説明

2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールおよびその使用

本発明は2α−メチル−19−ノル−(20S)−ビタミンDアナログに関し、特に2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールおよびその医薬用途に関する。本化合物は未分化細胞の増殖を抑制し、それらの単球への分化を誘発する著しい活性を示し、これにより抗癌剤としての使用と、乾癬ならびに小じわ、たるんだ皮膚、乾燥皮膚および皮脂分泌の不足などの皮膚の状態などの皮膚疾患の治療のための使用の証拠を示している。本化合物はまた、あるとしてもほんの少ししかカルシウム作用を示さず、従ってヒトにおける自己免疫疾患または炎症性疾患ばかりでなく腎性骨異栄養症の治療にも使用できる。本化合物はまた、肥満の治療または予防にも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明はビタミンD化合物に関し、より具体的には2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールおよびその医薬用途に関する。
【0002】
天然のホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンDとそのエルゴステロール系列のアナログである1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、動物およびヒトにおける極めて強力なカルシウムホメオスタシス調節剤であることが知られ、それらの細胞分化における活性もまた立証されている(Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987))。1α−ヒドロキシビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、種々の側鎖のビタミン同族体およびフッ素化アナログを含む、これらの代謝物の多くの構造アナログが製造され試験されてきた。これらの化合物の一部は、細胞分化とカルシウム調節における興味ある活性の分離を示す。この活性の相違は、腎性骨異栄養症、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、および特定の悪性腫瘍などの種々の疾患の治療に有用でありうる。
【0003】
ビタミンDアナログの他の種類、すなわちいわゆる19−ノル−ビタミンD化合物は、ビタミンD系の典型であるA環の環外メチレン基(炭素19)が2つの水素原子で置換されていることにより特徴付けられる。このような19−ノル−アナログ(例えば、1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンD)の生物学的試験により、細胞分化の誘導における高い有効性と、大変低いカルシウム動員活性を有する選択活性プロフィールが明らかになった。従って、これらの化合物は、悪性腫瘍の治療または種々の皮膚障害の治療のための治療剤として有用な可能性がある。このような19−ノル−ビタミンDアナログの2つの異なる合成方法が記載されている(Perlman et al., Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990); Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991), and DeLuca et al., 米国特許第5,086,191号)。
【0004】
米国特許第4,666,634号において、1α,25−ジヒドロキシビタミンDの2β−ヒドロキシおよびアルコキシ(例えば、ED−71)アナログが、骨粗鬆症薬候補として、そして抗癌剤としてChugaiグループにより記載され試験されている。Okano et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 163, 1444 (1989) もまた参照のこと。1α,25−ジヒドロキシビタミンDの他の2位置換(ヒドロキシアルキル(例えば、ED−120)およびフルオロアルキル基による)A環アナログもまた製造され試験されている(Miyamoto et al., Chem. Pharm. Bull. 41, 1111 (1993); Nishii et al., Osteoporosis Int. Suppl. 1, 190 (1993); Posner et al., J. Org. Chem. 59, 7855 (1994), and J. Org. Chem. 60, 4617 (1995))。
【0005】
1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンDの2位置換アナログ、すなわちヒドロキシまたはアルコキシ基(DeLuca et al., 米国特許第5,536,713号)、2−アルキル基(DeLuca et al 米国特許第5,945,410号)、および2−アルキリデン基(DeLuca et al 米国特許第5,843,928号)で2位を置換された化合物もまた合成され、それらは興味ある選択活性プロフィールを示している。これらの研究は全て、ビタミンD受容体の結合部位が、合成ビタミンDアナログのC−2における異なる置換基に適合できることを示している。
【0006】
薬理学的に重要なビタミンD化合物の19−ノルクラスを探求するための継続的な努力の中で、炭素2(C−2)におけるメチレン置換基、炭素1(C−1)におけるヒドロキシル基および炭素20(C−20)に結合した短くした側鎖の存在により特徴付けられるアナログもまた合成され、試験されている。1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−プレグナカルシフェロールは米国特許第6,566,352号に記載され、1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ホモプレグナカルシフェロールは米国特許第6,579,861号に記載され、1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ビスホモプレグナカルシフェロールは米国特許第6,627,622号に記載されている。これらの化合物は3つとも全て、ビタミンD受容体に対する比較的高い結合活性と比較的高い細胞分化活性を示すが、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較してカルシウム作用をほとんど示さない。’352、’861および’622の特許に記載されているように、その生物活性により、これらの化合物は種々の医薬用途に対して優れた候補と考えられる。
発明の概要
本発明は2α−メチル−19−ノル−(20S)−ビタミンDアナログに関し、より具体的には2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロール、それらの生物活性、およびこれらの化合物の種々の医薬用途に関する。以前は知られていなかったこれらの新規な1α−ヒドロキシル化ビタミンD化合物は、2位にメチル基を有し、17位(C−17)にsec−ブチル置換基を有する19−ノル−ビタミンDアナログである。
【0007】
これらの2α−メチル−19−ノル−(20S)−ビタミンDアナログの構造は、下記の一般式I:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)で特徴付けられる。好ましいアナログは、下記の式Ia:
【0010】
【化2】

【0011】
を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである。
【0012】
上記の化合物I、特に化合物Iaは、望ましく、かつ大変に好都合な生物活性のパターンを示す。これらの化合物は、ビタミンD受容体への比較的強い結合と、1α,25−ジヒドロキシビタミンDに比べて大変低い腸管カルシウム輸送活性とで特徴付けられ、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、骨からのカルシウム動員活性は大変低い。従って、これらの化合物はカルシウム作用をほとんど示さないことで特徴付けられる。プレプロ副甲状腺ホルモン遺伝子(Darwish & DeLuca, Arch. Biochem. Biophys. 365, 123-130, 1999) および副甲状腺増殖を抑制するとき、血清カルシウムを超生理学的レベルに上昇させるのは望ましくない。分化に対して強い作用を示す一方でカルシウム作用をほとんどあるいは全く示さないこれらのアナログは、腎性骨異栄養症の二次性副甲状腺機能亢進症の抑制のための治療剤として有用であると期待される。
【0013】
本発明の化合物I、特に化合物Iaは、例えば多発性硬化症、狼瘡、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、および臓器移植拒絶反応を含む自己免疫疾患における免疫系の不均衡により特徴付けられるヒト障害の治療と予防にとりわけ適し、さらにリウマチ様関節炎、喘息、および炎症性腸疾患(セリアック病、潰瘍性大腸炎、およびクローン病など)などの炎症性疾患の治療にとりわけ適していることもまた見いだされている。本発明の化合物で治療できる他の状態にはアクネ、脱毛症および高血圧がある。
【0014】
上記の化合物I、特に化合物Iaは、比較的高い細胞分化活性によっても特徴付けられる。従って、これらの化合物はまた、乾癬治療用の治療剤または特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する抗癌剤としての治療剤を提供する。さらに、その比較的高い細胞分化活性により、これらの化合物は、小じわ、適切な皮膚の水分量の不足(すなわち乾燥皮膚)、適切な肌の張りの不足(すなわちたるんだ皮膚)、および皮脂分泌の不足を含む種々の皮膚の状態を治療するための治療剤を提供する。従って、これらの化合物の使用により皮膚に潤いを与えられるばかりでなく、皮膚のバリア機能もまた改善される。
【0015】
本発明の式Iの化合物、特に式Iaの化合物は、動物被験体における、肥満の予防または治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD−1遺伝子の転写抑制、および/または体脂肪の抑制にも有用である。従って、一部の実施形態において、動物被験体における肥満の予防または治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD−1遺伝子の転写抑制、および/または体脂肪の抑制方法は、式Iの化合物の1以上またはそれを含む医薬組成物の有効量を動物被験体に投与することを含む。動物被験体に本化合物の1以上または本医薬組成物を投与することにより、動物被験体において脂肪細胞分化は抑制され、遺伝子の転写は抑制され、かつ/または体脂肪は抑制される。
【0016】
上記の疾病・疾患を治療するために、本化合物の1以上を、約0.01μg/gm組成物〜約1000μg/gm組成物、好ましくは約0.1μg/gm組成物〜約500μg/gm組成物の量で組成物中に含有させ、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で局所、経皮、経口、直腸内、経鼻、舌下または非経口投与することができる。
【0017】
図1〜5に、天然のホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD(以後、「1,25(OH)」と呼ぶ)と比較した2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロール(以後、「2α−メチルビスP」と呼ぶ)の種々の生物活性を示す。
発明の詳細な説明
炭素2(C−2)におけるメチル置換基および炭素17(C−17)におけるsec−ブチル置換基の存在により特徴付けられる19−ノルビタミンDアナログである2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロール(本明細書では2α−メチルビスPと呼ぶ)を合成し、試験した。C−2位における比較的小さなメチル基はビタミンD受容体への結合を妨げないと考えられるので、このようなビタミンDアナログは興味ある標的であると思われる。この19−ノルアナログの構造は前記の一般式Iaで特徴付けられ、そのプロドラッグ(保護ヒドロキシ形)は前記の一般式Iで特徴付けられる。
【0018】
構造Iを有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールアナログの製造は、通常の一般法、すなわち塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[ウィルキンソン触媒,(PhP)RhCl]の存在下で効率よく実施される、一般式IIの2−メチレン−19−ノル−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロール化合物の炭素2におけるエキソメチレン単位の選択的均一系接触水素化により達成できる。この還元条件では、C(2)=CH単位のみの還元が可能で、C(5)〜C(8)ブタジエン部分は変化を受けなかった。単離される物質は、C−2における配置が異なる2−メチル−19−ノル−ビタミンIおよびIIIのエピマー混合物(およそ1:1)である。混合物は分離せずに使用できるが、所望であれば各2α−(式I)および2β−(式III)異性体は効率の良いHPLCにより分離できる。
【0019】
【化3】

【0020】
構造I、IIおよびIIIにおいて、置換基XおよびXは上記で定義された基を表す。
【0021】
一般構造IIの2−メチレン−19−ノル−ビスホモプレグナカルシフェロールアナログは公知であるか、あるいは公知の方法により製造できる。
【0022】
化合物I、II、およびIIIの合成の全体のプロセスは、「2−アルキリデン−19−ノル−ビタミンD化合物」という発明の名称の米国特許第5,843,928号に例示され、さらに詳しく説明されている(その明細書を本願に引用して援用する)。
【0023】
明細書および特許請求の範囲で用いられているように、「ヒドロキシ保護基」という用語は、アルコキシカルボニル、アシル、アルキルシリルもしくはアルキルアリールシリル基(以後単に「シリル」基と呼ぶ)およびアルコキシアルキル基などの、ヒドロキシ官能基の一時的な保護のために一般的に用いられる任意の基を意味する。アルコキシカルボニル保護基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルなどのアルキル−O−CO−基である。「アシル」という用語は、1〜6炭素のアルカノイル基(その異性体の全てを含む)、またはオキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル基などの1〜6炭素のカルボキシアルカノイル基、またはベンゾイル、またはハロ、ニトロもしくはアルキル置換ベンゾイル基などの芳香族アシル基を意味する。「アルキル」という用語は、明細書または特許請求の範囲で用いられているように、1〜10炭素の直鎖または分枝鎖アルキル基(その異性体の全てを含む)を意味する。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルなどの基である。好ましいシリル保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリルおよび類似のアルキルシリル基である。「アリール」という用語は、フェニル−またはアルキル−、ニトロ−もしくはハロ−置換フェニル基のことを言う。
【0024】
「保護ヒドロキシ」基は、上記で定義した、例えばシリル、アルコキシアルキル、アシルまたはアルコキシカルボニル基などの、ヒドロキシ官能基の一時的または永続的な保護のために一般的に用いられる上記の基のいずれかにより誘導体化または保護されたヒドロキシ基である。「ヒドロキシアルキル」、「重水素化アルキル」および「フルオロアルキル」という用語は、それぞれ1以上のヒドロキシ、重水素またはフルオロ基で置換されたアルキル基を指す。
【0025】
さらに具体的には、化合物2α−メチルビスPの製造の詳細な例示のための以下の実施例および説明のみならず、スキーム1も参照されたい。
【0026】
本実施例においては、アラビア数字(1、2、3)で識別されている特定の生成物はスキームIの中で識別されている特定の構造を指す。
(実施例)
化学
紫外(UV)吸収スペクトルは、記載されている溶媒中でHitachi Model 60−100 UV−visスペクトロメータを用いて記録した。H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、重クロロホルム中でBruker AM−500 FTスペクトロメータを用い、500MHzで記録した。化学シフト(δ)は内部基準のMeSi(δ 0.00)から低磁場側へのシフトを記録した。マススペクトルは、Kratos MS−55データシステムを装備したKratos DS−50 TC装置を用い、70eVで記録した。直接導入プローブを用い120−250Cに維持したイオン源にサンプルを直接導入した。Model 6000A溶媒配送システム、Model 6 UK Universalインジェクター、Model 486UV検出器(tunable absorbance detector)、およびR401示差屈折計を備えたWaters Associates液体クロマトグラフで高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。
実施例1
2−メチレン−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビス−ホモ−プレグナカルシフェロール(1)の水素化
水素で前もって飽和(20分間)した乾燥ベンゼン(30mL)に塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)(29.0mg,31.3mmol)を加えた。混合物を室温で均一溶液が生成されるまで(およそ50分間)撹拌した。ついでビタミン1(10mg,29.0mmol)の乾燥ベンゼン(4mL)溶液を加え、水素を継続して導入しながら3.5時間反応を進行させた。ベンゼンを減圧下で除去し、残渣をヘキサン/酢酸エチル(7:3)に再溶解し、Waters シリカ Sep−Pak(Vac 20cc)にかけた。より極性の低い不純物は前記の溶媒系(30mL)で溶出され、2−メチルビタミンの混合物はヘキサン/酢酸エチル(65:35,10mL)およびヘキサン/酢酸エチル(6:4,20mL)で溶出された。合わせた分画を留去して粗生成物(およそ11mg)を得、これをヘキサン/2−プロパノール(90:10)溶媒系を用いるHPLC(10mmx25cm Zorbax−Silカラム,4mL/min)でさらに精製した。2α−および2β−メチル−19−ノルビタミン2および3(6.85mg,69%)の両方の混合物(およそ1:1)はR28mL(出発2−メチレン化合物1は同じ系でR26mLに溶出した)で単一ピークを与えた。両方のエピマーの分離はメタノール/水(90:10)溶媒系を用いる逆相HPLC(6.2mmx25cm Zorbax−ODSカラム,2mL/min)で行った。2β−メチルビタミン3(2.99mg、30%)はR24mLで回収され、その2α−エピマー2(3.46mg、34%)はR28mLで回収された(出発2−メチレン化合物1は同じ系でR27mLで溶出された)。
2:UV(EtOH溶液)λmax242.0,250.0,260.0nm; 1H NMR (CDCl3) d 0.531 (3H, s, 18-H3), 0.827 (3H, d, J ~ 5.5 Hz, 21-H3), 0.834 (3H, t, J = 7.2 Hz, 23-H3), 1.134 (3H, d, J = 6.9 Hz, 2α-CH3), 2.13 (1H, ~ t, J ~ 11 Hz, 4β-H), 2.22 (1H, br d, J ~ 13 Hz, 10β-H), 2.60 (1H, dd, J = 12.7, 4.2 Hz, 4α-H), 2.80 (2H, m, 9β- and 10α-H), 3.61 (1H, m, w/2 = 25 Hz, 3α-H), 3.96 (1H, m, w/2 = 12 Hz, 1β-H), 5.82 and 6.37 (1H and 1H, each d, J = 11.2 Hz, 7- and 6-H); MS m/z(相対強度)346(M,100),317(16),289(39),253(18),229(35),191(56),135(59),91(64);精密質量(C2338):計算値;346.2872,実測値;346.2857。
スキームI
【0027】
【化4】

【0028】
2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールの生物活性
1α−ヒドロキシ−19−ノル−ビタミンDの2位へのメチル基の導入、および側鎖における炭素24、25、26および27の除去は、完全長組み換えラットビタミンD受容体への結合に関して、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較してほとんど影響を示さなかった。化合物2α−メチルビスPは、標準の1,25−(OH)と比較して受容体に少し弱く結合した(図1)。これらの結果からは、化合物2α−メチルビスPは同等の生物活性を有すると予想される。しかしながら、驚いたことに、化合物2α−メチルビスPは特有の生物活性を有する高選択的アナログである。
【0029】
図5は、腸管カルシウム輸送の刺激において、天然のホルモンである1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH))の活性と比較して2α−メチルビスPはほとんど活性を示さないことを明らかにしている。
【0030】
図4は、1,25(OH)と比較して2α−メチルビスPはほとんど骨カルシウム動員活性を示さないことを立証している。
【0031】
このように図4および5は、2α−メチルビスPが、あるとしてもほんの少ししかカルシウム作用を示さないことで特徴付けられることを明らかにしている。
【0032】
図2は、2α−メチルビスPがHL−60細胞分化に関して、1,25(OH)とほぼ同等の強度を示し、それにより乾癬および癌、特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する治療のための優れた候補に挙げられることを明らかにしている。さらに、その比較的高い細胞分化活性により、この化合物は、小じわ、適切な皮膚の水分量の不足(すなわち乾燥皮膚)、適切な肌の張りの不足(すなわちたるんだ皮膚)および皮脂分泌の不足を含む種々の皮膚の状態を治療するための治療剤を提供する。従って、この化合物の使用により、皮膚の保湿がもたらされるばかりでなく、皮膚のバリア機能も改善される。
【0033】
図3は、化合物2α−メチルビスPが、骨細胞において1α,25−ジヒドロキシビタミンDとほぼ同等の転写活性を示すことを明らかにしている。この結果は、図2の細胞分化活性と合わせて考えれば、2α−メチルビスPが、細胞分化を引き起こし、細胞増殖を抑制する直接の細胞活性を有するので、乾癬に大変に有効であることを示唆している。これらのデータはまた、2α−メチルビスPは、特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する抗癌剤として顕著な活性を有することを示している。
【0034】
2α−メチルビスPのHL−60分化に対する強い活性は、副甲状腺の増殖抑制およびプレプロ甲状腺遺伝子の抑制に活性を示すことを示唆している。
実験方法
ビタミンD受容体結合
試験材料
タンパク質源
大腸菌BL21(DE3)Codon Plus RIL細胞内で完全長組み換えラット受容体を発現し、2つの異なるカラムクロマトグラフィー系を用いて均一になるまで精製した。第1の系は、このタンパク質上のC末端ヒスチジンタグを利用するニッケルアフィニティ樹脂であった。この樹脂から溶出したタンパク質をイオン交換クロマトグラフィー(S−セファロースファーストフロー)を用いてさらに精製した。精製タンパク質のアリコートを液体窒素で急速冷凍し、使用するまで−80℃で保存した。結合アッセイに使用するために、0.1%の界面活性剤Chapsを含有するTEDK50(50mMトリス,1.5mM EDTA,pH7.4,5mM DTT,150mM KCl)でタンパク質を希釈した。添加した放射性標識リガンドの20%以下が受容体に結合するように、受容体タンパク質およびリガンド濃度を最適化した。
試験薬
非標識リガンドをエタノールに溶解し、紫外分光光度計を用いて濃度を測定した(1,25(OH):モル吸光係数=18,200、λmax=265nm;アナログ:モル吸光係数=42,000、λmax=252nm)。放射性標識リガンド(H−1,25(OH)、〜159Ci/mmol)を1nMの最終濃度になるようにエタノールに加えた。
アッセイ条件
放射性標識および非標識リガンドを≦10%の最終エタノール濃度になるように、100mclの希釈タンパク質に加え、氷上で混合し、結合平衡に達するまで終夜インキュベートした。翌日、100mclのヒドロキシルアパタイトスラリー(50%)を各チューブに加え、10分間隔で30分間混合した。ヒドロキシルアパタイトを遠心分離で回収し、ついで0.5%Titron X−100を含有するトリス−EDTA緩衝液(50mMトリス,1.5mM EDTA,pH7.4)で3回洗浄した。最後の洗浄の後、4mlのBiosafe IIシンチレーションカクテルを含有するシンチレーションバイアルにペレットを移し、混合し、シンチレーションカウンターにセットした。放射性標識リガンドのみを含有するチューブから全結合を測定した。
HL−60分化
試験材料
試験薬
試験薬をエタノールに溶解し、濃度を紫外分光光度計を用いて測定した。薬物濃度の範囲が細胞培養物中に存在するエタノール(≦0.2%)の最終濃度を変えないで測定できるように連続希釈液を調製した。
細胞
10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640培地中でヒト前骨髄球性白血病(HL60)細胞を培養した。5%COの存在下、37°Cで細胞をインキュベートした。
アッセイ条件
HL60細胞を1.2x10細胞/mlでプレーティングした。プレーティングの18時間後、薬物を用いて細胞を2連で処理した。4日後、細胞を採取し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(Collins et al., 1979; J. Exp. Med. 149:969-974)。全部で200の細胞を計数し、細胞内黒青色ホルマザン沈着物の数を記録することにより分化細胞の百分率を決定した。食作用を測定することにより、単球細胞への分化の確認を行った(データは示さず)。
インビトロ転写アッセイ
ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24−ヒドロキシラーゼ(24Ohase)遺伝子プロモーターで安定的にトランスフェクトしたROS17/2.8(骨)細胞中で転写活性を測定した(Arbour et al., 1998)。一連の投与量を細胞に与えた。投与16時間後、細胞を採取し、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
RLU=相対ルシフェラーゼ単位
腸管カルシウム輸送および骨カルシウム動員
雄の離乳スプラーグ・ドーリー・ラットにDiet11(0.47%Ca)食餌+AEKを1週間与え、ついでDiet11(0.02%Ca)+AEKを3週間与えた。ついでこれらのラットに0.47%Caを含有する食餌に変えて与え、ついで0.02%Caを含有する食餌を2週間与えた。0.02%カルシウム食餌を与える最後の週に投与を開始した。おおよそ24時間離して4回連続して腹腔内投与を行った。最後の投与から24時間後、切断された頸部から血液を採取し、骨カルシウム動員の指標として血清カルシウム濃度を測定した。腸管反転法を用いた腸管カルシウム輸送分析を行うために、腸の最初の10cmもまた採取した。
データの解釈
VDR結合、HL60細胞の分化、および転写活性
完全長組み換えラットビタミンD受容体への結合を[H]−1,25(OH)と競合する能力において、2α−メチルビスP(K=1.6x10−9M)は天然のホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD(K=1.8x10−10M)よりも活性がやや弱い(図1)。HL60の分化を促進する能力(効力または有効性)において、2α−メチルビスP(EC50=3.7x10−8M)と1α,25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=3.6x10−9M)との差異もまたほとんどなかった(図2参照)。同様に、化合物2α−メチルビスP(EC50=4.4x10−9M)は骨細胞において転写活性を示すが、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=2.9x10−10M)よりも著しく低かった(図3参照)。2α−メチルビスPは細胞分化、遺伝子の転写の促進および細胞増殖の抑制において細胞に直接の効果を有するため、これらの結果は2α−メチルビスPが乾癬に大変有効であることを示唆している。これらの結果はまた、2α−メチルビスPが特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対して抗癌剤として顕著な活性を有するばかりでなく、乾燥皮膚(皮膚の水分量の不足)、過度の皮膚のたるみ(不十分な皮膚のはり)、皮脂分泌の不足およびじわなどの皮膚の状態に対しても顕著な活性を有することを示している。二次性副甲状腺機能亢進症の抑制に大変有効であることもまた期待される。
【0035】
ビタミンD欠乏動物における骨からのカルシウム動員および腸管のカルシウム吸収。低カルシウム食餌(0.02%)を与えたビタミンD欠乏ラットを用いて、腸および骨における2α−メチルビスPおよび1,25(OH)の活性を試験した。予想されたように、天然のホルモン(1,25(OH))は全ての投与量において血清カルシウムレベルを増加させた(図4)。2α−メチルビスPは骨からのカルシウム動員活性をあるとしてもほんの少ししか示さないことを図4は示している。4日間連続で2α−メチルビスPを87pmol/日投与しても、骨カルシウムの動員は起こらず、2α−メチルビスPの量を260pmol/日まで増やし、ついで780pmol/日まで増やし、最後に7020pmol/日まで増やしても、特に実質的な効果はなかった。
【0036】
腸管反転法(図5)を用いて、動物の同一群における腸管カルシウム輸送を評価した。化合物2α−メチルビスPは87pmol/日、260pmol/日または780pmol/日で投与するとき腸管カルシウム輸送を促進しないが、1,25(OH)は260pmol/日の投与で顕著な促進を示すことをこれらの結果は示している。2340pmol/日の2α−メチルビスPを投与したときにのみ顕著な腸管カルシウム輸送活性が記録されるが、これは260pmol/日の投与量よりもおよそ10倍大きい。従って、2α−メチルビスPは、推薦される低用量では本質的に腸管カルシウム輸送活性を有さないことが結論できる。
【0037】
これらの結果は、2α−メチルビスPが本明細書記載の多くのヒト療法に対する優れた候補であり、腎性骨異栄養症の二次性副甲状腺機能亢進症、自己免疫疾患、癌、および乾癬の抑制などの多くの状況に特に有用であることができることを例示している。(1)2α−メチルビスPは顕著なVDR結合、転写活性および細胞分化活性を示す;(2)2α−メチルビスPは1,25(OH)とは異なり、高カルシウム血症になりやすさを欠いている;そして(3)2α−メチルビスPは容易に合成できる;という理由により、2α−メチルビスPは乾癬治療の優れた候補である。2α−メチルビスPはビタミンD受容体への顕著な結合活性を示すが、血清カルシウムを上昇させる能力をほとんど有さないので、2α−メチルビスPはまた腎性骨異栄養症の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に特に有用でありうる。
【0038】
これらのデータはまた、本発明の化合物2α−メチルビスPは、免疫系、例えば多発性硬化症、狼瘡、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、および臓器移植拒絶反応を含む自己免疫疾患における不均衡により特徴付けられるヒト障害の治療と予防に特に適し、さらにリウマチ様関節炎、喘息、ならびにセリアック病、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸疾患などの炎症性疾患の治療に特に適していることを示している。アクネ、脱毛症および高血圧は、本発明の化合物2α−メチルビスPで治療できる他の状態である。
【0039】
式I、および特に式Iaの本発明の化合物はまた、動物被験体における肥満の予防または治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD−1遺伝子の転写抑制、および/または体脂肪の抑制に有用である。従って、一部の実施形態において、動物被験体における肥満の予防または治療方法、脂肪細胞分化の抑制方法、SCD−1遺伝子の転写抑制方法、および/または体脂肪の抑制方法は、式Iの化合物の1以上を含む化合物または医薬組成物の1以上の有効量を動物被験体に投与することを含む。本化合物または医薬組成物を患者に投与することにより、動物被験体における脂肪細胞分化、遺伝子の転写、および/または体脂肪が抑制される。動物は、ヒト、イヌもしくはネコなどの家畜、または特にニワトリ、七面鳥、キジまたはウズラなどの家禽のみならずウシ、羊、ヤギ、またはブタなどのヒトの食用のための食肉を提供する農業動物であることができる。
【0040】
予防および/または治療目的のために、式Iで定義される本発明の化合物は当該技術分野で公知の慣用法に従って、無害の溶媒中の溶液として、適切な溶媒または担体中のエマルジョン、サスペンジョンもしくは分散剤として、または固体担体と共にピル、錠剤またはカプセルとして薬学的応用のために製剤化することができる。このような製剤はいずれも、安定化剤、抗酸化薬、結合剤、着色剤、乳化剤または味覚修飾剤などの他の薬学的に許容される無毒の賦形剤を含むことができる。
【0041】
式Iの化合物、および特に2α−メチルビスPは、経口、局所、非経口、直腸内、経鼻、舌下または経皮で投与できる。本化合物は、好都合には、適切な滅菌溶液の注射もしくは静脈内注入で、消化管を介する液体もしくは固体の形で、またはクリーム剤、軟膏、パッチ、もしくは経皮投与に適した同様なビヒクルの形で投与できる。化合物I、特に2α−メチルビスPの0.01μg〜1000μg/日、好ましくは約0.1μg〜約500μg/日の投与が予防および/または治療目的に適しているが、当該技術分野で公知のように、このような投与量は治療される疾患、その重篤度および患者の反応に従って調整される。本化合物は作用が特異的であるため、それぞれは単独で、あるいは異なる程度の骨ミネラル動員およびカルシウム輸送刺激が利点を有すると知られている場合、他の活性ビタミンD化合物(例えば1α−ヒドロキシビタミンDもしくはD、または1α,25−ジヒドロキシビタミンD)の段階投与と共に適切に投与できる。
【0042】
前記の治療に使用する組成物は、活性成分として上記式IおよびIaにより定義される化合物I、特に2α−メチルビスPの有効量、ならびに適切な担体を含む。本発明記載の使用のためのこのような化合物の有効量は、組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μg、好ましくは組成物1g当たり約0.1μg〜約500μgであり、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で、局所、経皮、経口、または非経口で投与できる。
【0043】
化合物I、特に2α−メチルビスPは、クリーム剤、ローション、軟膏、局所パッチ、ピル、カプセルもしくは錠剤、座剤、エアゾールとして、または薬学的に無害で許容される溶媒もしくはオイル中の溶液、エマルジョン、分散剤、もしくはサスペンジョンとして液体形で製剤化でき、このような製剤はさらに安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤または味覚修飾剤などの他の薬学的に無害または有益な成分を含むことができる。
【0044】
化合物I、特に2α−メチルビスPは好都合には、前骨髄球から通常のマクロファージへの分化をもたらすのに十分な量で投与できる。前述の投与量は適切であるが、当該技術分野で公知のように、投与量は疾患の重篤度、ならびに患者の状態および反応に従って調整されなければならないことが理解されるべきである。
【0045】
従って、本発明の製剤は、薬学的に許容される担体および所望により他の治療成分を加えた活性成分を含む。製剤の他の成分と混合しても化学反応を起こさず、レシピエント自身に有害でないという意味で、担体は「許容される」ものでなければならない。
【0046】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが活性成分の所定量を含有するカプセル、サシェ、錠剤またはロゼンジとして分離した単位の形で;粉末または顆粒の形で;水性液または非水性液体中の溶液またはサスペンジョンの形で;あるいは水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンの形であることができる。
【0047】
直腸投与のための製剤は、活性成分とカカオバターなどの担体を混合した座剤の形、あるいは浣腸剤の形であることができる。
【0048】
非経口投与に適した製剤は、好都合には、好ましくはレシピエントの血液と等張である活性成分の滅菌油性または水性製剤を含む。
【0049】
局所投与に適した製剤は、リニメント剤、ローション、塗布剤、水中油型または油中水型オイルエマルジョン(クリーム剤、軟膏またはペーストなど)などの液体または半液体製剤;滴剤などの溶液またはサスペンジョン;またはスプレーなどを含む。
【0050】
自動推進式またはスプレー製剤の粉末吸入などの、スプレー容器で投薬する経鼻投与のために、ネブライザーまたは噴霧器を使用できる。本製剤は、投薬されるとき、好ましくは10〜100μの範囲の粒子径を有する。
【0051】
本製剤は、好都合には、投与単位形で提供でき、製薬業界に公知の任意の方法で製造できる。「投与単位」という用語は、活性成分自体あるいは固体または液体の医薬希釈剤または担体と活性成分の混合物のいずれかを含む物理的および化学的に安定な投薬単位として患者に投与できる単位投与すなわち単回投与を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】[H]−1,25−(OH)−Dの完全長組み換えラットビタミンD受容体への結合に競合する、2α−メチルビスPと1,25(OH)との相対活性を示すグラフである。
【図2】2α−メチルビスPおよび1,25(OH)の濃度の関数として表した、HL−60細胞分化の%を示すグラフである。
【図3】2α−メチルビスPと比較した1,25(OH)のインビトロ転写活性を示すグラフである。
【図4】2α−メチルビスPと比較した1,25(OH)の骨カルシウム動員活性を示す棒グラフである。
【図5】2α−メチルビスPと比較した1,25(OH)の腸管カルシウム輸送活性を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物。
【請求項2】
が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
およびXが共にt−ブチルジメチルシリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
薬学的に許容される賦形剤と共に、請求項1記載の少なくとも1つの化合物の有効量を含有する医薬組成物。
【請求項6】
前記有効量が組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記有効量が組成物1g当たり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項8】
式:
【化2】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロール。
【請求項9】
薬学的に許容される賦形剤と共に2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールの有効量を含有する医薬組成物。
【請求項10】
前記有効量が組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記有効量が組成物1g当たり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項12】
式:
【化3】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を乾癬患者に投与することを含む乾癬の治療方法。
【請求項13】
化合物が経口投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
化合物が非経口投与される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
化合物が経皮投与される、請求項12記載の方法。
【請求項16】
化合物が局所投与される、請求項12記載の方法。
【請求項17】
化合物が直腸投与される、請求項12記載の方法。
【請求項18】
化合物が経鼻投与される、請求項12記載の方法。
【請求項19】
化合物が舌下投与される、請求項12記載の方法。
【請求項20】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項12記載の方法。
【請求項21】
化合物が、式:
【化4】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項12記載の方法。
【請求項22】
式:
【化5】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を、白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌または前立腺癌からなる群から選択される疾患の患者に投与することを含む前記疾患の治療方法。
【請求項23】
化合物が経口投与される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
化合物が非経口投与される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
化合物が経皮投与される、請求項22記載の方法。
【請求項26】
化合物が直腸投与される、請求項22記載の方法。
【請求項27】
化合物が経鼻投与される、請求項22記載の方法。
【請求項28】
化合物が舌下投与される、請求項22記載の方法。
【請求項29】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項22記載の方法。
【請求項30】
化合物が式:
【化6】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項22記載の方法。
【請求項31】
式:
【化7】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を、多発性硬化症、狼瘡、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、および臓器移植拒絶反応からなる群から選択される自己免疫疾患の患者に投与することを含む、前記疾患の治療方法。
【請求項32】
化合物が経口投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
化合物が非経口投与される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
化合物が経皮投与される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
化合物が直腸投与される、請求項31記載の方法。
【請求項36】
化合物が経鼻投与される、請求項31記載の方法。
【請求項37】
化合物が舌下投与される、請求項31記載の方法。
【請求項38】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項31記載の方法。
【請求項39】
化合物が式:
【化8】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項31記載の方法。
【請求項40】
式:
【化9】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を、リウマチ様関節炎、喘息、および炎症性腸疾患からなる群から選択される炎症性疾患の患者に投与することを含む、前記疾患の治療方法。
【請求項41】
化合物が経口投与される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
化合物が非経口投与される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
化合物が経皮投与される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
化合物が直腸投与される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
化合物が経鼻投与される、請求項40記載の方法。
【請求項46】
化合物が舌下投与される、請求項40記載の方法。
【請求項47】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項40記載の方法。
【請求項48】
化合物が式:
【化10】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項40記載の方法。
【請求項49】
式:
【化11】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を、小じわ、適切な肌の張りの不足、適切な皮膚の水分量の不足および皮脂分泌の不足からなる群から選択される皮膚の状態の患者に投与することを含む、前記皮膚の状態の治療方法。
【請求項50】
化合物が経口投与される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
化合物が非経口投与される、請求項49記載の方法。
【請求項52】
化合物が経皮投与される、請求項49記載の方法。
【請求項53】
化合物が局所投与される、請求項49記載の方法。
【請求項54】
化合物が直腸投与される、請求項49記載の方法。
【請求項55】
化合物が経鼻投与される、請求項49記載の方法。
【請求項56】
化合物が舌下投与される、請求項49記載の方法。
【請求項57】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項49記載の方法。
【請求項58】
化合物が式:
【化12】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項49記載の方法。
【請求項59】
式:
【化13】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量を腎性骨異栄養症患者に投与することを含む、腎性骨異栄養症の治療方法。
【請求項60】
化合物が経口投与される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
化合物が非経口投与される、請求項59記載の方法。
【請求項62】
化合物が経皮投与される、請求項59記載の方法。
【請求項63】
化合物が直腸投与される、請求項59記載の方法。
【請求項64】
化合物が経鼻投与される、請求項59記載の方法。
【請求項65】
化合物が舌下投与される、請求項59記載の方法。
【請求項66】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項59記載の方法。
【請求項67】
化合物が式:
【化14】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項59記載の方法。
【請求項68】
式:
【化15】

(式中、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物の有効量をその必要性のある動物に投与することを含む、動物における肥満の治療または予防、脂肪細胞分化の抑制、SCD−1遺伝子の転写の抑制および/または体脂肪の抑制をする方法。
【請求項69】
化合物が経口投与される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
化合物が非経口投与される、請求項68記載の方法。
【請求項71】
化合物が経皮投与される、請求項68記載の方法。
【請求項72】
化合物が直腸投与される、請求項68記載の方法。
【請求項73】
化合物が経鼻投与される、請求項68記載の方法。
【請求項74】
化合物が舌下投与される、請求項68記載の方法。
【請求項75】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項68記載の方法。
【請求項76】
化合物が式:
【化16】

を有する2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールである、請求項68記載の方法。
【請求項77】
動物がヒトである、請求項68記載の方法。
【請求項78】
動物が家畜である、請求項68記載の方法。
【請求項79】
動物が農業動物である、請求項68記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−520703(P2008−520703A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543267(P2007−543267)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/041817
【国際公開番号】WO2006/057899
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(591057706)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (26)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】