説明

3次元表示装置、および光学素子

【課題】2次元画像の表示倍率を変換する光学素子を実現して、バックライトの光利用効率を向上させた3次元表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】観察者から見て遠距離側の画像となる遠距離画像と、近距離側の画像となる近距離画像とを表示して3次元像を提供する3次元表示装置において、遠距離画像と近距離画像を生成して交互に表示させる画像表示部DPと、画像表示部DPと同期して画像表示部DPが表示する画像の表示倍率を変換する倍率変換手段MDとを含み、倍率変換手段MDは、X方向断面が共通のレンズ状空間に充填された第1液晶層LXと、X方向に垂直なY方向断面が共通のレンズ状空間に充填された第2液晶層LYを備え、第1液晶層LXは電圧が印加されて屈折率を変換して近距離画像を遠距離画像よりもX方向に拡大し、第2液晶層LYは電圧が印加されて屈折率を変換して近距離画像を遠距離画像よりもY方向に拡大する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定位置の観察者に立体的な表示を提供する3次元表示装置、及び3次元表示装置に用いる光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの透過型の液晶パネルを所定の間隔を置いて配置して、観察者の手前側にある液晶パネル(フロントパネル)と奥側にある液晶パネル(リアパネル)に近距離側の画像と遠距離側の画像を表示することにより、観察者に奥行き感のある立体的な表示を与える3次元表示装置がある。このような3次元表示装置は、例えば、観察者の視点位置が固定される車載用のディスプレイ等に用いられる。
【0003】
図7は、上記のような3次元表示装置の構成の一例を示す図である。3次元表示装置は、同図で示すように、液晶パネルFPと液晶パネルRPとが所定の間隔を置いて重複して配置され、液晶パネルFPの前面側に偏光板PL2が、液晶パネルRPの背面側に偏光軸が偏光板PL2に対して垂直となる偏光板PL1が配置される。また、バックライトBLが液晶パネルRPの背面側に配置されて、これにより液晶パネルRP及び液晶パネルFPに光源が提供される。
【0004】
また、図8は、3次元表示装置と所定の位置における観察者の様子を示す図である。液晶パネルFP及び液晶パネルRPは観察者から見て異なる距離で配置されて、バックライトBLからの光によって、これらに輝度の異なる近距離画像と遠距離画像とを表示させる。これにより、2つの液晶パネル間に立体画像が存在するような錯視(DFD錯視)が観察者に与えられる。
【0005】
また、特許文献1においては、2次元表示装置に表示させる2次元像を立体的に表示させる立体表示装置が開示されている。この立体表示装置は、2次元表示装置と観察者との間に可変焦点レンズを有し、可変焦点レンズによる結像位置の移動周期と2次元表示装置による2次元像の更新周期とを同期させることにより、観察者に立体像を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−243960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、図7のような3次元表示装置においては、液晶パネルFP及び液晶パネルRPのカラーフィルタ基板CFに設けられたブラックマトリクスをバックライトの光が透過するため光の利用効率が悪くなり、3次元表示装置にて必要とされる輝度を確保するためにバックライトの輝度が要求される。
【0008】
また、特許文献1のように2次元画像の結像位置を移動させる可変焦点レンズを、一層の液晶層を用いて実現する場合には、回転対称のフレネルレンズ等の固定焦点レンズに面して円巻状若しくは放射状に液晶分子の配向を揃えて液晶分子を充填する必要がある。しかし、液晶分子を回転対称にラビングすると、回転中心付近において液晶分子の配向が定まりにくく、一層の液晶層によって1点に集光する焦点を有したレンズを実現するのは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて、2次元画像のX方向の表示倍率と、X方向に直交するY方向の表示倍率を変換する光学素子を実現して、バックライトの光の利用効率を向上させた3次元表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る3次元表示装置は、観察者から見て遠距離側の画像となる遠距離画像と、近距離側の画像となる近距離画像とを表示することにより該観察者に3次元像を提供する3次元表示装置において、前記遠距離画像と前記近距離画像を生成して、これらを交互に表示させる画像表示部と、前記画像表示部が前記遠距離画像と前記近距離画像とを切替えるタイミングと同期して、該画像表示部が表示する画像の表示倍率を変換する倍率変換手段と、を含み、前記倍率変換手段は、X方向に切断される断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第1液晶層と、前記X方向に垂直となるY方向の断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第2液晶層を備え、前記第1液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記近距離画像の前記X方向の表示倍率を前記遠距離画像よりも拡大し、前記第2液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記近距離画像の前記Y方向の表示倍率を前記遠距離画像よりも拡大する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る3次元表示装置の一態様では、前記第1液晶層が充填された前記レンズ状の空間には、前記Y方向に一様となるように第1フレネルレンズ面が形成されて、前記第1液晶層は前記第1フレネルレンズ面に面して充填され、前記第2液晶層が充填された前記レンズ状の空間には、前記X方向に一様となるように第2フレネルレンズ面が形成されて、前記第2液晶層は前記第2フレネルレンズ面に面して充填される、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る3次元表示装置の一態様では、前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第3透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、前記第2液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第3透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る3次元表示装置の一態様では、前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間において、前記第1透明導電膜よりも前記第2液晶層の側に第3透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層を基準として前記第3透明導電膜の反対側には、第4透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層は、前記第3透明導電膜から前記第4透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る3次元表示装置の一態様では、前記画像表示部は、液晶パネルと該液晶パネルに光源を提供するバックライトを含んで構成されて、前記液晶パネルが前記遠距離画像と前記近距離画像とを切替えるタイミングと同期して、該バックライトが消灯する、ようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る3次元表示装置の一態様では、前記倍率変換手段は、透明導電膜及び透明樹脂層とともに透明基板を構成し、前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記透明基板において前記観察者から見て重複するように配置され、前記透明基板は、前記画像表示部から所定の間隔を置いて設けられて、前記透明基板と前記画像表示部との間には透明樹脂が充填される、ようにしてもよい。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子は、X方向に切断される断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第1液晶層と、前記X方向に垂直となるY方向の断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第2液晶層とを備え、前記第1液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記Y方向に直線状に形成される焦点の位置を制御し、前記第2液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記X方向に直線状に形成される焦点の位置を制御する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光学素子の一態様では、前記第1液晶層が充填されたレンズ状の空間には、前記Y方向に一様となる第1フレネルレンズ面が形成され、前記第1液晶層は前記第1フレネルレンズ面に面して充填され、前記第2液晶層が充填されたレンズ状の空間には、前記X方向に一様となる第2フレネルレンズ面が形成され、前記第2液晶層は前記第2フレネルレンズ面に面して充填される、ようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る光学素子の一態様では、前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第3透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、前記第2液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第3透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、ようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る光学素子の一態様では、前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、前記第1液晶層と前記第2液晶層との間において、前記第1透明導電膜よりも前記第2液晶層の側に第3透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層を基準として前記第3透明導電膜の反対側には、第4透明導電膜が設けられ、前記第2液晶層は、前記第3透明導電膜から前記第4透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1つの液晶パネルによって交互に表示される遠距離画像と近距離画像の表示倍率を変換する倍率変換手段が実現されることにより、バックライトの光の利用効率を向上させた3次元表示装置の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の3次元表示装置において、液晶層に電圧が印加されない場合、及び、電圧が印加される場合に、画像表示部からの平行光が透過する様子を示す図である。
【図3】第2の実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態の3次元表示装置において、液晶層に電圧が印加されない場合、及び、電圧が印加される場合に、画像表示部からの平行光が透過する様子を示す図である。
【図5】第3の実施形態における3次元表示装置において、画像表示部と倍率変換手段との間に透明樹脂が充填されている様子を示す図である。
【図6】第4の実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。
【図7】従来の3次元表示装置の構成の一例を示す図である。
【図8】3次元表示装置を所定の位置から観察する観察者の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下において、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。同図で示すように、倍率変換手段MDは、画像表示部DPから不図示の観察者側に所定の距離を置いて設けられている。本実施形態における画像表示部DPは、液晶パネルLPとバックライトBLによって構成される。
【0024】
バックライトBLにおいては、複数の冷陰極蛍光ランプCLが所定の間隔を置いてメタルフレームMF内に配置されて、冷陰極蛍光ランプCLによる発光が、拡散板DB、拡散シートDS、プリズムシートPSを経て、輝度が均一化されて液晶パネルLPに提供される。また、メタルフレームMFの内側には、冷陰極蛍光ランプCLによる発光を拡散板DBに向けて反射する反射シートRSが設けられる。
【0025】
次に、液晶パネルLPは、同図で示すように、マトリクス状に画素回路が配置されたTFT基板SUB、カラーフィルタ基板CF、液晶材LC、偏光板PL1及びPL2を含んで構成される。バックライトBLから提供された光は、偏光板PL1によって直線偏光にされるとともに液晶材LCを通過する際に画素毎に偏光状態を制御され、その偏向状態に応じて偏光板PL2を透過する。これにより液晶パネルLPは画像又は映像を表示する。特に、液晶パネルLPは、表示する画像を制御する表示制御部を有し、この表示制御部は、所定の周期において、観察者から見て遠距離側の画像となる遠距離画像と近距離側の画像となる近距離画像の2種類の画像を生成してこれらを交互に表示させる。本実施形態における所定の周期は、1フレーム期間(1/60秒)であり、液晶パネルLPは1/120秒毎に遠距離画像と近距離画像とを切り替えて表示する。なお、遠距離画像と近距離画像を交互に表示する周期は、1フレーム期間でなくてもよいのは言うまでもない。
【0026】
遠距離画像(遠距離用の画像)と近距離画像(近距離用の画像)は、観察者に提供する3次元像を投影した2次元画像であって、当該3次元像において表示される3次元表示物が、それぞれにおいて輝度が異なって表示されるように、これらは生成される。観察者に対して近い場所にある3次元表示物は、遠距離画像よりも近距離画像で輝度が高くなるように2次元表示され、観察者に対して遠い場所にある3次元表示物は、近距離画像よりも遠距離画像で輝度が高くなるように2次元表示される。遠距離画像よりも近距離画像で輝度が高くなるように2次元表示された3次元表示物は、近距離画像よりも遠距離画像で輝度が高くなるように2次元表示された3次元表示物よりも、観察者から近い側で観察される。すなわち3次元像に表示する各表示物の輝度を、所定の周期で交互に表示される近距離画像と遠距離画像において制御して2次元表示することにより、3次元像の奥行きが表現される。
【0027】
そして特に、所定の位置の観察者に対して画像表示部DPが表示する画像の表示倍率を変換する倍率変換手段MDが、画像表示部DPから所定の距離を置いて設けられる。本実施形態における倍率変換手段MDは、X方向の倍率を変換する第1液晶層LXと、X方向に対して垂直となるY方向の表示倍率を変換する第2液晶層LYを含んで構成される光学素子である。この光学素子は、透明樹脂層および透明導電膜を含む透明基板によって構成され、当該透明基板では、第1液晶層LX及び第2液晶層LYが重複して設けられる。
【0028】
ここで、第1液晶層LXは、レンズ状の空間に液晶分子が充填されることにより設けられる。この第1液晶層LXは、透明導電膜TR2に被覆された透明樹脂層P2と、透明樹脂層PXとによって形成された空間に充填され、透明樹脂層PXの上層側には透明導電膜TR1が設けられる。同様に第2液晶層LYも、レンズ状の空間に液晶分子が充填されることにより設けられる。第2液晶層LYは、透明導電膜TR3に被覆された透明樹脂層P1と、透明樹脂層PYとによって形成された空間に充填され、第2液晶層LYの上層側には透明導電膜TR4と、透明導電膜TR4を保護するように透明樹脂層P3が設けられる。
【0029】
図1においては、画像表示部DP及び倍率変換手段MDをX方向(バックライトBLにおいて所定間隔を置いて平行に配置された冷陰極蛍光ランプCLに直交する方向)に切断した断面が示されている。透明樹脂層PXには、同図で示すように、X方向に切断する各断面において共通となるように、中心部から鏡面対称にノコギリ状に配置されたプリズム部によってフレネルレンズ面が形成される。このフレネルレンズ面はY方向に一様となるように形成され、各プリズム部の間に設けられる溝や各プリズム部による稜線がY方向に直線状となる。一方、透明樹脂層PYには、透明樹脂層PXのフレネルレンズ面と直交するようにX方向に一様にフレネルレンズ面が形成され、透明樹脂層PXと同様のノコギリ状の断面が、Y方向に切断する各断面に共通して形成される。なお、透明導電膜は、例えば酸化インジウム錫(ITO)が蒸着等されることによって設けられ、透明樹脂層PX等は、透明樹脂を射出成形すること等によって形成される。
【0030】
また、第1液晶層LXには、透明導電膜TR1から透明導電膜TR2に、第2液晶層LYには、透明導電膜TR3から透明導電膜TR4に電圧が印加されて、各液晶層が駆動される。ここで図2は、第1液晶層LXに電圧が印加されない場合と電圧が印加される場合の、画像表示部DPからの平行光が第1液晶層LXを透過する様子を示す図である。
【0031】
Y方向に一様なフレネルレンズ面が形成された透明樹脂層PXの表面には、液晶分子をY方向に配向させるようにラビングされて、電圧が無印加時に、第1液晶層LXの屈折率が透明樹脂層PXの屈折率よりも大きくなるように液晶分子が配向される。第1液晶層LXの屈折率が、図1及び図2に示すようなフレネルレンズ面を有した透明樹脂層PXの屈折率よりも大きくなると、第1液晶層LXは焦点がY方向に直線状となる凹レンズと等価の働きをして光を発散させる。画像表示部DPにおける遠距離用の画像の表示と同期して、第1液晶層LXにかかる電圧がOFFになることで、当該遠距離用の画像をX方向に縮小した虚像が形成されて、当該虚像が所定位置の観察者によって観察される。
【0032】
また透明樹脂層PYにおいては、透明樹脂層PXのフレネルレンズ面と同様のフレネルレンズ面が90度回転されて形成され、さらにその表面に電圧無印加時にX方向に液晶分子が配向するようにラビングされる。第2液晶層LYは、焦点がX方向に直線状となる凹レンズと等価の働きをし、画像表示部DPにおける遠距離用の画像の表示と同期して電圧がOFFにされることによって、当該遠距離用の画像をY方向に縮小した虚像が形成される。したがって、第1液晶層LX及び第2液晶層LYによって、表示倍率がX方向及びY方向に合成されて縮小された虚像が形成されることにより、遠距離用の画像が全体的に縮小されて観察者に表示される。また、画像表示部DPが表示する画像に対する虚像の大きさ(表示倍率)は、X方向とY方向とで等しくなるようにするのが望ましい。表示倍率がX方向とY方向とで異なる場合には、画像表示部DPにおける表示制御部において、表示する画像が調整されるようにしてもよい。
【0033】
一方、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに所定電圧が印加される場合には、液晶層に電界がかけられる方向に液晶分子が配向する。この際、第1液晶層LXの屈折率と透明樹脂層PXの屈折率、及び、第2液晶層LYの屈折率と透明樹脂層PYの屈折率とがほぼ等しくなるように設けられ、画像表示部DPが表示する画像の表示倍率が等倍のまま観察者によって観察される。画像表示部DPが近距離用の画像を表示するのと同期して、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに印加される電圧がONにされることで、第1液晶層LX及び第2液晶層LYは、近距離用の画像の表示倍率を等倍のままで観察者に表示する。
【0034】
倍率変換手段MDを構成する光学素子は、その内部に設けられたレンズ状の空間に第1液晶層LX及び第2液晶層LYを充填させて屈折率を電気的に制御することにより、当該液晶層の焦点距離を制御する。これにより当該光学素子は、画像表示部DPの画像に対して形成される虚像の位置を変動させつつ表示倍率を変換する。また当該光学素子には、画像表示部DPが遠距離画像と近距離画像とを切り替えるタイミングと同期して、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに電圧を印加させる電圧制御部が接続される。第1液晶層LX及び第2液晶層LYには、電圧制御部から、画像表示部DPの表示制御部と同期してON状態とOFF状態とが交互に繰り返される矩形波形の電圧が提供される。そして電圧制御部によって第1液晶層LX及び第2液晶層LYの屈折率を電気的に制御されて焦点距離が変動し、近距離用の画像を遠距離用の画像よりも拡大するように表示倍率を変換する。これにより、3次元表示装置を観察する観察者に、DFD錯視が与えられて3次元像が提供される。
【0035】
また、本実施形態における3次元表示装置は、画像表示部DPにおける2つの画像の切り替えと倍率変換手段MDの倍率の変換とが同期されるとともに、さらに、バックライトBLもこれらと同期して消灯される。具体的には、バックライトBLが消灯される期間中に、画像表示部DPにおける各画素を駆動させて遠距離画像と近距離画像を切り替えるとともに、倍率変換手段MDにおける第1液晶層LX及び第2液晶層LYの屈折率を変換する。本実施形態では1フレーム期間(1/60秒)において画像が切り替えられる。したがって、第1液晶層LXおよび第2液晶層LYには、透明導電膜TR1及びTR2から矩形電圧が供給されて、1/120秒間ずつON状態の期間とOFF状態の期間が設けられ、また、バックライトBLは1/120秒周期で発光・消灯を繰り返す。これにより、3次元表示装置における画質が向上する。
【0036】
また、本実施形態における3次元表示装置は、倍率変換手段MDにおける第1液晶層LX及びLY、フレネルレンズ面が形成された透明樹脂層PX及びPYが重複して設けられている。そして第1液晶層LXを挟むように透明導電膜TR1及び透明導電膜TR2が、第2液晶層LYを挟むように透明導電膜TR3と透明導電膜TR4が設けられる。第1液晶層LXと第2液晶層LYとの間において、透明導電膜TR1が第1液晶層LX側に、透明導電膜TR3が第2液晶層LY側に設けられて、透明導電膜TR1から透明導電膜TR2に、透明導電膜TR3から透明導電膜TR4に電圧が印加される。すなわち、倍率変換手段MDを構成する光学素子の内部側に設けられた透明導電膜TR1及び透明導電膜TR3が高電位となって、外部側に設けられた透明導電膜TR2及びTR4に向けて電圧がかけられ、倍率変換手段MDの外部に突発的に発生する電界から第1液晶層LX及び第2液晶層LYが保護される。また、透明導電膜TR2及び透明導電膜TR4がアースされてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、倍率変換手段MDを透明導電膜及び透明樹脂層を含む透明基板によって構成されるとしており、図1で示すように、当該透明基板は、フレネルレンズ面が形成された透明樹脂層PX及び透明樹脂層PY、薄板状の透明樹脂層P1〜P3を含んで形成される。ここで、例えば、透明樹脂層PXをなくして、透明導電膜TR1にフレネルレンズ面が形成されるようにしてもよいし、透明樹脂層P2をなくして透明導電膜TR2が厚く形成されるようにしてもよい。また、第1液晶層LXに面して透明導電膜TR2を薄板状に形成せず、透明樹脂層P2の内側に形成するようにしてもよい。或いは、透明導電膜TR1を、透明樹脂層PXのフレネルレンズ面において薄膜状に形成し、さらに、透明樹脂層PXと透明樹脂層P1とを共通する樹脂層として設けてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、電圧制御部からON/OFFを交互に繰り返す矩形波形の電圧を、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに共通に印加して、X方向及びY方向の表示倍率が等しくなるように変換している。ここで、第1液晶層LXと第2液晶層LYとで屈折率やフレネルレンズ面の形状が異なる場合には、第1液晶層LX及び第2液晶層LYとで異なる電圧を同期して印加するようにしてもよい。また、倍率変換手段MDにより2種類の表示倍率で画像表示部DPの画像を表示できるのであれば、電圧制御部が印加する電圧はON/OFFの矩形波形電圧ではなく、2種類の所定電圧を切り替えるようにしてもよい。また、電圧制御部が複数種類の所定電圧を印加して、倍率変換手段MDにより複数種類の表示倍率で画像表示部DPの画像を表示させてもよい。
【0039】
[第2の実施形態]
上記の第1の実施形態では、第1液晶層LX及び第2液晶層LYが、透明樹脂層PX及びPYよりも電圧無印加時に屈折率が大きくなるように配向された液晶分子によって、電圧無印加時に凹レンズと等価の働きをするようにフレネルレンズ面を形成している。一方、第2の実施形態では、図3及び図4に示すように、凸レンズと等価の働きをするようにフレネルレンズ面を透明樹脂層PX及び透明樹脂層PYに形成している点で、第1の実施形態と異なっている。以下において、第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態と第2の実施形態においてほぼ同様となっている点については説明を省略する。
【0040】
図3は、第2の実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。また図4は、第1液晶層LXに電圧が印加されない場合と電圧が印加される場合の、画像表示部DPからの平行光が第1液晶層LXを透過する様子を示す図である。第1液晶層LXは、電圧無印加時には、透明樹脂層PXよりも屈折率が大きくなって、Y方向に直線状となる焦点を有した凸レンズと等価の働きをして光を集光させる。同様に、第2液晶層LYもX方向に直線状となる焦点を有した凸レンズと等価の働きをして、画像表示部DPからの平行光を同様に集光させる。そして、画像表示部DPにおける近距離用の画像の表示と同期して第1液晶層LX及び第2液晶層LYに印加される電圧をOFFにすることにより、当該近距離用の画像が全体的に拡大されて虚像が形成されて、所定位置の観察者によって観察される。
【0041】
また、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに所定電圧が印加される場合には、電界がかかる方向に液晶分子が配向する。この際、第1液晶層LXの屈折率と透明樹脂層PXの屈折率、及び第2液晶層LYの屈折率と透明樹脂層PYの屈折率がほぼ等しくなるようにされ、画像表示部DPが表示する画像の表示倍率が等倍のまま観察者によって観察される。画像表示部DPにおける遠距離用の画像の表示と同期して、第1液晶層LX及び第2液晶層LYに印加される電圧がONにされることで、第1液晶層LX及び第2液晶層LYは、遠距離用の画像の表示倍率を等倍のままで観察者に表示する。画像表示部DPが遠距離画像と近距離画像とを切り替えるタイミングと同期して、第1液晶層LX及び第2液晶層LYの屈折率を電気的に制御することにより、近距離用の画像を遠距離用の画像よりも拡大するように表示倍率を変換する。
【0042】
なお、第2の実施形態では、上述のように、電圧がOFFとなる際に虚像が形成されるとしているが、第1液晶層LX及び第2液晶層LYによる焦点が画像表示部DPよりも倍率変換手段MDの近くに形成されるようにして、電圧がOFFとなる際に実像が形成されるようにしてもよい。この場合には、電圧がONの場合と電圧がOFFの場合のいずれかのうち表示倍率が大きくなるタイミングで、近距離用の画像が画像表示部DPに表示される。
【0043】
[第3の実施形態]
上記の第1の実施形態では、画像表示部DPから所定の間隔を置いて、倍率変換手段MDが設けられた透明基板が配置されているが、第3の実施形態では、画像表示部DPと倍率変換手段MDが設けられた透明基板との間に透明樹脂が充填される。かかる点で、第3の実施形態と第1の実施形態は異なっている。かかる点以外では第1の実施形態とほぼ同様となっており、第1の実施形態とほぼ同様となる点については説明を省略する。
【0044】
図5は、画像表示部DPと倍率変換手段MDとの間に透明樹脂PTが充填されている様子を示す図である。画像表示部DPからの光は、透明樹脂PTを経て倍率変換手段MDにおける透明樹脂層P2に至り、倍率変換手段MDによって画像表示部DPからの画像の表示倍率が変換される。ここで透明樹脂PTは、透明樹脂層P2と同じ屈折率となるように充填されるのが望ましい。画像表示部DPからの光が透明樹脂PTから透明樹脂層P2に入射する際の屈折率の変化が少なくなると、透明樹脂層P2によって反射されて迷光となる光が減少する。これにより、黒表示時の輝度を明るくする迷光が減少し、第1の実施形態の場合と比べてコントラストが向上する。
【0045】
[第4の実施形態]
上記の第1の実施形態では、倍率変換手段MDにおける第1液晶層LX及び第2液晶層LY、フレネルレンズ面が形成された透明樹脂層PX及び透明樹脂層PYが重複して設けられて、第1液晶層LX及び第2液晶層LYを挟持するように、それぞれに一対の透明導電膜が設けられる。ここで図6は、第4の実施形態における3次元表示装置の構成を示す図である。一方、第4の実施形態では、図6で示すように、第1液晶層LXと第2液晶層LYとの間に、透明導電膜TR1(第1透明導電膜)が設けられて、第1液晶層LXを基準として透明導電膜TR1が設けられている側の反対側に透明導電膜TR2(第2透明導電膜)が設けられる。そして、第2液晶層LYに電圧を印加する透明導電膜として透明導電膜TR1が兼用されて、第2液晶層LYを基準として透明導電膜TR1が設けられている側の反対側に透明導電膜TR3(第3の透明導電膜)が設けられる。これ以外の点では、第3の実施形態は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
倍率変換手段MDを構成する光学素子の内部側に設けられた透明導電膜TR1は、外部側に設けられた透明導電膜TR2及びTR3よりも高電位となって、外部において突発的に発生する電界から第1液晶層LX及び第2液晶層LYが保護される。また、透明導電膜TR2及び透明導電膜TR3はアースされてもよい。
【0047】
なお、本発明の各実施形態に係る液晶パネルLPにおける液晶の駆動方式は、IPS(In-plane Switching)であってもよいし、VA(Vertical Aligned)方式であってもよいし、TN(Twisted Nematic)方式であってもよい。また、各実施形態では画像表示部DPを液晶パネルLPとバックライトBLによって構成されるとしているが、画像表示部DPに、有機ELパネル、無機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、ないしはフィールドエミッションディスプレイ等の自発光パネルを用いてもよい。
【0048】
なお、上記の第1の実施形態をはじめとする各実施形態においては、電圧が印加された状態で、第1液晶層LX及び第2液晶層LYの屈折率が透明樹脂層PX及び透明樹脂層PYと等しくなるようにしているが、必ずしも等しくする必要は無い。少なくとも電圧が印加される場合とされない場合とで倍率変換手段MDによる表示倍率が変化しさえすればよい。
【0049】
なお、上記の第1の実施形態をはじめとする各実施形態においては、第1液晶層LX及びLYをフレネルレンズ面が形成された透明樹脂層PX及び透明樹脂層PYの下層側に設けているが、第1液晶層LX及び第2液晶層LYの下層側にフレネルレンズ面を形成した透明樹脂層を設けるようにしてもよいし、第1液晶層LX及び第2液晶層LYの上層側及び下層側の双方に設けるようにしてもよい。また、図1等で示すように、フレネルレンズ面を有した透明樹脂層PX及びPYは、溝部の底と透明導電膜TR1とが近接するように薄く形成されているが、フレネルレンズ面を安定的に形成するため等の理由により、余分な厚みを設けてもよい。
【0050】
以上説明した本発明の各実施形態に係る3次元表示装置は、上記の実施形態によっては限定されず、その技術的思想の範囲内において異なる形態にて実施されてよい。なお、倍率変換手段MDを含んだ上記の光学素子は、3次元表示装置に用いる以外にも遠近両用メガネや、視力を回復させるためのトレーニング用装置に用いてよい。これらの際には、画像表示部DPと同期を取る必要がなく、遠近両用メガネに備え付けたスイッチ等によって手動で2つの液晶層に印加させる電圧を切り替えて屈折率を変換する。
【符号の説明】
【0051】
DP 画像表示部、BL バックライト、LP 液晶パネル、PL1,PL2 偏光板、SUB TFT基板、LC 液晶材、CF カラーフィルタ基板、MD 倍率変換手段、LX 第1液晶層、LY 第2液晶層、PX,PY,P1,P2,P3,透明樹脂層、TR1,TR2,TR3,TR4 透明導電膜、MF メタルフレーム、CL 冷陰極蛍光ランプ、RS 反射シート、DB 拡散板、DS 拡散シート、PS プリズムシート、FP フロントパネル、RP リアパネル、PT 透明樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者から見て遠距離側の画像となる遠距離画像と、近距離側の画像となる近距離画像とを表示することにより該観察者に3次元像を提供する3次元表示装置において、
前記遠距離画像と前記近距離画像を生成して、これらを交互に表示させる画像表示部と、
前記画像表示部が前記遠距離画像と前記近距離画像とを切替えるタイミングと同期して、該画像表示部が表示する画像の表示倍率を変換する倍率変換手段と、を含み、
前記倍率変換手段は、
X方向に切断される断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第1液晶層と、
前記X方向に垂直となるY方向の断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第2液晶層を備え、
前記第1液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記近距離画像の前記X方向の表示倍率を前記遠距離画像よりも拡大し、
前記第2液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記近距離画像の前記Y方向の表示倍率を前記遠距離画像よりも拡大する、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元表示装置であって、
前記第1液晶層が充填された前記レンズ状の空間には、前記Y方向に一様となるように第1フレネルレンズ面が形成されて、前記第1液晶層は前記第1フレネルレンズ面に面して充填され、
前記第2液晶層が充填された前記レンズ状の空間には、前記X方向に一様となるように第2フレネルレンズ面が形成されて、前記第2液晶層は前記第2フレネルレンズ面に面して充填される、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の3次元表示装置であって、
前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第3透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、
前記第2液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第3透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の3次元表示装置であって、
前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間において、前記第1透明導電膜よりも前記第2液晶層の側に第3透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層を基準として前記第3透明導電膜の反対側には、第4透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層は、前記第3透明導電膜から前記第4透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の3次元表示装置であって、
前記画像表示部は、液晶パネルと該液晶パネルに光源を提供するバックライトを含んで構成されて、前記液晶パネルが前記遠距離画像と前記近距離画像とを切替えるタイミングと同期して、該バックライトが消灯する、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の3次元表示装置であって、
前記倍率変換手段は、透明導電膜及び透明樹脂層とともに透明基板を構成し、
前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記透明基板において前記観察者から見て重複するように配置され、
前記透明基板は、前記画像表示部から所定の間隔を置いて設けられて、前記透明基板と前記画像表示部との間には透明樹脂が充填される、
ことを特徴とする3次元表示装置。
【請求項7】
X方向に切断される断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第1液晶層と、
前記X方向に垂直となるY方向の断面が共通となるようなレンズ状の空間に充填された第2液晶層とを備え、
前記第1液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記Y方向に直線状に形成される焦点の位置を制御し、
前記第2液晶層は、電圧が印加されることにより屈折率を変換して、前記X方向に直線状に形成される焦点の位置を制御する、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項8】
請求項7に記載の光学素子であって、
前記第1液晶層が充填されたレンズ状の空間には、前記Y方向に一様となる第1フレネルレンズ面が形成され、前記第1液晶層は前記第1フレネルレンズ面に面して充填され、
前記第2液晶層が充填されたレンズ状の空間には、前記X方向に一様となる第2フレネルレンズ面が形成され、前記第2液晶層は前記第2フレネルレンズ面に面して充填される、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項9】
請求項8に記載の光学素子であって、
前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第3透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、
前記第2液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第3透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項10】
請求項8に記載の光学素子であって、
前記第1液晶層と前記第2液晶層は、前記観察者から見て重複するように配置され、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間には、第1透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層を基準として前記第1透明導電膜の反対側には、第2透明導電膜が設けられ、
前記第1液晶層は、前記第1透明導電膜から前記第2透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換されて、
前記第1液晶層と前記第2液晶層との間において、前記第1透明導電膜よりも前記第2液晶層の側に第3透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層を基準として前記第3透明導電膜の反対側には、第4透明導電膜が設けられ、
前記第2液晶層は、前記第3透明導電膜から前記第4透明導電膜に電圧が印加されることにより屈折率が変換される、
ことを特徴とする光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−181645(P2010−181645A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25176(P2009−25176)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】