説明

2線プロセス制御ループの診断機能を備えたプロセス変数送信機

2線プロセス変数送信機(12)は、工業プロセスの流体のプロセス変数を感知するプロセス変数センサ(14)を含む。出力回路(36)は、感知されたプロセス変数に関連する出力を2線プロセス制御ループ(18)上に提供する。ループ電流測定回路(36)は、2線プロセス制御ループを通って流れるループ電流を測定し、端子電圧測定回路(36)は、プロセス変数送信機(12)の端子電圧に関連する電圧を測定する。該端子電圧は、2線プロセス変数送信機(12)の2線プロセス制御ループ(18)への電気的接続部の両端で測定された電圧でありうる。入力回路(36)は、2線プロセス制御ループ(18)からの診断コマンドを受信する。マイクロプロセッサ(30)は、2線プロセス制御ループからの診断コマンドの受信に応答して、前記測定されたループ電流および端子電圧に基づいて、2線プロセス制御ループ(18)についてのループ診断を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プロセス中のプロセス変数を監視するのに使用される2線工業プロセス制御送信機に関する。特に、本発明は、2線プロセス制御ループに関する診断を行うことができるプロセス変数送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス変数送信機は、"フィールド"内の遠隔位置での1以上のプロセス変数を測定し、制御室のような中央位置に該プロセス変数に関連する情報を送信するために、工業プロセス中で用いられる。
【0003】
一実施例では、プロセス変数は2線プロセス制御ループを介して伝送される。2線プロセス制御ループは、プロセス変数送信機を制御ループに接続し、通信をするのに加えて、電力をプロセス変数送信機に提供するのに用いられることができる。一例では、2線プロセス制御ループは、電流レベルが4〜20mA no範囲であり、感知プロセス変数を表すように制御されることのできる4−20mA プロセス制御ループである。他の例は、プロセス制御ループは、HART(登録商標)通信プロトコルに従って動作する。HART(登録商標)通信技術を用いたプロセス制御ループでは、デジタル信号はループ上を伝送する実質的なDC電流レベルに重畳される。つまり、プロセス制御ループは、アナログとデジタル信号の両方を伝送することができる。デジタル信号は、プロセス変数送信機から制御室へ付加情報を伝送し、該制御室からプロセス変数送信機へデータを伝送するのに用いられることができる。他の例では、2線プロセス制御ループは、全てのデータを典型的にデジタル形式で伝送するフィールドバス通信プロトコルに従って動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,481,200号「テスト装置を組み込んだフィールド送信機」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロセス制御ループが最善に動作しない場合には、エラーがプロセス変数送信機により伝送されたり、ループがプロセス変数送信機が動作するに十分な電力を提供できないといったことが起こりうる。部分的または全体的な故障を含む他のエラーは、また、2線プロセス制御ループに関連する問題により発生する可能性がある。そのため、正常な動作を担保するためには、2線プロセス制御ループに関する診断を行うのが望まれる。そのような診断の例は、1996年1月2日にVoegle 等に発行され、Posemount Inc.に譲渡された米国特許第5,481,200号「テスト装置を組み込んだフィールド送信機」に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
工業プロセス中で使用するための2線プロセス変数送信機は、該工業プロセスの流体のプロセス変数を感知するように構成されたプロセス変数センサを含む。出力回路は、感知されたプロセス変数に関連する出力を2線プロセス制御ループ上に提供するように構成されている。ループ電流測定回路は、2線プロセス制御ループを通って流れるループ電流を測定し、端子電圧測定回路は、プロセス変数送信機の端子電圧に関連する電圧を測定する。該端子電圧は、2線プロセス変数送信機の2線プロセス制御ループへの電気的接続部の両端で測定された電圧でありうる。入力回路は、2線プロセス制御ループからの診断コマンドを受信するように構成されている。マイクロプロセッサは、2線プロセス制御ループからの診断コマンドの受信に応答して、前記測定されたループ電流および端子電圧に基づいて、2線プロセス制御ループについてのループ診断を実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ループ電流および端子電圧を測定して、2線プロセス制御ループについてのループ診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】プロセス変数送信機を含むプロセス制御システムを示す簡略ブロック図である。
【図2】図1の送信機の構成のブロック図である。
【図3】図1の送信機中の診断回路を示す簡略化された回路図である。
【図4】端子電源電圧が低すぎることを示す診断ソフトウェアからの画像キャプチャ(screen capture)である。
【図5】端子電源電圧が高すぎることを示す診断ソフトウェアからの画像キャプチャである。
【図6】図1の送信機中の診断ソフトウェアと双方向通信するためのオペレータインタフェースを示す画像キャプチャである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、電流ループの抵抗と、該ループに電力を供給するのに用いられる電源電圧とを測定する電子機器を含む2線プロセス制御ループ中の送信機に関する。湿気や他の電気伝導体が送信機電子回路の内部の電源レールに接触するといった時のように、送信機の電子回路電流が大きくリークしたり分路したりすると、プロセスループ中を流れる電流が、所望のプロセスループ電流を越えることになる。このことは、通信の失敗を導いたり、部品が故障したことを示したりする。
【0010】
図1は、工業プロセス制御または監視システム10の概略図である。システム10は、プロセス流体のプロセス変数を感知するように構成されたプロセス変数センサを有するプロセス変数送信機12を含む。この実施例では、プロセス流体は、プロセスパイプ16中に含まれるものとして図示されている。プロセス変数は、流速、温度、圧力、pH等のプロセス流体に関連する特性である。プロセス変数送信機12は、ループ電流Iを運ぶ2線プロセス制御ループ18に結合している。実施例の装置では、プロセス変数送信機は、工業プロセスの"フィールド"中の遠隔位置に設置され、2線プロセス制御ループ18を介して中央位置にある制御室20に結合している。この実施例では、制御室プ20は、感知抵抗22および電圧源24として図示されている。
【0011】
本発明では、オンデマンドループ特性評価機能(on-demand loop characterization function)が提供され、これは電源のベースラインとループ抵抗を蓄積するように構成されている。該システムは、送信機12が警告状態を示すのに用いられる最小および最大レベルで正確な電流値Iを出力できるように、電源、これに結合されたループ配線および負荷抵抗が、全て正常に機能しているかどうか、を判断するのに用いられる。この機能は、送信機が電流値Iの所望の範囲に渡って出力を提供するができることを担保する。
【0012】
図2は、プロセス変数送信機12を示す簡単化されたブロック図である。プロセス変数送信機12は、メモリ32内に格納された命令に従って動作するマイクロプロセッサを含んでいる。マイクロプロセッサ30は、測定回路34を介してプロセス変数センサ14から出力を受け取る。測定回路34は、センサ14からの出力を処理するためのアナログまたはデジタル部品を含むように構成されることができる。さらに、プロセス変数送信機12は、2線プロセス制御ループ18に結合するI/Oおよび診断回路36を含む。マイクロプロセッサ30はI/Oおよび診断回路36に結合し、回路36を用いて2線プロセス制御ループ18を介して通信するように構成されている。この通信は、アナログおよび/またはデジタルの一方であり得、オプションで双方向であることもできる。一例の通信技術は、2線プロセス制御ループ18がセンサ14からの出力に関連する値を表す、4−20mAの範囲の信号を伝送する、4−20mA通信技術を含む。この範囲外の電流レベルは、警報状態を示すために用いられることができる。この通信プロトコルに関する変形例は、デジタル情報が2線プロセス制御ループ18上を伝送されるアナログ電流レベルで変調されるHART(登録商標)通信プロトコルである。他の通信プロトコルは、フィールドバスプロトコルのような全ての通信プロトコルを含む。
【0013】
図3は、I/Oおよび診断回路36のより詳細なブロック図である。I/Oおよび診断回路は、端子40を介して2線プロセス制御ループ18に結合している。これは、該2線プロセス制御ループ18へのLoop+およびLoop−接続を提供する。マイクロプロセッサ30(図3には示されていない)は、ループ18を介して流れる電流Iを制御するのに用いられるHART(登録商標)コントローラ42中のデジタル・アナログ変換器に接続されている。デジタル・アナログ変換およびHART(登録商標)コントローラ42は、アナログ制御信号を提供する。リードバック(readback)および感知抵抗66は、また2線プロセス制御ループ18と直列に接続されている。保護ダイオード70は、ループ端子40間に接続されている。端子電圧(TERMINAL_VOLTAGE)測定回路80は、端子40に接続され、端子40間の電圧を表す端子電圧(TERMINAL_VOLTAGE)出力を提供するように構成されている。回路80は、抵抗82と84とによって形成される抵抗分割回路網を含む。部品86,88および90は、安全性とフィルタのために設けられている。増幅器92は、前記分割回路網に接続され、フィードバック回路網96と94は、210への入力のために、分割された電圧を増幅する。動作の間、差動増幅器92からの端子電圧(TERMINAL_VOLTAGE)出力は端子40間の電圧を表す。
【0014】
回路36は、また2線プロセス制御ループ18を介して流れる電流レベルIに関連するループリードバック(LOOP_READ_BACK)出力を提供するように構成されているリードバック回路120を含んでいる。ループリードバック(LOOP_READ_BACK)回路120は、リードバック感知抵抗66の両端に接続された差動増幅器122を含んでいる。差動増幅器122は、126,132および136で形成されたフィルタを介して演算増幅器(オペアンプ)124に出力を提供する。演算増幅器124は、210のために適正な値を作るべく、抵抗130を介して負帰還するように回路形成されている。
【0015】
シャント電流(SHUNT_CURRENT)測定回路140は、抵抗60および62を通って流れるシャント電流(SHUNT_CURRENT)を測定するように構成されている。図3に示されている回路では、演算増幅器142は、抵抗144を介してシャントDX(SHUNT_DX)に結合された非反転入力を有している。該非反転入力はまた抵抗146とコンデンサ148を介して接地されている。反転入力に対する負帰還は、抵抗152を通ってまた接地される抵抗150により形成されている。シャント電流(SHUNT_CURRENT)測定回路140は、シャント出力(SHUNT_OUTPUT)を提供する。プロセス可変送信機12の温度はまた温度測定回路160を用いて測定される。温度測定回路160は、温度の関数として変化する抵抗値を有するRTD素子162を含んでいる。素子162は、抵抗164を介して電圧源VDDに結合している。コンデンサ166は素子162の両端に接続されている。素子162の両端の電位差は演算増幅器168によって測定される。負帰還は、抵抗170と172,コンデンサ174を通って形成されている。演算増幅器168の反転入力は、また抵抗176を通って接地されている。回路160は、素子162の温度を示す出力TEMPを提供する。
【0016】
回路92,120,140および160からの出力に結合する入力をもつマルチプレクサ200が設けられている。マルチプレクサ200は、回路からのLOOP_READ_BACK、TERMINAL_VOLTAGE、SHUNT_CURRENTおよびTEMP出力のうちの一つを選択するのに用いられる。マルチプレクサ200のチャネルは、図2に示されているマイクロプロセッサ30に接続されるマルチプレクサへの入力を用いて制御される。マルチプレクサ200からの出力は、アナログ・デジタル変換器210に接続される。アナログ・デジタル変換器は、出力202に関するアナログ信号を図2に示されているマイクロプロセッサ30に提供されるデジタルフォーマットに変換する。動作の間、マイクロプロセッサ30は、種々の電圧が選択され、アナログ・デジタル変換器210に接続され、その後マイクロプロセッサ30により読まれることができるように、マルチプレクサ200を制御する。
【0017】
動作の間、マイクロプロセッサ30により走らされるソフトウェアは4つの測定をするように構成されている。
LOOP_READ_BACK:ループ電流の測定
TERMINAL_VOLTAGE:送信機12のLoop+とLoop−端子間の電圧の測定
SHUNT_CURRENT:送信機12中の回路により用いられる静止電流(quiescent current)を決定するのに用いられる測定
TEMP:温度補償に用いられる測定
【0018】
一実施例では、マイクロプロセッサは、これらの値を周期的に、例えば1秒毎に、測定し、これらの測定をループ診断に用いる。さらに、ループ診断は、2線プロセス制御ループ18を介して受け取られた要求に基づいてなされることができる。
【0019】
このシステムは、電気的特性評価を行うことができる。例えば、HART(登録商標)通信を介して要求を受信した場合には、該システムは、ループ抵抗値とループ電源を測定することにより特性評価する。このプロセスは、フィールド装置との通信に用いられる言語とインタフェースである、電子デバイス記述語(EDDL)で実行される方法によって開始されることができる。
【0020】
最初に、特性評価プロセスは、TERMINAL_VOLTAGEとLOOP_READ_BACK測定をすることを含む。第1の事前チェックは、該システムが23mAおよび3.6mAといった極限の値を達成できるかどうかを判断するために、4mAと6mAで行われる。最初に、マイクロプロセッサ30は、ループ電流を4mAにセットし、電流が安定するのを待つ。次いで、測定が要求され、マイクロプロセッサは、4mAにおけるLOOP_READ_BACK値とTERMINAL_VOLTAGE値(LOOP_READBACK_4とTERMINAL_VOLTAGE_4)とをメモリ32に蓄積する。次いで、ループ電流は6mAに調節され、システムは電流レベルが安定するのを待つ。LOOP_READBACK_6とTERMINAL_VOLTAGE_6とが測定される。ループ抵抗値事前チェック(loop resistance pre-check)は、次の式を用いて計算される。
【0021】
【数1】

【0022】
次に、電源電圧事前チェック値(power supply voltage pre-check value)が式2を用いて得られる。
【0023】
【数2】

【0024】
ループ抵抗値および電源電圧のこれら事前チェック値は、出力がその極限の最小値(VTmin)および最大値(VTmax)、例えば3.6mAおよび23.0mAにセットされるときにもシステムが動作することを確認するのに用いられる。これらの値は、式3および式4に従って計算されることができる。
【0025】
【数3】

【0026】
【数4】

【0027】
VTminがこのシステムで特定されたTERMINAL_VOLTAGEの最小値以下の場合、例えば12ボルトであるか、またはVTmaxがこのシステムで特定されたTERMINAL_VOLTAGEの最大値以上の場合、例えば42.4ボルトである場合には、マイクロプロセッサは例えば2線プロセス制御ループ18を介して図1に示されているような電源24を調節することをユーザに命じる情報を2線プロセスループ18を介して伝送するか、または可視出力などを提供することによって、ユーザに警報を提供するように構成されている。この警報は、2線プロセス制御ループ18を介して可搬フィールドメンテナンス装置に伝送されることができる、または制御室20等に設置された管理システムに伝送されることができる。この伝送は、例えば、電子デバイス記述語(EDDL)に従ってなされることができる。図4、5は、それぞれ、低いループ電源電圧または高いループ電源電圧を示すコンピュータ画面の出力例を図示している。
【0028】
次に、ループ電流が一旦安定すると、特性評価プロセスは、出力を20mAに設定し、LOOP_READBACK_20とTERMINAL_VOLTAGE_20とを蓄積することにより、動作を前に進める。これらの測定がなされた後、ループの動作はノーマルに復帰する。電源電圧Vpsとループ抵抗値は、動作のフルレンジ(4mAと20mA)に渡って再計算される。TERMINAL_VOLTAGEは周期的にチェックされる。ループ抵抗値は、式5に従って計算され蓄積される。
【0029】
【数5】

【0030】
ループ抵抗値はまた通信に要求される最小抵抗値が要求を満たしている、すなわち250オームであることを確認するのに用いられる。
【0031】
ノーマル動作の間、マイクロプロセッサ30は、また電源電圧Vpsを次の式で計算し、蓄積することができる。
【0032】
【数6】

【0033】
一度、ループ抵抗値とループ電源電圧が計算されると、システムはノーマル実行時動作(normal runtime operation)に復帰されることができる。
【0034】
ノーマル実行時の間、マイクロプロセッサ30は、LOOP_READ_BACK、TERMINAL_VOLTAGEおよびSHUNT_CURRENT値を測定することによって、周期的な診断を行うことができる。これらの値は、適正なゲインまたはオフセット電圧を印加することにより計測され、温度補償されることができる。LOOP_READ_BACK電流値は、電流基準値と比較されることができる。二つの間の差が予め決められた値より大きい場合には(例えば、スパンの2%)、警戒警報が、例えばHART(登録商標)通信プロトコルを用いて、2線通信ループを介して送られることができる、または該警報は必要に応じて局所的に生成されることができる。TERMINAL_VOLTAGEは測定され、(ループ抵抗値および電源ベースラインを用いて計算された)期待計算値と比較されることができる。この計算のために、現在の電流値(mA)がテスト電流値と対比して用いられる。TERMINAL_VOLTAGEは、式7により計算される。
【0035】
【数7】

【0036】
測定されたTERMINAL_VOLTAGEが、VT_Calculatedに比べて、図6に示されているようなユーザ選択値("MAX TERMINAL_VOLTAGE")以上の不一致がある場合には、警報が2線プロセス制御ループ上に伝送され、必要に応じて局所的な警報が生成される。
【0037】
典型的には、2線送信機はダイオードと抵抗を含む端末ブロックを介してプロセス制御ループに結合している。しかしながら、この実施例では、温度の変化に基づくダイオード及び抵抗の変動を補償するのに用いられる温度測定値が得られる。これは、測定値の正確さ、特にTERMINAL_VOLTAGEとLOOP_READ_BACK測定値の正確さを改善することができる。
【0038】
静止電流は送信機12の回路動作のために要求される電流と定義される。該静止電流は、診断を行う場合に有用である。静止電流は、SHUNT_CURRENT示度および同時のループ電流値(出力電流基準)を用いて測定されることができる。静止電流は次の8式で計算される。
【0039】
【数8】

【0040】
静止電流が予め定められた値を越える場合、例えば静止電流値が3.4mAより大きい場合には、警報が2線プロセス制御ループを介して伝送されることができる、および必要に応じて局所的な警報が生成される。さらに、通信の要件が満足されていることを確認するために、動的な閾値が静止電流と比較される。例えば、低い警報設定値から静止電流値を引いた値は0.5mAより大きくなければならない。
【0041】
測定温度は、診断回路の種々の要素を所望のように補償するのに用いられることができる。この補償は、例えば多項曲線近似技術(polynomial curve fitting techniques)を用いて行うことができる。温度特性評価情報は、メモリ32中に蓄積されることができる。例えば、メモリ32は、そのような値を広く蓄積するために、不揮発性メモリを含むことができる。温度特性評価は、送信機12の製造中に行われることができる。4−20mA出力の校正の間、マイクロプロセッサは同時にLOOP_READ_BACK校正を行い、その結果としての係数をメモリ32に蓄積することができる。メモリ32の不揮発性部分に蓄積されることのできる他の情報は、種々の閾値レベルを含み、HART(登録商標)通信技術を介してユーザにアクセスされることができる。
【0042】
図6は、電子デバイス記述語(EDDL)に従って送信機12と通信するためのプログラムを走らせるコンピュータソフトウェアから得られた画像表示例を示す。図6には、警告モード(alert mode)やパワーアドバイザリ診断(power advisory diagnostics)等を含む種々のパラメータが表示されている。送信機12により得られる種々の測定値およびベースライン測定値が画面上に表示されることができ、システムはループ特性評価を実行するための要求を開始するよう命令されることができる。
【0043】
種々の電流と電圧を測定している間に、これらの測定値は同時に測定されるのが好ましい。例えば、抵抗値が電圧及び電流測定値で計算される場合には、電圧および電流測定値が同時に測定されるのが好ましい。測定値の同時測定を改善するために、ソフトウェアは同時蓄積技術における資源のロッキング(resource locking)を用いるように形成されることができる。さらに、ソフトウェアは、好ましくは、その優先順位を上げるための優先順位モードで動作させることができる。特に、アナログ出力資源は、診断が行われている間、診断ソフトウェアにより、ロックされることができる。
【0044】
本発明は好ましい実施例を参照して説明されたが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、形態および詳細について、変形することが可能である。一実施例では、診断コマンドを受信した時に、マイクロプロセッサはループ特性評価を行い、ループ電源およびループ抵抗値のためのベースライン値を決定する。該特性評価の間に、マイクロプロセッサはまたフィールド装置の端子電圧が12ボルトと42.4ボルトの間になることを保証するようにチェックすることができる。
【符号の説明】
【0045】
12・・・2線プロセス変数送信機、14・・・センサ、18・・・2線プロセス制御ループ、30・・・マイクロプロセッサ、32・・・メモリ、34・・・測定回路、36・・・I/Oおよび診断回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プロセス中で使用するための2線プロセス変数送信機において、
前記工業プロセスのプロセス流体のプロセス変数を感知するように構成されたプロセス変数センサと、
該感知されたプロセス変数に関連する出力を2線プロセス制御ループ上に提供するように構成された出力回路と、
前記2線プロセス制御ループを通って流れるループ電流を測定するように構成されたループ電流測定回路と、
前記プロセス変数送信機の端子電圧に関連する電圧を測定するように構成された端子電圧測定回路であって、該端子電圧が前記2線プロセス制御ループへの前記2線プロセス変数送信機の電気接続の両端で測定された電圧からなる端子電圧測定回路と、
前記2線プロセス制御ループからの診断コマンドを受信するように構成された入力回路と、
前記測定されたループ電流と端子電圧とに基づいて前記2線プロセス制御ループ上のループ診断を行うように構成されたマイクロプロセッサであって、前記2線プロセス制御ループからの診断コマンドの受信に応答するマイクロプロセッサとを具備する2線プロセス変数送信機。
【請求項2】
前記診断コマンドが前記マイクロプロセッサにループ特性評価の実行を開始させるようにする請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項3】
前記診断は、前記2線プロセス制御ループの抵抗値の測定を含む請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項4】
前記診断は、前記2線プロセス制御ループの電源電圧の測定を含む請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項5】
前記診断は、予備診断チェックの実行を含む請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項6】
前記診断は、ベースライン診断値の測定を含む請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項7】
前記診断は、静止電流値の測定を含む請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項8】
温度センサを含み、前記診断が感知された温度に基づいて補償される請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項9】
前記ループ電流および端子電圧の測定が、同時に実行される請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項10】
前記診断コマンドは、電子デバイス記述語(EDDL)によって記述されている請求項1に記載の2線プロセス変数送信機。
【請求項11】
工業プロセスの2線プロセス変数送信機中で診断を実行する方法であって、
前記工業プロセスのプロセス流体のプロセス変数を感知することと、
前記感知されたプロセス変数に関連する出力を2線プロセス制御ループ上に提供することと、
前記2線プロセス制御ループに、該2線プロセス制御ループを通って流れるループ電流を測定するように構成されたループ電流測定回路を結合することと、
前記2線プロセス制御ループに、該2線プロセス制御ループに結合するように構成された両端間の端子電圧を測定するように構成された端子電圧を測定するように構成された端子電圧測定回路を結合することと、
前記2線プロセス制御ループからの診断コマンド入力を受信することと、
前記ループ電流測定回路および端子電圧測定回路とを用いて実行される前記2線プロセス制御ループについての診断を、前記診断コマンドに応答して実行することとを含む方法。
【請求項12】
前記診断は、前記2線プロセス制御ループの抵抗値を測定することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記診断は、前記2線プロセス制御ループの電源電圧を測定することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記診断は、予備診断チェックを実行することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記診断は、ベースライン診断値を測定することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記診断は、静止電流値を測定することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
温度を感知することを含み、前記診断が、前記感知された温度に基づいて補償される請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ループ電流と端子電圧の測定が同時に実行される請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記診断コマンドは、電子デバイス記述語(EDDL)によって記述されている請求項11に記載の方法。
【請求項20】
特性評価が、ループ抵抗値とループ電源電圧のためのベースライン値を含む請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−533121(P2012−533121A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519721(P2012−519721)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041338
【国際公開番号】WO2011/005938
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】