説明

2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構と該駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械

【課題】互いに平行に設けられた2軸以上の回転軸を有し、互いの回転軸間で回転の同期を取りながら無潤滑で駆動力の伝達も正確に行い、それによってオイルによる汚染を防止し、かつ、寿命的にも問題を生じないようにした、駆動力伝達機構と該駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械を提供することが課題である。
【解決手段】駆動源11における駆動軸12を結合した一の回転軸14に、ギア18と、複数の磁石を周方向に略等間隔に配した非磁性体からなる磁石板16、17を固定し、他の回転軸15に、前記ギア18と噛合する他のギア19と、複数の磁石を周方向に略等間隔に配した非磁性体からなる他の磁石板17を固定して、ギア18、19における少なくとも一のギアを樹脂で形成し、前記回転軸14、15における回転同期を噛合18、19したギアで、駆動力の伝達を磁石板16、17に固定した磁石同士が引き合いと反発を順次繰り返すことで行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構と該駆動力伝達機構を用いた流体ポンプ(無給油流体機械)に係り、特に、2軸以上の回転軸を有する、例えばルーツ型、スクリュー型、クロー型などと呼ばれる機械式ドライ真空ポンプなどにおける、各軸の回転同期とトルク伝達を確実におこないながら、各軸に動力を伝達するギアに潤滑油を使わずにオイル汚染を防止した、2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構と該駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプのような流体ポンプには、例えば複数の繭型ロータ(回転子)がケーシング内で高速回転して空気を排出するルーツ型、複数のスクリュー(ネジ)型のロータを回転させながらケーシングとの間に閉じこめた空気を圧縮し、排出するようにしたスクリュー型、複数の爪に似た突起を有したロータが同じくケーシング内で回転して空気を排出するクロー型など、2軸以上の回転軸を有するポンプが存在する。
【0003】
こういった2軸以上の回転軸を有する機械式ドライ真空ポンプでは、各軸の回転位相(同期)や中心を常に正確に維持する必要があるため、金属製のギアが使われることが多い。この金属製のギアは、歯が破損しない限り正確に同期を保ちながら駆動力を伝達できるが、摩耗が起こるため、オイル、グリース、固体潤滑剤などを用いた潤滑が必要であり、他にも熱を持ったり騒音が大きい等の問題がある。
【0004】
このうち、オイル、グリース、固体潤滑剤などを用いた潤滑では、オイルはドライ真空ポンプにおける真空の性能を悪くし、低速の場合はグリースが使用できるが補充がしづらい。固体潤滑剤は大きな負荷には不向きであり、グリースとこの固体潤滑剤は熱を取り去ることが難しい。そのためギア室に潤滑油を溜めておき、運転時に各部への潤滑を行なうようにしているものがあるが、上記したように潤滑油により潤滑を行なうと、ロータに対する回転導入部の軸シールからの油の洩れや、オイルシールからポンプ室への潤滑油の洩れ、そして洩れた油による後段の排気系の汚れなどの問題が生じる。
【0005】
そのため、樹脂歯車を用いたり、歯付きのベルトを用い、無潤滑で駆動力を伝達することも考えられるが、これらでは金属歯車に比較して弱いため、大きなトルクを伝達できないという問題があると共に、寿命にも問題がある。
【0006】
そのため特許文献1には、ルーツ型の機械式ドライ真空ポンプにおいて、駆動モータの駆動軸と一方のまゆ型インペラー(ロータ)の軸とにそれぞれ環状マグネットを対向させて取付け、両環状マグネット間にポンプ室側を大気側から遮蔽する電気的絶縁材料から成る密閉板部材を配置し、また二つのまゆ型インペラーを互いに逆方向に回転連動させるギアを金属製ギアと合成樹脂製ギアとの組合わせで構成して、回転駆動力導入部の気密性並びに回転軸の軸受及びギヤ部の潤滑油の洩れ、及び回転軸のまわりのオイルシール等による摩擦に基く動作温度の上昇や起動トルクの損失を改善することが示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−185483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この特許文献1に示されたルーツ型の機械式ドライ真空ポンプは、駆動モータからの駆動力を環状マグネットによって伝達しているが、このようにするとモータを高速回転させる場合、同期が外れてモータの回転をまゆ型インペラー(ロータ)の軸に正確に伝えられない可能性がある。これを防ぐために強力な磁石を用いると、駆動モータからの駆動力は環状マグネットを介して直接、金属歯車、または樹脂歯車に伝えられているから、樹脂歯車に大きな力が加わって破損する可能性があり、破損を免れたとしても、寿命に問題が生じる。
【0009】
そのため本発明においては、互いに平行に設けられた2軸以上の回転軸を有し、互いの回転軸間で回転の同期を取りながら無潤滑で駆動力の伝達も正確に行い、それによってオイルによる汚染を防止し、かつ、寿命的にも問題を生じないようにした、駆動力伝達機構と該駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明になる2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構は、
互いに平行に設けられた2軸以上の回転軸を有し、一の回転軸から他の回転軸へ駆動力を伝える2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構であって、
ギアと、複数の磁石を非磁性体からなる支持体の周方向に配してなる磁石板を固定し、前記他の回転軸に、前記ギアと噛合する他のギアと、複数の磁石を周方向に配した非磁性体からなる他の支持体を固定して、前記ギアにおける少なくとも一のギアを樹脂で形成し、
前記2軸以上の回転軸における回転同期を前記噛合したギアで、前記回転軸間の駆動力の伝達を、それぞれの支持体に固定した前記磁石同士が引き合いと反発を順次繰り返すことで行うことを特徴とする。
【0011】
また、該駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械は、
ケーシングと、該ケーシング内に各々の回転軸によって回転可能に取り付けられた2以上のロータとからなり、前記2以上のロータが協働して前記ケーシング内の気体を含む流体を排出する無給油流体機械において、
前記一のロータの回転軸に駆動源の駆動軸を結合すると共に、ギアと、複数の磁石を周方向に配した非磁性体からなる支持体を固定し、前記他のロータの回転軸に、前記ギアと噛合する他のギアと、複数の磁石を周方向に配した非磁性体からなる他の支持体を固定して、前記ギアにおける少なくとも一のギアを樹脂で形成した駆動力伝達機構を用い、
前記2以上のロータにおける回転同期を前記駆動力伝達機構における噛合したギアで、前記回転軸間の駆動力伝達を、前記駆動力伝達機構におけるそれぞれの支持体に配した前記磁石同士が引き合いと反発を順次繰り返すことで行うことを特徴とする。
【0012】
このように駆動力伝達機構を、周方向に複数の磁石を配した非磁性体からなる支持体とよりなる磁石板を各回転軸の一端に取付け、互いに噛合するギアを各回転軸の他端に取り付けて構成することで、まず、回転軸間の駆動力伝達の一部を磁石板を介して行うことができ、残りをギアにより行うようにできる。そうすることにより、ギアに大きな力を掛けることなく駆動力を伝達できるから、樹脂製のギアを用いることができるので潤滑油は不要となり寿命が長くなる。従って、このように構成した駆動力伝達機構を無給油流体機械に用いれば、潤滑油によるオイル汚染を防止し、機械式ドライ真空ポンプなどの無給油流体機械の高性能化を実現することができる。
【0013】
そして、前記ギアは前記回転軸の一端側に、磁石を配した支持体は前記回転軸の他端側にそれぞれ固定し、駆動力の伝達と同期を回転軸の両端に分けて行うことで、バランスの良い駆動力伝達機構とすることができる。
【0014】
また、前記ギアは、前記駆動源の駆動軸を結合した側とは逆側に固定することで、ギアの摩耗による交換なども容易に行うことができる。
【0015】
さらに、前記磁石を前記支持体における側面に配し、前記各支持体は、該支持体の各側面に配した磁石が互いに接触せずに対面するよう前記ロータの回転軸に固定されていることで、駆動力を伝達する磁石同士をより近接させることができ、それだけ、駆動力の伝達を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上記載のごとく、本発明になる2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構は、駆動力の伝達が磁石板及びギアの2つの方法で行われることによりギアにかかる負荷が軽減され樹脂製歯車を用いることができる。その結果無潤滑とすることができ、オイルによる汚染を防止しながら長寿命を実現することができる。よって、機械式ドライ真空ポンプなどの無給油流体機械において高性能化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明になる2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構を用いた流体ポンプ(無給油流体機械)としての、ルーツ型機械式ドライ真空ポンプにおける、(A)が上面図、(B)が正面図、(C)が側面図である。また、図2(A)はこの図1(A)におけるA−A位置の断面図であり、(B)は同じくC−C位置の断面図である。なお、以下の説明では、本発明を上記したルーツ型機械式ドライ真空ポンプに適用した場合を例に説明するが、本発明になる駆動力伝達機構は、基本的に互いに平行に設けられた2軸以上の回転軸を有し、互いの回転軸間で回転の同期を取りながら無潤滑でトルク伝達を行い、かつ、長寿命を望む機器であればどのような機器であっても適用可能であり、また、真空ポンプにおいても、前記したスクリュー型、クロー型などにも適用することができる。
【0019】
図1において10は無給油流体機械としてのルーツ型機械式ドライ真空ポンプであり、11はこの真空ポンプ10を駆動する駆動源たるモータ、12はモータ11の駆動軸、13はモータ11の駆動軸12を真空ポンプにおける一の回転軸14と結合するためのジョイント、15は真空ポンプにおける他の回転軸、16、17は、後記するようにモータ11から一の回転軸14に伝えられた駆動力を他の回転軸15に伝えるため、円盤状に形成した支持体162、172における側面の周方向に複数の磁石161、171を略等間隔に配した磁石板で、この磁石板16、17は、配した磁石が接触しないよう互いに対面させてそれぞれの回転軸14、15に固定されている。ジョイント13を介して磁石板16に伝達されたモータ11の駆動力は、後記するように磁性力により磁石板17に伝達される。支持体162、172はアルミや銅、ステンレス、あるいは樹脂などの非磁性体を用いて作られている。18、19は回転軸14、15の他端に取り付けて回転軸14、15を確実に同期させながら回転させるためのギア、20は真空ポンプ10、モータ11を固定するための基台、21、22はこの基台20に真空ポンプ10、モータ11を固定する固定手段、25、26(図2B参照)は吸気口と排気口である。
【0020】
真空ポンプ10は、図2(B)に示したように、外形が略長方形をしたケーシング100のポンプ室101には、互いに平行になるように図示しないオイルレスベアリングで支持される回転軸14、15に3葉ローブロータ102、103が一体化して取り付けられている。ロータ102、103は互いに接触しないよう、また頂部がポンプ室101の円弧部の内壁に僅かの隙間を保つように回転する。
【0021】
この2つのロータ102、103が例えば矢印27方向に同期して回転することで、空気などの流体はロータのローブで囲まれた空間104に捉えられて、吸気口25側から、排気口26側に運ばれて排出されることとなる。
【0022】
再度図1を参照して、このように構成された真空ポンプ10は、基台20に固定手段21によって固定され、同じく基台20に固定手段22で固定されたモータ11の駆動軸12と、回転軸14とがジョイント13で結合される。そしてその駆動軸14のモータ11側には、アルミニウムや銅、ステンレス、あるいは樹脂などの非磁性体を用い、円盤状に形成した支持体162の側面の周方向に複数の磁石を略等間隔に配した磁石板16が固定され、また、この駆動軸14の逆側の端にはギア18が固定される。
【0023】
一方、回転軸14と平行に設けられた回転軸15には、モータ11側に磁石板16と同様、非磁性体で円盤状に形成した支持体172の側面の周方向に、前記磁石板16に配された磁石と接触することなく対面するよう複数の磁石171が略等間隔に配された磁石板17が固定され、さらに回転軸15の逆側端には、前記ギア18と噛合するギア19が固定されている。
【0024】
そして本発明になる駆動力伝達機構では、この噛合するギア18または19の少なくともどちらか一方を樹脂製、他方を樹脂製または金属製とし、樹脂製のギアを用いることで潤滑を不要とした。また、磁石板16、17は、図1(A)のA−A位置における断面図である図2(A)に示したように、円盤状の支持体162、172の周方向に複数の磁石161、171が配されている。
【0025】
このように構成した真空ポンプ10における駆動力伝達機構のみを取り出して示したのが図3である。この図3において(A)は駆動軸14、15方向に対して直角な方向から見た側面図である。図3Aから判るように、磁石161、171は支持体162、172の片面に配置されまたこの磁石161、171が互いに接触せずに対面するよう支持板162、172が回転軸14、15に固定されている。(B)は歯車18、19方向から見た図で、いずれも中間に設けられた真空ポンプ部分を省略してある。
【0026】
繰り返しになるがこの図3において、磁石板16に配された磁石161と磁石板17の磁石171が接触することなく対面するように回転軸14、15に固定されており、回転軸14、15のが反対方向に回転することにより次々と磁石161、171が対面するようになっている。
【0027】
回転軸14に磁石板16の反対側に取り付けられたギア18が回転軸15に磁石板15の反対側に取り付けられたギア19と噛合することにより回転軸14、15が相互反対方向に回転する。回転軸14に固定された磁石板16は駆動モータ11により回転すると、磁石板17は後記するように磁石161、171間の相互作用により反対方向へ回転する。回転軸14が駆動モータ11で回転すると、磁石板16、17及びギア18、19を介して回転軸15に駆動力が伝達されることになる。よって前記したように、噛合するギア18または19の少なくともどちらか一方を樹脂製、他方が樹脂製または金属製として樹脂製のギアを用いることで潤滑を不要とすることができる。
【0028】
図4は、この磁石板16、17によって駆動力を伝達する様子を説明するための概念図である。今、例えば図4(A)に示したように、支持板40に磁石N41、S42、N43、S44が、支持板45に磁石S46、N47、S48、N49がそれぞれ図のように配され、両支持板40、45は静止しているとすると、磁石N41と磁石S46とが50で示した矢印のように引き合うことになる。
【0029】
この状態で、例えば図4(B)に51で示した矢印方向に磁石板40が回転すると、磁石N41と磁石S46が50のように引き合ったまま、今度は徐々に磁石44と磁石46との間に反発力が生じ、この磁石同士の引き合う力と反発する力が順次繰り返されることで、磁石板45が磁石板40の回転に追随して回転する。そのため磁石板45は、磁石板40と無接触で回転することになる。
【0030】
この支持板45を回転させる力は、当然のことながら支持板40、45に固定されている磁石41、42、43、44と、磁石46、47、48、49とが近接していれば近接しているほど強くなる。従って、図2(A)や図3(A)に示したように、磁石板16に配された磁石161と磁石板17に配された磁石171とが、接触することなく対面するよう支持板162と172とを回転軸14、15に固定すれば、支持板172(すなわち回転軸15)を回転させる力は大きくなる。
【0031】
しかしながら、このように構成した駆動力伝達機構では、例えば図4に示した支持板45を固定した回転軸に大きな負荷がある場合、支持板45が回転しなかったり同期が外れてしまう場合がある。
【0032】
そのため本発明においては、回転軸14、15の同期を前記した互いに噛合したギア18、19で行い、駆動力の伝達を回転軸14、15に固定した磁石板16,17をメインとして行うようにしたもので、例えば、磁石板16,17に駆動力伝達力の70%程度を受け持たせ、ギア18、19には、駆動力伝達力の30%程度がかかるようにした。
【0033】
このようにすることにより、まず、2以上の回転軸14、15における回転同期をさせるギア18、19の負荷を減少させる。また、ギアのうちの少なくとも1つを樹脂製にしてギアの寿命を減少させ、潤滑油を不要とする。樹脂製ギアを上記したように使用することにより、樹脂製のギアを用いることで大きなトルクが伝達できない問題と、寿命が短くなる問題とを同時に解決することができる。
【0034】
従って、このように構成した駆動力伝達機構を無給油流体機械に用いれば、まず潤滑油によるオイル汚染が防止でき、軸間の駆動力も確実に伝達できるから、前記した2軸以上の回転軸を有する機械式ドライ真空ポンプなどの無給油流体機械の高性能化を実現することができる。また、ギア18、19をモータ11とは逆側に設けたことで、ギア18、19のうち、樹脂製のギアが摩耗したり破損した場合も、容易に交換が可能となる。
【0035】
このように本発明によれば、駆動力伝達機構を互いに噛合したギア18、19と、周方向に複数の磁石161、171を略等間隔に配した非磁性体からなる支持体162、172とから成る磁石板16,17で構成したことで、駆動伝達の一部は磁石板により行うことができ残りをギアで行う。そうすると、樹脂製ギアに大きな力を掛けることなく駆動力を伝達できるから、樹脂製のギアを用いることができ、ギアの潤滑油は不要となりギアの寿命が長くなる。
従って、このように構成した駆動力伝達機構を無給油流体機械に用いれば、潤滑油によるオイル汚染を防止し、機械式ドライ真空ポンプなどの無給油流体機械の高性能化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、潤滑油を用いないにもかかわらず大きな駆動力を伝達できる寿命の長い駆動力伝達機構を提供でき、この駆動力伝達機構を真空ポンプに用いることで、オイル汚染のない、高性能な真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明になる2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構を用いた無給油流体機械としての、ルーツ型機械式ドライ真空ポンプにおける(A)が上面図、(B)が正面図、(C)が側面図である。
【図2】(A)はこの図1(A)におけるA−A位置の断面図であり、(B)は同じくC−C位置の断面図である。
【図3】本発明になる駆動力伝達機構のみを取り出して示した図で、(A)は側面図、(B)は歯車方向から見た図である。
【図4】磁石板によって駆動力を伝達する様子を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0038】
10 真空ポンプ
100 ケーシング
101 ポンプ室
102、103 ロータ
104 凹状部
11 モータ
12 駆動軸
13 ジョイント
14 一の回転軸
15 他の回転軸
16、17 磁石板
161、171 磁石
162、172 支持板
18、19 ギア
20 基台
21、22 固定手段
25、26 吸気(または排気)口、排気(または吸気)口
40、45 支持板
41、42、43、44、46、47、48、49 磁石
50 磁石の引き合い方向
51 支持板40の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に設けられた2軸以上の回転軸を有し、一の回転軸から他の回転軸へ駆動力を伝える2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構であって、
回転軸に、ギアと、複数の磁石を非磁性体からなる支持体の周方向に配して成る磁石板を固定し、前記他の回転軸に、前記ギアと噛合する他のギアと、複数の磁石を周方向に配した非磁性体からなる他の支持体を固定して、前記ギアにおける少なくとも一のギアを樹脂で形成し、
前記2軸以上の回転軸における回転同期を前記噛合したギアで、前記回転軸間の駆動力の伝達を、それぞれの支持体に固定した前記磁石同士が引き合いと反発を順次繰り返すことで行うことを特徴とする2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構。
【請求項2】
前記ギアは前記回転軸の一端側に、磁石を配した支持体は前記回転軸の他端側にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載した2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構。
【請求項3】
前記ギアは、前記駆動源の駆動軸を結合した側とは逆側に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載した2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構。
【請求項4】
前記磁石を前記支持体における側面に配したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構。
【請求項5】
前記各支持体は、該支持体の各側面に配した磁石が互いに接触せずに対面するよう回転軸に固定されていることを特徴とする請求項4に記載した2軸以上の回転軸間の駆動力伝達機構。
【請求項6】
ケーシングと、該ケーシング内に各々の回転軸によって回転可能に取り付けられた2以上のロータとからなり、前記2以上のロータが協働して前記ケーシング内の気体を含む流体を排出する無給油流体機械において、
ギアと、複数の磁石を非磁性体からなる支持体の周方向に配してなる磁石板を各ロータの回転軸に固定し、また相互に噛合するギアをそれぞれのロータの回転軸に取り付けて、前記ギアにおける少なくとも一のギアを樹脂で形成した駆動力伝達機構を用い、
前記2以上のロータにおける回転同期を前記駆動力伝達機構における噛合したギアで、前記回転軸間の駆動力伝達を、前記駆動力伝達機構におけるそれぞれの支持体に配した前記磁石同士が引き合いと反発を順次繰り返すことで行うことを特徴とする無給油流体機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−157446(P2008−157446A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301155(P2007−301155)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(390028495)アネスト岩田株式会社 (224)
【Fターム(参考)】