2つの物体を連結する方法および対応する連結要素
第1および第2の物体(1および2)は、少なくともその遠位端および近位端(8.1および8.2)の領域において熱可塑性の材料を含む連結要素(8)の助けによって連結される。互いに面している2つの隠し穴(5および6)が2つの物体(1および2)に与えられ、連結要素(8)の遠位端および近位端(8.1)が隠し穴の底面に接し、かつ2つの物体(1および2)間に間隙(9)があるように、連結要素(8)が隠し穴に位置決めされる。このアセンブリは次に支持部(3)とソノトロード(4)との間に位置決めされる。ソノトロード(4)が振動される間、ソノトロード(4)および支持(3)は互いの方へ強制され、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部を液化し、そこで、連結要素端部(8.1および8.2)が穴(5および6)の底面に対して押付けられ、液化された材料が、穴表面の孔、凹凸、または穴表面に与えられる開口部に浸潤することが可能になり、このように連結要素端部(8.1および8.2)を物体(1および2)に固定する。連結要素の両端(8.1および8.2)において適切に類似した固定特性を達成するために、連結要素(8)の遠位端(8.1)は連結要素の近位端(8.2)よりも面の面積が小さく、かつ、より熱可塑性でない材料を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの物体を連結する方法、およびその方法に適用可能な対応する連結要素に関し、連結要素は熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成され、この方法は、例えば超音波振動などの機械的振動を与えることを含む。
【背景技術】
【0002】
公報WO98/42988およびWO00/79137は、熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成される、例えばピン形状の連結要素について記載する。そのような連結要素は、物体に設けられた隠し穴に位置決めすることにより、または、連結要素を物体の表面を通して強制し、次に物体にさらに押付けながら同時に連結要素に機械的振動(例えば超音波振動)を与えることにより、多孔性材料の物体に固定される。機械的振動により、連結要素の熱可塑性の材料は連結要素の表面で液化され、この表面が多孔性材料に対して押付けられ、材料はその液体状態において多孔性材料の孔に押込まれて、そこで再凝固の際に固定を形成する。固定の領域では、多孔性材料は熱可塑性の材料によって浸透され、それにより2つの材料間に複雑な積極的な接続を構成する。機械的振動を与えることは、連結要素(例えばピン形状の連結要素の端部)に振動要素(例えば超音波装置のソノトロード)を位置決めすることにより達成され、連結要素は、それが固定される物体から突出する。
【0003】
公報WO96/01377は、熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成されるダボ形の連結要素の助けおよび機械的振動の助けによって、多孔性材料の2つの物体を連結する方法について記載する。連結される物体の各々に隠し穴が与えられ、連結要素の1つの端部が隠し穴の各々に位置決めされる。次いで、2つの物体は、連結要素の両端を接続する線と実質的に平行な方向において互いに向かって押付けられ、同時に、物体のうち1つが機械的振動により励起される。
【0004】
WO96/01377によれば、2つの隠し穴および連結要素の両端は類似し、連結要素の長さは2つの隠し穴の深さの合計に実質的に対応する。連結要素の両端と2つの物体に与えられる2つの隠し穴とは円錐形であり、連結要素および隠し穴は、連結要素を隠し穴に位置決めするときに連結要素が隠し穴の底部に達せず、したがって2つの物体間に間隙が残るよう、寸法決めされる。連結作用は、2つの物体および連結要素のアセンブリを、振動しない支持部と例えば超音波装置のソノトロードなどの機械的に振動するよう励起され得る要素との間に位置決めすることによって行われる。励起可能な要素および支持部は、例えば励起可能な要素を一方の物体に押付けることにより互いに向かって強制され、同時に励起可能な要素が振動する。押付けて振動する際に連結要素の熱可塑性の材料が液化されて隠し穴の壁に接し、連結要素は隠し穴により深く強制され、それによって部分間の間隙が減じられる。間隙が埋められるとそれ以上の圧力が連結要素に加えられることはできず、したがって連結作用は終了する。振動中に液化された熱可塑性の材料が多孔性の物体材料に浸潤し、連結要素を2つの物体に固定する。
【0005】
公報WO96/01377による上記の簡潔に記載された連結方法では、極めて特別な場合にしか満足な結果を達成することができない。より一般的な態様で適用可能にするためには改良が必要である。
【0006】
したがってそのような改良を与えることがこの発明の目的である。これは、2つの(または恐らく3つ以上の)物体を連結するための連結方法および連結要素を作り出すことがこの発明の目的であることを意味し、そこでは、連結要素はダボのように用いられ、すな
わち連結される2つの物体間に与えられる凹部、例えば2つの対向する隠し穴に位置決めされ、連結要素は熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成され、この方法は機械的振動を与えるステップを含み、この発明による連結要素および方法は、WO96/01377によるダボ状の連結要素および対応する連結方法を、これらの助けによって、極めて特別な場合のみならずさらにより一般的に物体を満足に連結することが可能になるように向上させるものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項に規定される連結方法および連結要素によって達成される
この発明は、公報WO96/01377に記載される上述の連結方法によって作られた継手の強度が限定されているという所見と、WO98/42988の教示およびWO96/01377の教示を組合せること、すなわち2つの隠し穴の深さの合計よりも長い連結要素を設計すること、および連結要素の両端の領域に強固な固定を得ようとすることによっては、ほとんどの場合にこの強度を向上させることができないという所見とに基づく。ほとんどの場合、これは以下の事実に起因する。すなわち、他方の物体における固定が十分でない間に、励起可能な要素に面する方の物体に連結要素が十分に固定されてしまうか、または、他方の物体における固定が十分である場合もしくは十分でない場合であってさえ、励起可能な要素に面する方の物体における連結要素端部もしくはこの連結要素端部を囲む材料が過熱を受けるか、のいずれかである。これらの所見については、連結要素の近位端(励起可能な要素に面する端部)で利用可能な振動エネルギが、連結要素の遠位端(振動しない支持部に面する端部)におけるよりも大きく、したがって、遠位端で液化される材料が近位端においてよりも少ないという事実によって、少なくとも部分的に説明することができる。この効果は、それが例えば遠位の連結要素における不十分な固定によって連結の質を不十分にすることがない場合、釣り合いがとられる必要がある。示唆したエネルギの非対称性にはいくつかの要因があり、そのうち2つだけが示唆される。それは、連結要素の近位端が遠位端よりも振動の源に近く位置決めされている(制振がより少ない)ことによる。さらに、機械的振動が、連結要素自体を通して送られることによって連結要素遠位端に達しなければならないことによる。特に連結要素の近位端に液化された材料がある場合、振動伝達の特性は最適ではない。
【0008】
上記に示唆された非対称性を防ぐための明らかな1つのやり方は、連結要素の助けを借りて2つの物体を2ステップで連結することにある。すなわち物体の一方の凹部に連結要素を位置決めし、公報WO−98/42988の教示に従ってこの凹部内に連結要素を固定し、次に連結要素の近位端に第2の要素を配置し、かつ連結要素を第2の物体にも固定するために第2の物体に振動エネルギを与える。しかしながら、このような2ステップの方法は、完全に自動的に行う必要があるならば、完全な連結作用のためにはより多くの時間とより複雑な装置とを必要とする。したがって、このような2ステップの方法は問題の発明的な解決策ではない。
【0009】
特に上述のような機械的振動によって達成される固定の機械的強度などの特性は、特に、連結要素が固定される材料の孔または他の適切な開口部に、熱可塑性の材料がいかに、どれくらい深く浸潤するかに依存する。この特徴は、与えられた押圧力、システムに結合される(振幅と周波数に依存する)振動エネルギ、および振動エネルギが与えられる時間などの方法パラメータに依存するのみならず、連結要素および物体間の連結要素に与えられる凹部、特に、互いに対して押付けられる連結要素と凹部との表面の設計、液化された材料によって浸透され、変位され、かつ/または圧縮されることに反して物体材料が示す抵抗、ならびに、連結要素が励起した要素に振動的に結合される能力およびその振動を伝える能力にも、相当程度依存する。
【0010】
この発明によれば、連結作用中に連結要素の両端において利用可能な振動エネルギに関する上述の非対称性の効果は、以下の方策のうち少なくとも1つによって釣り合いがとられる:
・連結要素の両端が、例えば、凹部表面に対して押付けられる連結要素の両面のサイズ、液化に利用可能な熱可塑性特性を有する材料の量、および/またはこの材料の熱可塑性特性など、設計および/または材料に関して異なる(非対称な連結要素):
・連結要素端部が押付けられる2つの凹部面(例えば2つの隠し穴の底面)が、例えば連結要素端部が押付けられる2つの凹部面のサイズ、および/または、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗など、設計および/または材料に関して異なる(非対称な凹部底面):
・連結要素は、少なくとも一部の連結作用中に、励起可能な要素に面する方の物体からの向上した機械的振動の結合が可能になるよう設計される(非対称の固定作用)。
【0011】
上述の方策の少なくとも1つを適用し、そこに連結要素および/または連結要素に与えられる凹部を適合することによって、公報WO96/01377の教示を用いて可能になるよりもはるかに広い範囲に適用される、満足な継手を達成することが可能になる。しかしながら、個々の異なる適用例については、所望の継手の達成のための最適条件を見つけるための実験が行われるべきである。
【0012】
以下の図は、この発明による方法、およびこの方法に用いられる連結要素の例示的な実施例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、非対称の連結要素の第1の例示的な実施例と、連結される2つの物体間の凹部として与えられる1対の同一(深さに関しては必ずしも同一ではないが底面に関しては同一)の隠し穴とを用いる、この発明による方法を示す。連結要素および連結される物体は、与えられる押圧力の方向と平行、すなわち連結要素の近位端および遠位端を接続する線と平行な断面で示される。2つの物体は、例えば木製板もしくはチップボード要素、または別の多孔性材料から構成される。アセンブリは、圧力および振動を与える前(左側)と、圧力および振動を与えた後(右側)とで示される。
【0014】
2つの物体1および2の連結のために、それらは支持部3と励起可能な要素4(例えば超音波装置のソノトロード)との間に、支持部3側に第1の物体1、励起可能な要素4側に第2の物体2が位置決めされる。各物体に1つずつ与えられる2つの隠し穴5および6は互いに対面し、連結要素8は、その遠位端8.1が第1の物体1の隠し穴5の底面に置かれ、その近位端8.2が第2の物体2の隠し穴6の底面に置かれるよう隠し穴5および6に位置決めされる。連結要素8が2つの隠し穴5および6の深さの合計より長いので、2つの物体1と2との間に間隙9が残る。上述のように、2つの隠し穴5および6は同じ深さでも異なる深さでもよい。
【0015】
図1に示される連結要素8は熱可塑性特性を有する材料から構成され、遠位ボア10を有する点で近位端8.2とは異なる遠位端8.1を有し、このボアによって遠位面の面積は近位面の面積よりも小さく、かつ熱可塑性特性を有する材料の量が近位端よりも遠位端において小さくなる。励起可能な要素4が振動して(両矢印)第2の物体2に押付けられると(単矢印)、振動が第2の物体2に結合され、連結要素の近位端面の領域において熱可塑性の連結要素材料の液化を引起す。このような液化は連結要素8に結合される振動エネルギを減少させ、したがって、液化を生じるのに遠位端面において利用可能な振動エネルギを減じる。この効果は、遠位端面が近位端面よりも小さいことによって補償されており、その結果、単位面積あたりの遠位の押圧力がより大きくなり、それが遠位端における熱可塑性材料の液化を容易にし、連結要素の近位端における第2の物体2の多孔性材料へ
の液化された熱可塑性物質の浸透と比較して、第1の物体1の多孔性材料への浸透が等しくなるのを助ける。これは、連結要素8の近位端8.2においては液化のための振動エネルギがより多く利用可能であるが、物体材料に熱可塑性材料を押付けるための単位面積あたりの圧力は、利用可能な振動エネルギはより小さいが物体に材料を押付ける力はより大きい遠位端8.1における場合と比べると、より小さいことを意味する。この異なる効果と方法パラメータ(押圧力、振動エネルギおよび適用時間)とを合わせてバランスをとると、結果として生じる継手(図1の右部分)はほぼ同じ強度の遠位固定領域15および近位固定領域16を含み、同一の隠し穴における対称な連結要素を用いては達成できない結果をもたらす。
【0016】
図1の連結要素8は、例えば強化ファイバまたはウィスカを含み得るABS(アクリル−ブチル−スチレン(acryl-butyl-styrene))などの熱可塑性特性を有する材料からのみ構成される。振動中に連結要素全体が暖められるか、または振動の最後の瞬間に可塑性状態にもたらされれば、連結要素は冷却によって縮み、2つの物体を互いに引張る張力を生成する。
【0017】
図2は、遠位端面より大きい近位端面を含む連結要素の他の例示的な実施例を示す。(圧力および振動を与える前の)連結要素8が、2つの同一の隠し穴に位置決めされた状態で示される。図1と同じ要素は同じ参照番号で示される。図1に示される中央の遠位ボア10の代りに、図2による実施例は2つの(またはそれ以上の)同軸の円筒状部分を含み、そこで遠位部分の断面は近位の断面より小さく、2つの部分間には段がある。
【0018】
図3はこの発明による方法の(圧力および振動が与えられる前のみの)実施例を示し、そこでは、連結要素の遠位端8.1においてより大きな圧力を達成するために非対称であるのは、連結要素ではなく凹部底面である。連結要素の遠位端8.1が押付けられる凹部内面は、連結要素の近位端8.2が押付けられる凹部内面より小さい。連結要素8は完全なまたは中空の円筒形状を有し、そのためその遠位端面は近位端面と同じサイズであるが、連結要素8は凹部のより小さい表面領域、すなわちショルダ部20の上にのみ位置する。
【0019】
図4は、図2および図3による実施例の組合せ、すなわち、2つの異なる隠し穴(第1の物体1の隠し穴5は第2の物体2の隠し穴6よりも底面が小さい)に位置決めされた、段のある連結要素8(近位端面8.2は遠位端面8.1より大きい)を示す。圧力および振動が与えられる前の連結要素8ならびに2つの物体1および2が示される。
【0020】
この発明の方法では、連結要素の遠位端面がそれに対して押付けられる、対応して減じられる凹部内面によって、連結要素8の有効な遠位端面が減じられる。その他の実施例は、例えば突出した円錐または他の突起を有する隠し穴底面を含むことができ、そこに実質的に平坦な連結要素端面が位置する。
【0021】
図5は、この発明による方法の別の実施例(振動および圧力が与えられる前の、第1の物体1の隠し穴5における連結要素8の遠位端8.1のみ)を示し、ここでも連結要素8の有効な遠位端面は近位端面よりも小さい。ここで、連結要素8は遠位インサート21を含み、その材料は液化可能でなく、かつ好ましくは多孔性でないか、または物体材料よりも多孔性が小さく、かつ遠位インサートが連結要素の遠位端面を構成する。遠位インサート21は連結要素8の近位端に向かって面し、例えばショルダ部21.1の形の断面の減少部と断面が遠位端面よりも小さい接続部21.2とを含む。接続部21.2は熱可塑性特性を有する材料でできた連結要素配置部8′の中央ボア10に達し、そこでインサートの接続部21.2は、例えばプレスばめによってボア10に保持される。ボア10は接続部21.1より長いのが好ましい。
【0022】
圧力および振動を与えると、遠位インサート21は隠し穴5の底面として作用し、連結要素8の側において遠位面の面積は中央ボア10の分だけ減じられ、孔の側においてはショルダ部21.1は押圧力に対抗するのみである。連結要素の遠位端で液化される材料は、第1の物体1の材料に斜めに浸潤する(矢印)。これは、図5による実施例が、図1による実施例および図4による実施例の組合せであることを意味し、この実施例の利点は、液化された材料がさほどの抵抗も固定効果もなく押付けられ得る空きスペースがより少なく、なおかつ隠し穴が最も実現しやすい円筒形状を有し得ることである。
【0023】
図6は、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、連結要素8は材料の熱可塑性特性について非対称である。この連結要素は、2つの同一の隠し穴(対称な凹部)に関連して用いられる。非対称の連結要素8は遠位部8.3および近位部8.4を含み、遠位部は熱可塑性特性を有する第1の材料を含み、近位部は熱可塑性特性を有する第2の材料を含み、第1の材料の液化は第2の材料の液化よりも少ないエネルギで達成することができ(第1の材料は第2の材料より液化温度が低く)、その結果、連結要素の近位端で利用可能なより大きい振動エネルギによって液化される材料と比較しても、遠位端で利用可能なより小さい振動エネルギによって、ほぼ同量の材料が液化される。この方法で達成された継手は、連結要素の遠位端および近位端において等しい固定特性を示す。
【0024】
図6による連結要素で達成される効果と同様の効果は、同一の遠位端ジオメトリおよび近位端ジオメトリを有する連結要素で達成されるが、そこでは近位端の熱可塑性材料が非多孔性である一方で遠位端の熱可塑性材料は多孔性であり(もしくは多孔性がより小さい材料に対して多孔性がより大きい材料であり)、または遠位端の熱可塑性材料は近位端よりも密度が低く、または遠位端の熱可塑性材料は近位端においてよりもさらに多くの非熱可塑性の充填材を含む(もしくは近位端においてこのような充填材を含まないことに対し、遠位端においては充填材を含んでいる)。
【0025】
図7はこの発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、凹部表面領域の2つの物体材料が、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗について異なる特性を有することにより、必要な非対称性を構成する。第1の物体1の材料は、第2の物体2の材料よりも高い多孔性および/または低い機械的安定性を有する。連結要素8は対称であって、熱可塑性特性を有する材料から構成される。物体材料の違いのために、連結要素の遠位端において利用可能なより少ない量の液化された材料のうち、より高い割合が材料に浸潤する。その一方で近位端では、物体材料がより大きい抵抗を示すために、より多い液化された材料のうち、より少ない割合が物体材料に浸潤する。ここでも、連結要素8の遠位端および近位端においてほぼ同じ強度の固定を示す、対称な継手がもたらされる。物体材料の違いは、必ずしも2つの物体全体を含まない。2つの物体材料が、連結要素端部8.1および8.2が物体材料に対して押付けられる凹部領域において上述の違いを示せば十分である。
【0026】
図8は、図7による実施例と同じ原理で作用する、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示す。ここで第1の物体の第1の材料は実質的に非多孔性であるが、この物体の凹部には適切なジオメトリ、例えば液化された材料がそこに浸潤するようなアンダカット22などが与えられ、再凝固される時に積極的な嵌合接続を構成する。このようなジオメトリは、第2の物体2の材料の孔よりも、液化された材料で満たされることに対してより抵抗が少ないか、または材料の流動性がより少なくてすむことを示し、それによりここでも、連結要素の遠位端において利用可能な振動エネルギがより少ないという効果の釣り合いがとられる。もちろん、一定の適用例については非対称の材料を逆にすることが必要となり得る。すなわち積極的な嵌合のジオメトリを伴った、
さほど多孔性ではないかもしくは非多孔性の材料を近位側に有し、遠位側には、より多孔性の材料を、できれば十分な強度を有する接合を遠位側で可能にするための他の非対称な特性とともに有することである。しかしながら、それほど多孔性でないか、または非多孔性の材料における積極的な嵌合の接合ジオメトリの同じ原理が当てはまる。
【0027】
図9は、図7および図8に示される実施例とここでも同様に作用する、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられた後のみ)を示す。2つの物体1および2は、例えばメラミンなどの小型の層30で覆われたチップボード要素であり、チップボード要素はコーナ部を形成するよう連結される。すなわち、隠し穴が、第1のチップボード要素1においてはメラミン層と平行に、かつ第2のチップボード要素2においてはメラミン層に直交して延在する。第2のチップボード要素2の隠し穴6は、対向するメラミン層30のちょうど真下に実質的に達するような深さを有し、このように多孔性でないため、液化された材料によって浸透され、変位され、圧縮され得ない底面を有する。図9に見られるように、液化された材料は連結要素の近位端8.2においてチップボード材料に斜めに浸潤し、その一方で連結要素の遠位端8.1においては、材料はより押圧力の方向にチップボード材料に浸潤する。
【0028】
図10はこの発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、連結要素8の遠位端および近位端において利用可能な振動エネルギについての非対称性は、連結要素および/または凹部の他の非対称性によって釣り合いがとられるのではなく、連結作用(非対称の固定作用)の第2段階において第2の物体から連結要素の遠位端への機械的振動の伝達を向上させるような、連結要素8の設計によって釣り合いがとられる。連結要素8は、遠位端キャップ8.6および近位端キャップ8.7を担持する中央部8.5を含み、この中央部は、機械的振動の伝達に適した(ほぼ制振のない)実質的に非多孔性の材料から構成され、端部キャップ8.6および8.7は熱可塑性特性を有する材料から構成される。端部キャップ8.6および8.7は、好ましくは積極的な嵌合接続(示されない)によって中央部8.5に固定される。少なくとも近位端キャップ8.7はその面部分の厚さが最小になるよう設計され、そのため、第2の物体2において正しい固定を構成するため、かつ中央部8.5との正しい接続を構成するためにちょうど十分な材料を含む。
【0029】
図10に示されるようなアセンブリに圧力および振動が与えられると、近位端キャップ8.7の材料が液化され、例えば第2の物体2の孔に、中央部8.5の近位端が隠し穴6の底面に当接するまで浸潤する。このような当接および押圧力の効果は、第2の物体2を介した、励起可能な要素(示されない)から連結要素8への、特に、連結作用の第2段階において遠位端キャップ材料8.6の液化をもたらす、連結要素8の遠位端への、振動の伝達を強化する。
【0030】
図10による連結要素8の中央部8.5が十分な機械的剛性を有する材料でできている場合、この中央部8.5はさらに、達成された継手の剪断力(矢印S)に対する安定性を向上させるようにも役立つ。
【0031】
図1から図9に示される方法の実施例が連結要素および/または凹部のジオメトリの非対称性または材料の非対称性に依存する一方で、図10に示される実施例は、固定作用についての非対称性に依存する。近位および遠位の固定は、同時には達成されないが、少なくとも部分的に連続して達成される。
【0032】
図1から図10に示される実施例はすべて、各物体に1つずつ与えられる2つの隠し穴5および6を示す。これは、この発明による方法のための条件ではなく、その条件は、連結要素8が、その近位端および遠位端が凹部内面に対して置かれ、かつ2つの物体間に間
隙が残るように位置決めされるように、凹部が2つの物体間に与えられることを一般的な意味で求めるものである。
【0033】
図11および図12は、この発明による方法の他の実施例を示し、2つの物体1と2との間に与えられる凹部は、第2の物体2では1つの隠し穴6として、第1の物体1では突起5′として実現され、そこで孔6および突起5′の断面は一致する。隠し穴6の深さ、突起5′の高さ、および連結要素8の長さは、連結要素8が隠し穴6に、突起5′も隠し穴に位置決めされると2つの物体1と2との間に間隙9が残るように一致され、この間隙は、物体材料に変位される、または、隠し穴6もしくは突起5′に対応する中空のジオメトリに変位される熱可塑性材料の量と実質的に対応する。もちろん、第1の物体に隠し穴を、第2の物体に突起を配置することも可能である。
【0034】
図11によれば、圧力および振動が与えられる前の物体1および2ならびに連結要素8のアセンブリのみを示し、両方の物体は多孔性材料を含み、連結要素8はその近位端面よりも小さい遠位端面を有する(この方法は図1にも示される)。また図12は、突起5′を有する物体1、対称な連結要素8、および、実質的に図11に示されるように組立てられる隠し穴6を有する第2の物体2を左側に示し、右側には、アセンブリに圧力および振動を与えることにより達成される継手を示す。第2の物体2は多孔性材料を含み、第1の物体1は孔のない、または第2の物体の材料より実質的に孔の少ない材料を含む。その代り、突起5′の外周表面は、例えばクリスクロス模様などに走る溝30を備え、突起面に向かって開いているので、連結要素の遠位面で液化されている熱可塑性材料は溝31に浸潤し、図12の右側に32で示されるように隠し穴6の壁と突起5′との間に積極的な嵌合接続を生成する。この場合における連結要素8は対称な要素なので、溝31に浸潤する液化された材料に対する抵抗は、液化された材料による浸透に対する第2の物体材料の抵抗よりも小さいままであることに注意するべきである。これが達成され得ない場合は、(例えばその遠位端に中央ボアを包む)非対称の連結要素が用いられる。
【0035】
図1から図12に示されるような、この発明による方法のすべての実施例において、連結要素は、その断面が例えば丸、楕円、正方形、長方形、三角形、または直線、凹面、もしくは凸面の側面を有する任意の多角形である、ピン形状を有すると仮定される。連結要素の外周の表面に軸方向リブを与えることが有利であることが判明しており、リブは凹部において連結要素を導くのに寄与し、また付加的な固定材料(より大きな領域)を与えることにより連結要素の両端で接続の強度を増す。
【0036】
しかしながら、連結要素がピン形状でなければならないことは、この発明による方法の条件ではない。図1から12はすべて押圧力の方向と平行な断面であるが、押圧力方向に直交する長手方向に延びる連結要素を通る断面として理解されてもよい。すなわち、つまみ形状を有し、図1から図10に示された隠し穴と同じ断面を有する溝に位置決めされ、または、図11および12による隠し穴および突起と同じ断面を有する他のつまみによって閉じられる1つの隠し穴に位置決めされてもよい。
【0037】
図13は、2つの対向する溝(連結される物体間の凹部)に位置決めされた、そのようなつまみ形状の連結要素を示す。図示する方法は、図1(遠位端面が近位端面よりも小さい非対称の連結要素)に図示されたものと実質的に同じである。複数の両矢印によって表示されるように、つまみ形状の連結要素8の全長にわたって2つの物体に均質な固定を達成するために、物体2の全長に振動を与えることが有利である。
【0038】
図14は、図13によるつまみ形状の連結要素を用いる場合のように、同様の継手が達成される他の方法を示す。第1の物体は隠し穴5の列を備え、複数の実質的にピン形状の連結要素8が位置決めされる。第2の物体2は、連結要素の近位端を収容するよう寸法決
めされた溝33を備える。第2の要素は連結のために位置決めされ、物体1上に正確に適合するよう横向きに調整され、そこで初めて2つの物体を連結するために機械的振動が第2の物体2に与えられる。2つの部分における対応する隠し穴が2つの方向に正確に位置合わせされる必要がある、複数の連結要素のために両方の物体に隠し穴が与えられる実施例よりも、図14に示される実施例では正確さに対する要求がはるかに少ない。
【0039】
図15もまた、コーナ部要素を形成するよう2つのチップボード要素(物体1および2)を連結するために適用される、主に図1に示された方法を示す。図9に既に示されたように、第1の物体の隠し穴5は、チップボード表面の間に平行かつその中間あたりに延在し、第2の物体2の隠し穴6はチップボード表面に直交して延在し、その中間を越えたところまで届く。チップボードの密度は、通常、外側領域よりも中央領域において小さく、その機械的安定性は、表面に平行な方向よりも直交する方向においてより大きい。この理由のために、図14に示された事例では物体材料について第1の非対称性があり、物体材料は、第1の物体1については第2の物体2についてよりも機械的安定性がより小さく、多孔性がより高い。この非対称性は、隠し穴6が、物体2となるチップボード要素の中間を越えて届くにつれてさらに顕著である。しかしながら、この非対称性は不十分であることが明らかであり、そのために連結要素8も非対称であるよう設計される。以前の図による実質的に小型の連結要素と比較して機械的安定性がより向上するためには、本連結要素8は、遠位端8.1において近位端8.2でよりも大きい内部断面を備えた円筒状の管として設計され、そのため、リング状の遠位面の面積をリング状の近位面の面積よりも小さく、かつ連結要素8の近位端8.2において遠位端8.1でよりも熱可塑性特性を有する材料がより多いようにする。物体材料に依存して、面領域を完全に平坦に(連結要素軸に直交して)ではなく、むしろ連結要素軸に直交する面に対して勾配を持ち、勾配が近位面および遠位面において鋭くなった円形の縁部を形成するよう設計するのが有利であることが分かる。この縁部は、押圧力によって隠し穴の底面の物体材料に押付けられ、液化を始める。有効な面領域は、このような最初の押込みが達成されるレベル(1点鎖線AおよびB)の領域であると考えられる。
【0040】
図15による連結要素の外周表面は、軸方向に延在するリブ35を備える。
図15による連結要素は、射出成形によって容易に製造できる。その中央部分は、連結要素が重力によって正確に(近位/遠位に)配向され得るよう、重心が軸長の半分の位置から相当に変位されるように、容易に設計することができる。
【0041】
図16は、図15と同様の連結要素8を示し、連結要素の外側のシェルの熱可塑性材料よりも機械的強度が大きい材料でできた核40をさらに含む。核40は例えば木でできており、剪断力に対する継手の安定性を向上させるよう特に役立つ。したがって核4は、連結要素の近位端の近くに置かれれば、図10による連結要素の連結要素の中央部8.5について説明されたような機能をも果たし得る。
【0042】
図17はこの発明による連結要素8の他の実施例を示し、それは図15および図16に示される実施例に類似しているが、非対称な断面を有する。
【0043】
図18は、この発明による連結要素8の他の実施例を示す。連結要素は、図1、図15、図16および図17(非対称のジオメトリ)に示されるような連結要素に類似した働きをするが、中空でなく、角度のある(正方形または長方形の)断面を有する。
【0044】
図19は、この発明による連結要素8の他の実施例を示す。連結要素は、図15、図16および図17に示されるような連結要素に類似の働きをするが、調整可能な軸長を有するよう設計される。連結要素8は遠位部8.8および近位部8.9を含み、両方が中空の円筒の形状を有し、遠位部8.8は直径がより小さく、かつ外ねじを有し、近位部8.9
は直径がより大きく、かつ遠位部8.8の外ねじに適合された内ねじを有する。連結要素8の長さは、遠位部分8.8を近位部分8.9に対応してさらにねじ込むことにより調整される。2つの連結要素部分8.8および8.9は、ねじの代りに、複数の異なる軸位置にともにスナップ留めされ得るようにスナップ要素を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】連結要素および連結される物体の例示的な実施例によってこの発明に従う方法を示し、非対称の連結要素が対称な凹部(2つの同一の隠し穴)に関連して用いられる図である。
【図2】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図3】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図4】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図5】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図6】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図7】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図8】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図9】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図10】向上した結合性能(非対称の連結作用)のために連結要素を備える、この発明による方法の他の実施例を示す図である。
【図11】凹部は1対の隠し穴によっては形成されない、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図12】凹部は1対の隠し穴によっては形成されない、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図13】連結要素がつまみ形状を有し、凹部が1対の溝の形を有する、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図14】一方では複数の隠し穴、他方では溝に関連して複数のピン形状の連結要素を用いる、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図15】2つの木製板またはチップボード要素を連結してコーナ部を形成することに特に適した非対称の連結要素を詳細に示す図である。
【図16】図15による連結要素であってさらに核を含む連結要素を示す図である。
【図17】図15の連結要素に類似の他の連結要素を示す図である。
【図18】その効果が図1による連結要素の効果に類似する、他の2つの連結要素を示す図である。
【図19】その効果が図1による連結要素の効果に類似する、他の2つの連結要素を示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの物体を連結する方法、およびその方法に適用可能な対応する連結要素に関し、連結要素は熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成され、この方法は、例えば超音波振動などの機械的振動を与えることを含む。
【背景技術】
【0002】
公報WO98/42988およびWO00/79137は、熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成される、例えばピン形状の連結要素について記載する。そのような連結要素は、物体に設けられた隠し穴に位置決めすることにより、または、連結要素を物体の表面を通して強制し、次に物体にさらに押付けながら同時に連結要素に機械的振動(例えば超音波振動)を与えることにより、多孔性材料の物体に固定される。機械的振動により、連結要素の熱可塑性の材料は連結要素の表面で液化され、この表面が多孔性材料に対して押付けられ、材料はその液体状態において多孔性材料の孔に押込まれて、そこで再凝固の際に固定を形成する。固定の領域では、多孔性材料は熱可塑性の材料によって浸透され、それにより2つの材料間に複雑な積極的な接続を構成する。機械的振動を与えることは、連結要素(例えばピン形状の連結要素の端部)に振動要素(例えば超音波装置のソノトロード)を位置決めすることにより達成され、連結要素は、それが固定される物体から突出する。
【0003】
公報WO96/01377は、熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成されるダボ形の連結要素の助けおよび機械的振動の助けによって、多孔性材料の2つの物体を連結する方法について記載する。連結される物体の各々に隠し穴が与えられ、連結要素の1つの端部が隠し穴の各々に位置決めされる。次いで、2つの物体は、連結要素の両端を接続する線と実質的に平行な方向において互いに向かって押付けられ、同時に、物体のうち1つが機械的振動により励起される。
【0004】
WO96/01377によれば、2つの隠し穴および連結要素の両端は類似し、連結要素の長さは2つの隠し穴の深さの合計に実質的に対応する。連結要素の両端と2つの物体に与えられる2つの隠し穴とは円錐形であり、連結要素および隠し穴は、連結要素を隠し穴に位置決めするときに連結要素が隠し穴の底部に達せず、したがって2つの物体間に間隙が残るよう、寸法決めされる。連結作用は、2つの物体および連結要素のアセンブリを、振動しない支持部と例えば超音波装置のソノトロードなどの機械的に振動するよう励起され得る要素との間に位置決めすることによって行われる。励起可能な要素および支持部は、例えば励起可能な要素を一方の物体に押付けることにより互いに向かって強制され、同時に励起可能な要素が振動する。押付けて振動する際に連結要素の熱可塑性の材料が液化されて隠し穴の壁に接し、連結要素は隠し穴により深く強制され、それによって部分間の間隙が減じられる。間隙が埋められるとそれ以上の圧力が連結要素に加えられることはできず、したがって連結作用は終了する。振動中に液化された熱可塑性の材料が多孔性の物体材料に浸潤し、連結要素を2つの物体に固定する。
【0005】
公報WO96/01377による上記の簡潔に記載された連結方法では、極めて特別な場合にしか満足な結果を達成することができない。より一般的な態様で適用可能にするためには改良が必要である。
【0006】
したがってそのような改良を与えることがこの発明の目的である。これは、2つの(または恐らく3つ以上の)物体を連結するための連結方法および連結要素を作り出すことがこの発明の目的であることを意味し、そこでは、連結要素はダボのように用いられ、すな
わち連結される2つの物体間に与えられる凹部、例えば2つの対向する隠し穴に位置決めされ、連結要素は熱可塑性特性を有する材料から少なくとも部分的に構成され、この方法は機械的振動を与えるステップを含み、この発明による連結要素および方法は、WO96/01377によるダボ状の連結要素および対応する連結方法を、これらの助けによって、極めて特別な場合のみならずさらにより一般的に物体を満足に連結することが可能になるように向上させるものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項に規定される連結方法および連結要素によって達成される
この発明は、公報WO96/01377に記載される上述の連結方法によって作られた継手の強度が限定されているという所見と、WO98/42988の教示およびWO96/01377の教示を組合せること、すなわち2つの隠し穴の深さの合計よりも長い連結要素を設計すること、および連結要素の両端の領域に強固な固定を得ようとすることによっては、ほとんどの場合にこの強度を向上させることができないという所見とに基づく。ほとんどの場合、これは以下の事実に起因する。すなわち、他方の物体における固定が十分でない間に、励起可能な要素に面する方の物体に連結要素が十分に固定されてしまうか、または、他方の物体における固定が十分である場合もしくは十分でない場合であってさえ、励起可能な要素に面する方の物体における連結要素端部もしくはこの連結要素端部を囲む材料が過熱を受けるか、のいずれかである。これらの所見については、連結要素の近位端(励起可能な要素に面する端部)で利用可能な振動エネルギが、連結要素の遠位端(振動しない支持部に面する端部)におけるよりも大きく、したがって、遠位端で液化される材料が近位端においてよりも少ないという事実によって、少なくとも部分的に説明することができる。この効果は、それが例えば遠位の連結要素における不十分な固定によって連結の質を不十分にすることがない場合、釣り合いがとられる必要がある。示唆したエネルギの非対称性にはいくつかの要因があり、そのうち2つだけが示唆される。それは、連結要素の近位端が遠位端よりも振動の源に近く位置決めされている(制振がより少ない)ことによる。さらに、機械的振動が、連結要素自体を通して送られることによって連結要素遠位端に達しなければならないことによる。特に連結要素の近位端に液化された材料がある場合、振動伝達の特性は最適ではない。
【0008】
上記に示唆された非対称性を防ぐための明らかな1つのやり方は、連結要素の助けを借りて2つの物体を2ステップで連結することにある。すなわち物体の一方の凹部に連結要素を位置決めし、公報WO−98/42988の教示に従ってこの凹部内に連結要素を固定し、次に連結要素の近位端に第2の要素を配置し、かつ連結要素を第2の物体にも固定するために第2の物体に振動エネルギを与える。しかしながら、このような2ステップの方法は、完全に自動的に行う必要があるならば、完全な連結作用のためにはより多くの時間とより複雑な装置とを必要とする。したがって、このような2ステップの方法は問題の発明的な解決策ではない。
【0009】
特に上述のような機械的振動によって達成される固定の機械的強度などの特性は、特に、連結要素が固定される材料の孔または他の適切な開口部に、熱可塑性の材料がいかに、どれくらい深く浸潤するかに依存する。この特徴は、与えられた押圧力、システムに結合される(振幅と周波数に依存する)振動エネルギ、および振動エネルギが与えられる時間などの方法パラメータに依存するのみならず、連結要素および物体間の連結要素に与えられる凹部、特に、互いに対して押付けられる連結要素と凹部との表面の設計、液化された材料によって浸透され、変位され、かつ/または圧縮されることに反して物体材料が示す抵抗、ならびに、連結要素が励起した要素に振動的に結合される能力およびその振動を伝える能力にも、相当程度依存する。
【0010】
この発明によれば、連結作用中に連結要素の両端において利用可能な振動エネルギに関する上述の非対称性の効果は、以下の方策のうち少なくとも1つによって釣り合いがとられる:
・連結要素の両端が、例えば、凹部表面に対して押付けられる連結要素の両面のサイズ、液化に利用可能な熱可塑性特性を有する材料の量、および/またはこの材料の熱可塑性特性など、設計および/または材料に関して異なる(非対称な連結要素):
・連結要素端部が押付けられる2つの凹部面(例えば2つの隠し穴の底面)が、例えば連結要素端部が押付けられる2つの凹部面のサイズ、および/または、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗など、設計および/または材料に関して異なる(非対称な凹部底面):
・連結要素は、少なくとも一部の連結作用中に、励起可能な要素に面する方の物体からの向上した機械的振動の結合が可能になるよう設計される(非対称の固定作用)。
【0011】
上述の方策の少なくとも1つを適用し、そこに連結要素および/または連結要素に与えられる凹部を適合することによって、公報WO96/01377の教示を用いて可能になるよりもはるかに広い範囲に適用される、満足な継手を達成することが可能になる。しかしながら、個々の異なる適用例については、所望の継手の達成のための最適条件を見つけるための実験が行われるべきである。
【0012】
以下の図は、この発明による方法、およびこの方法に用いられる連結要素の例示的な実施例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、非対称の連結要素の第1の例示的な実施例と、連結される2つの物体間の凹部として与えられる1対の同一(深さに関しては必ずしも同一ではないが底面に関しては同一)の隠し穴とを用いる、この発明による方法を示す。連結要素および連結される物体は、与えられる押圧力の方向と平行、すなわち連結要素の近位端および遠位端を接続する線と平行な断面で示される。2つの物体は、例えば木製板もしくはチップボード要素、または別の多孔性材料から構成される。アセンブリは、圧力および振動を与える前(左側)と、圧力および振動を与えた後(右側)とで示される。
【0014】
2つの物体1および2の連結のために、それらは支持部3と励起可能な要素4(例えば超音波装置のソノトロード)との間に、支持部3側に第1の物体1、励起可能な要素4側に第2の物体2が位置決めされる。各物体に1つずつ与えられる2つの隠し穴5および6は互いに対面し、連結要素8は、その遠位端8.1が第1の物体1の隠し穴5の底面に置かれ、その近位端8.2が第2の物体2の隠し穴6の底面に置かれるよう隠し穴5および6に位置決めされる。連結要素8が2つの隠し穴5および6の深さの合計より長いので、2つの物体1と2との間に間隙9が残る。上述のように、2つの隠し穴5および6は同じ深さでも異なる深さでもよい。
【0015】
図1に示される連結要素8は熱可塑性特性を有する材料から構成され、遠位ボア10を有する点で近位端8.2とは異なる遠位端8.1を有し、このボアによって遠位面の面積は近位面の面積よりも小さく、かつ熱可塑性特性を有する材料の量が近位端よりも遠位端において小さくなる。励起可能な要素4が振動して(両矢印)第2の物体2に押付けられると(単矢印)、振動が第2の物体2に結合され、連結要素の近位端面の領域において熱可塑性の連結要素材料の液化を引起す。このような液化は連結要素8に結合される振動エネルギを減少させ、したがって、液化を生じるのに遠位端面において利用可能な振動エネルギを減じる。この効果は、遠位端面が近位端面よりも小さいことによって補償されており、その結果、単位面積あたりの遠位の押圧力がより大きくなり、それが遠位端における熱可塑性材料の液化を容易にし、連結要素の近位端における第2の物体2の多孔性材料へ
の液化された熱可塑性物質の浸透と比較して、第1の物体1の多孔性材料への浸透が等しくなるのを助ける。これは、連結要素8の近位端8.2においては液化のための振動エネルギがより多く利用可能であるが、物体材料に熱可塑性材料を押付けるための単位面積あたりの圧力は、利用可能な振動エネルギはより小さいが物体に材料を押付ける力はより大きい遠位端8.1における場合と比べると、より小さいことを意味する。この異なる効果と方法パラメータ(押圧力、振動エネルギおよび適用時間)とを合わせてバランスをとると、結果として生じる継手(図1の右部分)はほぼ同じ強度の遠位固定領域15および近位固定領域16を含み、同一の隠し穴における対称な連結要素を用いては達成できない結果をもたらす。
【0016】
図1の連結要素8は、例えば強化ファイバまたはウィスカを含み得るABS(アクリル−ブチル−スチレン(acryl-butyl-styrene))などの熱可塑性特性を有する材料からのみ構成される。振動中に連結要素全体が暖められるか、または振動の最後の瞬間に可塑性状態にもたらされれば、連結要素は冷却によって縮み、2つの物体を互いに引張る張力を生成する。
【0017】
図2は、遠位端面より大きい近位端面を含む連結要素の他の例示的な実施例を示す。(圧力および振動を与える前の)連結要素8が、2つの同一の隠し穴に位置決めされた状態で示される。図1と同じ要素は同じ参照番号で示される。図1に示される中央の遠位ボア10の代りに、図2による実施例は2つの(またはそれ以上の)同軸の円筒状部分を含み、そこで遠位部分の断面は近位の断面より小さく、2つの部分間には段がある。
【0018】
図3はこの発明による方法の(圧力および振動が与えられる前のみの)実施例を示し、そこでは、連結要素の遠位端8.1においてより大きな圧力を達成するために非対称であるのは、連結要素ではなく凹部底面である。連結要素の遠位端8.1が押付けられる凹部内面は、連結要素の近位端8.2が押付けられる凹部内面より小さい。連結要素8は完全なまたは中空の円筒形状を有し、そのためその遠位端面は近位端面と同じサイズであるが、連結要素8は凹部のより小さい表面領域、すなわちショルダ部20の上にのみ位置する。
【0019】
図4は、図2および図3による実施例の組合せ、すなわち、2つの異なる隠し穴(第1の物体1の隠し穴5は第2の物体2の隠し穴6よりも底面が小さい)に位置決めされた、段のある連結要素8(近位端面8.2は遠位端面8.1より大きい)を示す。圧力および振動が与えられる前の連結要素8ならびに2つの物体1および2が示される。
【0020】
この発明の方法では、連結要素の遠位端面がそれに対して押付けられる、対応して減じられる凹部内面によって、連結要素8の有効な遠位端面が減じられる。その他の実施例は、例えば突出した円錐または他の突起を有する隠し穴底面を含むことができ、そこに実質的に平坦な連結要素端面が位置する。
【0021】
図5は、この発明による方法の別の実施例(振動および圧力が与えられる前の、第1の物体1の隠し穴5における連結要素8の遠位端8.1のみ)を示し、ここでも連結要素8の有効な遠位端面は近位端面よりも小さい。ここで、連結要素8は遠位インサート21を含み、その材料は液化可能でなく、かつ好ましくは多孔性でないか、または物体材料よりも多孔性が小さく、かつ遠位インサートが連結要素の遠位端面を構成する。遠位インサート21は連結要素8の近位端に向かって面し、例えばショルダ部21.1の形の断面の減少部と断面が遠位端面よりも小さい接続部21.2とを含む。接続部21.2は熱可塑性特性を有する材料でできた連結要素配置部8′の中央ボア10に達し、そこでインサートの接続部21.2は、例えばプレスばめによってボア10に保持される。ボア10は接続部21.1より長いのが好ましい。
【0022】
圧力および振動を与えると、遠位インサート21は隠し穴5の底面として作用し、連結要素8の側において遠位面の面積は中央ボア10の分だけ減じられ、孔の側においてはショルダ部21.1は押圧力に対抗するのみである。連結要素の遠位端で液化される材料は、第1の物体1の材料に斜めに浸潤する(矢印)。これは、図5による実施例が、図1による実施例および図4による実施例の組合せであることを意味し、この実施例の利点は、液化された材料がさほどの抵抗も固定効果もなく押付けられ得る空きスペースがより少なく、なおかつ隠し穴が最も実現しやすい円筒形状を有し得ることである。
【0023】
図6は、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、連結要素8は材料の熱可塑性特性について非対称である。この連結要素は、2つの同一の隠し穴(対称な凹部)に関連して用いられる。非対称の連結要素8は遠位部8.3および近位部8.4を含み、遠位部は熱可塑性特性を有する第1の材料を含み、近位部は熱可塑性特性を有する第2の材料を含み、第1の材料の液化は第2の材料の液化よりも少ないエネルギで達成することができ(第1の材料は第2の材料より液化温度が低く)、その結果、連結要素の近位端で利用可能なより大きい振動エネルギによって液化される材料と比較しても、遠位端で利用可能なより小さい振動エネルギによって、ほぼ同量の材料が液化される。この方法で達成された継手は、連結要素の遠位端および近位端において等しい固定特性を示す。
【0024】
図6による連結要素で達成される効果と同様の効果は、同一の遠位端ジオメトリおよび近位端ジオメトリを有する連結要素で達成されるが、そこでは近位端の熱可塑性材料が非多孔性である一方で遠位端の熱可塑性材料は多孔性であり(もしくは多孔性がより小さい材料に対して多孔性がより大きい材料であり)、または遠位端の熱可塑性材料は近位端よりも密度が低く、または遠位端の熱可塑性材料は近位端においてよりもさらに多くの非熱可塑性の充填材を含む(もしくは近位端においてこのような充填材を含まないことに対し、遠位端においては充填材を含んでいる)。
【0025】
図7はこの発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、凹部表面領域の2つの物体材料が、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗について異なる特性を有することにより、必要な非対称性を構成する。第1の物体1の材料は、第2の物体2の材料よりも高い多孔性および/または低い機械的安定性を有する。連結要素8は対称であって、熱可塑性特性を有する材料から構成される。物体材料の違いのために、連結要素の遠位端において利用可能なより少ない量の液化された材料のうち、より高い割合が材料に浸潤する。その一方で近位端では、物体材料がより大きい抵抗を示すために、より多い液化された材料のうち、より少ない割合が物体材料に浸潤する。ここでも、連結要素8の遠位端および近位端においてほぼ同じ強度の固定を示す、対称な継手がもたらされる。物体材料の違いは、必ずしも2つの物体全体を含まない。2つの物体材料が、連結要素端部8.1および8.2が物体材料に対して押付けられる凹部領域において上述の違いを示せば十分である。
【0026】
図8は、図7による実施例と同じ原理で作用する、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示す。ここで第1の物体の第1の材料は実質的に非多孔性であるが、この物体の凹部には適切なジオメトリ、例えば液化された材料がそこに浸潤するようなアンダカット22などが与えられ、再凝固される時に積極的な嵌合接続を構成する。このようなジオメトリは、第2の物体2の材料の孔よりも、液化された材料で満たされることに対してより抵抗が少ないか、または材料の流動性がより少なくてすむことを示し、それによりここでも、連結要素の遠位端において利用可能な振動エネルギがより少ないという効果の釣り合いがとられる。もちろん、一定の適用例については非対称の材料を逆にすることが必要となり得る。すなわち積極的な嵌合のジオメトリを伴った、
さほど多孔性ではないかもしくは非多孔性の材料を近位側に有し、遠位側には、より多孔性の材料を、できれば十分な強度を有する接合を遠位側で可能にするための他の非対称な特性とともに有することである。しかしながら、それほど多孔性でないか、または非多孔性の材料における積極的な嵌合の接合ジオメトリの同じ原理が当てはまる。
【0027】
図9は、図7および図8に示される実施例とここでも同様に作用する、この発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられた後のみ)を示す。2つの物体1および2は、例えばメラミンなどの小型の層30で覆われたチップボード要素であり、チップボード要素はコーナ部を形成するよう連結される。すなわち、隠し穴が、第1のチップボード要素1においてはメラミン層と平行に、かつ第2のチップボード要素2においてはメラミン層に直交して延在する。第2のチップボード要素2の隠し穴6は、対向するメラミン層30のちょうど真下に実質的に達するような深さを有し、このように多孔性でないため、液化された材料によって浸透され、変位され、圧縮され得ない底面を有する。図9に見られるように、液化された材料は連結要素の近位端8.2においてチップボード材料に斜めに浸潤し、その一方で連結要素の遠位端8.1においては、材料はより押圧力の方向にチップボード材料に浸潤する。
【0028】
図10はこの発明による方法の他の実施例(圧力および振動が与えられる前のみ)を示し、連結要素8の遠位端および近位端において利用可能な振動エネルギについての非対称性は、連結要素および/または凹部の他の非対称性によって釣り合いがとられるのではなく、連結作用(非対称の固定作用)の第2段階において第2の物体から連結要素の遠位端への機械的振動の伝達を向上させるような、連結要素8の設計によって釣り合いがとられる。連結要素8は、遠位端キャップ8.6および近位端キャップ8.7を担持する中央部8.5を含み、この中央部は、機械的振動の伝達に適した(ほぼ制振のない)実質的に非多孔性の材料から構成され、端部キャップ8.6および8.7は熱可塑性特性を有する材料から構成される。端部キャップ8.6および8.7は、好ましくは積極的な嵌合接続(示されない)によって中央部8.5に固定される。少なくとも近位端キャップ8.7はその面部分の厚さが最小になるよう設計され、そのため、第2の物体2において正しい固定を構成するため、かつ中央部8.5との正しい接続を構成するためにちょうど十分な材料を含む。
【0029】
図10に示されるようなアセンブリに圧力および振動が与えられると、近位端キャップ8.7の材料が液化され、例えば第2の物体2の孔に、中央部8.5の近位端が隠し穴6の底面に当接するまで浸潤する。このような当接および押圧力の効果は、第2の物体2を介した、励起可能な要素(示されない)から連結要素8への、特に、連結作用の第2段階において遠位端キャップ材料8.6の液化をもたらす、連結要素8の遠位端への、振動の伝達を強化する。
【0030】
図10による連結要素8の中央部8.5が十分な機械的剛性を有する材料でできている場合、この中央部8.5はさらに、達成された継手の剪断力(矢印S)に対する安定性を向上させるようにも役立つ。
【0031】
図1から図9に示される方法の実施例が連結要素および/または凹部のジオメトリの非対称性または材料の非対称性に依存する一方で、図10に示される実施例は、固定作用についての非対称性に依存する。近位および遠位の固定は、同時には達成されないが、少なくとも部分的に連続して達成される。
【0032】
図1から図10に示される実施例はすべて、各物体に1つずつ与えられる2つの隠し穴5および6を示す。これは、この発明による方法のための条件ではなく、その条件は、連結要素8が、その近位端および遠位端が凹部内面に対して置かれ、かつ2つの物体間に間
隙が残るように位置決めされるように、凹部が2つの物体間に与えられることを一般的な意味で求めるものである。
【0033】
図11および図12は、この発明による方法の他の実施例を示し、2つの物体1と2との間に与えられる凹部は、第2の物体2では1つの隠し穴6として、第1の物体1では突起5′として実現され、そこで孔6および突起5′の断面は一致する。隠し穴6の深さ、突起5′の高さ、および連結要素8の長さは、連結要素8が隠し穴6に、突起5′も隠し穴に位置決めされると2つの物体1と2との間に間隙9が残るように一致され、この間隙は、物体材料に変位される、または、隠し穴6もしくは突起5′に対応する中空のジオメトリに変位される熱可塑性材料の量と実質的に対応する。もちろん、第1の物体に隠し穴を、第2の物体に突起を配置することも可能である。
【0034】
図11によれば、圧力および振動が与えられる前の物体1および2ならびに連結要素8のアセンブリのみを示し、両方の物体は多孔性材料を含み、連結要素8はその近位端面よりも小さい遠位端面を有する(この方法は図1にも示される)。また図12は、突起5′を有する物体1、対称な連結要素8、および、実質的に図11に示されるように組立てられる隠し穴6を有する第2の物体2を左側に示し、右側には、アセンブリに圧力および振動を与えることにより達成される継手を示す。第2の物体2は多孔性材料を含み、第1の物体1は孔のない、または第2の物体の材料より実質的に孔の少ない材料を含む。その代り、突起5′の外周表面は、例えばクリスクロス模様などに走る溝30を備え、突起面に向かって開いているので、連結要素の遠位面で液化されている熱可塑性材料は溝31に浸潤し、図12の右側に32で示されるように隠し穴6の壁と突起5′との間に積極的な嵌合接続を生成する。この場合における連結要素8は対称な要素なので、溝31に浸潤する液化された材料に対する抵抗は、液化された材料による浸透に対する第2の物体材料の抵抗よりも小さいままであることに注意するべきである。これが達成され得ない場合は、(例えばその遠位端に中央ボアを包む)非対称の連結要素が用いられる。
【0035】
図1から図12に示されるような、この発明による方法のすべての実施例において、連結要素は、その断面が例えば丸、楕円、正方形、長方形、三角形、または直線、凹面、もしくは凸面の側面を有する任意の多角形である、ピン形状を有すると仮定される。連結要素の外周の表面に軸方向リブを与えることが有利であることが判明しており、リブは凹部において連結要素を導くのに寄与し、また付加的な固定材料(より大きな領域)を与えることにより連結要素の両端で接続の強度を増す。
【0036】
しかしながら、連結要素がピン形状でなければならないことは、この発明による方法の条件ではない。図1から12はすべて押圧力の方向と平行な断面であるが、押圧力方向に直交する長手方向に延びる連結要素を通る断面として理解されてもよい。すなわち、つまみ形状を有し、図1から図10に示された隠し穴と同じ断面を有する溝に位置決めされ、または、図11および12による隠し穴および突起と同じ断面を有する他のつまみによって閉じられる1つの隠し穴に位置決めされてもよい。
【0037】
図13は、2つの対向する溝(連結される物体間の凹部)に位置決めされた、そのようなつまみ形状の連結要素を示す。図示する方法は、図1(遠位端面が近位端面よりも小さい非対称の連結要素)に図示されたものと実質的に同じである。複数の両矢印によって表示されるように、つまみ形状の連結要素8の全長にわたって2つの物体に均質な固定を達成するために、物体2の全長に振動を与えることが有利である。
【0038】
図14は、図13によるつまみ形状の連結要素を用いる場合のように、同様の継手が達成される他の方法を示す。第1の物体は隠し穴5の列を備え、複数の実質的にピン形状の連結要素8が位置決めされる。第2の物体2は、連結要素の近位端を収容するよう寸法決
めされた溝33を備える。第2の要素は連結のために位置決めされ、物体1上に正確に適合するよう横向きに調整され、そこで初めて2つの物体を連結するために機械的振動が第2の物体2に与えられる。2つの部分における対応する隠し穴が2つの方向に正確に位置合わせされる必要がある、複数の連結要素のために両方の物体に隠し穴が与えられる実施例よりも、図14に示される実施例では正確さに対する要求がはるかに少ない。
【0039】
図15もまた、コーナ部要素を形成するよう2つのチップボード要素(物体1および2)を連結するために適用される、主に図1に示された方法を示す。図9に既に示されたように、第1の物体の隠し穴5は、チップボード表面の間に平行かつその中間あたりに延在し、第2の物体2の隠し穴6はチップボード表面に直交して延在し、その中間を越えたところまで届く。チップボードの密度は、通常、外側領域よりも中央領域において小さく、その機械的安定性は、表面に平行な方向よりも直交する方向においてより大きい。この理由のために、図14に示された事例では物体材料について第1の非対称性があり、物体材料は、第1の物体1については第2の物体2についてよりも機械的安定性がより小さく、多孔性がより高い。この非対称性は、隠し穴6が、物体2となるチップボード要素の中間を越えて届くにつれてさらに顕著である。しかしながら、この非対称性は不十分であることが明らかであり、そのために連結要素8も非対称であるよう設計される。以前の図による実質的に小型の連結要素と比較して機械的安定性がより向上するためには、本連結要素8は、遠位端8.1において近位端8.2でよりも大きい内部断面を備えた円筒状の管として設計され、そのため、リング状の遠位面の面積をリング状の近位面の面積よりも小さく、かつ連結要素8の近位端8.2において遠位端8.1でよりも熱可塑性特性を有する材料がより多いようにする。物体材料に依存して、面領域を完全に平坦に(連結要素軸に直交して)ではなく、むしろ連結要素軸に直交する面に対して勾配を持ち、勾配が近位面および遠位面において鋭くなった円形の縁部を形成するよう設計するのが有利であることが分かる。この縁部は、押圧力によって隠し穴の底面の物体材料に押付けられ、液化を始める。有効な面領域は、このような最初の押込みが達成されるレベル(1点鎖線AおよびB)の領域であると考えられる。
【0040】
図15による連結要素の外周表面は、軸方向に延在するリブ35を備える。
図15による連結要素は、射出成形によって容易に製造できる。その中央部分は、連結要素が重力によって正確に(近位/遠位に)配向され得るよう、重心が軸長の半分の位置から相当に変位されるように、容易に設計することができる。
【0041】
図16は、図15と同様の連結要素8を示し、連結要素の外側のシェルの熱可塑性材料よりも機械的強度が大きい材料でできた核40をさらに含む。核40は例えば木でできており、剪断力に対する継手の安定性を向上させるよう特に役立つ。したがって核4は、連結要素の近位端の近くに置かれれば、図10による連結要素の連結要素の中央部8.5について説明されたような機能をも果たし得る。
【0042】
図17はこの発明による連結要素8の他の実施例を示し、それは図15および図16に示される実施例に類似しているが、非対称な断面を有する。
【0043】
図18は、この発明による連結要素8の他の実施例を示す。連結要素は、図1、図15、図16および図17(非対称のジオメトリ)に示されるような連結要素に類似した働きをするが、中空でなく、角度のある(正方形または長方形の)断面を有する。
【0044】
図19は、この発明による連結要素8の他の実施例を示す。連結要素は、図15、図16および図17に示されるような連結要素に類似の働きをするが、調整可能な軸長を有するよう設計される。連結要素8は遠位部8.8および近位部8.9を含み、両方が中空の円筒の形状を有し、遠位部8.8は直径がより小さく、かつ外ねじを有し、近位部8.9
は直径がより大きく、かつ遠位部8.8の外ねじに適合された内ねじを有する。連結要素8の長さは、遠位部分8.8を近位部分8.9に対応してさらにねじ込むことにより調整される。2つの連結要素部分8.8および8.9は、ねじの代りに、複数の異なる軸位置にともにスナップ留めされ得るようにスナップ要素を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】連結要素および連結される物体の例示的な実施例によってこの発明に従う方法を示し、非対称の連結要素が対称な凹部(2つの同一の隠し穴)に関連して用いられる図である。
【図2】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図3】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図4】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図5】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図6】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図7】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図8】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図9】1対の同一の隠し穴(対称な凹部底面)に関連して用いられる非対称の連結要素、もしくは1対の非同一の隠し穴(非対称な凹部底面)に関して用いられる対称な連結要素、またはその組合せの他の例示的な実施例を示す図である。
【図10】向上した結合性能(非対称の連結作用)のために連結要素を備える、この発明による方法の他の実施例を示す図である。
【図11】凹部は1対の隠し穴によっては形成されない、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図12】凹部は1対の隠し穴によっては形成されない、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図13】連結要素がつまみ形状を有し、凹部が1対の溝の形を有する、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図14】一方では複数の隠し穴、他方では溝に関連して複数のピン形状の連結要素を用いる、この発明による方法の実施例を示す図である。
【図15】2つの木製板またはチップボード要素を連結してコーナ部を形成することに特に適した非対称の連結要素を詳細に示す図である。
【図16】図15による連結要素であってさらに核を含む連結要素を示す図である。
【図17】図15の連結要素に類似の他の連結要素を示す図である。
【図18】その効果が図1による連結要素の効果に類似する、他の2つの連結要素を示す図である。
【図19】その効果が図1による連結要素の効果に類似する、他の2つの連結要素を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも遠位端および近位端(8.1および8.2)の領域に熱可塑性特性を有する材料を含む連結要素(8)の助けによって第1および第2の物体(1および2)を連結する方法であって、方法は、連結される2つの物体(1および2)の間に凹部を与えるステップと、連結要素(8)を、その遠位端(8.1)が第1の物体(1)の凹部底面に接するよう、その近位端(8.2)が第2の物体(2)の凹部底面に接するよう、かつ2つの物体(1および2)の間に間隙(9)があるように凹部に位置決めするステップと、第1の物体(1)を振動しない支持部(3)に対して位置決めし、機械的に振動するよう励起され得る要素(4)を第2の物体(2)に対して位置決めするステップと、連結要素(8)をその近位端と遠位端(8.1および8.2)との間で圧縮する、また間隙(9)を埋める方向に、励起可能な要素(4)および支持部(3)を互いに向かって強制するステップとを含み、一方で励起可能な要素(4)を機械的に振動するよう励起させ、そのために、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部を液化し、そこで、連結要素端部(8.1および8.2)が凹部底面に対して押付けられて、液化された材料が、凹部表面の孔、凹凸、または凹部表面に与えられた開口部に浸潤することが可能になり、このように連結要素端部(8.1および8.2)を物体(1および2)に固定し、さらに、連結要素の両端(8.1および8.2)において適切に同様の固定特性を達成するために、連結要素(8)の遠位端(8.1)は近位端(8.2)とは異なり、かつ/または第1の物体(1)の凹部底面は第2の物体(2)の凹部底面とは異なり、その違いは設計の違いまたは材料の違いであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
連結要素の近位端(8.2)の面の面積は連結要素の遠位端(8.1)の面の面積よりも大きく、熱可塑性特性を有する材料の量は、連結要素の近位端(8.2)において連結要素の遠位端(8.1)よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連結要素の遠位端(8.1)は、連結要素の近位端(8.2)における材料よりも低温で液化可能な材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
連結要素の遠位端(8.1)は、連結要素の近位端(8.2)の材料よりもさらに多孔性の材料を含み、その材料は密度がより小さく、またはより高い程度に非熱可塑性の充填材で満たされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連結要素(8)は、遠位インサート(21)および連結要素配置部(8′)を含み、連結要素配置部(8′)は熱可塑性特性を有する材料を含み、遠位インサート(21)は実質的に非多孔性材料でできていて連結要素(8)の遠位端となり、遠位インサート(21)は、連結要素の近位端(8.2)に向かって減少する断面を有し、連結要素配置部(8′)の中央開口部(10)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
連結要素端部(8.1および8.2)が押付けられる凹部底面のうち、第1の物体(1)にあるものは第2の物体(2)にあるものよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の物体(1)の凹部底面は、連結要素の遠位端(8.1)が押付けられるショルダ部(20)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
連結要素端部(8.1および8.2)が押付けられる2つの凹部底面を囲む材料は、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗について異なり、第1の物体(1)の材料は、第2の物体(2)の材料よりも容易に浸透され、かつ/または圧縮され、または変位されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
遠位端および近位端(8.1および8.2)の領域に熱可塑性特性を有する材料を含む連結要素(8)の助けによって第1および第2の物体(1および2)を連結する方法であって、方法は、2つの物体(1および2)の間に凹部を与えるステップと、連結要素(8)を、その遠位端(8.1)が第1の物体(1)の凹部底面に接するよう、その近位端(8.2)が第2の物体(2)の凹部底面に接するよう、かつ2つの物体(1および2)の間に間隙(9)があるように凹部に位置決めするステップと、第1の物体(1)を振動しない支持部(3)に対して位置決めし、機械的に振動するよう励起され得る要素(4)を第2の物体(2)に対して位置決めするステップと、連結要素(8)をその近位端と遠位端(8.1および8.2)との間で圧縮する、また間隙(9)を埋める方向に、励起可能な要素(4)および支持部(3)を互いに向かって押付けるステップとを含み、一方で励起可能な要素(4)を機械的に振動するよう励起させ、そのために、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部を液化し、そこで、連結要素端部(8.1および8.2)は凹部底面に対して押付けられて、液化された材料が、凹部表面の孔、凹凸、または凹部表面に与えられた開口部に浸潤することが可能になり、このように連結要素端部(8.1および8.2)を物体(1および2)に固定し、さらに、連結要素の両端(8.1および8.2)において適切に同様の固定特性を達成するために、連結要素(8)は実質的に非多孔性の材料の中央要素(8.5)と、中央要素(8.5)に固定された遠位キャップ(8.6)および近位キャップ(8.7)とを含み、2つのキャップ(8.6および8.7)は熱可塑性特性を有する材料からなることを特徴とする、方法。
【請求項10】
連結要素(8)はピン形状であって、凹部は2つの隠し穴(5および6)によって、または1つの隠し穴(6)および一致した突起(5′)によって構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
複数のピン形状の連結要素(8)は、第1および第2の物体(1または2)の一方に与えられる隠し穴に位置決めされ、かつ、第1および第2の物体(2または1)の他方には、連結要素(8)を収容するために溝(33)が与えられることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
連結要素(8)はつまみ形状を有し、凹部は2つの溝によって、または1つの溝および一致するつまみによって構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
物体(1および2)の少なくとも1つは非多孔性材料を含み、この物体において、凹部または突起は、平坦でない表面またはアンダカット(22)を与えられることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の方法で作った継手であって、2つの物体(1および2)はコーナ部要素を形成するよう連結される木製板またはチップボード要素であることを特徴とする、継手。
【請求項15】
コーナ部要素は、複数のピン形状の連結要素を含み、少なくともその両端が両方の木製板またはチップボード要素に固定され、または少なくとも1つのつまみ形状の連結要素を含み、その全長に沿って両方の木製板またはチップボード要素に固定されることを特徴とする、請求項14に記載の継手。
【請求項16】
2つの木製板またはチップボード要素の各々への固定は、実質的に同じ強度を有することを特徴とする、請求項14または15に記載の継手。
【請求項17】
連結要素(8)は、熱可塑性特性を有する材料としてアクリル−ブチル−スチレンを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれかに記載の継手。
【請求項18】
連結要素(8)は、少なくとも部分的に中空であることを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項19】
連結要素(8)は、実質的に非多孔性材料の遠位インサート(21)を含むことを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項20】
連結要素(8)は、熱可塑性特性を有する材料によって2つの物体に接続される中央部(8.5)または核(40)を含むことを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項21】
請求項1から9のいずれかに記載の方法を用いて2つの物体(1および2)を連結するのに適する連結要素(8)であって、連結要素(8)は、ピン形状またはつまみ形状であり、熱可塑性特性を有する材料を含み、さらに、連結要素(8)は遠位端(8.1)および近位端(8.2)を含み、遠位端および近位端の設計および/または材料が異なることを特徴とする、連結要素(8)。
【請求項22】
連結要素の遠位端(8.1)の面は連結要素の近位端(8.2)の面よりも小さく、かつ/または連結要素の遠位端(8.1)は、熱可塑性特性を有する材料が連結要素の近位端(8.2)よりも少ないことを特徴とする、請求項21に記載の連結要素。
【請求項23】
遠位部(8.8)および近位部(8.9)を含み、両方の部分は中空の円筒として設計され、遠位部は近位部よりも直径が小さく、連結要素が調整可能な軸長を有するように2つの部分を一緒に固定するための固定手段が与えられることを特徴とする、請求項22に記載の連結要素。
【請求項24】
固定手段は、近位部(8.9)に内ねじを含み、遠位部(8.8)に外ねじを含むことを特徴とする、請求項23に記載の連結要素。
【請求項25】
ピン形状かつ実質的に中空であって、遠位端(8.1)において近位端(8.2)でよりも薄い壁を含むことを特徴とする、請求項21または22のいずれかに記載の連結要素。
【請求項26】
実質的に多孔性ではない材料の遠位インサート(21)を含み、遠位インサート(21)は、連結要素の近位端(8.2)に向かって小さくなる断面を有し、熱可塑性特性を有する連結要素配置部(8′)の中央開口部(10)に固定されることを特徴とする、請求項21に記載の連結要素。
【請求項27】
遠位端(8.1)において熱可塑性特性を有する第1の材料、および近位端(8.2)において熱可塑性特性を有する第2の材料によって特徴付けられ、第1の材料は第2の材料よりも低温で液化可能である、請求項21に記載の連結要素。
【請求項28】
遠位端(8.1)において熱可塑性特性を有する第1の材料、および近位端(8.2)において熱可塑性特性を有する第2の材料によって特徴付けられ、第1の材料は第2の材料よりもさらに多孔性であって、より密度が小さく、または非熱可塑性の充填材でより満たされる、請求項21に記載の連結要素。
【請求項29】
請求項10による方法を用いて2つの物体(1および2)を連結するのに適した連結要
素(8)であって、連結要素はピン形状またはつまみ形状であって熱可塑性特性を有する材料を含み、機械的振動を伝達するのに適した実質的に多孔性ではない材料から構成される中央部(8.5)と、遠位および近位の連結要素端部(8.1および8.2)を形成する2つのキャップ(8.6および8.7)とによって特徴付けられ、2つのキャップ(8.6および8.7)は熱可塑性特性を有する材料から構成される、連結要素(8)。
【請求項1】
少なくとも遠位端および近位端(8.1および8.2)の領域に熱可塑性特性を有する材料を含む連結要素(8)の助けによって第1および第2の物体(1および2)を連結する方法であって、方法は、連結される2つの物体(1および2)の間に凹部を与えるステップと、連結要素(8)を、その遠位端(8.1)が第1の物体(1)の凹部底面に接するよう、その近位端(8.2)が第2の物体(2)の凹部底面に接するよう、かつ2つの物体(1および2)の間に間隙(9)があるように凹部に位置決めするステップと、第1の物体(1)を振動しない支持部(3)に対して位置決めし、機械的に振動するよう励起され得る要素(4)を第2の物体(2)に対して位置決めするステップと、連結要素(8)をその近位端と遠位端(8.1および8.2)との間で圧縮する、また間隙(9)を埋める方向に、励起可能な要素(4)および支持部(3)を互いに向かって強制するステップとを含み、一方で励起可能な要素(4)を機械的に振動するよう励起させ、そのために、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部を液化し、そこで、連結要素端部(8.1および8.2)が凹部底面に対して押付けられて、液化された材料が、凹部表面の孔、凹凸、または凹部表面に与えられた開口部に浸潤することが可能になり、このように連結要素端部(8.1および8.2)を物体(1および2)に固定し、さらに、連結要素の両端(8.1および8.2)において適切に同様の固定特性を達成するために、連結要素(8)の遠位端(8.1)は近位端(8.2)とは異なり、かつ/または第1の物体(1)の凹部底面は第2の物体(2)の凹部底面とは異なり、その違いは設計の違いまたは材料の違いであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
連結要素の近位端(8.2)の面の面積は連結要素の遠位端(8.1)の面の面積よりも大きく、熱可塑性特性を有する材料の量は、連結要素の近位端(8.2)において連結要素の遠位端(8.1)よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連結要素の遠位端(8.1)は、連結要素の近位端(8.2)における材料よりも低温で液化可能な材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
連結要素の遠位端(8.1)は、連結要素の近位端(8.2)の材料よりもさらに多孔性の材料を含み、その材料は密度がより小さく、またはより高い程度に非熱可塑性の充填材で満たされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連結要素(8)は、遠位インサート(21)および連結要素配置部(8′)を含み、連結要素配置部(8′)は熱可塑性特性を有する材料を含み、遠位インサート(21)は実質的に非多孔性材料でできていて連結要素(8)の遠位端となり、遠位インサート(21)は、連結要素の近位端(8.2)に向かって減少する断面を有し、連結要素配置部(8′)の中央開口部(10)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
連結要素端部(8.1および8.2)が押付けられる凹部底面のうち、第1の物体(1)にあるものは第2の物体(2)にあるものよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の物体(1)の凹部底面は、連結要素の遠位端(8.1)が押付けられるショルダ部(20)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
連結要素端部(8.1および8.2)が押付けられる2つの凹部底面を囲む材料は、液化された材料による浸透、圧縮および/または変位に対する抵抗について異なり、第1の物体(1)の材料は、第2の物体(2)の材料よりも容易に浸透され、かつ/または圧縮され、または変位されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
遠位端および近位端(8.1および8.2)の領域に熱可塑性特性を有する材料を含む連結要素(8)の助けによって第1および第2の物体(1および2)を連結する方法であって、方法は、2つの物体(1および2)の間に凹部を与えるステップと、連結要素(8)を、その遠位端(8.1)が第1の物体(1)の凹部底面に接するよう、その近位端(8.2)が第2の物体(2)の凹部底面に接するよう、かつ2つの物体(1および2)の間に間隙(9)があるように凹部に位置決めするステップと、第1の物体(1)を振動しない支持部(3)に対して位置決めし、機械的に振動するよう励起され得る要素(4)を第2の物体(2)に対して位置決めするステップと、連結要素(8)をその近位端と遠位端(8.1および8.2)との間で圧縮する、また間隙(9)を埋める方向に、励起可能な要素(4)および支持部(3)を互いに向かって押付けるステップとを含み、一方で励起可能な要素(4)を機械的に振動するよう励起させ、そのために、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部を液化し、そこで、連結要素端部(8.1および8.2)は凹部底面に対して押付けられて、液化された材料が、凹部表面の孔、凹凸、または凹部表面に与えられた開口部に浸潤することが可能になり、このように連結要素端部(8.1および8.2)を物体(1および2)に固定し、さらに、連結要素の両端(8.1および8.2)において適切に同様の固定特性を達成するために、連結要素(8)は実質的に非多孔性の材料の中央要素(8.5)と、中央要素(8.5)に固定された遠位キャップ(8.6)および近位キャップ(8.7)とを含み、2つのキャップ(8.6および8.7)は熱可塑性特性を有する材料からなることを特徴とする、方法。
【請求項10】
連結要素(8)はピン形状であって、凹部は2つの隠し穴(5および6)によって、または1つの隠し穴(6)および一致した突起(5′)によって構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
複数のピン形状の連結要素(8)は、第1および第2の物体(1または2)の一方に与えられる隠し穴に位置決めされ、かつ、第1および第2の物体(2または1)の他方には、連結要素(8)を収容するために溝(33)が与えられることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
連結要素(8)はつまみ形状を有し、凹部は2つの溝によって、または1つの溝および一致するつまみによって構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
物体(1および2)の少なくとも1つは非多孔性材料を含み、この物体において、凹部または突起は、平坦でない表面またはアンダカット(22)を与えられることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の方法で作った継手であって、2つの物体(1および2)はコーナ部要素を形成するよう連結される木製板またはチップボード要素であることを特徴とする、継手。
【請求項15】
コーナ部要素は、複数のピン形状の連結要素を含み、少なくともその両端が両方の木製板またはチップボード要素に固定され、または少なくとも1つのつまみ形状の連結要素を含み、その全長に沿って両方の木製板またはチップボード要素に固定されることを特徴とする、請求項14に記載の継手。
【請求項16】
2つの木製板またはチップボード要素の各々への固定は、実質的に同じ強度を有することを特徴とする、請求項14または15に記載の継手。
【請求項17】
連結要素(8)は、熱可塑性特性を有する材料としてアクリル−ブチル−スチレンを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれかに記載の継手。
【請求項18】
連結要素(8)は、少なくとも部分的に中空であることを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項19】
連結要素(8)は、実質的に非多孔性材料の遠位インサート(21)を含むことを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項20】
連結要素(8)は、熱可塑性特性を有する材料によって2つの物体に接続される中央部(8.5)または核(40)を含むことを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の継手。
【請求項21】
請求項1から9のいずれかに記載の方法を用いて2つの物体(1および2)を連結するのに適する連結要素(8)であって、連結要素(8)は、ピン形状またはつまみ形状であり、熱可塑性特性を有する材料を含み、さらに、連結要素(8)は遠位端(8.1)および近位端(8.2)を含み、遠位端および近位端の設計および/または材料が異なることを特徴とする、連結要素(8)。
【請求項22】
連結要素の遠位端(8.1)の面は連結要素の近位端(8.2)の面よりも小さく、かつ/または連結要素の遠位端(8.1)は、熱可塑性特性を有する材料が連結要素の近位端(8.2)よりも少ないことを特徴とする、請求項21に記載の連結要素。
【請求項23】
遠位部(8.8)および近位部(8.9)を含み、両方の部分は中空の円筒として設計され、遠位部は近位部よりも直径が小さく、連結要素が調整可能な軸長を有するように2つの部分を一緒に固定するための固定手段が与えられることを特徴とする、請求項22に記載の連結要素。
【請求項24】
固定手段は、近位部(8.9)に内ねじを含み、遠位部(8.8)に外ねじを含むことを特徴とする、請求項23に記載の連結要素。
【請求項25】
ピン形状かつ実質的に中空であって、遠位端(8.1)において近位端(8.2)でよりも薄い壁を含むことを特徴とする、請求項21または22のいずれかに記載の連結要素。
【請求項26】
実質的に多孔性ではない材料の遠位インサート(21)を含み、遠位インサート(21)は、連結要素の近位端(8.2)に向かって小さくなる断面を有し、熱可塑性特性を有する連結要素配置部(8′)の中央開口部(10)に固定されることを特徴とする、請求項21に記載の連結要素。
【請求項27】
遠位端(8.1)において熱可塑性特性を有する第1の材料、および近位端(8.2)において熱可塑性特性を有する第2の材料によって特徴付けられ、第1の材料は第2の材料よりも低温で液化可能である、請求項21に記載の連結要素。
【請求項28】
遠位端(8.1)において熱可塑性特性を有する第1の材料、および近位端(8.2)において熱可塑性特性を有する第2の材料によって特徴付けられ、第1の材料は第2の材料よりもさらに多孔性であって、より密度が小さく、または非熱可塑性の充填材でより満たされる、請求項21に記載の連結要素。
【請求項29】
請求項10による方法を用いて2つの物体(1および2)を連結するのに適した連結要
素(8)であって、連結要素はピン形状またはつまみ形状であって熱可塑性特性を有する材料を含み、機械的振動を伝達するのに適した実質的に多孔性ではない材料から構成される中央部(8.5)と、遠位および近位の連結要素端部(8.1および8.2)を形成する2つのキャップ(8.6および8.7)とによって特徴付けられ、2つのキャップ(8.6および8.7)は熱可塑性特性を有する材料から構成される、連結要素(8)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−504990(P2008−504990A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519593(P2007−519593)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000385
【国際公開番号】WO2006/002569
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000385
【国際公開番号】WO2006/002569
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
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