説明

3次元位置・姿勢認識装置、3次元位置・姿勢認識方法、3次元位置・姿勢認識プログラム

【課題】本発明は、簡易な構成で、エッジ部分の画像解析により対象体の3次元位置・姿勢認識が可能な3次元位置・姿勢認識装置、3次元位置・姿勢認識方法、3次元位置・姿勢認識プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置は、第1画像と、第2画像とのうち少なくとも一方に撮像された対象体1の画像要素を解析し、対象体1におけるエッジの方向を検出する検出手段4と、検出結果に基づいて、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方と対象体1との相対位置を変化させるか否かを判断する判断手段5と、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方を、対象体1に対して相対的に移動させる移動手段6とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元位置・姿勢認識装置、3次元位置・姿勢認識方法、3次元位置・姿勢認識プログラムに関し、特に、3次元位置・姿勢認識に適する画像の撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット等を用いて精密機械部品等の組立てを行う場合、当該部品等の3次元位置・姿勢を認識して、ピッキング等を行う必要がある。ここで3次元位置・姿勢とは、対象体の空間位置及び空間姿勢のうち少なくとも一方(典型的には双方)を含む座標値の組として定義されるものである。その場合、例えば、部品等の画像を撮像し、当該画像を処理するステレオ法や、光切断法等を用いる3次元計測装置を利用して、組立てに用いる部品の3次元位置・姿勢認識処理を行う。
【0003】
従来から、この3次元位置・姿勢認識の精度を高めるために、例えば特許文献1に示されるように、同定した部品等(対象体)に応じて計測方法を変更したり、また特許文献2に示されるように、回転対称性を持たない多角形マークを部品等(対象体)に取り付けて、複数回の画像取得を行ったりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−98217号公報
【特許文献2】特開2010−112729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比較的安価で簡易に用いることができるのは、撮像した左右画像の対応点を求め、その視差情報から距離を計算するステレオマッチングである。ステレオマッチングを用いる場合には、撮像手段として2台のカメラ等を用いて画像を撮像し、対象体の例えばエッジ部分を画像解析していくが、それぞれの画像上の視差方向と平行なエッジ(以下、平行エッジ)が対象体に含まれる場合、当該平行エッジ部分では、ステレオマッチングの精度が低下するという問題があった。ここで画像上の視差方向は、一方のカメラの配置位置と他方のカメラの配置位置とを通る軸(以下、視差方向軸とする)の、左右画像上に射影した成分に沿う方向とする。
【0006】
左右画像における対応点を求める際、まず、左右画像間のレンズの歪みやカメラの傾き等を考慮した画像補正をする。そして、前述の画像上の視差方向とは垂直な画像上の高さ方向を定義し、その高さ方向の等しいブロック範囲の画像について、画像上の視差方向に沿って検索する。この検索において、ブロック範囲の画像の一致度が高い点を対応点とする。このため、画像上の視差方向に沿う平行エッジがあると、その部分では同程度の一致度を持つ点が直線的に連続することになり、一致度が高まる適切な1点を特定できないため、当該問題が生じる。
【0007】
対象体の表面にテクスチャ等がある場合には、当該テクスチャ部分を利用して対応点を特定することも可能であるが、対象体にそのようなテクスチャがないことも多々あり、エッジ部分を用いて適切に対応点を求める必要があった。
【0008】
また当該問題は、撮像に用いるカメラをさらに増やすことによって解決することも可能であるが、カメラが増えることにより画像処理等がさらに複雑となり、処理時間も増大してしまう。また、装置のコスト等の増大も生じることとなるため好ましくない。
【0009】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、エッジ部分の画像解析により対象体の3次元位置・姿勢認識が可能な3次元位置・姿勢認識装置、3次元位置・姿勢認識方法、3次元位置・姿勢認識プログラムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明である3次元位置・姿勢認識装置は、対象体の画像を撮像する第1及び第2撮像手段と、前記第1撮像手段において撮像した第1画像と、前記第2撮像手段において撮像した第2画像とのうち少なくとも一方に撮像された前記対象体の画像要素を解析し、前記対象体におけるエッジの方向を検出する検出手段と、前記検出手段における検出結果に基づいて、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との相対位置を変化させるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記相対位置を変化させると判断した場合、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方を、前記対象体に対して相対的に移動させる移動手段とを備え、前記相対的な移動が行われた場合には、前記第1及び第2撮像手段は、再度前記対象体の画像を撮像して前記第1画像及び前記第2画像のうち少なくとも一方を更新し、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記第1撮像手段の配置位置と前記第2撮像手段の配置位置とを通る視差方向軸の、前記第1画像上又は前記第2画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の視差方向とし、前記判断手段が、検出された前記エッジの方向と前記画像上の視差方向との平行度合いに基づいて、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記画像上の視差方向と平行とみなされる前記エッジ数の、全エッジ数に対する割合が閾値以上である場合に、前記判断手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるように判断することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、所定の基準によって前記画像上の視差方向と平行とみなされる前記エッジの合計長さの、全エッジの合計長さに対する割合が閾値以上である場合に、前記判断手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるように判断することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記移動手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方を、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方の光軸と垂直で、かつ、前記視差方向軸と垂直な方向成分を含むように移動させることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記移動手段が、前記第1及び第2撮像手段の双方を、前記第1及び第2撮像手段の前記光軸の角二等分線に沿う中央光軸を中心に回転移動させることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記移動手段が、前記対象体を、前記第1及び第2撮像手段の光軸の角二等分線に沿う中央光軸を中心に、回転移動させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、3次元位置・姿勢認識装置であって、対象体の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段において撮像した第1画像に撮像された前記対象体の画像要素を解析して前記対象体におけるエッジの方向を検出し、前記撮像手段を移動させる予定移動位置を選定する移動位置選定手段と、前記予定移動位置に前記撮像手段を移動させる移動手段とを備え、前記撮像手段は、前記移動手段によって移動された後、再度、前記対象体の画像である第2画像を撮像し、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記撮像手段の移動前後の配置位置を通る予定視差方向軸の、前記第1画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の予定視差方向とし、前記移動位置選定手段が、検出した前記エッジの方向と前記画像上の予定視差方向との平行度合いに基づいて、前記撮像手段を移動させる予定移動位置を選定することを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項9に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記移動位置選定手段が、前記画像上の予定視差方向と平行とみなされる前記エッジ数の、全エッジ数に対する割合が閾値未満となるような配置位置を、前記撮像手段を移動させる前記予定移動位置に選定することを特徴とする。
【0020】
請求項11の発明は、請求項9又は10に記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記移動位置選定手段が、前記画像上の予定視差方向と平行とみなされる前記エッジの合計長さの、全エッジの合計長さに対する割合が閾値未満となるような配置位置を、前記撮像手段を移動させる前記予定移動位置に選定することを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置であって、前記認識手段は、前記第1画像と前記第2画像とにおける前記対象体のエッジに基づいてステレオマッチングを行い、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行うことを特徴とする。
【0022】
また、請求項13の発明は、3次元位置・姿勢認識プログラムであって、コンピュータにインストールされて実行されることにより、前記コンピュータを請求項1〜12のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置として機能させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14の発明は、3次元位置・姿勢認識方法であって、(a)互いに異なる第1位置と第2位置とから対象体の画像を撮像する工程と、(b)前記第1位置で撮像した第1画像と、前記第2位置で撮像した第2画像とのうち少なくとも一方に撮像された前記対象体の画像要素を解析し、前記対象体におけるエッジの方向を検出する工程と、(c)前記工程(b)における検出結果に基づいて、前記第1位置及び第2位置のうち少なくとも一方と前記対象体との相対位置を変化させるか否かを判断する工程と、(d)前記工程(c)において前記相対位置の移動が必要と判断した場合、前記相対位置を移動させる工程と、(e)前記相対位置が移動された場合、前記相対位置の移動後の前記第1位置と前記第2位置とから再度前記対象体の画像を撮像して、前記第1画像及び前記第2画像のうち少なくとも一方を更新する工程と、(f)前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う工程とを備えることを特徴とする。
【0024】
請求項15の発明は、請求項14に記載の3次元位置・姿勢認識方法であって、前記第1位置と前記第2位置とを通る視差方向軸の、前記第1画像上又は前記第2画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の視差方向とし、前記工程(c)が、検出された前記エッジの方向と前記画像上の視差方向との平行度合いに基づいて、前記相対位置を変化させるか否かを判断する工程であることを特徴とする。
【0025】
請求項16の発明は、請求項14又は15に記載の3次元位置・姿勢認識方法であって、前記第1位置と前記第2位置とにおける撮像が、第1及び第2撮像手段によってそれぞれ行われることを特徴とする。
【0026】
請求項17の発明は、請求項14又は15に記載の3次元位置・姿勢認識方法であって、前記第1位置と前記第2位置とにおける撮像が、単一の撮像手段を移動させて行う時差撮像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1ないし17のいずれの発明においても、撮像によって得た画像上で当該対象体のエッジの方向を判定し、そのエッジ方向に応じて、取得済の画像をそのまま使用するか、それとも、撮像位置と対象体との相対位置を変化させてから再撮像を行うか、という判断を行う。このため、当初に撮像した方向とエッジ方向との関係に応じて、マッチングに適した左右画像を得ることができるので、効率的な対象体の3次元位置・姿勢認識が可能となる。
【0028】
特に請求項2の発明によれば、判断手段が、検出されたエッジの方向と画像上の視差方向との平行度合いに基づいて、第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と対象体との相対位置を変化させるか否かを判断することにより、平行エッジとなってしまうエッジが検出されることを抑制し、画像上の視差方向と平行とみなされないエッジを用いて3次元位置・姿勢認識処理ができるので、3次元位置・姿勢認識の効率が向上する。
【0029】
特に請求項5の発明によれば、移動手段が、第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方を、第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方の光軸と垂直で、かつ、視差方向軸と垂直な方向成分を含むように移動させることにより、視差方向軸の射影成分である画像上の視差方向を第1画像上、第2画像上で回転させ、画像上の平行エッジを平行とみなされないエッジとすることができ、ステレオマッチングの際、平行エッジにおいて誤認していた対応点を、適切に認識することができる。
【0030】
また、請求項8の発明によれば、第1画像に撮像された対象体を解析して前記対象体におけるエッジの方向を検出し、撮像手段を移動させる予定移動位置を選定する移動位置選定手段と、前記予定移動位置に前記撮像手段を移動させる移動手段とを備え、前記撮像手段は、前記移動手段によって移動された後、再度、前記対象体の画像である第2画像を撮像することにより、撮像手段が1つの場合であっても、検出した対象体のエッジ方向に応じて、第2画像を撮像する際の撮像手段の配置位置を選定し、マッチングに適した左右画像を得ることができるので、エッジ部分の解析により、効率的な対象体の3次元位置・姿勢認識が可能となる。
【0031】
特に請求項9の発明によれば、移動位置選定手段が、検出したエッジの方向と画像上の予定視差方向との平行度合いに基づいて、撮像手段を移動させる予定移動位置を選定することにより、移動後に平行エッジが検出されることを抑制し、画像上の視差方向と平行とみなされないエッジを用いて3次元位置・姿勢認識処理ができるので、3次元位置・姿勢認識の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の機能ブロック図である。
【図2】第1実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の構成図である。
【図3】第1実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態にかかる、3次元位置・姿勢認識装置の動作を説明する図である。
【図5】第1実施形態にかかる、3次元位置・姿勢認識装置の動作を説明する図である。
【図6】第2実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の機能ブロック図である。
【図7】第2実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の構成図である。
【図8】第2実施形態にかかる3次元位置・姿勢認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】3次元位置・姿勢認識処理の例を示す図である。
【図10】3次元位置・姿勢認識処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<A.第1実施形態>
<A−1.前提技術>
まず本発明の前提技術として、ステレオマッチングによる3次元位置・姿勢認識処理を行う場合の例を以下に示す。
【0034】
前述のとおり、ステレオマッチングを行う場合、マッチングに用いる左右画像に撮像された対象体1が、平行エッジを有しているかが問題となる。
【0035】
すなわち図9(a)に示すように、画像上の視差方向100と平行な平行エッジを含む対象体1の左右画像を用いた場合、平行エッジに対応する計測点群は図9(b)のように本来の位置から散らばってしまい、対応点が正しく認識されていないことが分かる。これらの誤認した計測点群がノイズとなり、結果的に3次元モデルとのマッチングに失敗してしまう確率が高まることになる。
【0036】
一方図10(a)に示すように、平行エッジを含まない対象体1の左右画像を用いた場合、図9(b)のような計測点群の散らばりはなく、適切に対応点が認識されていることが分かる(図10(b)参照)。よって、3次元モデルとのマッチングが成功する確率が高まる。
【0037】
よって、適切にステレオマッチングを行い、対象体1の3次元位置・姿勢を認識するためには、平行エッジを含まない状態で左右画像を取得し、対応点を適切に認識することが必要となることが分かる。よって以下に、当該課題を解決しうる3次元位置・姿勢認識装置、及びその方法、プログラムについて示す。
【0038】
<A−2.構成>
図1は、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置の構成ブロック図である。図1に示すように3次元位置・姿勢認識装置200は、対象体1の画像を撮像する第1撮像手段2、第2撮像手段3と、第1撮像手段2において撮像された第1画像、第2撮像手段3において撮像された第2画像を取得し、平行エッジを検出する検出手段4とを備える。平行エッジを検出する画像は、第1画像、第2画像のいずれでもよい。
【0039】
さらに3次元位置・姿勢認識装置200は、検出手段4における検出結果に基づいて、第1撮像手段2、第2撮像手段3のいずれか一方と対象体1との相対位置を変化させるか否かを判断する判断手段5と、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方又は対象体1を移動させる、すなわち、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方を、対象体1に対して相対的に移動させる移動手段6と、第1画像と第2画像とに基づいて、対象体1の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段7とを備える。
【0040】
第1撮像手段2、第2撮像手段3は、具体的にはステレオカメラ等で実現され、対象体1を異なる方向から撮像する。
【0041】
検出手段4は、左右画像、すなわち前述の第1画像、第2画像において対象体1の画像要素を解析してエッジの方向を検出し、画像上の視差方向と平行とみなされる平行エッジを検出する。ここで、平行エッジは、厳密に画像上の視差方向と平行である必要はなく、対応点の認識に影響を与える程度の平行度合いの方向を持つエッジを含む概念である。対応点の認識に影響を与える範囲としては、例えば事前に様々な角度方向のエッジの対応点を実際に計測、又はシミュレーションによって求めておき、対応点の誤認が多くなる角度範囲をその範囲とすることができる。この角度範囲を平行度閾値とする。平行度閾値の決定においては、カメラの画質、分解能、平行化画像とした場合の補正の誤差等も考慮することが望ましく、ユーザーが任意に設定することも可能である。
【0042】
平行度閾値は、閾値記憶手段8において記憶しておくことができ、検出手段4は、エッジの方向を検出し平行エッジを検出する際に、参照することができる。
【0043】
判断手段5は、検出手段4における平行エッジの検出結果に基づいて、対応点が適切に認識できない場合に、第1撮像手段2、第2撮像手段3のいずれか一方と対象体1との相対位置を変化させるよう判断する。
【0044】
判断手段5は、対応点が適切に認識できるか否かの判断に際し、予め実験等の結果から設定され、閾値記憶手段8において記憶されている認識閾値を参照することができる。認識閾値とは、例えば対象体1の全エッジ数に対する平行エッジ数の割合のデータ、又は、全エッジの合計長さに対する平行エッジの合計長さの割合のデータ等であり、その値以上になるとマッチングの失敗が多くなるという上限値である。認識閾値の設定については、例えば事前に様々な割合、合計長さ等の平行エッジを用いて3次元モデルとのマッチング処理を行い、マッチングの失敗が多くなるときの平行エッジの割合、合計長さ等を閾値として設定することができる。
【0045】
なお、上記の閾値記憶手段8は、3次元位置・姿勢認識装置200に備えられていても、外部の記憶装置等に備えられていてもよい。図1においては、外部の記憶装置等に備えられており、通信等により適宜利用する場合を示している。
【0046】
判断手段5において相対位置を変化させるよう判断され、第1撮像手段2、第2撮像手段3、対象体1のいずれかが移動された場合、第1撮像手段2、第2撮像手段3は、移動後の相対位置関係において再度対象体1を撮像する。そして、移動前に撮像した第1画像及び第2画像のうち少なくとも一方を更新し、新たに撮像した画像をそれぞれ第1画像、第2画像として認識手段7に渡す。
【0047】
認識手段7は、撮像された第1画像、第2画像に基づいて、若しくは、再度画像が撮像された場合には更新された第1画像、第2画像に基づいて、マッチング処理を行い、3次元位置・姿勢認識処理を行う。マッチング処理には3次元モデルを用いることができ、3次元モデルとしては、対象体1が工業製品の場合にはそのCADデータ等を利用可能である。
【0048】
図2は、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置のハードウェア構成を示す図である。図2においては、図1における第1撮像手段2、第2撮像手段3がそれぞれカメラ102、カメラ103に対応し、それぞれが産業用ロボット300に備えられている場合を示している。
【0049】
図2に示すように産業用ロボット300は、第1撮像手段2、第2撮像手段3に対応するカメラ102、カメラ103を右アーム11R先端の右ハンド12Rに取り付けられている。
【0050】
ただし、このようなロボットに第1撮像手段2、第2撮像手段3が備えられる場合に限定されるものではなく、第1撮像手段2、第2撮像手段3と対象体1との相対位置を変化させることができる構成であれば、カメラが壁面に固定される場合等であってもよい。また、左アーム11L先端にも左ハンド12Lが備えられ、双腕の構造となっているが、双方のアームが必ずしも必要ではなく、一方のアームのみが備えられる場合であってもよい。また、カメラ102、カメラ103は、図2に示すように右ハンド12Rにともに備えられていてもよいが、左ハンド12Lにともに備えられていてもよく、それぞれのカメラがそれぞれのハンドに備えられる場合であってもよい。
【0051】
さらに、カメラの備えられる位置もハンドである必要はないが、カメラを移動させる場合には、例えば、可動する首部14に取り付けられた頭部15のように、ロボットの可動部分を任意に選択して取り付けることが望ましい。ただし、対象体1との相対位置を変更するために対象体1自体の配置位置を変更する場合には、可動部分に取り付ける必要もないので、胴部13等に取り付けられていてもよい。
【0052】
検出手段4、判断手段5、移動手段6、認識手段7は、コンピュータ10において実現することができる。具体的には、3次元位置・姿勢認識装置200としての機能を実現させるプログラムが、予めこのコンピュータ10にインストールされる。
【0053】
検出手段4は、カメラ102、カメラ103において撮像した第1画像、第2画像に基づいて、対象体1(部品等)のエッジの方向を検出し、平行エッジを検出する。
【0054】
移動手段6は、判断手段5において相対位置の変化が必要と判断された場合には、ロボットの右アーム11R、及び右ハンド12Rを動作させ、適切な位置、方向から再度対象体1の撮像ができるようにカメラ102、カメラ103を移動させる。ハンド部分にカメラ102、カメラ103が取り付けられている場合は、移動の自由度が高いため有利である。
【0055】
閾値記憶手段8は、同様にコンピュータ10において実現されることも可能であるが、データベースとして外部の記憶装置等によって実現される場合であってもよい。
【0056】
<A−3.動作>
次に、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置200の動作の流れを図3に示す。
【0057】
図3に示すように、まず、対象体1の画像を撮像するため、カメラ102、カメラ103が取り付けられた右ハンド12Rを移動し、それぞれのカメラ102、カメラ103の撮像可能範囲に対象体1を入れる。そして、カメラ102、カメラ103それぞれが異なる方向から対象体1の画像を撮像する(ステップS1)。撮像した画像はそれぞれ、第1画像、第2画像とする。
【0058】
次に、コンピュータ10における検出手段4は、第1画像及び第2画像のうち少なくとも一方における対象体1の画像要素を解析し、エッジを検出する。さらにエッジの方向成分を検出する(ステップS2)。エッジ検出及びエッジ方向の検出は、例えばSobel演算子等を用いて算出することができる。
【0059】
さらに検出手段4は、検出したエッジ方向のうち、画像上の視差方向と平行な平行エッジを検出し、例えば、平行エッジ数の、全エッジ数に対する割合を算出する(ステップS3)。その際、平行エッジとみなす基準として、閾値記憶手段8に記憶された平行閾値を参照することができる。なお、平行エッジの合計長さの、全エッジの合計長さに対する割合を算出することもできる。
【0060】
次に、コンピュータ10における判断手段5は、ステップS3で算出した値が、予め設定した認識閾値以上であるか否かを判断する(ステップS4)。すなわち、エッジ方向と画像上の視差方向100との平行度合いが高いか否かを判断する。認識閾値以上である場合、すなわち、マッチングの失敗確率が高まると判断できる場合には、ステップS5へ進む。認識閾値未満である場合には、ステップS6へ進む。
【0061】
ステップS5においては、コンピュータ10における移動手段6が、カメラ102、カメラ103が取り付けられた右ハンド12Rを動作させ、カメラ102、カメラ103を移動させる。ここで、本発明においては、カメラ102、カメラ103、対象体1の相対位置を変化させることができればよいので、移動手段6が、例えば左ハンド12Lを使って対象体1を移動させることも可能であるが、以下では特に、カメラ102、カメラ103を移動させる場合の動作を詳細に示す。
【0062】
図4、図5は、ステップS5における動作を説明する図である。
【0063】
ステップS4において認識閾値以上であると判断される第1画像、第2画像は、例えば図4(a)に示すような画像である。図4(a)においては、対象体1と、画像上の視差方向100とが示されている。図4(a)に示されるように、対象体1の図面中横方向に延在するエッジと、画像上の視差方向100とが平行になっている。なお、エッジと画像上の視差方向100とは、完全に平行である必要はなく、前述の平行エッジとみなせる範囲内の角度を持っていてもよい。
【0064】
ここで、図5に示すようにカメラ102、カメラ103、対象体1が配置されるとき、カメラ102の光軸110、カメラ103の光軸111、2台のカメラの配置位置を通る視差方向軸112をそれぞれ図のように概念的に表すことができる。
【0065】
ところで、図4(a)における画像上の視差方向100と対象体1のエッジとが平行とならないようにするためには、画像上の視差方向100を画像上で回転させればよい。すなわち、図4(b)のような状態にできればよい。
【0066】
このことを図5におきかえると、画像上の視差方向100は、視差方向軸112を画像上に射影した成分に沿う方向であるので、画像上の視差方向100が回転するように視差方向軸112を回転させればよい。
【0067】
具体的には、光軸110及び光軸111のうち少なくとも一方と垂直で、かつ、視差方向軸112に垂直な方向成分を含むように、カメラ102及びカメラ103のうち少なくとも一方を移動させればよい。すなわち、紙面垂直方向の成分を含むように移動させればよい。その成分を含んでいれば、移動の態様は回転移動等でもよく、紙面表方向、裏方向どちらでもよい。また移動の度合いは、平行エッジとみなされたエッジが、平行エッジとみなされる角度範囲を脱する程度でよいが、移動によって他のエッジが平行エッジとみなされないように考慮する。
【0068】
ここで、光軸110と光軸111の角二等分線に沿う軸を中央光軸113とすると、この中央光軸113を中心として、カメラ102、カメラ103の双方が回転するように移動させてもよい。このように移動すれば、対象体1をそれぞれのカメラ102、カメラ103の撮像可能範囲から外すことを抑制しつつ、画像上の視差方向100を回転させることができる。中央光軸113が、対象体1の重心、又は座標中心を通る場合が特に望ましい。
【0069】
また、双方のカメラ102、カメラ103と対象体1との相対位置を変化させることが必要であるため、カメラ102、カメラ103を動かすことなく対象体1を回転させることで、画像上の視差方向100を回転させてもよい。例えば中央光軸113を中心として回転させることで、画像上の視差方向100を回転させることができる。
【0070】
ステップS5において画像上の視差方向100を回転させた後、ステップS1に戻り、再度カメラ102、カメラ103を用いて対象体1の画像を撮像する。撮像した画像はそれぞれ、第1画像、第2画像として更新する。そして、同様にステップS2において、エッジの方向成分を検出し、ステップS3、ステップS4において、認識閾値を超えないか判断する。超えない場合には、ステップS6に進む。
【0071】
ステップS6においては、得られた第1画像、第2画像を用いてステレオマッチングを行い、対象体1の3次元位置・姿勢認識処理を行う。対象体1が複数ある場合には、個々の対象体1に対してそれぞれ同様の動作を行うことができる。
【0072】
<A−4.効果>
本発明にかかる第1実施形態によれば、3次元位置・姿勢認識装置において、第1画像及び第2画像のうち少なくとも一方に撮像された対象体1の画像要素を解析し、対象体1におけるエッジの方向を検出する検出手段4と、検出結果に基づいて、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方と対象体1との相対位置を変化させるか否かを判断する判断手段5と、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方を、対象体1に対して相対的に移動させる移動手段6とを備えることで、検出した対象体1のエッジ方向に応じて、第1撮像手段2、第2撮像手段3を適切な位置に配置し、マッチングに適した左右画像を得ることができるので、エッジ部分の解析により、効率的な対象体1の3次元位置・姿勢認識が可能となる。
【0073】
また、本発明にかかる第1実施形態によれば、3次元位置・姿勢認識装置において、判断手段5が、検出されたエッジの方向と画像上の視差方向100との平行度合いに基づいて、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方と対象体1との相対位置を変化させるか否かを判断することで、平行エッジとなってしまうエッジが検出されることを抑制し、画像上の視差方向100と平行とみなされないエッジを用いて3次元位置・姿勢認識処理ができるので、3次元位置・姿勢認識の効率が向上する。
【0074】
また、本発明にかかる第1実施形態によれば、3次元位置・姿勢認識装置において、移動手段6が、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方を、第1撮像手段2及び第2撮像手段3のうち少なくとも一方の光軸110、光軸111と垂直で、かつ、視差方向軸112と垂直な方向成分を含むように移動させることで、視差方向軸112の射影成分である画像上の視差方向100を第1画像上、第2画像上で回転させ、画像上の平行エッジを平行とみなされないエッジとすることができ、ステレオマッチングの際、平行エッジにおいて誤認していた対応点を、適切に認識することができる。
【0075】
<B.第2実施形態>
<B−1.構成>
図6は、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置の構成ブロック図である。実施の形態1と同様の構成については同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0076】
図6に示すように3次元位置・姿勢認識装置201は、対象体1の画像を撮像する単一の撮像手段20と、撮像手段20において撮像された第1画像を取得し、撮像手段20の予定移動位置を選定する移動位置選定手段40とを備える。
【0077】
さらに3次元位置・姿勢認識装置201は、移動位置選定手段40において選定した予定移動位置に、撮像手段20を移動させる移動手段60と、第1画像と第2画像とに基づいて、対象体1の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段7とを備える。
【0078】
撮像手段20は、移動された後に、異なる方向から再度対象体1を撮像する。撮像した画像を第2画像とする。換言すれば、この第2実施形態は、第1実施形態のように2つの位置(互いに異なる第1位置および第2位置)のそれぞれに撮像手段を配置してほぼ同時に撮像を行う並行撮像方式ではなく、単一の撮像手段20をそれら第1位置と第2位置との間で移動させて、異なる時刻に同一の対象体を撮像するような時差撮像方式となっている。撮像の対象体が静止している場合には、このような時差撮像であっても第1画像と第2画像との対応をとることができるから、対象体1の3次元位置・姿勢認識処理を行うことが十分に可能である。
【0079】
図7は、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置201のハードウェア構成を示す図である。なお図7においては、図6における撮像手段20に対応するカメラ102が産業用ロボット301に備えられている場合を示しているが、このようなロボットに撮像手段20が備えられる場合に限定されるものではなく、撮像手段20の配置位置を変化させることができる構成であればよい。
【0080】
図7に示すように産業用ロボット301は、撮像手段20に対応するカメラ102を右アーム11R先端の右ハンド12Rに取り付けられている。
【0081】
なお、左アーム11L先端にも左ハンド12Lが備えられているが、双方のアームが必ずしも必要ではなく、一方のアームが備えられる場合であってもよい。また、カメラ102は、左ハンド12Lに備えられていてもよい。
【0082】
移動位置選定手段40、移動手段60、認識手段7は、コンピュータ10において実現することができる。具体的には、3次元位置・姿勢認識装置201としての機能を実現させるプログラムが、予めこのコンピュータ10にインストールされる。
【0083】
移動位置選定手段40は、カメラ102において撮像した第1画像に基づいて、対象体1(部品等)のエッジの方向を検出し、カメラ102を移動させる予定移動位置を選定する。
【0084】
移動手段60は、ロボットの右アーム11R、及び右ハンド12Rの動作させ、予定移動位置へカメラ102を移動させる。
【0085】
<B−2.動作>
次に、本発明にかかる3次元位置・姿勢認識装置201の動作の流れを図8に示す。
【0086】
図8に示すように、まず、対象体1の画像を撮像するため、カメラ102が取り付けられた右ハンド12Rを動作させ、カメラ102の撮像可能範囲に対象体1を入れる。そして対象体1の画像を撮像する(ステップS10)。撮像した画像は第1画像とする。
【0087】
次に、コンピュータ10における移動位置選定手段40は、第1画像における対象体1を解析し、エッジを検出する。さらにエッジの方向成分を検出する(ステップS11)。エッジ検出及びエッジ方向の検出は、例えばSobel演算子等を用いて算出することができる。
【0088】
次に移動位置選定手段40は、カメラ102を移動させる予定移動位置を選定する(ステップS12)。まず、カメラ102を移動させる予定移動位置を仮に設定し、その予定移動位置と、現在カメラ102が配置されている配置位置とを通る軸を予定視差方向軸とする。さらに、予定視差方向軸の、第1画像上に射影した成分に沿う方向を画像上の予定視差方向とする。そして、画像上の予定視差方向に平行とみなされる予定平行エッジを、閾値記憶手段8における平行閾値を参照して検出する。
【0089】
そして、予定平行エッジが閾値記憶手段8における認識閾値以上となるかどうかを評価する。すなわち、エッジ方向と画像上の予定視差方向との平行度合いが高いか否かを評価する。認識閾値以上となる場合には、仮に設定した予定移動位置を変更して同様の評価を行う。この評価を、予定平行エッジが認識閾値未満となるまで繰り返す。予定平行エッジが認識閾値未満となる予定移動位置を見つけたら、その位置をカメラ102の予定移動位置として選定する。
【0090】
次に、コンピュータ10における移動手段6が、カメラ102が取り付けられた右ハンド12Rの動作させ、カメラ102をその予定移動位置に移動させる(ステップS13)。
【0091】
次に、移動させたカメラ102を用いて、再度対象体1の画像を撮像する。撮像した画像を第2画像とする。第2画像は、第1画像とは異なる方向から撮像した画像である(ステップS14)。
【0092】
次に、得られた第1画像、第2画像を用いてステレオマッチングを行い、対象体1の3次元位置・姿勢認識処理を行う(ステップS15)。対象体1が複数ある場合には、個々の対象体1に対してそれぞれ同様の動作を行うことができる。
【0093】
<B−3.効果>
本発明にかかる第2実施形態によれば、3次元位置・姿勢認識装置において、第1画像に撮像された対象体1の画像要素を解析して対象体1におけるエッジの方向を検出し、撮像手段20を移動させる予定移動位置を選定する移動位置選定手段40と、予定移動位置に撮像手段20を移動させる移動手段60とを備え、撮像手段20は、移動手段60によって移動された後、再度、対象体1の画像である第2画像を撮像することで、撮像手段が1つの場合であっても、検出した対象体1のエッジ方向に応じて、第2画像を撮像する際の撮像手段20の配置位置を選定し、マッチングに適した左右画像を得ることができるので、エッジ部分の解析により、効率的な対象体1の3次元位置・姿勢認識が可能となる。
【0094】
また、本発明にかかる第2実施形態によれば、3次元位置・姿勢認識装置において、移動位置選定手段40が、検出したエッジの方向と画像上の予定視差方向との平行度合いに基づいて、撮像手段20を移動させる予定移動位置を選定することで、移動後に平行エッジが検出されることを抑制し、画像上の視差方向100と平行とみなされないエッジを用いて3次元位置・姿勢認識処理ができるので、3次元位置・姿勢認識の効率が向上する。
【0095】
<C.変形例>
第1実施形態における2つの撮像手段(第1撮像手段2および第2撮像手段3)のうち、一方(たとえば第1撮像手段2)だけを移動させて再撮像を行う場合には、移動を行わない第2撮像手段3で再撮像して得た画像は、最初にこの第2撮像手段3で得た画像と実質的に同一であるか、あるいは当該画像のフレーム内の回転が加わっているだけである。
【0096】
このため、このような場合には、移動を行わない撮像手段については再撮像は行わず、当該撮像手段による最初の撮像で得た画像を3次元位置・姿勢認識用に流用することもできる。第2実施形態についても同様である。このため、再撮像は2つの撮像手段のうちの少なくとも一方(2つのカメラのうちの少なくとも一方)で行えばよいことになる。
【符号の説明】
【0097】
1 対象体
2 第1撮像手段
3 第2撮像手段
4 検出手段
5 判断手段
6,60 移動手段
7 認識手段
8 閾値記憶手段
10 コンピュータ
11L 左アーム
11R 右アーム
12L 左ハンド
12R 右ハンド
13 胴部
14 首部
15 頭部
20 撮像手段
40 移動位置選定手段
100 視差方向
102,103 カメラ
110,111 光軸
112 視差方向軸
113 中央光軸
200,201 3次元位置・姿勢認識装置
300,301 産業用ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の画像を撮像する第1及び第2撮像手段と、
前記第1撮像手段において撮像した第1画像と、前記第2撮像手段において撮像した第2画像とのうち少なくとも一方に撮像された前記対象体の画像要素を解析し、前記対象体におけるエッジの方向を検出する検出手段と、
前記検出手段における検出結果に基づいて、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との相対位置を変化させるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記相対位置を変化させると判断した場合、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方を、前記対象体に対して相対的に移動させる移動手段とを備え、
前記相対的な移動が行われた場合には、前記第1及び第2撮像手段は、再度前記対象体の画像を撮像して前記第1画像及び前記第2画像のうち少なくとも一方を更新し、
前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段をさらに備えることを特徴とする、
3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項2】
前記第1撮像手段の配置位置と前記第2撮像手段の配置位置とを通る視差方向軸の、前記第1画像上又は前記第2画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の視差方向とし、
前記判断手段が、検出された前記エッジの方向と前記画像上の視差方向との平行度合いに基づいて、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるか否かを判断することを特徴とする、
請求項1に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項3】
前記画像上の視差方向と平行とみなされる前記エッジ数の、全エッジ数に対する割合が閾値以上である場合に、
前記判断手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるように判断することを特徴とする、
請求項2に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項4】
所定の基準によって前記画像上の視差方向と平行とみなされる前記エッジの合計長さの、全エッジの合計長さに対する割合が閾値以上である場合に、
前記判断手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方と前記対象体との前記相対位置を変化させるように判断することを特徴とする、
請求項2又は3に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項5】
前記移動手段が、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方を、前記第1及び第2撮像手段のうち少なくとも一方の光軸と垂直で、かつ、前記視差方向軸と垂直な方向成分を含むように移動させることを特徴とする、
請求項2〜4のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項6】
前記移動手段が、前記第1及び第2撮像手段の双方を、前記第1及び第2撮像手段の前記光軸の角二等分線に沿う中央光軸を中心に回転移動させることを特徴とする、
請求項5に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項7】
前記移動手段が、前記対象体を、前記第1及び第2撮像手段の光軸の角二等分線に沿う中央光軸を中心に、回転移動させることを特徴とする、
請求項2〜4のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項8】
対象体の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段において撮像した第1画像に撮像された前記対象体の画像要素を解析して前記対象体におけるエッジの方向を検出し、前記撮像手段を移動させる予定移動位置を選定する移動位置選定手段と、
前記予定移動位置に前記撮像手段を移動させる移動手段とを備え、
前記撮像手段は、前記移動手段によって移動された後、再度、前記対象体の画像である第2画像を撮像し、
前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う認識手段をさらに備えることを特徴とする、
3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項9】
前記撮像手段の移動前後の配置位置を通る予定視差方向軸の、前記第1画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の予定視差方向とし、
前記移動位置選定手段が、検出した前記エッジの方向と前記画像上の予定視差方向との平行度合いに基づいて、前記撮像手段を移動させる予定移動位置を選定することを特徴とする、
請求項8に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項10】
前記移動位置選定手段が、前記画像上の予定視差方向と平行とみなされる前記エッジ数の、全エッジ数に対する割合が閾値未満となるような配置位置を、前記撮像手段を移動させる前記予定移動位置に選定することを特徴とする、
請求項9に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項11】
前記移動位置選定手段が、前記画像上の予定視差方向と平行とみなされる前記エッジの合計長さの、全エッジの合計長さに対する割合が閾値未満となるような配置位置を、前記撮像手段を移動させる前記予定移動位置に選定することを特徴とする、
請求項9又は10に記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項12】
前記認識手段は、前記第1画像と前記第2画像とにおける前記対象体のエッジに基づいてステレオマッチングを行い、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行うことを特徴とする、
請求項1〜11のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置。
【請求項13】
コンピュータにインストールされて実行されることにより、前記コンピュータを請求項1〜12のいずれかに記載の3次元位置・姿勢認識装置として機能させることを特徴とする、
3次元位置・姿勢認識プログラム。
【請求項14】
(a)互いに異なる第1位置と第2位置とから対象体の画像を撮像する工程と、
(b)前記第1位置で撮像した第1画像と、前記第2位置で撮像した第2画像とのうち少なくとも一方に撮像された前記対象体の画像要素を解析し、前記対象体におけるエッジの方向を検出する工程と、
(c)前記工程(b)における検出結果に基づいて、前記第1位置及び第2位置のうち少なくとも一方と前記対象体との相対位置を変化させるか否かを判断する工程と、
(d)前記工程(c)において前記相対位置の移動が必要と判断した場合、前記相対位置を移動させる工程と、
(e)前記相対位置が移動された場合、前記相対位置の移動後の前記第1位置と前記第2位置とから再度前記対象体の画像を撮像して、前記第1画像及び前記第2画像のうち少なくとも一方を更新する工程と、
(f)前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記対象体の3次元位置・姿勢認識処理を行う工程とを備えることを特徴とする、
3次元位置・姿勢認識方法。
【請求項15】
前記第1位置と前記第2位置とを通る視差方向軸の、前記第1画像上又は前記第2画像上に射影した成分に沿う方向を、画像上の視差方向とし、
前記工程(c)が、検出された前記エッジの方向と前記画像上の視差方向との平行度合いに基づいて、前記相対位置を変化させるか否かを判断する工程であることを特徴とする、
請求項14に記載の3次元位置・姿勢認識方法。
【請求項16】
前記第1位置と前記第2位置とにおける撮像が、第1及び第2撮像手段によってそれぞれ行われることを特徴とする、
請求項14又は15に記載の3次元位置・姿勢認識方法。
【請求項17】
前記第1位置と前記第2位置とにおける撮像が、単一の撮像手段を移動させて行う時差撮像であることを特徴とする、
請求項14又は15に記載の3次元位置・姿勢認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−202732(P2012−202732A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65227(P2011−65227)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】