説明

3−(シクロペンテン−1−イル)−ベンジル−または3−(シクロペンテン−1−イル)−ヘテロアリールメチルアミン誘導体および統合失調症を治療するための医薬としてのそれらの使用

本発明は、一般式(1)[式中、(a)は単結合または二重結合を表し;WはCH、CH、CHCH、CCH、C(CH基、C(CH基(すなわち、一緒に結合してスピロ−シクロプロパン単位を形成する2つのメチレン基を有する炭素原子)またはC(CH基(すなわち、一緒に結合してスピロ−シクロブタン単位を形成する2つのメチレン基を有する炭素原子)を表し(ただし、(a)が二重結合である場合にWがCHまたはCCH基を排他的に表し、かつ、(a)が単結合である場合にWがCH、CHCH、C(CH、C(CHまたはC(CH基を排他的に表す);Xが水素原子を有する炭素原子(CH)または窒素原子であり;Yが水素原子を有する炭素原子またはフッ素原子である]の化合物、それらの付加塩、および場合によっては、薬学上許容される無機酸または有機酸と付加塩との水和物、ならびにそれらの互変異性型、純粋なエナンチオマーおよびエナンチオマー混合物(ラセミかどうかを問わない)に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
統合失調症は重篤で普通に生活ができない精神疾患であり、世界の5000万人を超える人々に影響を与えている(Sciences 2002, 296 (5598), 692-5)。統合失調症性精神病の基礎となる機構は複雑であるが、ドーパミン作動性伝達における機能障害がそれらの総体的症状に関与することは立証されているようである(Nature 1988, 336, 783-87 ; Pharmacol. Rev. 2001, 53(1), 119-33)。実際には、主要なドーパミン受容体、特に、Dサブタイプ受容体の拮抗薬(例えば、ハロペリドール、クロルプロマジンなど)が、統合失調症性精神病、特に、いわゆる陽性症状または生産的症状の治療への従来の臨床的に有効なアプローチである(Nature 1976, 261, 717-19)。しかし、このような作用機序を有する化合物は、パーキンソン病型症状(Pharmacotherapy 1996, 16, 160)、遅発性ジスキネジー、内分泌障害など(Drug Metab. Dispos. 1997, 25 (6), 675-84)のような、治療効果とは関連のない副作用を誘導する。
【0002】
非定型抗精神病薬と呼ばれる別の種類が最近になって導入された(ID 2002,3 (7), 1073-80)。治療上の利益という観点から、従来の薬剤と比べたこれらの新規な薬剤の利点は、
神経系の副作用、特に、錐体外路症状を引き起こす傾向が低いこと(J. Clin. Psychiatry 2000, 61 (S3), 10-5);
欠乏防止(antideficiency)活性が高いこと(CNS Drugs 2002, 16 (4), 249-61);
特定の難治型の統合失調症において有効性が高いこと(CNS Drugs 2002, 16 (7), 473-84)
である。
【0003】
これらの非定型化合物(例えば、クロザピン、リスペリドン、オランザピンなど)は、一般に、ドーパミン作動性拮抗薬としてもセロトニン作動性拮抗薬としても、特に、5−HT型受容体のレベルで作用する(Psychopharmacol. Bull. 1989, 25, 390-92; Psychopharmacology 1993, 112, S40-S54)。これらの医薬はそれぞれ、ドーパミン作動性受容体およびセロトニン作動性受容体サブタイプのレベルにおいてだけでなく、ムスカリン性受容体、アドレナリン作動性受容体およびヒスタミン受容体のレベルにおいても異なる親和特性を有する。このように、「非定型」の状態に特徴的な親和特性は出現していないように思われる。
【0004】
しかしながら、いくつかの臨床試験(Br. Med. J. 2000, 321, 1360-61 および 1371-76)から、一般に、
非定型薬剤の有効性は、少なくとも陽性(または生産的)症状から見て、いわゆる従来の薬剤と同程度であり、欠乏(または陰性)症候群に与える影響をヒト臨床医学において具体化することはさらに困難であること;
非定型薬剤は、従来の薬剤よりも神経耐性に優れているが、さらに、それら特有の副作用(例えば、体重増加、糖尿病、性障害、血液および/または心毒性など)も誘発し、これらの副作用のうちのいくつかは、従来の薬剤を用いた治療に関連して時々起こる錐体外路症状と同じくらい重篤であること(Br. Med. J. 2002, 325, 243-5)
は明らかである。
【0005】
従って、全体的に見て、統合失調症性精神病の治療のための現在の治療的アプローチは十分に満足できるものではない(J. Med. Chem. 2001, 44 (4) 477-501)。そのため、さらに効果的で耐性に優れた新規治療の発見が大いに望まれる。
【0006】
動物では、5−HT1拮抗薬により、とりわけ、カタレプシーを治療することができ(J. Neural Transm. 1991, 83 (1-2), 43-53; J. Pharmacol. Exp. Ther. 1993, 265 (1), 207-17; Eur. J. Pharmacol. 1998, 356, 189-92)、また、D拮抗薬によって誘導される血漿中のプロラクチン値の上昇を軽減することができる(J. Pharmacol. Exp. Ther. 1989, 249, 23641)ことが示されている。また、5−HT1作動薬は、前頭前野においてドーパミンおよびアセチルコリンの放出を増加させるそれらの能力により(Brain Res. 2002, 939, 34-42)、従来の薬剤になく、かつ、いわゆる「非定型」薬剤の欠乏防止活性に寄与すると考えられている特性を有している(J. Psychopharmacol. 2001, 15 (1) 37-46)。最後に、5−HT1作動薬の抗不安作用および抗鬱作用は、統合失調症性精神病の治療時には有利となる。そのため、同じ医薬においてD受容体拮抗薬タイプと5−HT1サブタイプ受容体作動薬タイプとの活性を組み合わせることで、従来の薬剤よりも(例えば、錐体外路症状)、また、大部分の非定型薬剤よりも広域の活性範囲(例えば、陽性症状、欠乏防止活性、抗鬱活性など)を与え、さらに、優れた耐性も与えることから、それは理論的には大変望ましいことである。D拮抗薬と5−HT1作動薬との組合せによって示される治療上の効用の可能性を前提として、このような特性を有する多くの化合物が文献において記載されている(J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000, 295 (3), 853-61)。例として、アリールピペラジン誘導体(例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2345-49; J. Med. Chem. 2001, 44, 186-97; Biorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 1679-82; Pharmazie 2001, 56, 803-07; J. Med. Chem. 1998, 41, 2010-18; Pharmazie, 1998, 53, 438-41; Arzneim-Forsch. 1997, 47, 239-43; Med. Chem. Res. 1997, 7, 76-86; Pharmzie 1997, 52, 423-8; J. Med. Chem. 1994, 37, 99-104; 独国特許第10043659号明細書;国際公開第02/16354号パンフレット;国際公開第98/11068号パンフレット;国際公開第97/03067号パンフレット; J. Med. Chem. 1992, 35, 552-58; J. Med. Chem. 1995, 38, 1498-20;国際公開第99/55672号パンフレット;米国特許第6310066号明細書; J. Med. Chem. 1998, 41, 760-71および国際公開第097/11070号パンフレット; Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2345-49; Drug of the Future 2001, 26, 128-32; Exp. Opin. Ther. Patents 1998, 8, 737-40および欧州特許第900792号明細書;欧州特許第770066号明細書;国際公開第97/36893号パンフレット;国際公開第97/11070号パンフレットおよびJ. Med. Chem. 1998, 41, 760-71;国際公開第98/18797号パンフレット;国際公開第01/68063号パンフレット);アミノテトラリン誘導体(例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 1583-86; Biorg. Med. Chem. Lett. 1999, 7, 1263-71および2541-48; Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 7, 2541-48; J. Med. Chem. 1993, 36, 1053-68);ベンゾジオキサン誘導体(例えば、欧州特許第707007号明細書;国際公開第01/72741号パンフレット;国際公開第98/40386号パンフレット;国際公開第98/29415号パンフレット;国際公開第97/23485号パンフレット;国際公開第95/07274号パンフレットおよびJ. Med Chem. 1999, 42, 3342-55;国際公開第97/17343号パンフレット;欧州特許第669331号明細書);アリールオキシエチルアミン誘導体(例えば、国際公開第01/98293号パンフレット;国際公開第98/08817号パンフレット;米国特許第5958965号明細書;国際公開第99/51576号パンフレット)が記述されている。
【0007】
しかしながら、D拮抗薬および5−HT1作動薬として記載されている化合物が多く存在するにもかかわらず、臨床的に使用可能なのは依然として1つだけ(すなわち、ネモナプリド:RN 75272−39−8)であり、神経安定薬の適応において開発を推進しているものとして3つ、すなわち、SSR−181507(Sanofi-Synthelabo)、ビフェプルノックスおよびSLV−313(Solvay)が報告されている(PJB Publications Ltd. 2002)。候補の数と臨床医学における化合物の数との相違から、とりわけ、単一化学物質によって2つの異なる系の同時作用から付加的作用を得ることが困難であることが示される。この関連で、出願者は(3−シクロペンテン−1−イル−[ベンジルまたはピリド−3−イルメチル])−(2−アリールオキシエチル)アミンから誘導されたいくつかの化合物が、それらが各々、拮抗薬および作動薬として働くレベルにおいて、D/Dサブタイプのドーパミン作動性受容体および5−HT1サブタイプのセロトニン作動性受容体と選択的に相互作用することを発見した。従来の薬剤のように、また、いわゆる「非定型」化合物とは違い、本発明の化合物は、Dタイプ受容体を効果的に阻害し、その結果として、統合失調症の生産的症状の治療において潜在的に有効であるという、in vivoでの利点を有している。また、従来の薬剤や特定の非定型薬剤とは違い、本発明の化合物は動物において、薬理学的用量よりもかなり高用量であってもカタレプシーを引き起こさない。動物におけるカタレプシーの誘発は、ヒトにおいて現れる錐体外路症状の典型例であるとして知られている。そのため、この関連で、本発明の化合物の活性特性は非常に注目すべきである。それゆえ、そのようなものとして、本発明の化合物は、治療上の必要性が存在する統合失調症性精神病の治療に潜在的に有用である。当技術分野の最近の状況は、特許第05255302号公報および特許第05125024号公報に記載されている式:
【化1】

[式中、
R1、R2、R5およびR6は水素原子または単純なアルキル基であってよく;
R3およびR4は、とりわけ、水素原子または単純なアルキル基を表し;
mは1〜5であり;
nは1〜4である]
の化合物により表される。
【0008】
当該化合物は中枢神経系に影響を与える疾病の治療に有用である5−HT1受容体の選択的リガンドであるとして主張されている。
【0009】
米国特許第6121307号明細書および国際公開第99/51575号パンフレットは式:
【化2】

[式中、
R1は水素原子であってよく;
XおよびYはフラニルタイプまたはジヒドロフラニルタイプの複素環を形成することができ;
nは2〜5である]
のN−[(アリールオキシ)エチル]インドイルアルキルアミンを、鬱病の治療において有用である、特に、5−HT1受容体でのセロトニン作動系のレベルにおいて活性な薬剤として主張している。
【0010】
よって、本発明の化合物は、それらの作用機序においてもそれらの化学式においても先行技術の誘導体とは異なっている。例えば、[3−シクロペンテン−1−イル−ベンジルアミノ]部分は、錯化剤として使用される4−(1−シクロペンテン−1−イル)−2−[(ジアルキルアミノ)メチル]フェノールタイプの誘導体にのみ見られる(Izv. Vyssh. Uchebn. Zaved., Khim. Tekhnol. 1980, 23 (4), 406-11)。そのため、本発明の化合物の大きな利益は、セロトニン作動系およびドーパミン作動系のレベルにおけるそれらの補完作用に、場合によっては、時として相乗作用にある。実際、本発明者らは、in vivoで、本発明の特定の化合物の用量−作用曲線(すなわち、ドーパミン作動性受容体の活性化に起因するステレオタイピズム(stereotypism)の正常化)が選択的5−HT1拮抗薬 WAY−100635(RN 162760-96-5)の存在下では右方に移行することを示している。反対に、これらの同じ生成物はWAY−100635の存在下でカタレプシー誘発性が高くなる。同様の、作用機序の複合を主張している先行技術(Psychopharmacol. 1999, 144 (1), 20-29)の化合物に関する結果からは予測されない、活性のこの相乗効果が、現在の医薬が全体として満足し得ない分野においてヒト臨床医学の新たな治療展望を開く。
【0011】
より具体的には、本発明の主題は、基本骨格が一般式(1)と対応する[(ベンゾフラニル−7−オキシ)エチル]−[(シクロペンテン−1−イル)−{アリールまたはヘテロアリール}−メチル]アミン型の新規な誘導体、その付加塩および場合によっては付加塩と薬学上許容される無機酸または有機酸との水和物、ならびにその互変異性体、純粋なエナンチオマーおよびラセミまたは非ラセミエナンチオマーの混合物である。
【化3】

[式中、
(a)は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CH、CH、CHCH、CCHまたはC(CH基、C(CH基(すなわち、一緒に結合して、スピロ−シクロプロパン単位を形成する、二つのメチレン基を有する炭素原子)またはC(CH基(すなわち、他のメチレン基と結合して、スピロ−シクロブタン単位を形成する、二つのメチレン基を有する炭素原子)を表し、ただし、(a)が二重結合のときは、Wは必ずCHまたはCCH基を表し、(a)が単結合のときは、Wは必ずCH、CHCH、C(CH、C(CHまたはC(CH基を表し、
Xは、水素原子を有する炭素原子(CH)または窒素原子を表し、
Yは、水素原子またはフッ素原子を表す]
本発明の化合物は、その構造に不斉炭素原子を含むことがある。したがって、エナンチオマーの形態で存在する。本発明は、純粋な各エナンチオマー、すなわち混合している他のエナンチオマーが5%未満であるもの、およびそれらの適当な割合での混合物に関する。したがって、本発明の化合物は、純粋なエナンチオマーまたはラセミ若しくは非ラセミの混合物として用いてもよい。
本発明は、最終的に、一般式(1)の誘導体の製造方法まで及ぶ。一般式(1)の誘導体は、スキームAに記載の工程により得ることができる。
【化4】

【0012】
スキームA
式(1)の化合物は、XおよびYが上記と同義である式(2)のアルデヒドと、(a)およびWが上記と同義である式(3)の第一級アミンとの常法の還元アミノ化反応により製造される。「常法の還元アミノ化反応」は、式(2)のアルデヒドと式(3)の第一級アミンとを適当な溶媒において反応させ、この試薬(2)および(3)の混合物を、有機化学者に公知の方法に従い、還元剤に付した。
【0013】
式(1)の化合物は結晶化および/または液層クロマトグラフィー技術から選択される1以上の方法に従い、精製した。これらは、必要であれば、薬学上許容される酸を用いて塩としてもよい。
【0014】
式(2)のアルデヒドの製造は、基Xおよび基Yの性質に依存する。従って、Xが水素原子を有する炭素原子(CH)を表し、Yが水素原子であるアルデヒド(2a)の製造はスキームBに記載される。
【化5】

【0015】
スキームB
式(4a)の3−シクロペンテン−1−イル安息香酸エチルは、市販の3−ヨード安息香酸エチルおよびシクロペンテンから、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(RN52409−22−0)により触媒されるヘック(Heck)反応を用いて、直接得られる。例えば、水素化リチウムアルミニウムのような水素化物供与剤を用いた、式(4a)の化合物のエステル官能基の還元により、式(5a)のアルコールが導かれる。期待される式(2a)のアルデヒドへの第一級アルコール官能基の酸化は、高温状態のクロロホルム中の二酸化マンガンを用いて行う。Xが(CH)基を表し、Yがフッ素原子を表すアルデヒド(2b)の製造は、スキームCに記載される。
【化6】

【0016】
スキームC
式(7)の3−(2−オキソシクロペンチル)安息香酸エチルは、式(6)のエポキシドの転移により得られ(J.Org.Chem 1996, 61(5), 1877-79 およびSynth.Commun. 1990, 20(12), 1751-56)、式(6)のエポキシド自体は、例えば、m−クロロ過安息香酸のような有機過酸を用いた、中間体(4a、スキームB)の二重結合のエポキシ化により製造される。式(7)の化合物のケトン官能基のgem-ジフルオロ官能基への転換により、塩基溶剤におけるHFの除去を経て(Tetrahedron 1990, 46(12), 4255-60)、式(4b)の誘導体が得られる。化合物(4b)のエステル官能基の第一級アルコールへの還元、および、上記の手順(スキームB参照)と同様の手順に従った酸化により、期待される式(2b)アルデヒドが導かれる。
【0017】
Xが窒素原子を表し、Yが水素原子を表すアルデヒド(2c)の製造は、スキームDに記載される。
【化7】

【0018】
スキームD
Eur. J. Med. Chem. 1991, 26, 563 に記載したものと同様のプロトコールに従って行った、5−ブロモニコチン酸(RN−29681−44−5)のメチルエステルへの1,4−ビス(ブロモマグネシオ)ブタン(RN23708−47−6)の付加により、式(8)の1−(5−ブロモピリジン−3−イル)シクロペンタノールが導かれる。Tetrahedron Lett. 2002, 43, 4285-87. に記載したものと同様の方法を利用して、脱水反応により、期待されるアルデヒド(2c)に転換される、不飽和誘導体(9)が得られる。
【0019】
Wおよび(a)が上記と同義である、式(3)の第一級アミンは、米国特許第6121307号明細書、国際公開第00/58282号パンフレットおよび国際公開第00/32557号パンフレットに記載したものと同様の方法に従って製造してもよい(スキームE):
【化8】

従って、市販の1−ブロモ−2−クロロエタンを用いて、適当に置換された水酸化誘導体(10)をモノアルキル化することにより、式(11)のエーテルが導かれる。例えばアジ化ナトリウムやフタルイミドカリウムのような適当な試薬を用いて、化合物(11)の塩素原子の置換によって、窒素原子が導入される。第一級アミン官能基は、アジド官能基の還元またはフタルイミド官能基のヒドラジン分解のいずれかによって放出され、対応する第一級アミン(3)が得られる。
【0020】
式(11)の化合物の合成における原料として用いられる、式(10)の水酸化誘導体は、以下の方法で得られる:
WがC(CH基であり、(a)が単結合を表す、化合物(10a)は市販されている(RN−1563−38−8);
WがCHCH基であり、(a)が単結合を表す、化合物(10b)は米国特許第3547955号明細書、国際公開第87/00840号パンフレットおよび国際公開第96/30367号パンフレットに記載されている;
WがCH基であり、(a)が二重結合を表す、化合物(10c)は米国特許第6121307号明細書に従って製造する;
WがCCH基であり、(a)が二重結合を表す、化合物(10d)はTetrahedron 1996, 52(28), 9499-9508に記載されている方法に従って製造する;
WがCH基であり、(a)が単結合を表す、化合物(10e)は仏国特願0103877号明細書に従って製造する;
WがC(CH基であり、(a)が単結合を表す、化合物(10f)は以下のスキームFで説明される工程に従って製造する。
【化9】

【0021】
スキームF
式(12)の化合物のヒドロキシル基、EP50957、はまずシリル化エーテルの形態で保護される(スキームFにおいて、略語TBSは、tert−ブチルジメチルシリルを意味する)。式(13)の化合物のエステル官能基は、水素化物供与剤を用いて第一級アルコールに還元されてもよい(J. Pharm. Pharmacol. 1999, 51(4), 427-34)。化合物(14)のヒドロキシル基の塩素原子への転換の後、還元的転移反応(Tetrahedron Lett. 2001, 42, 939-41)により、エキソ−メチレン誘導体(16)を得ることが可能となる。J. Org. Chem. 1992, 57(19), 5271-76, に従って行ったシクロプロパン化反応により、スピロ−プロパン化合物(17)が提供され、その後脱保護されて、期待される化合物(10f)が得られる。
【0022】
本発明の対象は、有効成分として、一般式(1)の少なくとも1つの誘導体またはそれらの塩もしくはそれらの塩の水和物の1つを、1種以上の不活性担体または他の薬学上許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物である。
【0023】
本発明の医薬組成物は、例として、経口、経鼻、舌下、直腸または非経口投与することができる化合物であってよい。経口投与することができる組成物の例としては、錠剤、ゼラチンカプセル剤、顆粒剤、散剤および経口液剤または経口懸濁液剤が挙げられる。投与に向けて選択される形態に好適な処方物は知られており、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, l9th edition, 1995, Mack Publishing Companyに記載されている。
【0024】
本発明の化合物の有効用量は、例えば、選択される投与経路、体重、年齢、性別、治療する病変の進行状況および治療を受ける個体の感受性などの多くのパラメーターに応じて異なる。そのため、最適用量は、その分野の専門家が関係すると判断するパラメーターに応じて決定される必要がある。本発明の化合物の有効用量は大きな割合で異なり、1日用量は治療を受ける個体の体重kg当たり0.001mg〜100mgである。しかしながら、本発明の化合物の1日用量は、治療を受ける個体の体重kg当たり0.010mg〜50mgであることが好ましい。
【0025】
本発明の医薬組成物は統合失調症性精神病の治療に用いられる。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は本発明を例示するものであるが、その範囲を限定しない。
【0027】
以下の実施例では:
(i)反応の進行は薄層クロマトグラフィー(TLC)で観察し、その結果、反応時間は単なる目安として記載される。
【0028】
(ii)結晶形態が異なればその融点が異なる場合がある;本願で報告される融点は記載された方法に従って製造された生成物のものであり、補正されていないものである。
【0029】
(iii)本発明に従って得られた生成物の構造は、核磁気共鳴(NMR)、赤外線(IR)スペクトルおよび百分比分析法により確認する;最終生成物の純度はTLCにより確認する。
【0030】
(iv)NMRスペクトルは指定の溶媒中で記録される。化学シフト(δ)はテトラメチルシランに対し、百万分の一(ppm)の単位で表される。シグナルの多重度は、s,一重項;d,二重項;t,三重項;q,四重項;m,多重項;b,幅広で示す。
【0031】
(v)種々の単位記号は一般的な意味を有するものである:mg(ミリグラム);g(グラム);ml(ミリリットル);℃(摂氏温度);mmol(ミリモル);nmol(ナノモル);cm(センチメートル)。
【0032】
(vi)略語は以下の意味を有する:m.p.(融点);b.p.(沸点)。
【0033】
(vii)本願において、圧力値はミリバールで示し;「室温」とは、20℃〜25℃の温度を意味すると考える。
【0034】
実施例1:3−シクロペンテン−1−イル安息香酸エチル(4a)
以下のものを連続的に丸底フラスコに導入する:7gの3−ヨード安息香酸エチル(25mmol)、11.2mlのシクロペンテン(127mmol)、21mlのエタノール、1.16gのPddba複合体(1.27mmol)、8.8gの炭酸カリウム(63mmol)および8.17gのnBuNBr(25mmol)。媒質を80℃で16時間加熱し、次いで、黒色の混合物をセライトで濾過する。沈殿物を酢酸エチルで洗浄する。その濾液を水、次に、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮する。バルブトゥーバルブ(bulb to bulb)蒸留により単離し、淡黄色の油状物として標題の生成物(5.2g)を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 1.39 (t, J = 7.1 Hz, 3H); 2.04 (m, 2H); 2.54 (m, 2H); 2.73 (m, 2H); 4.34 (q, J = 7.1 Hz, 2H); 6.27 (s, 1H); 7.35 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.61 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 7.88 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 8.06 (s, 1H)。
【0035】
実施例2:(3−シクロペンテン−1−イルフェニル)メタノール(5a)
エチルエーテル(30ml)中、0℃のLiAlH(0.57g,15mmol)の懸濁液に、エーテル(25ml)中、3−シクロペンタ−1−イル安息香酸エチル(4a)(2.5g,12mmol)の溶液を滴下する。この混合物を室温で一晩攪拌する。反応混合物を0℃に冷却した後、4.1mlの10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下する。形成された白色の沈殿物を真空濾過し、固体をエーテルで洗浄した後、その濾液を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:90/10)により精製する。無色の油状物として標題の生成物(1.35g)を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 2.02 (m, 2H); 2.53 (m, 2H); 2.72 (m, 2H); 3.74 (s, 1H); 4.68 (d, J = 6.0 Hz, 2H); 6.21 (s, 1H); 7.20 (d, J = 7.4 Hz, 1H); 7.29 (t, J = 7.6 Hz, 1H); 7.38 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 7.44 (s, 1H)。
【0036】
実施例3:3−シクロペンテン−1−イルベンズアルデヒド(2a)
1.35g(8mmol)の(3−シクロペンテン−1−イルフェニル)メタノール(5a)と80mlのクロロホルムとを丸底フラスコに導入する。6.8gのMnOを添加した後、懸濁液を60℃で2時間加熱する。この混合物を高温状態で濾過し、沈殿物をクロロホルムで洗浄した後、その濾液を減圧下で濃縮する。黄色の油状物として標題の生成物(1.05g)を得、これをさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
1H NMR (CDCl3): δ 2.06 (m, 2H); 2.57 (m, 2H); 2.72 (m, 2H); 6.30 (s, 1H); 7.49 (t, J = 7.6 Hz, 1H); 7.71 (m, 2H); 7.91 (s, 1H); 10.02 (s, 1H)。
【0037】
実施例4:3−(6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−安息香酸エチル(6)
5g(23mmol)の3−シクロペンタ−1−イル−安息香酸エチル(4a)と100mlの塩化メチレンとを丸底フラスコに導入する。この溶液を0℃に冷却し、9g(28mmol)のメタ−クロロ過安息香酸を少量ずつ添加する。混合物を0℃で30分間、次に、室温で4時間攪拌する。この混合物を濾過する。その濾液をチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、次に、塩化ナトリウム飽和水溶液で連続洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製する(シクロへキサン/酢酸エチル:95:5)。無色の油状物として標題の生成物を得る(4.8g)。
1H NMR (CDCl3): δ 1.40 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 1.62 (m, 1H); 1.78 (m, 2H); 2.13 (m, 1H); 2.24 (m, 2H); 3.57 (s, 1H); 4.38 (q, J = 7.2 Hz, 2H); 7.41 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.56 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 7.96 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 8.06 (s, 1H)。
【0038】
実施例5:3−(2−オキソシクロペンチル)安息香酸エチル(7)
4g(17.2mmol)の3−(6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)安息香酸エチル(6)と50mlの塩化メチレンとを丸底フラスコに導入する。この混合物を0℃に冷却した後、2.2ml(17.2mmol)のBF.EtOを滴下する。反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、25mlの重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加する。混合物を沈降分離し、その水相を塩化メチレンで抽出する。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:80/20)により精製する。淡黄色の油状物として標題の生成物を得る(3.4g)。
1H NMR (CDCl3): δ 1.38 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 1.98 (m, 1H); 2, 17 (m, 2H); 2.31 (m, 1H); 2.51 (m, 2H); 3.38 (dd, J = 11.2; 8.6 Hz, 1H); 4.36 (q, J = 7.2 Hz, 2H); 7.39 (m, 2H); 7.86 (s, 1H); 7.93 (m, 1H)。
【0039】
実施例6:3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)安息香酸アルキル(4b)
4gの3−(2−オキソシクロペンチル)安息香酸エチル(7)(17.2mmol)と8mlのトルエンとを丸底フラスコに添加する。次いで、9mlのDAST(69mmol)を滴下し、混合物を60℃で16時間加熱する。この溶液を氷/重炭酸ナトリウム混合物に注いだ後、この混合物を塩化メチレンで抽出する。有機相を水、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでの濾過(シクロへキサン/酢酸エチル:90/10)により精製する。得られた褐色の油状物(2.9g)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶かし、この溶液を−15℃に冷却する。34mlのカリウムtert−ブトキシド(テトラヒドロフラン中1M,34mmol)をゆっくりと添加し、混合物を−15℃で3時間攪拌する。この混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出した後、合わせた有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮する。褐色の油状物(2.5g)を得、これをさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
【0040】
実施例7:3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)メタノール(5b)
0℃に維持したエーテル(20ml)中、LiAlH(0.8g,21mmol)の懸濁液に、エチルエーテル中、誘導体(4b)(2g,9mmol)の溶液を滴下する。この反応混合物を室温までゆっくりと加熱した後、16時間攪拌する。次いで、10%水酸化ナトリウム水溶液(4ml)を0℃にて添加する。形成された白色の沈殿物を真空濾過し、エーテルで洗浄した後、その濾液を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:70/30)により精製する。淡黄色の油状物として標題の生成物を得る(1.62g)。
1H NMR (CDCl3): δ 1.58 (s, 1H); 2.02 (m, 2H); 2.70 (m, 4H); 4.70 (s, 2H); 7.23 (m, 1H); 7.34 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.39 (m, 1H); 7.45 (m, 1H)。
【0041】
実施例8:3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)ベンズアルデヒド(2b)
15mlクロロホルム中、MnO(1.6g)と3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)メタノール(5b)(0.64g,3.3mmol)の懸濁液を60℃で5時間加熱する。この混合物を高温状態で濾過し、沈殿物をクロロホルムで洗浄した後、その濾液を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:80/20)により精製する。黄色の油状物として標題の生成物を得る(0.56g)。
1H NMR (CDCl3): δ 2.04 (m, 2H); 2.74 (m, 4H); 7.51 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.93 (s, 1H); 7.79 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 10.02 (s, 1H)。
【0042】
実施例9:1−(5−ブロモピリジン−3−イル)シクロペンタノール(8)
2.25gのマグネシウムチップ(92.6mmol)とヨウ素結晶の入った丸底フラスコに、数滴の1,4−ジブロモブタンと25mlのテトラヒドロフランとを添加する。脱色されるまでこの混合物を65℃で加熱した後、50mlテトラヒドロフラン中、1,4−ジブロモブタン(10g,46.3mmol)の溶液を滴下する。この反応混合物を65℃で4時間加熱した後、0℃に冷却する。その後、60mlテトラヒドロフラン中、2−ブロモニコチン酸エチル(10g,46.3mmol)の溶液を添加する。反応混合物を室温まで冷却し、16時間攪拌する。反応混合物を0℃にて塩化アンモニウム飽和水溶液にゆっくりと注いだ後、その媒質を酢酸エチルで抽出する。有機相を水、次に、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:70/30)により精製する。白色の固体として標題の生成物(3.6g)を得る。
m.p.=74℃
1H NMR (CDCl3):δ 1.76 (m, 2H); 1.87 (m, 6H); 2.73 (m, 2H); 3.93 (s, 1H); 7.15 (d, J = 5.0 Hz, 1H); 8.38 (d, J = 5.0 Hz, 1H); 8.64 (s, 1H)。
【0043】
実施例10:3−ブロモ−5−シクロペンテン−1−イルピリジン(9)
5ml濃塩酸を含有する50mlトルエン中、1−(5−ブロモピリジン−3−イル)シクロペンタノール(8)(1.7g,11.3mmol)の溶液を120℃で12時間、生成される水を除去しながら加熱する。次いで、混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水、次に、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:60/40)により精製する。ベージュ色の固体として標題の生成物を得る(1.65g)。
m.p.=43℃
1H NMR (CDCl3): δ 2.05 (m, 2H); 2.57 (m, 2H); 2.72 (m, 2H); 6.31 (s, 1H); 7.82 (m, 1H); 8.49 (d, J = 2.0 Hz, 1H); 8.59 (d, J = 2.0 Hz, 1H)。
【0044】
実施例11:5−シクロペンテン−1−イルピリジン−3−カルボキサルデヒド(2c)
25mlエーテル中、3−ブロモ−5−シクロペンテン−1−イルピリジン(9)(1g,4.5mmol)の溶液を−60℃に維持した25mlエーテル中、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,4.2ml,6.7mmol)の溶液に添加する。この反応混合物を−60℃で2時間30分間攪拌した後、1.4mlの4−モルホリンカルボキサルデヒド(13.4mmol)を添加する。反応物を−60℃で1時間攪拌した後、水に注ぎ、有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:80/20)により精製する。ベージュ色の固体として標題の生成物を得る(0.38g)。
m.p.=50℃
1H NMR (CDCl3): δ 2.10 (m, 2H); 2.61 (m, 2H); 2.72 (m, 2H); 6.49 (s, 1H); 8.32 (s, 1H); 8.89 (s, 1H); 8.93 (s, 1H); 10.10 (s, 1H)。
【0045】
実施例12:7−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)ベンゾフラン−2−メトキシカルボニル(13)
0℃に維持したジメチルホルムアミド(10ml)中、7−ヒドロキシベンゾフラン−2−メトキシカルボニル(1.96g,10.2mmol)の溶液に、1.61gのtert−ブチルジメチルシラン(10.7mmol)と0.73gのイミダゾール(10.7mmol)とを添加する。この混合物を室温で16時間攪拌する。次いで、混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:95/5)により精製する。淡黄色の油状物として標題の生成物を得る(3.1g)。
1H NMR (CDCl3): δ 0.27 (s, 6H); 1.05 (s, 9H); 3.95 (s, 3H); 6.92 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 7.14 (t, J = 7.8 Hz, 1H); 7.25 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 7.49 (s, 1H)。
【0046】
実施例13:[7−(tert−ブチルジメチル−シラニルオキシ)ベンゾフラン−2−イル]メタノール(14)
0℃に維持したエーテル(14ml)中、7−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)ベンゾフラン−2−メトキシカルボニル(13)(2.15g,7mmol)の溶液に、エチルエーテル(1.0M)中、LiAlH(8.4ml,8.4mmol)の溶液を滴下する。この混合物を室温で18時間攪拌した後、0℃に冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液(1.6ml)を滴下して処理する。形成された沈殿物を真空濾過し、エーテルで洗浄する。その濾液を減圧下で濃縮して、無色の液体(1.8g)を得、これをさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
1H NMR (CDCl3): δ 0.24 (s, 6H); 1.04 (s, 9H); 1.85 (t, J = 6.4 Hz, 1H); 4.76 (d, J = 6.0 Hz, 2H); 6.64 (s, 1H); 6.76 (d, J = 7.7 Hz, 1H); 7.04 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.14 (d, J = 7.7 Hz, 1H)。
【0047】
実施例14:tert−ブチルジメチル−(2−クロロメチルベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(15)
0℃に維持した塩化メチレン(9ml)中、[7−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)ベンゾフラン−2−イル]メタノール(14)(1.78g,6.4mmol)の溶液に、2.5g(9.5mmol)のトリフェニルホスフィンと0.92ml(9.5mmol)の四塩化炭素とを添加する。この反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を30mlのシクロへキサンに溶かし、0℃で1時間攪拌する。形成された沈殿物を濾過し、その濾液を濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:95/5)により精製する。淡黄色の液体として標題の生成物を得る(1.5g)。
1H NMR (CDCl3): δ 0.25 (s, 6H); 1.04 (s, 9H); 4.70 (s, 2H); 6.70 (s, 1H); 6.80 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.07 (t, J = 7.7 Hz, 1H); 7.14 (d, J = 7.7 Hz, 1H)。
【0048】
実施例15:tert−ブチルジメチル−(2−メチレン−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(16)
0℃に維持したテトラヒドロフラン(10ml)中、CrCl(1.4g,8.85mmol)の懸濁液に、LiAlH(テトラヒドロフラン中1.0M,4.5ml,4.5mmol)を滴下し、この混合物を15分間攪拌する。次いで、その溶液をジメチルホルムアミド(18ml)およびイソプロパノール(1.35ml)で希釈する。0℃に維持した得られた溶液に、ジメチルホルムアミド(15ml)中のtert−ブチルジメチル−(2−クロロメチルベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(15)(1.05g,3.54mmol)を添加する。この混合物を室温で18時間攪拌した後、水に注ぎ、ペンタンで抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。無色の液体(0.78g)を得、これをさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
1H NMR (CDCl3): δ 0.21 (s, 6H); 1.00 (s, 9H); 3.89 (s, 2H); 4.26 (d, J = 2.0 Hz, 1H); 4.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H); 7.72 (m, 1H); 7.79 (m, 1H)。
【0049】
実施例16:tert−ブチルジメチル−(2−スピロシクロプロパン−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(17)
0℃に維持したジクロロエタン(15ml)中、tert−ブチルジメチル−(2−メチレン−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(16)(0.78g,2.97mmol)の溶液に、トルエン中、ジエチル亜鉛の溶液(1.1M,6.8ml,7.48mmol)を添加する。添加後、1.1mlのクロロヨードメタン(15mmol)を添加し、この混合物を0℃で1時間、次ぎに、50℃で1.5時間攪拌する。混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(10ml)を添加する。15分間攪拌した後、混合物を塩化メチレンで希釈し、水、次ぎに、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:98/2)により精製する。無色の油状物として標題の生成物を得る(0.75g)。
1H NMR (CDCl3): δ 0.15 (s, 6H); 0.67 (s, 2H); 0.96 (s, 9H); 1.16 (s, 2H); 3.28 (s, 2H); 6.69 (m, 2H); 6.77 (m, 1H)。
【0050】
実施例17:2−スピロシクロプロパン−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−オール(10f)
0℃にて、10mlテトラヒドロフラン中、tert−ブチルジメチル−(2−スピロシクロプロパン−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)シラン(17)(0.57g,2.06mmol)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(テトラヒドロフラン中1.0M,3.1ml,3.1mmol)の溶液を添加する。この溶液を0℃で2時間攪拌した後、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(シクロへキサン/酢酸エチル:80/20)により精製する。白色の固体として標題の生成物(0.3g)を得る。
m.p.=85〜86℃;
1H NMR (CDCl3): δ 0.71 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 1.20 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 3.34 (s, 2H); 4.77 (s, 1H); 6.76 (m, 3H)。
【0051】
実施例18:[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン(1a)
【化10】

15mlの1,2−ジクロロエタン中、3−シクロペンテン−1−イルベンズアルデヒド(2a)(0.56g,3.26mmol)と[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)]エチルアミン(3a)(0.68g,3.26mmol)との溶液に、1.5gの硫酸マグネシウムを添加し、この混合物を60℃で17時間加熱する。混合物を室温まで冷却し、固体を濾別し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を15mlのメタノールで希釈した後、0℃に冷却する。次いで、0.35gの水素化ホウ素カリウム(6.52mmol)を導入し、反応混合物を0℃で3時間攪拌する。次いで、この混合物を氷冷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール/アンモニア水:98/1.5/0.5)により精製する。無色の油状物として標題の生成物(0.61g)を単離する。
1H NMR (CDCl3): δ 1.48 (s, 6H); 2.00 (m, 2H); 2.54 (m, 2H); 2.69 (m, 2H); 3.01 (s, 2H); 3.04 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.85 (s, 2H); 4.18 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.18 (s, 1H); 6.74 (m, 3H); 7.19(d, J = 7.4 Hz, 1H); 7.25 (t, J = 8.7 Hz, 1H); 7.32 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.41 (s, 1H)。
標題の化合物のフマル酸塩:
m.p.=146℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.39 (s, 6H); 1.96 (m, 2H); 2.51 (m, 2H); 2.65 (m, 2H); 2.96 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 2.99 (s, 2H); 3.91 (s, 2H); 4.11 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.27 (s, 1H); 6.56 (s, 2H); 6.71 (m, 1H); 6.79 (m, 2H); 7.31 (m, 2H); 7.37 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.50 (s, 1H)。
IR (KBr) ν: 3060, 2967, 1719, 1463cm−1
2429NO.Cについての元素分析
理論値%: C 70.13 H 6.94 N 2.92
分析値: C 69.92 H 6.93 N 2.89.
【0052】
実施例19:[2−(ベンゾフラン−7−イルオキシ)−エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン(1c)
【化11】

実施例18と同様の方法を、式(3a)の[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)]エチルアミンの代わりに式(3c)の2−(ベンゾフラン−7−イルオキシ)エチルアミンを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 2.04 (m, 2H); 2.53 (m, 2H); 2.70 (m, 2H); 3.12 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 3.90 (s, 2H); 4.33 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 6.19 (s, 1H); 6.76 (s, 1H); 6.83 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.13 (t, J = 7.8 Hz, 1H); 7.19 (m, 2H); 7.29 (m, 2H); 7.33 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.44 (s, 1H); 7.61 (d, J = 2.0 Hz, 1H)。
標題の生成物のフマル酸塩:
m.p.=126℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.95 (m, 2H); 2.49 (m, 2H); 2.64 (m, 2H); 3.04 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.91 (s, 2H); 4.29 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.26 (s, 1H); 6.57 (s, 2H); 6.93 (m, 2H); 7.15 (t, J = 7.8 Hz, 1H); 7.26 (m, 3H); 7.36 (d, J = 7.2 Hz, 1H); 7.49 (s, 1H); 7.95 (s, 1H);
IR (KBr) ν: 3498, 2952, 2842, 1701, 1486cm−1
2223NO.Cについての元素分析
理論値%: C 69.47 H 6.05 N 3.12
分析値: C 69.25 H 6.08 N 3.05.
【0053】
実施例20:[2−(2−メチルベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン(1d)
【化12】

実施例18と同様の方法を、式(3a)の[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)]エチルアミンの代わりに式(3d)の2−(2−メチルベンゾフラン−7−イルオキシ)エチルアミンを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 2.01 (m, 2H); 2.45 (s, 3H); 2.53 (m, 2H); 2.71 (m, 2H); 3.12 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.89 (s, 2H); 4.32 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.20 (s, 1H); 6.36 (s, 1H); 6.76 (m, 1H); 7.07 (m, 2H); 7.21 (d, J = 7, 4 Hz, 1H); 7.28 (m, 2H); 7.33 (d, J = 7, 6 Hz, 1H); 7.43 (s, 1H)。
標題の生成物のフマル酸塩:
m.p.=133℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.96 (m, 2H); 2.43 (s, 3H); 2.49 (m, 2H); 2.67 (m, 2H); 3.02 (t, J =5.6 Hz, 2H); 3.89 (s, 2H); 4.26 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.26 (s, 1H); 6.55 (s, 1H); 6.57 (s, 2H); 6.84 (m, 1H); 7.08 (m, 2H); 7.28 (m, 2H); 7.35 (d, J = 7.3 Hz, 1H); 7.49 (s, 1H);
IR (KBr) ν: 3421, 3048, 2952, 2846, 1709, 1587cm−1
2325NO.Cについての元素分析
理論値%: C 69.96 H 6.31 N 3.02
分析値: C 70.04 H 6.30 N 2.98.
【0054】
実施例21:[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン(1e)
【化13】

実施例18と同様の方法を、式(3a)の[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)]エチルアミンの代わりに式(3e)の2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチルアミンを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (DMSOd6): δ 1.95 (m, 2H); 2.40 (m, 2H); 2.65 (m, 2H); 2.81 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.13 (t, J = 8.8 Hz, 2H); 3.74 (s, 2H); 4.03 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 4.46 (t, J = 8.8 Hz, 2H); 6.25 (s, 1H); 6.79 (m, 3H); 7.27 (m, 3H); 7.42 (s, 1H)。
標題の生成物のフマル酸塩:
m.p.=118℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.92 (m, 2H); 2.49 (m, 2H); 2.65 (m, 2H); 2.93 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.16 (t, J = 8.8 Hz, 2H); 3.88 (s, 2H); 4.11 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 4.50 (t, J = 8.8 Hz, 2H); 6.27 (s, 1H); 6.56 (s, 2H); 6.81 (m, 3H); 7.24 (d, J = 6.9 Hz, 1H); 7.30 (t, J = 7.4 Hz,1H); 7.36 (d, J = 7.3 Hz, 1H); 7.48 (s, 1H);
IR (KBr) ν: 3536, 3448, 2949, 2851, 1612, 1466cm−1
2225NO.Cについての元素分析
理論値%: C 69.16 H 6.47 N 3.10
分析値: C 68.99 H 6.55 N 3.32
【0055】
実施例22:[2−(2−スピロシクロプロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン(1f)
【化14】

実施例18と同様の方法を、式(3a)の[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)]エチルアミンの代わりに式(3f)の2−(2−スピロシクロプロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチルアミンを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 0.69 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 1.22 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 1.23 (s, 1H); 2.01 (m, 2H); 2.51 (m, 2H); 2.70 (m, 2H); 3.01 (t, J = 5.2 Hz, 2H): 3.31 (s, 2H); 3.84 (s, 2H); 4.17 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 6.18 (s, 1H); 6.83 (m, 3H); 7.18 (d, J = 7.4 Hz, 1H); 7.25 (t, J = 7.6 Hz, 1H); 7.31 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.40 (s, 1H)。
標題の生成物のマレイン酸塩:
m.p.=180℃
1H NMR (DMSOd6): δ 0.78 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 1.06 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 1.98 (m, 2H); 2.51 (m, 2H); 2.67 (m, 2H); 3.32 (m, 4H); 4.23 (m, 4H); 6.02 (s, 2H); 6.32 (s, 1H); 6.83 (m, 3H); 7.38 (m, 2H); 7.51 (d, J = 7.6 Hz, 1H);
IR (KBr) ν: 3454, 2998, 2957, 2841, 1621, 1461cm−1
2427NO.Cについての元素分析
理論値%: C 70.42 H 6.54 N 2.93
分析値: C 70.27 H 6.59 N 3.14
【0056】
実施例23:[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−[3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)ベンジル]アミン(1g)
【化15】

実施例18と同様の方法を、式(2a)の3−シクロペンテン−1−イルベンズアルデヒドの代わりに式(2b)の3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)ベンズアルデヒドを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 1.48 (s, 6H); 1.97 (s, 1H); 2.01 (m, 2H); 2.68 (m, 4H); 3.00 (s, 2H); 3.03 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 3.86 (s, 2H); 4.19 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 6.78 (m, 3H); 7.21 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.29 (t, J = 7.6 Hz, 1H); 7.41 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.44 (s, 1H)。
標題の生成物のフマル酸塩:
m.p.=145℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.39 (s, 6H); 1.95 (m, 2H); 2.67 (m, 4H); 2.94 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 3.03 (s, 2H); 3.87 (s, 2H); 4.09 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.57 (s, 2H); 6.72 (m, 1H); 6.79 (m, 2H); 7.27 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.34 (m, 2H); 7.47 (s, 1H);
IR (KBr) ν: 3426, 2962, 1675, 1463cm−1
2428NFO.Cについての元素分析
理論値%: C 67.59 H 6.48 N 2.82
分析値: C 67.44 H 6.59 N 2.88
【0057】
実施例24:[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(5−シクロペンテン−1−イルピリジン−3−イルメチル)アミン(1b)
【化16】

実施例18と同様の方法を、式(2a)の3−シクロペンテン−1−イルベンズアルデヒドの代わりに式(2c)の5−シクロペンテン−1−イルピリジン−3−イルカルボキサルデヒドを用いて実施することにより標題の化合物を得る。
1H NMR (CDCl3): δ 1.74 (s, 6H); 2.06 (m, 2H); 2.54 (m, 2H); 2.70 (m, 2H); 3.01 (m, 4H); 3.86 (s, 2H); 4.19 (t, J = 5.2 Hz, 2H); 6.28 (s, 1H); 6.75 (m, 3H); 7.71 (s, 1H); 8.49 (s, 1H); 8.57 (s, 1H)。
標題の生成物のフマル酸塩:
m.p.=141℃
1H NMR (DMSOd6): δ 1.39 (s, 6H); 1.98 (m, 2H); 2.51 (m, 2H); 2.69 (m, 2H); 2.92 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 2.98 (s, 2H); 3.89 (s, 2H); 4.08 (t, J = 5.6 Hz, 2H); 6.42 (s, 1H); 6.59 (s, 2H); 6, 71 (m, 1H); 6, 78 (m, 2H); 7.84 (s, 1H); 8.50 (s, 1H); 8.59 (s, 1H);
IR (KBr) v: 3036, 2973, 2847, 1715, 1618, 1491cm−1
2328.Cについての元素分析
理論値%: C 67.48 H 6.71 N 5.83
分析値: C 67.14 H 6.72 N 5.79
【0058】
本発明の化合物の薬理学的研究
1−本発明の化合物のD受容体に対する親和性の測定
本発明の化合物のDタイプの受容体に対するin vitroにおける親和性を、Naunyn-Schimiedeberg's Arch. Pharmacol. Methods, 1985, 329, 333に記載の方法に従って、(H)YM−09151−2(NET−1004 70〜87Ci/mmol)の置換を測定することにより判定した。pKi値、(pKi=−logKi)は少なくとも3回の試験の平均±SEMとして示される。
【0059】
2−本発明の化合物の5−HT1受容体に対する親和性の測定
本発明の化合物の5−HT1Aサブタイプの受容体に対するin vitroにおける親和性を[H]8−OH−DPAT(TRK 850;160〜240Ci/mmol)の置換を測定することにより判定した。5−HT1A受容体との結合試験を、Sleight and Peroutka(Naunyn-Schimiedeberg's Arch. Pharmaco. 1991, 343, 106)に記載されているように実施する。
【0060】
pKi値、(pKi=−logKi)は少なくとも3回の試験の平均±SEMとして示される。
【0061】
3−in vivoにおけるD受容体の拮抗薬活性の評価
本発明の化合物のin vivoにおける抗ドーパミン活性を立証する試験は、J. Pharmacol. Exp. Ther. 1993, 267, 181に記載の方法に従って、ラットで測定される、メチルフェニデートによって誘発される作用の阻害に基づくものである。
【0062】
4−本発明の化合物のカタレプシー誘発作用の評価
本発明の生成物の錐体外路性の副作用をもたらす傾向を評価することができる試験は、Eur. J. Pharmacol. 1996, 313, 25に記載の方法に従って、ラットで測定される、それらのカタレプシー誘発強度に基づくものである。
【0063】
以下の表は、一例として、D受容体および5−HT1で測定したpKi値、ならびに動物において本発明の特定の生成物を経口経路により投与して得られた有効用量(ED50)を示している。本発明の化合物の特性は、ヒト臨床医学において用いられており、参照として選択される物質、すなわち、ネモナプリド(混合化合物:D拮抗薬および5−HT1作動薬)、リスペリドン(非定型抗精神病薬)およびハロペリドール(従来の抗精神病薬)の特性と比較する。
【0064】
【表1】

【0065】
この研究から、本発明の化合物がD受容体および5−HT1サブタイプ受容体に対して高い親和性を有することは明らかである。pKi値の比率は、本発明の化合物とネモナプリドとでは実質的に同じであり[pKi(D)/pKi(%−HT1)≒1.3]、本発明の化合物とネモナプリドとが同程度の親和特性を有していることが分かる(Dおよび5−HT1)。リスペリドンとハロペリドールとは、それらに関する限り、D受容体に対しては優れた親和性を有するが、5−HT1受容体に対してはごく低い親和性しか示さない。
【0066】
本発明の生成物と参照化合物のin vivoにおける抗ドーパミン活性は比較的同等の用量範囲で示される。ステレオタイピズム(Stereotypisms)の正常化の基準に基づくため、5−HT1の活性化によってなされた貢献が顕著には現れていない。しかしながら、本発明者らは、研究を行った化合物のうち、5−HT1受容体に対して高い親和性を有する生成物(すなわち、1a、1fおよびネモナプリド)がカタレプシーをもたらす傾向がより低いことを認めている。この傾向はカタレプシー誘発(望ましくない作用)用量と作用(望ましい薬理活性)の正常化に必要な用量との割合を比較することにより明示される。上で述べるように、生成物1a、1fおよびネモナプリドの場合では、ED50(カタレプシー)/ED50(正常化)>1、一方、リスペリドンおよびハロペリドールの場合では、ED50(カタレプシー)/ED50(正常化)<1である。ネモナプリド(ED50=5mg/kg)に関して得られたカタレプシーの結果に基づき、本発明の化合物(すなわち、1aおよび1f)が、それらに関する限り、高用量(すなわち、40mg/kg)においてさえもカタレプシー誘発作用がないことは驚くべきことである。この場合もED50(カタレプシー)/ED50(正常化)比を比較することが有利である。上で述べるように、この比はネモナプリドの場合、ほぼ3に等しいが、化合物1aおよび1fでは30を上回ることになる。よって、
【0067】
本発明の化合物の抗ドーパミン活性とセロトニン作動活性の両方がin vivoにおいて試験した用量範囲で示されること;
本発明の化合物が、作用機序が先験的に類似している生成物(例えば、ネモナプリド)に対してだけでなく、非定型抗精神病薬(例えば、リスペリドン)および従来の抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)に対してもそれらを組み合わせることによる重要な利点を持つように当該活性が協力すること
は明白と思われる。
【0068】
従って、薬理学的用量よりもかなりの高用量であってもドーパミン作動性拮抗薬特有の副作用(すなわち、動物におけるカタレプシー)をもたらすことなく、強力で効果的なドーパミン作動性拮抗薬として作用し得る本発明の化合物がドーパミン作動性機能障害が原因の疾病、特に、統合失調症性精神病の治療に潜在的に有用である。
【0069】
本発明の化合物は、経口、経鼻、舌下、直腸または非経口において投与し得る。処方の限定されない例として、本発明の化合物の製剤を以下に示す。治療上許容される成分とその他のものは、本発明の範囲を改変しない限り他の割合で導入することができる。以下の処方例において使用する「有効成分」とは、式(1)の化合物または式(1)の化合物の付加塩あるいは、場合によっては、付加塩と薬学上許容される無機もしくは有機酸との水和物を指す。
【0070】
医薬組成物の例
各々10mgの有効成分を含有する1000錠剤分の製剤処方:
有効成分 10g
ラクトース 100g
コムギデンプン 10g
ステアリン酸マグネシウム 3g
タルク 3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物、その付加塩および場合によっては付加塩と薬学上許容される無機酸または有機酸との水和物、ならびにその互変異性体、純粋なエナンチオマーおよびラセミまたは非ラセミエナンチオマーの混合物:
【化1】

[式中、
(a)は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CH、CH、CHCH、CCHまたはC(CH基、C(CH基(すなわち、一緒に結合して、スピロ−シクロプロパン単位を形成する二つのメチレン基を有する炭素原子)またはC(CH基(すなわち、他のメチレン基と結合してスピロ−シクロブタン単位を形成する二つのメチレン基を有する炭素原子)を表し、ただし、(a)が二重結合のときは、Wは必ずCHまたはCCH基を表し、(a)が単結合のときは、Wは必ずCH、CHCH、C(CH、C(CHまたはC(CH基を表し、
Xは、水素原子を有する炭素原子(CH)または窒素原子を表し、
Yは、水素原子またはフッ素原子を表す]。
【請求項2】
下記の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の誘導体、その付加塩および場合によっては付加塩と薬学上許容される無機酸または有機酸との水和物、ならびにその異性体および互変異性体:
2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン;
[2−(ベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン;
[2−(2−メチルベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン;
[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン;
[2−(2−スピロシクロプロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(3−シクロペンテン−1−イルベンジル)アミン;
[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−[3−(2−フルオロシクロペンテン−1−イル)]ベンジル)アミン;
[2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イルオキシ)エチル]−(5−シクロペンテン−1−イルピリジン−3−イルメチル)アミン;
【請求項3】
式(1)の化合物の製造に関する合成中間体としての式(2)の化合物。
【化2】

(上記式中、XおよびYは式(1)において定義された内容と同義である。)
【請求項4】
請求項1または2のいずれかに記載された、医薬としての化合物。
【請求項5】
有効成分として、請求項1または2のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物と、不活性の医薬品基材または他の薬学上許容される担体ならびに場合によっては他の医薬品とを組み合わせて含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項6】
統合失調症または統合失調症の進行の治療に用いられる、請求項5に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2006−508080(P2006−508080A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544396(P2004−544396)
【出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003053
【国際公開番号】WO2004/035561
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】