説明

2種類の個別の組成物を含み、その組成物の1つが架橋ポリロタキサンを含む化粧料製品

本発明は、第1の組成物および第2の組成物を含む化粧料製品に関し、第1の組成物は無水であって架橋ポリロタキサンを含み、第2の組成物は前記架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な、生理学的に許容される溶媒を含む。また、本発明はメイクアップ方法およびメイクアップキットに関する。後者は特に、口紅、マスカラまたはファンデーションである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚、瞼、唇、爪、眉または睫毛などに連続して適用することのできる少なくとも2種類の組成物を含む化粧料製品に関する。本発明はまた、これらの2種類の組成物を用いるケラチン物質への適用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各組成物は、ファンデーション、フェースパウダー、アイシャドウ、コンシーラー、頬紅、遊離したまたは圧縮されたパウダー、口紅、リップバルム、リップグロス、リップペンシル、アイペンシル、マスカラまたはアイライナーであってよい。
【0003】
本発明の一目的は、製品の量をケラチン物質に与えると同時に十分なレオロジー特性および機械的性質を有する製品を提供することである。
【0004】
本発明は、架橋ポリロタキサンを含む第1の無水組成物と、一たび第1の組成物および第2の組成物が相互に適用されるとポリマーを膨潤させることのできる溶媒を含む第2の組成物を含む、化粧料製品に関する。
【0005】
前記第1の組成物は、一たび組成物がケラチン物質に適用されて、一たび前記第2の組成物の付着層と接触すると溶媒を吸収し、従ってその付着層のボリュームの増加をもたらす。従って、ケラチン物質はその起伏のある端部を埋めることにより、厚く、ふっくらとし、滑らかとなる印象をもたらす。
【0006】
消費者は、メイクアップするかまたは形作ろうと望むケラチン物質のボリュームが増加したという認識を得ることを可能とする化粧料製品を求めている。特に、マスカラには睫毛への添加効果が望まれ、グロスおよび口紅にはふっくらとした効果が望まれ、ファンデーションの使用者は、モデリング特性、および皮膚の不完全部分を隠す特性を求める。
【0007】
本発明の目的は、従来の化粧用組成物の付着層とは対照的に、時間とともに減少しないボリュームを有する付着層をケラチン物質に形成することのできる化粧料製品を提供することである。特に、付着層または製品は、ケラチン物質への適用後に時間とともにボリュームを増加させることができる。
【0008】
本発明は、一たび基体、例えば皮膚、唇または表面的な身体成長部位に適用されると量に視覚的効果を作り出す製品を提供することを対象としている。これらの製品は、例えば、頬、瞼、睫毛または唇への適用後に、メイクアップされていない基体とは異なる量的認識をもたらす。
【0009】
既知の化粧用組成物をケラチン物質に適用すると、付着層は、組成物の全てまたは一部がケラチン物質に浸透することにより、かつ/または最初に付着層中に存在していた揮発性成分が蒸発することにより、時間とともに薄くなってくる。
【0010】
次に、これらの現象は、基体の欠点、例えば細い線、皮膚の色の不良(手肌のしみなど)、唇の色味の喪失、または、人間の顔へのファンデーションの使用者にとって特に厄介である酒さなどを露呈し得る。これはファンデーションの目的の一つが皮膚の不完全部分(しみ、黒ニキビ)を隠すことであり、皮膚に一様な顔貌を与えることであるためである。
【0011】
欧州特許第1069151号文献は、少なくとも1つの有機ポリマー、有機ポリマーと適合しない少なくとも1種類の第1の揮発性溶媒、および有機ポリマーと適合する第2の非揮発性溶媒を含む化粧用組成物を開示している。本発明の揮発性溶媒および非揮発性溶媒は、組成物が付着している基体から揮発性溶媒が蒸発する時に非揮発性溶媒中でポリマーが溶解することによりポリマーの膨潤を可能にするような溶媒である。揮発性溶媒が蒸発するにつれて、ポリマーは不溶性状態から可溶性状態へと変化し、その脂肪鎖を拡げて非揮発性溶媒を捕獲する絡み合ったネットワークを形成し、このようにしてケラチン物質の組成物の付着層のボリュームの増加をもたらす。
【0012】
さらに、女性はますます顔および/または身体、さらに特に唇を、それらのボリュームの認識を修正する目的で型を変えようとしている。現在、顔または身体の特定の部分のボリュームの増加は、シリコンゲルなどの物質を注射することによって得られる。この種類の型を変えることは、一般に局部麻酔の下で行われている。その上、この種類の型を変えることは長期にわたり、退屈であり、費用がかかる。
【0013】
消費者はまた、顔の型を変えることを可能にする、特に頬骨を増やし、かつ/または唇をふっくらさせることを可能にする組成物を求めている。
【0014】
淡い色合いと暗い色合いを並んで適用し、淡い色合いを増やしたい範囲に適用することによって量的効果を作り出すことができることは知られている。この効果を得ることは、従来では2種類の異なる組成物を使用することを必要とし、それを適用する当業者に依存する。さらに、この技術は唇のメイクアップに行うことが困難である。
【0015】
視覚的効果をもつ顔料、例えば角度依存性顔料などの、観る角度または光の入射角によって、組成物を適用した身体の部分のボリュームの認識を修正するための使用が開示されている。
【0016】
従って、欧州特許出願第0953330号は、第1の角度依存性顔料と第1の顔料の色の中の1色を有する第2の顔料を組み合わせたメイクアップキットを開示している。国際特許出願第01/51015号は、従来の干渉顔料(正反射の角度によって変動し得る明度を示す、陰影用顔料(shadow pigment)としても公知の4層干渉顔料)と組み合わせる組成物を提供する。
【0017】
欧州特許出願第1382323号は、角度依存的に着色されたバックグラウンドを作り出すことのできる少なくとも1種類の角度依存性着色剤と、裸眼で見えるハイライト点を作り出すことのできる反射粒子とを含む組成物を開示している。
【0018】
ケラチン繊維、特に睫毛をメイクアップするための組成物は、概して材料をケラチン繊維に与えるために固形分含有量が多く、量または添加が多少もたらされるメイクアップ結果が得られなくてはならない。
【0019】
それにも関わらず、ワックス、増量剤または顔料などの固体の固形分含有量が増加すると、得られる製品の稠度の増加がもたらされ、ひいては組成物が厚く粘度があり、付着層に粒状の滑らかでない外観を与え、困難を伴って不均一に塊状に付着したために、結果として繊維への適用を問題が多く扱いにくいものとする。
【0020】
身体に与える効果を改良するための別の手段は、組成物が適用された際に吸着を促進するためにケラチン繊維への組成物の接着を増大させることである。このため、粘着付与添加剤が使用されるが、粘着付与添加剤は組成物をコンパクトにするために、実現可能性という理由から、さらに適用時に過度に粘着性となるために、化粧料の品質という理由から、高いレベルで組み込むことができない。
【0021】
マスカラに添加効果をもたらすためのさらに別の手段は、熱により刺激され得るポリマー、例えばExpancel(欧州特許出願第1525876号に開示されているものなど)を加えることである。しかし、このポリマーは膨潤するために非常に高い活性化温度を要する。
【特許文献1】欧州特許第1069151号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、満足のいくボリュームをケラチン物質に与えると同時に、満足のいく機械的性質およびレオロジー特性を示すことのできる化粧料製品の処方のための新規な経路を提供することである。
【0023】
本発明の主題は、第1の組成物が特定のポリロタキサンを含み、第2の組成物が溶媒、例えば水などを含む、少なくとも2種類の組成物を含む化粧料製品である。
【0024】
ポリロタキサンは、第2の化学種の分子体を収容している限られたサイズの空洞を形成する第1の分子体を含む、包接化合物の化学ファミリーの部分をなす。
【0025】
株式会社ノエビア(1997年)の日本国特許第09216815号および株式会社資生堂の日本国特許第09315937号は、擬ポリロタキサン類を含む化粧料製品を開示している。これらのポリマーは、鎖末端を保護されていない環状分子(シクロデキストリン)が含まれる主鎖を含む。しかし、この組成物は、一たび適用されると十分にボリュームを増加させず、組成物のケラチン物質での経時的保持力は低い。その上、環状分子は、擬ポリロタキサンが溶解されると外れる傾向がある。
【0026】
本発明の主題は、少なくとも1種類の架橋ポリロタキサンポリマーを含む無水化粧用組成物を含む化粧料製品である。
【0027】
本出願者らは、驚くことに、無水化粧料媒質中の特定のポリロタキサンポリマーの製剤がケラチン物質への層の付着を可能とし、そのボリュームは、一たび2種類の組成物が接触するとポリロタキサンに吸収される、生理学的に許容される溶媒を含む第2の組成物を介する付着層の膨潤により、時間とともに増加することを見出した。
【0028】
本製品は、ケラチン物質の外観の欠点(しみ、目の下の暗い部分、皺、くぼんだ部分、皮膚の希薄さ)を永続的に隠すことを可能にし、睫毛、唇または毛髪にボリュームの増加を与えることを可能とする。
【0029】
本発明の目的は、製品を適用したケラチン物質にボリュームを与える化粧料製品の処方のための新規な経路を提供することであり、前記製品は互いに連続的に適用される少なくとも2種類の組成物を含む。
【0030】
本発明のさらなる目的は、適用されるケラチン物質にボリュームを与えると同時に、満足のいくレオロジー特性および機械的性質を示す化粧料製品、特にメイクアップ製品を提供することである。
【0031】
本出願者らは、特定のポリロタキサンを含む第1の無水組成物と生理学的に許容される溶媒、特に水を含む第2の組成物とを組み合わせることによりこれらの目的が達成され得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の主題は、第1の組成物が無水であり少なくとも1つの架橋ポリロタキサンを含み、第1の組成物とは異なる第2の組成物が架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な、生理学的に許容される溶媒を含む、少なくとも1種類の第1の組成物と1種類の第2の組成物を含む、ケラチン物質に適用されることを意図する化粧料製品である。
【0033】
本発明の製品は、特に皮膚、爪または唇をメイクアップするための製品である。
【0034】
用語「メイクアップ製品」とは、口紅、頬紅、アイライナー、ファンデーション、セルフタンニング製品または半永久的なメイクアップ(ボディペインティング)製品などの製品をケラチン物質へ適用することにより、人間のケラチン物質(皮膚または表面的な身体成長部位)に色味を付着させることを可能にする着色剤を含む製品を意味するものと理解される。
【0035】
本発明の製品は、同じ包装材または2つの別個の包装材に別々にまたは一緒に包装された、少なくとも2種類の化粧料として許容される組成物を含む。
【0036】
好ましくは、これらの組成物は別個の包装材に別々に、かつ有利に包装される。
【0037】
従って、本発明の主題は、特に、口紅、ファンデーション、マスカラ、フェースパウダー、アイシャドウ、マニキュア液、特にケア特性を有する製品、アイライナー、コンシーラーまたは身体をメイクアップするための(ボディペインティングの種類の)製品の形態で提供される、化粧用メイクアップ製品である。
【0038】
本発明のもう一つの主題は、その中に様々な組成物が別々に包装されており、適切な適用手段が有利に添付されている、上に定義される化粧用メイクアップ製品を含むメイクアップキットである。これらの手段は、細いブラシ、粗いブラシ、ペン、ペンシル、フェルト、羽毛、スポンジ、チューブおよび/またはフォームノズルであってよい。
【0039】
本発明による製品の第1の組成物は、ケラチン物質に適用される基層を構成し得、第2の組成物は上層を構成し得る。しかし、第1の層の下に、第2の層の構造を有するかまたは有さない下層を適用することも可能である。
【0040】
また、第1の層の組成物と同一の組成物を有するかまたは有さない第2の層の上に上塗層を付着させることも可能である。得られるメイクアップは2層のメイクアップであることが好ましい。
【0041】
また、第2の組成物は、ケラチン物質に適用される基層を構成し得、第1の組成物は上層を構成し得る。
【0042】
特に、基層は、口紅、ファンデーション、マスカラ、リップグロス、アイライナー、マニキュア液、爪のケア用製品または身体をメイクアップするための製品であり、上層はケアまたは保護用製品である。
【0043】
また、本発明は、皮膚および/または唇および/または表面的な身体成長部位に、上に定義されるような化粧料製品を適用することにある、皮膚および/または唇および/または表面的な身体成長部位をメイクアップするための方法に関する。
【0044】
本発明のさらなる主題は、皮膚、唇または表面的な身体成長部位へ、架橋ポリロタキサンを含む第1の無水組成物からなる第1の層を適用し、次に第1の層の全てまたは一部に、架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な、生理学的に許容される溶媒を含む第2の組成物からなる第2の層を適用することにある、人間の皮膚および/または唇および/または表面的な身体成長部位を処理またはメイクアップするための化粧方法である。
【0045】
本発明による製品は、頭皮および身体の皮膚と同じように容易に顔の皮膚、唇、下瞼の内側および表面的な身体成長部位、例えば爪、睫毛または眉に適用することができる。第2の組成物はパターンを形成することができ、ペン、ペンシルまたは任意のその他の道具(スポンジ、指、細いブラシ、粗いブラシ、羽毛)を用いて適用することができる。このメイクアップはまた、メイクアップ用付属品、例えば付け爪、付け睫毛、かつらまたは皮膚または唇に接着する(付けぼくろの種類の)スポットもしくはパッチにも適用することができる。
【0046】
最後に、本発明の主題は、皮膚および/または唇および/または表面的な身体成長部位にボリュームの増加を与えるための、第1の組成物が下に説明されるような架橋ポリロタキサンを含み、第2の組成物が架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な生理学的に許容される溶媒を含む、第1の組成物および第2の組成物を含む化粧料製品の使用である。
【0047】
第1の組成物
本発明による第1の組成物は、少なくとも1種類の架橋ポリロタキサンを含む。
【0048】
用語「擬ポリロタキサン」は、少なくとも1つの直鎖状分子と、該直鎖状分子とひと続きになっている少なくとも2つの環状分子を含み、直鎖状分子と環状分子は共有結合によって結合しているのではなく、その結果環状分子が直鎖状分子に沿って自由に移動することのできる、超分子構成物を意味するものと理解される。
【0049】
「ポリロタキサン」は擬ポリロタキサンから得られ、擬ポリロタキサンの直鎖状分子の各末端には、適切な場合、環状分子と直鎖状分子が分離することを妨げる分子構造が付着している。
【0050】
用語「架橋ポリロタキサン」は、第1のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子と第2のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子が化学的または物理的であり得る少なくとも1つの結合を介して結合している、少なくとも1種類の第1のポリロタキサンと1種類の第2のポリロタキサンを含む化合物を意味するものと理解される。結合は、特には、金属結合、イオン結合、共有結合、電荷移動錯体の形成の結果生じる相互作用、水素結合の弱い相互作用、ファンデルワールス結合またはπ−π結合型、あるいはそれらの混合物であってよい。
【0051】
従ってポリロタキサンは環状分子が直鎖状分子によって「含まれている」超分子集合体である。環状分子が直鎖状分子から外れることを防ぐために、直鎖状分子の末端は大型の基またはイオン基により官能化されている。
【0052】
直鎖状分子
本発明において、「直鎖状分子」との表現は、実質的に「直鎖状の」分子を意味するものである。これは、環状分子が直鎖状分子の周囲を回転するかまたは直鎖状分子に沿って移動することができるならば、直鎖状分子が1以上の分枝鎖を含み得ることを意味する。
【0053】
「直鎖状の」分子の長さは、直鎖状分子が環状分子にそれらに接して回転すること、または前記直鎖状分子に沿って移動することが可能であるならば、特定の長さに限定されない。
【0054】
直鎖状分子はポリマー類、特に、
親水性ポリマー類、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ((メタ)アクリル酸)、セルロース(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)に由来するポリマー類、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール類(ポリエチレングリコール類およびポリプロピレングリコール類など)、ポリテトラヒドロフラン類、ポリ(ビニルアセタール)類、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリアミン類、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、デンプン、およびそれらの共重合体;
疎水性ポリマー類、例えば、ポリオレフィン類(ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリイソプレン類、ポリイソブチレン類またはポリブタジエン類など);オレフィン類の共重合体(エチレン/ブチレン共重合体など);ポリエステル類、ポリジメチルシロキサン類、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステルのポリマーおよび共重合体類(ポリ(メタクリル酸メチル)またはアクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体など);ポリカーボネート類、ポリウレタン類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体またはポリ(ビニルブチラール);
ならびにそれらの誘導体
から選択され得る。
【0055】
これらの化合物の中で選好されるものは、ポリエチレングリコール類、ポリイソプレン類、ポリイソブチレン類、ポリブタジエン類、ポリプロピレングリコール類、ポリテトラヒドロフラン類、ポリジメチルシロキサン類、ポリエチレン類およびポリプロピレン類である。ポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0056】
直鎖状分子の重量平均分子量は、互いに独立して、350g/mol以上である、例えば350〜2000000の範囲、好ましくは1500〜1000000の範囲、または好ましくは2800〜800000の範囲、一層良好には7000〜700000、例えば10000〜600000または10000〜500000の範囲であることが有利である。
【0057】
直鎖状分子は、各末端に反応性基を有することが好ましい。反応性基を有することにより、直鎖状分子とその保有する環状分子との分離を防ぐことを目的とする分子構造との反応を促進することが可能となる。
【0058】
反応性基は、用いられる保護分子構造によって決まる。
【0059】
例として、ヒドロキシル基、アミノ基、トシレート基、重合性基、活性化エステル基、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、カルボキシル基、チオール基などが言及され得る。
【0060】
環状分子
本発明において、「環状分子」は、少なくとも1つの環状構造を含む分子を意味する。環状分子は、2以上の環状構造または二重環を含んでよい。環状分子は大環状分子、例えばシクロデキストリンであってよい。
【0061】
本発明の環状分子の例には、
シクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリンおよびグルコシルシクロデキストリン、ならびにそれらの誘導体、
クラウンエーテル類、
ベンゾクラウンエーテル類、ジベンゾクラウンエーテル類およびジシクロヘキサノクラウンエーテル類、ならびにそれらの誘導体
が含まれ得る。
【0062】
環状分子の初期空洞部分の大きさは、選択される直鎖状分子に従って変動し得る。いずれの場合も、環状分子は直鎖状分子とひと続きになることのできるものが選択される。従って、環状分子の空洞部は、直鎖状分子を中に含めることのできる最小の仮想円筒形(imaginary cylinder)の断面図の直径よりも大きな直径を有することが好ましい。
【0063】
相対的に大きな空洞部を有する環状分子および相対的に小さな直径を有する円筒形の直鎖状分子を用いる場合、環状分子の空洞部分にいくつかの直鎖状分子を含めることが可能である。
【0064】
用いることのできる環状分子のなかで選好されるものは、シクロデキストリンである。
【0065】
一実施形態によれば、α−シクロデキストリンが環状分子として用いられ、ポリエチレングリコールが直鎖状分子として用いられる。
【0066】
環状分子は、それらの空洞部分に位置しない結合を作り出すことのできる基を有することが好ましい。これにより、その後、環状分子を化学的または物理的結合を介して互いに結合することが可能となる。環状分子の反応性基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基またはチオール基を含み得る。さらに、前記保護構造と直鎖状分子との間の保護反応中に保護構造と反応しない反応性基を有する環状分子を選択することが好ましい。
【0067】
直鎖状分子とひと続きになっている環状分子の数の、この直鎖状分子とひと続きになり得る同じ性質の環状分子の最大量に対する比は、0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、さらに一層良好には0.05〜0.4の範囲である。この比は「包接量」と称され得る。
【0068】
最大包接量を1に等しいとして規格化する。それは直鎖状分子が最大数の環状分子を含めることのできる量に相当する。
【0069】
直鎖状分子は高密度に積み重なった環状分子を示さないことが好ましい。この高密度に積み重なった状態が、1に等しい最大包接量に相当する。高密度に積み重ねられていない環状分子を作り出すことにより、分子セグメントを移動できるまま保持することが可能となり、その結果として架橋ポリロタキサンは高い破壊応力、高いエントロピー弾性、優れた拡張性および/または優れた復元性、および、必要に応じて、高い吸収性または高い吸湿性を示す。
【0070】
別の実施形態によれば、架橋ポリロタキサンは、各々少なくとも2種類の環、特に二環式分子を含む環状分子を含む。本実施形態では、第1のポリロタキサンの直鎖状分子は各二環式分子の第1の環に通されていて、第2のポリロタキサンの直鎖状分子は少なくとも1つの二環式分子の第2の環に通されている。直鎖状分子と二環式分子を混合した後、直鎖状分子の各末端を保護基で保護して二環式分子の、その串に刺さった状態の解除を防ぐ。
【0071】
本実施形態では、架橋反応を介して環状分子間に結合を作る必要はない。それというのも、二環式分子の2つの環を結び付けている共有結合は、事実上ポリロタキサンに架橋性を与えているためである。
【0072】
二環式分子は、2つの主な環に加えて1以上のその他の中軸を含んでよい。
【0073】
一実施形態によれば、環状分子は直鎖状分子の包接後に環化してよい。より具体的には、文字の「C」に類似している少なくとも1つの開いたセグメントを有する環状分子の前駆体を用いることができる。この場合、「C」セグメントは、直鎖状分子の包接後または直鎖状分子を保護基で保護した後に閉じることができる。文字の「C」に類似しているセグメントを有する分子については、双方ともに参照として本明細書に組み入れられる、M.Asakawa et al.,Angewandte Chemie International,37(3),333−337 (1998),and M.Asakawa et al.,European Journal of Organic Chemistry,5,985−994 (1999)を参照のこと。
【0074】
直鎖状分子の鎖末端に位置する分子構造が保護構造である。
【0075】
保護構造は直鎖状分子とひと続きになっている環状分子を保持しなければならない。
【0076】
これらの保護構造はその高いステアリン酸量により環状分子が直鎖状分子から分離することを防ぐことができる。
【0077】
直鎖状分子の各末端に位置する保護構造は、特定のイオン電荷を示すことにより環状分子が直鎖状分子から解離する(decomplexing)ことを防ぐこともできる。
【0078】
「分子構造」という表現は、本明細書では分子、高分子または固相支持体を意味する。
【0079】
高分子または固相支持体には、数個の保護部位が含まれ得る。
【0080】
高分子の保護構造は、主鎖に存在しても、側鎖に存在してもよい。
【0081】
保護構造が高分子Aである場合、高分子Aはその一部に擬ポリロタキサンを含むマトリックスを構成するか、あるいは逆に擬ポリロタキサンがその一部に高分子Aを含むマトリックスを構成してよい。
【0082】
保護分子構造は、
ジニトロフェニル基(2,4−および3,5−ジニトロフェニル基など):
シクロデキストリン類;
アダマンタン基;
トリチル基;
フルオレセイン類;
ピレン類;
ナフタルイミド類、および
それらの組合せ
から選択され得る。
【0083】
一実施形態によれば、直鎖状分子がポリエチレングリコールである場合、環状分子は、α−シクロデキストリン、ジニトロフェニル基(2,4−および3,5−ジニトロフェニル基、アダマンタン基、トリチル基、フルオレセイン類、ピレン類およびそれらの組合せから選択され得る。
【0084】
環状分子または二環式分子の架橋
一代替形態によれば、環状分子は二環式分子である。架橋ポリロタキサンは、少なくとも1種類の第1のポリロタキサンと1種類の第2のポリロタキサンを含み、第1のポリロタキサンの直鎖状分子は二環式分子の第1の環に通されていて、第2のポリロタキサンの直鎖状分子は少なくとも1つの二環式分子の第2の環に通されている。
【0085】
別の代替形態によれば、架橋ポリロタキサンは少なくとも1種類の第1のポリロタキサンと1種類の第2のポリロタキサンを含み、第1のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子と第2のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子は、少なくとも1つの化学的または物理的結合を介して結合している。
【0086】
結合が化学的結合である場合、その化学的結合は、一重結合によるか、または様々な原子もしくは分子の関係する結合により形成され得る。前記結合は、前記2つの環状分子の、架橋剤、カップリング剤または光架橋剤との反応により得ることができる。
【0087】
環状分子は、上に記載されるように、中軸の外側に1以上の反応性基を有することが好ましい。特に、保護されたポリロタキサン分子の形成後、異なるポリロタキサンの環状分子が架橋剤によって互いに架橋することが好ましい。この反応は、温度またはpHの変化の作用で行ってよい。この場合、架橋反応の条件は、保護されたポリロタキサンの保護基が除去されない条件であるべきである。
【0088】
架橋剤として、先行技術で周知の架橋剤を用いてよい。例として言及され得るものは、塩化シアヌリル、トリメソイルクロリド、塩化テレフタロイル、エピクロルヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタルアルデヒド、フェニレンジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート類(例えば、トリレン2,4−ジイソシアネート)、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ジビニルスルホン、酸二塩化物類(例えば、二塩化セバコイル)、トリクロロ基で置換された酸類などである。多様な種類のカップリング剤、例えばシラン型のカップリング剤(例えば、アルコキシシラン類)およびチタン系カップリング剤(例えば、様々なアルコキシチタン化合物)を組み込んでもよい。その他の例として言及され得るものは、ソフトコンタクトレンズ用に設計された材料に用いられる様々な光架橋剤、例えばスチルバゾリウム塩系の光架橋剤、例えばホルミルスチリルピリジニウム塩類(参照として本明細書に組み込まれるK.Ichimura et al.,Journal of Polymer Science,edition on the chemistry of polymers,20,1411−1432 (1982)参照)、およびその他の光架橋剤、例えば光二量化による光架橋剤、具体的には、桂皮酸、アントラセン、チミン類などである。
【0089】
架橋剤の分子量は、2000g/mol未満、好ましくは1000未満、一層良好には600未満および非常に特に400未満であることが好ましい。
【0090】
α−シクロデキストリンを環状分子として用い、架橋剤を用いてそれを架橋させる場合、架橋剤の例として言及され得るものは、塩化シアヌリル、トリレン2,4−ジイソシアネート、1,1’−カルボニルジイミダゾール、トリメソイルクロリド、塩化テレフタロイル、アルコキシシラン類、例えばテトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランなどである。特に、α−シクロデキストリンを環状分子として、塩化シアヌリルを架橋剤として用いることが好ましい。
【0091】
化学的結合を介する架橋ポリロタキサンの調製
本発明による化合物は、欧州特許出願第1283218号の教示に従って調製することができる。
【0092】
最初に、環状分子が直鎖状分子とひと続きになっている擬ポリロタキサンを調製するために、環状分子と直鎖状分子を混合する。次に、直鎖状分子の各末端を保護基で保護して環状分子の除去を防ぐことによりポリロタキサンを調製する。最後に、架橋ポリロタキサンを得るために、化学的結合を介して環状分子を結合することにより2または2より多くのポリロタキサンを架橋する。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、α−シクロデキストリンを環状分子として用い、ポリエチレングリコールを直鎖状分子として用い、2,4−ジニトロフェニル基を保護基として用い、塩化シアヌリルを架橋剤として用いる。
【0094】
最初に、その後にポリエチレングリコールの末端に保護基を結合させることができるように、そしてポリロタキサンを形成するために、ポリエチレングリコールの各末端をアミノ基に変換する。代替形態では、Jeffamineとの参照名でHuntsman社により販売されている、ジアミンを末端基とするPEG/PPO共重合体を用いてよい。
【0095】
その後、擬ポリロタキサンを調製するためにα−シクロデキストリンとアミノ化されたポリエチレングリコール誘導体を混合する。ポリエチレングリコール誘導体に関するα−シクロデキストリンの包接量が0.001〜0.6の範囲であるように、混合時間の範囲は1〜48時間であり、混合温度の範囲は0〜100℃である。
【0096】
概して、平均分子量が20000のポリエチレングリコールは、多くて230個のα−シクロデキストリン分子を含むことが可能である。230個の分子に対応する最大包接量は、1に等しい。
【0097】
一実施形態によれば、60〜65(63)個のα−シクロデキストリン分子が平均して1個のポリエチレングリコール分子とひと続きになっており、それは、最大包接量に対して0.26〜0.29(0.28)の範囲の包接度に相当する。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、光吸収または元素分析により測定することができる。
【0098】
得られた擬ポリロタキサンを、ポリロタキサンを得ることのできるDMFに溶解した2,4−ジニトロフルオロベンゼンと反応させる。
【0099】
その後、ポリロタキサンを水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、次にα−シクロデキストリンを架橋するために塩化シアヌリルを添加する。
【0100】
第1の化粧用組成物は、1以上の架橋ポリロタキサンを、組成物の総重量に対して0.1〜80重量%、好ましくは1〜30重量%およびより好ましくは3〜25重量%の範囲の含量で含み得る。
【0101】
第1の化粧用組成物は少なくとも1種類のオイルを含み得る。それは、ワックスおよびペースト状の脂肪物質から選択される別の脂肪物質をさらに含み得る。
【0102】
用語「オイル」は、周囲温度(20〜25℃)および気圧にて液体形態の任意の脂肪物質を意味するものと理解される。液体の脂肪相は、また、オイルに加えて、オイルに溶解したその他の化合物、例えばゲル化剤および/または構造化剤(structuring agent)も含んでよい。
【0103】
オイルは、第1の組成物の総重量に対して0.1〜99.9重量%の割合で、特に少なくとも1〜90重量%、より特には5〜70重量%、特に10〜60重量%、実際にさらに20〜50重量%の割合で存在してよい。
【0104】
オイルは、揮発性であっても非揮発性であってもよく、炭化水素またはシリコーンオイルであってよい。
【0105】
本発明の意味の範囲内で、用語「揮発性オイル」とは、周囲温度および気圧で皮膚と接触すると1時間未満で蒸発できるオイル(または非水性媒質)を意味するものと理解される。揮発性オイルは、周囲温度で液体であり、特に周囲温度および気圧でゼロ以外の蒸気圧、特に0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、選択的には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧オイルである。
【0106】
本発明の意味の範囲内で、用語「不揮発性オイル」は、0.13Pa未満の蒸気圧を有するオイルを意味するものと理解される。
【0107】
揮発性オイルまたは不揮発性オイルは、炭化水素オイル(特に動物または植物起源のもの)、合成オイル、シリコーンオイル、フッ素化オイルまたはそれらの混合物であってよい。
【0108】
本発明の意味の範囲内で、用語「シリコーンオイル」は、少なくとも1個のケイ素原子および特に少なくとも1個のSi−O基を含むオイルを意味するものと理解される。
【0109】
用語「炭化水素オイル」は、主に水素および炭素原子を含み、任意で、酸素、窒素、硫黄および/またはリン原子を含むオイルを意味するものと理解される。
【0110】
揮発性炭化水素オイルは、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素オイルおよび特に分枝したC−C16アルカン類(イソパラフィン類とも呼ばれる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン、イソヘキサデカン、および、例えばIsopar(登録商標)またはPermethyl(登録商標)の商標名で販売されているオイルから選択され得る。
【0111】
揮発性オイルとして、揮発性シリコーン類(例えば、揮発性直鎖または環状シリコーンオイル、特に粘度≦8センチストーク(8×10−6/s)であり、特に2〜10個のケイ素原子、特に2〜7個のケイ素原子を有するものなど)を用いてもよく、これらのシリコーンは、任意で1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を含んでよい。本発明で用いることのできる揮発性シリコーンオイルとして特に言及され得るものは、粘度5および6cStのジメチコン類、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物である。
【0112】
揮発性フッ素化オイル類、例えばノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタン、およびそれらの混合物を用いてもよい。
【0113】
不揮発性オイルは、特に非揮発性炭化水素オイル類、適切な場合、フッ素化および/または非揮発性シリコーンオイル類から選択されてよい。
【0114】
非揮発性炭化水素オイルとして特に言及され得るものは、
動物起源の炭化水素オイル類、
植物起源の炭化水素オイル類、例えばフィトステリルエステル類、例えばオレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリルおよびラウロイル/オクチルドデシル/フィトステリルグルタメート(味の素株式会社、Eldew PS203)、脂肪酸のエステルとグリセロールからなるトリグリセリド類(その脂肪酸はCからC24まで多様な鎖長を有してよく、それらの鎖が直鎖または分枝鎖、および飽和もしくは不飽和となることを可能とする);これらのオイルは、特にヘプタン酸トリグリセリドまたはオクタン酸トリグリセリド;小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、甘扁桃油、ヤシ油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキンシードオイル、キュウリ油、ブラックカラントシードオイル、月見草油、キビ油(millet oil)、大麦油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、キャンドルナッツオイル、パッションフラワーオイルまたはジャコウバラ油;シアバター;あるいはカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド類、例えばStearineries Duboisにより販売されているもの、またはDynamit NobelによりMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)の名称で販売されているもの、
10〜40個の炭素原子を有する合成エーテル類;
無機物または合成起源の直鎖状もしくは分枝鎖状炭化水素(流動ワセリンなど)、ポリデセン類、水素化ポリイソブテン(Parleam(登録商標)など)、スクアランおよびそれらの混合物、特に水素化ポリイソブテン、
合成エステル類、例えば式RCOORのオイル(式中、Rは、1〜40個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖状の酸の残基を表し、Rは、1〜40個の炭素原子を含む炭化水素鎖、特に分枝状の炭化水素鎖を表す、但し、R+R≧10である)
である。
【0115】
これらのエステル類は、特に、例えば、オクタン酸セテアリル、イソプロピルアルコールのエステル類(ミリスチン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソプロピルなど)、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピルまたはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、水酸化エステル類(乳酸イソステアリルまたはヒドロキシステアリン酸オクチルなど)、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸類および特にヘプタン酸イソステアリル、アルコール類またはポリアルコール類のオクタン酸塩、デカン酸塩類またはリシノール酸塩(プロピレングリコールジオクタノエート、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシルおよび4−ジへプタン酸2−エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ポリエチレングリコールジへプタノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)およびそれらの混合物など)、C12−C15安息香酸アルキル類、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸のエステル類(ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリルまたはネオペンタン酸オクチルドデシルなど)、イソノナン酸のエステル類(イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルまたはイソノナン酸オクチルなど)、あるいは水酸化エステル類(乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリルなど);
ポリオール類のエステル類およびペンタエリスリトールのエステル類(テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリトールなど)、
二量体ジオール類および二量体二塩基類のエステル類、例えば、日本精化株式会社により販売され、その内容が参照目的で本願に組み込まれる2003年3月6日出願の仏国特許出願第0302809号に開示される、Lusplan DD−DA5(登録商標)およびLusplan DD−DA7(登録商標)など
周囲温度で液体である、12〜26個の炭素原子を有する分枝状および/または不飽和炭素鎖をもつ脂肪アルコール類、例えば2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノールおよび2−ウンデシルペンタデカノールなど、
高級脂肪酸類、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびそれらの混合物、ならびに
炭酸ジアルキル(2つのアルキル鎖は同一であっても異なっていても可能である)、例えばCognis社よりCetiol CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル
から選択され得る。
【0116】
第1の組成物に用いてよい非揮発性シリコーンオイルは、粘度100cSt以下の、非揮発性ポリジメチルシロキサン類(PDMS)、アルキルもしくはアルコキシ側基および/またはシリコーン鎖末端のアルキルもしくはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン類(各基は2〜24個の炭素原子を有する)、フェニル化シリコーン類、例えばフェニルトリメチコン類、フェニルジメチコン類、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコン類、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン類および(2−フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート類、ジメチコン類またはフェニルトリメチコン類、ならびにそれらの混合物であってよい。
【0117】
不揮発性オイルは、第1の組成物中に、組成物の総重量に対して20%〜99.9重量%、特に30%〜80重量%および特に40%〜80重量%の範囲の含量で存在してよい。
【0118】
第1の組成物はまた、ペースト状の脂肪物質および/またはワックスを含んでよい。
【0119】
用語「ペースト状の脂肪物質」は、23℃の温度で液体分と固体分を含む親油性化合物を意味するものと理解される。用語「ペースト状の脂肪物質」はまた、ポリ(ラウリン酸ビニル)を意味するものと理解される。
【0120】
本発明の意味の範囲内で用語「ワックス」は、可逆的な固体/液体の状態変化を示し、融点が30℃以上で最大120℃に達し得る、周囲温度(25℃)で固体である親油性化合物を意味するものと理解される。
【0121】
ワックスの融点は、示差走査熱量測定計(DSC)、例えばMettler社によりDSC 30の名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0122】
ワックス類は、炭化水素、フッ素化および/またはシリコーンワックス類、および植物、無機物、動物および/または合成起源のワックス類であってよい。特に、ワックス類は25℃を超える、さらに一層良好には45℃を超える融点を示す。
【0123】
第1の組成物に用いられ得るワックス類として言及され得るものは、直鎖状の炭化水素ワックス類である。それらの融点は、35℃を超える、例えば55℃を超える、さらに好ましくは80℃を超えることが有利である。
【0124】
直鎖状の炭化水素ワックス類は、置換直鎖アルカン類、非置換直鎖アルカン類、非置換直鎖アルケン類もしくは置換直鎖アルケン類、単に炭素および水素からなる非置換化合物から有利に選択される。上に言及される置換基は炭素原子を含まない。
【0125】
直鎖状の炭化水素ワックス類には、分子量400〜800のエチレンのポリマーおよび共重合体、例えばNew Phase Technologies社から販売されているPolywax 500またはPolywax 400が含まれる。
【0126】
直鎖状の炭化水素ワックス類には、直鎖パラフィンワックス類、例えばStrahl & Pitsch社製のパラフィンワックスS&P 206、S&P 173およびS&P 434が含まれる。
【0127】
直鎖状の炭化水素ワックス類には、長鎖直鎖アルコール類、例えばポリエチレンと20〜50個の炭素原子を含むアルコールの混合物を含む製品、特にNew Phase Technologies社から販売されているPerformacol 425またはPerformacol 550(20/80の比の混合物)が含まれる。
【0128】
シリコーンワックス類の例は、例えば、
Archimica Fine Chemicals社よりSilCare 41M40、SilCare 41M50、SilCare 41M70およびSilCare 41M80の参照名で販売されている、C20−24アルキルメチコン、C24−28アルキルジメチコン、C20−24アルキルジメチコンおよびC24−28アルキルジメチコン、
Archimica社よりSilCare 41M65の参照名で、またはDow Corning社よりDC−2503の参照名で販売されているステアリルジメチコン類、
SilCare 1M71またはDC−580の参照名で販売されているステアロキシトリメチルシラン類、
Wacker Chimie GmbH社製の製品Abil Wax 9810、9800または2440、
Dow Corning社からAMS−C30 Waxの参照名で販売されているC30−45アルキルメチコン、およびGeneral Electric社からSF1642またはSF1632の参照名で販売されているC30−45アルキルジメチコン類
である。
【0129】
これらの脂肪物質の性質および量は所望の機械的特性および質感によって決まる。
【0130】
本発明の第1の組成物は、着色材料を含んでよい。
【0131】
着色材料は、350〜700nmの吸収を示すか、または視覚的効果、例えば入射光線の反射または干渉などを生じさせることのできる任意の無機および/または有機化合物であってよい。
【0132】
本発明で用いられる着色材料は、当技術分野で既知の全ての有機および/または無機顔料、特にKirk−Othmer Encyclopaedia of Chemical Technology and in Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。
【0133】
ペーストまたは注型形態の組成物、例えば口紅またはメイクアップ製品には、概して、組成物の総重量に対して0.5〜50%、好ましくは2〜40%、さらに一層良好には5〜30%の着色材料が用いられる。
【0134】
無機着色材料の例として言及され得るものは、二酸化チタン(表面処理されていてもいなくてもよい)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルーである。例えば、TiO、ZrO、Bn、CeOまたはZnSとの混合物として、次の無機顔料:Ta、Ti、Ti、TiO、ZrOを用いてよい。
【0135】
有機着色材料の例として言及され得るものは、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン(anthaquinone)、フタロシアニン、金属錯体種の有機着色材料、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタンまたはキノフタロン化合物である。
【0136】
特に、着色材料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100および74160の下でカラーインデックスに分類されている青色顔料、参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000および47005の下でカラーインデックスに分類されている黄色顔料、参照番号CI 61565、61570および74260の下でカラーインデックスに分類されている緑色顔料、参照番号CI 11725、15510、45370および71105の下でカラーインデックスに分類されている橙色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915および75470の下でカラーインデックスに分類されている赤色顔料、ならびに、仏国特許第2679771号に開示されるインドールまたはフェノール誘導体の酸化重合により得られた顔料から選択してよい。
【0137】
本発明による顔料はまた、欧州特許第1184426号に開示されるように、複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、特に、無機コアを含む粒子、少なくとも1種類の結合剤(この結合剤は有機顔料とコアとの結合をもたらす)、および少なくとも一部分コアを覆っている少なくとも1つの有機顔料で構成され得る。
【0138】
着色材料は、染料、レーキまたは顔料から選択され得る。
【0139】
染料は、例えば、脂溶性染料であるが、水溶性染料を用いてもよい。脂溶性染料は、例えばスーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエローまたはアンナットである。これらは組成物の重量の0〜20%、さらに一層良好には0.1〜6%に相当し得る。水溶性染料は特にビート根汁またはメチレンブルーであり、(存在する場合)組成物の0.1〜6重量%に相当してよい。
【0140】
用語「レーキ」は、不溶性粒子に吸着する染料を意味するものと理解され、このようにして得られた組合せは、用いる場合溶けずに残る。染料が吸着する無機基体は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムおよびアルミニウムである。有機染料の中で言及され得るものは、コチニールカルミンである。
【0141】
レーキ類の例として言及され得るものは、以下の名称で既知の製品である。
D&Cレッド21(CI 45 380)、D&Cオレンジ5(CI 45 370)、D&Cレッド27(CI 45 410)、D&Cオレンジ10(CI 45 425)、D&Cレッド3(CI 45 430)、D&Cレッド7(CI 15 850:1)、D&Cレッド4(CI 15 510)、D&Cレッド33(CI 17 200)、D&Cイエロー5(CI 19 140)、D&Cイエロー6(CI 15 985)、D&Cグリーン(CI 61 570)、D&Cイエロー10(CI 77 002)、D&Cグリーン3(CI 42 053)またはD&Cブルー1(CI 42 090)。
【0142】
用語「顔料」は、組成物を着色および/または不透明化することを意図する白色もしくは有色の無機もしくは有機粒子の意として理解されるべきである。本発明による顔料は、例えば、白色もしくは有色の顔料、または特別な効果を有する顔料、例えば真珠光沢剤、反射顔料または干渉顔料などから選択してよい。
【0143】
本発明で用いられ得る顔料として言及され得るものは、チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムならびに酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロムおよびフェリックブルーである。本発明で用いられ得る有機顔料の中で言及され得るものは、カーボンブラックおよびバリウム、ストロンチウム、カルシウム(D&CレッドNo.7)およびアルミニウムレーキである。
【0144】
真珠光沢剤は、第1の組成物中に組成物の総重量の0.001〜20%の割合で、好ましくは、およそ1〜15%のレベルで存在してよい。本発明で用いられ得る真珠光沢剤の中で言及され得るものは、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料またオキシ塩化ビスマスで被覆した雲母、例えば酸化チタンで被覆した有色の雲母である。
【0145】
顔料は組成物中に最終組成物の重量の0.05〜30%の割合で、さらに好ましくは、2〜20%の割合で存在してよい。
【0146】
本発明で用いられ得る多様な顔料により、豊かな色のパレットを、さらにまた特別な視覚的効果(メタリックまたは干渉効果など)を得ることが可能となる。
【0147】
用語「特別な効果を有する顔料」は、概して、一様でなく、観測条件(光、温度、観る角度など)に応じて変化する、着色された外観(特定の色調、特定の彩度および特定の明度に特徴付けられる)を作り出す顔料を意味するものと理解される。それらはそれ故に、従来の不透明な、半透明または透明の同一の色合いをもたらす白色もしくは有色の顔料と対照をなす。
【0148】
特別な効果を有する顔料の例として言及され得るものは、白い真珠光沢のある顔料(二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆した雲母など)、有色の真珠光沢のある顔料(二酸化チタンおよび酸化鉄で被覆した雲母、二酸化チタンおよび特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆した雲母、あるいは二酸化チタンおよび上記定義の有機顔料で被覆した雲母など)、ならびにオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢のある顔料である。真珠光沢のある顔料として言及され得るものは、次の真珠光沢剤、Engelhard社により販売されているCellini(雲母−TiO−レーキ)、Eckart社により販売されているPrestige(雲母−TiO)、またはMerck社により販売されているColorona(雲母−TiO−Fe)である。
【0149】
基体と結合しない、干渉効果を有する顔料、例えば液晶(Wacker社製のHelicones HC)またはホログラフィー干渉フレーク類(Spectratek社のGeometric Pigmentsまたはスペクトラf/x)も言及され得る。特別な効果を有する顔料はまた、蛍光顔料類(それが日光の下で蛍光を発する物質であっても紫外線蛍光を生じる物質であってもよい)、発光顔料、フォトクロミック顔料およびサーモクロミック顔料を含む。
【0150】
第1の組成物は、角度依存性顔料、例えば多層干渉顔料、および/または反射顔料を含むことが有利である。これらの2種類の顔料は、その内容が参照により本願に組み込まれる仏国特許出願第0209246号に開示されている。
【0151】
第1の組成物は、角度依存性顔料であってもなくてもよく、干渉顔料であってもなくてもよい反射顔料を含んでよい。
【0152】
反射顔料のサイズは、ハイライト点を作り出すための組成物の平均光沢度を考慮に入れた、十分な強度の可視光(400〜700nm)の鏡面反射の証明に適合する。このサイズは、粒子の化学的性質、それらの形状およびそれらの可視光を鏡面反射する性質に従って変化することができる。
【0153】
反射粒子は、少なくとも10μm、例えばおよそ20μm〜およそ50μmの間の寸法を示すことが好ましい。
【0154】
用語「寸法」は、集団の半数に対する統計的な粒径分布により得られる寸法を意味し、D50と呼ばれる。反射粒子のサイズはそれらの表面状態によって決まる。表面状態が反射するほど、推測では寸法は小さくなり、逆も同じである。
【0155】
メタリックまたは白い輝きを有する、本発明での使用に適した反射粒子は、例えば、1以上の波長を有意に吸収することなく可視領域のあらゆる成分で光を反射することができる。これらの反射粒子の分光反射率は、例えば400〜700nmの範囲で70%超、さらに一層良好には少なくとも80%、実際にはさらに90%または95%であってもよい。
【0156】
反射粒子は、その形状に関わらず、多層構造を示しても示さなくてもよいが、多層構造の場合には、反射粒子は例えば特に基体を被覆する反射材料からなる一様な厚さの少なくとも1つの層を示し得る。
【0157】
基体は、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩およびホウケイ酸塩、ならびに合成雲母から選択され得るが、このリストに限定されない。
【0158】
反射材料は、金属または金属化合物の層を含み得る。
【0159】
金属または金属化合物の層は基体を完全に被覆してもしなくてもよく、その金属の層は少なくとも部分的に別の材料、例えば透明な材料の層で被覆されていてよい。金属の層または金属化合物の層が直接または間接的に、すなわち少なくとも1つの中間体金属または非金属層を挿入して、基体を完全に被覆することが好ましい。
【0160】
金属は、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Seおよびそれらの合金から選択され得る。Ag、Au、Al、Zn、Ni、Mo、Cr、Cuおよびそれらの合金(例えば、青銅および真鍮)が好ましい金属である。
【0161】
特に、銀または金で被覆された基体を有する粒子の場合、金属層は、例えば、粒子の総重量の0.1〜50%、実際にはさらに1〜20%に相当する含量で存在してよい。
【0162】
金属層で被覆されたガラスの粒子は、特にJP−A−09188830号、JP−A−10158450号、JP−A−10158541号、JP−A−07258460号およびJP−A−05017710号の文書に開示されている。
【0163】
プレートレットの形態の、銀で被覆されたガラス基体を有する粒子は、Toyal社によりMicroglass Metashine REFSX 2025 PSの名称で販売されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基体を有する粒子は、同社によりCrystal Star GF 550またはGF 2525の名称で販売されている。
【0164】
反射粒子は、その形状に関わらず、少なくとも1種類の金属化合物の少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された合成基体を有する粒子からも選択することができ、該金属化合物は、特に金属酸化物、例えば酸化チタン類、特にTiO、酸化鉄類、特にFe、酸化スズ類、酸化クロム類、硫酸バリウムおよび次の化合物:MgF、CrF、ZnS、ZnSe、SiO、Al、MgO、Y、SeO、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、MoSおよびそれらの混合物または合金から選択される。
【0165】
そのような粒子の例として言及され得るものは、例えば、二酸化チタンで被覆された合成雲母基体を含む粒子、または褐色の酸化鉄もしくは酸化チタン、酸化スズもしくはそれらの混合物のいずれかで被覆されたガラスの粒子、例えばEngelhard社によりReflecks(登録商標)の商標で販売されているものである。
【0166】
日本板硝子株式会社により販売されるMetashine 1080R系の顔料も本発明に適している。これらの顔料は、特許出願JP2001−11340号にさらに詳細に開示される、65%〜72%のSiOを含むC−ガラスのフレークであり、ルチル型の酸化チタン(TiO)の層で被覆されている。これらのガラスフレークの厚さは平均1ミクロン、平均の粒径は80ミクロンであり、すなわち平均粒径/平均厚さの比率は80である。これらはTiO層の厚さによって、青色、緑色、黄色または銀色の輝きを示す。
【0167】
また、言及され得るものは、粒子の総重量の12%に相当する二酸化チタンで被覆された合成雲母(フッ素金雲母)の基体を含む、寸法が80〜100μmの粒子であり、これらの粒子は日本光研工業株式会社によりプロミネンス(Prominence)の名称で販売されている。
【0168】
反射粒子はまた、異なる屈折率を有する少なくとも2種類の積み重ねられた層から形成される粒子から選択してよい。これらの層は、ポリマーまたは金属の性質であってよく、特に少なくとも1つのポリマー層を含む。そのような粒子は特に、WO 99/36477号、米国特許6299979号および同第6387498号に開示されている。多層構造の様々な層を構成し得る材料の例として言及され得るものは、この限定されるものではないリスト:ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体、ポリ(アルキレンテレフタレート)およびポリイミドである。少なくとも2種類のポリマーの積み重ねられた層を含む反射粒子は、3M社によりMirror Glitterの名称で販売されている。これらの粒子は2,6−PEN層およびポリ(メタクリル酸メチル)層を80/20の重量比で含む。そのような粒子は米国特許第5825643号に開示されている。
【0169】
組成物は1以上の角度依存性顔料を含んでよい。
【0170】
角度依存性着色剤は、例えば、多層干渉構造および液晶着色剤から選択され得る。
【0171】
多層構造の場合、液晶着色剤は、例えば、少なくとも2種類の層を含んでよく、各層は、その他の層と独立してまたは独立せずに、例えば、以下の材料:MgF、CeF、ZnS、ZnSe、Si、SiO、Ge、Te、Fe、Pt、Va、Al、MgO、Y、S、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、TiO、Ag、Al、Au、Cu、Rb、Ti、Ta、W、Zn、MoS、氷晶石、合金、ポリマーおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の材料から形成される。
【0172】
多層構造は、積み重ねられた層の化学的性質に関して、中心の層についての対称性を示しても示さなくてもよい。
【0173】
用いることのできる対称な多層干渉構造の例は、例えば、以下の構造:Al/SiO/Al/SiO/Al、DuPont de Nemours社により販売されているこの構造を有する顔料;Cr/MgF/Al/MgF/Cr、Flex社によりChromaflairの名称で販売されているこの構造を有する顔料;MoS/SiO/Al/SiO/MoS;Fe/SiO/Al/SiO/FeおよびFe/SiO/Fe/SiO/Fe、BASF社によりSicopearlの名称で販売されているこれら構造を有する顔料;MoS/SiO/酸化雲母/SiO/MoS;Fe/SiO/酸化雲母/SiO/Fe;TiO/SiO/TiOおよびTiO/Al/TiO;SnO/TiO/SiO/TiO/SnO;Fe/SiO/Fe;SnO/雲母/TiO/SiO/TiO/雲母/SnO、Merck(Darmstadt)社によりXironaの名称で販売されているこれらの構造を有する顔料である。例として、これらの顔料は、Merck社によりXirona Magicの名称で販売されている、シリカ/酸化チタン/酸化スズ構造を含む顔料、Merck社によりXirona Indian Summerの名称で販売されているシリカ/褐色の酸化鉄構造を含む顔料、およびMerck社によりXirona Caribbean Blueの名称で販売されているシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造を含む顔料であってよい。また、言及されるものは、株式会社資生堂のInfinite Colors顔料であり得る。様々な層の厚さおよび性質によって異なる効果が得られる。従って、構造Fe/SiO/Al/SiO/Feで、色彩は、320〜350nmのSiO層に対して緑−金色から赤−灰色へと変化し;380〜400nmのSiO層に対して赤色から金色へと変化し;410〜420nmのSiO層に対して紫色から緑色へと変化し;さらに430〜440nmのSiO層に対して赤銅色から赤色に変化する。
【0174】
ポリマー層、例えばポリエチレンナフタレートおよびポリエチレンテレフタラートの種類を交互に含む多層構造を有する角度依存性着色剤も用いてもよい。そのような薬剤は、特にWO−A−96/19347号およびWO−A−99/36478号に開示されている。
【0175】
ポリマーの多層構造を有する顔料の例として言及され得るものは、3M社によりColor Glitterの名称で販売されているものである。
【0176】
液晶着色剤は、例えば、中間状態の基がグラフトされたシリコーンまたはセルロースエーテルを含む。
【0177】
液晶角度依存性粒子として、例えば、Chenix社により販売されているもの、およびWacker社によりHelicone(登録商標)HCの名称で販売されているものを用いてよい。
【0178】
組成物は、さらに分散した角度依存性繊維を含んでよい。そのような繊維は、例えば、200μm〜700μm、例えばおよそ300μmのサイズを示し得る。
【0179】
特に、多層構造を有する干渉繊維を用いてよい。ポリマーの多層構造を有する繊維は、特に、EP−A−921217、EP−A−686858およびUS−A−5472798の文書に開示されている。多層構造は、少なくとも2種類の層を含んでよく、各層は、その他の層と独立してまたは独立せずに、少なくとも1つの合成ポリマーから作られている。繊維中に存在するポリマー屈折率は、1.30〜1.82の範囲であり、一層良好には1.35〜1.75の範囲である。該繊維を形成するために好ましいポリマーは、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートまたはポリカーボネート、アクリルポリマー類、例えばポリ(メタクリル酸メチル)、またはポリアミド類である。
【0180】
ポリエチレンテレフタラート/ナイロン−6の2層構造を有する角度依存性繊維はMorphotexの名称で帝人株式会社により販売されている。
【0181】
本発明による組成物は、増量剤を含んでよい。
【0182】
用語「増量剤」は、無色または白色の、薄板状または非薄板状の、無機または合成粒子を意味するものと理解されるべきである。増量剤および真珠光沢剤は特に組成物の質感を変更するために用いられ、特に固体形態をもたらすことのできる構造化剤の中に含められる。
【0183】
増量剤は、組成物の総重量の0〜60%、好ましくは、0.5〜20%の割合で存在してよい。特に言及され得るものは、タルク、雲母、カオリン、ナイロン(特にOrgasol)およびポリエチレンから形成される粉末、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、共重合体から形成されるミクロスフェア、例えばExpancel(Nobel Industrie)またはPolytrap(Dow Corning)、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝製のTospearl)である。
【0184】
第2の組成物
本発明による化粧料製品は、第1の組成物中に存在するポリロタキサンによる吸収の可能な、生理学的に許容される溶媒を含む第2の組成物を含む。
【0185】
用語「生理学的に許容される溶媒」は、ケラチン物質、例えば皮膚または唇に適用することのできる無毒の溶媒を意味する。生理学的に許容される溶媒は、一般に、組成物を適用する基体の性質、および組成物を包装する予定の体裁に適している。
【0186】
生理学的に許容される溶媒は、親水性溶媒、例えば水または親水性の有機溶媒であることが好ましい。
【0187】
親水性の有機溶媒の中で言及され得るものは、例えば、1〜8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖低級モノアルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールまたはイソブタノールなど);6〜80個のエチレンオキシドを有するポリエチレングリコール類;ポリオール類(プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールまたはソルビトールなど);そのアルキル基が1〜5個の炭素原子を有するモノアルキルまたはジアルキルイソソルビド;あるいはグリコールエーテル類(ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルなど)およびプロピレングリコールエーテル類(ジプロピレングリコールメチルエーテルなど)である。
【0188】
特定の実施形態によれば、親水性溶媒は水を含む。
【0189】
第2の組成物は、本質的に水からなってよい水相を含み得る。また、それは水および水混和性有機溶媒の混合物(25℃にて50重量%を超える水混和性)、例えば1〜5個の炭素原子を有する低級モノアルコール類(エタノールまたはイソプロパノールなど)、2〜8個の炭素原子を有するグリコール類(プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコールまたはジプロピレングリコールなど)、C3−ケトン類およびC2−アルデヒド類を含んでもよい。
【0190】
水相(水および任意で水混和性有機溶媒)は、組成物の総重量に対して0.1〜40重量%の範囲、特に0.1〜20重量%の範囲、さらに特に0.1〜10重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0191】
代替形態によれば、第2の組成物はエマルジョンの形態である。
【0192】
本発明の意味の範囲内で、用語「エマルジョン」は、1つの液がもう一方の液中で液滴として細かく分割されている、2つの非混和液系を意味するものと理解される。分散相は、「内相または非連続相」とも呼ばれる。分散している相は「外相または連続相」とも呼ばれる。
【0193】
分散相が親油性、例えば植物油または鉱油であり、分散している相が親水性、例えば水であるエマルジョンは、水性型(O/W:水中油型)のエマルジョンと呼ばれる。分散相が親水性であり、分散している相が親油性であるエマルジョンは、油性型(W/O:油中水型)と呼ばれる。また、「多重」エマルジョン、例えばW/O/W:水中油中水型のエマルジョンも存在する。
【0194】
第2の組成物は、その内容が参照により本願に組み込まれる、国際特許出願第05/046626号および同第05/046627号に記載されるエマルジョンの形態であってよい。
【0195】
製品の組成物は、注型製品の形で、さらに例えばスティックの形で、または直接またはスポンジで触れて用いることのできるディッシュの形で提供され得る。特に、それらは注型されたファンデーション、フェースパウダー、アイシャドウ、口紅、唇用のケアベースまたはバルム、コンシーラーあるいはマニキュア液としての用途を有する。また、それらは、チューブに詰められた多少流動性のクリームまたは液体の、軟らかいペーストまたはゲルの形態でも提供され得る。
【0196】
本発明による製品の組成物は、特に、顔、首、手または身体を手入れするための化粧用組成物(例えば、ケアクリーム、日焼けオイル、身体用ゲル)、メイクアップ組成物(例えば、スティッククリーム、メイクアップゲル)あるいは皮膚の人工的な日焼け用または皮膚を保護するための組成物を構成することができる。
【0197】
本発明による製品の組成物は、皮膚および/または表面的な身体成長部位を手入れするための組成物の形で、日焼け予防(antisun)組成物の形で、または身体衛生用組成物の形で、特にデオドラントの形で提供され得る。次に、それらは特に着色されていない形で提供される。組成物は次に、皮膚、表面的な身体成長部位または唇用のケアベースとして用いられ得る(唇を寒さおよび/または日光および/または風から保護するリップバルム、皮膚または爪用のケアクリーム)。
【0198】
本発明の意味の範囲内で、用語「化粧料として許容される」は、心地よい外観、心地よい香りおよび心地よい感触をもつ組成物を示すことを意図する。
【0199】
各々の組成物は、同じ包装材、例えば2区画のペン(底部の組成物はペンの一端を通じて送達され、上部の組成物はペンのもう一方の端を通じて送達され、各末端は、特に漏れないように栓で閉じられている)に別々に包装することができる。
【0200】
あるいは、組成物の各々を異なる包装材に包装してよい。
【0201】
本発明のさらなる主題は、上に記載されるように第1の組成物および第2の組成物を含む唇用製品、マスカラ、ファンデーション、ボディペインティング製品、フェースパウダーまたはアイシャドウである。
【0202】
本発明の製品の組成物は、様々な構成物質を最も高いワックスの融点まで加熱し、次に溶融した混合物を型(ディッシュまたは指サック型)にキャストすることにより得ることができる。それらはまた、欧州特許出願公開EP−A−0667146号に開示されるように、押出によっても得ることができる。
【0203】
本発明を次の実施例でより詳細に説明する。百分率は重量百分率である。
【0204】
架橋ポリロタキサンの調製
Fluka社により販売されている0.9gのポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BAと略記する)、および3.6gのα−シクロデキストリンを30mlの水に80℃にて溶かし、混合物を5℃にて一晩維持して包接複合体の白色のペーストを得た。
【0205】
ペーストを乾燥させ、過剰な2,4−ジニトロ−フルオロベンゼン(2.4ml)を10mlのジメチルホルムアミドとして同時に添加し、次に混合物を窒素雰囲気下で周囲温度にて一晩攪拌した。反応混合物を50mlのDMSOに溶かし、0.1%塩化ナトリウム水溶液(800ml)から2回沈殿させて黄色い生成物を得た。生成物を回収し、水およびメタノールで洗浄し(それぞれ3回)、乾燥させてポリロタキサン(1.25g)を得た。
【0206】
100mgのポリロタキサンを、反応装置中で0.5mlの1N NaOHに5℃にて溶かした。0.5mlの1N NaOHに溶かした35mgの2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンを反応装置に加えた。反応混合物を周囲温度にて3時間反応させて架橋ポリロタキサンを得た。
【0207】
第1の組成物の例
実施例1:唇用の光沢基剤
【0208】
【表1】

【0209】
実施例2:唇用のグロス
【0210】
【表2】

【0211】
実施例3:唇用の光沢基剤
【0212】
【表3】

【0213】
実施例4:唇用のグロス
【0214】
【表4】

【0215】
実施例5:マスカラ
【0216】
【表5】

【0217】
実施例6:スティック型無水ファンデーション
【0218】
【表6】

【0219】
第2の組成物の実施例
【0220】
【表7】

【0221】
白色基剤の製造
プレミックスを、最終のビーカー中で、80℃にてMoritz装置を用いて脂肪相を計り分けることにより製造する。ワックスを80℃で融解させ、水相を計り分け、次にメチルパラベンを80℃にて溶解させる。その後、水相を80℃にてMoritz装置(4000回転/分、3分間)を用いて脂肪相に添加する。
【0222】
このプレミックスを、Soavi OBL 20装置:
熱交換器の温度:60℃
1段階目の圧力:700バール
2段階目の圧力:70バール
を用いて700バールで3回通過させる。
【0223】
パドル攪拌機を用いてナノエマルジョンを周囲温度まで冷却する。
【0224】
着色製剤の製造
これらの作業はすべて、周囲温度にてバタフライ型パドル攪拌機を1000回転/分で用いる簡単な混合により行われる。調製方法は、組成物に導入しようと望む着色材料の種類により異なる。
【0225】
水溶性染料の調製
染料および甘味剤を、バタフライ型パドル攪拌機を用いてナノエマルジョン中に分散させる。グリセロール+ペンチレングリコール+パラベン混合物を添加する。Ser−Adゲルを、バタフライ型パドル攪拌機を用いて残った水とともに調製し、次にナノエマルジョンに添加する。
【0226】
真珠光沢剤の調製
Ser−Adを最終のビーカー中で水中に分散させ、次にパラベン、グリセロールおよびペンチレングリコールを添加する。最後に、真珠光沢剤を添加する。
組み合わせた混合物をナノエマルジョンに添加する。
【0227】
顔料および増量剤の調製
処方物が顔料(酸化鉄、TiO)および/またはレーキを含む場合、Dispermat装置で同じ容積のビーズおよび調製物を用いて、25℃のサーモスタットで、1000回転/分のビーズミルで1時間、顔料分散液を調製することが必要である。顔料ペーストを、パドル攪拌機を用いてナノエマルジョンに添加し、続いてSer−Adに添加する(ゲル化剤の分散は少なくとも30分かかる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組成物および第2の組成物を含む化粧料製品であって、第1の組成物は無水であり少なくとも1種類の架橋ポリロタキサンを含み、第2の組成物は第1の組成物中に存在する架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な、生理学的に許容される溶媒を含む、化粧料製品。
【請求項2】
架橋ポリロタキサンが、少なくとも1種類の第1のポリロタキサンと1種類の第2のポリロタキサンを含み、各ポリロタキサンが少なくとも1つの直鎖状分子と少なくとも2つの環状分子を含み、第1のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子と第2のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子が少なくとも1つの化学的または物理的結合を介して結合していることを特徴とする、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
架橋ポリロタキサンが、少なくとも1種類の第1のポリロタキサンと1種類の第2のポリロタキサンを含み、各ポリロタキサンが少なくとも1つの直鎖状分子と少なくとも2つの環状分子を含み、第1のポリロタキサンの直鎖状分子は二環式分子の第1の環に通されていて、第2のポリロタキサンの直鎖状分子は少なくとも1つの二環式分子の第2の環に通されていることを特徴とする、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および/または第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、互いに独立して、ポリマーから選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の製品。
【請求項5】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、互いに独立して、
親水性ポリマー類、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ((メタ)アクリル酸)、セルロース(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)に由来するポリマー類、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール類(ポリエチレングリコール類およびポリプロピレングリコール類など)、ポリテトラヒドロフラン類、ポリ(ビニルアセタール)類、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリアミン類、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、デンプン、およびそれらの共重合体;
疎水性ポリマー類、例えば、ポリオレフィン類(ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリイソプレン類、ポリイソブチレン類またはポリブタジエン類など);オレフィン類の共重合体(エチレン/ブチレン共重合体など);ポリエステル類、ポリジメチルシロキサン類、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステルのポリマーおよび共重合体類(ポリ(メタクリル酸メチル)またはアクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体など);ポリカーボネート類、ポリウレタン類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体またはポリ(ビニルブチラール);
ならびにそれらの誘導体
から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、互いに独立して、ポリエチレングリコール類、ポリイソプレン類、ポリイソブチレン類、ポリブタジエン類、ポリプロピレングリコール類、ポリテトラヒドロフラン類、ポリジメチルシロキサン類、ポリエチレン類およびポリプロピレン類から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の製品。
【請求項7】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、互いに独立して、ポリエチレングリコール類およびポリプロピレングリコール類から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および/または第2のポリロタキサンの直鎖状分子の重量平均分子量が、互いに独立して、350g/mol以上、例えば350〜2000000の範囲、好ましくは1500〜1000000の範囲、または好ましくは2800〜800000の範囲、一層好ましくは7000〜700000、例えば10000〜600000または10000〜500000の範囲であることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および/または第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、互いに独立して、ヒドロキシル基、アミノ基、トシレート基、重合性基、活性化エステル基(N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基など)、カルボキシル基、チオール基などから選択される反応性基を有することを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
第1のポリロタキサンの環状分子と第2のポリロタキサンの環状分子が、
シクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロ−デキストリンおよびグルコシルシクロデキストリン、ならびにそれらの誘導体、
クラウンエーテル類、
ベンゾクラウンエーテル類、ジベンゾクラウンエーテル類およびジシクロヘキサノクラウンエーテル類、ならびにそれらの誘導体
から選択されることを特徴とする、請求項2および4〜9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
環状分子がα−シクロ−デキストリンであることを特徴とする、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
各ポリロタキサンの直鎖状分子とひと続きになっている環状分子の数の、前記直鎖状分子とひと続きになり得る環状分子と同じ性質の環状分子の最大量に対する比が、0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、さらに一層良好には0.05〜0.4の範囲であることを特徴とする、請求項2〜11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
第1のポリロタキサンの直鎖状分子および第2のポリロタキサンの直鎖状分子が、それらの各末端に、互いに独立して、環状分子と直鎖状分子が分離することを妨げる分子構造を含み、前記分子構造が分子または高分子であることを特徴とする、請求項2〜12のいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
分子構造が、環状分子と直鎖状分子が分離することを妨げるような、イオン電荷を有し、かつ/または体積を占めることを特徴とする、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
分子構造が、
ジニトロフェニル基(2,4−および3,5−ジニトロフェニル基など):
シクロデキストリン類;
アダマンタン基;
トリチル基;
フルオレセイン類;
ピレン類;
ナフタルイミド類、および
それらの組合せ
から選択されることを特徴とする、請求項13または14に記載の製品。
【請求項16】
第1のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子と第2のポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子が化学的または物理的結合を介して結合され、前記結合が2つの環状分子の、架橋剤、カップリング剤または光架橋剤を用いる反応によって得られることを特徴とする、請求項2および4〜15のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
架橋剤が、塩化シアヌリル、トリメソイルクロリド、塩化テレフタロイル、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタルアルデヒド、フェニレンジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート類(例えば、トリレン2,4−ジイソシアネート)、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ジビニルスルホン、酸二塩化物(例えば、二塩化セバコイル)およびトリクロロ基で置換された酸から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
架橋剤が、塩化シアヌリル、トリレン2,4−ジイソシアネート、1,1’−カルボニルジイミダゾール、トリメソイルクロリド、塩化テレフタロイル、アルコキシシラン類(テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランなど)、などから選択されることを特徴とする、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
カップリング剤が、シラン型のカップリング剤(例えば、様々なアルコキシシラン類)およびチタン系カップリング剤(例えば、様々なアルコキシチタン化合物)から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の製品。
【請求項20】
光架橋剤が、スチルバゾリウム塩類系の光架橋剤(ホルミルスチリルピリジニウム塩類、桂皮酸、アントラセン、チミン類など)から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の製品。
【請求項21】
第1の組成物が少なくとも1種類のオイルを含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の製品。
【請求項22】
第1の組成物が着色材料を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製品。
【請求項23】
第1の組成物が、ワックス、ペースト状の脂肪物質および/または増量剤を含むことを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の製品。
【請求項24】
架橋ポリロタキサンの含量が、組成物の総重量に対して0.1〜80重量%、好ましくは1〜30重量%、およびより好ましくは3〜25重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の製品。
【請求項25】
第2の組成物の溶媒が親水性溶媒であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の製品。
【請求項26】
第2の組成物の溶媒が水であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の製品。
【請求項27】
第2の組成物が、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンの形であることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の製品。
【請求項28】
ファンデーション、フェースパウダー、アイシャドウ、口紅、ケア特性を有する製品、マスカラ、アイライナー、コンシーラーまたは身体をメイクアップするための製品の形態で提供されることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の製品。
【請求項29】
ケラチン物質に、架橋ポリロタキサンを含む第1の無水組成物からなる第1の層、および第1の組成物中に存在する架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な生理学的に許容される溶媒を含む第2の組成物からなる第2の層を適用することにある、ケラチン物質をメイクアップまたはケアするための方法。
【請求項30】
第1の組成物がケラチン物質に適用され、第2の組成物が第1の組成物に適用されることを特徴とする、請求項29に記載のケラチン物質をメイクアップまたはケアするための方法。
【請求項31】
第2の組成物がケラチン物質に適用され、第1の組成物が第2の組成物に適用されることを特徴とする、請求項29に記載のケラチン物質をメイクアップまたはケアするための方法。
【請求項32】
第1および第2の組成物の各々が、第1および第2の区画に別々に包装されている、請求項1〜28のいずれか一項に記載の製品を含むメイクアップキット。
【請求項33】
第1の組成物が無水であり架橋ポリロタキサンを含み、第2の組成物が前記架橋ポリロタキサンによる吸収の可能な生理学的に許容される溶媒を含む、第1の組成物および第2の組成物を含む化粧料製品の、顔、身体または唇の型を変え、唇のボリュームを増加させ、ケラチン物質の外見上の不完全部分または欠点を隠し、顔貌を均一にする、あるいは睫毛のボリュームを増加させるための、使用。

【公表番号】特表2008−542424(P2008−542424A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515156(P2008−515156)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006154
【国際公開番号】WO2006/131402
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】