説明

2−ピリジニル[7−(置換−ピリジン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]メタノン

【解決課題】本発明は、式(I)を有する、4-ピリジニル環に少なくとも一つの置換基を持つ新規の2-ピリジニル[7(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを提供する。


【解決手段】GABAおよびGABAレセプターの生理学を変調して、GABAおよび/またはGABAレセプターを仲介する発作、神経退行性障害およびその他運動障害、新生児脳内出血ならびに痙直を含む神経学的または精神医学的障害、ならびにその他精神医学的および神経学的障害を緩和する治療反応をほ乳動物被験体に誘発する式(1)を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-ピリジニル環上に置換基を有する新規の2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾール[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、およびそれを含有する薬学的組成物に関する。
(関連出願)
【0002】
本出願は2004年3月2日提出の米国仮出願第60/549,418号、およびその前2005年3月1日米国特許商標庁に提出された「2-ピリジニル[7-(置換-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン」と題する出願の恩典を請求する。
【背景技術】
【0003】
γ-アミノ酪酸(GABA)(C4H9NO2)は、ほ乳動物の脳における最も一般的な阻害性神経伝達物質であり、全シナプスの約1/3に存在すると考えられている。GABAがGABAレセプターに結合すると、それはレセプターを発現しているニューロンの神経インパルス伝導能力に作用する。成体ほ乳動物の神経系では、GABAは一般的にニューロンの発火(脱分極)を阻害する。脳のニューロンは、三つの主要GABAレセプター、GABAA、GABABおよびGABACを発現している。GABAAレセプターは、リガンド制御型イオンチャンネルとして機能し、発作閾値、骨格筋緊張および情緒状態といった反応に関係する神経興奮性を制御する速い阻害性シナプス伝達を仲介している。GABAAレセプターは、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、神経ステロイドおよびエタノールといった多くの鎮静薬の標的である。GABABレセプターは、遅い阻害性電位を仲介し、そして記憶、憂鬱気分および疼痛に重要な役割を果たしているGタンパク質共役型レセプターである。GABABレセプターを刺激するとドーパミンの放出も阻害されることがあり、それによって依存性や禁断症状の一因となる薬物中毒に対する報酬/強化反応を制限することもできる。GABACレセプターは多くの脳の領域で発現しているリガンド制御型イオンチャンネルであり、中でも網膜ニューロンに多く分布していることから、それらが網膜シグナルの処理に重要な役割を果たしていることが示唆されている。
【0004】
GABAの固有の阻害シグナルは、原則的にはGABAAレセプターを介して伝えられる。GABAAレセプターは、ニコチン性アセチルコリンレセプターを含むリガンド制御型向イオン性レセプターのスーパーファミリーに属する5量体リガンド制御型塩素イオン(Cl-)チャンネルである。GABAAレセプターは異質性に富むレセプターであり、少なくとも16種類のサブユニットを有し、可能性としては数千種類のレセプターを形成することができる。タンパク質サブユニットはさらに区別され、α1-6、β1-4、γ1-3、δ、εおよびθおよびρ1-3と記す相同ファミリーに分類される(Barnard, et al., Pharmacol. Rev. 59. 50:291-313, 1998)。成体ほ乳動物の脳では、多くを占めるイソ型GABAAレセプターは2個のα1、2個のβ2そして1個のγ2サブユニットから構成されているが、別の発生時期には、別の脳領域に別のサブユニットの組合せからなるレセプターも存在しており、固有の機能を果たしていると考えられている(Wisden et al., J. Neurosci. 12:1040-1062, 1992)。
【0005】
GABAAレセプターサブユニットは集合して、塩素イオン選択的なチャンネルを形成し、また各種の薬学的に活性な物質と共にGABA結合部位を含む複合体を形作っている。GABAがこのレセプターに結合すると、アニオンチャンネルは活性化されて開き、塩素イオン(Cl-)がニューロン内に入ることができるようになる。Cl-イオンの流入がニューロンを過分極化し、興奮を抑える。その結果GABAAレセプター複合体の活性化に続いて神経活動が低下し、脳の機能が迅速に変化して、意識や運動の制御に障害が起こることもある。
【0006】
GABAAレセプターサブユニットについて多数の組合せが可能なことと、これらレセプターが神経系に広く分布していることが、GABAAレセプターの多様、且つ変化に富む生理学的な機能の一因であると思われ、それらは次のものを含む多くの神経学および精神医学的障害および関連状態に関係しているだろう:発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、心的外傷後ストレス障害、脅迫性障害、精神分裂症、心因性発作、痙攣、耳鳴り、アルツハイマー病、萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、鬱病、双極性障害、躁病、三叉神経痛およびその他神経痛を含む神経退行性疾患、神経障害痛、高血圧症、脳虚血、不整脈、ミオトニー、物質乱用障害、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジーおよびその他運動障害、新生児脳内出血、ならびに痙直。GABAAレセプターはまた、認識、知覚、および睡眠でもある役割を果たすと考えられている。
【0007】
現在利用可能な、GABAAレセプターの活性を変調するための薬物としては、ペントバルビタールおよびセコバルビタールのようなバルビツレート、ならびにジアゼパム、クロルジアゼポキシドおよびミダゾラムのようなベンゾジアゼピンが挙げられる。バルビツレートはGABAAレセプターを直接活性化し、GABAそのものによる更なる介入なしにCI-の流れを顕著に増加させることができる。これらの薬物はまたGABA作動性神経繊維を直接増強することもできる。これとは対照的に、ベンゾジアゼピンは間接的なアロステリック変調剤として作動し、GABAの存在なしにCI-の流れを増加させることはほとんどできないが、CAGAによって活性化されたCI-伝導性上昇を増強することができる。この後者の特性は、全身性不安障害、パニック障害、心因性発作、運動障害、てんかん、精神病、情緒障害および痙攣を含む様々な障害の治療にとってのベンゾジアゼピンの有効性、ならびにバルビツレートに比べベンゾジアゼピンが比較的安全であることの理由であると考えられている。
【0008】
バルビツレートおよびベンゾジアゼピンは共に相加的であり、眠気、集中力不足、混乱、機能障害、協調運動障害、複視、筋力低下、目眩および精神錯乱を引き起こすことがある。これら副作用は運転といった日常的作業、重機器の操作、またはその他複雑な運動を実施する個人の能力を妨害し、バルビツレートおよびベンゾジアゼピンをGABAおよびGABAレセプターが関係する慢性障害の治療にとって最適でなくしている。
【0009】
GABAレセプターは様々な神経障害および精神障害の治療的介入の標的と考えられている。ベンゾジアゼピンやバルビツレートを含む現在利用可能なGABAおよびGABAレセプター変調薬物には相加的特性を含めた副作用があることが、多くの治療においてこれらの薬物を不適なものにしている。このように本技術分野には、広範な臨床応用に有用であり、GABAおよびGABAレセプターの機能および活性を変調する、代替となる組成物、方法およびツールへの重要、且つまだ達成されていない要求が残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえに本発明の目的は、ヒトを含むほ乳動物被検体におけるGABAおよび/またはGABAAレセプターの機能および活性を変調するための新規および改良された組成物および方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、不安障害、発作障害、耳鳴り、感情障害、疼痛、筋痙攣、精神分裂症、および認知障害の治療に有効な組成物および方法を包含する、そのような治療を必要とするほ乳動物被検体においてGABA作動性神経伝達の欠損を包む精神学および神経学的障害を治療するための新規および改良された組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明は、式1の4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する、新規の2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを提供することによってこれらの目的を成就し、また追加の目的および利点を達成している:式中Rはそれぞれハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリール、アロイル、アラリキル、ニトリル、ピロリジン-1-イル、モルホリノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、
【化1】


ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルカノイルアミノ、カルバモイル、カルバミル、カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、または複素環基でよい。さらにまた、各R基は随意に置換でき、隣接する2つのR基を融合させ、それらがピリジニル環上の2つの炭素に結合している5員または6員環を形成させてもよい。かくして複数のR基が存在する場合は、R基は記載した基のいずれかより、同一または異なるように選択することができる。
【0013】
例示的態様では、発明は4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する、新規の2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを提供するが、それらはGABAAレセプターが介在する活性または機能を含むGABAまたはGABAレセプターの機能または活性を変調できる。
【0014】
発明の、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する新規2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、これら置換化合物の様々な薬学的に許容される塩、多形体、溶媒含有物、水和物および/またはプロドラッグ、ならびにそれらの組み合わせを包含する。例示的態様では、発明の組成物および方法は、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを、GABAまたはGABAレセプターの一または複数の活性または機能を検知可能な形で変調できるGABAまたはGABAレセプター変調剤として用いるだろう。
【0015】
発明の組成物および方法を用いた治療に適したほ乳動物被検体としては、GABAまたはGABAレセプターの生理学の機能不全または平衡異常が少なくとも部分的に介在する精神医学または神経学的障害を患っているヒトおよびその他ほ乳動物被検体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。発明の化合物および方法は効果的に使用でき、発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、外傷後ストレス性傷害、脅迫性傷害、双極性障害、精神分裂症を含む精神医学障害、心因性発作、痙攣、耳鳴り、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、鬱病、双極性障害、躁病、三叉神経痛およびその他神経痛を含む神経退行性傷害、神経障害痛、高血圧、脳虚血、不整脈、ミオトニー、物質乱用、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジーおよびその他運動障害、新生児脳内出血ならびに痙直を包含する精神医学または神経学的障害、あるいは関連する状態の一もしくは複数の症状を緩和または防止できる。
【0016】
これらおよびその他被験体は、GABAまたはGABAレセプターの機能または活性を変調する効力を有する化合物である、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを被験体に有効量投与することによって、発明により効果的に治療される。多くの場合、発明の新規化合物は、GABAのGABAレセプターへの結合を変調する。発明の活性化合物は、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの薬学的に許容される塩、多形体、溶媒含有物、水和物および/またはプロドラッグを含む様々な形態で提供される。
【0017】
発明の追加の局面では、有効量の4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンおよび一または複数の追加の活性作用物質とが組合せて調合されるか、または置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物と協調的に投与することを含む、ほ乳動物被験体にGABAまたはGABAレセプター変調反応を誘発する、組合せ製剤および方法が提供される。これに関する例示的な組合せ製剤および協調的な治療法は、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを、鎮痛剤、抗不安剤、抗鬱剤、抗痙攣剤、向知性薬、麻酔薬、催眠薬および筋弛緩剤から選択される補助剤を含む、一または複数の追加のGABAまたはGABAレセプター変調剤と組合せて使用する。
【0018】
本発明の前記目的および追加の目的、特徴、局面および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0019】
本発明は4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する新規の2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを提供する。さらに、これら新規メタノンを用いた、GABAおよびGABAレセプターが関係するほ乳動物の精神医学的および神経学的障害を治療するための組成物および方法も提供する。さまざまな態様において、発明の方法および組成物は、発明の治療および製剤の中で抗不安剤、抗鬱剤、抗痙攣剤、向知性薬、麻酔薬、催眠薬および筋弛緩剤として有用である。
【0020】
本明細書に記載の製剤および方法は、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを、ほ乳動物被験体の精神医学的および神経学的障害、一般的には被験体の内因性のGABAおよび/またはGABAレセプターの生理学の機能不全または平衡異常が介在する障害を治療するために用いる。これら製剤および方法では、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、置換されたメタノン化合物の薬学的に許容される塩、溶媒含有物、水和物、多形体またはプロドラッグ、あるいはその組合せを包含する様々な形態で提供できる。
【0021】
発明の新規化合物は、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを含み、一般的にはGABAまたはGABAレセプター変調活性を有するだろう。この関係では、発明のGABAおよびGABAレセプター変調剤は、ベンゾジアゼピンレセプターのようなGABAレセプター複合体上にある部位に結合するか、または相互作用することが多く、GABAの作用を増強する効果、GABAの作用を減衰させる効果、またはGABAおよび/またはGABAレセプターの活性または機能を増強および減衰の両方の形で変調できる二重活性遮断効果を持つことができる。発明のある種の化合物はアゴニスト、または増強剤であり、たいていの場合、被験者に筋弛緩、催眠、鎮静、抗不安および/または抗痙攣作用を仲介する活性を有するだろう。発明の別の化合物は、逆のアゴニストまたは減弱剤であり、向痙攣、抗発酔または不安効果を生ずることができる。発明のさらに別の化合物は、部分的アゴニストであり、筋弛緩、睡眠および鎮静効果を下げ、または下げずに抗不安効果をもたらすだろう。より詳細な態様では、認知力を高めるのに有用である、部分的に逆の作用をするアゴニスト化合物が提供されるだろう。
【0022】
ヒト被験体を含む広範囲のほ乳動物被験体が、発明の製剤および方法を用いた治療に適している。これら被験体としては、GABAおよび/またはGABAレセプターの機能または活性に関係する様々なその他精神医学的および神経学的障害のなかでも、発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、心的外傷後ストレス障害、脅迫性障害、躁病、双極性障害、精神分裂症、心因性発作、痙攣、耳鳴り、アルツハイマー病、萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、鬱病、双極性障害、躁病、三叉神経痛およびその他神経痛を含む神経退行性疾患、神経障害痛、高血圧症、脳虚血、不整脈、ミオトニー、物質乱用障害、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジーおよびその他運動障害、新生児脳内出血、ならびに痙直に罹患しているヒトまたは他のほ乳動物被験体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
発明の特定の方法および組成物では、4-ピリジニル環に少なくとも一つ置換基を有する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物は効果的に製剤化されて投与され、ほ乳動物被験体の神経学的または精神医学的障害を治療または予防する。これら化合物の治療または予防効果は、殆どの場合、投与された化合物によるGABAまたはGABAレセプターの活性または機能の直接的な変調が関係している。
【0024】
本発明が提供する2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、構造式Aにより示され、また1985年6月4日にDuszaらに交付された米国特許第4,521,422号(「Dusza」)に記載されている、報告されている抗不安剤のオシナプロン、(2-ピリジニル)-[7-(4-ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの誘導体を包含する。
【化2】

【0025】
Dusza特許は、1000万種類を超える化合物の部類、約8000種類の化合物を包含する多数の亜群、主にはフェニル[7-(4-ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジミジン-3-イル]メタノンおよび2-フラニル[7-(4ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを意図しており、222の具体的な化合物を例示しているが、4-ピリジニル環に置換基を有するものはない。
【0026】
本発明の新規化合物は、構造式Iで表される:
【化3】


式Iにおいて、Rはハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、トリフロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリール、アロイル、アラルキル、ニトリル、ピロリジン-1-イル、モルホリノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルカノイルアミノ、カルバモイル、カルバミル、カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノおよび複素環基でよい。一つの態様では、各R基は随意に以下記載のように置換してもよい。別の態様では、2つの隣接するR基は融合して、それらがピリジニル環上の2つの炭素に結合している5員または6員環を形成させてもよい。nが1より大きいときは、各R基は独立に選択できる。隠して、R基が一より多い場合は、R基は上記の基のいずれからか選択でき、基は同じでも同じでなくともよい。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」は臭素、塩素、フッ素またはヨウ素を指す。一つの態様では、ハロゲンは塩素である。別の態様では、ハロゲンは臭素である。
【0028】
本明細書で用いる場合、用語「ヒドロキシ」は-OHまたは--O-を指す。
【0029】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」は1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜7個の炭素原子、そして最も好ましくは1〜4個の炭素原子を含む直鎖または枝分かれ鎖脂肪族基を指す。この定義はアルコキシ、アルカノイルおよびアラルキル基のアルキル基部分にも当てはまる。一つの態様では、アルキルはメチル基である。
【0030】
用語「アルコキシ」は、一つの酸素原子に共有結合している置換および非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を包含する。一つの態様では、アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含む。アルコキシ基の態様としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。置換アルキル基の態様としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。さらなる態様では、アルコキシ基はアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スフホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族成分のような基で治験できる。例示的なハロゲン置換アルコキシ基としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシおよびトリクロロメトキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
用語「ニトロ」は、本明細書で用いる場合は、単独または組合せて--NO2基を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合の用語「アミノ」は基--NRR'を指し、このときRおよびR'は独立に水素、アルキル、アリール、アルコキシまたはヘテロアリールでよい。本明細書で使用する場合の用語「アミノアルキル」は、「アミノ」と比較してより細かな選択を表しており、基--NRR'を指すが、この時RおよびR'は独立に水素もしくは(C1〜C4)アルキルでよい。
【0033】
本明細書で用いる場合の用語「トリフルオロメチル」は--CF3を指す。
【0034】
本明細書で用いる場合の用語「トリフルオロメトキシ」は--OCF3を指す。
【0035】
本明細書で用いる場合の用語「シクロアルキル」は、随意に置換できる3〜7個の炭素原子を含む飽和環状炭化水素環系を指す。例示的態様としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある態様では、シクロアルキル基はシクロプロピルである。別の態様では、(シクロアルキル)アルキル基は、環状位置に3〜7個の炭素原子を、そしてアルキル位置に1〜4個の炭素原子を含む。ある態様では、(シクロアルキル)アルキル基はシクロプロピルメチルである。アルキル基は随意、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0036】
本明細書で用いる場合の用語「アルカノイル」および「アルカノイルオキシ」はそれぞれ、--C(O)-アルキル基および-O-C(O)-アルキル基を指し、それぞれは随意2〜5個の炭素原子を含む。アルカノイルおよびアルカノイルオキシ基の具体的態様は、それぞれアセチルおよびアセトキシである。
【0037】
本明細書で用いる場合の用語「アリール」は、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基のような環部分に6〜12個の炭素原子を有する単環または二環芳香族炭化水素基を指し、炭素原子はそれぞれ例えばアルキル;上記のような置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシのような1〜4個の置換基で置換してもよい。本発明に従いアリール基の具体的態様はフェニル、置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニルを含む。
【0038】
本明細書において単独または組合せて用いる場合の用語「アロイル」は、随意置換された安息香酸またはナフトエ酸のような、芳香族カルボン酸に由来するアリールラジカルを指す。
【0039】
本明細書で用いる場合の用語「アラルキル」は、アルキル基、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を通して4-ピリジニル環に結合しているアリール基を指す。好ましいアラルキル基はベンジルである。
【0040】
本明細書で用いる場合の用語「ニトリル」または「シアノ」は基-CNを指す。
【0041】
本明細書で用いる場合の用語「ピロリジン-1-イル」は次の構造を指す;
【化4】

【0042】
本明細書で用いる場合の用語「モルホリノ」は次の構造を指す;
【化5】

【0043】
本明細書で用いる場合の用語「ジアルキルアミノ」は、同じでも同じでなくとも良いアルキル基が2つ結合しているアミノ基を指す。
【0044】
用語「アルケニル」は、1〜3個の二重結合を有する、2〜10個の炭素原子の直鎖または枝分かれアルケニル基を指す。好ましい態様としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、4-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、1-ペプテニル、2-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、1,3-オクタジエニル、2-ノネニル、1,3-ノナジエニル、2-デセニル等が挙げられる。
【0045】
本明細書で用いる場合の用語「アルキニル」は、1〜3個の三重結合を有する、2〜10個の炭素原子の直鎖または枝分かれアルキニル基を指す。例示的アルキニルとしては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、4-ペンチニル、1-オクチニル、6-メチル-1-ヘプチニルおよび2-デシニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
用語「ヒドロキシアルキル」は、単独または組合せて前記のアルキル基を指すが、このとき一または複数の水素原子、好ましくは1個の水素原子がヒドロキシル基で置換されている。例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよび2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0047】
本明細書で用いる場合の用語「アミノアルキル」は、基--NRR'を指し、このときRおよびR'は独立に水素または(C1〜C4)アルキルでよい。
【0048】
用語「アルキルアミノアルキル」は、アルキル基を介して連結されたアルキルアミノ基を指す(すなわち一般構造--アルキル-NH-アルキルまたは--アルキル-N(アルキル)(アルキル)を有する基)。このような基としては、これに限定されるものではないが、モノ-およびジ-(C1〜C8アルキル)アミノC1〜C8アルキルが挙げられるが、このときの各アルキルは同じでもおなじでなくともよい。
【0049】
用語「ジアルキルアミノアルキル」は、アルキル基に結合しているアルキルアミノ基を指す。例としては、N,N-ジメチルアミノメチル、N,N-ジメチルアミノエチル,N,N-ジメチルアミノプロピル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。用語ジアルキルアミノアルキルはまた、架橋アルキル成分が随意置換された基も包含する。
【0050】
用語「ハロアルキル」は、一または複数のハロ基で置換されたアルキル基、例えばクロロメチル、2-ブロモメチル、3-ヨードプロピル、トリフルオロメチル、ペルフルオロプロピル、8-クロロノニル等を指す。
【0051】
本明細書で用いる場合の用語「カルボキシアルキル」は、式中のR'がアルキレンである置換基--R'--COOHを差し;またカルバルコキシアルキルは式中のR'およびRがそれぞれアルキレンおよびアルキルである--R'--COORを指す。ある態様では、アルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘキシル等の、1〜6個の炭素原子の飽和した直鎖または枝分かれ鎖ヒドカルバビル残基を指す。アルキレンは基が二価であることを除いてアルキルと同じである。
【0052】
用語「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基で置換されたアルキレン基を指す。例えば、メトキシエチル[CH3OCH2CH2--]およびエトキシメチル[CH3CH20CH2--]は共にC3アルコキシアルキル基である。
【0053】
用語「カルボキシ」は、本明細書で用いる場合は式--COOHの基を現す。
【0054】
用語「アルカノイルアミノ」は、後に--N(H)--が続く基--C(O)-を含むアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指し、例えばアセチルアミノ、プロパノイルアミノおよびブタノイルアミノ等である。
【0055】
用語「カルボニルアミノ」は、基--NR--CO--CH2--R'を指し、式中のRおよびR'は独立に水素または(C1〜C4)アルキルから選択できる。
【0056】
本明細書で用いる場合の用語「カルボノイル」は、--O--C(O)NH2を指す。
【0057】
本明細書で用いる場合の用語「カルバミル」は、その窒素原子がカルボニルに直接結合している官能基、すなわち--NRC(=O)R'または--C(=O)NRR'を指し、このときRおよびR'は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、複素環またはヘテロアリールでよい。
【0058】
用語「アルキルスルホニルアミノ」は、式中のRaが上記のアルキルである基--NHS(O)2Raを指す。
【0059】
用語「複素環」は、4〜7員単環、または少なくとも一つの炭素原子含有環が少なくとも一つヘテロ原子を有している7〜11員二環系である、随意置換された不飽和もしくは一部飽和もしくは完全に飽和した芳香族または非芳香族環状基である。複素環の置換基は、アリール基について上記した置換基から選択できる。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子およびイオウ原子から選択された、1、2または3個のヘテロ原子を有することができる。ある複素環の複数のヘテロ原子は同じでも同じでなくともよい。複素環基は、いずれかのヘテロ原子または炭素原子の位置で4-ピリジニル環に結合できる。一つの態様では、2つのR基がピリジニル環の位置2および3に炭素を持つ融合環を形成し、7-キノリン-4-イル成分が形作られる。
【0060】
例示的単環型複素環基としては、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ヒアゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキシアニル、トリアジニルおよびトリアゾリルが挙げられる。好ましい二環型複素環基としては、ベンゾチアゾリル、ベンゾキアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、インダゾリル、ベンズイソチアゾリル、イソインドリニルおよびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。より詳細な態様では、複素環基としてインドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジルおよびピリミジルを挙げることができる。
【0061】
発明の例示的態様では、式Iの化合物の置換基は4-ピリジニル環の位置2、位置2および6、位置2および5、位置3、ならびに位置3および5に在る。
【0062】
本明細書に示す全ての数値範囲、例えばnについて示される数値範囲は、指示した範囲全体を含むものである。かくしてnの範囲が0〜4という場合は、1、2、3および4を含むと理解される。
【0063】
発明の例示的態様では、式Iの化合物としては(2-ピリジニル)-[7-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2-ヒドロキシ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2-ブロモ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジクロロ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジブロモ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2-メチル-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジメチル-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;(2-ピリジニル)-[7-(キノリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン; 2-ピリジニル[7-キノリンピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン; 2-ピリジニル[7-(3-メチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;2-ピリジニル[7-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン;ピリジン-2-イル-[7-(2-ピロリジン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン;ピリジン-2-イル-[7-(2-ジメチルアミノ-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン;およびピリジン-2-イル-[7-(2-モルホリン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本発明の新規4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物は、当業者に公知の方法により生成できるるが、それらはまた、例えば下記反応計画Iおよび一般合成計画1および2に従っても生成できる。これら反応および合成計画は、例示的な目的として示されており、例えばこれらの図の必須要素を包含する略式の、代わりとなる、そして変更が加えられた計画、またはそれらの均等物もまた本発明の範囲内に入るものと理解される。例えば、反応計画1は次のように、2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを包含するが、これに限定されるものではない化合物を生成するのに用いることができる:
【化6】

【0065】
本発明の別の態様では、本明細書に記載の新規化合物は、次のように一般合成計画1に従って生成できる:
【化7】

一般合成計画I
【0066】
例えば、一般合成計画1を用いて、下表1に掲載の化合物を含む、本発明の各種化合物を生成できるが、これらに限定されるものではない。
【表1】

【0067】
発明の更なる態様では、本明細書に記載の新規化合物は、例えば一般合成計画2に従って、またはその略式、変更または代替計画に従って調製できる。
【化8】

【0068】
一般合成計画2により生成される化合物としては、下表2に掲載の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【表2】

【0069】
式Iの化合物の、脳内GABAAレセプター複合体への結合能力を、下記実施例54に記載するように、放射性リガンド結合アッセイを用いて測定した。競合結合アッセイは、選択的放射性リガンド[3H]Ro 15-1788を用いて実施したが、このリガンドは、ベンゾジアゼピンのような化合物が利用するGABAAレセプター上のアロステリック変調部位に結合して、レセプターの活性を変調する。このアッセイでは、GABAAレセプターに対し親和性を有する作用物質は、結合する放射性リガンドの量を阻害するか、または減らす。本発明の例示的化合物に関するこのアッセイの結果を表3に示す。
【表3】

IC50:[3H]Ro 15-1788のベンゾジアゼピンレセプターへの結合を50%阻害するのに必要な化合物の濃度。**オシナプロンとIC50が有意に異なっている、p<0.01、ANOVA、Dunnet試験。
【0070】
表3に示した結果は、式Iの例示的化合物の様々な集合が、例えば[3H]Ro 15-1788のレセプター調製物への結合が、10μM未満のIC50で阻害する化合物の能力によって証明されているように、GABAAレセプターに対して特異的結合を示すことを証明している。見かけ上の親和性は、試験した例示的化合物の間で異なっていたが、いくつかの化合物が、親化合物(すなわち未置換型の4-ピリジニル誘導体、オシナプロン)よりも高い親和性(すなわちIC50がより小さい)でレセプターと結合することが示された。
【0071】
式Iで表される本発明の組成物および方法は、ほ乳動物の精神医学的および神経学的障害の治療または予防に有効である。特に発明の組成物および方法は、ほ乳動物被検体に投与して、発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、心的外傷後ストレス障害、脅迫性障害、双極性障害、精神分裂症、心因性発作、痙攣、耳鳴り、神経退行性疾患(アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、萎縮性側索硬化症、およびパーキンソン病を含む)、双極性障害、躁病、鬱病、三叉神経痛およびその他神経痛、神経障害痛、高血圧症、脳虚血、不整脈、ミオトニー、物質乱用障害、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジーおよびその他運動障害(ウイルソン病、トゥーレット症候群および核上麻痺を含むがこれらに限定されない)、新生児脳内出血、ならびに痙直から選択される精神医学的または神経学的障害、あるいは関連する状態の一つまたは複数の症状を明瞭に緩和または防止できる。
【0072】
有効量の式Iの化合物を、一または複数の前記症状を示す被験者に投与すると、被験者の症状を明瞭に軽減、排除または防止するだろう。例示的態様では、相応の試験被験者への式Iの化合物の投与は、神経学的または精神医学的障害に伴う一または複数の標的症状を少なくとも10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%、または95%以上まで軽減し、プラセボ処理またはその他相応のコントロール被験者に比べ、一または複数の標的症状を軽減するだろう。類似の効力は、発明の組成物および方法を用いた治療または予防について本明細書の中で明らかにされる全ての範囲の神経学的および精神医学的障害、関連する状態および症状について予想される。
【0073】
発明の例示的態様では、本発明の式Iの置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3イル]メタノンは、情緒障害の防止、重症度の軽減、または逆転に有用である。本明細書で言うところの情緒障害とは、単極性および双極性鬱病、一般的な不安障害、および広所恐怖症、パニック障害および社会恐怖症、脅迫性障害および外傷後ストレス障害のようなより特異的な不安障害を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、不整脈を伴うものを含む不安障害の症状の予防および治療にも有用である。これらおよび関連状態に対する組成物の有効性は、例えばPTSD臨床診断面接尺度(Clinician Administered PTSD Scale)、アイゼンク人格調査票(Eysenck Personality Inventory)、ハミルトン不安尺度(Hamilton Anxiety Scale)または周知のフォーゲル(口渇したマウスの争い)試験のような各種動物モデルにより測定されるマーカーを測定することを含む様々な方法により通常に証明できる。式Iの化合物の有効量は、ほ乳動物被検体における一または複数の前記情緒障害を明瞭に防止し、重症度を軽減し、発症を遅らせ、または期間を短縮するだろう。
【0074】
別の例示的態様では、本発明の式Iの化合物を含有する薬学的組成物は、精神病的障害の予防、進展の軽減、または逆転に特に有用である。本明細書で用いる場合、精神病的障害は躁病;精神分裂病;妄想、解体性、緊張性、未文化型、または残遺型精神分裂様障害;被害妄想または抑鬱型を含むが、これに限定されない分裂情動性障害;妄想障害;簡便性精神病;二人組精神障害;全身的医学状態に起因する精神病;アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚誘発剤、吸入薬、オピオイドまたはフェンシクリジンにより誘発される精神病性障害を含むが、これに限定されない物質誘発型精神病性障害;偏執型の人格障害;精神分裂型の人格障害;および様々なその他の既知および画定されている精神病的障害を、それらに伴う神経学的状態および症状を含めて包含するが、これらに限定されるものではない。精神病性障害を治療することに関する発明の化合物および方法の治療および予防の効力は、総合失調症スケール(PANSS:Positive or Negative Syndrome Scale)、陰性症状評価スケール(SANS:Scales for the Assessment of Negative Symptoms)またはBPRSスコア(Kay et al, Schizophrenia Bulletin 13:261-276, 1987)あるいは「PCPもしくはメタンフェタミン誘発歩行運動試験」または「条件回避反応試験」のような各種動物モデルで決定されるようなマーカーを測定することによって証明できる。式Iの化合物の有効量は、ほ乳動物における、一または複数の前記精神病性障害を明瞭に予防し、その重症度を軽減し、発症を遅らせ、期間を短縮する。
【0075】
別の例示的態様では、発明の組成物および方法は、アルツハイマー型の痴呆、物質誘発謔妄および精神病の特徴を備えた主な抑鬱障害の一または複数の症状を治療または予防するのに有効である。
【0076】
別の例示的態様では、発明の組成物および方法はミオトニーの治療または予防に有効である。ミオトニーは筋肉の遅い弛緩を特徴とする神経筋障害である。症状としては、筋肉の軟化および肥大(拡大)が挙げられる。この障害は筋肉のクロライドチャンネルが関係する遺伝的突然変異により起こる。ミオトニー例における式Iの組成物の有効性は、例えば治療を加えた被検体での、測定可能な軟化および肥大の減少または消失によって判定できる。
【0077】
更なる例示的態様では、式Iの化合物は、発作、脳虚血、新生児脳内出血および頭部外傷に伴う症状の防止または緩和に有効である。虚血時にはGABAの合成および放出は低下することが予想される。それ故に、本発明のGABAアゴニストは、脳虚血を原因とするグルタミン酸作動性の機能亢進を中和し、神経保護効果を生むだろう。
【0078】
別の態様では、式Iの化合物は神経障害痛を含む疼痛の治療または予防に有効である。GABAが仲介する阻害が消失することが、神経傷害による疼痛を含む多くの疼痛状態の原因であると広く考えられている。有効量の式Iの化合物は、神経障害痛の症状を含む、ほ乳動物被検体の疼痛症状を緩和または防止するだろう。
【0079】
更に別の態様では、発明の組成物および方法は、運動障害の治療に有用である。運動障害は、一または複数の筋肉もしくは筋肉群が関係する神経学的疾患である。運動障害としては、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、進行性核上麻痺、筋クローヌス、痙直、ウイルソン病、トゥーレット症候群、てんかんおよび各種慢性の振戦、発作、チックおよびジストニーが挙げられる。振戦は、異常な不随意の運動を特徴とする。本体性振戦は、罹患した体部(腕または手のことが多い)を使い始めた時、例えば書き物をしようとした時、または細かな手の協調運動を行った時に最大となる。ジストニーは体部もしくは脚部が関係する、捻れ、ゆがんだ姿勢をもたらすことがある持続的な筋収縮を特徴とする不随意の運動障害である。具体的ジストニーとしては、痙性斜頚、眼瞼痙攣および書痙が挙げられる。チック障害(トゥーレット症候群を含む)は通常、極めて速い、短時間のステレオタイプの反復運動である。より一般的なチックは運動系が関係するか、または発声を特徴とする。運動性チックは、瞼、眉またはその他顔面の筋肉、ならびに上脚部が関係することが多い。発声チックは、グランティング、咳払い、咳またはののしりを包含する。チック障害を持つ個体は、特定のチックについて強く駆り立てられると述べることが多く、また実際に実行しなくとも、彼らの内部に強い圧迫感が形作られるのを実際に感じるらしい。有効量の式Iの化合物は、ほ乳動物被検体の不随意運動および痙攣を減らす。治療効果を表現している上記治療指標を発明の全ての治療化合物および方法に適用したとき、試験被検体は、プラセボ処理された、またはその他相応のコントロール被検体に比べ、運動障害に伴う一または複数の症状について10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または95%以上までの軽減を示すだろう。
【0080】
発明の化合物および方法の抗痙攣効力は、Krallら(1978)が記載している最大電気ショック(MES)モデル(ヒト類似:強直間代発作)、Krallら(1978)が記載している閾値ペンチレンテトラゾール(PTZ)モデル(ヒト類似:無痙攣)、AlbrightとBurnham(1980)が記載している小脳扁桃−発火モデル(ヒト類似:二次統合を伴う複合的部分痙攣)およびCortezら(2001)が記載しているAY-9944モデル(ヒト類似、典型的アブサンス、レノックス−ゲシュタウト症候群の構成要素)を含む、受け入れられている、ヒトでの活性を予測するための各種動物モデルを用いて証明することができる。治療効力および許容可能な毒性についても、DunhamとMiya(1957)およびWlazとLoscher(1998)が記載する標準的な回転棒アッセイのような標準的なアッセイを用いて証明することができる。抗痙攣アッセイ(一般的にはED50の単位で表される)および毒性アッセイ(一般的にはTD50の単位で表される)の結果に基づいて、発明の各化合物について治療指数を、例えばTD50/ED50比として計算することができる。治療指数が大きいほど化合物は発明の方法での使用において望ましい。
【0081】
発明の例示的態様では、GABAの機能または活性、あるいはGABAレセプターの機能または活性を変調することによってその効果を伝える薬学的組成物を含む、GABAおよびGABAレセプター変調組成物が提供される。これらの組成物は、ほ乳動物被検体でのGABAまたはGABAレセプターの生理学の不全、欠損または平衡異常を介する神経学的および心理学的障害の予防または治療に有効である。例示的態様では、発明の組成物は、その他神経学的および心理学的疾患、状態または障害のなかでも発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、心的外傷後ストレス障害、双極性障害、脅迫性障害、精神分裂症、心因性発作、痙攣、耳鳴り、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、萎縮性側索硬化症、およびパーキンソン病を含む神経退行性疾患、鬱病、双極性障害、躁病、三叉神経痛およびその他神経痛、神経障害痛、高血圧症、脳虚血、不整脈、ミオトニー、コカイン乱用障害、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジーおよびその他運動障害、新生児脳内出血、ならびに痙直から選択される精神医学的または神経学的障害の一または複数の症状を軽減または予防するin vivo治療法において有効である。
【0082】
発明のGABAおよびGABAレセプター変調組成物は、GABAまたはGABAレセプター変調に有効な量の、式Iの置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを含む。この活性化合物は、薬学的に許容されるキャリアおよび/または各種賦形剤、ビークル、安定化剤、緩衝剤、保存剤等と共に随意に調合できる。「有効量」、「治療量」、「治療有効量」または「有効用量」とは、ほ乳動物被験体に所望する薬学的または治療的な効果を誘発し、被験体において神経学的または心理学的疾患、状態または障害に伴う、またはそれを原因とする一または複数の症状の発症、頻度または重症度を明瞭に軽減するのに十分な有効量または用量である。発明の化合物を投与して中枢神経系(CNS)を治療する特定の態様では、化合物の有効量は被験体の血液−脳関門を通過し、CNS部位のGABAまたはGABAレセプターと機能的に相互作用するのに十分な量であろう。より詳細な態様では、神経学的または精神医学的状態または障害の予防は、状態または障害の症状の発生の遅延または排除という形で現れるだろう。または、治療効力は治療対象の状態または障害に伴う症状の頻度または程度の軽減、あるいは治療対象となる状態または症状に伴う症状の性質、再発または期間の変化によって証明されることもある。式Iの組成物の、その薬学的に有効な塩、溶媒含有物、水和物、多形体またはプロドラッグも含めた治療有効量または投与処方は、当業者によって、通常の臨床または患者特異的な要因に基づき容易に決定できるだろう。
【0083】
置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを含む発明のGABAレセプター変調組成物の好適投与経路としては、経口、口腔内、鼻内、エアゾール、局所、経皮、筋肉、注射、徐放、制御放出、イオン導入、ソノフォレーシスおよびその他通常の送達経路、用具および方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。注射による送達補方には、静脈内、筋肉内、腹腔内、クモ膜下、脳室内、動脈内および皮下注射を含むことが想定できるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
式Iの4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの、ほ乳動物被験体に適した有効単位投与量は、約25〜1800mg、50〜1000mg、75〜900mg、100〜750mg、または150〜500mgの範囲内であろう。ある様態における有効投与量は、例えば10〜25mg、30〜50mg、75〜100mg、100〜250mg、または250〜500mgの狭い範囲内で選択される。これらおよびその他の有効単位投与量は、単回投与または毎日、毎週または毎月あたり複数回の形、例えば1日当たり、週当たり、または突き当たり1〜5回、または2〜三回投与することを含む投与計画で投与できる。例示的態様では、10〜25mg、30〜50mg、75〜100mg、100〜250mg、または250〜500mgの用量を、1日当たり1、2、3または4回投与する。より詳しい態様では、50〜75mg、100〜200mg、250〜400mgまたは400〜600mgの用量を1日1回または2回投与する。別の態様では、用量は体重に基づいて計算され、例えば1日当たり約0.5mg/kg〜約20mg/kg、1日当たり1mg/kgから約15mg/kg、1日当たり1mg/kgから約10mg/kg、1日当たり2mg/kg〜約20mg/kg、1日当たり2mg/kg〜約10mg/kg、または1日当たり3mg/kg〜約15mg/kgの量が投与できる。
【0085】
式Iの4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを有効量含む発明の組成物の送達量、タイミングおよび様式は、個体の体重、年齢、性および状態といった要素による個人の偏差、失調および/または関連症状の急性度、投与が予防または治療を目的とするか、ならびに薬物送達、吸収、半減期を含む薬物動態および効力に影響することが知られているその他要素に基づいて通常に調整されるだろう。発明の化合物の有効量または複数回投与治療計画は、本明細書に記載のように、被験体の神経学的または精神医学的状態の一または複数の症状を実質的に防止または軽減するのに必要、且つ十分である最低限の投与計画に近づくように通常に選択されるだろう。そうすることで発明の製剤または方法による4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを投与した後試験被験体は、プラセボ処理された、またはその他相応のコントロール被検体に比べ、標的とする精神医学的または神経学的障害に伴う一または複数の症状について、10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または95%以上の軽減を示すだろう。
【0086】
発明のその他の局面では、有効量の一または複数の式Iの化合物と、式Iの化合物とを組合せて調合するか協調して投与する一または複数の追加の活性作用物質を用いて組合せ製剤および協調的投与方法を提供し−GABAまたはGABAレセプターの機能もしくは活性を変調するか、そして/またはほ乳動物被験体の神経学的もしくは精神医学的障害の一または複数の症状を軽減もしくは予防する、効果的な製剤または方法をもたらす。この関連での例示的な組合せ製剤および協調的治療法は、式Iの化合物を一または複数の追加もしくは補助的抗不安剤、抗鬱剤、抗痙攣剤、向知性剤、麻酔剤、催眠剤または筋弛緩剤と組合せて使用する。更なる組合せ製剤および協調的治療法では、4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物は上記の精神医学的または神経学的状態に伴うであろう症状を治療するのに用いられる、一または複数の二次的治療薬と組合せて調合されるか、同時投与される。
【0087】
発明の協調的投与方法を行うには、4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物を、本明細書で想定している一または複数の二次的または補助的治療薬との協調的治療手順の中で同時または連続的に投与する。協調的投与は、同時またはいずれかの順番に連続的に行うことができ、一種類だけまたは両方(もしくは全て)の活性治療薬が、個別および/または集合的にそれらの生物活性を発揮する期間が存在するだろう。このような協調的治療法の特徴的な局面は、4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物が、二次治療薬が提供する二次的臨床反応と関連してもしなくともよい、少なくとも幾つかの検知可能なGABAまたはGABAレセプター変調活性を発揮すること、および/または好ましい臨床反応を誘発することである。4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物と本明細書の中で想定する二次治療薬との協調的投与は、4-ピリジニル置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物および/または二次治療薬のいずれかまたは両方が、単独で発揮する治療反応よりも高い治療反応を生ずるだろう。
【0088】
本発明の置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの薬学的投与形態は、薬物配合の技術分野において上記投与単位の調製に適していることが知られている賦形剤を含む。このような賦形剤としては、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、芳香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤およびその他通常の賦形剤および添加物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
かくして、神経学的および精神医学的障害を治療するための発明の組成物は、次のいずれか一つまたは組合せを含むことができる:薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤;他の医薬品;薬物;補助剤;緩衝剤;保存剤;希釈剤;および各種その他薬学的添加物および当業者に知られている薬剤。これら追加の製剤添加物および薬剤は、生物学的に不活性であることが多く、重大な副作用または活性作用物質と相互作用することなく患者に投与できる。
【0090】
望まれる場合には、発明の置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは放出制御形態で、親水性の持続放出ポリマーなどの持続放出キャリアを使用して投与が可能である。これに関連して、例示的制御放出剤としては約100cpsから100,000cpsの範囲の粘度を有する、これに限定されるのではないが、ヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0091】
発明の置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン組成物は、経口投与形態に、キャリアまたはその他添加物と随意に組合せて製剤化および投与されることが多い。医薬製剤化技術に共通する好適キャリアとしては、微結晶セルロース、ラクトース、ショ糖、果糖、グルコースデキストロース、またはその他の糖、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクティトール、マルティトール、キシリトール、ソルビトール、あるいは他の糖アルコール、乾燥デンプン、デキストリン、マルトデキストリンまたはその他多糖類、イノシトール、あるいはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるのではない。本発明での使用に関する例示的単位経口投与形態としては錠剤が挙げられるが、これは、経口単位投与形態の調製に利用できる、通常の薬学的経口投与形態を調製する方法によって調製できる。錠剤のような経口単位投与形態は、放出変調剤、流動化剤、圧縮補助剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、芳香剤、芳香増進剤、甘味料および/または保存剤を含むが、これらに限定されない通常の追加製剤成分を一または複数含有してもよい。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、硬化植物油、安息香酸ナトリウム、ロイシンカーボワックス、硫酸ラウリルマグネシウム、コロイド二酸化ケイ素およびモノステアリン酸グリセリンが挙げられる。好適な流動化剤としては、コロイドシリカ、ヒュームド二酸化ケイ素、シリカ、タルク、ヒュームドシリカ、石膏およびモノステアリン酸グリセリンが挙げられる。コーティングに使用できる物質としては、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルク、甘味料および着色料が上げられる。上記の発泡剤および崩壊剤は、当業者に知られている迅速崩壊錠剤の製剤化に有用である。これらは、典型的には口腔において1分未満で崩壊し、好ましくは30秒未満で崩壊する。発泡剤は、一般的には有機酸と炭酸塩もしくは重炭酸塩を結合する手段である。このような迅速に作用する投与形状は、例えばパニック障害の急性発症の予防または治療に有用であろう。
【0092】
発明の更なる置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン組成物は、当技術分野で知られる様々な吸入または鼻内送達形態のいずれかに調製し、投与することができる。エアゾール化した置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン製剤を患者の洞内または肺胞内に入れることができる装置としては、定量的吸入器、噴霧器、乾燥粉末発生器、スプレー等が挙げられる。肺胞上皮を通過して血流内に素早く移行させるための肺送達法は、発作またはパニック障害の症状軽減に有用である。全身作用を目的とする薬物の肺送達に適した方法および組成物は、当技術分野で周知である。鼻内スプレーまたは点鼻による投与に好適な製剤は、キャリアが液体であり、置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの水溶液または油性液、および追加の活性または非活性成分を含むことができる。
【0093】
鼻内送達は、有効量の化合物を鼻に投与した後、かかる化合物を、生成物を肺に蓄積させることなしに血流に直接移行させることができる。これに加えて、鼻内送達は、活性化合物のCNSへの送達を指定または高めることもできる。これら、およびその他態様では、発明の化合物の鼻内投与は、パニック障害のような突発性の不安障害の治療にとって有利である。一般的には、全身性の不安障害に罹り、そしてパニック障害に襲われた個体は、このような発作が迫っていることを感知できる。そのような時、公共の場においても便利に利用でき、素早く吸収され、CNSに送達される形で発明の化合物を送達できることが特に望ましい。
【0094】
鼻内および肺投与に向けては、エアゾール液製剤は発明の活性化合物を分散剤および/または生理学的に許容される希釈剤と共に含有することが多い。または、乾燥粉末エアゾール製剤は、細かく分割された固形形状の主題化合物と、乾燥粉末粒子を素早く分散させるための分散剤とを含有できる。液体または乾燥粉末いずれのエアゾール製剤についても、製剤は小さな液体または固体の粒子にエアゾール化され、エアゾール化された用量が鼻内通路または肺の粘膜に達するようにしなければならない。用語「エアゾール粒子」は、本明細書では、鼻内または肺内に分布して粘膜または肺膜を標的とするのに適した、十分小さな粒子直径、例えば約2〜5ミクロンの範囲の直径を持つ液体の粒子を表すのに用いられる。他に考慮すべきこととしては、送達用装置、製剤中の追加成分、および粒子特性が挙げられる。薬物の鼻内または肺投与に関するこれらの局面は、当技術分野では周知であり、製剤化の手技、エアゾール化の手段および送達装置の構成は、当業者の技術水準内である。
【0095】
GABAおよびGABAレセプターに関係する神経学的および精神医学的障害を治療するための置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの局所投与に関する、発明のさらに別の組成物および方法が提供される。局所用組成物は、置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンおよび他の活性もしくは不活性成分とを、エアゾールスプレー、粉末、皮膚パッチ、スティック、顆粒、クリーム、ペースト、ゲル、ローション、シロップ、軟膏、含浸スポンジ、綿製品、または水性、非水性、水中油系乳剤もしくは油中水系乳液の溶液もしくは懸濁液を含む、皮膚科学的または粘膜が許容するキャリアの中に組み入れられた形で含むことができる。これら局所用組成物は、局所用組成物または送達用具に組み入れられている、一部が水または他の溶媒もしくは液体に溶解または分散している置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを含むことができる。経皮的投与経路が、当業者に知られている皮膚浸透増強剤の使用によって増強されることは、容易に理解できる。このような投与形態に適した製剤は、本明細書に広く用いられる賦形剤、特に薬物の吸収を長時間、例えば24時間持続させるための手段、例えば構造もしくはマトリックスを組み入れている。1日1回使用の経皮パッチは、全身性の不安障害患者にとって特に有用である。
【0096】
非腸管投与のための、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および/または製剤をほ乳動物被験体の血液と等張にする溶質を随意含むことができる水性および非水性の無菌注射液を包含する、更に別の置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン製剤が提供される。製剤は、複数回投与または複数回投与の形を取ってもよい。置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン製剤はまた、非腸管投与後の徐放のためのポリマーを含んでもよい。前記した種類の無菌の粉末、顆粒および錠剤から即時的に注射液、乳剤および懸濁液を調製してもよい。好ましい単位形状製剤は、上記のような活性成分の日用量または単位、半日用量、あるいはその適当な分画を含有する製剤である。
【0097】
より詳細な態様では、置換2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、送達に向けて、例えばコアセルベート形成技術または界面合成によって調製された、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル、あるいはコロイド薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マクロエマルジョン、ナノパーティクルおよびナノカプセル)のようなマイクロカプセル、マイクロパーティクル、またはマイクロスフェアに封入できる。
【0098】
発明の医薬品は、非腸管的、例えば静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内に投与できる。非腸管調合物は、そのような投与に適した溶液、分散体または乳液でよい。主題の薬剤は、非腸管投与後に長期間放出するために、ポリマー内に調剤してもよい。薬学的に許容される製剤および成分は、一般的には無菌であるか、容易に滅菌でき、生物学的に不活性で容易に投与できる。このようなポリマー物質は医薬品配合の技術分野の当業者には周知である。非腸管調合物は、一般的には緩衝剤および保存剤を含有しており、また凍結乾燥して、投与時に溶解してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するものであり、本開示を制限するものとして解釈してはならない。これら実施例に示す証拠は、4-ピリジニル成分に置換基を持ち、式Iで示される発明の2-ピリジニル[7-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン化合物が、ほ乳動物の神経学的および精神医学的障害の治療に生理学的に有用な、GABAレセプターの効果的変調体であることを実証している。
【実施例1】
【0100】
N-オキシド-2-ピリジニル[7-(4ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
1Lの塩化メチレンに2-ピリジニル[7-(4-ピリジニル)ピラゾール[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを20.0g(0.066モル)溶解した溶液を室温で攪拌し、19.6g(75%)の3-クロロペルオキシ安息香酸で20時間処理した。生じた沈殿を濾過して集め、CH2Cl2(30mlx3)で洗浄してから、真空乾燥した。粗生成物をNa2CO3溶液(300mlの水に13.5g)中に室温で2時間懸濁してから濾過し、水(50mlx2)で洗浄、70℃で真空乾燥して黄色の粉末11.2gを得た。薄層クロマトグラフィー(TLC)(CHCl3/MeOH=9:1)は、それが所望生成物を含むことを示した。サンプルを、シリカゲルを利用してCHCl3-MeOH(98/2)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーを用いて更に精製した。所望生成物を含む分画を集め、蒸発乾燥させてN-オキシド2-ピリジニル[7-(4ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンN7オキシド7.6g(0.024モル、28.8%)を精製度>95%で得た。
【実施例2】
【0101】
2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)メタノンの合成
【化9】

合成計画

2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、実施例1の2-ピリジニル[7-(4-ピリジニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンN-オキシド、8.0g(0.025モル)をオキシド塩化リン100mlに室温で加えて合成した。反応混合液をオイルバス中で攪拌しながら110〜120℃まで8時間加熱し、真空濃縮して暗褐色の残留物を得た。この暗褐色の残留物に粉砕した氷と固体の炭酸カリウムを加えた。次にこのアルカリ溶液をクロロホルム(50mlx3)で抽出してから、一つにまとめた有機層を水(20mlx2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、真空下で蒸発させた。生じた茶色の残留物を、シリカゲルを利用した、クロロホルム、続いてクロロホルム−メタノール(99:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製した。TLC(クロロホルム/メタノール9:1)を用いて精製度をモニタリングした。所望生成物を含有する分画を集め、蒸発させて乾燥し、淡い黄色の粉末として、純度98.7%の2-ピリジニル[7-(2クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを22g(0.0069モル、27.2%収率)得た。M/e+336。1H NMR(CDCl3)7.22(1H,d)、7.53(1H,m)、7.92(2H,s)、8.05(1H,s)、8.27(1H,d)、8.68(1H,d)、8.77(1H,d)、8.955(1H,d)、9.44(1H,s)。
【実施例3】
【0102】
2-メチル-4-アセチルピリジンの合成
2-メチル-4-アセチルピリジンは、下記反応計画に従って、市販されている2-メチルピリジン-N-オキシドから、全体収率16%で調製した。
【化10】

【実施例4】
【0103】
4-シアノ-2,6-ジメチルピリジンの合成
2,6-ルチジン-N-オキシド(25g、0.2モル)および硫酸ジメチル(25.3g、0.2モル)を混合し、固形物が沈殿するまで、<1時間静置した。塩を水(100ml)に溶解し、シアン化カリウム水溶液(150ml)を一気に加えた。2日後、ニトリルが沈殿している溶液を濾過し、水で洗浄してから乾燥させた。4-シアノ-2,6-ジメチルピリジンを黄褐色の固体として、収率13.7%で単離した。1H NMR(DMSO-d6)2.48(6H,s)、7.51(2H,s)。
【実施例5】
【0104】
2,6-ジメチル-4-アセチルピリジンの合成(一般手順A)
ヨウ化メチルマグネシウム(3.0M)(18.4ml、0.054モル)および乾燥エーテルを氷浴内で0〜5℃に冷却した。実施例4の4-シアノ-2,6-ジメチルピリジンのエーテル溶液(30ml)を攪拌しながら、窒素雰囲気下に滴下して加えた。0〜5℃で1時間後、反応液をさらに1時間還流した。反応混合液を0〜5℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム(15ml)で急冷し、塩酸(15ml)を用いて少なくとも1時間加水分解した。次に飽和重炭酸ナトリウムを、溶液が塩基性になるまで加えた。次に溶液を酢酸エチルで抽出した。有機部を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過して茶色のオイルを分離した。このオイルを、酢酸エチル:ヘプタン(1:1)を用いたBiotage 40Sシリカゲルカラムで精製し、2,6-ジメチル-4-アセチルピリジンを収率11%で得た。1H NMR(CDCl3)2.57(3H,d)、2.60(6H,s)、7.36(2H,s)。
【実施例6】
【0105】
3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジメチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成(一般手順B)
実施例5で調製したような2,6-ジメチル-4-アセチルピリジン(0.46g、0.00308モル)、およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(0.73g、0.00616モル)を3時間加熱しながら還流した。過剰のDMFDMAは取り除いた。ジクロロメタンを用いた、2gのフロリシルSPEカラムを通して精製し、溶媒を蒸発させて暗黄色の固形物を得た。NMRは、アセチルメチルと3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジメチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.7および7.8ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例7】
【0106】
2-ピリジニル[7-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成(一般手順C)
【化11】


実施例6の3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジメチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オン(0.54g、0.00264モル)と(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.33g、0.00176モル)を酢酸(4ml)の中に混合し、TLCにより反応が完了するまで、通常3〜4時間加熱しながら還流した。次に反応混合液を水に注ぎ入れ、生じた固形物を濾過し、水で洗浄してから乾燥させた。必要に応じて、クロロホルム:メタノール99:1を用いたシリカゲルで更に精製した。2-ピリジニル[7-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンをHPLC面積パーセントによる収率15%および純度100%でライトグレーの固体として単離した。M/e+330。1H NMR(DMOSO-d6)2.55(6H,s)、7.57(1H,d)、7.66(1H,m)、7.71(2H,s)、8.04(2H,m)、8.74(2H,d)、8.92(1H,d)、9.17(1H,s)。
【実施例8】
【0107】
2-フルオロ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンの合成
2-フルオロイソニコチン酸(0.282g、0.002モル)を塩化メチレンに溶解した。(3ml)カルボニルジイミダゾール(0.0362g、0.002モル)を加え、反応混合液を室温で2時間攪拌した。次にN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.293g、0.003モル)を一気に加えた。一晩攪拌した後、反応を0.1M NaOH(10ml)を用いて停止し、水およびジクロロメタンを加えた。層を分離させて、水層をジクロロメタン(2x30ml)で抽出した。一つにまとめた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥、濾過、分離して2-フルオロ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンを0.326g(収率86.9%)を得た。M/e+185。
【実施例9】
【0108】
2-フルオロ-4-アセチルピリジンの合成
【化12】


実施例8のような2-フルオロ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジン(0.92g、0.005モル)を無水テトラヒドロフラン(15ml)に溶解し、0〜5℃に冷却した。10分後、ヨウ化メチルマグネシウム(3.0M、エチルエーテル溶液)(2.2ml)を滴下して加えた。0〜5℃で2時間後、飽和塩化アンモニウムを用いて反応を停止した。酢酸エチル(2x100ml)で抽出し、ブラインで洗浄、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、分離して2-フルオロ-4-アセチルピリジンを0.65g(収率94%)を得た。1H NMR(CDCl3)7.40(1H,s)、7.68(1H,d)、8.48(1H,d)。
【実施例10】
【0109】
3-ジメチルアミノ-1-(2-フルオロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成
3-ジメチルアミノ-1-(2-フルオロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンは、上記実施例6の一般手順Bに従って調製した。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(2-フルオロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.56および8.26ppmにある2個の新規オレフィンプロトンとの反応を示した。
【実施例11】
【0110】
2-ピリジミル[7-(2-ヒドロキシピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化13】


3-ジメチルアミノ-1-(2-フルオロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オン(0.91g、0.234モル)と(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.44g、0.00469モル)を酢酸(3ml)の中に混合した。混合液を加熱して8時間還流した。反応混合液を重炭酸ナトリウムに注ぎ入れ、生じた固形物を濾過し、水で洗浄して、乾燥させた。予想された2-ピリジニル[7-(2-フルオロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンではなく、2-ピリジニル[7-(2-ヒドロキシピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンが茶色の固形物として、HPLC面積パーセントによる収率86%および純度95%で単離された。M/e+318。1H NMR(DMOSO-d6)6.76(1H,d)、7.03(1H,s)、7.54(2H,d)、7.59(1H,d)、7.66(1H,m)、8.04(2H,m)、8.75(1H,d)、8.90(1H,d)、9.15(1H,s)。
【実施例12】
【0111】
2,6-ジクロロ-4-シアノピリジンの合成
【化14】


2,6-ジクロロ-4-シアノピリジンは、市販されている2,6-ジクロロ-4-シアノピリジンから、上記実施例5に概要を示した一般手順Aを用いたヨウ化メチルマグネシウムとの反応によって、一段階で、収率76%で調製した。黄色の固体が収率76%で単離された。NMR(CDCl3) 2.6(3H,s)、7.6(2H,s)。
【実施例13】
【0112】
3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成
3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンは、上記実施例6の一般手順Bによって調製された。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.48および7.95ppmにある2個の新規オレフィンプロトンとの反応を示した。
【実施例14】
【0113】
2-ピリジニル[7-(2,6-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化15】


2-ピリジニル[7-(2,6-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、上記実施例7に開示した一般手順Cを用いて調製した。緑色の固体として、HPLC面積パーセントによる収率11%および純度95%で単離された。M/e+371。1H NMR(DMOSO-d6)7.71(1H,m)、7.77(1H,d)、8.09(2H,m)、8.29(2H,s)、8.78(1H,d)、8.98(1H,d)、9.21(1H,s)。
【実施例15】
【0114】
2,6-ジブロモイソニコチン酸の合成
シトラジン酸(2.33g、0.015モル)およびオキシ臭化リンを混合し、窒素雰囲気下で3時間、180℃に加熱した。冷却した反応物を氷水で注意しながら急冷した。混合物を濾過し、水性部分をジクロロメタン(4x40ml)で抽出した。固体をSoxhlet抽出器の中で、ジクロロメタンを用いて12時間抽出した。直接抽出の有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、分離して赤みかかった固体2.2gを得た。Soxhlet抽出からの有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して分離し、赤みかかった固体を0.5g得た。この二つの2,6-ジブロモイソニコチン酸(収率64%)部分はNMRでは同類であり、一つにまとめられた。NMR(CDCl3) 8.04(2H,s)。
【実施例16】
【0115】
2,6-ジブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンの合成
実施例17で得られたような2,6-ジブロモイソニコチン酸(1.4g、0.005モル)を塩化メチレン(10ml)に溶解した。次にカルボニルジイミダゾール(0.892g、0.0055モル)を加え、反応混合液を室温で2時間攪拌した。N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.5g、0.015モル)を一気に加えた。一晩攪拌した後、反応を0.1N NaOH(10ml)で停止し、水およびジクロロメタンを加えた。層分離させ、水層をジクロロメタン(50ml)で抽出した。一つにまとめた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して分離し2,6-ジブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンを1.6g(収率98%)を得た。M/e+325。
【実施例17】
【0116】
2,6-ジブロモ-4-アセチルピリジンの合成
【化16】


実施例19のようして、2,6-ジブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジン(1,3g、0.004モル)を無水テトラヒドロフラン(12ml)に溶解して、0〜5℃に冷却した。10分後、ヨウ化メチルマグネシウム(3.0M、エチルエーテル溶液)(1.8ml)を滴下して加えた。0〜5℃で2時間後、飽和塩化アンモニウムを用いて反応を停止した。酢酸エチル(2x70ml)で抽出し、ブラインで洗浄、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、分離して2,6-ジブロモ-4-アセチルピリジンを1.0g(収率90%)を得た。1H NMR(CDCl3 2.6(3H,s)、7.8(2H,s)。
【実施例18】
【0117】
3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジブロモ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成
3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンは、実施例6に記載の一般手順Bにより調製した。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(2,6-ジブロモ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.48ppmにある新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例19】
【0118】
2-ピリジニル[7-(2,6-ジブロモピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化17】


2-ピリジニル[7-(2,6-ジブロモピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、上記実施例7に開示した一般手順Cを用いて調製した。黄色の固体として、HPLC面積パーセントによる収率35%および純度95%で単離された。M/e+460。1H NMR(DMOSO-d6)7.71(1H,m)、7.75(1H,d)、8.08(2H,m)、8.42(2H,s)、8.77(1H,d)、8.67(1H,d)、8.97(1H,d)、9.20(1H,s)。
【実施例20】
【0119】
2-ブロモイソニコチン酸の合成
2-ブロモ-4-メチルピリジン(10g、0.058モル)および過マンガン酸カリウム(18.3g、0.115モル)を水(500ml)に混合した。混合液を5時間還流し、セライトを通して濾過し〜400mlに減量した。暗褐色の溶液を塩酸(10%)を用いてpH〜3に酸性化した。生じた白色の沈殿を濾過し、エチルエーテルですすぎ洗いした。2-ブロモイソニコチン酸が34%の収率で単離された。1H NMR(DMOSO-d6)7.8(1H,d)、7.85(1H,s)、8.5(1H,d)。
【実施例21】
【0120】
2-ブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンの合成
実施例23で調製したような2-ブロモイソニコチン酸(2.02g、0.010モル)を塩化メチレン(20ml)に溶解し、カルボニルイミダゾール(1.8g、0.011モル)を加え、反応混合液を室温で2時間攪拌した。N,O-ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(1.5g、0.015モル)を一気に加えた。一晩攪拌した後、反応を0.1M NaOH(10ml)を用いて停止し、水およびジクロロメタンを加えた。層分離した後、水層をジクロロメタン(50ml)で抽出した。一つにまとめた有機部分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥、濾過、分離して2-ブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジンを2.4g(収率98%)を得た。1H NMR(CDCl3)3.42(3H,s)、3.58(3H,s)、7.15(1H,d)、7.77(1H,s)、8.57(1H,d)。
【実施例22】
【0121】
2-ブロモ-4-アセチルピリジンの合成
【化18】


2-ブロモ-4-(N-メチル-N-メトキシカルボキシアミド)ピリジン(2.4g、0.10モル)を無水テトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、0〜5℃に冷却した。10分後、ヨウ化メチルマグネシウム(3.0M、エチルエーテル溶液)(1.8ml)を滴下して加えた。0〜5℃で2時間後、飽和塩化アンモニウムを用いて反応を停止した。酢酸エチル(2x70ml)で抽出し、ブラインで洗浄、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、分離して2-ブロモ-4-アセチルピリジンを2.0g(収率100%)を得た。1H NMR(CDCl3)2.6(3H,s)、7.6(1H,d)、7.8(1H,s)、8.5(1H,d)。
【実施例23】
【0122】
3-ジメチルアミノ-1-(2-ブロモ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成
3-ジメチルアミノ-1-(2-ブロモ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンは、上記実施例6の一般手順Bに従って調製した。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(2-ブロモ-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.56および8.40ppmにある2個の新規オレフィンプロトンとの反応を示した。
【実施例24】
【0123】
2-ピリジニル[7-(2-ブロモピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化19】


2-ピリジニル[7-(2-ブロモピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、上記実施例7に開示した一般手順Cを用いて調製した。暗黄色の固体として、HPLC面積パーセントによる収率35%および純度97%で単離された。M/e+380。1H NMR(CDCl3)7.22(1H,d)、7.55(1H,m)、7.979(2H,m)、8.20(1H,s)、8.29(1H,d)、8.67(1H,d)、8.80(1H,d)、8.93(1H,d)、9.46(1H,s)。
【実施例25】
【0124】
4-シアノ-2-ピコリンの合成
ヨードエタン(13.2ml、0.165モル)を2-メチルピリジン-N-オキシド(5.0g、0.045モル)に室温で滴下して加えた。一晩放置した後、生じたN-エトキシ-ピコリニウムヨウ化塩を濾過して集め、エチルエーテルで洗浄した。この塩(10.9g)のEtOH-H2O(7:3)の溶液(45ml)を45〜50℃に加熱し、シアン化カリウム(5.4g、0.082モル)の水溶液(15ml)を1時間かけて滴下し加えた。さらに1時間45〜50℃に置いた後、混合液をクロロホルムで抽出した。有機部分をブライン(1X)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、濃いオレンジ色のオイルを得た。このオイルをヘプタン:酢酸エチル(8:2)を用いたBiotage 40Lシリカゲルカラムにかけて精製し、収率28.6%で灰白色の固体として4-シアノ-2-ピコリンを得た。M/e+119。1H NMR(CDCl3)2.62(3H,s)、7.35(1H,d)、7.40(1H,s)、8.65(1H,d)。
【実施例26】
【0125】
2-メチル-4-アセチルピリジンの合成
【化20】


2-メチル-4-アセチルピリジンを上記のようにして、市販されている2-メチルピリジン-N-オキシドから、全体収率16%で調製するか、または実施例5に記載の一般手順Aを用いて調製した。収率56%で単離された。1H NMR(CDCl3)2.75(3H,s)、2.80(3H,s)、7.60(1H,d)、7.70(1H,s)、8.75(1H,d)。
【実施例27】
【0126】
3-ジメチルアミノ-1-(2-メチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの合成
3-ジメチルアミノ-1-(2-メチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンは、上記実施例6に記載されている一般手順Bを用いて調製された。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(2-メチル-4-ピリジル)-2-プロペン-1-オンの特徴である5.59および8.54ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例28】
【0127】
2-ピリジニル[7-(2-メチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成)
【化21】


2-ピリジニル[7-(2-メチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、実施例7に記載の一般手順Cを用いて調製した。HPLCの面積パーセントによる収率26%および純度100%で、黄色の個体として単離された。M/e+316。1H NMR(DMSO-d6)2.60(3H,s)、7.62(1H,d)、7.71(1H,m)、7.89(1H,d)、7.95(1H,s)、8.10(2H,m)、8.73(1H,d)、8.78(1H,d)、9.04(1H,d)、9.17(1H,s)。
【実施例29】
【0128】
2-ベンゾリソニコチン酸の合成
【化22】


2-ベンゾリソニコチン酸は、4-アセチルピリジンおよびベンゾイルギ酸から33%の収率で、既知文献の手順(JOC(1991)56 2869)によって合成された。
【実施例30】
【0129】
1-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)-ジメチルアミノプロペノンの合成
1-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)-エタノン(1.0g、0.00444モル)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(1.06g、0.00888モル)を加熱して3時間還流した。過剰のDMFDMAを取り除き、ジクロロメタンを用いた2gのフロリジルSPEカラムを通して精製し、所望の生成物を得た。NMRは、アセチルメチルと1-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)-ジメチルアミノプロペノンの特徴である5.9および7.8ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例31】
【0130】
2-ピリジニル[7-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化23】


酢酸(4ml)中の1-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)-ジメチルアミノプロペノン(1.24g、0.0044モル)および(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.41g、0.0022モル)。混合液を、TLCにより反応が完了するまで、通常3〜4時間加熱して還流した。反応混合液を水に注ぎ入れ、生じた固体を濾過し、洗浄して乾燥させた。必要であれば、99:1;クロロホルム:メタノールを用いたシリカゲルで精製し、加温したジメチルスルホキシドから結晶化した。2-ピリジニル[7-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、HPLC面積パーセントによる収率12%および純度100%で単離された。M/e+405。1H NMR(CDCl3)7.31(1H,d)、7.52(3H,m)、7.63(1H,m)、7.95(1H,m)、8.14(1H,d)、8.267(2H,m)、8.62(1H,s)、8.77(1H,d)、8.96(1H,d)、8.99(1H,d)、9.40(1H,s)。
【実施例32】
【0131】
2-クロロ-6-メトキシイソニコチン酸の合成
2-クロロ-6-メトキシイソニコチン酸は、既知の文献の手順[Tetrahedron 58 (2002) 6951]により、2,6-ジクロロイソニコチン酸から収率33%で合成された。
【実施例33】
【0132】
2-クロロ-6-メトキシ-4-アセチルピリジンの合成
【化24】


実施例34の2-クロロ-6-メトキシイソニコチン酸を次に、1,1'-カルボニルジイミダゾールおよびN,O-ジメチルヒドロキシルアミンとの反応によってWeinrebアミドに変換した。Weinrebアミドとヨウ化メチルマグネシウムとの反応により、所望の2-クロロ-6-メトキシ-4-アセチルピリジンを収率85%で得た。
【実施例34】
【0133】
1-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)-3-ジメチルアミノプロペノンの合成
実施例35のような2-クロロ-6-メトキシ-4-アセチルピリジン(1.0g、0.00559モル)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(1.28g、0.0108モル)を加熱して、3時間還流した。過剰のDMFDMAを取り除き、ジクロロメタンを用いた2gのフロリジルSPEカラムを通して精製し、所望の生成物を得た。NMRはアセチルメチルと、1-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)-3-ジメチルアミノプロペノンの特徴である5.5および7.8ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例35】
【0134】
2-ピリジニル[7-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化25】


酢酸(8ml)中の、実施例37で調製したような1-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)-3-ジメチルアミノプロペノン(1.22g、0.00506モル)および(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.63g、0.0038モル)。還流2時間後、TLCにより反応が完了した。反応混合液を水に注ぎ入れ、生じた固体を濾過し、洗浄して乾燥した。次にトルエンと共に粉砕し、濾過して乾燥した。2-ピリジニル[7-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンが、HPLC面積パーセントによる収率57.7%および純度97.5%で単離された。M/e+365。1H NMR(CDCl3)4.03(3H,s,OCH3)、7.16(1H,d)、7.32(1H,s)、7.51(2H,m)、7.92(1H,dd)、8.25(1H,d)、7.94(1H,dd)、8.75(1H,ds)、8.90(1H,d)、9.39(1H,s)。
【実施例36】
【0135】
1-キノリン-4-イル-エタノンの合成
【化26】


市販されている4-キノリンカルボン酸をWeinrebアミドに100%の収率で変換した。Weinrebアミドを、ヨウ化メチルマグネシウムを用いた反応により、収率50%で4-アセチルキノリンに変換した。
【実施例37】
【0136】
3-ジメチルアミノ-1-キノリン-4-イル-プロぺノンの合成
1-キノリン-4-イル-エタノン(1.0g、0.00584モル)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(1.39g、0.0117モル)を加熱して、3時間還流した。過剰のDMFDMAは取り除き、溶液をジクロロメタンを用いた2gのフロリシルSPEカラムを通して精製して所望の生成物を得た。NMRは、アセチルメチルと3-ジメチルアミノ-1-キノリン-4-イル-プロペノンの特徴である5.4および8.1ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例38】
【0137】
2-ピリジニル[7-キノリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化27】


実施例39からのような3-ジメチルアミノ-1-キノリン-4-イル-プロペノン(1.26g、0.00557モル)および(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.69g、0.0037モル)を酢酸(8ml)に混合した。2時間の還流後、TLCにより反応完了と判定された。反応混合液を水に注ぎ入れ、生じた固形物を濾過し、水で洗浄してから乾燥させた。トルエンと共に粉砕し、濾過して乾燥した。2-ピリジニル[7-(キノリンピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを、HPLC面積パーセントによる収率57.6%および純度97%で単離した。M/e+351。1H NMR(CDCl3)7.18(1H,d)、7.42(2H,d)、7.53(2H,m)、7.63(1H,d)、7.81(1H,dd)、7.94(1H,dd)、8.26(2H,dd)、8.71(1H,d)、8.99(1H,d)、9.13(1H,d)、9.28(1H,s)。
【実施例39】
【0138】
3-メチル-4-アセチルピリジンの合成
【化28】


3-メチルリソニコチン酸を、既知の文献の手順[OPPI Briefs 31 (1999) 1200]により、二酸化セレンを用いて3,4-ジメチルピリジンを参加することによって、収率24.8%で合成した。3-メチルリソニコチン酸は、Weinrebアミドに89%の収率で変換された。ヨウ化メチルマグネシウムとの反応により、所望する3-メチル-4-アセチルピリジンを57%の収率で得た。
【実施例40】
【0139】
3-ジメチルアミノ-1-(3-メチルピリジン-4-イル)プロペノンの合成
実施例41からのような、3-メチル-4-アセチルピリジン(1.49g、0.011モル)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(2.63g、0.022モル)を加熱して、2時間還流した。過剰のDMFDMAを取り除き、ジクロロメタンを用いた2gのフロリジルSPEカラムを通して精製し、所望の生成物を得た。NMRはアセチルメチルと、3-ジメチルアミノ-1-(3-メチルピリジン-4-イル)-プロペノンの特徴である5.2および7.1ppmにある2個の新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例41】
【0140】
2-ピリジニル[7-(3-メチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化29】


実施例42からのような3-ジメチルアミノ-1-(3-メチルピリジン-4-イル)-プロペノン(2.02g、0.0106モル)および(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(1.32g、0.00708モル)を酢酸(16ml)の中で混合した。2時間還流した後、TLCにより反応が完了したと判定された。反応混合物を水に注ぎ込み、酢酸エチル(1x)およびジクロロメタン(2x)で抽出した。有機部分を一つにまとめ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過して分離した。粗生成物を、クロロホルム:メタノール(99:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。2-ピリジニル[7-(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンは、淡黄色の固体として、HPLC面積パーセントによる収率40.0%および純度98%で単離された。M/e+315。1H NMR(CDCl3)2.19(3H,s、CH3)、7.01(1H,d)、7.34(1H,d)、7.51(2H,dd)、7.92(1H,dd)、8.25(1H,d)、8.67(1H,d)、8.70(1H,s)、8.73(1H,d)、8.93(1H,d)、9.35(1H,s)。
【実施例42】
【0141】
2,5-ジクロロ-4-アセチルピリジンの合成
【化30】


市販されている2,5-ジクロロイソニコチン酸を81%の収率でWeinrebアミドに変換した。Weinrebアミドは、ヨウ化メチルマグネシウムとの反応により、23%の収率で所望する2,5-ジクロロ-4-アセチルピリジンに変換された。未反応のWeinrebアミド(28%)も再回収された。
【実施例43】
【0142】
1-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)-3-ジメチルアミノプロペノンの合成
2,5-ジクロロ-4-アセチルピリジン(0.38g、0.0199モル)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)(0.48g、0.00399モル)を加熱して、2時間還流した。過剰のDMFDMAを取り除き、ジクロロメタンを用いた2gのフロリジルSPEカラムを通して精製し、所望の生成物を得た。NMRは、アセチルメチルと1-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)-3-ジメチルアミノプロペノンの特徴である5.2にある新規オレフィンプロトンの反応を示した。
【実施例44】
【0143】
2-ピリジニル[7-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンの合成
【化31】


酢酸(4ml)の中で、実施例45からのような1-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)3-ジメチルアミノプロペノン(0.40g、0.00163モル)および(3-アミノ-1H-ピラゾール-4-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(0.23g、0.00125モル)を混合した。2時間の還流後、TLCにより反応は完了した。反応混合液を水に注ぎ入れ、ジクロロメタンで抽出した(3x)。有機部分を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、クロロホルム:メタノール(99:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーで精製した茶色のオイルを分離した。次にヘプタン:テトラヒドロフラン(1:1)を用いた第二シリカゲルクロマトグラフィー。2-ピリジニル[7-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノンを、HPLC面積パーセントによる収率16%および純度96%で単離した。M/e+369。1H NMR(CDCl3)7.10(1H,d)、7.52(1H,dd)、7.53(2H,m)、7.58(1H,s)、7.92(1H,dd)、8.25(1H,d)、8.63(1H,s)、8.75(1H,d)、8.9(1H,d)、9.38(1H,s)。
【実施例45】
【0144】
ピリジン-2-イル[7-(2-ピロリジン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(2a)の合成
【化32】


攪拌中の2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン(一般合成計画2の化合物1、0.1g、0.29ミリモル)のDMSO(6ml)懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.05ml、0.29ミリモル)を加え、続いてピロリジン(0.12g、1.69ミリモル)を加えた。混合液を125〜130℃で18時間加熱し、冷した後に水中で急冷した。EtOAc(50ml)で抽出し、MgSO4(2g)で乾燥して粗い黄土色固体を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(1%MeOH/CH2Cl2)で精製した。黄色の固体(0.043g、40%)を得た:1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ9.36(1H,s)、8.90-8.89(1H,d,J=4.5 Hz)、8.75-8.74(1H,d, J=4.8 Hz)、8.37-8.35(1H,d,J=5.1 Hz)、8.25-8.22(1H,d,J=8.1 Hz)、7.95-7.88(1H,dt,J=7.8, 1.5 Hz)、7.52-7.48(1H,m)、7.18-7.17(1H, d, J=4.5 Hz)、7.04(1H,s)、6.98-6.96(1H,dd,J=5.4,1.5 Hz)、3.57-3.53(4H,m,CH2NCH2)、2.16-2.01(4H,m,CH2CH2);MS(m/z)371[MH+](100)、195(80)。
【実施例46】
【0145】
ピラゾロピリミジンHCl塩を調製するための一般的方法
攪拌中の遊離塩基(1当量)のDCM(16容積)溶液にEt2O(8容積)を加え、続いて1MのHClのEt2O溶液(1.05当量)を加えた。得られた懸濁液を15分間攪拌、濾過してから、固形物を真空下に乾燥させて塩生成物を得た。
【実施例47】
【0146】
ピリジン-2-イル-[7-(2-ピロリジン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン、HCl(3a)の合成
上記実施例47のように、攪拌中のピリジン-2-イル-[7-(2-ピロリジン-1-イル-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(0.123g、0.33ミリモル)のDCM(2ml)溶液とHCl(0.35ml、0.35ミリモル)を含むEt2O(1ml)とから、黄色の固体(0.118g、89%)として生成物を得た:1H NMR(300 MHz, d6DMSO)δ9.20(1H,s)、9.04-9.02(1H,d,J=4.5 Hz)、8.80-8.79(1H,d, J=4.8 Hz)、8.19-8.17(1H,d,J=6.6 Hz)、8.13-8.08(2H,m)、7.78-7.76(1H,d,J=6.6 Hz)、7.51-7.71(2H,m)、7.46-7.44(1H, d, J=6.6 Hz)、3.69(4H,br-s,CH2NCH2)、2.08(4H,br-s,CH2CH2);MS(m/z)371[MH+](100)。
【実施例48】
【0147】
ピリジン-2-イル-[7-(2-ジメチルアミノ-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(2b)の合成
【化33】


攪拌中の2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-]ピリミジン-3-イル]メタノン(一般反応計画2の化合物1、0.25g、0.74ミリモル)のDMSO(2.5ml)懸濁液にジイソプロピルエチルアミン(0.10ml、0.74ミリモル)を加え、続いてジメチルアミン(2Mのメタノール液、5.4ml、11.1ミリモル)を加えた。混合液を100℃で24時間加熱し、冷した後に水(200ml)の中で急冷した。EtOAc(200ml)で抽出し、MgSO4(10g)で乾燥し、粗いオレンジ色の固体を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(90%EtOAc/8%MeOH/2%NH4OH)で精製した。黄色の固体(0.076g、30%)を得た:遊離塩基の質量が小さいため、HCl塩について1H NMR(300 MHz, CDCl3)を実施した; MS(m/z)345[MH+](100)。
【実施例49】
【0148】
ピリジン-2-イル-[7-(2-ジメチルアミノ-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン、HCl(3b)の合成
上記実施例50同様に、攪拌中のピリジン-2-イル-[7-(2-ジメチルアミノ-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(0.076g、0.22ミリモル)のDCM(1.4ml)懸濁液およびHCl(0.22ml、0.22ミリモル)を含むEt2O(1ml)から生成物として黄色の固体を得た(0.046g、55%): 1H NMR(300 MHz, d6DMSO)δ9.21(1H,s)、9.05-9.03(1H,d,J=4.5 Hz)、8.80-8.78(1H,d, J=4.8 Hz)、8.23-8.21(1H,d,J=6.6 Hz)、8.15-8.07(2H,m)、7.86(1H,s)、7.76-7.74(1H, d, J=4.2 Hz)、7.72-7.69(1H,m)、7.48-7.46(1H,d,J=6.6 Hz)、3.35(6H, s,CH3NCH3);MS(m/z)345[MH+](100)、284(20)。
【実施例50】
【0149】
ピリジン-2-イル[7-(2-モルホリン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(2c)の調製
【化34】


攪拌中の2-ピリジニル[7-(2-クロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]]
ピリミジン-3-イル]メタノン(一般反応計画2の化合物1、0.2g、0.59ミリモル)のDMSO(6ml)懸濁液にジイソプロピエチルアミン(0.10ml、0.59ミリモル)を加え、続いてモルホリン(0.4ml、4.57ミリモル)を加えた。混合液を125〜130℃で18時間加熱し、冷ましてから水(80ml)中で急冷した。EtOAc(100ml)で抽出し、MgSO4(4g)上で乾燥させると粗い黄土色の個体が得られ、これをシリカカラムクロマトグラフィー(90%EtOAc/10%ヘキサン)で精製した。黄色の固体(0.166g、73%)を得た: 1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ9.35(1H,s)、8.89-8.87(1H,d,J=4.2 Hz)、8.73-8.71(1H,d, J=4.8 Hz)、8.40-8.38(1H,d,J=5.1 Hz)、8.22-8.20(1H,d,J=8.1 Hz)、7.92-7.87(1H,dt,J=7.8, 1.8 Hz)、7.50-7.46(1H,m)、7.32(1H,s)、7.16-7.15(1H,d,J=4.5 Hz)、7.10-7.08(1H,d,J=5.4 Hz)、3.84-3.80(4H, t,J=4.2 Hz, CH2OCH2)、3.61-3.58(4H, t,J=4.2 Hz, CH2NCH2);MS(m/z)387[MH+](25)、195(80)。
【実施例51】
【0150】
ピリジン-2-イル-[7-(2-モルホリン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン、HCl(3c)
上記実施例52同様にピリジン-2-イル-[7-(2-モルホリン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン(0.169g、0.44ミリモル)のDCM(2ml)液とHCl(0.48ml、0.48ミリモル)を含むEt2O(1.3ml)から吸湿性の黄色の固体として生成物を得て、続いて真空下にメタノロン溶液(2ml)を減量した: 1H NMR(300 MHz, d6DMSO)δ9.21(1H,s)、9.00-8.99(1H,d,J=4.5 Hz)、8.79-8.78(1H,d, J=4.8 Hz)、8.34-8.33(1H,d,J=5.7 Hz)、8.11-8.08(2H,m)、7.72-7.69(2H,m)、7.68-7.67(1H, d, J=4.2 Hz)、7.43-7.41(1H,d,J=5.7 Hz)、3.78-3.76(4H, m,CH2OCH2)、3.71-3.69(4H, m,CH2NCH2);MS(m/z)387[MH+](100)。
【実施例52】
【0151】
本実施例で使用したアッセイ条件は、Skolnick, et al., J. Pharmacol. Exper. Ther. 283:488-493およびLiu, et al., J. Med. Chem. 39:1928-1934, 1996に示された条件を変更したものである。組織標本:断頭により殺した成体のオスSprague Dawleyラット(または同等株)より得た小脳。脳は速やかに取り出し、氷冷した50mMのTris−クエン酸緩衝液、pH7.4の入ったビーカーに移した。重量を測定した後、組織を50倍容積の氷冷Tris−クエン酸緩衝液の中で、Polytron(設定6〜7、20秒)[または同等の組織破砕装置]を用いて破砕した。ホノジェネートを20,000xg(4oC)の遠心分離に20分間かけた。上清を捨て、得られた沈殿を等容積の緩衝液に懸濁し直して再度遠心分離にかけた。この洗浄操作を合計5回繰り返した。最後の再懸濁の後、組織をTris−クエン酸緩衝液に懸濁し直し、ドライアイスを用いて凍結した。凍結組織は、アッセイを行うまで-70℃で3〜5日間管理した。この徹底した洗浄作業の目的は、組織標本から内因性のGABAを排除することである。こうすることで、アッセイ時に添加されたGABAのリガンド親和性に及ぼす作用を決定することができる(いわゆるGABAシフトアッセイ)。インキュベーション容積は一般的には1mlが選ばれた。組織懸濁液:0.1ml(50〜100ugタンパク質)、NaCl(2M):0.1ml(最終濃度は200mMになる)[アッセイ緩衝液を用いた保存溶液][3H]Ro 15-1788:0.05ml(最終濃度は〜1nMになる)、薬物または緩衝液:0.05ml、GABA(最終濃度、10μM):0.05ml<緩衝液を必要とするアッセイのみ:1mlにする(すなわち0.7ml)。インキュベーションは氷上で120分間行われ、2x5mlの氷冷Tris−クエン酸緩衝液を用いて素早くWhatman GF/Bフィルターで濾過することで停止した。フィルターに残った放射活性を標準的な液体シンチレーション分光測定器を用いて測定した。非特異結合は、ジアゼパム(最終、5〜10uM)、フルニトラゼパン(5〜10uM)、またはRo 15-1788(1〜5uM)[これらはエタノールを用いて保存溶液を作製し、緩衝液を用いて20xに希釈することができる。例えば、ジアゼパムの場合、10mMに作製し、これを100uMに希釈して、最終インキュベーション容積1ml中に100uMを50ul使用する]を用いて画定できる。非特異結合は、このような条件においては、通常全結合の10〜15%より多くない。採取後、小脳の重量を測定し、50倍容積の氷冷した50mM Tris−クエン酸緩衝液(pH7.4)中でホモジェナイゼーションし、2000xg、20分間の遠心分離にかけた。ホモジェナイゼーションおよび遠心分離工程(「洗浄」)を5回繰り返した。結果を上表3に示す。
【0152】
表3に示すこれらアッセイの結果は、発明の例示化合物のいくつかがGABAAレセプターに対し良好な親和性を示すことが、それらがレセプター標本に対する[3H]Ro 15-1788の結合を10μM未満のIC50で阻害できることを実証する形で示している。結合親和性は例示の候補化合物の主題群間で変動するが、いくつかの化合物はベンゾジアゼピンレセプターとより高い親和性で結合した(即ち親化合物(即ち未置換4-ピリジニル誘導体、オシナプロン)よりIC50が低い。これとは逆に、2,6-ジブロモ-ピリジン-4-イル誘導体は、実質的により低い親和性を示した(即ちベンゾジアゼピンレセプターに対するIC50がオシナプロンより高い。表3に示した競合結合アッセイは、発明の主題化合物がGABAAレセプターと特異的に相互作用することを証明している。
【0153】
別の競合結合アッセイが、選択的放射性リガンド[3H]Ro 15-1788を用いて行うことができる。MAFBNOBマルチウエルプレート(Millipore Corp)のウエルに小脳膜標本の一部(〜0.1mgの全タンパク質を含む)、[3H]Ro 15-1788(1nM、New England Nuclear)の一部、各種濃度の試験対象化合物および十分量の緩衝液を加えて、各ウエルの全容積を0.3mlにする。非特異的結合は、別のウエルに未標識のジアゼパム(10μM)を加えて評価する。アッセイは2時間、0〜4℃でインキュベーションし、その後真空濾過(Millipore Corp)によりインキュベーションを停止する。アッセイの停止および放射標識レセプターの収集に用いたフィルターを0.3mlの氷冷緩衝液で2回洗浄し、シンチレーションバイアルの中に4.0mlのシンチレーションカクテルと一緒に入れて、フィルター上に存在する放射活性をBeckman LS-6500シンチレーションカウンターで測定した。
【実施例53】
【0154】
抗不安および抗痙攣特性の証明
本発明の新規化合物の抗不安および抗痙攣特性は、不安除去および/または抗てんかん活性を評価する通常のアッセイ、例えばペンチレンテトラゾール投与により生じる痙攣の防止を測定することによって確立される。同一または各種レベルの試験化合物を、0/5%v/vのポリエチレングリコールおよびポリソルベート80を一滴含む2%デンプン賦形剤に混ぜて、最低4匹のラットの群に経口または腹腔内に投与した。30または60分の時点でラットを23mg/kg体重の用量のペンチレンテトラゾールを静脈内投与した。この用量は、無保護のラットの99%に間代発作を誘発すると推測されている。ラットにおけるペンチレンテトラゾール発作と、ほ乳類のような高等温血動物における抗不安または抗痙攣作用との相仇には強い相関性があると報告されている(R.T.Hill and D.H.Tedeschi, "Animal Testing and Screening Procedures in Evaluating Psychotropic Drugs(向精神薬の評価における動物試験およびスクリーニングの方法" in "An Introduction to Psychopharmacology(精神薬理学入門)", Eds, R.R.Rech and K.E.Moore, Raven Press, New York, pp 237-288 (1971))。
【実施例54】
【0155】
抗不安作用の証明
6匹の、体重200〜240gの無処理のWistar系統ラットそれぞれについて、水を48時間、そして食事を24時間絶った。発明の化合物を単一もしくは様々な、経口もしくは腹腔内用量、0/5%v/vのポリエチレングリコールおよびポリソルベート80を一滴含む2%デンプン賦形剤に懸濁して投与した。コントロールの動物には賦形剤だけを投与した。30〜60分目に、各ラットを個別のプレキシグラス製チャンバーに入れた。水は、チャンバー後に置かれた飲み口から自由に摂らせた。鋼線格子を備えた床と飲み口の間に0.7ミリアンペアのDCショック電流を流した。ショックを与えない水飲みを20回行わせた後、ショックを2秒間流し、その後さらに水飲み20回当たり2秒間1回のショックを与えた。これを合計3回続けた。3分間にそれぞれのラットが受けたショックの回数を記録し、コントロール群と比較した。試験群の受けたショックの回数がコントロール群に比べ、Mann-WitneyのU検定により有意に高い場合、化合物は活性と考えた。
【実施例55】
【0156】
ラットの脳特異的レセプターへの3H-ベンゾジアゼピン結合の阻害
ラットの全脳皮質を20倍の容積の氷冷した0.32Mショ糖の中でゆっくりホモジェナイゼーションし、1000g、10分間の遠心分離にかけ、さらに30,000gで20分間遠心分離してP2-シナプス粗分画を生成した。P2-分画は:(1)元の容積の2倍の低張50 mM Tris.HCl(pH7.4)に懸濁するか、または(2)元の容積の半分の低張10 mM Tris.HCl(pH7.4)に懸濁して使用するまで凍結(-20℃)した。凍結したP2標本は、アッセイ時に融解し、元のホモジェナイゼーション容積の4倍に懸濁した。
【0157】
結合アッセイは、P2分画懸濁液(0.2〜0.4mgタンパク質)300μl、試験薬物100μl、3Hジアゼパム(1.5nM、最終濃度)または3Hフルニトラゼパム(1.0nM、最終濃度)100μlから構成されており、これらは1.5mlの50mM Tris.HCl(pH7.4)に加えられた。非特異結合コントロールおよび全結合コントロールは、それぞれ試験化合物の代わりにジアゼパム(3μM、最終濃度)100μlおよび脱イオン水100μlが加えられた。インキュベーションは氷上で30分間起こった後、真空下にWahtman GF/Cガラスファイバーフィルターで濾過して停止した。濾過液を5mlの氷冷した50mM Tris.HCl(pH7.4)で2回洗浄してシンチレーションバイアルに入れた。50〜60℃で30分間乾燥させた後、Beckman Ready-Solv(商標)HP(高性能プレミックスシンチレーションカクテル、Beckman Instruments, Inc., Irvine, Calif. 92713の登録商標)を10ml加えて、シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。結合阻害は、全結合と試験化合物存在時の結合の差を全結合で除し、100倍して計算した。このアッセイでは、発明の活性化合物は結合を、多くの場合コントロールのアッセイ結果に比べ10%、20%、30%まで、50%、75%、95%まで、またはそれ以上阻害した。
【実施例56】
【0158】
鎮静−催眠特性の証明
発明の新規化合物の鎮静−催眠特性は、鎮静の尺度であるラットでのエタノール誘発昏睡の長さに及ぼすそれらの作用により確立した。少なくとも8匹からなる群に、様々な経口用量の試験化合物または賦形剤を、3.2g/kgのエタノールによる腹腔内処理60分前に投与した。その後、ラットを180分間連続的に観察して、エタノール誘発昏睡の発生頻度と長さについて調べた。ラットが最低1分間水平面に対し仰臥位をとり続けた場合、昏睡を示したと考えた;昏睡の終了はラットが自発的に起きあがり、最低1分間立ち続けたものと定義した。昏睡の長さは、ラットが仰臥位をとり続けた時間の合計である。試験化合物は、5%のポリエチレングリコール400と一滴のTween(登録商標)80を含む2%の水性デンプン懸濁液に溶解または懸濁した;エタノール(95%)は、0.85%生理食塩水で最終濃度(V:V)に調節した。全ての処理物は、5ml/kgの一定容積で投与された。
【実施例57】
【0159】
骨格筋弛緩活性の証明
この試験は、ラットが傾斜したスクリーンの上に残ることができる能力を変化させる発明の代表的化合物の効力を証明するものである。最低6匹のラットからなる群に各種用量の試験化合物または賦形剤を経口投与し、65分後にワイヤーメッシュスクリー(水平面から60°の角度に傾斜している)の上に置いた。30分以内にスクリーンから落下したラットの数を記録した。ED50(試験した動物の50%が落下するのに必要な用量)は、Finney, D.J. Statistical Methods in Biological Assay(生物アッセイの統計学的方法), 2nd Ed., Hafner, N.Y., 1964,pp.454ffの直線アークサイン変換法に従って計算した。化合物は5%のポリエチレングリコール400と一滴のTween(登録商標)80を含む2%の水性デンプン懸濁液に溶解または懸濁し、5ml/kgの一定容積で投与した。
【実施例58】
【0160】
移動活動に及ぼす作用の証明
6匹のラットの群に、賦形剤(5ml/kg)または様々な用量の試験化合物を経口投与した。60分後、個々のラットをアクトフォトメータ(Actophotometer)の中に入れ、短時間(30秒間)の慣れ期間を置いた後に、移動活動を5分間測定した。運動活動カウント(フォトセルを横切った回数)をそれぞれのラットについて記録し、平均活動カウントを各処置群について計算した。平均活動カウントが賦形剤群に比べ50%低下する用量(MDD50)を直線回帰式から計算した。
【実施例59】
【0161】
虚血事象時の保護
皮質線条体の切片を2〜3ヶ月齢のWistarラットから調製した(厚さ270〜300μm)。切片は次の組成を持つ人工脳脊髄液の中に保たれた(ミリモル/L):126 NaCl、2.5 KCl、1.2MgCl、1.2 MgCl2、1.2 NaH2PO4、2.4 CaCl2、11グルコースおよび25 NaHCO3。人工脳脊髄液の温度は34℃に保たれ、O2/CO2(95%/5%)が供給されている。In vitro虚血は、グルコースをショ糖に置き換えた人工脳脊髄液に、そして95%N2と5%CO2に10分間切り替えることで起こした。虚血溶液および薬物含有溶液は、3方栓を回すと30秒未満に記録チャンバー内に入る。式Iの組成物(例えばモノクロロまたはモノブロモ誘導体)は、それらを所望の最終濃度に生理食塩水に溶解することによって用いられた。
【0162】
細胞外記録用の電極(15〜20MΩ)には2モル/LのNaClを充填した。細胞外記録にはAxoclamp 2B増幅器(Axon Instruments)を用いた。外界電位幅は、初期の正のピークから負のピークまでの幅、ならびに負のピークから後期の正のピークまでの幅の平均として定義される。虚血により生ずる変化についての定量的データは、コントロール値に対するパーセンテージとして表され、またコントロール値は虚血段階前の安定期(15〜20分間)に記録された反応の平均を表す。トレーシングはデジタルオシロスコープ(Classic 6000、Gould)上に表示され、デジタル保存された。コントロール条件の下、虚血の期間(10分間)は、外界電位の不可逆的消失をもたらした。式Iの組成物との事前のインキュベーションは、虚血の影響を部分的または完全に逆転するだろう。
【実施例60】
【0163】
最大電気ショック痙攣(MES)または最大痙攣パターン試験
MESは全身性の強直間代性発作の管理および痙攣拡大の防止に関する薬物活性を予測する実験モデルである。このモデルの利点は、行動および電位記録上の痙攣がヒトで観察される痙攣と一致することである。
【0164】
MES試験では、動物は、麻酔薬を含有する電極溶液でプライミングした角膜電極から電気刺激を0.2秒間受ける。0.2秒間の刺激は60Hzで、ラットでは150mA、そしてマウスでは50mAで行われる。ラットは体重105g〜130g、マウスは体重18gから25.5gで、電気刺激を試験化合物投与後15分、30分、1時間、2時間および4時間目に加えられた。ラットでは、化合物は経口投与されるが、マウスは薬物を腹腔内注射によって投与される。試験のエンドポイントである電気発生痙攣は、後脚の強直性伸張として証明される。後脚の強直性伸張の阻害は、試験化合物がMES誘発痙攣の拡張を阻止でき、従って抗痙攣活性を有することを示す。
【0165】
前記発明は明瞭な理解を目的として例示の形で詳細に記載してきたが、当業者には、ある種の変更および修正は、例示により限定されない形で表されている添付の請求項の範囲内で実施できることは明らかであろう。これに関係して、本発明は本明細書に開示されている具体的な製剤、加工工程、および材料に限定されず、このような製剤、加工工程、および材料にはある程度の幅があることが理解されるだろう。さらに、本明細書で用いた命名規約は、特定の態様を記載する目的のために用いられており、そして本発明の範囲は添付の請求項およびその均等物によってのみ限定されることから、限定することを意図していないことも理解されるだろう。さらには、既述を簡素化するために、前記開示の中には各種刊行物およびその他の参照情報が引用されていることも記しておく。これら参照物はそれぞれ参照によって、あらゆる目的について、そのまま本明細書に組み入れられている。しかしながら、本明細書で論じた各種刊行物は、本出願の出願日前に開示されたものについてのみ組み入れられること、および発明者が先行発明の恩恵によってこのような開示を先行させる権利を保有することを記しておく。
【0166】
(参考文献)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物であって:
【化1】


式中各Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリール、アロイル、アラルキル、ニトリル、ピロリジン-1-イル、モノホリノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルカノイルアミノ、カルバモイル、カルバミル、カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、または複素環基から独立に選択される化合物。
【請求項2】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが1〜4の間である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
二つの隣接するR基が融合して5員環を形作る、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
二つの隣接するR基が融合して6員環を形作る、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rが、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換されたアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Rが、メチル、メトキシ、シクロプロピル、アセチルおよびアセトキシ基からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Rがアリール、アロイル、アリールアルキルまたは複素環基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記アリール、アロイル、アラルキルまたは複素環基が、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシからなる群より選択された1〜4個の置換基で置換される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記アリール基が、置換または非置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基からなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
置換フェニル、ナフチル、ビフェニルまたはジフェニル基が、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシから選択される1〜4個の置換基で置換される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記アロイル基が、置換または非置換ベンゾイルおよびナフトイル基からなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
前記置換ベンゾイルおよびナフトイル基が、アルキル;置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシからなる群より選択される1〜4個の置換基で置換される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記アリールアルキル基が置換または非置換ベンジルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
前記置換ベンジルが、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシからなる群より選択される1〜4個の置換基で置換される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記複素環基が単環式である、請求項8記載の化合物。
【請求項17】
前記複素環基が二環式である、請求項8記載の化合物。
【請求項18】
前記複素環基が、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキサニル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、インダゾリル、ベンズイソチアゾリル、イソインドリニルおよびテトラヒドロキノリニルからなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項19】
前記複素環基が、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイルおよびアリールオキシからなる群より選択される1〜4個の置換基で置換される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記ハロゲン置換基が塩素または臭素であり、そして2つの隣接するR基が、それらが結合する炭素環と一つになってキノリン-4-イル基を形作る、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
化合物が(2-ピリジニル)-[7-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2-ヒドロキシ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2-ブロモ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジクロロ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジブロモ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2-メチル-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2,6-ジメチル-ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(2-ベンゾイルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、(2-ピリジニル)-[7-(キノリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、2-ピリジニル[7-キノリンピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、2-ピリジニル[7-(3-メチルピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、2-ピリジニル[7-(2,5-ジクロロピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]メタノン、ピリジン-2-イル-[7-(2-ピロリジン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン、ピリジン-2-イル-[7-(2-ジメチルアミノ-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノン;またはピリジン-2-イル-[7-(2-モルホリン-1-イル-ピリジン-4-イル)-ピラゾロ[1,2-a]ピリミジン-メタノンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
ほ乳動物被験体でのGABAまたはGABAレセプター生理学の欠損または障害が介在する神経学的または精神医学的障害を治療または予防するための方法であって、前記被験体に、請求項1に記載の化合物をGABAまたはGABAレセプター変調有効量投与することを含む方法。
【請求項23】
第二のGABAまたはGABAレセプター変調剤を投与することを更に含み、第二GABAまたはGABAレセプター変調剤が抗不安剤、抗鬱剤、抗痙攣剤、向知性薬、麻酔薬、催眠薬または筋弛緩剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第二GABAまたはGABAレセプター変調剤が、請求項1の化合物との組合せ製剤の形で前記被験者に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第二GABAまたはGABAレセプター変調剤が、協調的投与手順によって、請求項1の前記化合物を被験者に投与するのと同時、前または後に前記被験者に対し投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
障害が発作、頭部外傷、てんかん、疼痛、偏頭痛、情緒障害、不安、心的外傷後ストレス障害、脅迫性障害、躁病、双極性障害、精神分裂症、死因発作、痙攣、耳鳴り、神経耐候性障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、鬱病、双極性障害、躁病、三叉神経痛、神経痛、神経障害痛、高血圧症、脳虚血、不整脈、ミオトニー、物質乱用障害、筋クローヌス、本体性振戦、ジスキネジー、運動障害、新生児脳内出血または痙直である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
障害が不安である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
障害がてんかんである、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
有効量が約1mg〜約600mg/日の間である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
有効量が約50mg〜約300mg/日の間である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
ほ乳動物被験体のGABAまたはGABAレセプターの生理学の変調によって仲介される治療反応を、前記被験体に式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒含有物、水和物、多形体またはプロドラッグを有効量投与することを含み誘発するための組成物。

【公表番号】特表2007−526334(P2007−526334A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502056(P2007−502056)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/007238
【国際公開番号】WO2005/084439
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(505166502)ディオーブイ ファーマシューティカル,インク. (5)
【Fターム(参考)】