は、多孔質ベッドII(305,305’)と多孔質ベッドIに続くマイクロ導管(309)を備えた多孔質ベッドI(304,304’)との間の液体ルータ(307,307’)と、マイクロ導管B(310)への出口を有する。多孔質ベッドIIを含む1又はそれ以上の流路(301a)中の多孔質ベッドII(305)は、多孔質ベッドIIを含む流路(301a’)の1又はそれ以上の残りの流路中の多孔質ベッドII(305)とは異なり、または本質的に同一である。違いは、マトリックスの種類、妨害物質と作用する固定化された反応物(RDS)、包括的なリガンド等に関する。この変形例は、1の溶液が第1の妨害物質を含み、他の溶液が、同じ固相材料を使用して中和できない第2の妨害物質、例えば同じ固定化反応物RDSを含む場合に結うようである。
【0052】
本発明で使用されるマイクロチャネル構造の一般的な概略は、更に、WO 02074438 (Gyros AB)中の図4c、WO 04083108 (Gyros AB)中の図1、PCT/SE2004/001424 (Gyros AB)中の図2により示される。明細書の実験1および2で使用される構造は、WO 04083108 (Gyros AB)の図1による。
【0053】
上述の流路は、単にマイクロチャネル構造の一部を表すだけである。加えて、以下の中から選択される、1、2、3、又はそれ以上の機能的ユニットを有しても良い。a)例えば、可能であれば体積測定ユニットを備えた導入ポート/導入開口部を含む導入アレンジ、b)液体移動用の更なるマイクロ導管、c)例えば、均一系反応を行う、1またはそれ以上の他の反応マイクロキャビティ、d)混合マイクロキャビティ、e)粒子を液体から分離するためのユニット(導入アレンジ内にあるのが好ましい)、f)例えば、毛細管電気泳動、クロマトグラフィ等により、試料中に溶けたまたは懸濁した成分を、互いに分離するためのユニット、g)検出マイクロキャビティ、h)排水導管/マイクロキャビティ、i)バルブ、j)周囲環境への通気孔、等。例えば、多孔質ベッドI(104,204,304)を含む反応マイクロキャビティと、多孔質ベッドI(104,204,304)を含む検出マイクロキャビティとを兼ねるように、機能的ユニット部分は1以上の機能を有しても良い。マイクロ流体装置中の多くの種類の機能的ユニットは、Gyros AB/Amersham Pharmacia Biotech AB によるWO 9955827、WO 9958245、WO 02074438、WO 0275312、WO 03024598、WO 03018198、およびTecan/Gamera BiosciencesによるWO 0187587、WO 0187486、WO 0079285、WO 0078455、WO 0069560、WO 9807019、WO 9853311に開示されている。
【0054】
それらの機能的ユニットは、本発明で使用されるマイクロチャネル構造に有しても良い。例えば、多孔質ベッドIおよびIIの間の上流多孔質ベッドII(105,205,305)、および/または流路/マイクロチャネル構造中を移動する液体アリコートを更に処理するための上流多孔質ベッドI(104,204,304)である。マイクロチャネル構造は、本発明の主な特徴により使用される、多孔質ベッドの上流または下流に追加された多孔質ベッドを含んでも良い。マイクロチャネル構造中も追加された1対の多孔質ベッドIおよびIIは、流路(101;201a,b;301a,a’,b)から分離された流路の組みを規定しても良い。
【0055】
上述のように、多孔質ベッド用を意図する反応マイクロキャビティは、1またはそれ以上の導入アレンジメント(上流方向)に接続されても良い。導入アレンジメントのそれぞれは、導入ポートと少なくとも1つの体積測定ユニットを含む。1の有用な変形例では、1つのマイクロチャネル構造につき1つの分離された導入アレンジメントを有し、反応マイクロキャビティは、固相材料を含むことを意図する。他の有用な変形例では、導入アレンジメントは、すべてまたは一部のマイクロチャネル構造にとって(また、反応マイクロキャビティの一部にとっても)共通である。この種類の共通導入アレンジメントは、一般に、共通の導入ポートと、一部である各マイクロチャネル構造/反応マイクロキャビティについて1の体積測定ユニットを備えた分配マニフォールドを含む。双方の変形例で、体積測定ユニットは、続いて、マイクロチャネル構造の下流部分、および/または下流の反応マイクロキャビティと接続される。共通導入アレンジメント、および/または共通分配マニフォールドにより接続されたマイクロチャネル構造は、装置のマイクロチャネル構造のグループを規定する。
【0056】
一般的な導入アレンジメントは、WO 0274438、(Gyros AB)、WO 0275312 (Gyros AB)、WO 0275775 (Gyros AB)、およびWO 0275776 (Gyros AB)に記載されている。
【0057】
マイクロ流体装置は、異なるマイクロチャネル構造に接続された、他の共通のマイクロチャネル/マイクロ導管を含んでも良い。導入ポート、排出ポート、通気孔等のような様々な部分を含む共通チャネルは、それらが接続された、それぞれのマイクロチャネル構造の一部と考えられる。
【0058】
マイクロ流体装置の他の特徴
マイクロ流体装置は、1又はそれ以上の、マイクロリットル(μl)範囲の液体アリコート、一般にはナノリットル(nl)範囲で、例えば、アナライトおよび試薬、製造物、試料、バッファ、および/またはその他のような多くの種類の反応物がその中で処理されるマイクロチャネル構造を含む。マイクロリットル(μl)範囲の液体アリコートは、例えば100μl以下、または10μl以下のような、1000μl以下の体積を有し、多くの場合は、例えば500nl以下または100nl以下のような、1000nl以下の体積である、上限が5000nlであるナノリットル(nl)範囲を含む。ナノリットル(nl)範囲は、ピコリットル(pl)の範囲を含む。マイクロチャネル構造は、10以下、好ましくは10以下のような5×10以下の断面直径を有する、1またはそれ以上のキャビティおよび/または導管を含む。
【0059】
マイクロ流体装置は、好ましくは、本発明により固相を含むことを意図する複数のマイクロチャネル構造/装置を含む。この文脈において、複数は、2またはそれ以上のマイクロチャネル構造を意味し、一般には、例えば25以上または90以上または180以上または270以上または360以上であり、10以上となる。上述のように、装置のマイクロチャネル構造はグループに分割され、各グループは、反応マイクロキャビティのサイズおよび/または形状や、共通の導入アレンジメントやマニフォールド等のような、共通マイクロチャネルにより特定される。そのような各グループは、一般に、3〜15、または3〜50のマイクロチャネル構造を含む。
【0060】
異なった原理が、上述の1またはそれ以上機能部分の間のマイクロ流体装置/マイクロチャネル構造中の液体のアリコートを移動させるのに使用される。例えば、以下で検討するようなディスクの回転による、慣性力が使用されても良い。他の好適な力は、毛管力、動電気的力、毛管力や静水力等のような非動電気的力である。
【0061】
マイクロ流体装置は、一般にはディスク状である。好ましい形態は、ディスク面に垂直な対称軸(Cを含む)。ここで、nは、2、3、4、5、またはそれ以上の整数であり、好ましくは∞(C)である。還元すれば、ディスクは、例えば正方形のような矩形や他の多角形形状でも良いが、好ましくは円形である。一旦好ましいディスク形状が決定された場合、回転軸に装置が回転されることにより、遠心力が液流を移動させるのに使用される。回転軸は、ディスク面に垂直または平行である。好ましい変形では、回転軸は、対称軸と同一である。
【0062】
好ましい遠心力に基づく変形では、各マイクロチャネル構造が、回転軸に対して、下流部分より小さい半径の上流部分を含む。多孔質ベッドIおよび/またはIIを含む反応マイクロキャビティは、2つの部分の半径位置の中間の半径位置にある。
【0063】
好ましい装置は、従来のCD形状と類似したサイズおよび形状を備えたディスク形状であり、例えば、従来のCD形状の、10%増から300%増の範囲にある。
【0064】
マイクロ流体装置のマイクロチャネル/マイクロキャビティは、他の本質的に平坦な基板(蓋)を用いて表面を覆う、カバーされていないチャネル/キャビティを示す本質的に平坦な基板から形成される。WO 9116966 (Pharmacia Biotech AB)およびWO 0154810 (Gyros AB)参照。双方の基板は、好ましくは、プラスチックポリマ材料等のプラスチック材料から形成されることが好ましい。
【0065】
内部表面の汚染活性や親水性は、装置中で行われる処理に適用されるべきである。例えば、WO 0147637 (Gyros AB)参照。
【0066】
「濡れ性」(親水性)および「非濡れ性」(疎水性)の用語は、表面が、それぞれ90°以下または90°以上の水接触角を有することを意図する。異なった機能部分の間の液体の効率的な移動を確実にするために、マイクロチャネル構造の個々の部分の内面は、最初は濡れ性を有し、好ましくは例えば、50°以下、または40°以下、または30°以下、または20°以下のような60°以下の接触角を有する。これらの濡れ性の値は、少なくとも1、2、3または4つのマイクロ導管の内壁に適用される。1またはそれ以上の内壁がより高い水との接触角を有する場合、残りの内壁のより低い接触角により補正される。特に導入アレンジメントでは、一旦液体がキャビティに入りだすと、毛管現象(自己吸入)もより意図するマイクロキャビティが満たされるように水の流体が満たされるように、濡れ性が適用されるべきである。マイクロチャネル構造の内壁の濡れ性のある表面は、例えば、能動バルブ、反ウイッキング手段、周囲環境に通気する通気孔単独機能等の導入のように、親水性の内部側壁中への、部分的な疎水性表面の割り込みを含んでも良い。例えば、WO 9958245(Gyros AB)およびWO 0274438(Gyros AB)参照。
【0067】
一般には+25℃である使用温度のおける値に対する接触角は一定で、WO 0056808 (Gyros AB)およびWO 0147637 (Gyros AB)に記載された方法で測定できる。
【0068】
マイクロ流体装置を使用する方法
本発明の第2の形態は、本発明の第1の形態で定義したようなマイクロチャネル構造の流路中で、マイクロ流体処理を行う方法である。このマイクロ流体処理は、一般に、例えば、本発明の方法に必要とされる型の多孔質ベッドを含みまた含まない追加の流路のような、マイクロチャネル構造中に追加の機能/部分が有ることを必要とする。装置の、少なくとも1、2、又はそれ以上のマイクロチャネル構造のそれぞれに対して、方法は以下の工程を含む。
(i)多孔質ベッドII(105,205,305)と多孔質ベッドI(104,204,304)とを含む流路(101;201a,a’..;301a,a’..)の多孔質ベッドII(105,205,305)の上流である位置に、溶質Sを含む第1の液体アリコートを提供する工程、
(ii)多孔質ベッドII(105,205,305)を通ってアリコートを移動させる工程、および
(iii)その後に、多孔質ベッドI(104,204,304)を通って溶質Sを移動させる工程。
【0069】
工程(i)は、アリコートおよび/または溶質Sが、装置/マイクロチャネル構造の中で形成され、またはマイクロチャネル構造に投入されることを含む。アリコートおよび/または溶質Sの形成は、一般に、多孔質ベッドII(105,205,305)の上流位置で行われる。アリコートの投入は、多孔質ベッドII(105,205,305)の上流位置であり、本発明で使用される各マイクロチャネル構造の導入ポートを介して行われる。この導入ポートは、多孔質ベッドII(105,205,305)の上流の位置で流路と液体接続されている。その中で形成が行われる機能や、またはアリコートが投入される導入ポートが、多くのマイクロチャネル構造に対して共通である。
【0070】
(i)から(iii)の一連の工程は、多孔質ベッドI(104,204,304)中の固定化された反応物が中和されることを意味し、例えば、以下ように得られるグループ又は合成物に変形される。
a)例えば、(i)から(iii)の一連の工程の連続したランのように、処理の連続した工程で、反応物として使用される固定化された製造物として、または
b)多孔質ベッドI(104,204,304)から放出され、処理の他の工程で使用される製造物として。
【0071】
触媒非基質合成物である固定化された反応物(RおよびRDS)を含む多孔質ベッドIおよびII(104,204,304;105,205,305)は、(i)から(iii)の一連の繰り返しランで、再使用することができる。上述のように形成された分析的に検出できる製造物/反応物は、例えば、アナライトである溶質Sの、反射特性のように、処理の特性の検出器として使用される。もし、特徴づけられるアナライトがある場合、アナライトは、このように、この種類の製造物/反応物を測定することで、得られた値から特定される。測定は、反応マイクロキャビティI(102,202,302)/多孔質ベッドI(104,204,304)の中、および/またはこのマイクロキャビティ/多孔質ベッドの下流で行われる。
【0072】
(i)から(iii)の一連の工程は、行われる処理により必要とされるように、1度、2度、またはそれ以上繰り返される。これは、処理と方法が、第2の液体アリコートが使用される、(i)から(iii)の一連の工程の第2のランを含むことを意味する。この第2のアリコートは、溶質S、可能であれば第1のアリコートの妨害物質とは異なる1またはそれ以上の妨害物質、他のバッファ又はバッファ濃度、および/または異なった溶液成分等を含む。第2のアリコートは、第1のアリコートと同一の流路、または多孔質ベッドIおよびIIを含む他の流路(301a’)で供給される。この他の流路(301a’)の中の多孔質ベッドIIの、妨害物質に対する能力は、第1の使用された流路(301a)の中の多孔質ベッドII(105,205,305)の対応能力とは一般に異なる。更に、溶質Sと妨害物質とを含む更なるアリコート(第3、第4等)は、(i)から(iii)の一連の工程の繰り返しランで、連続して提供される。追加のアリコート/ラン(第2、第3、第4...)のそれぞれに対して、多孔質ベッドII(105,205,305)と流路が、移動されるアリコートの溶質Sと同時または前に、妨害物質が多孔質ベッドI(104,204,304)に到達するのを妨げるように選択される。
【0073】
第1のランの前に、ランの間、および/または(i)から(iii)の一連の工程の最後のランに続いて、1またはそれ以上の追加の液体アリコートのそれぞれが、以下のように与えられても良い。
a)多孔質ベッドII(105,205,305)を含む流路(101;201a,b;301a,a’)中の上流の多孔質ベッドII(105,205,305)、または
b)多孔質ベッドII(105,205,305)を含む流路(201b、301b)中の上流の多孔質ベッドI(104,204,304)。
【0074】
追加のアリコートは、一般に、多くの理由から処理にとって受け入れられると考えられる妨害物質を含む、妨害物質が無い。これらは、一般に、溶質Sの欠けた洗浄または調整液であり、バッファ基質、水、水混和性溶媒、および、例えば、中和剤やテンサイドのような表面活性材を含んでもよい。それらの1またはそれ以上は、溶質Sを含む。
【0075】
本発明にかかる方法および処理は、またアリコートが多孔質ベッドI(104,204,304)およびII(105,205,305)を通り抜けることを必要としない液体アリコートの処理を含む。一般に、そのような工程は、下流の多孔質ベッドI(104,204,304)および上流の多孔質ベッドII(105,205,305)で処理される。
【0076】
第1のランおよび/または繰り返しランの、工程(ii)と(iii)との間の移動は、安定したまたは以下の間の作用のための条件を提供するように選択される。
a)親和力対ACDSのような安定化反応物RDS、および妨害物質、および/または、
b)親和力対ACのような安定化反応物R、および溶質S。
【0077】
多孔質ベッドを通過する一般的な流量の条件は、例えば、0.050秒以上、または0.1秒以上のような0.010秒以上で、一般には、例えば1時間以下のような2時間の上限時間である滞在時間を与える。実例となる流量は、例えば0.01〜100nl/秒、より一般には0.1〜10nl/秒のような、0.01〜1000nl/秒の範囲内である。それらの流量間隔は、例えば1〜50nl又は1〜25nlのような、1〜200nlの範囲のベッド体積に有用である。時間に対する滞在時間は、反応マイクロキャビティ中で液体アリコートが固相と接触するように時間である。流量は、言及した相互作用が、拡散限定条件、または非拡散限定条件の下で起きるように適用される。流量条件を伴う更なる詳細や特徴は、WO 0275312 (Gyros AB)で与えられる。
【0078】
(i)から(iii)の一連の工程は、(a)分離方法、(b)触媒反応の方法、(c)固相合成等の一部であっても良い。
【0079】
分離は、以下に示す他のものを含む。
a)捕獲、即ち、多孔質ベッドIが、溶質Sのための固定能力を有する親和構造(親和リガンド、親和反応物)を示す。これにより、溶質Sを含む液体がベッドを通過した場合、溶質Sの無い液体、または溶質Sが低減された液体が、溶出液に出て、および/または、
b)固相材料の後での使用のための、固相材料上への溶質の固定であり、捕獲、触媒反応、固相触媒等の中で修正される。
【0080】
代わりに、(a)(捕獲)溶質は、多孔質ベッドI(104,204,304)に向かい、親和構造や溶質を含む固定化された親和複合体を形成する。
【0081】
固定化(bの代わり)において、多孔質ベッドI(104,204,304)は接続B’−AC’(=S’)に対する親和対である一般的な親和構造L’(包括的リガンド)(AC)を示す。この接続B’−AC’は、2種類の接続サイトを有する。第1のサイトB’は、包括的で、多孔質ベッドI(104,204,304)の上の包括的親和構造L’の方向を向き、第2のサイトAC’は、溶質S、L’、B’、S’およびAC’の方向を向き、L、B、S、おおよびACに対応し、本発明の第1の形態の文脈で、親和常数を含むL、B、S、およびACについて言われたように、ここでも適用する。
【0082】
分離は、溶質Sの純化または濃縮プロトコルの一部である。溶質Sは、汚染物、または純化や濃縮等がなされる物質でも良い。分離は、また、合成プロトコル、準備プロトコル、細胞に基づく分析、核酸分析、免疫分析、酵素分析、および他のレセプタとリガンドとの間の親和力に基づくリガンド−レセプタ分析を含む多くの種類の親和力分析の一部でもある。
【0083】
固相材料(多孔質ベッドI(104,204,304))上に固定化された反応物Rに溶質Sを固定するための捕獲工程を用いる親和力分析は、一般に、分析で使用される反応物(アナライト)の特徴づけられない長所や変化の特徴づけを目的とする。一般的な特徴/変化は、以下の2種類からなる。a)存在および/または不存在、濃度、相対量、固定、結合活性や酵素活性のような活性を含む量、およびb)例えば、親和定数、特異性等のような親和力を含む親和反応の特性、である。pH、温度、イオン強度等のような反応変数、問題となる実験/反応の結果への影響も、特徴づけられる/決定される(収量、精度、回復等)。WO 02705312 (Gyros AB)参照。
【0084】
本発明が適用される親和力分析の主なグループは、a)阻害試験や置き換え試験を含む競争親和力分析、またはb)サンドイッチ分析を含む非競争親和力分析、である。親和力試験の条件は、親和複合体の量が、試料中のアナライトの不存在、存在、および/または量(濃度を含む)と関連するように選択される。親和力分析は、少なくとも一工程が、親和力複合体を作製するように、固定化された反応物と親和力対との間の親和反応を利用するという意味で、異種(homogeneous)である。親和力複合体、試料中のアナライトの存在、不存在、および/または量に関連する量、を測定するために、親和力分析は、分析的に検出可能な反応物を使用する。親和力反応物で使用される分析的な検出可能な反応物は、親和力反応物と分類された化合物との間で、検出可能なまたは人工の結合を、本質的に検出できる。2つの主な種類の分類が存在する。
a)酵素分類(酵素、コエンザイム、基質、補基質、補因子等)、放射性のあるイソプトペス、発色団、色原体、および/または蛍光団、バイオルミノファ、および/またはバイオルミノゲン、金属原子、およびイオン等のような信号放射分類、および、
b)親和力分類に固定される1の部分と、分析的に検出可能な他の部分とを含む第二の検出反応を必要とする親和力分類、である。
【0085】
本発明に適用される触媒反応は、使用される触媒システムの1又はそれ以上の固定化された化合物を示す固相材料(多孔質ベッドI(104,204,304))を含み、また同じシステムの他の化合物は溶質Sである。触媒反応は、固定化された部材(親和構造、親和リガンド、親和反応物)と溶質S、可能であれば溶媒システムの他の部材を含む、との間で、親和力複合体が形成されることを含む。
【0086】
「触媒システム」の用語は、単体酵素システムと、一連の接続された酵素システム、他の反応システムと接続された単体触媒システム、細部全体、酵素活性を示す細胞部分等を含むより複雑な形態を含む。ベッドは、酵素リアクタとして触媒リアクタとして機能しても良い。酵素免疫学的検定のような酵素レセプタ−リガンド分析(酵素親和力分析)が、接続された触媒システムを使用する処理、他のレセプタ−リガンド反応と接続する、の一例である。
【0087】
固定化された反応物Rと溶質Sとの間の作用がその間に起きる工程は、酵素分析のような触媒分析の一部であり、1またはそれ以上の触媒システムの部材または他の反応変数(例えば、反応条件)を特徴づける。分析は、液体試料中の粒子状触媒、基質、補基質、補因子、補触媒等の活性を特定する。触媒分析の用語は、いわゆる酵素目根記分析を意図する。特定される活性に対応した分子物質は、アナライトと呼ばれる。WO 03093802 (Gyros AB) 参照。
【0088】
固相合成は、オリゴペプタイド合成やオリゴヌクレオチド剛性、固相材料上での他の低分子の剛性のような、例えば、ポリマ合成を含む。ポリマ合成中で使用される固定化反応物は、例えば、核酸、炭水化物、アミノ酸構造、およびそれらの構造の模倣のような、対応するモノマの構造を示す。組み合わせライブラリの固定化部材のライブラリの合成も含まれる。そのような部材は比較的低い分子量(例えば、重合バックボーンへのスペーサを含む、10000ドルトン以下)である。
【0089】
包括的リガンドを含むマイクロ流体装置
本発明の第3の形態は、1、2、またはそれ以上のマイクロチャネル構造を有するマイクロ流体装置を含む。それらのマイクロ流体装置の少なくとも1つは、1、2、またはそれ以上の流路(101;201a,a’;301a,a’,b)と、第1の形態で記載されたような直列接続された2つの多孔質ベッド(104,204,304;105,205,305)を含む少なくとも1、2、またはそれ以上の流路(101;201a,a’;301a,a’)のそれぞれとを含む。第1の形態のように、上流の多孔質ベッド(105,205,305)の上流、多孔質ベッド(104,204,304;105,205,305)の間、および下流の多孔質ベッド(104,204,304)の下流に、追加の機能ユニットを有しても良い。
【0090】
特徴づけられる長所は、上流の多孔質ベッドと下流の多孔質ベッドとを含む流路のそれぞれにおいて、少なくとも1つ、好ましくは双方のベッドが、2つのベッドで同じかまたは異なる包括的リガンドLを含むことである。このリガンドは、それぞれのベッドで、ベッドの固相材料に固定される。流路中の2つのリガンドは、下流のベッド(104,204,304)にためのLと、上流のベッド(105,205,305)に対するLIIで表される。2つの多孔質ベッドを含む2又はそれ以上の流路を有する場合、包括的なリガンドの組み合わせは、少なくとも2つの流路の間で異なるが、好ましくは、組み合わせは、多孔質ベッドIおよび多孔質ベッドIIを含む全ての流路において同じである。
【0091】
ベッドIおよびベッドIIを含む流路中の、一般的なリガンドの組み合わせは、1)L=LII、2)LII=非(anti)L、および3)L=非LII、である。包括的な固定親和対のようなビオチン化合物およびビオチン接続化合物(非ビオチン)に対して、これは、1)ビオチン;ビオチンII、または非ビオチン;非ビオチンII、2)ビオチン;非ビオチンII、および3)非ビオチン;ビオチンII、を意味する。
【0092】
包括的リダンドLに対する多孔質ベッドIまたはII(104,204,304;105,205,305)の固定能力は、体積あたりのモルとしてのリガンドの量、無視したブロッキング、および固定に起因する接続サイトの破壊として測定される。この測定において、適当な接続能力は、一般に、液体で飽和したベッド形態中の固相でnlあたり、例えば0.01〜300pmolのような0.001〜3000pmolの範囲となる。もし、nlあたり0.1pmolのストレプトビジンが固定されれば、これは、0.4pmol/nlのビオチン接続サイトに対応する。変換因子4は、ストレプトビジンが、ストレプトビジン分子と接続するために4つの接続サイトを有するためである。接続能力は、また、バインダBの実際の接続能力として測定できる。即ち、液体で飽和したベッド形態中の固定された親和リガンドを含む固相の単位体積あたりの、活性接続サイトのmolとして測定される。接続能力は、固定化技術、固相の孔のサイズ、固定される物質のサイズ、固相の材料および形状等に依存するであろう。理想的には、同じ範囲が、接続サイトの総量として、(上述のように)実際の接続能力に適用されるであろう。実際の接続能力が、第1に、例えば、接続されず、および/または分配されない、基本形態のバインダBの固定/捕獲となる。WO 04083109 (Gyros AB) 参照。
【0093】
多様な流路、マイクロキャビティ、機能ユニット等を含むマイクロチャネル構造/マイクロ流体装置に関する本発明の第3の形態の、他の特徴的な長所では、固相材料等が上述のように、本発明の第3の形態となるであろう。
【実験1】
【0094】
非アナライト抗体を示す単体多孔質ベッドと非アナライト抗体を示す多孔質ベッドダミーを備えた多孔質ベッドとの比較
この例は、PDGFβレセプタに向かい、+/−リガンドPDGF−BBで刺激される膜を安定して示す、汚染された大動脈皮内(PAE)からの、細胞溶解物中のPDGFβレセプタのためのサンドイッチ免疫学的検定を記載する。捕獲抗体は、ターゲットタンパクに向かって生じ、検出抗体は、調整されたリン酸化アミノ酸サイトに向かう。固定、分類(Alexa 647)およびマイクロチャネル構造/マイクロ流体装置/器機を含む分析は、WO 04083108 (Gyros)のマイオグロビン分析と同じである。使用されるマイクロチャネル構造は、WO 04083108の図1に記載されている。多孔質ベッドは、反応マイクロキャビティ(104)中に配置される。
【0095】
細胞培養
PAE細胞は、PDGFβレセプタとともに移動され、細胞培養の1つが、選択されたG−418である[Claesson-Welsh, L. et al. PDGF分子を含むBチェインを特定する人間の血小板由来増殖因子レセプタのcDNAクローニングおよび発現、Mol. Cell. Biol. 8 (1988) 3476-3486]。細胞は、Hamの、10%ウシ胎仔血清、100μg/mlのストレプトマイシン、およびグルタミンが補われたハムの媒体F−12中で成長する。ほぼ細胞の融合性の単層は、0.1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を補い、攪拌板上で60分間、100ng/mlのPDGF−BB100μmを用いて+/−刺激した、HamのF−12中で、夜通し飢えさせる。刺激しない細胞は、制御として使用される。この細胞のみがリン酸化されていないPDFGβレセプタを有するからである。レセプタは活性化され、内在化を禁じる高濃度のリガンドで飽和され、刺激中のデグラデーションに続く。刺激の後に、細胞は、氷冷されたPBSバッファ中で2回洗浄され、1mlPBS中で「ラバーポリスメン(rubber police men)」を用いて解体される。細胞懸濁液は、蓄えられ、200μlの氷冷されたリーシスバッファ(20mM 3重HCl pH7.5,150mM NaCl、10mM EDTA,0.5% トリトンX−100,0.5%,Deoxycholate,0.5mM NaVO および1% Trasylol(バイエルン))に、15分間、氷上で溶解される。溶解物は13000rpmで15分間、4℃で遠心分離され、上清がアリコート中に蓄えられ、−20℃で保存される。より濃縮された溶解液を作製するために、細胞は、第1成長は75cmの培養皿の上で、第2のランは175cmの培養フラスコ中で行われる。全タンパクは、PIERCE Biotechnology (Boule Nordic AB, Huddinge S.)からの、BCAタンパク分析きっとマイクロプレート手続き(BCA Protein Assay Kit Microplate procedure)に従って定量される。
【0096】
PDGFβレセプタ抗体
人間のPDGFβレセプタのカルボキシ末端のアミノ酸958−1106に対応した組み換えタンパクに向かうラビットポリクローナル抗体958、人間のPDGFβレセプタのカルボキシ末端のペプチドに向かう羊ポリクローナル抗体P−20、およびマウスモノクローナエウPY99は、Santa Cruz Biotechnologies (Santa Cruz, CA)から得られる。PDGFβレセプタ抗体P−20および658は、人間のPDGFレセプタタイプβの検出、および少ない程度において、ウエスタンブロッティング法、免疫沈降、および免疫組織化学により、マウスおよびラビットオリジン(origen)の検出に薦める。それらは、PDGFレセプタタイプαとは交差反応性を有すべきではない。この抗体は、同じ細胞培養を伴う、免疫沈降やウエスタンブロッティングの実験において、広範囲に使用される。[Pietras K., et al.PDGFレセプタ信号伝達の禁止による腫瘍間質中の化学療法の抗腫瘍効果の拡張,Cancer Research 62 (2002) 5476-5480]。
【0097】
サンドイッチに基づく免疫学的検定法
分析において、洗浄バッファおよび抗体は、共通の分配チャネルを通って分配され、細胞溶解プレパレーションは、それぞれの導入口を通って分配される。それぞれのバッチランは、3重のおよび空の試料蛛に標準を含む。分析は、小さな希釈続き(+/−PDGF−BB)および、リーシスバッファを有する多くのブランクを含む。分析中の全ての工程は、Gyrolab Workstation (Gyros AB) 中で自動的に行われる。
【0098】
分析中の異なった抗体の組み合わせは、高度の特異結合、958/YP99、958/P−20、P−20/P−20、P−20/958、およびP−20/PY99(捕獲/検出)を与える組み合わせを見つけるために試験される。
【0099】
滴化は、検出抗体の濃度は400nMであるべきことを示した。
【0100】
+/−PDGF−BB刺激を伴うβ−PAE細胞溶解物は、リサートバッファ(2倍、4倍、8倍)中で希釈された。希釈されない細胞溶解物は、標準点として含まれた。
【0101】
捕獲抗体の固定化
多孔質ベッドは、PBS−T(0.015M Na−PO pH7.4,0.15M NaCl、0.01% NaN,0.01% Tween−20)で2回洗浄され、ストレプトアビジンが固定されたフェニルデキシトランで被覆されたポリスチレンベッドを再生するために、短時間回転する。回転に続いて、洗浄バッファ中で希釈された、ビオチニル化捕獲酵素が、667nMの濃度で加えられた。再生と同じ方法で、洗浄は2回繰り返された。
【0102】
基本分析プロトコル
細胞溶解物が個々の導入口に加えられ、体積(200nl)が規定され、PDGFβレセプタ(アナライト)が捕獲される多孔質ベッドに運ばれる。2つの洗浄工程の後、短い回転を行い、蛍光検出中にベッドが液体で満たされるのを確実にする。背景蛍光検出は、LIF検出器で設定される、1%、5%、および25%の異なった3つの感度を有する。回転工程中にアナライトに接合することができる検出抗体を加える前に、超過のバッファは、短い回転により洗い流された。6つの洗浄工程は、最終的に、2つの洗浄工程が通常の洗浄バッファを用い、4つがイソプロパノール20%を含む洗浄バッファを用い、過剰の検出抗体を除去する。
【0103】
最初に、細胞溶解物ランは、捕獲抗体が多孔質ベッドの全体に分配される基本的な分析プロトコルに基づいて行われた。PDGFβレセプタと抗体との間に特有の作用を確立するのが困難であるため、修正が検討された。まず、最初に、アナライトと検出抗体回転プログラムが拡張され、ベッド上の直線的な流れが、細胞溶解液中のPDGFβレセプタが、捕獲抗体に付着するのを低減する。アナライトを加えた後、3つの追加の洗浄工程が、Tween−20のないPBSバッファを用いて含まれ、第2および第4の洗浄工程に続いてパルス回転プログラムが行われ、簡単な拡散により、ベッドを通って溶液が除去できるようにした。イソプロパノールが洗浄バッファに含まれる場合を除いて、検出抗体の後の最後の洗浄工程は、先のパラグラフと同じである。
【0104】
細胞溶解液分析中の制御されない特別で無い作用により、捕獲非アナライト抗体の無い第2の多孔質ベッド(II)が、非アナライト抗体を示す多孔質ベッド(I)の上に導入される。多孔質ベッド(II)は、ゲル状の濾過媒体Superdex(登録商標)のペプチド(Asmersham Bioscience, Uppsala, Sweden)からなる。溶媒は、5倍に希釈されたスラリ(それに対してストレプトアビジンが固定されるフェニルデキシトロンで覆われたポリスチレンビーズ)として多孔質ベッドIの上に導入される。Superdex(登録商標)ペプチドは、ペプチドと分子量で100〜7000ダルトンの他の小さな有機分子の高解像度のゲル状濾過として使用される。
【0105】
結果
予備実験から、P−20/958、P−20/PY99、および958/PY99の、3つの抗体の組みが選択された。
【0106】
多孔質ベッド(I)スラリ
細胞溶解物実験は、ベッド中の信号分布(3倍)により、高いCV値が得られた。いくつかの実験では、細胞溶解物とブランク信号との間で信号の若干の違いが見られたが、殆ど重要な信号は背景信号から区別できなかった。ベッド中の濃化は殆ど不規則であり、通常のベッドパターンは見られなかった。いく地下の場合、信号が多孔質ベッドの下で進む傾向にあった。
【0107】
多孔質ベッド(I)の上流の多孔質ベッド(II)
以下の2つの組み合わせが試験された。
a)ストレプトアビジンが固定されたフェニルデキシトロンで覆われたポリスチレン粒子のベッド上の、フェニルデキシトロンで覆われたポリスチレンビーズのベッド(本質的に多孔質でない)、および
b)ストレプトアビジンが固定されたフェニルデキシトロンで覆われたポリスチレンビーズのベッド上の、Superdex(登録商標)ペプチド。
【0108】
Superdex(登録商標)ペプチドの組み合わせは、単体のベッドの形態に比較して、3つの抗体ペアに対して、改良を示した。細胞溶解液の応答とブランクの応答との違いが識別できた。
【実験2】
【0109】
天然試料中の親水性抗体の影響の中和
基本分析
TNFαのためのマイクロ流体サンドイッチ蛍光免疫測定が、WO 04083108 (Gyros AB)の実験の一部において、マイオグロビンが概説されている。固相および固定化技術および蛍光分類技術は、WO 04083108 (Gyros AB)に概説されている。分析は、IgGベッド、または対応する固定化されたIgGの無い対応するベッドを、捕獲アンチTNFαマウス抗体を示すベッドの上流に隣接して配置することにより、修正された。
【0110】
道具およびマイクロ流体装置
双方とも、WO 04083108(Gyros AB)で使用されたものと同じである。
【0111】
試料
親水性抗体に富んだ3つの人間血清試料と、1つの通常の試料が、Aにおいて使用された。4つの全ての試料は、人間TNFα(200pg/ml)が加えられ、Bで使用された。
【0112】
固相−免疫グロブリン
WO 04083108 (Gyros AB) で使用されたものと同種のストレプトアビジン粒子が、バッチモードで、ボビンIgGとマウスIgGとの4つの組み合わせ−ボビンIgG:マウスIgGが10:1、ボビンIgG:マウスIgGが1:1、ボビンIgG、マウスIgGで被覆された。続いて粒子が、捕獲アンチTNFαマウス抗体を示すベッドの上に導入された。双方のベッドに対する導入技術は、WO 04083108 (Gyros AB) のアンチマイオグロビン抗体ベッドと同じである。実験中の流路方向は、IgGベッドからアンチTNFαマウス抗体ベッドに向かう方向である。
【0113】
実験
アンチTNFαマウス抗体ベッドの前のIgGベッドの、A)上述の4つの人間血清試料の疎水性抗体の検出、B)上述のTNFαが加えられた人間血清試料のTNFα分析のためのTNFαの回復、およびC)標準カーブ、に対する影響。
【0114】
(A)の結果
図4参照。各グループのステープル(staple)は、個々の試料を示す。10:1のボビン:マウスIgGに基づくIgGベッドが、捕獲疎水性抗体中で最も有効であった。疎水性抗体は、普通の血清試料では検出されなかった。アンチTNFαマウス抗体ベッドの前のIgGベッドを使うことなく、後者のベッドは、アンチTNFαマウス抗体ベッドに基づくTNFα分析を妨害する、多量の親水性抗体を捕獲した。
【0115】
(B)の結果
図5a参照。各グループのステープルは、個々の試料を示し、ステープルの無いものは、普通の血清試料を示す。IgGベッドをアンチTNFαマウス抗体ベッドの前に配置した場合、TNFαの回復の変化が得られた。
【0116】
(C)の結果
図5b参照。IgGベッドの無い場合と比較して、異なったIgGベッドをアンチTNFαマウス抗体ベッドの前に配置した場合、標準カーブの変化が重要であった。
【0117】
本発明の所定の革新的な形態は、添付された請求項により詳細に規定される。本発明およびその利点は詳細に記載したが、多様な変化、代用、および代用は、添付された請求項により規定される発明の精神や範囲から離れることなく、ここに行われる。更に、本発明の範囲は、明細書で記載されたプロセス、機械、製造、内容の構成、手段、方法、および工程の特別な具体例に限定することを意図するものではない。ここに存在しまたは後に展開された、ここに記載された対応する具体例と本質的に同様の機能が得られ又は本質的に同様の結果が得られる、プロセス、機械、製造、内容の構成、手段、方法、または工程を、当業者は、本発明の記載から認識することができるであろう。このように、添付された請求項は、そのようなプロセス、機械、製造、内容の構成、手段、方法、または工程の範囲内に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1a】共通の流路中に、直列に接続された2つの異なった多孔質ベッドを有する2つの変形を示す。
【図1b】共通の流路中に、直列に接続された2つの異なった多孔質ベッドを有する2つの変形を示す。
【図2】共通の多孔質ベッドを有する2つの流路を備えた変形を示す。流路の1つは、共通の多孔質ベッドの上流に、第2の多孔質ベッドを有する。
【図3】共通の多孔質ベッドと、3つの流路の外の2つにある1の追加の多孔質ベッドとを有する3つの流路を備えた変形を示す。
【図4】実験1Aの結果を示す。
【図5a】実験2Bの結果を示す。
【図5b】実験2Bの結果を示す。
【符号の説明】
【0119】
101 流路、102、104 多孔質ベッドI、103、105 多孔質ベッドII、106 多孔質膜、107 液体ルータ機能、108 共通部分、109 マイクロ導管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1、2、またはそれ以上の流路(101;201a,b;301a,a’,b)を有し、これらの全てが、全ての流路に共通の多孔質ベッドI(104,204,304)を含み、多孔質ベッドがベッドを通過する溶質Sと作用することができる固定された反応物Rを有する、マイクロチャネル構造を含むマイクロ流体装置であって、
流路(101;201a,b;301a,a’,b)の少なくとも1つ(101;201a;301a,a’)が、多孔質ベッドI(104,204,304)の上流に配置され、溶質Sに対する作用ではダミーとなるが、溶質Sを伴う液体アリコート中に存在し、溶質Sと固定化された反応物Rとの間の作用の結果を妨害しうる物質DSとは作用しうる第2の多孔質ベッドII(105,205,305)を含むことを特徴とするマイクロ流体装置。
【請求項2】
多孔質ベッドI(104,204,304)と多孔質ベッドII(105,205,305)が、物理的に互いに分離されたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体装置。
【請求項3】
多孔質ベッドI(104,204,304)の上流端部が、多孔質ベッドII(105,205,305)の下流端部と接続されたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体装置。
【請求項4】
上流端部と下流端部との間に、多孔質膜(106)を有することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体装置。
【請求項5】
多孔質ベッドI(104,204,304)および多孔質ベッドII(105,205,305)の少なくとも1つが、粒子を押し固めたベッドであり、残りのベッドが、もしあるのなら、多孔質の一体物のプラグであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項6】
多孔質ベッドI(104,204,304)および多孔質ベッドII(105,205,305)の少なくとも1つが、サイズ排除材料からなる固相材料を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項7】
上記妨害物質が溶質Sより小さく、上記少なくとも1つの流路の少なくとも1つの中の、少なくとも多孔質ベッドII(105,205,305)が、溶液に関連して、妨害物質が多孔質ベッドIIを通るのを遅らせる排除限界を有するサイズ排除材料である固相材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項8】
上記1、2、またはそれ以上の流路(101;201a,b;301a,a’,b)の残りの、少なくとも1、2、またはそれ以上(201b;301b)が、多孔質ベッドIIを有さないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項9】
上記少なくとも1、2、またはそれ以上の流路中の多孔質ベッドIIが、溶質とともに存在する妨害物質と作用することができる固定された試薬RDSを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項10】
上記少なくとも1つの流路が、2またはそれ以上の流路であり、上記2またはそれ以上の少なくとも1つの中のRDSが、上記2つの流路の残りの、少なくとも1つの中のRDSとは異なることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項11】
マイクロ流体装置のマイクロチャネル構造の流路(101;201a,b;301a,a’)中で行われ、上記流路(101;201a;301a,a’)中に配置され、移動中に溶質Sと作用することができる固定された反応物Rを有する多孔質ベッドI(104,204,304)を通って、溶質Sを含む液体アリコートを移動させる工程を含むマイクロ流体プロセスであって、
i)多孔質ベッドI(104,204,304)の上流にあり、溶質Sとの作用に関してはダミーであるが、妨害物質DSとは作用することができる多孔質ベッドII(105,205,305)を含む形態の上記流路(101;201a;301a,a’)を提供する工程と、
ii)多孔質ベッドIIの上流にある上記流路(101;201a;301a,a’)中に、上記溶質Sと上記妨害物質とを含む液体アリコートを提供する工程と、
iii)多孔質ベッドII(105,205,305)を通ってアリコートを移動させる工程と、そして、
iv)その後に、多孔質ベッドI(104,204,304)を通って溶質Sを移動させ、反応物Rとの作用を行わせる工程とを含むマイクロ流体プロセス
【請求項12】
それらのそれぞれが上記流路の全てに共通な多孔質ベッドI(104,204,304)を含み、それらの少なくとも1つ(101;201a;301a,a’)が多孔質ベッドI(104,204,304)の上流にある多孔質ベッドII(105,205,305)を含む、1、2、又はそれ以上の流路(101;201a,b;301a,a’,b)を含むマイクロチャネル構造を有するマイクロ流体装置であって、
上記少なくとも1つの流路(101;201a;301a,a’)中の、多孔質ベッドI(104,204,304)および多孔質ベッドII(105,205,305)の一方または双方が、包括リガンドを含む固相材料を含むことを特徴とするマイクロ流体装置。
【請求項13】
上記少なくとも1つの流路(101;201a;301a,a’)の1またはそれ以上の中の、多孔質ベッドII(105,205,305)中の包括リガンドが、多孔質ベッドI中と同じであることを特徴とする請求項12のマイクロ流体装置。
【請求項14】
上記少なくとも1つの流路(101;201a;301a,a’)の1またはそれ以上の中の、多孔質ベッドII(105,205,305)中の包括リガンドが、多孔質ベッドI(104,204,304)中のリガンドに対して親和対(アンチリガンド)であることを特徴とする請求項12に記載のマイクロ流体装置。
【請求項15】
上記リガンドが、ビオチンおよびアンチビオチンから選択されることを特徴とする請求項12〜13のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項16】
多孔質ベッドI(104,204,304)および多孔質ベッドII(105,205,305)の双方を含むたった1つの流路(101)を有することを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
【請求項17】
多孔質ベッドII(105,205,305)の下流端部が、多孔質ベッドI(104,204,304)の上流端部に接続され、可能であればその端部の間に多孔質膜を有することを特徴とする請求項16に記載のマイクロ流体装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2007−520707(P2007−520707A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551006(P2006−551006)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000114
【国際公開番号】WO2005/072872
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【Fターム(参考)】